JP4593832B2 - モータの防水構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はモータの防水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車などに用いられるラジエータ冷却用のファンモータは、雨水などが浸入する被水域に備えられるため、モータ内に雨水などが入り込まないように防水する必要があった。そのため、防水性を確保しようとするとき、モータヨークとハウジングの嵌合面にガスケットやシール剤を挟み込んだり、防水壁を設けたりすることが必要であった。特に、モータ駆動用のリードワイヤをモータ内部から引き出す場合においては、コネクタを挿着するための嵌合口が必要となるため、その嵌合口に合わせた防水壁を形成するなどの必要があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、嵌合口が地方向以外に配設される場合には、ヨークのフランジとハウジングのフランジとの隙間を流れる水がモータ側コネクタまで伝わり、嵌合口からモータ内部に水が浸入するという問題があった。また、一般に防水壁を形成するには少なくとも流れをせき止める壁と、モータ内への浸水を防ぐ壁の二つが必要となるため、防水壁は複雑な構造をもつものとなっていた。また、モータヨークとハウジングの嵌合面にガスケットやシール剤を挟み込んで防水を行うものはモータヨーク及びハウジングの形成後にそれらガスケットやシール剤を挟み込む必要があるため製造に手間がかかるなどの問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、シール剤の追加、複雑な防水壁を設けずに防水性を確保することができる構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、モータヨークの開口部がエンドハウジングにて蓋され、該エンドハウジング及びモータヨークの開口部にて外部接続用のコネクタを嵌合するための嵌合部が凹形状に形成され、嵌合部と、コネクタの外周部との間に介在するグロメットを有し、グロメットに液体の流路を形成したモータの防水構造であって、前記グロメットには、その周方向に、前記モータヨークの径方向外側に外周側リップ部が設けられるとともに該外周側リップ部の径方向内側に所定間隔をおいて内周側リップ部が設けられ、前記グロメットは、その内周側リップ部が前記モータヨークと前記コネクタとによりモータの軸方向に押圧され弾性変形するとともに、該内周側リップ部が前記エンドハウジングと前記コネクタとにより軸方向に押圧され弾性変形するように、前記嵌合部と前記コネクタの外周部との間に介在され、前記グロメットは、その外周側リップ部が前記モータヨークの開口部と前記コネクタとにより押圧され弾性変形するとともに、該外周側リップ部が前記エンドハウジングと前記コネクタとにより押圧され弾性変形するように、前記嵌合部と前記コネクタの外周部との間に介在されており、前記流路は、前記グロメットにおける前記外周側リップ部及び前記内周側リップ部と、該両リップ部の連接部と、前記モータヨークの開口部又は前記エンドハウジングによって形成される。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記モータヨークには、その開口端に径方向外側に向かってフランジが形成され、前記グロメットに形成される前記流路は、前記モータヨークの前記フランジと前記エンドハウジングとの間に形成される隙間と連通する。
【0008】
(作用)
各請求項に記載の発明によれば、給電のための外部接続用のコネクタが地方向以外で設定された場合においても嵌合部のグロメットが水を地方向に流す流路を持っているため、外部接続用のコネクタに水が溜まることがなくなる。
【0009】
また、外周側リップ部にて外側からの液体の浸入を防ぎ、内周側リップ部にてモータヨークとエンドハウジングの間を伝わる液体の浸入を防ぐ。
【0010】
また、液体の流路が容易に形成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を自動車のエンジンルーム内に設置されるラジエータ冷却用のファンモータに具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0012】
図1に本実施の形態のラジエータ冷却用のファンモータ1を示す。
ファンモータ1は、図面の上下方向を図示しないラジエータの上下方向と一致させて設置される。ファンモータ1の側方には外部接続用コネクタ2が設けられ、そのコネクタ2によりリードワイヤ3が引き出されている。
【0013】
ファンモータ1はモータヨーク4とエンドハウジング5(図2参照)及び、コネクタ2を備えている。そして、モータヨーク4の外周面には、モータホルダ6が固着されている。
【0014】
モータヨーク4は、軟鋼板等によって略有底筒状に形成されている。モータヨーク4の底面中央には出力軸を挿通するための挿通孔7が形成されている。一方、モータヨーク4の開口部はエンドハウジング5によって、ネジ止めなどで蓋をされている。また、モータヨーク4の開口端には胴部の外側面に対してほぼ90度にモータヨーク4の外側に折り曲げられたフランジ10が形成されている。
【0015】
エンドハウジング5はアルミ合金よりなり、モータヨーク4の開口部を略閉塞するように略円盤型に形成されている。エンドハウジング5の外縁部にはモータヨーク4のフランジ10に対応するよう略同じ幅で受け止め段部11がリング状に形成されている。
【0016】
フランジ10と受け止め段部11は、その両部の間でブラシホルダ12を挟持している。ブラシホルダ12の挟持はモータヨーク4とエンドハウジング5のネジ止めなどによって行われており、モータヨーク4のフランジ10、ブラシホルダ12及び、受け止め段部11間は、密着状態となっている。
【0017】
受け止め段部11の外縁部からはフランジ10の外周面及び、フランジ10と受け止め段部11に挟持されたブラシホルダ12の外周面を覆うように折り曲げ部14が形成されている。
【0018】
エンドハウジング5の折り曲げ部14とモータヨーク4のフランジ10の外周面及び、ブラシホルダ12の外周面との間は、密着状態とはなっていないので図5に示すように隙間15が形成されることとなる。
【0019】
モータヨーク4の開口部とエンドハウジング5には、コネクタ2を嵌合するための嵌合部13が形成されている。詳述すると、エンドハウジング5の外縁部には、ファンモータ1の軸方向に凹部が形成され、その凹部とモータヨーク4のフランジ10とにより嵌合部13が形成されている。尚、エンドハウジング5に形成された凹部は、コネクタ2の外形に対応して軸中心に向かって延びている。また、ブラシホルダ12は、外周端から軸中心に向かってコネクタ2に対応して切り欠かれている。
【0020】
また、嵌合部13近傍の受け止め段部11には、後述するグロメット16を係合するための切り欠き部20が設けられている。前記切り欠き部20は嵌合部13のエンドハウジング5周方向両側に設けられており、この嵌合部13を挟む両切り欠き部20の間には折り曲げ部14は形成されていない。
【0021】
嵌合部13にはコネクタ2が嵌合されており、そのコネクタ2と嵌合部13との間にはグロメット16が介在している。コネクタ2の内部にはファンモータ1駆動用のリードワイヤ3が挿通されており、リードワイヤ3を介してファンモータ1に給電される。
【0022】
グロメット16は外形が嵌合部13の形に合わせて略直方体枠状に形成されており、その中心部にはコネクタ2を挿入するための挿入孔22が設けられている。グロメット16の側壁の厚さは、図3に示すように、モータヨーク4に接するグロメット16の1側壁及びその両側壁が厚肉に形成されている。従って、モータヨーク4に接するグロメット16の1側壁の対面の壁のみが他の3つの側壁よりも薄肉となっている。
【0023】
また、前記グロメット16は、図4及び図6に示すように、その全周にわたって、外周側リップ部23と、内周側リップ部24が形成されている。また、図4に示すように外周側リップ部23と、内周側リップ部24は、モータヨーク4及びエンドハウジング5のR形状に合わせた湾曲を持って形成されている。
【0024】
外周側リップ部23はグロメット16の端部にフランジ状に突設されており、その端面は、図3に破線で示したように、嵌合部13全体を覆うような形状に形成されている。また、この外周側リップ部23は、嵌合部13への嵌合時において、この嵌合部13に蓋をするような形でエンドハウジング5及びモータヨーク4の外縁部に嵌め込まれる。また、外周側リップ部23のエンドハウジング5の周方向両側端部にはエンドハウジング5に設けられた切り欠き部20に係合する凸部25が設けられている。
【0025】
また、外周側リップ部23は嵌合部13へのグロメット16嵌合状態において、モータヨーク4の開口部外周面とコネクタ2とにより、またエンドハウジング5外周面とコネクタ2とにより押圧され弾性変形されている。
【0026】
内周側リップ部24は図4及び図6に示すように、略三角形状の頂点を持つ凸部でできており、外周側リップ部23から所定間隔をおいて、内側に形成されている。また、この所定間隔は、内周側リップ部24がモータヨーク4のフランジ10に圧接可能な範囲で設定されている。
【0027】
また、内周側リップ部24は嵌合部13へのグロメット16嵌合状態において、モータヨーク4とコネクタ2部とにより、またエンドハウジング5とコネクタ2とにより軸方向に押圧され弾性変形されている。但し、図6における内周側リップ部24の図は便宜上嵌合部13への嵌合前の状態をあらわしたものである。(実際の嵌合時においては、内周側リップ部24は弾性変形している。)
図4及び図6に示すように、モータヨーク4側のグロメット16には、その内周側リップ部24と外周側リップ部23の間に溝部26が設けられている。溝部26はエンドハウジング5及び、モータヨーク4のR形状面に合わせた湾曲状に形成されている。
【0028】
また、溝部26は前記エンドハウジング5と、モータヨーク4のフランジ10及び、ブラシホルダ12との外周面との間に形成される隙間15と連通している。すなわち、前記隙間15と前記溝部26によって滑らかなカーブ状の流路を描くことができる。
【0029】
次に、上記のように構成されたファンモータ1の防水構造の作用を図1〜6に従って説明する。
雨の日などには、ファンモータ1がタイヤのはね水及びバンパー、アンダースカートの巻き上げ水にさらされる等により、ファンモータ1が被水する。そのような被水状況においても、モータヨーク4とエンドハウジング5及びそれらに挟まれたブラシホルダ12は密着状態となっているので、ファンモータ1内部への浸水を防ぐ。
【0030】
エンドハウジング5の折り曲げ部14とモータヨーク4のフランジ10の外周面及び、ブラシホルダ12の外周面との間は、密着状態とはなっていないので図5に示すように隙間15が形成されることとなる。従ってファンモータ1の被水状態において、水は前記エンドハウジング5と、モータヨーク4のフランジ10及び、ブラシホルダ12との外周面との間に形成される隙間15を伝って図4に示す矢印Cのように流れる。
【0031】
矢印Cのようにフランジ10及びブラシホルダ12の外周面の隙間15を流れてきた水が嵌合部13に至ると、グロメット16の溝部26を矢印Dのように流れることとなる。グロメット16の溝部26を流れ過ぎると、水は今度は地方向の隙間15へと流れていく。従って嵌合部13付近に水は溜まらない。
【0032】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)グロメット16に水の流路を設けたことにより、水を地方向へ誘導し、嵌合部13に溜まらなくすることができる。
【0033】
(2)外周側リップ部23は嵌合部13へのグロメット16嵌合状態において、モータヨーク4開口部外周面とコネクタ2とにより、またエンドハウジング5外周面とコネクタ2とにより押圧され弾性変形されている。従って、その弾性力によりグロメット16と嵌合部13の密着状態が得られ、嵌合部13の外部からの水の浸入を防ぐことができる。
【0034】
(3)内周側リップ部24は嵌合部13へのグロメット16嵌合状態において、モータヨーク4とコネクタ2部とにより、またエンドハウジング5とコネクタ2とにより軸方向に押圧され弾性変形されている。従って、その弾性力により、モータヨーク4とグロメット16の間および、エンドハウジング5とグロメット16の間からのファンモータ1内部への水の浸入を防ぐことができる。
【0035】
(4)グロメット16に設けた凸部25をエンドハウジング5に設けた切り欠き部20に係合することによって、嵌合部13にグロメット16を固着することができ、より嵌合部13外部からの浸水を防ぐことができる。
【0036】
(5)外周側リップ部23にエンドハウジング5及び、モータヨーク4のフランジ10のR形状に対応した湾曲を与えたため、グロメット16の嵌合部13への接合性を良くし、より嵌合部13外部からの浸水を防ぐことができる。
【0037】
(6)内周側リップ部24にエンドハウジング5及び、モータヨーク4のフランジ10のR形状に対応した湾曲を与えたため、モータヨーク4のフランジ10の幅を小さく抑えることができる。また、それに伴いグロメット16の径方向への長さも短くすることができる。従って、ファンモータ1の小型化を図ることができる。
【0038】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、嵌合部13にコネクタ2を装着することによって外部からの給電手段としたが、嵌合部13に水が溜まらないようにグロメット16に水の流路を設けることができれば良く、給電時に用いるコネクタ2を分割してモータ側コネクタとリード側コネクタとしても良い。
【0039】
○上記実施形態では、グロメット16に溝部26を設けて水の流路を設けたが、結果的に水の流路が形成されていれば良く、例えば外周側リップ部23と、内周側リップ部24を設けることによって、両リップ間が水の流路として形成されたものでも良い。
【0040】
上記各実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)前記エンドハウジングと、前記グロメットに係合手段を設けたことを特徴とする。この構成により、嵌合部にグロメットを固着することができ、よりモータ内部への浸水を防ぐことができる。
【0041】
(ロ)前記グロメットの周方向外側に設けたリップ部にR形状を持たせたことを特徴とする。この構成により、グロメットとの嵌合部と周方向外側に設けたリップ部との密着状態を作り出すことができ、嵌合部外部からの浸水を防ぐことができる。
【0042】
(ハ)前記グロメットの周方向内側に設けたリップ部にR形状を持たせたことを特徴とする。この構成により、モータのR形状に合わせたグロメットを作ることができ、グロメットの大きさを小さく抑えることができる。
【0043】
(二)前記内周側リップ部は前記モータヨークと前記コネクタ部とによりまた前記エンドハウジングと前記コネクタとにより軸方向に押圧され弾性変形し、前記外周側リップ部は前記モータヨーク開口部と前記コネクタとによりまた前記エンドハウジングと前記コネクタとにより押圧されていることを特徴とする。この構成により、押圧されている箇所でグロメットが弾性変形することにより浸水を防ぐことができる。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、シール剤の追加や、複雑な防水壁などを設けることなくモータ内部への防水性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータ概観図。
【図2】モータの嵌合部の斜視図。
【図3】モータの嵌合部の正面断面図。
【図4】モータの嵌合部の上面断面図。
【図5】A−A線断面図。
【図6】B−B銭断面図。
【符号の説明】
1…ファンモータ、2…コネクタ、3…リードワイヤ、4…モータヨーク、5…エンドハウジング、13…嵌合部、16…グロメット、23…外周側リップ部、24…内周側リップ部
Claims (2)
- モータヨークの開口部がエンドハウジングにて蓋され、該エンドハウジング及び前記モータヨークの開口部にて外部接続用のコネクタを嵌合するための嵌合部が凹形状に形成され、前記嵌合部と前記コネクタの外周部との間に介在するグロメットを有し、前記グロメットに液体の流路を形成したモータの防水構造であって、
前記グロメットには、その周方向に、前記モータヨークの径方向外側に外周側リップ部が設けられるとともに該外周側リップ部の径方向内側に所定間隔をおいて内周側リップ部が設けられ、
前記グロメットは、その内周側リップ部が前記モータヨークと前記コネクタとによりモータの軸方向に押圧され弾性変形するとともに、該内周側リップ部が前記エンドハウジングと前記コネクタとにより軸方向に押圧され弾性変形するように、前記嵌合部と前記コネクタの外周部との間に介在され、
前記グロメットは、その外周側リップ部が前記モータヨークの開口部と前記コネクタとにより押圧され弾性変形するとともに、該外周側リップ部が前記エンドハウジングと前記コネクタとにより押圧され弾性変形するように、前記嵌合部と前記コネクタの外周部との間に介在されており、
前記流路は、前記グロメットにおける前記外周側リップ部及び前記内周側リップ部と、該両リップ部の連接部と、前記モータヨークの開口部又は前記エンドハウジングによって形成されることを特徴とするモータの防水構造。 - 請求項1に記載のモータの防水構造において、
前記モータヨークには、その開口端に径方向外側に向かってフランジが形成され、
前記グロメットに形成される前記流路は、前記モータヨークの前記フランジと前記エンドハウジングとの間に形成される隙間と連通することを特徴とするモータの防水構造。
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