以下に、図面を参照し、本発明に係る実施形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る配線基板の構成を示す断面図である。配線基板10は、支持基板11上に、水溶性の絶縁材料から成る第1層12、及び耐水性の絶縁材料又は金属から成る第2層13が順に積層され、第2層13上に、配線層14、絶縁層15、及び電極16から構成される配線構造体17が配設されている。第1層12と第2層13は、支持基板11と配線構造体17とを密着させる密着層24を構成する。
支持基板11は、適度な剛性を有していることが望ましく、シリコン、サファイア、GaAs等の半導体ウエハ材料、金属、石英、ガラス、セラミック、又は、プリント板を用いることができる。特に、半導体素子と100μm以下の狭ピッチ接続を行う場合は、シリコン、サファイア、GaAs等の半導体ウエハ材料を用いることが好適であり、更にシリコンを用いた半導体素子が多いことから、シリコンウエハを用いることが最も好適である。本実施形態では、8インチ(直径200mm)で、厚さが0.725mmのシリコンウエハを用いる。
第1層12は、支持基板11と第2層13及び配線構造体17とを分離するために配設される。第1層12の好適な例としては、水、又は、水にTMAHなどのアルカリ成分、アルコール成分、NMPなどの有機溶剤成分、モノエタノールアミンなどのアミン系成分、ジメチルスルホキシドやジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの有機添加物の何れか、若しくはこれらを混合させた液体によって比較的容易に溶解する材料から適宜に選択できる。例えば、ポリビニルアルコール系、水性ビニルウレタン系、アクリル系、ポリビニルピロリドン、アルファオレフィン、マレイン酸系、光硬化型接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリアミド系接着剤、又は、シリコーン系接着剤などの材料で形成される。本実施形態では、ポリアミド系接着剤を用いる。
第2層13は、水溶性材料から成る第1層12をめっき法やウェットエッチングなどの水系プロセスから保護するために配設される。図2に、図1の配線基板10の縁部近傍を拡大して示す。同図では、支持基板11、及び、第1層12と第2層13とで構成される密着層24について示している。第1層12は、支持基板11上に配設され、更に第2層13により覆われる構成を有する。第1層12は、その平面形状が支持基板11よりも小さく、第2層13の平面形状は、支持基板11とほぼ同じ大きさである。この構造により、第1層12の側面が第2層13によって覆われる。
第2層13は、有機材料や金属から成り、好適な例としては、有機材料では、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成され、金属では、チタン、クロム、モリブデン、タンタル、タングステン、ニッケル、アルミニウム、銅、金、白金、パラジウム、銀、又は、鉄を主成分とする材料の何れか、若しくは複数の組み合わせにより形成される。本実施形態では、第1層12上にチタン、銅の順に積層した金属膜を用いる。
配線構造体17は、配線層14、絶縁層15、及び半導体素子などと電気的に接続するための電極16を備える。配線層14と絶縁層15とを交互に積層して多層の回路を構成することもできる。図1における配線構造体17では、第2層13上に配線層14を配設しているが、この構造に限定されるものではなく、第2層13上に絶縁層15を配設しても構わない。
配線層14は、少なくとも1層以上で構成され、2層以上の場合は、配線層14の間に介在する絶縁層15に配設されるビア23により電気的に接続される。また、配線層14は、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金、及び、銀から成る群から選択された少なくとも1種の金属で形成される。特に、電気抵抗値及びコストの観点から銅が好適である。また、ニッケルは、絶縁材料等の他の材料との界面反応を防止でき、磁性体としての特性を活用したインダクタ又は抵抗配線として使用できる。本実施形態では、配線層14は、前述の如くように例えば銅で形成され、その厚さは例えば5μmである。配線層14は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、又は、フルアディティブ法等の方法により形成される。
サブトラクティブ法は、基板上に形成された銅箔上に所望のパターンのレジストを形成し、エッチングにより不要な銅箔を除去した後に、レジストを剥離して所望のパターンを得る方法である。セミアディティブ法は、無電解めっき法、スパッタ法、又は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で給電層を形成した後、所望のパターンに開口されたレジストを形成する。レジストの開口部内に電解めっき法による金属を析出させ、レジストを除去した後に、エッチングにより給電層を除去して所望の配線パターンを得る方法である。フルアディティブ法は、基板上に無電解めっき触媒を吸着させた後に、レジストでパターンを形成し、このレジストを絶縁膜として残したまま触媒を活性化し、無電解めっき法により絶縁膜の開口部に金属を析出させることでによって所望の配線パターンを得る方法である。
絶縁層15は、配線構造体17の厚み方向について配線層14の片側、若しくは両側に配設されるため、少なくとも1層以上で構成される。また、絶縁層15は、例えば感光性又は非感光性の有機材料で形成され、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成される。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率、及び、破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。
感光性の有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部はフォトリソグラフィにより形成される。非感光性の有機材料、又は感光性の有機材料でパターン解像度が低い有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部は、レーザ加工法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法により形成される。また、ビア23を形成する位置に予めめっきポストを形成した後に絶縁膜を形成し、研磨により絶縁膜表面を削ってめっきポストを露出させてビア23を形成する方法を用いれば、絶縁層15に予め開口部を形成する必要が無い。本実施形態では、スパッタ膜を給電層とするセミアディティブ法により配線層14が形成され、感光性ポリイミド樹脂を用いて絶縁層15が形成され、フォトリソグラフィにより絶縁層15にビアを埋め込む開口部が形成される。
配線構造体17には、電極16が配設され、電極16は、絶縁層15内に埋め込まれたビア23を介して配線層14に電気的に接続されている。電極16は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極16の表面に形成される半田ボールの濡れ性又はボンディングワイヤとの接続性を考慮して、電極16の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種の金属、又は、合金で形成することが好ましい。また、図示していないが、電極16の内側に開口部を有するパターンや、電極16に接触しない開口部を有するパターンのソルダーレジストを追加して形成しても構わない。更に、ソルダーレジストパターンを形成した後に、その開口部を覆うように電極パターンを形成した構造としてもよい。本実施形態では、電極16を、2μmの銅、3μmのニッケル、及び1μmの金を順に積層し、最表面が金になるように構成する。
本実施形態によれば、製造に際して、支持基板11と第1層12、及び第1層12と第2層13がそれぞれ高い密着性で保持された状態で配線構造体17が形成されるので、支持基板11上に配線構造体17を安定して形成できる。また、水溶性材料から成る第1層12を耐水性材料から成る第2層13が覆っていることによって、めっき法やウェットエッチング等の水系プロセスを用いることが出来、配線を微細化させることが出来る。支持基板11の除去に際して、先ず、第2層13の縁部を支持基板11から除去することによって、第1層12の縁部を露出させた後、水溶液を用いて第1層12を除去することによって、配線構造体17を支持基板11から容易に剥離できる。
図3〜5は、第1実施形態の第1〜第3変形例に係る配線基板について、図2に相当する断面をそれぞれ示す部分断面図である。図3の配線基板30では、第1層12の縁部が支持基板11の縁部と揃うように形成され、第2層13の縁部が支持基板11の側面まで形成されている。図4の配線基板31では、支持基板11の側面まで第1層12が形成され、第2層13は第1層12の縁部を超える位置まで形成されている。図5の配線基板32では、支持基板11の底面まで第1層12が回り込んで形成され、第2層13が第1層12を覆うように形成されている。
なお、図2〜5では、便宜上同一の厚みで第1層12と第2層13を示しているが、第2層13が第1層12を覆っていれば、各部位における膜厚が変動していても構わない。更に、第2層13が第1層12を覆っていれば、第1層12の縁部が支持基板11の縁部手前や側面にあっても、第2層13の縁部が支持基板11の側面や底面に回り込んでも構わない。
図6は、本発明の第2実施形態に係る配線基板の構成を示す断面図である。配線基板33は、図1に示した配線基板10で、支持基板11と第1層12が除去され、第2層13が配設された側の面に電極18が形成された構成を有する。支持基板11及び第1層12の除去は、水溶性材料から成る第1層12を除去し、支持基板11と第2層13とを分離することによって行う(図示せず)。本実施形態の配線基板33では、第2層13は有機材料から成るため、図6では符号13aで示す。
第2層13は、耐水性材料から成り、水溶性材料から成る第1層12をめっき法やウェットエッチングなどの水系プロセスから保護するために配設される。本実施形態では、第2層13aは有機材料から成るため、表面保護の絶縁膜、つまりソルダーレジストとして使用できる。第2層13aの好適な例としては、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等が挙げられる。本実施形態ではポリイミド樹脂を用いる。
配線構造体17は、配線層14、絶縁層15、及び半導体素子などと電気的に接続するための電極16を備える。配線層14と絶縁層15とを交互に積層して多層の回路を構成することも出来る。図6における配線構造体17では、第2層13に接して配線層14を配設しているが、この構造に限定されるものではなく、第2層13に接して絶縁層15を配設しても構わない。
配線層14は、少なくとも1層以上で構成され、2層以上の場合は、配線層14の間に介在する絶縁層15に配設されるビア23により電気的に接続される。また、配線層14は、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金、及び、銀から成る群から選択された少なくとも1種の金属で形成される。特に、電気抵抗値及びコストの観点から銅が好適である。また、ニッケルは、絶縁材料等の他の材料との界面反応を防止でき、磁性体としての特性を活用したインダクタ又は抵抗配線として使用できる。本実施形態では、配線層14は、前述のように例えば銅で形成され、その厚さは例えば5μmである。配線14は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、又は、フルアディティブ法等の方法により形成される。
サブトラクティブ法は、基板上に形成された銅箔上に所望のパターンのレジストを形成し、エッチングにより不要な銅箔を除去した後に、レジストを剥離して所望のパターンを得る方法である。セミアディティブ法は、無電解めっき法、スパッタ法、又は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で給電層を形成した後、所望のパターンに開口されたレジストを形成する。レジストの開口部内に電解めっき法による金属を析出させ、レジストを除去した後に、エッチングにより給電層を除去して所望の配線パターンを得る方法である。フルアディティブ法は、基板上に無電解めっき触媒を吸着させた後に、レジストでパターンを形成し、このレジストを絶縁膜として残したまま触媒を活性化し、無電解めっき法により絶縁膜の開口部に金属を析出させることによって所望の配線パターンを得る方法である。
絶縁層15は、配線構造体17の厚み方向について配線層14の片側、若しくは両側に配設されるため少なくとも1層以上で構成される。また、絶縁層15は、例えば感光性又は非感光性の有機材料で形成され、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成される。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率、及び、破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。
感光性の有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部はフォトリソグラフィにより形成される。非感光性の有機材料、又は感光性の有機材料でパターン解像度が低い有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部は、レーザ加工法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法により形成される。また、ビア23を形成する位置に予めめっきポストを形成した後に絶縁膜を形成し、研磨により絶縁膜表面を削ってめっきポストを露出させてビア23を形成する方法を用いれば、絶縁層15に予め開口部を形成する必要が無い。本実施形態では、スパッタ膜を給電層とするセミアディティブ法により配線層14が形成され、感光性ポリイミド樹脂を用いて絶縁層15が形成され、フォトリソグラフィにより絶縁層15にビアを埋め込む開口部が形成される。
配線構造体17には、電極16が配設され、電極16は、絶縁層15内に配設されるビア23を介して配線層14に電気的に接続されている。電極16は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極16の表面に形成される半田ボールの濡れ性又はボンディングワイヤとの接続性を考慮して、電極16の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種の金属、又は、合金で形成することが好ましい。また、図示していないが、電極16の内側に開口部を有するパターンや、電極16に接触しない開口部を有するパターンのソルダーレジストを追加して形成しても構わない。更に、ソルダーレジストパターンを形成した後に、その開口部を覆うように電極パターンを形成した構造としてもよい。本実施形態では、電極16を、2μmの銅、3μmのニッケル、及び1μmの金を順に積層し、最表面が金になるように構成する。
電極18は、配線構造体17の最下層に配設され、第2層13aに形成された開口部25内に露出している。また、電極18は、絶縁層15内に配設されるビア23を介して配線層14に電気的に接続されている。電極18は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極18の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種類の金属、又は、合金で形成することが好ましい。
電極18の形成に際しては、電極18を構成する複数の層のうち、表面に露出する側の層から順に第2層13a上に成膜する。また、密着層24及び配線構造体17を支持基板11から分離した後、レーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などを用いて第2層13aの所望の位置に開口部25を形成して最下層の配線層14を露出させる。
第2層13aと電極18との間に保護金属膜を用いた場合は、保護金属膜を露出した後にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去する。第2層13の除去処理と共に、保護金属膜が除去されても構わない。更に、最下層の配線層14を露出させた後に、電解めっき法や無電解めっき法により所望の金属を析出させてもよい。
本実施形態によれば、基板の上面及び底面に電極16,18を有する薄型の配線基板33を得ることが出来る。基板の底面では、第2層13aがソルダーレジストとして機能し、電極18上に形成される半田ボールの転がりを防止できる。
図7は、第2実施形態の変形例に係る配線基板の断面図を示している。配線基板34は、電極18の構成が異なることを除いては、第2実施形態の配線基板33と同様の構成を有している。以下に、異なる部分の説明を記載する。本変形例の配線基板34でも、第2層13は有機材料から成るため、図7では符号13aで示す。
電極18は、開口部25内に露出する最下層の配線層14及び開口部25周辺の第1層13aを覆うように形成される。電極18は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極18の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種類の金属、又は、合金で形成することが好ましい。電極18の形成に際しては、レーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などを用いて第2層13aの所望の位置に開口部25を形成し、サブトラクティブ法やセミアディティブ法により電極18を形成する。
本変形例によれば、基板の上面及び底面に電極16,18を有する薄型の配線基板34を得ることが出来る。また、電極18が凹状の断面を有するため、電極18の表面に配設される半田ボールがこれに凸状に接合されることによって接合強度が高まり、半田ボールの接続信頼性が向上する。
図8は、本発明の第3実施形態に係る配線基板の構成を示す断面図である。配線基板35は、図1に示した配線基板10で、支持基板11及び第1層12が除去され、第2層13が配設された側の面に電極18が形成された構成を有する。支持基板11及び第1層12の除去は、水溶性材料から成る第1層12を除去し、支持基板11と第2層13とを分離することによって行う(図示せず)。本実施形態の配線基板35では、第2層13は金属から成るため、図8では符号13bで示す。
第2層13bは、耐水性材料から成り、水溶性材料から成る第1層12をめっき法やウェットエッチングなどの水系プロセスから保護するために配設される。本実施形態では、第2層13bは金属から構成される。第2層13bの好適な例としては、例えば、チタン、クロム、モリブデン、タンタル、タングステン、ニッケル、アルミニウム、銅、金、白金、パラジウム、銀、又は、鉄を主成分とする材料の何れか、若しくはこれら材料の複数の組み合わせにより、サブトラクティブ法やセミアディティブ法により電極の形状に形成される。本実施形態では、サブトラクティブ法により銅で形成する。
配線構造体17は、配線層14、絶縁層15、及び、半導体素子などと電気的に接続するための電極16を備える。配線層14と絶縁層15とを交互に積層して多層の回路を構成することも出来る。図8における配線構造体17では、第2層13bに接して配線層14を配設しているが、この構造に限定されるものではなく、第2層13に接して絶縁層15を配設しても構わない。
配線層14は、少なくとも1層以上で構成され、2層以上の場合は、配線層14の間に介在する絶縁層15に配設されるビア23により電気的に接続される。また、配線層14は、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金、及び、銀から成る群から選択された少なくとも1種の金属で形成される。特に、電気抵抗値及びコストの観点から銅が好適である。また、ニッケルは、絶縁材料等の他の材料との界面反応を防止でき、磁性体としての特性を活用したインダクタ又は抵抗配線として使用できる。本実施形態では、配線層14は、前述のように例えば銅で形成され、その厚さは例えば5μmである。配線14は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、又は、フルアディティブ法等の方法により形成される。
サブトラクティブ法は、基板上に形成された銅箔上に所望のパターンのレジストを形成し、エッチングにより不要な銅箔を除去した後に、レジストを剥離して所望のパターンを得る方法である。セミアディティブ法は、無電解めっき法、スパッタ法、又は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で給電層を形成した後、所望のパターンに開口されたレジストを形成する。レジストの開口部内に電解めっき法による金属を析出させ、レジストを除去した後に、エッチングにより給電層を除去して所望の配線パターンを得る方法である。フルアディティブ法は、基板上に無電解めっき触媒を吸着させた後に、レジストでパターンを形成し、このレジストを絶縁膜として残したまま触媒を活性化し、無電解めっき法により絶縁膜の開口部に金属を析出させることによって所望の配線パターンを得る方法である。
絶縁層15は、配線構造体17の厚み方向について配線層14の片側、若しくは両側に配設されるため少なくとも1層以上で構成される。また、絶縁層15は、例えば感光性又は非感光性の有機材料で形成され、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成される。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率、及び、破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。
感光性の有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部はフォトリソグラフィにより形成される。非感光性の有機材料、又は感光性の有機材料でパターン解像度が低い有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部は、レーザ加工法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法により形成される。また、ビア23を形成する位置に予めめっきポストを形成した後に絶縁膜を形成し、研磨により絶縁膜表面を削ってめっきポストを露出させてビア23を形成する方法を用いれば、絶縁層15に予め開口部を形成する必要が無い。本実施形態では、スパッタ膜を給電層とするセミアディティブ法により配線層14が形成され、感光性ポリイミド樹脂を用いて絶縁層15が形成され、フォトリソグラフィにより絶縁層15にビアを埋め込む開口部が形成される。
配線構造体17には、電極16が配設され、電極16は、絶縁層15内に配設されるビア23を介して配線層14に電気的に接続されている。電極16は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極16の表面に形成される半田ボールの濡れ性又はボンディングワイヤとの接続性を考慮して、電極16の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種の金属、又は、合金で形成することが好ましい。また、図示していないが、電極16の内側に開口部を有するパターンや、電極16に接触しない開口部を有するパターンのソルダーレジストを追加して形成しても構わない。更に、ソルダーレジストパターンを形成した後に、その開口部を覆うように電極パターンを形成した構造としてもよい。本実施形態では、電極16を、2μmの銅、3μmのニッケル、及び1μmの金を順に積層し、最表面が金になるように構成する。
本実施形態によれば、基板の上面及び底面に電極16,18を有する薄型の配線基板35を得ることが出来る。また、電極18が、電極18の表面を覆って形成される半田ボールの内部に凸状に接合されることによって、接合強度が高まり、半田ボールの接続信頼性が向上する。
図9は、第3実施形態の変形例に係る配線基板の構成を示す断面図である。配線基板36は、最下層の配線層14に接していない側の第2層13bの面上に電極18が形成されていること以外は、図8に示した配線基板35と同様の構成を有している。配線基板36では、最下層の配線層14と接していない側の第2層13bの面上にのみ電極18を形成しているが、第2層13bの側面にも電極18が形成されていても構わない。以下に、異なる部分の説明を記載する。本変形例の配線基板36でも、第2層13は金属から成るため、図9では符号13bで示す。
配線基板36では、最下層の配線層14と接していない側の第2層13bの面上に電極18が形成されている。電極18は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極18の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種類の金属、又は、合金で形成することが好ましい。電極18は、第2層13bを給電層としたサブトラクティブ法やセミアディティブ法により形成してもよく、サブトラクティブ法により第2層13bを電極形状に形成した後、第2層13bの表面に無電解めっき法により形成してもよい。
本変形例によれば、基板の上面及び底面に電極16,18を有する薄型の配線基板36を得ることが出来る。また、電極18が、電極18の表面を覆って形成される半田ボールの内部に凸状に接合されることによって、接合強度が高まり、半田ボールの接続信頼性が向上する。
図8及び図9で、配線構造体17の最下層の配線層14と第2層13bとを同じ横幅で示したが、この関係に限定されることはなく、配線層14の平面形状が第2層13bの平面形状より小さくても構わない。また、配線構造体17の最下層が配線層14でなく、第2層13bがビア23に接続される構成であっても構わない。
図10は、本発明の第4実施形態に係る配線基板の構成を示す断面図である。配線基板37は、図6〜9に示した配線基板33〜36と異なり、図1に示した配線基板10で、支持基板11、第1膜12、及び第2膜13を除去した構成を有している。図6に示した配線基板33と同様に、第1膜12を除去することによって支持基板11と配線構造体17及び第2層13とを分離した後、第2膜13を完全に除去することによって得られる。
配線構造体17は、配線層14、絶縁層15、及び半導体素子などと電気的に接続するための電極16を備える。配線層14と絶縁層15とを交互に積層して多層の回路を構成することも出来る。図10における配線構造体17では、第2層13に接して配線層14が配設されるが、この構造に限定されるものではなく、第2層13に接して絶縁層15を配設しても構わない。
配線層14は、少なくとも1層以上で構成され、2層以上の場合は、配線層14の間に介在する絶縁層15に配設されるビア23により電気的に接続される。また、配線層14は、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金、及び、銀から成る群から選択された少なくとも1種の金属で形成される。特に、電気抵抗値及びコストの観点から銅が好適である。また、ニッケルは、絶縁材料等の他の材料との界面反応を防止でき、磁性体としての特性を活用したインダクタ又は抵抗配線として使用できる。本実施形態では、配線層14は、前述のように例えば銅で形成され、その厚さは例えば5μmである。配線14は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、又は、フルアディティブ法等の方法により形成される。
サブトラクティブ法は、基板上に形成された銅箔上に所望のパターンのレジストを形成し、エッチングにより不要な銅箔を除去した後に、レジストを剥離して所望のパターンを得る方法である。セミアディティブ法は、無電解めっき法、スパッタ法、又は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で給電層を形成した後、所望のパターンに開口されたレジストを形成する。レジストの開口部内に電解めっき法による金属を析出させ、レジストを除去した後に、エッチングにより給電層を除去して所望の配線パターンを得る方法である。フルアディティブ法は、基板上に無電解めっき触媒を吸着させた後に、レジストでパターンを形成し、このレジストを絶縁膜として残したまま触媒を活性化し、無電解めっき法により絶縁膜の開口部に金属を析出させることによって所望の配線パターンを得る方法である。
絶縁層15は、配線構造体17の厚み方向について配線層14の片側、若しくは両側に配設されるため少なくとも1層以上で構成される。また、絶縁層15は、例えば感光性又は非感光性の有機材料で形成され、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成される。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率、及び、破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。
感光性の有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部はフォトリソグラフィにより形成される。非感光性の有機材料、又は感光性の有機材料でパターン解像度が低い有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部は、レーザ加工法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法により形成される。また、ビア23を形成する位置に予めめっきポストを形成した後に絶縁膜を形成し、研磨により絶縁膜表面を削ってめっきポストを露出させてビア23を形成する方法を用いれば、絶縁層15に予め開口部を形成する必要が無い。本実施形態では、スパッタ膜を給電層とするセミアディティブ法により配線層14が形成され、感光性ポリイミド樹脂を用いて絶縁層15が形成され、フォトリソグラフィにより絶縁層15にビアを埋め込む開口部が形成される。
配線構造体17には、電極16が配設され、電極16は、絶縁層15内に配設されるビア23を介して配線層14に電気的に接続されている。電極16は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極16の表面に形成される半田ボールの濡れ性又はボンディングワイヤとの接続性を考慮して、電極16の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種の金属、又は、合金で形成することが好ましい。また、図示していないが、電極16の内側に開口部を有するパターンや、電極16に接触しない開口部を有するパターンのソルダーレジストを追加して形成しても構わない。更に、ソルダーレジストパターンを形成した後に、その開口部を覆うように電極パターンを形成した構造としてもよい。本実施形態では、電極16を、2μmの銅、3μmのニッケル、及び1μmの金を順に積層し、最表面が金になるように構成する。
配線構造体17で最下層の配線層14が電極18として構成され、この配線層14は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、その表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種類の金属、又は、合金で形成することが好ましい。
電極18の形成に際しては、電極18を構成する複数の層のうち、表面に露出する側の層から順に第2層13上に成膜する。また、密着層24及び配線構造体17を支持基板11から分離した後、第2層13をレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去して最下層の配線層14を露出させる。
第2層13と最下層の配線層14との間に保護金属膜を用いた場合は、レーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより第2層13を除去して保護金属膜を露出した後にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去する。第2層13の除去処理と共に、保護金属膜が除去されても構わない。更に、最下層の配線層14を露出させた後に、電解めっき法や無電解めっき法により所望の金属を析出させてもよい。
なお、前述の各実施形態において、第2層13(13a,13b)に接する側の配線構造体17の面、又は、配線構造体17の所望の位置に、回路のノイズフィルタの役割を果たすコンデンサが配設されていてもよい。コンデンサを構成する誘電体材料は、酸化チタン、酸化タンタル、Al2O3、SiO2、ZrO2、HfO2、又は、Nb2O5等の金属酸化物、BST(BaxSr1−xTiO3)、PZT(PbZrxTi1−xO3)、又は、PLZT(Pb1−yLayZrxTi1−xO3)等のペロブスカイト系材料、若しくはSrBi2Ta2O9等のBi系層状化合物であることが好ましい。但し、0≦x≦1、0<y<1である。また、コンデンサを構成する誘電体材料として、無機材料や磁性材料を混合した有機材料等を使用してもよい。
更に、配線構造体17の絶縁層15の何れか一層若しくは複数層を、誘電率が9以上の材料で構成し、その上下の配線層14の所望の位置に対向電極を形成することによって回路のノイズフィルタとして機能するコンデンサを形成してもよい。コンデンサを構成する誘電体材料は、Al2O3、ZrO2、HfO2、又は、Nb2O5等の金属酸化物、BST(BaxSr1−xTiO3)、PZT(PbZrxTi1−xO3)、又は、PLZT(Pb1−yLayZrxTi1−xO3)等のペロブスカイト系材料、若しくはSrBi2Ta2O9等のBi系層状化合物であることが好ましい。但し、0≦x≦1、0<y<1である。また、コンデンサを構成する誘電体材料として、無機材料や磁性材料を混合した有機材料等を使用してもよい。
図11(a)〜(d)は、本発明の第5実施形態に係る配線基板の製造方法を工程順に示す部分断面図である。本実施形態は、図1に示した配線基板10を製造する製造方法を示している。なお、各工程間で適宜に洗浄及び熱処理を行う。
先ず、図11(a)に示すように、支持基板11を用意し、必要であれば表面のウェット洗浄、ドライ洗浄、平坦化、又は、粗化などの処理を施す。支持基板11は、適度な剛性を有していることが望ましく、シリコン、サファイア、GaAs等の半導体ウエハ材料、金属、石英、ガラス、セラミック、又は、プリント板を用いることができる。特に、半導体素子と100μm以下の狭ピッチ接続を行う場合は、シリコン、サファイア、GaAs等の半導体ウエハ材料を用いることが好適であり、更にシリコンを用いた半導体素子が多いことから、シリコンウエハを用いることが最も好適である。本実施形態では、8インチ(直径200mm)で、厚さが0.725mmのシリコンウエハを用いる。
次に、図11(b)に示すように、支持基板11の表面に第1層12を形成する。第1層12の形成は、第1層12の材料が液状であれば、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、又は、印刷法等を用いて形成し、乾燥等の処理を施す。また、ドライフィルムであれば、真空プレス法やラミネート法等で積層した後、乾燥等の処理を施す。
第1層12は水溶性材料で形成され、好適な例としては、水、又は、水にTMAHなどのアルカリ成分、アルコール成分、NMPなどの有機溶剤成分、モノエタノールアミンなどのアミン系成分、ジメチルスルホキシドやジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの有機添加物の何れか、若しくはこれらを混合させた液体によって比較的容易に溶解する材料から適宜に選択できる。例えばポリビニルアルコール系、水性ビニルウレタン系、アクリル系、ポリビニルピロリドン、アルファオレフィン、マレイン酸系、光硬化型接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリアミド系接着剤、又は、シリコーン系接着剤などの材料により形成される。本実施形態では、ポリアミド系接着剤を用いる。
次に、図11(c)に示すように、第1層12上に第2層13を形成する。第2層13は、耐水性材料から成り、水溶性材料から成る第1層12をめっき法やウェットエッチングなどの水系プロセスから保護するために配設される。このため、第1層12は、支持基板11上に配設され、更に第2層13により覆われるように構成する。支持基板11縁部では、図2に示したように、第1層12を第2層13が覆う構成とし、支持基板11の縁部手前に第1層12の縁部を形成し、その縁部を超える位置まで第2層13を形成する。
なお、図3の配線基板30の製造に際しては、第1層12を支持基板11と縁部が揃うように形成し、第2層13を支持基板11の側面まで形成する。また、図4の配線基板31の製造に際しては、第1層12を支持基板11の側面まで形成し、第2層13を第1層12の縁部を超える位置まで形成する。更に、図5の配線基板32の形成に際しては、第1層12を支持基板11の底面まで回り込むように形成し、第2層13が第1層12を覆うように形成する。
図2〜5では、便宜上同一の厚みで第1層12と第2層13を示しているが、第2層13が第1層12を覆っていれば、各部位における膜厚が変動していても構わない。更に、第2層13が第1層12を覆っていれば、第1層12の縁部が支持基板11の縁部手前や側面にあっても、第2層13の縁部が支持基板11の側面や底面に回り込んでも構わない。
第2層13は、有機材料や金属から成り、好適な例として、有機材料では、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成され、金属では、チタン、クロム、モリブデン、タンタル、タングステン、ニッケル、アルミニウム、銅、金、白金、パラジウム、銀、又は、鉄を主成分とする材料の何れか、若しくは複数の組み合わせにより形成される。
第2層13が有機材料の場合は、その材料が液状であればスピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、又は、印刷法等で成膜し、乾燥等の処理を施す。また、ドライフィルムであれば、真空プレス法やラミネート法等で積層した後、乾燥等の処理を施す。また、第2層13が金属の場合は、電解めっき法、無電解めっき法、スパッタ法、又は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等、若しくはこれらの組み合わせにより形成される。本実施形態では、第1層12上にチタン、銅の順に積層した金属膜とする。
次に、図11(d)に示すように、配線層14、絶縁層15、及び電極16から成る配線構造体17を形成する。配線層14は、少なくとも1層以上で構成され、2層以上の場合は、配線層14の間に介在する絶縁層15に配設されるビア23により電気的に接続される。また、配線層14は、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金、及び、銀から成る群から選択された少なくとも1種の金属で形成される。特に、電気抵抗値及びコストの観点から銅が好適である。また、ニッケルは、絶縁材料等の他の材料との界面反応を防止でき、磁性体としての特性を活用したインダクタ又は抵抗配線として使用できる。本実施形態では、配線層14は、前述のように例えば銅で形成し、その厚さを例えば5μmとする。配線14は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、又は、フルアディティブ法等の方法により形成する。
サブトラクティブ法は、基板上に形成された銅箔上に所望のパターンのレジストを形成し、エッチングにより不要な銅箔を除去した後に、レジストを剥離して所望のパターンを得る方法である。セミアディティブ法は、無電解めっき法、スパッタ法、又は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で給電層を形成した後、所望のパターンに開口されたレジストを形成する。レジストの開口部内に電解めっき法による金属を析出させ、レジストを除去した後に、エッチングにより給電層を除去して所望の配線パターンを得る方法である。フルアディティブ法は、基板上に無電解めっき触媒を吸着させた後に、レジストでパターンを形成し、このレジストを絶縁膜として残したまま触媒を活性化し、無電解めっき法により絶縁膜の開口部に金属を析出させることによって所望の配線パターンを得る方法である。
絶縁層15は、配線構造体17の厚み方向について配線層14の片側、若しくは両側に配設されるため少なくとも1層以上で構成される。また、絶縁層15は、例えば感光性又は非感光性の有機材料で形成し、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成する。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率、及び、破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。
感光性の有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部はフォトリソグラフィにより形成する。非感光性の有機材料、又は感光性の有機材料でパターン解像度が低い有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部は、レーザ加工法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法により形成する。また、ビア23を形成する位置に予めめっきポストを形成した後に絶縁膜を形成し、研磨により絶縁膜表面を削ってめっきポストを露出させてビア23を形成する方法を用いれば、絶縁層15に予め開口部を形成する必要が無い。本実施形態では、スパッタ膜を給電層とするセミアディティブ法により配線層14を形成し、感光性ポリイミド樹脂を用いて絶縁層15を形成し、フォトリソグラフィにより絶縁層15にビアを埋め込む開口部を形成する。
配線構造体17には、電極16が配設され、電極16は、絶縁層15内に配設されるビア23を介して配線層14に電気的に接続されている。電極16は、例えば複数の層を積層して構成し、例えば、電極16の表面に形成される半田ボールの濡れ性又はボンディングワイヤとの接続性を考慮して、電極16の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種の金属、又は、合金で形成することが好ましい。また、図示していないが、電極16の内側に開口部を有するパターンや、電極16に接触しない開口部を有するパターンのソルダーレジストを追加して形成しても構わない。更に、ソルダーレジストパターンを形成した後に、その開口部を覆うように電極パターンを形成してもよい。本実施形態では、スパッタ法で形成された給電層を用いたセミアディティブ法により、2μmの銅、3μmのニッケル、及び1μmの金を順に積層し、最表面が金になるように電極16を形成する。
本実施形態によれば、図1に示した配線基板10を効率的に製造できる。
図12(a)、(b)は、本発明の第6実施形態に係る配線基板の製造方法を工程順に示す断面図であり、図11に後続する工程を示している。本実施形態では、図11に示した配線基板の製造方法に、支持基板11を除去する工程が追加される。図12(a)は、図11に示した配線基板の製造方法によって製造された配線基板を示している。
先ず、図11(a)〜(d)に示した工程によって、図12(a)に示す配線基板を製造する。次に、図12(b)に示すように、水溶液を用いて第1層12を除去する。第1層12は、耐水性を有する第2層13によって覆われているため、第2層13の除去予定部位をレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法等により除去し、第1層12を露出させる。この場合、露出する面積が多いほど、溶解が容易となる。第1層12の除去は、除去に適している水溶液に浸す、浸した状態で揺動や回転させる、浸した状態で超音波振動をかける、又は噴流をあてるなどの方法や組み合わせにより行うことができる。必要があれば、水溶液を加熱しても構わない。
第1層12除去の好適な例としては、水、又は、水にTMAHなどのアルカリ成分、アルコール成分、NMPなどの有機溶剤成分、モノエタノールアミンなどのアミン系成分、ジメチルスルホキシドやジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの有機添加物の何れか、若しくはこれらを混合させた液体を用いて行う。本実施形態では、第1層12がポリアミド系接着剤から成るため、NMP、及びジメチルスルホキシドを主に添加した水溶液を80℃で用いる。
支持基板11を除去した後に得られる図12(b)の配線基板の底面を加工することによって、図6〜10に示した配線基板33〜37を効率的に製造できる。図6の配線基板33は、次のように製造できる。第2層13a上に配線層14を形成する際に、電極18を構成する複数の層のうち、表面に露出する側の層から順に第2層13a上に成膜する。また、密着層24及び配線構造体17を支持基板11から分離した後、第2層13aの所望の位置にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより開口部25を形成して最下層の配線層14を露出させる。
第2層13aと電極18との間に保護金属膜を用いた場合は、保護金属膜を露出した後にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去する。第2層13aの除去処理と共に、保護金属膜が除去されても構わない。更に、最下層の配線層14を露出させた後に、電解めっき法や無電解めっき法により所望の金属を析出させてもよい。
また、図7の配線基板34は、次のように製造できる。第2層13aの所望の位置にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより開口部25を形成し、サブトラクティブ法やセミアディティブ法により電極18を形成する。
また、図8の配線基板35は、次のように製造できる。チタン、クロム、モリブデン、タンタル、タングステン、ニッケル、アルミニウム、銅、金、白金、パラジウム、銀、又は、鉄を主成分とする材料の何れか、若しくは複数の組み合わせを用い、サブトラクティブ法やセミアディティブ法により、電極18の形状に形成する。
更に、図9の配線基板36は、次のように製造できる。第2層13bを給電層とするサブトラクティブ法やセミアディティブ法により電極18を形成してもよく、サブトラクティブ法により第2層13bを電極形状に形成し、無電解めっき法により第2層13bの表面に電極18を形成してもよい。
更に、図10の配線基板37は、次のように製造できる。第2層13上に配線層14を形成する際に、電極18を構成する複数の層のうち、表面に露出する側の層から順に第2層13上に成膜する。また、密着層24及び配線構造体17を支持基板11から分離した後、第2層13をレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去して最下層の配線層14を露出させることによって形成する。
第2層13と最下層の配線層14との間に保護金属膜を用いた場合は、レーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより第2層13を除去して保護金属膜を露出した後にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去する。第2層13の除去処理と共に、保護金属膜が除去されても構わない。更に、最下層の配線層14を露出させた後に、電解めっき法や無電解めっき法により所望の金属を析出させてもよい。
図13は、本発明の第7実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。半導体装置40は、図1に示した配線基板10上に半導体素子21を搭載した構成を有する。図13では、半田ボール20を用いたフリップチップ実装を示しているが、半導体素子21の搭載方法はこれに限定されず、異方性導電材料を用いたフリップチップ実装や、金バンプなどに代表される圧着や圧接によるフリップチップ実装や、半導体素子をフェースアップの状態でペーストや接着剤を用いて基板に固定し、ワイヤボンディングにより接続する搭載方法でも構わない。また、必要に応じてコンデンサや抵抗などの部品を搭載してもよい。
半導体装置40では、支持基板11上に、水溶性の絶縁材料から成る第1層12、及び耐水性の絶縁材料又は金属から成る第2層13が順に積層され、第2層13上に、配線層14、絶縁層15、及び電極16から構成される配線構造体17が配設されている。第1層12と第2層13は、支持基板11と配線構造体17とを密着させる密着層24を構成する。電極16と半導体素子21の電極(図示せず)とが半田ボール20を介して接続され、アンダーフィル19が充填されている。
支持基板11は、適度な剛性を有していることが望ましく、シリコン、サファイア、GaAs等の半導体ウエハ材料、金属、石英、ガラス、セラミック、又は、プリント板を用いることができる。特に、半導体素子と100μm以下の狭ピッチ接続を行う場合は、シリコン、サファイア、GaAs等の半導体ウエハ材料を用いることが好適であり、更にシリコンを用いた半導体素子が多いことから、シリコンウエハを用いることが最も好適である。本実施形態では、8インチ(直径200mm)で、厚さが0.725mmのシリコンウエハを用いる。
第1層12は、支持基板11と第2層13及び配線構造体17を分離するために配設される。第1層12の好適な例としては、水、又は、水にTMAHなどのアルカリ成分、アルコール成分、NMPなどの有機溶剤成分、モノエタノールアミンなどのアミン系成分、ジメチルスルホキシドやジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの有機添加物の何れか、若しくはこれらを混合させた液体によって比較的容易に溶解する材料から適宜に選択できる。例えばポリビニルアルコール系、水性ビニルウレタン系、アクリル系、ポリビニルピロリドン、アルファオレフィン、マレイン酸系、光硬化型接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリアミド系接着剤、又は、シリコーン系接着剤などの材料により形成される。本実施形態では、ポリアミド系接着剤を用いる。
第2層13は、耐水性材料から成り、水溶性材料から成る第1層12をめっき法やウェットエッチングなどの水系プロセスから保護するために配設される。このため、第1層12は、支持基板11上に配設され、更に第2層13により覆われるように構成する。支持基板11縁部では、図2に示したように、第1層12を第2層13が覆う構成とし、支持基板11の縁部手前に第1層12の縁部が形成され、その縁部を超える位置まで第2層13が形成される。
なお、図3の配線基板30に対応する構造では、第1層12が支持基板11と縁部が揃うように形成され、第2層13が支持基板11の側面まで形成される。また、図4の配線基板31に対応する構造では、第1層12が支持基板11の側面まで形成され、第2層13が第1層12の縁部を超える位置まで形成される。更に、図5の配線基板32に対応する構造では、第1層12が支持基板11の底面まで回り込むように形成され、第2層13が第1層12を覆うように形成される。
図2〜5では、便宜上同一の厚みで第1層12と第2層13を示しているが、第2層13が第1層12を覆っていれば、各部位における膜厚が変動していても構わない。更に、第2層13が第1層12を覆っていれば、第1層12の縁部が支持基板11の縁部手前や側面にあっても、第2層13の縁部が支持基板11の側面や底面に回り込んでも構わない。
第2層13は、有機材料や金属から成り、好適な例として、有機材料では、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成され、金属では、チタン、クロム、モリブデン、タンタル、タングステン、ニッケル、アルミニウム、銅、金、白金、パラジウム、銀、又は、鉄を主成分とする材料の何れか、若しくは複数の組み合わせにより形成される。本実施形態では、第1層12上にチタン、銅の順に積層した金属膜を用いる。
配線構造体17は、配線層14、絶縁層15、及び半導体素子などと電気的に接続するための電極16を備える。配線層14と絶縁層15とを交互に積層して多層の回路を構成することも出来る。図1における配線構造体17では、第2層13に接して配線層14を配設しているが、この構造に限定されるものではなく、第2層13に接して絶縁層15を配設しても構わない。
配線層14は、少なくとも1層以上で構成され、2層以上の場合は、配線層14の間に介在する絶縁層15に配設されるビア23により電気的に接続される。また、配線層14は、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金、及び、銀から成る群から選択された少なくとも1種の金属で形成される。特に、電気抵抗値及びコストの観点から銅が好適である。また、ニッケルは、絶縁材料等の他の材料との界面反応を防止でき、磁性体としての特性を活用したインダクタ又は抵抗配線として使用できる。本実施形態では、配線層14は、前述のように例えば銅で形成され、その厚さは例えば5μmである。配線14は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、又は、フルアディティブ法等の方法により形成される。
サブトラクティブ法は、基板上に形成された銅箔上に所望のパターンのレジストを形成し、エッチングにより不要な銅箔を除去した後に、レジストを剥離して所望のパターンを得る方法である。セミアディティブ法は、無電解めっき法、スパッタ法、又は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で給電層を形成した後、所望のパターンに開口されたレジストを形成する。レジストの開口部内に電解めっき法による金属を析出させ、レジストを除去した後に、エッチングにより給電層を除去して所望の配線パターンを得る方法である。フルアディティブ法は、基板上に無電解めっき触媒を吸着させた後に、レジストでパターンを形成し、このレジストを絶縁膜として残したまま触媒を活性化し、無電解めっき法により絶縁膜の開口部に金属を析出させることによって所望の配線パターンを得る方法である。
絶縁層15は、配線構造体17の厚み方向について配線層14の片側、若しくは両側に形成されるため少なくとも1層以上で構成される。また、絶縁層15は、例えば感光性又は非感光性の有機材料で形成され、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成される。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率、及び、破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。
感光性の有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部はフォトリソグラフィにより形成される。非感光性の有機材料、又は感光性の有機材料でパターン解像度が低い有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部は、レーザ加工法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法により形成される。また、ビア23を形成する位置に予めめっきポストを形成した後に絶縁膜を形成し、研磨により絶縁膜表面を削ってめっきポストを露出させてビア23を形成する方法を用いれば、絶縁層15に予め開口部を形成する必要が無い。本実施形態では、スパッタ膜を給電層とするセミアディティブ法により配線層14が形成され、感光性ポリイミド樹脂を用いて絶縁層15が形成され、フォトリソグラフィにより絶縁層15にビアを埋め込む開口部を形成される。
配線構造体17には、電極16が配設され、電極16は、絶縁層15内に配設されるビア23を介して配線層14に電気的に接続されている。電極16は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極16の表面に形成される半田ボールの濡れ性又はボンディングワイヤとの接続性を考慮して、電極16の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種の金属、又は、合金で形成することが好ましい。また、図示していないが、電極16の内側に開口部を有するパターンや、電極16に接触しない開口部を有するパターンのソルダーレジストを追加して形成しても構わない。更に、ソルダーレジストパターンを形成した後に、その開口部を覆うように電極パターンを形成した構造としてもよい。本実施形態では、電極16を、2μmの銅、3μmのニッケル、及び1μmの金を順に積層し、最表面が金になるように構成する。
アンダーフィル19はエポキシ系の材料から成り、半導体素子21が半田ボール20を介して接続された後に、充填される。半田ボール20は、半田材料から成る微小ボールで、半導体素子21の電極上にボール転写や印刷法により形成される。半田ボール20の材料は、鉛錫の共晶半田や鉛フリーの半田材料から適宜に選択できる。
本実施形態により、配線構造体17が支持基板11に安定して保持された状態で半導体素子21を搭載できるため、接続信頼性の高い半導体装置を製造できる。また、支持基板11を半導体素子21に近い熱膨張係数の材料で構成しているので、狭ピッチでの接続を安定して行うことができる。更に、支持基板11の除去に際して、先ず、第2層13の縁部を支持基板11から除去することによって、第1層12の縁部を露出させた後、水溶液を用いて第1層12を除去することによって、半導体素子21が搭載された配線構造体17を支持基板11から容易に剥離できる。
図14は、本発明の第8実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。半導体装置41は、図13に示した半導体装置40から支持基板11を分離した後、第2層13を選択的に除去した構成、又は、図6に示した配線基板33上に半田ボール20等を介して半導体素子21を搭載した構成を有する。図6の配線基板33や図13の半導体装置40等と同一符号の構成は同じであるため、詳細な説明は省略する。なお、図7〜10に示した配線基板34〜37上に半導体素子21を搭載した構成としても構わない。
図14では、半田ボール20を用いたフリップチップ実装を示しているが、半導体素子21の搭載方法はこれに限定されず、異方性導電材料を用いたフリップチップ実装や、金バンプなどに代表される圧着や圧接によるフリップチップ実装や、半導体素子をフェースアップの状態でペーストや接着剤を用いて基板に固定し、ワイヤボンディングにより接続する搭載方法でも構わない。また、必要に応じて別の半導体素子、及びコンデンサや抵抗などの受動部品を搭載してもよい。
半導体装置41で、電極18は、配線構造体17の最下層に配設され、第2層13aの開口部25内に露出している。また、電極18は、絶縁層15内に配設されるビア23を介して配線層14に電気的に接続されている。電極18は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極18の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種類の金属、又は、合金で形成することが好ましい。
電極18の形成に際しては、電極18を構成する複数の層のうち、表面に露出する側の層から順に第2層13a上に成膜する。また、密着層24及び配線構造体17を支持基板11から分離した後、第2層13aの所望の位置にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより開口部25を形成して最下層の配線層14を露出させる。
第2層13aと電極18との間に保護金属膜を用いた場合は、保護金属膜を露出した後にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去する。第2層13aの除去処理と共に、保護金属膜が除去されても構わない。更に、最下層の配線層14を露出させた後に、電解めっき法や無電解めっき法により所望の金属を析出させてもよい。
なお、図7の配線基板34を用いる場合について下記に示す。電極18は、開口部25内に露出する配線構造体17の最下層の配線層14及び開口部25周辺の第2層13aを覆うように形成される。電極18は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極18の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種類の金属、又は、合金で形成することが好ましい。電極18の形成に際しては、第2層13aの所望の位置にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより開口部25を形成し、サブトラクティブ法やセミアディティブ法により電極18を形成する。
また、図8の配線基板35を用いる場合について下記に示す。電極18は、チタン、クロム、モリブデン、タンタル、タングステン、ニッケル、アルミニウム、銅、金、白金、パラジウム、銀、又は、鉄を主成分とする材料の何れか、若しくは複数の組み合わせにより、サブトラクティブ法やセミアディティブ法により電極の形状に形成する。
更に、図9の配線基板36を用いる場合について下記に示す。第2層13bの配線構造体17と接していない側の面上に電極18が配設されている。電極18は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極18の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種類の金属、又は、合金で形成することが好ましい。電極18は、第2層13bを給電層としたサブトラクティブ法やセミアディティブ法により形成してもよく、サブトラクティブ法により第2層13bを電極形状に形成した後、第2層13bの表面に無電解めっき法により形成してもよい。
更に、図10の配線基板37を用いる場合について下記に示す。配線構造体17で最下層の配線層14が電極18として構成され、この配線層14は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、その表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種類の金属、又は、合金で形成することが好ましい。電極18の形成に際しては、電極18を構成する複数の層のうち、表面に露出する側の層から順に第2層13上に成膜する。また、密着層24及び配線構造体17を支持基板11から分離した後、第2層13をレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去して最下層の配線層14を露出させることによって、電極18を形成できる。
第2層13と最下層の配線層14との間に保護金属膜を用いた場合は、レーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより第2層13を除去して保護金属膜を露出した後にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去する。第2層13の除去処理と共に、保護金属膜が除去されても構わない。更に、最下層の配線層14を露出させた後に、電解めっき法や無電解めっき法により所望の金属を析出させてもよい。
本実施形態によれば、配線基板が薄い厚みを有し、且つ配線回路が高密度化されているので、高速伝送特性に優れ、高周波信号にも対応可能な半導体装置を実現できる。
図15は、本発明の第9実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。半導体装置42は、図1に示した配線基板10上に半田ボール20等を介して半導体素子21を搭載し、封止樹脂22でモールディングした構成を有する。図15では、半田ボール20を用いたフリップチップ実装を示しているが、半導体素子21の搭載方法はこれに限定されず、異方性導電材料を用いたフリップチップ実装や、金バンプなどに代表される圧着や圧接によるフリップチップ実装や、半導体素子をフェースアップの状態で基板にペーストや接着剤により固定し、ワイヤボンディングにより接続する搭載方法でも構わない。また、必要に応じてコンデンサや抵抗などの部品を搭載してもよい。
半導体装置42では、支持基板11上に、水溶性の絶縁材料から成る第1層12、及び耐水性の絶縁材料又は金属から成る第2層13が順に積層され、第2層13上に、配線層14、絶縁層15、及び電極16から構成される配線構造体17が配設されている。第1層12と第2層13は、支持基板11と配線構造体17とを密着させる密着層24を構成する。電極16と半導体素子21の電極(図示せず)とが半田ボール20により接続され、アンダーフィル19が充填され、封止樹脂22でモールディングされている。
支持基板11は、適度な剛性を有していることが望ましく、シリコン、サファイア、GaAs等の半導体ウエハ材料、金属、石英、ガラス、セラミック、又は、プリント板を用いることができる。特に、半導体素子と100μm以下の狭ピッチ接続を行う場合は、シリコン、サファイア、GaAs等の半導体ウエハ材料を用いることが好適であり、更にシリコンを用いた半導体素子が多いことから、シリコンウエハを用いることが最も好適である。本実施形態では、8インチ(直径200mm)で、厚さが0.725mmのシリコンウエハを用いる。
第1層12は、支持基板11と第2層13及び配線構造体17を分離するために配設される。第1層12の好適な例としては、水、又は、水にTMAHなどのアルカリ成分、アルコール成分、NMPなどの有機溶剤成分、モノエタノールアミンなどのアミン系成分、ジメチルスルホキシドやジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの有機添加物の何れか、若しくはこれらを混合させた液体によって比較的容易に溶解する材料から適宜に選択できる。例えばポリビニルアルコール系、水性ビニルウレタン系、アクリル系、ポリビニルピロリドン、アルファオレフィン、マレイン酸系、光硬化型接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリアミド系接着剤、又は、シリコーン系接着剤などの材料により形成される。本実施形態では、ポリアミド系接着剤を用いる。
第2層13は、水溶性材料から成る第1層12をめっき法やウェットエッチングなどの水系プロセスから保護するために配設される。このため、第1層12は、支持基板11上に配設され、更に第2層13により覆われる構成を有する。第1層12は、その平面形状が支持基板11よりも小さく、第2層13の平面形状は、支持基板11とほぼ同じ大きさである。この構造により、第1層12の側面が第2層13によって覆われる。
なお、図3の配線基板30に対応する構造では、第1層12が支持基板11と縁部が揃うように形成され、第2層13が支持基板11の側面まで形成されている。更に、図4の配線基板31に対応する構造では、支持基板11の側面まで第1層12が形成され、第2層13は第1層12の縁部を超える位置まで形成されている。更に、図5の配線基板32に対応する構造では、支持基板11の底面まで第1層12が回り込んで形成され、第2層13が第1層12を覆うように形成されている。
図2〜5では、便宜上同一の厚みで第1層12と第2層13を示しているが、第2層13が第1層12を覆っていれば、各部位における膜厚が変動していても構わない。更に、第2層13が第1層12を覆っていれば、第1層12の縁部が支持基板11の縁部手前や側面にあっても、第2層13の縁部が支持基板11の側面や底面に回り込んでも構わない。
第2層13は、有機材料や金属から成り、好適な例として、有機材料では、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成され、金属では、チタン、クロム、モリブデン、タンタル、タングステン、ニッケル、アルミニウム、銅、金、白金、パラジウム、銀、又は、鉄を主成分とする材料の何れか、若しくは複数の組み合わせにより形成される。本実施形態では、第1層12上にチタン、銅の順に積層した金属膜を用いる。
配線構造体17は、配線層14、絶縁層15、及び半導体素子などと電気的に接続するための電極16を備える。配線層14と絶縁層15とを交互に積層して多層の回路を構成することも出来る。図15における配線構造体17では、第2層13に接して配線層14を配設しているが、この構造に限定されるものではなく、第2層13に接して絶縁層15を配設しても構わない。
配線層14は、少なくとも1層以上で構成され、2層以上の場合は、配線層14の間に介在する絶縁層15に配設されるビア23により電気的に接続される。また、配線層14は、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金、及び、銀から成る群から選択された少なくとも1種の金属で形成される。特に、電気抵抗値及びコストの観点から銅が好適である。また、ニッケルは、絶縁材料等の他の材料との界面反応を防止でき、磁性体としての特性を活用したインダクタ又は抵抗配線として使用できる。本実施形態では、配線層14は、前述のように例えば銅で形成され、その厚さは例えば5μmである。配線14は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、又は、フルアディティブ法等の方法により形成される。
サブトラクティブ法は、基板上に形成された銅箔上に所望のパターンのレジストを形成し、エッチングにより不要な銅箔を除去した後に、レジストを剥離して所望のパターンを得る方法である。セミアディティブ法は、無電解めっき法、スパッタ法、又は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で給電層を形成した後、所望のパターンに開口されたレジストを形成する。レジストの開口部内に電解めっき法による金属を析出させ、レジストを除去した後に、エッチングにより給電層を除去して所望の配線パターンを得る方法である。フルアディティブ法は、基板上に無電解めっき触媒を吸着させた後に、レジストでパターンを形成し、このレジストを絶縁膜として残したまま触媒を活性化し、無電解めっき法により絶縁膜の開口部に金属を析出させることによって所望の配線パターンを得る方法である。
絶縁層15は、配線構造体17の厚み方向について配線層14の片側、若しくは両側に配設されるため少なくとも1層以上で構成される。また、絶縁層15は、例えば感光性又は非感光性の有機材料で形成され、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成される。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率、及び、破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。
感光性の有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部はフォトリソグラフィにより形成される。非感光性の有機材料、又は感光性の有機材料でパターン解像度が低い有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部は、レーザ加工法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法により形成される。また、ビア23を形成する位置に予めめっきポストを形成した後に絶縁膜を形成し、研磨により絶縁膜表面を削ってめっきポストを露出させてビア23を形成する方法を用いれば、絶縁層15に予め開口部を形成する必要が無い。本実施形態では、スパッタ膜を給電層とするセミアディティブ法により配線層14が形成され、感光性ポリイミド樹脂を用いて絶縁層15が形成され、フォトリソグラフィにより絶縁層15にビアを埋め込む開口部が形成される。
配線構造体17には、電極16が配設され、電極16は、絶縁層15内に配設されるビア23を介して配線層14に電気的に接続されている。電極16は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極16の表面に形成される半田ボールの濡れ性又はボンディングワイヤとの接続性を考慮して、電極16の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種の金属、又は、合金で形成することが好ましい。また、図示していないが、電極16の内側に開口部を有するパターンや、電極16に接触しない開口部を有するパターンのソルダーレジストを追加して形成しても構わない。更に、ソルダーレジストパターンを形成した後に、その開口部を覆うように電極パターンを形成した構造としてもよい。本実施形態では、電極16を、2μmの銅、3μmのニッケル、及び1μmの金を順に積層し、最表面が金になるように構成する。
アンダーフィル19はエポキシ系の材料から成り、半導体素子21が半田ボール20を介して接続された後に、充填される。半田ボール20は、半田材料から成る微小ボールで、半導体素子21の電極上にボール転写や印刷法により形成される。半田ボール20の材料は、鉛錫の共晶半田や鉛フリーの半田材料から適宜に選択できる。封止樹脂22は、エポキシ系の材料にシリカフィラーを混ぜた材料から成り、搭載される半導体素子20と接続部分の配線を覆うように金型を用いたトランスファーモールディング法や印刷法などで形成される。
本実施形態によれば、支持基板11に安定保持された状態で、配線構造体17上に半導体素子21を搭載できるため、高い接続信頼性を有する半導体装置を構成できる。また、支持基板11を半導体素子21の熱膨張係数に近い材料で構成しているので、狭ピッチでの接続を安定に行うことができる。更に、支持基板11の除去に際して、先ず、第2層13の縁部を支持基板11から除去することによって、第1層12の縁部を露出させた後、水溶液を用いて第1層12を除去することによって、半導体素子21が搭載された配線構造体17を支持基板11から容易に剥離できる。
図16は、本発明の第10実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。半導体装置43は、図15に示した半導体装置42から支持基板11を分離した後、第2層13を選択的に除去した構成、又は、図6に示した配線基板33上に半導体素子21を搭載し、モールディングした構成を有する。図6の配線基板33や図15の半導体装置42等と同一符号の構成は同じであるため、詳細な説明は省略する。なお、図7〜10に示した配線基板34〜37上に半導体素子21を搭載し、モールディングした構成としても構わない。
図16では、半田ボール20を用いたフリップチップ実装を示しているが、半導体素子21の搭載方法はこれに限定されず、異方性導電材料を用いたフリップチップ実装や、金バンプなどに代表される圧着や圧接によるフリップチップ実装や、半導体素子をフェースアップの状態で基板にペーストや接着剤により固定し、ワイヤボンディングにより接続する搭載方法でも構わない。また、必要に応じてコンデンサや抵抗などの受動部品を搭載してもよい。
電極18は、配線構造体17の最下層に配設され、第2層13aの開口部25内に露出している。また、電極18は、絶縁層15内に配設されるビア23を介して配線層14に電気的に接続されている。電極18は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極18の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種類の金属、又は、合金で形成することが好ましい。
電極18の形成に際しては、電極18を構成する複数の層のうち、表面に露出する側の層から順に第2層13a上に成膜する。また、密着層24及び配線構造体17を支持基板11から分離した後、第2層13aの所望の位置にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより開口部25を形成して最下層の配線層14を露出させる。
第2層13aと電極18との間に保護金属膜を用いた場合は、保護金属膜を露出した後にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去する。第2層13の除去処理と共に、保護金属膜が除去されても構わない。更に、最下層の配線層14を露出させた後に、電解めっき法や無電解めっき法により所望の金属を析出させてもよい。
なお、図7に示した配線基板34を用いる場合について下記に示す。電極18は、第2層13aの開口部25内に露出する配線構造体17の最下層の配線層14及び開口部25周辺の第2層13aを覆うように形成される。電極18は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極18の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種類の金属、又は、合金で形成することが好ましい。電極18の形成に際しては、第2層13aの所望の位置にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより開口部25を形成し、サブトラクティブ法やセミアディティブ法により電極18を形成する。
また、図8に示した配線基板35を用いる場合について下記に示す。電極18は、チタン、クロム、モリブデン、タンタル、タングステン、ニッケル、アルミニウム、銅、金、白金、パラジウム、銀、又は、鉄を主成分とする材料の何れか、若しくは複数の組み合わせにより、サブトラクティブ法やセミアディティブ法により電極の形状に形成する。
更に、図9に示した配線基板36を用いる場合について下記に示す。第2層13bの配線構造体17と接していない側の面上に電極18が配設されている。電極18は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、電極18の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種類の金属、又は、合金で形成することが好ましい。電極18は、第2層13bを給電層としたサブトラクティブ法やセミアディティブ法により形成してもよく、第2層13bをサブトラクティブ法により電極形状としてから表面に無電解めっき法によって形成してもよい。
更に、図10に示した配線基板37を用いる場合について下記に示す。配線構造体17で最下層の配線層14が電極18として構成され、この配線層14は、例えば複数の層が積層された構成を有し、例えば、その表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種類の金属、又は、合金で形成することが好ましい。
最下層の配線層14の形成に際しては、電極18を構成する複数の層のうち、表面に露出する側の層から順に第2層13上に成膜する。また、密着層24及び配線構造体17を支持基板11から分離した後、第2層13をレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去して最下層の配線層14を露出させることで形成される。
第2層13と最下層の配線層14との間に保護金属膜を用いた場合は、レーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより第2層13を除去して保護金属膜を露出した後にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去する。第2層13の除去処理と共に、保護金属膜が除去されても構わない。更に、最下層の配線層14を露出させた後に、電解めっき法や無電解めっき法により所望の金属を析出させてもよい。
本実施形態によれば、配線基板が薄い厚みを有し、且つ配線回路が高密度化されているので、高速伝送特性に優れ、高周波信号にも対応可能な半導体装置を実現できる。
なお、前述の各実施形態において、第2層13(13a,13b)に接する側の配線構造体17の面、又は、配線構造体17の所望の位置に、回路のノイズフィルタの役割を果たすコンデンサが配設されていてもよい。コンデンサを構成する誘電体材料としては、酸化チタン、酸化タンタル、Al2O3、SiO2、ZrO2、HfO2、又は、Nb2O5等の金属酸化物、BST(BaxSr1−xTiO3)、PZT(PbZrxTi1−xO3)、又は、PLZT(Pb1−yLayZrxTi1−xO3)等のペロブスカイト系材料、若しくはSrBi2Ta2O9等のBi系層状化合物であることが好ましい。但し、0≦x≦1、0<y<1である。また、コンデンサを構成する誘電体材料として、無機材料や磁性材料を混合した有機材料等を使用してもよい。
更に、配線構造体17の絶縁層15の何れか一層若しくは複数層を、誘電率が9以上の材料で構成し、その上下の配線層14の所望の位置に対向電極を形成することによって回路のノイズフィルタとして機能するコンデンサを形成してもよい。コンデンサを構成する誘電体材料は、Al2O3、ZrO2、HfO2、又は、Nb2O5等の金属酸化物、BST(BaxSr1−xTiO3)、PZT(PbZrxTi1−xO3)、又は、PLZT(Pb1−yLayZrxTi1−xO3)等のペロブスカイト系材料、若しくはSrBi2Ta2O9等のBi系層状化合物であることが好ましい。但し、0≦x≦1、0<y<1である。また、コンデンサを構成する誘電体材料として、無機材料や磁性材料を混合した有機材料等を使用してもよい。
図17(a)〜(e)は、本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図であり、図13に示した半導体装置40の製造方法を示している。図17(e)では、半田ボール20を用いたフリップチップ実装を示しているが、半導体素子21の搭載方法はこれに限定されず、異方性導電材料を用いたフリップチップ実装や、金バンプなどに代表される圧着や圧接によるフリップチップ実装や、半導体素子をフェースアップの状態でペーストや接着剤を用いて基板に固定し、ワイヤボンディングにより接続する搭載方法でも構わない。また、必要に応じてコンデンサや抵抗などの部品を搭載してもよい。なお、各工程間において適宜洗浄及び熱処理を行う。
先ず、図17(a)に示すように、支持基板11を用意し、必要であれば表面のウェット洗浄、ドライ洗浄、平坦化、又は、粗化など処理を施す。支持基板11は、適度な剛性を有していることが望ましく、シリコン、サファイア、GaAs等の半導体ウエハ材料、金属、石英、ガラス、セラミック、又は、プリント板を用いることができる。特に、半導体素子と100μm以下の狭ピッチ接続を行う場合は、シリコン、サファイア、GaAs等の半導体ウエハ材料を用いることが好適であり、更にシリコンを用いた半導体素子が多いことから、シリコンウエハを用いることが最も好適である。本実施形態では、8インチ(直径200mm)で、厚さが0.725mmのシリコンウエハを用いる。
次に、図17(b)に示すように、支持基板11の表面に第1層12を形成する。第1層12の形成は、第1層12の材料が液状であればスピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、又は、印刷法等で成膜し、乾燥等の処理を施す。また、ドライフィルムであれば、真空プレス法やラミネート法等で積層した後、乾燥等の処理を施す。
第1層12は水溶性材料で形成され、好適な例としては、水、又は、水にTMAHなどのアルカリ成分、アルコール成分、NMPなどの有機溶剤成分、モノエタノールアミンなどのアミン系成分、ジメチルスルホキシドやジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの有機添加物の何れか、若しくはこれらを混合させた液体によって比較的容易に溶解する材料から適宜に選択できる。例えばポリビニルアルコール系、水性ビニルウレタン系、アクリル系、ポリビニルピロリドン、アルファオレフィン、マレイン酸系、光硬化型接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリアミド系接着剤、又は、シリコーン系接着剤などの材料により形成される。本実施形態では、ポリアミド系接着剤を用いる。
次に、図17(c)に示すように、第1層12上に第2層13を形成する。第2層13は、耐水性材料から成り、水溶性材料から成る第1層12をめっき法やウェットエッチングなどの水系プロセスから保護するために配設される。このため、第1層12は、支持基板11上に配設され、更に第2層13により覆われるように構成する。支持基板11縁部では、図2に示したように、第1層12を第2層13が覆う構成とし、支持基板11の縁部手前に第1層12の縁部を形成し、その縁部を超える位置まで第2層13を形成する。
なお、図3の配線基板30に対応する構造の製造に際しては、第1層12を支持基板11と縁部が揃うように形成し、第2層13を支持基板11の側面まで形成する。また、図4の配線基板31に対応する構造の製造に際しては、第1層12を支持基板11の側面まで形成し、第2層13を第1層12の縁部を超える位置まで形成する。更に、図5の配線基板32に対応する構造の形成に際しては、第1層12を支持基板11の底面まで回り込むように形成し、第2層13が第1層12を覆うように形成する。
図2〜5では、便宜上同一の厚みで第1層12と第2層13を示しているが、第2層13が第1層12を覆っていれば、各部位における膜厚が変動していても構わない。更に、第2層13が第1層12を覆っていれば、第1層12の縁部が支持基板11の縁部手前や側面にあっても、第2層13の縁部が支持基板11の側面や底面に回り込んでも構わない。
第2層13は、有機材料や金属から成り、好適な例として、有機材料では、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成され、金属では、チタン、クロム、モリブデン、タンタル、タングステン、ニッケル、アルミニウム、銅、金、白金、パラジウム、銀、又は、鉄を主成分とする材料の何れか、若しくは複数の組み合わせにより形成される。
第2層13が有機材料の場合は、その材料が液状であればスピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、又は、印刷法等で成膜し、乾燥等の処理を施す。また、ドライフィルムであれば、真空プレス法やラミネート法等で積層した後、乾燥等の処理を施す。また、第2層13が金属の場合は、電解めっき法、無電解めっき法、スパッタ法、又は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等、若しくはこれらの組み合わせにより形成される。本実施形態では、第1層12上にチタン、銅の順に積層した金属膜とする。
次に、図17(d)に示すように、配線層14、絶縁層15、及び電極16から成る配線構造体17を形成する。配線層14は、少なくとも1層以上で構成され、2層以上の場合は、配線層14の間に介在する絶縁層15に配設されるビア23により電気的に接続される。また、配線層14は、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金、及び、銀から成る群から選択された少なくとも1種の金属で形成される。特に、電気抵抗値及びコストの観点から銅が好適である。また、ニッケルは、絶縁材料等の他の材料との界面反応を防止でき、磁性体としての特性を活用したインダクタ又は抵抗配線として使用できる。本実施形態では、配線層14は、前述のように例えば銅で形成し、その厚さを例えば5μmとする。配線14は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、又は、フルアディティブ法等の方法により形成する。
サブトラクティブ法は、基板上に形成された銅箔上に所望のパターンのレジストを形成し、エッチングにより不要な銅箔を除去した後に、レジストを剥離して所望のパターンを得る方法である。セミアディティブ法は、無電解めっき法、スパッタ法、又は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で給電層を形成した後、所望のパターンに開口されたレジストを形成する。レジストの開口部内に電解めっき法による金属を析出させ、レジストを除去した後に、エッチングにより給電層を除去して所望の配線パターンを得る方法である。フルアディティブ法は、基板上に無電解めっき触媒を吸着させた後に、レジストでパターンを形成し、このレジストを絶縁膜として残したまま触媒を活性化し、無電解めっき法により絶縁膜の開口部に金属を析出させることによって所望の配線パターンを得る方法である。
絶縁層15は、配線構造体17の厚み方向について配線層14の片側、若しくは両側に配設されるため少なくとも1層以上で構成される。また、絶縁層15は、例えば感光性又は非感光性の有機材料で形成し、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成する。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率、及び、破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。
感光性の有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部はフォトリソグラフィにより形成する。非感光性の有機材料、又は感光性の有機材料でパターン解像度が低い有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部は、レーザ加工法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法により形成する。また、ビア23を形成する位置に予めめっきポストを形成した後に絶縁膜を形成し、研磨により絶縁膜表面を削ってめっきポストを露出させてビア23を形成する方法を用いれば、絶縁層15に予め開口部を形成する必要が無い。本実施形態では、スパッタ膜を給電層とするセミアディティブ法により配線層14を形成し、感光性ポリイミド樹脂を用いて絶縁層15を形成し、フォトリソグラフィにより絶縁層15にビアを埋め込む開口部を形成する。
配線構造体17には、電極16が配設され、電極16は、絶縁層15内に配設されるビア23を介して配線層14に電気的に接続されている。電極16は、例えば複数の層を積層して構成し、例えば、電極16の表面に形成される半田ボールの濡れ性又はボンディングワイヤとの接続性を考慮して、電極16の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種の金属、又は、合金で形成することが好ましい。また、図示していないが、電極16の内側に開口部を有するパターンや、電極16に接触しない開口部を有するパターンのソルダーレジストを追加して形成しても構わない。更に、ソルダーレジストパターンを形成した後に、その開口部を覆うように電極パターンを形成してもよい。本実施形態では、スパッタ法による給電層を用いたセミアディティブ法により銅2μm、ニッケル3μm及び金1μmを最表面が金になる順に積層した電極16を形成する。
次に、図17(e)に示すように、半田ボール20を用いたフリップチップ実装により半導体素子21を搭載し、アンダーフィル19を充填する。フリップチップ実装は、半導体素子21の電極(図示せず)にボール転写や印刷法により半田ボール21を形成し、配線基板11上にフラックスを供給した後にフリップチップマウンターを用いて配線基板11にフラックスの粘着性を利用して仮置きする。その後、リフローを行い、配線基板11と半導体素子21を接続し、フラックスを洗浄する。その後、アンダーフィル19を半導体素子21の2若しくは3辺から充填し、熱処理を施して硬化させる。
本実施形態によれば、図13に示した半導体装置40を効率的に製造できる。
図18(a)、(b)は、本発明の第12実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図であり、図17に後続する工程を示している。本実施形態では、図17に示した半導体装置の製造方法に、支持基板11を除去する工程が追加される。なお、本発明の第6実施形態に係る配線基板の製造方法に示したように、支持基板11を除去した後に配線基板の底面を加工することによって、図6〜10に示した配線基板33〜37に対応した構造を有する半導体装置をそれぞれ製造することも可能である。
先ず、図17(a)〜(e)に示した工程によって、図18(a)に示す半導体装置を形成する。次に、図18(b)に示すように、水溶液を用いて第1層12を除去する。第1層12は、耐水性を有する第2層13によって覆われているため、第2層13の除去予定部位をレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法等により除去し、第1層12を露出させる。この場合、露出する面積が多いほど、溶解が容易となる。第1層12の除去は、除去に適している水溶液に浸すか、浸した状態で揺動や回転させる、浸した状態で超音波振動をかける、噴流をあてるなどの方法や組み合わせにより行うことができる。必要があれば、水溶液を加熱しても構わない。
第1層12除去の好適な例としては、水、又は、水にTMAHなどのアルカリ成分、アルコール成分、NMPなどの有機溶剤成分、モノエタノールアミンなどのアミン系成分、ジメチルスルホキシドやジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの有機添加物の何れか、若しくはこれらを混合させた液体を用いて行う。本実施形態では、第1層12がポリアミド系接着剤のため、NMP、及びジメチルスルホキシドを主に添加した水溶液を80℃で用いる。
支持基板11を除去した後に得られる図18(b)の半導体装置の底面を加工することによって、図6〜10に示した配線基板33〜37に対応した構造を有する半導体装置をそれぞれ効率的に製造できる。配線基板の底面の加工により形成される電極18は、別基板に実装する際の外部端子として使用できる。また、電極18上に別の半導体素子、及びコンデンサや抵抗などの受動部品を搭載してもよい。
図6の配線基板33に対応する構造は、次のように製造できる。電極18の形成に際しては、電極18を構成する複数の層のうち、表面に露出する側の層から順に第2層13a上に成膜する。また、密着層24及び配線構造体17を支持基板11から分離した後、第2層13aの所望の位置にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより開口部25を形成して最下層の配線層14を露出させる。
第2層13aと電極18との間に保護金属膜を用いた場合は、保護金属膜を露出した後にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去する。第2層13の除去処理と共に、保護金属膜が除去されても構わない。更に、最下層の配線層14を露出させた後に、電解めっき法や無電解めっき法により所望の金属を析出させてもよい。
図7の配線基板34に対応する構造は、次のように製造できる。第2層13aの所望の位置にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより開口部25を形成し、サブトラクティブ法やセミアディティブ法により電極18を形成する。
また、図8の配線基板35に対応する構造は、次のように製造できる。電極18は、チタン、クロム、モリブデン、タンタル、タングステン、ニッケル、アルミニウム、銅、金、白金、パラジウム、銀、又は、鉄を主成分とする材料の何れか、若しくは複数の組み合わせを用い、サブトラクティブ法やセミアディティブ法により、電極18の形状に形成する。
更に、図9の配線基板36に対応する構造は、次のように製造できる。第2層13bを給電層とするサブトラクティブ法やセミアディティブ法により電極18を形成してもよく、サブトラクティブ法により第2層13bを電極形状に形成し、無電解めっき法によって第2層13bの表面に電極18を形成してもよい。
更に、図10の配線基板37に対応する構造は、次のように製造できる。最下層の配線層14の形成に際して、電極18を構成する複数の層のうち、表面に露出する側の層から順に第2層13上に成膜する。密着層24及び配線構造体17を支持基板11から分離した後、第2層13をレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去して最下層の配線層14を露出させることによって形成する。
第2層13と最下層の配線層14との間に保護金属膜を用いた場合は、レーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより第2層13を除去して保護金属膜を露出した後にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去する。第2層13の除去処理と共に、保護金属膜が除去されても構わない。更に、最下層の配線層14を露出させた後に、電解めっき法や無電解めっき法により所望の金属を析出させてもよい。
本実施形態によれば、図16に示した半導体装置43等を効率的に製造できる。
図19(a)〜(d)、及び、図20(e)、(f)は、本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。本実施形態は、図15に示した半導体装置42を製造する製造方法を示している。図20では、半田ボール20を用いたフリップチップ実装を示しているが、半導体素子21の搭載方法はこれに限定されず、異方性導電材料を用いたフリップチップ実装や、金バンプなどに代表される圧着や圧接によるフリップチップ実装や、半導体素子をフェースアップの状態でペーストや接着剤を用いて基板に固定し、ワイヤボンディングにより接続する搭載方法でも構わない。また、必要に応じてコンデンサや抵抗などの部品を搭載してもよい。なお、各工程間において適宜洗浄及び熱処理を行う。
先ず、図19(a)に示すように、支持基板11を用意し、必要であれば表面のウェット洗浄、ドライ洗浄、平坦化、又は、粗化など処理を施す。支持基板11は、適度な剛性を有していることが望ましく、シリコン、サファイア、GaAs等の半導体ウエハ材料、金属、石英、ガラス、セラミック、又は、プリント板を用いることができる。特に、半導体素子と100μm以下の狭ピッチ接続を行う場合は、シリコン、サファイア、GaAs等の半導体ウエハ材料を用いることが好適であり、更にシリコンを用いた半導体素子が多いことから、シリコンウエハを用いることが最も好適である。本実施形態では、8インチ(直径200mm)で、厚さが0.725mmのシリコンウエハを用いる。
次に、図19(b)に示すように、支持基板11の表面に第1層12を形成する。第1層12の形成は、第1層12用の材料が液状であればスピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、又は、印刷法等で成膜し、乾燥等の処理を施す。また、ドライフィルムであれば、真空プレス法やラミネート法等で積層した後、乾燥等の処理を施す。
第1層12は水溶性材料で形成し、好適な例としては、水、又は、水にTMAHなどのアルカリ成分、アルコール成分、NMPなどの有機溶剤成分、モノエタノールアミンなどのアミン系成分、ジメチルスルホキシドやジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの有機添加物の何れか、若しくはこれらを混合させた液体によって比較的容易に溶解する材料から適宜に選択できる。例えばポリビニルアルコール系、水性ビニルウレタン系、アクリル系、ポリビニルピロリドン、アルファオレフィン、マレイン酸系、光硬化型接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリアミド系接着剤、又は、シリコーン系接着剤などの材料により形成する。本実施形態では、ポリアミド系接着剤を用いる。
次に、図19(c)に示すように、第1層12上に第2層13を形成する。第2層13は、耐水性材料から成り、水溶性材料から成る第1層12をめっき法やウェットエッチングなどの水系プロセスから保護するために配設される。このため、第1層12は、支持基板11上に配設され、更に第2層13により覆われるように構成する。支持基板11縁部では、図2に示したように、第1層12を第2層13が覆う構成とし、支持基板11の縁部手前に第1層12の縁部を形成し、その縁部を超える位置まで第2層13を形成する。
なお、図3の配線基板30に対応する構造の製造に際しては、第1層12を支持基板11と縁部が揃うように形成し、第2層13を支持基板11の側面まで形成する。更に、図4の配線基板31に対応する構造の製造に際しては、第1層12を支持基板11の側面まで形成し、第2層13を第1層12の縁部を超える位置まで形成する。更に、図5の配線基板32に対応する構造の製造に際しては、第1層12を支持基板11の底面まで回り込むように形成し、第2層13が第1層12を覆うように形成する。
図2〜5では、便宜上同一の厚みで第1層12と第2層13を示しているが、第2層13が第1層12を覆っていれば、各部位における膜厚が変動していても構わない。更に、第2層13が第1層12を覆っていれば、第1層12の縁部が支持基板11の縁部手前や側面にあっても、第2層13の縁部が支持基板11の側面や底面に回り込んでも構わない。
第2層13は、有機材料や金属から成り、好適な例として、有機材料では、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成され、金属では、チタン、クロム、モリブデン、タンタル、タングステン、ニッケル、アルミニウム、銅、金、白金、パラジウム、銀、又は、鉄を主成分とする材料の何れか、若しくは複数の組み合わせにより形成する。
第2層13が有機材料の場合は、その材料が液状であればスピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、又は、印刷法等で成膜し、乾燥等の処理を施す。また、ドライフィルムであれば、真空プレス法やラミネート法等で積層した後、乾燥等の処理を施す。また、第2層13が金属の場合は、電解めっき法、無電解めっき法、スパッタ法、又は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等、若しくはこれらの組み合わせにより形成する。本実施形態では、第1層12上にチタン、銅の順に積層した金属膜とする。
次に、図19(d)に示すように、配線層14、絶縁層15、及び電極16から成る配線構造体17を形成する。配線層14は、少なくとも1層以上で構成され、2層以上の場合は、配線層14の間に介在する絶縁層15に配設されるビア23により電気的に接続される。また、配線層14は、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金、及び、銀から成る群から選択された少なくとも1種の金属で形成する。特に、電気抵抗値及びコストの観点から銅が好適である。また、ニッケルは、絶縁材料等の他の材料との界面反応を防止でき、磁性体としての特性を活用したインダクタ又は抵抗配線として使用できる。本実施形態では、配線層14は、前述のように例えば銅で形成し、その厚さを例えば5μmとする。配線14は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、又は、フルアディティブ法等の方法により形成する。
サブトラクティブ法は、基板上に形成された銅箔上に所望のパターンのレジストを形成し、エッチングにより不要な銅箔を除去した後に、レジストを剥離して所望のパターンを得る方法である。セミアディティブ法は、無電解めっき法、スパッタ法、又は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で給電層を形成した後、所望のパターンに開口されたレジストを形成する。レジストの開口部内に電解めっき法による金属を析出させ、レジストを除去した後に、エッチングにより給電層を除去して所望の配線パターンを得る方法である。フルアディティブ法は、基板上に無電解めっき触媒を吸着させた後に、レジストでパターンを形成し、このレジストを絶縁膜として残したまま触媒を活性化し、無電解めっき法により絶縁膜の開口部に金属を析出させることによって所望の配線パターンを得る方法である。
絶縁層15は、配線構造体17の厚み方向について配線層14の片側、若しくは両側に配設されるため少なくとも1層以上で構成される。また、絶縁層15は、例えば感光性又は非感光性の有機材料で形成し、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、BCB(benzocyclobutene)、PBO(polybenzoxazole)、又は、ポリノルボルネン樹脂等で形成する。特に、ポリイミド樹脂及びPBOは、膜強度、引張弾性率、及び、破断伸び率等の機械的特性が優れているため、高い信頼性を得ることができる。
感光性の有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部はフォトリソグラフィにより形成する。非感光性の有機材料、又は感光性の有機材料でパターン解像度が低い有機材料を使用する場合、ビア23を埋め込む絶縁層15の開口部は、レーザ加工法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法により形成する。また、ビア23を形成する位置に予めめっきポストを形成した後に絶縁膜を形成し、研磨により絶縁膜表面を削ってめっきポストを露出させてビア23を形成する方法を用いれば、絶縁層15に予め開口部を形成する必要が無い。本実施形態では、スパッタ膜を給電層とするセミアディティブ法により配線層14を形成し、感光性ポリイミド樹脂を用いて絶縁層15を形成し、フォトリソグラフィにより絶縁層15にビアを埋め込む開口部を形成する。
配線構造体17には、電極16が配設され、電極16は、絶縁層15内に配設されるビア23を介して配線層14に電気的に接続されている。電極16は、例えば複数の層を積層して構成し、例えば、電極16の表面に形成される半田ボールの濡れ性又はボンディングワイヤとの接続性を考慮して、電極16の表面は、金、銀、銅、アルミニウム、錫、及び、半田材料から成る群から選択された少なくとも一種の金属、又は、合金で形成することが好ましい。また、図示していないが、電極16の内側に開口部を有するパターンや、電極16に接触しない開口部を有するパターンのソルダーレジストを追加して形成しても構わない。更に、ソルダーレジストパターンを形成した後に、その開口部を覆うように電極パターンを形成してもよい。本実施形態では、スパッタ法で形成された給電層を用いたセミアディティブ法により、2μmの銅、3μmのニッケル、及び1μmの金を順に積層し、最表面が金になるように電極16を形成する。
次に、図20(e)に示すように、半田ボール20を用いたフリップチップ実装により半導体素子21を搭載し、アンダーフィル19を充填する。フリップチップ実装は、半導体素子21の電極(図示せず)にボール転写や印刷法により半田ボール21を形成し、配線基板11上にフラックスを供給した後にフリップチップマウンターを用いて配線基板にフラックスの粘着性を利用して仮置きする。その後、リフローを行い、配線基板11と半導体素子21を接続し、フラックスを洗浄する。その後、アンダーフィル19を半導体素子21の2若しくは3辺から充填し、熱処理を施して硬化させる。
次に、図20(f)に示すように、金型を用いたトランスファーモールディング法や印刷法などにより、エポキシ系の材料にシリカフィラーを混ぜた材料から成る封止樹脂を、搭載される半導体素子20と接続部分の配線を覆うように形成する。
本実施形態によれば、図15に示した半導体装置42を効率的に製造できる。
図21(a)、(b)は、本発明の第14実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図であり、図20に後続する工程を示している。本実施形態では、図20に示した半導体装置の製造方法に、支持基板11を除去する工程が追加される。なお、第6実施形態に係る配線基板の製造方法で説明したように、支持基板11を除去した後に配線基板の底面を加工することによって、図6〜10に示した配線基板33〜37をそれぞれ製造することも可能である。
先ず、図19(a)〜(d)、及び、図20(e)、(f)に示した工程によって、図21(a)に示す半導体装置を形成する。次に、図21(b)に示すように、水溶液を用いて第1層12を除去する。第1層12は、耐水性を有する第2層13によって覆われているため、第2層13の除去予定部位をレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法等により除去し、第1層12を露出させる。この場合、露出する面積が多いほど、溶解が容易となる。第1層12の除去は、除去に適している水溶液に浸すか、浸した状態で揺動や回転させる、浸した状態で超音波振動をかける、噴流をあてるなどの方法や組み合わせにより行うことができる。必要があれば、水溶液を加熱しても構わない。
第1層12除去の好適な例としては、水、又は、水にTMAHなどのアルカリ成分、アルコール成分、NMPなどの有機溶剤成分、モノエタノールアミンなどのアミン系成分、ジメチルスルホキシドやジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの有機添加物の何れか、若しくはこれらを混合させた液体を用いて行う。本実施形態では、第1層12がポリアミド系接着剤のため、NMP、ジメチルスルホキシドを主に添加した水溶液を80℃で用いる。
支持基板11を除去した後に得られる図21(b)に示した半導体装置の底面を加工することによって、図6〜10に示した配線基板33〜37に対応した構造を有する半導体装置をそれぞれ効率的に製造できる。配線基板の底面の加工により形成される電極18は、別基板に実装する際の外部端子として使用できる。また、電極18上に別の半導体素子、及びコンデンサや抵抗などの受動部品を搭載してもよい。
図6に示した配線基板33に対応する構造は、次のように製造できる。電極18の形成に際しては、電極18を構成する複数の層のうち、表面に露出する側の層から順に第2層13a上に成膜する。また、密着層24及び配線構造体17を支持基板11から分離した後、第2層13aの所望の位置にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより開口部25を形成して最下層の配線層14を露出させる。
第2層13aと電極18との間に保護金属膜を用いた場合は、保護金属膜を露出した後にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去する。第2層13aの除去処理と共に、保護金属膜が除去されても構わない。更に、最下層の配線層14を露出させた後に、電解めっき法や無電解めっき法により所望の金属を析出させてもよい。
図7に示した配線基板34に対応する構造は、次のように製造できる。第2層13aの所望の位置にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより開口部25を形成し、サブトラクティブ法やセミアディティブ法により電極18を形成する。
また、図8に示した配線基板35に対応する構造は、次のように製造できる。チタン、クロム、モリブデン、タンタル、タングステン、ニッケル、アルミニウム、銅、金、白金、パラジウム、銀、又は、鉄を主成分とする材料の何れか、若しくは複数の組み合わせにより、サブトラクティブ法やセミアディティブ法により、電極18の形状に形成する。
更に、図9に示した配線基板36に対応する構造は、次のように製造できる。第2層13bを給電層とするサブトラクティブ法やセミアディティブ法により電極18を形成してもよく、サブトラクティブ法により第2層13bを電極形状に形成し、無電解めっき法により第2層13bの表面に電極18を形成してもよい。
更に、図10に示した配線基板37に対応する構造は、次のように製造できる。最下層の配線層14の形成に際して、電極18を構成する複数の層のうち、表面に露出する側の層から順に第2層13上に成膜する。密着層24及び配線構造体17を支持基板11から分離した後、第2層13をレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去して最下層の配線層14を露出させることで形成される。
第2層13と最下層の配線層14との間に保護金属膜を用いた場合は、レーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより第2層13を除去して保護金属膜を露出した後にレーザ加工法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、又は、ブラスト法などにより除去する。第2層13の除去処理と共に、保護金属膜が除去されても構わない。更に、最下層の配線層14を露出させた後に、電解めっき法や無電解めっき法により所望の金属を析出させてもよい。
本実施形態によれば、半導体装置の第10実施形態に係る半導体装置43を効率的に製造できる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明に係る配線基板及び半導体装置並びにそれらの製造方法は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した配線基板及び半導体装置並びにそれらの製造方法も、本発明の範囲に含まれる。