JP4621338B2 - 超音波遠隔診断システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空間的に離れた場所間において、画像を含む種々の診断情報の伝達・交換によって検査や診断を行うシステムに関するものであり、特に超音波診断装置を利用した遠隔診断システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用画像機器は、被検体についての多くの情報を画像により提供するものであり、疾病の診断、治療や手術計画等を初めとする多くの医療行為において重要な役割を果たしている。現在では、主な医療用画像機器として、超音波診断装置、X線CT装置、磁気共鳴イメージング(MRI)装置、核医学診断装置等がある。その中でも超音波診断装置は、画像化の対象となる物理量が超音波であるという特性から、他の医療用診断機器にはない種々の特徴を有している。特に、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査が行えるほか、ベッドサイドへ移動させての検査も容易に行うことができる。
【0003】
ところで、近年の医療診断における課題の一つに、診断情報の迅速な共有化がある。これは、例えば地理的に離れた病院間、同じ病院内における検査室間、患者のベッドサイドと検査室間等において、上記医療用画像機器等で撮影された画像を含む診断情報を迅速に伝達或いは交換し、医療に関するコミュニケーションを迅速かつスムーズに行うものである。その結果として、遠隔医療の品質や利便性等の向上が達成される。
【0004】
従来、上記の様に空間的に隔たりのある場所間で診断情報を共有(或いは伝達・交換)する場合には、写真、光磁気ディスク、VTR等の可搬性記録媒体に画像データ等を記録し、ハードウェアである記録媒体をやり取りし、再生することで診断情報の共有化を行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の様にハードウェアである記録媒体のやり取りによる診断情報の共有化は、迅速性、特にリアルタイム性に欠け、共有し得る情報量にも限界がある。特に、超音波診断装置を利用した診断においては、リアルタイム性という超音波診断装置特有の利点を生かしきれておらず、更なる改善が望まれるところである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、高品質の診断情報を即時的に共有できる超音波遠隔診断システムを提供することを目的とする。
【0007】
本願請求項1に記載の発明は、第1のサイトに設けられ超音波走査によって画像を収集するための超音波診断装置と、第2のサイトに設けられたホストコンピュータとの間において通信回線を利用して確立される診断システムであって、前記超音波診断装置は、前記通信回線を介して前記ホストコンピュータから受信するプログラムに基づいて前記超音波診断装置の動作制御を行う制御手段と、超音波を送受信する超音波プローブと、前記超音波プローブに取り付けられた圧力センサと、前記圧力センサによって検出される圧力情報を前記ホストコンピュータに送信する送信手段と、を有し、前記ホストコンピュータは、
前記制御手段へ制御信号を入力する入力手段と、所定の診断作業についての前記超音波診断装置の動作制御に関するプログラムを送信すると共に、前記送信手段より送信される前記圧力情報を受信する送受信手段と、前記プローブを表す模式図、被検体を表す模式図、若しくは前記プローブと被検体を表す模式的な断面図のうち、少なくともいずれか1つの図上に前記圧力情報を対応させた形態で表示する表示手段とを有すること、特徴とする超音波診断システムである。
【0021】
この様な構成によれば、高品質の診断情報を即時的に共有できる超音波遠隔診断システムを提供することができる。
【0022】
本発明に係る実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成用件における適宜な組み合わせにより種々の発明が摘出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る超音波遠隔診断システムの実施形態を図面に従って説明する。この超音波遠隔診断システムは、通信回線を通じて、空間的に隔たりのある超音波診断装置間、或いは空間的に隔たりのある超音波診断装置とワークステーション等との間で診断情報を交信するシステムである。なお、「通信回線」とは、電磁的手段によって一方或いは両方向からの通信を伝送するための無線又は有線を意味する。
【0024】
以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0025】
図1は、本発明に係る超音波遠隔診断システムの概略構成図の例を示している。図1に示す超音波遠隔診断システムは、基幹病院10内に設けられたサーバ12、ワークステーション14、通信回線15を介して基幹病院10のサーバ12と接続された遠隔サイトの超音波診断装置16とから構成されている。
【0026】
「遠隔サイト」とは、他の病院若しくは診療所等の医療施設、在宅ケアにあっては患者宅や福祉施設、企業や学校等における健康診断にあっては当該健康診断の場所、緊急医療にあっては緊急現場若しくは救急車内等、基幹病院と空間的に隔たりのある場所を意味する。以下の説明においては、当該遠隔サイトと基幹病院との間において確立される診断システムを例として説明するが、同一医療施設内すなわち(同基幹病院内)の各診療科間に確立される診断システムであってもよい。
【0027】
基幹病院10には例えば院内LANが構築されている。サーバ12及び超音波ワークステーション14は、当該LANに接続されている。従って、サーバ12に格納されているデータは、ワークステーション14と遠隔サイトの超音波診断装置16とによって共有することができる。例えば、遠隔サイトの超音波診断装置16は、患者ID等の固有情報に基づいてサーバ12に格納された種々の医療情報を読み出すことが可能である。
【0028】
ワークステーション14は、基幹病院10に設けられ、高度な超音波画像処理装置を高速で行う処理機能を有するコンピュータの端末の一つである。当該ワークステーション14からサーバ12を介して画像構成のための基本データをネットワークを介して転送することで、高度な処理による高度な診断を最小限のインフラで可能とすることができる。
【0029】
超音波診断装置16は、患者に対して超音波画像の撮影を行うために遠隔サイトに設けられている。当該超音波診断装置16は、超音波診断に関する公知の機能の他に、通信回線15を介してサーバ12と診断情報を送受信するための機能を有している。以下、図2を参照して超音波診断装置16の通信機能に関する構成について説明する。
【0030】
図2は、超音波診断装置16の通信機能に関する概略構成を示した図である。
【0031】
超音波診断装置16は、送受信部161、データ処理部163、データ圧縮エンジン165、ネットワーク部167、システム制御部169を有している。
【0032】
送受信部161は、組織又は造影剤の形態情報を表すBモード、血流情報を表す場合に適したドップラモード等、任意の撮影モードに応じた手順で被検体の内部を超音波で走査するために、超音波探触子10に接続されている。また、送受信回路161は、走査により得られたエコーの信号に基づいて、Bモード等の画像データを発生する機能を有している。
【0033】
データ処理部163は、図示していないプリアンプ、A/D変換器、受信遅延回路、加算器を有している。プローブ12の素子毎に受信ユニット16に出力されるエコー信号は、プリアンプによってチャンネル毎に増幅され、A/D変換器によりA/D変換される。そして、A/D変換後のエコー信号は、受信遅延回路により受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与えられ、加算器により加算される。この加算後のエコー信号は、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調されたものとなる。送受信の総合的な超音波ビームは、この送信指向性と受信指向性とにより形成される。さらに加算後のエコー信号は、対数増幅、包絡線検波処理などが施され、当該エコー信号の強度は輝度の明るさで表現されるデータとなる。
【0034】
データ圧縮エンジン165は、遠隔サイトにおいて収集された超音波画像等を圧縮する。一般に、ネットワークを介してデータ転送を行う場合、転送時間が問題となる。転送時間を操作する方法として、画像サイズを調節する、或いはデータ量に応じて圧縮方法を工夫する等が考えられる。データ圧縮エンジン165は、例えば診断分野や装置動作によって圧縮率や圧縮方法を選択し、データ圧縮を行う。この内容については後述する。
【0035】
ネットワーク部167は、データ圧縮エンジン165で圧縮されたデータを、通信回線15を介して基幹病院10のサーバ12に送信する、或いは、通信回線15を介してサーバ12に格納された所望のデータを受信する等、データの送受信を行うための装置である。また、このネットワーク部167は、公衆電話回線によってデータを送受信する場合には図示していないモデム、ディジタル電話回線を使用する場合には図示していないターミナルアダプタ(以下、TA)やデジタルサーバユニット(以下、DSU)等を介して電気回線通信網15に接続される。
【0036】
この様な構成によれば、遠隔サイトと基幹病院との間で診断情報の送受信が可能である。従って、高品質の診断情報を即時性をもって大量に共有できる超音波遠隔診断システムを提供することができる。
【0037】
以上述べた構成を有する超音波遠隔診断システムによって実現される診断情報のやり取りについて、幾つかの具体例を挙げて以下説明する。
【0038】
(例1−一部の画像処理を基幹病院10にて実行する場合)
近年、医療分野における画像処理技術、特に三次元画像処理技術に関しては、著しい発展を遂げている。例えば、断層画像を収集してボリュームデータを生成して、被写体を立体的に映像化する等種々の技術が開発されている。一般に、この様に技術的に高度な画像処理を行う場合には、高速な処理速度を有するコンピュータ、例えば超音波ワークステーション等を必要とする。
【0039】
しかしながら、上述した画像処理機能を遠隔サイトに設けられた超音波診断装置16に設けたのでは、装置は大がかりなものとなり、また、コスト的にも見合わないものとなってしまう。状況によっては、超音波診断装置16は、持ち運び可能であることが好ましく、できる限り装置のコンパクト化を所望する場合もある。
【0040】
これらの事情を考慮し、例1では、遠隔サイトでは超音波画像の撮影のみを行い、高度で高速な演算等を必要とする画像処理は、基幹病院10に設けられた超音波ワークステーション14にて実行する診断システムを説明する。
【0041】
図1において、遠隔サイトに設けられた超音波診断装置16によって収集された画像構成のための基本データは、通信回線を介して、基幹病院10に設けられたワークステーション14に転送される。ワークステーション14は複雑な計測処理や画像処理を高速で実行し、図示していないモニタに超音波画像を表示する。また、必要であれば、通信回線を介して遠隔サイトの超音波診断装置16に処理後の画像データを転送する。
【0042】
この様な構成によれば、複雑な計測処理や画像処理については、基幹病院等に設けられたワークステーション等によって高速に処理される。従って、当該超音波遠隔診断システムは、高度な処理による高度な診断を最小限のインフラで実現することができる。また、撮影から画像表示までに要する時間は、転送時間とワークステーション14における画像処理時間であるから、短時間で診断画像を取得することができる。
【0043】
なお、例1に示した診断システムは、例えば基幹病院10内のLANについても適用することができる。
【0044】
(例―2:診断分野等によって圧縮法・圧縮率を選択する場合)
遠隔サイトの超音波診断装置によって収集された超音波画像を、圧縮して基幹病院に転送する場合について説明する。この転送のための圧縮は、システム制御部169の制御に従ってデータ圧縮エンジン165において実行されるものである。
【0045】
一般に、通信回線を介してデータ転送を行う場合、転送時間の短縮、使用するメモリ領域や電波帯域の節約を目的として、所定の圧縮率によってデータを圧縮して転送を行う。
【0046】
ところで、転送時間は主に圧縮率に依存し、圧縮データの復元による画像の質は、圧縮法に依存する。従って、圧縮率や圧縮法は単に転送時間の短縮、使用するメモリ領域や電波帯域の節約のみを目的とせず、転送する画像のデータ量、診断分野、或いは装置の動作に関する情報等に応じても随時適切なものを選択することが好ましい。診断分野等によって、求められる画質やデータ転送速度が異なるからである。
【0047】
システム制御部169は、診断分野、或いは装置の動作に関する情報に応じて、転送するデータに施す圧縮法・圧縮率を適切に選択し、圧縮制御を行う。例えば、循環器や頸動脈では、解像度よりフレーム数を優先して、高い圧縮率で画像転送する。なぜなら、一般的に循環器や頸動脈ではその動きについて興味があるからである。一方、腹部系や表在では、画質を優先して低い圧縮率で画像を転送する。画像の精度が重要だからである。
【0048】
また、超音波スキャンのフレームレートに応じて、圧縮率を自動的に変更する。すなわち、フレームレートが高い場合には、連動的な画像収集を目的としておりその興味は臓器等の動きにある。従って、解像度よりフレーム数を優先して、高い圧縮率で画像転送する。一方、フレームレートが低い場合には、画質を優先して低い圧縮率で画像を転送する。
【0049】
診断においては、超音波画像中のROI(関心領域)に示された情報が特に重要である。従って、一の超音波画像すべてに同一の圧縮方法或いは圧縮率を適用せず、ROIについてはできる限り高解像度且つ高フレームレートによる処理を行い、他の領域については許容される範囲内での解像度或いはフレームレートで転送する構成であってもよい。
【0050】
また、収集した超音波画像の表示面積に応じて圧縮率を自動的に変更する構成であってもよい。すなわち、表示面積が大きい場合にはデータ量が大きいから高い圧縮率で画像転送し、表示面積が小さい場合にはデータ量が小さいから低い圧縮率で画像転送すればよい。
【0051】
また、カラー画像と白黒画像を分離し、別個の圧縮率(すなわち、データ量の多いカラー画像は、より高い圧縮率)で処理し転送する方法も考えられる。
【0052】
撮影した画像のすべてについて、高精度な画像が必要と限らない。この場合、例えば超音波診断装置16は最初に圧縮率の低い画像或いはサムネイル画像を選択用とし基幹病院10に転送する。基幹病院の端末を使用するユーザは、これらの画像の中から選択した所望の画像のみ、通信回線を通じて高画質(定圧縮率)で転送されてくる構成としてもよい。
【0053】
この様な構成によれば、診断分野、或いは装置動作等に応じて随時適切な圧縮率や圧縮法を選択する構成であるから、必要な診断情報を確保しつつ、転送時間の短縮、使用するメモリ領域や電波帯域の節約をも実現することができる。
【0054】
次に、上記の様に転送されたデータの格納方法について説明する。データの格納方法について、以下二つの例を挙げる。
【0055】
まず、超音波診断装置16によって収集された診断情報を、直接自動的に基幹病院10のサーバ12に転送して格納する方法である(図1参照)。この様な構成であれば、基幹病院10のサーバ12に格納されている診断情報は、常に最新情報に自動的に更新される。従って、基幹病院10では、即時的に遠隔サイトの患者に関する診断情報を取得することができる。また、データ管理の面において作業性の向上を実現することができる。
【0056】
もう一つの例は、遠隔サイト専用の遠隔サイトサーバを設け、当該サーバにデータを格納する方法である。
【0057】
図3は、遠隔サイト専用の遠隔サイトサーバ20A、20Bを設けた超音波遠隔診断システムを示している(添字のアルファベットは、異なる遠隔サイトを示す)。超音波診断装置16によって得られた診断情報は、逐次自動的に遠隔サイトサーバに格納される構成となっている。超音波診断装置10によれば、既述のように診断分野等によって圧縮率・圧縮法を区別するから、当該サーバ内のメモリ領域を有効に使用することができる。
【0058】
なお、上述のいずれの例においても、画像データは患者に関する固有情報と対応付けて転送される。
【0059】
ところで、この様に遠隔サイトサーバに格納された診断情報は、基幹病院10に設けられたサーバ12においても定期的に最新の診断情報として自動更新されることが好ましい。さらに、この自動更新が遠隔サイトサーバ20へのデータ転送と同時に実行されれば、基幹病院10においても即時的に(すなわち、現地と同タイミングで)最新の診断情報を得ることができ、また、データ管理の点においても有効である。
【0060】
図3に示す超音波遠隔診断システムは、診断情報のレプリカ(複製)を自動作成し、最新の診断情報に自動更新する機能を有している。
【0061】
図3において、遠隔サイトに設置された超音波診断装置16A、超音波診断装置16Bは、それぞれ対応する遠隔サイトサーバ20A、20Bに接続されている。各超音波診断装置10によって収集された診断情報は、対応する遠隔サイトサーバ20に格納される。このとき、各遠隔サイトサーバ20は、当該診断情報のレプリカを作成し、通信回線を介して基幹病院10のサーバ12に転送する。サーバ12では、新たに送信されてきた最新の診断情報によって、当該サーバ内の診断情報を随時更新する。
【0062】
この様な構成によれば、レプリカを自動作成し当該レプリカを基幹病院10へ随時自動的に転送する構成であるから、即時的に最新の診断情報を得ることができ、また、有効なデータ管理を実現することができる。
【0063】
なお、診断情報は超音波画像に限らず、ネットワーク機能を使用することで画像データとともに付帯情報(距離、面積、容積、血流量、血流速度等)や一本一本の超音波ラスタデータ等も含むものとする。また、診断情報とともに、走査密度情報といった超音波診断装置の動作に関する情報や、データ補間処理プログラム等の画像処理に関するプログラム等の情報も転送できることが望ましい。その他、計測処理プログラムが一緒に転送されて、受信側で計測ができるなどいくつもの場合が考えられる。
【0064】
この様な構成によれば、複数の機種が混在する超音波遠隔診断システムを実現することができる。
【0065】
(例−3:基幹病院のコンピュータから遠隔サイトにある超音波診断装置を操作する場合)
次に、本発明に係る超音波遠隔診断システムが有する遠隔操作機能について説明する。この機能は、例ば遠隔サイトの超音波診断装置16に設けられた両眼カメラやマニピュレータを活用して、基幹病院10に存在するワークステーション14から直接遠隔サイトの超音波プローブを操作可能とするものである。
【0066】
この様な遠隔操作に基づく検査を実現するためには、コミュニケーションのための音声情報や画像を含む診断情報のやり取り、プローブを主とした操作感覚のフィードバックが必要である。以下、診断情報のやり取り、操作感覚のフィードバックの順に、その実現方法について説明する。
【0067】
例えば、遠隔サイトにおける患者とのコミュニケーションのための音声情報は、電話回線にて行う方法が考えられる。また、戦場等では野戦病院から無線を介する場合や、ネットワーク、サテライト回線を介することも想定される。
【0068】
画像を含む診断情報のやり取りは、モデムを介して公衆電話回線を使用する場合、TA(ターミナルアダプタ)、DSU(デジタルサービスユニット)を介してディジタル回線で伝送する場合、インターネット回線を使用する場合等が考えられる。また、画像の圧縮方法等については、上記例1において述べた方法を適用できる。
【0069】
操作感覚のフィードバックとしては、例えば次のような方法がある。まず、振動子面圧力センサによって圧力分布を映像化してフィードバックする方法が考えられる。例えば、ワークステーション14のモニタにプローブの模式図等を表示し、被検体への当接部分に加えられる圧力差を色の濃淡に対応させて表示することで、操作感覚をフィードバックすることができる。また、プローブと被検体の模式的な断面図を表示し、被検体の加えられる圧力差をプローブの当接部分の位置に対応させて棒グラフ等でレベル表示する構成であってもよい。また、プローブに限らずモニタに表示された被検体の模式図に、色の濃淡或いは棒グラフ等による圧力差の表示を行う構成であってもよい。さらに、色の濃淡或いは棒グラフ等に限らず、超音波画像の各超音波ラスタ上のエコー強度の積分値をプローブ形状に対応させた画像を送る構成であってもよい。
【0070】
この様な構成によれば、当該遠隔操作機能により、空間的に離れた場所医に置いても操作感覚がフィードバックされるから、遠隔地に医師がいなくても超音波検査が可能となる。従って、超音波遠隔診断、さらには超音波遠隔治療に関して、更なる可能性を提供することができる。
【0071】
(例4−データのバックアップ等)
遠隔サイトにおける超音波診断では、設備が十分でない場合も想定される。また、状況によっては、超音波診断装置の操作に関して未経験者や経験が浅い操作者が使用する場合もあり得る。これらの場合には、診断に関する作業手順(以下、ワークフロー)を超音波診断装置のモニタに表示して、診断に関する支援情報を提供できることが好ましい。
【0072】
次に述べるのは、ワークフローを利用した超音波診断を、超音波遠隔診断システムによって実行する例である。
【0073】
ワークフローを利用した診断において、データのバックアップや収集を自動的に行わせることは、ソフトウェア等によって実現できる。例えば、予め準備された複数のワークフローパターンの中から、状況に応じて実行しようとする診断に対応したワークフローを指定し、当該指定したワークフローが定義する作業手順に従ってデータ収集することも、ソフトウェアとネットワーク機能の活用により実現できる。この場合、超音波診断装置16が有する記憶手段を有効に使用するために、予め準備された複数のワークフローパターン及び各ワークフローを実現するプログラムは、基幹病院10に設けられた記憶手段に格納されているものとし、指定したワークフロー及び対応するプログラムのみ超音波診断装置16に転送される構成であってもよい。
【0074】
遠隔サイトに設けられた超音波診断装置16において、所定の条件に基づいて指定(選択)された検査に関するワークフローは、超音波診断装置の画面上に表示され、例えば実施中のステップが色分け等で表示される。そして、検査に関するワークフローは、当該ワークフローに従って収集された画像とともに、基幹病院に転送される。その結果によって、さらに次の検査に関するワークフローが転送される。
【0075】
ワークフローに従って収集されたデータのバックアップは、MO、HD、サーバ等の記憶装置にて行う。これらの記憶装置は、超音波診断装置が有する記憶装置に直接記憶してもよいし、通信回線を通して基幹病院に設けられている記憶装置に記憶する構成であってもよい。
【0076】
この様な超音波遠隔診断システムによれば、遠隔サイトにおいてワークフローに従った診断作業を実行するだけで、自動的に基幹病院10のサーバ12やワークステーション14とリンクした診断作業を実行することができる。その結果、オペレータは、遠隔サイトにおいても基幹病院10の環境に近い状況で診断作業を行うことができる。
【0077】
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0078】
第1に、音声と画像とをリアルタイムで送受信することで、診断情報を即時的に共有することができる。
【0079】
第2に、空間的に離れた場所に設置された超音波診断装置の操作を行うことができる。
【0080】
第3に、高度な処理による診断を遠隔地においても得ることができる。
【0081】
第4に、目的に合った最適な画像を許容できる時間内に入手することができる。
【0082】
第5に、診断手順に合わせた自動処理によって効率的な遠隔診断を実行することができる。
【0083】
第6に、遠隔地においても、適切な診断手順によって検査を無駄なく実行することができる。また、空間的に離れた場所に存在する基幹病院においても、必要な最新診断情報を確実に入手することができる。
【0084】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変形例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば以下に示すように、その要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0085】
上記実施形態においては、空間的に隔たりのある基幹病院10と遠隔サイトとの間における超音波遠隔診断システムを例として説明した。これに対し、同一病院内(例えば、基幹病院10内において、検査室と患者の病室との間)において適用することも可能である。その結果、院内の検査効率を向上させることができる。
【0086】
【発明の効果】
以上本発明によれば、高品質の診断情報を即時的にに共有できる超音波遠隔診断システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、超音波遠隔診断システムの概略構成を模式的に示した図である。
【図2】図2は、遠隔サイトに設けられた超音波診断装置16の概略構成を示した図である。
【図3】図3は、超音波遠隔診断システムの概略構成を模式的に示した図である。
【符号の説明】
10…基幹病院
12…サーバ
14…超音波ワークステーション
16…遠隔サイト超音波診断装置
18…
20…遠隔サイトサーバ
161…送受信部
163…データ処理部
165…データ圧縮エンジン
167…ネットワーク部
169…システム制御部
Claims (4)
- 第1のサイトに設けられ超音波走査によって画像を収集するための超音波診断装置と、第2のサイトに設けられたホストコンピュータとの間において通信回線を利用して確立される診断システムであって、
前記超音波診断装置は、
前記通信回線を介して前記ホストコンピュータから受信するプログラムに基づいて前記超音波診断装置の動作制御を行う制御手段と、
超音波を送受信する超音波プローブと、
前記超音波プローブに取り付けられた圧力センサと、
前記圧力センサによって検出される圧力情報を前記ホストコンピュータに送信する送信手段と、を有し、
前記ホストコンピュータは、
前記制御手段へ制御信号を入力する入力手段と、
所定の診断作業についての前記超音波診断装置の動作制御に関するプログラムを送信すると共に、前記送信手段より送信される前記圧力情報を受信する送受信手段と、
前記プローブを表す模式図、被検体を表す模式図、若しくは前記プローブと被検体を表す模式的な断面図のうち、少なくともいずれか1つの図上に前記圧力情報を対応させた形態で表示する表示手段とを有すること、
を特徴とする超音波診断システム。 - 前記表示手段は、前記圧力情報として、前記圧力センサの検出した圧力分布を表示することを特徴とする請求項1に記載の超音波遠隔診断システム。
- 前記表示手段は、前記圧力情報として、前記圧力センサの検出した圧力に関する棒グラフを表示することを特徴とする請求項1に記載の超音波遠隔診断システム。
- 前記表示手段は、前記圧力情報として、前記圧力センサの検出した圧力を色の濃淡に対応させて表示すること
を特徴とする請求項1に記載の超音波遠隔診断システム。
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