JP4601217B2 - アクチュエータ、それを用いた駆動体、ロボット、および羽ばたき移動装置 - Google Patents

アクチュエータ、それを用いた駆動体、ロボット、および羽ばたき移動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、一般にアクチュエータに関するものであり、より特定的には、微小なロボット、軽いロボットが実現できるように改良されたアクチュエータに関する。この発明は、また、そのようなアクチュエータを用いた駆動体、ロボットおよび羽ばたき移動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平5−123992号公報には、表面波型の超音波振動を利用してロータを2軸方向に動かす自在関節型の表面波マニピュレータに関する技術が開示されている。また、特開平10−94275号公報には、圧電素子を用いて超音波振動を発生させ、この高周波振動により回転子を回転駆動するようにした多方向回転駆動型超音波モータ装置に関する技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平5−123992号公報、特開平10−94275号公報に記載された構成では、図6に示すように、ステータ、圧電素子、分極電極等を湾曲する曲面構造にする必要があり、製造が非常に困難である。
【0004】
また、この機能を1次方向のユニットで実現する場合、各軸に対応する2個あるいは3個のモータを用いる必要がある。あるいは、モータ1個を用いて、その回転力をクラッチやギアで駆動力の方向を切換えて、駆動体を2軸、3軸方向へ駆動する必要がある。そのため、駆動機構が複雑となり、駆動部の重量が大きくなり、装置の省スペース化や低コスト化を困難にするという欠点があった。
【0005】
ロボットのアクチュエータなどに使われている動力は、モータであり、個々の関節に相当する支点部分にモータを取付ける必要があることから、消費電力が大きくなる欠点がある。
【0006】
また、複雑な働きをするためには、アクチュエータおよびモータの数が増える。その結果、電池やモータによる重量も大きくなり、微小なロボット、軽いロボットができなかった。
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、微小なロボットおよび軽いロボットを実現することができるように改良されたアクチュエータを提供することにある。
【0008】
この発明は、そのようなアクチュエータを用いる駆動体を提供することにある。
【0009】
この発明のさらに他の目的は、そのようなアクチュエータを具備するロボットを提供することにある。
【0010】
この発明のさらに他の目的は、そのようなアクチュエータを具備する羽ばたき移動装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の第1の局面に従うアクチュエータは、外部に変位、力を伝達する伝達部と、該伝達部を駆動する駆動部とを備えたアクチュエータに係る。そして、上記駆動部を、制御量により機械的伸縮をする有機高分子層で形成し、上記伝達部を、上記有機高分子層を支持する支持体で形成することを特徴とする。
【0012】
この発明の好ましい実施態様によれば、上記有機高分子層は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と水を含むポリマーゲル層である。
【0013】
また、上記有機高分子層は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と水を含むポリマーゲルと、シリカゲルとが、分子状で分散したハイブリッド材料層であってもよい。
【0014】
この発明の好ましい実施態様によれば、上記ポリマーゲル層の厚みは1mm以下であり、上記支持体はシート状の数百μmの厚みのシリコン膜であり、上記ポリマーゲル層は上記支持体上に粘着保持されており、上記ポリマーゲルの、温度による、相転移を利用した温度制御で動作するものである。
【0015】
この発明の第2の局面に従うアクチュエータは、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と水を含むポリマーゲルで形成され、1mm以下の厚みを有する有機高分子層を備える。上記有機高分子層を支持体が支持している。上記有機高分子層と上記支持体を、チューブが収容している。上記支持体は、上記チューブ内の空間を複数の部分に仕切っている。仕切られた上記空間内に、制御用の液体または気体が導入されている。
【0016】
この発明の第3の局面に従うアクチュエータは、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と水を含むポリマーゲルと、シリカゲルとが、分子状で分散したハイブリッド材料で形成され、1mm以下の厚みを有する有機高分子層を備える。上記有機高分子層を支持体が支持している。上記有機高分子層と上記支持体を、チューブが収容している。上記支持体は、上記チューブ内の空間を複数の部分に仕切っている。仕切られた上記空間内に制御用の液体または気体が導入されている。
【0017】
この発明の第4の局面に従う駆動体は、上記アクチュエータを具備することを特徴とする。
【0018】
この発明の第5の局面に従うロボットは、上記アクチュエータを具備することを特徴とする。
【0019】
この発明の第6の局面に従う羽ばたき移動装置は、上記アクチュエータを具備することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
【0021】
実施の形態1
実施の形態1について、図1に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0022】
適当に架橋したポリマーと、このポリマーに適合した液媒体により形成したポリマーゲルは、熱の作用により相転移現象を生じる。ポリマーゲルに局所的に熱を付与すると、その加熱部分においてポリマーゲルは急激な相分離を生じる。ポリマーゲルが親水性ポリマーゲルである場合には、加熱部分のみが相対的に疎水性に変化する。また、短時間の冷却で加熱された部分は親水性に戻る。
【0023】
ポリマーゲルが疎水性のポリマーゲルである場合には、逆に加熱部分のみが相対的に親水性に変化する。また、短時間の冷却で加熱された部分は疎水性に戻る。上記ポリマーゲルは、有機溶剤または水には、いくらでも溶解するわけではなく、吸収包含して体積変化する。
【0024】
上記の架橋ポリマーの例としては、ポリプロピレン等のアルケン類、ポリイソプレン等のポリジエン類、ポリアクリルアミド等のビニル類、ポリスチレン等のスチレン類、他ポリエーテル類、ポリイミド類、ポリエステル類、ポリアミド類などであり、溶剤にいくらでも溶解するわけではなく、溶剤を吸収包含してゲルを形成する。
【0025】
ポリマーゲルを作るために使われる溶剤の例としては、水、エタノール、メタノール、アセトン、シクロヘキサン、ベンゼン、蟻酸エステル、酢酸エチル、アミド類、あるいはアンモニウム、ヨウ素、グルコースなどの溶液がある。
【0026】
本発明で使用する有機ポリマーゲルは、上記の架橋ポリマーと溶剤の組合せによりできるが、できたゲルが、熱の作用により相転移を生じ、その溶液に対する親水性、疎水性が変化するものであれば、いずれのものでもよい。
【0027】
本発明に最も適しているポリマーゲルは、親水性の架橋ポリマーであるポリアクリルアミド系ポリマー、特にポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と水とによりできるポリマーゲルである。この架橋ポリアクリルアミドと水からなる有機ポリマーゲルは、熱の有無により、相転移と非相転移が可逆的に起こり、その温度は35℃前後の温度以上で起こり、熱に対する反応性が敏感である。つまり人の体温付近でも容易に制御することができる。ポリマーゲルを薄い膜、層として用いる場合の支持体としては、テープ状、シート状、フィルム状、ドラム状であればいずれの材料であってもよいが、熱伝導性、耐熱性、加工性等からアルミニウム金属膜、シリコン膜などが好適である。
【0028】
この支持体に、熱源を照射することにより、照射された部分の温度が上昇し、ポリマーゲル層は相転移を生じて疎水性→親水性あるいは親水性→疎水性に性質が変化する。温度が元に戻ると、短時間で元の状態に戻るため、逆に、親水性→疎水性あるいは疎水性→親水性と可逆的に性質が変化する。また、何回でも繰返し使用することができる。熱源としては、赤外線、可視光、磁力線、レーザ光線、電子線、液体(高温)、気体(高温)等が考えられる。
【0029】
ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と水からできるポリマーゲルの1mm以下の層11を、シート状の数百μmのシリコン膜の支持体12,13上で粘着保持する。このとき、支持体12,13は、関節部14に保持されている。ただし、関節部14は、必ずしも必要ではなく、支持体12あるいは支持体13の一方だけであってもよい。35℃以下の常温では、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル11は、親水性である。
【0030】
駆動時には、赤外線、可視光、レーザ光あるいは電子線15をポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲルが接していない面のシリコン膜の支持体12,13に照射する。
【0031】
照射されたことにより、支持体12,13の温度が上昇し、照射とは反対面で接しているポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル11に温度上昇が伝わる。温度が上昇することにより、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル11は相転移を生じ、親水性→疎水性に性質が変化する。疎水性に性質が変化することにより、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル11は、吸収包含していた水分を放出する。水分を放出することにより、体積が減少することになり、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル11は、初期の膨潤していたときに比べ、縮むことになる。ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル11の層が縮むことにより、粘着保持していた数百μmのシリコン膜の支持体12,13が、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル11の層の方向に曲がり、アクチュエータとして働くことになる。このとき、関節部14があると、より容易に、シリコン膜の支持体12,13は、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル11の層の方向に曲がることになる。
【0032】
これを羽ばたき移動装置に利用する場合には、シリコン膜の支持体12,13が羽根に相当する部分になり、関節部14は、昆虫や鳥などの動態部分に相当する。ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル11は、支持体12,13に粘着し、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル11と反対側の支持体12,13の面から、紫外線、可視光、レーザ、電子線、あるいは磁場等を断続的に照射することにより、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル11の層の方向に曲がり、羽根に相当する支持体12,13を動かすことになる。なお、赤外線、可視光、レーザ、電子線、あるいは磁場等は、直接、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル11の面から照射してもよい。
【0033】
この反応は可逆反応であるため、温度が元に戻れば、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル11は親水性の性質に戻るため、水分を吸収し、元の長さに戻る。
【0034】
その結果、羽根に相当するシリコン膜の支持体12,13も元の位置に戻る。戻れば、次の周期の羽ばたきをするために、赤外線、可視光、レーザ、電子線あるいは磁気を照射する。
【0035】
実施の形態2
実施の形態2について、図2、図3に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0036】
ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と水からできるポリマーゲルの1mm以下の層が21,22と2層あり、その間のシート状の数百μmのシリコン膜の支持体23,24で粘着保持している。このとき、支持体23の中心部分にある関節部25に保持されている。ただし、関節部25は、必ずしも必要ではない。
【0037】
駆動時には曲げたい方向のポリマーゲル21あるいは22に赤外線、可視光、レーザ光あるいは電子線等26を照射する。照射されたことにより、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル21あるいは22は温度が上昇する。温度が上昇することにより、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル21あるいは22は相転移を生じ、親水性→疎水性に性質が変化する。疎水性に性質が変化することにより、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル21あるいは22は、吸収包含していた水分を放出する。水分を放出することにより、体積が減少することになり、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル21または22は、初期の膨潤していたときに比べ、縮むことになる。ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル21または22の層が縮むことにより、粘着保持していた数百μmのシリコン膜の支持体23,24が照射された方向に曲がる。
【0038】
このとき、関節25があると、より容易にシリコン膜の支持体23,24が曲がることになる。またこのとき、曲げ方向ではないポリマーゲル21あるいは22に対しては、通常室温の空気27を見つけることができれば好都合である。室温の空気27の温度が、30℃以下の場合には、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル21あるいは22の温度が下降し、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル21あるいは22は相転移を生じ、疎水性→親水性に性質が変化する。親水性に性質が変化することにより、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル21あるいは22は水分を吸収し、膨潤する。よって、上記の曲げ方向を妨げない方向に動く。
【0039】
本実施の形態においては、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル層を2層で示したが、支持体の膜を多く作ることにより、4層、6層などの多層構造にしてもよい。
【0040】
本発明に係るアクチュエータをロボットに利用する場合、関節25は必須の構成要素となる。支持体23,24が、上脚または下脚に相当し、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル21または22の層が生体の筋肉に相当する。ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル21と22の層は、逆の位相で、動く必要があるため、ゲル21に照射し温度を上げるヒータ28と、ゲル22に照射し温度を上げるヒータ29のオン時間は、必ず逆位相になり、曲げたい方向のゲルに照射するヒータ28あるいは29のみがオンになる。ヒータがオンになったポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲルの温度が上昇し、相転移を生じ、親水性→疎水性に性質が変化し、吸収包含していた水分を放出し、体積が減少することになり、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル21または22は縮むことになり、これが接する支持体23あるいは24が曲がることになる。
【0041】
本発明に係るアクチュエータをピンセット、鉗子、メス等の駆動体の本体の先端部に接続し、微妙に動かせたい方向のアクチュエータをサーマルヘッドや指で温めることにより、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲルが相転移を生じ、水分を放出することにより縮む。よって温めた方向に微小かつ容易に動くことになる。
【0042】
実施の形態3
実施の形態3について、図4および図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0043】
図4を参照して、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と水からできるポリマーゲルの1mm以下の層が31,32と2層あり、シート状の数百μmのシリコン膜の支持体33で粘着保持している。
【0044】
図5に示すように、シート状の数百μmのシリコン膜の支持体33が真中で仕切る形で、1mm以下のポリマーゲルの層31,32と数百μmの支持体33を、チューブ34で覆い被せる。このとき、チューブの材質としては、シリコンゴム、塩化ビニールなどが適している。
【0045】
支持体で仕切られたチューブ内の2個の空間に、温度が違う液体、気体を流し込む。具体的には、空間36が曲げたい方向ならば、曲げ方向の空間36に、40℃以上の液体または気体を流し込み、曲げ方向でないもう一方の空間35には、30℃以下の流体または気体を流し込む。
【0046】
30℃以上の液体または気体が流し込まれた空間36内で、高温の気体、または液体に接するポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲルが相転移を生じ、親水性→疎水性に性質が変化し、吸収包含していた水分を放出し、体積が減少する。その結果、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲル31は、縮むことになり、シリコンゴムチューブまたは塩化ビニールのチューブは空間36方向に曲がることになる。一方、30℃以下の液体または気体を流し込まれた空間35内のポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)のゲルは、親水性のままであるため縮まない。
【0047】
本実施の形態においては、チューブ34内をシリコンの支持体で、2空間に区切ったが、支持体による仕切り板を多く作り、4室、6室などの多室構成であってもよい。多室構成にすることにより、より細かい方向への制御が可能になる。
【0048】
本発明に係る構造のアクチュエータを光ファイバの導入管、センサ、吸入管等の駆動体の本体の先端部に接続することにより、汚れや細菌による感染を防ぎながら目的位置への投入を図ることができ、目的位置に対するその微妙な動きに対しても、容易に、安全に行なうことができる。
【0049】
上記の実施の形態において、アクチュエータの動きの速度、力の強さの大きさ等の制御は、ポリマーゲルの層の厚み、シリコン膜の支持体の厚み、赤外線、可視光、レーザ光あるいは電子線、磁気の強さ、照射面積、照射時間、サーマルヘッドのオン時間、接触面積、気体や液体の温度により、細かな制御が可能である。
【0050】
実施の形態4
上記の実施の形態においては、アクチュエータとして使用する場合に最も適した有機ポリマー材料としてポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)の例を示した。
【0051】
しかしながら、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)をアクチュエータとして用いる場合、機械的な変化、熱変化に対して、より耐久性を強くすることが考えられる。
【0052】
その目的のために、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を有機高分子材料として、無機材料としてシリカゲルを用い、上記の材料をゾル−ゲル法により分子分散させる。
【0053】
ゾル−ゲル法は、この場合、シリケートの加水分解−縮合反応であり、結果として珪素−酸素結合を繰返し単位とする3次元架橋したシリカゲルマトリックスを形成する反応である。このゾル−ゲル反応に有機高分子を共存させることにより、有機高分子とシリカゲルが分子分散した有機−無機ハイブリッド材料を合成することができる。
【0054】
ハイブリッド材料の柔軟性、あるいは機械的強度は、ハイブリッド中に有機高分子がどれだけ入っているかに依存し、有機−無機ハイブリッド材料中においては、有機高分子は凝集することなく分子分散している。
【0055】
有機高分子(ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド))と無機材料(シリカゲル)の有機−無機ポリマーハイブリッドの分子複合材料によると、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)が持っていた温度に対する相転移の性質がほぼ変わらず、機械的な変化、熱変化に対する耐久性が向上したアクチュエータの動力駆動部として使用することができる。
【0056】
このように働く有機高分子は、アミド以外にも、たとえば、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリイミド、ポリカーボネートなどにおいても、シリカゲルと均一なポリマー無機ハイブリッドが得られる。
【0057】
この有機高分子(ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド))と無機材料(シリカゲル)の有機−無機ポリマーハイブリッドの分子複合材料を、実施の形態1〜3のポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と水からできるポリマーゲルの層の代わりに用いることができ、機械的な変化や熱変化に対する耐久性を上げることができる。
【0058】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0059】
【発明の効果】
本発明に係るアクチュエータをロボットのアクチュエータとして用いることにより、複雑な動きをする場合においても、簡単な構造で、重量が大きくない、省スペースの微小なロボット、軽いロボットを実現することができる。
【0060】
また、本発明に係るアクチュエータを駆動体の本体の先端部に接続し、熱によって有機ポリマーまたは有機−無機ポリマーハイブリッドの相転移を制御することによって、微小な変動を容易に実現することができる。よって、本アクチュエータを駆動体の先端部に導入することにより、ピンセット、鉗子、メス、光ファイバの導入管、センサ、工具などの目的位置への導入作業を向上させることができ、その微小な動きを、容易に行なうことができる。
【0061】
有機−無機ハイブリッド材料の調製の手法は、材料を空気中で混ぜ合わせて数日間放置しておくだけの簡便なものであるため、より機械的強度、熱的強度を高めたアクチュエータを簡便に作ることができ、工業的利用が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1に係るアクチュエータを示す図である。
【図2】 実施の形態2に係るアクチュエータを示す図である。
【図3】 実施の形態2の他の態様に係るアクチュエータを示す図である。
【図4】 実施の形態3に係るアクチュエータの側面図である。
【図5】 実施の形態3に係るアクチュエータの上面図である。
【図6】 従来のアクチュエータを示す図である。
【符号の説明】
11 ポリマーゲルの層、12 シリコン膜の支持体、13 シリコン膜の支持体、14 関節部、15 制御用の赤外線。

Claims (8)

  1. 外部に変位、力を伝達する伝達部と、該伝達部を駆動する駆動部とを備えたアクチュエータにおいて、
    前記駆動部を、制御量により機械的伸縮をする有機高分子層で形成し、
    前記伝達部を、前記有機高分子層を支持する支持体で形成し、
    前記有機高分子層が、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と水を含むポリマーゲルと、シリカゲルとが、分子状で分散したハイブリッド材料層である、アクチュエータ。
  2. 外部に変位、力を伝達する伝達部と、該伝達部を駆動する駆動部とを備えたアクチュエータにおいて、
    前記駆動部を、制御量により機械的伸縮をする有機高分子層で形成し、
    前記伝達部を、前記有機高分子層を支持する支持体で形成し、
    前記有機高分子層が、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と水を含むポリマーゲル層であり、
    前記ポリマーゲル層の厚みは1mm以下であり、
    前記支持体はシート状の数百μmの厚みのシリコン膜であり、
    前記ポリマーゲル層は前記支持体上に粘着保持されており、
    前記ポリマーゲルの、温度による、相転移を利用した温度制御で動作する、アクチュエータ。
  3. 前記ハイブリッド材料層の厚みは1mm以下であり、
    前記支持体はシート状の数百μmの厚みのシリコン膜であり、
    前記ポリマーゲル層は前記支持体上に粘着保持されており、
    前記ポリマーゲルの、温度による、相転移を利用した温度制御で動作する、請求項に記載のアクチュエータ。
  4. ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と水を含むポリマーゲルで形成され、1mm以下の厚みを有する有機高分子層と、
    前記有機高分子層を支持する支持体と、
    前記有機高分子層と前記支持体を収容するチューブを備え、
    前記支持体が、前記チューブ内の空間を複数の部分に仕切っており、
    仕切られた前記空間内に制御用の液体または気体が導入されている、アクチュエータ。
  5. ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)と水を含むポリマーゲルとシリカゲルとが、分子状で分散したハイブリッド材料で形成され、1mm以下の厚みを有する有機高分子層と、
    前記有機高分子層を支持する支持体と、
    前記有機高分子層と前記支持体を収容するチューブを備え、
    前記支持体が、前記チューブ内の空間を複数の部分に仕切っており、
    仕切られた前記空間内に制御用の液体または気体が導入されている、アクチュエータ。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のアクチュエータを具備することを特徴とする駆動体。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のアクチュエータを具備することを特徴とするロボット。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載のアクチュエータを具備することを特徴とする羽ばたき移動装置。
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