従来、自動二輪車のクラッチは、操向ハンドルに設けられたクラッチレバーを乗員が把持することによって切断されるように構成されている。このクラッチ操作時の操作力は、クラッチの伝達トルクの大きさ、すなわち搭載されているエンジンの出力の大きさに対応して大きくなる。このため、高出力のエンジンを搭載した自動二輪車などにおいて、前記操作力が著しく大きくなるような場合には、クラッチ操作時に例えばばねの弾発力によってクラッチ操作を助勢するクラッチレバー用操作補助装置が装備されることがある。
従来のこの種のクラッチレバー用操作補助装置としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に示されたクラッチレバー用操作補助装置は、クラッチレバーにクラッチワイヤーを介して接続されたクラッチ側の***作レバー(***作部材)に助勢用の付勢手段が連結されている。この付勢手段は、前記***作レバーとともに回動するアームと、このアームの回動端部に一端部が接続された圧縮コイルばねなどを備え、前記***作レバーを圧縮コイルばねの弾発力によって付勢するように構成されている。
前記圧縮コイルばねは、前記一端部が前記アームの回動端部に回動自在に接続され、他端部がクラッチ側の支持部材に枢支されている。すなわち、前記圧縮コイルばねの両端部と前記アームの回動中心とが一直線上に位置する場合は、アームの回動する方向に圧縮コイルばねの弾発力が作用することはなく、***作レバーが助勢されることはないが、クラッチレバーが操作されて前記***作レバーとともに前記アームが回動することにより、このアームに回動角度が増大する方向(クラッチ切断操作により前記***作レバーが回動する方向)に前記圧縮コイルばねの弾発力が加えられる。このため、クラッチレバーを把持する操作力と圧縮コイルばねの弾発力との合力によってクラッチの切断操作を行うことができる。
従来のクラッチレバー用操作補助装置においては、クラッチを接続する行程でクラッチが完全に接続される位置(以下、このときをクラッチミート位置という)まで***作レバーが回動したときに、この***作レバー(前記アーム)の回動中心と前記圧縮コイルばねの両端部とが一直線上に位置するように構成されている。これは、クラッチが接続状態にあるときに圧縮コイルばねの弾発力によってクラッチの摩擦板を押圧する力が低減されることがないようにするためである。
クラッチレバーは、クラッチを接続する行程において、前記クラッチミート位置まで戻された後、いわゆる遊びが設けられている分だけさらに戻り方向に揺動し、初期位置(以下、この位置を戻しきり位置という)に戻る。このとき、クラッチレバーの遊び分に相当する回動角度だけ前記アームがクラッチ接続方向に回動し、このアームが前記圧縮コイルばねの弾発力によってクラッチ接続方向へ付勢されるために、クラッチレバーが前記戻しきり位置に位置している状態では、クラッチ内のばねの弾発力と前記圧縮コイルばねの弾発力との合力がクラッチレバーに作用する。
従来のクラッチレバー用操作補助装置としては、上述したようにクラッチワイヤーのクラッチ側端部に設けられるものの他に、助勢用付勢手段が図12および図13に示すように、クラッチワイヤーの途中に介装されるものがある。
図12(a)に示す従来のクラッチレバー用操作補助装置1は、クラッチワイヤー2に回動端部が枢着されたアーム3と、このアーム3の前記回動端部に回動自在に接続された付勢手段4とから構成されている。前記アーム3は、基端部が例えば自動二輪車の車体フレームなどに支軸5によって回動自在に支持されている。前記付勢手段4は、前記アーム3に接続された第1のロッド4aと、この第1のロッド4aに軸線方向に移動自在に装着された第2のロッド4bと、これらの第1のロッド4aと第2のロッド4bとの間に弾装された圧縮コイルばね4cとによって構成されている。前記第2のロッド4bの先端部は、前記車体フレームなどに回動自在に支持されている。
前記クラッチワイヤー2は、図示していないクラッチレバーをクラッチが切断される方向に操作することによって、図12(a)において左方に移動する。図12(a)は、クラッチレバーを操作量が最大となるようにクラッチ切断方向へ操作し、クラッチレバーがいわゆる引ききり位置に位置している状態で描いてある。前記アーム3は、クラッチレバーが戻しきり位置に位置しているときは図12(a)中に二点鎖線Aで示す位置にあり、前記クラッチミート位置に位置しているときには、二点鎖線Bで示す位置に回動する。このクラッチミート時には、付勢手段4の両端部とアーム3の回動中心(支軸5)とが一直線上に位置するようになる。
図12(a)に示した従来のクラッチレバー用操作補助装置1においては、前記特許文献1に示されたクラッチレバー用操作補助装置と同様に動作し、前記アーム3が図においてBで示す位置から図において左側へ回動することによって、圧縮コイルばね4cの弾発力が操作力に加えられるようになる。
このクラッチレバー用操作補助装置1は、クラッチワイヤー2の途中に設けられたアーム3に付勢手段4が接続されているから、クラッチレバーを戻しきり位置から引ききり位置に操作することによって、図12(b)に示すように、クラッチレバーによって引かれた長さ(入力ストローク)と等しい長さ(出力ストローク)だけクラッチワイヤー2を引っ張ることになる。
また、このクラッチレバー用操作補助装置においては、クラッチレバーによってクラッチを切断するために必要な力(必要入力荷重)は、操作量(入力ストローク)に対応して図12(c)に示すように変化する。同図において、クラッチ反力はクラッチ内のばねの弾発力を示し、アシスト力は前記圧縮コイルばね4cの弾発力を示す。また、逆アシスト力とは、クラッチレバーが戻しきり位置にあるときにクラッチレバーを付勢する力(クラッチ内のばねの弾発力と圧縮コイルばね4cの弾発力との合力)のことをいう。
図12(c)に示すように、クラッチレバーを操作するために必要な力(必要入力荷重)は、操作開始時には前記逆アシスト力に抗するために大きくなり、前記アーム3が(a)図において二点鎖線Bで示す位置(クラッチミート位置)に達するまで漸次小さくなる。前記アーム3がクラッチミート位置を超えた後の必要入力荷重は、クラッチワイヤー2にクラッチ反力が作用するようになるために急激に増大する。その後、必要入力荷重は、クラッチレバーが引ききり位置に達するまで、クラッチレバーの操作量が増大するにしたがって漸次小さくなる。このため、図12(a)に示すクラッチレバー用操作補助装置1においては、クラッチを切断するに当たってクラッチレバーを把持する腕に力を二度加えるようにしなければならない。この現象は、前記特許文献1に示されたクラッチレバー用操作補助装置においても同様に発生する。
一方、図13に示すクラッチレバー用操作補助装置6は、付勢用の圧縮コイルばねは備えていないが、クラッチを切断するときに途中で力を加減するような操作は不要となるように構成されている。このクラッチレバー用操作補助装置6は、車体フレームなどに一端部が支軸7によって回動自在に支持されたアーム8の回動端部にクラッチレバー側のクラッチワイヤー9が接続され、前記アーム8の中間部分にクラッチ側のクラッチワイヤー10が接続されている。前記アーム8は、クラッチレバーが戻しきり位置に位置している状態では図13(a)中に二点鎖線Aで示す位置に位置付けられ、クラッチミート時には同図中に二点鎖線Bで示す位置に位置付けられる。
すなわち、このクラッチレバー用操作補助装置6は、いわゆるてこの原理によってクラッチ操作時の荷重を低減するように構成されている。このため、このクラッチレバー用操作補助装置6においては、図13(b)に示すように、入力ストロークに対して出力ストロークが約1/2となり、図13(c)に示すように、必要入力荷重は、クラッチ反力の略1/2で略一定になる。
特開平7−132872号公報(第3−5頁、図1)
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るクラッチレバー用操作補助装置の一実施の形態を図1ないし図8によって詳細に説明する。
図1は本発明に係るクラッチレバー用操作補助装置を装備した自動二輪車の一部を示す側面図、図2は本発明に係る操作補助装置の要部を拡大して示す側面図、図3は同じく断面図である。図4ないし図7は本発明に係る操作補助装置の動作を説明するための図で、図4はクラッチレバーが伸びきり位置に位置しているときの状態を示し、図5はクラッチミート時の状態を示し、図6はクラッチ切断行程においてクラッチが完全に切断されるときの状態を示し、図7はクラッチレバーが引ききり位置に位置しているときの状態を示す。図4〜図7においては、動作状態を理解し易いように、一つのクラッチレバー用操作補助装置を構成部材毎に(a)〜(c)に分けて描いてある。これらの図において、(a)は第1および第2の入力部材を示し、(b)は第2の入力部材と出力部材を示し、(c)は第2の入力部材と付勢手段および相殺用ばねを示す。図8は本発明に係る操作補助装置の特性を示すグラフで、同図(a)は入力ストロークに対する出力ストロークの変化を示し、同図(b)は付勢手段を設けない場合での入力ストロークに対する必要入力荷重の変化を示し、同図(c)は付勢手段を設けた場合での入力ストロークに対する必要入力荷重の変化を示し、同図(d)は相殺用ばねを設けた場合での入力ストロークに対する必要入力荷重の変化を示す。
これらの図において、符号11で示すものはこの実施の形態によるクラッチレバー用操作補助装置である。この操作補助装置11は、自動二輪車用エンジン12のクラッチ13と、操向ハンドル14のクラッチレバー15との間の操作力伝達系に介装されている。図1において、16は自動二輪車のフロントフォークを示し、17は燃料タンク、18はシート、19は車体フレーム20のダウンチューブを示す。前記エンジン12は、図1においては、外形のみが描いてあるが、クランクケース12aの上にシリンダ12b,12cが側面視においてV字状を呈するように設けられた空冷式V型2気筒エンジンで、前記クランクケー12aの車体左側の端部に前記クラッチ13が設けられている。このクラッチ13は、従来からよく知られている湿式多板式のもので、クラッチカバー21(図1参照)の上部に設けられた***作レバー22(***作部材)が操作補助装置11により引かれることによって切断状態となり、***作レバー22を引く力が消失することによって接続状態となるように構成されている。
この実施の形態による操作補助装置11は、図1に示すように、車体左側のダウンチューブ19に図示していないブラケットを介して取付けられており、前記***作レバー22に出力側クラッチワイヤー23を介して接続されるとともに、前記クラッチレバー15に入力側クラッチワイヤー24を介して接続されている。また、この操作補助装置11は、前記出力側クラッチワイヤー23がシリンダ12b,12cの下端部の側方を車体の前後方向へ略水平に延びるように、前記***作レバー22と略同じ高さとなる位置に配設されている。
前記操作補助装置11は、図2〜図7に示すように、前記入力側クラッチワイヤー24に接続された入力部材31と、前記出力側クラッチワイヤー23に接続された出力部材32と、これらの入力部材31と出力部材32とを連結するカム機構33{図4(b)参照}と、助勢用の圧縮コイルばね34と、逆アシスト力を相殺するための相殺用圧縮コイルばね35と、これらの部材を支持するとともに収容するハウジング36などによって構成されている。このハウジング36は、車体外側に向けて開放する箱状を呈するように形成されたハウジング本体36aと、このハウジング本体36aの開口部分を閉塞する蓋体36b(図1参照)とから構成され、後述するように、前記各部材を回動自在または往復動自在に支持している。
前記入力部材31は、図4(a)に示すように、前記入力側クラッチワイヤー24の先端部の係合子24aが係合する第1のレバー37と、この第1のレバー37にギヤ結合された第2のレバー38とから構成されている。前記第1のレバー37は、支軸39によって前記ハウジング36に回動自在に支持されており、回動端部に前記係合子24aが係合されるとともに、ギヤ37aが形成されている。また、この第1のレバー37は、図3に示すように、ハウジング36内の最も外側の位置(図3においては上側であって、ハウジング36をダウンチューブ19に取付けた状態では最も車体外側となる位置)に位置付けられている。
前記第2のレバー38は、前記第1のレバー37に噛合するギヤ38aが一体に形成された外側プレート40(図3参照)と、この外側プレート40に連結用ピン41を介して一体的に結合された内側プレート42とによって構成されている。前記外側プレート40は、支軸43によって前記蓋体36bに回動自在に支持されている。前記内側プレート42は、支軸44(図3参照)によって前記ハウジング本体36aに回動自在に支持されており、車体前側の端部に位置する回動端部に後述する受圧用ピン45が車体内側へ向けて立設されている。前記外側プレート40の支軸43と内側プレート42の支軸44は同一軸線上に位置付けられている。
前記第1のレバー37と前記第2のレバー38とを連結するギヤ結合部分は、第1のレバー37の回転を増速して第2のレバー38に伝達する構成が採られている。すなわち、入力側クラッチワイヤー24がクラッチレバー15によって引かれたときに、前記第1のレバー37が支軸39を中心にして図4(b)において反時計方向に回ることによって、第2のレバー38が支軸43,44を中心にして時計方向へ第1のレバー37の回動角度より大きな角度をもって回ることになる。このように第2のレバー38を第1のレバー37に対して増速させているのは、後述するカム機構33の入力量を大きくとるためである。
前記出力部材32は、図3および図4(b)に示すように、板状を呈するように形成されており、ハウジング36に形成された厚み方向の位置決め片(図示せず)とガイド溝46とによってハウジング本体36aの車幅方向の中央部に車体の前後方向のみに移動可能に保持されている。前記位置決め片は、ハウジング本体36aと蓋体36bとにハウジング36内に臨むように立設され、先端部が出力部材32の表面と裏面とにそれぞれ摺動自在に接触するように形成されている。前記ガイド溝46は、車体の前後方向に延びる長穴からなり、出力部材32に回転自在に設けられたローラ47が係入されている。
この出力部材32における車体後側の端部であって、上下方向の中央部に、前記出力側クラッチワイヤー23が受圧用プレート48を介して係止されている。すなわち、この出力部材32が図2および図4(b)において左側(車体前側)に移動することによって、出力側クラッチワイヤー23が引かれてクラッチ13が切断される。なお、出力側クラッチワイヤー23は、クラッチ13内の摩擦板を付勢するばね部材の弾発力によって、図2および図4(b)において右側へ常に引かれている。このため、出力部材32は、クラッチレバー15が乗員によって把持されていない状態では、図4(b)に示すように、ハウジング36内の最も車体後側の端部(戻しきり位置)に位置するようになる。
前記出力部材32の車体前側の端部には、前記入力部材31の第2のレバー38を連結するためのカム溝51が形成されている。このカム溝51は、図4(b)に示す側面視において、車体の後方に向けて凸になるように湾曲する長穴からなり、前記第2のレバー38の連結用ピン41が挿通されている。この連結用ピン41には、図3に示すように、ローラからなるカムフォロア52が回転自在に取付けられている。このカムフォロア52と前記カム溝51とからなるカム機構33によって、連結手段が構成されている。
この実施の形態による操作補助装置11においては、図4(b)に示すように、出力部材32が戻しきり位置に位置している状態でカム溝51の上端部にカムフォロア52が位置付けられ、第2のレバー38が回動してカムフォロア52が支軸43,44を中心にして時計方向へ移動することによって、出力部材32が漸次車体前側(クラッチ切断側)へ移動するように構成されている。この操作補助装置11は、カムフォロア52が図4(b)に示す位置から図5(b)に示す位置(クラッチミート位置)に移動するまではいわゆる遊びの状態となるように構成されている。この遊びの状態では、出力部材32によって出力側クラッチワイヤー23が引かれてもクラッチ13は接続状態を保つ。また、この操作補助装置11は、前記カムフォロア52が図5(b)に示すクラッチミート位置を超えて図6(b)に示す位置まで移動することによって、前記クラッチ13が切断状態になるように構成され、さらに、この切断位置からカムフォロア52を図7(b)に示す引ききり位置まで移動させることができるように構成されている。
前記カム溝51のカムプロフィールは、図8(a)に示すように、入力側クラッチワイヤー24の移動量(入力ストローク)に対する出力側クラッチワイヤー23の移動量(出力ストローク)の割合が漸次増大するように構成されている。詳述すると、クラッチレバー15を把持してクラッチ13を切断する行程において、図4(b)に示す戻しきり位置から図5(b)に示すクラッチミート位置を経て図6(b)に示す切断位置に達するまでの操作領域では、入力ストロークに対する出力ストロークの割合が約1/2となり、クラッチレバー15の操作量に対して出力側クラッチワイヤー23の引かれる量が相対的に少なくなるように設定されている。また、前記切断位置と図7(b)に示す引ききり位置との間の操作領域では、入力ストロークに対する出力ストロークの割合が約2倍となり、クラッチレバー15の操作量に対して出力側クラッチワイヤー23の引かれる量が相対的に多くなるように設定されている。さらに、このカム機構33は、出力側クラッチワイヤー23(出力部材32)の総移動量が入力側クラッチワイヤー24(入力部材31)の総移動量と略等しくなるように構成されている。
このようにカム溝51とカムフォロア52とからなるカム機構33が入力部材31と出力部材32との間に介在することによって、クラッチレバー15を操作するときの荷重(必要入力荷重)は図8(b)に示すように変化する。図8(b)は、後述する圧縮コイルばね34の弾発力が作用しない状態での前記荷重の変化を示している。同図から判るように、前記必要入力荷重は、クラッチミート位置Mに達する以前の遊び状態では相対的に小さく一定となり、クラッチミート位置Mを超えるときにクラッチ13内のばねの弾発力(以下、この弾発力をクラッチ反力という)が作用することから急上昇し、その後は入力ストロークに略比例して増大する。操作終期、すなわちクラッチレバー15の引ききり位置の近傍に達する時期には、前記カム機構33によって出力部材32の移動量が相対的に増大するために、前記必要入力荷重はクラッチ反力を上回るようになる。この実施の形態による操作補助装置11は、上述したように必要入力荷重が必要以上に大きくなって操作がいわゆる重くなることを防ぐために、圧縮コイルばね34の弾発力が付与されるように構成されている。
前記圧縮コイルばね34は、図3に示すように、スプリングホルダー53によって保持され、このスプリングホルダー53を介して前記連結用ピン41とハウジング本体36aとの間に車体の前後方向に延びる状態で弾装されている。
前記スプリングホルダー53は、圧縮コイルばね34の軸線方向に沿って互いに移動可能に接続された前側半部54と後側半部55とによって構成されている。前記前側半部54は、前記圧縮コイルばね34の内部に挿入される筒体54aと、この圧縮コイルばね34の車体前側の端部が当接する荷重受け用のフランジ54bとが形成されており、圧縮コイルばね34より車体前側に突出する前端部が前記連結用ピン41における内側プレート42より車体内側に突出する内端部に回動自在に取付けられている。
前記後側半部55は、前記前側半部54の前記筒体54a内に移動自在に嵌合されたロッド55aと、前記圧縮コイルばね34の車体後側の端部が当接する荷重受け用のフランジ55bとが形成され、図4(c)に示すように、圧縮コイルばね34より車体後側に突出する後端部が前記ハウジング本体36aの取付座36cに回動自在に支持されている。このようにスプリングホルダー53を介して圧縮コイルばね34がハウジング36と連結用ピン41との間に介装されることにより、カムフォロア52は、圧縮コイルばね34の弾発力によって圧縮コイルばね34の伸張する方向に常に付勢される。
このスプリングホルダー53は、図5(c)に示すように、クラッチミート状態で軸線方向が第2のレバー38の回動中心を指向するようにハウジング36に装着されている。すなわち、このクラッチミート状態では、第2のレバー38の支軸43,44と、連結用ピン41と、スプリングホルダー53の後端部および前端部とが図5(c)に示す側面視において一直線上に位置するようになり、第2のレバー38にこれを回すように作用する力が0になる。この構成を採ることにより、クラッチ13が接続状態にあるときには圧縮コイルばね34の弾発力がクラッチ13に作用することがなくなるから、圧縮コイルばね34の弾発力によってクラッチ13の摩擦板を押圧する力が低減されることを防ぐことができる。
この実施の形態による操作補助装置11においては、第2のレバー38(カムフォロア52)が図5(b)に示すクラッチミート位置より戻しきり位置側に位置している場合(図4参照)は、第2のレバー38が圧縮コイルばね34の弾発力によりクラッチ13を切断するときとは逆方向に付勢される。すなわち、この場合には、いわゆる逆アシスト力が第2のレバー38に作用するようになる。一方、第2のレバー38が図5に示すクラッチミート位置より引ききり側に位置している場合(図6および図7参照)は、第2のレバー38が圧縮コイルばね34の弾発力によりクラッチ13を切断するときの方向に付勢される。
このように圧縮コイルばね34を装備することにより、クラッチ13を切断するときの必要入力荷重は、図8(c)に示すように変化する。すなわち、前記逆アシスト力が生じる分だけ遊び状態での必要入力荷重が増大し、クラッチミート位置Mを超えたときには圧縮コイルばね34の弾発力によって助勢されることから必要入力荷重が低減する。
この実施の形態による操作補助装置11においては、入力ストロークに対する出力ストロークの割合が漸次増大するように構成されており、入力ストロークの増大に伴って増大する圧縮コイルばね34の弾発力の増大分が相殺されるようになるから、クラッチミート位置Mを越えた後の前記必要入力荷重は、入力ストロークが変化しても略一定になる。このことは、前記図13(c)に示された従来の装置、すなわち入力ストロークと出力ストロークとの変化割合が一定となる装置において、必要入力荷重が漸次低減されるようになることから明らかである。
前記逆アシスト力は、クラッチ13を切断するときの操作を妨げる方向(クラッチ接続方向)に作用するため、操作性を向上させるためには可及的小さくすることが望ましい。このため、この実施の形態による操作補助装置11においては、図2および図3に示すように、前記逆アシスト力を相殺するための圧縮コイルばね35が装備されている。この逆アシスト力相殺用圧縮コイルばね35は、ハウジング本体36aに形成された円形孔56内に挿入されており、この円形孔56の一端側の開口部を閉塞する栓部材57と、円形孔56の他端側に嵌合された押圧用ピン58との間に弾装されている。この逆アシスト力相殺用圧縮コイルばね35の弾発力は、逆アシスト力となる圧縮コイルばね34の弾発力より僅かに小さくなるように設定されている。
前記円形孔56は、内部に設けられた押圧用ピン58が前記内側プレート42の受圧用ピン45を押すことができるような位置に形成されている。前記押圧用ピン58は、圧縮コイルばね35の一端部を保持する大径部58aと、円形孔56の他端側から外側に突出して前記受圧用ピン45を押圧する小径部58bとが一体に形成されている。前記大径部58aは、円形孔56の段部56aに当接することにより押圧方向(相殺用圧縮コイルばね35の弾発力によって付勢される方向)への移動が規制されるように構成されている。前記小径部58bの長さは、第2のレバー38が図4(c)に示す戻しきり位置に位置しているときは、押圧用ピン58が前記受圧用ピン45を押圧し、第2のレバー38が図5に示すクラッチミート位置に達したときには、小径部58bが受圧用ピン45から離間するような寸法に設定されている。
すなわち、クラッチレバー15を把持してクラッチ13を切断する行程において、クラッチ反力を受ける以前の遊びの状態で、逆アシスト力相殺用圧縮コイルばね35の弾発力によってクラッチ13が切断される方向へ第2のレバー38が押圧(助勢)されることになり、前記逆アシスト力が相殺される。このように相殺用圧縮コイルばね35を設けた場合の必要入力荷重は、図8(d)に示すように変化する。この場合の必要入力荷重は、前記遊びの期間において相対的に小さな一定値となる。
前記逆アシスト力相殺用圧縮コイルばね35は、押圧用ピン58が受圧用ピン45から離間している状態、すなわちクラッチレバー15が操作されて助勢用圧縮コイルばね34による前記クラッチ接続方向への押圧力(逆アシスト力)が解消された状態でも蓄勢された状態を維持するように形成されている。すなわち、図5(c)に示すように、押圧用ピン58が受圧用ピン45から離間している状態でも圧縮された状態に保たれている。この構成を採ることにより、逆アシスト力相殺用圧縮コイルばね35は、自らの弾発力によって最大伸張時にも両端部の位置が規制されるようになる。このため、この相殺用圧縮コイルばね35や押圧用ピン58や栓部材57などが振動することに起因して騒音が発生することを防ぐことができる。
上述したように構成されたクラッチレバー用操作補助装置11においては、クラッチレバー15を把持することによって、操作力が入力側クラッチワイヤー24を介して入力部材31の第1のレバー37に伝達され、この第1のレバー37からギヤ37a,38aを介して第2のレバー38に伝達される。この第2のレバー38は、支軸43,44を中心にして回動し、カムフォロア52とカム溝51とからなるカム機構33を介して出力部材32を車体前側(クラッチ切断方向)へ移動させる。このように出力部材32が車体前側へ移動することにより、出力側クラッチワイヤー23を介してクラッチ13の***作レバー22が引かれ、クラッチ13が切断される。また、クラッチレバー15を放すことにより、クラッチ13内のばねの弾発力によって前記各部材が上記とは逆方向に移動し、クラッチ13が接続状態になる。
この実施の形態による操作補助装置11は、前記入力部材31と出力部材32との間に、入力部材31の移動量に対する前記出力部材32の移動量の割合をクラッチ操作の途中で変化させるように構成されたカム機構33が介装されているから、従来の装置のように前記割合が略一定になる場合と較べると、クラッチレバー15の操作量に対するクラッチ13の作動量をクラッチ操作の途中で変えることができる。クラッチレバー15を操作するときの操作力は、クラッチ13の作動量に対応して増減するから、この実施の形態による操作補助装置11によれば、従来の装置に較べて前記操作力を設定するうえで自由度が高くなる。
したがって、従来の一般的なクラッチの操作感覚に近付くようにクラッチ操作時の操作力を変化させることができるから、助勢用圧縮コイルばね34の弾発力によってクラッチ操作を助勢する構成を採りながら、一般的なクラッチと同等の操作感覚でクラッチレバー15を操作することができるようになる。
この実施の形態による操作補助装置11においては、前記入力部材31の移動量に対する前記出力部材32の移動量の割合は、クラッチ13を切断する行程においてクラッチ13が切断され始める位置付近では相対的に小さく、クラッチレバー15の操作量が最大となる位置付近では相対的に大きくなるように構成されている。
したがって、クラッチ13を切断する行程においてクラッチ13が切断され始める位置(クラッチ13を接続する行程においては、クラッチ13の接続が終了する位置)付近では、てこの原理を用いる場合と同様に操作力を小さくすることができるとともに、クラッチレバー15の操作に対してクラッチ13の動作が緩やかになる。このため、発進時などで半クラッチ状態となるような操作域でクラッチを容易に制御することができる。また、クラッチレバー15の操作量が最大となる位置付近では、クラッチ13の動作量が相対的に多くなるから、クラッチ13のストローク不足を解消することができ、クラッチ13を完全に切断状態とすることができる。
この実施の形態による操作補助装置11は、出力部材32の総移動量が入力部材31の総移動量と略等しくなるように構成されているから、クラッチレバー15を戻しきり位置から引ききり位置まで操作したときのクラッチ13の***作部材の移動量を一般的なクラッチ(クラッチレバーがクラッチワイヤーを介して直接接続されるクラッチ)の***作部材の移動量と略等しくすることができる。このため、この実施の形態による操作補助装置11は、前記一般的なクラッチにその構成を何ら変更することなく装着することができる。
この実施の形態による操作補助装置11は、クラッチ13が接続する位置付近で助勢用圧縮コイルばね34の押圧力が0となるように構成されているから、圧縮コイルばね34の弾発力によってクラッチレバー15の操作力を助勢する構成を採っているにもかかわらず、クラッチ13の摩擦板を押圧する力が低減されることはない。
この実施の形態による操作補助装置11は、クラッチレバー15が戻しきり位置に位置している状態で生じる助勢用圧縮コイルばね34のクラッチ接続方向への押圧力を相殺する相殺用圧縮コイルばね35を備えているから、この相殺用圧縮コイルばね35の弾発力によって逆アシスト力が相殺され、クラッチ切断操作時にクラッチレバー15を円滑に操作することができる。また、前記相殺用圧縮コイルばね35は、クラッチレバー15の操作によりクラッチ接続方向への押圧力が解消された状態でも蓄勢された状態を維持するから、自らの弾発力によって最大伸張時にも両端部の位置が規制されるようになる。このため、振動や騒音が発生することを防ぐことができる。
(第2の実施の形態)
本発明に係るクラッチレバー用操作補助装置は、図9に示すように構成することができる。
図9はクラッチレバー用操作補助装置の他の実施の形態を示す側面図で、同図(a)は戻しきり位置での状態を示し、同図(b)はクラッチミート位置での状態を示し、同図(c)は引ききり位置での状態を示す。これらの図において、前記図1〜図8によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図9(a)〜(c)に示した操作補助装置71は、図示していないハウジングに支軸72によって回動自在に支持された入力部材73と、この入力部材73に支軸74を介して回動自在に支持された出力部材75と、前記入力部材73を付勢する付勢手段(図示せず)とを備えている。この実施の形態においては、入力部材73に出力部材75を接続する支軸74によって連結手段が構成されている。
前記入力部材73には、クラッチ13を切断する行程においてクラッチミート位置以降で入力部材73に対して出力部材75が相対的に回動することを規制する連結用ピン76が設けられている。また、図示してはいないが、この入力部材73には、操作力を助勢するための付勢手段と、逆アシスト力を相殺するための相殺用圧縮コイルばねとが設けられている。前記付勢手段は、前記第1の実施の形態で示したものと同等の構造のものを用いることができる。
前記入力部材73に出力部材75を接続する支軸74は、入力部材73の回動中心より径方向の外側であって、図9(a)に示すように、戻しきり位置での両部材のレバー比(入力部材73の腕の長さ/出力部材75の腕の長さ)が1.8となるような位置に配設されている。この実施の形態による操作補助装置71においては、同図(b)に示すように、クラッチミート位置では前記レバー比が1.99となり、同図(c)に示すように、引ききり位置においては前記レバー比が0.67となるように構成されている。
すなわち、この実施の形態による操作補助装置71においても、前記入力部材73の移動量に対する前記出力部材75の移動量の割合がクラッチ操作の途中で変化する。しかも、この操作補助装置71においては、入力部材73の移動量に対する出力部材75の移動量は、クラッチ13を切断する行程の操作初期では相対的に少なくなり、操作終期では相対的に多くなるように構成されている。
したがって、このように操作補助装置71を構成しても前記第1の実施の形態を採るときと同等の効果を得ることができる。
(第3の実施の形態)
本発明に係るクラッチレバー用操作補助装置は、図10に示すように構成することができる。
図10はクラッチレバー用操作補助装置の他の実施の形態を示す側面図で、同図(a)は戻しきり位置での状態を示し、同図(b)はクラッチミート位置での状態を示し、同図(c)は引ききり位置での状態を示す。これらの図において、前記図1〜図8によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図10(a)〜(c)に示す操作補助装置81の入力部材82は、図示していないハウジングに支軸83によって回動自在に支持された第1のレバー84と、この第1のレバー84の回動端部にリンク85を介して回動自在に連結された第2のレバー86とから構成されている。この第2のレバー86における前記リンク85を挾んで前記第1のレバー84とは離間する方向の一端部には、支軸87によってカムフォロア88が回転自在に取付けられている。
この操作補助装置81の出力部材89は、第1の実施の形態で示したものと同様に板状を呈するように形成され、ハウジングに図10において左右方向に移動自在に支持されている。この出力部材89は、長穴からなるカム溝90が形成され、このカム溝90に前記カムフォロア88が係入されている。すなわち、この出力部材89は、カム溝90とカムフォロア88とからなる連結手段を介して前記入力部材82に連結されている。前記カムフォロア88を支持する前記支軸87には、第1の実施の形態を採るときと同様に、付勢手段91の一端部が回動自在に取付けられている。この付勢手段91の他端部はハウジングに回動自在に支持されている。この付勢手段91は、図示していないが、第1の実施の形態で示した助勢用圧縮コイルばね34とスプリングホルダー53とによって構成されている。なお、前記第2のレバー86には、図示してはいないが、逆アシスト力を相殺するための圧縮コイルばね35を接続することができる。
前記カム溝90とカムフォロア88とからなるカム機構は、第1の実施の形態を採るときと同様に、前記入力部材82の移動量に対する前記出力部材89の移動量の割合がクラッチ操作の途中で変化するように構成されている。さらに、このカム機構においては、入力部材82の移動量に対する出力部材89の移動量は、クラッチ13を切断する行程の操作初期では相対的に少なくなり、操作終期では相対的に多くなるように構成されている。
したがって、このように操作補助装置81を構成しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を得ることができる。
(第4の実施の形態)
本発明に係るクラッチレバー用操作補助装置は、図11に示すように構成することができる。
図11はクラッチレバー用操作補助装置の他の実施の形態を示す側面図で、同図(a)は戻しきり位置での状態を示し、同図(b)はクラッチミート位置での状態を示し、同図(c)は引ききり位置での状態を示す。これらの図において、前記図1〜図8によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図11(a)〜(c)に示した操作補助装置101の入力部材102は、入力側クラッチワイヤー24の先端部が巻掛けられるプーリを構成するように形成され、図示していないハウジングに支軸103によって回動自在に支持されている。この入力部材102の回動端部であって、入力側クラッチワイヤー24の係合子24aが係合する部位の径方向の外側には、支軸104を介してカムフォロア105が回転自在に取付けられるとともに、第1の実施の形態を採るときと同様に、付勢手段106の一端部が回動自在に取付けられている。この付勢手段106の他端部はハウジングに回動自在に支持されている。この付勢手段106は、図示していないが、第1の実施の形態で示した助勢用圧縮コイルばね34とスプリングホルダー53とによって構成されている。なお、前記入力部材102には、図示してはいないが、逆アシスト力を相殺するための圧縮コイルばね35を接続することができる。
この操作補助装置101の出力部材107は、第1の実施の形態で示したものと同様に板状を呈するように形成され、ハウジングに図11において左右方向に移動自在に支持されている。この出力部材107は、一端部に長穴からなるカム溝108が形成され、このカム溝108に前記カムフォロア105が係入されている。すなわち、この出力部材107は、カム溝108とカムフォロア105とからなる連結手段を介して前記入力部材102に連結されている。
前記カム溝108とカムフォロア105とからなるカム機構は、第1の実施の形態を採るときと同様に、前記入力部材102の移動量に対する前記出力部材107の移動量の割合がクラッチ操作の途中で変化するように構成されている。さらに、このカム機構においては、入力部材102の移動量に対する出力部材107の移動量は、クラッチ13を切断する行程の操作初期では相対的に少なくなり、操作終期では相対的に多くなるように構成されている。
したがって、このように操作補助装置101を構成しても第1の実施の形態を採るときと同等の効果を得ることができる。
上述した各実施の形態では本発明に係るクラッチレバー用操作補助装置を自動二輪車に用いる例を示したが、本発明は、このような限定にとらわれることはなく、他の車両にも用いることができる。
なお、上述した特許文献1に示されたクラッチレバー用操作補助装置と図12(a)に示したクラッチレバー用操作補助装置1は、クラッチを切断する行程で必要入力荷重が一旦減少した後に増大し、その後、漸次減少するため、操作する者に違和感を与えるという問題があった。これは、一般的な自動二輪車のクラッチは、クラッチレバーを戻しきり位置からクラッチミート位置、およびクラッチミート位置から引ききり位置まで操作するときの操作力が略一定になるからである。
このような操作上の不具合は、図13に示されたクラッチレバー用操作補助装置6のようにてこの原理を用いることによって解消することはできる。しかし、この構造では、出力ストロークが入力ストロークの約1/2になり、クラッチレバーの操作量を大きくとるにも限界があることから、クラッチを完全に切断することができなくなるおそれがある。
前述の実施形態に係るクラッチレバー用操作補助装置は、このような問題を解消するためになされたものでもあり、付勢手段によってクラッチ操作を助勢する構成を採りながら、クラッチ操作時に操作者に違和感を与えることがなく、しかも、クラッチの切断・接続を確実に行えるようにすることを目的とする。
この目的を達成するため、第1のクラッチレバー用操作補助装置は、クラッチレバー側に接続された入力部材と、この入力部材に連結手段を介して連結されるともにクラッチの***作部材に接続された出力部材と、前記クラッチレバーによる操作力を助勢する付勢手段とを備えたクラッチレバー用操作補助装置であって、前記連結手段を、前記入力部材の移動量に対する前記出力部材の移動量の割合がクラッチ操作の途中で変化する構成としたものである。
これにより、クラッチレバーの操作量に対するクラッチの作動量をクラッチ操作の途中で変えることができる。クラッチレバーを操作するときの操作力は、クラッチの作動量に対応して変化するから、前記操作力を設定するうえで自由度を高くすることができる。
第2のクラッチレバー用操作補助装置は、第1のクラッチレバー用操作補助装置において、入力部材の移動量に対する出力部材の移動量の割合を、クラッチ切断行程においてクラッチが切断され始める位置付近(クラッチを接続する行程においては、クラッチの接続が終了する位置付近)では相対的に小さくするとともに、クラッチレバーの操作量が最大となる位置付近では、入力部材の移動量に対する出力部材の移動量の割合を相対的に大きくする構成とされているものである。
これにより、クラッチ切断行程においてクラッチが切断され始める位置付近では、てこの原理を用いる場合と同様に操作力を小さくすることができるから、このときには、クラッチレバーの操作に対してクラッチの動作が緩やかになる。一方、クラッチレバーの操作量が最大となる位置付近では、クラッチの動作量を相対的に増大させることができる。
第3のクラッチレバー用操作補助装置は、第2のクラッチレバー用操作補助装置において、出力部材の総移動量が入力部材の総移動量と略等しくなるものである。
これにより、クラッチレバーを戻しきり位置から引ききり位置まで操作したときのクラッチの***作部材の移動量を、一般的なクラッチ(クラッチレバーがクラッチワイヤーによってクラッチに直接接続されたクラッチ)の***作部材の移動量と略等しくすることができる。このため、この発明に係るクラッチレバー用操作補助装置は、クラッチレバーがクラッチワイヤーを介してクラッチに接続されている既存のクラッチにそのクラッチの構成を何ら変更することなく装着することができる。
第4のクラッチレバー用操作補助装置は、第1ないし第3のうち何れか一つのクラッチレバー用操作補助装置において、クラッチが接続する位置付近で付勢手段の押圧力が0となるものである。
これにより、付勢手段によりクラッチレバーの操作力を助勢する構成を採っているにもかかわらず、付勢手段の押圧力によってクラッチの摩擦板を押圧する力が低減されることはない。
第5のクラッチレバー用操作補助装置は、第4のクラッチレバー用操作補助装置において、クラッチレバーが戻り側端部に位置している状態で生じる付勢手段のクラッチ接続方向への押圧力を相殺する相殺用ばねを備えているものである。
これにより、前記相殺用ばねの弾発力によって、いわゆる逆アシスト力を相殺することができる。
第6のクラッチレバー用操作補助装置は、第5のクラッチレバー用操作補助装置において、相殺用ばねは、クラッチレバーの操作により前記クラッチ接続方向への押圧力が解消された状態でも蓄勢された状態を維持する構成とされているものである。
これにより、相殺用ばねは、自らの弾発力によって最大伸張時にも両端部の位置が規制されるようになる。
以上のように、上記第1のクラッチレバー用操作補助装置によれば、入力部材の移動量に対する出力部材の移動量の割合を変えることによって、操作力を設定するうえで自由度を高くすることができるから、従来の一般的なクラッチの操作感覚に近付くようにクラッチ操作時の操作力を変化させることができる。したがって、付勢手段によってクラッチ操作を助勢する構成を採りながら、操作者に違和感を与えることがないクラッチレバー用操作補助装置を提供することができる。
上記第2のクラッチレバー用操作補助装置によれば、クラッチ切断操作においてクラッチが切断され始める位置付近では、てこの原理を用いる場合と同様に操作力を小さくすることができるとともに、クラッチレバーの操作に対してクラッチの動作が緩やかになる。このため、このときには、クラッチの切断・接続を軽くかつ円滑に行うことができるようになる。また、クラッチレバーの操作量が最大となる位置付近では、クラッチの動作量が相対的に多くなるから、クラッチのストローク不足を解消することができ、クラッチを完全に切断状態とすることができる。
上記第3のクラッチレバー用操作補助装置によれば、クラッチレバーがクラッチワイヤーを介してクラッチに接続された既存のクラッチに、このクラッチの構成を何ら変更することなく装着することができるから、コストダウンを図りながら、クラッチの操作性を向上させることができる。
上記第4のクラッチレバー用操作補助装置によれば、付勢手段によってクラッチレバーの操作力を助勢する構成を採っているにもかかわらず、付勢手段の押圧力によってクラッチの摩擦板を押圧する力が低減されることはないから、クラッチの伝達トルクが低減されることを阻止することができる。
上記第5のクラッチレバー用操作補助装置によれば、相殺用ばねによって、付勢手段を設けることにより生じるいわゆる逆アシスト力を相殺することができるから、クラッチ操作をより一層容易に行うことができる。
上記第6のクラッチレバー用操作補助装置によれば、相殺用ばねは、自らの弾発力によって最大伸張時にも両端部の位置が規制されるから、振動により他の部材と接触することによって騒音を発生することを阻止することができる。
11,71,81,101…操作補助装置、13…クラッチ、15…クラッチレバー、22…***作レバー、23…出力側クラッチワイヤー、24…入力側クラッチワイヤー、31,73,82,102…入力部材、32,75,89,107…出力部材、33…カム機構、34…助勢用圧縮コイルばね、35…逆アシスト力相殺用圧縮コイルばね、37,84…第1のレバー、38,86…第2のレバー、51,90,108…カム溝、52,88,105…カムフォロア、74…連結用ピン、85…リンク、106…付勢手段。