JP4599734B2 - 多結晶性半導体薄膜の形成方法、及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

多結晶性半導体薄膜の形成方法、及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基体上に多結晶性シリコンなどの多結晶性半導体薄膜の形成方法及びその装置、その多結晶性半導体薄膜を基体上に有する半導体装置の製造方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である例えばMOSTFT(Thin Film Transistor=薄膜絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)のソース、ドレイン及びチャンネル領域を多結晶シリコン膜で形成するに際し、プラズマCVD(CVD:Chemical Vapor Deposition=化学的気相成長法)や減圧CVD法等が用いられている。
【0003】
例えば特開平6−140325号によれば、プラズマCVD、スパッタリング法等により、ガラス基板上にアモルファスカーボン薄膜を形成し、プラズマ水素処理により、そのアモルファスカーボン薄膜の表面上に存在するカーボンクラスタを安定させ、かつその付近に存在するアモルファス構造のカーボンをわずかにエッチングする。その後に、プラズマCVD法にて水素含有アモルファスシリコン膜(a−Si:H膜)を2〜20μm堆積させる。最後に、ガラス基板の温度を室温から800℃まで8〜20秒間で昇温し、次いでハロゲンランプによる急速加熱を15〜500秒間行い、更に室温まで降温させる一連の工程を1サイクルとするアニ−リング処理を所定回数、例えば100回行い、a−Si:H膜から多結晶シリコン薄膜を形成する。これは、いわゆる高速ランプアニール法であり、カーボン超微粒子を核として多結晶シリコン膜を形成している。
【0004】
また、プラズマCVD法、減圧CVD法等により形成したアモルファス又は多結晶シリコンは、特開平7−131030号、特開平9−116156号、特公平7−118443号にみられるように、単に高温アニール又はエキシマレーザーアニール(ELA:Excimer Laser Anneal)処理することにより、多結晶シリコン膜のキャリア移動度の改善を図ってきたが、この方法では80〜120cm2/V・sec程度のキャリア移動度を得るのが限界であった。しかし、プラズマCVD法によるアモルファスシリコンのELAで得られた多結晶シリコンを用いるMOSTFTの電子移動度は、100cm2/V・sec前後であり、高精細化にも対応できるので、最近は駆動回路一体型の多結晶シリコンMOSTFTを用いたLCD(Liquid Crystal Display=液晶表示装置)が注目されている(特開平6−242433号参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した方法はいずれも、次に示す欠点を回避することができない。
【0006】
1)RFプラズマCVD法、又はRF/DC混合プラズマCVD法による原料ガスの熱分解反応のエネルギー不足で、アモルファスカーボン薄膜中のカーボン超微粒子(クラスタ)の形成が不安定となる。
2)RFプラズマ、又はRF/DC混合プラズマの水素処理は、その水素分子/原子/イオンのエネルギーが低く、アモルファス構造のカーボンのエッチング効果が低く、カーボンクラスタの形成が不安定となる。
3)高速ランプアニール法は、熱伝導率の高い基板を用いる場合には効果はあるが、熱伝導率の低いガラス基板等では室温までの冷却に時間がかかるので、生産性が悪い。
【0007】
また、エキシマレーザーを用いると、その出力の安定性や、生産性、大型化による装置価格の上昇、歩留/品質低下等の問題が山積しており、特に、1m×1mの大型ガラス基板になると、前記の問題が拡大して性能/品質向上とコストダウンが一層難しくなる。
【0008】
また、固相成長法による多結晶シリコンMOSTFTの製法では、600℃以上での十数時間のアニールと、約1000℃での熱酸化のゲートSiO2の形成が必要なために、半導体製造装置を採用せざるを得ない。このために、基板サイズは、ウエーハサイズ8〜12インチφが限界であり、また高耐熱性で高価な石英ガラスを採用しなければならず、コストダウンが難しく、EVFやデータ/AVプロジェクタに用途が限定されている。
【0009】
近時、ガラス基板のような絶縁性基板上に、多結晶シリコン膜、窒化シリコン膜等を低温で作製し得る優れた熱CVDである触媒CVD法が開発され(特公昭63−40314号、特公平8−250438号参照)、実用化の検討が推進されている。触媒CVD法においては、結晶化アニールなしで、30cm2/V・sec程度のキャリア移動度を得ているが、良質なMOSTFTデバイスを作製するにはまだ不十分である。そして、ガラス基板上に多結晶シリコン膜を形成すると、成膜条件次第では初期のアモルファスシリコンの遷移層(厚さ5〜10nm)が形成されやすいので、ボトムゲート型MOSTFTとした場合は所望のキャリア移動度は得にくい。一般に駆動回路一体型の多結晶シリコンMOSTFTを用いたLCDは、ボトムゲート型MOSTFTが歩留及び生産性の面で製造しやすいが、この問題がネックとなってくる。
【0010】
本発明の目的は、高結晶化率で高品質の多結晶性シリコン等の多結晶性半導体薄膜を容易かつ低コストに、しかも大面積に形成可能な方法と、この方法を実施する装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、こうした多結晶性半導体薄膜を構成部分として有するMOSTFT等の半導体装置の製造方法と、この方法を実施する装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、基体上に多結晶性半導体薄膜を形成するに際し、或いは基体上に多結晶性半導体薄膜を有する半導体装置を製造するに際し、
前記基体上にアモルファスカーボン又は微結晶カーボン又はこれらの混合物からなるカーボン薄膜を形成する工程と、
水素又は水素含有ガスを加熱された触媒体に接触させ、これによって生成した活性種をグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用下で前記カーボン薄膜に作用させてアニールを行い、ダイヤモンド構造のカーボン超微粒子を形成する工程と、
このカーボン超微粒子上に半導体材料薄膜を気相成長させる工程と
を経て前記多結晶性半導体薄膜を得る、多結晶性半導体薄膜の形成方法、又は半導体装置の製造方法に係るものである。
【0013】
また、本発明は、本発明の方法を実施する装置として、
アモルファスカーボン又は微結晶カーボン又はこれらの混合物からなるカーボン薄膜の形成手段と、
水素又は水素含有ガス供給手段と、
前記多結晶性半導体薄膜となる半導体材料薄膜の原料ガスの供給手段と、
触媒体と、
触媒体加熱手段と、
基体加熱手段と、
グロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界を印加する電界又は/及び磁界印加手段と
を有する、多結晶性半導体薄膜の形成装置、又は半導体装置の製造装置を提供するものである。
【0014】
本発明によれば、基体上に多結晶性半導体薄膜を形成するに際し、前記基体上に微結晶カーボン含有アモルファスカーボン(以後、アモルファスカーボンと称する。)又はアモルファスカーボン含有微結晶カーボン(以後、微結晶カーボンと称する。)又はこれらの混合物からなるカーボン薄膜を形成し、水素又は水素含有ガスを加熱された触媒体に接触させ、これによって生成した活性種をグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用下で前記カーボン薄膜に作用させてアニールを行い、ダイヤモンド構造のカーボン超微粒子を形成し、このカーボン超微粒子をシード(結晶成長核)に前記半導体材料薄膜を気相成長させているので、次の(1)〜(4)に示すような顕著な作用効果が得られる。
【0015】
(1)加熱された触媒体に水素又は水素含有ガスを接触させて生成した水素系活性種(高温の水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン等の水素系活性種)をグロー放電開始電圧以下(即ち、パッシェンの法則によるプラズマ発生電圧以下)の電界又は/及び磁界の作用下で作用させるアニール処理(以下、これをバイアス触媒AHA(Atomic Hydrogen Anneal)処理と称する。)により、前記カーボン薄膜に対し吹き付け等で作用させているので、高温の加熱触媒体の輻射熱による加熱も加わって、次の顕著な効果を示す。
【0016】
このバイアス触媒AHA処理は、10〜50Paの水素又は水素含有ガス圧下で、水素を高温の触媒体(融点未満の800〜2000℃、例えばタングステンでは1500〜2000℃)に接触させて、大量の高温の水素系活性種(水素系分子/水素系原子/活性化水素イオン等)を生成し、これを基板上に形成したアモルファスカーボン膜又は微結晶カーボン膜等に吹き付けると(但し、基板温度は特に200〜500℃)、大量の高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン等)が有する熱エネルギーに加えて上記電界による加速電界又は/及び磁界での十分な指向性運動エネルギーによりその膜等に移動して、その膜等の温度を局部的に上昇させ、アモルファスカーボン膜や微結晶カーボン膜等は、アモルファス成分がエッチング除去されると共に多結晶化して、アモルファスカーボン膜又は微結晶カーボン膜等の表面又は基板(例えばガラス基板)上に、ダイヤモンド構造を有するカーボン超微粒子(クラスタ)を確実に安定して点在させることができ、これを次の多結晶性シリコン等の結晶成長の核(シード)として有効に働かせることができる。この時、特にゲートチャンネル領域等には島状に点在し、電気抵抗が無視しうる程度に小さいことが必要である。
【0017】
(2)こうしてバイアス触媒AHA処理されて得られるダイヤモンド構造のカーボン超微粒子をシードとして、この上に半導体材料薄膜が多結晶化され易い状態で(多結晶性半導体薄膜として)成長し易くなり、特に次のバイアス触媒AHA処理及び気相成長により、上記多結晶性半導体薄膜上に気相成長されたシリコン膜等はこの多結晶性半導体薄膜をシードとして結晶化が促進されるので、目的とする高結晶化率、高品質の多結晶性半導体薄膜を得ることができる。即ち、バイアス触媒AHA処理により、例えば触媒CVDで成膜されたシリコン膜にアモルファス成分が存在していると、これがエッチング除去されて、その上に気相成長するシリコン膜は下地の多結晶性シリコン薄膜をシード(結晶成長核)にしてより多結晶性シリコン膜化し易く、更には、同様のバイアス触媒AHA処理と気相成長とを繰り返すと、大量の高温の水素系活性種等が有する熱エネルギーが加速電界又は/及び磁界による十分な指向性運動エネルギーによりその膜等に移動して、その膜等の温度を局部的に上昇させ、アモルファスシリコンや微結晶シリコンは多結晶化し、多結晶性シリコンは高結晶化して、高結晶化率、大粒径の多結晶性シリコン薄膜を形成することができる。この結果、トップゲート型のみならず、ボトムゲート型、デュアルゲート型MOSTFTでも、高いキャリア(電子/正孔)移動度の大粒径の多結晶性シリコン薄膜等が得られるために、この高性能の多結晶性シリコン等の半導体を使用した高速、高電流密度の半導体装置、電気光学装置、更には高効率の太陽電池等の製造が可能となる。
【0018】
(3)このバイアス触媒AHA処理は、プラズマの発生なしに行えるので、プラズマによるダメージがなく、またプラズマ処理に比べ、シンプルで安価な装置を実現できる。
【0019】
(4)基体温度を低温化しても上記活性種のエネルギーが大きいために、目的とするダイヤモンド構造のカーボン超微粒子が確実に安定して得られることから、基体温度を特に200〜400℃と低温化しても、多結晶性半導体薄膜がカーボン超微粒子をシードに効率良く成長し、従って大型で安価な低歪点の絶縁基板(ガラス基板、耐熱性樹脂基板等)を使用でき、この点でもコストダウンが可能となる。
【0020】
なお、本発明において、上記のバイアス触媒AHA処理で形成されるダイヤモンド構造のカーボン超微粒子は、粒径10nm以下で1〜100個/μm2の面積比率で点在していることが望ましい。また、上記の多結晶性半導体薄膜は、アモルファス成分が除去された或いは微量存在してよい大粒径(グレインサイズでは通常、数100nm以上)の多結晶をベースとしたものであり、微結晶も含有する構造からなる。なお、この多結晶性半導体薄膜となる上記の半導体材料薄膜は、多結晶以外にも、低級結晶性半導体薄膜であって、アモルファス成分を含有する微結晶をベースとした構造、いわゆる微結晶半導体薄膜、又は微結晶を含有するアモルファス(非晶質)をベースとした構造、いわゆるアモルファス半導体薄膜を含んでいても、これは、上記のカーボン超微粒子がシードとなって多結晶化されることになる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の方法及びその装置においては、前記カーボン薄膜を気相成長法(触媒CVD法、プラズマCVD法、減圧CVD法、常圧CVD法、光CVD法、高密度プラズマCVD法(ECRプラズマCVD等)、高密度触媒CVD法(高密度プラズマCVDと触媒CVDとを組み合せたもの)等:以下、同様)又は物理的成膜法(スパッタリング法等:以下、同様)によって、前記半導体材料薄膜を気相成長法によって形成するのがよい。この場合、望ましくは融点未満の温度(例えば1600〜1800℃)に加熱された前記触媒体に、前記原料ガス及び水素又は水素含有ガス(水素ガス+不活性ガス)の少なくとも一部を接触させて触媒的に分解させ、これによって生成したラジカル、イオン等の反応種を必要あればグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用下で加熱された前記基体上に堆積させて前記カーボン薄膜及び/又は前記半導体材料薄膜を触媒CVD(上記電界又は/及び磁界の作用下の場合はバイアス触媒CVD)により気相成長させるのがよい。また、この気相成長後に、前記原料ガスの供給を停止し、望ましくは、融点未満の温度に加熱された触媒体(これは前記触媒体と同一物であるのがよいが、別のものであってもよい。)に前記水素又は水素含有ガスの少なくとも一部を接触させ、これによって生成した高温の水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン等の水素系活性種を前記カーボン薄膜又は前記半導体材料薄膜に作用させてバイアス触媒AHA処理による前記アニールを行うのがよい。
【0022】
この場合、前記気相成長時の水素又は水素含有ガス供給量よりも前記アニール時の水素又は水素含有ガス供給量を多くする。例えば、気相成長時に用いる水素系キャリアガスは水素又は水素と不活性ガス(熱伝導性が良好であって反応性向上に寄与するアルゴン、ヘリウム、キセノン、クリプトン、ラドン等)との混合ガスであり、混合ガスの場合は水素含有比率は70〜80モル%以上とすることによって触媒体の酸化劣化を防止できる。また、バイアス触媒AHA処理時に用いる水素又は水素含有ガスは、気相成長時の水素系キャリアガスと同様であってよいが、例えばガス流量300〜1000SCCM(Standard cc per minute)、ガス圧10〜50Paと大きくし(触媒CVDのときのガス圧は0.1〜数Pa)、ガスによる熱伝導の増大と水素系活性種発生量の増大を図るのがよい。
【0023】
また、前記半導体材料薄膜の気相成長後に、水素又は水素含有ガスを加熱された触媒体に接触させ、これによって生成した高温の水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン等の水素系活性種をグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用下で前記半導体材料薄膜に作用させてアニールを行い、必要あれば、前記半導体材料薄膜と同様の半導体材料薄膜の気相成長と前記アニールとを繰り返すのが望ましい。このためには、前記原料ガス供給手段と前記水素又は水素含有ガス供給手段とを制御する制御手段を有するのがよい。
【0024】
即ち、バイアス触媒AHA処理されて得られる多結晶性半導体薄膜上に更に半導体材料薄膜を気相成長させる工程とアニール工程とを目的とする膜厚となるまで繰り返す、いわば2ステップ又はそれ以上のマルチバイアス触媒AHA処理により、この半導体材料薄膜は既にバイアス触媒AHA処理で多結晶化された下地膜上に、これをシードとして多結晶化され易い状態で成長し易くなり、目的とする高結晶化率、高品質の多結晶性半導体膜を所定の膜厚で得ることができる。即ち、触媒CVD又はバイアス触媒CVDとバイアス触媒AHA処理を繰り返すマルチバイアス触媒AHA処理により、例えば触媒CVDでカーボン超微粒子層上に成膜された多結晶性シリコンをバイアス触媒AHA処理でシード化し、この上に触媒CVD又はバイアス触媒CVDで半導体材料薄膜を気相成長させ、更にバイアス触媒AHA処理することにより、高結晶化率、大粒径の多結晶性シリコン膜等を形成することができる。
【0025】
具体的には、シリコン膜においては、大量の高温の水素系活性種などが有する熱エネルギーが上記電界による加速電界での十分な指向性運動エネルギーで移動して、その膜の温度を局部的に上昇させ、アモルファスシリコン等は多結晶化し、多結晶性シリコンは高結晶化して大粒径の多結晶性シリコン膜が形成され易くなると共に、この上に気相成長させるシリコン膜はより高結晶化され、キャリア移動度の向上が図れる。
【0026】
しかも、多結晶性シリコン膜上又は膜内又は粒界にシリコン酸化物が存在したとき、水素系活性種等がこれと反応してSiOを生成して蒸発するので、多結晶性シリコン膜上又は膜内のシリコン酸化物を減少/除去させることができ、キャリア移動度の向上を図ることができる。
【0027】
また、このバイアス触媒CVD処理の場合、触媒体の種類及び温度、電界又は/及び磁界の種類及び印加量、基板加熱温度、気相成膜条件、原料ガスの種類、添加するn又はp型不純物濃度等により、広範囲のn又はp型不純物濃度の多結晶性シリコン膜が容易に得られ、かつ、バイアス触媒AHA処理により大きな粒径の多結晶性シリコン膜を形成できるので、高キャリア移動度でVth(しきい値)調整が容易であり、低抵抗での高速動作が可能となる。
【0028】
なお、微結晶性シリコンをプラズマCVDで成膜し、これをバイアス触媒AHA処理する場合、プラズマCVDでの微結晶性シリコン膜中に10〜20%含有する水素をバイアス触媒AHA処理で減少/除去させ、大きな粒径の多結晶性シリコン膜を形成できるので、大きなキャリア移動度の多結晶性シリコン膜の形成が可能となる。更に、基板加熱温度、気相成膜条件、原料ガスの種類、バイアス触媒AHA処理条件、添加するn又はp型不純物濃度等により、広範囲のn又はp型不純物濃度の多結晶性シリコン膜が容易に得られるので、高キャリア移動度でVth調整が容易で低抵抗での高速動作が可能となる。
【0029】
また、スパッタリングで成膜後にバイアス触媒AHA処理する場合、シリコンターゲットの比抵抗(添加するn又はp型不純物濃度)、スパッタリング成膜条件、基板加熱温度、バイアス触媒AHA処理条件等により、広範囲のn又はp型不純物濃度の多結晶性シリコン膜が容易に得られるので、高キャリア移動度でVth調整が容易であり、低抵抗での高速動作が可能となる。
【0030】
CVDを上記バイアス電界又は/及び磁界の作用下でのバイアス触媒CVDで行うと(更には、バイアス触媒AHA処理とバイアス触媒CVDとを繰り返すと)、触媒体の触媒作用とその熱エネルギーに加えて上記電圧による加速電界又は/及び磁界を与えるため、運動エネルギーが大きくなって基体上に効率良く導けると共に、基体上での泳動及び生成過程の膜中での拡散が十分となる。従って、従来の触媒CVD法に比べて、触媒体で生成された反応種の運動エネルギーを電界又は/及び磁界で独立してコントロールできるため、上記触媒体により原料ガスが分解されて生成する反応種(堆積種又はその前駆体及びラジカルイオン)は、基体上での泳動及び生成過程の膜中での拡散が十分となるので、生成膜の基体との密着性向上、生成膜密度の向上、生成膜均一性又は平滑性の向上、ビアホールなどへの埋め込み性とステップカバレージの向上、基体温度の更なる低温化、生成膜のストレスコントロール等が可能となり、かつ反応ガスの利用効率が高く、生成速度を早め、コストダウンを図れる。
【0031】
触媒CVD、バイアス触媒CVD、触媒AHA処理、バイアス触媒AHA処理のいずれも、具体的には、前記触媒体を800〜2000℃の範囲であってその融点未満の温度に加熱し(例えば触媒体に通電してそれ自体の抵抗加熱によって加熱し)、この加熱された触媒体により前記原料ガス及び/又は前記水素又は水素含有ガス(キャリアガス)の少なくとも一部を触媒反応又は熱分解反応させて生成した前記反応種又は水素系活性種を、200〜800℃に加熱した基板上に薄膜として堆積させるか、或いはこの薄膜をアニールすることができる。このような触媒体温度や下記の触媒体材質は触媒CVD及びバイアス触媒CVD、触媒AHA及びバイアス触媒AHA処理のいずれも同様であってよい。
【0032】
ここで、触媒体の加熱温度が800℃未満であると、触媒反応又は熱分解反応が不十分となって反応種の堆積速度や水素系活性種の熱エネルギーが低下し易く、また2000℃を超えると触媒体の構成材料が堆積膜中に混入して膜の電気的特性を阻害し、膜質低下を生じ、また、触媒体の融点以上の加熱は、その形態安定性が失われるので、回避するのがよい。触媒体の加熱温度は、その構成材料の融点未満であって1100℃〜1800℃であるのが好ましい。
【0033】
触媒体は、タングステン、トリア含有タングステン、モリブデン、白金、パラジウム、バナジウム、シリコン、アルミナ、金属を付着したセラミックス、及び炭化ケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種の材料によって形成することができる。
【0034】
そして、この触媒体及びこれを支持する支持体の純度を99.99wt%(4N)以上、好ましくは99.999wt%(5N)又はそれ以上とすることによって、形成される多結晶性半導体薄膜の重金属汚染を低減することができる。
【0035】
また、基板温度は、200〜800℃が好ましく、より好ましくは300〜400℃とすれば、効率的で高品質の成膜を行なえる。基板温度が高いと、安価なほうけい酸ガラス、アルミノけい酸ガラスが使用できなくなり、また熱の影響によって不純物のドーピング濃度分布が変化し易くなる。
【0036】
前記バイアス触媒AHA処理(又はバイアス触媒CVD)における前記電界として、グロー放電開始電圧以下の直流電圧(即ち、パッシェンの法則により決まるプラズマ発生電圧以下、例えば1kV以下、数10V以上)を印加し、前記水素系活性種等を前記基体の側へ指向させることが望ましい。
【0037】
そして、前記電界として、グロー放電開始電圧以下であって直流電圧(DC)に交流電圧(高周波電圧及び/又は低周波電圧)を重畳させた電圧(即ち、パッシェンの法則により決まるプラズマ発生電圧以下、例えば1kV以下、数10V以上)を印加すると、直流電圧に重畳させた交流電圧により微妙な電界変化での運動エネルギーを水素系活性種(又は反応種)等に与えることができるため、上記した作用効果に加えて、種々の形状の膜を効果的に十二分にアニールすることができ、或いは複雑な形状を有する基体表面(凹凸段差や高アスペクト比のビアホール等)にステップカバレージが良く、均一で密着性及び密度の高い膜を形成できる。これと同様の作用効果は、前記電界を形成する電圧(但し、その絶対値はグロー放電開始電圧以下である。)として、交流電圧(高周波電圧及び/又は低周波電圧)を印加するときにも得られる。なお、上記において交流電圧とは、高周波電圧のみ、又は低周波電圧のみ、又は低周波電圧に高周波電圧を重畳させた電圧を意味する。
【0038】
上記の場合、前記交流電圧を高周波電圧(RF)及び/又は低周波電圧(AC)としてよいが、高周波電圧の周波数を1〜100MHz、低周波電圧の周波数を1MHz未満とするのがよい。
【0039】
電界印加は、電極に直流の正電圧、サセプタ(基板)に直流の負(又はアース)電圧を印加する方法、又は、電極にアース電位、サセプタ(基板)に負電圧又は低周波(又は高周波)電圧を印加する方法のいずれでもよい。これは、装置構造、電源の種類、バイアス効果等に応じて決めればよい。
【0040】
そして、前記基体又は前記サセプタと前記電界印加用の電極との間に前記触媒体を設置することができる。この場合、前記水素又は水素含有ガス及び原料ガスを導出するガス供給口を前記電極に形成するのがよい。
【0041】
また、前記基体又は前記サセプタと前記ガス供給手段との間に前記触媒体と前記電界印加用の電極とを設置してよい。この電極は高耐熱性材料、例えば触媒体と同じか、またはそれ以上の融点をもつ材料で形成されるのが望ましい(以下、同様)。
【0042】
前記触媒体又は前記電界印加用の電極はコイル状、ワイヤー状、メッシュ状又は多孔板状に形成してよく、またガス流に沿って複数個又は複数枚配設してよい。これによってガス流を効果的に形成しつつ、触媒体とガスとの接触面積を増大させ、触媒反応を十分に生ぜしめることができる。ガス流に沿って複数個又は複数枚配設する場合は、互いに同じ材質又は互いに異なる材質の触媒体又は電極としてもよい。又、複数個又は複数枚配設した触媒体のそれぞれに互いに異なる電界、例えばDCとAC/DC、DCとRF/DC、AC/DCとRF/DCを印加して、独立してコントロールしてもよい。
【0043】
上記のバイアス触媒AHA処理は、以下の(1)〜(3)の方法で行うことができる。
(1)電界印加
グロー放電開始電圧以下の適当な電界の作用下で触媒AHA処理、いわゆる電界バイアス触媒AHA処理を行うと、水素ガス又は水素系ガス(水素+不活性ガス)を触媒体の触媒反応又は接触分解反応させて発生させた水素系活性種が、電界と相互作用して一定の方向に向き、指向性の運動エネルギーが付与されて基板上の微粒子層等に作用する。
【0044】
(2)磁界印加
適当な磁界の作用下で触媒AHA処理、いわゆる磁界バイアス触媒AHA処理を行うと、水素ガス又は水素系ガス(水素+不活性ガス)を触媒体の触媒反応又は接触分解反応させて発生させた水素系活性種が磁界と相互作用して一定の方向に向き、指向性の運動エネルギーが付与されて、基板上の微粒子層等に作用する。
【0045】
(3)電界と磁界印加
グロー放電開始電圧以下の適当な電界と、適当な磁界とを同時に印加して触媒AHA処理、いわゆる電界/磁界バイアス触媒AHA処理を行うと、水素ガス又は水素系ガス(水素+不活性ガス)を触媒体の触媒反応又は接触分解反応させて発生させた水素系活性種が電界と磁界の相互作用により更に一定の方向に向き、指向性の運動エネルギーが付与されて基板上の微粒子層等に作用する。
【0046】
以上のようなバイアス効果により、大量の高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)等によりカーボン薄膜や低級結晶性半導体薄膜中のアモルファス成分が効率良く選択的にエッチングされて、例えばアモルファスシリコン含有微結晶シリコンや微結晶シリコン含有アモルファスシリコンはアモルファス成分がエッチングされて多結晶化し、アモルファスシリコン及び微結晶シリコン含有多結晶シリコンは高結晶化して、多結晶性シリコン膜が効率良く形成される。
【0047】
また、上記のバイアス触媒CVD法は、以下の(1)〜(3)の方法で行うことができる。
(1)電界印加
グロー放電開始電圧以下の電界の作用下で触媒CVD、いわゆる電界バイアス触媒CVDを行うと、触媒体の触媒反応又は接触分解反応により発生させた堆積種、例えばシリコン原子の電子スピンが電界と相互作用して一定の方向に向き、この状態で基板上に堆積するシリコンの結晶方位が揃うことになる。
【0048】
(2)磁界印加
適当な磁界の作用下で触媒CVD、いわゆる磁界バイアス触媒CVDを行うと、触媒体の触媒反応又は接触分解反応により発生させた堆積種、例えばシリコン原子の電子スピンが磁界と相互作用して一定の方向に向き、この状態で基板上に堆積するシリコンの結晶方位が揃うことになる。
【0049】
(3)電界と磁界印加
グロー放電開始電圧以下の適当な電界と、適当な磁界とを同時に印加して触媒CVD、いわゆる電界/磁界バイアス触媒CVDを行うと、触媒体の触媒反応又は接触分解反応により発生させた堆積種、例えばシリコン原子の電子スピンが電界と磁界の相互作用により更に一定の方向に向き、この状態で基板上に堆積するシリコンの結晶方位が揃うことになる。
【0050】
以上のようなバイアス効果により、
(1)結晶化された膜の結晶方位がほぼ揃うために、粒界の持つ電子ポテンシャルバリアが低くなり、キャリア移動度が大きくなる。
(2)結晶粒が揃うことにより、多結晶性シリコン薄膜の表面の凹凸がなくなって薄膜表面が平坦化されるので、これに接して形成されるゲート絶縁膜等との間の界面状態が良好となり、キャリア移動度が改善され、耐圧が向上してTFT特性が改善される。
という効果が得られる。
【0051】
通常の熱CVD法で例えば多結晶性シリコン膜を形成する場合には、基板温度を約600〜900℃とする必要があるが、これを触媒CVD(又はバイアス触媒CVD)で成膜する場合には、プラズマや光励起を必要とせずに、上記のような低温での熱CVDが可能となるので有利である。そして、触媒CVD(又はバイアス触媒CVD)時の基板温度が上記したように低いため、基板、例えばガラス基板として、歪点が470〜670℃と低いほうけい酸ガラスやアルミノけい酸ガラス等のガラスを用いることができる。これは、安価で、薄板化が容易であり、大型化(1m×1m以上)が可能であり、また長尺ロール化されたガラス板を作製できる。例えば、長尺ロール化ガラス板上に、上記手法を用いて、薄膜を連続して又は非連続に作製することができる。
【0052】
本発明による触媒CVDによる気相成長に使用する原料ガスは、カーボン薄膜の場合は、メタン、エタン、プロパン等の炭化水素又はその誘導体が挙げられる。半導体材料薄膜の場合は、水素化ケイ素又はその誘導体、水素化ケイ素又はその誘導体と水素、ゲルマニウム又はスズを含有するガスとの混合物、水素化ケイ素又はその誘導体と周期表第III族又は第V族元素からなる不純物を含有するガスとの混合物、水素化ケイ素又はその誘導体と水素、ゲルマニウム又はスズを含有するガスと周期表第III族又は第V族元素からなる不純物を含有するガスとの混合物等が挙げられる。
【0053】
上記の如き原料ガスを使用することによって、アモルファス又は微結晶カーボン薄膜(粒径は10nm以下)を形成することができる。また、多結晶性半導体薄膜として、多結晶性シリコン膜、多結晶性ゲルマニウム膜又は多結晶性シリコンゲルマニウム膜を形成することができる。
【0054】
そして、半導体材料薄膜の成長時又は成長後に、錫、ゲルマニウム、鉛等のIV族元素の少なくとも1種を合計が適量(1016atoms/cc以上、例えば1018〜1020atoms/cc)含有させる(更にこの状態で触媒AHA処理による前記アニール工程を行う)と、多結晶性半導体薄膜の結晶粒界(グレインバウンダリ)に存在する不整を低減し、その膜ストレスを低減して高キャリア移動度、高品質の多結晶性半導体が得られ易くなる。これらのIV族元素は、シリコン膜中で電子又は正孔を発生させないので、TFT特性を損わず、ゲッタリングする必要がない。このIV族元素は、原料ガス中にガス成分として混合したり、或いはイオン注入又はイオンドーピングにより、半導体材料薄膜中に含有させることができる。また、本発明により形成した多結晶性半導体膜中の酸素、窒素、炭素濃度はそれぞれ1×1019atoms/cc以下、好ましくは5×1018atoms/cc以下がよく、水素濃度は0.01原子%以上が好ましい。又、ナトリウム(Na)濃度はSIMS最低濃度領域で1×1018atoms/cc以下が好ましい。
【0055】
なお、前記原料ガスを供給する前に、前記触媒体を水素系ガス雰囲気中で加熱処理することが望ましい。これは、原料ガスの供給前に触媒体を加熱すると、触媒体の構成材料が放出され、これが成膜された膜中に混入することがあるが、触媒体を水素系ガス雰囲気中で加熱することによってそのような混入を解消することができる。従って、成膜室内を水素系ガスで充たした状態で触媒体を加熱し、次いで水素系ガスをキャリアガスとして原料ガス(いわゆる反応ガス)を供給することがよい。
【0056】
前記バイアス触媒AHA処理は、前記多結晶性半導体薄膜中のアモルファス成分を水素系活性種等の作用により選択的にエッチング除去する作用があり、高結晶化率、大粒径(特にグレインサイズが数100nm以上)の多結晶をベースとする薄膜を形成し、かつ膜中のキャリア不純物を活性化する処理であるが、その際、触媒体温度は1600〜1800℃、基板−触媒体間の距離は20〜50mmとし、処理時間を短縮する等、処理効果向上のため、任意に変更してもよい。
【0057】
本発明の処理で得られた前記多結晶性半導体薄膜によって、MOSTFTのチャンネル、ソース及びドレイン領域、又は配線、抵抗、容量又は電子放出体等を形成することができる。この場合、前記チャンネル、ソース及びドレイン領域の形成後に、これらの領域に対し、このバイアス触媒AHA処理又は触媒AHA処理を施すと、膜中のn型又はp型不純物の活性化を行える。また、この触媒AHA処理(又はバイアス触媒AHA処理)により高結晶化率、大粒径の多結晶性シリコン膜化し、これに連続して触媒CVDによりゲート絶縁膜(SiO2、SiOxNy、SiO2/SiN等)を形成することができる。Sn、Ge、Pb等のIV族元素含有の低級結晶性半導体薄膜に、ゲートチャンネル、ソース及びドレイン領域の形成後に、バイアス触媒AHA処理して高結晶化率、大粒径の多結晶性シリコン膜化し、これに連続して触媒CVDによりゲート絶縁膜(SiO2、SiOxNy、SiO2/SiN等)を形成することもできる。
【0058】
また、多結晶性シリコン等の前記多結晶性半導体薄膜中への外部からの酸素侵入を低減するために、多結晶性シリコン膜等内においてゲート絶縁膜側から外部に向って結晶粒径を小さくして高密度化するか、或いはアモルファスシリコン等のアモルファス半導体膜又は微粒径層とアモルファスシリコン等のアモルファス半導体膜で前記多結晶性半導体薄膜を被覆するのがよい。この場合、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、微粒径層又はアモルファス半導体膜を除去し、大粒径層(前記多結晶性半導体薄膜)とコンタクトしたソース、ドレイン電極を形成することができる。
【0059】
本発明は、シリコン半導体装置、シリコン半導体集積回路装置、シリコン−ゲルマニウム半導体装置、シリコン−ゲルマニウム半導体集積回路装置、化合物半導体装置、化合物半導体集積回路装置、炭化ケイ素半導体装置、炭化ケイ素半導体集積回路装置、液晶表示装置、有機又は無機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置、フィールドエミッションディスプレイ(FED)装置、発光ポリマー表示装置、発光ダイオード表示装置、CCDエリア/リニアセンサ装置、MOSセンサ装置、太陽電池装置用の薄膜を形成するのに好適である。
【0060】
この場合、内部回路及び周辺回路を有する半導体装置、固体撮像装置、電気光学装置等の製造に際し、これらの少なくとも一部を構成するMOSTFTのチャンネル、ソース及びドレイン領域を前記多結晶性半導体薄膜によって形成してよく、また周辺駆動回路一体型の構成とすることもできる。
【0061】
また、各色用の有機又は無機エレクトロルミネセンス層の下層にそれぞれ、前記MOSTFTのドレイン又はソースと接続された陰極又は陽極を有するEL素子構造とするのがよい。
【0062】
この場合、前記MOSTFT及びダイオード等の能動素子上も前記陰極が覆うようにすれば、陽極が上部にある構造では発光面積が増大すると共に、陰極の遮光作用で発光光が前記能動素子に入射してリーク電流を発生させることを防止できる。また、前記各色用の有機又は無機EL層の各層上及び各層間の全面に前記陰極又は陽極が被着されるようにすれば、全面が陰極又は陽極で覆われることにより、湿気に弱い有機EL層の劣化や電極の酸化を防止して、長寿命、高品質、高信頼性が可能となり、また陰極で覆われると放熱効果が高まるので、発熱による薄膜の構造変化(融解あるいは再結晶化)が低減し、長寿命、高品質、高信頼性が可能となり、更にこれにより、高精度、高品質のフルカラーの有機EL層を生産性良く形成できるので、コストダウンが可能となる。
【0063】
また、前記各色用の前記有機又は無機EL層間にクロム、二酸化クロム等のブラックマスク層を形成すると、各色間又は画素間での光漏れを防ぎ、コントラストが向上する。
【0064】
本発明をフィールドエミッションディスプレイ装置に適用するときは、そのエミッタ(電界放出カソード)を、前記多結晶性半導体薄膜を介して前記MOSTFTのドレインに接続すると共に前記多結晶性半導体薄膜上に成長されたn型多結晶性半導体膜又は多結晶性ダイヤモンド膜によって形成するのがよい。
【0065】
この場合、前記MOSTFT、ダイオード等の能動素子上にアース電位の金属系遮蔽膜(これは、前記FED装置のゲート引き出し電極と同一材料で同一工程により形成すると、工程簡略化等の点で有利である。)を形成すると、気密容器内にあるガスがエミッタから放出された電子により正イオン化されて絶縁層上にチャージアップし、この正電荷が絶縁層下にある能動素子に不要な反転層を形成したり、この反転層を介して余分な電流が流れるために生じるエミッタ電流の暴走を防止することができる。また、エミッタから放出された電子の衝突により蛍光体が発光する際、この光によりTFTのゲートチャンネル内に電子、正孔が発生してリーク電流が生じることも防止できる。
【0066】
次に、本発明を好ましい実施の形態について更に詳細に説明する。
【0067】
第1の実施の形態
図1〜図12について、本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0068】
本実施の形態は、本発明をトップゲート型の多結晶性シリコンCMOS(Complementary MOS)TFTに適用したものである。
【0069】
<触媒CVD法、バイアス触媒AHA処理とその装置>
まず、本実施の形態に用いるバイアス触媒CVD法(又は触媒CVD法)及びバイアス触媒AHA処理について説明する。触媒CVD法においては、水素系キャリアガスとシランガス等の原料ガスとからなる反応ガスを加熱されたタングステン等の触媒体に接触させ、これによって生成したラジカルな堆積種又はその前駆体及び活性化水素イオン等の水素系活性種に高いエネルギーを与え(バイアス触媒CVD法では、グロー放電開始電圧以下の電界の作用で指向性の運動エネルギーを与え)、基板上にアモルファスシリコン含有微結晶シリコン等の低級結晶性半導体薄膜やアモルファス又は微結晶カーボン薄膜を気相成長させる。そして、この成膜後に原料ガスの供給を停止し、水素系キャリアガスのみを供給することによって、上記薄膜のバイアス触媒AHA処理を行う(必要に応じて、バイアス触媒AHA処理と触媒CVDとを繰り返す)。つまり、高温の水素分子、水素原子、活性化水素イオン等の水素系活性種によりアモルファス成分のシリコンを還元エッチングし、所定膜厚の高結晶化率、大粒径の多結晶性シリコン等の多結晶性半導体薄膜を得るか、或いはダイヤモンド構造のカーボン超微粒子を形成し、或いはこのカーボン超微粒子をシード(結晶成長核)にして多結晶性シリコン等を大粒径に成長させる。これらのバイアス触媒AHA処理と触媒CVDとを繰り返して、より大粒径で所定膜厚の多結晶性シリコン等の多結晶性半導体薄膜を得る。
【0070】
このバイアス触媒AHA処理、バイアス触媒CVDにおいては、基板と対向電極との間にグロー放電開始電圧以下の直流電圧(パッシェンの法則で決まる直流電圧、例えば、1kV以下の電圧)を印加し、前記水素系活性種、又は前記ラジカルな堆積種又はその前駆体及びラジカル水素イオンを基板の側へ指向させる。以下、本実施の形態によるAHA処理、CVD法をDCバイアス触媒AHA処理、DCバイアス触媒CVD法と称するが、交流バイアス(RF)又は交流と直流の重畳バイアス(RF/DC)による場合も同様である。
【0071】
このDCバイアス触媒AHA処理又はCVD法は、図5〜図7に示す如き装置を用いて実施される。
【0072】
この装置によれば、水素系キャリアガスと水素化ケイ素(例えばモノシラン)等の原料ガス40(及び必要に応じてB26やPH3などのドーピングガスも含む。)からなるガスは、供給導管41からシャワーヘッド42の供給口(図示せず)を通して成膜又はアニール用のチャンバ44へ導入される。チャンバ44の内部には、ガラス等の基板1を支持するためのサセプタ45と、耐熱性の良い(望ましくは触媒体46と同じか或いはそれ以上の融点を有する材質の)シャワーヘッド42と、例えばコイル状のタングステン等の触媒体46と、更には開閉可能なシャッター47とがそれぞれ配されている。なお、サセプタ45とチャンバ44との間には磁気シール52が施され、また、チャンバ44は前工程を行なう前室53に後続され、ターボ分子ポンプ等でバルブ55を介して排気される。
【0073】
そして、基板1はサセプタ45内のヒーター線51等の加熱手段で加熱され、また触媒体46は例えば抵抗線として融点以下(特に800〜2000℃、タングステンの場合は約1600〜1800℃)に加熱されて活性化される。触媒体46の両端子は直流又は交流の触媒体電源48に接続され、この電源からの通電により所定温度に加熱される。また、シャワーヘッド42は加速電極として、導管41を介して可変の直流電源(1kV以下、例えば500V)49の正極側に接続され、負極側のサセプタ45(従って、基板1)との間に1kV以下の直流バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0074】
この方法を実施するには、図5の状態で、チャンバ44内の真空度を1.33×10-4〜1.33×10-6Paとし、例えば水素系キャリアガス100〜200SCCMを供給して、触媒体を所定温度に加熱して活性化した後に、炭化水素(例えばメタン)ガス10〜20SCCM又は水素化ケイ素(例えばモノシラン)ガス1〜20SCCM(及び必要に応じてB26や、PH3等のドーピングガスも適量含む。)からなる原料ガス40(ガス圧0.133〜13.3Pa、例えば1.33Pa)、又は水素系キャリアガスのみ(300〜1000SCCM、ガス圧10〜50Pa)を供給導管41からシャワーヘッド42の供給口43を通して導入する。ここで、水素系キャリアガスは、水素、水素+アルゴン、水素+ヘリウム、水素+ネオン、水素+キセノン、水素+クリプトン等の、水素に不活性ガスを適量混合させたガスであれば、いずれでもよい(以下、同様)。尚、原料ガスの種類によっては、必ずしも水素系キャリアガスは必要ではない。
【0075】
そして、図6のようにシャッター47を開ける。原料ガス40又は水素系キャリアガスの少なくとも一部は触媒体46と接触して触媒的に分解し、触媒分解反応または熱分解反応によって、高エネルギーをもつシリコン等のイオン、ラジカル等の反応種の集団(即ち、堆積種又はその前駆体及びラジカル水素イオン)、又は高温の水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン等の水素系活性種を形成し、こうして生成したイオン、ラジカル等の反応種50にグロー放電開始電圧(約1kV)以下、例えば500Vの直流電源49による直流電界を作用させて指向性運動エネルギーを与え、基板1の側へ指向させて、室温〜550℃(例えば200〜300℃)に保持された基板1上にアモルファスカーボン、低級結晶性シリコン等の所定の膜をDCバイアス触媒CVDで気相成長させる。或いは上記水素系活性種に指向性運動エネルギーを与え、室温〜550℃(例えば200〜300℃)に保持された基板1上の上記膜に作用させてDCバイアス触媒AHA処理を行う。なお、上記低級結晶性シリコン膜等は、バイアスを用いない触媒CVDで気相成長させてもよいが、この場合は、上記の直流電源49をオフとしておく。
【0076】
こうして、プラズマを発生することなく、反応種又は水素系活性種に対し、触媒体46の触媒作用とその熱エネルギーに直流電界による加速エネルギーを与えた指向性の運動エネルギーを与えるので、反応ガスを効率良く反応種に変えて、基板1上に均一に熱CVDで堆積することができる。この堆積種56は基板1上で泳動し、薄膜中で拡散するので、緻密でステップカバレージの良い平坦かつ均一な薄膜を形成できる。或いは、水素系キャリアガスから生成した水素系活性種をCVD膜に対し十分なエネルギーで効率良く作用させることができる。
【0077】
本実施の形態においてDCバイアス触媒CVDを適用すると、これは、従来の触媒CVDのコントロールファクタである基板温度、触媒体温度、ガス圧(反応ガス流量)、原料ガス種類等に比べ、独立した任意の直流電界で薄膜生成をコントロールすることを追加するのが特長である。このため、生成膜の基板との密着性をはじめ、生成膜密度、生成膜均一性又は平滑性、ビアホールなどへの生め込み性とステップカバレージを向上させ、基板温度を一層低温化し、生成膜のストレスコントロール等が可能となり、高品質膜(例えばバルクに近い物性のシリコン膜や金属膜)が得られる。しかも、触媒体46で生成された反応種を直流電界で独立してコントロールし、効率良く基板上に堆積できるので、反応ガスの利用効率が高く、生成速度を早め、生産性向上と反応ガス削減によるコストダウンを図れる。
【0078】
また、DCバイアス触媒AHA処理においても、上記と同様に独立した任意の直流電界でアニールをコントロールすることができ、基板温度の低温化、膜ストレスの減少等がガス利用効率の向上、処理速度の向上、コストダウンを実現しながら可能となる。
【0079】
また、基板温度を低温化しても堆積種又は活性種のエネルギーが大きいために、目的とする良質の膜が得られることから、基板温度を上記のように更に低温化でき、大型で安価な絶縁基板(ほうけい酸ガラス、アルミノけい酸ガラス等のガラス基板、ポリイミド等の耐熱性樹脂基板等)を使用でき、この点でもコストダウンが可能となる。しかも、上記した反応種の加速のための電極として、ガス供給用のシャワーヘッド42を兼用できるので、構造が簡略となる。
【0080】
また、勿論のことであるが、プラズマの発生がないので、プラズマによるダメージがなく、低ストレスの生成膜が得られると共に、プラズマCVD法等に比べ、はるかにシンプルで安価な装置が実現する。
【0081】
この場合、減圧下(例えば0.133〜1.33Pa)又は常圧下で操作を行なえるが、減圧タイプよりも常圧タイプの方がよりシンプルで安価な装置が実現する。そして、常圧タイプでも上記の電界を加えるので、密度、均一性、密着性のよい高品質膜が得られる。この場合も、減圧タイプよりも常圧タイプの方がスループットが大であり、生産性が高く、コストダウンが可能である。
【0082】
減圧タイプの場合は、直流電圧はガス圧(ガス流量)やガス種等によって左右されるが、いずれにしても、グロー放電開始電圧以下の任意の電圧に調整する必要がある。常圧タイプの場合は、放電はしないが、原料ガス及び反応種又は活性種の流れが膜厚及び膜質に悪影響を及ぼさないように、基板上に排ガス流が接しないように排気を調整することが望ましい。
【0083】
上記のDCバイアス触媒CVD(又は触媒CVD)又はDCバイアス触媒AHA処理において、触媒体46による副射熱のために、基板温度は上昇するが、上記のように、必要に応じて基板加熱用ヒーター51を設置してよい。また、触媒体46はコイル状(これ以外にメッシュ、ワイヤー、多孔板状もよい。)としているが、更にガス流方向に複数段(例えば2〜3段)として、ガスとの接触面積を増やすのがよい。なお、基板1をサセプタ45の下面においてシャワーヘッド42の上方に配しているので、チャンバ44内で生じたパーティクルが落下して基板1又はその上の膜に付着することがない。
【0084】
本実施の形態においては、触媒CVDに用いた装置をそのまま用い、触媒CVDによるアモルファスカーボン等のカーボン薄膜、低級結晶性半導体薄膜の気相成長後に、モノシラン等の原料ガスの供給を停止し、触媒CVD時よりも多い流量で水素系キャリアガスのみを成膜室44内に供給して、低級結晶性半導体薄膜に対してDCバイアス触媒AHA処理を行い、そのアモルファス成分のエッチング、より多結晶化のためのアニールを施し、かつ、この触媒CVDとDCバイアス触媒AHA処理とを所定回数繰り返して、目的とする膜厚の多結晶シリコン等の多結晶性半導体薄膜を形成する。
【0085】
このDCバイアス触媒AHA処理は、加熱された触媒により分解、生成した水素系活性種により前記アモルファス成分をエッチング除去してカーボン超微粒子を生成すると共に、半導体材料薄膜の場合は下地のカーボン超微粒子をシードとして多結晶化し易くして、高結晶化率、大粒径(特にグレインサイズが数100nm以上)の多結晶をベースとする薄膜を得、膜中のキャリア不純物を活性化する処理であるが、その際、触媒体温度1600〜1800℃、基板−触媒体間の距離20〜50mm、基板温度200〜800℃とし、処理時間10〜20分とし、また水素系キャリアガスは上記したと同様に水素又は水素と不活性ガス(アルゴン、ヘリウム、キセノン、クリプトン、ラドン等)との混合ガスであり、混合ガスの場合は水素含有比率は70〜80モル%以上とすることによって触媒体の酸化劣化を防止できる。また、触媒AHA処理時に用いる水素又は水素含有ガスは、気相成長時の水素系キャリアガスと同様であってよいが、ガス流量300〜1000SCCM、ガス圧10〜50Paと大きくし(触媒CVDのときは0.1〜数Pa)、ガスによる熱伝導の増大と水素系活性種発生量の増大を図るのがよい。
【0086】
本発明に基づいて、バイアスの作用下での半導体薄膜の結晶化処理によれば、電界又は磁界、又はこれらの双方を印加し、この作用下で水素系活性種によるアニール(バイアス触媒AHA処理)又は堆積種の気相成長(バイアス触媒CVD)を行うので、結晶粒の結晶方位を揃えることができる。以下に、上記したDCバイアス触媒AHA処理及びDCバイアス触媒CVDも含めてまとめると、次のようになる。
【0087】
まず、図8は、上記した電界の作用下で触媒CVD、いわゆるバイアス触媒CVDを行う場合を示すが、基板1を収容した真空容器44の周囲に高周波電圧(又は直流電圧、或いはこれらの双方)を印加する電極200、201を設け、これによる電界を作用させる。
【0088】
この時に、バイアス触媒CVDの場合、触媒体46の触媒反応又は接触分解反応で発生させた堆積種のシリコン原子の電子スピンが電界と相互作用して一定の方向に向き、この状態から冷却により固化する際に、一定の方向性をもって結晶化し、シリコンの結晶方位が揃うことになる。こうして結晶化された膜は結晶方位がほぼ揃うため、粒界のもつ電子ポテンシャルバリアが低くなり、キャリア移動度が大きくなる。この際、結晶方位を一定方向に揃えることが重要であり、シリコン原子の外殻軌道の構造に応じて、得られた多結晶性シリコン薄膜7の垂直方向に結晶が揃う場合もあり或いは水平方向に結晶方位が揃う場合もある。結晶粒が一定の方向に揃うことにより、多結晶性シリコン薄膜の表面の凹凸もなくなり、薄膜の表面が平坦化されることになり、これに接して形成されるゲート絶縁膜等との間の界面状態が良好となり、キャリア移動度が向上する。
【0089】
図9は、電界に代えて、磁界を印加する場合であり、基板1を収容した真空容器44の周囲に永久磁石202及び203、又は電磁石204を設け、これによる磁界を作用させる。
【0090】
こうして、上記した電界の場合と同様に、磁界の作用で一定の方向に結晶粒が揃い、キャリア移動度が向上し、また表面の凹凸も減少する。
【0091】
図10は、上記の電界と共に磁界も同時に印加する例であるが、基板1を収容した真空容器44の周囲の永久磁石202、203(これは電磁石でもよい。)による磁界と同時に、高周波電圧(または直流電圧、或いはこれらの双方)49を印加する電極200、201による電界を同時に作用させる。
【0092】
この時に、シリコン原子の電子スピンが磁場と電場の相互作用で一定の方向に向き、この状態から冷却により固化する際に、磁界と電界の相乗作用により更に十分な方向性をもって結晶化することになる。従って、一定の方向に結晶粒が更に揃い易くなり、キャリア移動度が一層向上し、また表面の凹凸も一層減少する。
【0093】
図8〜図10に示したバイアス方式は、バイアス触媒AHA処理においても同様に適用され、電界又は/及び磁界の作用によって、微粒子層100Aやシリコン薄膜7に対して水素系活性種が効率的に十分なエネルギーで作用し、AHA処理効果が向上し、アモルファス成分を十二分にエッチングしてシリコンの結晶化を促進させることができる。
【0094】
図11は、上記の触媒CVD(DCバイアス触媒CVDも同様)とDCバイアスと触媒AHA処理における上記水素系キャリアガス及び原料ガスの導入時間及びタイミングを多結晶性シリコン薄膜形成の場合について示し、また図12は、流量計(MFC)や調整弁などを組み込んだガス導入系を示す。
【0095】
まず、成膜を行う前に、ゲートバルブを通してチャンバ(成膜室)44内に基板1を搬入し、サセプタ45に載置し、次いで、排気系を作動させてチャンバ44内を所定圧力まで排気するとともに、サセプタ45に内蔵されたヒーターを作動させて基板1を所定温度まで加熱する。
【0096】
そして、ガス導入系によって、まず水素系キャリアガス300〜1000SCCM、例えば500SCCMをチャンバ1内に導入する。導入された水素ガスの一部は、加熱触媒体46による接触分解反応により活性化水素イオン等の水素系活性種となり、基板表面に到達して、基板1の表面クリーニングを行う。その後に水素系キャリアガスを150SCCMにする。
【0097】
このように、チャンバ44内に水素系キャリアガスが供給されている状態で、ガス導入系を作動させ、原料ガス(メタン又はモノシラン15SCCM)をチャンバ44内に導入する。導入された原料ガスは、加熱触媒体46の熱触媒反応及び熱分解反応により堆積種が生成され、必要あれば上記バイアス電界の作用下で多結晶性シリコン薄膜等として基板表面に気相成長する。
【0098】
その後、原料ガスの導入を停止して、チャンバ44内から原料ガスを排出し、更に水素系キャリアガスのみを300〜1000SCCM、例えば500SCCMの流量で導入する、これによって、加熱触媒体による接触分解反応で生じた活性水素イオン等の水素系活性種が上記したバイアス電界の作用下で上記の薄膜に作用してそのアモルファス成分をエッチングし、アモルファス成分が除去された下地のカーボン超微粒子を得、またこれをシードとして結晶化が促進された多結晶性シリコンを得る。
【0099】
こうしてバイアス触媒AHA処理されたシリコン膜上に、再び上記の触媒CVDを施し、多結晶性シリコンをシードとしてその上に多結晶性シリコン薄膜を成長させ、更にバイアス触媒AHA処理、触媒CVDを繰り返して行うことにより、多結晶性シリコン薄膜の膜厚をコントロールしつつ最終的には目的とする膜厚で高結晶化率、大粒径の多結晶性シリコン薄膜を形成することができる。
【0100】
このように、上記のバイアス電界で加速された十分なエネルギーの水素系活性種のラジカル作用により、熱エネルギーが膜に移動して局部的に温度上昇させ、半導体薄膜は、アモルファス成分がエッチングされて結晶化が促進され、大粒径の多結晶性膜化し、高キャリア移動度、高品質の多結晶性半導体薄膜を得ることができ、しかも、多結晶性シリコン膜上又は膜内にシリコン酸化物が存在したときに、これと還元反応してSiO等を生成して蒸発させるので、その膜上又は膜内のシリコン酸化物を減少/除去させることができ、高キャリア移動度、高品質の多結晶性シリコン膜等を得ることができる。
【0101】
また、微結晶シリコン含有アモルファスシリコン、アモルファスシリコン含有微結晶シリコンなどは、下地のカーボン超微粒子をシードとして多結晶化し、多結晶性シリコンは高結晶化が促進され、大粒径の多結晶性シリコン膜化する。しかも、その膜に含有されるアモルファス構造のシリコンが活性水素イオン等で還元(エッチング)されるので、高結晶化率の多結晶性膜が形成される。
【0102】
そして、このバイアス触媒AHA処理時に、半導体薄膜中に存在するキャリア不純物は高温で活性化され、各領域において最適なキャリア不純物濃度を得ることができ、また、高温の水素分子、水素原子及び活性化水素イオンによるクリーニング(基板等への吸着ガス及び有機物残渣等の還元除去)が可能であり、触媒体も酸化劣化し難しくなり、更に水素化により、半導体膜中の例えばシリコンダングリングボンドをなくし、特性が向上する。
【0103】
こうしたバイアス触媒AHA処理によるアニールと半導体薄膜の触媒CVDによる気相成長とを目的とする膜厚となるまで繰り返すことにより、この半導体薄膜は既にバイアス触媒AHA処理で多結晶化された下地膜上に多結晶化され易い状態で成長し易くなり、目的とする高結晶化率、高品質の多結晶性半導体薄膜を所定の膜厚で得ることができる。即ち、触媒CVDとバイアス触媒AHA処理を繰り返すマルチバイアス触媒AHA処理により、例えば触媒CVDで成膜された微結晶シリコン含有アモルファスシリコン、アモルファスシリコン及び微結晶シリコン含有多結晶シリコン等をバイアス触媒AHA処理で多結晶性シリコン化し、多結晶性シリコンは高結晶化し、更にこの多結晶性シリコンをシードとした触媒CVDで多結晶性シリコン膜の気相成長、更にはバイアス触媒AHA処理を繰り返すので、高結晶化率、大粒径の多結晶性シリコン膜を形成することができる。
【0104】
なお、上記の触媒CVD及びバイアス触媒AHA処理はいずれも、プラズマの発生なしに行えるので、プラズマによるダメージがなく、低ストレスの生成膜が得られ、またプラズマCVD法に比べ、シンプルで安価な装置を実現できる。
【0105】
図13は、本実施の形態による上記のマルチバイアス触媒AHA処理(触媒CVDとバイアス触媒AHA処理の繰り返し)で得られた多結晶性シリコン薄膜のラマンスペクトルをその繰り返し回数等に応じて示すものである。この結果によれば、触媒CVDによる堆積(depo)時のガス流量をSiH4:H2=5:500SCCM、触媒温度=1800〜2000℃、基板温度=400℃とし、バイアス触媒AHA処理の条件を各種とし、繰り返し回数も変えたところ、この繰り返し回数を多くし、かつ処理時間を長くし、処理時のH2流量を増加させると、サンプル#1→#2→#3→#4の順に、アモルファス(非晶質)や微結晶が減少し、多結晶層が増加すること(即ち、大粒径化、高結晶化すること)が明らかである。尚、ここで、AHA1は成膜前の基板表面のクリーニング処理であり、本来のバイアス触媒AHA処理はAHA2〜4である。
【0106】
また、図14は、各サンプルについての結晶化率を多結晶性シリコン中の微結晶の有無について比較して示すものである。これによれば、結晶化率はサンプル#1→#2→#3→#4の順に高くなり、かつ下地が微結晶(Im)を含む方が高くなることが分かる。
【0107】
これらの結果は、本発明に基づく処理が高結晶化率、大粒径の多結晶性半導体薄膜の形成にとって非常に優れた方法であることを示すものである。
【0108】
なお、本実施の形態において、上記の触媒CVDでは、例えば0.4mmφタングステンワイヤーの触媒体及びこれを支持している例えば0.8mmφモリブデンワイヤーの支持体(図示せず)の純度が問題となるが、従来の純度:3N(99.9wt%)を4N(99.99wt%)以上、好ましくは5N(99.999wt%)又はそれ以上に純度を上げることにより、触媒CVDによる多結晶性シリコン膜中の鉄、ニッケル、クロム等の重金属汚染を低減できることが実証されている。図15(A)は純度3Nでの膜中の鉄、ニッケル、クロム等の重金属濃度を示すが、これを5Nに高めることによって図15(B)に示すように鉄、ニッケル、クロム等の重金属濃度を大幅に減らせることが判明した。これにより、TFT特性の向上が可能となる。
【0109】
<トップゲート型CMOSTFTの製造>
次に、本実施の形態によるバイアス触媒AHA処理を用いたトップゲート型CMOSTFTの製造例を示す。
【0110】
まず、図1の(1)に示す石英ガラス、結晶化ガラスなどの絶縁基板1の少なくともTFT形成領域に、プラズマCVD、触媒CVD、高密度プラズマCVD、高密度触媒CVD等の気相成長法により、保護用の窒化シリコン膜及び酸化シリコン膜の積層膜からなる下地保護膜(図示せず)を下記の条件で形成する(以下、同様)。
【0111】
この場合、TFT形成のプロセス温度によってガラス材質を使い分ける。
200〜500℃の低温の場合:ほうけい酸、アルミノけい酸ガラス等のガラス基板(500×600×0.5〜1.1μm厚)、耐熱性樹脂基板を用いてもよい。
600〜1000℃の高温の場合:石英ガラス、結晶化ガラス等の耐熱性ガラス基板(6〜12インチφ、700〜800μm厚)を用いてもよい。保護膜用の窒化シリコン膜はガラス基板からのNaイオンストップのために形成するが、合成石英ガラスを用いる場合は不要である。
【0112】
また、触媒CVDを用いる場合、図5〜図7に示したと同様の装置が使用可能であるが、触媒体の酸化劣化防止のために、水素系キャリアガスを供給して触媒体を所定温度(約1600〜1800℃、例えば約1700℃)に加熱し、成膜後は触媒体を問題ない温度まで冷却して水素系キャリアガスをカットする必要がある。
【0113】
成膜条件としては、チャンバ内に水素系キャリアガス(水素、アルゴン+水素、ヘリウム+水素、ネオン+水素等)を常時流し、流量と圧力、サセプタ温度を下記の所定の値に制御する。
チャンバ内圧力:1〜15Pa程度、例えば10Pa
サセプタ温度:200〜300℃
水素系キャリアガス流量(混合ガスの場合、水素は70〜80モル%):50〜150SCCM
【0114】
また、窒化シリコン膜は、次の条件で50〜200nmの厚みに形成する。
水素(H2)をキャリアガスとし、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)に アンモニア(NH3)を適量比率で混合して形成。
水素(H2)流量:50〜150SCCM、
SiH4流量:10〜20SCCM、NH3流量:50〜60SCCM
【0115】
また、酸化シリコン膜は、次の条件で50〜100nmの厚みに形成する。
水素(H2)をキャリアガス、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)にHe 希釈O2を適量比率で混合して形成。
2流量:50〜150SCCM、SiH4流量:10〜20SCCM、He希
釈O2流量:1〜2SCCM
【0116】
次いで、図1の(1)に示すように、本発明に基づく触媒CVD法等により上記の保護膜上に、次の条件でアモルファスカーボン又は微結晶カーボン膜100Aを50〜100nmの厚みに形成する。
水素(H2)をキャリアガス、原料ガスとしてCH4を適量比率混合して形成 。
2流量;50〜100SCCM、CH4流量;10〜20SCCM
【0117】
次いで、図1の(2)に示すように、連続してバイアス触媒AHA処理により、上記のアモルファスカーボン又は微結晶カーボン膜100Aからアモルファス成分をエッチング除去し、ダイヤモンド構造のカーボン超微粒子層100Bを形成する。
【0118】
このバイアス触媒AHA処理は、バイアス触媒CVD法において原料ガスを供給しないで処理する方法であり、具体的には、水素系キャリアガスを供給して10〜50Paのガス圧とし、触媒体を所定温度(約1600〜1800℃、例えば約1700℃設定)に加熱し、大量の高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)などを発生させて、これらをグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用による指向性運動エネルギーの付与下で、基板上に形成した例えばアモルファスカーボン又は微結晶カーボン膜100Aに吹き付ける。これにより大量の高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)などが有する高い熱エネルギーがそれらの膜に移動して、それらの膜温度を局部的に上昇させる。これにより、アモルファスカーボン又は微結晶カーボン膜100A上に存在するダイヤモンド構造のカーボン超微粒子(クラスタ)を安定させ、かつその付近に存在するアモルファス構造のカーボンをわずかにエッチングして、ダイヤモンド構造のカーボン超微粒子を形成し、多結晶性シリコン成長の核とする。この時に、TFT形成領域内で、ダイヤモンド構造を有するカーボン超微粒子(クラスタ)が点在し、それらの間の電気抵抗が無視し得る(電気的ショートしていない)ことが必要である。
【0119】
次いで、図1の(3)に示すように、連続して触媒CVD法(或いはバイアス触媒CVD)によって、例えば周期表IV族元素、例えば錫を1018〜1020atoms/ccドープした(これはCVD時又は成膜後のイオン注入によってドープしてよい。)多結晶性シリコン膜7をダイヤモンド構造のカーボン超微粒子層100Bをシードに50〜100nm厚、例えば50nm厚に気相成長させる。但し、この錫のドーピングは必ずしも必要ではない(以下、同様)。
【0120】
このとき、必要に応じて、モノシランにn型不純物(燐、ひ素、アンチモン)又はp型不純物(ボロン等)を適量添加、例えば1017〜1018atoms/cc含有させて、n型又はp型の多結晶性シリコンを形成してもよい。また、ダイヤモンド構造を有するカーボン超微粒子100B上に、アモルファスシリコン又は微結晶シリコン又は多結晶性シリコンを10〜30nm厚に成長させた後、バイアス触媒AHA処理し、アモルファスシリコン又は微結晶シリコン又は多結晶性シリコンを10〜30nm厚に成長させ、更にバイアス触媒AHA処理し、アモルファスシリコン又は微結晶シリコン又は多結晶性シリコン膜を10〜30nm厚に成長させ、更にバイアス触媒AHA処理してもよい。この方法によって、より大きい粒径の多結晶性シリコン膜を形成できる。
【0121】
この場合、図5〜図7に示した装置を用い、上記の触媒CVDにより下記の条件で例えば錫ドープの多結晶性シリコンを気相成長させ、しかる後に下記の条件でバイアス触媒AHA処理を行ってアニールし、多結晶性シリコンをより多結晶化及び高結晶化し、これらの触媒CVDとバイアス触媒AHA処理とを繰り返して50nm厚の多結晶性シリコン膜7を形成してよい。例えば、触媒CVDで10〜30nm厚の膜を成長させ、バイアス触媒AHA処理後、触媒CVDで10〜30nm厚の膜を成長させ、更にバイアス触媒AHA処理後に、触媒CVDで10〜30nm厚の膜を成長させて、最終的に目的とする膜厚の多結晶性シリコン膜を得る。尚、この時に触媒CVDに代えて、バイアス触媒CVDとしてもよい。
【0122】
触媒CVDによる多結晶性シリコンの成膜:
水素(H2)をキャリアガス、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)、水素化錫(SnH4)を適量比率で混合して形成。H2流量:150SCCM、SiH4流量:15SCCM、SnH4流量:15SCCM。この時、原料ガスのシラン系ガス(シラン又はジシラン又はトリシラン等)に、n型のリン又はひ素又はアンチモン等を適量混入したり、又はp型のボロン等を適量混入することにより、任意のn又はp型不純物キャリア濃度の錫含有シリコン膜を形成してもよい。
n型化の場合:ホスフィン(PH3)、アルシン(AsH3)、スチビン(SbH3
p型化の場合:ジボラン(B26
【0123】
バイアス触媒AHA処理:
バイアス触媒AHA処理は、バイアス触媒CVDにおいて原料ガスを供給しない方法であり、具体的には、減圧下で、水素系キャリアガスをガス流量300〜1000SCCM、ガス圧10〜50Paで供給して触媒体を所定温度(約1600〜1800℃、例えば約1700℃)に加熱し、大量の高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)などを発生させ、これらを基板上に形成した例えば多結晶性シリコン膜に吹き付ける。これにより、大量の高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)などが有する熱エネルギーがそれらの膜に移動して、それらの膜温度を上昇させ、アモルファスシリコンや微結晶シリコンを含有するときにはこれらは多結晶化し、多結晶性シリコンは高結晶化して、大粒径の錫含有多結晶性シリコン膜化し、その結晶粒界に存在する不整及びストレスを低減し、高キャリア移動度及び高品質の多結晶性シリコン膜を形成することができる。
【0124】
上記のバイアス触媒AHA処理(又はバイアス触媒CVD)時のバイアス電界は、次のいずれかの電圧印加によって形成できる。
【0125】
1)直流電圧(例えば500V)
2)低周波電圧(例えば500VP-P/26kHz)
3)高周波電圧(例えば500VP-P/13.56MHz)
4)低周波電圧に高周波電圧を重複させた電圧(例えば500VP-P/26kHz+200VP-P/13.56MHz)
5)直流電圧に低周波電圧を重複させた電圧(例えば500V+200VP-P/26kHz)
6)直流電圧に高周波電圧を重複させた電圧(例えば500V+200VP-P/13.56MHz)
7)直流電圧に低周波電圧と高周波電圧を重複させた電圧(例えば500V+ 100VP-P/26kHz+100VP-P/13.56MHz)
【0126】
また、上記の水素系活性種は、多結晶性シリコン等の膜上又は膜内にシリコン酸化物が存在したときにこれと還元反応してSiO等を生成し、蒸発させるので、それらの膜上又は膜内のシリコン酸化物を減少/除去させることができ、高キャリア移動度及び高品質の多結晶性シリコン膜を形成できる。このバイアス触媒AHA処理(又は触媒AHA処理)を後述のゲートチャンネル/ソース/ドレイン形成後に行うと、大量の高温の水素系活性種が有する熱エネルギーがそれらの膜に移動して、それらの膜温度を上昇させ、結晶化促進と同時にゲートチャンネル/ソース/ドレインに注入されキャリア不純物(燐、ひ素、ボロンイオン等)が活性化される。
【0127】
なお、上記の各膜を同一のチャンバで形成する場合は、水素系キャリアガスを常時供給し、触媒体を所定温度に加熱してスタンバイをしておき、次のように処理してよい。
【0128】
モノシランにアンモニアを適当比率で混合して所定膜厚の窒化シリコン膜を形成し、前の原料ガスを十分に排出した後に、連続してモノシランとHe希釈O2を適当比率で混合して所定膜厚の酸化シリコン膜を形成し、前の原料ガス等を十分に排出した後に、連続してメタンを供給し、或いはモノシランとSnH4を適量比率で混合して、所定膜厚のアモルファス又は微結晶カーボン薄膜、又は所定膜厚の錫含有多結晶性シリコン膜を形成し、前の原料ガスを十分に排出した後に、連続して原料ガスをカットしてバイアス触媒AHA処理によりカーボン薄膜をダイヤモンド構造の超微粒子化し、或いは多結晶性シリコン膜をより結晶化させ、必要に応じて前の原料ガスを十分に排出した後に、連続してモノシランとHe希釈O2を適当比率で混合して所定膜厚の酸化シリコン膜を形成する。成膜後は原料ガスをカットし、触媒体を問題ない温度まで冷却して水素系キャリアガスをカットする。この時、絶縁膜形成時の原料ガスは傾斜減少又は傾斜増加させて、傾斜接合の絶縁膜としてもよい。
【0129】
或いは、それぞれ独立したチャンバで形成する場合は、各チャンバ内に水素系キャリアガスを常時供給し、触媒体を所定温度に加熱してスタンバイしておき、次のように処理してよい。Aチャンバに移し、モノシランにアンモニアを適量比率で混合して所定膜厚の窒化シリコン膜を形成する。次にBチャンバに移し、モノシランにHe希釈O2を適量比率で混合して酸化シリコン膜を形成する。次にCチャンバに移し、メタンを供給し、或いはモノシランとSnH4を適量比率で混合して、アモルファス又は微結晶カーボン薄膜、又は錫含有の多結晶性シリコン膜を形成し、連続して(或いは別のチャンバで)水素系キャリアガスによるバイアス触媒AHA処理により、カーボン薄膜をダイヤモンド構造の超微粒子化し、或いは多結晶性シリコン膜をより結晶化する。必要に応じて次にBチャンバに移し、モノシランにHe希釈O2を適量比率で混合して酸化シリコン膜を形成する。成膜後は原料ガスをカットし、触媒体を問題ない温度まで冷却して水素系キャリアガスをカットする。この時に、それぞれのチャンバ内に水素系キャリアガスとそれぞれの原料ガスを常時供給して、スタンバイの状態にしておいてもよい。
【0130】
そして次に、多結晶性シリコン膜7をソース、チャンネル及びドレイン領域とするMOSTFTの作製を行なう。
【0131】
即ち、図2の(4)に示すように、汎用フォトリソグラフィ及びエッチングにより多結晶性シリコン膜7をアイランド化した後、nMOSTFT用のチャンネル領域の不純物濃度制御によるしきい値(Vth)の最適化のために、pMOSTFT部をフォトレジスト9でマスクし、イオン注入又はイオンドーピングによりp型不純物イオン(例えばボロンイオン)10を例えば5×1011atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、1×1017atoms/ccのアクセプタ濃度に設定し、多結晶性シリコン膜7の導電型をp型化した多結晶性シリコン膜11とする。
【0132】
次いで、図2の(5)に示すように、pMOSTFT用のチャンネル領域の不純物濃度制御によるVthの最適化のために、今度はnMOSTFT部をフォトレジスト12でマスクし、イオン注入又はイオンドーピングによりn型不純物イオン(例えば燐イオン)13を例えば1×1012atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、2×1017atoms/ccのドナー濃度に設定し、多結晶性シリコン膜7の導電型をn型化した多結晶性シリコン膜14とする。
【0133】
次いで、図3の(6)に示すように、必要あれば結晶化促進と膜中の不純物の活性化のために上記のバイアス触媒AHA処理を行なった後、触媒CVD又はバイアス触媒CVD等によりゲート絶縁膜の酸化シリコン膜50nm厚8を形成した後、ゲート電極材料としてのリンドープド多結晶シリコン膜15を例えば2〜20SCCMのPH3及び20SCCMのモノシランの供給下での上記と同様の触媒CVD法等によって厚さ例えば400nm厚に堆積させる。
【0134】
次いで、図3の(7)に示すように、フォトレジスト16を所定パターンに形成し、これをマスクにしてリンドープド多結晶シリコン膜15をゲート電極形状にパターニングし、更に、必要に応じてフォトレジスト16の除去後に図3の(8)に示すように、例えば触媒CVD等によりゲート電極用保護膜の酸化シリコン膜17を20〜30nm厚に形成する。
【0135】
次いで、図3の(9)に示すように、pMOSTFT部をフォトレジスト18でマスクし、イオン注入又はイオンドーピングによりn型不純物である例えば燐イオン19を例えば1×1015atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、2×1020atoms/ccのドナー濃度に設定し、nMOSTFTのn+型ソース領域20及びドレイン領域21をそれぞれ形成する。
【0136】
次いで、図4の(10)に示すように、nMOSTFT部をフォトレジスト22でマスクし、イオン注入又はイオンドーピングによりp型不純物である例えばボロンイオン23を例えば1×1015atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、2×1020atoms/ccのアクセプタ濃度に設定し、pMOSTFTのp+型ソース領域24及びドレイン領域25をそれぞれ形成する。
【0137】
こうしてゲート、ソース及びドレインを形成するが、これらは上記したプロセス以外の方法で形成することが可能である。
【0138】
即ち、図1の(3)の工程後に、多結晶性シリコン膜7をpMOSTFTとnMOSTFT領域にアイランド化し、pMOSTFT領域にイオン注入又はイオンドーピングでn型不純物、例えば燐イオンを1×1012atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、2×1017atoms/ccのドナー濃度に設定し、nMOSTFT領域にp型不純物、例えばボロンイオンを5×1011atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、1×1017atoms/ccのアクセプタ濃度に設定し、各チャンネル領域の不純物濃度を制御し、Vthを最適化する。
【0139】
そして、次に、汎用フォトリソグラフィ技術により、フォトレジストマスクで各ソース/ドレイン領域を形成する。nMOSTFTの場合、イオン注入又はイオンドーピング法によりn型不純物、例えばひ素、燐イオンを1×1015atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、2×1020atoms/ccのドナー濃度に設定し、pMOSTFTの場合、イオン注入又はイオンドーピング法によりp型不純物、例えばボロンイオンを1×1015atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、2×1020atoms/ccのアクセプタ濃度に設定する。
【0140】
しかる後、必要あれば膜中の不純物の活性化のためにバイアス触媒AHA処理を行った後、ゲート絶縁膜として酸化シリコン膜を形成するが、必要に応じて連続して窒化シリコン膜と酸化シリコン膜を形成する。即ち、必要に応じて、バイアス触媒AHA処理後に連続してバイアス触媒CVD法により、水素系キャリアガスとモノシランにHe希釈O2を適量比率で混合して酸化シリコン膜8を20〜30nm厚に形成し、必要に応じて水素系キャリアガスとモノシランにNH3を適量比率で混合して窒化シリコン膜を10〜20nm厚に形成し、更に前記の条件で酸化シリコン膜を20〜30nm厚に形成する。この後は、上記と同様の汎用の触媒CVD法、フォトリソグラフィ技術によりゲート電極を形成する。
【0141】
ゲート、ソース及びドレイン形成後は、図4の(11)に示すように、全面に上記したと同様の触媒CVD又はバイアス触媒CVD法等によって、水素系キャリアガス150SCCMを共通として、1〜2SCCMのヘリウムガス希釈のO2、15〜20SCCMのモノシラン供給下で酸化シリコン膜26を例えば100〜200nm厚に、1〜20SCCMのPH3、1〜2SCCMのヘリウム希釈のO2、15〜20SCCMのモノシラン供給下でフォスフィンシリケートガラス(PSG)膜27を300〜400nm厚に形成し、50〜60SCCMのNH3、15〜20SCCMのモノシラン供給下で窒化シリコン膜28を例えば100〜200nm厚に形成し、積層絶縁膜を形成する。その後に、例えば約1000℃で20〜30秒のRTA(Rapid Thermal Anneal)処理でイオン活性化させ、各領域に設定したキャリア不純物濃度とする。
【0142】
次いで、図4の(12)に示すように、上記の絶縁膜の所定位置にコンタクト窓開けを行い、各コンタクトホールを含む全面に1%Si入りアルミニウム等の電極材料をスパッタ法等で1μmの厚みに堆積し、これをパターニングして、pMOSTFT及びnMOSTFTのそれぞれのソース又はドレイン電極29(S又はD)とゲート取出し電極又は配線30(G)を形成し、トップゲート型の各CMOSTFTを形成する。この後に、フォーミングガス中で400℃、1hの水素化及びシンター処理する。
【0143】
なお、上記のゲート電極の形成に代えて、全面にMo−Ta合金等の耐熱性金属のスパッタ膜400〜500nm厚を形成し、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、nMOSTFT及びpMOSTFTのゲート電極を形成してよい。
【0144】
なお、上記のアモルファス又は微結晶カーボン薄膜をスパッタリングで形成し、これをバイアス触媒AHA処理してトップゲート型多結晶シリコンCMOSTFTを製造する例について説明すると、まず、グラファイトターゲットを、アルゴンガス0.133〜1.33Paの真空中でスパッタリングして、ガラス基板等の絶縁性基板の少なくともTFT形成領域に10〜20nm厚のアモルファスカーボン膜を形成する。
【0145】
次いで、このアモルファスカーボン膜をバイアス触媒AHA処理して、ダイヤモンド構造を有するカーボン超微粒子を形成する。バイアス触媒AHA処理条件は上述したものに準ずる。
【0146】
次いで、ダイヤモンド構造を有するこのカーボン超微粒子上に、シリコンターゲットをアルゴンガス0.133〜1.33Paの真空中でスパッタリングして、絶縁性基板の少なくともTFT形成領域に30〜100nm厚、例えば50nm厚のアモルファスシリコン膜を形成する。
【0147】
次いで、これをバイアス触媒AHA処理して多結晶性シリコン膜化する。このバイアス触媒AHA処理条件は上述したものに準ずる。必要に応じて、例えばダイヤモンド構造を有するカーボン超微粒子上にアモルファスシリコンを10〜30nm厚に成膜し、バイアス触媒AHA処理後にアモルファスシリコンを10〜30nm厚に成膜し、更にバイアス触媒AHA処理を必要回数繰り返す、いわゆるマルチバイアス触媒AHA処理をしてもよい。この方が、より大きい粒径の多結晶性シリコン膜を形成できる。
【0148】
これ以降は、上述したプロセスと同様である。但し、多結晶性シリコン膜は、上述した触媒CVD法で成長させてもよい。
【0149】
なお、このスパッタリング膜を用いる方法は、後述のボトムゲート型、デュアルゲート型CMOSTFT等についても、同様に適用されてよい。
【0150】
上述したように、本実施の形態によれば、下記(a)〜(o)の優れた作用効果を得ることができる。
【0151】
(a)上記のバイアス触媒AHA処理は、10〜50Paの水素又は水素含有ガス圧下で、水素を高温触媒体(例えばタングステン、1500〜2000℃)に接触させて、高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)などを形成し、絶縁性基板上に形成したアモルファスカーボン膜又は微結晶カーボン膜にグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用による指向性運動エネルギーの付与下で吹き付けると(基板温度200〜500℃)、大量の高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)などが有する熱エネルギーがその膜等に移動して、その膜等の温度を局部的に上昇させ、高温の水素系活性種の作用によりアモルファス構造のカーボンがエッチングされてアモルファスカーボン膜や微結晶カーボン膜は結晶化して、アモルファスカーボン膜又は微結晶カーボン膜表面又はガラス基板上に、ダイヤモンド構造を有するカーボン超微粒子(クラスタ)が点在し、これが多結晶性シリコン成長の核として働く。
【0152】
(b)また、上記のバイアス触媒AHA処理において高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)などを絶縁性基板上に形成したアモルファスシリコン又は多結晶性シリコン又は微結晶シリコンに吹き付けると(基板温度200〜500℃)、大量の高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)などが有する熱エネルギーがその膜等に移動して、その膜等の温度を局部的に上昇させ、高温の水素系活性種の作用によりアモルファス構造のシリコンがエッチングされて、アモルファスシリコンや微結晶シリコンは多結晶化し、多結晶性シリコンは高結晶化して、大粒径多結晶性シリコン膜が形成され、キャリア移動度向上が図れる。
【0153】
(c)この時に、高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)などを触媒体温度等のみならず、電界又は/及び磁界で独立してコントロールするので、効率良く処理でき、カーボン超微粒子を十分に形成し、大粒径多結晶性シリコン膜化が可能であり、高キャリア移動度、高品質の多結晶性シリコン薄膜を得ることができる。又、例えば30keV、1015atoms/cm2(SiF4使用)のシリコンイオンの注入後にバイアス触媒AHA処理すると、結晶核成長の促進により更に大粒径の多結晶性シリコン膜化が可能であり、さらなる高キャリア移動度化が可能となる。
【0154】
(d)基板上に形成したアモルファスシリコン又は多結晶性シリコン又は微結晶シリコンに大量の高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)などを吹き付けると、その膜上又は膜内又は粒界にシリコン酸化物が存在したとき、これと反応してSiOを形成し蒸発するので、アモルファスシリコン又は多結晶性シリコン又は微結晶シリコン膜上又は膜内のシリコン酸化物を減少/除去させることができ、キャリア移動度の向上を図ることができる。
【0155】
(e)このバイアス触媒AHA処理時に、半導体薄膜中に存在するキャリア不純物は高温により効率良く活性化され、各領域において最適なキャリア不純物濃度を得る。
【0156】
(f)また、活性化水素イオン等の水素系活性種によるクリーニング(基板等への吸着ガス及び有機物残渣等の還元除去)が可能であり、触媒体も酸化劣化し難くなる(なお、このような効果は、上記のシリコン薄膜を触媒CVDで形成する時も水素系キャリアガスを用いることから、同様に生じる)。
【0157】
(g)活性化水素イオン等の水素系活性種の水素化作用により、半導体膜中の例えばシリコンダングリングボンドをなくし、特性が向上する。
【0158】
(h)こうしてバイアス触媒AHA処理された多結晶性薄膜上に更に低級結晶性半導体薄膜を気相成長させる工程を目的とする膜厚となるまで繰り返すと、この半導体薄膜は既にバイアス触媒AHA処理で多結晶化された下地膜上に多結晶化され易い状態で成長し易くなり、目的とする高結晶化率、高品質の多結晶性半導体薄膜を所定の膜厚で得ることができ、また上記したと同様のクリーニング作用により酸素、金属等によるコンタミを低減させて更なる高性能化、高品質化が可能となる。即ち、触媒CVDとバイアス触媒AHA処理を繰り返すマルチバイアス触媒AHA処理により、例えば微結晶シリコン含有アモルファスシリコン膜、アモルファスシリコン及び微結晶シリコン含有多結晶シリコン膜をバイアス触媒AHA処理で多結晶性シリコン膜化した後、更にこの多結晶シリコンをシードとした触媒CVD又はバイアス触媒CVDで多結晶性シリコン膜の気相成長、更にはバイアス触媒AHA処理を繰り返す(繰り返し回数が1回で2ステップバイアス触媒AHA処理、2回又はそれ以上ではマルチバイアス触媒AHA処理と称する。)ので、高結晶化率、大粒径の多結晶性シリコン膜を形成することができる。この場合、上記の電界又は/及び磁界(バイアス)の作用下で処理するため、効率が向上し、バイアスを作用させない場合に比べて繰り返し処理の回数を減少させ、スループットを向上させることもできる。
【0159】
(i)触媒CVD又はバイアス触媒CVDによる成膜後にバイアス触媒AHA処理を行う場合、バイアス(電界又は/及び磁界)の種類及び処理条件、触媒体の種類及び温度、基板加熱温度、気相成膜条件、原料ガスの種類、添加するn又はp型不純物濃度、錫又は他のIV族元素の種類と含有量等により、広範囲のn又はp型不純物濃度の錫又は他のIV族元素(鉛、ゲルマニウム)含有多結晶性シリコン膜が容易に得られ、またバイアス触媒AHA処理により多結晶性シリコン膜の大粒径化、多結晶性シリコン粒界に存在する結晶不整を減少させて内部応力を減少させ、同時に各領域に添加したn又はp型不純物を活性化させるので、高いキャリア移動度でしきい値(Vth)調整が容易となり、低抵抗での高速動作が可能となる。
【0160】
(j)なお、プラズマCVDによる成膜後にバイアス触媒AHA処理を行う場合、プラズマCVDでのアモルファスシリコン膜中に10〜20%含有する水素をバイアス触媒AHA処理で減少/除去させ、大きな粒径の多結晶性シリコン膜を形成するので、大きなキャリア移動度の多結晶性シリコン膜の形成が可能となる。更に、基板加熱温度、気相成膜条件、原料ガスの種類、バイアス(電界又は/及び磁界)の種類及び処理条件、添加するn又はp型不純物濃度により、広範囲のn又はp型不純物濃度の多結晶性シリコン膜が容易に得られるので、高キャリア移動度でVth調整が容易で低抵抗での高速動作が可能となる。
【0161】
(k)スパッタリングによる成膜後にバイアス触媒AHA処理を行う場合、シリコンターゲットの比抵抗(添加するn又はp型不純物濃度)、スパッタリング成膜条件、基板加熱温度、バイアス(電界又は/及び磁界)の種類及び処理条件等により、広範囲のn又はp型不純物濃度の多結晶性シリコン膜が容易に得られるので、高キャリア移動度でVth調整が容易で低抵抗での高速動作が可能となる。
【0162】
(l)トップゲート型のみならず、ボトムゲート型、デュアルゲート型MOSTFTでも高い電子/正孔移動度の大粒径多結晶性シリコン薄膜が得られるために、この高性能の多結晶性シリコン半導体を使用した高速、高電流密度の半導体装置、電気光学装置、更に、高効率の太陽電池等の製造が可能となる。
【0163】
(m)上記バイアス触媒AHA処理及び触媒CVDは、プラズマの発生なしに行えるので、プラズマによるダメージがなく、またプラズマ処理に比べ、シンプルで安価な装置を実現できる。
【0164】
(n)基体温度を低温化しても上記活性種のエネルギーが大きいために、目的とするダイヤモンド構造のカーボン超微粒子が確実に安定して得られ、また多結晶性シリコンの成膜が可能となることから、基体温度を特に300〜400℃と低温化でき、従って大型で安価な低歪点の絶縁基板(ガラス基板、耐熱性樹脂基板等)を使用でき、この点でもコストダウンが可能となる。
【0165】
(o)ゲートチャンネル/ソース/ドレイン領域に添加されたn又はp型不純物の活性化に、条件によっては触媒CVD装置が兼用できるので、設備投資の削減、生産性向上でのコストダウンが可能となる。
【0166】
第2の実施の形態
<LCDの製造例1>
本実施の形態は、高温プロセスによる多結晶性シリコンMOSTFTを用いたLCD(液晶表示装置)に本発明を適用したものであり、以下にその製造例を示す(この製造例は、後述する有機ELやFED等の表示装置等にも同様に適用可能である)。
【0167】
まず、図16の(1)に示すように、画素部及び周辺回路部において、石英ガラス、結晶化ガラスなどの耐熱性絶縁基板61(歪点約800〜1100℃、厚さ50ミクロン〜数mm)の一主面に、上述した触媒CVD法等によって、保護膜(図示せず)の形成後に、この上にアモルファス又は微結晶カーボン薄膜100Aを形成する。
【0168】
次いで、図16の(2)に示すように、上述のバイアス触媒AHA処理により、カーボン薄膜100Aをダイヤモンド構造のカーボン超微粒子層100Bに変化させる。
【0169】
次いで、図16の(3)に示すように、上述した触媒CVD法等によって、カーボン超微粒子層100Bをシードに多結晶性シリコン膜67を例えば50nm厚に形成する。この多結晶性シリコン膜は、上述のマルチバイアス触媒AHA処理により形成してよい。
【0170】
次いで、図17の(4)に示すように、フォトレジストマスクを用いて多結晶性シリコン膜67をパターニング(アイランド化)し、トランジスタ、ダイオード等の能動素子、抵抗、容量、インダクタンス等の受動素子の活性層を形成する。
【0171】
次いで、トランジスタ活性層67のチャンネル領域の不純物濃度制御によるVthの最適化のために前記と同様のボロン又は燐等の所定の不純物のイオン注入を行なった後、図17の(5)に示すように、例えば上記と同様の触媒CVD法等によって多結晶性シリコン膜67の表面に厚さ例えば50nm厚のゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜68を形成する。触媒CVD法等でゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜68を形成する場合、基板温度及び触媒体温度は上記したものと同様であるが、酸素ガス流量は1〜2SCCM、モノシランガス流量は15〜20SCCM、水素系キャリアガスは150SCCMとしてよい。尚、チャンネル領域の不純物濃度制御する前又は後に、例えば、約1000℃、30分の高温熱酸化により、ゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜68を形成してもよい。
【0172】
次いで、図17の(6)に示すように、ゲート電極及びゲートライン用材料として、例えばMo−Ta合金をスパッタリングで厚さ例えば400nm厚に堆積させるか、或いは、リンドープド多結晶シリコン膜を例えば水素系キャリアガス150SCCM、2〜20SCCMのPH3及び20SCCMのモノシランガスの供給下での上記と同様の触媒CVD法等によって厚さ例えば400nm厚に堆積させる。そして、汎用フォトリソグラフィー及びエッチング技術により、ゲート電極材料層をゲート電極75及びゲートラインの形状にパターニングする。尚、リンドープド多結晶性シリコン膜の場合は、触媒CVD等により、その表面に保護用酸化シリコン膜10〜20nm厚を形成してもよい。
【0173】
次いで、図18の(7)に示すように、pMOSTFT部をフォトレジスト78でマスクし、イオン注入又はイオンドーピング法によりn型不純物である例えばヒ素(又は燐)イオン79を例えば1×1015atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、2×1020atoms/ccのドナー濃度に設定し、nMOSTFTのn+型ソース領域80及びドレイン領域81をそれぞれ形成する。
【0174】
次いで、図18の(8)に示すように、nMOSTFT部をフォトレジスト82でマスクし、イオン注入又はイオンドーピング法によりp型不純物である例えばボロンイオン83を例えば1×1015atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、2×1020atoms/ccのアクセプタ濃度に設定し、pMOSTFTのp+型ソース領域84及びドレイン領域85をそれぞれ形成する。
【0175】
次いで、図18の(9)に示すように、全面に上記したと同様の触媒CVD法等によって、水素系キャリアガス150SCCMを共通として、1〜2SCCMのHe希釈O2、15〜20SCCMのモノシラン供給下で酸化シリコン膜を例えば100〜200nm厚に、更に、1〜20SCCMのPH3、1〜2SCCMのHe希釈O2、15〜20SCCMのモノシラン供給下でフォスフィンシリケートガラス(PSG)膜を300〜400nm厚に形成し、50〜60SCCMのNH3、15〜20SCCMのSiH4供給下で窒化シリコン膜を例えば100〜200nm厚に形成する。これらの絶縁膜の積層によって層間絶縁膜86を形成する。なお、このような層間絶縁膜は、上記とは別の通常の方法で形成してもよい。この後に、例えば900℃、5分間のN2中のアニール又は1000℃、20〜30秒のN2中のRTA処理によりイオン活性化し、各領域に設定したキャリア不純物濃度とする。
【0176】
次いで、図19の(10)に示すように、上記の絶縁膜86の所定位置にコンタクト窓開けを行い、各コンタクトホールを含む全面にアルミニウムなどの電極材料をスパッタ法等で1μmの厚みに堆積し、これをパターニングして、画素部のnMOSTFTのソース電極87及びデータライン、周辺回路部のpMOSTFT及びnMOSTFTのソース電極88、90とドレイン電極89、91及び配線をそれぞれ形成する。この後に、例えばフォーミングガス中、400℃、1hの水素化及びシンター処理する。
【0177】
次いで、表面上に酸化シリコン膜等の層間絶縁膜92をCVD法で形成した後、図19の(11)に示すように、画素部のnMOSTFTドレイン領域において層間絶縁膜92及び86にコンタクトホールを開け、例えばITO(Indium tin oxide:インジウム酸化物にスズをドープした透明電極材料)を真空蒸着法等で全面に堆積させ、パターニングしてnMOSTFTのドレイン領域81に接続された透明画素電極93を形成する。この後に、例えばフォーミングガス中、250℃、1h、アニールして、ITOとのオーミックコンタクトを改善し、ITOの透明度を向上させる。
【0178】
こうしてアクティブマトリクス基板(以後、TFT基板と称する。)を作製し、透過型のLCDを作製することができる。この透過型LCDは、図19(12)に示すように、画素電極93上に配向膜94、液晶95、配向膜96、透明電極97、対向基板98が積層された構造からなっている。
【0179】
なお、上記した工程は、反射型のLCDの製造にも同様に適用可能である。図24(A)には、この反射型のLCDの一例が示されているが、図中の101は粗面化された絶縁膜92上に被着された反射膜であり、MOSTFTのドレインと接続されている。
【0180】
このLCDの液晶セルを面面組立で作製する場合(2インチサイズ以上の中/大型液晶パネルに適している。)、まずTFT基板61と、全面ベタのITO(Indium Tin Oxide)電極97を設けた対向基板98の素子形成面に、ポリイミド配向膜94、96を形成する。このポリイミド配向膜はロールコート、スピンコート等により50〜100nm厚に形成し、180℃/2hで硬化キュアする。
【0181】
次いで、TFT基板61と対向基板98をラビング、又は光配向処理する。ラビングバフ材にはコットンやレーヨン等があるが、バフかす(ゴミ)やリタデーション等の面からはコットンの方が安定している。光配向は非接触の線型偏光紫外線照射による液晶分子の配向技術である。なお、配向には、ラビング以外にも、偏光又は非偏光を斜め入射させることによって高分子配向膜を形成することができる(このような高分子化合物は、例えばアゾベンゼンを有するポリメチルメタクリレート系高分子等がある)。
【0182】
次いで、洗浄後に、TFT基板61側にはコモン剤塗布、対向基板98側にはシール剤塗布する。ラビングバフかす除去のために、水、又はIPA(イソプロピルアルコール)洗浄する。コモン剤は導電性フィラーを含有したアクリル、又はエポキシアクリレート、又はエポキシ系接着剤であってよく、シール剤はアクリル、又はエポキシアクリレート、又はエポキシ系接着剤であってよい。加熱硬化、紫外線照射硬化、紫外線照射硬化+加熱硬化のいずれも使用できるが、重ね合せの精度と作業性からは紫外線照射硬化+加熱硬化タイプが良い。
【0183】
次いで、対向基板98側に所定のギャップを得るためのスペーサを散布し、TFT基板61と所定の位置で重ね合せる。対向基板98側のアライメントマークとTFT基板61側のアライメントマークとを精度よく合わせた後に、紫外線照射してシール剤を仮硬化させ、その後に一括して加熱硬化する。
【0184】
次いで、スクライブブレークして、TFT基板61と対向基板98を重ね合せた単個の液晶パネルを作成する。
【0185】
次いで、液晶95を両基板61−98間のギャップ内に注入し、注入口を紫外線接着剤で封止後に、IPA洗浄する。液晶の種類は何れでも良いが、例えばネマティック液晶を用いる高速応答のTN(ツイストネマティック)モードが一般的である。
【0186】
次いで、加熱急冷処理して、液晶95を配向させる。
【0187】
次いで、TFT基板61のパネル電極取り出し部にフレキシブル配線を異方性導電膜の熱圧着で接続し、更に対向基板98に偏光板を貼合わせる。
【0188】
また、液晶パネルの面単組立の場合(2インチサイズ以下の小型液晶パネルに適している。)、上記と同様、TFT基板61と対向基板98の素子形成面に、ポリイミド配向膜94、96を形成し、両基板をラビング、又は非接触の線型偏光紫外線光の配向処理する。
【0189】
次いで、TFT基板61と対向基板98をダイシング又はスクライブブレークで単個に分割し、水又はIPA洗浄する。TFT基板61にはコモン剤塗布、対向基板98にはスペーサ含有のシール剤塗布し、両基板を重ね合せる。これ以降のプロセスは上記に準ずる。
【0190】
上記したLCDにおいて、対向基板98はCF(カラーフィルタ)基板であって、カラーフィルタ層(図示せず)をITO電極97下に設けたものである。対向基板98側からの入射光は例えば反射膜93で効率良く反射されて対向基板98側から出射してよい。
【0191】
他方、TFT基板61として、TFT基板61にカラーフィルタを設けたオンチップカラーフィルタ(OCCF)構造のTFT基板とするときには、対向基板98にはITO電極がベタ付け(又はブラックマスク付きのITO電極がベタ付け)される。
【0192】
透過型LCDの場合、次のようにしてオンチップカラーフィルタ(OCCF)構造とオンチップブラック(OCB)構造を作製することができる。
【0193】
即ち、図19の(13)に示すように、フォスフィンシリケートガラス/酸化シリコンの絶縁膜86のドレイン部も窓開けしてドレイン電極用のアルミニウム埋込み層を形成した後、R、G、Bの各色を各セグメント毎に顔料分散したフォトレジスト99を所定厚さ(1〜1.5μm)で形成した後、汎用フォトリソグラフィ技術で所定位置(各画素部)のみを残すパターニングで各カラーフィルタ層99(R)、99(G)、99(B)を形成する(オンチップカラーフィルタ構造)。この際、ドレイン部の窓開けも行う。なお、不透明なセラミック基板や低透過率のガラス及び耐熱性樹脂基板は使用できない。
【0194】
次いで、表示用TFTのドレインに連通するコンタクトホールに、カラーフィルタ層上にかけてブラックマスク層となる遮光層100’を金属のパターニングで形成する。例えば、スパッタ法により、モリブデンを200〜250nm厚で成膜し、表示用MOSTFTを覆って遮光する所定の形状にパターニングする(オンチップブラック構造)。
【0195】
次いで、透明樹脂の平坦化膜92を形成し、更にこの平坦化膜に設けたスルーホールにITO透明電極93を遮光層100’に接続するように形成する。
【0196】
このように、表示アレイ部上に、カラーフィルタ99やブラックマスク100’を作り込むことにより、液晶表示パネルの開口率を改善し、またバックライトも含めたディスプレイモジュールの低消費電力化が実現する。
【0197】
図20は、上述のトップゲート型MOSTFTを組み込んで駆動回路一体型に構成したアクティブマトリクス液晶表示装置(LCD)の全体を概略的に示すものである。このアクティブマトリクスLCDは、主基板61(これはアクティブマトリクス基板を構成する。)と対向基板98とをスペーサ(図示せず)を介して貼り合わせたフラットパネル構造からなり、両基板61−98間に液晶(ここでは図示せず)が封入されている。主基板61の表面には、マトリクス状に配列した画素電極93と、この画素電極を駆動するスイッチング素子とからなる表示部、及びこの表示部に接続される周辺駆動回路部とが設けられている。
【0198】
表示部のスイッチング素子は、上記したnMOS又はpMOS又はCMOSでLDD構造のトップゲート型MOSTFTで構成される。また、周辺駆動回路部にも、回路要素として、上記したトップゲート型MOSTFTのCMOS又はnMOS又はpMOSTFT又はこれらの混在が形成されている。なお、一方の周辺駆動回路部はデータ信号を供給して各画素のTFTを水平ライン毎に駆動する水平駆動回路であり、また他方の周辺駆動回路部は各画素のTFTのゲートを走査ライン毎に駆動する垂直駆動回路であり、通常は表示部の両辺にそれぞれ設けられる。これらの駆動回路は、点順次アナログ方式、線順次デジタル方式のいずれも構成できる。
【0199】
図21に示すように、直交するゲートバスラインとデータバスラインの交差部に上記のMOSTFTが配置され、このMOSTFTを介して液晶容量(CLC)に画像情報を書き込み、次の情報がくるまで電荷を保持する。この場合、TFTのチャンネル抵抗だけで保持させるには十分ではないので、それを補うため液晶容量と並列に蓄積容量(補助容量)(CS)を付加し、リーク電流による液晶電圧の低下を補ってよい。こうしたLCD用MOSTFTでは、画素部(表示部)に使用するTFTの特性と周辺駆動回路に使用するTFTの特性とでは要求性能が異なり、特に画素部のTFTではオフ電流の制御、オン電流の確保が重要な問題となる。このため、表示部には、後述の如きLDD構造のTFTを設けることによって、ゲート−ドレイン間に電界がかかりにくい構造としてチャンネル領域にかかる実効的な電界を低減させ、オフ電流を低減し、特性の変化も小さくできる。しかし、プロセス的には複雑になり、素子サイズも大きくなり、かつオン電流が低下するなどの問題も発生するため、それぞれの使用目的に合わせた最適設計が必要である。
【0200】
なお、使用可能な液晶としては、TN液晶(アクティブマトリクス駆動のTNモード用に用いられるネマチック液晶)をはじめ、STN(スーパーツイステッドネマチック)、GH(ゲスト・ホスト)、PC(フェーズ・チェンジ)、FLC(強誘電性液晶)、AFLC(反強誘電性液晶)、PDLC(ポリマー分散型液晶)等の各種モード用の液晶を採用してよい。
【0201】
<LCDの製造例2>
次に、本実施の形態による低温プロセスの多結晶性シリコンMOSTFTを用いたLCD(液晶表示装置)の製造例を示す(この製造例は後述する有機ELやFEDの表示装置等にも同様に適用可能である)。
【0202】
この製造例では、上述の製造例1において、基板61としてアルミノけい酸ガラス、ホウケイ酸ガラス等を使用し、図16の(1)、(2)及び(3)の工程を同様に行う。即ち、基板61上に触媒CVDとバイアス触媒AHA処理により錫含有(又は非含有)の多結晶性シリコン膜67を形成してこれをアイランド化し、表示領域のnMOSTFT部と周辺駆動回路領域のnMOSTFT部及びpMOSTFT部を形成する。この場合、同時に、ダイオード、コンデンサ、インダクタンス、抵抗等の領域を形成する。
【0203】
次いで、図22の(1)に示すように(但し、ダイヤモンド構造の超微粒子層100Bは図示省略:以下、同様)、各MOSTFTゲートチャンネル領域のキャリア不純物濃度を制御してVthを最適化するために、表示領域のnMOSTFT部と周辺駆動回路領域のnMOSTFT部をフォトレジスト82でカバーし、周辺駆動回路領域のpMOSTFT部に、イオン注入又はイオンドーピング法により例えば燐、ひ素等のn型不純物79を1×1012atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、2×1017atoms/ccのドナー濃度に設定し、更に図22の(2)に示すように、周辺駆動回路領域のpMOSTFT部をフォトレジスト82でカバーし、表示領域のnMOSTFT部と周辺駆動回路領域のnMOSTFT部に、イオン注入又はイオンドーピング法により例えばボロン等のp型不純物83を5×1011atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、1×1017atoms/ccのアクセプタ濃度を設定する。
【0204】
次いで、図22の(3)に示すように、表示領域のnMOSTFT部にn-型のLDD(Lightly Doped Drain)部を形成するために、汎用フォトリソグラフィ技術により、表示領域のnMOSTFTのゲート部と周辺駆動領域のpMOSTFT及びnMOSTFT全部をフォトレジスト82で覆い、露出した表示領域のnMOSTFTのソース/ドレイン領域に、イオン注入又はイオンドーピング法により例えば燐等のn型不純物79を1×1013atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、2×1018atoms/ccのドナー濃度に設定して、n-型のLDD部を形成する。
【0205】
次いで、図23の(4)に示すように、表示領域のnMOSTFT部及び周辺駆動回路領域のnMOSTFT部の全部をフォトレジスト82でカバーし、周辺駆動回路領域のpMOSTFT部のゲート部をフォトレジスト82でカバーして露出したソース、ドレイン領域に、イオン注入又はイオンドーピング法により例えばボロン等のp型不純物83を1×1015atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、2×1020atoms/ccのアクセプタ濃度に設定してp+型のソース部84、ドレイン部85を形成する。
【0206】
次いで、図23の(5)に示すように、周辺駆動回路領域のpMOSTFT部をフォトレジスト82でカバーし、表示領域のnMOSTFTのゲート及びLDD部と周辺駆動回路領域のnMOSTFT部のゲート部をフォトレジスト82でカバーし、露出した表示領域及び周辺駆動領域のnMOSTFTのソース、ドレイン領域に、イオン注入又はイオンドーピング法により例えば燐、ひ素等のn型不純物79を1×1015atoms/cm2のドーズ量でイオンドーピングし、2×1020atoms/ccのドナー濃度に設定し、n+型のソース部80、ドレイン部81を形成する。
【0207】
次いで、図23の(6)に示すように、プラズマCVD、TEOS系プラズマCVD、触媒CVD法等により、ゲート絶縁膜68として、酸化シリコン膜40〜50nm厚、窒化シリコン膜10〜20nm厚、酸化シリコン膜40〜50nm厚の積層膜を形成する。そして、ハロゲンランプ等でのRTA処理を例えば、約1000℃、10〜30秒行い、添加したn又はp型不純物を活性化することにより、設定した各々のキャリア不純物濃度を得る。
【0208】
この後に、全面に400〜500nm厚の1%Si入りアルミニウムスパッタ膜を形成し、汎用フォトリソグラフィ及びエッチングにより、全TFTのゲート電極75及びゲートラインを形成する。更にこの後に、プラズマCVD、触媒CVD法等により、酸化シリコン膜100〜200nm厚、フォスフィンシリケートガラス(PSG)膜200〜300nm厚、窒化シリコン膜100〜200nm厚の積層膜からなる絶縁膜86を形成する。
【0209】
次いで、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、周辺駆動回路の全TFT部のソース/ドレイン部及び表示用nMOSTFT部のソース部の窓開けを行う。窒化シリコン膜はCF4のプラズマエッチング、酸化シリコン膜及びリンシリケートガラス膜はフッ酸系エッチング液でエッチング処理する。
【0210】
次いで、図23の(7)に示すように、全面に400〜500nm厚の1%Si入りアルミニウムスパッタ膜を形成し、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、周辺駆動回路の全TFTのソース、ドレイン電極88、89、90、91を形成すると同時に、表示用nMOSTFTのソース電極87及びデータラインを形成する。
【0211】
次いで、図示は省略したが、プラズマCVD、触媒CVD法等により、酸化シリコン膜100〜200nm厚、フォスフィンシリケートガラス(PSG膜)200〜300nm厚、窒化シリコン膜100〜300nm厚を層間絶縁膜(上述の92)として全面に形成し、フォーミングガス中で約400℃、1時間、水素化及びシンター処理する。その後に、表示用nMOSTFTのドレイン部コンタクト用窓開けを行う。
【0212】
ここで、LCDが透過型の場合は、画素開口部の酸化シリコン膜、フォスフィンシリケートガラス膜及び窒化シリコン膜は除去し、また反射型の場合は、画素開口部等の酸化シリコン膜、フォスフィンシリケートガラス膜及び窒化シリコン膜は除去する必要はない(これは上述又は後述のLCDにおいても同様である)。
【0213】
透過型の場合、図19の(10)と同様に、全面に、スピンコート等で2〜3μm厚のアクリル系透明樹脂平坦化膜を形成し、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、表示用TFTのドレイン側の透明樹脂窓開けを形成した後、全面に130〜150nm厚のITOスパッタ膜を形成し、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、表示用nMOSTFTのドレイン部とコンタクトしたITO透明電極を形成する。更に熱処理(フォーミングガス中で200〜250℃、1時間)により、コンタクト抵抗の低減化とITO透明度向上を図る。
【0214】
反射型の場合は、全面に、スピンコート等で2〜3μm厚の感光性樹脂膜を形成し、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、少なくとも画素部に凹凸形状パターンを形成し、リフローさせて凹凸反射下部を形成する。同時に、表示用nMOSTFTのドレイン部の感光性樹脂窓開けを形成する。しかる後、全面に、300〜400nm厚の1%Si入りアルミニウムスパッタ膜を形成し、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、画素部以外のアルミニウム膜を除去し、表示用nMOSTFTのドレイン電極と接続した凹凸形状のアルミニウム反射部を形成する。その後に、フォーミングガス中で300℃、1時間シンター処理する。
【0215】
なお、上記において、nMOSTFTのソース、ドレインを形成した後に、バイアス触媒AHA処理すれば、多結晶性シリコン膜の膜温度を局部的に上昇させ、結晶化が更に促進され、高移動度及び高品質の多結晶性シリコン膜を形成する。同時に、大量の高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)などが有する熱エネルギーが膜に移動して、膜温度を局部的に上昇させるので、ゲートチャンネル/ソース/ドレイン領域に注入された燐、ひ素、ボロンイオン等が活性化される。
【0216】
なお、プラズマCVD法によってアモルファスシリコン含有微結晶シリコン膜を形成した場合、膜中に10〜20%の水素が含有されるが、バイアス触媒AHA処理によって減少/除去することができて多結晶性シリコン膜化し、高移動度及び高品質の多結晶性シリコン膜を形成する。又、アモルファスシリコン含有微結晶シリコン等の膜上又は膜内にシリコン酸化物が存在するときに、これと還元反応してSiOを生成し、蒸発させるので、それらの膜上又は膜内のシリコン酸化物を減少/除去させることができ、高移動度及び高品質の多結晶性シリコン膜を形成できる。
【0217】
<ボトムゲート型又はデュアルゲート型MOSTFT>
MOSTFTを組み込んだ例えばLCDにおいて、上述のトップゲート型に代えて、ボトムゲート型、デュアルゲート型のMOSTFTからなる透過型LCDを製造した例を述べる(但し、反射型LCDも同様である)。
【0218】
図24(B)に示すように、表示部及び周辺部にはボトムゲート型のnMOSTFTが設けられ、或いは図24(C)に示すように、表示部及び周辺部にはデュアルゲート型のnMOSTFTがそれぞれ設けられている。これらのボトムゲート型、デュアルゲート型MOSTFTのうち、特にデュアルゲート型の場合には上下のゲート部によって駆動能力が向上し、高速スイッチングに適し、また上下のゲート部のいずれかを選択的に用いて場合に応じてトップゲート型又はボトムゲート型として動作させることもできる。
【0219】
図24(B)のボトムゲート型MOSTFTにおいて、図中の102はMo−Ta合金等のゲート電極であり、103は窒化シリコン膜及び104は酸化シリコン膜であってゲート絶縁膜を形成し、このゲート絶縁膜上にはトップゲート型MOSTFTと同様の多結晶性シリコン膜67を用いたチャンネル領域等が形成されている。また、図24(C)のデュアルゲート型MOSTFTにおいて、下部ゲート部はボトムゲート型MOSTFTと同様であるが、上部ゲート部は、ゲート絶縁膜106を酸化シリコン膜と窒化シリコン膜、必要に応じて更に酸化シリコン膜の積層膜で形成し、この上に上部ゲート電極75を設けている。
【0220】
<ボトムゲート型MOSTFTの製造>
まず、ガラス基板61上の全面に、Mo−Ta合金のスパッタ膜を300〜400nm厚に形成し、これを汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により20〜45度のテーパーエッチングし、少なくともTFT形成領域に、ボトムゲート電極102を形成すると同時に、ゲートラインを形成する。ガラス材質の使い分けは上述したトップゲート型に準ずる。
【0221】
次いで、プラズマCVD、TEOS系プラズマCVD、触媒CVD、減圧CVD等の気相成長法により、ゲート絶縁膜及び保護膜用の窒化シリコン膜103及び酸化シリコン膜104と、錫含有のアモルファスシリコン含有微結晶シリコン膜とを形成する。この膜は上述したと同様に更にバイアス触媒AHA処理を繰り返して多結晶性シリコン膜67を形成する。これらの気相成膜条件は上述したトップゲート型に準ずる。なお、ボトムゲート絶縁膜及び保護膜用の窒化シリコン膜はガラス基板からのNaイオンストッパ作用を期待して設けるものであるが、合成石英ガラスの場合は不要である。
【0222】
これ以降のプロセスは上述したものに準ずるが、すでに上記の工程でゲート電極を形成しているので、ここではゲート電極用多結晶シリコン膜形成、ゲート電極形成、ゲート多結晶シリコン酸化工程は不要である。
【0223】
そして次に、上述したと同様に、pMOSTFT、nMOSTFT領域をアイランド化し(但し、一方の領域のみを図示:以下、同様)、各チャンネル領域のキャリア不純物濃度を制御してVthを最適化するために、イオン注入又はイオンドーピング法によりn型又はp型不純物を適当量混入した後、更に、各MOSTFTのソース、ドレイン領域を形成するためにイオン注入又はイオンドーピング法によりn型又はp型不純物を適当量混入させる。この後に、不純物活性化のためにRTA処理(約1000℃、10〜30秒間)する。
【0224】
これ以降のプロセスは、上述したものに準ずる。
【0225】
<デュアルゲート型MOSTFTの製造>
上記のボトムゲート型と同様に、ボトムゲート電極102、ゲート絶縁膜103及び104、多結晶性シリコン膜67をそれぞれ形成する。但し、ボトムゲート絶縁膜及び保護膜用の窒化シリコン膜103はガラス基板からのNaイオンストッパ作用を期待して設けるものであるが、合成石英ガラスの場合は不要である。
【0226】
そして次に、上述したと同様に、pMOSTFT、nMOSTFT領域をアイランド化し、各チャンネル領域のキャリア不純物濃度を制御してVthを最適化するために、イオン注入又はイオンドーピング法によりn型又はp型不純物を適当量混入した後、更に、各MOSTFTのソース、ドレイン領域を形成するためにイオン注入又はイオンドーピング法によりn型又はp型不純物を適当量混入させる。
【0227】
次いで、トップゲート絶縁膜106用の酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜、必要に応じて更に酸化シリコン膜の積層膜を成膜する。気相成長条件は上述したトップゲート型に準ずる。この後に、不純物活性化のためにRTA処理(約1000℃、10〜30秒間)する。
【0228】
この後に、全面に400〜500nm厚の1%Si入りアルミニウムスパッタ膜を形成し、汎用フォトリグラフィ及びエッチング技術により、全TFTのトップゲート電極75及びゲートラインを形成する。この後に、プラズマCVD、触媒CVD法等により、酸化シリコン膜100〜200nm厚、フォスフィンシリケートガラス(PSG)膜200〜300nm厚からなる絶縁膜86を形成する。次に、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、周辺駆動回路の全MOSTFTのソース、ドレイン電極部、さらに表示部nMOSTFTのソース電極部の窓開けを行う。
【0229】
次いで、全面に400〜500nm厚の1%Si入りアルミニウムスパッタ膜を形成し、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、ソース及びドレインの各アルミニウム電極87、88及び89、ソースライン及び配線等を形成する。次いで、プラズマCVD、触媒CVD法等により、酸化シリコン膜100〜200nm厚、フォスフィンシリケートガラス(PSG膜)200〜300nm厚、窒化シリコン膜100〜300nm厚を層間絶縁膜92として全面に形成し、フォーミングガス中で約400℃、1時間、水素化及びシンター処理する。その後に、表示用nMOSTFTのドレイン部コンタクト用窓開けを行い、画素電極93を形成する。
【0230】
上述したように、本実施の形態によれば、上述の第1の実施の形態と同様に、触媒CVD又はバイアス触媒CVDとバイアス触媒AHA処理により、LCDの表示部及び周辺駆動回路部のMOSTFTのゲートチャンネル、ソース及びドレイン領域となる、高キャリア移動度でVth調整が容易であり、低抵抗での高速動作が可能な多結晶性シリコン膜を形成することができる。この多結晶性シリコン膜によるトップゲート、ボトムゲート又はデュアルゲート型MOSTFTを用いた液晶表示装置は、高いスイッチング特性と低リーク電流のLDD構造を有する表示部と、高い駆動能力のCMOS、又はnMOS、又はpMOS周辺駆動回路を一体化した構成が可能となり、高画質、高精細、狭額縁、高効率、安価な液晶パネルの実現が可能である。
【0231】
そして、低温(300〜400℃)で形成できるので、安価で、大型化が容易な低歪点ガラスを採用でき、コストダウンが可能となる。しかも、アレイ部上にカラーフィルタやブラックマスクを作り込むことにより、液晶表示パネルの開口率、輝度等を改善し、カラーフィルタ基板を不要とし、生産性改善等によるコストダウンが実現する。
【0232】
第3の実施の形態
本実施の形態は、本発明を有機又は無機のエレクトロルミネセンス(EL)表示装置、例えば有機EL表示装置に適用したものである。以下にその構造例と製造例を示す。
【0233】
<有機EL素子の構造例I>
図25(A)、(B)に示すように、この構造例Iによれば、ガラス等の基板111上に、本発明に基づいて上述した方法で形成された高結晶化率、大粒径の多結晶性シリコン膜によって、スイッチング用MOSTFT1と電流駆動用MOSTFT2のゲートチャンネル117、ソース領域120及びドレイン領域121が形成されている。そして、ゲート絶縁膜118上にゲート電極115、ソース及びドレイン領域上にソース電極127及びドレイン電極128、131が形成されている。MOSTFT1のドレインとMOSTFT2のゲートとはドレイン電極128を介して接続されていると共に、MOSTFT2のソース電極127との間に絶縁膜136を介してキャパシタCが形成され、かつ、MOSTFT2のドレイン電極131は有機EL素子の陰極138にまで延設されている。
【0234】
各MOSTFTは絶縁膜130で覆われ、この絶縁膜上には陰極を覆うように有機EL素子の例えば緑色有機発光層132(又は青色有機発光層133、更には図示しない赤色有機発光層)が形成され、この有機発光層を覆うように陽極(1層目)134が形成され、更に共通の陽極(2層目)135が全面に形成されている。なお、CMOSTFTからなる周辺駆動回路、映像信号処理回路、メモリー回路等の製法は、上述した液晶表示装置に準ずる(以下、同様)。
【0235】
この構造の有機EL表示部は、有機EL発光層が電流駆動用MOSTFT2のドレインに接続され、陰極(Li−Al、Mg−Agなど)138がガラス等の基板111の面に被着され、陽極(ITO膜など)134、135がその上部に設けられており、従って、上面発光136’となる。また、陰極がMOSTFT上を覆っている場合は発光面積が大きくなり、このときには陰極が遮光膜となり、発光光等がMOSTFTに入射しないのでリーク電流発生がなく、TFT特性の悪化がない。
【0236】
また、各画素部周辺に図25(C)のようにブラックマスク部(クロム、二酸化クロム等)140を形成すれば、光漏れ(クロストーク等)を防止し、コントラストの向上が図れる。
【0237】
なお、画素表示部に緑色、青色、赤色の3色発光層を使用する方法、色変換層を使用する方法、白色発光層にカラーフィルターを使用する方法のいずれでも、良好なフルカラーのEL表示装置が実現でき、また、各色発光材料である高分子化合物のスピンコーティング法、又は金属錯体の真空加熱蒸着法においても、長寿命、高精度、高品質、高信頼性のフルカラー有機EL部を生産性良く作成できるので、コストダウンが可能となる(以下、同様)。
【0238】
従来のこの種の有機ELは、アモルファスシリコンTFTを用いているので、Vthが変動しても電流値が変わり易く、画質に変動が起き易い。しかも、移動度が小さいため、高速応答でドライブできる電流にも限界があり、またpチャンネルの形成が困難であり、小規模なCMOS回路構成さえも困難である。そこで、比較的大面積化が容易であって高信頼性で移動度も高く、CMOS回路構成も可能な多結晶シリコンTFTを用いることが望ましいが、従来の多結晶シリコン膜は、1)アモルファスシリコン膜を300〜400℃のプラズマCVD法で成膜し、エキシマレーザーアニールして多結晶シリコン膜化する。2)アモルファスシリコン膜を430〜500℃のLPCVD法で成膜し、窒素ガス中で600℃/5〜20hrと850℃/0.5〜3hrで固相成長させて多結晶シリコン膜化する。
【0239】
しかし、1)は、高価なエキシマレーザー装置の採用、エキシマレーザーの不安定性起因のTFT特性むらと品質問題、生産性低下等によるコストアップとなる。2)は、600℃以上、15〜20hrsの長時間の熱処理のために、汎用ガラス基板を使用できず、石英ガラス採用となるので、コストアップとなる。また、フルカラー有機EL層では、その微細加工プロセスにおいて、電極の酸化や有機EL材料が酸素、水分にさらされたり、加熱で構造変化(溶解あるいは再結晶化)して劣化しやすいので、各色発光領域を高精度に形成するのが難しい。
【0240】
次に、本実施の形態による有機EL素子の製造プロセスを説明すると、まず、図26の(1)に示すように、上述した工程を経て多結晶性シリコン膜からなるソース領域120、チャンネル領域117及びドレイン領域121を形成した後、ゲート絶縁膜118を形成し、この上にMOSTFT1、2のゲート電極115をMo−Ta合金等のスパッタリング成膜とフォトリソグラフィ及びエッチング技術により形成し、またMOSTFT1のゲート電極に接続されるゲートラインをスパッタリング成膜とフォトリソグラフィ及びエッチング技術により(以下、同様)形成する。そして、オーバーコート膜(酸化シリコン等)137を触媒CVD等の気相成長法により(以下、同様)形成後、MOSTFT2のソース電極127及びアースラインを形成し、更にオーバーコート膜(酸化シリコン/窒化シリコン積層膜など)136を形成する。
【0241】
次いで、図26の(2)に示すように、MOSTFT1のソース/ドレイン部、MOSTFT2のゲート部の窓開けを行った後、図26の(3)に示すように、1%Si入りAlのスパッタリングと汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりMOSTFT1のドレイン電極とMOSTFT2のゲート電極を1%Si入りAl配線128で接続し、同時にMOSTFT1のソース電極と、この電極に接続される1%Si入りAlからなるソースラインを形成する。そして、オーバーコート膜(酸化シリコン/フォスフィンシリケートガラス/窒化シリコン積層膜など)130を形成し、MOSTFT2のドレイン部の窓開けを行い、MOSTFT2のドレイン部と接続した発光部の陰極138を形成する。
【0242】
次いで、図26の(4)に示すように、有機発光層132等及び陽極134、135を形成する。
【0243】
なお、上記において、緑色(G)発光有機EL層、青色(B)発光有機EL層、赤色(R)発光有機EL層はそれぞれ、100〜200nm厚に形成するが、これらの有機EL層は、低分子化合物の場合は真空加熱蒸着法で形成され、高分子化合物の場合はディッピングコーティング、スピンコーティングなどの塗布法やインクジェット法によりR、G、B発光ポリマーを配列する方法が用いられる。金属錯体の場合は、昇華可能な材料を真空加熱蒸着法で形成される。
【0244】
有機EL層には、単層型、二層型、三層型等があるが、ここでは低分子化合物の三層型の例を示す。
単層型;陽極/バイポーラー発光層/陰極、
二層型;陽極/ホール輸送層/電子輸送性発光層/陰極、又は陽極/ホール輸送性発光層/電子輸送層/陰極、
三層型;陽極/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、又は陽極/ホール輸送性発光層/キャリアブロック層/電子輸送性発光層/陰極
【0245】
なお、図25(B)の素子において、有機発光層の代わりに公知の発光ポリマーを用いれば、パッシブマトリクス又はアクティブマトリクス駆動の発光ポリマー表示装置(LEPD)として構成することができる(以下、同様)。
【0246】
<有機EL素子の構造例II>
図27(A)、(B)に示すように、この構造例IIによれば、ガラス等の基板111上に、上記の構造例Iと同様に、本発明に基づいて上述した方法で形成された高結晶化率、大粒径の多結晶性シリコン膜によって、スイッチング用MOSTFT1と電流駆動用MOSTFT2のゲートチャンネル117、ソース領域120及びドレイン領域121が形成されている。そして、ゲート絶縁膜118上にゲート電極115、ソース及びドレイン領域上にソース電極127及びドレイン電極128、131が形成されている。MOSTFT1のドレインとMOSTFT2のゲートとはドレイン電極128を介して接続されていると共に、MOSTFT2のドレイン電極131との間に絶縁膜136を介してキャパシタCが形成され、かつ、MOSTFT2のソース電極127は有機EL素子の陽極144にまで延設されている。
【0247】
各MOSTFTは絶縁膜130で覆われ、この絶縁膜上には陽極を覆うように有機EL素子の例えば緑色有機発光層132(又は青色有機発光層133、更には図示しない赤色有機発光層)が形成され、この有機発光層を覆うように陰極(1層目)141が形成され、更に共通の陰極(2層目)142が全面に形成されている。
【0248】
この構造の有機EL表示部は、有機EL発光層が電流駆動用MOSTFT2のソースに接続され、ガラス等の基板111の面に被着された陽極144を覆うように有機EL発光層を形成し、その有機EL発光層を覆うように陰極141を形成し、全面に陰極142を形成しており、従って、下面発光136’となる。また、陰極が有機EL発光層間及びMOSTFT上を覆っている。即ち、全面に、例えば緑色発光有機EL層を真空加熱蒸着法等により形成した後に、緑色発光有機EL部をフォトリソグラフィ及びドライエッチングで形成し、連続して同様に、青色、赤色発光有機EL部を形成し、最後に全面に陰極(電子注入層)141をマグネシウム:銀合金又はアルミニウム:リチウム合金により形成する。この全面に更に形成した陰極(電子注入層)で密封するので、外部から有機EL層間に湿気が侵入することを特に全面被着の陰極142により防止して湿気に弱い有機EL層の劣化や電極の酸化を防止し、長寿命、高品質、高信頼性が可能となる(これは、図25の構造例Iでも陽極で全面被覆されているため、同様である)。また、陰極141及び142により放熱効果が高まるので、発熱による薄膜の構造変化(融解又は再結晶化)が低減し、長寿命、高品質、高信頼性が可能となる。しかも、これによって、高精度、高品質のフルカラーの有機EL層を生産性良く作成できるので、コストダウンが可能となる。
【0249】
また、各画素部周辺に図27(C)のようにブラックマスク部(クロム、二酸化クロム等)140を形成すれば、光漏れ(クロストーク等)を防止し、コントラストの向上が図れる。なお、このブラックマスク部140は、酸化シリコン膜143(これはゲート絶縁膜118と同時に同一材料で形成してよい。)によって覆われている。
【0250】
次に、この有機EL素子の製造プロセスを説明すると、まず、図28の(1)に示すように、上述した工程を経て多結晶性シリコン膜からなるソース領域120、チャンネル領域117及びドレイン領域121を形成した後、触媒CVD等の気相成長法によりゲート絶縁膜118を形成し、1%Si入りAlのスパッタリング成膜及び汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりこの上にMOSTFT1、2のゲート電極115を形成し、また1%Si入りAlのスパッタリング成膜及び汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりMOSTFT1のゲート電極に接続されるゲートラインを形成する。そして、触媒CVD等の気相成長法によりオーバーコート膜(酸化シリコン等)137を形成後、1%Si入りAlのスパッタリング成膜及び汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりMOSTFT2のドレイン電極131及びVddラインを形成し、更に触媒CVD等の気相成長法によりオーバーコート膜(酸化シリコン/窒化シリコン積層膜等)136を形成する。
【0251】
次いで、図28の(2)に示すように、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりMOSTFT1のソース/ドレイン部、MOSTFT2のゲート部の窓開けを行った後、図28の(3)に示すように、1%Si入りAlのスパッタリング成膜及び汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、MOSTFT1のドレインとMOSTFT2のゲートを1%Si入りAl配線128で接続し、同時にMOSTFT1のソースに接続される1%Si入りAlからなるソースラインを形成する。そして、オーバーコート膜(酸化シリコン/フォスフィンシリケートガラス/窒化シリコン積層膜など)130を形成し、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりMOSTFT2のソース部の窓開けを行い、ITO等のスパッタリング及び汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりMOSTFT2のソース部と接続した発光部の陽極144を形成する。
【0252】
次いで、図28の(4)に示すように、上記のように有機発光層132等及び陰極141、142を形成する。
【0253】
なお、以下に述べる有機ELの各層の構成材料や形成方法は図27の例に適用されるが、図25の例にも同様に適用されてよい。
【0254】
緑色発光有機EL層に低分子化合物を用いる場合は、ガラス基板上の陽極(ホール注入層)である電流駆動用MOSTFTのソース部とコンタクトしたITO透明電極上に、連続した真空加熱蒸着法により形成する。
1)ホール輸送層は、アミン系化合物(例えば、トリアリールアミン誘導体、アリールアミンオリゴマー、芳香族第三アミン等)等
2)発光層は、緑色発光材料であるトリス(8−ヒドロキシキシリノ)Al錯体(Alq)等
3)電子輸送層は、1,3,4−オキサジアゾール誘導体(OXD)、1,2,4−トリアゾール誘導体(TAZ)等
4)陰極である電子注入層は、4eV以下の仕事関数を有する材料で作られるのが好ましい。
例えば、10:1(原子比)のマグネシウム:銀合金の10〜30nm厚
アルミニウム:リチウム(濃度は0.5〜1%)合金の10〜30nm厚
ここで、銀は有機界面との接着性を増すためにマグネシウム中に1〜10原子%添加され、リチウムは安定化のためにアルミニウム中に濃度は0.5〜1%添加される。
【0255】
緑色画素部を形成するには、緑色画素部をフォトレジストでマスクし、CCl4ガスのプラズマエッチングにより陰極である電子注入層のアルミニウム:リチウム合金を除去し、連続して電子輸送層、発光層、ホール輸送層の低分子系化合物及びフォトレジストを酸素プラズマエッチングで除去し、緑色画素部を形成する。この時に、フォトレジストの下にはアルミニウム:リチウム合金があるので、フォトレジストがエッチングされても問題ない。又、この時に、電子輸送層、発光層、ホール輸送層の低分子系化合物層は、ホール注入層のITO透明電極よりも大きい面積とし、後工程で全面に形成する陰極の電子注入層(マグネシウム:銀合金)と電気的ショートしないようにする。
【0256】
次に、青色発光有機EL層を低分子化合物で形成する場合は、ガラス基板上の陽極(ホール注入層)である電流駆動用TFTのソース部とコンタクトしたITO透明電極上に、連続して真空加熱蒸着により形成する。
1)ホール輸送層は、アミン系化合物(例えば、トリアリールアミン誘導体、アリールアミンオリゴマー、芳香族第三アミン等)等
2)発光層は、青色発光材料であるDTVBiのようなジスチリル誘導体等
3)電子輸送層は、1,3,4−オキサジアゾール誘導体(TAZ)、1,2,4−トリアゾール誘導体(TAZ)等
4)陰極である電子注入層は、4eV以下の仕事関数を有する材料で作られるのが好ましい。
例えば、10:1(原子比)のマグネシウム:銀合金の10〜30nm厚
アルミニウム:リチウム(濃度は0.5〜1%)合金の10〜30nm厚
ここで、銀は有機界面との接着性を増すためにマグネシウム中に1〜10原子%添加され、リチウムは安定化のためにアルミニウム中に濃度は0.5〜1%添加される。
【0257】
青色画素部を形成するには、青色画素部をフォトレジストでマスクし、CCl4ガスのプラズマエッチングで陰極である電子注入層のアルミニウム:リチウム合金を除去し、連続して電子輸送層、発光層、ホール輸送層の低分子系化合物及びフォトレジストを酸素プラズマエッチングで除去し、青色画素部を形成する。この時に、フォトレジストの下にはアルミニウム:リチウム合金があるので、フォトレジストがエッチングされても問題ない。又、この時に、電子輸送層、発光層、ホール輸送層の低分子系化合物層は、ホール注入層のITO透明電極よりも大きい面積とし、後工程で全面に形成する陰極の電子注入層(マグネシウム:銀合金)と電気的ショートしないようにする。
【0258】
また、赤色発光有機EL層を低分子化合物で形成する場合は、ガラス基板上の陽極(ホール注入層)である電流駆動用TFTのソース部とコンタクトしたITO透明電極上に、連続して真空加熱蒸着により形成する。
1)ホール輸送層は、アミン系化合物(例えば、トリアリールアミン誘導体、アリールアミンオリゴマー、芳香族第三アミン等)等
2)発光層は、赤色発光材料であるEu(Eu(DBM)3(Phen))等
3)電子輸送層は、1,3,4−オキサジアゾール誘導体(OXD)、1,2,4−トリアゾール誘導体(TAZ)等
4)陰極である電子注入層は、4eV以下の仕事関数を有する材料で作られるのが好ましい。
例えば、10:1(原子比)のマグネシウム:銀合金の10〜30nm厚
アルミニウム:リチウム(濃度は0.5〜1%)合金の10〜30nm厚
銀は有機界面との接着性を増すためにマグネシウム中に1〜10原子%添加され、リチウムは安定化のためにアルミニウム中に濃度は0.5〜1%添加される。
【0259】
赤色画素部を形成するには、赤色画素部をフォトレジストでマスクし、CCl4ガスのプラズマエッチングで陰極である電子注入層のアルミニウム:リチウム合金を除去し、連続して電子輸送層、発光層、ホール輸送層の低分子系化合物及びフォトレジストを酸素プラズマエッチングで除去し、赤色画素部を形成する。この時に、フォトレジストの下にはアルミニウム:リチウム合金があるので、フォトレジストがエッチングされても問題ない。又、この時に、電子輸送層、発光層、ホール輸送層の低分子系化合物層は、ホール注入層のITO透明電極よりも大きい面積とし、後工程で全面に形成する陰極の電子注入層(マグネシウム:銀合金)と電気的ショートしないようにする。
【0260】
陰極である電子注入層は、4eV以下の仕事関数を有する材料で作られるのが好ましい。例えば、10:1(原子比)のマグネシウム:銀合金の10〜30nm厚、又はアルミニウム:リチウム(濃度は0.5〜1%)合金の10〜30nm厚とする。ここで、銀は有機界面との接着性を増すためにマグネシウム中に1〜10原子%添加され、リチウムは安定化のためにアルミニウム中に濃度は0.5〜1%添加される。なお、スパッタリングで成膜してもよい。
【0261】
第4の実施の形態
本実施の形態は、本発明を電界放出型(フィールドエミッション)ディスプレイ装置(FED:Field Emission Display)に適用したものである。以下にその構造例と製造例を示す。
【0262】
<FEDの構造例I>
図29(A)、(B)、(C)に示すように、この構造例Iによれば、ガラス等の基板111上に、本発明に基づいて上述した方法で形成された高結晶化率、大粒径の多結晶性シリコン膜によって、スイッチング用MOSTFT1と電流駆動用MOSTFT2のゲートチャンネル117、ソース領域120及びドレイン領域121が形成されている。そして、ゲート絶縁膜118上にゲート電極115、ソース及びドレイン領域上にソース電極127及びドレイン電極128が形成されている。MOSTFT1のドレインとMOSTFT2のゲートとはドレイン電極128を介して接続されていると共に、MOSTFT2のソース電極127との間に絶縁膜136を介してキャパシタCが形成され、かつ、MOSTFT2のドレイン領域121はそのままFED素子のFEC(電界放出カソード)にまで延設され、エミッタ領域152として機能している。
【0263】
各MOSTFTは絶縁膜130で覆われ、この絶縁膜上には、FECのゲート引き出し電極150と同一材料にて同一工程で接地用の金属遮蔽膜151が形成され、各MOSTFT上を覆っている。FECにおいては、多結晶性シリコン膜からなるエミッタ領域152上に電界放出エミッタとなるn型多結晶性シリコン膜153が形成され、更にm×n個の各エミッタに区画するための開口を有するように、絶縁膜118、137、136及び130がパターニングされ、この上面にはゲート引き出し電極150が被着されている。
【0264】
また、このFECに対向して、バックメタル155付きの蛍光体156をアノードとして形成したガラス基板等の基板157が設けられており、FECとの間は高真空に保持されている。
【0265】
この構造のFECにおいては、ゲート引き出し電極150の開口下には、本発明に基づいて形成された多結晶性シリコン膜152上に成長されたn型多結晶性シリコン膜153が露出し、これがそれぞれ電子154を放出する薄膜型のエミッタとして機能する。即ち、エミッタの下地となる多結晶性シリコン膜152は、大粒径(グレインサイズ数100nm以上)のグレインからなっているため、これをシードとしてその上にn型多結晶性シリコン膜153を触媒CVD等によって成長させると、この多結晶性シリコン膜153はさらに大きな粒径で成長し、表面が電子放出にとって有利な微細な凹凸158を生じるように形成されるのである。
【0266】
従って、エミッタが薄膜からなる面放出型であるために、その形成が容易であると共に、エミッタ性能も安定し、長寿命化が可能となる。
【0267】
また、すべての能動素子(これには周辺駆動回路及び画素表示部のMOSTFTとダイオードが含まれる。)の上部にアース電位の金属系遮蔽膜151(この金属系遮蔽膜は、ゲート引き出し電極150と同じ材料(Nb、Ti/Mo、金属シリサイド等)、同じ工程で形成すると工程上都合がよい。)が形成されているので、次の(1)、(2)の利点を得ることができる。
【0268】
(1)気密容器内にあるガスがエミッタ153から放出された電子により正イオン化されて絶縁層上にチャージアップし、この正電荷が絶縁層下にあるMOSTFTに不要な反転層を形成し、この反転層からなる不要な電流経路を介して余分な電流が流れるために、エミッタ電流の暴走が起きる。しかし、MOSTFT上の絶縁層に金属系遮蔽膜151を形成してアース電位に落としているので、チャージアップ防止が可能となり、エミッタ電流の暴走を防止できる。
【0269】
(2)エミッタ153から放出された電子の衝突により蛍光体156が発光するが、この光によりMOSTFTのゲートチャンネル内に電子、正孔が発生し、リーク電流となる。しかし、MOSTFT上の絶縁層に金属系遮蔽膜151が形成されているので、MOSTFTへの光入射が防止され、MOSTFTの動作不良は生じない。
【0270】
また、触媒CVD等により、少なくとも多結晶性シリコンMOSTFTのドレイン領域に連続してn型多結晶性シリコン膜の電子放出体(エミッタ)が形成されているので、その接合性が良好であり、高効率のエミッタ特性が可能となる。
【0271】
また、1つの画素表示部の電子放出体(エミッタ)領域を複数に分割し、それぞれにスイッチング素子のMOSTFTを接続すれば、たとえ1つのMOSTFTが故障しても、他のMOSTFTが動作するので、1つの画素表示部は必ず電子放出する構成となっており、高品質で歩留が高く、コストダウンできる。又、これらのMOSTFTにおいて、電気的オープン不良のMOSTFTは問題ないが、電気的ショートしたMOSTFTはレーザーリペアで分離できるので、高品質で歩留が高く、コストダウンできる。
【0272】
これに比べて、従来のFEDでは、シリコン単結晶基板を用いるために、基板コストが高く、ウエーハサイズ以上の大面積化が困難である。そして、カソード電極表面に減圧CVD等により導電性の多結晶シリコン膜を形成し、その表面にプラズマCVD等により結晶性ダイヤモンド膜を形成して電子放出体を構成することが提案されているが、減圧CVD時の成膜温度が630℃と高く、ガラス基板を採用できないので、コストダウンが難しい。そして、その減圧CVDによる多結晶シリコン膜は粒径が小さく、その上の結晶性ダイヤモンド膜も粒径が小さく、電子放出体の特性が良くない。更に、プラズマCVDのために、反応エネルギーが不足しているので、良い結晶性ダイヤモンド膜は得にくい。又、透明電極又はAl、Ti、Cr等の金属のカソード電極と導電性の多結晶シリコン膜の接合性が悪いので、良好な電子放出特性は得られない。
【0273】
次に、本実施の形態によるFEDの製造プロセスを説明すると、まず、図30の(1)に示すように、上述した工程を経て全面に多結晶性シリコン膜117を形成した後、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりMOSTFT1とMOSTFT2及びエミッタ領域にアイランド化し、プラズマCVD、触媒CVD法等により全面に保護用酸化シリコン膜159を形成する。
【0274】
次いで、MOSTFT1、2のゲートチャンネル不純物濃度の制御によるVthの最適化のために、イオン注入又はイオンドーピング法により全面にボロンイオン83を5×1011atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、1×1017atoms/ccのアクセプタ濃度に設定する。
【0275】
次いで、図30の(2)に示すように、フォトレジスト82をマスクにして、イオン注入又はイオンドーピング法によりMOSTFT1、2のソース/ドレイン部及びエミッタ領域に燐イオン79を1×1015atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、2×1020atoms/ccのドナー濃度に設定し、ソース領域120、ドレイン領域121、エミッタ領域152をそれぞれ形成した後、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりエミッタ領域の保護用酸化シリコン膜を除去する。
【0276】
次いで、図30の(3)に示すように、触媒CVDによりエミッタ領域を形成する多結晶性シリコン膜152をシードに、モノシランとPH3等のドーパントを適量比率で混合し、表面に微細凹凸158を有し、ドーパントを例えば5×1020〜1×1021atoms/cc含有するn型多結晶性シリコン膜153を1〜5μm厚にエミッタ領域に形成し、同時に他の酸化シリコン膜159及びガラス基板111上にはn型アモルファスシリコン膜160を1〜5μm厚に形成する。
【0277】
次いで、図30の(4)に示すように、上述した触媒AHA処理時の活性化水素イオンにより、アモルファスシリコン膜160をエッチング除去し、酸化シリコン膜159のエッチング除去後に触媒CVD等によりゲート絶縁膜(酸化シリコン膜等)118を形成する。
【0278】
次いで、図31の(5)に示すように、スパッタリング法によるMo−Ta合金等の耐熱性金属によりMOSTFT1、2のゲート電極115、MOSTFT1のゲート電極に接続されるゲートラインを形成し、オーバーコート膜(酸化シリコン膜等)137を形成した後、MOSTFT2のソース部窓開け後にスパッタリング法によるMo−Ta合金等の耐熱性金属でMOSTFT2のソース電極127及びアースラインを形成する。更に、プラズマCVD、触媒CVD等によりオーバーコート膜(酸化シリコン/窒化シリコン積層膜など)136を形成し、RTA処理等の1000℃、10〜20秒のイオン活性化処理を行う。
【0279】
次いで、図31の(6)に示すように、MOSTFT1のソース/ドレイン部及びMOSTFT2のゲート部の窓開けを行い、MOSTFT1のドレインとMOSTFT2のゲートを1%Si入りAl配線128で接続し、同時にMOSTFT1のソース電極とそのソースに接続されるソースライン127を形成する。
【0280】
次いで、図31の(7)に示すように、オーバーコート膜(酸化シリコン/フォスフィンシリケートガラス/窒化シリコン積層膜など)130を形成した後、GNDラインの窓開けし、図31の(8)に示すように、ゲート引き出し電極150や金属遮蔽膜151をNb蒸着後のエッチングで形成し、更に電界放出カソード部を窓開けしてエミッタ153を露出させ、上述したバイアス触媒AHA処理の水素系活性種等でクリーニングする。
【0281】
<FEDの構造例II>
図32(A)、(B)、(C)に示すように、この構造例IIによれば、ガラス等の基板111上に、上記の構造例Iと同様に、本発明に基づいて上述した方法で形成された高結晶化率、大粒径の多結晶性シリコン膜によって、スイッチング用MOSTFT1と電流駆動用MOSTFT2のゲートチャンネル117、ソース領域120及びドレイン領域121が形成されている。そして、ゲート絶縁膜118上にゲート電極115、ソース及びドレイン領域上にソース電極127及びドレイン電極128が形成されている。MOSTFT1のドレインとMOSTFT2のゲートとはドレイン電極128を介して接続されていると共に、MOSTFT2のソース電極127との間に絶縁膜136を介してキャパシタCが形成され、かつ、MOSTFT2のドレイン領域121はそのままFED素子のFEC(電界放出カソード)にまで延設され、エミッタ領域152として機能している。
【0282】
各MOSTFTは絶縁膜130で覆われ、この絶縁膜上には、FECのゲート引き出し電極150と同一材料にて同一工程で接地用の金属遮蔽膜151が形成され、各MOSTFT上を覆っている。FECにおいては、多結晶シリコン膜からなるエミッタ領域152上に電界放出エミッタとなるn型多結晶ダイヤモンド膜163が形成され、更にm×n個の各エミッタに区画するための開口を有するように、絶縁膜118、137、136及び130がパターニングされ、この上面にはゲート引き出し電極150が被着されている。
【0283】
また、このFECに対向して、バックメタル155付きの蛍光体156をアノードとして形成したガラス基板等の基板157が設けられており、FECとの間は高真空に保持されている。
【0284】
この構造のFECは、ゲート引き出し電極150の開口下には、本発明に基づいて形成された多結晶性シリコン膜152上に成長されたn型多結晶ダイヤモンド膜163が露出し、これがそれぞれ電子154を放出する薄膜型のエミッタとして機能する。即ち、エミッタの下地となる多結晶性シリコン膜152は、大粒径(グレインサイズ数100nm以上)のグレインからなっているため、これをシードとしてその上にn型多結晶性ダイヤモンド膜163を触媒CVD等によって成長させると、この多結晶性ダイヤモンド膜163はやはり大粒径で成長し、表面が電子放出にとって有利な微細な凹凸168を生じるように形成されるのである。
【0285】
従って、エミッタが薄膜からなる面放出型であるために、その形成が容易であると共に、エミッタ性能も安定し、長寿命化が可能となる。
【0286】
また、すべての能動素子(これには周辺駆動回路及び画素表示部のMOSTFTとダイオードが含まれる。)の上部にアース電位の金属系遮蔽膜151(この金属系遮蔽膜は、ゲート引き出し電極150と同じ材料(Nb、Ti/Mo、金属シリサイド等)、同じ工程で形成すると工程上都合がよい。)が形成されているので、上述したと同様に、MOSTFT上の絶縁層に金属系遮蔽膜151を形成してアース電位に落とし、チャージアップ防止が可能となり、エミッタ電流の暴走を防止でき、また、MOSTFT上の絶縁層に金属系遮蔽膜151が形成されているので、MOSTFTへの光入射が防止され、MOSTFTの動作不良は生じない。
【0287】
次に、このFEDの製造プロセスを説明すると、まず、図33の(1)に示すように、上述した工程を経て全面に多結晶性シリコン膜117を形成した後、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりMOSTFT1とMOSTFT2及びエミッタ領域にアイランド化し、プラズマCVD、触媒CVD法等により全面に保護用酸化シリコン膜159を形成する。
【0288】
次いで、MOSTFT1、2のゲートチャンネル不純物濃度の制御によるVthの最適化のために、イオン注入又はイオンドーピング法により全面にボロンイオン83を5×1011atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、1×1017atoms/ccのアクセプタ濃度に設定する。
【0289】
次いで、図33の(2)に示すように、フォトレジスト82をマスクにして、イオン注入又はイオンドーピング法によりMOSTFT1、2のソース/ドレイン部及びエミッタ領域に燐イオン79を1×1015atoms/cm2のドーズ量でドーピングし、2×1020atoms/ccのドナー濃度に設定し、ソース領域120、ドレイン領域121、エミッタ領域152をそれぞれ形成した後、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりエミッタ領域の保護用酸化シリコン膜を除去する。
【0290】
次いで、図33の(3)に示すように、触媒CVDによりエミッタ領域を形成する多結晶性シリコン膜152をシードに、モノシランとメタン(CH4)及びドーパントを適量比率混合し、表面に微細凹凸168を有するn型多結晶性ダイヤモンド膜163をエミッタ領域に形成し、同時に他の酸化シリコン膜159及びガラス基板111上にはn型アモルファスダイヤモンド膜170を形成する。
【0291】
次いで、図33の(4)に示すように、上述した触媒AHA処理時の活性化水素イオンにより、アモルファスダイヤモンド膜170をエッチング除去し、酸化シリコン膜159のエッチング除去後に触媒CVD等によりゲート絶縁膜(酸化シリコン膜等)118を形成する。
【0292】
次いで、図34の(5)に示すように、スパッタリング法によるMo−Ta合金等の耐熱性金属によりMOSTFT1、2のゲート電極115、MOSTFT1のゲート電極に接続されるゲートラインを形成し、オーバーコート膜(酸化シリコン膜等)137を形成した後、MOSTFT2のソース部窓開け後にスパッタリング法によるMo−Ta合金等の耐熱性金属でMOSTFT2のソース電極127及びアースラインを形成する。更に、プラズマCVD、触媒CVD等によりオーバーコート膜(酸化シリコン/窒化シリコン積層膜など)136を形成し、RTA等の1000℃、10〜20秒のイオン活性化処理を行う。
【0293】
次いで、図34の(6)に示すように、MOSTFT1のソース/ドレイン部及びMOSTFT2のゲート部の窓開けを行い、MOSTFT1のドレインとMOSTFT2のゲートを1%Si入りAl配線128で接続し、同時にMOSTFT1のソース電極とそのソースに接続されるソースライン127を形成する。
【0294】
次いで、図34の(7)に示すように、オーバーコート膜(酸化シリコン/フォスフィンシリケートガラス/窒化シリコン積層膜など)130を形成した後、GNDラインの窓開けし、図34の(8)に示すように、ゲート引き出し電極150や金属遮蔽膜151をNb蒸着後のエッチングで形成し、更に電界放出カソード部を窓開けしてエミッタ163を露出させ、上述したバイアス触媒AHA処理の水素系活性種でクリーニングする。
【0295】
なお、上記において、多結晶性ダイヤモンド膜163を成膜する際、使用する原料ガスとしての炭素含有化合物は、例えば
1)メタン、エタン、プロパン、ブタン等のパラフィン系炭化水素
2)アセチレン、アリレン系のアセチレン系炭化水素
3)エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン系炭化水素
4)ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素
5)シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素
6)シクロブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタリン等の芳香族炭化水素
7)アセトン、ジエチルケトン、ベンゾフェノン等のケトン類
8)メタノール、エタノール等のアルコール類
9)トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類
10)グラファイト、石炭、コークス等の炭素原子のみからなる物質
であってよく、これらは、1種を単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0296】
また、使用可能な不活性ガスは、例えばアルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドンである。ドーパントとしては、例えばホウ素、リチウム、窒素、リン、硫黄、塩素、ひ素、セレン、ベリリウム等を含む化合物又は単体が使用可能であり、そのドーピング量は1020atoms/cc以上であってよい。
【0297】
第5の実施の形態
本実施の形態は、本発明を光電変換装置としての太陽電池に適用したものである。以下にその製造例を示す。
【0298】
まず、図35の(1)に示すように、ステンレス等の金属基板111上に、上述した触媒CVD法等によって、保護膜(図示せず)の形成後に、この上にアモルファス又は微結晶カーボン薄膜100Aを形成する。
【0299】
次いで、図35の(2)に示すように、上述したバイアス触媒AHA処理によって、カーボン薄膜100Aをダイヤモンド構造のカーボン超微粒子層100Bに変化させる。
【0300】
次いで、図35の(3)に示すように、上述した触媒CVD又はバイアス触媒CVD法等によって、カーボン超微粒子層100Bをシードにn型多結晶性シリコン膜7を形成する。この多結晶性シリコン膜7は、上述のマルチ触媒AHA処理により形成してよく、高結晶化率、大粒径の錫又は他のIV族元素(Ge、Pb)の単独又は混合物含有のn型多結晶性シリコン膜として100〜200nm厚に形成する。この多結晶性シリコン膜7には、リン等のn型不純物をPH3等としてモノシランと共に供給して例えば1×1017〜1×1018atoms/cc含有させる。
【0301】
次いで、図36の(4)に示すように、多結晶性シリコン膜7上に、これをシードにして触媒CVD等により錫又は他のIV族元素(Ge、Pb)の単独又は混合物含有のi型多結晶性シリコン膜180、錫又は他のIV族元素(Ge、Pb)の単独又は混合物含有のp型多結晶性シリコン膜181等を成長させ、光電変換層を形成する。
【0302】
例えば、触媒CVDにより、モノシランに水素化錫(SnH4)を適量比率で混合してi型の大粒径の錫含有多結晶性シリコン膜180を2〜5μm厚に成長させ、この上に、モノシランにp型不純物ボロン(B26など)と水素化錫(SnH4)を適量比率混合して、例えば1×1017〜1×1018atoms/cc含有させたp型の大粒径の錫含有多結晶性シリコン膜181を100〜200nm厚に形成する。この時にそれぞれの膜中に錫又は他のIV族元素(Ge、Pb)の単独又は混合物、例えば錫を1×1016atoms/cc以上、好ましくは1×1018〜1×1020atoms/cc含有させることにより、結晶粒界に存在する結晶不整及び応力を低減させるので、キャリア移動度向上を図ることができる(これは、n型又はp型多結晶性シリコン膜7、181を形成する場合も同様である)。
【0303】
また、上述したマルチバイアス触媒AHA処理を行ってよい。例えば、触媒CVD又はバイアス触媒CVDでn型又はp型の錫含有多結晶性シリコン膜を20〜50nm厚に成長させた後、バイアス触媒AHA処理を行い、触媒CVD又はバイアス触媒CVDでn型又はp型の錫含有多結晶性シリコン膜を20〜50nm厚に成長させ、バイアス触媒AHA処理後、更に触媒CVD又はバイアス触媒CVDでn型又はp型の錫含有多結晶性シリコン膜を20〜50nmに成長させた後、バイアス触媒AHA処理を行うように、各処理を必要回数繰り返す方法で成膜してもよい(これはi型多結晶性シリコン膜180の場合も同様である)。この方法によって、より大きい粒径の錫含有多結晶性シリコン膜を形成できる。また、成膜途中で原料ガス供給量を増加して、高速成膜としてもよい。この後に、RTA処理(約1000℃、10〜30秒間)で各層内のイオン活性化する。
【0304】
次いで、図36の(5)に示すように、上記の方法で形成したn−i−p接合の大粒径の錫含有多結晶性シリコン膜の全面に、透明電極182を形成する。例えば、汎用スパッタリング技術により、無反射コート用のITO(Indium Tin Oxide)又はIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明電極182を100〜150nm厚に形成する。そして、この上に、汎用スパッタリング技術により、メタルマスクを用いて、所定領域に銀等のくし型電極183を100〜150nm厚に形成する。
【0305】
なお、上記の膜は錫又は他のIV族元素を含有していなくてもよいが、この場合も上記と同様に製造することができる。また、上記のn−i−p接合構造以外にも、p−i−n接合、n−p接合、p−n接合構造も同様に作製することができる。
【0306】
本実施の形態による太陽電池は、本発明に基づく大粒径の多結晶性シリコン膜によって、高キャリア移動度で変換効率の大きい光電変換薄膜を形成でき、良好な表面テクスチャ構造と裏面テクスチャ構造が形成されるので、光封じ込め効果が高く、変換効率の大きい光電変換薄膜を形成できる。これはまた、太陽電池に限らず、電子写真用の感光体ドラム等の薄膜光電変換装置にも有利に利用することができる。
【0307】
これに比べて、従来のこの種の光電変換装置では、RFプラズマCVD、VHFプラズマCVD等によりアモルファスカーボン薄膜を形成し、プラズマ水素処理でカーボン超微粒子を形成してこれを多結晶シリコン結晶成長の核として大粒径多結晶シリコン膜を形成しており、n型多結晶シリコン層とi型多結晶シリコン活性層及びp型多結晶シリコン層を連続成膜し、その全面にITO膜を積層し、最後にくし型電極を形成して、2μm厚程度の薄膜多結晶性シリコン太陽電池を得ている。
【0308】
ところが、この従来法では、次のような欠点を回避できない。
1)RFプラズマCVD、VHFプラズマCVD法等による低温形成の結晶質シリコン系薄膜は、そのエネルギーが低いので、原料ガスの化学的分解反応やプラズマ水素処理が不十分になりやすく、結晶粒径が小さいので、移動度が小さく、しかも粒界の多さやピンホール等のために局部的な電気的ショート又はリークによる過剰電流が発生しやすく、光電変換層として必要な数μmの膜厚に堆積させたときに膜の内部応力や歪が大きくなって、最悪の場合には膜が剥離してしまうという問題がある。これによって、光電変換層の製造歩留や信頼性を著しく低下させ、それを含む光電変換装置の実用化を目指す上で大きな支障となる。
2)RFプラズマCVD、VHFプラズマCVDはエネルギーが低いので、原料ガスの利用効率が5〜10%と低い。このために、生産性が低く、コストダウンしにくい。
【0309】
以上に述べた本発明の実施の形態は、本発明の技術的思想に基づいて種々変形が可能である。
【0310】
例えば、上述した触媒CVD法とバイアス触媒AHA処理の繰り返し回数や各条件は種々変更してよく、用いる基板等の材質も上述したものに限定されることはない。
【0311】
また、本発明は、表示部等の内部回路や周辺駆動回路及び映像信号処理回路及びメモリー回路等のMOSTFTに好適なものであるが、それ以外にもダイオードなどの素子の能動領域や、抵抗、キャパシタンス(容量)、配線、インダクタンス等の受動領域を本発明による多結晶性シリコン膜で形成することも可能である。
【0312】
【発明の作用効果】
本発明は上述したように、基体上に多結晶性半導体薄膜を形成するに際し、前記基体上にアモルファスカーボン又は微結晶カーボン又はこれらの混合物からなるカーボン薄膜を形成し、水素又は水素含有ガスを加熱された触媒体に接触させ、これによって生成した水素系活性種をグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用下で前記カーボン薄膜に作用させて水素系活性種の作用によりアモルファス構造のカーボンをエッチングして、ダイヤモンド構造のカーボン超微粒子を形成し、このカーボン超微粒子をシード(結晶成長核)に前記半導体材料薄膜を気相成長させているので、次の(1)〜(4)に示すような顕著な作用効果が得られる。
【0313】
(1)加熱された触媒体に水素又は水素含有ガスを接触させて生成した活性種(高温の水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン等の水素系活性種)を任意の電界又は/及び磁界によるバイアス触媒AHA処理により、前記カーボン薄膜に対し吹き付け等で作用させているので、高温の加熱触媒体の輻射熱による加熱も加わって、次の顕著な効果を示す。
【0314】
このバイアス触媒AHA処理は、10〜50Paの水素又は水素含有ガス圧下で、水素を高温の触媒体(融点未満の800〜2000℃、例えばタングステンでは1500〜2000℃)に接触させて、大量の高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)などを生成し、これを基板上に形成したアモルファスカーボン膜又は微結晶カーボン膜等に吹き付けると(但し、基板温度は特に200〜500℃)、大量の高温の水素系活性種(水素系分子、水素系原子、活性化水素イオン)などが有する熱エネルギーに加えて上記電界又は/及び磁界による加速電界又は/及び磁界での十分な指向性運動エネルギーによりその膜等に移動して、その膜等の温度を局部的に上昇させ、アモルファスカーボン膜や微結晶カーボン膜等は、水素系活性種の作用によりアモルファス成分がエッチング除去されると共に結晶化して、アモルファスカーボン膜又は微結晶カーボン膜等の表面又は基板(例えばガラス基板)上に、ダイヤモンド構造を有するカーボン超微粒子(クラスタ)を確実に安定して点在させることができ、これを次の多結晶性シリコン等の成長の結晶成長核(シード)として有効に働かせることができる。この時、特にゲートチャンネル領域等には島状に点在し、電気抵抗が無視しうる程度に小さいことが必要である。
【0315】
(2)こうしてバイアス触媒AHA処理されて得られるダイヤモンド構造のカーボン超微粒子をシードとして、この上に半導体材料薄膜が多結晶化され易い状態で(多結晶性半導体薄膜として)成長し易くなり、特に次のバイアス触媒AHA処理及び気相成長により、上記多結晶性半導体薄膜上に気相成長されたシリコン膜等はこの多結晶性半導体薄膜をシードとして結晶化が促進されるので、目的とする高結晶化率、高品質の多結晶性半導体薄膜を得ることができる。即ち、バイアス触媒AHA処理により、例えば触媒CVDで成膜されたシリコン膜にアモルファス成分が存在していると、これが水素系活性種の作用によりエッチング除去されて、その上に気相成長するシリコン膜は下地のダイヤモンド構造のカーボン超微粒子をシード(核)にしてより多結晶性シリコン膜化し易く、更には、同様のバイアス触媒AHA処理と気相成長とを繰り返すと、大量の高温の水素系活性種などが有する熱エネルギーが加速電界又は/及び磁界による十分な指向性運動エネルギーによりその膜等に移動して、その膜等の温度を局部的に上昇させ、アモルファスシリコンや微結晶シリコンは多結晶化し、多結晶性シリコンは高結晶化して、高結晶化率、大粒径の多結晶性シリコン膜を形成することができる。この結果、トップゲート型のみならず、ボトムゲート型、デュアルゲート型MOSTFTでも、高いキャリア(電子/正孔)移動度の大粒径の多結晶性シリコン薄膜等が得られるために、この高性能の多結晶性シリコン等の半導体を使用した高速、高電流密度の半導体装置、電気光学装置、更には高効率の太陽電池等の製造が可能となる。
【0316】
(3)このバイアス触媒AHA処理は、プラズマの発生なしに行えるので、プラズマによるダメージがなく、またプラズマ処理に比べ、シンプルで安価な装置を実現できる。
【0317】
(4)基体温度を低温化しても上記活性種のエネルギーが大きいために、目的とするダイヤモンド構造のカーボン超微粒子が確実に安定して得られることから、基体温度を特に300〜400℃と低温化しても、多結晶性半導体薄膜がカーボン超微粒子をシードに効率良く成長し、従って大型で安価な低歪点の絶縁基板(ガラス基板、耐熱性樹脂基板等)を使用でき、この点でもコストダウンが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるMOSTFTの製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図2】同、製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図3】同、製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図4】同、製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図5】同、製造に用いる触媒CVD及びバイアス触媒AHA処理用の装置の一状態での概略断面図である。
【図6】同、この装置の他の状態での概略断面図である。
【図7】同、この装置をより詳細に示す概略断面図である。
【図8】同、バイアス方式による装置の概略断面図である。
【図9】同、バイアス方式による他の装置の概略断面図である。
【図10】同、バイアス方式による他の装置の概略断面図である。
【図11】同、この装置を用いた処理時のガス流量のタイミングチャートである。
【図12】同、この装置のガス供給系の概略図である。
【図13】同、処理により得られた半導体膜のラマンスペクトルを比較して示すグラフである。
【図14】同、半導体薄膜の結晶化率を比較して示すグラフである。
【図15】同、触媒体及びこの支持体の純度による膜中の重金属濃度を比較して示すグラフである。
【図16】本発明の第2の実施の形態によるLCDの製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図17】同、製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図18】同、製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図19】同、製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図20】同、LCDの全体の概略レイアウトを示す斜視図である。
【図21】同、LCDの等価回路図である。
【図22】同、LCDの他の製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図23】同、製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図24】同、LCDのMOSTFTを各種示す断面図である。
【図25】本発明の第3の実施の形態による有機EL表示装置の要部の等価回路図(A)、同要部の拡大断面図(B)及び同画素周辺部の断面図(C)である。
【図26】同、有機EL表示装置の製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図27】同、他の有機EL表示装置の要部の等価回路図(A)、同要部の拡大断面図(B)及び同画素周辺部の断面図(C)である。
【図28】同、有機EL表示装置の製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図29】本発明の第4の実施の形態によるFEDの要部の等価回路図(A)、同要部の拡大断面図(B)及び同要部の概略平面図(C)である。
【図30】同、FEDの製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図31】同、製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図32】同、他のFEDの要部の等価回路図(A)、同要部の拡大断面図(B)及び同要部の平面図(C)である。
【図33】同、FEDの製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図34】同、製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図35】本発明の第5の実施の形態による太陽電池の製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【図36】同、製造プロセスを工程順に示す断面図である。
【符号の説明】
1、61、98、111、157…基板、7、67…多結晶性シリコン膜、
14、67、117…チャンネル、
15、75、102、105、115…ゲート電極、
8、68、103、104、106、118…ゲート絶縁膜、
20、21、80、81、120、121…n+型ソース又はドレイン領域、
24、25、84、85…p+型ソース又はドレイン領域、
27、28、86、92、130、136、137…絶縁膜、
29、30、87、88、89、90、91、93、97、127、128、131…電極、40…原料ガス、42…シャワーヘッド、44…成膜室、
45…サセプタ、46…触媒体、47…シャッター、48…触媒体電源、
49…バイアス電源、94、96…配向膜、95…液晶、
99…カラーフィルタ層、100A…アモルファス又は微結晶カーボン薄膜、
100B…ダイヤモンド構造のカーボン超微粒子層、
100’、140…ブラックマスク層、132、133…有機発光層、
134、135、144…陽極、138、141、142、171…陰極、
150…ゲート引き出し電極(ゲートライン)、151…遮蔽膜、
152…エミッタ、153…n型多結晶性シリコン膜、155…バックメタル、156…蛍光体、158、168…微細凹凸、
163…n型多結晶性ダイヤモンド膜、180…i型多結晶性シリコン膜、
181…p型多結晶性シリコン膜、182…透明電極、183…くし型電極、
200、201…電極、202、203…磁極(永久磁石)、204…電磁石

Claims (29)

  1. 基体上に多結晶性半導体薄膜を形成するに際し、
    前記基体上にアモルファスカーボン又は微結晶カーボン又はこれらの混合物からなる カーボン薄膜を形成する工程と、
    水素又は水素含有ガスを加熱された触媒体に接触させ、これによって生成した水素系 活性種をグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用下で前記カーボン薄膜に 作用させてアニールを行い、ダイヤモンド構造のカーボン超微粒子を形成する工程と、
    このカーボン超微粒子上に半導体材料薄膜を気相成長させる工程と
    を経て前記多結晶性半導体薄膜を得る、多結晶性半導体薄膜の形成方法。
  2. 基体上に多結晶性半導体薄膜を有する半導体装置を製造するに際し、
    前記基体上にアモルファスカーボン又は微結晶カーボン又はこれらの混合物からなる カーボン薄膜を形成する工程と、
    水素又は水素含有ガスを加熱された触媒体に接触させ、これによって生成した水素系 活性種をグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用下で前記カーボン薄膜に 作用させてアニールを行い、ダイヤモンド構造のカーボン超微粒子を形成する工程と、
    このカーボン超微粒子上に半導体材料薄膜を気相成長させる工程と
    を経て前記多結晶性半導体薄膜を得る、半導体装置の製造方法。
  3. 前記カーボン薄膜を気相成長法又は物理的成膜法によって、前記半導体材料薄膜を気相成長法によって形成する、請求項1又は2に記載した方法。
  4. 原料ガス及び水素又は水素含有ガスの少なくとも一部を加熱された触媒体に接触させて触媒的に分解させ、これによって生成したラジカル、イオンからなる反応種を基体上に堆積させて、前記カーボン薄膜及び/又は前記半導体材料薄膜を気相成長させる、請求項1又は2に記載した方法。
  5. 前記反応種をグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用下で前記基体上に堆積させる、請求項4に記載した方法。
  6. 前記半導体材料薄膜の気相成長後に、水素又は水素含有ガスを加熱された触媒体に接触させ、これによって生成した高温の水素系分子、水素系原子、活性化水素イオンからなる水素系活性種をグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用下で前記半導体材料薄膜に作用させてアニールを行、請求項4に記載した方法。
  7. 前記半導体材料薄膜と同様の半導体材料薄膜の気相成長と前記アニールとを繰り返す、請求項6に記載した方法。
  8. 加熱された前記触媒体に前記水素又は水素含有ガスの少なくとも一部を接触させ、これによって生成した高温の水素系分子、水素系原子、活性化水素イオンからなる水素系活性種をグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用下で前記カーボン薄膜又は前記半導体材料薄膜に作用させてアニールを行う、請求項1又は2に記載した方法。
  9. 加熱された前記触媒体に、原料ガス及び水素系キャリアガスの少なくとも一部を接触させて触媒的に分解させ、これによって生成したラジカル、イオンからなる反応種を加熱された前記基体上に堆積させて前記カーボン薄膜又は前記半導体材料薄膜を気相成長させた後、前記原料ガスの供給を停止し、加熱された触媒体に前記水素系キャリアガスの少なくとも一部を接触させ、これによって生成した高温の水素系分子、水素系原子、活性化水素イオンからなる水素系活性種をグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用下で前記カーボン薄膜又は前記半導体材料薄膜に作用させてアニールを行う、請求項1、2、6又はに記載した方法。
  10. 前記反応種をグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用下で前記の加熱された基体上に堆積させる、請求項9に記載した方法。
  11. 前記気相成長時の水素又は水素含有ガス供給量よりも前記アニール時の水素又は水素含有ガス供給量を多くする、請求項に記載した方法。
  12. タングステン、トリア含有タングステン、モリブデン、白金、パラジウム、バナジウム、シリコン、アルミナ、金属を付着したセラミックス、及び炭化ケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種の材料によって、前記触媒体を形成する、請求項1又は2に記載した方法。
  13. 前記触媒体及びこれを支持する支持体の純度を99.99wt%以上とする、請求項1又は2に記載した方法。
  14. 前記多結晶性半導体薄膜が多結晶性シリコン膜、多結晶性ゲルマニウム膜又は多結晶性シリコンゲルマニウム膜からなり、かつ、前記水素又は水素含有ガスが水素又は水素と不活性なガスとの混合ガスからなる、請求項1又は2に記載した方法。
  15. 前記半導体薄膜にIV族元素の少なくとも1種を含有させる、請求項14に記載した方法。
  16. 前記グロー放電開始電圧以下の電圧として、直流電圧、交流電圧、又は直流電圧に交流電圧を重畳させた電圧を印加する、請求項1又は2に記載した方法。
  17. 前記交流電圧としての高周波電圧の周波数を1〜100MHz、前記交流電圧としての低周波電圧の周波数を1MHz未満とする、請求項16に記載した方法。
  18. 前記多結晶性半導体薄膜によって、薄膜絶縁ゲート型電界効果トランジスタのチャンネル、ソース及びドレイン領域、又は配線、抵抗、容量又は電子放出体を形成する、請求項1又は2に記載した方法。
  19. 前記チャンネル、ソース及びドレイン領域の形成後に、これらの領域に対し、水素又は水素含有ガスを加熱された触媒体に接触させることによって生成した水素系活性種をグロー放電開始電圧以下の電界又は/及び磁界の作用下で作用させる、請求項18に記載した方法。
  20. 前記多結晶性半導体薄膜内においてゲート絶縁膜側から外部に向って結晶粒径を小さくして高密度化するか、或いはアモルファス半導体薄膜又は微粒径層及びアモルファス半導体薄膜で前記多結晶性半導体薄膜を被覆する、請求項1又は2に記載した方法。
  21. 前記微粒径層及びアモルファス半導体薄膜又は前記アモルファス半導体薄膜を除去し、大粒径層としての前記多結晶性半導体薄膜とコンタクトしたソース、ドレイン電極を形成する、請求項20に記載した方法。
  22. シリコン半導体装置、シリコン半導体集積回路装置、シリコン−ゲルマニウム半導体装置、シリコン−ゲルマニウム半導体集積回路装置、化合物半導体装置、化合物半導体集積回路装置、炭化ケイ素半導体装置、炭化ケイ素半導体集積回路装置、液晶表示装置、有機又は無機エレクトロルミネセンス表示装置、フィールドエミッションディスプレイ(FED)装置、発光ポリマー表示装置、発光ダイオード表示装置、CCDエリア/リニアセンサ装置、MOSセンサ装置、太陽電池装置用の薄膜を製造する、請求項1又は2に記載した方法。
  23. 内部回路及び周辺回路を有する半導体装置、固体撮像装置、電気光学装置の製造に際し、これらの少なくとも一部を構成する薄膜絶縁ゲート型電界効果トランジスタのチャンネル、ソース及びドレイン領域を前記多結晶性半導体薄膜によって形成する、請求項22に記載した方法。
  24. 各色用の有機又は無機エレクトロルミネセンス層の下層にそれぞれ、前記薄膜絶縁ゲート型電界効果トランジスタのドレイン又はソースと接続された陰極又は陽極を有する、請求項23に記載した方法。
  25. 前記薄膜絶縁ゲート型電界効果トランジスタを含む能動素子上も前記陰極が覆い、或いは前記各色用の有機又は無機エレクトロルミネセンス層の各層上及び各層間の全面に前記陰極又は陽極が被着されている装置を製造する、請求項24に記載した方法。
  26. 前記各色用の有機又は無機エレクトロルミネセンス層間にブラックマスク層を形成する、請求項24に記載した方法。
  27. フィールドエミッションディスプレイ装置のエミッタを、前記多結晶性半導体薄膜を介して前記薄膜絶縁ゲート型電界効果トランジスタのドレインに接続すると共に前記多結晶性半導体薄膜上に成長されたn型多結晶性半導体膜又は多結晶性ダイヤモンド膜によって形成する、請求項23に記載した方法。
  28. 前記薄膜絶縁ゲート型電界効果トランジスタを含む能動素子上にアース電位の金属系遮蔽膜を形成する、請求項27に記載した方法。
  29. 前記金属系遮蔽膜を前記フィールドエミッションディスプレイ装置のゲート引き出し電極と同一材料で同一工程により形成する、請求項28に記載した方法。
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