JP4622143B2 - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐衝撃性、低い光弾性定数、高い屈折率および逆分散値を有し、優れた透明性、耐熱性を有するポリカーボネート樹脂の製造方法に関するものである。このポリカーボネート樹脂は各種レンズ、プリズム、光ディスク基板などのプラスチック光学材料に好適に利用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
一般式(1)および/または(2)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノール(以下、PCPDMと記す)単独、又はPCPDMとビスフェノール類から誘導されたポリカーボネート樹脂が特開2000−302860号公報に示されている。
【化5】
Figure 0004622143
【化6】
Figure 0004622143
【0003】
上記一般式(1)および/または(2)であらわされるジオールは、一般に対応するジアルデヒドを還元することにより製造される。しかし、反応が完全に進行しない場合、一部がアルデヒド基のまま残った化合物がわずかに混入する。アルデヒド基が残ったままのPCPDMを用いて重合を行なった場合、該ポリカーボネート樹脂が溶融重縮合中に着色しやすく、色調の優れた製品を得るのが困難であるという問題点を有していた。
【0004】
更に、本発明者らの検討によれば、水素化触媒および溶出金属の除去が不完全であると、PCPDMを蒸留する際にヒドロキシメチル基が酸化され、アルデヒド基含有化合物が増加して十分な高純度品を得ることが困難になるという問題も明らかになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであり、色調に優れたポリカーボネート樹脂をエステル交換法により製造する方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、光学材料として使用されうるポリカーボネート樹脂をエステル交換法により製造する方法を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、溶融エステル交換法により製造する際、カルボニル基の含有量がPCPDM対して500ppm以下であるPCPDMを用いることにより上記目的が達成されることを見出した。また、ジアルデヒドを出発原料として水素化触媒と水素の存在下で還元反応を行うことにより得られたジオールをpH0.01〜5.0の酸性の水で洗浄後、蒸留精製することにより、蒸留時の酸化反応によるアルデヒド基含有不純物の生成が抑制されることも見出した。
【0007】
【発明の実施の形態】
即ち、本発明は、一般式(1)および/または(2)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノール、又は一般式(1)および/または(2)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノールと一般式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を、炭酸ジエステルとエステル交換反応させることによってポリカーボネート樹脂を製造するにあたり、ペンタシクロペンタデカンジメタノール中に含まれるカルボニル基の含有量が500ppm以下である一般式(1)および/または(2)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノールを使用するポリカーボネート樹脂の製造方法を提供するものである。
【化7】
Figure 0004622143
【化8】
Figure 0004622143
【化9】
Figure 0004622143
(式中、R1 〜R2 は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又はハロゲン原子であり、R1 とR2 は同じでも異なっていてもよい。mおよびnは置換基数を表し、0〜4の整数である。Xは単結合、
【化10】
Figure 0004622143
であり、R3 〜R4 は、それぞれ水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又はフェニル基であり、更にR3 とR4 が結合し、環を形成していてもよい。)
【0008】
一般式(1)および/または(2)で示されるPCPDMは、不純物として含まれる化合物由来のカルボニル基の含有量が、PCPDM中に500ppm以下、好ましくは300ppmさらに好ましくは100ppm以下であるものが用いられる。このようなPCPDMを用いることによって、色調の優れたポリカーボネートを得ることができる。
【0009】
ここで、PCPDMに不純物として含まれるカルボニル基の含有量は、カルボニル基と2,4−ジニトロフェニルヒドラジンが反応した反応物の430nmの吸収スペクトルを測定することにより定量できる。尚、主に検出対象として考えている化合物はPCPDMのヒドロキシ基の一部がアルデヒド基になった化合物であるが、該化合物を選択的に定量するのは難しい。本定量方法はケトンおよびアルデヒドのいずれもカルボニル基として検出されるため、本発明においてはアルデヒド量でなく、カルボニル量でPCPDMの純度を規定する。
【0010】
本発明者らは、カルボニル基の含有量が500ppm以下であるPCPDMを得る方法として、反応液に含まれる水素化触媒を一般的なロ過などの方法で除去し、溶媒等の低沸点物を分離蒸留後、得られた粗PCPDMを加温して溶融させた状態で酸性水溶液、次いで水と接触させて洗浄した後、水層と分離された粗PCPDMを蒸留することにより精製する方法を見い出した。
【0011】
また、本洗浄を、水に溶けない溶媒にPCPDMを溶解させた後、この溶液を酸性水溶液、次いで水と接触させることにより洗浄し、水槽と分離された粗PCPDM溶液から溶媒を除去し、PCPDMを蒸留することにより精製する方法を見い出した。これらの方法によれば、蒸留時に含まれる金属を大幅に低減できるため、蒸留中の酸化反応、すなわちカルボニルの生成を抑えることができる。
【0012】
上記方法で用いる溶媒は、PCPDMを溶かし、水と2層に容易に分離するものが好ましい、具体的にはジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサノール、オクタノール、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどが好適に用いられる。以上挙げた中でも、特にヘキサノール、クロロホルムが好適に用いられる。
【0013】
溶媒を用いない場合、PCPDMを加温し溶融状態にする温度としては、70〜100℃が好ましく、75〜85℃がより好ましい。PCPDMはこの温度で容易に溶融する。溶媒を用いる場合は、溶媒の融点から溶媒の沸点までの任意の温度で精製することができるが、好ましくは5〜50℃の範囲で行なわれる。
【0014】
本発明で用いられる酸性水溶液は、pH0.01〜5.0のものが好ましく、pH0.05〜3.0のものが更に好ましい。
【0015】
本発明で用いる粗PCPDMを洗浄する酸性水溶液としては、具体的には塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸の水溶液および酢酸、安息香酸などの有機酸の水溶液が挙げられるが、いずれも使用可能であり、特に制限はない。
【0016】
酸および水で洗浄した後に蒸留を行なう際には、特願平11−357530に記載されている一級アミンおよびホスファイトを添加することもできるが、添加しないでそのまま蒸留してもよい。
【0017】
一般式(3)で示される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェノール等が好適に用いられる。
【0018】
これらのうちで、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、BPAと記す)、あるいは、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下、BPZと記す)が好ましい。
【0019】
本発明は、PCPDMのホモポリマーまたはPCPDMと一般式(3)であらわされる芳香族ジヒドロキシ化合物とのコポリマーが対象であるが、更に他の脂肪族ジヒドロキシ化合物、例えば、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカンジメタノール、スピログリコール、2,6−デカリンジメタノールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを併用して用いる事もできる。
【0020】
本発明で用いる炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等を挙げることができる。これらの中でも特にジフェニルカーボネートが好ましい。また、着色原因ともなるジフェニルカーボネート中の塩素含有量は、20ppm以下であることが好ましい。より好ましくは、10ppm以下である。ジフェニルカーボネートは、芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して0.97〜1.10モルの量で用いられることが好ましく、特に好ましくは0.99〜1.04モルの量である。
【0021】
本発明の製造方法では、触媒として、公知のエステル交換触媒が用いられる。一般的には塩基性化合物が好ましく、具体的には、アルカリ金属化合物、アルカリ土類化合物や含窒素化合物等があげられる。
【0022】
アルカリ金属化合物としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が用いられる。
【0023】
アルカリ土類金属化合物としては、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が用いられる。
【0024】
含窒素化合物としては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するアンモニウムヒドロキシド類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、あるいは、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基性塩等が用いられる。
【0025】
更に、PCPDM単独、又はPCPDMと他の脂肪族ジヒドロキシ化合物を併用してポリカーボネートを製造する触媒としては、具体的には、亜鉛化合物、スズ化合物、鉛化合物、ジルコニウム化合物およびハフニウム化合物の中から選ばれる少なくとも一種が用いられ、化合物の形態としては、酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、アセチルアセトナート、フェノキシド、アルコキシド及び水素化物等が例示され、単独もしくは複数の化合物の組み合わせとして用いられる。特に好ましい触媒としては、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトナート、酢酸第一スズ、塩化第二スズ、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズラウレート、ジブチルスズジメトキシド、酢酸第一鉛、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトナート、塩化ジルコニウム、ジルコニウムフェノキシド、ジルコニウムブトキシド及びハフニウムアセチルアセトナートが用いられる。
【0026】
上記の触媒は、芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物との合計1モルに対して、10-9〜10-3モルの量で、好ましくは10-8〜10-5モルの量で用いられる。
【0027】
本発明に関わるエステル交換反応は、公知の溶融重縮合法により行うことができる。すなわち、前記の原料、および触媒を用いて、加熱下に常圧または減圧下にエステル交換反応により副生物を除去しながら溶融重縮合を行うものである。
反応は、一般には二段以上の多段工程で実施される。
【0028】
具体的には、第一段目の反応を120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.3〜3時間反応させる。次いで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めて芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には1mmHg以下の減圧下、200〜300℃の温度で重縮合反応を行う。合計の反応時間は3〜10時間である。このような反応は、連続式で行っても良くまたバッチ式で行っても良い。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置は、槽型であっても押出機型であってもパドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新性の優れた撹拌翼を備えた横型装置であってもよい。
【0029】
【実施例】
以下、精製例、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の精製例、実施例に何らの制限を受けるものではない。
【0030】
以下の実施例において得られたポリカーボネートの物性は、下記のようにして測定した。
(1)ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw):クロロホルムを展開溶媒としてGPC(Shodex GPC system 21H)により測定した。
(2)イエローインデックス(YI):得られた樹脂を3mm厚のディスクにプレス成形し色差計(東京電色TC−1800MKZ)によりYI値(黄色度)を測定した。
(3)ニッケル含有量:誘導結合型プラズマ発光分析法(セイコー電子工業社製SPS−1200VR)にて測定した。
【0031】
(カルボニル基の分析法)
PCPDM60mgを、メタノール5mlに溶解した後、1mlを試験管に採取した。この試験管に、2回再結晶後の2,4−ジニトロフェニルヒドラジン飽和メタノール溶液1mlおよび濃塩酸2滴を添加し、密栓をした後、100℃、5分間加熱し、次に自然放冷して室温にした。さらに、メタノール5mlおよび10wt%KOH水溶液4mlを添加して測定溶液とした。尚、ここでメタノールは、全てカルボニル化合物の含有量が、検出限界以下のものを使用した。ブランクとして、上記測定溶液と同様の操作を行ったメタノールを使用し、分光測定装置(日本分光:Ubest35−10)で差スペクトルを測定し、ベンズアルデヒドを基準物質とした検量線により、濃度を算出した。検出限界は5ppmであった。
尚、検量線は、濃度が既知のベンズアルデヒド溶液を用いて吸光度と濃度との関係を求めた後、同一の吸光度の場合、同一のモル数のカルボニル基があるとして計算した。すなわち、濃度[ppm]=(吸光度から計算されたカルボニル基モル数)/(PCPDM60mgのモル数)×106として計算した。
【0032】
実施例1(PCPDM−A)
ラネーニッケル触媒を用いて水素の存在下で還元反応を行い、触媒を5Cのろ紙でろ過後、溶媒を留去することにより得られた粗PCPDM中には、カルボニル基が241ppm、ニッケルが7.4mg/g検出された。
この粗PCPDMとその4倍重量の1N塩酸水溶液を加温および攪拌可能な反応器に入れ加温した。
液温が約80℃で、PCPDMが完全に溶融してから、熱水中でよく分散するように10分間攪拌した。攪拌終了後、静置して2層に分離してから水層を除いた。
さらにこのPCPDM層に粗PCPDMに対して4倍重量の水を加え、同様に加温してPCPDMを溶融させた後、液温80℃で10分間よく攪拌し、分散させながら洗浄を行った。攪拌終了後、静置して2層に分離してから水層を除いた。
このPCPDM層を4倍重量で水洗を行う操作は合計3回行った。
分離されたPCPDM層から減圧下単蒸留により、全体の2.1%にあたる量を初留として留去した後、さらに減圧度0.5mmHgで蒸留を行い、185〜187℃の主留分としてPCPDM(この本留のPCPDM量は全体の93%にあたる)を得た。この留分からは、カルボニル基が29ppm検出された。
【0033】
実施例2(PCPDM−B)
実施例1で用いた241ppmのカルボニル基、7.4mg/gのニッケルが検出された粗PCPDMを3倍重量のヘキサノールに溶解させた。
このPCPDM−ヘキサノール溶液と粗PCPDMに対して4倍重量の1N塩酸水溶液を加温および攪拌可能な反応器に入れた。
約20℃の液温で10分間よく攪拌して洗浄を行った。攪拌終了後、静置して2層に分離してから水層を除いた。
このPCPDM−ヘキサノール溶液の層を、さらに粗PCPDMに対して4倍重量の水で洗浄を行う操作を合計3回行い、その後エバポレーターを用いてヘキサノールを分離した。
残ったPCPDM層から減圧下単蒸留により、全体の7.7%にあたる量を初留として留去した後、さらに減圧度0.5mmHgで蒸留を行い185〜187℃の主留分としてPCPDM(この本留のPCPDM量は全体の90%にあたる)を得た。この留分中のカルボニル基は検出限界以下であった。
【0034】
実施例3(PCPDM−C)
実施例2において粗PCPDMの溶媒としてヘキサノールの代わりにクロロホルムを使用する以外は実施例2と同様の操作を行った。
得られたPCPDM中のカルボニル基は検出限界以下であった。
【0035】
比較例4(PCPDM−D)
実施例1で用いたカルボニル基が241ppm、ニッケルが7.4mg/g検出された粗PCPDMをそのまま減圧下単蒸留した。まず、全体の12.6%にあたる量を初留として留去した後、さらに減圧度0.5mmHgで蒸留を行い185〜187℃の主留分としてPCPDM(この本留に含まれるPCPDM量は全体の82%にあたる)を得た。この留分中のカルボニル基が1490ppm検出された。
【0036】
実施例4
PCPDM−Aを52.5g(0.2モル)、ジフェニルカーボネート43.7g(0.204モル)、および酢酸亜鉛2.2×10-4g(1.2×10-6モル)を攪拌機および留出装置付きの300ml四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下760mmHgの下180℃に加熱し、20分間攪拌した。
その後、減圧度を150mmHgに調整すると同時に60℃/hrの速度で200℃まで昇温を行い、20分間その温度で保持し溶融重縮合を行った。さらに、75℃/hrの速度で225℃まで昇温し、昇温終了の20分後、その温度を保持しながら1時間かけて減圧度を1mmHgとした。その後、60℃/hrの速度で235℃まで昇温し、1mmHg、235℃で40分間加熱攪拌を行い、合計3.5時間攪拌下で反応を行った。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み常圧に戻し、生成したポリカーボネート樹脂を取り出した。
生成したポリカーボネート樹脂は、Mw=61700、YI=1.85であった。
【0037】
実施例5
実施例4において、PCPDM−Aを使用せず、PCPDM−B52.5g(0.2モル)を使用する以外は、実施例4と同様の操作を行った。
得られたポリカーボネート樹脂は、Mw=63300、YI=1.79であった。
【0038】
実施例6
実施例4において、PCPDM−Aを使用せず、PCPDM−C52.5g(0.2モル)を使用する以外は、実施例4と全く同様の操作を行った。
得られたポリカーボネート樹脂は、Mw=60900、YI=1.83であった。
【0039】
実施例7
実施例4において原料としてPCPDM−A26.2g(0.1モル)およびBPA22.8g(0.1モル)、酢酸カルシウム6.3×10-5g(4.0×10-7モル)を使用する以外は、実施例4と同じ操作を行った。
生成したポリカーボネート樹脂は、Mw=61800、YI=1.83であった。
【0040】
実施例8
実施例7において、PCPDM−Aを使用せず、PCPDM−B26.2g(0.1モル)を使用する以外は、実施例7と同様の操作を行った。
得られたポリカーボネート樹脂は、Mw=64900、YI=1.70であった。
【0041】
実施例9
実施例7において、PCPDM−Aを使用せず、PCPDM−C26.2g(0.1モル)を使用する以外は、実施例7と同様の操作を行った。
得られたポリカーボネート樹脂は、Mw=60400、YI=1.75であった。
【0042】
比較例2
実施例4において、PCPDM−Aを使用せず、PCPDM−D52.5g(0.2モル)を使用する以外は、実施例4と全く同様の操作を行った。
得られたポリカーボネート樹脂は、Mw=58600、YI=3.80であった。
【0043】
比較例3
実施例7において、PCPDM−Aを使用せず、PCPDM−D26.2g(0.1モル)を使用する以外は、実施例7と同様の操作を行った。
得られたポリカーボネート樹脂は、Mw=59400、YI=3.71であった。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリカーボネートの優れた耐衝撃性、耐熱性、光学特性等を維持しながら、色調を改善することができ、各種レンズ、プリズム、光ディスク基板などのプラスチック光学材料用として好適に利用できるポリカーボネート樹脂を得ることができる。

Claims (6)

  1. 一般式(1)および/または(2)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノール、又は一般式(1)および/または(2)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノールと一般式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を、炭酸ジエステルとエステル交換反応させることによってポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、
    ジアルデヒドを出発原料として水素化触媒と水素の存在下で還元反応を行うことにより得られたジオールをpH0.01〜5.0の水と混合・攪拌し、水層と分離した後、蒸留することにより得られた、カルボニル基の含有量が500ppm以下である一般式(1)および/または(2)で表されるペンタシクロペンタデカンジメタノールを使用することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
    Figure 0004622143
    Figure 0004622143
    Figure 0004622143
    (式中、R1 〜R2 は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又はハロゲン原子であり、R1 とR2 は同じでも異なっていてもよい。mおよびnは置換基数を表し、0〜4の整数である。Xは単結合、
    Figure 0004622143
    であり、R3 〜R4 は、それぞれ水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又はフェニル基であり、更にR3 とR4 が結合し、環を形成していてもよい。)
  2. 一般式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が、2,2-ビス(4-ヒドロヒシフェニル)プロパンである請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  3. 炭酸ジエステルがジフェニルカーボネートである請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  4. ジアルデヒドを出発原料として水素化触媒と水素の存在下で還元反応を行うことにより得られたジオールを水に溶けない溶媒に溶解した後に、pH0.01〜5.0の水と混合・攪拌する請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  5. 上記溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサノール、オクタノール、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンのいずれかを含むものである請求項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  6. pH0.01〜5.0の水が、無機酸又は有機酸の水溶液である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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