JP4611335B2 - 有機発光素子および発光材料 - Google Patents

有機発光素子および発光材料 Download PDF

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Description

本発明は、平面表示パネルやこれに用いられるバックライト用の有機発光素子(OLED)およびその製造方法およびその発光材料に関するものである。
有機発光素子は、1987年にコダック社のC.W.Tangらにより高輝度の発光が示されて(非特許文献1参照。)以来、材料開発、素子構造の改良が急速に進み、最近になってカーオーディオや携帯電話用のディスプレイなどから実用化が始まった。この有機ELの用途を更に拡大するために、発光効率向上、耐久性向上のための材料開発、フルカラー表示の開発などが現在活発に行われている。特に、中型パネルや大型パネル、あるいは照明用途への展開を考える上では発光効率の向上による更なる高輝度化が必要である。
これらの発光材料としては従来からアルミキノリニウム錯体(Alq3)等の金属錯体が、発光効率がよい為、発光強度が高く、よく用いられてきた。しかしながら、これら低分子系材料を有機発光素子の発光層に形成するには真空蒸着等の手法が用いられ、素子の生産工程でデメリットとなっていた。Nature 397(1999)121にはポリパラフェニレンビニレン(PPV)やこの誘導体(MEH-PPV)のようなπ電子共役系高分子が発光材料となることが記載されており、時計のバックライト等に一部用いられ始めている。これら高分子系材料はキャスティング法での成膜ができるため生産工程上のメリットとなるだけでなく、低分子系発光材料に比べて耐久性が良好であるというメリットを有する。しかしながらこれらは低分子系発光材料に比べ、発光効率が低いというデメリットを有する。
これらで検討された発光材料で利用されているのは励起一重項状態からの発光、すなわち蛍光であり、非特許文献2によれば、電気的励起における励起一重項状態と励起三重項状態の励起子の生成比が1:3であることから、有機ELにおける発光の内部量子効率は25%が上限とされてきた。
これに対し、M.A.Baldoらは励起三重項状態から燐光発光するイリジウム錯体を用いることにより外部量子効率7.5%(外部取り出し効率を20%と仮定すると内部量子効率は37.5%)を得、従来上限値とされてきた外部量子効率5%という値を上回ることが可能なことを示した(非特許文献3、特許文献1参照。)。しかし、ここで用いられているイリジウム錯体のように常温で安定に燐光を発する材料は極めて稀であるため材料選択の自由度が狭く、また実際の使用に当たっては特定のホスト化合物にドープして使用する必要があるなど、ディスプレイの仕様を満たすための材料選定が極めて困難であるという欠点を有していた。
これに対し、同じくM.A.Baldoらはイリジウム錯体を増感剤として使用し、この励起三重項状態から蛍光色素の励起一重項状態へエネルギーを移動させ、最終的には蛍光色素の励起一重項状態から蛍光を発光させることにより比較的良好な発光効率が得られることを示した(非特許文献4)。この方法は発光材料として数多い蛍光色素から目的に合うものを選定して使用できるという利点を有している。しかし、この方法においては、増感剤の励起三重項状態から蛍光色素の励起一重項状態へのエネルギー移動というスピン禁制の過程が含まれているため、原理的に発光量子効率が低いという大きな欠点があった。
「アプライド フィジカル レター(Applied Physical Letter)」,1987年,第51巻,p.913 「月刊ディスプレイ「有機ELディスプレイ」」,1998年,10月号別冊,p.58 「アプライド フィジカル レター(Applied Physical Letter)」,1999年,第75巻,p.4 Nature,403巻,750頁,2000年 国際公開第00/70655号
上記のように、有機発光素子に用いられる発光材料として、従来から言われている蛍光発光の外部量子効率の限界値である5%を越えるものは未だ存在しない。また、高発光効率材料は、エネルギー損失が少なく、素子の発熱が抑えられるため、素子の耐久性向上の観点からも要望されている。本発明は、このような従来技術の問題点を解決し、高輝度で耐久性のある有機発光素子、およびこれに用いられる発光材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々検討した結果、少なくとも一種の発光化合物を含む重合性組成物を膜状に形成した後に重合することにより得られる高分子系発光材料が、耐久性、加工性が良好であることを見出し、さらに本方法で発光物質(発光性部分)を高分子によって固定化することにより、励起三重項状態からの高効率発光または励起三重項状態を経由する高効率発光が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発光材料、有機発光素子およびその製造方法に関する。
[1] 少なくとも一種の発光化合物を含む重合性組成物を膜状に形成した後に重合することにより得られる高分子系発光材料。
[2] 発光化合物が重合性発光化合物であることを特徴とする[1]に記載の高分子系発光材料。
[3] 重合性発光化合物の少なくとも1種が2個以上の重合性官能基を有する架橋重合性発光化合物であり、重合後の高分子が架橋型高分子であることを特徴とする[2]に記載の高分子系発光材料。
[4] 重合性組成物中に少なくとも一種の発光化合物以外の重合性化合物を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の高分子系発光材料。
[5] 発光化合物以外の重合性化合物の少なくとも一種が重合性電子輸送性化合物であることを特徴とする[4]に記載の高分子系発光材料。
[6] 発光化合物以外の重合性化合物の少なくとも一種が2個以上の重合性官能基を有する架橋重合性化合物であることを特徴とする[4]に記載の高分子系発光材料。
[7] 発光化合物の発光性部分の発光機構が電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移によるものであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の高分子系発光材料。
[8] 発光化合物の発光性部分の発光機構が励起一重項状態から基底状態への遷移による蛍光であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の高分子系発光材料。
[9] 発光性部分が金属錯体構造であることを特徴とする[7]または[8]に記載の高分子系発光材料。
[10] 発光性部分が遷移金属錯体構造であることを特徴とする[7]または[8]に記載の高分子系発光材料。
[11] 発光性部分が軽金属錯体構造であることを特徴とする[7]または[8]に記載の高分子系発光材料。
[12] 発光性部分が希土類金属錯体構造であることを特徴とする[7]または[8]に記載の高分子系発光材料。
[13] 発光性部分の錯体構造形成部分に窒素原子を含むことを特徴とする[9]〜[12]のいずれかに記載の高分子系発光材料。
[14] 発光性部分の錯体構造形成部分にピリジン骨格、ピリミジン骨格及び/またはキノリン骨格を含むことを特徴とする[13]に記載の高分子系発光材料。
[15] [1]〜[14]のいずれかに記載の高分子系発光材料が用いられた有機発光素子。
[16] [1]〜[14]のいずれかに記載の高分子系発光材料からなる発光層の両面および/または片面に塗布成膜型電子輸送層および/または塗布成膜型ホール輸送層が成膜されていることを特徴とする[15]に記載の有機発光素子。
[17] 少なくとも一種の発光化合物を含む重合性組成物を電極または電荷輸送層上に膜状に形成したした後、当該重合性組成物を重合させることにより発光層を形成することを特徴とする有機発光素子の製造方法。
[18] 発光化合物が重合性発光化合物であることを特徴とする[17]に記載の有機発光素子の製造方法。
[19] 重合性発光化合物の少なくとも1種が2個以上の重合性官能基を有する架橋重合性発光化合物であり、重合後の高分子が架橋型高分子であることを特徴とする[18]に記載の有機発光素子の製造方法。
[20] 重合性組成物中に少なくとも一種の発光化合物以外の重合性化合物を含むことを特徴とする[17]〜[19]のいずれかに記載の有機発光素子の製造方法。
[21] 発光化合物以外の重合性化合物の少なくとも一種が重合性電子輸送性化合物であることを特徴とする[20]に記載の有機発光素子の製造方法。
[22] 発光化合物以外の重合性化合物の少なくとも一種が2個以上の重合性官能基を有する架橋重合性化合物であることを特徴とする[20]に記載の有機発光素子の製造方法。
[23] 発光化合物の発光性部分の発光機構が電子エネルギー準位の励起三重項状態から基底状態への遷移あるいは励起三重項状態を経由しての基底状態への遷移によるものであることを特徴とする[17]〜[22]のいずれかに記載の有機発光素子の製造方法。
[24] 発光化合物の発光性部分の発光機構が励起一重項状態から基底状態への遷移による蛍光であることを特徴とする[17]〜[22]のいずれかに記載の有機発光素子の製造方法。
[25] 発光性部分が金属錯体構造であることを特徴とする[23]または[24]に記載の有機発光素子の製造方法。
[26] 発光性部分が遷移金属錯体構造であることを特徴とする[23]または[24]に記載の有機発光素子の製造方法。
[27] 発光性部分が軽金属錯体構造であることを特徴とする[23]または[24]に記載の有機発光素子の製造方法。
[28] 発光性部分が希土類金属錯体構造であることを特徴とする[23]または[24]に記載の有機発光素子の製造方法。
[29] 発光性部分の錯体構造形成部分に窒素原子を含むことを特徴とする請[25]〜[28]のいずれかに記載の有機発光素子の製造方法。
[30] 発光性部分の錯体構造形成部分にピリジン骨格、ピリミジン骨格及び/またはキノリン骨格を含むことを特徴とする[29]に記載の有機発光素子の製造方法。
[31] 重合性組成物中の重合性化合物の少なくとも一種が2個以上の重合性官能基を有する架橋重合性化合物である重合性組成物を陽極またはホール輸送層上に膜状に形成した後、架橋重合することにより形成した不溶性架橋型高分子系発光材料層の上にさらに電子輸送層を塗布成膜し形成させることを特徴とする[17]〜[30]のいずれかに記載の有機発光素子の製造方法。
本発明の重合性発光化合物を成膜することにより得られる非架橋及び/または架橋系高分子系発光材料を用いることにより、加工性が良好な有機発光素子が提供できる。さらに励起三重項状態のエネルギーを効率よく発光に変換することが可能となり、高輝度で耐久性のある有機発光素子を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の有機発光素子構成の一例を示す断面図であり、透明基板上に設けた陽極と陰極の間にホール輸送層、発光層、電子輸送層を順次設けたものである。また、本発明の有機発光素子構成は図1の例のみに限定されず、陽極と陰極の間に順次、1)ホール輸送層/発光層、
2)発光層/電子輸送層、のいずれかを設けたものでもよく、更には3)ホール輸送材料、発光材料、電子輸送材料を含む層、4)ホール輸送材料、発光材料を含む層、5)発光材料、電子輸送材料を含む層、6)発光材料の単独層、のいずれかの層を一層設けるだけでもよい。また、図1に示した発光層は1層であるが、2つ以上の層が積層されていてもよい。
本発明の高分子系発光材料においては少なくとも一種の発光化合物を含む重合性組成物を有機EL素子のベースとなる層上に膜状に形成(例えば塗布する)した後に、その重合性組成物を重合し高分子化することを特徴とする。重合性組成物とは、組成物中に少なくとも一種の(メタ)アクリル基、ビニル基、スチリル基、イソシアネート基、チオイソシアネート基等の重合性官能基を有する重合性化合物を含むことを意味する。重合性化合物中の重合性官能基の数が2個以上であれば、重合後の高分子が架橋構造となるため、用いる重合性化合物の少なくとも1種は2個以上の重合性官能基を有する架橋重合性化合物であることが好ましい。なお、ベースとなる層とは電極、電荷輸送層(ホール輸送層、電子輸送層)等を意味するが、有機EL素子の構成、製造方法によって異なる。
本発明の高分子系発光材料に用いられる重合性組成物中の重合性化合物としては、重合性官能基を有する発光化合物であってもよく、重合性官能基を有する電子輸送性化合物、重合性官能基を有するホール輸送性化合物であってもよく、その他の重合性化合物およびこれらの混合物であってもよい。本発明の発光化合物は上記の重合性官能基を有する発光化合物であることが好ましい。なお、本発明の高分子系発光材料に用いられる重合性組成物中に重合性官能基を有する発光化合物以外の重合性化合物が含まれる場合、本発明の高分子系発光材料はこれらの共重合体となる。
発光部分としてはスチルベン構造等の共役系構造、アルミニウムキノリウム錯体等の軽金属錯体や遷移金属錯体構造等があげられるが、安定性、設計自由性等の面で金属錯体構造が好ましい。
本発明の高分子系発光材料においては、励起一重項状態から発光する部分、即ち蛍光発光性部分及び/または励起三重項状態から発光する部分、すなわち燐光発光性の部分、あるいは励起三重項状態を経由して発光する部分を有する重合性発光化合物を含む重合性組成物をベースとなる層の上に膜状に形成した後に、その組成物を重合し高分子化することが好ましい。特に励起三重項状態から発光する部分、すなわち燐光発光性の部分、あるいは励起三重項状態を経由して発光する部分を有する重合性発光化合物を含む重合性組成物をそのベースとなる層の上に膜状に形成した後に重合し高分子化することが好ましい。ここでいう励起三重項状態を経由する発光とは燐光発光性の第1の化合物に当たる部分の励起三重項状態から蛍光発光性の第2の有機化合物に当たる部分の励起三重項状態へエネルギー移動が起こった後、第2の有機化合物に当たる部分から発せられる蛍光発光を指す。
上記燐光発光性の部分の励起三重項状態の量子効率の値として0.1以上が好ましく、更に好ましくは0.3以上であり、より一層好ましくは0.5以上である。これらの燐光発光性の部分に適用できる励起三重項状態の量子効率が高い化合物構造としては金属錯体構造を例示することができるが、何らこれに限定されるものではない。上記金属錯体構造の具体的な例としてはイリジウムや白金等を中心原子とする遷移金属錯体構造およびこれらの誘導体等の遷移金属錯体構造を挙げることができる。これらは室温付近でも比較的安定な励起三重項状態を有する点で好ましい。また、後述のように配位能のある官能基を有する高分子を遷移金属原子に配位させることにより容易に錯体化が行える点からも好ましい。また、これらの燐光発光性の部分に適用できる励起三重項状態の量子効率が高い他の化合物構造は、例えば“Handbook of Photochemistry,Second Edition(Steven L. Murovほか著,Marcel Dekker Inc.,1993)などから選ぶことができる。
上記の遷移金属錯体構造に使用される遷移金属としては、周期表において第1遷移元素系列は原子番号21のScから原子番号30のZnまでを、第2遷移元素系列は原子番号39のYから原子番号48のCdまでを、第3遷移元素系列は原子番号72のHfから原子番号80のHgまでを含める。
また上記の燐光発光性部分に適用できる金属錯体構造の他の具体的な例としては希土類金属錯体構造を例示することができるが、何らこれに限定されるものではない。この希土類金属錯体構造に使用される希土類金属としては、周期表において原子番号57のLaから原子番号71のLuまでを含める。
また発光性部分に適用できる金属錯体構造の他の具体的な例としては軽金属錯体構造を例示することができるが、何らこれに限定されるものではない。この軽金属錯体構造に使用される軽金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム等が上げられる。
本発明における発光性部分は非イオン性であることが好ましい。これは、発光性部分がイオン性である場合には、発光性部分を含む発光層に電圧を印加すると電気化学発光が起こり、この発光は応答速度が例えば分オーダーと極めて遅く、ディスプレイ用途には不適切であるためである。
本発明の発光性部分に用いられる金属錯体構造の中心金属となる金属原子は高分子の1つ以上の部位により拘束される。これを達成する方法は特に限定はされないが、配位結合による錯体化を始め、共有結合、電荷移動による錯体化、イオン結合等が挙げられる。この場合、配位子を高分子に結合させて錯体化させる方法が材料の設計および合成が容易であり特に好ましい。また、中心金属となる金属原子がイオンの場合には、前述の理由により発光性部分を中性(非イオン性)とする方法が採られ、純粋に配位結合のみからなる金属錯体構造ではなく、配位結合と共に金属イオンの価数を中和するに足りる共有結合を有する金属錯体構造(有機金属化合物構造)とする方法などが挙げられるが、何らこれに限定されるものではない。
また、上述した遷移金属錯体構造および希土類金属錯体構造に使用される配位子の構造としては、アセチルアセトナト、2,2’−ビピリジン、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、2−フェニルピリジン、ポルフィリン、フタロシアニン、ピリミジン、キノリン及び/またはこれらの誘導体などを例示することができるが、何らこれらに限定されるものではない。これらの配位子は、1つの錯体について1種類または複数種類が配位される。また、上記の錯体化合物として二核錯体構造あるいは多核錯体構造や、2種類以上の錯体の複錯体構造を使用することもできる。
本発明の好ましい発光材料である燐光性金属錯体構造における発光のメカニズムは以下のようになる。すなわち、電気的励起により最低励起一重項状態が25%、最低励起三重項状態が75%の割合で生成するが、遷移金属錯体構造や希土類金属錯体構造の場合には重原子効果により最低励起一重項状態から最低励起三重項状態への項間交差が起こりやすくなるため、最低三重項状態の比率が75%以上に増加する。この最低励起三重項状態から燐光を発光する遷移金属錯体構造のような場合には、燐光を発光する放射遷移と共に無輻射遷移が存在する。また、希土類金属錯体構造の場合には配位子の最低励起三重項状態の励起エネルギーが中心金属イオンへエネルギー移動し、中心金属イオンの励起準位から発光するが、この場合にも発光の放射遷移と共に無輻射遷移が存在する。これらの無輻射遷移は極低温にしない限りこれを抑えることができず、通常上記のような化合物の常温における発光は極めて微弱である。
しかし、本発明の好ましい燐光性金属錯体構造を有する発光材料では、発光性部分を分子レベルで高分子に固定することにより分子の振動が抑えられるため、励起エネルギーが分子の振動となって失われることがなくなる。また、励起三重項状態は酸素により失活するが、本発明の好ましい燐光性金属錯体構造を有する発光材料では、発光性部分を高分子内に閉じ込めることにより、酸素の進入を抑えることが可能である。
本発明に用いられる重合性発光化合物の具体的な例としては
のようなフェニルピリジン構造に重合性官能基が導入された金属錯体が挙げられる。
本発明の高分子系発光材料に用いる重合性発光化合物組成物中には電子輸送層を形成する電子輸送性化合物が含まれてもよい。電子輸送性化合物としては、Alq3(トリスキノリノールアルミニウム)などのキノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体などの既知の電子輸送材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。これらの電子輸送材料は単独でも用いられるが、異なる電子輸送材料と混合して用いてもよい。
本発明の高分子系発光材料に用いる重合性発光化合物組成物中に含まれる電子輸送性化合物は重合性を有する重合性電子輸送性化合物であってもよい。電子輸送性化合物が重合性であれば、本発明の高分子系発光材料に用いる重合性発光化合物組成物の選択の自由度が増すため、より好ましい。
重合性電子輸送性化合物としては、上記Alq3(トリスキノリノールアルミニウム)などのキノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体などの既知の電子輸送性化合物に少なくとも一種の(メタ)アクリル基、ビニル基、スチリル基、イソシアネート基、チオイソシアネート基等の重合性官能基を結合させた化合物が挙げられる。具体的にはビスキノリノールメタクリロイルオキシキノリノールアルミニウム、キノリノールビスメタクリロイルオキシキノリノールアルミニウム、メタクリロイルオキシオキサジアゾール、スチリルオキサジアゾール、ビススチリルオキサジアゾール等が挙げられる。重合性電子輸送性化合物においても、キノリノールビスメタクリロイルオキシキノリノールアルミニウム、ビススチリルオキサジアゾール等架橋重合性電子輸送性化合物が好ましい。
本発明の高分子系発光材料に用いる重合性発光化合物組成物中には他の重合性化合物が含まれていてもよい。本発明の高分子系発光材料に用いる重合性発光化合物組成物中に他の重合性化合物が含まれることにより、本発明の高分子系発光材料に用いる重合性発光化合物組成物の選択の自由度が増し、好ましい。
他の重合性化合物としては、本発明の高分子系発光材料の発光を阻害しないものであれば特に制限はなく、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、スチレン、スチルベン等が挙げられる。他の重合性化合物においても、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、スチルベン等の架橋重合性化合物が好ましい。
本発明の高分子系発光材料に用いられる重合性組成物は重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては上記の重合性官能基の重合を開始できるものであれば特に制限なく使用できる。また、重合性官能基の重合機構に応じて、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤等の使用が可能であるが、ラジカル重合開始剤が好ましい。さらに、重合開始剤の活性化機構で分類すれば、熱重合開始剤、光重合開始剤等を使用することができる。ここで、光重合開始剤とは可視光、紫外線、電子線、ガンマ線などのいわゆる活性エネルギー線で重合を開始させるものを意味する。
熱ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等のケトンパーオキシド類、ベンゾイルパーオキシド、デカノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ) 3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、t−ブチルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ 2−エチルヘキサノエート等のアルキルパーオキシエステル類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーカーボネート類等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モンフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のアセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−トリメチルシリルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン誘導体、メチルフェニルグリオキシレート、ベンゾインジメチルケタール、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどが挙げられる。
これらの重合開始剤の使用量は、本発明の重合性組成物の重量に対して、0.001質量%〜5質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%の範囲である。
本発明の少なくとも一種の発光化合物を含む重合性組成物はそのベースとなる層の上にコーティング法によって膜状に形成することができる。ベースとなる層はその有機発光素子の構成によって異なるが、図1の場合は3のホール輸送層となり、実施例11〜14ではITO陽極がベース層となる。また、本発明の少なくとも一種の発光化合物を含む重合性組成物をベース層上にコーティングする際には当該組成物を溶媒で希釈して塗布することもできる。溶媒希釈により、当該組成物の粘度を下げ、膜厚を薄くすることが可能となる。使用された溶媒は重合前、重合中あるいは重合後の加熱、減圧などの処理により、除去することができる。
本発明の高分子系発光材料からなる発光層の厚さは一概に限定はできないが、1nm〜10μmが好ましく、5nm〜1μmが更に好ましい。
本発明に係る有機発光素子では発光層の両側または片側にホール輸送層、電子輸送層を形成させることにより、さらに発光効率及び/または耐久性の改善を達成できる。
ホール輸送層を形成するホール輸送材料としてはTPD(N,N’−ジメチル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン)、α−NPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)、m−MTDATA(4、4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)などなどのトリフェニルアミン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンジオキシチオフェンなどの既知のホール輸送材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。これらのホール輸送材料は単独でも用いられるが、異なるホール輸送材料と混合または積層して用いてもよい。ホール輸送層は上記ホール輸送材料を蒸着等の方法で形成させるが、その厚さは、ホール輸送層の導電率にもよるので一概に限定はできないが、10nm〜10μmが好ましく、10nm〜1μmが更に好ましい。
電子輸送層を形成する電子輸送性材料としては、上述したAlq3(トリスキノリノールアルミニウム)などのキノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体などの既知の電子輸送材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。これらの電子輸送材料は単独でも用いられるが、異なる電子輸送材料と混合または積層して用いてもよい。電子輸送層は上記電子輸送材料を蒸着等の方法で形成させるが、その厚さは、電子輸送層の導電率にもよるので一概に限定はできないが、10nm〜10μmが好ましく、10nm〜1μmが更に好ましい。
上記の発光層に用いられる発光材料、ホール輸送材料および電子輸送材料はそれぞれ単独で各層を形成するほかに、高分子材料をバインダとして各層を形成することもできる。これに使用される高分子材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイドなどを例示できるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明の高分子系発光材料を用いる発光素子の発光材料、ホール輸送材料および電子輸送材料の成膜方法は、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、コーティング法などを用いることが可能で、これらに特に限定されることはない。各材料が低分子化合物の場合は主として抵抗加熱蒸着および電子ビーム蒸着が用いられ、高分子系発光材料のような高分子材料の場合は主にコーティング法が用いられる。
本発明に係る有機発光素子の陽極材料としては、ITO(酸化インジウムスズ)、酸化錫、酸化亜鉛、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子などの既知の透明導電材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。この透明導電材料による電極の表面抵抗は1〜50Ω/□であることが好ましい。これらの陽極材料の成膜方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、化学反応法、コーティング法などを用いることができるが、これらに特に限定されることはない。陽極の厚さは50〜300nmが好ましい。
また、陽極とホール輸送層または陽極に隣接して積層される有機層の間に、ホール注入に対する注入障壁を緩和する目的でバッファ層が挿入されていてもよい。これには銅フタロシアニンなどの既知の材料が用いられるが、特にこれに限定されることはない。
本発明に係る有機発光素子の陰極材料としては、Al、MgAg合金、Caなどのアルカリ金属、AlCaなどのAlとアルカリ金属の合金などの既知の陰極材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。これらの陰極材料の成膜方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができるが、これらに特に限定されることはない。陰極の厚さは10nm〜1μmが好ましく、50〜500nmが更に好ましい。
また、陰極と、電子輸送層または陰極に隣接して積層される有機層との間に、電子注入効率を向上させる目的で、厚さ0.1〜10nmの絶縁層が挿入されていてもよい。この絶縁層としては、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、アルミナなどの既知の陰極材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。
また、発光層の陰極側に隣接して、ホールが発光層を通過することを抑え、発光層内で電子と効率よく再結合させる目的で、ホール・ブロック層が設けられていてもよい。これにはトリアゾール誘導体やオキサジアゾール誘導体などの既知の材料が用いられるが、特にこれに限定されることはない。
本発明に係る有機発光素子の基板としては、発光材料の発光波長に対して透明な絶縁性基板が使用でき、ガラスのほか、PET(ポリエチレンテレフタレート)やポリカーボネートを始めとする透明プラスチックなどの既知の材料が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。
本発明の有機発光素子は、既知の方法でマトリックス方式またはセグメント方式による画素を構成することができ、また、画素を形成せずにバックライトとして用いることもできる。
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明の為の単なる例示であって、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
(実施例1)重合性発光化合物:Ir(MPPy)(PrCOPPy)2の合成
常法に従いメトキシフェニルピリジン(MeOPPy)を合成した(スキーム(1))。
即ち、常法により3−ブロモアニソール8.98g(48mmol)を脱水THF(テトラヒドロフラン)60ml中でMgを用いて3−メトキシフェニルマグネシウムブロマイドを合成した。次に、2−ブロモピリジン6.32g(40mmol)、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロニッケル(0)(Ni(dppe)Cl2)0.74gを脱水THF40mlに溶解した溶液に、先に得られた3−メトキシフェニルマグネシウムブロマイドを添加し、室温で12時間反応させることにより無色透明の3−メトキシフェニルピリジン(MeOPPy)を6.03g(32.4mmol)得た。同定はC、H、N元素分析、NMR、IRで行った。
次いでこのMeOPPyとトリス(アセチルアセトナート)イリジウム(III)(Ir(acac)3)を下記スキーム(2)で示す如く、高温で反応させ、トリス(3−メトキシフェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(MeOPPy)3)を合成した。
即ち、MeOPPy5.00g(27.0mmol)とIr(acac)32.0g(4.1mmol)をグリセロール200ml中、250℃で9時間反応させ、カラムで精製することにより、蛍光性黄色粉末としてIr(MeOPPy)3を0.400g(0.54mmol)得た。同定はC、H、N及びIr元素分析、IRで行った。
上記と同様にして、合計3.20g(4.32mmol)のIr(MeOPPy)3を得た。
このIr(MeOPPy)3を常法に従い、塩酸水溶液中でMeO基を加水分解させ、OH基にし、粉末としてトリス(3−ヒドロキシフェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(HOPPy)3)を得た(スキーム(3))。
次いでIr(HOPPy)3を下記スキーム(4)に従い、メタクリル酸クロライドとモル比1:1で反応させることにより、OH基の一部分をメタクリル化させIr(MPPy)(HOPPy)2が主成分となる錯体を合成した。次いで残りのOH基をプロピオン酸クロライド(PrCOCl)と反応させ、Ir(MPPy)(PrCOPPy)2が主成分となる錯体を得た。
即ち、反応容器に脱水THF32ml、Ir(HOPPy)3 3.224g(4mmol)、脱酸剤としてトリエチルアミン2.40g(23.6mmol)を仕込んだ後、メタクリル酸クロライド0.424g(4mmol)を脱水THF16mlに溶解した溶液を30分かけて滴下し、20℃で5時間反応させた。この反応溶液に更にプロピオン酸クロライド2.680g(16mmol)を脱水THF16mlに溶解した溶液を30分かけて滴下し、20℃で5時間反応させることにより残りのOH基を反応させ、トリエチルアミンの塩酸塩を濾別した。濾液の溶媒を蒸発乾固し、得られた固形成分はクロロホルム/メタノール混合溶媒にて再結晶を2回行うことにより精製し、目的とするIr(MPPy)(PrCOPPy)2 2.305g(2.60mmol)を粉末として得た。この同定はC、H、N及びIrの元素分析及びIRで行った。
(実施例2)重合性発光化合物:Ir(MiPPy)(PrCOPPy)2
実施例1と同様にして合成したモノマー中間体Ir(HOPPy)3を下記スキーム(5)で示す如く、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI、昭和電工製)と1:1(モル比)で反応させ、次いで残りのOH基をPrCOClと反応させ、Ir(MiPPy)(PrCOPPy)2が主成分となる錯体を得た。
即ち、反応容器に脱水THF32ml、Ir(HOPPy)3 3.224g(4mmol)、MOI
0.636g(4mmol)を仕込み、ジブチルチンジラウレートを触媒量添加し、20℃で5時間反応させた。この反応溶液に脱酸剤としてトリエチルアミン2.400g(24.5mmol)を加えた後、プロピオン酸クロライド2.68g(16mmol)を脱水THF16mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下し、更に20℃で5時間反応させることにより残りのOH基を反応させ、トリエチルアミンの塩酸塩を濾別した。濾液の溶媒を蒸発乾固し、得られた固形成分はクロロホルム/メタノール混合溶媒にて再結晶を2回行うことにより精製し、目的とするIr(MiPPy)(PrCOPPy)2 2.62g(2.70mmol)を粉末として得た。同定はC、H、N及びIrの元素分析及びIRで行った。
(実施例3)重合性発光化合物:Ir(MPPy)3の合成
実施例1で合成したと同様の方法でIr(MeOPPy)3を常法に従い、塩酸水溶液中でMeO基を加水分解させ、OH基にし、粉末としてトリス(3−ヒドロキシフェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(HOPPy)3)を得た(スキーム(3))。
次いでIr(HOPPy)3を下記スキーム(6)に従い、メタクリル酸クロライドとモル比1:3で反応させることにより、すべてのOH基をメタクリル化させIr(MPPy)3錯体を合成した。
即ち、反応容器に脱水THF32ml、Ir(HOPPy)3 3.224g(4mmol)、脱酸剤としてトリエチルアミン2.40g(23.6mmol)を仕込んだ後、メタクリル酸クロライド1.293g(12.2mmol)を脱水THF32mlに溶解した溶液を90分かけて滴下し、20℃で5時間反応させた。沈殿してきたトリエチルアミンの塩酸塩を濾別後、濾液の溶媒を蒸発乾固し、得られた固形成分をヘキサフルオロイソプロパノール/メタノール混合溶媒にて再結晶を2回行うことにより精製し、目的とする三官能性Ir(MPPy)3 2.805g(3.08mmol)を粉末として得た。この同定はC、H、N及びIrの元素分析及びIRで行った。
(実施例4)重合性発光化合物:Ir(MiPPy) 2(PrCOPPy)の合成
実施例1と同様にして合成したモノマー中間体Ir(HOPPy)3を下記スキーム(7)で示す如く、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI、昭和電工製)と1:2(モル比)で反応させ、次いで残りのOH基をPrCOClと反応させ、Ir(MiPPy)
2(PrCOPPy)錯体を得た。
即ち、反応容器に脱水THF48ml、Ir(HOPPy)3 3.224g(4mmol)、MOI
1.272g(8mmol)を仕込み、ジブチルチンジラウレートを触媒量添加し、20℃で5時間反応させた。この反応溶液に脱酸剤としてトリエチルアミン2.400g(24.5mmol)を加えた後、プロピオン酸クロライド1.01g(6mmol)を脱水THF8mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下し、更に20℃で5時間反応させることにより残りのOH基を反応させ、トリエチルアミンの塩酸塩を濾別した。濾液の溶媒を蒸発乾固し、得られた固形成分はクロロホルム/メタノール混合溶媒にて再結晶を2回行うことにより精製し、目的とするIr(MiPPy)
2(PrCOPPy) 2.75g(2.80mmol)を粉末として得た。この同定はC、H、N及びIrの元素分析及びIRで行った。
(実施例5〜10) 重合性組成物を用いた有機発光素子の作製、評価
実施例1、2、3、4で合成した4種の重合性燐光発光化合物:
単官能Ir(MPPy)(PrCOPPy)2 、単官能Ir(MiPPy)(PrCOPPy)2
3官能Ir(MPPy)3、2官能Ir(MiPPy) 2(PrCOPPy)を表1の如く組み合わせて10質量%のクロロホルム溶液を作製し、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)をモノマー総量に対し、0.02質量部添加後、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン;バイエル社製)を500Åの厚さで予め塗布成膜したITO陽極上にスピンコート法で5mm×5mmの面に塗布後、60℃加熱2時間行うことにより、各モノマーを重合硬化させた。さらに80℃減圧で8時間乾燥し、厚さ約1000Åの燐光高分子膜をPEDOT/ITO陽極上に各2個ずつ成膜した。
これら6種(計12個)の燐光性高分子/PEDOT/ITO電極上に電子輸送層としてTAZ(3-(4-biphenylyl)-4-phenyl-5-(4-tert-butylphenyl)-1,2,4-triazol)を約500Åの厚さに真空蒸着により成膜した。ついで陰極としてAg/Mgを質量比9/1で約1000Åの厚さに成膜し、有機発光素子6種(各2個)を作成した。これら素子をアルゴン雰囲気のグローブボックス中でリード線をつけガラス容器内にアルゴン雰囲気で密閉し、発光性評価に用いた。
発光輝度は電源として、(株)アドバンテスト社製 プログラマブル直流電圧/電流源 TR6143を用い、実施例において得られた有機発光素子に電圧を印加し、発光輝度を(株)トプコン社製 輝度計 BM−8を用いて測定した。
上記発光素子に直流電源を引加したところ、発光開始電圧、10Vでの初期輝度、その後10Vで固定し連続発光させた場合の240時間後の輝度は表1の如くなった(各ポリマー系2個の平均)。
(実施例11〜14、比較例1) 重合性組成物を用いた有機発光素子の作製、評価
常法に従いフェニルピリジン(PPy)とトリス(アセチルアセトナト)イリジウム(III)(Ir(acac)3)を300℃で反応させ、燐光発光化合物トリス(フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(PPy)3)を合成した。
このIr(PPy)3、実施例1、3で合成した2種の重合性燐光発光化合物:単官能Ir(MPPy)(PrCOPPy)2 、3官能Ir(MPPy)3と2官能重合性電子輸送性化合物:ビススチリルオキサジアゾール(BSODA)、及び比較として電子輸送性化合物:オキサジアゾール(ODA)を表2の如く組み合わせて発光化合物10質量%のクロロホルム溶液として電子輸送性化合物添加重合性発光化合物組成物を作製し、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)をモノマー総量に対し、0.02質量部添加後、PEDOT(バイエル社製)を500Åの厚さで予め塗布成膜したITO陽極上にスピンコート法で5mm×5mmの面に塗布後、60℃加熱2時間行うことにより、各モノマーを重合硬化させた。さらに80℃減圧で8時間乾燥し、厚さ約1000Åの燐光高分子膜をPEDOT/ITO陽極上に各2個ずつ成膜した。
これら5種(計10個)の燐光性高分子/PEDOT/ITO電極上に陰極としてAg/Mgを質量比9/1で約1000Åの厚さに成膜し、有機発光素子5種(各2個)を作成した。これら素子をアルゴン雰囲気のグローブボックス中でリード線をつけガラス容器内にアルゴン雰囲気で密閉し、実施例5〜10と同様にして発光性評価を行った。
(実施例15) 重合性組成物を用いた有機発光素子の作製、評価
蛍光発光材料:トリスキノリノールアルミニウム(Alq3)と2官能重合性電子輸送性化合物:ビススチリルオキサジアゾール(BSODA)をモル比1:1でクロロホルム中で混合し、15質量%のクロロホルム溶液として電子輸送性化合物添加重合性発光化合物組成物を作製し、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)をビススチリルオキサジアゾール総量に対し、0.02質量部添加後、PEDOT(バイエル社製)を500Åの厚さで予め塗布成膜したITO陽極上にスピンコート法で5mm×5mmの面に塗布後、60℃加熱2時間行うことにより、各モノマーを重合硬化させた。さらに80℃減圧で8時間乾燥し、厚さ約1000Åの電子輸送性化合物添加蛍光高分子膜をPEDOT/ITO陽極上に2個成膜した。次に、実施例11〜14と同様にして有機発光素子2個を作製し、発光性評価を行った。
上記有機発光素子に直流電源を引加したところ、発光開始電圧は4Vで、10Vでの初期輝度は980Cd/m2、その後10Vで固定し連続発光させた場合の240時間後の輝度は830Cd/m2であった(2個の平均)。
本発明の有機発光素子の断面図の例である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 陽極
3 ホール輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 陰極

Claims (1)

  1. 下記式(1)で表される重合性の発光化合物を含む重合性組成物を膜状に形成した後に重合する有機発光素子の製造方法であって、
    (式(1)中、R1下記式(2)または(3)のいずれかで表される基であり、R2炭素数3のアルカノイル基を表し、nは2または3の整数を表す。)
    重合性組成物が、さらにビススチリルオキサジアゾールを含み、
    発光層の両面および/または片面に塗布成膜型電子輸送層および/または塗布成膜型ホール輸送層が成膜されていることを特徴とする有機発光素子の製造方法。
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