JP4629949B2 - 面発光レーザ素子、面発光レーザ素子を用いたトランシーバ、光送受信器および光通信システム - Google Patents

面発光レーザ素子、面発光レーザ素子を用いたトランシーバ、光送受信器および光通信システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下部反射層、下部クラッド層、活性層、上部クラッド層、上部反射層を順次積層した構造を備え、基板に対して垂直方向にレーザ発振する面発光レーザ素子に関し、長波長帯であっても単一横モード発振可能で長距離伝送可能な面発光レーザ素子、面発光レーザ素子を用いたトランシーバ、光送受信器および光通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser。以下、「面発光レーザ素子」と言う。)は、その名の示す通り、光の共振する方向が基板面に対して垂直であり、光インターコネクションを初め、通信用光源として、また、その他の様々なアプリケーション用デバイスとして注目されている。面発光レーザ素子は、その構造から1波長程度の超短共振器を備えるため発振するレーザ光内に存在できる波長が基本波のみとなる。したがって、DFB(Distributed Feedback:分布帰還型)レーザ等の端面発光レーザよりも単一縦モードを安定的に維持することが容易である。また、FFP(Far Field Pattern)が等方で狭い値を得ることが可能で、相対強度雑音も低いなど、DFBレーザ等よりも本質的に光通信等に適したレーザ素子として注目されている。
【0003】
信号光源として使用する場合、伝送媒体である光ファイバの低損失波長帯を含む0.8μm〜1.65μmの出射波長を有する面発光レーザ素子が必要となる。この波長帯の面発光レーザにおいて、長波長帯、例えば1.2μm以上の波長を有するレーザ光を発振する面発光レーザは、結晶成長の難しさなどから長い間実現が不可能であった。しかしながら、最近になって、本願発明者等によって1.2〜1.3μmの波長を有するレーザ光を発振する面発光レーザ素子が実現されている(特願2001−124300)。
【0004】
特願2001−124300に記載された面発光レーザ素子の構造について、図10に示す。この面発光レーザ素子は、基板101上に、順次バッファ層102、下部反射層103、下部クラッド層104、量子井戸層105、上部クラッド層106を積層した構造を有する。さらに、上部クラッド層106上には、メサ形状に加工された電流狭窄層108、上部反射層109、コンタクト層110の積層構造を有する。電流狭窄層108は中心部分のAlAs層からなる電流注入領域107aと該AlAs層の端部を選択酸化させて形成した選択酸化領域107bによって形成されている。また、基板101下面にはn側電極114が配置されている。そして、量子井戸層105において、GaInNAs中にSbを少量添加することによって量子井戸層105の結晶学的品質を向上させている。このように量子井戸層の構造の改善とAlAs層の選択酸化技術を利用して、1.3μm帯の面発光レーザ素子のレーザ発振が最近なされるようになってきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、信号光源等の用途に面発光レーザ素子を使用する場合には解決すべき課題が残されている。まず、発振するレーザ光の横モードを単一化する必要がある。横モードが横方向に高次のモードが存在する場合、光伝送時、特に高速変調時に伝送距離に比例して信号波形の著しい劣化を引き起こす原因となる。したがって、長距離伝送を実現するためには単一横モード発振を実現する必要がある。
【0006】
面発光レーザ素子は、その構造に起因して元来横モードを安定化させることが難しい。そのため、選択酸化領域を備えた面発光レーザ素子においては、選択酸化領域に挟まれた電流注入領域の径を調整して単一横モード発振を実現するが、従来は、1300nm帯(1260nm〜1360nm程度の範囲)の面発光レーザ素子においては電流注入領域の径のみを調整することで単一横モード発振を実現するのは困難であった。
【0007】
また、単一横モード発振を実現できたとしても、閾値電流の値が増加した場合、消費電力が増大するなどの問題が生じる。したがって、閾値電流の値の増加を抑制しつつ単一横モード発振を実現する必要がある。さらに、面発光レーザ素子の信頼性を確保しなくてはならない。信号光源等に面発光レーザ素子を利用するためには、十分な信頼性を有する必要があるためである。
【0008】
さらに、信号光源等に用いる場合、10Gbit/sレベルで直接変調が可能である必要がある。これは、近年の通信容量の増大に伴い、現実に信号光源として使用するためには最低限必要な数字である。
【0009】
本発明は、上記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであって、低い閾値電流を有し、信頼性が高く、単一横モード発振が可能で10Gbit/sで直接変調が可能な面発光レーザ素子、面発光レーザ素子を用いたトランシーバ、光送受信器および光通信システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる面発光レーザ素子は、基板上に、下部反射層、下部クラッド層、活性層、上部クラッド層、上部反射層を順次積層した構造を備え、前記基板に対して垂直方向にレーザ発振する面発光レーザ素子であって、前記下部反射層または前記上部反射層の内部であって、前記活性層中心から370nm以上、780nm以下の距離だけ積層方向に離隔した領域に配置された選択酸化領域と、該選択酸化領域に挟まれて配置された電流注入領域とを備え、該電流注入領域を含む積層方向領域の実効屈折率と、前記選択酸化領域を含む積層方向領域の実効屈折率との差分値が0.038以下であることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、選択酸化領域の積層方向の位置および実効屈折率差について最適化しているため、単一横モード発振が可能であり、長距離伝送が可能なレーザ光を出射する面発光レーザ素子を実現することができる。
【0012】
また、この発明にかかる面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記上部反射層および前記下部反射層は、出射波長の1/4の光学長を有する低屈折率層および高屈折率層の2層構造を備えたミラー層を複数積層して形成され、前記選択酸化領域は、いずれかのミラー層における前記低屈折率層内の電界強度分布が最小となる位置の近傍に配置されていることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記活性層は、1260nm以上、1360nm以下の波長を有するレーザ光を出射し、前記下部クラッド層、前記活性層および前記上部クラッド層によって形成される光共振器は、前記レーザ光の波長の2倍の光学長を有し、前記選択酸化領域は、前記上部又は下部反射層において、前記活性層側より第1周期目に積層されたミラー層内に配置されていることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記活性層は、1260nm以上、1360nm以下の波長を有するレーザ光を出射し、前記下部クラッド層、前記活性層および前記上部クラッド層によって形成される光共振器は、前記レーザ光の波長と等しい光学長を有し、前記選択酸化領域は、前記上部又は下部反射層において、前記活性層側より第2周期目に積層されたミラー層に隣接したミラー層内に配置されていることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記選択酸化領域は、6nm以上、32nm以下の膜厚を有することを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記選択酸化領域は、10nm以上、13nm以下の膜厚を有することを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記活性層は、1260nm以上、1360nm以下の波長を有するレーザ光を出射し、前記下部クラッド層、前記活性層および前記上部クラッド層によって形成される光共振器は、前記レーザ光の波長の2倍の光学長を有し、前記選択酸化領域は、前記上部又は下部反射層において、前記活性層側より第2周期目に積層されたミラー層内に配置されていることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記活性層は、1260nm以上、1360nm以下の波長を有するレーザ光を出射し、前記下部クラッド層、前記活性層および前記上部クラッド層によって形成される光共振器は、前記レーザ光の波長と等しい光学長を有し、前記選択酸化領域は、前記上部又は反射層において、前記活性層側より第3周期目に積層されたミラー層内に配置されていることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記選択酸化領域は、6nm以上、46nm以下の膜厚を有することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記選択酸化領域は、10nm以上、20nm以下の膜厚を有することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記基板はGaAsによって形成され、前記低屈折率層はAlxGa1-xAs(0.5≦x≦1)を含み、前記高屈折率層はAlxGa1-xAs(0≦x≦0.2)を含み、前記選択酸化領域はAlxGa1-xAs(0.97≦x≦1)を選択酸化して形成されることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかるトランシーバは、上記の発明のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子と、入力された電気信号に基づいて前記面発光レーザ素子に注入する電流値を制御する制御回路とを有する光送信部と、外部から入射する光信号を受信して電気信号に変換する光電変換素子を有する光受信部とを備えたことを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる光送受信器は、上記の発明のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子と、複数の電気信号を多重化する信号多重化回路と、該信号多重化回路から出力される電気信号に基づき前記面発光レーザ素子を制御する制御回路と、外部から入射する光信号を受信して電気信号に変換する光電変換素子と、該光電変換素子から出力される電気信号を複数の電気信号に分離する信号分離回路とを備えたことを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる光通信システムは、上記の発明のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子と、該面発光レーザ素子を制御する制御回路と、前記面発光レーザ素子から出射された光信号を一端から入射し、伝送する伝送用光ファイバと、該伝送用光ファイバの他端から入射する前記光信号を受信して電気信号に変換する光電変換素子とを備えたことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明にかかる面発光レーザ素子、面発光レーザ素子を用いたトランシーバ、光送受信器および光通信システムの好適な実施の形態について説明する。図面の記載において、同一または類似部分には同一あるいは類似な符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各層の厚みと幅との関係、各層の比率などは、現実のものとは異なることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0026】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる面発光レーザ素子について説明する。実施の形態1にかかる面発光レーザ素子は、1300nm帯の面発光レーザ素子について、選択酸化領域の構造を最適化している。図1は、実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の構造を示す断面図である。以下、図1を適宜参照して、実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の構造について説明する。
【0027】
本実施の形態1にかかる面発光レーザ素子は、基板1上に下部反射層2が積層された構造を有する。また、下部反射層2の上部領域はメサ状に形成され、メサ状に形成された領域上に順次下部クラッド層3、活性層4、上部クラッド層5および上部反射層6が積層されている。なお、このメサ形状は水平断面形状が円状になるよう形成されている。さらに、上部反射層6上にはコンタクト層7が積層され、コンタクト層7上には、中央に電流注入領域を備えた円環形状からなるp側電極8が配置され、基板1下面にはn側電極9が配置されている。そして、上部反射層6内には、メサ中央付近に配置され、水平断面が円状の形状を有する電流注入領域19aと該電流注入領域19aに隣接して選択酸化領域19bからなる電流狭窄層20が配置されている。選択酸化領域19bの具体的な構造については後に詳説する。
【0028】
基板1は、n型のGaAs基板からなる。また、基板1は通常(100)面を主平面とし、下部反射層2から上の薄膜構造は、(100)面上に積層される。下部反射層2は、活性層4で発生する光のうち、出射波長の光を反射してフィードバックするためのものである。具体的には、下部反射層2は、高屈折率層10と低屈折率層11の積層構造によって形成されるミラー層12を多数積層した構造を有する。
【0029】
高屈折率層10は、n型のGaAs層によって形成され、低屈折率層11は、n型のAl0.9Ga0.1As層によって形成される。高屈折率層10および低屈折率層11の膜厚は、出射波長の光のみを反射するために、その光学長が出射波長λの1/4となるよう調整されている。具体的には、本実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の出射波長は1300nmであるため、各層の屈折率も考慮して、高屈折率層10の膜厚は94nm程度、低屈折率層11の膜厚は110nm程度とする。このような構造を有することで、ミラー層12は、高屈折率層10と低屈折率層11の組合せにおいて一定の割合で出射波長の光を反射する機能を有する。下部反射層2全体として反射率を高めるため、ミラー層12を34.5層積層して下部反射層2は形成されている。なお、小数点以下の端数は高屈折率層10のみからなる層に起因する。
【0030】
活性層4は、量子井戸層を具備した構造を有する。具体的には、図1で示すように活性層4は下部クラッド層3上に順次積層された障壁層13a、量子井戸層14a、障壁層13b、量子井戸層14b、障壁層13c、量子井戸層14c、障壁層13dによって形成される。すなわち、3層の量子井戸層14a〜14cを4層の障壁層13a〜13dによって挟み込む構造を有する。
【0031】
量子井戸層14a〜14cは、量子閉じ込め効果によってキャリアを高い効率で閉じ込めるためのものであって、GaInNAsSb層によって形成される。量子井戸層14a〜14cは、Sbが微小量添加されることで良質な結晶性を有する。また、量子井戸層14a〜14cは、量子閉じ込め効果を発揮するためきわめて薄い膜厚からなる必要があり、本実施の形態1における各層の膜厚は7nm程度とする。
【0032】
障壁層13a〜13dは、量子井戸層14a〜14cを互いに分離するためのものであって、障壁層13aおよび障壁層13dの膜厚は30nm程度、障壁層13bおよび障壁層13cの膜厚は20nm程度である。
【0033】
下部クラッド層3、活性層4、上部クラッド層5は、各層の膜厚の光学長の合計が出射波長λの2倍になるよう形成され、光共振器として機能する。そのため、以下においては下部クラッド層3、活性層4、上部クラッド層5を総称して2λ共振器15と言う。本実施の形態1では、下部クラッド層3はn型、上部クラッド層5はp型のGaAs層からなり、それぞれの膜厚は297nm程度である。
【0034】
上部反射層6は、下部反射層2と同様に、活性層4で発生する光のうち、出射波長の光を反射させてフィードバックするためのものである。具体的には、上部反射層6は、順次積層された低屈折率層16と高屈折率層17との対によって形成されるミラー層18を多数積層した構造を有する。低屈折率層16はp型のAl0.9Ga0.1As層を有し、高屈折率層17はp型のGaAs層を有する。活性層4で発生したレーザ光をフィードバックするため、上部反射層6は高い反射率を有する。なお、本実施の形態1にかかる面発光レーザ素子は基板1に対して垂直上方向にレーザ光を出射するため、上部反射層6は下部反射層2より低い反射率となる必要がある。そのため、上部反射層6は、下部反射層2よりも少ない25層のミラー層18からなる構造を有する。なお、以下の説明では、必要に応じて下部反射層2又は上部反射層6を構成する25層のミラー層12又はミラー層18について、最も活性層4側に配置されるミラー層を第1周期目のミラー層、第1周期目のミラー層に接触して配置されるミラー層を第2周期目のミラー層、第2周期目のミラー層に接触して配置されるミラー層を第3周期目のミラー層等とそれぞれ称する。
【0035】
また、上部反射層6を構成する低屈折率層16のうち、最下層すなわち上部クラッド層5に隣接して積層された第1周期目のミラー層を構成する低屈折率層16は、p型のAl0.9Ga0.1As層と、p型のAlAs層とを順次積層した構造を有する。そして、AlAs層のうち、中央付近の領域については電流注入領域19aが形成され、端部近傍では選択酸化によって形成された選択酸化領域19bにより電流狭窄層20が形成されている。
【0036】
選択酸化領域19bは、p側電極8から注入される電流を狭窄して活性層4に流入する電流密度を高め、発振閾値を低減するためのものである。また、選択酸化領域19bの屈折率は周囲に存在する電流注入領域19aおよびAl0.9Ga0.1As層と異なる値を有するため、水平方向の光閉じ込めに影響を与える。すなわち、選択酸化領域19bが存在することで、本実施の形態1にかかる面発光レーザ素子は屈折率導波型導波路を備えることとなる。
【0037】
そして、選択酸化領域19bは、本実施の形態1では膜厚を13nmとしている。また、選択酸化領域19bの幅によって規定される電流注入領域19aの径は、5.3μmとする。以下、このような構造を採用した理由について説明する。
【0038】
本実施の形態1にかかる面発光レーザ素子は選択酸化領域19bの構造を最適化することで発振特性を向上させている。具体的には、選択酸化領域19bがミラー層内部において配置される位置、選択酸化領域19bが配置されるミラー層、選択酸化領域19bの幅および膜厚について検討する必要がある。以下、これらの要件の最適化について説明する。
【0039】
まず、ミラー層内のどの位置に配置すべきかについて説明する。選択酸化領域19bに隣接する電流注入領域19aは、Al0.9Ga0.1As層に近い屈折率を有する。そのため、選択酸化領域19bおよび電流注入領域19aを形成するAlAs層は、低屈折率層11又は低屈折率層16内に配置する必要がある。さらに、活性層4で発生する光の損失を抑制するために、定在波の節の部分に近くなる位置(電界強度分布が最小となる位置)、すなわち低屈折率層11又は低屈折率層16中において活性層4から離隔した領域、すなわち低屈折率層11の下面近傍又は低屈折率層16の上面近傍に配置することが好ましい。
【0040】
次に、選択酸化領域19bをどのミラー層に配置するかについて説明する。既に述べたように、選択酸化領域19bは、電流狭窄機能を備える。電流を狭窄して活性層4に流入する電流密度を高める観点からは、選択酸化領域19bは活性層4に近接した位置に配置されることが好ましい。選択酸化領域19bが活性層4から離隔した位置に配置された場合、選択酸化領域19bによって狭窄された電流が活性層4に流入されるまでに再度拡散して電流密度が低下するためである。したがって、発振閾値を低く抑制する観点からは、選択酸化領域19bを活性層4に近接して配置することが好ましい。
【0041】
一方、活性層4に近接して配置された場合には他の問題が生じる。選択酸化領域19bは、いったんAlAs層その他を積層してメサ状に加工した後に、水蒸気雰囲気中で加熱することにより酸素原子を外部から導入して選択的に酸化をすることで形成される。酸素原子を外部から導入することによって、当初の結晶秩序が損傷を受けるため、選択酸化領域19b中には転位が生じる。したがって、選択酸化領域19bが活性層4にあまりに近接する場合、選択酸化領域中の転位が活性層4の結晶構造にも影響を与え、面発光レーザ素子としての信頼性が低下する。そのため、面発光レーザ素子の信頼性を確保するという観点からは、選択酸化領域19bを活性層4から離隔して配置することが好ましい。
【0042】
上記のように、発振閾値の抑制と面発光レーザ素子の信頼性の確保とはトレードオフの関係にあるため、選択酸化領域19bの積層方向の位置に関しては最適値が存在する。そのため、本願発明者等は、面発光レーザ素子について選択酸化領域19bの位置を積層方向に変化させてその特性を調べ、最適値を導いている。
【0043】
具体的には、出射波長が850nm程度の面発光レーザ素子(以下、「850nm帯面発光レーザ素子」と言う)について、選択酸化領域を配置する位置を積層方向に変化させて、閾値電流の値および面発光レーザ素子の信頼性について測定をおこなった。測定対象を850nm帯面発光レーザ素子としたのは、850nm帯面発光レーザ素子は既に広く研究されており、特性もよく把握されているためである。そのため、選択酸化領域以外の部分による測定結果への影響を排除することが可能で、選択酸化領域が面発光レーザ素子の特性に与える影響を把握できる。なお、測定に用いた850nm帯面発光レーザ素子の構造は、光共振器の光学長のような波長に対応した部分以外については、本実施の形態1にかかる面発光レーザ素子と同一の構造を有するものとする。
【0044】
本願発明者等は、図2(a)〜(c)に示すように第1周期目のミラー層、第3周期目のミラー層および第5周期目のミラー層にそれぞれ選択酸化領域19b−1、19b−2、19b−3および電流注入領域19a−1、19a−2、19a−3を形成したλ共振器を有する850nm帯面発光レーザ素子について、その閾値電流と信頼性について測定をおこなった。その結果、第1周期目のミラー層に選択酸化領域19b−1を配置した場合には信頼性に問題があり、実用に供するには妥当でないとの結果が得られたが、第3周期目のミラー層に選択酸化領域19b−2を配置した場合には、信頼性も高く、閾値電流も低い値を有した。さらに、第5周期目のミラー層に選択酸化領域19b−3を配置した場合には、信頼性は確保できたものの、閾値電流が第3周期目のミラー層に配置した場合に比して増加する傾向が見られた。第5周期目のミラー層に配置した場合の閾値電流の増加は許容範囲内であったため、本願発明者等は、850nm帯面発光レーザ素子について、第3周期目乃至第5周期目のミラー層に選択酸化領域を配置することが好ましいと結論づけた。
【0045】
測定に用いた850nm帯面発光レーザ素子は、出射波長の相違により上部クラッド層の膜厚、低屈折率層および高屈折率層の膜厚は本実施の形態1にかかる面発光レーザ素子と相違する。そのため、本実施の形態1において選択酸化領域19bの積層方向の位置を最適化するにあたって、上記測定結果に関して活性層中心からの距離を参考にした。測定に用いた850nm帯面発光レーザ素子において、活性層中心から第3周期目のミラー層下端までの距離は390nmであり、第5周期目のミラー層下端までの距離は660nmである。この値を参考にして、本実施の形態1にかかる面発光レーザ素子では、選択酸化領域19bが配置されるミラー層について、その下端が活性層4の中心から370nm〜680nmの範囲に存在するものに定めた。
【0046】
この数値範囲に適するミラー層として、本実施の形態1では、第1周期目のミラー層を選択している。第1周期目のミラー層は、活性層4の中心からの距離が375nmとなるためである。また、ミラー層内の位置について、既に説明したように上部反射層に設ける場合には、選択酸化領域19bは低屈折率層の上面近傍に配置することが好ましい。したがって、これらの観点から、選択酸化領域19bの積層方向の位置は図1に示す場所に決定される。
【0047】
次に、単一横モード発振を実現する観点から選択酸化領域19bの水平方向の幅および積層方向の膜厚の最適化について順に説明する。なお、選択酸化領域19bの水平方向の幅は、電流注入領域19の径を最適化することで決定されるため、以下では主に電流注入領域19aの径の最適化について説明する。
【0048】
まず、選択酸化領域19bの幅によって決定される電流注入領域19aの径の最適化について説明する。一般に、電流注入領域19aの径を小さくすることで単一横モード発振を実現することが可能である。一方、電流注入領域19aの径が小さくなるにつれて回折損失に起因して閾値電流が増加するという問題が生じ、閾値電流の増加を抑制するためには電流注入領域19aの径を大きくする必要がある。したがって、閾値電流抑制と単一横モード発振可能条件との間にもトレードオフの関係が成立し、電流注入領域19aの径には最適値が存在する。
【0049】
そのため、本願発明者等は、850nm帯面発光レーザ素子について、電流注入領域の径を変化させた場合の発振横モードについて測定をおこない、電流注入領域の径の最適値を調べた。具体的には、図2(b)に示すように、選択酸化領域を第3周期目のミラー層に挿入し、選択酸化領域の膜厚は20nmに固定して、電流注入領域19aの径を変動させ、閾値電流および横モードの態様について測定をおこなった。
【0050】
測定の結果、単一横モード発振が可能な電流注入領域の径の最大値は、3.5μmであった。また、径が3.5μmの場合には閾値電流の値も許容範囲以下に抑制することができた。なお、後述する実効屈折率差については、この面発光レーザ素子においては0.0165であった。
【0051】
この結果を踏まえ、本願発明者等は実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の電流注入領域19aの径について、3.5μm以上であることを条件とした。これは、閾値電流の増加の抑制に関しては、面発光レーザ素子の出射波長との相関関係に乏しく、850nm帯面発光レーザ素子において閾値電流が許容範囲に抑制される場合には、1300nmの場合でも同様に許容範囲内に抑制できると考えられるためである。ただし、本願発明者等は、出射波長の比に対応して電流注入領域19aの径も大きくすることがより好ましいと考え、電流注入領域19aの径の最適値は、3.5μmに(1300/850)を乗算した5.3μmであるとした。
【0052】
次に、このような電流注入領域19aの径に関する条件の下で、単一横モード発振を実現するために必要な選択酸化領域19bの膜厚の最適値について検討する。横モード発振については、電流注入領域19aの径のみならず、屈折率導波型導波路における実効屈折率差も影響を与えるためである。以下では、まず、実効屈折率差について簡潔に説明し、実効屈折率差の最適値を導出した上で、最適値を実現するのに必要な選択酸化領域19bの膜厚の条件を導出する。
【0053】
上述したように、選択酸化領域19bが存在することで本実施の形態1にかかる面発光レーザ素子は屈折率導波型導波路を備える。屈折率導波型導波路とは、たとえば図3に示すように、電流注入領域19aを含む積層方向領域である第1領域21と、選択酸化領域19bを含む第2領域22、23とにおけるそれぞれの等価屈折率の差である実効屈折率差に起因して、第1領域21が導波路として機能している構造をいう。屈折率導波型導波路の構造は、面発光レーザ素子の屈折率分布によって説明される。具体的には、水平方向の光閉じ込めを第1領域21、第2領域22、23の等価屈折率を持つプレーナ導波路に等価的に置き換えて評価することで、屈折率導波型導波路の構造および横モードについて解析することができる。
【0054】
たとえば、本実施の形態1にかかる面発光レーザ素子において、選択酸化領域19bの屈折率は電流注入領域19aを形成するAlAsの屈折率に比して小さな値を有する。したがって、第2領域22、23の等価屈折率は第1領域21の等価屈折率よりも小さな値を有し、活性層4から生じる光は第1領域21中を導波されて外部に出射される。屈折率導波型導波路の構造は、第1領域21の等価屈折率と第2領域22、23の等価屈折率の差分値である実効的屈折率差に対応するため、実効屈折率差によって光の導波の態様は変化する。
【0055】
単一横モード発振を実現することが可能な電流注入領域19aの径Φcと実効的屈折率差Δnとの関係は、出射波長λを用いて、
Φc∝λ/(Δn)1/2・・・・(1)
と近似できることが知られている。したがって、850nm帯面発光レーザ素子について得られた測定結果と(1)式とを用いて、本実施の形態1にかかる面発光レーザ素子における選択酸化領域19bの水平方向の幅および膜厚を決定することができる。
【0056】
まず、閾値電流の増加を抑えるために、電流注入領域19aの径が最低でも3.5μmとなる場合の実効屈折率差Δnの条件式は、測定結果および(1)式から、
Φc(λ=1.3μm)/Φc(λ=0.85μm)={1.3/(Δn)1/2}/{0.85/(0.0165)1/2}・・・・(2)
と求められる。ここで、Φc(λ=0.85μm)=3.5μmのため、(2)式の右辺の値が1以上となれば、本実施の形態1にかかる面発光レーザ素子においても電流注入領域19aの径が3.5μm以上となる。(2)式をΔnについて計算すると、上記条件を満たすためには、実効屈折率差Δnに関してΔn≦0.038となればよい。実効屈折率差Δnの値は選択酸化領域19bの膜厚によって制御することができるため、この条件から選択酸化領域19bの膜厚の最大値を求めることができる。また、(1)式より、実効屈折率差Δnを850nm帯面発光レーザ素子の測定結果と同様に0.0165とすれば、電流注入領域19aの径も波長比に対応して1.5倍となるためより好ましい。
【0057】
ここで、選択酸化領域19bの積層方向の位置を考慮して当業者に既知の計算をおこなうことで上記実効屈折率差を実現するのに必要な選択酸化領域19bの膜厚を導出することが可能である。結論として、本実施の形態1では選択酸化領域19bが1層目のミラー層に配置されており、実効屈折率差Δnを0.038以下とするためには選択酸化領域19bの膜厚を32nm以下とすればよい。また、実効屈折率差を0.0165とした場合の選択酸化領域19bの膜厚は13nmとなる。したがって、本実施の形態1にかかる面発光レーザ素子で単一横モード発振を実現するためには、選択酸化領域19bの膜厚は32nm以下とし、より好ましくは13nm以下とする必要がある。
【0058】
次に、選択酸化領域19bの膜厚の最小値について検討する。既に述べたように、選択酸化領域19bは、いったんAlAs層を積層した後に、水蒸気雰囲気中で酸素原子を導入して選択酸化することで形成する。ここで、選択酸化領域19bを形成する際に、AlAs層の膜厚があまりに薄いと酸素原子の導入が困難となり選択酸化領域19bを形成することが難しくなる。酸素原子を導入するのに最低限必要となる選択酸化領域19bの膜厚は6nmとされ、より好ましく10nm以上の膜厚を有することで選択酸化を容易に行うことが可能である。
【0059】
以上の議論から、閾値電流を低く抑制しつつ単一横発振モードを実現するために必要な選択酸化領域19bの膜厚dの範囲は、
6nm≦d≦32nm・・・・(3)
となる。また、迅速に選択酸化が可能でかつ電流注入領域19aの径を大きくとることができる膜厚dのより好ましい範囲は、
10nm≦d≦13nm・・・・(4)
となる。選択酸化領域19bは、(4)式を満たす膜厚を有することがより好ましいため、本実施の形態1では、選択酸化領域19bの膜厚を13nm、電流注入領域19aの径を5.3μmとしている。
【0060】
なお、本願発明者等は、上記条件を満たす面発光レーザ素子を実際に作製してその特性を調べた。具体的には、n型GaAsの(100)面基板上にn型のGaAsバッファ層を0.1μmだけ積層し、n型のAl0.9Ga0.1AsおよびGaAsからなるミラー層を34.5層積層して下部反射層を形成した。また、活性層は3重の量子井戸層を備え、活性層を含む光共振器の光学長は2λとした。さらに、p型のAl0.9Ga0.1AsおよびGaAsからなるミラー層を25層積層して上部反射層を形成した。これらの半導体層はガスソースMBE(Molecular Beam Epitaxy)法、MBE法、MOCVD(Metalorganic Chemical Vapor Deposition)法のいずれかによって成長され、p型不純物として炭素(C)、n型不純物としてシリコン(Si)をドープした。AlAs層は上部反射層の最下層(すなわち、第1周期目)のミラー層を形成するAl0.9Ga0.1As層の上端部に配置し、その膜厚を12nmとした。そして、メサ状に形成した部分の水平断面の外径を40μmとし、メサ形成後420℃の水蒸気雰囲気中で20分間保持することで選択酸化領域を形成した。酸化されなかったAlAs層によって形成される電流注入領域の径は5.2μmとした。
【0061】
このように製造した面発光レーザ素子について発振特性を調べたところ、閾値電流の値が0.5mA、スロープ効率が0.25W/Aであり、100℃以上で連続発振が可能であった。また、注入電流値が10mA以下であれば単一横モード発振が可能で、10Gbit/sで直接変調した光信号を伝送用光ファイバに入射させたところ、伝送可能距離は15km以上であり、15km伝送後の光信号のアイパターンは良好なものが得られた。
【0062】
(変形例)
次に、実施の形態1の変形例にかかる面発光レーザ素子の構造について説明する。図4は、変形例にかかる面発光レーザ素子の構造を示す断面図である。実施の形態1においては、選択酸化領域19bが配置されるミラー層を第1周期目のミラー層としたが、第2周期目のミラー層に配置することも可能である。第2周期目のミラー層は、活性層4の中心から下端までの距離が580nmであるため、積層方向の位置について規定した370nm〜680nmの数値範囲に包含され、信頼性の確保および閾値電流の抑制が可能なためである。
【0063】
選択酸化領域19bが配置されるミラー層が第2周期目となるため、電流注入領域19aの径を維持し、実効屈折率差を維持するためには選択酸化領域19bの膜厚は変化する。第2領域22、23の等価屈折率は、選択酸化領域19bの積層方向の位置によっても変化するためである。計算によって求めた結果、電流注入領域19aの径が3.5μm以上であって、選択酸化が可能となる膜厚dの範囲は、
6nm≦d≦46nm・・・・・(5)
であり、電流注入領域19aの径が5.3μm以上となり、かつ十分選択酸化が可能となる膜厚dの範囲は、
10nm≦d≦20nm・・・・・(6)
となる。
【0064】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる面発光レーザ素子について説明する。実施の形態2にかかる面発光レーザ素子は、図5にも示すように、1300nmの出射波長を有し、下部クラッド層、活性層および上部クラッド層によって形成される光共振器の光学長が出射光の波長と等しい構造を有する。具体的には、本実施の形態2にかかる面発光レーザ素子は、基板1上に下部反射層2が積層された構造を有する。また、下部反射層2の上部領域はメサ状に形成され、メサ状に形成された領域上に順次下部クラッド層26、活性層4、上部クラッド層27および上部反射層6が積層されている。なお、このメサ形状は水平断面形状が円状になるよう形成されている。さらに、上部反射層6上にはコンタクト層7が積層され、コンタクト層7上には、中央に電流注入領域を備えた円環形状からなるp側電極8が配置され、基板1下面にはn側電極9が配置されている。そして、上部クラッド層27内部には、メサ中央付近に配置され、水平断面が円状の形状を有する電流注入領域29aに隣接して設けられた選択酸化領域29bにより電流狭窄層30が配置されている。なお、本実施の形態2において、実施の形態1と同一もしくは類似の符号を付した部分については、特に断らない限り、同一若しくは類似の構造を有し、同一若しくは類似の機能を発揮するものとする。
【0065】
本実施の形態2において、下部クラッド層26、活性層4および上部クラッド層27によって形成されるλ共振器28の光学長は出射光の波長と等しい。そのため、選択酸化領域29bの積層方向の位置および膜厚の最適値については、実施の形態1とは異なる。以下で、出射波長が1300nmであって、λ共振器28を有する面発光レーザ素子の選択酸化領域29bの最適化について、説明する。
【0066】
まず、選択酸化領域29bの積層方向の位置の最適化について説明する。実施の形態1において、選択酸化領域29bは、その活性層側の端面が活性層4の中心から370nm〜680nmの範囲に存在するミラー層内に配置することが好ましいことを本願発明者等は導いている。本実施の形態2においては、λ共振器28の光学長の相違を考慮して適切なミラー層を決定する必要があり、これに適合するミラー層として、第2周期目のミラー層を選択している。第2周期目のミラー層の活性層4の中心からの距離は、392nmであって、上記条件に適合するためである。また、第2周期目のミラー層において、選択酸化領域29bは低屈折率層の活性層から遠い側に配置することが好ましいのは実施の形態1と同様である。これにより、選択酸化領域29bの積層方向の位置は図5に示す位置に決定される。
【0067】
次に、選択酸化領域29bの水平方向の幅によって規定される電流注入領域29aの径の最適化について説明する。実施の形態1においても説明したように、電流注入領域29aの径は閾値電流の増加の抑制並びに単一横モード発振の実現という観点から定められるものであって、光共振器の光学長とは無関係に決定されている。したがって、実施の形態1と同様の議論が成立し、850nm帯面発光レーザ素子についての測定結果から、電流注入領域29aの径は、3.5μm以上となる必要があり、波長比を考慮すると、5.3μmであることがより好ましい。
【0068】
最後に、選択酸化領域29bの膜厚の最適化について説明する。単一横モード発振を実現する観点からは、図3で示す第1領域21と第2領域22、23の実効屈折率差と電流注入領域29aの径との間には(1)式の関係が成立し、電流注入領域29aの径が3.5μm以上で単一横モード発振が可能な条件は、実効屈折率差が0.038以下となる必要があり、電流注入領域29aの径が5.3μmの場合に単一横モード発振するためには、実効屈折率差は0.0165となる。
【0069】
このような実効屈折率差を実現するために必要な、選択酸化領域29bの膜厚を決定するにあたって、実施の形態2においては図6に示すグラフを利用する。図6は、λ共振器を有する面発光レーザ素子について、選択酸化領域が配置されるミラー層別に、選択酸化領域の膜厚と実効屈折率差との関係を示しているグラフである(K.D.Choquette et al., Proceedings of SPIE Vertical-Cavity Surface-Emitting Lasers, vol. 3003, pp.194-200, 1997.)。図6において、曲線l1は第1周期目に選択酸化層を配置した場合を示し、以下、曲線l2、l3、l4、l5は、それぞれ第2周期目、第3周期目、第4周期目、第5周期目に選択酸化領域を配置した場合を示している。グラフの横軸は選択酸化領域の膜厚を示し、グラフの縦軸は、実効屈折率差を示す。
【0070】
本実施の形態2にかかる面発光レーザ素子では、選択酸化領域29bは第2周期目のミラー層内に配置されているため、図6のグラフにおいて曲線l2を参照する。曲線l2を参照することで、実効屈折率差が0.038以下となるためには、膜厚は32nm以下となることが必要であることが分かる。また、実効屈折率差が0.0165となるためには、膜厚は13nmとなることが分かる。
【0071】
膜厚の最小値については実施の形態1と同様の議論が成立するため、この結果、閾値電流を低く抑制しつつ単一横発振モードを実現するために必要な選択酸化領域29bの膜厚dの範囲は、
6nm≦d≦32nm・・・・(7)
となり、迅速に選択酸化が可能で、電流注入領域29aの径を大きくとることができる膜厚dのより好ましい範囲は、
10nm≦d≦13nm・・・・(8)
となる。以上によって実施の形態2にかかる面発光レーザ素子において、選択酸化領域29bの構造が最適化される。
【0072】
(変形例)
次に、実施の形態2の変形例にかかる面発光レーザ素子について説明する。図7は、変形例にかかる面発光レーザ素子の構造を示す断面図であり、選択酸化領域29bが、第3周期目のミラー層に配置されている点が実施の形態2と異なる。
【0073】
既に述べたように、実施の形態2においても、活性層4の中心から370nm〜680nmの範囲に下端が存在するミラー層内に選択酸化領域29bを配置することが可能である。出射波長が1300nmで、光共振器の光学長が出射光の波長と等しい場合において、第3周期目のミラー層の下端は活性層4の中心から596nmだけ離隔しており、上記範囲に含まれることが分かる。そのため、第3周期目のミラー層に選択酸化領域29b−1を配置する構造とすることが可能である。
【0074】
電流注入領域29a−1の径および実効屈折率差の条件については、実施の形態2にかかる面発光レーザ素子と同様に考えることができる。結論としては、電流注入領域29a−1の径は3.5μm以上、好ましくは5.3μmであり、実効屈折率差については、0.038以下となる必要があり、好ましくは0.0165となる。
【0075】
図6に示すグラフによって、上記実効屈折率差を満たす膜厚について調べる。変形例にかかる面発光レーザ素子は、選択酸化領域29b−1が第3周期目のミラー層に配置されているため、図において曲線l3を参照する必要がある。曲線l3によれば、実効屈折率差が0.038以下となるためには膜厚は46nm以下となる必要があり、実効屈折率差が0.0165となるために必要な膜厚は20nmである。以上で変形例にかかる選択酸化領域29b−1の構造の最適化は終了する。
【0076】
なお、実施の形態1、2およびこれらの変形例を用いて本発明にかかる面発光レーザ素子を説明したが、上記説明以外の構造を採用することも可能である。たとえば、実施の形態1、2およびこれらの変形例においては、面発光レーザ素子の出射波長は1300nmとしていた。本発明はこれに限定せず、850nm以上の長波長を有する面発光レーザ素子についても選択酸化領域の構造の最適化が可能である。以下、このことについて説明する。
【0077】
まず、選択酸化領域のミラー層内における位置については、低屈折率層の活性層から見て遠い側の界面近傍に配置することが好ましいことが出射波長に関わらず成立する。そして、どのミラー層内に配置するかについても、決定要因は閾値電流の増加の抑制および信頼性の確保の観点からおこなわれ、これらの観点は出射波長との相関関係に乏しい。さらに、電流注入領域の径についても850nm帯面発光レーザ素子に関する測定結果から導出しており、既に述べたように出射波長に関係なく測定結果を用いている。選択酸化領域の膜厚についても、必要な実効屈折率差をするための膜厚を既知の方法によって導出すればよい。したがって、850nm以上の長波長面発光レーザ素子に関して、実施の形態1または2に記載した手法を用いて選択酸化領域の構造の最適化を行うことができる。なお、同様の理由により、異なる光学長の光共振器を備えた面発光レーザ素子についても、選択酸化領域の構造の最適化を行うことができる。ここで、選択酸化領域の積層方向の位置について、選択酸化領域を配置するミラー層の下端の位置が活性層の中心から370nm〜680nmの範囲としているが、選択酸化領域自体の位置に関しては、ミラー層を構成する低屈折率層の膜厚も考慮して、活性層の中心からの距離の上限を780nmとすることが好ましい。
【0078】
また、p型不純物として炭素を用いる以外に、亜鉛(Zn)やベリリウム(Be)を使用することができる。n型不純物についても同様で、シリコン以外のドーパントを使用しても良い。
【0079】
また、選択酸化領域および電流注入領域を形成する半導体材料としてAlAsを用いたが、これ以外にも、AlxGa1-xAs(0.97≦x<1)を使用しても選択酸化が可能であり、電流注入領域を形成することも可能である。
【0080】
また、上部反射層および下部反射層を構成するミラー層について、低屈折率層をAlxGa1-xAs(0.5≦x≦1)で構成し、高屈折率層をAlxGa1-xAs(0≦x≦0.2)で構成した場合にも、出射波長の光を反射することが可能であり、ミラー層として機能することが可能である。また、低屈折率層および高屈折率層について、互いの境界面付近において、低屈折率層と高屈折率層との屈折率差を緩和するような組成傾斜層を配置した構造としても良い。
【0081】
また、基板についても、GaAs基板以外に、InP基板、GaInAs基板等のものを用いても本発明にかかる面発光レーザ素子を実現することが可能である。
【0082】
また、活性層について、3重の量子井戸層およびこれらを分離する障壁層からなる構造ではなく、単一の量子井戸層で構成しても良いし、それ以外の数の量子井戸層を有する構造としても良い。また、量子井戸層について、GaInAs系やGaAsSb系の半導体材料で形成することが可能である。さらに、量子井戸層ではなく、(Ga)InAs等によって形成される量子ドットとしても良い。また、単純にダブルヘテロ構造の面発光レーザ素子としても良い。
【0083】
また、面発光レーザ素子を形成する半導体材料について、導電型を反対にすることも可能である。たとえば、基板、下部クラッド層、下部反射層をp型半導体によって形成し、上部反射層、上部クラッド層をn型半導体によって形成しても良い。
【0084】
さらに、選択酸化領域および電流注入領域からなる電流狭窄層についてはp型反射層内に配置することが好ましいが、n型反射層内に配置しても同様の議論が成立し、同等の効果を発揮することが可能である。
【0085】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる光送受信器について説明する。図8は、実施の形態3にかかる光送受信器の構造を示すブロック図である。本実施の形態3にかかる光送受信器は、光信号を送受信するための光送信部34および光受信部35を有するトランシーバ31と、電気信号をトランシーバ31に入力する信号多重化回路32と、トランシーバ31が受信した光信号から得られる電気信号を分離する信号分離回路33とを有する。
【0086】
光送信部34は、信号多重化回路32から入力された電気信号を光信号に変換して送信するためのものである。具体的には、光送信部34は、光信号を出射する面発光レーザ素子36と、入力された電気信号に基づいて面発光レーザ素子36を制御する制御回路37と、面発光レーザ素子36から出射された光信号を外部に出力するための出力光学系38とを有する。
【0087】
光送信部34に含まれる面発光レーザ素子36には、実施の形態1または2にかかる面発光レーザ素子を用いる。したがって、面発光レーザ素子36は、閾値電流が低く、高い信頼性を有しかつ単一横モード発振が可能である。
【0088】
光受信部35は、外部から受信した光信号を電気信号に変換して信号分離回路33に出力するためのものである。具体的には、光受信部35は、光信号を受信して電気信号に変換するための光電変換素子39と、光信号を光電変換素子39に導くための入力光学系40と、光電変換素子39から出力される電気信号を増幅する増幅回路41とを有する。光電変換素子39は、受信した光信号の強度に基づいて電気信号を出力する。光電変換素子39としては、フォトダイオードの他、光抵抗などを用いることが可能である。
【0089】
信号多重化回路32は、外部から入力される複数の電気信号を多重化して1本の電気信号にするためのものである。多重化されて得られた1本の電気信号は、トランシーバ31を構成する光送信部34に出力される。
【0090】
信号分離回路33は、トランシーバ31を構成する光受信部35から得られた電気信号について、複数の電気信号に分離するためのものである。光受信部35で受信される光信号は元来複数の信号を含んでいるため、光信号を光電変換して得られる電気信号についても、情報を取り出すためには複数の電気信号に分離する必要があるためである。
【0091】
本実施の形態3にかかる光送受信器の動作について説明する。実施の形態3にかかる光送受信器は、複数の電気信号について送受信をおこなうためのものである。最初に、送信動作について説明する。
【0092】
まず、外部から入力された複数の電気信号は、信号多重化回路32で単一の電気信号に変換される。そして、この単一の電気信号が信号多重化回路32から制御回路37に入力され、制御回路37は、この電気信号に基づいて面発光レーザ素子36に注入する電流を制御する。具体的には、制御回路37によって、電気信号波形に対応した波形を有する光信号が面発光レーザ素子36から出射される。なお、面発光レーザ素子36は、実施の形態1または2にかかる面発光レーザ素子からなるため、最大10Gbit/sで直接光変調が可能である。そのため、大量の情報を光信号に付加して送信することが可能である。面発光レーザ素子36から出力された光信号は、出力光学系38を介して外部に出力される。以上で送信動作が終了する。
【0093】
次に、受信動作について説明する。外部から伝送されてきた光信号は、入力光学系40を介して入射し、光電変換素子39によって受信される。光電変換素子39は受信した光信号の強度変化に対応した波形を有する電気信号を出力する機能を有し、変換された電気信号は増幅回路41に入力される。外部から入力された光信号の強度は、一般に微弱であるため、光電変換素子39から出力される電気信号の強度も微弱となり、増幅回路41によってその強度を増幅される。その後、増幅された電気信号は信号分離回路33に入力され、複数の電気信号に分離される。以上で受信動作が終了する。
【0094】
本実施の形態3にかかる光送受信器は、実施の形態1または2にかかる面発光レーザ素子を有する。そのため、実施の形態3においては、面発光レーザ素子36の閾値電流が低い値を有し、高い信頼性を有する。また、10Gbit/sで直接変調可能であり、大量の情報を有する光信号を出力することが可能である。さらに、出力する光信号を光ファイバによって伝送した場合、伝送可能な距離は15km以上となり、長距離伝送が可能となる。
【0095】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4にかかる光通信システムについて説明する。図9は、実施の形態4にかかる光通信システムの構造を示す模式図である。実施の形態4にかかる光通信システムは、実施の形態1または2にかかる面発光レーザ素子を信号光源に使用している。具体的には、本実施の形態4にかかる面発光レーザ素子は、信号多重化回路42と、信号多重化回路42に接続された制御回路43と、制御回路43に接続された面発光レーザ素子44と、伝送用光ファイバ46と、面発光レーザ素子44と伝送用光ファイバ46の一端とを光結合させるための光学系45とを有する。また、伝送用光ファイバ46の他端と光学系47を介して光結合した光電変換素子48と、光電変換素子48と接続された増幅回路49と、増幅回路49と接続された信号分離回路50とを有する。
【0096】
信号多重化回路42で得られた単一の電気信号は制御回路43に入力され、この電気信号に基づいて制御回路43は面発光レーザ素子44に注入する電流について制御をおこなう。これにより、面発光レーザ素子44から出力される光信号は、信号多重化回路42で得られた電気信号に対応した波形を有する。面発光レーザ素子44から出力された光信号は光学系45を介して伝送用光ファイバ46の一端に入射し、伝送用光ファイバ46中を伝送する。
【0097】
そして、伝送用光ファイバ46中を伝送した光信号は、伝送用光ファイバ46の他端から出射し、光学系47を介して光電変換素子48に入射する。光電変換素子48は、受信した光信号に基づく電気信号を出力し、増幅回路49で増幅された後に信号分離回路50に入力される。
【0098】
信号分離回路50は、入力された電気信号について、信号多重化回路42で多重化される前の個々の電気信号に分離して、情報を復元する。このようにして本実施の形態4にかかる光通信システムは情報の伝送をおこなう。
【0099】
本実施の形態4にかかる光通信システムでは、送信側の信号光源として、実施の形態1または2にかかる面発光レーザ素子を使用している。そのため、低閾値で信頼性が高い信号光源を使用することが可能である。また、単一横モード発振が可能であるため、伝送途上で信号波形が崩れることもなく、確実に光信号を伝送することができる。具体的には、伝送用光ファイバ46のファイバ長を15km以上としても10Gbit/sで直接変調した光信号を伝送することが可能である。
【0100】
また、実施の形態1または2にかかる面発光レーザ素子は出射波長を850nm〜1650nmの範囲で変化させることができるため、伝送用光ファイバ46において低損失となる波長を選択することが可能である。また、これらの波長帯において、既存の光通信システムを利用することができるという利点も有する。たとえば、出射波長を980nmとして、伝送用光ファイバ46の途上にEDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)を配置する構造としても良い。この場合、EDFAによって光信号の強度を増幅することができるので、伝送距離をさらに延伸させることができる。同様に、TDFA、ラマン増幅器等を用いても良い。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように、の発明によれば、選択酸化領域の構造を最適化したため、閾値電流を低い値に抑制し、高い信頼性を有し、単一横モード発振が可能で、10Gbit/sで直接変調をおこなえ、長距離伝送が可能な面発光レーザ素子を提供できるという効果を奏する。
【0102】
また、の発明によれば、選択酸化領域の構造を最適化した面発光レーザを用いる構成としたため、単一横モード発振が可能で、長距離伝送が可能なトランシーバ、光送受信器および光通信システムを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる面発光レーザ素子の構造を示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、測定に用いた850nm帯面発光レーザ素子の構造を示す断面図である。
【図3】実効屈折率差について説明するための模式的な図である。
【図4】実施の形態1の変形例にかかる面発光レーザ素子の構造を示す断面図である。
【図5】実施の形態2にかかる面発光レーザ素子の構造を示す断面図である。
【図6】選択酸化領域が配置されるミラー層別に、選択酸化領域の膜厚と実効屈折率差との関係を示すグラフである。
【図7】実施の形態2の変形例にかかる面発光レーザ素子の構造を示す断面図である。
【図8】実施の形態3にかかる光送受信機の構造を示すブロック図である。
【図9】実施の形態4にかかる光通信システムの構造を示すブロック図である。
【図10】従来の面発光レーザ素子の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 下部反射層
3、26 下部クラッド層
4 活性層
5、27 上部クラッド層
6 上部反射層
7 コンタクト層
8 p側電極
9 n側電極
10、17 高屈折率層
11、16 低屈折率層
12、18 ミラー層
13a〜13d 障壁層
14a〜14d 量子井戸層
15 2λ共振器
19a、29a、29a−1 電流注入領域
19b、29b、29b−1 選択酸化領域
20,30 電流狭窄層
28 λ共振器
31 トランシーバ
32、42 信号多重化回路
33、50 信号分離回路
34 光送信部
35 光受信部
36、44 面発光レーザ素子
37、43 制御回路
38 出力光学系
39、48 光電変換素子
40 入力光学系
41、49 増幅回路
45、47 光学系
46 伝送用光ファイバ

Claims (12)

  1. GaAsによって形成された基板上に、下部反射層、下部クラッド層、活性層、上部クラッド層、上部反射層を順次積層した構造を備え、前記基板に対して垂直方向に1260nm以上、1360nm以下の波長を有するレーザ光をレーザ発振する面発光レーザ素子であって、
    前記上部反射層および前記下部反射層は、発振波長の1/4の光学長を有しAlxGa1-xAs(0.5≦x≦1)を含む低屈折率層および発振波長の1/4の光学長を有しAlxGa1-xAs(0≦x≦0.2)を含む高屈折率層の2層構造を備えたミラー層を複数積層して形成され、
    前記下部反射層または前記上部反射層の内部であって、前記活性層中心から370nm以上、780nm以下の距離だけ積層方向に離隔した領域であり、かついずれかのミラー層における前記低屈折率層内の電界強度分布が最小となる位置の近傍に配置された、AlxGa1-xAs(0.97≦x≦1)を選択酸化して形成される選択酸化領域と、
    該選択酸化領域に挟まれて配置された3.5μm以上の径の電流注入領域と、
    を備え、該電流注入領域を含む積層方向領域の実効屈折率と、前記選択酸化領域を含む積層方向領域の実効屈折率との差分値が、前記電流注入領域の径と下記式によって決定され、かつ0.038以下であり、さらに前記選択酸化領域は、前記差分値と該選択酸化領域の積層方向の位置との関係から算出される膜厚を有し、前記レーザ光は単一横モード発振することを特徴とする面発光レーザ素子。
    Φ c (λ)/3.5={λ/(Δn) 1/2 }/{0.85/(0.0165) 1/2
    ただし、Φ c (λ)は、当該面発光レーザ素子の発振するレーザ光の波長がλ[μm]の場合の前記電流注入領域の径であり、Δnは、前記差分値である。
  2. 前記下部クラッド層、前記活性層および前記上部クラッド層によって形成される光共振器は、前記レーザ光の波長の2倍の光学長を有し、
    前記選択酸化領域は、前記上部又は下部反射層において、前記活性層側より第1周期目に積層されたミラー層内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザ素子。
  3. 前記下部クラッド層、前記活性層および前記上部クラッド層によって形成される光共振器は、前記レーザ光の波長と等しい光学長を有し、
    前記選択酸化領域は、前記上部又は下部反射層において、前記活性層側より第2周期目に積層されたミラー層内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザ素子。
  4. 前記選択酸化領域は、6nm以上、32nm以下の膜厚を有することを特徴とする請求項2または3に記載の面発光レーザ素子。
  5. 前記選択酸化領域は、10nm以上、13nm以下の膜厚を有することを特徴とする請求項2または3に記載の面発光レーザ素子。
  6. 前記下部クラッド層、前記活性層および前記上部クラッド層によって形成される光共振器は、前記レーザ光の波長の2倍の光学長を有し、
    前記選択酸化領域は、前記上部又は下部反射層において、前記活性層側より第2周期目に積層されたミラー層内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザ素子。
  7. 前記下部クラッド層、前記活性層および前記上部クラッド層によって形成される光共振器は、前記レーザ光の波長と等しい光学長を有し、
    前記選択酸化領域は、前記上部又は下部反射層において、前記活性層側より第3周期目に積層されたミラー層内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザ素子。
  8. 前記選択酸化領域は、6nm以上、46nm以下の膜厚を有することを特徴とする請求項6または7に記載の面発光レーザ素子。
  9. 前記選択酸化領域は、10nm以上、20nm以下の膜厚を有することを特徴とする請求項6または7に記載の面発光レーザ素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子と、入力された電気信号に基づいて前記面発光レーザ素子に注入する電流値を制御する制御回路とを有する光送信部と、
    外部から入射する光信号を受信して電気信号に変換する光電変換素子を有する光受信部と、
    を備えたことを特徴とするトランシーバ。
  11. 請求項1〜9のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子と、
    複数の電気信号を多重化する信号多重化回路と、
    該信号多重化回路から出力される電気信号に基づき前記面発光レーザ素子を制御する制御回路と、
    外部から入射する光信号を受信して電気信号に変換する光電変換素子と、
    該光電変換素子から出力される電気信号を複数の電気信号に分離する信号分離回路と、
    を備えたことを特徴とする光送受信器。
  12. 請求項1〜9のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子と、
    該面発光レーザ素子を制御する制御回路と、
    前記面発光レーザ素子から出射された光信号を一端から入射し、伝送する伝送用光ファイバと、
    該伝送用光ファイバの他端から入射する前記光信号を受信して電気信号に変換する光電変換素子と、
    を備えたことを特徴とする光通信システム。
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