JP4617555B2 - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物の内外装材や造作材、建具等の建築資材、家具什器類、住設機器や家電製品等の表面化粧に使用するための化粧シートに関し、特に、木質基材、無機系ボード類、金属板などよりなる三次元立体形状を有する化粧材用基材の表面に真空成形法により積層する用途に好適な化粧シートに関するものであり、更に該化粧シートが基材の表面に積層された化粧材をも包含する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばキッチン扉や学童机用部材等の様に、複雑な三次元立体形状を有する化粧材の製造に当たっては、目的とする化粧材の三次元立体形状に予め成形した木質基材等の化粧材用基材の表面上に、熱可塑性樹脂製の化粧シートを加熱軟化しつつ展張し、該化粧シートの化粧材用基材側の空間を減圧し反対側の空間を加圧することにより、該化粧シートを前記化粧材用基材の表面の三次元立体形状に沿って成形しつつ貼着積層する、いわゆる真空成形法が広く採用されている。
【0003】
上記真空成形法としては、化粧シートの加熱及び化粧シートの化粧材用基材側の空間と反対側の空間との圧力差による化粧シートの化粧材用基材表面への押圧力の賦課を、化粧シートの化粧材用基材とは反対側に展張したシリコーンゴム膜等の可撓性且つ弾力性のメンブレンゴムを介して行う、いわゆるメンブレンプレス法と、該メンブレンゴムを使用せずに、化粧シートを直接加熱すると共に、化粧シート自体を押圧力賦課媒体として行う、いわゆるメンブレンレスプレス法とがある。我が国においては従来より、メンブレンプレス法の真空成形機が中心として用いられていたが、海外ではメンブレンレスプレス法の真空成形機が主流となっており、我が国においてもその成形性や生産性の高さから、一部でメンブレンレスプレス法の採用が増加しつつある。
【0004】
係る如く、真空成形法により三次元立体形状に成形する用途に使用される化粧シートとしては従来、特有の優れた熱成形性を有し、しかも表面硬度、耐摩耗性、耐薬品性等の各種の表面物性や耐候性、二次加工性等に幅広くバランスの良い特性を有する、ポリ塩化ビニル樹脂製の化粧シートが、最も広く用いられて来た。しかし、近年になって、ポリ塩化ビニル樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂に使用される可塑剤等の添加剤に内分泌攪乱作用(いわゆる環境ホルモン作用)の疑いがあることや、未反応状態で残留する塩化ビニルモノマーの発ガン性の疑いがあること、燃焼時に塩化水素やダイオキシン等の有害物質を発生する場合があることなどが問題視される様になっており、係る問題のない塩素を含有しない樹脂による代替が、社会的に強く要請される様になっている。
【0005】
係る要望に応える為に、例えば熱可塑性ポリオレフィン系樹脂を使用した化粧シートが既に提案され(特開平6−16832号公報参照)、ポリ塩化ビニル樹脂製の化粧シートに対する置き換えが急速に進行しつつある。しかし、このポリオレフィン系樹脂として、例えば通常の汎用のポリプロピレン樹脂を使用した化粧シート等は、平板へのラミネート用としては十分に優れた性能を有するものであるが、折り曲げ加工用や真空成形加工用としては柔軟性に不足し、白化や亀裂、破断、ネッキング等の成形不良や、局所的に不均一な伸長による柄伸び等を発生し易く、上記した三次元立体形状に成形する用途等への使用は困難であった。
【0006】
これに対し、ポリプロピレン等の樹脂に、軟質モノマーとの共重合や、エラストマー等の軟質成分の配合等により、柔軟性を付与する試みも各種なされているが、こうして軟質化したポリオレフィン系樹脂は、化粧シート用としては耐熱性や表面の耐傷付き性などに劣る問題があった。この様にして、結果的には、ポリオレフィン系樹脂製の化粧シートでは、必要な諸物性を全て満足したものは得られていないのが実情である。
【0007】
上記ポリオレフィン系樹脂製の化粧シートにおける問題点の原因の一つは、ポリオレフィン系樹脂が本質的に結晶性の高分子であり、それも非晶質のマトリクス中に結晶化部分が散在した、不均一な構造を有する樹脂であることにあると考えられる。そこで、上記の問題を根本的に解決する為には、均一な構造を有する樹脂、例えば本質的に非晶質の樹脂、を使用することが好ましいと考えられる。係る非晶質の樹脂を使用した化粧シートの一種として、既に非晶質ポリエステル樹脂を使用した化粧シートの提案がある(特開平7−24979号公報参照)。
【0008】
しかし、この非晶質ポリエステル樹脂を使用した化粧シートも、必ずしも十分に満足すべきものではなかった。その主たる理由としては、非晶質ポリエステル樹脂はオレフィン系樹脂等と比較して、耐溶剤性や耐薬品性、表面硬度、耐傷付き性等の各種表面物性に劣る点が挙げられる。特に、折り曲げ加工適性や真空成形適性の向上のために、第三成分の共重合等により非晶質ポリエステル樹脂の柔軟化を図ると、上記した各種表面物性が低下する傾向があり、柔軟性や成形性と各種表面物性との両立は困難である。この問題点は、表面に耐溶剤性や耐薬品性に優れた硬質の硬化性樹脂からなるトップコート層を厚目に設けることでも或る程度は対処できるのであるが、十分な表面物性を付与しようとしてトップコート層を過度に厚く設けると、結果的に化粧シートの可撓性や熱成形性が低下し、複雑な三次元立体形状への追従が困難となってしまう。
【0009】
上記の問題点の解決法の一つとして、非晶質ポリエステル樹脂層の表面に、耐溶剤性に優れた熱可塑性樹脂層、例えばポリオレフィン系樹脂や結晶質ポリエステル樹脂等からなる層を設けることも考えられる。しかしながら、この様にして化粧シートの表面に結晶質の樹脂層が存在すると、結果的に化粧シート全体としての可撓性や熱成形性が減殺されてしまったり、成形時に表面の結晶質の樹脂層において白化や亀裂等が発生して良好な製品が得られなくなってしまったりする場合があるという問題点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来の技術における上記した様な問題点を解決するためになされたものであって、その課題とするところは、折り曲げ加工性や熱成形性に優れ、複雑な三次元立体形状の基材への積層も十分に可能であり、しかも表面の耐溶剤性や耐薬品性、表面硬度、耐傷付き性等の各種表面物性にも優れた化粧材の製造が可能な化粧シートと、当該化粧シートを使用した化粧材とを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱可塑性樹脂からなる基材シート上に、透明又は半透明の非結晶性ポリエステル樹脂層と、透明又は半透明の非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層とを、順次積層してなることを特徴とする化粧シートである。
【0012】
また本発明は、上記化粧シートにおいて、前記基材シートをなす熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする化粧シートである。
【0013】
また本発明は、前記化粧シートにおいて、前記基材シートをなす熱可塑性樹脂が、非結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする化粧シートである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の化粧シート1は、図1に示す様に、熱可塑性樹脂からなる基材シート11上に、透明又は半透明の非結晶性ポリエステル樹脂層12と、透明又は半透明の非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13とが、順次積層されて構成されるものである。この化粧シート1には、印刷等による所望の意匠絵柄の付与を目的として、絵柄層14が設けられるのが一般的である。また、必要に応じて、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13側の面にエンボス15による凹凸模様が施されていたり、該凹凸模様の凹部にワイピング法等により着色剤が充填されていたり、表面にトップコート層等の表面保護層16が設けられていたり、裏面に化粧材用基材2との接着を容易にするためのプライマー層17が設けられていたりしてもよい。
【0017】
本発明の化粧シート1に、化粧材用基材2の表面の好ましくない色彩や欠陥等に対する十分な隠蔽性を持たせる必要がある場合には、基材シート11を構成する熱可塑性樹脂に不透明性の顔料を添加して隠蔽性の着色シートとするか、及び/又は、絵柄層14の裏面側に不透明性の顔料を大量に含有する印刷インキ又は塗料等による隠蔽層(図示せず)を設けることもできる。逆に、化粧材用基材2の素材感を活かした化粧材を得ようとする場合には、透明又は半透明の基材シート11を使用すると共に、絵柄層14は設けないか、又は、絵柄層14に透明性のインキを使用するか若しくは網点状等の抜けの多いパターン状に設けることにより透明性ないし透視性を具備させればよい。
【0018】
本発明の化粧シートにおいて、基材シート11を構成する熱可塑性樹脂の種類には特に制限はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属水和物(所謂アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、アセチルセルロース、ニトロセルロース等の繊維素誘導体等、或いはこれらの2種以上の混合物、共重合体、積層体、複合体等からなるフィルム乃至シート状物を使用することができる。
【0019】
但し、近年頓に社会問題化しつつある環境問題への適応を考慮すると、例えばポリ塩化ビニル樹脂やポリフッ化ビニル樹脂等の様に塩素やフッ素等のハロゲン元素を含有する樹脂の使用は好ましくなく、非ハロゲン系樹脂を使用することが望ましい。中でも、市場での価格や流通量、調達の容易性を始め、化粧シート用基材シートとしての適度の柔軟性と強度のバランスや、折曲や切断・切削、熱成形等の加工適性、耐摩耗性や耐溶剤性等の表面物性、耐候性等の各種の側面から見て、ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル樹脂を採用することが最も好ましい。
【0020】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、上掲したものを始め、種々の単独重合体や共重合体が知られているが、中でも化粧シート用基材シートの素材として最も好適なのはポリプロピレン系樹脂、すなわちポリプロピレンを主成分とする単独又は共重合体であり、具体的には、例えばホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、及び、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1、のコモノマーを15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体などを例示することができる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、アタクチックポリプロピレン等の改質剤を添加することもできる。
【0021】
上記ポリプロピレン系樹脂の他、基材シート1に好適に使用可能なポリオレフィン系樹脂としては、柔軟性や成形性と強度や腰とのバランスに優れた高密度ポリエチレンや、結晶性ポリオレフィン成分と非結晶性エラストマー成分との単純ブレンド、ブロック共重合体又は架橋体などからなり熱可塑性樹脂としての性質とエラストマーとしての性質とを兼ね備えたオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(TPO)等を挙げることができる。
【0022】
また、上記ポリエステル樹脂としては、前記したポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の汎用の結晶性のポリエステル樹脂であっても良いが、特に真空成形用途において更に望ましいのは、柔軟性や熱成形性に優れた非結晶性ポリエステル樹脂である。該非結晶性ポリエステル樹脂とは、通常の成形条件下では殆ど結晶化することのない程度に結晶化速度を遅くしたポリエステル樹脂であり、具体的には例えば、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸又はそのエステルと、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールとの縮合重合反応において、ジカルボン酸成分として例えばセバシン酸、エイコ酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の長鎖脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸を導入したり、及び/又は、ジオール成分としてポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の両末端に水酸基を有するポリエーテル系ジオール及び/又は脂環族ジオールを導入する等して製造された共重合ポリエステル樹脂等がある。
【0023】
中でも最も代表的なものは、通称PET−Gとして市販されている1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂であり、該樹脂からなるシートとして具体的には例えば長瀬産業株式会社製「NAGASE A−PET」、理研ビニル工業株式会社製「リベスター」等として市販されているものなどを挙げることができる。
【0024】
基材シート11には、必要に応じて例えば紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていてもよい。また、基材シート11は透明や半透明であってもよいし、着色剤の添加により着色透明や着色不透明とされていてもよいが、特に目的とする化粧シート1に化粧材用基材2の表面の好ましくない色彩や欠陥等に対する隠蔽性が要求される場合には、基材シート11は例えば酸化チタン系顔料や酸化鉄系顔料、カーボンブラック等の不透明性顔料の添加により隠蔽性とされていることが望ましい。
【0025】
基材シート11の厚さには特に制約はなく、目的とする化粧シート1の総厚と、折り曲げ加工適性や熱成形性、エンボス加工適性、表面物性等の観点から選ばれる表面側の透明又は半透明の非結晶性ポリエステル樹脂層12及び透明又は半透明の非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13の厚さと、基材シート11自体の加工性や経済性などを総合的に勘案して適宜決定すればよい。一般的には、化粧シート1の総厚としては100〜500μm程度であり、中でも200〜400μm程度が最も好ましい。化粧シート1の総厚に占める基材シート11の比率は成形性面等から通常30〜60%程度が好ましく、基材シート11の厚さとしては30〜300μm程度であり、中でも50〜200μm程度が最も望ましい。
【0026】
非結晶性ポリエステル樹脂層12は、本発明の化粧シート1に、折り曲げ加工は勿論のこと、三次元成形加工にも十分対応可能な、優れた柔軟性や熱成形性を付与する目的で設けられるものである。非結晶性ポリエステル樹脂は、均一な非晶質構造のために極めて均一な成形性が得られ、折り曲げ加工時や熱成形加工時にネッキングや破断、白化、不均一な伸長による柄伸び等の成形不良を発生することが殆どないからである。しかも、結晶性樹脂における結晶部と非結晶部との屈折率差による光の散乱もないので、透明性(低ヘイズ性)にも優れており、意匠性にも優れた化粧シート1が得られる利点もある。
【0027】
非結晶性ポリエステル樹脂層12に用いる非結晶性ポリエステル樹脂としては、前述した基材シート11に使用可能な非結晶性ポリエステル樹脂として挙げたものと同様の非結晶性の熱可塑性ポリエステル樹脂を使用することができる。中でも1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂は、柔軟で成形性に優れ、複雑な三次元立体形状の化粧材用基材2に対しても十分に追従可能であることは勿論のこと、ガラス転移温度が約80℃であることから、真空成形等の熱成形において、従来のポリ塩化ビニル樹脂製の化粧シートの場合と同様の成形条件で良好に成形可能である利点がある。
【0028】
一方、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13は、本発明の化粧シート1に、柔軟性や熱成形性を阻害することなく、良好な耐薬品性(特に耐アルカリ性)、耐溶剤性、表面硬度、耐傷付き性等の表面物性を付与する目的で設けられるものである。すなわち非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂とは、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の、本来は結晶性である通常の熱可塑性ポリエステル樹脂を、結晶化させない(好ましくは結晶化度5%以下)成形条件でシート状に製膜したものであり、結晶部を殆ど含まないことから、折り曲げ加工時や熱成形時等の変形によっても、結晶部と非結晶部との相のずれが発生しにくく、非結晶性ポリエステル樹脂よりは若干劣るものの比較的均一な成形性が得られ、ネッキングや破断、白化、柄伸び等の成形不良を発生しにくいことに加え、非結晶性ポリエステル樹脂よりは耐薬品性(特に耐アルカリ性)や耐溶剤性、表面硬度等には優れているからである。
【0029】
上記非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂としては、ガラス転移温度(樹脂種のほか製膜条件にも依存する)が65〜85℃程度のものを使用すると、真空成形等の熱成形において、従来のポリ塩化ビニル樹脂製の化粧シートの場合と同様の成形条件で良好に成形可能である利点がある。従ってこの目的には、ホモポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体等の、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂が最も適している。
【0030】
係る非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂としては、通称A−PET樹脂として市販されている純粋又は純粋に近いポリエチレンテレフタレート樹脂からなるものが最も一般的であり、具体的には例えば帝人株式会社製「テイジンテトロンシート(A−PET)」、東洋紡績株式会社製「東洋紡PETMAXシートAシリーズ」、鐘紡株式会社製「カネボウA−PETシート」等として市販されているものなどを挙げることができる。
【0031】
なお、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13は、化粧材用基材2への貼着時、貼着後の折り曲げ加工時又は折り曲げ加工後のいずれかの時点において、加熱処理により部分的に結晶化(加熱条件にもよるが通常30〜60%程度)させると、表面硬度や耐傷付き性、耐溶剤性、耐薬品性等の各種表面物性を更に向上させることができる。特に、三次元立体形状を有する化粧材用基材2の表面に沿って真空成形法により熱成形すると同時に積層貼着する手法による場合には、該熱成形時の熱により、また該熱成形時に延伸される場合には熱及び延伸の効果により、成形・積層貼着と同時に結晶化させて優れた表面物性を発現させることができるので、各種表面物性に優れた化粧材を最も作業性良く生産することができる利点がある。
【0032】
非結晶性ポリエステル樹脂層12及び非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13の厚さは特に制限されるものではなく、前述した化粧シート1の総厚や基材シート1の厚さ等との関係において折り曲げ加工性や成形性、意匠性等を考慮しつつ適宜設計すれば良い。一般的には、両者を合わせた厚さとして50〜200μm程度とすることが好ましい。
【0033】
非結晶性ポリエステル樹脂層12と非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13との構成比率に関しては、両者を比較すると非結晶性ポリエステル樹脂層12の方が折り曲げ加工性や成形性には優れており、耐溶剤性、耐薬品性、表面硬度、耐傷付き性等の表面物性は非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13の方が良好であるので、非結晶性ポリエステル樹脂層12と非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13との厚さの比率は、95:5〜60:40程度の範囲内とすることが望ましい。
【0034】
但し、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13の厚さが極端に薄いと各種表面物性が不満足となるので、少なくとも1μm以上、通常は5μm以上とすることが好ましい。一方厚すぎても、非結晶性ポリエステル樹脂層12のもつ優れた柔軟性や成形性が十分に活かされず、特に非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13を化粧材用基材2への貼着時又は貼着後に結晶化させる場合には、該結晶化により透明度が低下しヘイズ度が上昇して意匠性を損なう場合があるので、通常50μm以下とすることが望ましい。
【0035】
非結晶性ポリエステル樹脂層12及び非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13には、必要に応じて例えば紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、充填剤、難燃剤、艶調整剤、帯電防止剤、結露防止剤、滑剤、抗菌剤、防黴剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていても良い。また、基材シート11と非結晶性ポリエステル樹脂層12との間に絵柄層14が設けられる場合にあっても、少なくとも絵柄層14が透視可能な限りにおいて、染料又は顔料等の着色剤が添加されて着色されていても良い。
【0036】
基材シート11、非結晶性ポリエステル樹脂層12及び非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13の相互間の積層方法には特に制限はなく、例えば接着剤を介したドライラミネート法又はウェットラミネート法、接着剤(ヒートシール剤)を介するか又は介さない熱ラミネート法、溶融押出ラミネート法、共押出製膜法等、従来公知の任意の積層方法を適宜採用することができる。勿論、基材シート11と非結晶性ポリエステル樹脂層12との積層方法と、非結晶性ポリエステル樹脂層12と非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13との積層方法とは、同一であっても良いし、異なっていても良い。また、積層の順序も特に問わず、基材シート11と非結晶性ポリエステル樹脂層12との積層後に非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13を積層しても、非結晶性ポリエステル樹脂層12と非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13との積層後に基材シート11と積層しても良いし、三者を同時に積層しても勿論構わない。
【0037】
基材シート11と非結晶性ポリエステル樹脂層12との間に絵柄層14を設ける場合には、まず基材シート11の表面に印刷法等により絵柄層14を設けておき、該絵柄層14面に、別途作製しておいた非結晶性ポリエステル樹脂層12と非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13との共押出フィルムの非結晶性ポリエステル樹脂層12面を、ドライラミネート法又は熱ラミネート法等により積層する手法か、又は、非結晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを、後者を結晶化させない条件で溶融共押出し法により製膜しつつ、その非結晶性ポリエステル樹脂側の面を、予め表面に絵柄層14を設けておいた基材シート11の絵柄層14面側に向けて積層することにより、非結晶性ポリエステル樹脂層12及び非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13とを形成する手法によれば、本発明の化粧シート1を簡便な工程で効率的に製造可能であるので最も好適である。
【0038】
絵柄層14は、所望の意匠の絵柄を印刷等によって表現したものであり、その絵柄の種類や構成材料、形成方法等に関しては一切制限はない。一般的には、絵柄としては例えば木目柄や石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字又は記号、或いはそれらの組み合わせ等であるが、単色無地(ベタ)であっても勿論構わない。構成材料は、染料又は顔料等の着色剤を合成樹脂等の展色剤中に分散した印刷インキ又は塗料等を使用するのが一般的であるが、本発明においては折り曲げ加工時や真空成形加工時のシートの伸びに追従可能な柔軟性を備えていることが必要であり、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、繊維素誘導体等を展色剤とする印刷インキ又は塗料を使用することが望ましい。
【0039】
絵柄層14の形成方法としては、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、インクジェット印刷法、転写印刷法等の公知の印刷方法や、ベタ状の場合には例えばグラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法等の公知の塗工方法等を用いることができる。
【0040】
また、絵柄層14の印刷前に被印刷面に予め例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、電離放射線処理、酸処理、アルカリ処理、アンカー処理又はプライマー処理等の易接着処理を施すことによって接着性を向上させることも、必要に応じて任意に実施することができる。
【0041】
本発明の化粧シート1には、必要に応じて、表面にエンボス15を施すことにより立体的な意匠感を付与することもできる。エンボス15の模様の種類にも特に制限はなく、例えば木目調(特に導管溝模様状)、石目調、布目調、和紙調、幾何学模様状等の各種の模様状であっても良いし、或いは例えば砂目状、梨地状等の艶消状や、スウェード状、皮革状、ヘアライン状、平行直線群又は平行直線群若しくはそれらの組み合わせ等であっても良い。また、これらのエンボス15の模様を絵柄層14の絵柄と同調させることによって更なる意匠性の向上を図ることもできるが、その必要がなければ非同調であっても良く、また、絵柄層14の絵柄と同調した模様と同調しない模様との両者を含む模様状のエンボス15を設けることもできる。なお、エンボス15の凹部には、必要に応じてワイピング法等の手法により着色剤を充填してもよく、これによってエンボス15による凹凸模様と同調した色彩模様を有する意匠性に優れた化粧シート1を得ることができる。
【0042】
表面保護層16の材質は本発明において特に限定されるものではないが、各種表面物性の観点からは硬化型樹脂を使用することが望ましい。具体的には、例えばウレタン系樹脂、アミノアルキド系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂等の熱硬化型樹脂や、不飽和ポリエステル系樹脂、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂等の電離放射線硬化型樹脂等を用いることができる。
【0043】
中でも、表面硬度や耐摩耗性等の表面物性と、折り曲げ加工や三次元成形加工等に適した可撓性とのバランスに優れた、2液硬化型ウレタン系樹脂、すなわち、アクリルポリオール又はアクリルポリエーテルを主剤とし、イソシアネート硬化剤を添加して架橋硬化させる熱硬化型樹脂等が、本発明の目的には最も適している。表面保護層16の膜厚は、本発明において特に制限されるものではないが、物性面及び可撓性面の兼ね合いから、通常3〜20μm程度とするのが適当である。
【0044】
表面保護層16には必要に応じて、例えば紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、艶調整剤、滑剤、帯電防止剤、結露防止剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、着色剤、充填剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上を添加しても良い。また、表面保護層16は同種又は異種の2層以上から構成しても良く、例えば、シリカ、アルミナ、炭化珪素等の高硬度耐摩耗性粒子を含有する第1の層の上に、係る粒子を含有しない第2の層を設けて、耐摩耗性や耐傷付き性と表面光沢や表面平滑性との両立を図ったり、全面に設けられた第1の層の上に、それとは艶状態の異なる第2の層を任意の模様状に設けて、艶変化による視覚的な立体感を表現する等の応用も可能である。
【0045】
本発明の化粧シート1は既に述べた如く、図2に示す様に、各種の化粧材用基材2の表面に貼着積層して化粧材として使用するものである。該貼着積層の際には、通常例えばイソシアネート硬化型ウレタン樹脂系や変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン系等の適宜の接着剤が使用されるが、基材シート11の材質によっては、係る汎用のラミネート用接着剤との接着性が不十分である場合もある。係る場合に備えて、基材シート11の裏面に、上記した汎用のラミネート用接着剤との接着性に優れた樹脂組成物からなるプライマー層17を設けておくこともできる。
【0046】
プライマー層17としては、例えばウレタン系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、ポリアミド系等の各種のプライマー塗工剤が知られており、これらの中から基材シート11の材質やラミネート用接着剤の種類に合わせたものを選んで使用する。例えば基材シート11がポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂からなり、ラミネート用接着剤として変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤を使用する場合には、ウレタン系プライマー剤で良好な接着が得られる。なお、プライマー層17に例えばシリカ等の無機質微粉末を添加しておくと、プライマー層17の表面が粗面化することにより、化粧シート1の巻取保存時のブロッキングが防止できる他、投錨効果によるラミネート用接着剤との接着性の向上を図ることもできる。
【0047】
本発明の化粧材における化粧材用基材2の材質や形状、寸法等は、従来の同種の化粧材におけるそれと全く同様であり、本発明において特に限定されるものではない。具体的には、例えば天然木の無垢材や突板、合板、集成材、中密度繊維板、硬質繊維板、パーティクルボード、配向性ボード、単板積層材等の木質系基材や、鋼板、真鍮板、ステンレス板、アルミニウム板、ジュラルミン板等の金属系基材、天然石材、ガラス、陶磁器、石膏板、スラグ石膏板、珪酸カルシウム板、スレート板、木毛セメント板、石綿セメント板、ガラス繊維強化コンクリート板、軽量気泡コンクリート板等の無機質系基材、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチロール樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、FRP等の合成樹脂系基材等、或いはこれらから選ばれる2種以上の混合物、積層体、複合体等からなる基材を使用することができる。
【0048】
化粧シート1の化粧材用基材2との積層方法も特に制限されるものではなく、例えば平プレス法、ロールラミネート法、ソフトラッピング法、真空成形法(メンブレンプレス法、メンブレンレスプレス法とも可)等、従来公知の各種の積層方法の中から、化粧材用基材2の表面形状に応じて適宜選択して実施することができる。なお、係る積層方法において、積層時に化粧シート1の加熱を伴う積層方法、例えば熱ラミネート法や真空成形法等を採用すれば、化粧材用基材2の表面への化粧シート1の積層貼着と同時に、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13を部分的に結晶化させて、表面硬度や耐傷付き性、耐摩耗性、耐薬品性、耐溶剤性等の表面物性に優れた化粧材を得ることができる利点がある。特に真空成形法は、本発明の化粧シート1の三次元立体形状への優れた熱成形性が存分に活かされる加工方法でもあるので、本発明の化粧シート1の用途態様として最も望ましいものであると言うことができる。
【0049】
但し、本発明の化粧シート1を、例えば平板状の化粧材用基材2の表面に積層貼着した後に、該化粧材用基材2の裏面側からVカット等の溝加工を施して折り曲げる用途に使用する場合には、折り曲げ加工前に非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13が結晶化されて硬質化していると、折り曲げ加工適性に劣る場合があるので、その様な場合には、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層13の加熱結晶化の工程は、化粧材の折り曲げ加工と同時又は折り曲げ加工後に(例えば折り曲げ加工部分を固定するための接着剤の硬化と同時に)行うことが望ましい。
【0050】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳細に説明する。
【0051】
実施例1
木目柄が印刷された厚さ100μmの着色高密度ポリエチレン系樹脂フィルムの印刷面に、厚さ80μmの透明非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−G)層と、厚さ40μmの非晶状態の透明結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂(A−PET)層とを共押出製膜してなる厚さ120μmの透明非晶質ポリエステル樹脂フィルムのPET−G層側を接着面として積層して、本発明の化粧シートを得た。
【0052】
実施例2
木目柄が印刷された厚さ70μmの着色ポリプロピレン系樹脂フィルムの印刷面に、厚さ180μmの透明非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−G)層と、厚さ20μmの非晶状態の透明結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂(A−PET)層とを共押出製膜してなる厚さ200μmの透明非晶質ポリエステル樹脂フィルムのPET−G層側を接着面として積層して、本発明の化粧シートを得た。
【0053】
実施例3
木目柄が印刷された厚さ120μmの着色非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−G)フィルムの印刷面に、上記実施例1で使用したものと同一の厚さ120μmの透明非晶質ポリエステル樹脂フィルムのPET−G層側を接着面として積層して、本発明の化粧シートを得た。
【0054】
比較例1
木目柄が印刷された厚さ100μmの着色高密度ポリエチレン系樹脂フィルムの印刷面に、厚さ120μmの透明ポリプロピレン系樹脂フィルムを接着積層して化粧シートを得た。
【0055】
比較例2
木目柄が印刷された厚さ70μmの着色ポリプロピレン系樹脂フィルムの印刷面に、厚さ200μmの透明ポリプロピレン系樹脂フィルムを接着積層して化粧シートを得た。
【0056】
比較例3
木目柄が印刷された厚さ120μmの着色非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−G)フィルムの印刷面に、厚さ120μmの透明非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−G)フィルムを接着積層して化粧シートを得た。
【0057】
成形試験
上記実施例1〜3及び比較例1〜3の化粧シートを使用して、予め表面に変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤(コニシ株式会社製「CVC555」)を乾燥後の塗布量30g/m2に噴霧塗装し乾燥させた、図2に示す様な四方4Rの曲率半径の三次元立体形状に加工された木質系基材(縦500mm×横500mm×厚さ18mm)に対して、真空成形機にて熱盤温度150℃、熱圧着時間120秒間の成形条件にて真空成形積層して、化粧材を作製した。得られた化粧材の成形状態(コーナー部の柄伸び及び白化)、表面の鉛筆硬度、耐溶剤性(ラッカーシンナー)及び耐薬品性(2%炭酸ナトリウム)を評価したところ、以下の表の通りであった。なお、真空成形はメンブレンプレス成形法及びメンブレンレスプレス成形法の2通りの方法で行ったが、一部を除き成形法による差は見られなかった。
【0058】
【0059】
上記の通り、本発明の化粧シートを使用すれば、コーナー部の伸びや白化等の成形不良を発生することなく、化粧材用基材の表面の三次元立体形状に沿って良好に成形可能であり、しかも表面硬度や耐溶剤性、耐薬品性等の表面物性にも優れた化粧材を容易に製造可能であることが確認された。
【0060】
【発明の効果】
以上詳細に説明した通り、本発明の化粧シートは、熱可塑性樹脂からなる基材シート上に、透明又は半透明の非結晶性ポリエステル樹脂層と、透明又は半透明の非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層とを、順次積層してなることにより、Vカット加工やラッピング加工等の折り曲げ加工は勿論のこと、複雑な三次元立体形状の化粧材用基材への真空成形ラミネート加工に使用しても、ネッキングや破断、亀裂、白化、局所的伸長による柄伸び等の成形不良現象を発生することなく十分に対応可能な、優れた柔軟性や熱成形性を備えている。しかも、高透明性且つ低ヘイズ性の非結晶性ポリエステル樹脂層を備えるため、透明感や深み感、塗装感に優れると共に、その表面に非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層を備えるため、表面硬度や耐傷付き性、耐磨耗性、耐溶剤性、耐薬品性等の各種の表面物性にも優れた各種化粧材を容易に製造することができるという顕著な実用的効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明の化粧材の実施の形態を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1‥‥‥化粧シート
11‥‥基材シート
12‥‥非結晶性ポリエステル樹脂層
13‥‥非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層
14‥‥絵柄層
15‥‥エンボス
16‥‥表面保護層
17‥‥プライマー層
2‥‥‥化粧材用基材
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂からなる基材シート上に、透明又は半透明の非結晶性ポリエステル樹脂層と、透明又は半透明の非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層とを、順次積層してなることを特徴とする化粧シート。
- 前記基材シートをなす熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- 前記基材シートをなす熱可塑性樹脂が、非結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
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