JP4623580B2 - 光学用保護フィルムおよび表面保護層形成用塗料 - Google Patents
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Description
さらに、本発明の目的は、表面保護層の構成として帯電防止機能を兼ね備えた表面保護層/基材フィルムという1コートシステムが可能な光学用保護フィルムを提供することである。
M+X-
(M+はLi+、Na+およびK+から選ばれる1種であり、X-はClO4 -、BF4 -、PF6 -、CF3SO3 -、CF3CO2 -、CF3SO2 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、(CF3SO2)3C-および(C2F5SO2)3C-から選ばれる1種である。)
本発明の光学用保護フィルムは、基材フィルムと、該基材フィルムの一方の面に設けた粘着層と、該基材フィルムの他の面に設けた表面保護層とからなっている。すなわち、光学用保護フィルムの表面保護層側の構成は、帯電防止機能を兼ね備えた表面保護層/基材フィルムといった1コートシステムの構成からなることを特徴としており、従来の3コートシステムの構成(表面保護層/耐水層/帯電防止層/基材フィルム)或いは2コートシステムの構成(表面保護層/帯電防止層/基材フィルム)の製法をより簡略化したものである。すなわち、本発明においては、光学用保護フィルムの製造時のコート回数が削減され、コストパフォーマンスに優れた光学用保護フィルムが提供される。
(1)ポリエーテルポリオール、例えば、アルキレンオキシド(プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなど)および/または、複素環式エーテル(テトラヒドロフランなど)を重合または共重合して得られるものが例示され、具体的にはポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびポリヘキサメチレングリコールなど、
(4)ポリカーボネートジオール、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなど、
(5)ポリオレフィンポリオール、例えば、ポリブタジエングリコールおよびポリイソプレングリコール、または、その水素化物など、
(6)ポリメタクリレートジオール、例えば、α,ω−ポリメチルメタクリレートジオールおよびα,ω−ポリブチルメタクリレートジオールなどが挙げられる。
(1)メチルハイドロジェンポリシロキサン化合物(SiH)とポリオキシエチレンアリルエーテル化合物(CH2=CH−CH2O〜)とを白金触媒などを使用してヒドロシリル化反応により得られるポリエーテルシロキサン共重合体、
(2)両末端エステル基含有シロキサン化合物とポリエチレングリコールとをテトラブチルチタン酸エステル触媒などを使用して重縮合反応により得られるポリエーテルシロキサン共重合体、および
(3)活性水素基を有するポリシロキサン化合物とメトキシポリエチレングリコールとをジイソシアネートを用いて(ウレタン結合で介して)反応して得られるポリエーテルシロキサン共重合体などが挙げられる。
M+X-
(M+はLi+、Na+およびK+から選ばれる1種であり、X-はClO4 -、BF4 -、PF6 -、CF3SO3 -、CF3CO2 -、CF3SO2 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、(CF3SO2)3C-および(C2F5SO2)3C-から選ばれる1種である。)
以上の如くして得られる光学用保護フィルムにおいては、表面保護層の表面抵抗値が105〜1012Ω/cm2であり、表面保護層のヘイズ値が1.0%以下であり、かつ表面保護層の動摩擦係数が0.15〜0.30であることが好ましく、このような性能は本発明によって容易に達成される。
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管およびマンホールを備えた反応容器を窒素ガスで置換した後、水酸基を有するポリエーテル変性ポリシロキサン化合物、ポリオール化合物、鎖伸長剤化合物および溶剤を所定量加え、均一に溶解させ、最終溶液濃度を30%になるように調節した。続いてジイソシアネート化合物を所定量(活性水素基1モルに対して等モル)加えて80℃で反応を行い、赤外吸収スペクトルで2,270cm-1の遊離イソシアネート基による吸収が認められなくなるまで反応を行った。得られたシロキサン含有ポリウレタン樹脂の原料組成、性状および物性を表1に示す。
・PEG:ポリエチレンオキシドジオール(東邦化学工業社製、商品名PEG−2000、平均分子量2,000)
・1,3−BD:1,3−ブタンジオール
・DBA:N,N−ジヒドロキシエチル−n−ブチルアミン
・TEG:トリエチレングリコール
・HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
・MEK:メチルエチルケトン
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管およびマンホールを備えた反応容器を窒素ガスで置換した後、下記式(a−3)の両末端エステル基含有シロキサン化合物100g(0.1モル)とポリエチレンオキシドジオール(東邦化学工業社製、商品名PEG−2000、平均分子量1,000)220g(0.22モル)とを150℃に加熱した後、テトラブチルチタン酸エステル1gを添加して常圧で1時間、続いて180℃/10mmHgの条件で4時間反応させて水酸基価37のポリエーテル変性ポリシロキサン化合物を得た。
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管およびマンホールを備えた反応容器を窒素ガスで置換した後、メタクリル酸メチル30g、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート2g、アクリル酸n−ブチル18gおよびシロキサンマクロモノマー((メタ)アクリル基含有シロキサンマクロマー)(a−4)10g、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(b−1)40gを仕込み、不揮発分30%となるようにトルエン/メチルエチルケトン=1/1の混合溶剤を加え、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを1.0g加え、窒素をバブリングしながら70℃に加熱、8時間攪拌してシロキサン変性アクリル樹脂を合成した。
実施例および比較例の表面保護層形成用塗料(固形分5%)を表2、3の組成により作製した。
・EVOH;エチレンビニルアルコール共重合体、商品名:F104(エチレン共重合比率=32mol%、メルトインデックス=4.5g/min.;190℃、2,160g、(株)クラレ製)
・PVA;部分けん化ポリビニルアルコール、商品名:PVA−217(けん化度=87〜89、重合度=1,700、(株)クラレ製)
・YP−50S;フェノキシ樹脂、商品名:フェノトートYP−50S、重量平均分子量=40,000、東都化成工業(株)製)
・BL−S;ブチラール基・アセチル基含有ポリビニルアルコール共重合体、商品名:BL−S、水酸基=22mol%、アセチル基=3〜5mol%、ブチラール化度=70mol%以下、積水化学工業(株)製)
・PHDI;HDIのビウレット型、商品名:デュラネート24A−100、旭化成ケミカルズ(株)製)
・C−1;アルキレン変性ポリシロキサン/リチウム化合物、商品名:PC−3600、丸菱油化工業(株)製)
・DMF;ジメチルフォルムアミド
・アノン;シクロヘキサノン
・L−1;過塩素酸リチウム
・L−2;リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド
・SKセイカダイン1491H(綜研化学(株)製)
100部
・硬化剤L−45(綜研化学(株)製) 0.9部
上記で得られた実施例および比較例の表面保護層の塗膜および光学用保護フィルムの性能を以下の項目について試験し、表4の結果を得た。
三菱化学(株)製のMCP−HT450を使用して光学用保護フィルムの帯電防止性の測定を行う。測定条件は、温度23℃、湿度65%RH、印加電圧100V、30秒で行った。帯電防止効果を発揮するには、表面抵抗値が1×1012Ω/cm2以下が望ましい。
スガ試験機(株)製直読ヘーズコンピューターHGM−2DPを使用し、光学用保護フィルムのヘイズ値を測定した。
ヘイズ値=測定値−基材のヘイズ値
ヘイズ値は1.0%未満であれば透過性が高く、光学用保護フィルムに適する。
光学用保護フィルム表面に1gの酢酸エチルを垂らし、荷重50g/cm2でラビングした際の表面保護層の塗膜の外観を観察した。
○:表面保護層の塗膜外観の変化がない。
△:表面保護層の塗膜外観がやや変化している。
×:表面保護層の塗膜外観が変化している。
1gの粘着剤組成物(SKセイカダイン1491H(綜研化学(株)製)/硬化剤L−45(綜研化学(株)製)=100/0.9)を表面保護層の塗膜に擦り付け、キムワイプ(登録商標)(乾拭きまたは酢酸エチルを用いて)にて拭取り時の易洗浄性を確認した。
○:粘着剤組成物が容易に洗浄できる(乾拭き)。
△:粘着剤組成物が洗浄できる(酢酸エチル使用)。
×:粘着剤組成物が洗浄できない。
光学用保護フィルムの表面保護層の塗膜を約10g/cm2の荷重にてスコッチブライト(住友スリーエム(株)製)で擦り、表面の傷付きを目視にて確認した。
○:確認できる傷が0本以上5本未満。
△:確認できる傷が5本以上10本未満。
×:確認できる傷が10本以上。
光学用保護フィルムの表面保護層の塗膜と基材PETフィルムとの接着性を碁盤目試験(セロハンテープ剥離クロスカット法)にて行った。
新東科学(株)製のHEIDON−14DRを使用して光学用保護フィルムの動摩擦係数の測定を行う。測定条件は、温度23℃、湿度65%RH、測定数5回の平均値で行った。動摩擦係数は、0.18〜0.28の範囲が望ましい。
寺西化学工業(株)製マジックインキNo.500を使用して表面保護層の塗膜面に記載し、インキの筆記状況を観察した。
○:マジックインキの筆記状況が良好である。
△:ややインキのハジキがあるが問題ないレベルである。
×:インキがはじき筆記できない。
Claims (13)
- 基材フィルムと、該基材フィルムの一方の面に設けた粘着層と、該基材フィルムの他の面に設けた帯電防止性表面保護層とからなる光学用保護フィルムにおいて、
上記表面保護層が、分子内に活性水素基を有する樹脂(A)と、イオン伝導ポリマー(B)と、支持電解塩(D)と、ポリイソシアネート(C)とを被膜形成成分として1コートで形成されてなり、
前記イオン伝導ポリマー(B)が、親水性ポリオールおよび/またはポリアミンと、有機ポリイソシアネートと、少なくとも1個の活性水素基を有するポリシロキサン化合物とを、鎖伸長剤の不存在下または存在下で反応させてなる親水性セグメントとポリシロキサンセグメントを含有しているポリウレタン樹脂、または、
少なくとも1個の活性水素基とシロキサンセグメントを有する化合物と、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド化合物とを反応させて得られるシロキサン変性ポリアルキレンオキシド樹脂、または、
ポリシロキサン・アルキレン変性アクリル樹脂からなる群から選ばれるいずれかであることを特徴とする光学用保護フィルム。 - 樹脂(A)中の活性水素基が、水酸基、アミノ基、チオール基および/またはエポキシ基である請求項1に記載の光学用保護フィルム。
- 前記少なくとも1個の活性水素基を有するポリシロキサン化合物が、2個の水酸基またはアミノ基を有するポリシロキサン化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学用保護フィルム。
- 支持電解塩(D)が、下記一般式で表される塩である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学用保護フィルム。
M+X-
(M+はLi+、Na+およびK+から選ばれる1種であり、X-はClO4 -、BF4 -、PF6 -、CF3SO3 -、CF3CO2 -、CF3SO2 -、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、(CF3SO2)3C-および(C2F5SO2)3C-から選ばれる1種である。) - 表面保護層の表面抵抗値が、105〜1012Ω/cm2である請求項1に記載の光学用保護フィルム。
- 表面保護層のヘイズ値が、1.0%以下である請求項1に記載の光学用保護フィルム。
- 表面保護層の動摩擦係数が、0.15〜0.30である請求項1に記載の光学用保護フィルム。
- 請求項1に記載の光学用保護フィルムにおける帯電防止性表面保護層を1コートで形成するための塗料であって、少なくとも分子内に活性水素基を有する樹脂(A)と、イオン伝導ポリマー(B)とが有機溶剤に溶解または分散してなり、
前記イオン伝導ポリマー(B)が、親水性ポリオールおよび/またはポリアミンと、有機ポリイソシアネートと、少なくとも1個の活性水素基を有するポリシロキサン化合物とを、鎖伸長剤の不存在下または存在下で反応させてなる親水性セグメントとポリシロキサンセグメントを含有しているポリウレタン樹脂、または、
少なくとも1個の活性水素基とシロキサンセグメントを有する化合物と、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド化合物とを反応させて得られるシロキサン変性ポリアルキレンオキシド樹脂、または、
ポリシロキサン・アルキレン変性アクリル樹脂からなる群から選ばれるいずれかであることを特徴とする表面保護層形成用塗料。 - 樹脂(A)が、樹脂(A)と樹脂(B)との合計量(100質量%)のうちの5〜95質量%であり、樹脂(B)が95〜5質量%である請求項11に記載の塗料。
- さらに使用直前にポリイソシアネートを添加するか、或いは安定化ポリイソシアネートを含有している請求項11に記載の塗料。
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