JP4598366B2 - 製版装置・孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像情報に基づいてマスタ(孔版原紙)を製版する製版装置、該製版装置を有する孔版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の孔版印刷装置では、製版装置により製版されたマスタの先端部を版胴の外面に設けられたクランパで挟持し、版胴を回転させながらマスタを巻き付けるようになっている。
クランプ時の位置出し(クランプレジスト)は、版胴の給版待機位置近くに設けられた搬送ローラ対によりマスタを一定時間挟持搬送することによりマスタの先端部がクランプ位置に到達したものとみなす方式が採られている。このため、搬送ローラ対の駆動には電磁クラッチやステッピングモータが必要であり、コストアップを来たしていた。
搬送ローラ対を設けずに、マスタをプラテンローラ下流側のフロントテンションローラ対で一定時間搬送することによりマスタの先端部がクランプ位置に到達したものとみなす方式もある。この方式において、マスタストック手段を有する構成では、版胴のクランパ部にマスタの先端を突き当てるストッパを形成し、過剰送りによってマスタストック手段の開口部上方にマスタ溜まりを形成するようになっている。
【0003】
マスタストック手段の有無に拘わらず、フロントテンションローラ対で搬送する方式では、搬送過程が長いためにマスタをクランプ位置へ案内するガイド部材が設けられている。
図6に示すように、マスタ24はサーマルヘッド17で製版されながらプラテンローラ26で搬送され、フロントテンションローラ対40でテンションを付与されつつ搬送される。ガイド部材は、下側ガイド板55と上側ガイド板56から構成され、マスタはガイド板間を案内されて版胴5のクランパ8によるクランプ位置に到達するようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−32040号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コシの弱いカールしやすいマスタの場合には、図6に一点鎖線の円で示すガイド部材入り口で搬送不良が発生するという問題があった。
図7に示すように、マスタ24のカールした先端部24cが上側ガイド板56の端縁に突き当たり、そのまま上方にずれてガイド部材入り口から外れることがあった。また、図8に示すように、カールが小さい場合にはガイド部材入り口で丸まってそれ以上進まないことがあった。
【0006】
そこで、本発明は、コスト上昇をきたすことなく、且つ、カールしたマスタでも搬送不良を抑制できる製版装置、該製版装置を有する孔版印刷装置の提供を、その目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、画像情報に基づいてマスタを製版し搬送する製版搬送手段を有し、該製版搬送手段により製版搬送されるマスタを非挟持状態で対構成のガイド部材で案内しながら所定量搬送してその先端部を版胴のクランパに到達させる製版装置において、上記ガイド部材のマスタ搬送方向上流側に設けられ、マスタを下方へ押し込むように回転して上記ガイド部材へマスタの先端部を案内する搬送ガイドローラを有し、スポンジローラ、金属ローラ又はプラスチックローラである、という構成を採っている。
【0008】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の製版装置において、上記搬送ガイドローラが、上記製版搬送手段と同一の駆動源により回転駆動される、という構成を採っている。
【0009】
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の製版装置において、上記製版搬送手段により製版搬送されたマスタをエアー吸引源により吸引して貯容するマスタストック手段を有している、という構成を採っている。
【0010】
請求項4記載の発明では、製版装置により製版されたマスタを版胴の外周面に巻装して印刷を行う孔版印刷装置において、上記製版装置が、請求項1乃至3のうちの何れか1つに記載の製版装置である、という構成を採っている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態を図1乃至図4に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における孔版印刷装置の要部概略正面図である。同図において孔版印刷装置1は、印刷部2、製版装置3、給紙装置4を有している。
印刷部2は、図示しない装置本体のほぼ中央部に位置し、図示しない版胴駆動手段によって図1において時計回り方向に回転駆動される版胴5と、版胴5の外周面に対して接離自在に設けられ、給紙装置4から給送される用紙Pを版胴5に対して押圧するプレスローラ6を有している。
版胴5は、その両側縁部を図示しない一対のフランジの各周面にそれぞれ取り付けられた多孔性支持板5aと、多孔性支持板5aの外周に複数層巻装された図示しないメッシュスクリーンとを有しており、多孔性支持板5aには複数の開孔5bを有する開孔部が形成されている。
【0015】
多孔性支持板5aの非開孔部には版胴5の一母線に沿った平面をなすステージ部7が設けられており、ステージ部7上には支軸8aによって開閉自在に支持されたクランパ8が配設されている。
クランパ8は、版胴5が所定位置を占めたときに図示しない開閉手段によって開閉される。
版胴5の内部にはインキ供給手段9が配設されている。インキ供給手段9は、版胴5の支軸を兼ねたインキ供給パイプ10、インキローラ11、ドクターローラ12等を有している。
【0016】
インキ供給パイプ10は図示しない一対のフランジ間に配設されており、図示しない軸受を介して各フランジをそれぞれ回転自在に支持している。インキ供給パイプ10にはそれぞれ図示しないインキポンプ及びインキパックが接続されており、インキポンプの作動によりインキパック内のインキがインキ供給パイプ10に複数設けられたインキ供給孔10aから版胴5の内部に供給される。
インキロ一ラ11は、図示しない一対のフランジ間に配設されそれぞれインキ供給パイプ10に固定された図示しない一対の側板間に回転自在に支持されており、図示しない回転駆動手段によって版胴5と同期して同方向に回転駆動される。
インキローラ11は、その周面と版胴5の内周面との間に僅かな隙間が生じる位置に配置されている。
【0017】
インキローラ11の近傍にはドクターローラ12が配設されている。ドクターローラ12もインキローラ11と同じく図示しない側板間に回転自在に支持されており、図示しない回転駆動手段によってインキローラ11と同期して逆方向に回転駆動される。ドクターローラ12は、その周面とインキローラ11の周面との間に僅かな隙間が生じる位置に配置されている。
インキローラ11とドクターローラ12との近接部には断面楔形状の空間が形成され、この空間にインキ供給孔10aから供給されたインキが溜まることによりインキ溜まり13が形成される。インキ溜まり13のインキは、インキロ一ラ11とドクターローラ12との近接部を通過する際にインキローラ11の周面上に薄層状に供給され、プレスロ一ラ6によって版胴5が押圧された際にインキロ一ラ11の周面と版胴5の内周面とが接触することにより版胴5の内周面に供給される。
【0018】
版胴5の下方にはプレスローラ6が配設されている。版胴5の軸方向長さとほぼ同じ長さを有し、芯部6aの周囲にゴム等の弾性体を巻成してなるプレスローラ6は、芯部6aの両端を一対のプレスローラアーム14の一端間にそれぞれ回転自在に支持されている。板状部材である一対のプレスローラアーム14は、図示しない装置本体に回動自在に支持されたプレスローラ軸15にそれぞれの他端を固定されており、図示しないプレスローラ揺動手段によってそれぞれ一体的に揺動される。この揺動により、プレスローラ6はその周面が版胴5の外側面から離間する図1に示す離間位置と、その周面が所定の押圧力で版胴5の外周面に接触する押圧位置とを選択的に占める。
【0019】
印刷部2の右上方には製版装置3が配設されている。製版装置3は、図示しないマスタ貯容部材、プラテンローラ16、サーマルヘッド17、フロントテンションローラ対40、カット手段(切断手段)18、マスタ搬送ガイド23、マスタストック手段19、搬送ガイドローラ60、可動マスタガイド板21、ガイド部材57等を有している。
図示しないマスタ貯容部材は、製版装置3の図示しない一対の側板にそれぞれ設けられており、マスタ24をロール状に巻成したマスタロール24aの芯部24bを回転自在かつ着脱自在に支持している。
【0020】
本実施形態におけるマスタ24は、熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に樹脂からなる多孔性樹脂膜を設け、更にその表面に繊維状物質からなる多孔性繊維膜を積層した三層構造を有している(特開平10−147075号公報参照)。このマスタはコシが弱く低強度ながらもインクを均一に転写でき(高画質化)、インク消費量を低減できる特性を有している。なお、このマスタの使用に限定される趣旨ではない。
マスタロール24aの配設位置の左方にはプラテンロ一ラ16が配設されている。プラテンローラ16は、その軸方向長さがマスタ24の幅とほぼ同じ長さに形戌されており、装置本体の図示しない側板間に回転自在に支持されている。
プラテンローラ16は、装置本体に設けられた図示しないステッピングモータから駆動力を伝達され、図1において時計回り方向に回転駆動される。
【0021】
プラテンローラ16の下方にはサーマルヘッド17が配設されている。サーマルヘッド17は、その幅がプラテンローラ16の幅方向長さよりも大きく形成され、その上面には複数の発熱素子が配設されており、その発熱素子をプラテンローラ16の周面に圧接させるように、図示しない付勢手段によって付勢されている。各発熱素子は図示しないサーマルヘッドドライバによってその作動を個々に制御され、図示しないサーマルヘドドライバには、装置本体の上部に設けられた図示しない画像読取部からの画像情報に応じた作動信号が入力される。
サーマルヘッド17と上述したプラテンローラ16とによって、マスタ24を製版搬送する製版搬送手段26が構成される。
【0022】
プラテンローラ16のマスタ搬送方向下流側には、上フロントテンションローラ40aと下フロントテンションローラ40bを有するフロントテンションローラ対40が配設されている。フロントテンションローラ対40はプラテンローラ16の下流側におけるマスタ24にテンションを付与する機能を有しており、プラテンローラ16と同一の駆動源で回転駆動される。
フロントテンションローラ対40の下流側には、製版されたマスタ24を所定の位置で切断するカット手段18が配設され、その下流側にはマスタガイド板23が配設されている。
カット手段18は装置本体に固定され、下刃と、上刃を有している。カット手段18はギロチンタイプ、回転刃タイプのいずれでもよい。
【0023】
マスタガイド板23の下流側には、上部にマスタ導入のための開口部を有するマスタストック手段19が配設されている。製版されたマスタ24を一時的に貯容するマスタストック手段19は、筐体状をなすストック本体部34と、該ストック本体部34の奥部上方に設けられた吸引ファン35と、ストック本体部34に対してマスタの引き込み経路に沿って出し入れ自在(抜き差し自在)に設けられたマスタ除去トレイ36を有している。
吸引ファン35の作動により密閉された空間であるマスタストック手段19の内部には負圧が発生し、製版搬送されてきた製版済みのマスタ24はマスタストック手段19の奥部に向けて吸引されて貯容される(図4参照)。マスタストック手段19の詳細については後述する。なお、ストック本体部34における各側面(壁面)は実際には厚みを有しているが単線で表示している(他の図において同じ)。
【0024】
マスタストック手段19の左方(下流側)には、搬送ガイドローラ60、ガイド部材57が設けられており、ガイド部材57の下方には、版胴5へのマスタ24の巻装時にマスタ24にテンションを付与して緩み防止するテンション付与手段61が設けられている。搬送ガイドローラ60はプラテンローラ16と同一の駆動源で回転駆動される。ガイド部材57は、下側ガイド板58と上側ガイド板59を有している。テンション付与手段61は、軸61aと、該軸61aに回動自在に設けられ図示しない駆動部材により図1に示す退避位置と、図4に二点鎖線で示す当接位置に選択的に位置付けられる可動アーム61bと、該可動アーム61bの先端部に回転自在に支持されたブレーキローラ61cを有している。
【0025】
マスタストック手段19の開口部の上面には可動マスタガイド板21が配段されている。可動マスタガイド板21は、図示しない側板間に回動自在に支持された支軸21aにその基端を取り付けられており、製版装置3に設けられた図示しないステッピングモータにより、製版搬送されたマスタ24をマスタ搬送ローラ対20に案内する実線で示す搬送位置と、マスタ24がマスタストック手段19の内部に導かれる際に邪魔とならない二点鎖線で示す退避位置とを選択的に占める。
【0026】
印刷部2の右方であって製版装置3の下方には給紙装置4が配設されている。給紙装置4は、給紙トレイ27、給紙ローラ28、レジストローラ対29等を有している。
その上面に多量の用紙Pを積載可能な給紙トレイ27は、図示しない装置本体に上下動自在に支持されており、図示しないトレイ昇降手段の作動によって上下動する。
【0027】
給紙トレイ27の上方であって用紙Pの搬送方向先端部と対応する位置には、給紙ローラ28が配設されている。周面に高摩擦抵抗部材を有する給紙ローラ28は給紙装置4の図示しない側板間に回転自在に支持されており、図示しない付勢手段によって図1の下方に向けて付勢されている。給紙ローラ28は、図示しないトレイ昇降手段によって給紙トレイ27が給紙位置まで上昇したときに、給紙トレイ27上の最上位の用紙Pに所定の圧接力で圧接し、給紙装置4に設けられた図示しない給紙モータによって図1において時計回り方向に回転駆動される。
給紙ローラ28の下方であって、給紙トレイ27上の用紙Pの搬送方向先端部よりも用紙搬送方向下流側の位置には、高摩擦抵抗部材からなる用紙分離部材30が配設されている。用紙分離部材30は、図示しない付勢手段によって所定の圧接力で給紙ローラ28の周面に圧接されている。
【0028】
給紙ローラ28及び用紙分離部材30よりも用紙搬送方向下流側の位置には、レジストローラ対29が配設されている。共に給紙装置4の図示しない側板間に回転自在に支持された駆動ローラ29a及び従動ローラ29bからなるレジストローラ対29は、図示しないレジスト駆動手段から駆動力を伝達されて回転する駆動ローラ29aとこれに圧接された従動ローラ29bとにより、給紙ローラ28によって給紙トレイ27上から引き出された用紙Pを一時停止させた後、所定のタイミングで版胴5とプレスローラ6との間に向けて給送する。
給紙ローラ28とレジストローラ対29との間の部位には用紙ガイド板31が、またレジストローラ対29よりも用紙搬送方向下流側の位置には用紙ガイド板32がそれぞれ配設されている。各用紙ガイド板31、32は、それぞれ給紙装置4の図示しない側板に固定されている。
【0029】
装置本体の上部には、原稿画像を読み取る図示しない画像読取部が設けられている。画像読取部で読み取られた画像データは、図示しない画像メモリに格納された後に呼び出され、サーマルヘッド17によってマスタ24に製版される。
印刷部2の左上方には、版胴5上に巻装された使用済みマスタを剥離する図示しない排版装置が設けられている。排版装置は、版胴5の周面に対して接離可能な排版部材を有する周知の構成であり、版胴5上より剥離した使用済みマスタを貯容する排版ボックス、及び排版ボックス内において使用済みマスタを圧縮する圧縮板等を有している。
印刷部2の左下方には、印刷部2において印刷された用紙Pを機外に排出するための図示しない排紙部が設けられている。排紙部は、版胴5の外周面より用紙Pを剥離する剥離爪、印刷済み用紙を搬送する用紙搬送ユニット、印刷済み用紙を積載可能な排紙トレイ等を有する周知の構成である。
【0030】
上述の構成に基づき、以下に孔版印刷装置1の動作を説明する。
画像読取部に原稿がセットされ、オペレータによって装置本体上部に設けられた図示しない操作パネルの製版スタートキーが押下されると、画像読取動作及び排版動作が並行して行われる。排版動作が完了すると、版胴5はクランパ8がほぼ右真横位置に位置する給版位置まで回転して停止し、開閉手段によりクランパ8が開放されて孔版印刷装置1は図4に示す給版待機状態となる。
この時、クランパ8の開放動作によりテンション付与手段61は退避位置へ移動する。
画像読取動作に並行して、製版装置3では製版動作が行われる。製版スタートキーが押下されると、図示しないステッピングモータが作動してプラテンローラ16が回転駆動されるとともに、フロントテンションローラ対40、搬送ガイドローラ60が回転駆動され、セットされたマスタ24がマスタロール24aより引き出される。引き出されたマスタ24は、プラテンローラ16とサーマルヘッド17間を通過する際に読み取られた画像データに応じて製版される。
【0031】
マスタ24は製版後はフロントテンションローラ対40で搬送され、搬送ガイドローラ60によりガイド部材57へ案内され、ガイド部材57を経てクランパ8のストッパ8bに突き当たる。その後の過剰送り制御により、マスタストック手段19の開口部の上方には吸引を円滑にするためのマスタ溜まり(たわみ)24eが形成される。
マスタ24の先端部がカールしていても、図3に示すように、マスタ24の先端部24cは搬送ガイドローラ60の時計回り方向の回転により押し込まれ、引っ掛かることなくスムーズにガイド部材57の中へ案内される。
搬送ガイドローラ60の表面摩擦抵抗がゴムローラ等のように大きいと、過剰送りにおいてマスタ溜まり24eがマスタストック手段19の開口部の上方である正常位置に形成されず、搬送ガイドローラ60とストッパ8b間に形成されて吸引不良を招く。また、搬送ガイドローラ60の位置でマスタ24の先端が引っ掛かって搬送不良を来たす懸念がある。
【0032】
このような観点から、搬送ガイドローラ60は摩擦係数の小さい表面正常を有している。本実施形態ではスポンジローラを採用している。金属ローラやプラスチックローラ等を使用してもよい。すなわち、搬送ガイドローラ60は搬送機能を得るものではなく、あくまでもマスタ24の先端部を円滑にガイド部材57へ案内する機能を有するものである。
また、過剰送り制御におけるマスタ溜まり24eの形成では、搬送ガイドローラ60はその形成起点の役目を果たし、確実にマスタ溜まり24eがマスタストック手段19の開口部の上方に形成される。
【0033】
所定の過剰送りが完了すると、図示しない開閉手段が作動してクランパ8が閉じられ、マスタ24の先端部が挟持される。マスタ24が挟持されると、可動マスタガイド板21を駆動するステッピングモータが作動する。可動マスタガイド板21は時計回り方向に回動され、図4に示すように、退避位置に位置決めされる。また、このステッピングモータの作動と同時に吸引ファン35が作動する。
過剰送り完了後もサーマルヘッド17、プラテンローラ16、フロントテンションローラ対40、搬送ガイドローラ60は作動、回転を継続しており、製版されたマスタ24は吸引ファン35に吸引されることによって、マスタストック手段19の内部に貯容される。
【0034】
クランパ8が閉じられると、テンション付与手段61のブレーキローラ61cが二点鎖線で示すように当接位置に設定され、版胴5が図4において時計回り方向に低速で間欠的に回転駆動され、版胴5へのマスタ24の巻装が行われる。
製版動作が進行し、プラテンローラ16を駆動する図示しないステッピングモータのステップ数より1版分のマスタ24が製版されたと判断されると、該ステッピングモータの作動が停止されるとともにカット手段18が作動し、マスタ24が切断される。切断されたマスタ24は版胴5の回転によって製版装置3より引き出され、版胴5の外周面上に巻装される。
巻装動作が完了すると、図示しないステッピングモータが作動して可動マスタガイド板21が支軸21aを中心に反時計回り方向に回動され、図1及び図2で示した搬送位置に位置決めされる。
【0035】
可動マスタガイド板21が搬送位置に位置決めされると、給紙ローラ28が回転駆動されて給紙装置4より1枚の用紙Pが給送されるとともに、版胴5が低速で時計回り方向に回転駆動される。用紙分離部材30によって分離給送された用紙Pは、その先端をレジストローラ対29のニップ部に挟み込まれて一時停止され、スキューを修正される。
版胴5上に巻装されたマスタ24の製版画像領域の先端部がプレスローラ6と対応する位置に到達するタイミングでレジストローラ対29が回転駆動され、用紙Pが印刷部2に向けて給送される。
【0036】
レジストロ一ラ対29の作動とほぼ同時にプレスローラ揺動手段が作動し、プレスローラ6は版胴5の外周面に接触する。この接触により、多孔性支持板5a、図示しないメッシュスクリーン、マスタ24、用紙P、プレスローラ6が所定の押圧力で接触し、インキローラ11によって版胴5の内周面に供給されたインキが開孔5b、図示しないメッシュスクリーンの開孔部、マスタ24の多孔性樹脂膜、多孔性繊維膜、熱可塑性樹脂フィルム穿孔部を介して用紙Pに転写され、いわゆる版付けが行われる。版付け後の用紙Pは、図示しない剥離爪によって版胴5の外周面より剥離され、図示しない用紙搬送ユニットを介して図示しない排紙トレイ上に排出される。
【0037】
版付け動作後、オペレータは操作パネル上のキーを操作して印刷画像位置あるいは印刷速度等を設定した後、図示しない試し刷りキーを押下する。試し刷りキーが押下されると、版胴5が設定された印刷速度に基づいた回転周速度で回転駆動されるとともに給紙装置4より1枚の用紙Pが給送され、版付け時と同様に試し刷りが行われる。オペレータは試し刷りによって画像を確認し、操作パネル上で印刷枚数を設定した後に印刷スタートキーを押下する。これにより給紙装置4より用紙Pが連続的に給送され、上述した試し刷りと同様に印刷が行われる。
設定された印刷枚数が消化されると全ての動作が停止し、孔版印刷装置1は再び待機状態となる。
【0038】
次に、マスタストック手段19の構成及びマスタ除去機能を説明する。図1に示すように、筐体ないし箱状のストック本体部34は、可動マスタガイド板21の動作によって開放された開口部から製版済みのマスタ24を引き込んで貯容するための主貯容空間34Aと、仕切り板34aによって主貯容空間34Aの上側に折り返された副貯容空間34Bを有しており、副貯容空間34Bの吸引方向奥側に吸引ファン35が設けられている。副貯容空間34Bにおける吸引ファン35の右側には、空気流を通過させ且つマスタ24のカット片の進入を阻止する金網等のフィルタ34bが設けられている。フィルタ34bの吸引ファン35側には、例えば反射型フォトセンサで構成されるマスタ検知手段50が設けられている。
【0039】
マスタ除去トレイ36は、主貯容空間34Aの底面(マスタストック手段19の底面)の内側をスライドする平板状のトレイ本体37と、該トレイ本体37の外側端に設けられた取っ手部材38を有している。トレイ本体37と取っ手部材38は合成樹脂により一体成形されている。
取っ手部材38は、主貯容空間34Aと副貯容空間34Bの後端側(版胴5から遠ざかる方向)の開口部を塞ぐ側面としての機能をも有している。
【0040】
トレイ本体37の先端部は上方に屈曲されており、該屈曲部37aにはマスタストック手段19の内面である仕切り板34aの下面を摺擦するスクレーパ39が設けられている。スクレーパ39の幅は、搬送方向と直交するマスタ24の幅方向における仕切り板34aの幅と同程度に設定されている。
取っ手部材38は、主貯容空間34Aと副貯容空間34Bの後端側の開口面積よりも若干大きい面積を有する平板状に形成されており、特に下端は突出されて引き出し用操作部38aが形成されている。
マスタ24のセットにおいて、折れやカールが生じている場合にはマスタ24の先端の位置合わせを正確にするために先端部をカットするときがあるが、これによって生じたカット片24dはマスタストック手段19内に吸引された後、トレイ本体37を図中右側に引き出して取り除かれる。オペレータがカット片24dの除去を忘れた場合でも、カット片24dはフィルタ34bに張り付いてマスタ検知手段50により検知され、例えば図示しない操作パネルの液晶表示部に警告がなされるため、除去忘れによる吸引力低下に起因する給版トラブルは防止される。
【0041】
上述のように、搬送ガイドローラ60は搬送機能を有さず、単にマスタ24の先端部を案内するだけでよいので、図5に示すように、軸方向に非接触部としての環状溝60cを複数設け、接触部60bの面積を少なくしてマスタ24に対する接触抵抗を減らすようにすれば、より滑らかなガイド機能を得ることができる(第2の実施形態)。図5において、符号60aは回転軸を示す。
搬送ガイドローラ60の接触面積の少ない形状は図5に示したものに限らず、例えば外周面に複数の半円形凹部や長円形凹部等を設けるなど種々のパターンを採用することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、先端部がカールしたマスタでも搬送性を向上でき、給版不良を防止できる。
【0043】
本発明によれば、構成の簡易化を図ることができるとともに、クランプ位置出しにおいてステッピングモータ等を使用しないので低コスト化を図ることができる。
【0044】
本発明によれば、搬送ガイドローラでの引っ掛かりを防止でき、マスタ給版のための搬送性を向上させることができる。
【0047】
本発明によれば、マスタ溜まりを適正位置に形成することができ、吸引不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における孔版印刷装置の概要正面図である。
【図2】マスタの先端をクランパに到達させ、且つ、過剰送りによってマスタ溜まりを形成した状態を示す概要正面図である。
【図3】搬送ガイドローラのガイド機能を示す図である。
【図4】製版済みのマスタをマスタストック手段に貯容した状態を示す概要正面図である。
【図5】第2の実施形態における搬送ガイドローラ斜視図である。
【図6】従来におけるクランプ位置出しを示す概要正面図である。
【図7】従来の構成においてカールしたマスタがガイド部材の入り口で引っ掛かった状態を示す図である。
【図8】従来の構成においてカールしたマスタがガイド部材の入り口で丸まった状態を示す図である。
【符号の説明】
3 製版装置
5 版胴
8 クランパ
19 マスタストック手段
24 マスタ
26 製版搬送手段
35 エアー吸引源としての吸引ファン
57 ガイド部材
60 搬送ガイドローラ
60c 環状溝
Claims (1)
- 画像情報に基づいてマスタを製版し搬送する製版搬送手段を有し、該製版搬送手段により製版搬送されるマスタを非挟持状態で対構成のガイド部材で案内しながら所定量搬送してその先端部を版胴のクランパに到達させる製版装置において、
上記ガイド部材のマスタ搬送方向上流側に設けられ、マスタを下方へ押し込むように回転して上記ガイド部材へマスタの先端部を案内する搬送ガイドローラを有し、上記搬送ガイドローラは、スポンジローラ、金属ローラ又はプラスチックローラであることを特徴とする製版装置。
Priority Applications (1)
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