JP4599513B2 - インフレーションフィルム製造装置 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、インフレーションフィルム製造装置に関し、特に、インフレーションフィルム製造装置によって製造されたチューブ状フィルムの肉厚に偏りが生じることを効果的に防止できるインフレーションフィルム製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インフレーションフィルム製造装置は、成形用ダイの円形スリットから押出しされたチューブ状の溶融合成樹脂の外周に、前記成形用ダイの上方で前記円形スリットを囲繞する位置に配備されているエアーリングから冷却風を吹き付けて前記チューブ状の溶融合成樹脂を冷却し、チューブ状フィルムを製造するものである。
【0003】
こうして製造されたチューブ状フィルムは、通常、安定板によりフラット状に潰され、ピンチロールに引っ張られ、厚み計によって厚みが計測された後、巻取ロールに巻き取られている。
【0004】
チューブ状の溶融合成樹脂の外周にエアーリングから冷却風を吹き付けるにあたっては、成形用ダイの中央から内部空気を所定の圧力で吹き出し、これによってチューブ状の溶融合成樹脂を膨張させ、その外周にエアーリングから冷却風を吹き付けるようにすることがある。
【0005】
すなわち、前記のチューブ状溶融合成樹脂は、溶融している状態のときに、成形用ダイの中央から所定の圧力で吹き出された内部空気によって膨張し、また、ピンチロールによって引き延ばされて薄肉のチューブ状フィルムとなる。
【0006】
しかし、チューブ状フィルムの外周にエアーリングから冷却風を受けて冷却され、固化した後には、それ以上薄肉になることはない。
【0007】
したがって、成形用ダイの円形スリットから押出しされた溶融合成樹脂の量が円形スリット全周に均一でなかった場合や、冷却風によるチューブ状フィルムの冷却が円周方向において均一でない場合、冷却風の温度が円周方向において均一でない場合などには、製造されたチューブ状フィルムの厚さが円周方向で不均一になってしまう。
【0008】
このように製造されたチューブ状フィルムの肉厚が不均一になり、偏肉が生じることを防止することを目的として、インフレーションフィルム製造装置は、通常、製造されたチューブ状フィルムの厚みを計測する厚み計を備えている。
【0009】
この厚み計での計測結果に応じて、成形用ダイの円形スリットから押出される溶融合成樹脂の量や、冷却風による冷却状態(冷却風の風量、温度など)などを制御することが試みられている。
【0010】
これによって、インフレーションフィルム製造装置で製造されたチューブ状フィルムに円周方向で肉厚のバラツキ(偏肉)が生じないようにするものである。
【0011】
従来行われていたこのような試みの一例を第18図乃至第20図を用いて説明する。
【0012】
成形用ダイ202の円形スリット202aから押出しされたチューブ状の溶融合成樹脂205の外周に、成形用ダイ202の上方で円形スリット202aを囲繞する位置に配備されているエアーリング210から冷却風を吹き付けてチューブ状の溶融合成樹脂205を冷却し、チューブ状フィルム206を製造する。
【0013】
エアーリング210は、外周側に冷却風取入口212を、中心側にチューブ状の溶融合成樹脂205を取り囲み、チューブ状の溶融合成樹脂205の外周に向けて冷却風取入口212から導入された冷却風を吹きつける環状の冷却風吹出口213を備え、冷却風取入口212と冷却風吹出口213との間に冷却風流路215を備えている。
【0014】
冷却風取入口212は、第18図、第19図図示のように、例えば、2個配備され、冷却風流路215には、同心円状に2枚の邪魔板254が配備されている。
【0015】
図示しないブロワーからの冷却風は冷却風取入口212に流入し、環状の邪魔板254に当たることで第19図図示のように円周方向へ分散する。そして、その後、チューブ状の溶融合成樹脂205へ向かう流れとなって、環状冷却風吹出口213から吹き出していく。
【0016】
しかし、環状邪魔板254では冷却風の整流を十分行うことができず、環状の冷却風吹出口213から吹出す冷却風の流速には、第20図に示すように円周方向においてバラツキがあった。なお、第20図中、符号212、212で示している位置は、冷却風取入口の位置である。
【0017】
合成樹脂フィルム206の偏肉(厚みのバラツキ)は冷却風の状態に左右されるので、第20図図示のように円周方向で流速にバラツキがある冷却風で冷却されたチューブ状の合成樹脂フィルム206の偏肉は大きなものになってしまう。
【0018】
第21図に概略を図示した従来のインフレーションフィルム製造装置は、日本国の特公昭63−11131号公報で提案されているものである。
【0019】
これは、成形用ダイ202の温度を円周方向で部分的に調整することで、押し出されるチューブ状の溶融合成樹脂205の温度を円周方向で部分的に調整し、チューブ状の合成樹脂フィルム206の偏肉を制御しようとするものである。
【0020】
成形用ダイ202の円形のダイスリット202aの外周に、それぞれ個別に温度調整ができる複数のヒーター243が配備されている。これによって、ダイスリット202aから押し出されるチューブ状の溶融合成樹脂205の温度を円周方向で部分的に調整している。
【0021】
しかし、この特公昭63−11131号公報で提案されているインフレーションフィルム製造装置では、成形用ダイ202を金属製にしていた。このため、熱が分散し、ヒーター243の温度を個別に調整しても、調整を必要としない隣接部分へも熱が伝わり、成形用ダイ202の温度を円周方向で細かく目的通りに調整することが困難であった。すなわち、ダイスリット202aから押し出されるチューブ状の溶融合成樹脂205の円周方向における目的とする部分の温度を細かく調整することが難しかった。
【0022】
そこで、チューブ状の合成樹脂フィルム206の肉厚を精度良く制御できなかった。
【0023】
また、ヒーター243は金属製のダイ202を介してチューブ状の溶融合成樹脂205を間接的に加熱しているので、熱効率も悪いという問題点があった。
【0024】
第22図に概略を図示した従来のインフレーションフィルム製造装置は、日本国の特開2004−330537号公報で提案されているものである。
【0025】
これは、エアーリングの円周方向において部分的に冷却風の温度を制御するものである。
【0026】
冷却風流路215内に、冷却風の流れに直交するようにリング状のバッフルプレート252が配備されている。そして、リング状のバッフルプレート252には、加熱エレメント251が円周方向に所定間隔をあけて多数埋設されている。
【0027】
この特開2004−330537号公報に提案されているインフレーションフィルム製造装置では、バッフルプレート252が冷却風と接触する伝熱面積が小さく、バッフルプレート252内に埋設されている加熱エレメント251から冷却風への伝熱効率が低く、チューブ状の溶融合成樹脂205の外周に吹きつけられる冷却風の温度を周方向で効率よく制御にすることは難しかった。
【0028】
第23図は、従来のインフレーションフィルム製造装置に配備されていた厚み計の概略を説明するものである。従来から、製造されたチューブ状フィルムに偏肉が生じることを未然に防止すべく、冷却風による冷却状態(冷却風の風量、温度など)を制御する判断材料として、製造されたチューブ状フィルムの厚みをこのような厚み計を利用して計測していた。
【0029】
第23図図示の厚み計は、製造されたチューブ状フィルムが切り開かれて2枚にされたフラット状のフィルム6a、6bの厚さをそれぞれ測定するものである。切り開かれて2枚にされたフラット状のフィルム6a、6bを互いに対向させて長手方向(図面に直交する方向)に搬送する搬送手段を備えている。また、このように互いに対向して長手方向に搬送される2枚のフラット状フィルム6a、6bの間を横方向(矢印69方向)に移動可能に配備されている2台の検出器(反射型赤外線厚み計)58a、58bを備えている。検出器58a、58bは一方の側に検出面57を備えており、この検出面57をそれぞれフィルム6a、6bに向けている。そして、図示のように、フィルム6a、6bの背後に、反射板67a、67bが配備されている。検出器58a、58bをそれぞれ矢印69方向に移動させ、図面に直交する方向に搬送されるフィルム6a、6bの厚みを測定している。
【0030】
しかしながら、このような構成の反射型赤外線厚み計は、厚み計のなかで最も高価なものである。そこで、これによって計測した厚みの偏在に応じて冷却風による冷却状態(冷却風の風量、温度など)を制御することが可能であっても、インフレーションフィルム製造装置全体の価格が高くなってしまうという問題があった。
【0031】
第24図は、従来のインフレーションフィルム製造装置に配備されていた他の厚み計の概略を説明するものである。この厚み計は、日本国の特開平11−248424号公報で提案されている。
【0032】
第24図図示の厚み計も、製造されたチューブ状フィルムが切り開かれて2枚にされたフラット状の一枚のフィルム6aの厚さを測定するものである。前記切り開かれて2枚にされたフラット状の各フィルム(例えば、フィルム6a)を基準ロール70の面上に接触走行させる。この際、フィルム6aが接触走行している基準ロール70の接触面の接線方向からレーザービーム71を照射して厚みを計測する非接触計測センサー(レーザービーム型厚み計)である。投光器72aから発せられたレーザービーム71を、受光器72bで捉え、基準ロール70の面上を走行するフィルム6aによってレーザービーム71が遮光された量によってフィルム6aの厚みを測定するものである。
【0033】
このような形態の厚み計の場合、基準ロール70の面とフィルム6aとの間に空気が介在してフィルム6aが基準ロール70の面に密着せず、フィルム6aの上面の高さが変わると、レーザービーム71はその高さを捉えて、フィルム6aの厚みは不正確なものになってしまう。
【0034】
そこで、第24図図示のような従来のインフレーションフィルム製造装置に配備されていた厚み計においては、フィルム6aを基準ロール70に密着させる必要がある。
【0035】
このため、流体噴射ノズル80を配備し、流体噴射ノズル80から噴射する流体で基準ロール70の面にフィルム6aを圧接するようにしていた。しかし、流体圧力が高過ぎるとフィルム6aが基準ロール70上で浮き上がるバタツキを起こし、逆に低すぎるとフィルム6aは基準ロール70に密着せず、厚み計による厚み測定値が不正確なものになってしまう。
【0036】
その結果、そもそも正確な厚み測定が行われないので、厚み計で厚みを計測し、これを利用して冷却風による冷却状態(冷却風の風量、温度など)を制御することにより偏肉の発生を未然に防止することも難しいという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
本発明は、前述した従来のインフレーションフィルム製造装置における問題点に鑑み、インフレーションフィルム製造装置によって製造されたチューブ状フィルムの厚さに円周方向において偏りが生じることを、簡単かつ、効果的に、しかも低コストで防止できるインフレーションフィルム製造装置を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記課題を解決するために、本願は、成形用ダイの円形スリットから押出しされたチューブ状の溶融合成樹脂の外周に、前記成形用ダイの上方で前記円形スリットを囲繞する位置に配備されているエアーリングから冷却風を吹き付けて前記チューブ状の溶融合成樹脂を冷却し、チューブ状フィルムを製造するインフレーションフィルム製造装置において、以下の形態からなるインフレーションフィルム製造装置を提案するものである。
【0039】
第一の形態は、前記のインフレーションフィルム製造装置において、前記エアーリングが、外周側に冷却風取入口を、中心側に前記チューブ状の溶融合成樹脂を取り囲み、チューブ状の溶融合成樹脂の外周に向けて前記冷却風取入口から導入された冷却風を吹きつける環状の冷却風吹出口を備えていると共に、冷却風取入口が配備されている位置を始点として前記冷却風吹出口側に向けて形成されている冷却風流路を備えており、当該冷却風流路は、冷却風取入口が配備されている位置を始点として次第に径が小さくなる渦巻き状の仕切板によって形成される渦巻き状の冷却風流路であり、当該渦巻き状の仕切板の高さが、冷却風取入口が配備されている位置を始点として次第に低くなっているものである。
【0040】
第二の形態は、前記のインフレーションフィルム製造装置において、前記エアーリングが、外周側に冷却風取入口を、中心側に前記チューブ状の溶融合成樹脂を取り囲み、チューブ状の溶融合成樹脂の外周に向けて前記冷却風取入口から導入された冷却風を吹きつける環状の冷却風吹出口を備えており、当該環状の冷却風吹出口は、小径の内側リング部と、大径の外側リング部とによって形成され、当該外側リング部の上側に、外側リング部の全周にわたって、個別に温度調整可能な複数の放射加熱型ヒーターが隣接する放射加熱型ヒーターとの間に円周方向で所定の間隔をあけて配備されているものである。
【0041】
第三の形態は、前記のインフレーションフィルム製造装置において、前記エアーリングが、外周側に冷却風取入口を、中心側に前記チューブ状の溶融合成樹脂を取り囲み、チューブ状の溶融合成樹脂の外周に向けて前記冷却風取入口から導入された冷却風を吹きつける環状の冷却風吹出口を備え、当該冷却風取入口と冷却風吹出口との間に冷却風流路を有するものであって、当該冷却風流路には複数の透孔を有し、当該複数の透孔を介してのみ前記冷却風が冷却風取入口から環状冷却風吹出口に向けて流動可能になっている環状整流部材が前記環状冷却風吹出口を取り囲んで配備されており、当該環状整流部材には、その全周にわたって、個別に温度調整可能な複数の加熱エレメントが隣接する加熱エレメントとの間に円周方向において所定の間隔をあけて配備されているものである。
【0044】
本発明のインフレーションフィルム製造装置によれば、インフレーションフィルム製造装置によって製造されたチューブ状フィルムの厚さに円周方向において偏りが生じることを、簡単かつ、効果的に、しかも低コストで防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0046】
(実施例1)
第1図乃至第4図を用いて本発明の第一の好ましい実施例を説明する。
【0047】
この実施例に係るインフレーションフィルム製造装置は、エアーリングの部分に改良を加えることにより、インフレーションフィルム製造装置によって製造されたチューブ状フィルムの厚さに偏りが生じることを防止するものである。
【0048】
第4図は、この実施例のインフレーションフィルム製造装置1の概略構成を説明するものである。
【0049】
成形用ダイ2の円形スリット2aから矢印21方向に押出しされたチューブ状の溶融合成樹脂5の外周に、成形用ダイ2の上方で円形スリット2aを囲繞する位置に配備されているエアーリング10から冷却風を吹き付けてチューブ状の溶融合成樹脂5を冷却し、チューブ状フィルム6を製造する。なお、この際、矢印22のように供給された内部空気を成形用ダイ2の中央から所定の圧力で吹き出しておいて、チューブ状の溶融合成樹脂5を膨張させることがある。
【0050】
前記のチューブ状の溶融合成樹脂5は、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)等の熱可塑性の合成樹脂が溶融状態になっているものである。
【0051】
エアーリング10は、第1図、第2図図示のように、外周側に冷却風取入口12を、中心側にチューブ状の溶融合成樹脂5を取り囲む冷却風吹出口13を備えている。冷却風吹出口13からは、図示しないブロアから矢印23のように冷却風取入口12に導入された冷却風が、チューブ状の溶融合成樹脂5の外周に向けて吹きつけられる。冷却風取入口12と冷却風吹出口13との間には冷却風流路15が形成されている。
【0052】
冷却風吹出口13から吹き出された冷却風がチューブ状の溶融合成樹脂5の周面にあたることにより、チューブ状の溶融合成樹脂5が冷却され、これが固化して形成されたチューブ状フィル6は、安定板20でフラット状に潰されてピンチロール4に引き取られる。そして、厚み計24で厚みが測定され、図示しない巻取機に製品として巻き取られる。
【0053】
厚み計24で計測されたチューブ状フィル6の厚みに関する情報を利用して、制御器25がエアーリング10等に制御指令を出し、冷却風の状態(例えば、冷却風の風量、温度など)を制御する。制御器25内には、例えば、マイクロコンピュータとROM等に記憶された制御プログラムが配備されており、厚み計24の計測情報に基づいて前記の制御が行われる。例えば、第1図、第2図のように複数個配備されている冷却風取入口12に対するブロアからの送風量を個別に調整したり、冷却風の温度を環状の冷却風吹出口13における円周方向の所定の位置ごとに調整する等の制御が行われる。すなわち、このような制御を、チューブ状フィル6の厚みに偏肉が生じているチューブ状の溶融合成樹脂5の円周方向における位置に対応して行うようにできる。
【0054】
第4図図示のように、ダイスリット2aから矢印21方向に押し出されるチューブ状の溶融合成樹脂5は、押し出し速度V1より速いピンチロール4の速度V2で流れ方向(矢印21方向)に引き伸ばされる。同時に、成形用ダイ2の中央から吹き出された内部空気の圧力などによって、ダイスリット2aの直径D1より大きいチューブ状の合成樹脂フィルム6の直径D2まで円周方向に引き伸ばされる。
【0055】
このため、ダイスリット2aから押し出されたときのチューブ状の溶融合成樹脂5の厚みより、冷却・固化して製品になったチューブ状フィルム6の厚みは薄くなる。
【0056】
エアーリング10の冷却風吹出口13から吹き出された冷却風が周面に吹きつけられて冷却され、固化した後のチューブ状フィル6はそれ以上薄くならないが、ダイスリット2aから押し出された直後の固化していない部分は、前述した流れ方向への引き伸ばしや、円周方向への引き伸ばしにより薄くなる。
【0057】
そこで、エアーリング10の冷却風吹出口13から吹き出される冷却風の量にバラツキがあると、チューブ状の溶融合成樹脂5は円周方向において均一に冷却されないので、偏肉の大きいチューブ状フィルム6になってしまう。
【0058】
これを防止する本発明のインフレーションフィルム製造装置1では、第1図、第2図図示のエアーリング10が採用されている。
【0059】
このエアーリング10は、第1図、第2図に示すように、外周側に複数個(図示の例では2個)の冷却風取入口12を備えている。そして、各冷却風取入口12が配備されている位置を始点として冷却風吹出口13側に向けて形成されている冷却風流路15を備えている。
【0060】
冷却風流路15は、各冷却風取入口12、12が配備されている位置を始点として、第2図図示のように、次第に径が小さくなる渦巻き状の仕切板14、14によって形成される渦巻き状の冷却風流路である。
【0061】
ここで、渦巻き状の仕切板14、14は、第1図図示のように、その高さが、各冷却風取入口12、12が配備されている位置を始点として次第に低くなっている。図示の例では、中心側における渦巻き状の仕切板14の高さが最終的にゼロになるように、渦巻き状の仕切板の高さは、冷却風取入口12が配備されている位置を始点として次第に低くなっている。
【0062】
そこで、冷却風取入口12に供給された冷却風は、第2図図示のように、渦巻き状の冷却風流路15内を矢印26a、26b、27a、27bのように、その終端へと流れていく。そして、環状の冷却風吹出口13から、第1図図示のように、チューブ状の溶融合成樹脂5の周面に吹きつけられる。
【0063】
また、渦巻き状の冷却風流路15内を流れる冷却風は、渦巻き状の仕切板14の高さが先に進むに従って徐々に低くなっているので、第1図図示のように、一定の割合で冷却風流路15から溢れ、仕切板14の上端縁と天板11の下側面との間の隙間から、徐々に、中心側方向に向かって矢印28のように流れ込む。
【0064】
これによって、環状の冷却風吹出口13から、チューブ状の溶融合成樹脂5の中心に向けてチューブ状の溶融合成樹脂5の外周に吹きつけられる冷却風は、チューブ状の溶融合成樹脂5の円周方向において均一な風量、風速で吹き出すことができる。
【0065】
第3図は、第1図、第2図図示のエアーリング10を備えている本発明のインフレーションフィルム製造装置1において、チューブ状の溶融合成樹脂5の円周方向の各位置での環状の冷却風吹出口13から吹き出される冷却風の風速を測定した結果を表すものである。第3図中、符号12、12で示されている位置が、冷却風取入口の位置であるが、円周方向のどの位置においても、ほぼ等しい風速で、環状の冷却風吹出口3から冷却風が吹き出されていた。
【0066】
すなわち、この実施例のインフレーションフィルム製造装置1によれば、冷却風取入口12に供給された冷却風は円周方向において風速にバラツキのない状態で環状の冷却風吹出口13から吹き出される。そこで、円周方向において風速にバラツキのない冷却風でチューブ状の溶融合成樹脂5を冷却できる。これによって、製造されたチューブ状フィルム6の偏肉を最小化でき、円周方向における肉厚が均一なフィルム6を製造できる。
【0067】
なお、この実施例において、冷却風取入口12の数を増やし、それに応じて、仕切り板14の数を増やすことも可能である。また、渦巻き状の冷却風流路15上開口部に穴が開いている板を配設しても良い。
【0068】
(実施例2)
第5図乃至第7図を用いて本発明の第二の好ましい実施例を説明する。
【0069】
この実施例に係るインフレーションフィルム製造装置も、エアーリングの部分に改良を加えることにより、インフレーションフィルム製造装置によって製造されたチューブ状フィルムの厚さに偏りが生じることを防止するものである。
【0070】
実施例1を説明した図面における構成部材と共通する構成部材には共通する符号を付け、その説明を省略する。
【0071】
実施例1で説明したように、ダイスリット2aから矢印21方向に押し出されるチューブ状の溶融合成樹脂5は、押し出し速度V1より速いピンチロール4の速度V2で流れ方向(矢印21方向)に引き伸ばされ、同時に、成形用ダイ2の中央から吹き出された内部空気の圧力などによって、ダイスリット2aの直径D1より大きいチューブ状の合成樹脂フィルム6の直径D2まで円周方向に引き伸ばされる。すなわち、エアーリング10の冷却風吹出口13から吹き出された冷却風が周面に吹きつけられて冷却され、固化した後のチューブ状フィル6はそれ以上薄くならないが、ダイスリット2aから押し出された直後の固化していない部分は、前述した流れ方向への引き伸ばしや、円周方向への引き伸ばしにより薄くなる。
【0072】
そこで、チューブ状の溶融合成樹脂5の円周方向においての温度にバラツキがあると、チューブ状の溶融合成樹脂5は円周方向において均一に固化せず、偏肉の大きいチューブ状フィルム6になってしまう。
【0073】
このチューブ状の溶融合成樹脂5の円周方向における温度を調整する本発明のインフレーションフィルム製造装置1では、第5図、第6図図示のエアーリング30が採用されている。
【0074】
エアーリング30が、外周側に複数個の冷却風取入口12、12を、中心側にチューブ状の溶融合成樹脂5を取り囲み、チューブ状の溶融合成樹脂5の外周に向けて冷却風取入口12から導入された冷却風を矢印32(第7図)のように吹きつける環状の冷却風吹出口13を備えている点は、前記実施例1の場合と同様である。なお、図示の例では、冷却風取入口12は2個配備されている。
【0075】
本実施例のインフレーションフィルム製造装置1におけるエアーリング30においては、第5図図示のように、環状の冷却風吹出口13は、小径の内側リング部13bと、大径の外側リング部13aとによって形成されている。
【0076】
そして、第5図、第6図図示のように、外側リング部13aの上側に、外側リング部13aの全周にわたって、複数の放射加熱型ヒーター31が、隣接する放射加熱型ヒーター31との間に円周方向で所定の間隔をあけて配備されている。この複数の放射加熱型ヒーター31は個別に温度調整可能なものである。
【0077】
放射加熱型ヒーター31の種類としてはチューブ状の溶融合成樹脂5の吸収波長と同じ波長の遠赤外線型ヒーターが好ましい例として挙げられる。
【0078】
放射加熱型ヒーター31をチューブ状の溶融合成樹脂5の吸収波長と同じ波長を持つ遠赤外線型ヒーターにすることで、チューブ状の溶融合成樹脂5を直接効率よく加熱することができる。
【0079】
また、放射加熱型ヒーター31は、それぞれ、個別に温度調整可能で、その複数個が、第6図図示のように、環状の冷却風吹出口13の円周方向に所定の間隔をあけて配備されているので、チューブ状の溶融合成樹脂5の目的とする箇所のみ温度調節することができる。この際、チューブ状の溶融合成樹脂5は熱伝導が悪いので、円周方向に隣接している部分に熱が伝わることが少ない。そこで、複数の放射加熱型ヒーター31の中の必要な部分のみ昇温させる等の制御を行うことによって、チューブ状の溶融合成樹脂5の目的とする部分のみ希望通りに正確に温度制御できる。
【0080】
これによって、チューブ状の溶融合成樹脂5において円周方向に隣接する他の部分に影響を与えることなく、チューブ状の溶融合成樹脂5の目的とする部分のみを直接効率よく温度調節できる。これにより、円周方向においける肉厚を精度良く制御し、円周方向において均一な肉厚を有するチューブ状のフィルム6を効率よく製造できる。
【0081】
例えば、製造されたフィルム6の厚みを計測する厚み計24で厚みを測定して、そのデータを利用して、制御器25を介して、放射加熱型ヒーター31を自動制御しても良い。厚み計24で測定したフィルム6の厚さで所定以上に厚い部分があるときは、その対応する位置のチューブ状溶融合成樹脂5の部分を他の部分より加熱することで、固化する前に引き伸ばし、これによって偏肉を抑えることができる。また前記の厚い部分に対応する位置の放射加熱型ヒーター31を、手動で微調整してもよい。
【0082】
すなわち、チューブ状フィルム6の円周方向で肉厚が厚い部分に対応するチューブ状溶融合成樹脂5の部分に対応する位置の放射加熱型ヒーター31を他の部分のヒーターより昇温すれば、その部分は薄くなるのでチューブ状の合成樹脂フィルム6の偏肉を制御できる。
【0083】
尚、放射加熱型ヒーター31の後ろに反射板を設けてもよいし、放射加熱型ヒーター31の代わりに抵抗加熱型のヒーターを用いても構わない。
【0084】
更に、チューブ状の溶融合成樹脂5の内側に放射加熱型ヒーター31を設置しても構わない。
【0085】
以上説明したように、本実施例では、チューブ状の溶融合成樹脂5の周囲に設置されるエアーリング30の環状の冷却風吹出口13に、個別に温度調整可能な複数の放射加熱型ヒーター31の複数個を、円周方向に所定の間隔をあけて配設した。そこで、チューブ状のフィルム6の偏肉に対応して、チューブ状の溶融合成樹脂5の温度を円周方向で部分的に細かく最適に効率よく調整でき、よってチューブ状のフィルム6の偏肉を効率よく最小化できる。
【0086】
(実施例3)
第8図乃至第11図を用いて本発明の第三の好ましい実施例を説明する。
【0087】
この実施例に係るインフレーションフィルム製造装置も、エアーリングの部分に改良を加えることにより、インフレーションフィルム製造装置によって製造されたチューブ状フィルムの厚さに偏りが生じることを防止するものである。
【0088】
実施例1、2を説明した図面における構成部材と共通する構成部材には共通する符号を付け、その説明を省略する。
【0089】
なお、この実施例では、第11図図示のように、製造されたチューブ状のフィルム6は切り開き刃9で切り開かれ、2枚のフラット状のフィルム6a、6bとされた後、それぞれの厚みが厚み計24で測定され、その後、図示しない巻取機に製品として巻き取られるようになっている。
【0090】
実施例2で説明したように、チューブ状の溶融合成樹脂5の温度に円周方向においてバラツキがあると、チューブ状の溶融合成樹脂5は円周方向において均一に固化せず、偏肉の大きいチューブ状フィルム6になってしまう。
【0091】
これを調整する本発明のインフレーションフィルム製造装置1には、第8図〜第10図図示のエアーリング40が採用されている。
【0092】
エアーリング40が、外周側に冷却風取入口12を、中心側にチューブ状の溶融合成樹脂5を取り囲み、チューブ状の溶融合成樹脂5の外周に向けて冷却風取入口12から導入された冷却風を吹きつける環状の冷却風吹出口13を備え、冷却風取入口12と冷却風吹出口13との間に冷却風流路15を有するものである点については、実施例1、2の場合と同様である。
【0093】
冷却風流路15には環状整流部材41が環状冷却風吹出口13を取り囲んで配備されている。
【0094】
環状整流部材41は、複数の透孔42を有し、当該複数の透孔42を介してのみ冷却風が冷却風取入口12から環状冷却風吹出口13に向けて流動可能になっている。
【0095】
複数の透孔42は、冷却風取入口12から導入された冷却風が整流されて、均一な流量、風速で、環状冷却風吹出口13から吹き出され、円周方向において均一な流量、風速で、チューブ状の溶融合成樹脂5の外周に吹きつけられることを効果的に実現するために設けられるものである。そこで、第9図、第10図図示のように、各透孔42は、環状整流部材41の円周方向において、所定の間隔をあけて均等に設けられていることが望ましい。
【0096】
また、環状整流部材41には、その全周にわたって、複数の加熱エレメント43が隣接する加熱エレメント43との間に所定の間隔をあけて配備されている。この複数の加熱エレメント43は個別に温度調整可能なものである。図示の実施形態では、個別に温度調整可能な複数の電気ヒーターが、環状整流部材41の全周にわたって、円周方向に所定の間隔をあけて埋設されている。
【0097】
そこで、冷却風は環状整流部材41に設けられている透孔42を通過する際に前記のように多数配備されている加熱エレメント43により、製造されたフィルム6の厚みを考慮して、円周方向において所望の温度に個別に制御される。
【0098】
この制御は、製造されたフィルム6の厚みを計測する厚み計24で厚みを測定して、そのデータを利用して、制御器25を介して、個々の加熱エレメント43を自動的に制御して行うことができる。
【0099】
例えば、製造されたフィルム6の厚みを計測する厚み計24の情報に基づき、制御器25を介して、フィルム6の肉厚が厚い部分に対応する位置の加熱エレメント43に対して、冷却風の温度を上げるように制御器25から通電制御する。すなわち、厚み計24で測定したフィルム6の厚さのうち、所定以上に厚い部分があるときは、その対応する溶融合成樹脂5の部分を冷却する冷却風の温度を上げて他の部分より冷却速度を遅くすれば固化する前に引き伸ばしできるので、偏肉を抑えることができる。これによりチューブ状の溶融合成樹脂5のその部分が薄くなり、偏肉が小さく、円周方向において均一な肉厚を有するフィルム6を製造できる。
【0100】
尚、加熱エレメント43は、円周方向に互いに所定の間隔をあけて複数の透孔42が設けられている環状整流部材41に埋設されることが好ましい例として挙げられるが、環状整流部材41の表面に取り付けても良い。又、複数の透孔42を有する環状整流部材41自体を加熱エレメント43としても構わない。
【0101】
この実施形態によれば、環状整流部材41は複数の透孔42を円周方向に所定の間隔をあけて多数備えているので、冷却風と環状整流部材41との接触面積が大きい。そこで、個別に温度調整可能な加熱エレメント43から冷却風への伝熱効率が良く、少ないエネルギーで冷却風の温度を環状整流部材41の円周方向において部分的に制御でき、フィルム6の偏肉を効率よく調整できる。
【0102】
(参考例1)
第12図乃至第15図を用いて本発明の参考例を説明する。
【0103】
この実施例に係るインフレーションフィルム製造装置は、前述した実施例1〜3におけるインフレーションフィルム製造装置のように、エアーリングの部分に改良を加えて製造されたチューブ状フィルムの厚さに偏りが生じることを防止するにあたって、低コストでチューブ状フィルムの厚さを計測できる厚み計を備え、結果として、前述した実施例1〜3記載の偏肉防止機構を備えたインフレーションフィルム製造装置を低コストで提供できるようにするものである。
【0104】
実施例1〜3を説明した図面における構成部材と共通する構成部材には共通する符号を付け、その説明を省略する。
【0105】
この実施例のインフレーションフィルム製造装置が備えている厚み計24は、製造されたチューブ状のフィルム6が切り開き刃9で切り開かれ、2枚のフラット状のフィルム6a、6bとされた後にそれぞれの厚みを測定するものである。
【0106】
この厚み計24は、切り開き刃9で切り開かれて2枚にされたフラット状のフィルム6a、6bを互いに対向させて長手方向に搬送する搬送手段、例えば、搬送ローラ51、52、53、54、55、56を備えている。
【0107】
また、厚み計24は、第13図図示のように一方の側に検出面57を備えている検出器58を備えている。
【0108】
検出器58は、互いに対向して長手方向(第12図中、上下方向、第13図中、図面に直交する方向)に搬送される2枚のフラット状フィルム6a、6bの間を横方向(第13図中、符号Xで表している方向)に移動可能に配備されている。
【0109】
そして、厚み計24は、検出器58の検出面57を、互いに対向する2枚のフラット状のフィルム6a、6bの一方に向いている状態から、他方に向く状態に180度回転させる回動機構を備えている。
【0110】
具体的には、第12図乃至第14図に示すように、枠60に、フィルム6a、6bが搬送されていく方向に直交するようにレール61が取り付けられている。このように横方向(第13図中、符号Xで表している方向)に配備されているレール61上を矢印X方向(第13図)及び矢印Y方向(第14図)に往復可能にトラバース装置62が設けられている。トラバース装置62には、長ネジ63が螺合されていて、長ネジ63にはトラバース用モーター64が結合されている。
【0111】
トラバース装置62上には検出器58の検出面57の向きを矢印Z方向に180度回動させる、すなわち、検出器58の検出面57を、互いに対向する2枚のフィルム6a、6bの一方に向いている状態から、他方に向く状態に180度回転させる回動装置65が取り付けられている。回動装置65には回動用モーター66が取り付けられている。
【0112】
そして、第13図、第14図図示のように、フィルム6a、6bの背後に、検出器58から放射される赤外線を反射する反射板67a及び67bが、検出器58の検出面57に対向して配設されている。
【0113】
2枚に切り開かれたフィルム6a及び6bは枠60と反射板67a及び67bの間を通って、第13図、第14図において紙面に垂直な方向に、すなわち、第12図において上下方向に搬送され、第15図中、下流の搬送ローラ54、55、56の方へ搬送されていく。
【0114】
第13図に示すように、最初、検出器58の検出面57がフィルム6a方向に向いており、検出器58はフラット状のフィルム6aの幅方向即ち矢印X方向の、斜線でハッチングした左横端までトラバース装置62で移動されていく。この横移動の際に、検出器58は赤外線を放射すると共に反射板67aからの赤外線の反射量を捉え、フィルム6aの厚みを測定して、6aの幅方向の偏肉(厚みのバラツキ)を検出する。
【0115】
次に、第14図に示すように、図中、左横端において、検出器58の検出面57の向きを矢印Z方向に180度回動させ、検出器58の検出面57を、フィルム6aに対向しているフィルム6bの方に向ける。
【0116】
そして、検出器58を矢印Y方向に横移動させ、前記と同様の動作でフィルム6bの偏肉を検出する。
【0117】
この実施例のインシュレーションフィルム製造装置に備えられている厚み計24によれば、前述したように、2台の検出器を使用することなく1台の検出器で2枚に切り開いたフィルム6a、6bの厚みを測定できる。そこで、経済的であると共に構造が簡単になる。よってコンパクトで使い勝手のよいものとなる。
【0118】
尚、前記では、検出器58として赤外線を利用した検出器を用いる例を説明したが、これに代えて、国際公開公報WO98/14751に記載されているような静電容量型の検出器を使用しても良い。
【0119】
いずれにしても、一方の側に検出面を備えている検出器を、互いに対向して長手方向に搬送される2枚のフラット状フィルム6a、6bの間で横方向に移動させ、前記検出器の検出面を、互いに対向する2枚のフラット状のフィルム6a、6bの一方に向いている状態から、他方に向く状態に180度回転するようにすれば、2台の検出器を使用することなく1台の検出器で2枚に切り開いたフィルム6a、6bの厚みを測定できる。
【0120】
(参考例2)
第16図、第17図を用いて本発明の参考例を説明する。
【0121】
この実施例に係るインフレーションフィルム製造装置は、前述した実施例1〜3におけるインフレーションフィルム製造装置のように、エアーリングの部分に改良を加えて製造されたチューブ状フィルムの厚さに偏りが生じることを防止するにあたって、より正確にチューブ状フィルムの厚さを計測できる厚み計を備え、結果として、前述した実施例1〜3記載のインフレーションフィルム製造装置における偏肉防止をより確実に行えるようにしたものである。
【0122】
実施例1〜4を説明した図面における構成部材と共通する構成部材には共通する符号を付け、その説明を省略する。
【0123】
この実施例のインフレーションフィルム製造装置が備えている厚み計24は、製造されたチューブ状のフィルム6が切り開き刃9で切り開かれ、2枚のフラット状のフィルム6a、6bとされた後にそれぞれの厚みを測定するものである。
【0124】
厚み計24は、第24図を用いて説明した従来のインフレーションフィルム製造装置が備えている厚み計の問題点を解決したものであり、第24図を用いて説明した従来のインフレーションフィルム製造装置が備えている厚み計と共通する構成部材には共通の符号を付けてその説明を省略する。
【0125】
この厚み計は、第24図を用いて説明したように、切り開かれて2枚にされたフラット状の各フィルム6a、6bを基準ロール面70上に接触走行させつつ、フィルム6aが接触走行している基準ロール70の面の接線方向からレーザービーム71を照射して厚みを計測する非接触計測センサーである。すなわち、前記の厚み計は、基準ロール面70上を接触走行しているフィルム6aの厚みを非接触で計測する非接触計測センサーである。
【0126】
そして、フィルム6aと基準ロール70の面とが接触する部分の近傍に、第16図図示のように、フィルム6aと基準ロール70の面との接触部を減圧する吸引手段73を備えているものである。
【0127】
このように、図示しないブロワーによって、吸引手段73を介して、基準ロール70とフィルム6aとの間の空気を吸い込んで、この部分の空気圧を負圧にして、フィルム6aを基準ロール70に密着させている。すなわち、基準ロール70とフィルム6aとが接触する部分の近傍を減圧することで密着させるものである。
【0128】
この実施形態によれば、吸引手段73の吸引力で確実にフィルム6aを基準ロール70に密着させているので正確にフィルム6aの厚みを検出することができる。
【0129】
このように正確な厚み測定を行うことができるので、これを利用して実施例1〜3で説明した機構により、冷却風による冷却状態(冷却風の風量、温度など)を精密に制御し、偏肉の発生をより確実に防止することができる。
【0130】
なお、この実施例では、基準ロール面70上を接触走行しているフィルム6aの厚みを非接触で計測する非接触計測センサーとしてレーザービーム遮光型の検出器を採用していたが、前記のレーザービーム遮光型の検出器に代えて、レーザーや超音波の反射型検出器等々の種々の非接触計測センサーを採用することができる。
【0131】
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明してきたが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において、種々の形態に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインフレーションフィルム製造装置の第一の実施形態におけるエアーリングの断面図。
【図2】第1図中、I−I線断面図。
【図3】第1図、第2図図示のエアーリングを備えている本発明のインフレーションフィルム製造装置において、環状の冷却風吹出口から吹き出される冷却風の風速を測定した結果を表す図。
【図4】本発明のインフレーションフィルム製造装置の第一の実施形態の概略構成を表す図。
【図5】本発明のインフレーションフィルム製造装置の第二の実施形態におけるエアーリング部の一部を断面して表した図。
【図6】第5図中、V−V線断面図。
【図7】本発明のインフレーションフィルム製造装置の第二の実施形態の概略構成を表す図。
【図8】本発明のインフレーションフィルム製造装置の第三の実施形態におけるエアーリング部を断面して説明した図。
【図9】第8図中、VIII−VIII線断面図。
【図10】第9図中、IX−IX線部を断面し、一部を省略して表した図。
【図11】本発明のインフレーションフィルム製造装置の第三の実施形態の概略構成を表す図。
【図12】本発明のインフレーションフィルム製造装置の参考例における厚み計の一部を省略して表した正面図。
【図13】第12図図示の厚み計の動作状態を説明する一部を省略して表した平面図。
【図14】第12図図示の厚み計の他の動作状態を説明する一部を省略して表した平面図。
【図15】本発明のインフレーションフィルム製造装置の参考例の実施形態の概略構成を表す図。
【図16】本発明のインフレーションフィルム製造装置の他の参考例における厚み計の一部を省略して表した側面図。
【図17】本発明のインフレーションフィルム製造装置の他の参考例の概略構成を表す図。
【図18】従来のインフレーションフィルム製造装置におけるエアーリング部を断面して説明した図。
【図19】第18図中、XVIII−XVIII線部を断面して表した図。
【図20】第18図、第19図図示のエアーリングを備えている従来のインフレーションフィルム製造装置において、環状の冷却風吹出口から吹き出される冷却風の風速を測定した結果を表す図。
【図21】従来の他のインフレーションフィルム製造装置におけるエアーリング部を説明する斜視図。
【図22】従来の他のインフレーションフィルム製造装置におけるエアーリング部を断面して説明した図。
【図23】従来のインフレーションフィルム製造装置に配備されている厚み計の動作状態を説明する平面図。
【図24】従来のインフレーションフィルム製造装置に配備されている他の厚み計の動作状態を説明する側面図。
Claims (3)
- 成形用ダイの円形スリットから押出しされたチューブ状の溶融合成樹脂の外周に、前記成形用ダイの上方で前記円形スリットを囲繞する位置に配備されているエアーリングから冷却風を吹き付けて前記チューブ状の溶融合成樹脂を冷却し、チューブ状フィルムを製造するインフレーションフィルム製造装置であって、
前記エアーリングは、外周側に冷却風取入口を、中心側に前記チューブ状の溶融合成樹脂を取り囲み、チューブ状の溶融合成樹脂の外周に向けて前記冷却風取入口から導入された冷却風を吹きつける環状の冷却風吹出口を備えていると共に、冷却風取入口が配備されている位置を始点として前記冷却風吹出口側に向けて形成されている冷却風流路を備えており、
当該冷却風流路は、冷却風取入口が配備されている位置を始点として次第に径が小さくなる渦巻き状の仕切板によって形成される渦巻き状の冷却風流路であり、
当該渦巻き状の仕切板の高さが、冷却風取入口が配備されている位置を始点として次第に低くなっている
ことを特徴とするインフレーションフィルム製造装置。 - 成形用ダイの円形スリットから押出しされたチューブ状の溶融合成樹脂の外周に、前記成形用ダイの上方で前記円形スリットを囲繞する位置に配備されているエアーリングから冷却風を吹き付けて前記チューブ状の溶融合成樹脂を冷却し、チューブ状フィルムを製造するインフレーションフィルム製造装置であって、
前記エアーリングは、外周側に冷却風取入口を、中心側に前記チューブ状の溶融合成樹脂を取り囲み、チューブ状の溶融合成樹脂の外周に向けて前記冷却風取入口から導入された冷却風を吹きつける環状の冷却風吹出口を備えており、
当該環状の冷却風吹出口は、小径の内側リング部と、大径の外側リング部とによって形成され、
当該外側リング部の上側に、外側リング部の全周にわたって、個別に温度調整可能な複数の放射加熱型ヒーターが隣接する放射加熱型ヒーターとの間に円周方向で所定の間隔をあけて配備されている
ことを特徴とするインフレーションフィルム製造装置。 - 成形用ダイの円形スリットから押出しされたチューブ状の溶融合成樹脂の外周に、前記成形用ダイの上方で前記円形スリットを囲繞する位置に配備されているエアーリングから冷却風を吹き付けて前記チューブ状の溶融合成樹脂を冷却し、チューブ状フィルムを製造するインフレーションフィルム製造装置であって、
前記エアーリングは、外周側に冷却風取入口を、中心側に前記チューブ状の溶融合成樹脂を取り囲み、チューブ状の溶融合成樹脂の外周に向けて前記冷却風取入口から導入された冷却風を吹きつける環状の冷却風吹出口を備え、当該冷却風取入口と冷却風吹出口との間に冷却風流路を有するものであって、
当該冷却風流路には複数の透孔を有し、当該複数の透孔を介してのみ前記冷却風が冷却風取入口から環状冷却風吹出口に向けて流動可能になっている環状整流部材が前記環状冷却風吹出口を取り囲んで配備されており、
当該環状整流部材には、その全周にわたって、個別に温度調整可能な複数の加熱エレメントが隣接する加熱エレメントとの間に円周方向で所定の間隔をあけて配備されている
ことを特徴とするインフレーションフィルム製造装置。
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