JP4611457B2 - 酸硬化可能なフェノール樹脂組成物のための反応性希釈剤 - Google Patents

酸硬化可能なフェノール樹脂組成物のための反応性希釈剤 Download PDF

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Description

発明の背景
(a)発明の分野
本発明は酸触媒によるレゾール樹脂および/またはノボラック樹脂の硬化に加えて置換または無置換ベンジルアルコール、好ましくはアルコキシベンジルアルコール、またはジベンジルエーテルのような反応性希釈剤の使用に関する。
(b)先行技術の説明
強酸の添加によるフェノールレゾールの硬化は周知である。典型的な強酸は下記のもの:塩酸、硫酸、リン酸、トリクロロ酢酸、およびスルホン酸を単独またはこれら混合物として包含する。たいていの場合、これらの酸は20から85%にわたる濃度の水溶液として用いられる。これら硬化剤は通常約16℃から約30℃の環境温度においてさえもレゾールを急速に硬化させる。後記のように、強酸による硬化には大きな限界がある。すなわち、強酸は、制御しにくく、硬化前に広範囲の温度にわたる安定性を容易に与えることができず、腐食問題を生じ、またフェノール樹脂の望ましい添加剤であるフルフリルアルコールをこのフェノール樹脂とともに用いるときには極めて不安定である。
Gerberに付与された米国特許第5,317,050号(参照として本明細書にその全文が組み入れてある)によれば、強酸の代替品としてアリールホスフィット潜伏性酸触媒を用いることが知られている。この潜伏性酸は外界温度におけるフェノール樹脂の硬化に制御された作業時間を与え、外界温度における長い作業時間を与えることができる。フェノール樹脂は外界温度において強酸によって硬化可能な樹脂である。アリールホスフィット類は外界温度における硬化または約50℃から100℃の比較的あまり高くない温度またはそれよりも低い50℃から80℃のような温度における急速硬化のいずれにおいてもとりわけ効果的な硬化剤である。
Hutchingsらに付与された米国特許第5,243,015号(参照として本明細書にその全文が組み入れてある)は熱硬化性フェノールレゾール樹脂組成物、およびレゾール樹脂を硬化させるのに適当な量の潜伏性触媒を含有し、熱を加え、比較できる硬化条件で通常の強酸を用いる樹脂の場合に得られる硬化速度に匹敵する速度における使用方法を開示している。潜伏性触媒は第一級アミン、第二級アミン、またはそれらの混合物から選ばれるアミンと強酸との塩を含む。典型的には第一級または第二級アミンは第一級または第二級脂肪族、脂環式、芳香族および複素環式アミンからなる群から選ばれる。強酸はスルホン酸、有機酸および鉱酸からなる群から選ばれる。典型的にはスルホン酸はトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、メタンスルホン酸、およびこれら混合物から選ばれる。好ましくは強酸は水性環境で測定して約3.0よりも小さいpKaを有する。典型的な第一級および第二級脂肪族アミンにはメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミンおよびジエチルアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、ピロリジン、またはピペラジンがある。
別の態様では、組成物は潜伏性酸に加えて、補助成分として典型的に工業的に有効な速度でレソール樹脂を硬化させるのに単独では不十分な量のいくらかの強酸触媒を包含する。この少量の補助強酸触媒の使用は、潜伏性触媒に付随する長期ポットライフの利点を組成物に保持させるが、レゾール樹脂の硬化速度を劇的に促進させるように強酸に潜伏性触媒とともに相乗的に作用させる。
Orpinに付与された米国特許第5,378,793号(参照としてその全文をこの明細書に組み入れてある)は潜伏性酸であるリン酸部分エステルを含むフェノールレゾールからフェノール樹脂を製造するための硬化剤を開示している。リン酸部分エステルとは、厳密に制御された温度において真空下で激しく撹拌しながら、遊離酸度を制御しつつ、すなわち一定の酸度が得られるまで縮合リン酸とポリオールを反応させることによって製造されるエステルを意味する。このリン酸部分エステルは単独または芳香族スルホン酸、たとえばp−トルエンスルホン酸のような通常の酸硬化剤と混合して使用することができる。このような混合物の使用は広範囲の変数が硬化剤の活性を制御することを可能にし、したがって硬化したレゾールの物理的性状を最適にすることができる。つぎにこのような硬化剤混合物を全配合物の5から15%w/w、好ましくは5から10%w/wの量でフェノールレゾールに加えることが出来る。このような配合物を用いると、外界温度において30分から3時間のバルクポットライフ(bulk pot life)を得ることができる。しかし、温度が60°ー80℃の場合には、ポットライフは1−10分間の範囲にあろう。単独で用いる場合にはリン酸部分エステルは、加水分解によってフェノール樹脂を硬化させるのに十分な量を付与する。
リン酸部分エステルは外界温度においてレゾールに少なくとも1時間のポットライフを与える。これは強化フェノール樹脂複合体の通常の調製に必要とされる達成処理に十分な時間である。リン酸部分エステルはプロセス制御の融通性を大きくして早期ゲル化または硬化によるレゾールの減耗をできるだけ少なくする遅効性硬化剤として働く。
ある最終用途に対しては、たとえばフェノール樹脂を含浸させたプレプレグまたはフィラメントワインディングのような強化複合体をつくる場合には、織布にせよ不織布にせよ通常繊維である強化材の存在下でフェノールレゾールを硬化させなければならない。織布の例にはポリアミド、アスベスト、およびガラス、たとえばガラスマットまたはガラスクロスから得られる布がある。不織布の例にはセルロース系繊維、ガラスおよび高分子量ポリエステルから得られる布がある。硬化後、フェノール樹脂および強化材を含む強化複合体はついで約80°ー100℃で後硬化させる。
強化複合体製造用プロセスの特定例には樹脂トランスファー成形(RTM)、接触圧成形および引抜成形がある。前記のようなフィラメントワインディング用強化複合体を製造するための典型的な装置は基本的にマンドレル、フェノール樹脂および硬化剤を含有する含浸タンクを含む。ガラス繊維のような強化材はタンク内でフェノール樹脂/硬化剤混合物中に浸漬させて、強化材を樹脂に含浸させる。含浸後、繊維をマンドレルに巻き、硬化させた後マンドレルから取り外す。
湿潤樹脂系強化複合体の製造に関連するほとんどのプロセスでは、プロセスの含浸、循環、固化、および硬化工程の制御を行う場合に用いられる樹脂のポットライフまたはゲル化時間が重要である。強酸で硬化させるレゾールの場合にはポットライフは短く、典型的には4−30分程度であり、したがって種々の方策を用いてプロセスを制御しなければならない。
しかし、これら強化複合体の製造中に、フェノール樹脂の硬化速度を促進させるのが望ましいことがある。したがって、たとえば高速成形製造ラインにおいてこのような速度増大が望ましい場合には酸硬化速度を高める添加剤を付与することが望ましいであろう。
通常のレゾールは、もしも熱硬化または酸硬化させると、脆性および劣悪な耐衝撃性を示す。これは液状熱硬化性樹脂を使用する多くの複合体製造における大きな欠点である。物理的性状または火炎−煤煙−毒性(FST)挙動をほとんど全く犠牲にせずに耐衝撃性を著しく改善する添加剤または技術は複合体の用途にフェノール樹脂の使用を増大させることができるであろう。これは何十億ドルの市場を表し、その主要産業区分は運輸(約31%)、建設(約20%)、海洋(約13%)、および腐食(約13%)である。このように、衝撃強さの大きいポリマー生成物、とくに複合材料を提供することも望ましい。これは堅固で耐久性があると思われる生成物をもたらすであろう。したがって、このような衝撃強度を得るための添加剤を提供することも望ましい。
発明の要約
1つの態様では、本発明は、ベンジルアルコール類、好ましくはアルコキシベンジルアルコール類および/またはジベンジルエーテル類の存在下で硬化する酸硬化可能なフェノール樹脂組成物を提供する。
他の態様では、本発明は、強酸または潜伏性酸およびベンジルアルコール類の存在下、好ましくはアルコキシベンジルアルコール類の使用によってフェノール樹脂を酸硬化させる方法を提供する。
本発明の別の態様は明細書およびクレームを読めば明らかになろう。
本発明の組成物は式Iのベンジルアルコール化合物:
Figure 0004611457
を包含し、該組成物は本発明において、酸硬化したフェノールレゾールの耐衝撃性および可撓性を改善するために用いることができる。R1は独立してH、炭素原子が1ないし4個のアルキル、または炭素原子が1ないし4個のアルコキシである。R2はHまたは炭素原子が1ないし4個のアルキル、好ましくはR2はHまたはCH3である。R3はH、低級アルキル(好ましくはメチル)、アリールアルキル(たとえばベンジル)、フェニル、および式−OR4の部分(ーOR4が、アルコキシであるときには、R4は1−4個の炭素原子を有し、アリールオキシであるときにはR4は6または7個の炭素原子を有するもの(好ましくはフェニル))から選ぶことができる。R3は基−CR2HOHに対してオルト、メタ、またはパラ位にあることができる。
硬化速度は水素の代わりにR3をオルトもしくはパラ位のアルコキシまたはアリールオキシとして使用することによって増大させことができる。R3がパラ位のアルコキシである場合に硬化速度が特に増大する。
ジベンジルエーテル類のようなベンジルアルコール誘導体も有効な反応性希釈剤である。
ベンジルアルコールまたはベンジルアルコール誘導体は単独または他の変性剤、たとえばグリコール類、N−アシル化アリールアミン類、N置換アリールスルホンアミド類、N置換アリールアミン類、またはアリル化合物と組み合わせて使用することができる。典型的なグリコール類にはエチレングリコールまたは1,3−ブチレングリコールがある。典型的なN−アシル化アリールアミン類にはアセトアニリドがある。典型的なN置換アリールスルホンアミド類にはN−ブチルベンゼンスルホンアミドまたはN−ヒドリキシプロピルベンゼンスルホンアミドがある。典型的なN置換アリールアミン類にはN−フェニルジエタノールアミンがある。
本発明の組成物は、ポリマー(レジン)コンクリート、キャスタブルのような耐火性組成物、耐薬品性フロアーオーバーレイ、ハンドレイアップ/スプレーアップ、プレプレグ材、繊維複合材料、フィラメントワインディング、被覆および接着研磨剤、耐食性パイプおよびパネル、耐燃性被覆繊維、布、または積層物のような製品をつくるための耐熱性結合剤としてとくに有用である。これら製品は典型的にはプレス成形、引抜成形、樹脂トランスファー成形(RTM)、シーマンコンポジットレジンインヒュージョンモールディングプロセス(Seeman composite resin infusion molding process(SCRIMP))、または反応射出成型(reaction injection molding(RIM))のような方法によって製造される。また、この組成物はハネカム構造およびシンタクチックフォーム(syntactic foam)にも有用である。
発明の詳細な説明
本明細書では室温という用語は約22℃から26℃の温度と定義する。外界温度という用語は約16℃から30℃の温度と定義する。
作業時間という用語は、組成物の混合後組成物が流体のままであるか、またはコテ塗りもしくは成形させることができる間の時間である。また、作業時間は組成物を混合した後引き続いて硬化する造形品の形成が混合直後の造形品の付形と比べて密度および強度の顕著な低下を示さない期間でもある。
固化および硬化という用語は本明細書では互いに交換可能なように用いられる。
潜伏性酸触媒として用いられるホスフィット類に関するような部分予備加溶媒分解という用語は、ホスフィン類と反応させるために水、低級アルカノール、低級グリコールおよび/またはベンジルアルコールを混入させることを意味する。反応後混合物は、混合物中の遊離の水、アルカノール、またはグリコールに対して均質に見える。該ホスフィットを部分予備加溶媒分解させるために水を用いる場合には、生成物は部分予備加水分解されたという。
総水分という用語は、樹脂中の水のみならずフェノール性ホスフィットと反応して加水分解させるのに利用できる組成物中の付加水分、たとえば状況が変われば加水分解反応に利用できなくなるように反応しなかった組成物への付加凝集物の湿分または水分を意味する。概して総水分のすべてまたはほとんどは樹脂から供給される。
ベンジルアルコール反応性希釈剤
本発明の1つ以上のベンジルアルコール反応性希釈剤はフェノール樹脂を硬化させるための酸触媒とともに用いられる。触媒は後記の強酸触媒および/または潜伏性酸触媒であることができる。フェノール樹脂は下記のレゾール樹脂、ノボラック樹脂またはそれらの混合物であることができる。好ましくは本発明のベンジルアルコール反応性希釈剤(後で詳細に述べる)は、ベンジルアルコールを用いずにつくった生成物と比べて優れた衝撃力を有する生成物を生じる。
普通の有機溶剤の存在下で濾過することができるジブチルフタレートやジイソオクチルフタレートのような通常の可塑剤とは異なり、ベンジル部分はフェノール核に化学結合され、したがって濾過することができない。たとえば、塩化アルミニウム(酸)の存在下でベンジルアルコールとフェノールは2−ベンジルフェノールと4−ベンジルフェノールとの混合物を生成する。さらに、上記の通常の可塑剤は可燃性で難燃性に乏しい。ベンジル付加物の芳香族基は、硬化したフェノール樹脂の難燃性にあまり影響を与えない。
本発明のベンジルアルコール反応性希釈剤はつぎの一般式Iを有する。
Figure 0004611457
この式Iの化合物は酸硬化内部フェノールレゾールの耐衝撃性および可撓性を改善するために用いることができる。R1は独立してH、炭素原子が1ないし4個のアルキル、または炭素原子が1ないし4個のアルコキシである。R2はH又は炭素原子が1ないし4個のアルキル、好ましくはHまたはメチルである。R3はH、炭素原子が1ないし4個のアルキル(好ましくはメチル)、アリールアルキル(たとえばベンジル)、フェニル、および式−OR4の部分(−OR4がアルコキシであるときにはR4は1−4個の炭素原子を有し(好ましくはメチル)、アリールオキシであるときにはR4は6または7個の炭素原子を有する(好ましくはフェニル))から選ぶことができる。好ましくはR1-4は独立してHまたはCH3である。より好ましくはR1はHおよびR2-4は独立してHまたはCH3である。R3はメチロール基(−CR2HOH)に対してオルト、メタ、またはパラ位にあることができる。このような物質はノボラックまたはレゾールポリマーの耐衝撃性を高める。典型的なベンジルアルコール類にはベンジルアルコール、αーメチルベンジルアルコール、ベラトリルアルコール(3,4−ジメトキシベンジルアルコール)、またはアニシルアルコールがある。
Hの代わりに、オルトまたはパラ位のR3としてアルコキシまたはアリールオキシを用いると、硬化速度を速める。R3がパラ位のアルコキシであるときに、硬化速度はとくに速まる。したがって、本発明の好ましい化合物は式IIまたはIIAの化合物である。
Figure 0004611457
式IIまたはIIAにおいて、R1-2は式Iの場合と同様に定義され、R3は式Iで用語が定義されたようにアルコキシまたはアリールオキシである。もっとも好ましくは本発明のベンジルアルコール類は式IIAの化合物(ただしR3はアルコキシまたはフェノキシ)である。好ましいアルコキシベンジルアルコールはアニシルアルコール(4−メトキシベンジルアルコールともいう)(ただしR1-2はそれぞれH、式IIAにおけると同様にパラ位のR3はOCH3)である。
ジベンジルエーテル類のようなベンジルアルコール誘導体は有効な反応性希釈剤でもある。これらジベンジルエーテル類はつぎの式IIIを有する。
Figure 0004611457
式中、各R1、各R2、および各R3は独立して上記式Iの場合のように定義される。もっとも好ましくはジベンジルエーテル類は本質的にジベンジルエーテルである。
ベンジルアルコール類またはその誘導体は単独または他の反応性希釈剤との二成分系組成物において有用な反応性希釈剤である。
ジベンジルエーテル類は、水を生成する量が少ないという点でベンジルアルコール類に勝る利点を有する。ベンジルアルコール類は、モデル式(1)に示すようにフェノール核をベンジル化(アルキレーション)して水を生成すると理論上想定されている:
Figure 0004611457
対照的に、ジベンジルエーテル(ベンジルエーテルともいう)は式(2)で示すように1/2量の水を生成する:
Figure 0004611457
ベンジルアルコールまたはベンジルアルコール誘導体は幾つかの方法で硬化可能な組成物中に導入させることができる。ベンジルアルコールまたはベンジルアルコール誘導体は、(1)直接樹脂に添加するか、(2)潜伏性酸硬化剤に添加するか、もしくは(3)(1)と(2)の組合せによって添加することができる。
樹脂に付加する場合には、フェノール樹脂の重量を基準にして約3対約15重量%、好ましくはフェノール樹脂の重量を基準にして約5対約12重量%の量でベンジルアルコールまたはベンジリアルコール誘導体をフェノール樹脂に添加する。
酸硬化剤
本発明のベンジルアルコール類とともに使用することができる潜伏性酸硬化剤および添加剤には、すべてGerberに付与された米国特許第5,296,520号、同第5,317,050号、および同第5,334,675号に開示されているホスフィット硬化剤のみならずHutchingsらに付与された米国特許第5,243,015号(潜伏性アミン塩)およびOrpinに付与された米国特許第5,378,793号(リン酸部分エステル)に開示された他の潜伏性酸硬化剤がある(これらはすべてその全文を参照として本明細書に組み入れてある)。
強酸
典型的な強酸触媒にはリン酸、硫酸、スルファミン酸、および塩酸のような鉱酸、シュウ酸、マレイン酸のような有機酸、または無水マレイン酸のような酸無水物がある。硫酸、塩酸、リン酸、亜リン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、トリハロ酢酸、ジハロ酢酸、またはスルファミン酸のような強酸を単独または潜伏性酸とともに使用することができる。たとえば、ジフェニルホスフィットは1ないし3重量%の、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、またはフェノールスルホン酸の70%溶液で予備反応させて、レゾールに対する硬化活性を高めることができる。
アリールホスフィット硬化剤およびアリールアルキルホスフィット硬化剤
Gerberに付与された米国特許第5,317,050号のようなアリールホスフィット硬化剤のみならずアリールアルキルホスフィット硬化剤は、2個の芳香族有機エステル基と1個の酸性水素を有するか、3個の芳香族エステル基を有するか、または2個の芳香族エステル基と1個のアルキル基を有する亜リン酸エステルである。実例としては、アリールホスフィット硬化剤はジフェニルヒドロゲンホスフィットのような二置換亜リン酸エステルかまたはトリフェニルホスフィットもしくはジフェニルn−ブチルホスフィットのような三置換した亜リン酸エステルであることができる。
水の存在下では、本発明のアリールホスフィットは一定時間の間制御可能なように強酸生成物に加水分解し、最後に亜リン酸となる。亜リン酸は1.20というイオン化定数を有する強酸である。亜リン酸はフェノールレゾール樹脂を室温硬化をもたらすほど十分に酸性である。実例としては、1モルのジフェニルブチルホスフィットが完全に加水分解すると、1モルの亜リン酸と1モルのブタノールと2モルのフェノールを生成するであろう。加水分解でホスフィットの分解によるフェノールはつぎの樹脂の硬化における反応性希釈剤として働く。したがって、ホスフィット類が唯一の硬化剤である場合には、加水分解によって樹脂を硬化させるのに十分な量で存在することを指摘する。
アリールホスフィット硬化剤は一般式IVによって表わすことができる:
Figure 0004611457
式中、RおよびXはそれぞれアリール、アリールアルキル、Oは酸素、Pはリン、およびYは水素、アリール、アルキル、またはアリールアルキルである。好ましくは、各アリール基は6ないし12個、とくに6ないし7個の炭素原子を有し、アルキルは1ないし12個、とくに約1ないし8個の炭素原子を有する。実例としては、トリフェニルヒドロゲンホスフィットの場合にはRはフェニル、Xはフェニル、およびYは水素である。2個のエステル基と1個の水素原子を有するアリールホスフィット、たとえばジフェニルイドロゲンホスフィットも、本明細書および文献では水素を省いて単にエステル基の名前で、たとえばジフェニルホスフィットと呼ばれる。
本発明に用いられるアリールホスフィット硬化剤の例としては、ジフェニルヒドロゲンホスフィット;ジクレジル(好ましくはメタまたはパラ)ヒドロゲンホスフィット;フェニルp−クレジルヒドロゲンホスフィット;フェニルm−クレジルヒドロゲンホスフィット;ジナフチルヒドロゲンホスフィット;ジフェニルイソプロピルホスフィット;ジフェニルメチルホスフィット;ジ(p−クレジル)n−ヘキシルホスフィット;トリフェニルホスフィット;トリ(m−クレジル)ホスフィット;ジフェニルイソオクチルホスフィット;ジフェニル2−エチルヘキシルホスフフィット;ジフェニルイソデシルホスフィット;ジフェニルシクロヘキシルホスフィット;2−クロロエチルジフェニルホスフィット等を挙げることができる。ジフェニルホスフィットとトリフェニルホスフィットの混合物のような混合物も有用である。
式IVのホスフィットがアリールアルイルホスフィットであれば、R、X、またはYのすくなくとも1つは式IV(a)のアリールアルキルである:
Figure 0004611457
式IV(a)においてR1、R2、およびR3は式Iの場合と同じである。アリールアルキルホスフィット硬化剤の例としてはジベンジルホスフィット、ベンジルフェニルホスフィットおよびトリベンジルホスフィットがある。
レゾール樹脂の作業時間は、総水分、遅延剤または促進剤添加物の使用、特定ホスフィット硬化剤、ホスフィットの予備加溶媒分解およびその量を変えることによって広範囲にわたって変動することがある。
外界温度硬化レゾール組成物
本発明の室温又は外界温度硬化組成物は、好ましくは少なくとも15分から最大約2時間の作業時間を有する。典型的な外界温度硬化では、フェノールレゾールおよび13重量%の潜伏性酸硬化剤、たとえばアリールホスフィットからなる組成物で、該組成物の総水分がアリールホスフィット1重量部当たり水1重量部である組成物は、好ましくは約23℃の温度で混合後24時間以内に少なくとも25のショアD硬度に到達する。ショアD硬度はニューヨークにあるShore Instrument and Manufacturing CompanyのD型ジュロメーターを用いて測定する。
外界温度硬化剤は好ましくは強酸であるかまたジアリールヒドロゲンホスフィットか、トリアリールホスフィットか、もしくはジアリールモノアルキルホスフィットを有する硬化剤で、ただしトリアリールホスフィットまたはジアリールモノアルキルホスフィットはアリールホスフィットの重量を基準にして約1%ないし10%の水で予備加水分解させる。通常、3個の有機置換基を有するホスフィットは、予備加水分解させなければ、外界温度では実施可能な時間内に硬化させるには遅すぎる。また、このような三置換ホスフィットは、水、アルカノールまたはグリコールで予備加溶媒分解させなければ、10%以上の水分を有する樹脂には相溶性がなく、多くの場合には10%未満の水分を含む樹脂に対してさえも相溶性がない。
外界温度硬化に適する他の潜伏性酸類にはOrpinに付与された米国特許第5,378,793号の化合物(リン酸半エステル)がある。
中高温における硬化
トリアリールホスフィット類またはジアリールモノアルキルホスフィット類のような3個の有機置換基を有する米国特許第5,243,015号、同第5,378,793号の潜伏性酸硬化剤または米国特許第5,317,050号のアリールホスフィット類は好ましくは硬化可能な組成物に対して外界温度における長期の安定性および100℃を超えない、たとえば約50℃から95℃のような中高温度における迅速硬化をもたらすための潜伏性酸硬化剤として用いられる。三置換アリールホスフィット類の基礎成分、すなわちフェノール樹脂、アリールホスフィット、および水の粘度は少なくとも4時間の間外界温度で流動可能のままであることができる。したがってこのような硬化剤は約23℃の温度において4時間以上の間流動性を保持するが、高温では迅速に硬化することができる。しかし、低濃度のジアリールヒドロゲンホスフィット、または少濃度の水を、もしくは遅滞剤とともに用いることによって、ジアリールヒドロゲンホスフィットのみならず予備加水分解したトリアリールホスフィット、予備加水分解したジアリールモノアルキルホスフィットも長時間の外界温度安定性を有し、ついで中高温で迅速に硬化させることができる。
さらに、ベンジルアルコールで予備加溶媒分解したアリールホスフィット類も長時間の外界温度安定性を有し、ついで中高温度で迅速に硬化させることができる。
本発明に用いられるホスフィット硬化剤の量は広範囲にわたり変動することができる。典型的なレベルは、樹脂の重量を基準にして、少なくとも約3%、たとえば約3%から20%、好ましくは少なくとも5%、たとえば約5%から約15%のレベルである。
ホスフィット硬化剤の予備加溶媒分解
予備加溶媒分解、すなわち硬化可能な組成物に入れる前のホスフィット類の加水分解またはアルコーリシスは概して少なくとも亜リン酸の3個の水素すべてが置換されている化合物に対する相溶性を改善する。予備加水分解は硬化活性を高めるが、予備アルコーリシスは炭素原子が2ないし4個のアルキレングリコール類に対してはわずかな促進効果を有するか、またはメタノールもしくは炭素原子が2ないし4個のアルカノール類および式Iのベンジルアルコール類に対しては遅滞硬化を有することがある。部分予備加溶媒分解は、たとえば室温またはわずか高温でホスフィットを水またはアルコールと撹拌その他の手段で混合接触させることによりアリールホスフィットを、アリールホスフィットの重量を基準にして約1%から10%の水またはアルコールと反応させることによって得られる。部分予備加溶媒分解は、ホスフィットを、ホスフィットの約50から約150重量%のレベルで与えられる(混合寿命を延ばすために)ベンジルアルコールと反応させることによって行うこともできる。ベンジルアルコールは式Iのアルコールである。予備加溶媒分解反応の終点は通常、加溶媒分解剤が組成物中に認められないようにアリールホスフィットと加溶媒分解剤の混合物が均質に見える時に認めることができる。
ホスフィットは加水分解とアルコーリシスとの両方を受けることができる。たとえば、アリールホスフィットは1−3重量%の水で予備加溶媒分解させた後ホスフィットの重量を基準にして最大100%の量の式Iのベンジルアルコールと反応させることができる。別法としては、アリールホスフィットをベンジルアルコールで処理し、ついで水で処理することができる。
ベンジルアルコールによるホスフィットの予備加溶媒分解は初期の硬化可能な混合物の混合寿命を延ばし、一方ホスフィットを予備加溶媒分解せずに行ったかのように硬化後同じ物質を得る。
たとえば、樹脂、8部の付加ベンジルアルコール、および10物質の付加ジフェニルホスフィットを含む100部(樹脂を含む)の混合物をつくることができる。これは100部の樹脂と18部のベンジルアルコール(8部)およびホスフィット(10部)の混合物との混合物と比較することができる。ベンジルアルコールとホスフィットとの予備加溶媒分解に続く水との反応は亜リン酸を生成し、ベンジルアルコールを再生するが、混合寿命を延ばす。
したがって、ユーザーは3種の成分を受け取って、所望の混合寿命によってその混合方法を決定する。
フェノール樹脂概説
本発明に用いられるフェノール樹脂は酸で硬化可能なレゾールを含む。本発明のレゾールは熱硬化性であることができ、すなわち熱を加えるとレゾールは不融の三次元ポリマーになる。このようなフェノール樹脂にはアルカリ触媒で調整したフェノールレゾール樹脂、たとえば金属イオン触媒によって調製されたベンジルエーテル結合を有するRobbinsに付与された米国特許第3,485,797号に開示されている該樹脂またはR.Iyerらに付与された米国特許第4,740,535号に記載されているような変性フェノールレゾール樹脂がある。
Iyerらの米国特許第4,740,535号およびRobbinsの米国特許第3,485,797号はいずれもその全文を参照として本明細書に組み入れてある。
レゾールに代わるもの、またはレゾールと配合するものとして、後記のようにフェノール樹脂は熱可塑性ノボラック樹脂であることができる。典型的なノボラック樹脂はLemonらに付与された米国特許第5,340,888号に記載されており、その全文は参照として本明細書に組み入れてある。
フェノル樹脂はフェノール−ホルムアミド樹脂またはフェノールが1種以上のクレーゾル類たとえばm−クレゾール、イソプロピルフェノール類、ノニルフェノール類、ナフトール類、レゾルシノール、キシレノール類たとえば3,5−キシレノール、ビスフェノールーA、または他の置換フェノール類で部分置換されるフェノールホルムアルデヒド樹脂であることができる。
レゾール樹脂
フェノールレゾール樹脂は典型的には縮合触媒としてアルカリまたはアルカリ土金属化合物の存在下のフェノール類と過剰モル量のフェノール反応性アルデヒドとの反応によって製造される。該樹脂は縮合剤として無金属の第四級アンモニウムヒドロキシドもしくはメトキシドまたはトリエチルアミンのような有機アミンを使用することによって調製することもできる。無金属のヒドロキシド類を用いることによって製造された樹脂はテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(コリンベース)、およびベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドならびにテトラメチルアンモニウムメトキシドのような対応するメトキシドである。無金属系はセラミックおよび電子用途の結合剤として好ましい。用いられる無金属ヒドロキシドの量はフェノール1モル当たり0.01から0.04モルに変動することができる。レゾールがホスフィット潜伏性酸で硬化させる場合には、縮合剤としてのアンモニア、ヘキサメチレンテトラミン(HEXA),または有機アミンの使用は、亜リン酸またはリン酸の現場生成作用を緩衝するので好ましくない。
典型的には、レゾール樹脂は、アルカリ条件下で約1:1から1:3の範囲内のモル比(フェノール:ホルムアルデヒド)でフェノルとホルムアルデヒドとを反応させることによって製造したフェノールホルムアルデヒド樹脂である。本発明に用いるための好ましいモル比はアルデヒド1モル当たりフェノール約1モルからアルデヒド2.2モル当たりフェノール約1モルにわたり、とくにフェノール対アルデヒドの1対1.2ないし1対2の範囲が好ましい。
好ましいレゾールはフェノールとホルムアルデヒドとの縮合物である。本発明の硬化可能な組成物に用いられるレゾールの量は硬化可能な組成物の提示される用途によって広範囲にわたることができる。したがって、樹脂の量は硬化可能な組成物の約1.5重量%から70重量%を上回るまでにおよぶことができる。耐火物用には、硬化可能な樹脂の量は概して耐火物凝集体の重量を基準にして約3重量%から20重量%、とくには約5%から15%におよぶことができる。プレプレグのような他の用途には樹脂の量はプレプレグの重量の約20重量%から40重量%の量というように極めて大きいことがある。
レゾール樹脂を作るのに用いられるアルデヒドは、たとえば、好ましくは水溶液の形で用いられるホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフルアルデヒドまたベンズアルデヒドであることができる。レゾールはフェノール類を上記のようにケトン類、たとえばアセトン、シクロヘキサノンまたはそれらの混合物と反応させてノボラックをつくり、ついでホルムアルデヒドとの反応によってノボラックをレゾールに転化させることによって調製することができる。
本発明に用いられるフェノール樹脂のpHは通常約4から9、好ましくは4から7にわたり、とくには4.5から6.5である。pHが実質的に9を上回る樹脂は、このような高pHは後の組成物の酸度を低下させるので避けなければならない。
遊離フェノールは典型的には樹脂の3重量%から約20重量%で好ましいレベルは7%から約15%である。樹脂の分子量は一般に約200から2,000の重量平均分子量におよび、約230から約600が好ましい。重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィーおよびフェノール化合物およびポリスチレン基準物質を用いて測定される。
フェノール樹脂固形物はフェノール樹脂の約50から85重量%のような広範囲にわたることができ、好ましくは60から75重量%である。
樹脂の粘度は25℃において約50から5,000cpsのように広範囲にわたることができる。好ましくは粘度は25℃において約200から1500cpsにおよぶ。本明細書における粘度測定値はブルックフィールド粘度計で測定したセンチポアズ(cps)で示す。
典型的にはフェノールレゾール樹脂の水分は樹脂の少なくとも約3重量%、たとえば樹脂の約3から20重量%、好ましくは樹脂の約5から13重量%である。
レゾールの液体部分は水または非反応性溶剤と一緒の水である。水に加える溶剤は炭素原子が1ないし5個のアルコール類、ジアセトンアルコール、炭素原子が2ないし6個のグリコール類、グリコール類のモノおよびジメチルエーテル類、底分子量(200−600)ポリエチレングリコール類およびそれらのメチルエーテル類、炭素が6ないし15個のフェノール類、ポリオキシエタノール、非プロトン性溶媒、たとえばジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランおよびm−ジオキソラン等から選ぶことができる。一価アルコールまたはグリコールの量は、もしも使用するならば、アルカノール類はかなり強い遅延剤であるので、通常樹脂の約5から10重量%が使用される。また種々のアミド類は樹脂の硬化を遅らせることがあるので、控えめに使用すべきである。
ノボラック樹脂
フェノールノボラック樹脂は公知の方法でつくることができる。ノボラックの性状を有する樹脂、すなわち加熱しても熱硬化しない生成物を得るには、フェノールとアルデヒドを、フェノール1モル当たりアルデヒドを1モル未満のモル比で反応させることが必要である。
ノボラック樹脂は通常この目的に用いられる任意の触媒を使用して調製することができる。適当な酸触媒には、硫酸、リン酸および塩酸のような強い鉱酸、ならびにシュウ酸、サリチル酸または無水マレイン酸のような酸無水物がある。
上記のように、フェノール1モル当たり1モル未満のアルデヒドのモル比でフェノールとアルデヒドを反応させる。一般にアルデヒドはフェノール1モルに対する0.2モル未満のモル比では用いられない。性状の好ましい妥協を得るにホルムアルデヒド対フェノールの好ましいモル比は0.4:1から0.75:1にわたる。アルデヒドはベンズアルデヒドまたはケトン類で置き換えることができ、フェノールはクレゾール類、キシレノール類、ナフトール類またはビスフェノールーAで一部置き換えることができる。
酸硬化ノボラック樹脂の場合には、満足すべき縮合速度を得るのに十分な酸性物質を用いるのが必要なだけであり、必要な比率は使用する酸の種類によって変わる。硫酸または塩酸のような強い鉱酸の場合には、これは使用するフェノールの重量を基準にして通常0.02から1.0重量%、好ましくは0.1から0.6重量%の範囲にある。シュウ酸または無水マレイン酸の場合には、使用するフェノールの重量を基準にして0.3から3重量%の範囲の量を使用するのが典型的である。
ノボラック樹脂の調製法は周知であって、たとえばGB1,210,239およびGB1,391,420に記載されている。
ノボラック樹脂は反応が実質的に完了したとき、未反応フェノールを除くために処理することが好ましい。
フェノールノボラックはつぎに、本発明により難燃性、煙および毒物放出(FST)に対してほとんど全く悪影響を与えずに置換または無置換ベンジルアルコールとの反応によって耐衝撃性を向上させ脆性を低減させるように改善する。酸触媒の存在下でノボラック製造を完了して過剰のフェノ−ル性モノマーを除くと、ノボラックを調製するのに用いた酸触媒の存在下でベンジル成分、すなわちベンジルアルコールおよび/またはベンジルエーテルを導入する。好ましいベンジル成分はベンジルアルコール、アニシルアルコール、ジベンジルエーテルおよびそれらの混合物である。ベンジル成分は単独または補助的強酸および/または潜伏性酸とともに導入することができる。約80℃から約150℃のさらに一層の加熱はベンジル成分の反応をもたらす。アルコールの好ましいレベルは約5から約15重量%である。酸触媒は当該技術分野では周知であり、硫酸、メタンスルホン酸、芳香族スルホン酸、およびシュウ酸を包含するが、これらに限定されない。ベンジル成分との反応が完了すると、酸を、場合により、アルカリまたはアミンで完全もしくは部分中和するか、または場合により完全若しくは部分熱分解させる(シュウ酸の場合のように)。必要ならば、ベンジル成分変性熱可塑性ノボラックを未硬化生成物として単離することができる。別法として、変性熱可塑性ノボラックを硬化させることができる。硬化ベンジル成分変性ノボラックは、ヘキサメチレンテトラミン(HEXA)のような通常の架橋剤、パラホルムアルデヒドもしくはトリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタンのような潜伏性ホルムアルデヒド源、またはメラミン樹脂を用いて、前記変性ノボラックを約100℃から約200℃の温度に加熱することによって得ることができる。架橋剤がHEXAであるときには、酸は典型的に完全若しくは部分中和されるかまたは分解される。しかし架橋剤がメラミン樹脂であるときには、酸は典型的に中和も分解もされない。別法として、ノボラックをベンジル成分、有効量の酸触媒、および潜伏性ホルムアルデヒド源またはメラミン樹脂と混合して、混合物を約100℃から約200℃の温度に加熱することによって硬化ベンジル成分変性ノボラックを得ることができる。
ノボラックを変性させる方法の別の態様はノボラックを式IVのホスフィット:
Figure 0004611457
(式IV中R、Y、およびXの群中少なくとも1員(および好ましくはR、Y、およびXの群中少なくとも2員)は式IV(a)のアリールアルキル:
Figure 0004611457
である)と混合し、水を加えて加熱することを含む。次のメラミン樹脂の添加は樹脂の変性および樹脂の硬化をもたらす。
含水量
アリールホスフィット潜伏性酸触媒または部分ホスフェートエステル潜伏性酸触媒を用いる場合には、本発明の硬化反応はアリールホスフィットまたはホスフェートエステルを加水分解して、たとえば最後に亜リン酸またはリン酸にするために水を必要とする。組成物中の総含水量、すなわちホスフィットを加水分解するのに利用できる水分はアリールホスフィットの1重量部当たり水分が約0.15から5重量部、好ましくは約0.3から3重量部のような広範囲にわたることができる。レゾール樹脂の場合には、通常アリールホスフィットを加水分解するのに十分な量の水分、たとえば樹脂の重量を基準にして少なくとも3%の水分が存在し、その水分がレゾール樹脂の一部であるとしても該組成物は必要な総含水量を含有する。必要な総含水量は組成物中のいずれかの成分、たとえばレゾール樹脂、からくることができるか、また補足的水分を組成物に加えることができる。予備加溶媒分解に用いられる水分は、該水分がアリールホスフィットの加水分解に用いられたので、総含水量の一部ではない。
充填剤
本発明の組成物は通常フェノール樹脂とともに用いられる充填剤を含むことができる。本発明の樹脂は種々の充填剤と混合することができる。充填剤は典型的に繊維の粒子である。本説明の目的には、繊維は広いよりも概して長いリボン状又は糸状単位の物質と定義される。充填剤は無機、セラミック、有機、または金属物質からなることができる。典型的な粒子は顆粒状、粉末状、又はフレーク状であることができる。典型的には、該粒子は耐火物または非耐火物用途には樹脂コンクリートとも呼ばれるポリマーコンクリート中の結合剤として用いられる。耐火物または非耐火物用途に、一体注型成形物は、選別した砂と十分に混合した樹脂/硬化剤との混合物を用い、型に入れて、現場で硬化させた後硬化した造形品を取り出してつくることができる。このような造形品は建築用建物のパネルか、または熱鉱酸を含有する耐食性タンクの建造用のものであろう。
適当な無機物質にはシリカ、ジルコン砂、オリビン砂、窒化ホウ素、ボーキサイト、石英、クロマイト、およびコランダムならびにこれらの混合物があるが、これらに限定されない。ある用途には、中空微小球、ひる石、パーライト、および軽石のような低密度凝集物質が好ましい。ガラスの中空微小球を配合樹脂生成物の最大20%の量で用いることもできる。他の用途に対して、好ましい高密度凝集体には石英砂、砂礫、粉砕岩、および破壊煉瓦がある。砂、砂礫、および粉砕岩はポリマーコンクリートの好ましい凝集体である。
他の無機充填剤には配合樹脂生成物の最大約70重量%の量で用いることができるカオリン、珪灰石、および重晶石がある。
無機繊維にはホウ素、ガラス、炭素、黒鉛、珪灰石またはアスベスト製の繊維がある。ガラス繊維は細い可撓性の繊維である。ガラス繊維にはE−ガラスというホウケイ酸塩ガラスがある。ガラス繊維はガラス繊維織布、ガラス繊維不織布(マット)、または繊維を極めて短い長さに切断したチョップトガラスとして用いることができる。波形建設シートは通常ガラス繊維マットと樹脂結合剤とからできている。熱硬化樹脂で結合させたガラス繊維はパイプや他の断熱被覆用に使用することができる。また、ガラス繊維は樹脂を含浸させて高温用のブロックに成形することができる。
黒鉛繊維はレーヨンまたはポリアクリロニトリルのような有機繊維から製造される。炭素繊維はポリアクリロニトリルからつくるが、黒鉛微細構造を有していない。さらに、ポリアクリロニトリル系炭素繊維は元素分析によれば炭素が93ないし95%であるが、黒鉛繊維は99%以上の炭素である。この差は実質的に黒鉛繊維は炭素繊維(約2400°F)よりも高い温度(3450°−5450°F)で調製されることに起因する。
セラミック物質にはアルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、または窒化ケイ素がある。典型的には、セラミック物質は粒子、たとえば凝集体、または繊維として用いられる。セラミック粒子は顆粒状、粉末状、またはフレーク状であることができる。顆粒形態にはセラミック中空微小球や他の典型的な顆粒形態がある。典型的なセラミック繊維にはアルミナ繊維または炭化ケイ素繊維がある。
有機物質にはポリマーがある。ポリマーは粒子、たとえばフェノール樹脂の中空微小球、または繊維であることができる。典型的なポリマー繊維はポリプロピレン、ポリエステル、非芳香族ポリアミド、たとえばナイロン、芳香族ポリアミド、たとえばDuPont Company、Wilmington、Delawareの商標であるKEVLARアラミド繊維から生成される。本発明の組成物中のポリマー繊維または他の繊維の量は、組成物の曲げ強度を改善するために広範囲に変えることができる。
典型的な金属物質には粒子または繊維の形状であることができるステンレス鋼がある。
耐火物用として、本発明の組成物にはシリカまたは黒鉛を含むことが多い。シリカの量は通常凝集体の約1から5重量%にわたり、黒鉛の量は概して凝集体の約5から25重量%におよぶ。ノボラックも耐火物用の有用な添加物であってノボラックの量は酸硬化可能な樹脂の約5から30重量%、好ましくは約10から20重量%におよぶことができる。
マグネサイト、炭酸カルシウム、金属アルミニウムおよび石灰石のような酸反応性凝集体および充填剤は、酸性樹脂硬化条件下で反応するので避けるのが好ましい。
反応性希釈剤としての変性剤
反応性希釈剤として前記ベンジルアルコールまたはベンジルアルコール誘導体以外に、フェノール樹脂とともに、またはその中に溶解して他の反応性希釈剤を加えることもできる。このような反応性希釈剤は、硬化した複合体中の硬化可能な物質の比率を高め、さらには密度および強度を増し、溶剤や薬品に対する浸透性を低下させるという点で有利である。これら他の反応性希釈剤にはエチレングリコールまたは1,3−ブチレングリコールのようなグリコール類、トリメチロールプロパンアリルエーテルのようなポリ(メチロール)アルカン類のモノアリルまたはメタリルエーテル類、グリセリンのモノアリルエーテル、アリルまたはメタリルグリシジルエーテル、フルフリルアルコール、メタクレゾール、3,5−キシレノールのようなフェノール類、ナフトール、ノニルフェノール、アリルアルコール類、アセタール類、s−トリオキサン、ビニルエーテル類、アミド化合物およびN−メチロール並びにそれらのN−アルコキシ誘導体、シッフ塩基(芳香族アルデヒドと芳香族第一級アミンとの縮合物)、およびジフェニルアミンがある。
通常単純な飽和グリコール類は可塑剤であることによって変性剤であるが、恐らく高温(≧150℃)以外では反応性希釈剤とは考えられないであろう。たとえば、下記の理論では拘束されないけれども、式(3)に示すように1,3−ブチレングリコールが、第二級ヒドロキシルのプロトン化によってフェノール核をヒドロキシアルキル化できるであろうことは理論上想定される。
Figure 0004611457
また、次の理論によって拘束されないけれども、式(4)に示すように不飽和化合物、とくにアリルエーテル含有化合物が酸性条件下でフェノール核をアルキル化できるであろうことは理論上想定される。
Figure 0004611457
上記の反応性希釈剤は樹脂を基準にして約2から約10重量%の量で使用することができるが、フルフリルアルコールの場合にはさらに多量を用いることができる。
これら変性剤は典型的にはベンジルアルコールまたはベンジルアルコール誘導体、たとえばジベンジルエーテル類とともに用いられる。しかし、これら変性剤の中にはベンジルアルコールまたはベンジルアルコール誘導体がなくてもフェノール樹脂の反応性希釈剤として使用できるものもある。このような変性剤にはトリメチルプロパンアリルエーテルがある。
反応性希釈剤としてのエポキシ樹脂添加剤
ベンジルアルコールまたはベンジルアルコール誘導体を伴いまたは伴うことなく使用するためのエポキシ樹脂反応性希釈剤は式Vの線状末端部分を包含し:
Figure 0004611457
Vは1,2の形式を有し、線状であることができる式VIの内部部分:
Figure 0004611457
または式VIIのような脂環式部分:
Figure 0004611457
(式中、Rは3ないし4個の炭素原子を有し、式VIIに示す2個の炭素原子とともにシクロペンチルまたはシクロヘキシルのような脂環式基を形成する)である。脂環式基はたとばアルキル基で置換または無置換させることができる。内部エポキシ基を含有する物質は外界温度で硬化遅延剤として働くことが見出された。
脂環式タイプの内部エポキシ物質にはリモネンモノオキシド;シクロヘキサンオキシド;ビニルシクロヘキセンモノオキシド;3,4−エポキシシクロヘキシルメチルー3,4−エポキシシクロヘキサンーカルボキシレート(Union Carbide Corp.から市販されているERL−4221);およびビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート(Union Carbide Corp.から市販されているERL−4299)がある。混合エポキシ、すなわち1,2−および脂環式エポキシド基はビニルシクロヘキセンジオキシドおよびリモネンジオキシドを包含する。内部線状エポキシド基の例はElf Atochem North America,Inc.、Bloomington、Minnesotaから供給されるVIKOFLEX9010のようなメチルエポキシリンシーデートを包含する。他の内部エポキシの例にはエポキシ化植物油ならびにエポキシ化不飽和脂肪酸および脂肪酸エステルがある。本発明の組成物中に用いられるエポキシの量は樹脂の重量を基準にして(B.O.R.)約1から約20重量%のような広範囲にわたることができ、好ましいレベルは約5から約10%B.O.R.である。
好ましいエポキシ化合物はアリルグリシジルエーテルおよびグリセリンのモノアリルエエーテルである。エポキシ化合物は典型的にはベンジルアルコールまたはベンジルアルコール誘導体とともに用いられる。しかし、一部のエポキシ化合物、とくにアリルグリシジルエーテルはベンジルアルコールまたはベンジルアルコール誘導体がなくてもフェノールの反応性希釈剤として使用することができる。他のエポキシ化合物は2−ブテンー1,4−ジオールのグリシジルエーテルである。
有機窒素含有添加剤
窒素含有添加剤は、本発明の組成物に使用されるときには多くの作用を有する。リン化合物を有する窒素含有添加剤は難燃性を改善する。NH部位を有する添加剤は加熱すると現場でホルムアルデヒド補捉剤として働き、またレゾールとともに反応性希釈剤として働く。有機窒素含有添加剤の別の重要な作用はアミドまたはシッフ塩基の加水分解による後での現場の酸の中和がアンモニアまたは有機アミンを放出することである。窒素化合物のさらに他の作用は潜伏性酸硬化剤の存在下で室温または外界温度において混合寿命を延ばすことである。典型的な化合物には1−5%B.O.R.のレベルのホルムアミド、または1−10%B.O.R.のレベルで用いられるN−メチルー2−ピロリジノンもしくはN−ビニルー2−ピロリジノンがある。
好ましい態様はN−ビニルー2−ピロリジノンとベンジルアルコールとの混合物を使用する。
アルカリレゾール、たとえば中和して酸性pHにする前のレゾール樹脂は、1ないし4%B.O.R.のレベルの尿素、エチレン尿素、第一級ニトロパラフィン類たとえばニトロメタン、ニトロエタン、または1−ニトロプロパンのようなホルムアルデヒド捕捉剤と処理することができる。
窒素含有添加物は第二級アミド、たとえばN−アシル化アリールアミン類、またはN−アシル化ナフチルアミン類、またはN置換アリールスルホンアミド類から選ぶ事ができる。N−アシル化アリールアミン類は式VIIIによってつぎのように定義される:
Figure 0004611457
(式中、R4およびR5は独立してH、炭素が1−4個のアルキル、およびフェニルからなる群から選ばれる)。N−アシル化ナフチルアミン類は式IXによってつぎのように定義される:
Figure 0004611457
(式中、R4およびR5は上記同様に定義される)。
典型的なN−アシル化アリールアミンはアセトアニリド(C65NH(COCH3))である。
N置換アリールスルホンアミドは式Xによって次のように定義される:
Figure 0004611457
6は炭素が1−4個のアルキルまたは炭素が2−4個のヒドロキシルアルキルからなる群から選ばれる。R5は上記のように定義される。典型的なN置換アリールスルホンアミドはN−ブチルベンゼンスルホンアミドまたはN−ヒドロキシプロピルベンゼンスルホンアミドである。
アセトアニリドまたはアリールスルホンアミド類のような第二級アミドは−NH部位においてホルムルデヒドまたはメチロール基と反応することができる。Unitex Chemical Corp.、Greensboro、North Caroiinaから入手可能なUNIPLEX214および225可塑剤のようなベンゼンスルホンアミド誘導体は、5%B.O.R.で用いるとき、樹脂中の約0.75%の硫黄に相当する約15%の硫黄を含有する。
窒素含有添加剤は下記のように式XIによって定義されるN置換アリールアミン類から選ぶことができる。
Figure 0004611457
(式中、R6は先に定義したR6基から独立して選ばれる。)
典型的なN置換アリールアミンはN−フェニルジエタノールアミンである。
窒素含有添加剤は典型的には上記のようにベンジルアルコールまたはベンジルアルコール誘導体反応性希釈剤とともに用いられる。しかし、上記の有機窒素含有添加剤、たとえばN−アシル化アリールアミン、N−アシル化ナフチルアミン、またはN置換アリールスルホンアミドは単独で反応性希釈剤としてまたは他の反応性希釈剤とともに使用することができる。
シラン類
フェノール樹脂は有機官能性シランカップリング剤とともに配合することもできる。典型的なシランのレベルは0.1ないし1.5%B.O.R.である。シランは好ましくは表面にヒドロキシル部位を有する充填剤、たとえば凝集体とともに用いられる。このような充填剤にはアルミナ、シリカ、ガラス繊維、ガラス布、および耐酸性ケイ酸塩製のものがある。若干の特定シランはγーアミノプロピルトリエトキシ(またはトリメトキシ)シラン、N−β−アミノエチルーγーアミノプロピルトリメトキシシラン、γーウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−エチルトリメトキシシラン、トリス(3−メトキシシリル)プロピルイソシアヌレート、およびN−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランである。
種々の添加剤
凝集体、ガラス繊維、またはガラスマットを湿潤および/または分散させるために有利な界面活性剤、とくに湿潤および/または分散剤を樹脂中に含有させることもできる。
実施例
当業者がここに提示する本発明をさらに十分に理解できるように、つぎの手順および実施例を示す。文脈が他を示さなければ、実施例のみならず本出願のほかの所における部および百分率はすべて重量単位でありまた室温は24±1℃である。文脈が他を示さなければ、硬化反応を示す時間は混合物を調製したときから出発して混合物が効果するまでの時間である。
手順、樹脂の調製、および性状
樹脂Aは、触媒として水酸化ナトリウムの存在下でホルムアルデヒド1.65モル当たりフェノール1モルのモル比でフェノールとホルムアルデヒドとを反応させることによって調製したフェノルレゾール樹脂であるジフェニルホスフィットで5−6のpHNI中和する前の樹脂は次の性状を有した:遊離フェノール約8.5重量%;遊離ホルムアルデヒド約2.5重量%;水分約8.5%;pH約7.6;ならびに重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)はそれぞれ約320及び約230。
とくに規定のない限り樹脂Aはそのままか、または8.5重量%の添加剤とともに樹脂を使用した。添加剤はベンジルアルコール、アニシルアルコール、ベンジルアルコールとアニシルアルコールとの1:1の混合物、およびノニルフェノールから選んだ。アルコール添加剤を有する樹脂の粘度は1250cps±150cps(25℃)であったがノニルフェノールを有する樹脂は粘度がさらに大きかった。
下記の多くの実施例中では、樹脂Aを中和前に2%の1−ニトロプロパン/ニトロエタン(60/40)で処理した。これによって、pH5−6への中和およびベンジルアルコール添加後に遊離ホルムアルデヒドは約1.3%に減少した。
樹脂AはpHを5−6に中和する前に使用できるが、酸または潜伏性酸硬化剤のレベルを増すのが望ましい。たとえば、アルカリ性レゾールとともに用いるときには、硬化させるのに1ないし2%の補助的ホスフィットがすすめられる。
フェノール樹脂酸触媒配合物の定性的流動に及ぼす添加剤の効果の測定法
この方法は定性的流動法ともいう。この方法のすべてまたは一部は混合物の流動および硬化速度を測定するために多くの例で用いられた。また、流動または硬度に関する用語の定義をここに説明する。ここに含まれる実施例中他に規定がなければ、すべての方法は次の通りである。各実施例に示されたように、また溶解を行った後、ガラスのバイアル(28mm×57mm)に樹脂、添加剤、および溶剤(もしあれば)を充填し、ホスフィット触媒を加えて1分間十分に混合する。室温に放置中種々の時間間隔でバイアルを直角、すなわち横向きに置くことによって配合物の相対粘度を観察した。とくに規定がなければ、種々の観察のために記録した時間および粘度または流動の変化は配合物を調製したときから観察時間まで示される。配合物は最初は全く流動性であったが一般に時間が経つと動かなくなり、また不粘着になった。粘度上昇の初期の兆候は曇りで、さらに進んだ兆候は組成物が不透明になることである。
動かなくなった配合物をアプリケーターのスティックで探って相対的流動度を調べた。粘度が増すにつれて、組成物の流動度は流体から、ねばつく粘着性ないしタフィー状粘着性というスティックに付着する粘着性外観、さらに不粘着(組成物から引き抜いたスティックはきれいで樹脂が付いていない)までさまざまである。不粘着状態はスティッククリーン(stick clean)ともいう。スティックハード(stick hard)は配合物ともいう組成物を貫通しようとするとアプリケーターのスティックが曲がるか折れるような組成物の硬化状態を指す。アプリケーターのスティックは直径2mmのロンググレインバーチウッド(long grain birch,wood)でAmerican Scientific Products(Mcgraw Park、Illinois,Cat.NO.A−5000−1)から供給される。さらに、いくらかの場合には比較粘度上昇または硬度増大を記録した。たとえば3>2>1は配合物3の粘度は配合物2の粘度よりも大きく、また配合物2の粘度は配合物1の粘度よりも大きいことを意味する。
実施例1−パネル調製のRTM(樹脂トランスファー成形)模擬実験
RTM模擬実験を開放式金型で行った。この金型は厚さ1/4°のステンレス鋼板製で三面に1/8°テフロンスペーサーを用い、上面は開放であった(さらに金型充填が容易なように面取りしてある)。この金型は容量まで満たすと、約150グラムの樹脂溶液から61/2°×83/8°×1/8°の樹脂パネルを生成した。このシリーズのテストはすべて100ないし150グラムの樹脂溶液から作った。金型は離型剤で拭ってから80℃に予熱することによって準備した。
樹脂溶液はDover Chemical Corp.、Ohio、製の9%B.O.R.ジフェニルホスフィット硬化剤DOVERPHOS213−LPを含有した。この溶液は室温で調製して硬化剤を手で混合した。つぎに空気の伴入を除くためにこの溶液を超音波処理して、予熱した金型内に注入した。金型は直ちに80℃のオーブンに入れた。すべての金型試験は80℃のオーブンで40分行った。40分のオーブン時間が完了すると直ちにオーブンから取出して開けた。次に得られたパネルを手で縦方向に曲げて曲げる能力さらには丸める(もしできれば)能力をも調べた。表1は試料1−6の曲げ試験の結果を示す。試料番号1−3は試料の第1組である。試料4−5は第2組を形成し、試料7および8は表1に注記した場合を除き第3組を形成する。各組は樹脂Aの異なるバッチからつくった。
アニシルアルコール含有樹脂はオーブンから金型を取出す少なくとも10分前にスティックハード(すなわちアプリケータースティックを用いて強く押しても熱塊に突き通らなかった)であった。対照的にベンジルアルコールを有する樹脂はオーブンから取出すと若干ゴム状を呈した。
迅速に硬化する能力は、熱い部分硬化した造形物を型から取出す用途(たとえばRTM、SCRIMP)にとって重要である。造形物が変形するのは極めて望ましくないと思われる。
Figure 0004611457
表1の結果は、ベンジルアルコールを用いた場合よりもアニシルアルコールを用いるかまたはアルコールを加えない場合の方が堅いパネルに硬化したことを示す。しかし、実施例2で述べるように、アニシルアルコールは衝撃強度を改善した。ベンジルアルコール:アニシルアルコール(1:1)を使用すると、ベンジルアルコールとアニシルアルコール単独との中間の可撓性に達した。
実施例2−ティスクの衝撃試験
ほゞ平らな表面と凹形の底面を有する直径39mmの円形ディスクを用意した。ディスクは外縁の最も厚いところが5mmで、中央はほゞ4mmであった。ディスクは次ぎのように作った。
ディスクの調製
1.上記の13%B.O.R.で使用したジフェニルホスフィット
2.50mlのプラスチックビーカー中に6.3±0.03グラムの3個のディスクを入れるのに十分な量の樹脂A、硬化剤、および場合によりアルコールを調製した。
3.ビーカーはAmerican National Can、Greenwich、Connecticut製のPARAFILM“M”実験用フィルムで覆い、室温で一夜間放置して硬化ディスクを形成させた。
4.ディスクは室温で23−24時間放置後木製アプリケータースティックで突き刺して堅さを調べた。
5.ディスクは65℃のオーブンで熱いうちにスティックハードに硬化させた。これは通常わずか1時間を要するが、2時間をも要することがある。
6.冷却してラベル貼り後、ディスク表面をペーパー仕上げして注入の間にできたと思われる“リップ”を除去した。
7.ディスクを秤量した(3個一緒)。
8.ディスクを80℃で2時間および100℃で1時間後硬化させた。十分な冷却/平衡時間後ディスクの減量を測定した。ディスクは室温に貯蔵し、翌日耐衝撃と硬度を試験した。65ないし100℃で認められるディスクの減量は0.6ないし1%、ほとんど0.8±0.1%である。試料ディスクのショアD硬度はすべて約88±2である。
衝撃試験
衝撃試験はディスクに対して垂直に直角に置いた内径(ID)1.125インチ長さ28または36インチのプラスチックチューブを通してディスク上にステンレス鋼球を落下させることからなる。チューブの底はディスクよりも1.75インチ上にある。
一連の6種の試験がある。試験は漸次厳しくなる。いずれの時にも粉砕せずに球を2個落下させたら試験は合格と考えられる。生成物の合格は1種類の試験に2個以上のディスクを合格させることである。衝撃試験に使用した球およびチューブはつぎの寸法を有する。
小球=直径15/16インチの球、約55グラム
中球=直径1インチの球、約65グラム
大球=直径11/8インチの球、約95グラム
小管=長さ28インチ
大管=長さ361/2インチ
試験種:#1=小球/小管
#2=小球/大管
#3=中球/小管
#4=中球/大管
#5=大球/小管
#6=大球/大管
衝撃試験の結果を表2に示す。表2において、試料番号1−4、5−7、および8−10はそれぞれ、樹脂Aの異なるバッチからつくられたと思われる別の試料組である。試験は3回行う。衝撃試験の結果は一定の試験に合格した試料の数と不合格(破損した)試料の数を挙げてある。たとえば表2の試料No.1では2個のディスクが6種の試験すべてに合格したが1個のディスクは試料No.1に“x”で記したように第2種の試験で破損した。
表2は試料No.1および2が6種の試験に合格した(すなわち2個のディスクが破壊しなかった)が1個のディスクはそれぞれ第1種と第2種の試験中に破壊したことを示す。試料4および7はいずれのディスクも第1種の試験に合格しなかった、すなわち3個すべて破壊した。これは明らかに、アニシルアルコール、ベンジルアルコールまたはアニシルアルコールとベンジルアルコールとの混合物の耐衝撃性に対する利点を示す。
sec−フェネチルアルコール(αーメチルベンジルアルコールともいう)の耐衝撃性をも測定した。この耐衝撃性は、アルコールを用いずにつくった試料とベンジルアルコールを用いて作った試料との中間であることがわかった。2%の1−ニトロプロパン/ニトロエタン(60/40)ホルムアルデヒド捕捉剤で処理した樹脂Aはアニシルまたはベンジルアルコールを用いると、アルコールを有しないものと比べて優れた耐衝撃性に達した。
衝撃ディスク調製時の過剰の溶液を密閉ガラスバイアル中に室温で24時間放置した。アプリケータースティックで定性的に調べた動かなくなった硬化塊の硬度は次ぎのように増大した:アニシルアルコール>ノニルフェノール>ベンジルアルコール>4−メチルベンジルアルコール。
Figure 0004611457
実施例3
ハンドレイアップ評価
繊維を含有した積層物に及ぼす本発明の効果を調べるために、つぎのデータを得る実験を行った。つぎのデータは3種類の積層物試料の繊維含有量のデータを含む。これは試料の強度値の標準化を可能にした。フェノール積層物の粘度はポリエステル積層物のようには制御されなかったように思われる。いずれにしてもフェノールパネルははるかに厚く、したがって繊維系の試験である強度およびモジュラスの数字はポリエステル積層物よりも約15ないし20%小さい。しかし、標準化すると、3種類の積層物の値は全く同程度になる。
ポリエステルはINTERPLSTIC75−200−319イソフタル酸系ポリエステル(Interplstic Corp.、Vadnais Heighs、Minnesota製)であった。ポリエステル積層物は75°Fで1日、さらに約80°ないし約90°Fで数日間硬化させ、高温での後硬化は行わなかった。フェノール積層物は75°Fで1さらに約80°から約90°Fで数日間硬化させた。ついで、後記のように積層物を切断し、各積層物の一部は140°Fで6時間後硬化させ、各積層物の別の部分は後硬化しなかった。フェノール積層物は55から56%(重量)の樹脂を含み、ポリエステル積層物は48%の樹脂を含み、残りはガラス繊維であった。ガラス繊維強化材は後記のように種々の形で用いられ、樹脂と混合されて約600cpsの混合粘度を有した。強化材の湿潤は適当と思われた。
大抵のフィールドワークを代表するとともに比較的高構造強度生成物を得るためにつぎの材料を使用した。本実施例の各積層物パネルは下記材料をすべて包含した。
1層:ガラス繊維ベールマット
1層:18オンスのロービングガラス繊維織物(WR)
1層:1オンスのチョップトストランドマット(csm)
1層:18oz.のWR
1層:1oz.のcsm
1層:18oz.のWR
1層:1oz.のcsm
1層:18oz.のWR
1層:1oz.のcsm
1層:WR
試験パネルの構成
1.ガラス板に離型剤を適用した。樹脂は2%の1−ニトロプロパン/ニトロメタン(60/40)混合物で処理した後、pH5−6に中和してからベンジルアルコール(81/2%B.O.R.)を加えた。
2.樹脂の300gバッチを使用した。樹脂の300gバッチに、2%の蒸留水、およびBorden,Inc.、Forest Park、Illinois製の10%SUPER SET BW70(70%ベンゼンスルホン酸)で予備処理した13%ジフェニルホスフィットを加えることによって触媒化樹脂を調製した。得られた粘度は24−25℃において約500−600cpsであった。
3.この後直ちに次ぎのようにレイアップを開始した。
(A)ガラス板の成型面に樹脂をハケ塗りした(約14×14成型面)。
(B)強化材層はすべて約13×13に切断した。第1層(ベールマット)を適用した。シトレーテッド(citrated)ローラーを用いて強化材を湿潤させ、また空気をすべて除いた。
(C)ロービング織物の第1層を適用した後刷毛で樹脂を飽和させた。シトレーテッドローラーを用いて空気を除去し、飽和を完了させた。
(D)csmの第1層を適用した。ついで試料を飽和させ、空気を押出した。
(E)すべての層を置くまで工程CおよびDを繰り返した。ロービング織物を最後に置いた。
注:上記手順のほぼ中途で樹脂の300gバッチがさらに必要になった。樹脂は、26割り当て量を調製の10−15分以内に使用した。いったんレイアップに適用すると1ないし2時間の間は樹脂は処理可能であった。
観察
全レイアップ時間は30分であった。レイアップ中の樹脂の粘度は2 1/2時間で、もはや処理できなくなる堅くないゲルまで徐々に増大した。3 3/4時間で試料は非常に軟らかいゲルから始まって白くなり始めた。5 3/4時間で試料は純白色の堅いゲルになった。15 1/2時間で積層物は堅いゲルになった。試料の金型からの取出しはこの時点で可能と思われたが試みなかった。
75°Fの平均保持温度で23時間後に積層物をガラス板から取り去った。優れた離型が認められた。パネルはエッジトリムして秤量した。フェノールパネルは半分に切断した。半分は観察するために室温に置いた。他の半分は140°Fで6時間後硬化させた。いずれの半分のパネルにも反りは認められなかった。典型的な開放金型湿式レイアップ操作へのこのフェノール樹脂の使用は、すなわちポリエステル、ビニルエステルまたはエポキシと同様に簡単であった。
表3−5は本発明のフェノール樹脂(表3−4)とポリエステル(表5)との曲げ強度および曲げ弾性率の比較を示す。曲げ強度のデータはASTM−D−790(曲げ弾性率を含む)に従って一般化した。
表3−8の結果から140°F(60℃)で後硬化させたフェノール系は、樹脂含量およびパネルの厚さを標準化したとき、イソフタル酸系ポリエステルとそれぞれ同等およびほゞ同等の曲げ強度および引張強度を示したことがわかる。
フェノール系を後硬化しても引張強度には効果がなかったが、曲げ強度には多少の増大をもたらした。
Figure 0004611457
Figure 0004611457
Figure 0004611457
実施例4
アニシルアルコールと対比したベンジルアルコールに関する樹脂の室温反応性
それぞれフェノール樹脂、ベンジルアルコール、およびジフェニルホスフィットの溶液2.5グラムを含有する2つのバイアルを調製して覆いをした。溶液は樹脂A、8 1/2重量%B.O.R.ベンジルアルコール、および13重量%B.O.R.ジフェニルホスフィットを含有した。また、それぞれ樹脂A、アニシルアルコール、およびジフェニルホスフィットの溶液2.5グラムを含有する2つのバイアルをも調製して覆いをした。この溶液は8 1/2重量%B.O.R.アニシルアルコール、および13重量%B.O.R.ジフェニルホスフィットを含有した。樹脂Aはベンジルまたはアニシルアルコールを加える前にpHを5−6に調節した。各バイアル対の1方は110°F(43℃)のオーブンに入れ、他方は室温(R.T.)に放置した。
110°Fに置いた試料については、1時間後には溶液は透明で流動的であった。2時間後には、配合物は不透明になりゲル化した。さらに2時間後、アニシルアルコールを有する配合物は実質的にスティックハード(すなわちアプリケータースティックを突き刺すとスティックが曲がるかまたは折れる)になったが、ベンジルアルコールを有する混合物はわずかに粘着性があった。
室温の試料については、24時間後アニシルアルコール含有試料はほとんどスティックハードであった。対照的にベンジルアルコール含有試料はスティックハードではなかった(したがってアニシルアルコール含有試料よりも軟らかい)。この実施例は、硬化速度の意外な増大がアニシルアルコールの使用によって達成されたことを示す。
実施例5
パネルの衝撃および曲げに対する尿素およびエチレン尿素(ホルムアルデヒド捕捉剤)の効果の試験
pH5−6に中和され、かつベンジルアルコールを含有する樹脂Aに表9に示す成分を加え、さらに9%ジフェニルホスフィットを加えた。
Figure 0004611457
これらの樹脂から衝撃用ディスクを調製して室温で一日間硬化させた。表9のように、試料2および3はほぼ同程度の屈曲性を有し、試料1は試料2または3よりも屈曲性が大きかった。この実施例から尿素含有物質は大きな硬度に達することが分かる。試料1−3の耐衝撃性を測定して実質的に同等であることが分かった。
実施例6
アリールホスフィットおよびベンジルアルコールを用いる酸硬化可能なレゾールの混合寿命を延ばす方法
次の溶液を作った。
予備反応溶液#1
8.5gのベンジルアルコール(BZOH)
6.0gのジフェニルホスフィット(DPP)
予備反応溶液#2
4.25gのベンジルアルコール
6.5gのジフェニルホスフィット
両溶液は室温で調製した後65℃のオーブンで1/2時間加熱した。表10に示すように一連の配合物をつくった。表10の各配合物は5.0gの樹脂A(未中和)を包含した。
Figure 0004611457
調製直後に、各配合物1.0gを小試験管に入れ、アプリケータースティックを差し込み、試験管を沸騰水浴(100℃)に浸けた。ゲルハードまでの時間を観察して観察した時間を表11に記す。
Figure 0004611457
この実施例から、アルコール類の樹脂への添加に続くホスフィット硬化剤の添加に関連するベンジルアルコールとアリールホスフィットとの予備反応が室温に置ける配合物の寿命を著しく長くする一方高温においてはかなり迅速な硬化をもたらすことが明らかに分かる。
実施例7−14
ガラス布強化RTM積層物の物理的性質に及ぼす耐衝撃性改良剤の効果
つぎの実施例では樹脂Bを使用した。樹脂Bは、ジフェニルホスフィットによるpH調節およびアニシルアルコール:ベンジルアルコール(1:1)添加前の前記樹脂Aの中間形態である。
樹脂Bは下記とみなされる。
固形分% 約77
フェノール% 約9
水分% 約8
粘度cps(25℃) 約2300
分子量Mw 約340
樹脂Bに表12に挙げた種々の添加剤を加えた。特に規定しなければ添加剤は樹脂重量を基準にして8%を添加した。
Figure 0004611457
実施例15−31
耐衝撃性に及ぼす添加剤の効果
つぎの実施例は、前記の樹脂B(とくに他に規定しないかぎり)また表13に挙げた添加剤を含む樹脂Cを使用した。樹脂Cは、樹脂Bを作ったと同様の方法で作ったフェノール樹脂である。しかし、樹脂Cは触媒として水酸化カリウムを存在させて作った。
ディスク調製
前記樹脂の1つをジフェニルホスフィット(DPP)(1.6%B.O.R.)および通常3−5%B.O.R.で加えられる候補物質で中和した。潜伏性酸硬化剤DPP(配合樹脂の13%)を加えた。50mlのビーカーに6.3g.の配合物を加え、配合物に蓋をして24時間放置した後65℃で1から2時間加熱することによって硬化ディスク(直径1,5インチ×厚さ0.375インチ)を通常少なくとも3組調製した。ディスクを容器から取出し、縁のフランジを紙やすりで取り去り、秤量した後80℃で2時間に続いて100℃で1時間加熱した。ディスクを室温で再秤量して減量を測定した後耐衝撃性を試験した。65ないし100℃でディスクを加熱する間に0.8−0.9%の減量が認められた。125℃で2時間加熱するとさらに1%減量した。
衝撃試験
硬化ディスクを硬質木材ベースの上に置いて前記のように漸増衝撃試験を行った。
6種の衝撃試験に合格したディスクは多くの場合125℃で2時間さらに加熱した。冷却して室温でコンディショニングして衝撃試験を繰り返した。衝撃試験の結果は表13に示す。幾つかの場合に対照品(添加剤なし)は第1種試験で合格しなかった。すなわち、3個の試料中少なくとも2個は破損した。
Figure 0004611457
表13のデータは、アニシルアルコールを含有せず、80−100℃の後硬化後樹脂Aと少なくとも同程度に機能しまた125℃の後硬化後有望さを示した系を明示する。これらの系は二成分系の1,3−ブチレングリコール(BD)/アセトアニリド、BD−UNIPLEX214(または225)、BD/ジベンジルエーテル、ジベンジルエーテル/UNIPLEX214,およびアリルグリシジルエーテル単独を包含した。
上記のことを考慮すると、前記の開示した態様には、本発明の精神および範囲内にありながら多くの変更を実施できることは明らかな筈である。したがって本発明は前記の記述によってではなく、添付クレームによって説明される。

Claims (11)

  1. (a)酸硬化可能なフェノールレゾール樹脂からなるフェノール樹脂
    (b)該フェノール樹脂を基準として5から15重量%の、ベンジルアルコールまたはアニシルアルコールから選ばれる少なくとも1種の添加剤;および
    (c)潜伏性酸からなる群から選ばれる硬化剤
    を含む酸硬化可能なフェノールレゾール樹脂の耐衝撃性および可撓性を改善するための組成物。
  2. 該フェノール樹脂がさらにノボラック樹脂を含む請求項1記載の組成物。
  3. 該添加剤がアニシルアルコールである請求項1記載の組成物。
  4. 該添加剤がベンジルアルコールとアニシルアルコールを含む請求項1記載の組成物。
  5. 尿素、エチレン尿素、ホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、およびN−ビニル−2−ピロリジノンからなる群から選ばれる少なくとも1つの窒素含有化合物をさらに含む請求項1記載の組成物。
  6. 線状末端エポキシ部分、線状内部エポキシ部分、および脂環式エポキシ部分からなる群の少なくとも1員を含むエポキシ樹脂をさらに含む請求項1記載の組成物であって、該組成物の1から20重量%が該エポキシ樹脂である組成物。
  7. 請求項1記載の組成物と、粒子および繊維からなる群の少なくとも1員から選ばれる充填剤で、該充填剤が無機材料、有機材料、セラミック材料および金属材料からなる群から選ばれる少なくとも1つの材料からなる充填剤とを含む混合物
  8. 請求項7記載の混合物からなる造形品。
  9. 請求項1記載の組成物と、粒子および繊維からなる群の少なくとも1員から選ばれる充填剤で、該充填剤が無機材料、有機材料、セラミック材料および金属材料からなる群から選ばれる少なくとも1つの材料からなる充填剤と、少なくとも1つのシランカップリング剤とを含む混合物
  10. 請求項9記載の混合物からなる造形品。
  11. N−アシル化アミンまたはN−置換アリールアミンをさらに含む、請求項1記載の組成物。
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