JP4634594B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶表示装置に係り、特に、周辺シール材を介して互いに貼り合わされた2枚の透明基板間にネマチック液晶が封入されたネガ型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、パソコンのディスプレイや車載用の表示装置として、液晶表示装置が使用されていた。
【0003】
図7は、このような液晶表示装置の一例を示したものであり、この液晶表示装置1は、例えばガラス基板等の互いに対向する2枚の透明基板2を有している。
【0004】
両透明基板2の互いに対峙する両内側表面には、例えばマトリクス電極等の透明電極3,4が形成されている。
【0005】
ここで、前記透明電極3,4をマトリクス電極にする場合、一方の透明電極3を、紙面垂直方向に所定間隔を設けて縞状にパターニングし、他方の透明電極4を、前記縞状に直交するようにして同じく縞状にパターニングするようになっている。従って、図7における上下の縞状の透明電極3,4を重ね合わせると、重なった部位の平面形状は格子状になる。
【0006】
前記一方の透明電極3の縞の数をX本とし、他方の縞の数をY本とすると、両透明電極3,4の交差する部分がX×Y個存在することになる。そして、これら複数個の交差部位によって複数個の画素が形成されるようになっている。
【0007】
前記両透明基板2は、周辺シール材5を介して互いに貼り合わされており、両透明基板2および前記周辺シール材5によって囲繞された空間内には、90°の捻れ配向を有するネマチック液晶7が封入されている。
【0008】
すなわち、前記ネマチック液晶7を構成する液晶分子のうち、両透明基板に近接する両端の液晶分子は、互いに直交する方向にラビング処理が施された一対の配向膜8によってそれぞれ初期配向を規制されており、これによって前記90°の捻れ配向が形成されるようになっている。
【0009】
そして、前記ネマチック液晶7のうち、電圧が印加された画素間の液晶のみが、配向を部分的に変化させることによって光を透過させて点灯表示を行うようになっている。一方、電圧が印加されない画素間の液晶は、遮光状態を維持するようになっている。
【0010】
液晶表示において、オフセグメントに対応する領域のように一時的に点灯表示が行われていない領域や、非表示領域のように点灯表示が全く行われない領域等のいわゆる背景領域は、液晶表示装置1の表示品位を向上させるため、良好な遮光度を有することが必要とされている。例えば、白黒の液晶表示を行う場合、前記背景領域は有彩色による着色のない黒色になっていることが必要とされる。以下、本明細書において、前記背景領域の遮光度を背景黒化度と称する。
【0011】
さらに、従来から、前記液晶表示装置1においては、良好なコントラストを得る等の観点から、前記ネマチック液晶7の液晶層の厚さであるセルギャップdと、液晶分子の屈折率異方性Δnとの積Δndを一定の範囲内に規制するようになっていた。すなわち、いわゆるファーストミニマムにおいてはΔndを0.6μm付近の値に設定し、セカンドミニマムにおいてはΔndを1.3μm付近の値に設定するようになっていた。
【0012】
また、前述した背景黒化度は、Δndの値に依存していることが知られており、いわゆるサードミニマムにおいては、Δndを1.9μm付近の値に設定することにより、ファーストミニマムやセカンドミニマムの場合よりも背景黒化度が大きくなるようになっている。さらに、サードミニマムよりもΔndを大きい値に設定することができるが、かかる場合、背景黒化度をより大きくすることが可能である。
【0013】
以上のような構成を有する液晶表示装置1を用いて液晶表示を行う場合は、各画素間に選択的に電圧を印加して液晶の配向を部分的に変化させることにより、文字や画像等の所望の液晶表示を行うようになっていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来から、前記液晶表示装置においては、表示画面に対する視角の変化に応じて背景領域が色変化を起こすといった背景黒化度の角度依存性の問題が生じていた。
【0015】
また、Δndの値は、温度上昇にともなって減少することが知られており、このΔndの減少によって高温度下における液晶表示の際に背景領域に赤色の着色が生じてしまうとった背景黒化度の温度依存性の問題が生じていた。
【0016】
このような問題を解決するため、例えば液晶材料中に青系の二色性色素を添加することによって着色を除去することが考えられる。
【0017】
しかし、かかる場合においても、特に、Δndがサードミニマムに相当する値以上になると、背景黒化度が大きくなることによって黒色の部位と有彩色による着色が生じた部位との識別がつきやすくなり、却って背景領域の視角にともなう色変化や温度上昇にともなう着色が視認されやすくなってしまう。
【0018】
また、例えば、車載用の液晶表示装置の場合、−20℃以下の低温度環境下や、80℃を超える高温度環境下といった広範囲の温度環境下における液晶表示を適正に行うことが必要とされている。このような液晶表示装置の場合、温度変化に対する液晶の耐候性が要求されるが、前述した二色性色素を液晶材料中に添加すると、液晶材料の粘性が高くなってしまため、特に低温度環境下における液晶の応答速度が遅くなってしまう。
【0019】
さらに、二色性色素を添加すると、液晶の耐久性が低減してしまうため、液晶の劣化が促進され、ひいては液晶表示装置の製品寿命が短縮化するといった問題が生じてしまうことがあった。
【0020】
このため、従来は、液晶の耐久性や応答特性に影響を与えることなく背景黒化度の角度依存性や温度依存性を抑制することができないといった問題が生じていた。
【0021】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、液晶の耐久性や低温応答性に影響を与えることなく背景黒化度の角度依存性や温度依存性を抑制することができ、コントラストに優れた高品位の液晶表示を行うことができる液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明に係る液晶表示装置の特徴は、偏光板がその偏光軸が一方の配向膜のラビング方向に対してほぼ平行またはほぼ直交するように配置され、光源と前記一方の偏光板との間に、視感度透過率が25%以上であり、かつ色度がCIE色度図のx座標において0.18≦x≦0.27、y座標において0.22≦y≦0.33で囲まれる範囲のカラー層が設けられている点にある。
【0023】
そして、このような構成を採用したことにより、前記カラー層によって耐久性や低温応答性に影響を与えることなく背景黒化度の角度依存性や温度依存性を抑制することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る液晶表示装置の実施形態を図1乃至図6を参照して説明する。
【0025】
なお、従来と基本的構成の同一またはこれに類する箇所については同一の符号を用いて説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態における液晶表示装置10は、例えばガラス基板等の、互いに平行とされた平面略長方形状の2枚の透明基板11,12を有しており、これらの透明基板11,12のうち、一方は、表示画面側となるフロント側基板11とされ、他方は、バックライト14側となるリヤ側基板12とされている。
【0027】
前記フロント側基板11および前記リヤ側基板12の互いに対峙する両内側表面には、例えばマトリクス電極を形成するための透明電極3,4が形成されている。
【0028】
さらに、各透明電極3,4上には、フロント側配向膜15およびリヤ側配向膜16からなる一対の配向膜15,16が形成されており、各配向膜15,16には、図2に示すようにそれぞれ互いに直交する方向15a,16aにラビング処理が施されている。
【0029】
前記フロント側基板11および前記リヤ側基板12は、周辺シール材5を介して互いに貼り合わされており、両基板11,12および前記周辺シール材5によって囲繞された空間内には、図2に示すように90°の捻れ配向を有するネマチック液晶18が封入されている。
【0030】
すなわち、前記ネマチック液晶18の液晶分子18aのうち、両基板11,12に近接する両端の液晶分子18aは、互いに直交する方向にラビング処理が施された前記フロント側配向膜15および前記リヤ側配向膜16によってそれぞれ初期配向を規制されている。このため、前記90°の捻れ配向が形成されるようになっている。
【0031】
前記フロント側基板11および前記リヤ側基板12の外側には、フロント側偏光板20およびリヤ側偏光板21からなる一対の偏光板20,21が配設されており、両偏光板20,21の偏光軸20a,21aは互いに平行とされている。
【0032】
また、前記偏光板20の偏光軸20aと配向膜15のラビング方向15aとは±5°の範囲で互いにほぼ直交しており、かつ、前記偏光板21の偏光軸21aと配向膜16のラビング方向16aとは、±5°の範囲で互いにほぼ平行になっている。
【0033】
また、前記ネマチック液晶18の屈折率異方性Δnと、液晶層の厚さであるセルギャップdとの積算値Δndは、1.8乃至2.5μmとされている。
【0034】
そして、本実施形態における液晶表示装置は、前記リヤ側偏光板とバックライトとの間に、カラー層としてのカラーフィルタ22を有している。このカラーフィルタ22は、視感度透過率が25%以上とされ、かつ色度がCIE色度図のx座標において0.18≦x≦0.27、y座標において0.22≦y≦0.33で囲まれる範囲とされている。
【0035】
従って、背景領域の視角にともなう色変化や高温駆動下における赤色の着色の発生を防止することができるようになっている。
【0036】
また、このような背景領域の色変化や着色の防止を、液晶材料中に二色性色素を添加することなく行うことができるため、液晶の応答速度を良好に保持することができるとともに、液晶の劣化を防止することができるようになっている。
【0037】
さらに、通常、バックライトの光は、点灯領域において、わずかに黄色を帯びた白色として表示されるが、本実施形態においては、前記黄色を帯びた白色と補色の関係にある前記カラーフィルタ22を透過して青色を帯びた光が点灯領域に出射されるので、点灯領域の色が純粋な白色になるようになっている。
【0038】
このため、特に、白黒等の単一色による液晶表示を行う場合、白色を明瞭に表示することができるため、コントラストを向上することができるようになっている。
【0039】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0040】
まず、初期状態において、透明電極間3,4に電圧は印加されておらず、ネマチック液晶18は図2に示すように90°の捻れ配向を有している。
【0041】
この状態において、バックライト14を点灯させると、バックライト14から出た光は、カラーフィルタ22を透過した後、リヤ側偏光板21によって図2における縦方向へ振動する光のみが透過光として透過され、他の光は吸収される。
【0042】
前記リヤ側偏光板21によって透過された透過光は、ネマチック液晶18によって90°旋光された後、フロント側偏光板20側に進行するが、このフロント側偏光板20の偏光軸20aと前記透過光の振動方向とは互いに直交するため、この透過光はすべてフロント側偏光板20に吸収される。
【0043】
このため、初期状態における液晶表示装置10は、非表示状態となっている。
【0044】
次に、初期状態から液晶表示装置10の駆動を行う場合は、バックライト14を点灯させた後、点灯表示を行う領域に対応する画素間に、電圧を印加する。
【0045】
前記電圧が印加された画素間に位置するネマチック液晶18の液晶分子は、捻れ配向を有する状態から図3に示すようにセルギャップd方向に配向を変化させ、透過光の旋光を解除する。
【0046】
これにより、前記リヤ側偏光板21から液晶18側に透過された透過光は、ネマチック液晶18による旋光を受けずに同一の振動方向を維持した状態でフロント側偏光板20側に進行する。
【0047】
そして、フロント側偏光板20側に進行した透過光の振動方向と前記フロント側偏光板20の偏光軸20aとは互いに平行であるため、このフロント側偏光板20による光の透過によって点灯表示が行われる。
【0048】
このとき、バックライトとリヤ側偏光板との間には、前記カラーフィルタ22が配設されているため、背景領域の視角にともなう色変化を防止することができる。
【0049】
また、液晶表示装置10を高温度下で駆動する場合においても、Δndの低下にかかわらず、背景領域に赤色の着色が生じることを防ぐことができる。
【0050】
さらに、このような着色の防止を液晶材料中に二色性色素を添加することなく行うことができるため、液晶の応答速度を良好に保持することができるとともに、液晶の劣化を防ぐことができる。
【0051】
また、黄色の補色となる前記カラーフィルタ22を透過して青色を帯びた光が、点灯領域に出射されるので、点灯領域の色が純粋な白色になるため、良好なコントラストによる白黒表示を行うことができる。
【0052】
次に、本実施形態における液晶表示装置10の実施例について表1乃至表5を参照して説明する。
【0053】
【実施例1】
本実施例1においては、試料No.1乃至4の液晶表示装置(以下、単に試料と称する)についての表示品位の試験を、背景色、ON表示色および高温における背景色について行った。
【0054】
なお、背景色およびON表示色の測定では、明るさのパラメータが含まれるCIE1976(L*u*v*)空間座標を用いた。これは、ある色の座標空間距離が、どの色領域でも、ほぼ知覚的な色差に一致するように定められたものである。
【0055】
すなわち、u*、v*が0に近くなるほどC光源色に近いことを表すものであり、暗い背景色や、明るいON表示色を同時に評価する場合に適するものである。
【0056】
前記No.1乃至4の各試料は、それぞれ90°の捻れ配向を有するようにラビング処理が施され、セルギャップdが9.0μmとされたセルに、屈折率異方性Δnが0.207のネマチック液晶18を封入したものである。なお、このときのΔndは、1.86μmとなる。
【0057】
また、フロント側偏光板20の偏光軸20aとフロント側配向膜15のラビング方向15aとは互いに直交しており、リヤ側偏光板21の偏光軸21aとリヤ側配向膜16のラビング方向16aとは互いに平行になっている。
【0058】
さらに、各試料のリヤ側偏光板21とバックライト14との間に、カラーフィルタ22が設置されている。
【0059】
このカラーフィルタ22には、x=0.2112から0.2584、y=0.2420から0.3148のものを用いた。
【0060】
以下、本実施例1の試験結果を表1に示す。なお、表1において、角度特性目視評価とは、背景黒化度の角度依存性の評価を意味するものである。
【0061】
【表1】
【0062】
表1に示すように、試料No.1乃至4の試料は、いずれも表示画面に対する視角を変化させても背景領域の色変化が生じなかったため、背景黒化度の角度依存性が抑制されていることが確認された。
【0063】
また、高温度下においても背景領域に有彩色による着色が生じないため、高温度下においても優れた背景黒化度を発揮することが確認された。
【0064】
さらに、点灯領域のON表示色が白色であるため、良好な液晶表示を行うことが確認された。
【0065】
【比較例1】
前記実施例1の比較対象として、本比較例1においては、試料No.5乃至8の試料を用いて前記実施例1と同様の表示品位の試験を行った。
【0066】
なお、試料No.5乃至8の試料は、液晶7の捻れ、セルギャップdおよびΔnd等の基本的構成は前記実施例1と同一とされている。
【0067】
ただ、試料No.5乃至7については、カラーフィルタとして、x=0.2854、0.1592および0.1335、y=0.3151、0.2911および0.3339のものを用いた。
【0068】
また、試料No.8については、リヤ側偏光板とバックライトとの間にカラーフィルタを有しないものを用いた。
【0069】
以下、本比較例1の試験結果を表2および表3に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
表2に示すように、試料No.5の試料は、背景色の角度特性が悪く、表示画面に対する視角を直角から斜めに傾けると、赤色を帯びた赤抜けと称する着色状態が確認された。また、高温度においては、全体に赤抜けが確認された。
【0073】
さらに、試料No.6および7の試料は、ON表示色すなわち点灯領域の色が青く着色してしまい、表示品位に問題のある見栄えであった。
【0074】
また、表3に示すように、試料No.8の試料は、高温度下において背景領域にやや緑色の着色が生じてしまうことが確認された。また、表示画面に対して視角を変化させると背景領域の色が赤く変化することが確認された。さらに、点灯領域の表示色がやや黄色を帯びた白色であることが確認された。
【0075】
以上、実施例1および比較例1に示したように、本実施形態を採用することによって表示品位を向上させることができるとともに、視角にともなう背景領域の色変化を防止することができることが分かる。
【0076】
なお、図4は、試料No.1乃至7の試料に用いたカラーフィルタの色度グラフを示すものである。
【0077】
図4の結果から、カラーフィルターの色度範囲として、前述した試料No.1乃至4の試料とほぼ同一の範囲内に属するx=0.18乃至0.27、y=0.22乃至0.33の範囲を選択することによって良好な表示特性を得られることが推定される。
【0078】
【実施例2】
次に、本実施例2においては、前述した試料No.2の試料についての表示品位の試験を、−30℃の低温度下における液晶の応答特性、背景色、ON表示色および高温における背景色について行った。
【0079】
以下、本実施例2の試験結果を表4に示す。
【0080】
【表4】
【0081】
表4に示すように、試料No.2の試料は、−30℃において、液晶の立ち上がり時間が6150ms、立ち下がり時間が5900msとなった。
【0082】
これは、液晶の応答特性として、実用上問題のないレベルである。
【0083】
【比較例2】
前記実施例2の比較対象として、本比較例2においては、配向、セルギャップdおよびΔnd等の基本的構成については実施例2と同様とされ、リヤ側偏光板とバックライトとの間にカラーフィルタを設置する替わりに、液晶材料中に青系の二色性色素を0.5重量%添加した試料を用いて前記実施例2と同様の試験を行った。
【0084】
以下、本比較例2の試験結果を表5に示す。
【0085】
【表5】
【0086】
表5に示すように、本比較例2の試料は、表示色は良好であったが、−30℃における応答特性が、立ち上がり時間と立ち下がり時間を足して15秒を超えてしまった。
【0087】
これは、実用上問題があるレベルといえる。
【0088】
以上、実施例2および比較例2に示したように、本実施形態を採用することによって、低温度下における液晶の応答特性に影響を与えずに液晶表示装置の表示品位を向上させることができることが分かる。
【0089】
なお、図5は、参考として、試料No.1乃至8の試料および比較例2の試料についての背景色の試験結果を色度図上に示したものである。
【0090】
また、図6は、試料No.1乃至8の試料および比較例2の試料についての表示色の試験結果を色度図上に示したものである。
【0091】
【実施例3】
本実施例3においては、前記実施例1の各試料を95℃の高温度環境下に1000時間放置し、画素間に流れる電流値の変化を調べた。
【0092】
その結果、電流値は、初期値に対して1.38倍ほどであり、実用上問題のないレベルであった。
【0093】
【比較例3】
前記実施例3の比較対象として、配向、セルギャップdおよびΔnd等の基本的構成については実施例3と同様とされ、リヤ側偏光板とバックライトとの間にカラーフィルタを設置する替わりに、液晶材料中に青系の二色性色素を0.5重量%添加した試料を用いて前記実施例3と同様の試験を行った。
【0094】
その結果、電流値は、初期値に対して3.10倍であった。
【0095】
これは、著しく表示品位を損なうものではないが、二色性色素によって液晶材料に劣化が生じていることが分かる。
【0096】
以上、実施例3および比較例3に示したように、本実施形態を採用することによって液晶の耐久性を向上しつつ良好な表示特性を得られることが推定できる。
【0097】
従って、本実施形態によれば、Δndがサードミニマム以上の液晶表示装置10によって背景黒化度を向上させることができるとともに、かかる背景黒化度の角度依存性や温度依存性を、ネマチック液晶18の耐久性や低温応答性を良好に保持しつつ抑制することができる。
【0098】
また、点灯領域の色を純粋な白色にすることができるため、特に白黒やモノクロカラーによる液晶表示を良好なコントラストで行うことができる。
【0099】
なお、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0100】
【発明の効果】
以上述べたように本発明に係る液晶表示装置によれば、低温応答特性や耐久性に影響を与える二色性色素を用いることなく背景黒化度の角度依存性や温度依存性を抑制することができ、コントラストに優れた高品位の液晶表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の実施形態を示す断面図
【図2】本発明に係る液晶表示装置の実施形態において、遮光状態を示す分解斜視図
【図3】本発明に係る液晶表示装置の実施形態において、光透過状態を示す分解斜視図
【図4】本発明に係る液晶表示装置の実施形態において、カラーフィルタの色度を異ならせた各試料についての表示品位の試験結果をCIE色度図上に表した図
【図5】本発明に係る液晶表示装置の実施形態において、カラーフィルタを搭載した図4の各試料およびカラーフィルタの替わりに液晶材料中に二色性色素を含有した試料についての背景色の試験結果を色度図上に示した図
【図6】本発明に係る液晶表示装置の実施形態において、カラーフィルタを搭載した図4の各試料およびカラーフィルタの替わりに液晶材料中に二色性色素を含有した試料についてのON表示色の試験結果を色度図上に示した図
【図7】従来の液晶表示装置を示す概略断面図
【符号の説明】
3,4 透明電極
5 周辺シール材
10 液晶表示装置
11 フロント側基板
12 リヤ側基板
15 フロント側配向膜
16 リヤ側配向膜
18 ネマチック液晶
20 フロント側偏光板
21 リヤ側偏光板
22 カラーフィルタ
Claims (1)
- 周辺シール材を介して貼り合わされた2枚の透明基板の互いに対峙する両内側表面に、少なくとも透明電極と所定方向へのラビング処理が施された配向膜とが形成され、前記両透明基板および前記周辺シール材によって囲繞された空間内に、90°の捻れ配向を有するネマチック液晶が封入され、前記両透明基板の外側に、互いに平行な偏光軸を有する一対の偏光板が配設されるとともに一方の偏光板の外側に光源が設置され、前記ネマチック液晶の液晶層の厚さであるセルギャップdと、液晶分子の屈折率異方性Δnとの積Δndが1.8乃至2.5μmに設定されている液晶表示装置において、
前記偏光板がその偏光軸が一方の配向膜のラビング方向に対してほぼ平行またはほぼ直交するように配置され、前記光源と前記一方の偏光板との間に、視感度透過率が25%以上であり、かつ色度がCIE色度図のx座標において0.18≦x≦0.27、y座標において0.22≦y≦0.33で囲まれる範囲のカラー層が設けられていることを特徴とする液晶表示装置。
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