JP4633585B2 - 樹脂含有積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
なお、セラミック板を貼り合わせて形成された積層体では、使用するにつれて界面(貼り合わせた面)が剥離することがある。また、無機や金属などの粉体を粉体のまま積層してプレス成形して積層体を形成すると、粉体を積層する工程や成形のために加圧する工程に時間がかかり、積層体を製造するのに時間がかかる。
上記第一の押出機構はペレット用素材を不定形の状態で押し出して導入部に導入すればよいので、ペレット用素材の押出流量は制限されない。充てん材の配合割合が樹脂の配合割合以上のフィラー高充填の素材は流動性が小さいが、このような流動性の小さいペレット用素材であっても、押出流量が制限されないことにより単位時間当たり大量のペレットを形成することが可能である。
上記混練工程では、流動状態の樹脂を少なくとも有する複数の積層用素材のそれぞれを別々に混練する。同複数の積層用素材は、充てん材の配合割合が0重量%以上100重量%未満の範囲であり、少なくとも一つ以上の積層用素材では上記ペレット用素材に含まれる充てん材および樹脂が用いられて当該充てん材の配合割合が当該樹脂の配合割合以上とされている。ここで、少なくとも充てん材の配合割合が樹脂の配合割合以上の積層用素材については、ペレット化工程にて形成されたペレットを少なくとも原料として、複数の積層用素材のそれぞれが別々に混練される。
上記積層工程にて、各混練された積層用素材が別々に第二の押出機構にて押し出され、当該各混練された積層用素材が積層された状態にされる。
そして、上記成形工程にて、積層された状態の積層用素材が成形されて樹脂含有積層体が形成される。
上記積層用素材には少なくとも樹脂と0重量%以上100重量%未満の充てん材とが含まれていればよいため、積層用素材に充てん材と樹脂以外の第三の素材が含まれていてもよく、この場合も請求項1記載の発明に含まれる。
ペレット化工程にて形成されたペレットを原料とする積層用素材は少なくとも充てん材の配合割合が樹脂の配合割合以上の素材であればよいため、充てん材の配合割合が樹脂の配合割合未満の積層用素材についても同ペレットを原料として混練してもよく、この場合も請求項1記載の発明に含まれる。積層用素材の原料としてペレットを用いる際、同ペレットを少なくとも原料として積層用素材を混練すればよいため、同ペレットとは異なる素材も原料に用いてもよく、この場合も請求項1記載の発明に含まれる。
充てん材は、微粒状の無機または金属の充てん材、木粉といった微粒状の木質系材料、等、様々なものが考えられる。ここで、微粒状は、粉末状ないしペレットよりも細かい粒状をいい、粉末状や微細な繊維状を含む。以下、同じである。
流動状態の樹脂は、例えば、加熱軟化した熱可塑性樹脂、液状の熱硬化性樹脂、等が考えられる。
第一・第二(第一および第二)の押出機構は、様々な構成が考えられ、汎用的な一軸スクリュー混練押出機や多軸スクリュー混練押出機などを適用することができる。
すると、複数種類のフィラーを混合したときの性質が十分に残された層を有して各フィラー濃度を別々に異ならせた新規の樹脂含有積層体が得られる。
ここで、上記充てん材は、少なくとも第一・第二の充てん材からなるため、第一・第二の充てん材および第三以上の充てん材から構成されてもよい。また、各積層用素材で各充てん材毎に配合割合が異なっていればよいため、各積層用素材で充てん材の配合割合の合計が同じであってもよい。
ここで、積層用素材における充てん材と熱可塑性樹脂の好ましい配合割合は、充てん材51〜99重量%(より好ましくは70〜95重量%)、熱可塑性樹脂1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)である。ペレット用素材における充てん材と熱可塑性樹脂の好ましい配合割合は、充てん材51〜99重量%(より好ましくは70〜95重量%)、熱可塑性樹脂1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)である。
さらに、第二の冷却機構にて積層用素材の成形物を冷却して樹脂含有積層体を形成する第二冷却工程をさらに備える構成にしてもよい。すると、積層用素材の成形物を速やかに固化させて樹脂含有積層体を形成することができる。また、樹脂含有積層体どうしが相互に接着してしまうことを防止することができる。さらに、樹脂含有積層体を焼成して焼成体を製造する場合には、積層用素材の成形物を冷却することにより容易に樹脂含有積層体を適宜保管することができ、保管した樹脂含有積層体を用いて焼成体を製造することも可能となるので、焼成体の生産の自由度を向上させることができる。
上記熱可塑性樹脂は、上記第二加熱工程にて加熱された成形用素材の温度におけるMFR(1999年改正後のJIS K7210に規定されるメルトマスフローレイト)が10g/10min以上(好ましくは100g/10min以上)とされている構成としてもよい。すると、積層用素材から樹脂含有積層体の形状に成形する時に良好な流動性が得られ、単位時間当たりの樹脂含有積層体の生産量を向上させることができる。
上記合成樹脂が熱硬化性樹脂であると、従来できなかった熱硬化性樹脂を原料とした成形体を製造することができる。
(1)樹脂含有積層体の製造方法の説明:
(2)本製造方法に用いられる製造装置の構成:
(3)樹脂含有積層体の製造方法の作用、効果:
(4)各種変形例:
図1は、本発明の一実施形態にかかる樹脂含有積層体の製造方法の概略を示す流れ図である。図2は、熱可塑性樹脂を用いてペレットを形成する過程を示す概略の流れ図である。図3と図4は、熱可塑性樹脂を用いたペレットを用いて樹脂含有積層体を製造する過程を示す概略の流れ図である。本樹脂含有積層体の製造方法は、ペレット用素材からペレットを形成するペレット化工程S1と、溶融状態(流動状態)の樹脂M2を少なくとも有する複数の積層用素材のそれぞれを別々に混練する混練工程S2と、各混練された積層用素材M21〜M23を別々に押出機構(第二の押出機構)A11〜A13にて押し出し、当該各混練された積層用素材を積層された状態にする積層工程S3と、積層された状態の積層用素材M24を成形して樹脂含有積層体M25を形成する成形工程S4とを備える。
混練工程S2では各積層用素材を別々に所定の押出機構A11〜A13にて混練するが、少なくとも充てん材M1の配合割合が樹脂M2の配合割合以上の積層用素材についてはペレット化工程S1にて形成されたペレットを少なくとも原料として、各積層用素材を別々に混練して混練された積層用素材M21〜M23を生成する。各積層用素材は、充てん材を含まない溶融状態の樹脂M2のみの場合もあれば、充てん材M1と溶融状態の樹脂M2とを含む場合もある。充てん材M1と樹脂M2との配合割合は、充てん材M1の配合割合が樹脂M2の配合割合以上の場合もあれば、充てん材M1の配合割合が樹脂M2の配合割合より少ない場合もある。同積層用素材には、第三の素材M3、第四の素材、…が含まれてもよい。
木質系材料を用いて焼成用の樹脂含有積層体を形成する場合、窒素ガスや炭酸ガスやアルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で樹脂含有積層体を焼成することにより、木質系材料を燃焼させることなく炭化させて焼成体を形成することができる。
樹脂M2が溶融状態であれば、そのまま充てん材M1と混合して軟化したペレット用素材とすることができる。樹脂M2が熱可塑性樹脂である場合、加熱機付き混練押出機に対して固形の原反として樹脂M2を投入可能である。ここで、熱可塑性樹脂を図3の第二の加熱機構A37〜A39にて加熱された積層用素材の温度におけるMFRが10g/10min以上(好ましくは100g/10min以上)の樹脂とすると、成形用素材から樹脂含有積層体の形状に成形する時に良好な流動性が得られ、単位時間当たりの樹脂含有積層体の生産量を向上させることができる。PPのような熱可塑性樹脂では、一般に分子量が小さくなるほど流動性が大きくなる(MFRが大きくなる)ため、比較的低分子量の熱可塑性樹脂を用いると良好な流動性が得られる。樹脂としてPPを用いる場合、200〜230℃程度で積層用素材から樹脂含有積層体への成形を行うため、この温度範囲内のMFRが10以上(100以上)のPPを使用すればよい。なお、JIS K7210に関連するISO規格に規定されているPPの試験条件はJIS K7210の附属書A表1の条件M(試験温度230℃)であるため、この条件でのMFRが10以上(100以上)のPPを用いてもよい。なお、同じ条件下でMFRが大きい樹脂であるほど積層用素材から樹脂含有積層体への成形が容易となるため、素材中の樹脂の配合割合をより少なくさせることができる。
焼成体を形成する樹脂含有積層体の場合、樹脂M2が無機成分や金属成分を含まない化合物とされていると、樹脂含有積層体を焼成したときに残留しないので、不要成分の無い良質の焼成体を製造することができる。焼成時に残留しない樹脂M2としては、C(炭素)原子とH(水素)原子とO(酸素)原子のみからなる高分子化合物が非常に好ましいが、さらにハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む高分子化合物でもよい。
なお、充てん材M1の性質を十分に残すための充てん材M1と樹脂M2の好ましい配合割合は、充てん材51〜99重量%(より好ましくは70〜95重量%)に対し、樹脂1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)である。充てん材を51重量%(70重量%)以上とするのは充てん材の性質を十分に残すためであり、樹脂を1重量%(5重量%)以上とするのは積層用素材の流動性を十分に良好にさせ、樹脂含有積層体の保形性を十分に良好にさせるためである。
素材中の好ましい配合割合は、充てん材51〜99重量%(より好ましくは70〜95重量%)に対し、樹脂と相溶化剤の合計が1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)であり、相溶化剤のみが0.1〜5重量%である。充てん材を51重量%(70重量%)以上とするのは充てん材の性質を十分に残すためであり、樹脂と相溶化剤の合計を1重量%(5重量%)以上とするのは積層用素材の流動性を十分に良好にして、樹脂含有積層体の保形性を十分に良好にさせるためである。また、樹脂と相溶化剤との好ましい配合比は、樹脂50〜99重量%に対し、相溶化剤1〜50重量%である。
熱可塑性樹脂をマレイン酸で変性した酸変性合成樹脂を製造するには、付加重合前の熱可塑性樹脂の原料にマレイン酸を添加して付加重合を行えばよい。すると、付加重合後の高分子には、親水基の一つであるカルボキシル基が付加される。従って、酸変性合成樹脂は、充てん材M1とのなじみが良くなっている。
一般に、合成樹脂を有機酸で変性した酸変性合成樹脂を製造するには、重合前の合成樹脂の原料に有機酸を添加して重合を行えばよい。すると、重合後の高分子には、カルボキシル基が付加され、充てん材M1とのなじみが良くなる。
シランカップリング処理は、例えば特開平8−252813号公報に記載された方法で行うことができる。すなわち、イソプロピルアルコールまたは約5〜50体積%のイソプロピルアルコールを含む水の中に微粒状の無機素材または金属素材を高速ミキサで一様となるように十分に分散させ、生成したスラリーにオクタデシルトリエトキシシランを徐々に加え、60℃付近に維持して約15〜60分間撹拌し、その後遠心分離機でcake状の表面変性した無機素材または金属素材を分離し、約120℃で約5〜10時間乾燥すればよい。
図2は、樹脂M2として熱可塑性樹脂M6を用い、第三の素材M3として相溶化剤M7を用いたペレットの形成方法の例を示している。熱可塑性樹脂を用いる場合、第一の加熱機構A7にて充てん材M1と熱可塑性樹脂M6を少なくとも含むペレット用素材を加熱すると、熱可塑性樹脂M6を溶融状態にさせることができるので好適である。この場合、押出工程S11は、第一の加熱機構にて充てん材と当該充てん材と等重量以下の熱可塑性樹脂とが少なくとも含まれたペレット用原料を加熱して当該熱可塑性樹脂を溶融状態にさせる第一加熱工程を有することになり、この第一加熱工程にて加熱されたペレット用原料をペレット用素材として第一の押出機構A4にて混合して成形することなく不定形の状態で押し出す。なお、相溶化材M7等の第三の素材M3が加熱により溶融する素材であれば、第三の素材M3を固形の原反として押出機構A4に供給することができる。
第二の樹脂としては、上記樹脂M2に使用可能な樹脂を用いることができる。
ペレット成形機構は、例えば、直径3〜5mm程度の押出口を多数有するダイの各押出口から軟化状態の素材を略棒状に押し出してカッターにより長さ3〜7mm程度に切断してペレット形状に成形する成形機を用いることができる。
フィラー低充填のペレット用素材からペレットM12を形成する場合、ペレット用素材を不定形の状態で押し出さず、直接ダイから軟化状態のペレット用素材を略棒状に押し出してカッターにより切断してペレット形状に成形してもよい。充てん材無しの積層用素材については、樹脂M2と必要に応じて第三の素材M3とを積層用素材の原料としてもよい。充てん材無しの積層用素材が樹脂M2のみからなる場合、粒状の樹脂M2をそのままペレットM11として積層用素材の原料としてもよい。
樹脂M2として熱可塑性樹脂を用いる場合、第二の加熱機構A37〜A39にて積層用素材を加熱すると、積層用素材を軟化させることができるので好適である。
射出成形により樹脂含有積層体を形成すると、樹脂含有積層体を比較的複雑な形状に連続的に形成することができる点で好適である。
図5は、充てん材の配合割合の最小割合とした積層用素材が溶融状態の樹脂M2のみからなる場合に樹脂含有積層体を製造する過程を示している。この場合、ペレット化工程S1では、充てん材M1の配合割合の最大割合とした積層用素材の配合割合で充てん材M1と溶融状態の樹脂M2とが少なくとも含まれたペレット用素材からペレットM13を形成する。その際、図1で示したように、ペレット用素材を第一の押出機構A4にて混合しながら不定形の状態で押し出し、押し出した不定形の素材M4を不定形のまま導入部A5に導入してペレット形状に成形することによりペレットM13を形成する。混練工程S2では、積層用素材毎に、溶融状態の樹脂M2と最大割合の配合割合で形成されたペレットM13とを当該積層用素材の配合割合にさせる比率で混ぜて混練する。
また、積層用素材が樹脂M2と0重量%以上100重量%未満の充てん材M1と0重量%以上100重量%未満の第三の素材M3とからなる素材であり、全ての素材で充てん材M1と第三の素材M3の重量比が10:1として、各積層用素材中の重量比(充てん材と第三の素材との合計:樹脂)が、(A)0:100、(B)22:78、(C)44:56、(D)66:34、(E)88:12の5種類からなる場合、各積層用素材中の重量比(樹脂:ペレットM13)は、(A)〜(E)の順に100:0、75:25、50:50、25:75、0:100とすればよい。
例えば、積層用素材中の重量比(充てん材:樹脂)が、(A)20:80、(B)35:65、(C)50:50、(D)65:35、(E)80:20の5種類からなる場合、最大割合(E)の配合割合(充てん材:樹脂=80:20)で第一のペレットM13を形成し、最小割合(A)の配合割合(充てん材:樹脂=20:80)で第二のペレットM14を形成する。各積層用素材中のペレットM13,M14の重量比(第二のペレット:第一のペレット)は、(A)の積層用素材については100:0、(B)の積層用素材については75:25、(C)の積層用素材については50:50、(D)の積層用素材については25:75、(E)の積層用素材については100:0とすればよい。
図5と図6で示した製法により、積層用素材の積層数が多くても、各積層用素材の原料として用いるペレットの種類数が少なくなる点で好適である。
ペレット用素材に第一・第二の充てん材M31,M32の少なくとも一方と第一・第二の充てん材M31,M32を合計した重量と等重量以下の溶融状態の樹脂M2とが少なくとも含まれる場合、ペレット化工程S1では、当該ペレット用素材を第一の押出機構A4にて混合しながら不定形の状態で押し出して不定形のまま導入部A5に導入してペレット形状に成形することによりペレットを形成する。
各積層用素材を別々に混練する混練工程S2では、少なくとも充てん材M31,M32の合計の配合割合が樹脂M2の配合割合以上の積層用素材についてはペレット化工程にて形成されたペレットを少なくとも原料として、複数の積層用素材のそれぞれを別々に混練する。
以上の各工程により、樹脂含有積層体が製造される。
図8は本樹脂含有積層体の製造方法の実施に用いるペレット製造装置10の一実施形態の外観側面図であり、図9は当該ペレット製造装置の外観上面図である。同装置10は、概略、各装置11,12,13,20,14、制御盤15を備えている。制御盤15は、複数の操作ボタンと、本装置10の運転条件の設定や運転状態をモニタリングする操作ディスプレイとが前面に配置されている。本装置10の操作者は、この制御盤15を使用して各種操作を行う。なお、樹脂M2として熱可塑性樹脂を用いるものとして説明する。
材料供給装置11は、中空の略円筒形状に形成され、上面に開口部11a1を備えたホッパ装置11aを有している。ホッパ装置11aの内部には、撹拌翼11a2と、この撹拌翼11a2が接続されている撹拌翼接続円板11a3とが配置されており、この撹拌翼接続円板11a3はベルト11a4を介して撹拌翼駆動モータ11a5に接続されている。このモータ11a5の駆動がベルト11a4を介して円板11a3に伝達され、円板11a3と撹拌翼11a2が回転駆動する。微粒状の充てん材と断片形状の熱可塑性樹脂原反とを少なくともホッパ装置11aに投入すると、装置11a内に収容された素材は粒状のまま撹拌されつつ混合され、混合材料供給口11a6から素材搬送装置12に供給される。
ペレット成形装置20は、軟化状態の素材の押出方向を軸とした円筒形状の金属製外筒部21、同外筒部21の素材出口側(図の右側)の端部に取り付けられた金属製部材とされた出口部22、同出口部22の下側において開口31aを上側に向けて設置されて押し出される不定形の素材m1を導入する導入部31が設けられた粉砕機(粉砕機構)30、同粉砕機30にて粉砕された素材m2を導入する粉砕素材導入部24が形成された成形機用容器23、同容器23内に設けられた二つの押し込みローラ25,25、成形機用容器23の下側にて回転可能に取り付けられた金属製ダイフェースカッタ部26、同ダイフェースカッタ部26を回転駆動する電動モータ27、等を備えている。
外筒部21の左側には、素材流入口21aが設けられており、軟化状態の素材は素材搬送装置12から素材流入口21aに流入するようになっている。外筒部21内にスクリュー12gの先端部(左端部)が挿入されており、外筒部21内に搬送された軟化状態の素材は同スクリュー12gの回転動作により混合されながら右方向に押され、出口部22から右側に押し出され、不定形の素材m1として金属製の粉砕機用ホッパ32内に落下する。なお、素材搬送装置12と外筒部21と出口部22が押出機構を構成する。
出口部22には、成形用のダイではなく、製造されるペレットよりもはるかに径の大きい単一の開口22aが形成されており、軟化して混合された素材は同開口22aを貫通して成形されることなく不定形の状態で押し出される。
なお、素材の流動性は、JIS K7210に規定されたMFR(メルトマスフローレイト。単にメルトフローレイトともいう)に準拠して単位時間当たりにメルトフローレイト測定装置から押し出される素材の質量を測定することにより求められる流量(単位:g/10min)で表すことができる。この流量がJIS K7210に準拠して求められるMFRであり、以下、この流量を単にMFRとも呼ぶことにする。
通常、微粒状の充てん材と熱可塑性樹脂の配合比が重量比で70〜99.9:0.1〜30と充てん材の多い素材は、当該素材を試料として、押出機構内で不定形の素材が押し出される出口の位置(図11のP1)における素材の温度を試験温度θ(℃)とし、荷重Mnomを2.16kgとして、JIS K7210に準拠したMFRを測定すると、求められるMFRが1.0g/10min以下となる。MFRが小さいほど試料の流動性が小さいため、充てん材の多い素材は流動性が小さいことになる。例えば、MFRが50g/10minのポリプロピレン(熱可塑性樹脂)を80重量%、粒径1mm以下の微粒状の木粉を20重量%配合した素材では、押出機構の出口の素材温度180℃を試験温度θとし、荷重Mnomを2.16kgとしてMFRを測定すると、MFRは0.0g/10minとなるか、或いは測定することができなくなってしまう。
流動性の小さい素材については、ペレット成形用のダイ(押出口が直径1〜8mm)を外筒部の端部に取り付けた押出成形機における素材の排出圧力Pe(上記出口の位置P1に相当する位置における素材の圧力)が大きくなりすぎ、押し出すことが困難となって、ペレットを大量生産することができない。なお、排出圧力Peは、押出成形機内において上記出口の位置P1に相当する位置に圧力計の検出部を挿入して測定することができる。特に、排出圧力Peが25.0MPa以上となる流動性の低い素材では、ペレット成形用のダイを装着した押出成形機では機械の耐久性の観点からペレットの成形を行っていない。通常、微粒状の充てん材と熱可塑性樹脂の配合比が重量比で70〜99.9:0.1〜30である素材は樹脂が加熱軟化した状態で排出圧力Peが25.0MPa以上となってしまうが、このような流動性の小さい素材であっても本発明のペレット製造装置は押出機構にて混練しながら素材を押し出すことができ、ペレットを大量生産することが可能である。
粉砕機用ホッパ32は、出口部の開口22aから押し出された不定形の素材m1を一旦収容し、下部開口32bから略上下方向を中心軸とする円筒形状の金属製粉砕室33内へ供給することができる。ホッパの開口32aは出口部22から離されて同出口部22の下側に位置しているので、押し出した素材m1が後続の素材m1の押し出しを阻害することなく、ホッパ32は出口部の開口22aから押し出された不定形の素材m1を収容することができる。そして、押出機構から押し出された素材を不定形のまま導入する所定の導入部31が、ホッパ32と粉砕室33に形成されていることになる。むろん、導入部は、押出機構から離されておらず一部が押出機構と繋がっているような構造とすることも可能である。
また、図13に示すように、押出機構の出口部22の下側からホッパ32の上側まで不定形の素材m1を載置して移送するコンベア(例えばベルトコンベア)51を設けてもよい。すなわち、押出機構から押し出された不定形の素材m1は、コンベア51上に載置され、ホッパ32方向に移送されて、当該ホッパ32内に収容され、粉砕室33内に供給される。この場合、コンベア51とホッパ32と粉砕室33とから導入部50が構成される。
粉砕機30では、常時モータ36に通電してあり、回転駆動軸36aを介して載置テーブル34が回転駆動される。すると、載置テーブル34の上面で当該テーブル34の上下方向を軸とする回転動に従動して粉砕ローラが左右方向を軸として回転動し、粉砕室33内に導入された不定形の素材は、載置テーブル34上と粉砕ローラ35,35周面との間で粉砕される。ここで、導入された素材は微粒状の充てん材に熱可塑性樹脂がなじんだ素材とされており、樹脂となじんだ充てん材を有する軟化状態の素材が粉砕され、均質にされる。また、粉体輸送機37の送風機にも常時通電してあり、粉砕されて粉砕室33の内周面と載置テーブル34の外周面との間33bから収容室33a内に落下した素材が粉体吸引口37bから粉体輸送機37に吸い込まれ、粉体吐出口よりも上側まで斜め上方に移送されて、粉体吐出口37aから下方に向けて吐出される。そして、粉砕後の素材は、落下して成形機用容器23内に収容される。
なお、粉砕機構としては、公知の種々の粉砕機を使用可能である。
成形機用容器23内に設けられた押し込みローラ25,25は、略水平に設置された略円柱状の棒状部材25aの両端にて回転可能に取り付けられている。同棒状部材25aは、両端からの中間部にて略上下方向に設けられた回転軸材25bに固定され、同回転軸材25bを中心軸として回転動可能に設けられている。同回転軸材25bは、ローラ駆動用電動モータ25cに取り付けられている。同モータ25cに対して通電を行って動作させ、回転軸材25bを回転させると、棒状部材25aの両端にあるローラ25,25が自ら回転しながら底部円板23b上を周回する(図10では左回り)。このとき、底部円板23bの上面とローラ25,25との間の摩擦力により、ローラ25,25は自ら回転しながら(図11に示されたローラ25では左回り)成形機用容器23内の粉砕後の素材を多数の貫通穴23dの一方の開口(上側開口)から押し込み、他方の開口(下側開口)から略棒状に押し出す。なお、押し込みローラは、一つでも、三つ以上でもよい。
固化されたペレットは、ペレット流入口14aから選別搬送装置14に流入する。選別搬送装置14は、所定径の略円形状の***が多数形成された選別搬送網、搬送網振動モータ、ペレット収容部を有している。ペレットは、順次選別搬送網に投入され、搬送網振動モータによって選別搬送網が振動することにより同選別搬送網の***にて大きさが選別される。選別搬送網上に残存するペレットは、同選別搬送網上をペレット回収部に向かって移動していき、図示しないサイクロンによってペレット収容部に収容される。また、選別搬送網から落下したペレットは、回収されて再利用される。
なお、充てん材濃度を擬似的に傾斜させた樹脂含有積層体を製造する場合には、充てん材の配合割合の大きさ順に積層されるように各ホッパ61に原料を投入すればよい。
固定金型72には、型面72zに各混練された積層用素材の射出口72d〜fが形成され、型面72zとは反対側の面(左側)に各混練された積層用素材を射出成形型内に流入させる流入口72a〜cが形成されるとともに、内部に冷却通路72gや空気抜き孔72hが形成されている。固定金型の流入口72a〜cは、それぞれ各押出口63aに接続され、各押出機構にて各押出口63aから押し出される各混練された積層用素材が流入するようになっている。移動金型73には、内部に冷却通路73aが形成されている。肉厚調整金型74には、型面74zに複数の空気吸引孔74aが形成され、これらの空気吸引孔74aから水平(左右)方向に貫通して型面74zとは反対側の面(左側)から空気が吸引される貫通孔が形成されるとともに、内部に冷却通路74bが形成されている。各冷却通路72g,73a,74bは、図示しない冷却液循環機構に接続されており、内部を冷却水等の冷却液が通過するようになっている。
その後、型面72z,74z間を積層用素材2層分よりも広くさせた状態で移動金型73を固定金型72に当接させて混練された積層用素材の別の一つを押出口63aから所定量押し出して流入口72bに流入させ、射出口72eから射出成形型内に射出する。次に、型面72z,74z間を積層用素材2層分にさせる所定の位置まで肉厚調整金型74を固定金型72に近接させ(図の状態)、一旦金型72〜74を冷却して2層分の積層用素材を固化させ、空気吸引孔74aに真空圧を作用させて2層分の積層用素材を吸引させた肉厚調整金型74を固定金型72から離反させる。
そして、型面72z,74z間を積層用素材3層分よりも広くさせた状態で移動金型73を固定金型72に当接させて混練された積層用素材の別の一つを押出口63aから所定量押し出して流入口72cに流入させ、射出口72fから射出成形型内に射出する。次に、型面72z,74z間を積層用素材3層分にさせる所定の位置まで肉厚調整金型74を固定金型72に近接させ(図の状態)、一旦金型72〜74を冷却して3層分の積層用素材を固化させ、空気吸引孔74aに真空圧を作用させて3層分の積層用素材を吸引させた肉厚調整金型74を固定金型72から離反させる。このようにして、樹脂含有積層体が形成される。
材料供給装置11に微粒状の充てん材と当該充てん材と等重量以下の熱可塑性樹脂を少なくとも投入すると、素材搬送装置12は投入されたペレット用素材を混合しながらペレット成形装置20方向に搬送する。このとき、素材加熱装置13が素材を加熱するので、熱可塑性樹脂は溶融し、素材が軟化する。樹脂としてPPを用いる場合、成形用素材から樹脂含有積層体への成形時の加熱溶融の温度と同じ200〜230℃程度となるように素材を加熱する。ここで、素材は、フィラー高充填であるので、樹脂が溶融しても固形分が多いことによって流動性は大きくなりすぎず、粉砕可能な程度に軟化する。素材搬送装置12は、軟化した素材をスクリュー12gにより混合しながらペレット成形装置の外筒部21内に押し込む。素材が混合されるので、充てん材に樹脂がなじんだ(相溶化した)不定形の素材が形成される。素材に相溶化剤が添加されている場合には、充てん材に樹脂がさらによくなじんだ不定形の素材が形成される。また、シランカップリング剤を反応させた充てん材を用いた場合にも、充てん材に樹脂がさらによくなじんだ不定形の素材が形成される。軟化した素材は、成形されることなく不定形の状態で押し出される。ここで、出口部の開口の断面積S1が外筒部の出口部側端部における開口部分の断面積S0以上とされているので、MFRが1.0g/10min以下と低流動性の素材であっても、素材の排出圧力Peは5.0MPa以下、通常は1.0MPa以下となる。すると、軟化しているが流動性の低い素材は、成形されることなく不定形の状態で容易に押し出される。このときの状態が、図10の不定形の素材m1として示されている。なお、素材中の充てん材の配合割合が多いと素材m1は粉っぽい感じで押し出され、素材中の樹脂の配合割合が多いと素材m1は太いうどん状となって押し出される。以上が、押出工程である。
押し出された不定形のペレット用素材m1は、落下して粉砕機用ホッパ32内に収容され、粉砕室33内に供給される。すなわち、同素材m1は、不定形のまま導入部31に導入される。
ペレット形状の成形されたペレット用素材は、冷却槽40内に落下し、冷却されて固化する。生成したペレットは、冷却槽40から回収される。
素材に滑剤を添加していた場合、成形用素材から樹脂含有積層体の形状に成形する時に充てん材間のすべりが良好となるので、成形しやすくさせることができる。
なお、積層用素材を充てん材の配合割合の大きさ順に積層する場合に積層用素材の積層数を多くすると、擬似的に傾斜配向性材料を形成することができるし、隣り合う各層間で充てん材の濃度差が小さくなるため、隣り合う各層どうしが強固に結着してより確実に各層間の剥離が生じなくなる。
むろん、各積層用素材を略平行に積層する以外にも、樹脂含有積層体M44のように、各積層用素材のうち一部を棒状に形成し、残りを筒状に形成して積層した構造としてもよい。この場合、図1等の積層工程S3では、各混練された積層用素材のうち一部(一つまたは二つ以上)を棒状に押し出すとともに残りを筒状に押し出して積層すればよい。すると、積層用素材が筒状に積層された新規の樹脂含有積層体を得ることが可能となる。
また、各積層用素材を押し出して成形するので、積層された状態の積層用素材を単位時間当たり大量に連続成形可能である。従って、各層間の剥離が防止された良質の樹脂含有積層体を量産することが可能となる。
さらに、押出成形や射出成形といった連続成形で樹脂含有積層体を形成することができるため、良質の樹脂含有積層体を大量生産することができ、樹脂含有積層体のコストを低減させることができる。
また、各積層用素材で、充てん材の平均粒径を互いに異ならせる場合や、樹脂の種類を互いに異ならせる場合や、樹脂の融点を互いに異ならせる場合や、第二の押出機構で押し出される出口の位置における積層用素材の温度を試験温度としたときの樹脂のMFRを互いに異ならせる場合や、比重を互いに異ならせる場合などでも、充てん材の配合割合を樹脂の配合割合以上とした積層用素材が含まれる場合には、充てん材の性質が十分に残された層を有した複数の層が形成された新規の樹脂含有積層体を製造することができ、各層間の剥離が防止された良質の樹脂含有積層体を量産することが可能となる効果が得られる。
さらに、微粒状の無機、金属または木質系材料からなる充てん材を用いて樹脂含有積層体を形成すると、焼成用成形体を得ることができ、この焼成用成形体を焼成すると、焼成体を製造することができる。ここで、内部の積層用素材には比較的粒径の大きい充てん材を用い、表面側の積層用素材に比較的粒径の小さい充てん材を用いて焼成用成形体を形成し、焼成すると、形成される焼成体は、内部に粒径の大きい充てん材が存在する一方、表面には粒径の小さい充てん材が粒径の大きい充てん材どうしの間を埋めて緻密に存在する。従って、小さい充てん材に触媒など有用な機能を発揮する機能性素材を用いると、大きい充てん材に機能性素材を用いなくても、有用な機能を発揮する焼成体を得ることができる。そこで、大きい充てん材にフライアッシュやスラグのような安価な素材を用い、小さい充てん材にジルコニアやジルコニアシリカや貴金属のような機能性素材を用いると、機能性を有する焼成体を安価に製造することができる。
上記成形機用容器を加熱する容器加熱手段を設けてもよい。上記成形機用容器23内にヒータを埋設して同ヒータに通電すると、成形機用容器23を加熱することができる。すると、成形機用容器23内に収容された不定形の素材の冷却による固化を防ぐことができ、ペレットの生成効率をより向上させることができる。
上記カッタを加熱するカッタ加熱手段を設けてもよい。例えば、上記カッタテーブル26a内にヒータを埋設して同ヒータに通電すると、カッタを加熱することができる。すると、熱可塑性樹脂を含む素材をカッタの近傍にて軟化させて容易に切断することができ、ペレットの生成効率をさらに向上させることができる。
ペレット形状の成形用素材を形成する際、特開2004−17502号公報に開示されたように、一対の圧延ロールで不定形の素材を略平板状に圧延し、シュレッダ(樹脂細断機)で細断することによりペレット形状に成形してもよい。
図19を用いて説明すると、ペレット化工程S1では、図5と同様、充てん材M1の配合割合の最大割合とした積層用素材の配合割合で充てん材M1と溶融状態の樹脂M2とが少なくとも含まれたペレット用素材からペレットM13を形成する。混練工程S2では、積層用素材毎に、発泡剤M15と溶融状態の樹脂M2と最大割合の配合割合で形成されたペレットM13とを当該積層用素材の配合割合にさせる比率で混ぜて混練する。図18の例では、各積層用素材中の重量比(充てん材:発泡剤:樹脂)を、0:1:99、50:1:49、80:1:19としている。同混練工程S2では、発泡剤M15が添加された各積層用素材を別々に発泡させながら混練する。
積層工程S3では、各混練された発泡状態の積層用素材M16〜M18を別々に第二の押出機構A11〜A13にて押し出し、当該各混練された発泡状態の積層用素材M16〜M18を積層された状態にする。成形工程S4では、積層された状態の積層用素材M19を成形して発泡状態の樹脂含有積層体M45を形成する。
このように、各積層用素材中で発泡剤の配合割合が同じであっても、充てん材の配合割合に応じて発泡倍率が変わるので、充てん材の濃度を段階的に変化させるとともに発泡量も段階的に変化させた新規の樹脂含有積層体を得ることが可能となる。
ペレットを生成する際には、図の上段に示すように少なくとも不定形の第一のペレット用素材M4と不定形の第二のペレット用素材M51とを粉砕機構A8にて一緒に粉砕して混合物M53を生成してペレットを生成してもよいし、図の下段に示すように素材M4,M51を別々に粉砕機構A9,A10にて粉砕した後に、少なくとも、粉砕された第一のペレット用素材(粉砕物M54)と、粉砕された第二のペレット用素材(粉砕物M55)と、を例えばペレット成形機構A6内で混ぜて混合物M53を生成してもよい。
なお、樹脂含有積層体を形成するために用いる全ての充てん材と樹脂の好ましい配合割合は、充てん材の合計が51〜99重量%(より好ましくは70〜95重量%)、樹脂の合計が1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)である。
両素材を粉砕後に混ぜる場合、不定形の素材M4,M51を別々に粉砕することによって両素材のなじみを少なくさせることができるので、より確実に互いに異なる複数の樹脂の物性が残された良質のペレットを製造することが可能となる点で好適である。なお、粉砕物M54,M55を混ぜる際に、第四の素材M52も一緒に混ぜてもよい。第五の素材、第六の素材、…、があれば、これらも一緒に混ぜてもよい。このような場合において、第四の素材M52、第五の素材、…、が微粒状または低粘度(高流動性)の液状(例えば混ぜるときの温度におけるMFRが100以上)とされていると、粉砕された第一・第二のペレット用素材と混合されやすいので、生成されるペレットをより確実に均質にさせることが可能となる点で好適である。
同図の例では、参考例として、積層用素材M65は積層用素材M64,M74の2層で構成され、積層用素材M64,M74に含まれる充てん材は各積層用素材M64,M74の配合割合で同じ溶融状態の樹脂に配合されたときに当該配合された素材に対して互いに異なる流動性を付与する第三の充てん材M61および第四の充てん材M71から構成されている。同図では、両充てん材M61,M71が同じ材質でありながら、第三の充てん材M61は平均粒径が比較的大きい結果比較的大きい流動性を付与し、第四の充てん材M71は平均粒径が比較的小さい結果比較的小さい流動性を付与する例を示している。ここで、流動性は、試験温度で溶融状態である樹脂に充てん材が積層用素材の配合割合で配合されたときに前記試験温度で求められるMFR(単位:g/10min)で表され、MFRが大きくなるほど流動性が大きくなり、MFRが小さくなるほど流動性が小さくなる。また、流動性は、第二の押出機構A11,A12内において出口の位置における温度で溶融状態である樹脂に充てん材が積層用素材の配合割合で配合されたときに前記出口の位置にて前記温度で押し出される素材の排出圧力(単位:MPa)で表され、排出圧力が大きくなるほど流動性が小さくなり、排出圧力が小さくなるほど流動性が大きくなる。MFRが0.0と求められる場合には、MFRの大小が誤差によって消えている可能性があるので、素材の排出圧力を流動性の指標とすればよい。
また、同樹脂M72は、例えば、第一の積層用素材M64に含まれる樹脂M62の融点とは異なる融点の樹脂とされる。図の例では、第四の充てん材M71の方が小さい流動性を付与するので、樹脂M72に樹脂M62よりも融点の低い樹脂、すなわち、第二の押出機構A11,A12で押し出される出口の位置における積層用素材M64,M74の温度での流動性の大きい樹脂を用いている。
一方、第一の積層用素材M64に含まれる樹脂M62に当該樹脂M62よりもMFRの小さい樹脂、または、当該樹脂M62よりも融点の高い樹脂、すなわち、第二の押出機構A11,A12で押し出される出口の位置における積層用素材M64,M74の温度での流動性の小さい樹脂を用いてもよい。すると、隣接した積層用素材M64,M74間で流動性のずれが少なくなるので、樹脂含有積層体M66の品質を向上させることができる。
特に、図21に示した樹脂含有積層体M66のように、積層された状態の積層用素材M65の押出方向に対する垂直断面をみたときに積層用素材M64,M74どうしの界面を断面波形状、断面櫛状にする場合、積層用素材に配合される充てん材が樹脂と等重量以上であるときには積層用素材の流動性が低いため、隙間が生じることがある。これでは、折角接合面積を広げて積層用素材間の結合強度を向上させようとしたにもかかわらず、逆に結合強度が低下してしまうことがある。このような場合でも、隣接した積層用素材の流動性が近づけられるので、当該隣接した積層用素材間の流動性のずれが少なくなり、層間の剥離を防いで樹脂含有積層体の品質を向上させることができる。
また、各積層用素材の配合割合で同じ流動状態の樹脂に配合されたときに当該配合された素材に対して互いに異なる流動性を付与する充てん材は、互いに粒径の異なる充てん材のみならず、互いに配合割合の異なる充てん材でもよいし、互いに材質の異なる充てん材でもよい。例えば、配合割合が多いほど低い流動性を付与する一方、配合割合が少ないほど高い流動性を付与する。また、フライアッシュは、ベアリング効果により、同じ粒径の金属酸化物(例えばジルコニア)や石英質系鉱物よりも高い流動性を付与する。
以上より、積層用素材M111,M112どうしの接着強度が向上して剥離が生じにくく、良質の樹脂含有積層体が得られる。
なお、積層用素材M121に小さい充てん材M125を配合しても同様の作用、効果が得られるし、両積層用素材M121,M122に小さい充てん材M125を配合しても同様の作用、効果が得られる。
本変形例では積層用素材M121,M122間に別の積層用素材の層を設ける必要が無いので、小さい第五の充てん材の層を形成したくない場合に有効な製造方法となる。
一方、図22で示した例では、大きい充てん材を有する積層用素材に小さい第五の充てん材を混合する必要が無いので、大きい充てん材の性質を十分に残した積層用素材の層を形成したい場合に有効な製造方法となる。
上記第三の充てん材として、10〜100μm(平均粒径50μm)のフライアッシュ(FAと記載)を用いた。上記第四の充てん材として、1〜10μm(平均粒径5μm)のジルコニア(ZrO2)を用いた。
上記第一の積層用素材として、上記FAの他、JIS K7210の附属書A表1の条件M(試験温度230℃、荷重2.16kg)におけるMFRが30(g/10min)の粒状ポリプロピレン(PPと記載)と、マレイン酸を用いてポリプロピレンを変性したマレイン酸変性樹脂(三洋化成社製ユーメックス)とを用いた。
上記第二の積層用素材として、上記ジルコニアの他、JIS K7210の附属書A表1の条件M(試験温度230℃、荷重2.16kg)におけるMFRが600(g/10min)の粒状PPと、マレイン酸を用いてポリプロピレンを変性したマレイン酸変性樹脂(三洋化成社製ユーメックス)とを用いた。
粉砕機として、井上電設社製のウッドグラインダーとファインシュレッダーとを用いた。
まず、以下の配合量でフライアッシュとPP(MFR=30)とマレイン酸変性樹脂とを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら不定形の状態で押し出してホッパに受け止めた。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。そして、ホッパに受け止めた不定形の素材を粉砕機にて粒径1mm以下に粉砕し、ペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、FA入りペレットを作製した。
(単位:重量%)
素材の配合量: 試験区A1 試験区A2 試験区A3
FA 85 90 92
PP(MFR=30) 13 8 6
マレイン酸変性樹脂 2 2 2
計 100 100 100
次に、以下の配合量でジルコニアとPP(MFR=600)とマレイン酸変性樹脂とを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら不定形の状態で押し出してホッパに受け止めた。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。そして、ホッパに受け止めた不定形の素材を粉砕機にて粒径1mm以下に粉砕し、ペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ジルコニア入りペレットを作製した。
(単位:重量%)
素材の配合量: 試験区B1 試験区B2 試験区B3
ジルコニア 88 90 92
PP(MFR=600) 11 9 7
マレイン酸変性樹脂 1 1 1
計 100 100 100
また、ジルコニアを用いた試験区B1〜B3では排出圧力がそれぞれ5MPa、12MPa、25MPaとなった。そこで、排出圧力5MPaの試験区B1のペレットを加熱混練して押し出し、排出圧力5MPaの試験区A2のペレットを加熱混練して押し出して、両者を積層することにより、ジルコニアを含む積層用素材の流動性とFAを含む積層用素材の流動性とのずれが少なくされる。その結果、樹脂含有積層体の品質が向上し、単位時間当たりの樹脂含有積層体の製造量が多くなる可能性が示唆された。
12…素材搬送装置
13…素材加熱装置(第一の加熱機構)
20…ペレット成形装置(ペレット成形機構)
30…粉砕機(粉砕機構)
31,50…所定の導入部
60…押出多層成形機(成形機構を有する)
70…射出多層成形機(成形機構を有する)
A1〜A3…ペレット化機構
A4…第一の押出機構
A5…所定の導入部
A6…ペレット成形機構
A7…第一の加熱機構
A8…粉砕機構
A11〜A13…第二の押出機構
A21…成形機構
A30…押出成形装置
A31〜A33,A51〜A53…ホッパ
A34〜A36,A54〜A56…押出機
A37〜A39,A57〜A59…加熱機(第二の加熱機構)
A40…切断機
A50…射出成形装置
A60…射出成形型
M1…微粒状の充てん材
M2…溶融状態の樹脂
M3…第三の素材
M4…不定形のペレット用素材
M5…第二の素材
M6…熱可塑性樹脂
M7…相溶化剤
M8…粉砕物
M11〜M13…ペレット
M14…第二のペレット
M15…発泡剤
M16〜M18,M21〜M23…混練された積層用素材
M19,M24…積層された状態の積層用素材
M25,M41〜M45…樹脂含有積層体
M31…第一の充てん材
M32…第二の充てん材
M61…第三の充てん材
M64…第一の積層用素材
M71…第四の充てん材
M74…第二の積層用素材
M101,M111,M121…第三の積層用素材
M102,M112,M122…第四の積層用素材
M103,M113…積層用素材
M103a,M116,M117,M125…第五の充てん材
S1…ペレット化工程
S2…混練工程
S3…積層工程
S4…成形工程
S11…押出工程
S12…ペレット生成工程
S13…粉砕工程
S14…ペレット成形工程
Claims (2)
- 少なくとも充てん材と当該充てん材と等重量以下の流動状態の樹脂とを含むペレット用素材を第一の押出機構にて混合しながら不定形の状態で押し出して不定形のまま所定の導入部に導入してペレット形状に成形することによりペレットを形成するペレット化工程と、
流動状態の樹脂を少なくとも有するとともに配合割合が0重量%以上100重量%未満の範囲で互いに異なる充てん材を含む複数の積層用素材であって少なくとも一つ以上の積層用素材では上記ペレット用素材に含まれる充てん材および樹脂を用いて当該充てん材の配合割合を当該樹脂の配合割合以上とした複数の積層用素材のそれぞれを別々に混練する際、少なくとも充てん材の配合割合が樹脂の配合割合以上の積層用素材については上記ペレット化工程にて形成されたペレットを少なくとも原料として、同複数の積層用素材のそれぞれを別々に混練する混練工程と、
各混練された積層用素材を別々に第二の押出機構にて押し出し、当該各混練された積層用素材を積層された状態にする積層工程と、
上記積層された状態の積層用素材を成形して樹脂含有積層体を形成する成形工程とを備え、
上記複数の積層用素材は、N種類(Nは3以上の整数)の素材とされ、
上記複数の積層用素材のうち充てん材の配合割合の最小割合とした積層用素材は、流動状態の樹脂のみからなり、
上記ペレット化工程では、上記複数の積層用素材のうち充てん材の配合割合の最大割合とした積層用素材の配合割合で充てん材と流動状態の樹脂とが少なくとも含まれた上記ペレット用素材を上記第一の押出機構にて混合しながら不定形の状態で押し出して不定形のまま上記導入部に導入してペレット形状に成形することによりペレットを形成し、
上記混練工程では、上記積層用素材毎に、流動状態の樹脂と上記最大割合の配合割合で形成されたペレットとを当該積層用素材の配合割合にさせる比率で用いて混練することを特徴とする樹脂含有積層体の製造方法。 - 上記ペレット化工程では、上記不定形の素材を所定の粉砕機構にて粉砕し、粉砕した素材をペレット形状に成形することによりペレットを形成することを特徴とする請求項1に記載の樹脂含有積層体の製造方法。
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