以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態の運転席用エアバッグ装置M1は、図1〜5に示すように、ステアリングホイールWに配置されるものであり、ステアリングホイールWは、操舵時に把持する円環状のリング部Rと、リング部Rの中央に配置されるボス部Bと、リング部Rとボス部Bとを連結する四本のスポーク部Sと、を備えて構成され、エアバッグ装置M1はボス部Bの上部に配置されている。
なお、ステアリングホイールWは、エアバッグ装置M1とそれ以外のステアリングホイール本体1とから構成されている。
また、本明細書での上下・前後・左右の方向は、エアバッグ装置M1を設けたステアリングホイールWを車両に搭載した状態を基準とするもので、上下は、ステアリングホイールWを取り付けるステアリングシャフトSSに沿った上下と対応し、前後は、車両の直進操舵時におけるステアリングシャフトSSの軸直交方向に沿った車両の前後と対応し、左右は、車両の直進操舵時におけるステアリングシャフトSSの軸直交方向に沿った車両の左右と対応している。
そして、ステアリングホイール本体1は、リング部R・ボス部B・スポーク部Sの各部に配置される芯金2と、芯金2におけるリング部芯金3及びスポーク部芯金4のリング部R側の部位を被覆する合成樹脂製の被覆層7と、下面側を覆う合成樹脂製のロアカバー8と、を備えて構成されている。さらに、芯金2は、リング部Rに配置されるリング部芯金3や各スポーク部Sに配置されるスポーク部芯金4の他、ボス部Bに配置されるボス部芯金5を備えて構成され、ボス部芯金5は、ステアリングシャフトSSと連結されるボス5aと、ボス5aの周囲を覆う被覆部5bと、を備えて構成されている。そして、芯金2は、ボス5aを鋼製として、被覆部5b、スポーク部芯金4、及び、リング部芯金3を、一体的に鋳造されるアルミニウム等の軽合金等からなるダイカスト製としている。
エアバッグ装置M1は、折り畳んで収納される袋状のエアバッグ46と、エアバッグ46に膨張用のガスを供給するインフレーター41と、折り畳まれたエアバッグ46を覆うエアバッグカバーとしてのパッド25と、エアバッグ46・インフレーター41・パッド25を保持するバッグホルダ11と、ホーンスイッチ19を介在させてバッグホルダ11に連結されるとともに、エアバッグ装置M1をステアリングホイール本体1に連結させるための二つの左右に配置された連結板23と、を備えて構成されている。
インフレーター41は、上部にガス吐出口41bを備えた略円柱状の本体部41aと、本体部41aの外周に設けられるフランジ部41cと、を備えて構成され、フランジ部41cには、リテーナ43のボルト43a(図5参照)を挿通させる貫通孔41dが形成されている。
バッグホルダ11は、溶接やかしめ等を利用して数枚の板金を結合させて形成され、略長方形板状の底壁部12と、底壁部12の外周縁から上方に延びる筒状の側壁部13と、を備えて構成されている。底壁部12の中央には、インフレーター41の本体部41aを下方から挿入させる円形の開口の挿通孔12aが形成され、挿通孔12aの周囲には、図1・5に示すように、エアバッグ46を底壁部12に取り付けるためのリテーナ43の各ボルト43aを挿通させる四つの貫通孔12bが形成されている。
また、バッグホルダ11は、側壁部13の前後左右の上端部位に、下方へ屈曲する係止爪14を備えており、各係止爪14は、パッド25の側壁部33の係止溝34に挿入されて側壁部33を係止している。さらに、左右の係止爪14の部位には、図4に示すように、パッド25の係止孔35に挿入される係止突起15が形成されている。
さらに、バッグホルダ11の側壁部13の四隅付近には、図1・5に示すように、外方へ突出する連結片部16が、突設されている。これらの連結片部16には、ボルト21を利用して、下面側に、ホーンスイッチ19が取り付けられている。
そして、各ホーンスイッチ19は、左右のそれぞれの前後一対が、相互に、下端側で、ステアリングホイールWの前後方向に延びる連結板23で保持されている。各連結板23は、それぞれ、前後端の下面側を、ステアリングホイール本体1における左右の片側ずつでの前後二つのスポーク部芯金4の部位で、支持されている。また、各連結板23は、それぞれ、前後方向の中央部位で、図2に示すように、前後のスポーク部芯金4間を連結するステアリングホイール本体1の取付座6に、取り付けられている。各連結板23の前後方向の中央部位には、ナット23aが固着され、各連結板23は、取付座6の挿通孔6aを挿通して、ナット23aに螺着される取付ボルト9により、ステアリングホイール本体1に固定されている。そして、エアバッグ装置M1は、バッグホルダ11にエアバッグ46・インフレーター41・パッド25が保持されて、バッグホルダ11が、各連結板23をボルト21止めしていることから、このボルト9止め時に、ステアリングホイール本体1に、取り付けられることとなる。
なお、各ホーンスイッチ19は、各連結片部16の上面側にパッド25の押圧リブ32を当接させており、各ホーンスイッチ19のコイルばね20の付勢力に抗して、パッド25を押し下げれば、所定の接点相互が接触して、ホーン作動させることとなる。
さらにまた、バッグホルダ11の底壁部12には、図3に示すように、所定位置に、下面側に延びる保持片部17が固着されている。そして、図3・4に示すように、保持片部17と側壁部13とに、パッド25の側壁部33が、リベット39止めされている。そして、パッド25は、リベット39止めと、係止爪14の側壁部33への係止と、によって、バッグホルダ11に取付保持されている。また、リベット39止め時には、所定部位に配置されている当板38(図3参照)も利用されている。
エアバッグカバーとしてのパッド25は、オレフィン系・スチレン系等の熱可塑性エラストマー等の合成樹脂から形成され、図1〜5に示すように、各スポーク部Sの被覆層7の表面側と連なるように形成されて、ステアリングホイールWのボス部Bの上面側を覆う天井壁部26と、押圧リブ32と、側壁部33と、を備えて構成されている。押圧リブ32と側壁部33とは、天井壁部26の下面側で下方へ突出している。天井壁部26には、展開膨張時のエアバッグ46に押されて、周囲の破断予定部27を破断させて開く扉部28・30が、配設されている。破断予定部27は、天井壁部26の下面側に、凹溝を設けて構成され、上方から見ると略H字形状に配置されている。扉部28・30は、破断予定部27のH字の横棒部位で、前後で分離されるように配設されて、H字の左右の縦棒部位の端部相互を連結する部位を、ヒンジ部29・31として、それぞれ、開き時に、前後両側に開くこととなる。
側壁部33は、バッグホルダ11の側壁部13の外周側を覆うように、略四角筒形状に配設され、内周側に、各係止爪14を係止させるための係止溝34を配設させている。さらに、左右の部位の側壁部33には、バッグホルダ11の係止突起15を挿入させる係止孔35が、形成されている。さらに、側壁部33の所定位置には、図3・4に示すように、バッグホルダ11の側壁部13や保持片部17にリベット39止めするための取付孔36が貫通されている。
押圧リブ32は、略円筒状として、バッグホルダ11の各連結片部16の上面側に当接されるように、配設されている。
エアバッグ46は、図6〜8に示すように、膨張完了時の上面側の運転者側に配置される運転者側壁部47と、下面側のステアリングホイール本体1側に配置される車体側壁部51と、を備えて構成されている。壁部47・51は、ポリエステルやポリアミド等の織布から形成されて、外形形状を等しくした円板状に形成され、外周縁48・52相互を縫合させて、エアバッグ46の外周壁を構成している。車体側壁部51の中央には、膨張用ガスを供給するインフレーター41の本体部41aを下方から挿入可能な円形の開口のガス用開口53が、配設され、開口53の外周縁は、エアバッグ46のバッグホルダ11への取付部位55とするように、取付孔54を上下方向に貫通させている。また、車体側壁部51の所定部位には、余剰の膨張用ガスを排気可能な図示しないベントホールが、配設されている。
車体側壁部51の取付部位55は、図2・3に示すように、略円環状の板金製のリテーナ43に押えられてバッグホルダ11の底壁部12に取り付けられることとなり、各取付孔54には、図5に示すように、リテーナ43に設けられた四本のボルト43aが、それぞれ、挿通されることとなる。各ボルト43aは、エアバッグ46の各取付孔54、バッグホルダ11の各貫通孔12b、及び、インフレーター41のフランジ部41cにおける各貫通孔41dを貫通して、ナット44止めされることにより、エアバッグ46とともに、インフレーター41を、バッグホルダ11の底壁部12に、取付固定させることとなる。
また、エアバッグ46内には、膨張完了時の運転者側壁部47の中央49付近とガス用開口53との離隔距離を規制するためのテザー57・57が、配設されている。第1実施形態の場合、テザー57・57は、ガス用開口53を中心として、直進操舵時の車両の前後方向両側に、配設されている。さらに、各テザー57は、テザー用布58と補強布59との帯片58b・59b相互を連結させて、形成されている。テザー用布58は、前後両側から帯片58b・58bを伸ばした中央部58aを、エアバッグ46の内周面側における運転者側壁部47の中央49に、縫合させて配設され、補強布59は、前後両側から帯片59b・59bを伸ばした中央部59aを、エアバッグ46の内周面側における車体側壁部51のガス用開口53の周縁に、縫合させて配設されている。
なお、補強布59は、他の補強布60とともに、ガス用開口53の周縁を補強するために配設されており、補強布59・60にも、ガス用開口53と取付孔54とが、形成されている。これらの補強布59・60や車体側壁部51のガス用開口53・取付孔54は、車体側壁部51に補強布59・60を縫合させた後、一体的に穴明け加工して形成されている。
エアバッグ46の製造について述べれば、縫合糸Tを利用して、車体側壁部51におけるエアバッグ46の内周側となる面に、補強布59・60を縫合して、開口53や取付孔54、さらには、図示しないベントホールを、車体側壁部51に、一体的に穴明け加工する。また、縫合糸Tを利用して、運転者側壁部47におけるエアバッグ46の内周側となる面の中央49に、テザー用布58の中央部58aを縫合する。さらに、エアバッグ46の外周面側となる面相互を接触させて、運転者側壁部47と車体側壁部51とを重ね、縫合糸Tを利用して、外周縁48・52相互を縫合し、縫代がエアバッグ46の外周面側に表れないように、ガス用開口53を利用して、裏返す。そして、帯片58b・59b相互を、ガス用開口53から引き出して縫合し、縫合後にエアバッグ46に収納させれば、エアバッグ46を製造することができる。
つぎに、運転席用エアバッグ装置M1の組み立てについて述べると、まず、ガス用開口53を利用して、リテーナ43をエアバッグ46内に挿入させて、各ボルト43aを各取付孔54から突出させた状態で、エアバッグ46を折り畳む。
このエアバッグ46の折り畳みは、車体側壁部51と運転者側壁部47とを重ねて平らに展開させて、ガス用開口53を中心とした直径方向の外周縁間の前後左右の幅寸法を狭めて、図8・11に示すような略直方体形状(略立方体形状)の折り畳み完了体90を形成するように折り畳んで、図2・3・5に示すように、エアバッグ装置M1のエアバッグ46の収納スペースK、すなわち、バッグホルダ11の底壁部12とパッド25の天井壁部26との間における側壁部13・33で囲まれるスペースで、かつ、インフレーター41におけるガス用開口53から挿入された本体部41aの容積を除いたスペース、に収納可能にするものである。
さらに、第1実施形態の場合、図9・11・12・13に示すように、展開膨張初期時のエアバッグ46における運転者側壁部47の中央49付近が、インフレーター41の近傍で上方に膨らんで、折り畳み完了時の略直方体形状における前後方向の幅寸法としての折り完了前後幅FLO(図8参照)の略二倍の前後方向の幅寸法PLOと、折り畳み完了時の略直方体形状における左右方向の幅寸法としての折り完了左右幅FLA(図8参照)の略二倍の左右方向の幅寸法PLAと、を有した略長方形状(略正方形状)の初期展開パネル部50を、運転者DR側に、膨らませて露出可能に、エアバッグ46を収納している。
このようなエアバッグ46の収納状態は、図2・3に示すように、初期展開パネル部50が、中央50a(49)付近をインフレーター41の上面42側に接触させるように、インフレーター上面42側に載せられている構成が必要となる。また、図9のA・11に示すように、エアバッグ46における初期展開パネル部50の外周縁(前縁79、後縁81、左縁74、及び、右縁76)から前後左右に延びる部位84・85・86・87が、それぞれ、初期展開パネル部50を平らに展開させた状態において、初期展開パネル部50の前後左右の外周縁付近における車体側壁部51の側に、位置するように、折り畳まれ、かつ、エアバッグ46の略直方体形状とする折りの完了時には、初期展開パネル部50の外周縁における前後左右で対向する縁79・81・74・76相互を、それぞれ、運転者側壁部47の側で接近させるように、折り畳まれている構成も必要となる。
そして、第1実施形態の場合には、外周縁側をガス用開口53側に接近させて幅寸法を狭める折り畳み工程として、図8に示すように、第1工程、第1工程と直交方向で幅寸法を狭める第2工程、及び、幅寸法を狭める方向を第1・2工程とそれぞれ等しくした最終工程、を経る3工程によって、折り畳んでいる。
第1工程は、第1実施形態の場合、図8・9に示すように、左右方向の幅寸法を狭める折り工程としている。そして、図9のA・B・Cに示すように、車体側壁部51と運転者側壁部47とを重ねて平らに展開させて、ガス用開口53を中央側とした対称的な両縁側を、第1実施形態の場合、左右方向の両縁62・63側を、それぞれ、車体側壁部51の側で、巻き込み部位65・65を設けるとともに、最終工程での折幅の寸法Xを残して、ガス用開口53側に接近させる折り畳みとしている。第1実施形態の巻き込み部位65は、折り返しロール折りで折り畳んで、形成している。すなわち、開口53から左右の縁62・63までの間を、中間付近に折目64を設けて、二つ折りし、折り畳んだ先端の折目64付近から、下方側の車体側壁部51の側に巻き込んで、ガス用開口53側に接近させるようにロール折りしている。
なお、折幅の寸法Xは、折り畳み完了体90(図8・11参照)の略直方体形状の左右方向の幅寸法FLA、すなわち、折り完了左右幅FLAの略1/2として、リテーナ43の左右方向の外縁間の寸法RLA(図2参照)の略半分の寸法としている。
第2工程では、前後方向の幅寸法を狭める折り工程としている。そして、図8・10に示すように、ガス用開口53を中央側とした対称的な前後の縁67・69側を、それぞれ、車体側壁部51の側で、ガス用開口53側に接近させる折り畳みとしている。さらに、この折り畳みは、最終工程での折幅の寸法Yを残して、両縁67・69側を、ガス用開口53側に接近させるように、折り畳んでいる。前側折り畳み部位68側は、ガス用開口53から前縁67までの間で、縁67を運転者者側壁部47の側に折るような折目71を付けて折り、そして、その折目71付近を先端とし、その折目71付近を、車体側壁部51側に巻き込むようにして、折り返しロール折りする。また、後側折り畳み部位70は、先端の後縁69付近を車体側壁部51側に巻き込む単純ロール折りしている。
なお、折幅の寸法Yは、折り畳み完了体90(図8・11参照)の略直方体形状の前後方向の幅寸法FLO、すなわち、折り完了前後幅FLOの略1/2として、リテーナ43の前後方向の外縁間の寸法RLO(図3参照)の略半分の寸法としている。
そして、最終工程では、左右方向の幅寸法を狭める折り工程と、前後方向の幅寸法を狭める折り工程と、の二つの工程からなる。そして、図8・11に示すように、まず、前工程では、ガス用開口53を中央側とした対称的な両縁側を、すなわち、左右の縁74・76側を、ガス用開口53から挿入させるインフレーター41の本体部41aの両側近傍付近に、配置させるように、折り畳む。すなわち、左右の縁74・76側を、それぞれ、運転者側壁部47の側の上方側へ、折り畳むように、換言すれば、略折幅X分の長さとなる先端の縁74・76からリテーナ43の左右の外縁付近までの部位75・77を、それぞれ、運転者側壁部47の側の上方側へ屈曲させるように、折り畳む。ついで、後工程において、略折幅Y分の長さとなる前後の縁79・81からリテーナ43の前後の外縁付近までの部位80・82を、それぞれ、運転者側壁部47の側の上方側へ屈曲させるように、折り畳んで、折り畳み完了体90を形成する。
このような第1工程・第2工程・最終工程を経てエアバッグ46を折り畳んだ後は、各ボルト43aを貫通孔12bから突出させるように、折り畳んだエアバッグ46をバッグホルダ11の底壁部12上に配置させる。
その後、パッド25を被せて、所定の係止突起15を係止孔35に挿入させつつ、各係止溝34にバッグホルダ11の係止爪14を係止させ、当板38を使用しつつ、パッド25の側壁部33を、バッグホルダ11の側壁部13や保持片部17に、リベット39止めする。
なお、エアバッグ46を折り畳んだ後、バッグホルダ11の底壁部12上に配置させるまでに、エアバッグ46を保管したり運搬したりする場合には、破断可能なラッピング材によって、折り完了体90を包んでおいてもよい。
そして、バッグホルダ11の左右両側における前後の連結片部16・16に、ボルト21を利用して、連結板23とともにホーンスイッチ19を取り付ける。ついで、インフレーター41の本体部41aを、バッグホルダ11の挿通孔12aを経て、ガス用開口53からエアバッグ46内に挿入させつつ(図2・3参照)、バッグホルダ11の各貫通孔12bから突出しているボルト43aを、インフレーター41のフランジ部41cにおける各貫通孔41dに貫通させ、各ボルト43aをナット44止めして、エアバッグ46とともに、インフレーター41を、バッグホルダ11の底壁部12に、取付固定させれば、エアバッグ装置M1を組み立てることができる。
このように組み立てたエアバッグ装置M1は、車両に取付済みのステアリングホイール本体1の取付座6・6に対し、各連結板23のナット23aの部位を配置させて、各取付ボルト9を、取付座6の挿通孔6aを経て、各ナット23aに螺合させれば、ステアリングホイール本体1に取り付けることができて、ステアリングホイールWの組み立てが完了することとなる。
その後、インフレーター本体部41aのガス吐出口41bから膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ46が、膨張し、パッド天井壁部26の破断予定部27を破断させて扉部28・30を開かせて、パッド25から大きく突出することとなる。
そして、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、収納されたエアバッグ46にインフレーター41からの膨張用ガスが供給されると、エアバッグ46は、図2・3・12・13に示すように、インフレーター41の上面42側に接触させるように載せていた初期展開パネル部50を、インフレーター41から離すように、上方に移動させようとする。
この時、初期展開パネル部50から前後左右に延びる部位84・85・86・87は、初期展開パネル部50を平らに展開させた状態において、初期展開パネル部50の前後左右の外周縁付近における車体側壁部51の側に、位置するように、折り畳まれ、かつ、エアバッグ46の略直方体形状とする折りの完了時には、初期展開パネル部50の外周縁における前後左右で対向する縁79・81・74・76相互を、それぞれ、運転者側壁部47の側で接近させるように、折り畳まれている(図11)。特に、実施形態の場合には、エアバッグ46の略直方体形状とする折りの完了時には、前後左右で対向する部位80・82・75・77相互が、それぞれ、ガス用開口53の上方で、前後左右で略二分して配置させるように、折り畳まれている。そのため、初期展開パネル部50の上方移動に伴なって、初期展開パネル部50から前後左右に延びる部位84・85・86・87は、扉が開くように、初期展開パネル部50の中央50a(49)付近を開けて、初期展開パネル部50の外周縁の車体側壁部51の側へ、移動する。
そのため、初期展開パネル部50が、図12・13に示すように、厚さを膨らませるように、円滑に、運転者DR側に膨らんで露出する。
なお、初期展開パネル部50の前方側部位84は、初期展開パネル部50の前縁79から車体側壁部51の側で折られる前側折り畳み部位68の部位(屈曲部位80が屈曲された際の上部側の一部)が相当し、初期展開パネル部50の後方側部位85は、初期展開パネル部50の後縁81から車体側壁部51の側で折られる後側折り畳み部位70の部位(屈曲部位82が屈曲された際の上部側の一部)が相当する。また、初期展開パネル部50の左方側部位86は、初期展開パネル部50の左縁74から車体側壁部51の側で折られる巻き込み部位65(屈曲部位75が屈曲された際の上部側の一部)が相当し、初期展開パネル部50の右方側部位87は、初期展開パネル部50の右縁76から車体側壁部51の側で折られる巻き込み部位65(屈曲部位77が屈曲された際の上部側の一部)が相当する。
そして、初期展開パネル部50は、その前後左右の幅寸法PLO・PLAが、エアバッグ46の折り畳み完了時の前後左右の幅寸法FLO・FLAのそれぞれ略二倍の寸法で大きい。
その結果、エアバッグ46の展開膨張初期時に、膨らんだ初期展開パネル部50により、エアバッグ46の中央49付近の厚さを確保できて、運転者DRの頭部DH付近が、ステアリングホイールWの中央付近に、侵入してきても、円滑に、運転者DRの頭部DH付近を保護することができる。
そしてその後、膨張用ガスの供給とともに、初期展開パネル部50の前・後・左・右で連なる隣接部84・85・86・87が厚さを増すように膨らむとともに、それらの部位の折りも解消されて、エアバッグ46は、展開膨張を完了させることとなる。
なお、この初期展開パネル部50が展開した直後の状態では、初期展開パネル部50の前後左右の部位84・85・86・87が、初期展開パネル部50の外周縁付近の車体側壁部51の側で、折り畳まれており、それらの折り畳みが解消されるまで、初期展開パネル部50は、運転者DR側へ大きく突出することが抑制され、接近している運転者DRの頭部DH付近を不必要に押圧することを防止できる。
したがって、第1実施形態の運転者用エアバッグ装置M1では、エアバッグ46の展開膨張初期時に、運転者側壁部46の中央49付近に位置する初期展開パネル部50を、円滑に上方へ突出させることができるため、展開膨張初期のエアバッグ46は、無用な突出を抑えて、中央49付近の厚さを確保でき、運転者DRの頭部DH付近が、ステアリングホイールWの中央付近に、侵入してきても、円滑に、運転者DRの頭部DH付近を保護することができる。
なお、このエアバッグ46の展開膨張を、折り工程との関連で説明すれば、つぎのようである。すなわち、収納されたエアバッグ46にインフレーター41からの膨張用ガスが供給されれば、エアバッグ46は、ガス用開口53と対向する運転者側壁部47の中央49付近が押し上げられつつ、折り畳まれた工程の逆の工程で、折りを解消し、すなわち、最終工程の折りの解消を経て、第2工程で折り畳んだ折目を解消させようとする。
その際、最終工程の折りが、単に、第1・2工程で残しておいた一折り分として、縁74・76側の部位75・77や、縁79・81側の部位80・82を、それぞれ、運転者側壁部47の側の上方側へ、単に、屈曲させた折り畳みとしている。そのため、図12A〜12Cに示すように、簡単に、それらの屈曲部位75・77・80・82を伸ばすようにして折りが解消され、そして、図12D〜12Eに示すように、運転者側壁部47の中央49付近が、第2工程での折り畳み部位68・70を車体側壁部51の側に、配置させた状態で、かつ、略長方形状(略正方形状)に露出する状態となることから、上方に突出し易い。
そして、この上方へ移動する運転者側壁部47の中央49付近は、折り畳み完了時の略直方体形状の前後左右の幅寸法を有した運転者側壁部47の天井部47a(図9のA・11参照)自体と、最終工程で運転者側壁部47の側へ折り畳んだ折幅X・Y分と、を合わせたエリアであり、結局、折り完了前後幅FLOの略二倍の前後方向の幅寸法PLOと、折り畳み完了時の略直方体形状における左右方向の幅寸法としての折り完了左右幅FLAの略二倍の左右方向の幅寸法PLAと、を有した略長方形状の初期展開パネル部50に、一致する。
したがって、エアバッグ46の展開膨張時、運転者側壁部47の中央49付近部位の初期展開パネル部50を、上方へ突出させ、展開膨張の初期段階を経た後、第2工程での折り畳みの折りを解消するように、第2工程で折り畳む直前の形状に、すなわち、第2工程で幅寸法を狭めた方向に沿って、幅広く展開するように、膨張し、ついで、第1工程で折り畳んだ折りの解消が、なされて、エアバッグ46は、展開膨張を完了させることとなる。
そして、第1実施形態では、第2工程で狭める方向を、車両の前後方向に沿わせており、最終工程の折りの解消を経て第2工程の折りを解消する際、左右方向の幅寸法は狭いものの、エアバッグ46を前後方向に沿って長く展開膨張させることができる。その結果、エアバッグ46は、展開膨張初期でも、図13に示すように、前方移動してくる上下方向(前後方向)に長い運転者DRにおける頭部DHや胸部DB等の領域を、クッション作用を確保して、容易に保護することが可能となる。
勿論、上記の点を考慮しなければ、第2工程でのエアバッグ46の幅寸法を狭める方向を、車両の左右方向に沿う方向として、第1工程でのエアバッグ46の幅寸法を狭める方向を、車両の前後方向に沿う方向として、エアバッグ46を折り畳んでも良い。
また、第1実施形態では、第1工程での折り畳みに関し、所定方向(実施形態の場合、左右方向)の両縁62・64側が、車体側壁部51の側で、巻き込み部位65・65を設けて、折り畳んでいる。そして、この第1工程の折りの解消は、巻き込み部位65・65によって、抑制される。そのため、第2工程の折りの解消時には、第1工程での折りが解消せずに、逆に、第2工程で折り畳む直前の形状となるまで、第2工程の折りの解消が促進されることとなる。その結果、エアバッグ46は、運転者側壁部47の中央49付近を、上方へ突出させつつ、第2工程で折り畳む直前の形状に、すなわち、第2工程で幅寸法を狭めた方向に沿って、幅広く展開するように、膨張する。そのため、第2工程での折りの解消時、第1工程での折りの解消が抑制されていることから、運転者側壁部47の中央49付近が、運転者DR側に突出し過ぎることを、安定して、抑制することができる。
なお、このような巻き込み部位を設ける折り畳み方は、第1実施形態のような折り返しロール折りの他、図9の括弧書きDに示すように、単純ロール折りしてもよい。すなわち、車体側壁部51と運転者側壁部47とを重ねて平らに展開させて、ガス用開口53を中央側とした対称的な両縁62・63側を、それぞれ、車体側壁部51の側で、ロール折りして、ガス用開口53側に接近させる折り畳みとしてもよい。
勿論、上記のことを考慮しなければ、図9の括弧書きEに示すように、両縁62・63側を、折目を順に付けて折り重ねる蛇腹折りにより、折り畳んでもよい。
さらに、両縁62・63側を、相互に同じ折り畳みとせずに、蛇腹折り、単純ロール折り、折り返しロール折り等を、適宜選択して、折り畳んでもよい。
同様に、第1実施形態では、第2工程の折り畳みに関し、前側折り畳み部位68を、折り返しロール折りとし、後折り畳み部位70を単純ロール折りとした場合を示した。しかし、第2工程の変形例としては、図10B・10Cに示すように、折り畳み部位68・70の一方を、折目を付けて順に折り重ねる蛇腹折りの折り畳み部位72としてもよい。あるいは、第2工程の変形例としては、前後の両側の折り畳み部位68・70を、同じ折り畳み、例えば、図10Dに示すように、前後の両側の折り畳み部位68・70を、ともに、単純ロール折りとして折り畳んでもよい。すなわち、第2工程の折り畳みにおいて、前後の折り畳み部位68・70は、それぞれ、適宜、折り返しロール折り、単純ロール折り、あるいは、蛇腹折り、の折り方で、折り畳んでも良い。
また、第1実施形態では、エアバッグ46を折り畳む最終工程において、第1・2工程で残しておいた一折り分の折幅X・Yを折り畳む前工程と後工程とにおいて、最初に行う前工程を、第1工程と同じ方向で、折り畳んだ後、後工程で、第2工程と同じ方向で折り畳んで、略立方体に近い略直方体形状に、コンパクトに折り畳むことができる。その結果、第1実施形態の運転席用エアバッグ装置M1では、インストルメントパネルのメータ類等の視認性の確保のために、収納スペースKに制限のあるステアリングホイールWのボス部Bの上部側部位に対して、折り畳んだエアバッグ46を、円滑に収納することができる。
勿論、最終工程では、第1・2工程で残しておいた一折り分の折幅を折り畳む前工程と後工程とにおいて、第1実施形態と相違して、前工程を、第2工程と同じ方向で、折り畳んだ後、後工程で、第1工程と同じ方向で折り畳んでもよい。
すなわち、図14〜16に示す第2実施形態のように、最終工程の前工程を、第2工程と同じ方向で、折り畳んだ後、最終工程の後工程において、第1工程と同じ方向で折り畳んでもよい。この第2実施形態では、第1工程において、第1実施形態と同様に、図14・15に示すように、左右方向の幅寸法を狭める折り工程として、まず、図15のA・B・Cに示すように、車体側壁部51と運転者側壁部47とを重ねて平らに展開させて、ガス用開口53を中央側とした対称的な左右方向の両縁62・63側を、それぞれ、車体側壁部51の側で、巻き込み部位65・65を設けつつ、ガス用開口53側に接近させるるように、折り畳む。この時、最終工程での折幅の寸法Xを残して、両縁62・63側を、ガス用開口53側に接近させるように、折り畳む。また、第2実施形態の巻き込み部位65は、第1実施形態と同様に、折り返しロール折りにより、形成している。
第2工程では、第2実施形態の場合、第1実施形態と同様に、前後方向の幅寸法を狭める折り工程としている。そして、図14・16Aに示すように、ガス用開口53を中央側とした対称的な前後の縁67・69側を、それぞれ、車体側壁部51の側で、ガス用開口53側に接近させるように折り畳んで、続けて、最終工程での折りを含めるように、運転者側壁部47の側に載せて、両縁67・69側の折り畳み部位68・70で、ガス用開口53の上方を略二分して覆うような折り畳みとしている。
すなわち、折り畳み部位68・70に関して、第1実施形態の図10の二点鎖線や図11に示す屈曲部位80・82を形成する最終工程での折りを、換言すれば、第2実施形態での前後方向の幅寸法を狭める最後の折幅Y分の折りを、最終工程の前工程として、第2工程の直後に、続けて行って、折り畳み部位68の後縁68aと折り畳み部位70の前縁70aとが、隣接して接触するように、開口53の上方における前後方向の中央位置に接近させて、エアバッグ46を折り畳んでいる。
勿論、この第2工程と最終工程の前工程との前後方向の幅寸法を狭める折り畳みは、第2実施形態の場合、前側折り畳み部位68側が、ガス用開口53から前縁67までの間で、縁67を運転者側壁部47側に折るような折目71を付けて折り、そして、その折目71付近を先端とし、その折目71付近を、車体側壁部51側に巻き込むように、折り返しロール折りし、さらに、運転者側壁部47の側に、載せるように、折り畳んでいる。また、後側折り畳み部位70は、先端の後縁69付近を車体側壁部51側に巻き込むように、単純ロール折りして、運転者側壁部47の側に、載せている。
そして、第2実施形態では、最終工程での後工程を、左右方向の幅寸法を狭める折り工程として、図14・17Aに示すように、ガス用開口53を中央側とした対称的な左右の縁74・76側を、ガス用開口53から挿入させるインフレーター41の本体部41aの両側近傍付近に、配置させるように、折り畳んでいる。すなわち、左右の縁74・76側を、それぞれ、運転者側壁部47の側の上方側へ、折り畳むように、換言すれば、略折幅X分(図16A参照)の長さとなる先端の縁74・76からリテーナ43の左右の外縁付近までの部位75・77を、それぞれ、運転者側壁部47の側の上方側へ屈曲させるように、折り畳んでいる。
なお、第2実施形態では、折り畳んだエアバッグ46のガス用開口53からインフレーター41の本体部41aを挿入させた際、左右両縁74・76側の屈曲部位75・77を、本体部41aの両側近傍に直立させて配置させるようにするために、最終工程の後工程では、折幅X分より、若干、短い寸法の折幅で屈曲部位75・77を折っており、第2実施形態の折り完了体90の左右方向の折り完了左右幅FLAは、第1実施形態の場合より、若干、長く図示されている。
そして、このような第1工程、第2工程、及び、前・後工程からなる最終工程の3工程を経てエアバッグ46を折り畳んだ後は、図18・19に示すように、第1実施形態と同様に、インフレーター41をガス用開口53から挿入させる等して、エアバッグ46等をバッグホルダ11に取り付けて、車両に搭載する。
そして、第2実施形態のエアバッグ装置M2では、収納されたエアバッグ46にインフレーター41からの膨張用ガスが供給されると、エアバッグ46は、ガス用開口53と対向する運転者側壁部47の中央49付近が押し上げられつつ、折り畳まれた工程の逆の工程で、折りを解消して展開膨張する。すなわち、エアバッグ46の展開膨張初期には、図20に示すように、運転者側壁部47の中央49付近が、押し上げられつつ、最終工程の後工程と前工程との折りの解消を経て、第2工程で折り畳んだ折目を解消させようとする。
すなわち、最終工程の後工程の折りは、ガス用開口53を中央側とした対称的な両縁74・76側を、図17のCや図18に示すように、それぞれ、ガス用開口53から挿入させるインフレーター41の本体部41aの左右の両側近傍付近に配置させるように、単に、運転者側壁部47の側の上方側へ屈曲させ、そして、単に、屈曲部位75・77を形成するように、折り畳んでいる。そのため、エアバッグ46の展開膨張初期における最終工程の後工程の折りの解消時、図20のA・B・Cに示すように、簡単に、その屈曲部位75・77を伸ばすようにして折りが解消されて、運転者側壁部47の中央49付近の押し上げが、促進される。
また、最終工程の前工程では、図16Aに示すように、両縁67・69側が、運転者側壁部47の側で、ガス用開口53の上方を略二分して覆うように、そして、両縁67・69側が、第1工程で狭めた幅寸法と直交する前後方向で、ガス用開口53の上方側に接近させる折り畳みとしている。そのため、最終工程の後工程の折りが解消されれば、図20のC・Dに示すように、両縁67・69側の接近していた折り畳み部位68・70の縁68a・70aが相互に離れて、縁68a・70aの間から、運転者側壁部47の中央49付近が、上方に突出し易くなる。そして、その運転者側壁部47の中央49付近の押し上げとともに、図20のD・図21のA・Bに示すように、迅速に、第2工程での折り畳みの折りが解消される。
そしてこの時、第2実施形態でも、この上方へ移動する運転者側壁部47の中央49付近は、折り畳み完了時の略直方体形状の前後左右の幅寸法を有した運転者側壁部47の天井部47a(図15・17参照)自体と、最終工程の前・後工程で運転者側壁部47の側へ折り畳んだ折幅X・Y分と、を合わせたエリアであり、結局、折り完了前後幅FLOの略二倍の前後方向の幅寸法PLOと、折り畳み完了時の略直方体形状における左右方向の幅寸法としての折り完了左右幅FLAの略二倍の左右方向の幅寸法PLAと、を有した略長方形状の初期展開パネル部50に、一致する。
したがって、第2実施形態でも、エアバッグ46の展開膨張時、運転者側壁部47の中央49付近部位の初期展開パネル部50を、上方へ突出させ、展開膨張の初期段階を経た後、第2工程での折り畳みの折りを解消するように、第2工程で折り畳む直前の形状に、すなわち、第2工程で幅寸法を狭めた方向に沿って、幅広く展開するように、膨張し、ついで、第1工程で折り畳んだ折りの解消が、なされて、エアバッグ46は、展開膨張を完了させることとなり、第1実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。
なお、第2実施形態の運転席用エアバッグ装置M2では、最終工程の後工程が、ガス用開口53を中央側とした対称的な左右の両縁74・76側を、ガス用開口53から挿入させるインフレーター41の左右両側近傍付近に配置させるように、それぞれ、運転者側壁部47の側の上方側へ屈曲させる折り畳みとしている。すなわち、この最終工程の後工程では、両縁74・76側を、屈曲部位75・77の上端面75a・77a側に配置させるようにして、そして、インフレーター41の挿入時に、インフレーター41の両側近傍で、屈曲部位75・77が上下方向に沿って延びるような配置となるように、両縁74・76側を折り畳んでいる。そのため、エアバッグ装置M2の組み立て時に、エアバッグ46の折り畳みを、極力、崩すことなく、インフレーター41を取り付けることができる。すなわち、エアバッグ装置M2の組み立ては、まず、折り畳みを完了させたエアバッグ46を、バッグホルダ11の底壁部12に取り付けるように配置させて、その後、エアバッグカバーとしてのパッド25をエアバッグ46に被せる。ついで、インフレーター41を、ガス用開口53からエアバッグ46内に挿入させ、かつ、バッグホルダ11の底壁部12に取り付けて、エアバッグ装置M2を組み立てている。その際、図17のB・Cや図18に示すように、最終工程の後工程での両縁74・76側の上下に延びた屈曲部位75・77の間に、円滑にインフレーター41の本体部41aを挿入させることができて、その結果、エアバッグ46の折り畳みの折り形状を極力崩すことなく、エアバッグ装置M2を組み立てることができる。さらに付言すると、インフレーター41の開口53への挿入時にエアバッグ46の折り畳み形状の形が崩れたとしても、このインフレーター41の挿入時には、インフレーター41が、運転者側壁部47の中央49付近を上方側に押し上げる態様である。そして、運転者側壁部47の中央49付近を上方側に押し上げる態様は、エアバッグ46の展開膨張初期時において、運転者側壁部47の中央49付近の厚さを確保する作用を、阻害することとはならない。すなわち、インフレーター41の開口53への挿入時にエアバッグ46の折り畳み形状の形が崩れたとしても、エアバッグ46の展開膨張初期時に、運転者側壁部47の中央49付近の厚さを確保する作用を、確保できる。そのため、第2実施形態では、エアバッグ装置M2の組立時におけるエアバッグ46の折り崩れに関する管理を、軽減することができる。
そして、このようなエアバッグ46の収納状態は、換言すれば、エアバッグ46が、最終工程の後工程で折り畳んだ運転者側壁部47の側の上方側への屈曲部位75・77を、エアバッグカバー25の扉部28・28とバッグホルダ11の底壁部12との間で、上下方向に延びるように配設させるとともに、インフレーター41の本体部41aの両側に配置させて、収納されている状態となる。
なお、エアバッグ46の折り畳み工程において、第2実施形態の第1工程では、先端62・63側を折り返して、その先端の折目64付近を巻き込んだ場合を示した。しかし、第1工程の折り畳みでは、第2工程の折りの解消時、第1工程の折りの解消が抑制可能に、巻き込み部位が形成されていれば、展開膨張パネル部50の不必要な突出を防止できる。そのため、第1工程の変形例として、第1実施形態と同様に、図15のCの下段側の括弧書きに示すように、左右方向の先端の縁62・63自体を、当初から、車体側壁部51の側に巻き込む単純ロール折りとしてもよい。勿論、この点を考慮しなければ、蛇腹折りでもよい。
また、第2実施形態のように、第2工程と最終工程の前工程とを連続させて折る場合でも、折り畳み部位68・70がガス用開口53の上方を略二分して覆う折り畳みとしていれば、種々の折り畳みが採用できる。そのため、この折り工程の変形例としては、図16B・16Cに示すように、折り畳み部位68・70の一方を、運転者側壁部47側に折り重ねる蛇腹折りの折り畳み部位72としてもよい。あるいは、前後の両側の折り畳み部位68・70を、同じ折り畳み、例えば、図16Dに示すように、前後の両側の折り畳み部位68・70を、ともに、単純ロール折りとして折り畳んでもよい。すなわち、第2工程と最終工程の前工程とを連続させて折る場合、折り畳み部位68・70がガス用開口53の上方を略二分して覆うことができれば、前後の折り畳み部位68・70は、それぞれ、適宜、折り返しロール折り、単純ロール折り、あるいは、蛇腹折り、の折り方で、折り畳んでも良い。
さらに、第2実施形態でも、エアバッグ46の折り畳み工程において、第2工程でのエアバッグ46の幅寸法を狭める方向を、車両の前後方向に沿う方向とした場合を示した。しかし、第2工程でのエアバッグ46の幅寸法を狭める方向を、車両の左右方向に沿う方向として、第1工程でのエアバッグ46の幅寸法を狭める方向を、車両の前後方向に沿う方向として、エアバッグ46を折り畳んでも良い。
なお、第1実施形態のエアバッグ46においても、第2実施形態のように、収納時、初期展開パネル部50から前後左右に延びる部位84・85・86・87の一部を、インフレーター41の本体部41aの側方で、上下方向に沿って配置させるように、収納させたり、予め、折り畳んでもよい。すなわち、例えば、図22のA・Bに示すように、インフレーター41の本体部41aをガス用開口53から挿入させた際に、インフレーター41の本体部41aの周囲で、屈曲部位80・82・75・77の先端面80a・82a・75a・77aが、折り畳み完了体90の上面側に露出するように、収納スペースに収納させたり、あるいは、予め、折り畳んでもよい。
図22のBに示すように収納されたエアバッグ46でも、図23に示すように、インフレーター41からの膨張用ガスが供給されると、エアバッグ46は、図22のB・図23のA・Bに示すように、インフレーター41の上面42側に接触させるように載せていた初期展開パネル部50を、インフレーター41から離すように、上方に移動させようとする。
この時、初期展開パネル部50から前後左右に延びる部位84・85・86・87は、初期展開パネル部50を平らに展開させた状態において、初期展開パネル部50の前後左右の外周縁付近における車体側壁部51の側に、位置するように、折り畳まれ、かつ、エアバッグ46の略直方体形状とする折りの完了時には、初期展開パネル部50の外周縁における前後左右で対向する縁79・81・74・76相互を、換言すれば、屈曲部位80・82・75・77の先端面80a・82a・75a・77a相互を、それぞれ、運転者側壁部47の側で接近させるように、折り畳まれている。そのため、初期展開パネル部50の上方移動に伴なって、初期展開パネル部50から前後左右に延びる部位84・85・86・87は、扉が開くように、初期展開パネル部50の中央50a(49)付近を開けて、初期展開パネル部50の外周縁の車体側壁部51の側へ、移動する。
そのため、初期展開パネル部50が、エアバッグ46の初期展開膨張時、図23のC・Dに示すように、厚さを膨らませるように、円滑に、運転者側に膨らんで露出し、第1・2実施形態と同様な作用・効果を得ることができる。
なお、初期展開パネル部50の前後左右の幅寸法PLO・PLAが、エアバッグ46の折り畳み完了時の前後左右の幅寸法(折り完了前後幅FLOや折り完了左右幅FLA)のそれぞれ略二倍とは、折りを完了させた直後の折り完了体の前後や左右の幅寸法(折り完了前後幅や折り完了左右幅)FLO・FLAの1.6〜2.5倍程度の範囲内を言う。ちなみに、初期展開パネル部50の前後左右の幅寸法PLO・PLAが、それぞれ、折りを完了させた直後の折り完了体の前後や左右の幅寸法FLO・FLAの1.6倍未満では、初期展開パネル部50が、接近している運転者DRの頭部DHを保護する面積として、十分な広さを確保し難い。また、初期展開パネル部50の前後左右の幅寸法PLO・PLAが、それぞれ、折りを完了させた直後の折り完了体の前後や左右の幅寸法FLO・FLAの2.5倍を越えれば、エアバッグ46の収納時に、初期展開パネル部50の外周縁における前後や左右で対向する縁79・81・74・76相互が、上下方向に重なって収納され、エアバッグ46の初期膨張時に、初期展開パネル部50の展開が遅れる虞れが生じて、好ましくない。
また、最終工程で折る折幅Y・Xは、それぞれ、折りを完了させた直後の形状を略直方体形状とする場合に、その折り完了体の前後や左右の幅寸法(折り完了前後幅や折り完了左右幅)FLO・FLAの略半分程度、換言すれば、その折り完了体の前後や左右の幅寸法FLO・FLAの0.3〜0.75倍程度(好ましくは0.4〜0.65倍程度)の範囲内が望ましい。ちなみに、最終工程で折る折幅Y・Xが、それぞれ、折り完了直後の折り完了体の前後や左右の幅寸法FLO・FLAの0.3倍未満では、平面形状が大きく嵩張る状態でエアバッグ46を収納するここととなって、収納し難くなり、また、最終工程で折る折幅Y・Xが、折り完了直後の折り完了体の前後や左右の幅寸法FLO・FLAの0.75倍を越えれば、エアバッグ46の収納時に、最終工程で折る部位における前後や左右で対向する部位80・82・75・77相互が、上下方向に重なって収納され、エアバッグの初期膨張時に、初期展開パネル部50の展開が遅れる虞れが生じて、好ましくない。
ちなみに、最終工程の折幅X・Yは、エアバッグ46の折り畳み時に挿入させるリテーナ43の前後や左右の幅寸法RLO・RLAを基準としても良く、その場合、折り完了前後幅FLOと折り完了左右幅FLAが、リテーナ43の前後や左右の幅寸法RLO・RLAと略等しいことから、折幅Y・Xは、幅寸法RLO・RLAの0.3〜0.75倍程度(好ましくは0.4〜0.65倍程度)の範囲内が望ましい、と言い換えることができる。