JP4611914B2 - 圧縮機翼及びその製造方法、並びに、火力発電用ガスタービン - Google Patents

圧縮機翼及びその製造方法、並びに、火力発電用ガスタービン Download PDF

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Description

本発明は、本発明の技術は火力発電用ガスタービンや航空機用ジェットエンジンなどの圧縮機に装着される圧縮機翼(動静翼・翼根部を含む)およびその製造方法、並びに、この圧縮機翼を備えた火力発電用ガスタービンに関するものである。
ガスタービンは、軸流圧縮機、タービン軸、タービン動静翼および燃焼機器などを基本構成要素とし、これらを保持する軸受け、ケーシングなどが一体となっている回転構造物である。このうち、軸流圧縮機は空気を圧縮するための圧縮機翼を有しており、この圧縮機翼は、ガスタービンの運転に必要な空気を外部から吸入して圧縮する。これにより、最終的には0.8〜1.5MPaの圧縮空気を発生させ、これを燃焼器へ送り出し、燃料の燃焼に用いるとともに、燃焼器およびその付属部材や動翼・静翼などの冷却用空気としても使用する。
上述のような軸流圧縮機の回転軸の周囲には、回転にともなって吸入空気が次第に圧縮されるように、流体力学的に工夫された形状を有する多数の圧縮機翼が最適な角度で取り付けられている。現在採用されている圧縮機翼には、運転にともなう高い機械的応力に耐えるとともに長期間安定した運転を維持する材料、具体的には高強度、疲れ強さ、減衰率が大きい特性を有する12%Cr鋼に属するSUS403、SUS410、Lapelloy合金鋼(12%Cr−2.75%Mo)、Greek Ascoloy合金鋼(13%Cr−3%W−2%Ni)、析出硬化型二層ステンレス鋼(17%Cr−4%Ni−3%Cu)などが使用されている。また圧縮機翼後段の空気温度の高いところでは、A−286(26Ni−15%Cr−2%Ti−1%Mo)、Inconel 718(16%Crを含むNi基合金)などが適用されている。
なお、ガスタービンの高温部、とくにNi基合金やCo基合金などで製造されている動静翼に対しては、特許文献1〜5に示されるような各種耐熱金属および合金皮膜の施工による耐高温酸化性の向上をはじめ、特許文献6〜10に代表されるような熱遮蔽皮膜の適用が提案されている。
特公昭51−4941号公報 特公昭61−10034号公報 特開平9−195049号公報 特開平11−061439号公報 特開2005−042186号公報 特開平4−36454号公報 特開2003−201803号公報 特開2004−169558号公報 特開2005−343107号公報 特開2005−42186号公報 特開2005−273538号公報
軸流圧縮機の入口空気の温度はほぼ外気温に等しい低温であるが、加圧・圧縮空気の温度は300℃〜600℃となるので、吸入空気中に含まれている水分(湿度)は軸流圧縮機入口近傍に配置されている低段の圧縮機翼面では凝縮水となって付着し、空気中に含まれている海塩粒子(海水が飛沫となって空気中を浮遊中水分のみが蒸発し、NaCl、MgClなどの塩類などが微細な粒子となっているもの)、油煙(主にディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれている未燃焼物)、SO、SO、NOなどの腐食性ガス成分などが共存して圧縮機翼面が腐食される環境にある。また、吸入空気中にふくまれる固形粉じん(砂埃)は圧縮機翼に付着してその効率を低下させるほか、圧縮機翼に接触してエロージョン損傷の原因となるなどの問題がある。さらに重要なことは圧縮機翼の腐食が孔食となって現れると、圧縮機翼の折損を招いて大きな事故を誘発する。また、さびの発生、異物の付着、エロージョン損傷などにおいては、圧縮機翼の形状を変化させて圧縮効率を低下させることが予想されるので、以上の問題点を解決することは、ガスタービンプラント全体の発電効率の向上にも寄与する重要な研究課題となっている。
以上のような圧縮機翼の課題を解決するため、従来から種々の技術が提案されているが、それぞれ下記のような問題点がある。
(1) 圧縮機翼表面にCrめっき、Niめっきなどの皮膜を施工した際、めっき膜に存在するピンホールを通って圧縮機翼の基材面に浸入した水分および海塩粒子、SOx、NOxなどの環境汚染ガスによって、基材が優先的に腐食されて孔食が発生し、圧縮機翼の折損を誘発する。
(2) 現行のAlを含むクロム酸化物の皮膜では、無処理の圧縮機翼に比較すると耐食性は向上するものの、吸入空気中に含まれている微細な粉じん類の付着は依然として防げず、しばしば圧縮機の水による洗浄を余儀なくされている。
(3) 無処理の圧縮機翼をはじめ上記(1)〜(2)などの既存技術によって施工された表面処理皮膜の形成翼においても、ガスタービンの運転に伴って圧縮機翼表面に粉じん類が堆積して、圧縮効率が低下してくる。この対策として、ガスタービンの運転中に硬質の木の実あるいは殻の粉砕片を吸入空気中に投入し、圧縮機翼と接触させることによって除去する方法があるが、粉砕片による圧縮機翼の損傷とともに、圧縮空気とともにタービン部へ搬送された粉砕片が冷却用空気孔を閉塞してタービン翼などの高温部材を過熱損傷させる可能性がある。
(4) 吸入空気中に含まれている微細な粉じんを除去するために設置されている多段式の空気フィルターは、それなりに効果は認められるものの、設備費が大となるほか、あまり完全な空気フィルターの設置では吸入空気の抵抗が大きくなるためその効果には一定の限度がある。
(5) 圧縮機翼表面で発生する腐食、粉じんによるエロージョン損傷の発生は、圧縮機翼表面を粗面化したり、圧縮機翼形状の変化を伴うことが多くなったりするとともに、圧縮効率の低下の原因となっている。
(6) 上記(1)〜(5)が原因となる障害の早期発見、及び、その保守点検を行うために実施する作業時間の短縮化が要望されている。
しかし、圧縮機翼に対しては、前述のような課題があるにも拘らず、ガスタービンの高温部に比べると環境温度が低く、腐食およびエロージョン損傷の程度が軽微なこともあって、新しい対策技術の提案は殆どない状況にある。僅かに特許文献11において圧縮機翼のディスクへの植込部に対し、軟質のCu−Ni−In合金を形成してディスクとの焼き付きを防ぐ技術が開示されている程度である。
そこで、本発明は、圧縮機翼の表面で発生する腐食・エロージョン損傷の抑制に加え、粉じん類の付着堆積にともなう圧縮機の性能低下を抑制する圧縮機翼と、その製造方法と、この圧縮機翼を備えた圧縮機を有している火力発電用ガスタービンを提供するものである。
本発明の圧縮機翼は、炭素およびクロムを含む合金鋼である基材の表面、または、ニッケルおよびクロムを含むステンレス鋼である基材の表面に、直接または下塗り膜を介して、炭素と水素とを主成分とする1層の親油性のアモルファス状膜を被覆し、前記アモルファス状膜の厚さが1μm〜50μmの範囲にあり、前記アモルファス状膜の表面の算術平均粗さRaが0.5μm以下、且つ、十点平均粗さRzが2.0μm以下であり、外気温の空気を外部から吸入し加圧・圧縮空気の温度が300℃〜600℃となる圧縮機に用いられるものである。
本発明の圧縮機翼においては、前記基材の表面の算術平均粗さRaが0.5μm以下、十点平均粗さRzが2.0μm以下であることが好ましい。
本発明の圧縮機翼においては、前記親油性のアモルファス状膜の厚さが10μm〜50μmの範囲にあるとともに、前記基材の表面の算術平均粗さRaが1μm〜3μmであることが好ましい。
本発明の圧縮機翼においては、前記親油性のアモルファス状膜の厚さが25μm〜50μmの範囲にあるとともに、前記基材の表面の算術平均粗さRaが1μm〜15μmであることが好ましい。
本発明の圧縮機翼の製造方法は、炭素およびクロムを含む合金鋼である基材の表面、または、ニッケルおよびクロムを含むステンレス鋼である基材の表面の算術平均粗さRaが0.5μm以下、十点平均粗さRzが2.0μm以下となるように加工する基材表面加工工程を有する。また、前記基材上に、炭素と水素とを主成分とする1層の親油性のアモルファス状膜を直接または下塗り膜を介して被覆形成するとともに、前記アモルファス状膜の表面を算術平均粗さRaが0.5μm以下、且つ、十点平均粗さRzが2.0μm以下となるように、且つ、前記アモルファス状膜の厚さが1μm〜50μmの範囲となるように被膜形成するアモルファス状膜被覆工程を有する。また、外気温の空気を外部から吸入し加圧・圧縮空気の温度が300℃〜600℃となる圧縮機に用いられる圧縮機翼の製造方法である
本発明の圧縮機翼の製造方法は、炭素およびクロムを含む合金鋼である基材の表面、または、ニッケルおよびクロムを含むステンレス鋼である基材の表面の算術平均粗さRaが1μm〜3μmとなるように機械的研磨のみにより加工する基材表面加工工程を有する。また、前記基材上に、炭素と水素とを主成分とする1層の親油性のアモルファス状膜を直接または下塗り膜を介して被覆形成するとともに、前記アモルファス状膜の表面を算術平均粗さRaが0.5μm以下、且つ、十点平均粗さRzが2.0μm以下となるように、且つ、前記アモルファス状膜の厚さが10μm〜50μmの範囲となるように被覆形成するアモルファス状膜被覆工程を有する。また、外気温の空気を外部から吸入し加圧・圧縮空気の温度が300℃〜600℃となる圧縮機に用いられる圧縮機翼の製造方法である
本発明の火力発電用ガスタービンは、上述した圧縮機翼のうちいずれか1つを備えた圧縮機を有している
本発明における炭素と水素を主成分とするアモルファス状膜は、緻密で化学的に安定な性質によって優れた耐食性を発揮し、鏡面のような平滑性や適度に高い硬さなどの性状を有する。また、本発明におけるアモルファス状膜は、基材の変形に追随できるほどの厚さで均一に形成される。したがって、本発明によると、異物の付着を防ぎつつ、耐エロージョン性に著しい効果を発揮するとともに、衝撃や曲げ応力に強いので、破壊されたり剥離したりしにくいアモルファス状膜を有する圧縮機翼及びその製造方法を提供できる。また、下塗り膜又は注入層を介して基材にアモルファス状膜が形成されている場合には、単に基材表面に形成するよりもアモルファス状膜の密着性が増すことになる。したがって、より破壊されたり剥離したりしにくいアモルファス状膜を有する圧縮機翼及びその製造方法を提供できる。
また、上述の圧縮機翼を用いた圧縮機翼を備えた圧縮機を有している本発明の火力発電用ガスタービンによると、吸入空気中に含まれている水分、海塩粒子、SO、NO及び油煙などに起因する腐食、エロージョン損傷をはじめ異物の付着に伴う性能低下を抑制することができる。この結果、火力発電用ガスタービンの圧縮機翼の保守点検およびその補修工程が軽減短縮されるほか、火力発電用ガスタービン全体の発電効率の低下を抑制して化石燃料の消費を節減する一方、単位発電量あたりのCO発生量を少なくし、地球温暖化対策としても貢献することが期待できる。
以下に本発明の実施形態に係る圧縮機翼及びその製造方法、並びに火力発電用ガスタービンを説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る圧縮機翼を示す断面図である。図2は、図1の圧縮機翼の表面付近の一部拡大図である。
圧縮機翼1は、図示しないが、一般的な圧縮機翼と同様の外形をしている。圧縮機翼1の表面付近の一部拡大部分11は、金属製の基材12と、この基材12の表面に形成されたアモルファス状膜13とを備えてなる。
基材12としては、炭素を含み、クロムを必須成分とする構造用鋼、NiとCrとを必須成分とするステンレス鋼等が挙げられる。また、基材12の表面の算術平均粗さRaは0.5μm以下、十点平均粗さRzは2.0μmである。
アモルファス状膜13は、炭素と水素とを主成分とするものであり、厚さが1μm〜50μmの範囲にある。特に5〜20μmが好適である。1μmより薄い膜では耐食性、耐エロージョン性が十分ではなく、また50μmより厚い皮膜では、圧縮機の運転環境などで翼が変形した場合、皮膜にひび割れが発生するおそれがある。
また、アモルファス状膜13の硬さは、マイクロビッカース硬さでHV800〜2200の範囲にある。12mass%Cr鋼の硬さ(HV200〜250)に比較すると格段に硬く、優れた耐エロージョン性を発揮する。
さらに、アモルファス状膜13においては、炭素原子の割合が85〜69原子%、水素原子の割合が15〜31原子%の範囲で組成されているものであるとともに、アモルファス状膜13に対する該炭素原子及び該水素原子の組成割合が100原子%以下となるように調整されている。なお、アモルファス状膜13は、水素含有量15〜31原子%で、残りが炭素から構成されるものが好適である。水素含有量が15%未満のアモルファス状膜13は硬質であるものの、延性に乏しいため基材12の熱膨張や変形に追随できず、またアモルファス状膜13の形成時に大きな内部応力を潜在するようになるので、圧縮機の運転環境では、はく離しやすいという欠点がある。一方、水素含有量が31%より大きくなると、アモルファス状膜13の硬さおよび機械的強度が低下するので好ましくない。
また、アモルファス状膜13の表面の算術平均粗さRaは0.5μm以下、且つ、十点平均粗さRzは2.0μm以下である。
このようなアモルファス状膜13は、緻密であるうえ、酸、アルカリ、などの水溶液中に浸漬してもまったく腐食されず、気孔が無いため、気孔部分のみが優先的に腐食されて顕在化する孔食の発生がない。また、基材12表面に形成されるアモルファス状膜13は比重が約1.7前後であるので、圧縮機が運転中に何らかの原因で圧縮機翼1のアモルファス状膜13がはく離しても、後段に配設されている他の翼などに障害を与えず、また450℃以上の温度では二酸化炭素(CO)、水蒸気(HO)に分解されてしまうので、タービン部の冷却孔などの閉塞原因にならない。
次に、圧縮機翼1の製造方法について工程ごとに説明する。
(1:基材表面の仕上げ工程)
アモルファス状膜13を形成するための基材12表面においては、機械的、化学的および電気化学的方法によって、算術平均粗さRaが0.5μm以下、十点平均粗さRzが2.0μm以下の鏡面状態となるように仕上げる。このような表面仕上げを行わないと、基材13表面は粗いので、突起物などが存在する場合がある。従って、基材12表面に形成するアモルファス状膜13の厚さが10μmと比較的薄い場合、突起物のある部分のアモルファス状膜13が早期に破壊されたり、腐食発生の起点となったりすることがある。
機械的に研磨する場合は細粒の#600の研磨ベルトを用いて算術平均粗さRaを1〜3μm程度にしたあと、ラッピング加工やバフ研磨によって表面の突起物を除去し、十点平均粗さRzを0.8以下に仕上げることができる。また、細粒の研磨ベルト加工を終えた面を化学研磨法(例えば硝酸、塩酸、リン酸などの混合液)またはこれらの研磨液中で基材12を陽極として電解研磨法を適用すれば算術平均粗さRaが0.1μm、十点平均粗さRzが0.5μm以下の程度の鏡面が得られ、特に好適な前処理面を形成できる。ただし、アモルファス状膜13の厚さが10μm〜50μmの場合には、機械的研磨(算術平均粗さRaが1〜3μm)だけでも密着性および性能のよいアモルファス状膜13が形成されるとともに、アモルファス状膜の表面粗さが、基材の粗さの影響を受けがたくなって、平滑化する傾向があるので、特に仕上げ程度を規定しなくともよい。
(2:アモルファス状膜の形成工程)
次に、上述の仕上げ工程を経た基材12表面にアモルファス状膜を形成する工程について説明する。図3は、アモルファス状膜を形成するための装置の概略構成図である。この装置は、接地された反応容器2と、この反応容器2内部空間とそれぞれバルブ7a、バルブ7bを介して接続されている成膜用の有機系ガス導入装置(図示せず)及び反応容器を真空引きする真空装置(図示せず)と、反応容器2内の所定の位置に配設される圧縮機翼1の基材12に接続する導体3に導入端子9を介して高電圧パルスを印加するための高電圧パルス発生電源4と、高電圧導入部9を介して導体3に高周波を印加し、圧縮機翼1の基材12周囲にプラズマを発生させるプラズマ発生用電源5と、パルスおよび高周波の印加を一つの導体3で共用するために、高電圧パルス発生電源4及びプラズマ発生用電源5との間に設けられるとともに、高電圧導入部9と電気的に接続されている重乗装置6と、反応容器2及び地表と電気的に接続されているアース線8とを備えている。
上述の構成の装置を用いてアモルファス状膜13を基材12表面に形成するには、被処理体としての基材12を所定の位置に設置し、真空装置を稼動させ、バルブ7bを介して反応容器2中の空気を排出させたあと、ガス導入装置によってバルブ7aを介して有機系の炭化水素ガスを反応容器2に導入する。
ここで、本実施形態において使用できる炭化水素ガスの種類について説明する。反応容器2内に導入するガスの種類は下記の通りであり、炭素と水素とからなる有機系の炭化水素およびこれにB、Si、O、Clなどが付加されたものである。
(1)常温(18℃)で気相状態
CH、CHCH、C、CHCHCH、CHCHCHCH
(2)常温で液相状態
CH、CCHCH、C(CH、CH(CHCH、C12、CCl
(3)有機Si化合物(液相)
(CO)Si、(CHO)Si、(CH)4Si、[(CH)Si]
常温で気相状態のものは、そのままの状態で反応容器2に導入できるが、液相状態の化合物はこれを加熱してガス化させ、この蒸気を反応容器2中へ供給する。有機Si化合物を用いてアモルファス状膜を形成すると、この膜中にSiが混入することがあるが、Siは炭素と強く結合しているので本実施形態において使用するための妨げとはならない。
上述のように炭化水素ガスを反応容器2に導入後、プラズマ発生用電源5からの高周波電力を基材12に印加する。反応容器2は、アース線8によって電気的に中性状態にあるため、基材12は、相対的に負の電位を有することとなる。このため印加によって発生する、導入ガスのプラズマ中の+イオンは負に帯電した基材12の形状に沿って発生する特徴がある。さらに高電圧パルス発生源4からの高電圧パルス(負の高電圧パルス)を基材12に印加しプラズマ中の+イオンを基材12の表面に衝撃的に誘引させることができる。この操作によって基材12の表面に均等な厚さのアモルファス状膜13を形成することができる。このプラズマ中では下記(1)〜(4)に示すような現象が発生し、最終的には炭素と水素を主成分とするアモルファス状膜13が基材12表面に形成されるものと考えている。
(1)導入されたガス(炭化水素)のイオン化(ラジカルと呼ばれる活性な中性粒子も存在する)。
(2)ガスから変化したイオンおよびラジカルは、負の電圧が印加された翼面に衝撃的に衝突する。
(3)衝突時の衝撃によって結合エネルギーの小さいC−H間が切断されHがスパッタされる。
(4)翼表面に水素を含んだアモルファス状膜が形成される。
なお、パルス幅を1μSec〜10mSec、パルス数を1〜複数回としたパルスの繰り返しも可能である。また、プラズマ発生用電源5の高周波電力の出力周波数は数十kHz〜数GHzの範囲で変化させることができる。以上のような方針でアモルファス状膜13を形成する方法を、ここでは高周波プラズマCVD法と呼ぶこととする。
上記構成によれば、異物の付着を防ぎつつ、耐エロージョン性に著しい効果を発揮するとともに、衝撃や曲げ応力に強いので、破壊されたり剥離したりしにくいアモルファス状膜13を有する圧縮機翼1及びその製造方法を提供できる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る圧縮機翼について説明する。なお、第1実施形態の符合11、13の部位と、本実施形態の符合21、23の部位とは順に対応しており、その説明を省略することがある。図は、本発明の第3実施形態に係る圧縮機翼の表面付近の一部拡大断面図である。
本実施形態の圧縮機翼は、図示しないが、一般的な圧縮機翼と同様の外形をしている。圧縮機翼の表面付近の一部拡大部分21は、基材22と、この基材22の表面に形成されたアモルファス状膜23とを備えてなる。
基材22は、基材主部22aと、基材主部32aの表面上(基材32の表面部)に形成された注入層22bとを有する。注入層22bは、C、Ti、W、Nb、Ta、Cr、Al、Siから選ばれる1種以上の元素を、基材22の表面部に注入することによって形成されたものである。なお、一変形例として、注入層22bとアモルファス状膜23との間に金属薄膜を形成してもよい。
次に、本実施形態に係る圧縮機翼の製造方法について説明する。なお、基材22表面の仕上げ工程及びアモルファス状膜23の形成工程は、第1実施形態と同様であるので簡略化した説明とし、基材22の注入層22bの形成工程について詳細に説明する。
まず、第1実施形態において説明した図3の装置を用いて、高電圧パルス発生源4の出力電圧を変化させることによって、基材22表面に対して金属をふくめたイオン注入を実施して注入層22bを形成する。そして、注入層22bの表面に第1実施形態と同様にしてアモルファス状膜23を形成する。
なお、上述した一変形例において、注入層22bとアモルファス状膜23との間に金属薄膜を形成する場合にも、図3の装置は用いることができる。例えば、以下の(1)〜(4)の条件で、基材22表面部又は表面上の各層の形成に使用できる。
(1)基材22表面部にイオン注入を重点的に行う場合:10〜40kV
(2)イオン注入と金属薄膜形成とを行う場合:5〜20kV
(3)基材22上に金属薄膜形成を行う場合:数百V〜数kV
(4)基材22上にスパッタリングなどで金属薄膜形成を重点的に行う場合:数百V〜数kV
したがって基材22表面部又は表面上にCr、Si、Ta、Nb、Tiなどの炭素と化学的親和力の強い金属イオン注入や金属の薄膜を形成した後、その上にアモルファス状膜23を積層させることが可能である。
上記構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏すると共に、注入層22bを介して基材22上にアモルファス状膜23が形成されているので、単に基材22表面に形成するよりもアモルファス状膜23の密着性が増す。したがって、より破壊されたり剥離したりしにくいアモルファス状膜23を有する圧縮機翼及びその製造方法を提供できる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る圧縮機翼について説明する。なお、第1実施形態の符合11〜13の部位と、本実施形態の符合31〜33の部位とは順に対応しており、その説明を省略することがある。図5は、本発明の第3実施形態に係る圧縮機翼の表面付近の一部拡大断面図である。
本実施形態の圧縮機翼は、図示しないが、一般的な圧縮機翼と同様の外形をしている。圧縮機翼の表面付近の一部拡大部分31は、金属製の基材32と、この基材32の表面に形成されたアンダーコート34(下塗り膜)と、このアンダーコート34の表面に形成されたアモルファス状膜33とを備えてなる。
アンダーコート34は、Ti、W、Nb、Ta、Cr、Al、Siの単体またはそれらの合金から選ばれる1種以上の膜厚0.1〜3μmの膜である。
次に、本実施形態に係る圧縮機翼の製造方法について説明する。なお、基材32表面の仕上げ工程及びアモルファス状膜33の形成工程は、第1実施形態と同様であるので簡略化した説明とし、アンダーコート34の形成工程について詳細に説明する。
まず、第1実施形態と同様にして基材32表面を仕上げ処理し、この基材32表面に、電気めっき法、CVD法またはPVD法から選ばれる1種以上の方法を用いて、アンダーコート34を形成する。そして、アンダーコート34の表面に第1実施形態と同様にしてアモルファス状膜33を形成する。
上記構成によれば、第1実施形態と同様の効果を奏すると共に、アンダーコート34を介して基材32上にアモルファス状膜33が形成されているので、単に基材32表面に形成するよりもアモルファス状膜33の密着性が増す。したがって、より破壊されたり剥離したりしにくいアモルファス状膜33を有する圧縮機翼及びその製造方法を提供できる。
以下、実施例を示しながら、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
この実施例では、上記第1実施形態と同様の構成で、表面粗さの異なる各炭素鋼基材の表面に、厚さを0.05μmから70μmの範囲に制御したアモルファス状膜をコーティングした試験片を作成し、JISZ2371規定の塩水噴霧試験方法を連続96時間実施して、各試験片の外観を目視観察して赤錆の発生状況を調査した。なお、炭素鋼基材の寸法は幅25mm×長さ60mm×厚さ1.0μmであり、Raが1μm〜10μmの表面粗さのものは砥粒の大きさを変えたエメリー紙による研磨によって調製し、Raが0.3μm以下の表面粗さのものは、#1000エメリー紙による研磨後電解研磨によって仕上げた。またRaが10μm以上の表面粗さの炭素鋼基材は、Al粒子を用いたブラスト処理によって調製した。下記表1は以上の内容及び試験結果を要約したものである。
Figure 0004611914
表1の結果から明らかなように、アモルファス状膜の厚さが0.90μm以下では、炭素鋼基材の表面粗さを鏡面状態(0.01μm以下)に仕上げても赤錆の発生が多く、耐食性に乏しいことが確認された。しかし、アモルファス状膜の厚さを1.0μm以上にすると耐食性は向上し、厚さを60〜70μmにすると炭素鋼基材のRaが10〜15μmであっても優れた耐食性を発揮した。これらの結果から、本発明に係るアモルファス状膜の耐食性はその膜厚や基材表面粗さに大きな影響を受けることがわかった。
(実施例2)
実施例1と同じ試験片をそれぞれ用いて、中央部を90°に曲げたあとJISZ2371規定の塩水噴霧試験方法によって連続96時間の試験をおこなった。試験後の各試験片の外観、特に曲げ部における赤錆の発生の有無について調査した。下記表2は以上の内容及び試験結果を要約したものである。
Figure 0004611914
表2の結果から明らかなように、炭素鋼基材表面のRaを0.3μm以下、アモルファス状膜の厚さを1μm(No.3)から50μm(No.6)のもので曲げ加工を行ったが、赤錆の発生は認められなかった。すなわち、この条件を満足するアモルファス状膜であれば、曲げ加工を行っても試験片表面にひび割れなどの欠陥が発生せず優れた耐食性を維持していることが確認された。一方、アモルファス状膜が60〜70μm(No.7)の厚さでは炭素鋼基材の表面粗さが0.1μm未満であっても曲げ加工によってアモルファス状膜にひび割れが発生し、この欠陥部を通して浸入した塩水によって試験片が腐食されつつある状況が観察された。
以上の実施例1及び2の結果から、軸流圧縮機のように運転中に大きな曲げモーメントが付加される部材に対しては、炭素鋼基材のRaが0.5μm以下、Rzが0.8μm以下となるように仕上げれば、アモルファス状膜の厚さが1μmでも優れた耐食性を発揮することが判明するとともに、アモルファス状膜の厚さが25〜50μmになると、炭素鋼基材の表面粗さを特に規定しなくても十分な耐食性を保持することが確認された。
(実施例3)
この実施例では、第2実施形態と同様の構成で、基材として、実施例1で使用した炭素鋼基材と同一寸法のSS400鋼板(Ra=0.12μm、Rz=0.88μm)を用い、その片面に対して高周波プラズマCVD法により各種の元素を注入した後、その表面にアモルファス状膜を15μmの棒鋼を支点にして90°に曲げた状態でアモルファス状膜の表面を拡大鏡で観察記録した。その後、さらにこの試験片を180°に曲げ同じ位置を拡大鏡で観察記録し、SS400鋼板の表面部への注入層形成によるアモルファス状膜の密着性向上の有無を調査した。なお、この実施例の注入層に注入された元素は、C、Cと化学的親和力の高いN、Ti、Nb、Ta、Cr、Al、Si、の9種類で注入濃度は1×1012〜1×1014イオン濃度である。なお、比較例としてCとの化学的親和力の小さいCu、Ni、Snを同濃度の注入処理を施した。また、それぞれの注入層の上に形成したアモルファス状膜中の水素量は12%、残りは炭素の主要組織を有するものである。下記表3は以上の内容及び試験結果を要約したものである。
Figure 0004611914
表3の結果から明らかなように、比較例のCu、Ni、Sn(No.9、10、11)を注入した試験片では90°曲げただけでも完全にはく離したが、Cおよび炭素と化学的親和力の強い金属イオンを注入して注入層を形成した試験片(No.1〜8)では、180°曲げてもアモルファス状膜にはく離が認められなかった。したがって、SS400鋼板基材の表面部に注入層を形成することによって、SS400鋼板基材へのアモルファス状膜の密着力が大きく向上するという効果が認められた。
(実施例4)
この実施例では、炭素鋼、SUS410鋼(寸法:幅50mm×長さ100mm×厚さ3.2mm)の試験片の表面にアモルファス状膜を15μmの厚さで形成した後、このアモルファス状膜表面に対し、高さ100mmの距離から60メッシュのAl粉末を含む0.5MPaの空気を30°の角度で吹き付けアモルファス状膜の耐エロージョン性を調査した。図6は、本実施例に用いたエロージョン装置の概略構成図である。このエロージョン装置の使用方法は以下の通りである。試験片49を試験片ホルダー41に固定した後、この直上に設置したノズル42から60メッシュのAl粉末を含む5kg・cm−2気圧の圧縮空気を試験片の表面にAl種として500gを吹き付け、試験後のアモルファス状膜表面を目視(拡大鏡観察を含む)およびエロージョン部の触針式表面粗さ計によってエロージョンによる表面形態の変化を測定することによって侵食深さを推定した。なお図6における43は空気式の圧縮機、44は水分除去機、45は圧力調整機、46は空気流量調製機、47はAl粉末の供給用ホッパー、48はAl粉末を搬送するための空気孔である。この実施例では比較用の試験片として、無処理のSS400、SUS410とともに硬度の高いアモルファス状膜を用いた。下記表4は以上の内容及び試験結果を要約したものである。
Figure 0004611914
表4の結果から明らかなように、比較例の無処理(No.1)とSUS410鋼(No.2)は目視で判別可能なほど摩耗痕が認められた。一方、アモルファス状膜でも硬度が高いもの(No.3、4、7、8)ではAl粉末の衝撃エネルギーによって、皮膜が破壊され、基材が露出するとともに基材にもエロージョンの発生が認められた。これに対し、本発明に係るアモルファス状の皮膜(No.5、6)はいずれも皮膜は残存するとともに、表面粗さ計によるエロージョン深さは2μm以下を示し、優れた耐エロージョン性を示した。以上の結果から、硬質のアモルファス状膜は成膜時に高い残留応力を有しているため、衝撃が連続して付加される環境では破壊されやすいことが判明した。
(実施例5)
この実施例では、上記第3実施形態と同構成で、基材として、SS400鋼(寸法:幅10mm×長さ50mm×厚さ1.5mm)の試験片を用い、その表面に電気めっき法、CVD法およびPVD法によって各種の金属の薄膜をアンダーコートとして施工した後、その表面に本発明にかかるアモルファス状膜を15μm厚で形成した後、この試験片を実施例3と同じように180°の曲げ試験を行って、モルファス状膜の密着性について拡大鏡を使って調査した。アンダーコートの形成法及び金属薄膜の種類は下記の通りである。
電気めっき法 :Cr、Cu−Ni
CVD法 :Cr、Al、Si
PVD法 :Ti、W、Nb、Ta、Cr、Al
下記表5は以上の内容及び試験結果を要約したものである。
Figure 0004611914
この結果から明らかなように、Ti、W、Cr、Al、Siのように炭素との化学的親和力の強い金属薄膜をアンダーコートとして形成した試験片では、電気めっき法、CVD法、PVD法のいずれの方法で施工しても、アモルファス状膜ははく離せず、優れた密着力をしめした。これに対して、比較例の電気めっき法で形成したCu(No.8)、およびNi(No.9)はアモルファス状膜との密着性が弱く、完全にはく離した。
発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で設計変更できるものであり、上記実施形態や実施例に限定されるものではない。なお、本発明のアモルファス状膜は、親油性(疎水性)に属するまた、本発明によると、上記実施形態や実施例において示された、外気温の空気を外部から吸入し加圧・圧縮空気の温度が300℃〜600℃の温度となる圧縮機に用いられる圧縮機翼を軸流圧縮機などに用いた火力発電用ガスタービンを提供できる。この火力発電用ガスタービンであれば、吸入空気中に含まれている水分、海塩粒子、SOx、NOx及び油煙などに起因する腐食、エロージョン損傷をはじめ異物の付着に伴う性能低下を抑制することができる。この結果、火力発電用ガスタービンの圧縮機翼の保守点検およびその補修工程が軽減短縮されるほか、火力発電用ガスタービン全体の発電効率の低下を抑制して化石燃料の消費を節減する一方、単位発電量あたりのCO2発生量を少なくし、地球温暖化対策としても貢献することが期待できる。
本発明の技術は、ジェットエンジンの最先端に取り付けられているファンブレードをはじめ、石油・石炭などの燃焼ガス、化石燃料を原料とする炭化水素系の分解ガスなどを搬送したり、排気したりするための送風機及び排気ファンなどの翼表面、並びに、その付属部材にも適用できるとともに、水蒸気タービンの低段翼についても利用することができる。さらに地熱タービン翼などへの耐食性の付与および、付着物の堆積防止策としても使用することができる。その他、微量の腐食性ガスを含む排気用の真空系のポンプインペラー及びその付属部材にも適用可能である。
本発明の第1実施形態に係る圧縮機翼を示す断面図である。 図1の圧縮機翼の表面付近の一部拡大断面図である。 図1の圧縮機翼の製造工程において使用する装置の概略構成図である。 本発明の第2実施形態に係る圧縮機翼の表面付近の一部拡大断面図である。 本発明の第3実施形態に係る圧縮機翼の表面付近の一部拡大断面図である。 実施例4の試験に用いたエロージョン装置の概略構成図である。
符号の説明
1 圧縮機翼
2 反応容器
3 導体
4 高電圧パルス発生源
5 プラズマ発生用電源
6 重乗装置
7a、7b バルブ
8 アース線
9 導入端子
12、22、32 基材
11、21、31 (圧縮機翼の表面付近の)一部拡大部分
13、23、33 アモルファス状膜
34 アンダーコート(下塗り膜)
41 試験片ホルダー
42 ノズル
43 圧縮機
44 水分除去機
45 圧力調整機
46 空気流量調製機
47 供給用ホッパー
48 空気孔
49 試験片

Claims (7)

  1. 炭素およびクロムを含む合金鋼である基材の表面、または、ニッケルおよびクロムを含むステンレス鋼である基材の表面に、直接または下塗り膜を介して、炭素と水素とを主成分とする1層の親油性のアモルファス状膜を被覆し、前記アモルファス状膜の厚さが1μm〜50μmの範囲にあり、前記アモルファス状膜の表面の算術平均粗さRaが0.5μm以下、且つ、十点平均粗さRzが2.0μm以下であり、外気温の空気を外部から吸入し加圧・圧縮空気の温度が300℃〜600℃となる圧縮機に用いられることを特徴とする圧縮機翼。
  2. 前記基材の表面の算術平均粗さRaが0.5μm以下、十点平均粗さRzが2.0μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機翼。
  3. 前記親油性のアモルファス状膜の厚さが10μm〜50μmの範囲にあるとともに、前記基材の表面の算術平均粗さRaが1μm〜3μmであることを特徴とする請求項に記載の圧縮機翼。
  4. 前記親油性のアモルファス状膜の厚さが25μm〜50μmの範囲にあるとともに、前記基材の表面の算術平均粗さRaが1μm〜15μmであることを特徴とする請求項に記載の圧縮機翼。
  5. 炭素およびクロムを含む合金鋼である基材の表面、または、ニッケルおよびクロムを含むステンレス鋼である基材の表面の算術平均粗さRaが0.5μm以下、十点平均粗さRzが2.0μm以下となるように加工する基材表面加工工程と、
    前記基材上に、炭素と水素とを主成分とする1層の親油性のアモルファス状膜を直接または下塗り膜を介して被覆形成するとともに、前記アモルファス状膜の表面を算術平均粗さRaが0.5μm以下、且つ、十点平均粗さRzが2.0μm以下となるように、且つ、前記アモルファス状膜の厚さが1μm〜50μmの範囲となるように被膜形成するアモルファス状膜被覆工程とを有する圧縮機翼の製造方法であって、
    外気温の空気を外部から吸入し加圧・圧縮空気の温度が300℃〜600℃となる圧縮機に用いられることを特徴とする圧縮機翼の製造方法。
  6. 炭素およびクロムを含む合金鋼である基材の表面、または、ニッケルおよびクロムを含むステンレス鋼である基材の表面の算術平均粗さRaが1μm〜3μmとなるように機械的研磨のみにより加工する基材表面加工工程と、
    前記基材上に、炭素と水素とを主成分とする1層の親油性のアモルファス状膜を直接または下塗り膜を介して被覆形成するとともに、前記アモルファス状膜の表面を算術平均粗さRaが0.5μm以下、且つ、十点平均粗さRzが2.0μm以下となるように、且つ、前記アモルファス状膜の厚さが10μm〜50μmの範囲となるように被覆形成するアモルファス状膜被覆工程とを有する圧縮機翼の製造方法であって、
    外気温の空気を外部から吸入し加圧・圧縮空気の温度が300℃〜600℃となる圧縮機に用いられることを特徴とする圧縮機翼の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の圧縮機翼を備えた圧縮機を有していることを特徴とする火力発電用ガスタービン。
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