JP4629386B2 - 熱可塑性ポリウレタンチューブの製造方法 - Google Patents

熱可塑性ポリウレタンチューブの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特に高温における破壊応力が向上した熱可塑性ポリウレタンチューブの製造方法に関する。
熱可塑性ポリウレタンチューブは、柔軟で利便性に優れており、しかも通常の熱可塑性樹脂と同様に押出成形などの成形加工により容易に成形物を得ることができることから、空圧用チューブなどに広く使用されている。熱可塑性ポリウレタンは、一般に原料としてポリオール、ジイソシアネートおよび鎖延長剤としての低分子ジオールを用いて製造され、ジイソシアネートと低分子ジオールとから形成されるハードセグメントと、ポリオールとから形成されるソフトセグメントという2つのセグメントにより高強度で柔軟なエラストマーを与える。
特許文献1には、特定の予熱温度および押出圧力にて熱可塑性ポリウレタンを押出成形する熱可塑性ポリウレタンチューブの製造方法が記載されている。
しかしながら、通常の熱可塑性ポリウレタンチューブは、耐熱性に劣るため、使用可能温度が限定され、特に高温での使用圧力が高い用途には使用することができなかった。このため、従来、高温では主としてナイロンチューブが使用されているが、ナイロンチューブは剛性が高く、柔軟性に劣っている。
耐熱性等の熱的性質を改善するために、熱可塑性ポリウレタンのハードセグメントまたはソフトセグメントの分子構造を変える試みが種々なされている(例えば下記特許文献2を参照)。しかし、この方法は、熱可塑性ポリウレタンの分子構造自体を改変するため、柔軟性などのチューブの諸物性に悪影響を及ぼすおそれがある。
特開平7−136278号公報 特開平7−113004号公報
本発明の課題は、耐熱性が向上し、高温における使用を可能にした熱可塑性ポリウレタンチューブの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、柔軟性を損なうことなく、耐熱性が向上した熱可塑性ポリウレタンチューブを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる熱可塑性ポリウレタンチューブの製造方法は、ポリオール、低分子量ジオールおよびジイソシアネートの成形物からなり、流動開始温度Tm以上の温度で溶融成形し冷却固化された前記成形物を、流動開始温度Tm以下でガラス転移点Tg以上の温度T1に加熱し、ついで温度T2(但し、Tm>T1>T2>Tg)に素早く温度降下させ、該温度T2で、ジイソシアネートから形成されたハードセグメントと、ポリオールから形成されたソフトセグメントとが相分離した構造が生じる時間が経過するまで保持した後、冷却することを特徴とする。
本発明で得られる熱可塑性ポリウレタンチューブは、柔軟であるというナイロンチューブにない優れた特質を有し、かつ80℃におけるチューブ破壊応力が3.6MPa以上であるという、従来のポリウレタンチューブでは得られなかったナイロンチューブに近い熱的性質を有するため、これまで熱可塑性ポリウレタンチューブを使用できなかった高温での使用が可能になるという効果がある。
本発明で使用される熱可塑性ポリウレタンは、分子量500〜4000のポリオール、分子量500以下の低分子量ジオールおよびジイソシアネートの付加重合体である。ポリオールとしては、例えばポリオキシアルキレンポリオール(PPG)、ポリエーテルポリオール変性体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)などのポリエーテルポリオール;縮合系ポリエステルポリオール(例えばアジペート系ポリオール)、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオールなどのポリエステルポリオール;さらにアクリルポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ケン化EVA、難燃化ポリオール(含リンポリオール、含ハロゲンポリオール)などが挙げられる。
ジイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、4、4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族系ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂肪族系ジイソシアネートなどが挙げられる。
前記低分子量ジオールは鎖延長剤として使用されるものであり、例えば1,4‐ブタンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキノンなどが挙げられる。
本発明においては、従来から熱可塑性エラストマーとして様々な用途に使用されている汎用熱可塑性ポリウレタンを使用するのが好適であり、具体例としては例えば4、4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートから形成されたハードセグメントと、ポリオールから形成されたソフトセグメントとからなる熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。この熱可塑性ポリウレタンの重量平均分子量は10万〜100万程度、数平均分子量は2万〜10万程度であればよい。
本発明の可塑性ポリウレタンチューブは、動的粘弾性測定において、LogE′が4.5MPaになる温度と、tanδのピーク温度との差が、190〜225℃、好ましくは205〜220℃であり、通常の可塑性ポリウレタンチューブに比して差が拡大している。これは、上記のように熱可塑性ポリウレタンチューブの有するハードセグメントとソフトセグメントとからなる高次構造または相構造が変化したことを示しており、具体的には相分離構造が発生していることを示している。これにより成形品の熱的性質が向上する。
このような相分離構造を発生させるためには、熱可塑性ポリウレタンを通常の方法により、流動開始温度Tm以上の温度Txで溶融押出成形しチューブを作製する。得られた熱可塑性ポリウレタンチューブを図1に示すように流動開始温度Tm以下でガラス転移点Tg以上の温度T1に加熱し、ついでガラス転移点Tg以上の温度T2に素早く温度降下させ、温度T2で相分離構造が生じる時間が経過するまで保持した後、室温まで冷却する。流動開始温度は、フローテスターを用いて樹脂に一定荷重(通常10kg)の荷重を掛けて、温度を上昇させていったとき、ノズル(通常直径1mm×長さ1mm)から樹脂が流出を開始する温度を測定することによって求められる。
前記温度Txは、流動開始温度Tm以上で熱可塑性ポリウレタンを溶融成形できる温度であればよく、通常200〜240℃である。チューブの溶融成形手段は特に制限されないが、溶融押出成形があげられる。また、成形されるチューブの形状や大きさも特に制限されないが、一般には外径が3〜16mm、肉厚が0.5〜2mmのチューブが例示される。
前記温度T1は175〜190℃の範囲である。温度T1がこの範囲を外れると、成形品の高次構造を制御できなくなるおそれがある。前記温度T1での保持時間は5〜90秒、好ましくは10〜60秒であるのがよい。
一方、前記温度T2は155〜165℃の範囲である。温度T2がこの範囲を外れると、成形品の高次構造を制御できなくなるおそれがある。温度T2での保持時間は、少なくとも相分離構造が生じる時間が経過するまでであり、通常は30秒以上、好ましくは1分以上であればよい。温度T2での保持時間の上限は特に制限されないが、60分以下とするのが適当である。
本発明では、前記温度T1から素早く温度降下させて温度T2にするのが重要であり、素早く温度降下させない場合には、チューブの高次構造を制御できなくなるおそれがある。温度T2で所定時間保持した後は室温まで徐冷してもよく、急冷してもよい。ここで、温度T1から温度T2への温度降下は、約50〜1000℃/分の冷却速度であるのが好ましい。
また、本発明では、チューブ全体にムラのない均一な構造制御が必要であり、特に温度にムラがあるとチューブの一部に相分離構造が発現しないので、高温での熱的性質を改善できなくなるおそれがある。本発明で使用可能な構造制御装置の一例を図2に示す。同図に示すように、複数の赤外線ヒータ1をポリウレタンチューブ2の周方向に配設してポリウレタンチューブ2を加熱する。
赤外線ヒータ1としては、遠赤外線ヒータ、中赤外線ヒータおよび近赤外線ヒータのいずれもが使用可能である。ここで、中赤外線ヒータは、近赤外線ヒータほどではないが、狭い波長で高いエネルギーを持ち、かつプラスチックへの吸収性が高いために短時間で精密加熱が可能である。
チューブ2の周方向に配設する赤外線ヒータ1の数は特に制限されないが、2〜10個程度であるのが適当である。赤外線ヒータ1は、その長さ方向がチューブ2の軸方向と平行に配置されるのがよい。各赤外線ヒータ1は、反射板3の内部に設置されている。
ポリウレタンチューブ2を均一に加熱するために、赤外線ヒータ1とポリウレタンチューブ2とを該チューブ2の周方向に相対移動させるのが好ましい。具体的には、赤外線ヒータ1またはポリウレタンチューブ2をチューブ2の周方向に回転させる。これにより、周方向に均一に加熱されるようになる。回転速度は特に制限されないが、10〜300回転/分程度であるのが均一加熱を図るうえで好ましい。
また、長いポリウレタンチューブ2を処理する場合には、例えば、チューブ2またはこれを囲む赤外線ヒータ1を一定速度でチューブ2の長さ方向に移動させながら、赤外線ヒータ1をチューブ2の周方向に回転させればよい。
図3は熱可塑性ポリウレタンチューブの構造制御装置の概要を示している。図3に示すように、この装置は、巻回したチューブ2を引取機4で連続的に引出し、ポリウレタンチューブ2を温度T1に加熱する第1の赤外線ヒータ加熱領域Aと、チューブ2を温度T2まで温度降下させる温度降下領域Bと、チューブ2を温度T2に加熱する第2の赤外線ヒータ加熱領域Cと、冷却手段Dとがチューブ2の引出し方向に沿って配置されている。
第1の赤外線ヒータ加熱領域Aと第2の赤外線ヒータ加熱領域Cとは、図2に示すように複数の赤外線ヒータ1をチューブ2の周方向に配設したものである。各加熱領域A、Cにおける温度調整は、各赤外線ヒータの出力調整などによって行なうことができる。各加熱領域A、Cでのチューブ2の通過時間は、チューブ2の各温度T1、T2での保持時間および各加熱領域A、Cの長さから決定することができる。
温度降下領域Bでは、例えば冷風をチューブ2に吹き付けるなどして、チューブ2を温度T1からT2またはその近傍まで素早く温度降下させる。冷却手段Dは、例えば冷却水槽などから構成され、チューブ2を室温近くまで冷却する。温度T2への温度降下もチューブの周方向全体に均一に行なわれるようにするのが好ましい。
なお、温度降下領域Bを設けずに、第1の赤外線ヒータ加熱領域Aと第2の赤外線ヒータ加熱領域Cとを並設してもよい。
また、チューブ2を押出成形しながら、冷却(例えば水槽に浸漬するなど)し、前記した第1の赤外線ヒータ加熱領域A、温度降下領域B、第2の赤外線ヒータ加熱領域Cおよび冷却手段Dの順に連続的に通過させて、温度T1、T2および冷却の順で熱処理してもよい。
かくして得られる本発明の熱可塑性ポリウレタンチューブ2は、動的粘弾性測定において、tanδのピーク温度(すなわちTg)が、通常の熱可塑性ポリウレタンを加熱溶融し冷却固化したものに比べて低下して−20〜10℃となる。一方、前記LogE′が4.5MPaになる温度は、通常の熱可塑性ポリウレタンを加熱溶融し冷却したものに比べて上昇し190〜210℃となる。その結果、前記したように、LogE′が4.5MPaになる温度とtanδのピーク温度との差が190〜225℃となる。
その結果、本発明の熱可塑性ポリウレタンチューブは、室温での柔軟性が損なわれることなく、80℃におけるチューブ破壊応力が3.6Ma以上になり、高温での使用圧力が向上し、さらに耐熱性および耐寒性も向上する。ちなみに、本発明の熱可塑性ポリウレタンチューブは、室温におけるチューブ破壊応力が通常の熱可塑性ポリウレタンチューブとほぼ同等である。
上記のように構造制御された本発明の熱可塑性ポリウレタンチューブは、高温での破壊強度が向上するという利点のほかは、機械的性質などにおいて通常の熱可塑性ポリウレタンチューブとほぼ同等の性質を有する。
なお、以上の説明では、本発明の熱可塑性ポリウレタンチューブを製造するための構造制御手段として、赤外線ヒータを使用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、(1)温度T1の加熱炉(熱風乾燥機等)および温度T2の加熱炉を並べてチューブをこの順に通過させる、(2)チューブに中空金属管を挿入し該中空金属管内に温度T1およびT2に加熱した2つの熱媒(オイル等)をこの順に通過させるなどによっても、高温での破壊強度が向上した本発明の熱可塑性ポリウレタンチューブを得ることができる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[参考例]
<熱可塑性ポリウレタンチューブの製造>
熱可塑性ポリウレタンとして、日本ポリウレタン社製の「ミラクトランE394」(流動開始温度Tm:約190℃、ガラス転移点:約0℃)を使用した。このポリウレタンは、ハードセグメントにMDIを、ソフトセグメントにPTMGを使用し、鎖延長剤に1,4‐ブタンジオールを使用したものである。この熱可塑性ポリウレタンを押出成形し、室温付近に冷却し固化させて、外径8mm、肉厚1.5mmの熱可塑性ポリウレタンチューブを得た。
ヒータ長が80mmの近赤外線ヒータを図2に示すように配設し、中央に、前記参考例で得たチューブ2を配置し、これを200回転/分で回転させてチューブ2全体を加熱した。各近赤外線ヒータの温度調整は、ヒータへの出力調整により行なった。すなわち、チューブ2の表面に熱電対を設置して、温度を測定し、そのデータをもとにヒータの出力を調整した。
以上の装置を用いて、チューブ2の構造制御を行った。すなわち、チューブ2を180℃で30秒間加熱し、ついで素早くヒータの出力を変えて160℃で180秒間加熱した。このとき、チューブ2には加熱による変形は認められなかった。
(光学顕微鏡観察)
ミクロトームを使用して、チューブ表面を0.1mm厚さにスライスした後、偏光光学顕微鏡観察を行なった。その結果、構造制御処理を行ったチューブ2には、ハードセグメントとソフトセグメントとがミクロ相分離した構造が出現していた。
(80℃での破壊応力の測定)
チューブの破壊応力は、図4に示す装置を用いるチューブ破壊試験によって測定した。すなわち、図4に示すように、チューブ5の一端を栓6で塞ぎ、他端に水供給口7に接続して、水槽に入れた80℃の温水8中に浸漬した。この状態で5分間放置した後、水供給口7より80℃の温水をチューブ5内に注入して水圧をかけ(昇圧速度:0.12MPa/秒)、チューブ5が破壊した圧力を破壊圧力として測定し、これから次式に従って破壊応力を求めた。
Figure 0004629386
その結果、構造制御しないチューブ(対照)の破壊応力が2.89MPaであったのに対して、構造制御したチューブの破壊応力は3.60MPaにまで向上していた(約24.6%の強度向上)。
(室温での破壊応力の測定)
水槽中に温度23℃の水を入れ、これにチューブを浸漬したほかは、上記80℃の場合と同様にして、破壊応力を測定した。その結果、構造制御しないチューブ(対照)の破壊応力が8.7MPaであったのに対して、構造制御したチューブの破壊応力は8.9MPaであった。
(広角X線(WAXD)測定)
実施例1で得た構造制御したポリウレタンチューブと構造制御しないチューブ(対照)とを広角X線測定した。測定は(株)リガク製の「RNT‐2000」を用いて測定範囲2θ=10°〜30°、測定レート0.2°の条件で行った。測定結果を図5に示す。図5から、実施例1で得たポリウレタンチューブでは結晶化度が高くなっていることがわかる。
(動的粘弾性(DMS)測定)
実施例1で得た構造制御したポリウレタンチューブと構造制御しないチューブ(対照)との動的粘弾性を測定した。測定条件は以下の通りである。
測定装置:SII社製の「DMS6100」
温度条件:−100℃〜+250℃
昇温速度:5℃/分
測定周波数:1Hz
サンプルサイズ:幅5mm×長さ20mm
測定結果を図6に示す。図6から明らかなように、実施例1のチューブは構造制御しない対照チューブに比べてLogE′の落ち込み温度の上昇およびtanδのピーク温度の低下が観測された。これは、ポリウレタンチューブの耐熱性および耐寒性が向上していることを示している。
(機械的性質)
上記チューブと同じ組成のポリウレタンシート(厚さ0.33mm、幅5mm)を用いて、前記と同様に180℃で30秒加熱し、ついで素早くヒータの出力を変えて160℃で180秒加熱して構造制御を行った。
得られたシートの室温での引張強度をJIS K 7161に準拠して測定した。対照として構造制御を行わなかったポリウレタンシートを用いて、同様にして引張強度を測定した。その結果を図7に示す。同図から、実施例1のチューブは機械的性質が低下せず、対照とほぼ同等の引張強度を有していることが判明した。
(柔軟性)
実施例1で得たポリウレタンチューブの室温での柔軟性(曲げ強さ)を図8に示す方法にて測定した。すなわち、図8に示す測定装置では、試料であるチューブ10を2枚のプレート11,12間に折り曲げて挟持する。プレート11,12はレール13上に保持され、レール13に沿って移動可能である。プレート12の裏面側には、チューブを折り曲げた際の応力を測定するためのロードセル14が位置している。
この状態で、プレート11を矢印で示す方向に一定の速度でゆっくりと移動させてチューブを折り曲げた際の曲げ幅と応力を測定する。応力最大の点がチューブのキンク点であり、そのときの曲げ幅の1/2がチューブのキンク半径となる。なお、測定時の温度は23℃であり、試験に使用したチューブ10のサイズは、外径6mm、内径4mm、長さ220mmである。
比較のため、構造制御を行わなかったポリウレタンチューブ(対照)およびナイロンチューブ(原料樹脂:ナイロン6)を用いて、同様にして試験した。その結果を表1に示す。
Figure 0004629386

表1から明らかなように、構造制御した実施例1のウレタンチューブは対照チューブとキング半径がほぼ同等であるのに対して、ナイロンサンプルはキンク半径が大きく、柔軟性に劣っている。従って、構造制御ウレタンチューブはナイロンチューブと比べて、室温での柔軟性に優れていることがわかる。
図9に示すように、ヒータ長が100mmの近赤外線ヒータ51,52を対向して配設し、それらの間の中央に、前記参考例で得たチューブ2を配置した。各近赤外線ヒータ51,52は出力を一定(300℃)にし、チューブ2の表面が構造制御に必要な温度になるように、各ヒータ51,52とチューブ2との距離を調整した。すなわち、チューブ2の表面に熱電対61,62を設置して、温度を測定し、そのデータをもとにヒータとの距離を調整した。そして、チューブ2を200回転/分で回転させてチューブ2全体を加熱するようにした。
以上の装置を用いて、チューブ2の構造制御を行った。すなわち、表2に示す条件でチューブ2を180℃で所定時間加熱し、ついで素早く温度を160℃に変えて所定時間加熱した。
Figure 0004629386
チューブには加熱による変形は認められなかった。また、実施例1と同様にして偏光光学顕微鏡観察を行なった結果、構造制御されたチューブには、ハードセグメントとソフトセグメントとがミクロ相分離した構造が出現していた。
さらに、80℃での破壊応力を実施例1と同様にして測定した。その結果を表に示す。表から、構造制御されたチューブはいずれも対照に比べて、高い破壊応力を有していることがわかる。
本発明における温度制御条件を示すグラフである。 温度制御を実施するための装置の概略を示す平面図である。 連続温度制御装置の概略図である。 破壊応力測定方法を示す概略図である。 実施例1と対照の広角X線(WAXD)測定結果を示すグラフである。 実施例1と対照の動的粘弾性(DMS)の測定結果を示すグラフである。 実施例1における引張強度の測定結果を示すグラフである。 チューブの柔軟性(曲げ強さ)を測定する装置を示す概略図である。 実施例2で使用した温度制御を実施するための装置の概略を示す平面図である。
符号の説明
1 赤外線ヒータ
2 熱可塑性ポリウレタンチューブ

Claims (1)

  1. ポリオール、低分子量ジオールおよびジイソシアネートの成形物からなり、流動開始温度Tm以上の温度で溶融成形し冷却固化された前記成形物を、流動開始温度Tm以下でガラス転移点Tg以上の温度T1に加熱し、ついで温度T2(但し、Tm>T1>T2>Tg)に素早く温度降下させ、該温度T2で、ジイソシアネートから形成されたハードセグメントと、ポリオールから形成されたソフトセグメントとが相分離した構造が生じる時間が経過するまで保持した後、冷却することを特徴とする熱可塑性ポリウレタンチューブの製造方法
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