通常、CCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子で撮像した静止画像や動画像を撮像装置において表示したり、記録したりする際に、撮像信号の明るさの基準として、撮像素子の光学的黒(オプティカルブラック、以降「OB」と呼ぶ)レベルが利用される。OBレベルとは、撮像素子の受光画素部の中で遮光されて、出力レベルが入射光に依存しない画素部分から出力される信号レベルを指す。
このOBレベルを撮像信号の黒基準とする直流分再生(クランプ)回路であって、ビデオカメラ等で一般的によく利用されるフィードバッククランプ方式を適用した従来のクランプ回路の構成例を図10に示し、該従来のクランプ回路の主要部における信号の波形を図11に示す(例えば、特許文献1参照)。これらの図を参照して、従来のクランプ回路の動作について簡単に説明する。
図10において、CCDなどで構成される固体撮像素子801から出力された撮像信号が、CDS(相関2重サンプリング)回路802に入力されてリセットノイズが除去された後に、オフセット加算回路803に入力されて所定のオフセット電圧が加算されて、そのオフセット加算出力が可変増幅器(PGA)804に入力される。
なお、CDS回路802は、端子806より入力された所定の基準電圧VREFを撮像信号のフィードスルー部の基準とするようにし、同様に、可変増幅器804は、該所定の基準電圧VREFを撮像信号の直流増幅の基準とするようにしている。
可変増幅器804は、撮像素子801の出力感度ばらつきを補正したり、撮像装置の感度設定を切り換えたりするためのゲイン可変手段であるが、以降、撮像装置のクランプ動作を簡略かつ明確に説明するために、ゲイン1倍として簡易的に扱うものとする。
可変増幅器804からの増幅出力信号は、一方が、端子808を介して不図示の画像処理・記録・表示回路に入力されるとともに、他方が、サンプルホールド回路(S/H)807に入力され、端子809より入力された、OB画素の読み出しタイミングに同期するOBクランプパルスによってOBレベルがサンプルホールドされ、これが積分アンプ805に入力される。
積分アンプ805では、コンデンサ805b、抵抗805cにより所定の積分時定数が形成され、オペアンプ805aにおいて、上記サンプルホールドされたOBレベルと、端子806より入力される所定の基準電圧VREFとの差分電圧(クランプ誤差電圧)が、上記積分時定数にて積分され、その積分値(電圧VREFからのずれ量)がオフセット加算回路803に入力されて減算が行なわれる。オフセット加算回路803、可変増幅器804、サンプルホールド回路807、および積分アンプ805によって閉ループが構成され、ネガティブフィードバック制御が行われる。
図11において(A)はCDS回路802の出力信号の波形を、(B)は積分アンプ805の出力信号の波形を、(C)は可変増幅器804の出力信号の波形を、(D)はOBクランプパルスを示す。
図11は、可変増幅器804の出力信号のOBレベルが所定の基準電圧VREFにクランプされて収束する様子と、そのときの各部の動作波形を示している。
CDS回路802の出力信号波形(A)は、撮像素子801から読み出された1水平ライン毎に、所定期間のOB画素出力を持っており、この所定期間の一部においてOB画素出力をサンプルホールドするためのタイミング信号がOBクランプパルス(D)である。
CDS回路802の出力信号波形(A)のうちOB画素出力部分は、CDS回路802の働きにより、所定の基準電圧VREFに比較的近い直流電圧を保っているが、実際には、撮像素子801のフィードスルー成分と信号成分との差成分(CCDオフセット)および撮像素子801の温度に依存する暗電流成分が重畳されてオフセット誤差を有している。このオフセット誤差は、通常、数ミリボルト〜数10ミリボルトである。
このオフセット誤差は、撮像素子ごとにばらつき、また、撮像素子の温度により変動する。そして、このオフセット誤差が可変増幅器804によって増幅されて最終的に、撮像信号の黒レベル変動VERRとして可変増幅器804から出力される。
黒レベル変動VERRは、サンプルホールド回路807および積分アンプ805によって、所定の基準電圧VREFとの差分として検出され積分されて、図11(B)に示す積分アンプ805の出力信号ΔVERRとしてオフセット加算回路803に出力され、オフセット加算回路803においてCDS回路802の出力信号波形(A)より減算される。
OBクランプパルス(D)の出力毎に、上記の処理が繰り返されることにより、積分アンプ805の出力信号ΔVERRは、図11(B)に示すように黒レベル変動VERRへと収束し、可変増幅器804の出力信号のうちのOB画素出力部が、図11(C)に示すように所定の基準電圧VREFへと収束する。
ところで、このようなフィードバック方式のOBクランプ回路では、黒レベル変動VERRを積分して負帰還する場合の積分の時定数が非常に重要である。
この積分の時定数が小さいと、水平ライン毎の出力OBレベルの所定基準電圧VREFへの追従応答性が速くなる反面、クランプ動作毎の変動量(変動頻度)もその分多くなり、撮像装置によって得られた撮像信号による映像画面において横スジ上のノイズを発生し易くなる。
したがって、この横スジ状のノイズを画質上問題にならない程度に抑えるために、この積分の時定数を、所定の大きさ(例えば数10ミリ秒〜数100ミリ秒)に設定する必要がある。
このような従来のフィードバック方式のOBクランプ回路においては、OBレベルの変動の主要因として、撮像素子801のCCDオフセットおよび暗電流成分によるオフセット誤差が想定されており、このオフセット誤差成分を補正することを主眼に設計がなされている。
本来、このオフセット誤差成分は、撮像信号のフルレンジ(〜1ボルト)に対して、その10分の1以下(数ミリボルト〜数10ミリボルト)であり、あまり大きなものではない。
ところで、CCDなどの固体撮像素子801に直射日光などの強い光が入射されると、光電変換部で電荷のオーバーフロー、所謂、ブルーミングとよばれる現象が発生する。ブルーミングが発生すると、本来は遮光されていて入射光の光量に依存しないOB画素部にも、転送・読み出し時にCCDの転送部を介して、オーバーフローした電荷が流入して蓄積される場合がある。
この場合のOBレベルは、上記オフセット誤差成分とは異なってしまい、正確な黒基準になり得ないばかりか、激しいブルーミングが発生した場合には、撮像信号のフルレンジのレベル(CCD飽和レベルVSAT)にまで及ぶ。
図12は、激しいブルーミング発生時のクランプ動作を説明するための図であり、従来のクランプ回路各部の動作波形を示すタイミングチャートである。
CDS回路802の出力信号波形(A)のうちOB画素出力部分は、ブルーミングの発生にともない急速にCCD飽和レベルVSATに達する。それに対して、可変増幅器804の出力信号の波形(C)のうちOB画素出力部分は、積分アンプ805で設定された比較的大きな時定数による応答時間(数10ミリ秒から数100ミリ秒)で、CCD飽和レベルVSATまで上昇した誤ったOBレベルに対して、ゆるやかに所定基準電圧VREFまで引き下げられる。
ブルーミングが解消して撮像素子801のOB画素出力が本来の正常レベルに戻った後にも、それに対応して可変増幅器804の出力信号の波形(C)のうちOB画素出力部分は、ただちに、所定基準電圧VREFに引き上げられるわけではないので、ちょうどこの間に、撮像装置が記録動作に移行した場合には、記録画像に黒沈みを生じてしまうという大きな問題があった。
図13は、ブルーミングに伴う記録画像の黒沈みの発生過程を示す図である。
通常、デジタルスチルカメラなどの撮像記録装置では、電子ファインダとして、液晶表示器に撮像素子からの動画出力を表示するようになっている。電子ファインダに動画を表示するために、数100万画素の撮像素子から全画素を読み出し、所定のフレームレート(秒あたりの表示コマ数)で転送することは現実的ではないので、実際には、読み出し画素数を、ライン間引きまたはライン加算などの方法でファインダ表示に適したライン数の信号に変換し、これにより、所定のフレームレートでの転送を可能にして、電子ファインダに動画を表示できるようにしている。このような、読み出し画素数を減らして、ファインダ表示に適した信号への変換を行う動作モードを、以下では「ファインダ駆動モード」と呼ぶ。
図13に示す期間Tfはファインダ動作期間であり、このファインダ動作期間Tfにおいて、撮像素子801はファインダ駆動モードで動作される。図13(E)に示す期間Tfcは、撮像素子801がファインダ駆動モードで動作されているときに、撮像素子801が1画面を出力する期間である。ファインダ動作期間Tfでは、図13(C)に示すように、メカニカルシャッタは開いた状態に保持されている。
撮像素子801からファインダ駆動モード時に出力された撮像信号は、CDS回路802(図13(F))、可変増幅器804(図13(G))を介するとともに、不図示のAD変換器、画像処理回路を経て映像信号として液晶表示器(液晶ファインダ)に送られ、液晶表示器で表示が行われる。
ファインダ駆動モード時における露出制御は、メカニカル絞りの絞り値と、撮像素子801の電子シャッタにおけるシャッタ秒時とを変えることでなされる。撮像素子801の電子シャッタは、撮像素子801内部のフォトダイオードの深さ方向に設けられるポテンシャルバリアの開閉によって構成される。
図13(D)に示すΦVsubパルスは電子シャッタのためのパルスであり、ΦVsubパルスが高レベルになると、フォトダイオードに蓄積された信号電荷が撮像素子801の深さ方向に、すなわち撮像素子801が搭載された基板(サブストレート)方向に吐き出される。したがって、ファインダ駆動モード時におけるシャッタ秒時は、ΦVsubパルスが低レベルになった時点から、フォトダイオードからVCCD(垂直ライン転送用CCD)に電荷が読み出される時点(期間Tfcの開始時点)までの時間Tfeとなる。
カメラ使用者は、電子ファインダに表示された画像から撮りたい被写体の枠取りを決めるとシャッタボタンを押す。通常、このシャッタボタンは、深さ方向に2段のスイッチになっており、半押し状態でオンとなるスイッチSW1(図13(A))と、最後まで押したところでオンとなるスイッチSW2(図13(B))とから構成される。スイッチSW1がオンとなると、ピントの追込み(自動焦点調節)が行われるとともに本露光時のシャッタ秒時及び絞り値が決められる。露光条件は、スイッチSW1がオンされた時点でファインダ駆動モードでの撮像素子801の出力から判断される。スイッチSW2がオンとなると本露光撮影が行われるが、そのときの露光条件は、スイッチSW1オン時点で決定された絞り値及びシャッタ秒時で決定され、絞り値に応じてメカニカル絞りの絞り開口径を決定し、またシャッタ秒時に応じて、撮像素子801のΦVsubパルス(電子シャッタパルス)の高レベル開始時点から、メカニカルシャッタ閉(図13(C))の開始時点までの時間Tseを決定する。
メカニカルシャッタ閉後にフォトダイオードに蓄積された電荷は、画素毎にそれぞれ別々に(加算されることなく)、全画素に亘って読み出される。この動作モードを「本露光読み出しモード」と呼ぶ。
本露光読み出しモードで駆動されて撮像素子801から出力された撮像信号は、CDS回路802(図13(F))、可変増幅器804(図13(G))を介するとともに、不図示のAD変換器、画像処理回路を経て映像信号として記録媒体に記録される。また、記録媒体に記録された映像信号を基にして、電子ファインダの液晶表示器に適した画像サイズにリサイズした画像を別途生成し、この画像をあらかじめ決められた撮影画像表示時間だけファインダ表示する。本露光の開始から撮影画像の記録・表示までの期間Tsが、本露光読み出し動作期間である。
所定の撮影画像表示時間が終了すると、メカニカルシャッタを開き、ファインダ動作期間Tfとして再びファインダ駆動モードに戻り、カメラの使用者は、次の被写体を選ぶことができる。
ここで、ファインダ駆動モード時に、直射日光などの強い光が入射されてOB画素部にブルーミングが発生した場合、前述したようにクランプ変動による黒沈みが発生するが、この状態で、シャッタボタンを押したとする。
前述したように、シャッタボタンの半押し(SW1オン)によって、測光が行われ、本露光時のシャッタ秒時、絞り値が決定される。そして、電子シャッタでフォトダイオードの電荷がリセットされて、シャッタ秒時の経過後にメカニカルシャッタが閉じられる。
メカニカルシャッタが閉じられると、通常、本露光読み出しモードの動作となって、まずフォトダイオードからの信号電荷読み出しの前に、撮像素子801の転送部で、VCCD(垂直ライン転送用CCD)の不要電荷の吐き出しのために、VCCDに対して高速で転送段数分以上の転送(VCCDクリア)が行われる。VCCDクリア後にフォトダイオードの信号電荷がVCCDに読み出され、順次各画素の電荷が読み出される。
このように、ファインダ駆動モード時とは異なり、本露光読み出しモード時には、メカニカルシャッタを閉じることで、スミアやブルーミングの要因となる強い光の遮断を行いながら転送部の不要電荷を一掃できるため、スミアやOBブルーミングの発生を回避できる。
特開2002−218298号公報
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
図1において、撮影レンズ310に入射した光線は、絞り312、シャッタ12を介して撮像部14に導かれ、光学像として撮像部14上に結像される。撮像部14は、光学像を電気信号に変換する。
A/D変換部16は、撮像部14から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
タイミング発生回路18は、撮像部14、A/D変換部16、D/A変換部26にクロック信号や制御信号を供給する回路であり、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
画像処理回路20は、A/D変換部16からのデータ或いはメモリ制御回路22から送られたデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。
また、画像処理回路20では、必要に応じて、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御回路50がシャッタ制御部40、測距部42に対して制御を行う。すなわち、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュ調光)処理を行う。
さらに、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行う。
なお、本実施の形態においては、測距部42及び測光部46を専用に備える構成としたため、測距部42及び測光部46を用いてAF処理、AE処理、EF処理の各処理を行い、上記画像処理回路20を用いたAF処理、AE処理の各処理を行わない構成としたが、測距部42及び測光部46を用いてAF処理、AE処理、EF処理の各処理を行い、さらに、上記画像処理回路20を用いたAF処理、AE処理の各処理を行う構成としてもよい。
メモリ制御回路22は、A/D変換部16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換部26、メモリ30、圧縮・伸長回路32を制御する。
A/D変換部16のデータが、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、または直接メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24またメモリ30に書き込まれる。
画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データは、D/A変換部26を介して、TFT、LCD等から成る画像表示部28に送られ、画像表示部28で表示される。
画像表示部28を用いて、撮像した画像データを逐次表示することで、電子ファインダ機能を実現することが可能である。
また、画像表示部28は、システム制御回路50の指示に従って表示をON/OFF(実行/非実行)することが可能であり、表示をOFFにした場合には撮像装置の電力消費を大幅に低減することができる。
メモリ30は、撮影した静止画像や動画像のデータを格納するためのメモリであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶量を備えている。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連射撮影やパノラマ撮影の場合にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ30に対して行うことが可能となる。
また、メモリ30はシステム制御回路50の作業領域としても使用することが可能である。
圧縮・伸長回路32は、適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸長する回路であり、メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータをメモリ30に書き込む。
シャッタ制御部40は、測光部46からの測光情報に基づいて、絞り312を制御する絞り制御部340と連携しながら、シャッタ12の動作を制御する。
測距部42は、AF(オートフォーカス)処理を行う際に必要な合焦状態検出部であり、撮影レンズ310に入射した光線を、絞り312、不図示の測距用サブミラーを介して、測距部42に入射させることにより、光学像として結像された画像の合焦状態を測定する。
測光部46は、AE(自動露出)処理を行うために必要な露出状態測定部であり、撮影レンズ310に入射した光線を、絞り312、不図示の測光用レンズを介して、測光部46に入射させることにより、光学像として結像された画像の露出状態を測定する。
なお、撮像部14から出力された画像データを画像処理回路20が演算した演算結果に基づき、システム制御回路50が、シャッタ制御部40、絞り制御部340、測距制御部342に対して、ビデオTTL方式を用いて露出制御及びAF制御をすることも可能である。
さらに、測距部42による測定結果と、撮像部14から出力された画像データを画像処理回路20が演算した演算結果とを共に用いてAF制御を行うようにしてもよい。また、測光部46による測定結果と、撮像部14から出力された画像データを画像処理回路20が演算した演算結果とを共に用いて露出制御を行うようにしてもよい。
システム制御回路50は撮像装置全体を制御する。メモリ52は、システム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。
表示部54は、システム制御回路50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等を表示する。表示部54は、例えばLCD、LED、発音素子等の組み合わせにより構成され、撮像装置の操作部70近辺の視認し易い位置に単数或いは複数個所設置される。
表示部54に表示される内容としては、例えば、シングルショット/連写撮影表示、セルフタイマ表示、圧縮率表示、記録画素数表示、記録枚数表示、残撮影可能枚数表示、シャッタスピード表示、絞り値表示、露出補正表示、赤目緩和表示、マクロ撮影表示、ブザー設定表示、時計用電池残量表示、電池残量表示、エラー表示、複数桁の数字による情報表示、記録媒体200及び210の着脱状態表示、撮影レンズ310の着脱状態表示、通信I/F動作表示、日付・時刻表示、外部コンピュータとの接続状態を示す表示、合焦表示、撮影準備完了表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、フラッシュ充電完了表示、シャッタスピード表示、絞り値表示、露出補正表示、記録媒体書き込み動作表示等がある。
不揮発性メモリ56は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。
シャッタスイッチ(SW1,SW2)62,64、再生スイッチ66及び操作部70は、システム制御回路50へ各種の動作指示を入力するための操作手段であり、スイッチやダイアル、タッチパネル、視線検知によるポインティング、音声認識装置等の単数或いは複数の組み合わせで構成される。
ここで、これらの操作手段の具体的な説明を行う。
シャッタスイッチ(SW1)62は、不図示のシャッタボタンの半押しでONとなるスイッチであり、このONで、AF処理、AE処理、AWB処理、EF処理等の動作が開始される。
シャッタスイッチ(SW2)64は、不図示のシャッタボタンの全押しでONとなるスイッチであり、このONで、撮像部12から読み出した画像データをA/D変換部16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に書き込む露光処理、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理、メモリ30から画像データを読み出し、圧縮・伸長回路32で圧縮を行い、記録媒体200或いは210に書き込む記録処理といった一連の処理の動作が開始される。
再生スイッチ66がONされると、撮影モード時において、画像データをメモリ30、記録媒体200または記録媒体210から読み出して画像表示部28に表示させる再生処理の動作が開始される。
操作部70は、各種ボタンやタッチパネル等からなり、メニューボタン、セットボタン、マクロボタン、マルチ画面再生改ページボタン、フラッシュ設定ボタン、単写/連写/セルフタイマ切り替えボタン、メニュ移動+(プラス)ボタン、メニュー移動−(マイナス)ボタン、再生画像移動+(プラス)ボタン、再生画像−(マイナス)ボタン、撮影画質選択ボタン、露出補正ボタン、日付/時間設定ボタン、パノラマモード等の撮影及び再生を実行する際に各種機能の選択及び切り替えを設定する選択/切り替えボタン、パノラマモード等の撮影及び再生を実行する際に各種機能の決定及び実行を設定する決定/実行ボタン、画像表示部28のON/OFFを設定する画像表示ON/OFFスイッチ、撮影直後に画像データを自動再生するクイックレビュー機能を設定するクイックレビューON/OFFスイッチ、JPEG圧縮の圧縮率を選択するため或いは撮像部の信号をそのままデジタル化して記録媒体に記録するCCDRAWモードを選択するためのスイッチである圧縮モードスイッチ、再生モード、マルチ画面再生・消去モード、PC接続モード等の各機能モードを設定するための再生スイッチ、シャッタスイッチSW1を押したならばオートフォーカス動作を開始し一旦合焦したならばその合焦状態を保ち続けるワンショットAFモードとシャッタスイッチSW1を押している間は連続してオートフォーカス動作を続けるサーボAFモードとを設定するためのAFモード設定スイッチ等を含む。
また、上記プラスボタン及びマイナスボタンの各機能を、回転ダイアルスイッチを備えることによって、より軽快に数値や機能を選択することができるようにしてもよい。
電源スイッチ72は、撮像装置の電源オン、電源オフの各モードを切り替え設定するためのスイッチである。また、撮像装置に接続された撮影レンズ310、外部ストロボ、記録媒体200、210等の各種付属装置の電源オン、電源オフの設定も合わせて切り替え設定することができる。
リアルタイムクロック回路74は経過時間を計測し、システム制御回路50はこの経過時間に基づいて各種のタイマー機能を実現している。
電源制御部80は、電池検出回路、DC−DCコンバータ、給電されるべき対象ブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されており、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体を含む各部へ供給する。
電源部86は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる電源部であり、コネクタ82,84を介して電源制御部80に接続される。
メモリカードやハードディスク等の記録媒体200,210は、コネクタ92,96及びインタフェース(I/F)90,94をそれぞれ介して撮像装置に接続される。記録媒体着脱検知部98は、コネクタ92,96に記録媒体200,210が装着されているか否かを検知する。
通信部110は、RS232C、USB、IEEE1394、P1284、SCSI、モデム、LAN、無線通信等の各種通信機能を有する。
コネクタ112は、通信部110を介して撮像装置を他の機器と接続するためのコネクタであり、また通信部110が無線通信を行う場合はアンテナとなる。
インタフェース120は、撮像装置を撮影レンズ310と接続するためのインタフェース部である。
記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202、撮像装置とのインタフェース204、撮像装置と接続を行うコネクタ206を備えている。
記録媒体210は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部212、撮像装置とのインタフェース214、撮像装置と接続を行うコネクタ216を備えている。
絞り制御部340は、測光部46からの測光情報に基づいて、シャッタ12を制御するシャッタ制御部40と連携しながら、絞り312の動作を制御する。
測距制御部342は、撮影レンズ310のフォーカシングを制御する。ズーム制御部344は、撮影レンズ310のズーミングを制御する。
レンズ制御部350は、撮影レンズ310全体を制御するとともに、動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリの機能や、撮影レンズ310固有の番号等の識別情報、管理情報、開放絞り値や最小絞り値、焦点距離等の機能情報、現在や過去の各設定値などを保持する不揮発メモリの機能も備えている。
図2及び図3は、図1に示す撮像装置で行なわれる撮影処理の基本的な手順を示すフローチャートである。図2及び図3を参照して、撮像装置で行なわれる各種処理の中の撮影に係る処理を以下に説明する。
電池交換等の電源投入により、システム制御回路50はフラグや制御変数等を初期化し、撮像装置の各部において必要な所定の初期設定を行う(S201)。
システム制御回路50は、電源スイッチ72の設定位置を判断し(S202)、電源スイッチ72が電源OFFに設定されていたならば、ステップS203に進んで、各表示部の表示を終了状態に変更し、フラグや制御変数等を含む必要なパラメータや設定値、設定モードを不揮発性メモリ56に記録し、電源制御部80により画像表示部28を含む撮像装置各部の不要な電源を遮断する等の所定の終了処理を行い、その後にステップS202に戻る。
ステップS202で、電源スイッチ72が電源ONに設定されていると判断されたならば、ステップS204へ進んで、システム制御回路50は電源制御部80を用いて、電池等により構成される電源部86の残容量や動作情況が撮像装置の動作に問題がない状態にあるか否かを判断する。その結果、問題があるならばステップS205へ進んで、表示部54を用いて画像や音声により所定の警告表示を行い、その後にステップS202に戻る。
ステップS204で、電源部86に問題が無いと判断されたならばステップS206に進んで、システム制御回路50が、記録媒体200,210が装着されているか否かの判断、記録媒体200,210に記録された画像データの管理情報の取得、そして、記録媒体200,210の動作状態が撮像装置の動作、特に記録媒体に対する画像データの記録再生動作に問題がないか否かの判断を行う。記録媒体200,210が装着されていなかったり、それらに問題があるならばステップS205へ進んで、表示部54を用いて画像や音声により所定の警告表示を行い、ステップS202に戻る。
一方、ステップS206で、記録媒体200または記録210が装着されていて、それに記録された画像データの管理情報が取得でき、そして、それの動作状態に問題が無いと判断されたならば、ステップS207へ進んで、電子ファインダ駆動モードに移行する。電子ファインダ駆動モードにおいては、システム制御回路50が、シャッタ12を開いた状態で、タイミング発生回路18を介して撮像素子14に対してファインダ駆動モードの駆動を行い、ライン間引きあるいはライン加算などの方法で撮像素子14から読み出しを行い、ファインダ表示に適したライン数に減らした映像信号を取得して、ファインダ動画として必要なフレームレートを確保する。そして、撮像部14から読み出した映像信号をA/D変換部16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に書き込む露光処理、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理、メモリ30から画像データを読み出し、画像表示部28を用いて画像データをファインダ画像として逐次表示する表示処理を開始する。
つぎにステップS208で、シャッタスイッチ(SW1)62がオンになっているか否かを判断し、オンになっていないならばステップS202に戻る。オンになっていればステップS209に進んで、システム制御回路50が、ファインダ駆動モード時に撮像部14から読み出された映像信号に対してOB異常検出を行う。このOB異常検出については、図4及び図5を参照して詳しく後述する。
ステップS209でOB異常検出により異常と判断されたならば、ステップS211へ進んで、OB異常フラグをオンにし、一方、OB異常検出により正常と判断されたならば、ステップS210へ進んで、OB異常フラグをオフにし、その後、ステップS212に進む。
ステップS212では、測距処理を行って、撮影レンズ310の焦点を被写体に合わせ、また測光処理を行って、絞り値(Av値)及びシャッタ時間(Tv値)を決定する。この測距処理及び測光処理においては、システム制御回路50と絞り制御部340或いは測距制御部342との間で、インタフェース120、レンズ制御部350を介して、各種信号のやり取りが行われる。
システム制御回路50は、撮像部14、測距部42及び測距制御部342を用いて、AF(オートフォーカス)処理を開始する。
システム制御回路50は、測距部42を用いて合焦状態を検出するAF制御を実行する。すなわち、撮影レンズ310に入射した光線が、絞り312、不図示の測距用サブミラーを介して測距部42に入射されることにより光学像として結像された画像の合焦状態を判断し、合焦と判断されるまで、測距制御部342を用いて撮影レンズ310を駆動する。
合焦と判断したならば、システム制御回路50は、撮影画面内の複数の測距点の中から合焦した測距点を決定し、決定された測距点を示すデータと共に測距データ及び/または設定パラメータを、システム制御回路50の内部メモリまたはメモリ52に記憶する。
続いて、システム制御回路50は、測光部46を用いて、AE(自動露出)処理を開始する。
システム制御回路50は、撮影レンズ310に入射した光線が、絞り312、不図示の測光用レンズを介して測光部46に入射されることにより光学像として結像された画像の露出状態を測定し、露出(AE)が適正と判断されるまで、測光部46を用いて測光処理を行う。
露出(AE)が適正と判断したならば、システム制御回路50は、測光データ及び/または設定パラメータを、システム制御回路50の内部メモリまたはメモリ52に記憶し、ステップS212の測光処理で検出した露出(AE)結果に応じて、絞り値(Av値)、シャッタ速度(Tv値)を決定する。
そして、ここで決定したシャッタ速度(Tv値)に応じて、システム制御回路50は、撮像部14の電荷蓄積時間を決定し、この電荷蓄積時間と等しい時間で撮影処理及びダーク取り込み処理をそれぞれ行い、ステップS212の測距・測光処理を終了する。
次にステップS213で、シャッタスイッチ(SW2)64がオンになっているか否かを判断し、オンになっていればステップS214に進んで、撮影モード処理を行う。この撮影モード処理については、図7および図8を参照して詳しく後述する。
ステップS213で、シャッタスイッチ(SW2)64がオンになっていないと判断されたならば、ステップS215へ進んで、シャッタスイッチ(SW1)62がオフされるまで、ステップS213の処理を繰り返す。シャッタスイッチ(SW1)62がオフされたならば、ステップS202に戻る。
ステップS214の撮影モード処理が終了したら、ステップS216に進んで記録処理を行い、終了したらステップS202に戻る。
ステップS216の記録処理においては、システム制御回路50が、メモリ30の所定領域へ書き込まれた画像データの一部をメモリ制御回路22を介して読み出して、現像処理を行うために必要なWB(ホワイトバランス)積分演算処理、OB(オプティカルブラック)積分演算処理を行い、演算結果をシステム制御回路50の内部メモリまたはメモリ52に記憶する。
そして、システム制御回路50は、メモリ制御回路22、また必要に応じて画像処理回路20を用いて、メモリ30の所定領域に書き込まれた撮影画像データを読み出して、システム制御回路50の内部メモリまたはメモリ52に記憶した演算結果を用いて、AWB処理、ガンマ変換処理、色変換処理を含む各種現像処理を行う。
そして、システム制御回路50は、メモリ30の所定領域に書き込まれた画像データを読み出して、設定したモードに応じた画像圧縮処理を圧縮・伸長回路32により行い、メモリ30の画像記憶バッファ領域の空き画像部分に、一連の処理を終えた画像データを書き込む。
一連の撮影処理の実行に伴い、システム制御回路50は、メモリ30の画像記憶バッファ領域に記憶した画像データを読み出して、インタフェース90,94、コネクタ92,96を介して、記録媒体200,210へ書き込みを行う記録処理を開始する。
この記録処理は、メモリ30の画像記憶バッファ領域の空き画像部分に、一連の処理を終えた画像データの書き込みが新たに行われる度に、その画像データに対して実行される。
なお、記録媒体200,210へ画像データの書き込みを行っている間、書き込み動作中であることを明示するために、表示部54において、例えばLEDを点滅させる等の表示を行う。また、記録媒体に記録される本画像を画像表示部28に適した画像サイズにリサイズした画像を画像表示メモリ24に別途生成し、これをあらかじめ決められた撮影画像表示時間だけ画像表示部28に画像表示する。
図4は、図1に示す第1の実施の形態に係る撮像装置における撮像部14の構成を示すブロック図である。
被写体の光学像を電気信号に変換するCCD(CCDイメージセンサ)401から出力される撮像信号が、CDS(相関2重サンプリング)回路402に入力されてリセットノイズが除去され、その後に、オフセット加算回路403に入力されて所定のオフセット電圧が加算され、そのオフセット加算出力信号が可変増幅器(PGA)404に入力される。
CDS回路402は、端子408より入力された所定の基準電圧VREFを撮像信号のフィードスルー部の基準とするCDS回路であり、また、可変増幅器404は、所定基準電圧VREFを撮像信号の直流増幅の基準とする直流増幅器である。
可変増幅器404は、CCD401の出力感度ばらつきを補正したり、撮像装置の感度設定を切り換えたりするためのゲイン可変部であるが、以降、本実施の形態においては、撮像装置のクランプ動作を簡略かつ明確に説明するために、ゲイン1倍として簡易的に扱うものとする。
可変増幅器404からの増幅出力信号は、端子426を介して不図示の画像処理・記録・表示回路に出力されるとともに、サンプルホールド回路(S/H)417に入力され、サンプルホールド回路417では、端子423より入力されたOB画素の読み出しタイミングに同期するOBパルスCPOBによって、可変増幅器404からの増幅出力信号の中のOBレベルがサンプルホールドされ、このOBレベルが積分アンプ406に送られる。
積分アンプ406では、コンデンサ406b及び抵抗406cにより所定の積分時定数が形成され、オペアンプ406aが、サンプルホールド回路417でサンプルホールドされたOBレベルと、端子408より入力される所定の基準電圧VREFとの差分電圧(クランプ誤差電圧)を上記積分時定数にて積分し、その積分値(所定の基準電圧VREFからのずれ量)を、減算値としてオフセット加算回路403に出力する。オフセット加算回路403、可変増幅器404、サンプルホールド回路417、および積分アンプ406によって閉ループが構成され、フィードバック制御が行われる。
黒レベルの異常検出回路411は、サンプルホールド回路419,420、オフセット加算器421、比較器412,414、および一次積分器(抵抗415、コンデンサ416)により構成される。
サンプルホールド回路420には、可変増幅器404からの増幅出力信号が入力されるとともに、端子424からブランキングタイミングに同期するブランキングパルスCPBLKが入力される。サンプルホールド回路420では、ブランキングパルスCPBLKによって、可変増幅器404からの増幅出力信号の中のブランキングレベルがサンプルホールドされ、このサンプルホールドされたブランキングレベルがオフセット加算器421に出力される。
オフセット加算器421では、入力されたブランキングレベルが、端子425から入力された所定電圧VTHでレベルシフトされ(加算され)、その後に、比較器414の負極に入力される。
サンプルホールド回路419には、サンプルホールド回路417でサンプルホールドされたOBレベルが入力されるとともに、端子424からブランキングパルスCPBLKが入力される。サンプルホールド回路419では、ブランキングパルスCPBLKによって、サンプルホールドされたOBレベルがリサンプリングされ、その後に比較器414の正極に入力される。
比較器414では、サンプルホールド回路419から入力されたOBレベルと、オフセット加算器421から入力された加算ブランキングレベルとの大小比較が行われる。比較器414の出力は、抵抗415、コンデンサ416からなる一次積分器を介して、比較器412の正極に入力される。比較器412の負極には端子413を介して比較電圧VCMPが入力されており、比較器412の出力信号が端子409を介して、最終的に黒レベルの異常検出回路411の検出結果として、撮像装置全体を制御するシステム制御回路50に出力される。
黒レベルの異常検出回路411の検出信号は、ブルーミングが発生していない通常状態において低レベルを為しており、このとき、可変増幅器404からの増幅出力信号の中のOBレベルが所定基準電圧VREFにクランプされて収束する際の過程は、図11に示す従来のクランプ回路における過程と全く同様であるので、ここでは図示しない。
CCD401の出力信号の中のOB画素出力部分は、CDS回路402の働きにより、所定基準電圧VREFに比較的近い直流電圧を保っているが、実際には、CCD401のフィードスルー成分と信号成分との差成分(CCDオフセット)、およびCCD401の温度に依存する暗電流成分が重畳されてオフセット誤差を有している。このオフセット誤差は、通常、数ミリボルト〜数10ミリボルトである。
このオフセット誤差は、CCDごとにばらつき、またCCDの温度により変動する。このオフセット誤差は、可変増幅器404によって増幅されて最終的に、撮像信号の黒レベル変動VERRとして出力される。
黒レベル変動VERRは、サンプルホールド回路417および積分アンプ406によって、所定基準電圧VREFとの差分として検出され、積分されて、積分出力信号としてオフセット加算回路403に出力され、オフセット加算回路403において、CDS回路402の出力信号より積分出力信号が減算されて、CDS回路402の出力信号の所定基準電圧VREFからのずれ量が出力される。
上記の動作は、OBクランプパルスの出力毎に繰り返され、これによって、可変増幅器404の出力信号の中のOB画素出力は、所定基準電圧VREFへと収束する。
次に、図4に示す第1の実施の形態におけるクランプ回路においてブルーミングが発生している場合のクランプ動作について説明する。
図12にも示すように、CDS回路402の出力信号(A)の中のOB画素出力は、ブルーミング現象の発生にともない急速に上昇しCCD飽和レベルVSATに達する。可変増幅器404の出力信号(C)の中のOB画素出力は、最初、CDS回路402の出力信号(A)の中のOB画素出力の上昇に合わせて上昇を開始し、積分アンプ406で設定された時定数による応答時間で、ゆるやかに所定基準電圧VREFまで低下する。
この時のCDS回路402の出力信号、積分アンプ406の出力信号、可変増幅器404の出力信号の各動作波形は、図12に示す従来のクランプ回路の各部の動作波形と全く同様であるので、ここでは図示しない。
図5は、図4に示す黒レベル異常検出回路411の各部における信号波形を示すタイミングチャートである。このタイミングチャートは、CCD401に強い光が入射されてブルーミングが発生し、CCD401からの出力信号レベルが、信号読み出し期間とOB期間の両方に渡って、CCD401の飽和レベルVSATにまで変動した場合の様子を示している。
図5(A)は、可変増幅器404の出力信号の波形を示し、1ライン単位の撮像信号の様子を模式化して示す。1水平ライン毎の信号は、大まかに、ブランキング期間と映像読み出し期間とOB期間とにより構成される。ブランキング期間は、CCD401からの画素の読み出しの行われていない期間である。
可変増幅器404の出力信号では、OB期間の信号レベルが、ブルーミング現象(図5(A)の斜線部)により、本来の黒レベルから、映像読み出し期間の信号レベルと同様に、CCD401の飽和レベルVSATまで急速に上昇する。
CCD401からの信号の読み出しが行われていないブランキング期間においては、ブルーミングの影響は全く生じない。なお、図5(D)に示すように、ブランキングレベルVBLKと、OBレベルVOBのブルーミング現象のない本来の黒レベルに有るときのレベルとの間には、所定の電位差ΔV(=VOB−VBLK)がある。この所定の電位差ΔVは負値である場合もあり得るが、本実施の形態では正値である場合(VBLK<VOB)を説明する。
ブルーミング現象が発生しているときの可変増幅器404の出力信号(図5(A))が、サンプルホールド回路417において、端子423に入力されたOBパルスCPOB(図5(B))によってサンプルホールドされ、その直後に、サンプルホールド回路419において、端子424に入力されたブランキングパルスCPBLK(図5(C))によって再びサンプルホールドされることによって得られるOBレベルVOB(図5(D))は、それまでの本来の黒レベルからCCD401の飽和レベルVSATに変わる。
一方、可変増幅器404の出力信号(図5(A))が、サンプルホールド回路420において、端子424に入力されたブランキングパルスCPBLK(図5(C))によってサンプルホールドされることによって得られるブランキングレベルVBLK(図5(D))は、破線で示すようにほとんど変化せず、このブランキングレベルVBLKに、端子425に入力された所定電圧VTHがオフセット加算器421で加算されて、一定レベルの加算ブランキングレベル(VBLK+VTH)が比較器414へ出力される。
通常、ブランキングレベルVBLKとOBレベルVOBとの間の電位差ΔVを考慮の上で、ブルーミング現象が発生して際に初めて、OBレベルVOBと、加算ブランキングレベル(VBLK+VTH)との間で、比較レベルの逆転が起こるように、所定電圧VTHに対して適切な値が設定される。
したがって、ブルーミング現象が発生して、比較器414の正極にOBレベルVOB(=VSAT)が入力され、負極に加算ブランキングレベル(VBLK+VTH)が入力されると、比較器414の出力信号(図5(E))は、ブランキングパルスCPBLK(図5(C))のタイミングで、低レベルから高レベルに逆転する。そして、比較器414の出力信号は、可変増幅器404の出力信号(図5(A))の中のOBレベルVOBが、ブルーミング現象が解消して本来の黒レベルに戻るまでの間、高レベルを保持する。
つぎに、図4の黒レベルの異常検出回路411における一次積分器(抵抗415、コンデンサ416)および比較器412の動作について、図6を参照して説明する。
図6は、図4に示すタイミングチャートに比べて時間を縮めて表示した、黒レベル異常検出回路411の各部における信号波形を示すタイミングチャートである。
比較器414の出力信号(図6(C))は、抵抗415、コンデンサ416からなる一次積分器を介して、比較器412において、所定の比較電圧VCMPと比較される。比較器414の出力信号(図6(C))が所定の水平ライン数(例えば、数ラインから数10ライン)以上に亘って高レベルを保持し続けたときに、一次積分器を介した比較器414の高レベル信号が比較電圧VCMPに達するように、一次積分器の時定数および所定の比較電圧VCMPの各値は設定されており、これにより、一次積分器を介した比較器414の高レベル信号が比較電圧VCMPに達したとき、比較器412の出力信号(図6(E))は初めて高レベルになり、黒レベル異常検出回路411の異常検出信号となる。
こうした遅延は、例えば可変増幅器404などでのゲイン切り換えにより生じた極めて短期間のOB変動に対して、黒レベル異常検出回路411が敏感に反応して誤った異常検出信号を出力することを防止するためのものである。
以上が、図3で示したステップS209におけるOB異常検出の詳細な内容である。
次に、図3で示したステップS214における撮影モード処理の詳細な内容について、図6および図7を参照して以下に説明する。
図7は、図3で示したステップS214における撮影モード処理の詳細な内容を示すフローチャートであり、図8は、ブルーミング発生時において電子ファインダ駆動モードおよび本露光読み出しモードで動作している第1の実施の形態における撮像装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。以下、図7に示すフローチャートに沿って、図8を参照しながら、撮影モード処理の詳細な内容を説明する。
撮影処理においては、システム制御回路50と絞り制御部340また測距制御部342との間の各種信号のやり取りは、インタフェース120及びレンズ制御部350を介して行われる。
システム制御回路50は、システム制御回路50の内部メモリまたはメモリ52に記憶される測光データに従い、絞り制御部340によって絞り312を所定の絞り値まで駆動する(S301)。
システム制御回路50は、タイミング発生回路18によって電子シャッタの設定を行い(S302)、撮像部14の露光を開始する(S303)。
システム制御回路50は、測光データに従って撮像部14の露光終了を待ち、シャッタ制御部40によってシャッタ12を閉じ(S304)、撮像部14の露光を終了する。
ファインダ駆動モードから本露光読み出しモードに移行するここまでの動作は、図13に示す従来の撮像装置の動作と基本的に同じである。すなわち、図8において、期間Tfはファインダ動作期間であり、このファインダ動作期間Tfにおいて、CCD401はファインダ駆動モードで動作される。図8(E)に示す期間Tfcは、CCD401がファインダ駆動モードで動作されているときに、CCD401が1画面を出力する期間である。ファインダ動作期間Tfでは、図8(C)に示すように、シャッタ12は開いた状態に保持されている。
CCD401からファインダ駆動モード時に出力された撮像信号は、CDS回路402(図8(F))、可変増幅器404(図8(G))を介するとともに、AD変換器16、画像処理回路20を経て映像信号として画像表示部28に送られ、画像表示部28で表示が行われる。
ファインダ駆動モード時における露出制御は、絞り312の絞り値と、CCD401の電子シャッタにおけるシャッタ秒時とを変えることでなされる。CCD401の電子シャッタは、CCD401内部のフォトダイオードの深さ方向に設けられるポテンシャルバリアの開閉によって構成される。
図8(D)に示すΦVsubパルスは電子シャッタのためのパルスであり、ΦVsubパルスが高レベルになると、フォトダイオードに蓄積された信号電荷がCCD401の深さ方向に、すなわちCCD401が搭載された基板(サブストレート)方向に吐き出される。したがって、ファインダ駆動モード時におけるシャッタ秒時は、ΦVsubパルスが低レベルになった時点から、フォトダイオードからVCCD(垂直ライン転送用CCD)に電荷が読み出される時点(期間Tfcの開始時点)までの時間Tfeとなる。
カメラ使用者は、電子ファインダに表示された画像から撮りたい被写体の枠取りを決めるとシャッタボタン(62,64)を押す。シャッタボタンは、半押し状態でオンとなるスイッチSW1(図8(A))と、最後まで押したところでオンとなるスイッチSW2(図8(B))とから構成される。スイッチSW1がオンとなると、ピントの追込み(自動焦点調節)が行われるとともに本露光時のシャッタ秒時及び絞り値が決められる。露光条件は、スイッチSW1がオンされた時点でファインダ駆動モードでのCCD401の出力から判断される。スイッチSW2がオンとなると本露光撮影が行われるが、そのときの露光条件は、スイッチSW1オン時点で決定された絞り値及びシャッタ秒時で決定され、絞り値に応じて絞り312の絞り開口径を決定し、またシャッタ秒時に応じて、CCD401のΦVsubパルス(電子シャッタパルス)の高レベル開始時点から、シャッタ12(図8(C))の閉の開始時点までの時間Tseを決定する。
システム制御回路50は、撮像部14の電荷蓄積を終了した後、直前のファインダ動作期間Tfにおいて設定されたOB異常フラグの状態を確認する(S305)。その結果、OB異常フラグがオフに設定されていれば、ステップS306を実行せず、ステップS307へ進む。該フラグがオンに設定されていれば、ステップS306を実行し(詳しくは後述)、その後に、ステップS307へ進む。
ステップS307では、VCCDクリアを行い、ブルーミングやスミアによりCCD401の転送部に発生した不要電荷の吐き出しを行い、CCD401の出力信号からスミアやブルーミングの影響を排除する。
ステップS306においては、システム制御回路50は、黒レベル回復処理を行う。すなわち、ブルーミングによって発生したクランプ回路の黒レベル変動VERRの回復を図るべく、CCD401の電荷蓄積の行われたフォトダイオード部からVCCDへの転送を止めた状態で、所定時間(クランプ回復期間)Trだけクランプ回路の駆動を行う。所定時間Trは、黒レベル変動VERRの大きさに応じて決定し、クランプ追従範囲の最大レベルに対して、回復に必要な時間を見込んでおけばよい。
ステップS307でVCCDクリアを行った時点で、撮像部14におけるCCD401およびクランプ回路のブルーミングによる黒レベル変動要因は、いずれも解消されている。こうした状態になった後に、ステップS308に進んで、本来の撮像信号の読み出し処理を行う。
本来の撮像信号の読み出し処理においては、CCD401の電荷蓄積の行われたフォトダイオード部からVCCDを経て、順次、撮像信号の読み出しを行う。
すなわち、撮像部14から電荷信号を読み出し、A/D変換部16、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、またはA/D変換部16から直接メモリ制御回路22を介して、メモリ30の所定領域へ撮影画像データを書き込む。
一連の処理を終えたならば、図7の撮影処理ルーチンを終了して、図3に示す基本動作フローチャートのステップS214からステップS216へ進む。
なお、本露光の開始から撮影画像の記録・表示までの期間Tsが、本露光読み出しモード時の動作期間である。
撮影画像の所定の表示時間が経過するとシャッタ12を開き、ファインダ動作期間Tfになり、再び電子ファインダ駆動モードに戻り、カメラの使用者は、次の被写体を選ぶことができる。
以上説明したように、第1の実施の形態では、ファインダ駆動モードにおいて、ブルーミングに伴い発生したクランプ回路の黒レベル変動VERRが、黒レベル異常検出回路411から得られた異常/正常の判断結果に基づいて、本来の撮像信号の読み出し処理に先立って、異常の場合だけ、黒レベル回復処理が所定の時間に亘って行われる。これにより、撮影時に、撮像信号の黒沈みを発生させることなく良好な画像を記録することができる。
なお、クランプ回路の基本的な動作を簡略に説明するために、本実施の形態では、可変増幅器404のゲインを1倍の扱いとしたが、可変増幅器404のゲイン設定によってオフセット加算回路403におけるオフセット補正量がゲイン倍されることを考えれば、黒レベル変動VERRに対するクランプ回復時間Trが、ゲイン設定値を考慮して決定されることは言うまでもない。
〔第2の実施の形態〕
第1の実施の形態で示したブルーミング発生時の黒レベル回復処理(図7のステップS306)においては、ブルーミングによって発生したクランプ回路の黒レベル変動VERRの大きさに依らず所定時間Trを定めて、この所定時間Trに亘ってクランプ回路の黒レベル変動の回復を図るようにしている。
しかし、後で読み出す撮像記録画像に黒沈みを発生させないためには、黒レベル異常検出で検出された変動に対しては、比較的小さな黒レベル変動を回復する場合であっても、想定される最大限の黒レベル変動を回復できるだけの長い所定時間Trを設定せざるを得ない。
そこで、第2の実施の形態では、黒レベル異常検出回路411の検出結果を用いて、クランプ回復時間の終了のタイミングを決定するようにする。
第2の実施の形態の構成は、基本的に第1の実施の形態の構成と同じであるので、第2の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態の構成と同一部分には同一の参照符号を付して、第1の実施の形態の説明を流用し、異なる部分だけを説明する。
図9は、ブルーミング発生時において電子ファインダ駆動モードおよび本露光読み出しモードで動作している第2の実施の形態における撮像装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
第2の実施の形態では、図7に示す第1の実施の形態におけるステップS305,S306の処理と同様に、直前のファインダ動作期間Tfにおいて設定されたOB異常フラグの状態を確認して、該フラグがオフに設定されていれば、黒レベル回復処理をパスし、OB異常フラグがオンに設定されていれば、黒レベル回復処理を実行する。ただし、第2の実施の形態における黒レベル回復処理は、第1の実施の形態における黒レベル回復処理と内容が異なる。
第2の実施の形態における黒レベル回復処理(図7のステップS306に相当)では、システム制御回路50が、ブルーミングによって発生したクランプ回路の黒レベル変動VERRの回復を図るべく、CCD401の電荷蓄積の行われたフォトダイオード部からVCCDへの転送を止めた状態で、まず、所定時間Δtだけクランプ回路の駆動を行う。この時点で、一旦、黒レベル異常検出回路411によりOB異常検出を行い、異常が検出されなければ、直ちにクランプ回復動作を終了する。異常が検出された場合には、引き続き、所定時間Δtだけクランプ回路の駆動を継続する。そして、このクランプ回復動作は、所定時間ΔtごとのOB異常検出の結果に基づいて、異常が解消するまで継続される。
所定時間Δtは、第1の実施の形態で示した黒レベル変動VERRに対するクランプ回復時間Trと比較して十分に短い時間幅(100分の1から10分の1)に設定することで、黒レベル変動の大きさに応じて、所定時間Δt単位の時間分解能で細かく、クランプ回復時間の制御、短縮化を図ることができる。
〔他の実施の形態〕
また、本発明の目的は、上記の各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した各実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記各実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も、本発明に含まれることは言うまでもない。
この場合、上記プログラムは、該プログラムを記憶した記憶媒体から直接、又はインターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続された不図示の他のコンピュータやデータベース等からダウンロードすることにより供給される。