JP4604639B2 - 半導体レーザ素子およびその製造方法 - Google Patents

半導体レーザ素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、半導体レーザ素子およびその製造方法に関し、詳しくは、横方向のFFP(Far Field Pattern)として複数の角度に光強度ピークを示すビーム形態(ビーム形状)のレーザ光、すなわちマルチビームを出射する半導体レーザ素子およびその製造方法に関する。
従来、この種の半導体レーザ素子としては、例えば特許文献1〜3に記載されたものが知られている。これらは、互いに電気的に絶縁された2つのストライプ電極を有し、それら2つの電極への電流量を制御することによりレーザ光の出射ビーム形態を可変とし、これをもって、横方向のFFPとして複数の角度に光強度ピークを示すビーム形態でのレーザ出射、いわゆるマルチビームのレーザ出射を実現している。
また従来、特許文献4に記載のように、複数の発光部分(発光点)を備えるアレイ型の構造をもって、上記マルチビームのレーザ出射を実現するレーザ素子なども提案されている。
特開平6−13714号公報 特開平6−53610号公報 特公平6−93532号公報 特開平5−41561号公報
しかしながら、これら特許文献1〜4に記載された半導体レーザ素子は、いずれも構造が複雑であり、実現する上で種々の不都合を伴うものとなっている。例えば、上記特許文献1〜3に記載されたレーザ素子では、2つの電極を必要とすることで、その製造が困難になることはもとより、それら電極に対する電流量をそれぞれ制御する必要があるために駆動回路の複雑化が避けられなくなる。一方、特許文献4に記載されたレーザ素子では、各発光部分(発光点)のFFPが同一であるため、そのままでは複数の角度に光強度ピークを示すマルチビームのレーザ出射を実現することができない。すなわちこの場合、例えばレーザ出射側端面を斜めに加工したり、あるいは各発光部分に対し別途レンズ等の光学素子を設けたりする必要が生じ、構造の複雑化を招くことになる。しかも、その加工や位置合わせの精度としても高い精度が要求されるため、このレーザ素子ではその製造がさらに困難なものとなる。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、より簡素な構造をもって、横方向のFFP(Far Field Pattern)として複数の角度に光強度ピークを示すビーム形態のレーザ光を出射することのできる半導体レーザ素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
こうした目的を達成すべく、請求項1に記載の発明では、素子上部に設けられたストライプ形状の電極から素子内部の活性層へ供給される電流の経路を同電極下にて横方向に両側から狭窄する絶縁膜を備え、該絶縁膜により狭窄された電流経路を通じて前記活性層に電流が供給されることに基づきレーザ光を出射する半導体レーザ素子として、前記絶縁膜の一部もしくは全部として前記活性層の上方で同活性層の両端から前記電流経路を狭窄する部分を両エッジ部分とし、該両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅を、横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定するとともに、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を、前記レーザ光として横方向にトリプルビームを出射し得る「10μm」よりも大きく「20μm」以下の範囲にそれぞれ設定した素子を備える構造とする。
従来は、例えばストライプ電極を2つ備える構造、あるいはアレイ構造といったように、マルチビームのレーザ出射を実現する上で構造の複雑化はやむを得ないと考えられていた。しかし、発明者らが発明した上記構造によれば、より簡素な構造をもって、横方向のFFP(Far Field Pattern)として複数の角度に光強度ピークを示すビーム形態のレーザ光を出射することのできる半導体レーザ素子を提供することができるようになる。
この発明にあたって発明者らは、上記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅に着眼し、種々の実験やシミュレーション等により、この幅と出射レーザ光の横方向のビーム形態との間に相関関係があることを見出した。すなわち、この両エッジ部分の幅を適宜の値に設定することで、出射レーザ光としてツインビームやトリプルビームが得られるようになることを初めて見出した。具体的には、前電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅をそれぞれ「10μm」よりも大きく「20μm」以下に設定することで、出射レーザ光としてトリプルビームが得られる。また、これらの構造は、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅を横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定した構造の半導体レーザ素子、いわゆるブロードエリアレーザ(マルチモードレーザ)に対して適用することが特に有効である。
また従来、上記絶縁膜を備える半導体レーザ素子は、シングルビームを出射するレーザ素子として実用化されている。そのため、上記構造によれば、周知のレーザ素子の製造工程に新たな工程を追加することなく、横方向のFFPとして複数の角度に光強度ピークを示すマルチビームのレーザ出射を実現することができるようになる。すなわちこの意味でも、上記構造の意義は大きい。ちなみに、上記シングルビームを出射する一般的な半導体レーザ素子では、上記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅が「100μm」程度に設定されている。
また、請求項1に記載の半導体レーザ素子において、請求項2に記載のように、前記絶縁膜の一部もしくは全部として前記活性層の上方で同活性層の両端から前記電流経路を狭窄する部分を両エッジ部分とし、該両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅が、横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定されてなるとともに、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を互いに異にして前記素子のビーム形態とは異なるビーム形態のレーザ光を出射する他の素子をさらに備え、それら素子を一体に組み合わせて前記素子によるトリプルビームとは異なるビーム形態のトリプルビームを出射する構造とすることもできる。具体的には、請求項3あるいは4に記載のように、前記他の素子は、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅が、前記レーザ光として横方向にシングルビームを出射し得る「20μm」よりも大きい範囲あるいは横方向にツインビームを出射し得る「10μm」以下の範囲に設定されるとともに、前記素子と上下方向に積み重ねられてスタック型レーザ素子を構成する構造や、請求項6あるいは7に記載のように、前記他の素子は、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅が、前記レーザ光として横方向にシングルビームを出射し得る「20μm」よりも大きい範囲あるいは横方向にツインビームを出射し得る「10μm」以下の範囲に設定されるとともに、前記素子と横方向に並設されてアレイ型レーザ素子を構成する構造とすることができる。こうした構造を採用することで、出射レーザ光の横方向のビーム形態として、多種多様なトリプルビームが得られるようになる。
また、請求項3または4に記載の構造に関しては、請求項5に記載のように、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を互いに異にして積み重ねられた複数の素子は、前記両エッジ部分の幅のより大きい素子を下段に有して積み重ねられてなる構造とすることが有効である。
そして、請求項6または7に記載の構造に関しては、請求項8に記載のように、前記並設された複数の素子は、それぞれ前記ストライプ形状の電極が他の素子の電極と電気的に絶縁されてなる構造とすることが有効である。
また、請求項1〜のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子に関しては、請求項に記載の発明によるように、前記ストライプ形状の電極を平坦な頂上の両側端に斜面を有するメサ構造に形成されるものとすることが、レーザ素子としての特性向上や素子の小型化を図る上で有効である。
またこの場合、前記活性層についてはこれを、請求項10に記載の発明によるように、前記ストライプ形状の電極のメサ構造の斜面に挟まれるかたちで素子内部に形成されるものとすることがより有効である。こうした構造によれば、上記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を素子(レーザチップ)全体の幅とは無関係に設定することができるようになる。このため、素子(レーザチップ)の幅の設計自由度は増し、素子の小型化を図る上で有利になる。
しかも、こうした構造とすることで、ワイヤボンディングのためのスペースが、前記活性層を避けた領域として上記電極のメサ構造の斜面下に確保されることになる。すなわち、例えば請求項11に記載の発明によるように、前記ストライプ形状の電極を、前記メサ構造の斜面下の前記活性層の外側にあたる部分にてワイヤボンディングされるものとすることで、ボンディングによる活性層へのダメージが抑制され、半導体レーザ素子としての信頼性が高められることになる。
そして通常、請求項12に記載の発明によるように、前記両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅を「10μm」以上に設定することで、上記ブロードエリアレーザが実現される。
また、請求項1に記載の発明では、素子上部に設けられたストライプ形状の電極から素子内部の活性層へ供給される電流の経路を同電極下にて横方向に両側から狭窄する絶縁膜を備え、該絶縁膜により狭窄された電流経路を通じて前記活性層に電流が供給されることに基づきレーザ光を出射する半導体レーザ素子として、前記絶縁膜の一部もしくは全部として前記活性層の上方で同活性層の両端から前記電流経路を狭窄する部分を両エッジ部分とし、該両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅が、横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定されるとともに、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を互いに異にして互いに異なるビーム形態のレーザ光を出射する複数の素子を上下方向に積み重ねてスタック型レーザ素子を構成する構造とする。
また、請求項1に記載の発明では、素子上部に設けられたストライプ形状の電極から素子内部の活性層へ供給される電流の経路を同電極下にて横方向に両側から狭窄する絶縁膜を備え、該絶縁膜により狭窄された電流経路を通じて前記活性層に電流が供給されることに基づきレーザ光を出射する半導体レーザ素子として、前記絶縁膜の一部もしくは全部として前記活性層の上方で同活性層の両端から前記電流経路を狭窄する部分を両エッジ部分とし、該両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅が、横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定されるとともに、前記電流経路を
挟窄する両エッジ部分の幅を互いに異にして互いに異なるビーム形態のレーザ光を出射する複数の素子を横方向に並設してアレイ型レーザ素子を構成する構造とする。
こうした構造を採用することで、出射レーザ光の横方向のビーム形態として、安定性の高いトリプルビームや、3つのピークの光強度が揃ったトリプルビームなど、多種多様なビーム形態が得られるようになる。そして、上記の構造も、前記両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅を、各素子について、それぞれ横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定した構造の半導体レーザ素子、いわゆるブロードエリアレーザ(マルチモードレーザ)に対して適用することが特に有効である。
また、請求項1に記載の発明では、上記請求項1に記載の構造に関し、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を互いに異にして積み重ねられた複数の素子についてはこれを、前記両エッジ部分の幅のより大きい素子を下段に有して積み重ねられたものとする。
前記両エッジ部分を含めた絶縁膜の上に形成されることで、前記ストライプ形状の電極には、それら両エッジ部分に応じた段差が自ずと形成される。そのため、スタック型レーザ素子を実現すべく複数のレーザ素子を上下方向に積み重ねた場合、下段の素子は両エッジ部分の上に突出した領域で上段の素子と接合されることになる。このとき、上記のように、それら素子が前記両エッジ部分の幅のより大きい素子を下段に有して積み重ねられたものであるとすれば、それら上下段の素子の接合面積をより大きなものとすることができ、その接合強度が増すとともに、高い安定性をもってそれら素子が接合されることになる。
また、上記請求項1に記載の構造に関し、前記並設された複数の素子についてはこれを、請求項1に記載の発明によるように、それぞれ前記ストライプ形状の電極が他の素子の電極と電気的に絶縁されたものとすることで、それら並設された複数の素子の各々を独立に駆動することができるようになる。すなわち、各素子の電極へそれぞれ適宜の電気信号を印加することにより、異なるビーム形態のレーザ光を電気的に切り換えて出射することなども可能になる。
また、これら請求項1〜1のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子に関しては、請求項1に記載の発明によるように、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を異にする複数の素子が、前記両エッジ部分の幅が「20μm」よりも大きい範囲に設定された横方向にシングルビームを出射し得るレーザ素子と、前記両エッジ部分の幅が「10μm」以下の範囲に設定された横方向にツインビームを出射し得るレーザ素子と、前記両エッジ部分の幅が「10μm」よりも大きく「20μm」以下の範囲に設定された横方向にトリプルビームを出射し得るレーザ素子との3種のレーザ素子のうちの少なくとも2つを有して構成される構造とすることが特に有効である。これら3種のレーザ素子を組み合わせ
ることで、多種多様なビーム形態のレーザ出射が可能になる。
このように、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅について、前記横方向にシングルビームを出射し得る範囲を「20μm」よりも大きい範囲とし、前記横方向にツインビームを出射し得る範囲を「10μm」以下の範囲とし、前記横方向にトリプルビームを出射し得る範囲を「10μm」よりも大きく「20μm」以下の範囲とすることで、上記構造が好適に実現されることは前述したとおりである。
そして通常、請求項1に記載の発明によるように、前記両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅を、各素子について、それぞれ「10μm」以上に設定することで、上記ブロードエリアレーザが実現される。
一方、請求項1に記載の発明では、素子上部に設けられたストライプ形状の電極から素子内部の活性層へ供給される電流の経路を同電極下にて横方向に両側から狭窄する絶縁膜を備え、該絶縁膜により狭窄された電流経路を通じて前記活性層に電流が供給されることに基づきレーザ光を出射する半導体レーザ素子を製造する方法として、前記絶縁膜の一部もしくは全部として前記活性層の上方で同活性層の両端から前記電流経路を狭窄する部分を両エッジ部分とし、該両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅を、横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定するとともに、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を、前記レーザ光として横方向にトリプルビームを出射し得る「10μm」よりも大きく「20μm」以下の範囲に設定することとする。
周知のように、半導体レーザ素子は、設計装置(例えばCAD)や半導体製造装置(例えばエッチャーやCVD装置)などを含む適宜の製造システムを通じて、素子設計工程や半導体製造工程などの各種工程を経て製造される。ここで、いずれかの工程(通常は素子設計工程)において上記製造方法を採用することとすれば、出射レーザ光の横方向のビー
ム形態として、トリプルビームが容易に得られるようになる。
また、請求項20に記載の発明では、素子上部に設けられたストライプ形状の電極から素子内部の活性層へ供給される電流の経路を同電極下にて横方向に両側から狭窄する絶縁膜を備え、該絶縁膜により狭窄された電流経路を通じて前記活性層に電流が供給されることに基づきレーザ光を出射する半導体レーザ素子を製造する方法として、前記絶縁膜の一部もしくは全部として前記活性層の上方で同活性層の両端から前記電流経路を狭窄する部分を両エッジ部分とし、該両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅を、横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定するとともに、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を、前記レーザ光として横方向にシングルビームを出射し得る「20μm」よりも大きい範囲、および、横方向にツインビームを出射し得る「10μm」以下の範囲、および、横方向にトリプルビームを出射し得る「10μm」よりも大きく「20μm」以下の範囲、のいずれか1つに設定した3種のレーザ素子のうちの少なくとも2つを組み合わせて、レーザ光の横方向のビーム形態を調整することとする。
上記製造方法を採用することとすれば、出射レーザ光の横方向のビーム形態として、所望とするビーム形態が容易に得られるようになる。
そして、これらの方法も、前記半導体レーザ素子を、横モードを基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードにて前記レーザ光を出射するものとした場合、すなわちブロードエリアレーザ(マルチモードレーザ)に対して適用して特に有効である。
(第1の実施の形態)
以下、この発明に係る半導体レーザ素子およびその製造方法についてその第1の実施の形態を示す。
まず、図1および図2を参照して、この実施の形態に係る半導体レーザ素子の概略構造について説明する。なお、図1はこのレーザ素子のレーザ出射側端面を主に示す斜視図、図2はそのレーザ出射側端面の構造を模式的に示す正面図である。
同図1および図2に示すように、このレーザ素子は、レーザ光を生み出すpn接合からなる活性層(発光部)ALを内部にもつ半導体層11を備える。具体的には、この半導体層11は、例えばN型のGaAs等からなる基板の上に、
・例えば膜厚「1μm」でN型のAlGaAs等からなるクラッド層と、
・例えば膜厚「0.4μm」でN型のAlGaAs等からなるガイド層と、
・上記活性層ALとなる、例えば膜厚「10nm」でGaAsもしくはAlGaAs等からなるSQW(単一量子井戸)活性層、あるいは例えばGaAsおよびAlGaAsの多層膜からなるMQW(多重量子井戸)活性層と、
・例えば膜厚「0.4μm」でP型のAlGaAs等からなるガイド層と、
・例えば膜厚「1μm」でP型のAlGaAs等からなるクラッド層と、
・例えば膜厚「0.4μm」でP型のGaAs等からなるキャップ層と、
が順に積層形成されて構成されている。
この半導体層11の上部は、平坦な頂上の両側端に例えば角度「45°」の斜面を有する構造、いわゆるメサ構造に形成されており、上記活性層ALがそのメサ構造の斜面に挟まれるかたちとなる。そしてこの上には、例えばSiO2からなる絶縁膜12を介して、例えばCr/Pt/Auの多層膜からなるストライプ形状の電極(上部電極)13が設けられており、そこにオーミック接触が形成される。ここで、上記ストライプ形状の電極13は、下地の形状(メサ構造)に対応するかたちで同じくメサ構造に形成され、そのメサ構造の斜面下の活性層ALの外側にあたる平坦な部分(図2中の領域L3)にて例えばAu等からなるワイヤWRとボンディング(ワイヤボンディング)されている。
また、素子下面(基板裏面)には、その全面を覆う態様で例えばAu−Ge合金/Ni/Auの多層膜からなる電極(下部電極)14が設けられており、そこにオーミック接触が形成される。
なお、上記絶縁膜12は、素子上部に設けられたストライプ形状の電極13から素子内部の活性層ALへ供給される電流の経路を同電極13下にて横方向に両側から狭窄するものである。また、図示は割愛しているが、このレーザ素子は、例えばCu等の熱伝導率の高い材料からなる台座にハンダ等を介して接合(ダイボンディング)されている。
また、このレーザ素子において、素子内部に共振器を構成するレーザ出射側端面(発光端面)およびレーザ反射側端面(反射端面)は、劈開面として形成されている。そして、図示を割愛しているが、レーザ出射側端面には例えばAl23等からなる反射率「10%」程度の低反射率コーティング膜が、またレーザ反射側端面には例えばAl23膜とSi膜とが交互に積層された反射率「95%」程度の高反射率コーティング膜がそれぞれ設けられている。
また、このレーザ素子において、チップとして切り出されたレーザ素子(レーザチップ)の幅Wは例えば「500μm」に、同素子(レーザチップ)の長さ(共振器長)Lは例えば「1000μm」にそれぞれ設定される。また、絶縁膜12の一部として活性層ALの上方で同活性層ALの両端(エッジ)から電流経路を狭窄する両エッジ部分の幅L2は例えば「8μm」に設定され、この絶縁膜12の両エッジ部分により狭窄された電流経路(電流注入領域)の幅L1は例えば「100μm」に設定される。通常、この電流注入領域の幅L1が「10μm」以上に設定されると、横モードが基本モード以外に高次モードにおいても発振するマルチモードとなり、いわゆるブロードエリアレーザ(マルチモードレーザ)が実現される。すなわち、この実施の形態に係る半導体レーザ素子は、ブロードエリアレーザとして動作することになる。なお、高出力のレーザ素子を実現する場合は、この幅L1を「50μm」以上に設定することが望ましい。また、上記メサ構造の深さ(メサ深さ)Dは例えば「3μm」に、上記メサ構造の斜面下に設けられた領域(平坦な部分)の幅L3は例えば「189μm」に設定される。ちなみに、ワイヤボンディングを打つためには通常、「50μm〜100μm」以上のスペースが必要となる。
ここで、この半導体レーザ素子を動作させるべく、例えば上記ワイヤWRを通じて同素子に電流を供給すると、その電流は、素子上部に設けられた電極13から、絶縁膜12により狭窄された電流経路を通じて上記活性層ALに供給されることになる。そして、活性層ALに電流が供給されたことに基づき、当該レーザ素子から、より詳しくは活性層ALから所定の波長のレーザ光が出射される。
次に、図3〜図5を併せ参照して、この半導体レーザ素子により出射されるレーザ光のビーム形態(ビーム形状)について説明する。
図3(a)および(b)は、それぞれ上記絶縁膜12の両エッジ部分の幅L2を「10μm」以下に設定した半導体レーザ素子についてその横方向(水平方向)のNFP(Near Field Pattern)およびFFP(Far Field Pattern)を示すグラフである。なおここで、NFPは、レーザ出射側端面でのレーザ光の出力形状(光スポット形状)を示すものである。また、FFPは、レーザ素子から所定距離だけ離れたところでのレーザ光の放出形状を示すものである。すなわち、NFPのグラフは、縦軸は光強度を、横軸は横方向(水平方向)の活性層位置を示しており、FFPのグラフは、縦軸は光強度を、横軸は横方向(水平方向)の角度を示している。
このレーザ素子では、両エッジ部分の幅L2が「10μm」以下に設定されていることで、上記活性層ALに供給された電流の横方向への拡散が強制的に抑制されるようになる。これにより、図3(a)に示されるように、活性層ALの両端(エッジ)で発振しやすくなり、ここの光強度が局所的に高くなる。特に、上記ブロードエリアレーザ(マルチモードレーザ)では、上記活性層ALの両端(エッジ)で屈折率反導波となるため、こうした傾向が強くなり、そのエッジの光強度がより顕著に強調されるようになる。このため、図3(b)に示されるように、このレーザ素子からは、2つの方向(角度)に光強度ピークをもつレーザ光、いわゆるツインビームが出射されることとなる。
一方、図4(a)および(b)は、それぞれ上記絶縁膜12の両エッジ部分の幅L2を「20μm」よりも大きな幅に設定した半導体レーザ素子についてその横方向(水平方向)のNFPおよびFFPを示すグラフである。
このレーザ素子では、両エッジ部分の幅L2が十分に大きな幅に設定されているため、上記活性層ALに供給された電流は横方向へ緩やかに拡散することになる。このため、図4(a)に示されるように、活性層ALの両端(エッジ)に、先の図3(a)に示したような顕著な光強度ピークが現れなくなる。すなわち、このレーザ素子から出射されるレーザ光は、図4(b)に示されるように、シングルビーム(単峰性ビーム)となる。
また一方、上記絶縁膜12の両エッジ部分の幅L2を「10μm」よりも大きく「20μm」以下に設定した場合、レーザ素子から出射されるレーザ光は、上記シングルビームおよびツインビームが合成された中間状態のビーム形態(ビーム形状)、すなわち3つの光強度ピークをもつトリプルビームとなる。そしてこの場合、両エッジ部分の幅L2を「10μm」に近づけていくと、両端の光強度ピークが中央の光強度ピークに比べて大きくなっていき、そのビーム形態はツインビームに近いものとなる。また逆に、両エッジ部分の幅L2を「20μm」に近づけていくと、今度は中央の光強度ピークが両端の光強度ピークに比べて大きくなっていき、そのビーム形態はシングルビームに近いものとなる。このように、この領域はシングルビームとツインビームとが混在した遷移領域(中間領域)であるため、上記両エッジ部分の幅L2がこの領域(範囲)にあるときには、出射レーザ光のビーム形態が不安定になる。
図5に、これらをまとめて示す。なお、同図5は、上記各領域における出射レーザ光のビーム形態(ビーム形状)およびFFPを示す図表である。
この実施の形態に係る半導体レーザ素子では、両エッジ部分の幅L2が「8μm」に設定されている。このため、出射レーザ光としてツインビームが得られるようになる。すなわち、この実施の形態に係る半導体レーザ素子の構造によれば、より簡素な構造をもって、横方向(水平方向)のFFPとして複数(2つ)の角度に光強度ピークを示すビーム形態のレーザ光、すなわちツインビームを出射することが可能になる。ただし、素子(チップ)の幅Wを過度に大きく設定した場合、上述した電流の横方向への拡散量が増して上記活性層ALの両端(エッジ)における光強度が低減する可能性もある。このため、同素子(チップ)の幅Wは「500μm」程度もしくはそれ以下に設定することが望ましい。
また、この半導体レーザ素子では、上記活性層ALが、上記電極13のメサ構造の斜面に挟まれるかたちで素子内部に形成されている。このため、両エッジ部分の幅L2を素子全体(素子自体)の幅Wとは無関係に設定することができる。したがって、素子(チップ)の幅Wの設計自由度は増し、素子の小型化を図る上で有利になる。しかも、同素子に電流を供給するためのワイヤを打つスペースが、活性層ALを避けた領域として電極13のメサ構造の斜面下(図2中の領域L3)に確保されることになる。そして、その斜面下にてワイヤボンディングされることにより、同ボンディングによる活性層ALへのダメージが抑制され、半導体レーザ素子としての信頼性が高められることになる。
次に、この実施の形態に係る半導体レーザ素子の製造方法について説明する。
このレーザ素子の製造に際しては、まず、例えばMOCVD(有機金属気相成長)やMBE(分子線エピタキシー)等によるエピタキシャル成長により、上記半導体層11を形成する。次いで、例えば通常のリソグラフィ工程によりパターニングされたマスクを通じてウェットエッチングを行い、その半導体層11の上部にメサ構造を形成する。このとき、エッチング深さを例えば「3μm」とし、活性層ALがメサ構造の斜面に挟まれるようにする。さらに、絶縁膜12を成膜した後、その一部をエッチング除去して電流注入領域に窓を形成する。その後、素子の上下面(表裏面)に、電極13および14をそれぞれ形成する。
次に、周知の劈開法により劈開して、上記共振器を構成するレーザ出射側端面およびレーザ反射側端面として、それぞれ劈開面を得る。その後、この素子を所定の大きさにカットして、半導体レーザチップとする。そして、このチップに対してダイボンディングおよびワイヤボンディングを行うことにより、上記半導体レーザ素子が完成する。
またこの製造に際して、上記両エッジ部分の幅L2は、所望とするレーザ光のビーム形態に応じて可変設定される。すなわち、この実施の形態においては、出射レーザ光としてツインビームを出射するレーザ素子を得るべく、両エッジ部分の幅L2を「10μm」以下に、すなわち「8μm」に設定することとする。これにより、所望とするビーム形態が容易に得られることになる。
なお、上記では両エッジ部分の幅L2を「8μm」に設定した場合について言及したが、先の図5の図表に示したように、この幅L2を「10μm」以下に設定することで、出射レーザ光としてツインビームを得ることはできる。また、この幅L2を「10μm」よりも大きく「20μm」以下に設定した場合には、出射レーザ光としてトリプルビームが得られるようになる。
また、この実施の形態に係る半導体レーザ素子の製造方法は、ツインビームやトリプルビームを出射するレーザ素子はもとより、シングルビームを出射するレーザ素子に対しても適用することができる。すなわち、トリプルビームを所望とする場合は上記両エッジ部分の幅L2を「10μm」よりも大きく「20μm」以下に設定し、またシングルビームを所望とする場合は上記両エッジ部分の幅L2を「20μm」よりも大きな幅に設定することで、出射レーザ光として所望とするビーム形態が容易に得られるようになる。
以上説明したように、この実施の形態に係る半導体レーザ素子およびその製造方法によれば、以下に示すような多くの優れた効果が得られるようになる。
(1)電極13から素子内部の活性層ALへ供給される電流の経路を同電極13下にて横方向に両側から狭窄するものとして、絶縁膜12を形成する。そして、その絶縁膜12の一部として活性層ALの上方で同活性層ALの両端から電流経路を狭窄する両エッジ部分の幅L2を「10μm」以下に設定する。これにより、より簡素な構造をもって、横方向(水平方向)のFFPとして複数の角度に光強度ピークを示すビーム形態のレーザ光、すなわちツインビームを出射することができるようになる。また、この幅L2を「10μm」よりも大きく「20μm」以下に設定した場合には、出射レーザ光としてトリプルビームが得られるようになる。
(2)ストライプ形状の電極13を、平坦な頂上の両側端に斜面を有するメサ構造に形成されるものとした。これにより、レーザ素子としての特性向上や素子の小型化が図られるようになる。
(3)活性層ALを、上記電極13のメサ構造の斜面に挟まれるかたちで素子内部に形成されるものとした。これにより、素子(レーザチップ)の幅の設計自由度が増し、素子の小型化を図る上で有利になる。しかも、こうした構造とすることで、ワイヤボンディングのためのスペースが、活性層ALを避けた領域として上記電極13のメサ構造の斜面下(図2中の領域L3)に確保されることになる。
(4)そして、上記電極13についてはこれを、そのメサ構造の斜面下の活性層ALの外側にあたる部分にてワイヤボンディングされるものとすることで、ボンディングによる活性層へのダメージが抑制され、半導体レーザ素子としての信頼性が高められることになる。
(5)上記絶縁膜12の両エッジ部分により狭窄された電流経路(電流注入領域)の幅L1を「10μm」以上に設定した。この幅L1をこうした範囲に設定することで、ブロードエリアレーザ(マルチモードレーザ)が実現されることは前述したとおりである。また、ブロードエリアレーザに上記構造を適用することで、より良好なマルチビームが得られるようになることも前述したとおりである。
(6)またその製造に際して、上記両エッジ部分の幅L2を、所望とするレーザ光の横方向のビーム形態に応じて可変設定するようにした。周知のように、半導体レーザ素子は、設計装置(例えばCAD)や半導体製造装置(例えばエッチャーやCVD装置)などを含む適宜の製造システムを通じて、素子設計工程や半導体製造工程などの各種工程を経て製造される。ここで、いずれかの工程(通常は素子設計工程)において上記製造方法を採用することとすれば、出射レーザ光の横方向のビーム形態として、所望とするビーム形態が容易に得られるようになる。
(第2の実施の形態)
図6に、この発明に係る半導体レーザ素子およびその製造方法の第2の実施の形態を示す。
以下、図6を参照して、先の第1の実施の形態との相違点を中心に、この実施の形態に係る半導体レーザ素子の構造について説明する。なお、この図6の正面図は先の図2の正面図に対応するものであり、図2に示した要素と同一の要素には各々同一の符号を付して示し、それら要素についての重複する説明は割愛する。
同図6に示されるように、このレーザ素子も、基本的には、図1および図2に例示した先の第1の実施の形態のレーザ素子の構造に準じた構造を有しており、その動作態様も前述したとおりである。ただし、この実施の形態では、活性層ALが素子上部に形成されたメサ構造よりも下方に形成されており、これが素子(チップ)の幅と同等の幅となる。またここでは、上記メサ構造の深さ(メサ深さ)Dが「1μm」と、比較的小さく設定されている。
このように、このレーザ素子においては、活性層ALが素子の幅と同等の幅をもって形成されているため、上記絶縁膜12の両エッジ部分が、メサ構造の斜面下の領域(平坦部)も含むものとなる。ただし、この構造においても、その両エッジ部分の幅L2と出射レーザ光のビーム形態(ビーム形状)との間には、先の図5の図表に示した相関関係が保たれている。すなわち、こうした構造にあっても、両エッジ部分の幅L2を所望とするビーム形態に応じて可変設定することで、出射レーザ光として所望とするビーム形態が容易に得られることになる。
また、このレーザ素子においては、上記メサ深さDが比較的小さく設定されている。そのため、例えばハンダを用いてこの素子(レーザチップ)をジャンクションダウンで実装する場合には、ハンダの濡れ性を向上させることができることになる。さらに、活性層ALがメサ構造の外部に形成されているため、実装時などに活性層ALに応力が加わりにくくなる。すなわちこれにより、レーザ素子としての信頼性の向上が図られることにもなる。
以上説明したこの第2の実施の形態に係る半導体レーザ素子およびその製造方法によれば、先の第1の実施の形態による上記(1)および(2)および(5)および(6)の効果と同様もしくはそれに準じた効果に加え、さらに次のような効果が得られるようになる。
(7)上記メサ深さDを比較的小さく設定した。これにより、例えばハンダを用いてこの素子(レーザチップ)をジャンクションダウンで実装する場合には、ハンダの濡れ性を向上させることができるようになる。
(8)上記活性層ALをメサ構造の外部に形成するようにした。これにより、レーザ素子としての信頼性の向上が図られることになる。
(第3の実施の形態)
図7に、この発明に係る半導体レーザ素子およびその製造方法の第3の実施の形態を示す。
以下、図7を参照して、先の第1の実施の形態との相違点を中心に、この実施の形態に係る半導体レーザ素子の構造について説明する。なお、この図7の正面図は先の図2の正面図に対応するものであり、図2に示した要素と同一の要素には各々同一の符号を付して示し、それら要素についての重複する説明は割愛する。
同図7に示されるように、このレーザ素子も、基本的には、図1および図2に例示した先の第1の実施の形態のレーザ素子の構造に準じた構造を有しており、その動作態様も前述したとおりである。ただし、この実施の形態では、素子上部にメサ構造が形成されておらず、半導体層11の上面は平坦のままである。
この構造においても、絶縁膜12の両エッジ部分の幅L2と出射レーザ光のビーム形態(ビーム形状)とは、先の図5の図表に示した相関関係を有している。すなわち、こうした構造にあっても、両エッジ部分の幅L2を所望とするビーム形態に応じて可変設定することで、出射レーザ光として所望とするビーム形態が容易に得られることになる。しかも、こうした構造では、メサ構造の形成を割愛することができるため、構造が簡素になるとともに、その製造も容易となる。
以上説明したこの第3の実施の形態に係る半導体レーザ素子およびその製造方法によれば、先の第1の実施の形態による上記(1)および(5)および(6)の効果と同様もしくはそれに準じた効果に加え、さらに次のような効果が得られるようになる。
(9)素子上部にメサ構造を形成せずに、半導体層11の上面が平坦のままの構造とした。これにより、素子構造が簡素になるとともに、その製造も容易となる。
(第4の実施の形態)
図8および図9に、この発明に係る半導体レーザ素子およびその製造方法の第4の実施の形態を示す。
はじめに、図8を参照して、先の第1の実施の形態との相違点を中心に、この実施の形態に係る半導体レーザ素子の構造、詳しくは複数のレーザ素子によるスタック型レーザ素子の構造について説明する。なお、この図8の正面図は先の図2の正面図に対応するものである。
同図8に示されるように、この実施の形態においては、絶縁膜12aおよび12bの両エッジ部分の幅L21およびL22を互いに異にして互いに異なるビーム形態のレーザ光を出射するレーザ素子10aおよび10bが上下方向に積み重ねられてスタック型レーザ素子を構成している。なお、上記レーザ素子10aおよび10bは、いずれも先の図1および図2に例示した構造と略同様の構造を有するものである。すなわち、この図8において符号11a〜14aおよび符号11b〜14bにて示す要素は、先の図1および図2において符号11〜14にて示した要素に対応するものであり、ここではそれら要素についての重複する説明は割愛する。また、このレーザ素子の製造方法についても、基本的には、先の第1の実施の形態の製造方法と同様であるため、ここではその説明を割愛する。
次に、図9を併せ参照して、この半導体レーザ素子により出射されるレーザ光のビーム形態(ビーム形状)について説明する。なお、同図9は、このレーザ素子についてその横方向(水平方向)のFFPを示すグラフである。
この実施の形態に係る半導体レーザ素子では、絶縁膜12aの両エッジ部分の幅L21が例えば「30μm」に設定され、また絶縁膜12bの両エッジ部分の幅L22が例えば「8μm」に設定される。すなわち、下段のレーザ素子10aによる出射レーザ光はシングルビームとなり、上段のレーザ素子10bによる出射レーザ光はツインビームとなる。このため、このスタック型レーザ素子による出射レーザ光は、これらレーザ素子10aおよび10bによる2つの出射レーザ光が合成されたトリプルビームとなる。そして、このトリプルビームは、下段のレーザ素子10aによるシングルビームにより中央の光強度ピークが高められ、図9に示すように、両端の光強度ピークに比較して中央の光強度ピークが高いものとなる。この実施の形態においては、上下段のレーザ素子10aおよび10bの出力を同一にすることで、中央の光強度ピークが両端の光強度ピークの約「2倍」になるようにしている。
ところで、1つのレーザ素子でトリプルビームを実現する場合に、シングルビームとツインビームとが混在した遷移領域(中間領域)でレーザ出射が行われることに基づき出射レーザ光のビーム形態が不安定になることは前述した。この点、上記スタック型レーザ素子では、前述の遷移領域(中間領域)を利用せずにトリプルビームを得るようにしているため、出射レーザ光のビーム形態がより安定したものとなる。
また、このスタック型レーザ素子では、これを構成するレーザ素子10aおよび10bが、両エッジ部分の幅のより大きいレーザ素子10aを下段にして積み重ねられている(幅L21>幅L22)。そのため、上下段のレーザ素子10aおよび10bは、逆の配置で積み重ねられたときよりも大きな接合面積をもって接合されることになる。そしてこれにより、その接合強度が増すとともに、高い安定性をもってそれらレーザ素子が接合されることになる。
以上説明したこの第4の実施の形態に係る半導体レーザ素子およびその製造方法によれば、先の第1の実施の形態による上記(1)〜(6)の効果と同様もしくはそれに準じた効果に加え、さらに次のような効果が得られるようになる。
(10)絶縁膜12の両エッジ部分の幅L21およびL22を互いに異にして互いに異なるビーム形態のレーザ光を出射するレーザ素子10aおよび10bを上下方向に積み重ねてスタック型レーザ素子を構成することとした。これにより、出射レーザ光の横方向のビーム形態として、多種多様なビーム形態が得られるようになる。
(11)レーザ素子10aおよび10bを、それぞれシングルビームおよびツインビームを出射するものとした。これにより、スタック型レーザ素子としてトリプルビームを出射するレーザ素子が実現されることになる。しかもこの場合、出射レーザ光のビーム形態として安定したものが得られるようになる。
(12)スタック型レーザ素子を構成するレーザ素子10aおよび10bを、両エッジ部分の幅のより大きいレーザ素子10aを下段にして積み重ねるようにした。これにより、その接合強度が増すとともに、高い安定性をもってそれらレーザ素子が接合されることになる。
(第5の実施の形態)
図10および図11に、この発明に係る半導体レーザ素子およびその製造方法の第5の実施の形態を示す。
はじめに、図10を参照して、先の第4の実施の形態との相違点を中心に、この実施の形態に係る半導体レーザ素子の構造、詳しくは複数のレーザ素子によるスタック型レーザ素子の構造について説明する。なお、この図10の正面図は先の図8の正面図に対応するものである。
同図10に示されるように、この実施の形態においては、3つのレーザ素子10a〜10cが上下方向に積み重ねられてスタック型レーザ素子を構成している。そして、レーザ素子10aにおける両エッジ部分の幅L21とレーザ素子10bおよび10cにおける両エッジ部分の幅L22とが互いに異なる幅に設定されていることで、それらレーザ素子10aとレーザ素子10bおよび10cとは、互いに異なるビーム形態のレーザ光を出射するものとなっている。なお、上記レーザ素子10a〜10cは、いずれも先の図1および図2に例示した構造と略同様の構造を有するものである。すなわち、この図10において符号11a〜14aおよび符号11b〜14bおよび符号11c〜14cにて示す要素は、先の図1および図2において符号11〜14にて示した要素に対応するものであり、ここではそれら要素についての重複する説明は割愛する。また、このレーザ素子の製造方法についても、基本的には、先の第1の実施の形態の製造方法と同様であるため、ここではその説明を割愛する。
次に、図11を併せ参照して、この半導体レーザ素子により出射されるレーザ光のビーム形態(ビーム形状)について説明する。なお、同図11は、このレーザ素子についてその横方向(水平方向)のFFPを示すグラフである。
この実施の形態に係る半導体レーザ素子では、絶縁膜12aの両エッジ部分の幅L21が例えば「30μm」に設定され、また絶縁膜12bおよび12cの両エッジ部分の幅L22が例えば「8μm」に設定される。すなわち、下段のレーザ素子10aによる出射レーザ光はシングルビームとなり、上段のレーザ素子10bおよび10cによる出射レーザ光はツインビームとなる。このため、このスタック型レーザ素子による出射レーザ光は、これらレーザ素子10aおよび10bおよび10cによる3つの出射レーザ光が合成されたトリプルビームとなる。そして、この実施の形態においては、それらレーザ素子10a〜10cの各出力を同一にすることで、図11に示すように、3つの光強度ピークが略同等の強度になるようにしている。
以上説明したこの第5の実施の形態に係る半導体レーザ素子およびその製造方法によっても、先の第1もしくは第4の実施の形態による上記(1)〜(6)および(10)〜(12)の効果と同様もしくはそれに準じた効果が得られるようになる。
(第6の実施の形態)
図12に、この発明に係る半導体レーザ素子およびその製造方法の第6の実施の形態を示す。
以下、図12を参照して、先の第1の実施の形態との相違点を中心に、この実施の形態に係る半導体レーザ素子の構造、詳しくは複数のレーザ素子によるアレイ型レーザ素子の構造について説明する。なお、この図12の正面図は先の図2の正面図に対応するものであり、図2に示した要素と同一の要素には各々同一の符号を付して示し、それら要素についての重複する説明は割愛する。また、その製造方法についても、基本的には、先の第1の実施の形態の製造方法と同様であるため、ここではその説明を割愛する。
同図12に示されるように、この実施の形態においては、3つのレーザ素子10a〜10cが横方向に並設されてアレイ型レーザ素子を構成している。そして、レーザ素子10aにおける両エッジ部分の幅L21とレーザ素子10bおよび10cにおける両エッジ部分の幅L22とが互いに異なる幅に設定されていることで、それらレーザ素子10aとレーザ素子10bおよび10cとは、互いに異なるビーム形態のレーザ光を出射するものとなっている。なお、これらレーザ素子10a〜10cは、いずれも先の図1および図2に例示した構造と略同様の構造を有するものである。
ところで、この実施の形態に係る半導体レーザ素子では、レーザ素子10aの両エッジ部分の幅L21が例えば「30μm」に設定され、またレーザ素子10bおよび10cの両エッジ部分の幅L22が例えば「8μm」に設定される。すなわち、レーザ素子10aによる出射レーザ光はシングルビームとなり、レーザ素子10bおよび10cによる出射レーザ光はツインビームとなる。このため、このアレイ型レーザ素子による出射レーザ光は、これらレーザ素子10aおよび10bおよび10cによる3つの出射レーザ光が合成されたトリプルビームとなる。そして、この実施の形態においては、それらレーザ素子10a〜10cの各出力を同一にすることで、3つの光強度ピークの強度比の揃ったトリプルビームを得るようにしている。そしてこの場合も、出射レーザ光のビーム形態として安定したものが得られるようになる。
以上説明したこの第6の実施の形態に係る半導体レーザ素子およびその製造方法によっても、先の第1もしくは第4の実施の形態による上記(1)〜(6)および(10)および(11)の効果と同様もしくはそれに準じた効果が得られるようになる。
(第7の実施の形態)
図13に、この発明に係る半導体レーザ素子およびその製造方法の第7の実施の形態を示す。
以下、図13を参照して、先の第6の実施の形態との相違点を中心に、この実施の形態に係る半導体レーザ素子の構造、詳しくは複数のレーザ素子によるアレイ型レーザ素子の構造について説明する。なお、この図13の正面図は先の図12の正面図に対応するものであり、図12に示した要素と同一の要素には各々同一の符号を付して示し、それら要素についての重複する説明は割愛する。また、その製造方法についても、基本的には、先の第1の実施の形態の製造方法と同様であるため、ここではその説明を割愛する。
同図13に示されるように、この実施の形態においても、電流経路を狭窄する絶縁膜の両エッジ部分の幅L21およびL22を互いに異にして互いに異なるビーム形態のレーザ光を出射するレーザ素子10aおよび10bが横方向に並設されてアレイ型レーザ素子を構成している。ただし、この実施の形態においては、上記並設されたレーザ素子10aおよび10bの電極13aおよび13bについてはこれを、互いに電気的に絶縁されたものとしている。このため、それら並設されたレーザ素子10aおよび10bは、それぞれ独立に駆動可能なものとなっている。すなわち、各素子の電極13aおよび13bへそれぞれ適宜の電気信号を印加することにより、異なるビーム形態のレーザ光を電気的に切り換えて出射することなども可能になる。
例えば、この実施の形態において、レーザ素子10aの両エッジ部分の幅L21を「30μm」に設定し、またレーザ素子10bの両エッジ部分の幅L22を「8μm」に設定することとする。この場合は、各素子の電極13aおよび13bへそれぞれ適宜の電気信号を印加することで、シングルビームおよびツインビームおよびトリプルビームのいずれかを選択することができるようになる。
以上説明したこの第7の実施の形態に係る半導体レーザ素子およびその製造方法によれば、先の第1もしくは第4の実施の形態による上記(1)〜(6)および(10)および(11)の効果と同様もしくはそれに準じた効果に加え、さらに次のような効果が得られるようになる。
(13)上記並設されたレーザ素子10aおよび10bについてこれを、それらの電極13aおよび13bが互いに電気的に絶縁されるものとした。これにより、それら並設された素子の各々を独立に駆動することができるようになる。すなわち、各素子の電極へそれぞれ適宜の電気信号を印加することにより、異なるビーム形態のレーザ光を電気的に切り換えて出射することなども可能になる。
(他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記第4〜第7の実施の形態においては、シングルビームを出射するレーザ素子とツインビームを出射するレーザ素子とによって、スタック型もしくはアレイ型のレーザ素子を構成することとした。しかし、これに限られることなく、例えばシングルビームを出射するレーザ素子とトリプルビームを出射するレーザ素子、あるいはツインビームを出射するレーザ素子とトリプルビームを出射するレーザ素子など、3種のビームを出射するレーザ素子の任意の組み合わせで、スタック型もしくはアレイ型のレーザ素子を構成することができる。要は、電流経路を狭窄する絶縁膜の両エッジ部分の幅L2を互いに異にして互いに異なるビーム形態のレーザ光を出射する複数の素子により、スタック型もしくはアレイ型のレーザ素子を構成することで足りる。すなわち、異なるビーム形態(ビーム形状)のトリプルビームを各々出射する2種のレーザ素子を組み合わせることによって、スタック型もしくはアレイ型のレーザ素子を構成するようにしてもよい。またこの際、組み合わせるレーザ素子の数も任意である。
・上記各実施の形態においては、両エッジ部分の幅L2について、トリプルビームを出射し得る範囲が「10μm」よりも大きく「20μm」以下の範囲になり、ツインビームを出射し得る範囲が「10μm」以下の範囲になる場合についてのみ言及した。しかしながら、出射レーザ光のビーム形態が素子(チップ)の幅Wなどによっても影響される可能性があることは前述したとおりである。すなわち、上記各ビームを出射し得る範囲は、それぞれツインビームもしくはトリプルビームを出射可能な範囲で任意である。また、スタック型もしくはアレイ型のレーザ素子を構成する場合のシングルビームを出射し得る範囲も同様に、同ビームを出射可能な範囲で任意である。ちなみに、素子上部の電極から活性層までの距離(通常、「3μm」程度)も、出射レーザ光のビーム形態に影響を及ぼすパラメータの1つである。しかし、この距離がビーム形態に及ぼす影響は通常、無視できるほど小さい。
この発明に係る半導体レーザ素子の第1の実施の形態についてそのレーザ素子のレーザ出射側端面を主に示す斜視図。 同第1の実施の形態に係る半導体レーザ素子の正面構造を模式的に示す正面図。 電流経路を狭窄する絶縁膜の両エッジ部分の幅を「10μm」以下に設定した半導体レーザ素子について、(a)および(b)は、それぞれ横方向(水平方向)のNFPおよびFFPを示すグラフ。 電流経路を狭窄する絶縁膜の両エッジ部分の幅を「20μm」よりも大きな幅に設定した半導体レーザ素子について、(a)および(b)は、それぞれ横方向(水平方向)のNFPおよびFFPを示すグラフ。 電流経路を狭窄する絶縁膜の両エッジ部分の幅と出射レーザ光のビーム形態(ビーム形状)との関係を示す図表。 この発明に係る半導体レーザ素子の第2の実施の形態についてそのレーザ素子の正面構造を模式的に示す正面図。 この発明に係る半導体レーザ素子の第3の実施の形態についてそのレーザ素子の正面構造を模式的に示す正面図。 この発明に係る半導体レーザ素子の第4の実施の形態についてそのレーザ素子の正面構造を模式的に示す正面図。 同第4の実施の形態に係る半導体レーザ素子のFFPを示すグラフ。 この発明に係る半導体レーザ素子の第5の実施の形態についてそのレーザ素子の正面構造を模式的に示す正面図。 同第5の実施の形態に係る半導体レーザ素子のFFPを示すグラフ。 この発明に係る半導体レーザ素子の第6の実施の形態についてそのレーザ素子の正面構造を模式的に示す正面図。 この発明に係る半導体レーザ素子の第7の実施の形態についてそのレーザ素子の正面構造を模式的に示す正面図。
符号の説明
10a〜10c…レーザ素子、11、11a、11b、11c…半導体層、12、12a、12b、12c…絶縁膜、13、13a、13b、13c…電極(上部電極)、14、14a、14b、14c…電極(下部電極)、AL…活性層、WR…ワイヤ。

Claims (20)

  1. 素子上部に設けられたストライプ形状の電極から素子内部の活性層へ供給される電流の経路を同電極下にて横方向に両側から狭窄する絶縁膜を備え、該絶縁膜により狭窄された電流経路を通じて前記活性層に電流が供給されることに基づきレーザ光を出射する半導体レーザ素子であって、
    前記絶縁膜の一部もしくは全部として前記活性層の上方で同活性層の両端から前記電流経路を狭窄する部分を両エッジ部分とし、該両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅が、横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定されてなるとともに、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅が、前記レーザ光として横方向にトリプルビームを出射し得る「10μm」よりも大きく「20μm」以下の範囲にそれぞれ設定されてなる素子を備える
    ことを特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 前記絶縁膜の一部もしくは全部として前記活性層の上方で同活性層の両端から前記電流経路を狭窄する部分を両エッジ部分とし、該両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅が、横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定されてなるとともに、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を互いに異にして前記素子のビーム形態とは異なるビーム形態のレーザ光を出射する他の素子をさらに備え、それら素子を一体に組み合わせて前記素子によるトリプルビームとは異なるビーム形態のトリプルビームを出射する
    請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記他の素子は、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅が前記レーザ光として横方向にシングルビームを出射し得る「20μm」よりも大きい範囲にそれぞれ設定されてなり、前記素子と上下方向に積み重ねられてスタック型レーザ素子を構成する
    請求項2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記他の素子は、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅が前記レーザ光として横方向にツインビームを出射し得る「10μm」以下の範囲にそれぞれ設定されてなり、前記素子と上下方向に積み重ねられてスタック型レーザ素子を構成する
    請求項2に記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を互いに異にして積み重ねられた複数の素子は、前記両エッジ部分の幅のより大きい素子を下段に有して積み重ねられてなる
    請求項3または4に記載の半導体レーザ素子。
  6. 前記他の素子は、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅が前記レーザ光として横方向にシングルビームを出射し得る「20μm」よりも大きい範囲にそれぞれ設定されてなり、前記素子と横方向に並設されてアレイ型レーザ素子を構成する
    請求項2に記載の半導体レーザ素子。
  7. 前記他の素子は、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅が前記レーザ光として横方向にツインビームを出射し得る「10μm」以下の範囲にそれぞれ設定されてなり、前記素子と横方向に並設されてアレイ型レーザ素子を構成する
    請求項2に記載の半導体レーザ素子。
  8. 前記並設された複数の素子は、それぞれ前記ストライプ形状の電極が他の素子の電極と電気的に絶縁されてなる
    請求項6または7に記載の半導体レーザ素子。
  9. 前記ストライプ形状の電極は、平坦な頂上の両側端に斜面を有するメサ構造に形成されてなる
    請求項1〜のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
  10. 前記活性層は、前記ストライプ形状の電極のメサ構造の斜面に挟まれるかたちで素子内部に形成されてなる
    請求項に記載の半導体レーザ素子。
  11. 前記ストライプ形状の電極は、前記メサ構造の斜面下の前記活性層の外側にあたる部分にてワイヤボンディングされてなる
    請求項10に記載の半導体レーザ素子。
  12. 記両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅は、「10μm」以上に設定されてなる
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
  13. 素子上部に設けられたストライプ形状の電極から素子内部の活性層へ供給される電流の経路を同電極下にて横方向に両側から狭窄する絶縁膜を備え、該絶縁膜により狭窄された電流経路を通じて前記活性層に電流が供給されることに基づきレーザ光を出射する半導体レーザ素子であって、
    前記絶縁膜の一部もしくは全部として前記活性層の上方で同活性層の両端から前記電流経路を狭窄する部分を両エッジ部分とし、該両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅が、横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定されるとともに、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を互いに異にして互いに異なるビーム形態のレーザ光を出射する複数の素子が上下方向に積み重ねられてスタック型レーザ素子を構成する
    ことを特徴とする半導体レーザ素子。
  14. 前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を互いに異にして積み重ねられた複数の素子は、前記両エッジ部分の幅のより大きい素子を下段に有して積み重ねられてなる
    請求項13に記載の半導体レーザ素子。
  15. 素子上部に設けられたストライプ形状の電極から素子内部の活性層へ供給される電流の経路を同電極下にて横方向に両側から狭窄する絶縁膜を備え、該絶縁膜により狭窄された電流経路を通じて前記活性層に電流が供給されることに基づきレーザ光を出射する半導体レーザ素子であって、
    前記絶縁膜の一部もしくは全部として前記活性層の上方で同活性層の両端から前記電流経路を狭窄する部分を両エッジ部分とし、該両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅が、横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定されるとともに、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を互いに異にして互いに異なるビーム形態のレーザ光を出射する複数の素子が横方向に並設されてアレイ型レーザ素子を構成する
    ことを特徴とする半導体レーザ素子。
  16. 前記並設された複数の素子は、それぞれ前記ストライプ形状の電極が他の素子の電極と電気的に絶縁されてなる
    請求項15に記載の半導体レーザ素子。
  17. 前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を異にする複数の素子は、前記両エッジ部分の幅が「20μm」よりも大きい範囲に設定された横方向にシングルビームを出射し得るレーザ素子と、前記両エッジ部分の幅が「10μm」以下の範囲に設定された横方向にツインビームを出射し得るレーザ素子と、前記両エッジ部分の幅が「10μm」よりも大きく「20μm」以下の範囲に設定された横方向にトリプルビームを出射し得るレーザ素子との3種のレーザ素子のうちの少なくとも2つを有して構成される
    請求項13〜16のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
  18. 記両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅は、各素子について、それぞれ「10μm」以上に設定されてなる
    請求項13〜17のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
  19. 素子上部に設けられたストライプ形状の電極から素子内部の活性層へ供給される電流の経路を同電極下にて横方向に両側から狭窄する絶縁膜を備え、該絶縁膜により狭窄された電流経路を通じて前記活性層に電流が供給されることに基づきレーザ光を出射する半導体レーザ素子を製造する方法であって、
    前記絶縁膜の一部もしくは全部として前記活性層の上方で同活性層の両端から前記電流経路を狭窄する部分を両エッジ部分とし、該両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅を、横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定するとともに、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を、前記レーザ光として横方向にトリプルビームを出射し得る「10μm」よりも大きく「20μm」以下の範囲に設定する
    ことを特徴とする半導体レーザ素子の製造方法。
  20. 素子上部に設けられたストライプ形状の電極から素子内部の活性層へ供給される電流の経路を同電極下にて横方向に両側から狭窄する絶縁膜を備え、該絶縁膜により狭窄された電流経路を通じて前記活性層に電流が供給されることに基づきレーザ光を出射する半導体レーザ素子を製造する方法であって、
    前記絶縁膜の一部もしくは全部として前記活性層の上方で同活性層の両端から前記電流経路を狭窄する部分を両エッジ部分とし、該両エッジ部分により狭窄された電流経路の幅を、横モードが基本モード以外に高次モードでも発振するマルチモードとなる範囲に設定するとともに、前記電流経路を挟窄する両エッジ部分の幅を、前記レーザ光として横方向にシングルビームを出射し得る「20μm」よりも大きい範囲、および、横方向にツイン
    ビームを出射し得る「10μm」以下の範囲、および、横方向にトリプルビームを出射し得る「10μm」よりも大きく「20μm」以下の範囲、のいずれか1つに設定した3種のレーザ素子のうちの少なくとも2つを組み合わせて、レーザ光の横方向のビーム形態を調整する
    ことを特徴とする半導体レーザ素子の製造方法。
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