JP4639626B2 - 装飾品、時計用裏蓋および時計 - Google Patents
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しかしながら、このように接着剤を用いて2枚のガラスを接着すると、2枚のガラスの押圧により、ガラス同士の間隙に充填した接着剤が必要以上に(過剰に)広がり、例えば、前記間隙から接着剤がはみ出すという問題があった。
また、接着剤の接着状態によっては、2枚のガラスの接着が不十分となり、これらのガラスが互いに離間(剥離)することがあるという問題があった。
また、前記間隙に充填した接着剤を乾燥させなければならず、装飾品を製造するときの作業性(生産性)が低下するという問題があった。
本発明の装飾品は、使用状態で外側に位置し、全体が実質的に透明な第1の板状体と、
使用状態で前記第1の板状体よりも内側に該第1の板状体とほぼ平行に設置され、大きさが前記第1の板状体とほぼ同等である、全体が実質的に透明な第2の板状体と、
前記第1の板状体と前記第2の板状体との縁部付近の間に介挿され、前記両板状体を接合する粘着性を有し、シート状をなす粘着体と、
前記第1の板状体と前記第2の板状体との間に設けられ、前記第1の板状体を介して視認される装飾部と、
前記第2の板状体に付され、前記第1の板状体を介して視認される内板装飾部とを備え、
前記装飾部は、前記第1の板状体の内面に、その縁部に沿って周方向に印刷された第1の印刷部と、前記第1の印刷部の全部を覆うようにリング状をなし、前記第1の印刷部に重なって印刷され、該第1の印刷部の裏打ちとして機能する第2の印刷部とで構成され、
前記内板装飾部は、前記第2の板状体の外面の中央部に付着して設けられ、文字、記号または図形をかたどったシート状体と、前記第2の板状体の内面全体に蒸着を施してなる蒸着部と、前記蒸着部の全部を覆うように該蒸着部に重なって印刷され、前記蒸着部の裏打ちとして機能する内板印刷部とで構成され、
前記粘着体は、前記第1の板状体の縁部に沿ってリング状に配置されており、その周方向の一部が欠損した欠損部を有し、当該粘着体を前記第1の板状体側から見たとき前記第2の印刷部で覆い隠されていることを特徴とする。
これにより、第1の板状体と第2の板状体とを接合したときの接合箇所を正確に定めることができ、かつ、簡単な方法で両板状体が確実に接合された装飾品を提供することができる。
前記粘着体の厚さは、前記シート状体の厚さより厚いことが好ましい。
本発明の装飾品では、前記第1の印刷部は、前記第1の板状体と同心的に印刷された円形の第1の円と、該第1の円と同心的に印刷され、前記第1の円より大径の第2の円と、該第2の円の外周に沿って印刷された文字群とで構成されていることが好ましい。
本発明の装飾品では、前記蒸着部は、模様であることが好ましい。
本発明の装飾品では、前記蒸着部の色は銀色であり、前記内板印刷部の色は黒色であることが好ましい。
本発明の装飾品では、前記第1の板状体および/または前記第2の板状体は、主として、ガラスまたはプラスチックで構成されていることが好ましい。
これにより、第1の板状体と第2の板状体とに囲まれた空間内を視認することができる。
これにより、装飾品を製造する際の作業性(生産性)が向上する。
本発明の装飾品では、前記第1の板状体と前記第2の板状体との間隙距離は、前記第1の板状体または前記第2の板状体の厚さの2倍以下であることが好ましい。
これにより、装飾品の総厚が必要最小限の厚さで済み、装飾品の大きさや重量を小さくすることができる。
前記第1の板状体を介して前記装飾部および前記内板装飾部が拡大して視認されることが好ましい。
本発明の時計用裏蓋は、本発明の装飾品を備えたことを特徴とする。
これにより、第1の板状体と第2の板状体とを接合したときの接合箇所を正確に定めることができ、かつ、簡単な方法で両板状体が確実に接合された装飾品を備えた時計用裏蓋を提供することができる。
本発明の時計は、本発明の時計用裏蓋を備えたことを特徴とする。
これにより、第1の板状体と第2の板状体とを接合したときの接合箇所を正確に定めることができ、かつ、簡単な方法で両板状体が確実に接合された時計用裏蓋を備えた時計を提供することができる。
<第1実施形態>
図1は、本発明の時計用裏蓋(第1実施形態)を備えた腕時計の概略斜視図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図2中の二点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大詳細図、図4は、図1に示す時計用裏蓋(装飾品)の分解斜視図、図6〜図9は、それぞれ、本発明の装飾品が有する粘着体おける他の形状を示した平面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図4(図5も同様)の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。
図1(図2)に示すように、外装部2は、胴部23と、ガラス板(カバーガラス)21と、ガラス板21を保持するベゼル22と、胴部23の裏側に設置される時計用裏蓋(装飾品)5(以下、単に「裏蓋」という)とを有している。
胴23とベゼル22とは、互いにプラスチックパッキン28により固定され、ベゼル22とガラス板21とは、互いにプラスチックパッキン29により固定されている。
また、胴23に対し裏蓋5が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)50には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)40が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部50が液密に封止され、防水機能が得られる(図2、図3参照)。
図4に示すように、外板6は、その全体が実質的に透明なものである。ここで、「実質的に透明」とは、可視光の透過度が85%以上程度の透明性を有するものをいう。また、「実質的に透明」には、無色透明の他、有色(着色)透明も含まれる。
また、この外板6は、その形状が円板状をなしている。
また、前記プラスチックの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような構成の外板6により、例えば、ムーブメント3、後述する装飾部9および内板装飾部10を外板6を通して視認することができる。また、時計1の審美性(美的外観)が得られる。
図3に示すように、段差部82の下面821には、外板6の上面(内面)61の縁部611が当接している。また、下面821の下側には、圧縮状態のリング状のプラスチックパッキン51が設けられ、このプラスチックパッキン51を介して外板6が保持枠8に固定されている。これにより、保持枠8と外板6との隙間が液密に封止され、防水機能が得られる。
また、保持枠8の下面83と段差部82の下面821との距離(図3中のh1で示す長さ)は、外板6の厚さ(図3中のt1で示す長さ)とほぼ同等またはそれより若干小さいのが好ましい。
また、内板7は、大きさ(外径)が外板6とほぼ同等である。これにより、外板6と内板7とで囲まれた空間53の大きさを大きくすることができ、よって、空間53内に装飾部9を設けるのが容易となる。
また、この内板7は、その形状が円板状をなしている。
また、内板7は、粘着体11を介して外板6に接合(固定)されている。これにより、その固定状態で裏蓋5を組み立てることができるため、空間52内(裏蓋5)に内板7を簡単に設置することができる。
なお、この内板7の好ましい構成材料としては、例えば、外板6で挙げたのと同様の材料を用いることができる。
また、内板7の外径は、段差部82の内周面822の内径より若干小さいのが好ましい。これにより、内板7を空間52内により確実に設置することができる。
また、外板6と内板7との間隙(空間53)の距離(高さ)は、特に限定されないが、2t1以下であるのが好ましく、t1/3以下であるのがより好ましい。これにより、外板6の下面62から内板7の上面72までの厚さ(装飾品の総厚)が必要最小限の厚さで済み、時計1(外装部2)の大きさや重量を小さくすることができる。
また、総厚t2が厚さh2より大きい(厚さh2を越える)場合でも、厚さh2を越えた分の厚さ(高さ(図3中のh3で示す長さ))は、h2/5以下であるのが好ましく、h2/10以下であるのがより好ましい。これにより、高さ(厚さ)h3を規制することができ、よって、ムーブメント3の設置を妨げるのを防止することができる。
また、粘着体11の好ましい構成材料としては、例えば、両面粘着テープ(以下、単に「両面テープ」という)が挙げられる。両面テープは、入手が容易であり、安価であるため、裏蓋(装飾品)5を製造するに際し有効である。また、両面テープは、その形状を任意の形状に容易に設定することができる。
以上述べたように、本発明では、かかる従来の問題点が解消される。
図4に示すように、第1の印刷部91は、上面61の縁部611に沿って、周方向に印刷を施すことにより構成されている。この第1の印刷部91における印刷内容は、外板6(上面61)と同心的に印刷された(設けられた)円形の第1の円911と、第1の円911と同心的に印刷され、第1の円911より大径の第2の円912と、第2の円912の外周に沿って印刷された文字群913(例えば、アルファベット、数字またはそれらの組み合わせ等)とである。
また、この第2の印刷部92は、第1の印刷部91の裏打ちとして機能している。なお、ここで、裏打ちとは、第1の印刷部91の印刷内容が鮮明に視認されるように作用することである。この裏打ちの具体的な方法としては、例えば、第1の印刷部91が銀色のインクで印刷されている場合には、第2の印刷部92を黒色のインクで印刷するという方法が挙げられる。これにより、第1の印刷部91の印刷内容が鮮明に視認される。
このような構成の装飾部9により、時計1の審美性を高めることができる。
また、文字群913が表示する表示内容としては、特に限定されないが、例えば、時計1を製造した製造元の名称(例えば、メーカ名、ブランド名)、時計1の製造番号、時計1の仕様(例えば、防水性を有しているか否か)等が挙げられる。
図4に示すように、シート状体101は、文字(本実施形態では、アルファベットの「A」)をかたどったものであり、内板7の下面71に付着して(設けられて)いる。
また、このシート状体101の構成材料としては、特に限定されないが、たとえば、各種金属材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。
また、このシート状体101の形成方法(成形方法)としては、特に限定されないが、例えば、打抜き、電鋳、切り抜き、成形型などが挙げられる。
内板印刷部103は、蒸着部102のほぼ全部を覆うように、蒸着部102に重なって設けられて(印刷されて)いる(図3、図4参照)。
このような構成の内板装飾部10により、シート状体101を立体的に視認することができる、すなわち、シート状体101が空間52内で浮いたように視認することができる。また、これにより、時計1の審美性をより高めることができる。
なお、ムーブメント3(時計1)は、機械式であるのに限定されず、クオーツであってもよい。
図5は、本発明の時計用裏蓋(第2実施形態)の分解斜視図である。
以下、この図を参照して本発明の時計用裏蓋の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、内板の形態および内板装飾部の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図5に示す内板装飾部10Aは、シート状体101で構成されている。このシート状体101は、内板7Aの下面71に付着して(設けられて)いる。
内板7Aが不透明、すなわち、外板6のみが透明である場合は、内板7Aの下面71または下面71に付された内板装飾部10A(シート状体101)を視認することができる。
また、ムーブメント(腕時計)は、機械式でもクオーツでもどちらでもよいが、機械式の場合には、外板および内板が透明であるため、スケルトンとしての機能を発揮させることができる。
また、透明な外板は、その内面または外面が図示のように平面であるのに限定されず、例えば、湾曲凹面または湾曲凸面であってもよい。これにより、外板にレンズとしての機能を持たせることができる。
外板の全面または一部にレンズの機能を持たせた場合には、レンズにより視認される箇所(例えば、シート状体)を強調(見易く)することができる。
また、粘着体は、外板と内板とを接合する機能(粘着性)を有するのに限定されず、例えば、粘着体に装飾(例えば、着色)を施して、装飾性も有するよう構成されていてもよい。
また、外板と内板との接合では、両面粘着テープを用いるのに限定されず、例えば、接着剤を用いてもよい。
また、第1の印刷部における印刷内容は、文字、図形であるのに限定されず、例えば、記号であってもよい。
また、シート状体は、文字をかたどったものであるのに限定されず、例えば、記号、図形であってもよい。
また、蒸着部は、内板の内面に設けられているのに限定されず、内板の外面に設けられていてもよいし、内板の両面にそれぞれ設けられていてもよい。
Claims (12)
- 使用状態で外側に位置し、全体が実質的に透明な第1の板状体と、
使用状態で前記第1の板状体よりも内側に該第1の板状体とほぼ平行に設置され、大きさが前記第1の板状体とほぼ同等である、全体が実質的に透明な第2の板状体と、
前記第1の板状体と前記第2の板状体との縁部付近の間に介挿され、前記両板状体を接合する粘着性を有し、シート状をなす粘着体と、
前記第1の板状体と前記第2の板状体との間に設けられ、前記第1の板状体を介して視認される装飾部と、
前記第2の板状体に付され、前記第1の板状体を介して視認される内板装飾部とを備え、
前記装飾部は、前記第1の板状体の内面に、その縁部に沿って周方向に印刷された第1の印刷部と、前記第1の印刷部の全部を覆うようにリング状をなし、前記第1の印刷部に重なって印刷され、該第1の印刷部の裏打ちとして機能する第2の印刷部とで構成され、
前記内板装飾部は、前記第2の板状体の外面の中央部に付着して設けられ、文字、記号または図形をかたどったシート状体と、前記第2の板状体の内面全体に蒸着を施してなる蒸着部と、前記蒸着部の全部を覆うように該蒸着部に重なって印刷され、前記蒸着部の裏打ちとして機能する内板印刷部とで構成され、
前記粘着体は、前記第1の板状体の縁部に沿ってリング状に配置されており、その周方向の一部が欠損した欠損部を有し、当該粘着体を前記第1の板状体側から見たとき前記第2の印刷部で覆い隠されていることを特徴とする装飾品。 - 前記粘着体は、前記シート状体を囲っており、
前記粘着体の厚さは、前記シート状体の厚さより厚い請求項1に記載の装飾品。 - 前記第1の印刷部は、前記第1の板状体と同心的に印刷された円形の第1の円と、該第1の円と同心的に印刷され、前記第1の円より大径の第2の円と、該第2の円の外周に沿って印刷された文字群とで構成されている請求項1または2に記載の装飾品。
- 前記第1の印刷部の色は銀色であり、前記第2の印刷部の色は黒色である請求項1ないし3のいずれかに記載の装飾品。
- 前記蒸着部は、模様である請求項1ないし4のいずれかに記載の装飾品。
- 前記蒸着部の色は銀色であり、前記内板印刷部の色は黒色である請求項1ないし5のいずれかに記載の装飾品。
- 前記第1の板状体および/または前記第2の板状体は、主として、ガラスまたはプラスチックで構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の装飾品。
- 前記粘着体は、両面粘着テープで構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の装飾品。
- 前記第1の板状体と前記第2の板状体との間隙距離は、前記第1の板状体または前記第2の板状体の厚さの2倍以下である請求項1ないし8のいずれかに記載の装飾品。
- 前記第1の板状体は、レンズとしての機能を有し、
前記第1の板状体を介して前記装飾部および前記内板装飾部が拡大して視認される請求項1ないし9のいずれかに記載の装飾品。 - 請求項1ないし10のいずれかに記載の装飾品を備えたことを特徴とする時計用裏蓋。
- 請求項11に記載の時計用裏蓋を備えたことを特徴とする時計。
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