JP4613895B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
一方、やはり従来よりエンジンの排気通路と吸気通路とを連通し、排ガスの一部を吸気通路に還流させることでNOxを低減するようにしたEGR装置が広く知られている。このようなEGR装置では主に部分負荷運転領域で排ガスを還流させるようにしており、排ガスの還流量は主にEGR通路上に介装された開閉弁(EGRバルブ)の開度を調整することにより制御される。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、排圧変化に応じてエンジンの体積効率を精度よく補正できるようにした、内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
また、該内燃機関の排気通路と吸気通路とを連通し、該排気通路内の排気を該吸気通路内に還流させるEGR装置をさらに備え、該制御手段が、該推定空気過剰率設定手段で設定された推定空気過剰率(λ)に基づき該EGR装置の排気還流量を制御するのが好ましい。
また、この補正後の体積効率を用いて精度の高い推定空気過剰率を求めることができ、この推定空気過剰率を用いて内燃機関の種々の制御をより正確に行うことができる(請求項2)。
また、補正排気流量を用いて排圧指標を算出することで、補正後体積効率の値をより一層正確に求めることができ、体積効率を用いた種々の制御の精度をさらに高めることができる(請求項4)。
さて、図中1はエンジン(内燃機関)であって、本実施形態では軽油を主燃料とするディーゼルエンジンが適用されている。また、このエンジン1には吸気マニホールド3を介して吸気通路2が接続され、同様に、排気マニホールド4を介して排気通路5が接続されている。
そして、EGRバルブ13の開度を制御することで、排気通路5の排ガスの一部を吸気通路2に還流させてNOxの低減を図るようになっている。また、EGRバルブ13はエンジン運転状態に応じて後述のコントローラ(ECU)31で設定される制御信号に基づき開閉駆動されるようになっている。
また、コントローラ31の出力ポートにはエンジン1のシリンダ内に燃料を噴射するインジェクタ14及びEGR量を調整するためのEGRバルブ13が接続されており、コントローラ31で設定された制御信号に基づき燃料噴射量及び燃料噴射タイミング並びにEGRバルブ13の開度が制御されるようになっている。なお、図示はしないがコントローラ31の出力ポートには上述以外の種々の機器やアクチュエータが接続されている。
Q=(A+B×α)×V×60・・・・・(1)
但し、式(1)において、
A;吸入空気量q[g/sec]÷空気分子量[g/mol]、
B;燃料噴射量[g/sec]÷燃料分子量[g/mol]、
α;燃焼によって増加するモル数(燃料の性状に応じて適当な値が設定される)、
V;標準状態での体積[L/mol]である。
また、排気流量補正手段33では、上記排気流量算出手段32で算出された排気流量Qを圧力センサ24で得られたフィルタ上流圧力P及び温度センサで得られたフィルタ下流温度Tに基づいて下式(2)を用いて補正し、これにより補正排気流量Qcを算出するようになっている。
Qc=Q×(Pc/Tc)・・・・・(2)
但し、式(2)において、
Pc;絶対圧P[kPa]÷(絶対圧P[kPa]+排気管の圧力損失PL [kPa])
Tc;273[K]÷(273[K]+DPF下流温度T[℃])である。
また、DPF下流温度Tに代えてフィルタ10の推定温度Tpを用いても良い。具体的には、フィルタ後温度Tに基づいてフィルタ10の内部の温度を推定するフィルタ温度推定手段(図示省略)を設け、このフィルタ温度推定手段で算出されたフィルタ推定温度Tpを用いてTcを求めてもよい。この場合、Tcは下式(2′)で算出される。
Tc=273[K]÷(273[K]+DPF推定温度Tp[℃])・・・・・(2′)
次に、このようにして求めた補正排気流量Qcと、差圧センサ22で得られたフィルタ10の差圧ΔPに基づいて、排圧指標算出手段34において排圧指標Soot DPが求められるようになっている。ここで、排圧指標Soot DPはフィルタ10の主に表層における目詰まり状態、又はスートの堆積状態、又はこれらに起因する排圧の上昇度合いを表す指標であり、本実施形態においてはスート堆積量自体が排圧指標Soot DPとして適用されている。
また、排圧指標Soot DPが得られると、補正係数算出手段35において上記排圧指標SootDPからエンジン1の体積効率ηを補正するための補正係数k〔=f(SootDP,Qc)〕が算出されるようになっている。
このグラフに示すように、補正係数kは排圧指標SootDPと補正排気流量Qcをパラメータとした関数で近似することができる。
そして、補正体積効率算出手段37では、補正係数算出手段35で算出された補正係数kを体積効率算出手段36で算出された体積効率ηに乗じることにより補正体積効率ηcが算出される〔下式(3)参照〕。
ηc=k・η・・・・・(3)
また、推定空気過剰率設定手段38では体積効率ηに代えて補正体積効率ηcを用いて推定空気過剰率λが設定される。なお、この推定空気過剰率λの設定手法自体は従来より公知であるので、詳しい説明は省略するが、従来は単に体積効率ηを用いていたのに対して、本実施形態においては、排圧指標Soot DPを反映させた補正体積効率ηcを用いて推定空気過剰率λが設定されるのである。これにより、推定空気過剰率設定手段38で設定される推定空気過剰率λは、排圧の変化を考慮した(或いは、フィルタ10のスート堆積を反映した)空気過剰率となる。
つまり、図示はしないが、コントローラ31には、現在の運転状態に基づき目標空気過剰率λTを算出する目標空気過剰率算出手段が設けられており、上述した推定目標空気過剰率λと目標空気過剰率λTとの偏差がなくなるようにフィードバック制御が実行されるようになっている。
図4は、所定の排ガスモードでの走行時における車速,補正係数k及びNOx排出量を示す図であって、線aはフィルタ10にスートの堆積がない場合の特性を、線bはフィルタ10に所定量のスートが堆積した状態であって、且つ体積効率ηを補正しなかった場合の特性、線cはフィルタ10に所定量のスートが堆積した状態であって、且つ体積効率ηを補正した場合の特性をそれぞれ示している。
この補正により体積効率ηがフィルタ10に堆積したスートを反映した値となり、EGR制御(λ制御)を実施した場合における推定空気過剰率λをより正確な値に設定することができ、結果的にNOxの増加を抑制することができるという利点がある。
図5はフィルタ入口圧力(即ち、排圧)に対するスモーク排出量,NOx排出量及び体積効率ηに対する補正係数の変化の特性を体積効率の補正の有無とで分けてそれぞれ示す図であって、線a1〜a3は補正有りの場合の特性を、また線b1〜b3は補正無しの場合の特性を示している。
これにより、補正を実行しない場合は、線b2に示すように排圧上昇に伴いNOx排出量が増大してしまうが、本制御を実施した場合には線a2に示すように、NOx排出をスート未堆積時と同等まで抑制することができた。また、線a3,b3に示すように、このときのスモークの排出量の増大も僅かであり、スモークとNOxの両方の排出を抑制することができる。なお、スモークが増大したとしても、スモーク自体は煤,スートが主成分であり、フィルタ10等の後処理装置で比較的容易に低減可能であるため、本実施形態のようにスモークの僅かな増大はほとんど問題とならない。
また、排圧指標算出手段34において、フィルタの前後差圧ΔPと補正排気流量Qcとに基づいて排圧指標SootDPが算出されるとともに、補正係数算出手段35において、排圧指標算出手段34で算出された排圧指標SootDPと補正排気流量Qcとに基づき補正係数kが算出されるので、この補正係数kを用いて補正体積効率ηcの値の精度をさらに高めることができ、EGR装置11の制御等、体積効率を用いた種々の制御の精度をさらに高めることができるという利点がある。
2 吸気通路
5 排気通路
10 フィルタ(DPF)
11 EGR装置
12 EGR通路
13 EGRバルブ
22 前後差圧センサ
23 温度検出センサ
24 絶対圧検出センサ
25 回転数センサ
31 コントローラ(制御手段)
32 排気流量算出手段
33 排気流量補正手段
34 排圧指標算出手段
35 補正係数算出手段
36 体積効率算出手段
37 補正体積効率算出手段
38 目標空気過剰率設定手段
Claims (4)
- 排気通路中に介装され、排ガス中の粒子状物質を捕集するフィルタを備えた内燃機関の制御装置であって、
該フィルタを通過する排気流量を算出する排気流量算出手段と、
該フィルタの前後差圧を検出する前後差圧検出手段と、
該排気流量算出手段で算出された排気流量と該前後差圧検出手段で検出された前後差圧とに基づき排圧指標を算出する排圧指標算出手段と、
該排気流量算出手段で算出された排気流量と該排圧指標算出手段で算出された排圧指標とに基づき補正係数を算出する補正係数算出手段と、
該内燃機関の体積効率を算出する体積効率算出手段と、
該補正係数算出手段で算出された補正係数と該体積効率算出手段で算出された体積効率とに基づき補正体積効率を算出する補正体積効率算出手段と、
該補正体積効率算出手段で算出された補正体積効率を用いて該内燃機関の制御を行う制御手段とを備える
ことを特徴とする、内燃機関の制御装置。 - 該補正体積効率算出手段で算出した補正体積効率を用い、該内燃機関の推定空気過剰率を設定する推定空気過剰率設定手段をさらに備え、
該制御手段が、該推定空気過剰率設定手段で設定された推定空気過剰率を用いて該内燃機関を制御する
ことを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 該内燃機関の排気通路と吸気通路とを連通し、該排気通路内の排気を該吸気通路内に還流させるEGR装置をさらに備え、
該制御手段が、該推定空気過剰率設定手段で設定された推定空気過剰率に基づき該EGR装置の排気還流量を制御する
ことを特徴とする、請求項2記載の内燃機関の制御装置。 - 該フィルタの上流側絶対圧を検出する絶対圧検出センサと、
該フィルタの後温度を検出する温度検出センサと、
該絶対圧検出センサで検出されたフィルタ上流側絶対圧と該温度検出センサで検出されたフィルタ後温度から推定されるフィルタ推定温度とを用い、該排気流量算出手段で算出した排気流量を補正する排気流量補正手段と、
をさらに備え、
該排圧指標算出手段が、該前後差圧検出手段で検出された該フィルタの前後差圧と、該排気流量補正手段で補正された補正排気流量とに基づいて排圧指標を算出し、
該補正係数算出手段が、該排圧指標算出手段で算出した排圧指標と該排気流量補正手段で補正された補正排気流量とに基づき補正係数を算出する
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の内燃機関の制御装置。
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