JP4601145B2 - ノイズフィルタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノイズフィルタに関し、特に減衰極の制御が簡単な分布定数型のノイズフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ノイズフィルタは、複数の絶縁層から成る積層体内に、該絶縁層を介して互いに対向し合う信号側導体パターンとグランド側導体パターンを配置して構成されていた。すなわち、信号側導体パターンとグランド側導体パターンは、絶縁層の厚み方向に互いに接続し、夫々一連のコイルとなる。例えば、信号側導体パターンが互いに接続して信号側コイルになり、グランド側導体パターンが互いに接続してグランド側コイルとなる。そして、信号側導体パターンとグランド側導体パターンとの間で所定容量が得られる。
【0003】
しかし、この分布定数型のノイズフィルタの一次減衰極周波数は、等価キャパシタンスを不変とした場合、主にグランド側導体パターン(グランドライン側コイル)の自己インダクタンス及び信号側導体パターン(信号ライン側コイル)との相互インダクタンスによって決定される。
【0004】
また、二次減衰極周波数は、等価キャパシタンスを不変とした場合、主に信号ライン側コイルの自己インダクタンス及びグランドライン側コイルとの相互インダクタンスによって決定される。
【0005】
従って、上記構造では、一次減衰極のみを制御するため、グランドライン側コイルのコイル長を所定インダクタンス値となるように設定すると、同時に相互インダクタンスも変動してしまい、結果として、二次減衰極も変動してしまう。また、二次減衰極のみを制御においても、結果として、一次減衰極も変動してしまう。
【0006】
しかも、両コイルのインダクタンスを制御するために、信号側導体パターン又はグランド側導体パターンのパターン長を変化させると、信号側導体パターンとグランド側導体パターンとの対向状態も変化してしまい、等価キャパシタンスも変化してしまい、フィルタ特性の制御が困難となってしまう。
【0007】
そこで、図6〜7に示すように、複数の絶縁層61a〜61gから成る積層体本体内に、絶縁層61a〜61eの例えば、6つの層間に、交互に3つの信号側導体パターン62b〜62dと2つのグランド側導体パターン63b〜63cを配置していた。尚、絶縁層61fと61gとの層間には、接続用パターン62eが配置されており、絶縁層61a上には、信号側引き回し導体パターン62a,グランド側引き回し導体パターン63aが配置さている。
【0008】
その信号側導体パターン62b〜62dは、グランド側導体パターン63b〜63cと互いに重なりあう概略四角形状対向部と、該概略四角形状対向部の一方側の端辺側から延びる2つのインダクタ導体部とを有している。また、グランド側導体パターン63b〜63cは、信号側導体パターン62b〜62dの対向部と互いに重なりあう概略四角形状対向部と、該概略四角形状対向部の他方側の端辺側から延びる2つのインダクタ導体部とを有していた。そして、信号側導体パターン同士が接続して信号側コイルSLを構成し、グランド側導体パターンどうしが接続してグランド側コイルGLを構成していた。しかも、信号側導体パターンとグランド側導体パターンとの対向部分で容量成分を形成し、分布定数型ノイズフィルタ60を構成していた(特開平8−18377号公報)。
【0009】
このようなノイズフィルタによれば、信号側導体パターン62b〜62dとグランド側導体パターン63b〜63cとが絶縁層61a〜61eを挟んで対向する部分は、概略四角形状対向部で、等価キャパシタンスは一義的に決定される。
【0010】
また、信号側導体パターン62b〜62dとグランド側導体パターン63b〜63cともに、概略四角形状対向部の端辺により、2つのインダクタ導体部が延びている。従って、夫々のコイルパターンにおける自己インダクタンス値は、その2つのインダクタ導体部の長さで決定される。
【0011】
しかも、信号側導体パターン62b〜62dとグランド側導体パターン63b〜63cとで、2つのインダクタ導体部が延びている方向が異なるため、互いに相互インダクタンスが非常に小さい状態となる。
【0012】
即ち、等価キャパンタンスは実質的な変動が少なく、また相互インダクタスも非常に小さいため、減衰極の制御にあたり、夫々の2つのインダクタ導体部の長さのみで決定される。
【0013】
従って、一次減衰極の制御、二次減衰極の制御が、主に各コイルの自己インダクタンスの個別の制御のみによって簡単に行うことができる。
【0014】
さらに、信号側導体パターン62b〜62d及びグランド側導体パターン63b〜63cが実質的に概略四角形状対向部とその概略四角形状対向部の相対向する端辺側に延びるインダクタ部を有するため、夫々のコイルパターンを全体として、実質的に四角形状となることができるため、平面的に大きなデットスペースを発生させることがないため、小型なノイズフィルタが達成できる。
【0015】
ここで、ノイズフィルタ60は、周知の表面実装法により回路パターン(不図示、以下同じ)に半田付けされる。ノイズフィルタ60の入出力端子は回路パターンの信号ライン又は伝送ラインに接続され、グランド端子は回路パターンのアースラインに接続される。このため、信号側導体パターンには、入力端子から出力端子に信号電流が流れる。一般的に回路パターンにおいて、通過するデジタル信号は、正弦波である高調波の組み合わせからなり、高次側の高調波が多いと、信号ライン(伝送ライン)パターン上で不要の輻射ノイズが発生するという問題点がある。そこで、このようなデジタル信号をノイズフィルタ60に通すことにより、不必要な高次側の高調波をグランド側導体パターン62a〜62eを介してグランド端子に流してノイズを除去している。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上述の高周波フィルタにおいては、信号側導体パターンによる分布定数(L成分)が大きいほど、共振周波数を低周波数側にシフトすることができ、低周波数領域におけるノイズ除去効果が良好になる。
【0017】
しかし、図6、図7に示すノイズフィルタの構造によれば、絶縁層が誘電体材料をベースに用いているため、各コイル部のインダクタンス成分が小さく、急峻な減衰特性を得ることに限界があった。
【0018】
本発明は、上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、素子の大きさを変えずに、小型であっても、急峻な減衰特性が達成できるノイズフィルタを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のノイズフィルタは、複数の絶縁層から成る積層体の各層間に、信号側導体パターン及びグランド側導体パターンを配置するとともに、前記信号側導体パターンどうしを前記絶縁層の厚み方向に接続して螺旋形の信号側コイルを形成し、前記グランド側導体パターンどうしを絶縁層の厚み方向に接続して螺旋形状のグランド側コイルを形成してなる分布定数型のノイズフィルタにおいて、前記信号側導体パターンは、前記各層間の全てにおいて、同一層間でグランド側導体パターンを挟んで、複数に分割、配置されており、1つの前記層間の前記グランド側導体パターンの直線部分が、上下に隣り合う前記層間のうちのいずれかに配置された、分割された信号側導体パターンのうちのいずれか一方の直線部分と前記絶縁層を介して対向していることを特徴とするノイズフィルタである。
【作用】
本発明によれば、各絶縁層において、グランド側導体パターンを挟んで信号側導体パターンが複数に分割されている。信号側導体パターンにより構成され、互いに接続された2つの信号側コイルが、グランド側導体パターンによって形成されるグランド側コイルを挟んで位置される。
【0020】
即ち、信号側コイルにおいては、積層体の一方表面から信号が入力され、他方表面側で折り返され、さらに、一方表面側から信号が出力されることになる。
【0021】
従来の構成に比べて、素子の大きさを変化させずに、互いに接続される信号側コイルのターン数を増大させることができ、分布定数のL成分を大きくすることができる。しかも、信号側コイルとグランド側コイルとの結合も大きくなるため、フィルタ全体のL成分が大きくなる。これらによって、低周波数領域におけるノイズ除去効果を良好にすることができる。
【0022】
さらに、信号側導体パターンからなる信号側コイルは左右対称であり、グランド側導体パターンからなるグランド側コイルは、その信号側導体パターンに挟まれた状態になっているため、信号側コイルに接続する信号側入出力端子とグランド側コイルに接続するグランド端子ともに、左右対称となるため、入出力端子の方向性を持たない部品となり、実装時の方向合わせが不要になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のノイズフィルタを図面に基づいて詳説する。
【0024】
図1は、本発明のノイズフィルタの外観斜視図であり、図2は、導体パターンが相違する各絶縁層の平面図であり、図3は各絶縁層の接続状態を示す積層体の分解斜視図であり、図4は等価回路図である。
【0025】
図1において、本発明のノイズフィルタ10は、積層体(以下、積層体本体という)1と、該積層体本体1の一対の両端面に形成された信号側端子電極6、7と、該積層体本体1の中央部に形成されたグランド側端子電極8とから構成されている。信号側端子電極6、7は、積層体本体1において、端面または及びその周囲の4つの面に形成されている。また、グランド側端子電極8は、積層体本体1の中央部付近の両側面及び少なくとも一方の主面に渡って周回するように形成されている。信号側端子電極6、7、グランド側端子電極8は導電性ペーストを焼き付けて形成された下地導体膜及び該下地導体膜の表面に被着した半田濡れ性の優れたメッキ層から構成されている。
【0026】
また、積層体本体1は、例えば8層の絶縁層が積層されて構成されている。尚、図3では、最上層となる絶縁層を省略して、例えば7層のみを表示している。例えば、絶縁層1a上、即ち、最上層となる絶縁層と絶縁層1aとの層間には、図2(a)に示すように、信号側引き回し導体パターン2a、2mが配置されている。例えば、信号側引き回し導体パターン2aは、信号側コイルSCの一方端と信号側端子電極6とを接続するパターンである。また、信号側引き回し導体パターン2mは、信号側コイルSCの他方端と信号側端子電極7とを接続するものである。
【0027】
積層体本体1は、例えば7層の絶縁層1a〜1gから構成され、絶縁層1a上には、図2(a)に示す信号側引き回し導体パターン2a、2mが配置されている。
【0028】
また、絶縁層1b上、例えば、絶縁層1aと1bとの層間には、図2(b)に示す導体パターンが配置されている。即ち、両端部側に信号側導体パターン2b、2lが分割して配置されており、その中央部付近には、グランド側導体パターン3aが配置されている。各導体パターン2b、2l、3aは、概略半ターン分のパターン、例えば概略C字状を成し、その開口が紙面の上部側に開口している。この信号側導体パターン2b、2l、グランド側導体パターン3aは、絶縁層1aの厚みを貫くビアホール導体または絶縁層1bの厚み貫くビアホール導体に接続されている。
【0029】
また、絶縁層1c上、例えば、絶縁層1bと1cとの層間には、図2(c)に示す導体パターンが配置されている。即ち、両端部側に信号側導体パターン2c、2kが分割して配置されており、その中央部付近には、グランド側導体パターン3bが配置されている。信号側導体パターン2c、2k、グランド側導体パターン3bは、概略半ターン分のパターン、例えば概略C字状であり、その開口が紙面の下部側に開口している。この信号側導体パターン2c、2k、グランド側導体パターン3bは、絶縁層1cの厚みを貫くビアホール導体または絶縁層1bの厚みを貫くビアホール導体に接続されている。
【0030】
ここで、図2(b)で示した絶縁層1bと図2(c)で示した絶縁層1cとを積層した場合、絶縁層1b上のグランド側導体パターン3aの直線部分3xは、絶縁層1c上の信号側導体パターン2kの直線部分2xと絶縁層1bを介して対向し、また、絶縁層1c上のグランド側導体パターン3bの直線部分3yは、絶縁層1b上の信号側導体パターン2bの直線部分2yと絶縁層1bを介して対向することになる。これは、絶縁層1bと1cのみに着目して説明しているが、複数の絶縁層1b〜1fにおいては、その上下関係がすべて同様の構造となっている。この直線部分2x、3x、2y、3yの対向部分には、分布定数的な容量成分が発生する。
【0031】
また、絶縁層1g上、例えば絶縁層1fと1gとの間には、図2(d)に示すように、折り返し導体パターン2gおよびグランド側引き回し導体パターン3fが配置されている。例えば、折り返し導体パターン2gは、信号側コイルSC1と信号側コイルSC2とを接続するものであり、グランド側引き回し導体パターン3fは、グランド側コイルGCの一端とグランド側端子電極8とを接続するものである。
【0032】
さらに、図2(d)で示す折り返し導体パターン2gとグランド側導体パターンの直線部分とを対向させて構わない。
【0033】
また、実際には、積層体本体1は、図2(a)に示す絶縁層1aと図2(d)に示す絶縁層1gとの間に、図2(b)に示す導体パターンが配置されている絶縁層がグランド側導体パターン3層と、図2(c)に示す導体パターンが配置されている絶縁層が2層とが、交互に積層配置されている。
【0034】
また、信号側コイルSCを構成する一方の信号側コイルSC1において、絶縁層1b上の信号側導体パターン2bの一端は、絶縁層1aの厚みに形成されたビアホール導体4aを介して絶縁層1a上の信号側引き回し導体パターン2aの他端に接続されている。また、絶縁層1b上の信号側導体パターン2bの他端は、絶縁層1bの厚みに形成されたビアホール導体4bを介して絶縁層1c上の信号側導体パターン2cの一端に接続されている。
【0035】
また、絶縁層1c上の信号側導体パターン2cの一端は、絶縁層1b上の信号側導体パターン2bの他端に接続し、信号側導体パターン2cの他端は、絶縁層1cの厚みに形成されたビアホール導体4cを介して絶縁層1d上の信号側導体パターン2dの一端に接続されている。
【0036】
また、絶縁層1d上の信号側導体パターン2dの一端は、絶縁層1c上の信号側導体パターン2cの他端に接続し、信号側導体パターン2dの他端は、絶縁層1dの厚みに形成されたビアホール導体4dを介して絶縁層1e上の信号側導体パターン2eの一端に接続されている。
【0037】
また、絶縁層1e上の信号側導体パターン2eの一端は、絶縁層1d上の信号側導体パターン2dの他端に接続し、信号側導体パターン2eの他端は、絶縁層1eの厚みに形成されたビアホール導体4eを介して絶縁層1f上の信号側導体パターン2fの一端に接続されている。
【0038】
また、絶縁層1f上の信号側導体パターン2fの一端は、絶縁層1e上の信号側導体パターン2eの他端に接続し、信号側導体パターン2fの他端は、絶縁層1fの厚みに形成されたビアホール導体4fを介して絶縁層1g上の折り返し導体パターン2gの一端に接続されている。
【0039】
さらに、信号側コイルSCを構成するコイルSC2において、折り返し導体パターン2gの他端は、絶縁層1fに形成されたビアホール導体4gを介して絶縁層1f上に配置された信号側導体パターン2hの一端に接続されている。
【0040】
また、絶縁層1f上の信号側導体パターン2hの一端は、絶縁層1g上の折り返し導体パターン2gの他端部に接続され、信号側導体パターン2hの他端は、絶縁層1eの厚みに形成されたビアホール導体4hを介して絶縁層1e上の信号側導体パターン2iの一端に接続されている。
【0041】
また、絶縁層1e上の信号側導体パターン2iの一端は、絶縁層1f上の信号側導体パターン2hの他端に接続され、信号側導体パターン2iの他端は、絶縁層1dの厚みに形成されたビアホール導体4iを介して絶縁層1d上の信号側導体パターン2jの一端に接続されている。
【0042】
また、絶縁層1d上の信号側導体パターン2jの一端は、絶縁層1e上の信号側導体パターン2iの他端に接続され、信号側導体パターン2jの他端は、絶縁層1cの厚みに形成されたビアホール導体4jを介して絶縁層1c上の信号側導体パターン2kの一端に接続されている。
【0043】
また、絶縁層1c上の信号側導体パターン2kの一端は、絶縁層1d上の信号側導体パターン2jの他端に接続され、信号側導体パターン2kの他端は、絶縁層1bの厚みに形成されたビアホール導体4kを介して絶縁層1b上の信号側導体パターン2lの一端に接続されている。
【0044】
また、絶縁層1b上の信号側導体パターン2lの一端は、絶縁層1c上の信号側導体パターン2kの他端に接続され、信号側導体パターン2lの他端は、絶縁層1aの厚みに形成されたビアホール導体4lを介して絶縁層1a上の信号側引き回し導体パターン2mの一端に接続されている。
【0045】
さらに、絶縁層1aの信号側引き回し導体パターン2mの一端は、絶縁層1bの信号側導体パターン2lの他端に接続され、信号側引き回し導体パターン2mの他端は、絶縁層1aの端面にまで引き回され、信号側端子電極7に接続されている。
【0046】
即ち、信号側コイルSCは、2つの信号側コイルSC1と信号側コイルSC2とが互いに接続されて構成されている。尚、1つの信号側コイルSC1は、5層の半ターンのパターンを有する信号側導体パターン2b〜2fからなり、約2.5ターンの信号側コイルとなり、また、1つの信号側コイルSC2も同様に、5層の半ターンのパターンを有する信号側導体パターン2h〜2lからなり、約2.5ターンの信号側コイルとなる。これにより、全体として概略5ターンの信号側コイルSCとなる。
【0047】
次に、グランド側コイルGCにおいては、絶縁層1b上のグランド側導体パターン3aの他端は、絶縁層1bの厚みに形成されたビアホール導体5aを介して絶縁層1c上のグランド側導体パターン3bの他端に接続されている。
【0048】
また、絶縁層1c上のグランド側導体パターン3bの一端は、絶縁層1b上のグランド側導体パターン3aの他端に接続され、グランド側導体パターン3bの他端部は、絶縁層1cの厚みに形成されたビアホール導体5bを介して絶縁層1d上のグランド側導体パターン3cの一端に接続されている。
【0049】
また、絶縁層1d上のグランド側導体パターン3cの一端は、絶縁層1c上のグランド側導体パターン3bの他端に接続され、グランド側導体パターン3cの他端は、絶縁層1dの厚みに形成されたビアホール導体5cを介して絶縁層1e上のグランド側導体パターン3dの一端に接続されている。
【0050】
また、絶縁層1e上のグランド側導体パターン3dの一端は、絶縁層1d上のグランド側導体パターン3cの他端に接続され、グランド側導体パターン3dの一端は、絶縁層1eの厚みに形成されたビアホール導体5dを介して絶縁層1f上のグランド側導体パターン3eの一端に接続されている。
【0051】
また、絶縁層1f上のグランド側導体パターン3eの一端は、絶縁層1e上のグランド側導体パターン3dの他端に接続され、グランド側導体パターン3eの一端は、絶縁層1fの厚みに形成されたビアホール導体5eを介して絶縁層1g上のグランド側引き回し導体パターン3fの一端に接続されている。
【0052】
また、絶縁層1g上のグランド側引き回し導体パターン3fの一端は、絶縁層1f上のグランド側導体パターン3eの他端に接続され、他端は、グランド側端子電極8に接続されている。
【0053】
即ち、グランド側コイルGCは、5層の半ターンのパターンを有するグランド側導体パターン3a〜3eからなり、約2.5ターンのグランド側コイルとなる。
【0054】
このような信号側コイルSCは、それぞれ積層体本体1の外表面に形成した信号側端子電極6、7に接続されている。また、グランド側コイルGCは、グランド側端子電極8に接続されている。
【0055】
このことにより、例えば、端子電極6から入った電流は、信号側引き回し導体パターン2a、ビアホール導体4a、信号側導体パターン2b、ビアホール導体4b、信号側導体パターン2c、ビアホール導体4c、信号側導体パターン2d、ビアホール導体4d、信号側導体パターン2e、ビアホール導体4e、信号側導体パターン2f、ビアホール導体4f、折り返し導体パターン2g、ビアホール導体4g、信号側導体パターン2h、ビアホール導体4h、信号側導体パターン2i、ビアホール導体4i、信号側導体パターン2j、ビアホール導体4j、信号側導体パターン2k、ビアホール導体4k、信号側導体パターン2l、ビアホール導体4l、信号側引き回し導体パターン2mの順に流れ、出力端子電極7から出ることになる。
【0056】
また、不必要な高次側の高調波の信号成分は、グランド側導体パターン3a、ビアホール導体5a、グランド側導体パターン3b、ビアホール導体5b、グランド側導体パターン3c、ビアホール導体5c、グランド側導体パターン3d、ビアホール導体5d、グランド側導体パターン3e、ビアホール導体5e、グランド側引き回し導体パターン3fの順に流れ、グランド端子電極8に流れる。
【0057】
次に、上述の構造の積層体本体1は、以下のような製造方法で作られる。
【0058】
まず、積層体本体1の絶縁層1a〜1gとなる絶縁体シートは、誘電体材料であるBaTiO 3 、TiO 3 を少なくとも含むセラミック粉末と有機ビヒクルとを均質混練して、所定厚み(20μm〜100μm)のテープを成型し、所定大きさに裁断して作製する。
【0059】
次に、その絶縁体シートの所定位置に、ビアホール導体4a〜4l、ビアホール導体5a〜5fとなる貫通孔(孔径50μm〜200μm)をパンチ加工などで形成する。
【0060】
次に、上述の貫通孔内に、Ag系(Ag単体、Ag−PdのようなAg合金)、Cu系材料の金属粉末と必要に応じて低融点ガラスフリットと有機ビヒクルとを均質混合して得られた導電性ペーストを充填して、ビアホール導体4a〜4l、5a〜5fとなる導体を形成するとともに、そのシートの表面に信号側導体パターン2b〜2f,2h〜2lとなる導体膜、グランド側導体パターン3a〜3eとなる導体膜を、上述の導電性ペーストのスクリーン印刷によって厚み1μm〜20μmで形成する。
【0061】
これにより、図2(a)〜(d)に示すように、絶縁体シート1a〜1gには、信号側導体パターン2b〜2f,2h〜2l及びグランド側導体パターン3a〜3eとなる導体膜が形成される。
【0062】
次に、夫々のシートを積層順序を考慮して、選択的に積層し、熱圧着により一体化する。その後必要に応じて焼結収縮を考慮した最終寸法で裁断したり、また、最終工程で分割するための分割溝を形成したりする。
【0063】
次に、絶縁体シートから成る積層体を、所定雰囲気・所定ピーク温度で焼成する。上述の導電性ペーストにAg系ペーストを用いた場合には酸化性雰囲気、中性雰囲気で、Cu系ペーストを用いた場合には還元性囲気、中性雰囲気で処理する。また、ピーク温度は、絶縁体シートが焼結反応されるに必要な温度で処理するが、この温度に耐えるように導電性ペーストの金属成分を調整する。例えば、導電性ペーストにAg単体、Cu単体を用いた場合には、ピーク温度は1050℃以下であり、これ以上の温度で焼成する場合には、Pdなどの合金を用いる。尚、約1000℃の焼成温度に昇温するまでの約500℃前後で、絶縁体シート、導体膜、導体に含まれる有機ビヒクル成分を焼失させる。
【0064】
このようにして焼成処理された積層体本体1の信号側引き回し導体パターン2a、2mの露出部分に信号側端子電極6、7を、グランド側引き回し導体パターン3fの露出部分にグランド側端子電極8を、夫々導電性ペーストの焼き付けにより形成する。なお、端子電極6、7、8となる導体膜を積層体本体1の焼成前に塗布・形成して、積層体本体1と同時に焼成処理しても構わない。
【0065】
このようにして、図1のようなノイズフィルタ10が得られる。
【0066】
このようにして得られた本発明のノイズフィルタ10によれば、信号側コイルSCは、信号側コイルSC1となる信号側導体パターン2b〜2fと信号側コイルSC2となる信号側導体パターン2h〜2lとが分割され、両コイルSC1とSC2とが接続されて構成されている。そして、グランド側コイルGCを構成するグランド側導体パターン3a〜3eが、信号側コイルSC1とSC2とに挟まれて配置されることになる。従って、例えば、端子電極6から入った電流は、実質的に螺旋状経路を通って流れることになり、従来の構成に比べて、素子の大きさを変化させずに、信号側導体パターン2b〜2f、2h〜2lの長さを実質的に長くすることができる。また、グランド側コイルGCと信号側コイルSCとの結合が、グランド側コイルGCに対して2方向から結合するため、この結合度が増大する。
【0067】
例えば、図6、7に示す従来のノイズフィルタでは、信号側コイルとグランド側コイルとの結合係数が0.50〜0.60であった。これに対して、本発明では、信号側コイルSC1とグランド側コイルGCとの結合係数及び信号側コイルSC2とグランド側コイルGCとの結合係数は各々0.50〜0.60となり、また、信号側コイルSC1とSC2との結合係数が0.15〜0.25とすることができるため、全体の結合係数を2倍以上にすることができる。
【0068】
また、信号側コイルSCの全体のインダクタンス成分は、コイルの内面積と、コイル定数を考慮したターン数によって決定される。例えば、信号側コイルSC1、SC2のコイルの内面積を0.5mm 2 、ターン数を4.5ターン、コイル定数を1.7としたとき、一方の信号側コイルSC1のインダクタンス値は、6.45Hとなり、信号側コイルSC全体では、両信号側コイルSC1、SC2の結合係数を考慮すると10.47Hとなる。
【0069】
その結果、従来のノイズフィルタに比較して、コイルの内面積が1/2となっても、ターン数が2倍とすることができ、両信号側コイルSC1、SC2の間で生じる結合により、インダクタンス成分が大きくなる。
【0070】
しかも、グランド側コイルGCと信号側コイルSCとの結合が大きくなるため、低周波数領域での減衰極を大きくすることができる。そして、ノイズ除去効果を良好にすることができる。
【0071】
さらに、グランド側導体パターン3a〜3eが2つの信号側導体パターン2b〜2f、2h〜2lに夫々挟まれ、偶数層のパターンと奇数層のパターンが左右対称となる概略コの字形状である。また、端子電極6、7と接続する信号コイルSCを左右対称となり、最終部品形状となったときに、端子電極6,7の方向性を持たない部品となり、実装時の方向合わせが不要になる。
【0072】
図5に、本発明のノイズフィルタ10と従来例のノイズフィルタ60の周波数−インピーダンス(Z)特性を示す。
【0073】
その結果、本発明のノイズフィルタ10においては、低周波数領域における減衰極を、従来例のノイズフィルタ60の減衰極に比較して、約200MHz程度低域側にシフトすることができ、しかも、その減衰極のインピーダンスを小さくすることができる。従って、低周波数領域におけるノイズ除去効果が改善されることがわかる。
【0074】
尚、上述の実施例では、平面視したとき、グランド側コイルGCを左右から挟持するように、2つの信号側コイルSC1、SC2が位置されている。しかし、左右のみならず、上限方向にも、信号コイルSCを構成する4つの信号コイルを配置しても構わない。
【0075】
【発明の効果】
以上のように、本発明の構成によれば、信号側コイルとグランド側コイルとで発生する磁束が、その他の隣接するコイルへ結合する度合いが増大し、その結果、インダクタンス成分を大きくすることになる。また、信号側コイルのインダクタンス値を大きくすることができる。これにより、ノイズフィルタとして安定した特性が実現可能となる。
【0076】
さらに、ノイズフィルタ全体から見ると、信号側コイル及びグランド側コイルが端子電極に対して対称となるため、特に、端子電極に対して方向性を持たない部品となり、実装時の方向合わせが不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のノイズフィルタの外観斜視図である。
【図2】 (a)〜(d)は、本発明のノイズフィルタに用いる各絶縁層において、導体パターンを示す平面図である。
【図3】 本発明のノイズフィルタの積層体の分解斜視図である。
【図4】 本発明のノイズフィルタLC回路T型分布定数の等価回路図である。
【図5】 本発明及び従来のノイズフィルタの特性図である。
【図6】 従来のノイズフィルタLC分布定数型の等価回路図である。
【図7】 従来のノイズフィルタの積層体分解斜視図である。
【符号の説明】
10 ノイズフィルタ
1 積層体本体
1a〜1g 絶縁層
2a、2m 信号側引き回し導体パターン
2b〜2f、2l〜2h 信号側導体パターン
2g 折り返し導体パターン
3a〜3e グランド側導体パターン
3f グランド側引き回し導体パターン
4a〜4l、5a〜5f ビアホール導体
6、7 信号側端子電極
8 グランド側端子電極
Claims (1)
- 複数の絶縁層から成る積層体の各層間に、信号側導体パターン及びグランド側導体パターンを配置するとともに、前記信号側導体パターンどうしを前記絶縁層の厚み方向に接続して螺旋形の信号側コイルを形成し、前記グランド側導体パターンどうしを絶縁層の厚み方向に接続して螺旋形状のグランド側コイルを形成してなる分布定数型のノイズフィルタにおいて、前記信号側導体パターンは、前記各層間の全てにおいて、同一層間でグランド側導体パターンを挟んで、複数に分割、配置されており、1つの前記層間の前記グランド側導体パターンの直線部分が、上下に隣り合う前記層間のうちのいずれかに配置された、分割された信号側導体パターンのうちのいずれか一方の直線部分と前記絶縁層を介して対向していることを特徴とするノイズフィルタ。
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