JP4621620B2 - エレベータ群管理システム、方法およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、エレベータ群管理システム、方法およびプログラムに関する。
エレベータ群管理システムはエレベータの運行効率の向上、ならびに乗降客へのサービスの向上を目的とし、ビル内の任意階床において任意時刻に発生したホール呼びに対して群管理アルゴリズムによって最適なエレベータカゴを割り当て、その運行を制御する。発生したホール呼びに対し群管理アルゴリズムがエレベータカゴを割り当てる際には、現時点においてビル全体で発生している全てのホール呼びへのサービス状況に加え、カゴ呼び状況、カゴの現在位置、およびカゴの乗車人数等のカゴ情報が加味される。またエレベータ群管理システムが採るエレベータ群管理制御の方針は、ビル全体を考慮した平均的なエレベータパフォーマンスを向上させることであり、この制御方針に従ってエレベータカゴを割り当てるようにシステムは構成されている。
複数台のエレベータカゴの中からホール呼びに割り当てるエレベータカゴを選択するにあたり、それぞれのエレベータカゴに対する評価が行われる。従来のエレベータ群管理システムにおいて、この評価に用いられる評価関数における各評価項には、交通需要と制御目標とに応じた重みパラメータによる重み付けがなされる。つまり、複数台のエレベータカゴの中からホール呼びに割当てるエレベータカゴを選択するに当たり、それぞれのエレベータカゴを評価する評価関数に交通需要や制御目標に応じて各評価項に対する重みパラメータを変更する。
この評価関数の重みパラメータの調整器として、ニューラルネットワークを用いる技術が特開平2−226425号公報において提案されている。この技術は、ある重みパラメータによるカゴ割当制御を行なった場合のエレベータパフォーマンスをニューラルネットに学習させ、交通需要と重みパラメータを入力することで、そのときの予測パフォーマンスを出力できる。交通需要と重みパラメータでニューラルネットの入力層を構成し、エレベータパフォーマンスで出力層を構成するニューラルネットとなっており、交通需要と重みパラメータを入力するとそのときの予測パフォーマンスを出力するという所謂シミュレータの役割を果たしている。この出力された予測パフォーマンスを元に重みパラメータを選択するものである。
また、エレベータ群管理システムにエレベータシミュレータを実装して、任意の交通需要において、任意の重みパラメータによる制御を行なった場合のエレベータパフォーマンスをシミュレーション(模擬実験)に基づいて予測する技術が例えば、特開2000−318938号公報において提案されている。
この技術では、利用者の感性による制御目標の要求を受け付け、かかる要求に応じてエレベータ群管理制御を行なうことも記載されている。
特願平2−226425号公報 特開2000−318938号公報
上述した重みパラメータの調整による交通需要ならびに制御目標の追従は、ビル全体を考慮した平均的なパフォーマンスを向上させることはできるが、特定の階床間「階床iから階床jの制御目標」といったより粒度の小さい制御の実現は困難である。現在のビル構成事情は一社占有ビルといったビル形態は減少し、複数のテナントがビル内に入居し、更に入れ替わりの激しい複合型のビル形態が増加している。このような形態では、時間帯に応じて特定階床間の移動の変化数が多く、ビル全体の平均的なパフォーマンスを向上させる従来技術ではビル形態に対応した群管理制御を行なっているとは言えない。従って、ビル全体の平均的なパフォーマンスの向上ではなく、出発階床および行先階床の組み合わせ単位、すなわちOD(Origin Destination)単位でエレベータ制御目標を定めることができるエレベータ群管理システムの提供が望まれている。
本発明は、出発階床および行先階床の組み合わせ単位で設定されたエレベータ制御目標に向けた群管理制御を実現するエレベータ群管理システム、方法、プログラムを提供する。
本発明の一態様としてのエレベータ群管理システムは、
ビル内の任意階床において任意の時刻に発生したホール呼びに対してエレベータカゴを割り当てる群管理制御を実行するエレベータ群管理システムであって、
前記ビル内の交通需要を検出し、出発階床および行先階床の組み合わせごとに交通需要を保持した交通需要データを生成する交通需要検出部と、
エレベータ制御目標値を出発階床および行先階床の組み合わせごとに保持したエレベータ制御目標データを記憶するエレベータ制御目標記憶部と、
仮想的なホール呼びを表す仮想ホール呼び情報を少なくとも1つ以上格納した仮想ホール呼びリストと、出発階床および行先階床の組み合わせごとにエレベータ制御結果を保持したエレベータ制御結果データと、出発階床および行先階床の組み合わせごとに交通需要を保持した交通需要データと、を対応づけた事例データを複数格納した事例データ格納部と、
前記交通需要検出部から前記交通需要データを受け取り、前記エレベータ制御目標記憶部から前記エレベータ制御目標データを受け取り、受け取った前記交通需要データおよび前記エレベータ制御目標データを用いて、前記事例データ格納部内の各事例データと類似度演算を行い、前記類似度演算の結果に基づいて前記事例データを選択し、選択した前記事例データに含まれる仮想ホール呼びリストを取得する仮想ホール呼びリスト取得部と、
取得された前記仮想ホール呼びリストに示される各前記仮想ホール呼びから派生する派生カゴ呼びを決定するカゴ呼び決定部と、
各エレベータカゴに対して割当済みでありかつ未応答のホール呼びの情報を割当済みホール呼び情報として、また、各エレベータカゴで発生した未応答のカゴ呼びの情報を未応答カゴ呼び情報として記憶するカゴ停止情報記憶部と、
前記ビル内においてホール呼びを検出するホール呼び検出部と、
検出された前記ホール呼びから派生する派生カゴ呼びを予測するカゴ呼び予測部と、
前記割当済みホール呼び情報と前記未応答カゴ呼び情報とを用いて各前記エレベータカゴの階床巡回スケジュールを生成し、取得された前記仮想ホール呼びリストに示される前記各仮想ホール呼び、決定された各前記派生カゴ呼び、前記ホール呼び検出部により検出されたホール呼び、予測された前記派生カゴ呼びを、各前記階床巡回スケジュールへ複数の追加パターンにて追加し、前記追加パターンで追加を行った各前記階床巡回スケジュールに基づいて前記追加パターンの評価値を計算し、各前記追加パターンからそれぞれ計算した評価値に基づいて追加パターンを選択し、選択した追加パターンから前記検出されたホール呼びに割り当てるエレベータカゴを決定するカゴ割当演算部と、
を備える。
本発明の一態様としてのエレベータ群管理方法は、
ビル内の任意階床において任意の時刻に発生したホール呼びに対してエレベータカゴを割り当てる群管理制御を実行するエレベータ群管理方法であって、
前記ビル内の交通需要を検出する交通需要検出ステップと、
出発階床および行先階床の組み合わせごと交通需要を保持した交通需要データを生成する交通需要データ生成ステップと、
エレベータ制御目標値を出発階床および行先階床の組み合わせごとに保持したエレベータ制御目標データを設定するエレベータ制御目標設定ステップと、
仮想的なホール呼びを表す仮想ホール呼び情報を少なくとも1つ以上格納した仮想ホール呼びリストと、出発階床および行先階床の組み合わせごとにエレベータ制御結果を保持したエレベータ制御結果データと、出発階床および行先階床の組み合わせごとに交通需要を保持した交通需要データと、を対応づけた事例データを複数格納したデータベースを準備する準備ステップと、
生成された前記交通需要データと前記設定されたエレベータ制御目標データとを用いて、前記データベース内の各事例データと類似度演算を行い、前記類似度演算の結果に基づいて前記事例データを選択し、選択した前記事例データに含まれる仮想ホール呼びリストを取得する仮想ホール呼びリスト取得ステップと、
取得された前記仮想ホール呼びリストに含まれる各前記仮想ホール呼びから派生する派生カゴ呼びを決定するカゴ呼び決定ステップと、
各エレベータカゴに対して割当済みであり未応答のホール呼びの情報を割当済みホール呼び情報として、また、各エレベータカゴで発生した未応答のカゴ呼びの情報を未応答カゴ呼び情報として記憶するステップと、
前記ビル内においてホール呼びを検出するホール呼び検出ステップと、
検出された前記ホール呼びから派生する派生カゴ呼びを予測するカゴ呼び予測ステップと、
前記割当済みホール呼び情報と前記未応答カゴ呼び情報とを用いて各前記エレベータカゴの階床巡回スケジュールを生成し、取得された前記仮想ホール呼びリストに示される前記各仮想ホール呼び、決定された各前記派生カゴ呼び、前記ホール呼び検出ステップにより検出されたホール呼び、予測された前記派生カゴ呼びを、各前記階床巡回スケジュールへ複数の追加パターンにて追加し、前記追加パターンで追加を行った各前記階床巡回スケジュールに基づいて前記追加パターンの評価値を計算し、各前記追加パターンからそれぞれ計算した評価値に基づいて追加パターンを選択し、選択した追加パターンから前記検出されたホール呼びに割り当てるエレベータカゴを決定するカゴ割当演算ステップと、
を備える。
本発明の一態様としてのエレベータ群管理プログラムは、
ビル内の任意階床において任意の時刻に発生したホール呼びに対してエレベータカゴを割り当てる群管理制御をコンピュータに実行させるエレベータ群管理プログラムであって、
前記ビル内の交通需要を検出する交通需要検出ステップと、
出発階床および行先階床の組み合わせごと交通需要を保持した交通需要データを生成する交通需要データ生成ステップと、
エレベータ制御目標値を出発階床および行先階床の組み合わせごとに保持したエレベータ制御目標データを設定するエレベータ制御目標設定ステップと、
仮想的なホール呼びを表す仮想ホール呼び情報を少なくとも1つ以上格納した仮想ホール呼びリストと、出発階床および行先階床の組み合わせごとにエレベータ制御結果を保持したエレベータ制御結果データと、出発階床および行先階床の組み合わせごとに交通需要を保持した交通需要データと、を対応づけた事例データを複数格納したデータベースを準備する準備ステップと、
生成された前記交通需要データと前記設定されたエレベータ制御目標データとを用いて、前記データベース内の各事例データと類似度演算を行い、前記類似度演算の結果に基づいて前記事例データを選択し、選択した前記事例データに含まれる仮想ホール呼びリストを取得する仮想ホール呼びリスト取得ステップと、
取得された前記仮想ホール呼びリストに示される各前記仮想ホール呼びから派生する派生カゴ呼びを決定するカゴ呼び決定ステップと、
各エレベータカゴに対して割当済みであり未応答のホール呼びの情報を割当済みホール呼び情報として、また、各エレベータカゴで発生した未応答のカゴ呼びの情報を未応答カゴ呼び情報として記憶するステップと、
前記ビル内においてホール呼びを検出するホール呼び検出ステップと、
検出された前記ホール呼びから派生する派生カゴ呼びを予測するカゴ呼び予測ステップと、
前記割当済みホール呼び情報と前記未応答カゴ呼び情報とを用いて各前記エレベータカゴの階床巡回スケジュールを生成し、取得された前記仮想ホール呼びリストに示される前記各仮想ホール呼び、決定された各前記派生カゴ呼び、前記ホール呼び検出ステップにより検出されたホール呼び、予測された前記派生カゴ呼びを、各前記階床巡回スケジュールへ複数の追加パターンにて追加し、前記追加パターンで追加を行った各前記階床巡回スケジュールに基づいて前記追加パターンの評価値を計算し、各前記追加パターンからそれぞれ計算した評価値に基づいて追加パターンを選択し、選択した追加パターンから前記検出されたホール呼びに割り当てるエレベータカゴを決定するカゴ割当演算ステップと、
を前記コンピュータに実行させる。
本発明によれば、出発階床および行先階床の組み合わせ単位で設定されたエレベータ制御目標に向けた群管理制御を実現できる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態に係わるエレベータ群管理システムの概略構成を示すブロック図である。
エレベータ群管理部0は、少なくとも2台以上(1台ではカゴの選択という概念が生まれないため群管理とはいえない)のエレベータカゴ(エレベータカゴ11、エレベータカゴ12、・・・、エレベータカゴ1N)の群管理制御を行う。
エレベータ群管理部0は、大きく2つのモジュールを備えている。一つは、ホール呼びに対するカゴの割当てを決定するカゴ割当演算処理部(カゴ割当演算部)01であり、もう一つはカゴ割当演算処理部01で使用するパラメータ(仮想呼びリスト)を複数の仮想呼びリストの中から選択するカゴ割当演算処理パラメータ選択部02である。カゴ割当演算処理部01は、カゴ割当演算パラメータ選択部02によって選択された仮想呼びリストに基づいてカゴ割当演算処理を行うことにより、ホール呼びに対するカゴの割当てを決定する。
カゴ割当演算処理部01は、当該ビル内の任意の階床において任意時刻に発生したホール呼びに対して、カゴ割当演算パラメータ選択部02から渡されるパラメータ(仮想呼びリスト)に基づき、カゴ割当演算処理を実行して、ホール呼びに対して割り当てるべきカゴを決定する。カゴ割当演算パラメータ選択部02は、上記ホール呼びに対して適用すべき交通需要およびエレベータ制御目標に応じて、カゴ割当演算処理部01で使用する仮想呼びリストを複数の仮想呼びリストの中から選択する。
以下、カゴ割当演算処理部01およびカゴ割当て演算パラメータ選択部02について詳細に説明する。
まず、カゴ割当演算処理部01について説明する。
ビル内においてエレベータの乗車を希望する乗客はホール呼びボタン2X(X=1、2、・・・、M)を押下して、エレベータ群管理部0に対しエレベータカゴの配車要求(ホール呼び)を行なう。「配車」とは、ホール呼びに応じてエレベータカゴを配することを意味する。エレベータカゴの配車要求は「新規ホール呼びの発生」という形でホール呼び検出部04によって検出される。検出されたホール呼びの情報は、ホール呼びの発生時刻、ホール呼びの発生階床、ホール呼びの方向(UPまたはDOWN)等を含む。
カゴ情報検出部05は、「カゴ内荷重」「カゴ進行方向」「カゴ速度」「カゴ現在位置」等の各カゴのカゴ情報を検出する。
カゴ呼び検出部06は、各カゴ(11〜1N)内に備えられたカゴ呼びボタン(112〜1N2)がエレベータ利用乗客により押下されることでカゴ呼びの発生を検出し、検出したカゴ呼びの情報をカゴ停止情報記憶部03に渡す。カゴ呼び情報は例えば目的階床(行先階床)、カゴの識別情報を含み、カゴ呼びの発生時刻をさらに含んでもよい。
カゴ停止情報記憶部03は、カゴ呼び検出部06から渡されるカゴ呼び情報を記憶する。また、カゴ停止情報記憶部03は、カゴ割当演算処理部01によってホール呼びに対するカゴの割当てが決定されたら、カゴ割当演算処理部01から、この決定されたカゴの識別情報と、カゴの割当て対象となったホール呼び情報との集合をホール呼び割当て情報(カゴの識別情報、ホール呼びの発生時刻、ホール呼びの発生階床、ホール呼びの方向)として受け取って記憶する。ホール呼び割当て情報に、ホール呼びに対する割当てが行われた割当て時刻が含まれてもよい。カゴ停止情報記憶部03は、未応答の呼び(未応答のホール呼び、未応答のカゴ呼び)に対する処理が終了するとその呼びに関する情報(ホール呼び割当て情報、カゴ呼び情報)を削除する。未応答のホール呼びは、カゴの割当てが決定済みであるがまだ配車が完了していないホール呼びであり、未応答のカゴ呼びは、まだ目的の階床に停止していないカゴ呼びである。群管理処理系の違いによっては、例えばホール呼びに対して本来割当てられているカゴ以外のカゴが、カゴ呼び発生等により先に到着してしまい、階床待ちの乗客が、先に到着したカゴに乗車してしまう所謂「カゴ呼び先着」が発生することがある。そのような場合には、そのホール呼びに対するホール呼び割当て情報については削除しない場合もあり得る。
カゴ割当演算処理部01は、ホール呼び検出部04からのホール呼び情報を、計算可能となったタイミング(例えば他のホール呼びに対する計算を行っている最中の場合はこの他のホール呼びに対する計算が終了した後など)で受け取る。ホール呼び情報を受け取ったカゴ割当演算処理部01は、カゴ停止情報記憶部03に記憶されている情報およびカゴ情報検出部05が検出する情報をそれぞれ受け取る。
カゴ割当演算処理部01は、受け取ったこれらの情報と、カゴ割当て演算パラメータ選択部02によって選択される仮想呼びリストとを用いて、カゴの割当て演算処理を行って、ホール呼び検出部04によって検出されたホール呼びに対して割り当てるカゴを決定する。カゴ割当演算処理部01は、ホール呼びに対して割り当てるカゴを決定したら、このカゴ1X(X=1、2、・・・、Nのいずれか)に対応するカゴ制御部1X1(X=1、2、・・・、Nのいずれか)へ、ホール呼びの割当てを通知する。具体的には、カゴ割当演算処理部01は、決定したカゴに対して停止指示(例えば発生階床(停止階床)、およびホール呼びの方向を含む)を行う。
カゴ制御部1X1は、カゴ1X(X=1、2、・・・、N)に既に割当られているホール呼びと、カゴ1X内でカゴ呼びボタン1X2(X=1、2、・・・N)の押下により発生しているカゴ呼びと、現在のカゴ位置情報およびシステムで定義されたカゴ状態(停止中や移動中、ドア開中など)情報とから、カゴの階床巡回順序を一意に決定し、決定したカゴの階床巡回順序に従い、自律的にカゴを運行制御する。
カゴ割当演算処理部01は、カゴの割当て演算処理を行うため、探索演算処理部011、探索演算データ記憶部012およびモデル評価部013を備える。
探索演算処理部011は、カゴ割当演算パラメータ選択部02におけるパラメータ決定部025により決定されたパラメータ(仮想呼びリスト)と、カゴ停止情報記憶部03およびカゴ情報検出部05からの情報とに基づき、探索演算処理(カゴ割当演算処理)を行う。
ここで仮想呼びリストについて説明する。図4は仮想呼びリストの概念図である。
仮想呼びリストは、仮想呼びセットをリスト化したものである。ここではN個の仮想呼びセットがリスト化されている。仮想呼びセットは、将来における実際には発生していないホール呼びおよびこれに派生して生じるカゴ呼びを含んでいる。より詳細に、仮想呼びセットは、呼びセットIDと、仮想的なホール呼びの情報(仮想ホール呼び情報)と、この仮想的な呼びに派生して生じるカゴ呼びの情報(派生カゴ呼び情報)とを含む。仮想ホール呼び情報は、少なくとも「発生時刻(現在時刻を時刻0秒とする)」「発生階床」「発生方向(ホール呼び方向)」を含む。派生カゴ呼び情報は、最低1つ以上の「目的階床(行先階床)」を含む。ここでは仮想呼びリストは複数の仮想呼びセットを格納するとしているが、仮想呼びリストは、仮想呼びセットではなく複数の仮想ホール呼び情報のみを格納するとしてもよい。この場合、探索演算処理部011が、探索演算処理時または新たに仮想呼びリストが選択された時点で、各仮想ホール呼び情報から派生カゴ呼び情報を求める処理を行うこととする。すなわち、探索演算処理部011は各仮想ホール呼び情報から派生カゴ呼び情報を求めるカゴ呼び決定部を具備してもよい。派生カゴ呼び情報は、例えば仮想ホール呼び情報をあらかじめ用意した関数に入力して求めてもよいし、ランダムに求めてもよい。
仮想呼びリストには、過去の運行実績データや、ビル入居中のテナントの特性などから、特に需要の多くなることが予想される階床間、あるいは特にサービスを向上させたい階床間についての仮想呼びセットを複数個含めておく。つまりこの仮想呼びリストによって特定のOD間に将来の多数の仮想的な呼びを発生させて、これにより将来のOD間の呼び発生状況を考慮したカゴ割当演算処理を行なう。本実施形態では、このように仮想呼びリストを用いて特定OD間に将来の多数の仮想的な呼びを発生させることで、その特定OD間に着目したカゴの割当て制御が可能である。
本エレベータ群管理システムでは、このような仮想呼びリストを、図5に示すように複数個用意する。後述するカゴ割当演算パラメータ選択部02におけるパラメータ決定部025では、このような複数個の仮想ホール呼びリストの中から、交通需要およびエレベータ制御目標に応じて適切な仮想ホール呼びリストを選択し、カゴ割当演算処理部01における探索演算処理部011に渡す。
探索演算処理部011は、ホール呼び検出部04からホール呼び情報を受け取ったら、このホール呼び情報のホール呼びから派生するカゴ呼びを予測することにより派生カゴ呼び情報を生成する。すなわち、探索演算処理部011は、ホール呼びから派生カゴ呼びを予測するカゴ呼び予測部を具備してもよい。派生カゴ呼び情報は、例えばホール呼び情報をあらかじめ用意した関数に入力して求めてもよいし、ランダムに求めてもよい。探索演算処理部011は、受け取ったホール呼び情報と、生成した派生カゴ呼び情報との組を呼びセットとし、この呼びセットの後ろに、パラメータ決定部025により決定された仮想呼びリストを付加した割当対象呼びリストを生成する。図5で示した仮想呼びリストNo.1に、上記呼びセットを追加した割当対象呼びリストの例を図6に示す。
探索演算処理部011は、割当対象呼びリストに含まれる複数の呼びセット(仮想呼びセットも単に呼びセットと称する)に対して最適または準最適なカゴの割当てパターン(カゴ仮割当パターン)、すなわち後述するモデルデータへの複数の呼びセットの追加パターン、を見つけ出す探索演算処理を実行する。探索演算処理部011は、探索演算処理により見つけ出したカゴ仮割当パターンに基づき、ホール呼び検出部04によって検出されたホール呼びを割り当てるべきカゴ1X(X=1、2、・・・、Nのいずれか)を特定し、特定したカゴ1Xのカゴ制御部1X1に対して、ホール呼びの割当ての通知を行なう。
探索演算処理部011による探索演算処理は、図示しない演算制御部によって制御されるものとする。この演算制御部は演算処理時間を管理し、探索演算処理部011は演算制御部で管理される探索演算制限時間に達するまで反復的に探索を行なう。探索演算制限時間に達するまでに全処理が完了した場合は最適なカゴ仮割当パターンが見つけ出される。一方、探索演算制限時間に達するまでに全処理が完了しない場合は、処理が行われた範囲で最適(すなわち準最適)なカゴ仮割当パターンが見つけ出される。準最適なカゴ仮割当パターンは、最適なカゴ仮割当パターンに一致する場合もしない場合もある。演算制御部に対する設定によって探索演算制限時間は任意に変更できるものとする。
図9は、探索演算処理全体の概略を示すフローチャートである。
まず、ステップA1において、任意時刻任意階床において発生したホール呼びの情報から派生カゴ呼び情報を生成し、これらホール呼び情報と派生カゴ呼び情報との組である呼びセットと、パラメータ決定部025により既に決定されている仮想呼びリストとを合わせて割当対象呼びリストを作成する。
次に、ステップA2において、カゴ情報検出部05からのカゴ情報(例えば各カゴの現在位置(移動中の場合には、減速開始して停止できる階床位置))と、カゴ停止情報記憶部03からのカゴ呼び情報およびホール呼び割当て情報とに基づいて、現在時刻における各カゴの階床巡回スケジュールを求める。そして、求めた各カゴの階床巡回スケジュールの集合であるモデルデータを作成する。ここで作成したモデルデータは初期モデルデータと称される。
ここでモデルデータについて説明する。
モデルデータとは、上述のようにカゴ毎の階床巡回スケジュールを纏めて表現したデータである。各カゴの階床巡回スケジュールは、各カゴの現在位置、各カゴのカゴ呼び情報、各カゴのホール呼び割当て情報等に基づいて簡易的な模擬実験(シミュレーション)を行うことにより高速に見積もり可能である。
図7は、モデルデータの一例を示す。
行データは、階床へのカゴの停止に関するデータである(以後、カゴ停止データとする)。「データNo」は、カゴ停止データを識別するIDである。「カゴ番号」は、カゴ毎に割り振られたカゴIDであり、本例ではカゴが2台の場合の例が示される。「階床」はカゴが停止する階床のIDを指す。「方向」はUPとなっていれば 上方向ホール呼び停止、DNとなっていれば下方向ホール呼び停止、Cとなっていればカゴ呼び停止を表している。「発生時刻」はカゴ停止の要因となるホール呼びの発生時刻を現在時刻 (= 0)を基準として表す。「到着時刻」はカゴが階床へ到着する予定時刻を現在時刻( = 0)を基準として表す。「出発時刻」はカゴが階床を出発する予定時刻を現在時刻( = 0)を基準として表す。「前停止階データNo」は、1つ前に停止した階床についてのカゴ停止データを示すデータNoであり、-1ならば前の停止階床は無いことを示す。「次停止階データNo」は、次に停止する階床についてのカゴ停止データを示すデータNoであり、-1ならば次の停止階床は無いことを示す。カゴ呼び停止を示すカゴ停止データにおける「発生時刻」の欄の値は0としているがこれはカゴ呼び停止が現在時刻に発生したという意味ではない。すなわち、後述するようにモデル評価部013は逐次更新されていくモデルデータを評価するが、本実施形態では、評価値として、未応答時間、(任意階床へのカゴ到着時刻とその任意階床へのカゴ停止の起因となるホール呼びの発生時刻との時間差)を用いることとしている。この未応答時間の計算にはカゴ呼びの発生時刻は必要でない。そこで、カゴ呼び停止の場合は発生時刻の欄に便宜的に0を入れることとしている。
図7の例では、説明を簡単にするために1階床間の移動に要する時間を5秒、階床停止に伴うカゴの停止時間をホール呼び、カゴ呼び共に5秒として、到着時刻、出発時刻を計算している。実際にはこれらの数値はエレベータ仕様に応じて決定される。階床の巡回順序は、「前停止階データNo」と「次停止階データNo」を辿ることで表現され、モデルデータは所謂連結リストのようなデータ構造となっている。また、ここでは、モデルデータの作成ルールとして、同一階床にホール呼び停止とカゴ呼び停止とが発生している場合には、カゴ呼び停止の処理後にホール呼び停止を処理することとしている。これは通常のエレベータシステムにおいて降車客が降りてから、乗車客が乗り込むのが普通であることに対応させたものである。なお、このような処理は一例であり、本発明はこのような一例に制限されるものではない。
図9に戻り、ステップA3では、ステップA2で作成した初期モデルデータを探索用リストの先頭にセットする。探索用リストは、モデルデータを複数格納できるリストである。本ステップA2ではこのような探索用リストの先頭に初期モデルデータをセットする。探索用リストは、後述する保存用リストとともに、探索演算データ記憶部012に記憶されている。
ステップA4では、探索用リストにセットされた初期モデルデータを元にして、探索演算処理部011とモデル評価部013とにより、割当対象呼びリストに含まれる複数の呼びセットに対して最適または準最適なカゴの割当てパターン(カゴ仮割当パターン)を見つける探索演算処理を行う。
図10は、ステップA4で行われる処理の流れを詳細に示したフローチャートである。
ステップB1では探索用リストが空か否かをチェックする。探索用リストが空であれば(ステップB1のYES)、ステップA4での処理を終了して、図9のステップA5へ移行する。探索用リストが空でなければ(ステップB1のNO)探索用リストの先頭からモデルデータを抽出(コピー)し(ステップB2)、ステップB3へ移行する。
ステップB3では、ステップB2で抽出したモデルデータに、割当対象呼びリスト内の全ての呼びセットが仮割当て済み(追加済み)であるか否かをチェックする。全ての呼びセットが仮割当て済みであれば(ステップB3のYES)、ステップB4へ移行する。
ステップB4ではこのモデルデータを保存用リストへ保存するとともに、このモデルデータを探索用リストから削除し、ステップB1へ戻る。ここで保存用リストは、全ての呼びセットの仮割当てを完了したモデルデータを格納するためのリストである。保存用リストは、複数のモデルデータを格納できる。
一方ステップB3において、上記抽出したモデルデータに、まだ仮割当てを行なっていない呼びセットがあれば(ステップB3のNO)、ステップB5へ移行する。
ステップB5では、上記抽出したモデルデータに対し未仮割当(未追加)である呼びセットNを割当対象呼びリストから取得する。
ステップB6では、取得した呼びセットNに含まれるホール呼びを追加(挿入)可能な箇所を上記抽出したモデルデータにおいて探索する。
ステップB7では、呼びセットNに含まれる派生カゴ呼びを挿入可能な箇所を上記抽出したモデルデータにおいて探索する。ステップB7およびステップB6において、挿入可能箇所は、物理的な制約及び、乗客に不快感を与えないために最低限守らなくてはならないカゴの運行規則の制約を満足する箇所とする。
ステップB8では、上記抽出したモデルデータのコピーを生成する。
ステップB9では、このコピーに、呼びセットN(ホール呼びおよび派生カゴ呼び)を挿入してモデルデータを更新する。
ここでステップB6〜ステップB9について具体例を用いてさらに詳細に説明する。
図7に示したモデルデータを例に、新しいホール呼び「5階上向きホール呼び」と、その派生カゴ呼び「6階へのカゴ呼び」とをカゴ1号機に仮割当てして、モデルデータを更新する例を説明する。
図8は、「5階上向きホール呼び」と、「6階へのカゴ呼び」を図7に示したモデルデータに挿入する処理を説明する図である。
図8(A)では、図7に示したモデルデータに「5階上方向ホール呼び」の挿入可能箇所を探索し、図8(B)では更にその派生カゴ呼びである「6階へのカゴ呼び」を挿入可能箇所を探索し、探索した箇所にこれらを、図8(C)に示すように、挿入する。このとき、「5階上方向ホール呼び」による停止以後に停止する階床の到着時刻および出発時刻等は変更されるため、エレベータの移動時間やカゴ停止時間に応じて、これら到着時刻および出発時刻等を修正する。「5階上方向ホール呼び」と「6階へのカゴ呼び」を、図7のモデルデータに挿入してモデルデータを更新した状態を図11に示す。
図11において、新しいカゴ停止データは、モデルデータの最後尾に追加される。図8(B)から、新しい「5階上向きホール呼び」はデータNo4が示す「5階カゴ呼び」の次に挿入されるため、データNo4の「次停止階データNo」は16に更新され、「5階上向きホール呼び」を示すデータNo16の「前停止階データNo」=4となる。同様にデータNo16が示す「5階上向きホール呼び」の次は新しい「6階へのカゴ呼び」となるため、データNo16の「次停止階データNo」=17になり、データNo17の「前停止階データNo」= 16、「次停止階データNo」= 5とする。また、新しいカゴ停止データの挿入により、それ以降のカゴ停止データ(No5〜No9)の「到着時刻」、「出発時刻」も変わるため、カゴ階床移動時間ならびにカゴ階床停止時間に応じて、これらのカゴ停止データも更新する。このように、新しい呼び(ホール呼び、カゴ呼び)が挿入されると、挿入された箇所以降のカゴ停止データの「到着時刻」と「出発時刻」とが更新され、さらに巡回順序を示す「前停止階データNo」と「次停止階データNo」も更新される。
図10に戻り、上述したようにステップB9では、上記抽出したモデルデータのコピーに、呼びセットN(ホール呼びおよび派生カゴ呼び)を挿入してモデルデータを更新する。
次のステップB10では、更新されたモデルデータの評価値を計算する。ここでは、評価値を、モデルデータに含まれる各ホール呼びの未応答時間(ホール呼び発生時刻からカゴ到着までの時間)の総和としている。ただし、評価値は「最大未応答時間」「サービス時間(ホール呼びに対して階床到着から目的階床到着までの時間)」などを用いる場合もありこれに限定するものではない。
ステップB11では、この更新されたモデルデータを探索用リストの空いているところへ追加する。
ステップB12では、探索用リスト内の各モデルデータを評価の高い順(ここでは評価値の小さい順に)ソートする。
ステップB13では、上記抽出したモデルデータにおいて、上記呼びセットNのホール呼びを挿入可能な全ての箇所について処理を行ったかどうかを判定する。
まだ挿入していない箇所があれば(ステップB13のNO)、ステップB14に移行して、上記呼びセットNにおけるホール呼びを挿入可能な他の箇所を探索する。そして、ステップB7に戻り、呼びセットNにおけるカゴ呼びを挿入可能な箇所を探索する。
ステップB13において、上記呼びセットNのホール呼びを挿入可能な全ての箇所について処理を行ったと判定された場合は(ステップB13のYES)、ステップB15へ移行して、割当可能な全てのカゴについて処理を終了したかを判定する。割当可能でないカゴとしては、ホール呼びの発生階が、非停止階にあたるカゴがある。全てのカゴについて処理を終了していなければ、ステップB16に移行して次のカゴを選択し、ステップB6に戻る。
一方、全てのカゴについて処理を終了していれば(ステップB15のYES)、上記抽出したモデルデータを探索用リストから削除して、ステップB17に移行し、探索演算制限時間に達したかどうかを判定する。探索演算制限時間に達していなければ(ステップB17のNO)、ステップB1に戻る。探索演算制限時間に達していれば(ステップB17のYES)、探索演算処理を終了して、図9のステップA5へ移行する。このように探索演算制限時間を設け、探索演算制限時間に達した場合は、全てのカゴに対する全ての呼びセットの仮割当てが終了していなくとも、途中で探索を打ち切ることで、エレベータ群管理におけるリアルタイム性を実現する。
ステップB17において、探索演算制限時間に達すると(ステップB17のYES)、図9に示すようにステップA5に移行して、保存用リスト内の各モデルデータを評価値の小さい順にソートする。
次の、ステップA6では、保存用リストが空かどうかを判定する。
保存用リストが空でなければ(ステップA6のNO)、ステップ7へ移行して、保存用リストから先頭のモデルデータを取得し、ステップA9に移行する。
保存用リストが空ならば(ステップA6のYES)、ステップA8へ移行して、探索用リスト(評価値の小さい順にソートされている)における先頭のモデルデータを取得し、ステップA9に移行する。
ステップA9では、ステップA7もしくはステップA8で取得したモデルデータから、任意時刻任意階床において発生したホール呼びを割り当てるカゴを特定し、探索演算処理を終了する。
上記ステップA6、ステップA7、ステップA8の代わりに、保存用リストの先頭のモデルデータの評価値と、探索用リストの先頭のモデルデータの評価値とを比較し、評価値の良いモデルデータを取得してもよい。
以上において、ステップA5およびステップB12で実行される、評価値に基づくモデルデータのソートでは、そのままモデルデータ同士の評価値を比較すると、仮割当てを行なっているホール呼びが少ないモデルデータの評価値が良くなり、これでは比較の精度が低減する。そこで、仮割当てしたホール呼びの数が異なるモデルデータ同士であっても評価値の比較を適正に実行できるように、例えば以下のようにしてもよい。すなわち、呼びセットを1つモデルデータに仮割当てした際の評価値の増加を記憶し、呼びセットを仮割当てるごとに増加値の平均を求める。この平均を評価値見積もり値として調整に用いる。具体的には、比較の際に、仮割当てされている呼びセットが少ない方のモデルデータの評価値に、呼びセットの数の差分に上記増加値の平均値を乗じたものを加算し、この加算結果を評価値として用いる。なおこの見積もり値(予測値)が実際に呼びセットを仮割当てした際の評価値増分に近いほど、より適正な探索が進行することとなる。このように、見積もり値を用いて探索ノード(モデルデータ)に優先度付け(評価付け)を行って探索を行う方法は「A探索」と呼ばれ、人工知能分野に利用されている。
ここで、図9および図10のフローチャートで説明した探索演算処理についての理解を深めるため、図12〜図17を用いて、探索演算処理の補足説明を行なう。
以下の補足説明ではエレベータカゴが2台(1号機および2号機)の場合を例に取って説明する。
任意時刻および任意階床に発生した割当対象のホール呼び(ホール呼び検出部04によって検出されたホール呼び)が「2階上方向ホール呼び」であり、仮想呼びリスト内に「4階上方向ホール呼び」と「7階下方向ホール呼び」の2つがあるとする。すなわち、計3つのホール呼びが割当対象呼びリストに格納されているとする。ここでは説明を簡単にするため各ホール呼びから派生するカゴ呼びについては考慮しないものとする。
先ず、図12に示すように、現在の各カゴの階床巡回スケジュールの集合を表すモデルデータ(初期モデルデータ)を生成し(ステップA2)、探索用リストの先頭へ初期モデルデータをセットする(ステップA3)。
次に、図13に示すように、ステップB1〜ステップB12までの一連の処理を行う。
まず、探索用リストには初期モデルデータが存在するため(ステップB1のNO)、探索用リストから先頭のモデルデータ、つまり初期モデルデータを抽出する(ステップB2)。初期モデルデータには割当対象呼びリスト内の全てのホール呼びが追加されていないため(ステップB3のNO)、初期モデルデータに追加していない「2階上向きホール呼び」を割当対象呼びリストから取得する(ステップB5)。初期モデルデータに「2階上向きホール呼び」を1号機に割当てた場合のモデルデータ1を作成し(ステップB6〜B9)、モデルデータ1の評価値を計算する(ステップB10)。計算の結果、50の評価値が得られたとする。作成したモデルデータ1を探索用リストに格納し(ステップB11)、探索リスト内のモデルデータを評価値の良い順(評価値の小さい順)にソートする(ステップB12)。
「2階上向きホール呼び」を2号機に割当てた場合のモデルデータをまだ作成していないため(ステップB13のYES、ステップB15のNO)、図14に示すように、2号機についてもモデルデータ2を作成する(ステップB16、ステップB6〜B9)。そして、モデルデータ2の評価値を計算し(ステップB10)、モデルデータ2を探索用リストに格納し(ステップB11)、探索用リスト内のモデルデータを評価値の小さい順にソートする(ステップB12)。モデルデータ2の評価値は60であるとする。
「2階上向きホール呼び」について全てのカゴを対象に処理を終了したので、(ステップB15のYES)、探索用リストから初期モデルデータを削除し、探索演算制限時間に達していなければ(ステップB17のNO)、ステップB1へ戻る。
探索用リストは空でないため(ステップB1のNO)、探索用リストから先頭のモデルデータを抽出する(ステップB2)。探索用リストはステップB12において評価値の小さい順にソートされているため、図15に示すように、最も評価の良いモデルデータ1が抽出される。モデルデータ1は割当対象呼びリスト内の全てのホール呼びが追加されたモデルデータではないため(ステップB3のNO)、割当対象呼びリストから未追加のホール呼び、ここでは「4階上向きホール呼び」を取得する(ステップB5)。
そして図13および図14で示したような一連の処理を行って、図15に示すように、1号機に「4階上向きホール呼び」を割当てたモデルデータ1-1、2号機に「4階上向きホール呼び」を割当てたモデルデータ1-2をモデルデータ1から作成する。そして、モデルデータ1-1、モデルデータ1-2の評価値を計算し、モデルデータ1-1の評価値として40、モデルデータ1-2の評価値として70が得られたとする。モデルデータ1-1、モデルデータ1-2は探索用リストに格納され、評価値の小さい順にソートされる。モデルデータ1は探索用リストから削除され、制限時間に達していなければ(ステップB17のNO)、ステップB1に戻る。
探索用リストは空でないため(ステップB1のNO)、探索用リストから先頭のモデルデータを抽出する(ステップB2)。探索用リストはステップB12において評価値の小さい順にソートされているため、図16に示すように、最も評価の良いモデルデータ1-1(評価値40)が抽出される。モデルデータ1-1は割当対象呼びリスト内の全てのホール呼びが追加されたモデルデータではないため(ステップB3のNO)、割当対象呼びリストから未追加のホール呼び、「7階下向きホール呼び」を取得する(ステップB5)。
そして、図16に示すように、1号機に「7階下向きホール呼び」を割当てたモデルデータ1-1-1、2号機に「7階下向きホール呼び」を割当てたモデルデータ1-1-2をモデルデータ1-1から作成する。そして、モデルデータ1-1-1、モデルデータ1-1-2の評価値を計算し、モデルデータ1-1-1の評価値として55、モデルデータ1-1-2の評価値として65が得られたとする。モデルデータ1-1-1、モデルデータ1-1-2は探索用リストに格納され、評価値の小さい順にソートされる。モデルデータ1-1は探索用リストから削除され、制限時間に達していなければ(ステップB17のNO)、ステップB1に戻る。
探索用リストは空でないため(ステップB1のNO)、すなわち探索用リストにはモデルデータ2、モデルデータ1-2、モデルデータ1-1-1、モデルデータ1-1-2が格納されているため、探索用リストから先頭のモデルデータを抽出する(ステップB2)。探索用リストはステップB12において評価値の小さい順にソートされているため、図17に示すように、最も評価の良いモデルデータ1-1-1(評価値55)が抽出される。
抽出されたモデルデータ1-1-1は、割当対象呼びリスト内の全てのホール呼びが割当完了しているモデルデータであるため(ステップB3のYES)、モデルデータ1-1-1を保存用リストへ移し、探索用リスト内からモデルデータ1-1-1を削除する(ステップB4)。
探索用リストは空でないため(ステップB1のNO)、探索用リストから先頭のモデルデータ、すなわち最も評価の良いモデルデータ2を取得する(ステップB2)。
取得したモデルデータ2を元に、「4階上向きホール呼び」をカゴ1号機に割当てた場合のモデルデータ2-1と、カゴ2号機に割当てた場合のモデルデータ2-2とを作成し、作成したモデルデータ2-1、2-2(図示せず)の評価値を計算する。そして、モデルデータ2-1、2-2を探索用リストへ格納し、探索用リスト内のモデルデータを評価値の小さい順にソートし、モデルデータ2を削除する。
ここで、探索演算制限時間に達したとすると(ステップB17のYES)、ステップA5へ移行する。ステップA5では、保存用リスト内のモデルデータを評価値の小さい順にソートする。保存用リストは空でないため(ステップA6のNO)、すなわち保存用リストにモデルデータ1-1-1が格納されているため、保存用リストの先頭のモデルデータを取得する(ステップA7)。つまり保存用リストから最も評価の良いモデルデータであるモデルデータ1-1-1を取得する。そして、取得したモデルデータ1-1-1から、割当て対象となる「2階上向きホール呼び」が割当られているカゴ番号を取得する。モデルデータ1-1-1では、「2階上向きホール呼び」はカゴ1号機に割当てられているため、「カゴ1号機」を探索演算結果として取得する(ステップA9)。以上により探索演算処理を終了する。
次に、図1に戻り、カゴ割当演算パラメータ選択部02について説明する。
カゴ割当演算パラメータ選択部02は、エレベータ制御結果検出部021、交通需要検出部022、性能事例データを作成するエレベータ性能事例集計部023、性能事例データを記憶する性能事例記憶部(事例データ格納部)024、および性能事例データ記憶部024内の性能事例データ群を検索して仮想呼びリスト(仮想呼びリストは性能事例データの一部である)を決定するパラメータ決定部(仮想ホール呼びリスト取得部)025を備える。
交通需要検出部022は、ホール呼び検出部04、カゴ呼び検出部06、カゴ情報検出部05からデータを受け取って、ビル内において発生しているエレベータ1(11、12、・・・、1N)の交通需要を検出する。交通需要検出部022は、検出した交通需要をOD単位で保持した交通需要データを作成する。すなわち、交通需要を表すOD表を作成する。OD表は例えば各マスの合計が1になるように正規化してもよい。交通需要検出部022によるOD(Origin Destination)単位の交通需要の検出方法については、特公平7−106845号公報、特公平5−71513号公報、ならびに特公平1−15473号公報等の記載を参考にできる。交通需要データの作成は、指定された期間を対象について行ってもよいし、予め指定された各時間帯について行ってもよいし、所定時間単位で行ってもよい。また、過去の同一時間帯の交通需要を演算した(例えば平均した)交通需要データを作成してもよい。そのほか、任意の手法を用いて交通需要データを作成できる。
ここで、OD表について簡単に説明する。
交通流量の定量分析には、出発地を行とし、目的地を列とする配列表が用いられる場合がある。この配列表は一般にOD表と呼ばれる。OD表は、任意の出発地から任意の目的地へのトラフィックを特定でき、特定の期間、目的、あるいは他の分類に用いられる。n×m配列のOD表において、nは出発地の数、mは目的地の数に相当する。出発地と目的地の数が同一であるとき、n=mであり、正方のOD表となる。このようなOD表が本実施形態のエレベータ群管理に用いられる。上記出発地は出発階床に対応し、上記目的地は行先階床に対応する。
ここで、OD表における「階床」、ならびにODを指定する際の「階床」は、複数の特定階床を一つに纏めた階床の上位概念を表してもよいし、階床の最小単位つまり単一階床を表してもよい。複数の特定階床は、異なる階床にまたがるレストラン街や、店子等に対応する場合もある。なお、OD表において、異なる階床同士は互いに重複しないものとする。また、複数の特定階床を一つに纏めて表す上位概念階床と、単一の階床とがOD表において混在してもよい。
次に、エレベータ制御結果検出部021について説明する。これに先立ち、エレベータ制御目標について説明しておく。エレベータ制御目標はエレベータ制御目標記憶部3に記憶されている。エレベータ制御目標の例を図2に示す。
図2にはエレベータ制御目標が3つ示され、それぞれ5行×5列の表形式を有している。この表は、OD(Origin Destination)表に相当し、行項目がエレベータの出発階床を表し、列項目がそのエレベータの行先階床を表している。各々のOD表は、異なる制御目標に対応しており、OD毎にそれぞれの目標値が設定されている。本実施形態では、「待ち時間(エレベータホールに到着してからカゴが到着するまでの時間)」「サービス時間」「長待ち率」という3つのエレベータ制御目標を設定可能項目とし、それぞれの項目についてOD毎の制御目標値が設定されている。例えば、エレベータ制御目標「待ち時間」において、A階床からB階床へ移動する制御目標値は25と設定されている(単位はsec(秒))。これは、「A階床からB階床へ向かうエレベータ乗客の平均待ち時間は25秒を目標値とする」という意味である。このようなOD表を用いて設定されるエレベータ制御目標項目は、上記「待ち時間」、「サービス時間」、ならびに「長待ち率」のみに限定されず、項目数も少なくとも1つ以上の任意である。例えば、「乗車時間」、「乗車人数」、「カゴ通過間隔時間」、「カゴ最大通過間隔時間」、「カゴ通過回数」などの制御目標項目を用いてもよい。図2には「待ち時間」「サービス時間」「長待ち率」の制御目標がそれぞれ1つ示されるが、各制御項目がそれぞれ複数、エレベータ制御目標記憶部3に記憶されていてもよい。
図3は、OD表に設定する制御目標値の設定例を説明する図である。
OD制御目標は、具体的な数値により設定することもできるし、数値範囲または条件とすることもできる。以下の説明では、数値、数値範囲および条件等を総称して「OD制御目標値」と称する。例えば、図3(A)に示すように、「A階床からB階床へ向かうエレベータ乗客の平均待ち時間は25秒以下であればよい」という設定、図3(B)に示すように、「A階床からB階床へ向かうエレベータ乗客の平均待ち時間は25秒以上30秒以下」という設定、図3(C)に示すように、「A階床からB階床については任意の平均待ち時間でよい。」という設定などが可能である。また図3(D)に示すように、「A階床からB階床は25秒」、「B階床からC階床は30秒以上40秒以下」、「D階床からB階床は30秒以下」、「E階床からA階床は任意」という具合に、数値、数値範囲、条件を混在させてもよい。
エレベータ制御目標の値をエレベータ納入後に変更するために、エレベータ制御目標記憶部3にエレベータ制御目標値設定用GUIを設けてもよい。このGUIを用いて、例えば、エレベータの運行時にエレベータ制御目標値を変更すること、または夜間やメンテナンス時等のエレベータ休止中にエレベータ制御目標値を変更することができる。
エレベータ制御結果検出部021は、交通需要検出部022により交通需要の検出がなされた時間内の各カゴのエレベータ制御結果(エレベータ運行結果)を検出する。そして、エレベータ制御結果検出部021は、少なくともエレベータ制御目標として設定可能なエレベータ制御項目について、各カゴのエレベータ制御結果をOD単位で集計したエレベータ制御結果データを作成する。エレベータ制御結果検出部021により作成されたエレベータ制御結果データはエレベータ乗客へのサービス結果(実績結果)に相当するデータであり、例えば「待ち時間」「サービス時間」「長待ち率」「ホール呼びの未応答時間」の値をOD単位で表すものである。
OD単位でのエレベータ制御結果の検出は、ホール呼び検出部04、カゴ呼び検出部06、カゴ情報検出部05、カゴ停止情報記憶部03を用いて行うことができる。例えば、ホール呼び情報が表す「発生時刻」および「発生階床」、ホール呼び割当て情報に含まれる「カゴ割当時刻」、カゴ情報が表す「カゴ到着時刻」「ドア開時間」「ドア閉時間」「カゴ停止時間」「カゴ荷重」、ホール呼びから派生した実際のカゴ呼びのカゴ呼び情報が表す「目的階床」に基づいて逐次的に乗客の「待ち時間」「サービス時間」「長待ち率」、およびホール呼びの「未応答時間」「最大未応答時間」などを算出する。これをOD単位で集計することで、「OD単位のエレベータ制御結果」を得ることができる。
エレベータ性能事例集計部023は、交通需要検出部022により生成される「OD単位の交通需要データ」、エレベータ制御結果検出部021により生成される「OD単位のエレベータ制御結果データ」(サービス結果)、これらのデータが取得される期間にカゴ割当演算処理部01で用いられた仮想呼びリストを示す「仮想呼びリスト識別子」を、一つのデータセットとして集計する(この期間では全てのホール呼びに対し同じ仮想呼びリストが用いられる)。このデータセットにデータセット番号を発番し、性能事例データとして性能事例記憶部024に渡す。性能事例記憶部024は、渡された性能事例データを記憶する。以上の様子を図19の下段に示す。また、性能事例データのデータフォーマットを図18に示す。エレベータ制御結果として、「待ち時間」「サービス時間」「長待ち率」の3つがOD単位で集計されている。尚、上記データセット番号は、性能事例記憶部024で記録される際に、性能事例記憶部024内で発番されるとする。ただし、発番箇所についてはこれに限定されない。このようにして、例えば所定時間ごとに、エレベータ性能事例集計部023により性能事例データが生成され、生成された性能事例データが性能事例記憶部024に記憶される。
また、エレベータ性能事例集計部023は、エレベータ模擬実験部026を用いて性能事例データを取得することもできる。すなわち、エレベータ性能事例集計部023は、仮想的な交通需要をOD単位で発生させ(この際交通需要検出部022を用いてもよい)、エレベータ模擬実験部026は、この交通需要と、任意の仮想ホール呼びリストと、あらかじめ与えられるエレベータ仕様情報とに基づき、エレベータ運行シミュレーションを行う。エレベータ性能事例集計部023は、このエレベータ運行シミュレーションの結果としての、「OD単位の交通需要データ」、「OD単位のエレベータ制御結果データ」(予想サービス結果)、「仮想呼びリスト識別子」を性能事例データとして性能事例記憶部024に記録する。エレベータ性能事例集計部023は例えばエレベータの運休時にエレベータ模擬実験部026を用いてシミュレーションを行う。
以上では性能事例データの算出方法として、実測およびシミュレーションの両方の場合を示したが、実測のみ、あるいはシミュレーションのみにより算出してもよい。
パラメータ決定部025は、カゴ割当演算処理部01で使用する仮想呼びリストを複数の仮想呼びリストの中から決定する。この決定は、例えば予め指定した時間帯ごと(例えば1時間単位、3つの時間帯A、B、Cがあった場合の各時間帯など)に行うものとする。パラメータ決定部025は、以下に説明する検索キーをもとに性能事例記憶部024を検索してこの検索キーにマッチする性能事例データを検索し、検索した性能事例データに含まれる仮想呼びリストを、カゴ割当演算処理部01で使用する仮想呼びリストとして決定する。
ここで検索キーは2つのデータからなる。1つ目のデータは交通需要データである。パラメータ決定部025は、交通需要データを交通需要検出部022から受け取る。例えば交通需要検出部022は過去における同時間帯の交通需要データ(過去10日分など)の平均をパラメータ決定部025に渡す。この他、過去において同時刻帯について乗客発生間隔を算出しておきビル内に発生する乗客はポアソン到着とすることで交通需要を求めてもよい。パラメータ決定部025は、交通需要検出部022から渡される交通需要データを検索キーにおける1つ目のデータとする。検索キーの2つ目のデータはエレベータ制御目標データである。パラメータ決定部025は、エレベータ制御目標記憶部3から受け取る。エレベータ制御目標記憶部3は、例えば仮想呼びリストを決定する時間帯に対応するエレベータ制御目標データ(ここでは「待ち時間」「サービス時間」「長待ち率」の3つのエレベータ制御目標データ)をパラメータ決定部025に渡す。エレベータ制御目標記憶部3は、自身に設定されているエレベータ制御目標データを全て渡すようにしてもよい。この場合、例えば時間帯などに応じて、ユーザインターフェースを用いてエレベータ制御目標記憶部3の設定を適宜、変更(使用すべきエレベータ制御目標データを変更)してもよい。
パラメータ決定部025は「交通需要データ」及び「エレベータ制御目標データ」の集合を検索キーとし、この検索キーにマッチする性能事例データを性能事例記憶部024から検索する。つまり、エレベータ制御目標を達成するエレベータ群管理制御の実行可能性が運行事例(実績と予測)に基づいて確認済みの仮想呼びリストを検索する。なお、検索キー内の交通需要データはOD毎に集計されており、性能事例データセット内の交通需要データもOD毎で集計されているため両者は比較可能である。同様に、検索キー内のエレベータ制御目標と性能事例データ内のエレベータ制御結果ともそれぞれ同じ項目(「待ち時間」「サービス時間」「長待ち率」)を有し、OD毎に集計されているため比較可能である。
以下、検索の具体例について図20を用いて説明する。
パラメータ決定部025は、検索キーに含まれる交通需要データおよびエレベータ制御目標データと、性能事例記憶部024に記憶されている性能事例データと比較する。つまり、交通需要検出部022からの「OD単位の交通需要データ」と性能事例データiに含まれる「OD交通需要データフィールド」に格納されている交通需要データとの類似度演算、「エレベータ制御目標データ」と性能事例データiの「OD単位エレベータ制御結果データフィールド」に格納されているOD単位に集計したエレベータ制御結果データとの類似度演算を実行する。そして、これらの類似度演算の結果に基づき、性能事例記憶部024内に記憶されている性能事例データの中から最も類似度の高い性能事例データを検索する。そして検索した性能事例データにおける「仮想ホール呼びリスト識別子フィールド」に格納されている仮想ホール呼びリスト識別子を取得する。パラメータ決定部025は、取得した仮想ホール呼びリスト識別子をカゴ割当演算処理部01における探索演算処理部011へと渡す。カゴ割当演算処理部01は、この「仮想ホール呼びリスト識別子」に対応する仮想ホール呼びリストを使用して、カゴ割当演算処理を実行する。パラメータ決定部025において仮想ホール呼びリスト識別子に対応する仮想ホール呼びリストを特定し、特定した仮想ホール呼びリストをカゴ割当演算処理部01に渡してもよい。
図21は、仮想呼びリストの決定処理の一連の手順を示すフローチャートである。
最初に、交通需要検出部022によりビル内におけるOD単位の交通需要データを取得する(ステップC1)。一方、エレベータ制御目標データがエレベータ制御目標記憶部3から取得される(ステップC2)。
次に、ステップC1で取得されたOD単位の交通需要データ(OD交通需要データ)と、ステップC2で取得されたエレベータ制御目標データとを用いて事例類似度演算処理(交通需要類似度演算処理および性能類似度演算処理)が行われる。
ここでは、まず交通需要同士、つまりステップC1で検出された交通需要データと、性能事例記憶部024に記憶されている性能事例データのOD交通需要データフィールドに格納されているOD交通需要データ(以後、混同を避けるため「OD交通事例データ」という)との交通需要類似度演算処理が実行される(ステップC3)。
ステップC3における交通需要類似度演算処理により性能事例データが絞り込まれる。絞り込んだデータについて、ステップC2で取得したエレベータ制御目標データとの性能類似度演算処理が実行され、最も類似した性能事例データが取得される(ステップC4)。
そして、ステップC4において最も類似した性能事例データの仮想呼びリスト識別子フィールドに格納されている仮想呼びリスト識別子を取得する(ステップC5)。
この後、取得された仮想呼びリスト識別子はカゴ割当演算処理部01へ渡され(ステップC6)、この仮想呼びリスト識別子に対応する仮想呼びリストを用いて、かご割当演算処理部01によりカゴ割当演算処理が実行される(ステップC7)。
ここで、図21に示したステップC3及びステップC4の類似度演算処理について詳細に説明する。以下の説明において、「OD交通需要要素データ」とは、交通需要検出部022から取得するOD交通需要データを形成する要素データであり、i階からj階への交通需要を示すデータである。「OD交通事例要素データ」とは、性能事例データのOD交通需要データフィールドに格納されているOD交通需要データ(OD交通事例データ)を形成する要素データであり、i階からj階へのOD交通需要の事例を示すデータである。「エレベータ制御目標要素データ」とは、エレベータ制御目標データを形成する要素データであり、エレベータ制御目標項目Tにおけるi階からj階への制御目標値を示すデータである。「エレベータ制御結果要素データ」とは、性能事例データの「OD単位エレベータ制御結果データフィールド」に格納されている「エレベータ制御結果データ」を形成する要素データであり、エレベータ制御目標項目Tにおけるi階からj階へのエレベータ制御結果を示すデータである。
まず、ステップC3で行われる交通需要類似度演算処理について説明する。
最初に、検索キーに含まれるデータの一つである「OD交通需要データ」と、性能事例記憶部024に記憶されているm個の性能事例データの「OD交通需要データフィールド」に格納されている「OD交通事例データ」との類似度演算を例えば以下のように行う。
(C3−1):「OD交通需要データ」と「OD交通事例データ」について、同一OD間の各データの距離、すなわち
|OD交通需要要素データ − OD交通事例要素データ|
を計算する。例えば、同一OD間である1階から2階について、OD交通需要データの1階から2階の交通需要を示すデータ値と、OD交通事例データの1階から2階のOD事例を示すデータ値との距離を計算する。
(C3−2):(C3−1)の処理をすべてのOD間について行い、その総和(マンハッタン距離)もしくは2乗和を求める。
(C3−3):性能事例記憶部024に格納されたすべてのOD交通事例データについて(C3−2)を行い、総和(マンハッタン距離;もしくは2乗和)の小さいものからn個のOD交通事例データを選択する。これにより、n個の性能事例データが選択される。
次に、ステップC4で行われる性能類似度演算処理について説明する。
(C3−3)で選択されたn個の性能事例データの各々の「OD単位エレベータ制御結果データフィールド」に格納されている「エレベータ制御結果データ」と、検索キーに含まれるもう1つのデータである「エレベータ制御目標データ」との性能類似度演算を例えば以下のように行う。
(C4−1):「エレベータ制御目標データ」と「エレベータ制御結果データ」とについて、同一項目、同一OD間の類似度を計算する。例えば、同一OD間(1階から2階)について、「エレベータ制御目標データ」の項目「待ち時間」の制御目標値と、「エレベータ制御結果データ」の項目「待ち時間」の制御結果値との類似度を計算する。そして各OD間について計算した類似度を合計する。ここでの類似度の計算方法は後述する。
(C4−2):(C4−1)の処理をすべての制御目標項目Tについて行い、各制御目標項目Tから求めた合計類似度の総和を求める。ただし、必ずしも、全ての制御目標項目について類似度演算しなくてもよい。例えば、待ち時間のみ着目した目標制御が実行したい場合には、その他のサービス時間や長待ち率については、類似度演算処理は省略できる。
(C4−3):(C4−2)の処理を、(C3−3)で選択されたn個の性能事例データにおけるエレベータ制御結果データについて行い、最も類似している性能事例データを選択する。そして、選択した性能事例データに含まれる「仮想呼びリスト識別子フィールド」に格納されている仮想呼びリスト識別子を取得する。
ここで図22を参照しながら、上記(C−4)における性能類似度計算方法の具体例を説明する。
図22には、エレベータ制御目標とエレベータ制御結果データの一例が示されている。前述したようにエレベータ制御目標の設定方法にはいくつかのパターン(1つの値で制御目標を設定、範囲で制御目標を設定など)がある。いずれのパターンでも、OD毎に両者の値を比較することにより類似度を計算する。ここで、i(=1,2,3)を出発階とし、j(=1,2,3)を行先階とする。またエレベータ制御目標に設定された値をGi,jとし、エレベータ制御結果データのデータ値をSi,jとし、OD単位の類似度をFi,jとする。このとき、性能類似度の値は次式に示される演算により算出できる。以下、各設定パターンについて性能類似度の計算例を示す。
Figure 0004621620
(エレベータ制御目標の設定パターン1)
あるODのエレベータ制御目標が一つの値により設定される場合(例えば25sec等)、このODの類似度は次式(1)のように計算される。
Figure 0004621620
図22において、i=1,j=2のとき、エレベータ制御目標の設定値はG1,2=25となっている。これは、「1階から2階へエレベータの制御目標は25秒である。」という意味であり、i=1,j=2のときの性能類似度の値は上式からF1,2=|25-35|=10となる。またi=3,j=2のときはF3,2=|20-30|=10となる。
(エレベータ制御目標の設定パターン2)
あるODのエレベータ制御目標が上限値を有する範囲によって設定される場合(例えば35秒以下等)、このODの性能類似度は次式(2)のように計算される。
Figure 0004621620
図22において、i=1,j=3のとき、エレベータ制御目標の設定値はG1,3≦30となっている。これは、「1階から3階へのエレベータの制御目標は30秒以下であればよい。」と言う意味であり、i=1,j=3のときの類似度は上式からF1,3=0となる。
式(2)から理解されるように、エレベータ制御結果データに格納されている値がエレベータ制御目標で設定された値以下の場合、上記のように類似度は0である。一方、エレベータ制御結果データに格納されている値がエレベータ制御目標で設定された値より大きい場合、例えば、S1,3=40とすると、性能類似度は、上式からF1,3=|30-40|=10となる。
(エレベータ制御目標の設定パターン3)
あるODのエレベータ制御目標が下限値と上限値とを有する範囲によって設定される場合(例えば30sec以上40sec以下等)、このODの類似度は次式(3)のように計算される。
Figure 0004621620
図22において、i=2,j=3のとき、エレベータ制御目標の設定値は30≦G2,3≦40となっている。これは「2階から3階へのエレベータの制御目標は30秒以上40秒以下であればよい。」という意味であり、i=2,j=3のときの類似度は、上式からF2,3=0となる。
なお、エレベータ制御結果データに格納されている値がエレベータ制御目標で設定された値の範囲外である場合、例えば、S2,3=25とすると、性能類似度F2,3=|30-25|=5となり、S2,3=45とすると、F2,3=|40-45|=5となる。
(エレベータ制御目標の設定パターン4)
あるODのエレベータ制御目標が任意に設定される場合、このODの類似度は次式(4)のように計算される。
Figure 0004621620
図22において、i=3,j=1のとき、エレベータ制御目標の設定値はG2,3=∀となっている。これは「3階から1階へのエレベータの制御目標は任意である。」という意味であり、i=3,j=1のときの性能類似度は無条件でF3,1=0となる。
以上から、図22の例における性能類似度の値は
1,2+F1,3+F2,1+F2,3+F3,1+F3,2=30
と算出される。このように算出された性能類似度の値が小さいほど、OD単位で設定されたエレベータ制御目標は、OD単位のエレベータ制御結果データに類似していると判断する。
以上のように、本実施形態では、ビル全体というマクロレベルでのエレベータの乗客運搬パフォーマンスの向上に着目するのではなく、OD単位のエレベータ乗客運搬パフォーマンスといった、よりミクロレベルな視点に着目しており、木目細かなエレベータ制御パフォーマンスの向上が実現できる。
具体的には、ビル内におけるある期間の「OD交通需要」、「その期間に使用された仮想呼びリストの識別子」、「その期間におけるOD毎のエレベータ制御結果」を一つの性能事例データとして性能事例記憶部024にデータベース化しておく。そしてパラメータ決定部025では、カゴ割当演算処理時に、「エレベータ制御目標」と「OD交通需要」との集合を検索キーとして上記データベースを検索し、「エレベータ制御目標」を満足するエレベータ群管理制御の実行可能性が確認済みの仮想呼びリストを取得し、この仮想呼びリストを実際のエレベータ群管理制御に使用する。
このようにして、OD単位で設定されたエレベータ制御目標を満足するような仮想呼びリストを用いることで、OD単位でエレベータパフォーマンスを向上できる。よって、ビル全体のエレベータ運行のパフォーマンスを平均的に向上させる従来のエレベータ群管理システムと比較すると、より木目細かなエレベータ群管理制御を実現できる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の実施形態に係わるエレベータ群管理システムの概略構成を示すブロック図。 エレベータ制御目標の例を示す図。 OD表に設定する制御目標値の設定例を説明する図。 仮想呼びリストの概念図。 複数の仮想呼びリストを示す図。 割当対象呼びリストの例を示す図。 モデルデータの一例を示す図。 モデルデータを更新する様子を示す図。 探索演算処理全体の概略を示すフローチャート。 図9のステップA4で行われる処理の流れを詳細に示したフローチャート。 モデルデータを更新した状態を示す図。 探索演算処理の補足説明する図。 探索演算処理の補足説明する図。 探索演算処理の補足説明する図。 探索演算処理の補足説明する図。 探索演算処理の補足説明する図。 探索演算処理の補足説明する図。 性能事例データのデータフォーマットを示す図。 性能事例記憶部が性能事例データを記憶する様子を示す図。 パラメータ決定部25により行われる検索の様子を示す図。 は、仮想呼びリストの決定処理の一連の手順を示すフローチャート。 性能類似度計算方法の具体例を説明する図。
符号の説明
0:エレベータ群管理部
3:エレベータ制御目標記憶部
01:カゴ割当演算処理部
02:カゴ割当演算パラメータ選択部
03:カゴ停止情報記憶部
04:ホール呼び検出部
05:カゴ情報検出部
06:カゴ呼び検出部
011:探索演算処理部
012:探索演算データ記憶部
013:評価モデル部
021:エレベータ制御結果検出部
022:交通需要検出部
023:エレベータ性能事例集計部
024:性能事例記憶部
025:パラメータ決定部
026:エレベータ模擬実験部
111〜1N1:カゴ制御部
11〜1N:エレベータカゴ
21〜2M:ホール呼びボタン
112〜1N2:カゴ呼びボタン

Claims (11)

  1. ビル内の任意階床において任意の時刻に発生したホール呼びに対してエレベータカゴを割り当てる群管理制御を実行するエレベータ群管理システムであって、
    前記ビル内の交通需要を検出し、出発階床および行先階床の組み合わせごとに交通需要を保持した交通需要データを生成する交通需要検出部と、
    エレベータ制御目標値を出発階床および行先階床の組み合わせごとに保持したエレベータ制御目標データを記憶するエレベータ制御目標記憶部と、
    仮想的なホール呼びを表す仮想ホール呼び情報を少なくとも1つ以上格納した仮想ホール呼びリストと、出発階床および行先階床の組み合わせごとにエレベータ制御結果を保持したエレベータ制御結果データと、出発階床および行先階床の組み合わせごとに交通需要を保持した交通需要データと、を対応づけた事例データを複数格納した事例データ格納部と、
    前記交通需要検出部から前記交通需要データを受け取り、前記エレベータ制御目標記憶部から前記エレベータ制御目標データを受け取り、受け取った前記交通需要データおよび前記エレベータ制御目標データを用いて、前記事例データ格納部内の各事例データと類似度演算を行い、前記類似度演算の結果に基づいて前記事例データを選択し、選択した前記事例データに含まれる仮想ホール呼びリストを取得する仮想ホール呼びリスト取得部と、
    取得された前記仮想ホール呼びリストに示される各前記仮想ホール呼びから派生する派生カゴ呼びを決定するカゴ呼び決定部と、
    各エレベータカゴに対して割当済みでありかつ未応答のホール呼びの情報を割当済みホール呼び情報として、また、各エレベータカゴで発生した未応答のカゴ呼びの情報を未応答カゴ呼び情報として記憶するカゴ停止情報記憶部と、
    前記ビル内においてホール呼びを検出するホール呼び検出部と、
    検出された前記ホール呼びから派生する派生カゴ呼びを予測するカゴ呼び予測部と、
    前記割当済みホール呼び情報と前記未応答カゴ呼び情報とを用いて各前記エレベータカゴの階床巡回スケジュールを生成し、取得された前記仮想ホール呼びリストに示される前記各仮想ホール呼び、決定された各前記派生カゴ呼び、前記ホール呼び検出部により検出されたホール呼び、予測された前記派生カゴ呼びを、各前記階床巡回スケジュールへ複数の追加パターンにて追加し、前記追加パターンで追加を行った各前記階床巡回スケジュールに基づいて前記追加パターンの評価値を計算し、各前記追加パターンからそれぞれ計算した評価値に基づいて追加パターンを選択し、選択した追加パターンから前記検出されたホール呼びに割り当てるエレベータカゴを決定するカゴ割当演算部と、
    を備えたエレベータ群管理システム。
  2. 前記カゴ割当演算部は、全ての追加パターンについての評価値の計算を終える前に制限時間に達したら、評価値が計算された追加パターンの中から追加パターンの選択を行うことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ群管理システム。
  3. 前記仮想ホール呼びリスト取得部は、あらかじめ指定された時間帯ごとに前記仮想ホール呼びリストの取得処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータ群管理システム。
  4. 前記仮想ホール呼びリストは、前記仮想ホール呼び情報と、派生カゴ呼びの情報とのセットである呼びセットを複数格納し、
    前記カゴ呼び決定部は、前記仮想ホール呼びリストに含まれる各前記呼びセットに示される派生カゴ呼びを、前記各仮想ホール呼びから派生する派生カゴ呼びとして決定することを特徴とする請求項1または3に記載のエレベータ群管理システム。
  5. 前記事例データ格納部は、前記仮想ホール呼びリストとして、前記仮想ホール呼びリストの識別情報を格納し、
    前記仮想ホール呼びリスト取得部は、仮想ホール呼びリストと識別情報とを対応づけた対応情報と、選択した前記事例データに含まれる前記識別情報とから、前記仮想ホール呼びリストを取得することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のエレベータ群管理システム。
  6. 前記エレベータ制御目標記憶部に前記エレベータ制御目標データを設定する設定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のエレベータ群管理システム。
  7. 前記エレベータ制御目標記憶部は、前記エレベータ制御目標データを複数記憶し、
    前記仮想ホール呼びリスト取得部は、複数の前記エレベータ制御目標データの中から前記類似度演算に用いるエレベータ制御目標データを選択することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のエレベータ群管理システム。
  8. 各前記エレベータカゴの制御結果を検出し、検出した各前記エレベータカゴの制御結果を集計して前記出発階床及び行先階床の組み合わせごとにエレベータ制御結果を保持したエレベータ制御結果データを生成する、エレベータ制御結果検出部と、
    生成された前記エレベータ制御結果データと、前記集計の対象となった期間における交通需要を出発階床および行先階床の組み合わせごとに保持した交通需要データと、前記期間において使用された仮想ホール呼びリストとを対応づけて前記事例データとして前記事例データ記憶部に格納する事例データ生成部と、
    を備えた請求項1ないし7のいずれか一項に記載のエレベータ群管理システム。
  9. 前記群管理制御をシミュレーションにより行って出発階床および行先階床の組み合わせごとにエレベータ制御結果を保持したエレベータ制御結果データを生成するエレベータ模擬実験部と、
    生成したエレベータ制御結果データと、前記シミュレーションに用いた交通需要データと、前記シミュレーションに用いた仮想ホール呼びリストとを対応づけて前記事例データとして前記事例データ記憶部に格納する事例データ生成部と、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載のエレベータ群管理システム。
  10. ビル内の任意階床において任意の時刻に発生したホール呼びに対してエレベータカゴを割り当てる群管理制御を実行するエレベータ群管理方法であって、
    前記ビル内の交通需要を検出する交通需要検出ステップと、
    出発階床および行先階床の組み合わせごと交通需要を保持した交通需要データを生成する交通需要データ生成ステップと、
    エレベータ制御目標値を出発階床および行先階床の組み合わせごとに保持したエレベータ制御目標データを設定するエレベータ制御目標設定ステップと、
    仮想的なホール呼びを表す仮想ホール呼び情報を少なくとも1つ以上格納した仮想ホール呼びリストと、出発階床および行先階床の組み合わせごとにエレベータ制御結果を保持したエレベータ制御結果データと、出発階床および行先階床の組み合わせごとに交通需要を保持した交通需要データと、を対応づけた事例データを複数格納したデータベースを準備する準備ステップと、
    生成された前記交通需要データと前記設定されたエレベータ制御目標データとを用いて、前記データベース内の各事例データと類似度演算を行い、前記類似度演算の結果に基づいて前記事例データを選択し、選択した前記事例データに含まれる仮想ホール呼びリストを取得する仮想ホール呼びリスト取得ステップと、
    取得された前記仮想ホール呼びリストに含まれる各前記仮想ホール呼びから派生する派生カゴ呼びを決定するカゴ呼び決定ステップと、
    各エレベータカゴに対して割当済みであり未応答のホール呼びの情報を割当済みホール呼び情報として、また、各エレベータカゴで発生した未応答のカゴ呼びの情報を未応答カゴ呼び情報として記憶するステップと、
    前記ビル内においてホール呼びを検出するホール呼び検出ステップと、
    検出された前記ホール呼びから派生する派生カゴ呼びを予測するカゴ呼び予測ステップと、
    前記割当済みホール呼び情報と前記未応答カゴ呼び情報とを用いて各前記エレベータカゴの階床巡回スケジュールを生成し、取得された前記仮想ホール呼びリストに示される前記各仮想ホール呼び、決定された各前記派生カゴ呼び、前記ホール呼び検出ステップにより検出されたホール呼び、予測された前記派生カゴ呼びを、各前記階床巡回スケジュールへ複数の追加パターンにて追加し、前記追加パターンで追加を行った各前記階床巡回スケジュールに基づいて前記追加パターンの評価値を計算し、各前記追加パターンからそれぞれ計算した評価値に基づいて追加パターンを選択し、選択した追加パターンから前記検出されたホール呼びに割り当てるエレベータカゴを決定するカゴ割当演算ステップと、
    を備えたエレベータ群管理方法。
  11. ビル内の任意階床において任意の時刻に発生したホール呼びに対してエレベータカゴを割り当てる群管理制御をコンピュータに実行させるエレベータ群管理プログラムであって、
    前記ビル内の交通需要を検出する交通需要検出ステップと、
    出発階床および行先階床の組み合わせごと交通需要を保持した交通需要データを生成する交通需要データ生成ステップと、
    エレベータ制御目標値を出発階床および行先階床の組み合わせごとに保持したエレベータ制御目標データを設定するエレベータ制御目標設定ステップと、
    仮想的なホール呼びを表す仮想ホール呼び情報を少なくとも1つ以上格納した仮想ホール呼びリストと、出発階床および行先階床の組み合わせごとにエレベータ制御結果を保持したエレベータ制御結果データと、出発階床および行先階床の組み合わせごとに交通需要を保持した交通需要データと、を対応づけた事例データを複数格納したデータベースを準備する準備ステップと、
    生成された前記交通需要データと前記設定されたエレベータ制御目標データとを用いて、前記データベース内の各事例データと類似度演算を行い、前記類似度演算の結果に基づいて前記事例データを選択し、選択した前記事例データに含まれる仮想ホール呼びリストを取得する仮想ホール呼びリスト取得ステップと、
    取得された前記仮想ホール呼びリストに示される各前記仮想ホール呼びから派生する派生カゴ呼びを決定するカゴ呼び決定ステップと、
    各エレベータカゴに対して割当済みであり未応答のホール呼びの情報を割当済みホール呼び情報として、また、各エレベータカゴで発生した未応答のカゴ呼びの情報を未応答カゴ呼び情報として記憶するステップと、
    前記ビル内においてホール呼びを検出するホール呼び検出ステップと、
    検出された前記ホール呼びから派生する派生カゴ呼びを予測するカゴ呼び予測ステップと、
    前記割当済みホール呼び情報と前記未応答カゴ呼び情報とを用いて各前記エレベータカゴの階床巡回スケジュールを生成し、取得された前記仮想ホール呼びリストに示される前記各仮想ホール呼び、決定された各前記派生カゴ呼び、前記ホール呼び検出ステップにより検出されたホール呼び、予測された前記派生カゴ呼びを、各前記階床巡回スケジュールへ複数の追加パターンにて追加し、前記追加パターンで追加を行った各前記階床巡回スケジュールに基づいて前記追加パターンの評価値を計算し、各前記追加パターンからそれぞれ計算した評価値に基づいて追加パターンを選択し、選択した追加パターンから前記検出されたホール呼びに割り当てるエレベータカゴを決定するカゴ割当演算ステップと、
    を前記コンピュータに実行させるエレベータ群管理プログラム。
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