JP3606933B2 - 半導体レーザ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、半導体レーザに係り、特に、ロボットの目やレーザレーダシステム等を構成する測距用の半導体レーザとして好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体レーザを用いて自動車間の距離を測定し、車間距離を一定に保ったり、また前方の車に接近し過ぎた場合に警報を発する、あるいはブレーキをかけるというようなシステムが検討されている。このようなシステムでは、100m先の物体を検知する必要があり、半導体レーザにおいてはパルス駆動で数十Wクラスの光出力が要求されている。この大出力半導体レーザの構造を図8に示す。n−GaAs基板21上にn−GaAs層22、n−AlGaAsクラッド層23が積層され、その上に活性層24、p−AlGaAsクラッド層25、p−GaAs層26がメサ状に積層されている。ここで、活性層とは、注入されたキャリアを閉じ込め、再結合させることで光に変換する層である。さらに、絶縁膜27およびp型電極28が形成されている。一方、n−GaAs基板21の裏面にはn型電極29およびAu/Sn層30が形成されている。
【0003】
一般に、数十Wクラスの大出力パルス半導体レーザは大出力化のため図8に示すようにストライプ幅を少なくとも100μm以上とする必要がある。一方、活性層24の厚さはキャリアを狭い領域に閉じ込め、しきい値電流を小さくするという目的から0.1μm程度にする必要がある。このように、大出力パルス半導体レーザは波長に比べストライプ幅が大きく、かつ活性層の厚さは小さくなっているため、活性層の拡がり方向(水平方向)には光の回折が起こらず、活性層の厚さ方向(垂直方向)には回折が起こるため、ビーム形状は活性層の厚さ方向(垂直方向)に広がった楕円形状となっており、楕円比(図9でのビーム断面の長径Hと短径Wの比H/W)が2.5〜3.2程度となっている。
【0004】
そして、レーザ光のビームを所望の広がり角を持つ範囲に集光するために光学レンズが用いられており、レンズ設計の容易さ、システムの小型化という観点から、放射されるレーザ光のビーム形状はなるべく円形に近い方が望ましく、楕円比が「2.5」よりも小さいものが要求されている。
【0005】
円形に近いビーム形状のレーザ光を得るための一般的手法として、特開昭55−143092号公報では小出力半導体レーザにおいて、半導体に高屈折率のレンズ部を形成している。ところが、半導体内にレンズ部を形成しようとすると、新たなる工程が必要となる問題があった。そこで、レンズ部を必要とせず円形に近いレーザ光を得るようにしたものとして、特開平4−151887号公報がある。特開平4−151887号公報では、同じく小出力半導体レーザにおいて、活性層の上下に活性層より屈折率の低い光ガイド層(閉じ込め層)を形成し、さらに、活性層の幅を0.5μm以上、1.5μm以下としている。ここで、光ガイド層というのは、活性層で発生した光を閉じ込め、導波させる働きをする層のことである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平4−151887号公報に示された半導体レーザは、小出力(数十mW)クラスの半導体レーザ(ストライプ幅;数μm〜数十μm)に用いることにより円形に近いビーム形状のレーザ光を得ることができるが、上記ストライプ幅が100μm以上の大出力パルス半導体レーザに用いた場合、単に活性層の幅を限定し、光ガイド層で挟んだ構造にしただけでは円形に近いビーム形状のレーザ光を得ることができないことが分かった。
【0007】
これは、一般的に小出力の半導体レーザ(ストライプ幅が100μm未満)においては、発光開始電流(しきい値電流)が変わってしまうという問題により、光ガイド層の厚さをあまり大きくとれず、従って、ビーム形状を変化させるためにはストライプ幅を変化させたり、活性層の幅を変えたり、また活性層の両側にキャリア障壁層を付加させたり(特開昭61−79288号公報)するしかないと考えられていたためである。そして、この発光開始電流変化はストライプ幅が100μm以上の半導体レーザにおいても生じると考えられていたため大出力半導体レーザにおいては、上記のように楕円比2.5〜3.2程度のものしか得られていなかった。
【0008】
そこで、この発明の目的は、ストライプ幅が100μm以上を有する大出力の半導体レーザにおいて円形に近いビーム形状のレーザ光を得ることができる半導体レーザを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、光の閉じ込め効果は光ガイド層と活性層の厚みの合計で決定されることを見出した。
【0010】
そこで、請求項1に記載の発明は、ストライプ幅が100μm以上である半導体レーザであって、キャリアが注入され、該注入されたキャリアを再結合させることで光を発生する活性層と、前記活性層の上下に隣接して形成され、前記活性層よりも実質的に屈折率の低い材料で構成されて前記活性層で発生された前記光を閉じ込める光ガイド層と、前記光ガイド層を介して前記活性層の上下に形成され、前記光ガイド層よりも実質的に屈折率の低い材料で構成されたクラッド層とを有し、前記活性層と前記光ガイド層との厚さの合計を1.5μm以上、かつ5.5μm以下とした半導体レーザをその要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明における前記活性層の厚さを0.05μm以上、0.15μm以下とした半導体レーザをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明における前記活性層と前記光ガイド層と前記クラッド層とを、AlGaAs系材料にて構成した半導体レーザをその要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明における前記活性層と前記光ガイド層と前記クラッド層とを、InGaAlP系材料、InGaAsP系材料、InGaAsSb系材料、AlGaInN系材料のいずれかの材料にて構成した半導体レーザをその要旨とする。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明における前記クラッド層は前記活性層の一方の面に形成された第1導電型の第1のクラッド層と、前記活性層の他方の面に形成された第2導電型の第2のクラッド層とからなり、さらに、前記第1のクラッド層側に形成された半導体基板と、該半導体基板の前記第1のクラッド層とは反対側に形成された下面電極と、前記第2のクラッド層上に形成され100μm以上のストライプ幅を有する上面電極とを有する半導体レーザをその要旨とする。
【0016】
請求項に記載の発明は、下面に下面電極を有する第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の前記下面電極とは反対側の上面に形成され、第1導電型の第1のクラッド層と、前記第1のクラッド層上に形成され、前記第1のクラッド層よりも実質的に屈折率が高くAlGaAs系材料からなる第1導電型の第1の光ガイド層と、前記第1の光ガイド層上に隣接して形成され、AlGaAs系材料からなり、前記第1の光ガイド層よりも実質的に屈折率が高く、キャリアが注入されて該注入されたキャリアを再結合させることで光を発生する活性層と、前記活性層上に隣接して形成され、前記活性層よりも実質的に屈折率が低くAlGaAs系材料からなる第2導電型の第2の光ガイド層と、前記第2の光ガイド層上に形成され、前記第2の光ガイド層よりも実質的に屈折率が低い第2導電型の第2のクラッド層と、前記第2のクラッド層上に形成され、100μm以上のストライプ幅を有する上面電極とを有し、前記第1の光ガイド層と前記活性層と前記第2の光ガイド層との厚さの合計を1.5μm以上、かつ5.5μm以下とした半導体レーザをその要旨とする。
【0017】
【作用】
請求項1,5,6に記載の発明によれば、光ガイド層の厚さを厚くしていくと、光ガイド層の厚さ方向(垂直方向)の光の回折効果が小さくなりビームは狭くなる。一方、光ガイド層の拡がり方向(水平方向)の回折効果は変化しない。図4に示すように、活性層と光ガイド層の厚さの合計を1.5μm以上、かつ5.5μm以下とすることでビームが円形に近づく。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、活性層の厚さを0.05μm以上、0.15μm以下としたので、キャリアは活性層の狭い領域のみに閉じ込められるためしきい値電流の増加、光出力の低下は起こらない。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の作用に加え、活性層と光ガイド層とクラッド層とを、AlGaAs系材料にて構成したので、ビームの楕円比が「2.5」よりも小さくなる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の作用に加え、活性層と光ガイド層とクラッド層とを、InGaAlP系材料、InGaAsP系材料、InGaAsSb系材料、AlGaInN系材料のいずれかの材料にて構成したので、ビームの楕円比が「2.5」よりも小さくなる。
【0023】
【実施例】
(第1実施例)
以下、この発明を具体化した第1実施例を図面に従って説明する。
【0024】
図2は本実施例の大出力半導体レーザの斜視図を示し、図1には大出力半導体レーザの断面図を示す。図3には、大出力半導体レーザのエネルギーバンド図を示す。この大出力半導体レーザはパルス駆動されるようになっている。
【0025】
半導体基板としてのn−GaAs基板1上に、n−GaAs層2、第1のクラッド層としてのn−Al0.4 Ga0.6 Asクラッド層3、第1の光ガイド層としてのn−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層4、Al0.2 Ga0.8 As/GaAs多重量子井戸構造からなる活性層5、第2の光ガイド層としてのp−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層6、第2のクラッド層としてのp−Al0.4 Ga0.6 Asクラッド層7、p−GaAs層8が順に積層されている。活性層5は、Al0.2 Ga0.8 AsとGaAsとが交互に積層され、Al0.2 Ga0.8 Asが5層、GaAsが6層形成されている。又、クラッド層3と光ガイド層4と活性層5と光ガイド層6とクラッド層7とGaAs層8とは、メサ形となっている。そして、活性層5の前端面(図2における手前側端面)には低反射膜、後端面には高反射膜がコーティングされている。
【0026】
n−GaAs層2の厚さは500nm(0.5μm)、n−Al0.4 Ga0.6 Asクラッド層3の厚さは1μm、n−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層4の厚さは0〜2.25μmである。又、活性層5においては、Al0.2 Ga0.8 Asの一層の厚さが7.5nm(0.0075μm)であり、かつ、Al0.2 Ga0.8 Asが5層あるので、Al0.2 Ga0.8 Asの合計の厚さは37.5nm(=7.5nm×5層)となっている。又、活性層5におけるGaAsの一層の厚さが15nm(0.015μm)であり、かつ、GaAsが6層あるのでGaAsの合計の厚さは90nm(=15nm×6層)となっている。よって、活性層5の厚さは127.5nm、即ち、0.1275μmとなっている。
【0027】
p−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層6の厚さは0〜2.25μm、p−Al0.4 Ga0.6 Asクラッド層7の厚さは1μm、p−GaAs層8の厚さが0.8μmである。
【0028】
本実施例では、活性層5の厚さが127.5nmで、活性層5と光ガイド層4と光ガイド層6との合計の厚さが1.5μm以上となっている。
又、活性層5の屈折率(平均屈折率)は「3.6」であり、n−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層4およびp−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層6の屈折率はそれぞれ「3.5」であり、n−Al0.4 Ga0.6 Asクラッド層3およびp−Al0.4 Ga0.6 Asクラッド層7の屈折率はそれぞれ「3.3」である。そして、図3に示すように、光ガイド層4,6は活性層5よりもバンドギャップが大きくなるように設定されている。
【0029】
n−GaAs層2およびメサ状部の上面にはSiOからなる絶縁膜9が形成されるとともに、メサ状部の上面には絶縁膜9の無い窓部13が形成されている。さらに、その上にはCr/Auからなる上面電極としてのp型電極10が形成され、p−GaAs層8とオーミックコンタクトが取られている。窓部13の幅、即ち、ストライプ幅は400μmとなっている。
【0030】
n−GaAs基板1の裏面にはAuGe/Ni/Auからなる下面電極としてのn型電極11が形成され、n−GaAs基板1とオーミックコンタクトが取られている。又、n型電極11の表面にはAu/Sn層12が形成され、このAu/Sn層12は半導体レーザ素子と、台座であるCu製のヒートシンクを接合するための接合剤である。
【0031】
図2に示すように、この大出力半導体レーザの縦横の寸法は、500μm×600μmとなっている。
次に、この大出力半導体レーザの製造方法を説明する。
【0032】
まず、n−GaAs基板1上にn−GaAs層2、n−Al0.4 Ga0.6 Asクラッド層3、n−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層4、Al0.2 Ga0.8 As/GaAs多重量子井戸構造からなる活性層5、p−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層6、p−Al0.4 Ga0.6 Asクラッド層7、p−GaAs層8を順次MOCVD(Metal Organic Chemical Vaper Deposition)法により積層する。その後、エッチングによりメサ状部を形成する。
【0033】
引き続き、n−GaAs層2およびメサ状部の上面にSiOからなる絶縁膜9をプラズマCVD法により成膜し、エッチングにより窓あけをして窓部13を形成する。そして、絶縁膜9上に、Cr/Auからなるp型電極10を電子ビーム蒸着法により形成し、約360℃において熱処理を行いオーミックコンタクトを取る。
【0034】
さらに、n−GaAs基板1の裏面にAuGe/Ni/Auからなるn型電極11を電子ビーム蒸着法により形成し、熱処理を行いオーミックコンタクトを取る。その後、Au/Sn層12を電子ビーム蒸着法により形成する。最後に、端面をへき開し半導体レーザチップとする。
【0035】
このレーザのp型電極10とn型電極11の間にパルスの電流を流すことにより、p−Al0.4 Ga0.6 Asクラッド層7側より正孔が、n−Al0.4 Ga0. Asクラッド層3側より電子がそれぞれ活性層5内に注入され、再結合することにより発光する。このようにして発光した光がへき開した前後の端面で反射を繰り返すことで増幅されレーザ発振し、前端面よりレーザ光が発射される。
【0036】
図4には、活性層5の厚さを127.5nmとし、n−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層4およびp−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層6の厚さを変えることにより、活性層5と光ガイド層4および光ガイド層6の合計の厚さを変えた場合のビームの楕円比(図9におけるH/W)の測定結果を示す。尚、このとき、光ガイド層4の膜厚と光ガイド層6の膜厚は等しくなっている。
【0037】
この図4から次のことが分かる。即ち、活性層5と光ガイド層4および光ガイド層6の厚さの合計を1.5μm以上とすることでビームの楕円比を「2.5」よりも小さくすることができる。さらに、活性層5と光ガイド層4および光ガイド層6の厚さの合計を4.5μm付近に選べば楕円比が「1」、即ち完全な円形に近いビームを得ることができる。これは、光ガイド層の膜厚を大きくしていくと、光ガイド層の厚さ方向(垂直方向)には光の回折効果が小さくなりビームは狭くなるのに対し、光ガイド層の拡がり方向(水平方向)の回折効果は変化しないためである。その結果、図4に示すように、ビームの楕円比を「1」程度から「3」程度にまで制御することができる。又、活性層5と光ガイド層4および光ガイド層6の厚さの合計を5.5μm以下とすることで、ビームの楕円比を0.4よりも大きくすることができる。これは、楕円比2.5の縦横を入れ換えたものにほかならない。
【0038】
尚、図4において、ハッチングで示した領域は、図8に示した大出力半導体レーザ(光ガイド層の無い半導体レーザ)の楕円比を示し、その楕円比は2.5〜3.2程度である。
【0039】
ここで、活性層5の厚さを0.1μm付近(0.1±0.05μmの間)とすることで、キャリアを狭い所に閉じ込め、キャリアを有効に再結合させることができるため、しきい値電流を低くすることができ、又、光出力が低下することも防止できる。
【0040】
このように、活性層5と光ガイド層4および光ガイド層6の合計の膜厚を1.5μm以上にし、かつ、活性層5の膜厚を0.1μm付近にするために、本実施例では、光ガイド層4および光ガイド層6の合計の厚さを1.5μm以上にしている。
【0041】
尚、n−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層4とp−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層6の膜厚は同一でも異なっていてもよい。
このように本実施例の半導体レーザでは、ストライプ幅を400μmの大出力用とし、活性層5の上下に、活性層5より屈折率の低い光ガイド層4,6を有し、さらに、その光ガイド層4,6を含めた活性層5の上下に光ガイド層4,6より屈折率の低いクラッド層3,7を有し、かつ活性層5と光ガイド層4,6の厚さの合計を1.5μm以上とした。よって、光ガイド層4,6の厚さを厚くしていくと、光ガイド層4,6の厚さ方向(垂直方向)の光の回折効果が小さくなりビームは狭くなる。一方、光ガイド層4,6の拡がり方向(水平方向)の回折効果は変化しない。このようにして、活性層5と光ガイド層4,6の厚さの合計を1.5μm以上とすることでビームを円形に近づけることができる。
【0042】
又、活性層5の厚さを、0.05〜0.15μmの範囲内である0.1275μmとしたので、キャリアは活性層5の狭い領域のみに閉じ込められるため、これによってもしきい値電流の増加、光出力の低下は防止できる。
【0043】
さらに、活性層5と光ガイド層4,6とクラッド層3,7とを、AlGaAs系材料にて構成した。よって、活性層5と光ガイド層4,6の合計の厚さを1.5μm以上とすることで、ビームの楕円比を「2.5」よりも小さくすることができる。このように、大出力のままビームの楕円比が「2.5」よりも小さい円形に近いビーム形状を得ることができ、集光のためのレンズ設計およびレンズ製作が容易になり、又、システムの要求に適合したビーム形状のレーザの製作が可能となる。
【0044】
さらには、AlGaAs系材料を用いたことにより、発振波長が0.8μm帯のレーザを得ることができる。
以上、一般的に小出力の半導体レーザ(ストライプ幅が100μm未満)においては、発光開始電流(しきい値電流)が変わってしまうという問題により、光ガイド層の厚さをあまり大きくとれず、従って、ビーム形状を変化させるためにはストライプ幅を変化させたり、活性層の幅を変えたり、また活性層の両側にキャリア障壁層を付加させたり(特開昭61−79288号公報)するしかないと考えられていた。そして、この発光開始電流変化はストライプ幅が100μm以上の半導体レーザにおいても生じると考えられていたため大出力半導体レーザにおいては、上記のように楕円比2.5〜3.2程度のものしか得られていなかった。しかしながら、本発明者等は、ストライプ幅100μm以上の半導体レーザにおいては、光ガイド層の厚さを変えても、しきい値電流(発光開始電流)はほとんど変化しないということを見出し、又、光ガイド層の厚さ及び活性層の厚さを積極的に変化させることによりビームの形状が制御できるということを見出した。そして、その光ガイド層及び活性層の厚さの合計を1.5μm以上とすることによりビームの形状を「2.5」より小さくできるということを見出した。
参考例)
次に、参考例を第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0045】
参考例の大出力半導体レーザは、図5、6に示すように、活性層5の下のみn−Al0.2Ga0.8As光ガイド層4を設け、活性層5の上には光ガイド層が設けられていない。その結果、キャリアである電子がn−Al0.4Ga0.6Asクラッド層3からn−Al0.2Ga0.8As光ガイド層4を介して活性層5に注入されるとともに、キャリアである正孔がp−Al0.4Ga0.6Asクラッド層7から直接、活性層5に注入される。よって、キャリアである電子および正孔が活性層5まで到達する距離は正孔の方が電子よりも短くなる。従って、全体の抵抗が減少し、素子の発熱が抑えられ信頼性が向上する。この場合においても、活性層5とn−Al0.2Ga0.8As光ガイド層4の合計の膜厚を1.5μm以上とすることで第1実施例と同様に楕円比が「2.5」よりも小さいビーム形状を得ることができる。
【0046】
尚、この発明は上記実施例に限定されるものでなく、例えば、上記実施例ではストライプ幅が400μmであったが、ストライプ幅が100μm以上の半導体レーザであれば適用できる。又、パルス駆動の半導体レーザの他にも直流駆動(CW)の半導体レーザに使用してもよい。さらに、上記実施例では活性層と光ガイド層とクラッド層とを、AlGaAs系材料にて構成したが、他にも、InGaAlP、InGaAsP、InGaAsSb、AlGaInN系等の材料にて構成してもよい。この場合、活性層5と光ガイド層の厚さの合計を2.5μm以上、5.5μm以下とすることにより、ビームの楕円比をほぼ「2」以下に設定できる。そして、材料に応じた発振波長のレーザを得ることができる。
【0047】
さらに、上記実施例ではメサ形の半導体レーザを用いて説明したが、図7に示すように、メサ形でない半導体レーザとしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1,6,7に記載の発明によれば、大出力で、かつ円形に近いビーム形状のレーザ光を得ることができる。
【0049】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、しきい値電流の増加、光出力の低下を防止することができる。請求項3,4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、ビームの楕円比を「2.5」よりも小さくすることができる。
【0050】
請求項に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、素子の発熱が抑えられ信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の大出力半導体レーザの断面図。
【図2】第1実施例の大出力半導体レーザの斜視図。
【図3】第1実施例の大出力半導体レーザのエネルギーバンド図。
【図4】活性層と光ガイド層の厚さの合計値と楕円比との関係を示すグラフ。
【図5】参考例の大出力半導体レーザの断面図。
【図6】参考例の大出力半導体レーザのエネルギーバンド図。
【図7】他の実施例の大出力半導体レーザの斜視図。
【図8】従来の大出力半導体レーザの斜視図。
【図9】ビームの断面を示す断面図。
【符号の説明】
1…半導体基板としてのn−GaAs基板、3…第1のクラッド層としてのn−Al0.4 Ga0.6 Asクラッド層、4…第1の光ガイド層としてのn−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層、5…活性層、6…第2の光ガイド層としてのp−Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層、7…第2のクラッド層としてのp−Al0.4 Ga0.6 Asクラッド層、10…上面電極としてのp型電極、11…下面電極としてのn型電極

Claims (6)

  1. ストライプ幅が100μm以上である半導体レーザであって、
    キャリアが注入され、該注入されたキャリアを再結合させることで光を発生する活性層と、
    前記活性層の上下に隣接して形成され、前記活性層よりも実質的に屈折率の低い材料で構成されて前記活性層で発生された前記光を閉じ込める光ガイド層と、
    前記光ガイド層を介して前記活性層の上下に形成され、前記光ガイド層よりも実質的に屈折率の低い材料で構成されたクラッド層とを有し、
    前記活性層と前記光ガイド層との厚さの合計を1.5μm以上、かつ5.5μm以下としたことを特徴とする半導体レーザ。
  2. 前記活性層の厚さを0.05μm以上、0.15μm以下としたことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
  3. 前記活性層と前記光ガイド層と前記クラッド層とを、AlGaAs系材料にて構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体レーザ。
  4. 前記活性層と前記光ガイド層と前記クラッド層とを、InGaAlP系材料、InGaAsP系材料、InGaAsSb系材料、AlGaInN系材料のいずれかの材料にて構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ。
  5. 前記クラッド層は前記活性層の一方の面に形成された第1導電型の第1のクラッド層と、前記活性層の他方の面に形成された第2導電型の第2のクラッド層とからなり、
    さらに、前記第1のクラッド層側に形成された半導体基板と、該半導体基板の前記第1のクラッド層とは反対側に形成された下面電極と、前記第2のクラッド層上に形成され100μm以上のストライプ幅を有する上面電極とを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体レーザ。
  6. 下面に下面電極を有する第1導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の前記下面電極とは反対側の上面に形成され、第1導電型の第1のクラッド層と、
    前記第1のクラッド層上に形成され、前記第1のクラッド層よりも実質的に屈折率が高くAlGaAs系材料からなる第1導電型の第1の光ガイド層と、
    前記第1の光ガイド層上に隣接して形成され、AlGaAs系材料からなり、前記第1の光ガイド層よりも実質的に屈折率が高く、キャリアが注入されて該注入されたキャリアを再結合させることで光を発生する活性層と、
    前記活性層上に隣接して形成され、前記活性層よりも実質的に屈折率が低くAlGaAs系材料からなる第2導電型の第2の光ガイド層と、
    前記第2の光ガイド層上に形成され、前記第2の光ガイド層よりも実質的に屈折率が低い第2導電型の第2のクラッド層と、
    前記第2のクラッド層上に形成され、100μm以上のストライプ幅を有する上面電極とを有し、前記第1の光ガイド層と前記活性層と前記第2の光ガイド層との厚さの合計を1.5μm以上、かつ5.5μm以下としたことを特徴とする半導体レーザ。
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