JP4589805B2 - 偏光制御素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光計測、光通信、光記録などに利用可能な偏光制御素子に関するものである。
偏光とは、光の電気振動(あるいは、これと直交する磁気振動)の振動方向がランダムな状態である自然光に対し、振動の方向がある特定の方向にそろっている光のことである。従来において広く使われている液晶パネルは、上記偏光を利用することにより、画像を表示している。現在この液晶パネルには、ヨウ素や有機染料などを含ませた高分子のフィルムを特定方向に延伸し、一定方向の直線偏光の光だけを通過させ、これと直交する偏光の光を吸収するフィルム型の偏光板が広く実用化されている。高分子フィルムとしてはポリビニルアルコールやポリカーボネートの透明樹脂フィルムを、一定方向に延伸させて位相差を形成し、これを所定のリターダンス(屈折率異方性)が得られるように積層させたものが一般的である。このような樹脂フィルムは紫外線に対する耐光性に問題があり、長期使用時に特性が劣化する、透明度が低下する、焦げる、といった信頼性の課題がある。また、使用温度条件が厳しく、液晶プロジェクタなどで使用する場合、使用環境の温度上昇を防止するため多くの風量を送る冷却機能が必要、冷却すると埃が付着し画質欠陥を生じる、照射光量をあまり大きくすることができない。
また、同様の偏光機能をもつ光学素子として、プリズム型の偏光分離素子がある。これは、2つの三角プリズムを貼り合わせて立方体形状にし、その片側のプリズムの接合面に偏光分離多層膜を、蒸着やスパッタリング工法により形成する。そうすることで、たとえば、ランダムな偏光をもつ光を無リズムに入射させると、偏光分離多層膜を通過するときに光が透過するP偏光と、多層膜を反射するS偏光に分離することができる。ここで、P偏光とは、入射光の光軸と、偏光分離多層膜の法線を含む平面を定義し、電界の振動面がこの平面と平行である偏光成分を示す。また、S偏光とは、電界の振動面がこの平面と直交する偏光成分である。しかしながら、このような誘電体多層膜を用いたプリズム型の偏光分離素子では、1個のプリズムで波長がおよそ430〜650nmの可視帯域の光について、良好な偏光分離特性を実現することが困難である。すなわち、作用する波長について広帯域化が難しく、短波長側や長波長側で、偏光分離特性が低下し、良好なS偏光反射、良好なP偏光透過が得られなくなる。
また、誘電体多層膜の偏光分離特性は、入射角依存が大きい。すなわち素子に入射する光のうち傾斜角の大きい光は、良好な偏光分離特性が得られにくいという課題がある。さらに、プリズム型の偏光分離素子は、これを構成する光学硝材とその温度条件に依って、その内部歪みが複屈折作用を持ち、偏光制御された所定の偏光状態が、部分的に乱されるという課題がある。これは、投写型表示装置に用いた場合、コントラストの部分むらや、色むらとなるなどの大きな課題がある。このため、プリズム内の熱歪みが大きくならないように、使用できる光量条件に制約を生じる。また、光弾性定数の極めて小さい特殊な材料を使う必要があり、これはコストと量産性の面で問題を生じる。また、光弾性定数の小さい硝材は、多くの鉛を含む場合があり、商品に採用した後、廃棄物の環境保護の面で、有害物質となり得るので問題がある。また、従来から偏光素子として広く知られたものに電気石などがあるが、高価であり、光学装置に部品として組み込むには不適当である。
また、量産性がよく、低コストで製造できる偏光素子として、透明基板に、導電性材料による細線で1次元ライン格子を形成した「ワイヤグリッド型偏光素子」が提案されている。このワイヤグリッド型偏光素子は、主に赤外分光など比較的波長の長い光について、偏光を分離する素子として実用化されている。これは、波長オーダーの微小な金属格子構造を用いたもので、電界の振動方向がグリッド細線の長手方向と直交する偏光成分を透過させ、電界の振動方向がグリッド細線の長手方向と一致する偏光成分を反射させる(たとえば特許文献1参照)。近年、微細加工技術の進歩により、可視波長(400〜700nm)オーダーの微小ピッチのワイヤグリッド構造が開示されている(たとえば、特許文献2参照)。これは、たとえば図9に示す構造である。透明基材11の片面11Aに、アルミニウムの薄膜を形成し、これをパターンエッチングすることで、可視の波長オーダーの微小グリッド構造(符号12)を構成する。このとき、微小グリッドの細線方向について、偏波面(電界の振動方向)がこれに直交する光は透過し、偏波面が平行な光は反射する。たとえば、入射角依存が相対的に小さく、円錐光線群に対して比較的良好な偏光分離機能を提供できる。
また、偏光状態を制御する波長板または位相板を二次元表面における光の相互作用により実現する方法として、支持基板上に微小な金属パターンを形成することにより偏光状態を制御する提案が行われている(たとえば特許文献3参照)。ここでは、波長以下のピッチで金のL字構造を有する非対称なナノ微粒子を基板上に作製し、このような構造体に光を照射すると、透過光は入射光の偏光面の向きに依存して異なる吸収スペクトルを示す。ナノ微粒子の非対称性を利用した偏光選択素子が実現されている。また平滑なSi基板上に、卍型またはその鏡像対称の金属パターンを有した光デバイスが示されている(たとえば特許文献4参照)。ここで金属パターンのサイズは700nmから4μmであり、パターンの端部の傾きが直角から傾いている。この傾きの大きさに依存して、偏光方向の二成分に位相差が生じ、また、パターン端部の向きに依存して右回り、および左回り偏光の違いが生じる。
米国特許第2224214号明細書 特開2004−309903号公報 特開2002−122733号公報 国際公開第03/054592号パンフレット
しかしながら、上記に示されるような従来の技術にあっては、まず、ワイヤグリッド型の偏光分離素子は、単体では偏光分離の消光比があまり大きく取れないため、そのままではコントラスト性能の高い表示装置を構成することが困難であった。また、特許文献4のような素子では入射偏光にたいして、大きな位相差を得ることができるものの、実用的偏光機能を有するデバイスを実現するのは困難といった問題点があった。このように、従来は光の透過率が高く、十分な位相差を与えることが困難であるとともに、有機多層膜を利用するため耐熱性や耐光性に劣るといった問題点があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光の透過率が高く、十分な位相差を与えることの可能な、設計自由度が高く、耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、透明な基板の平坦な面に、入射する光の波長よりも微小な金属構造を2次元配列状に形成する際に、前記金属構造の粒子直径R、前記基板上のx,yの領域で、x方向に最隣接した前記金属構造との中心間隔d、この2つの隣接した金属構造の組み合わせをA、Aとx方向に最隣接する前記金属構造の組み合わせをB、A−B間の距離d1、y方向に隣接している前記金属構造をC、A−C間の距離d2としたとき、R、d1、d2がともに入射光の波長以下で、かつd<R、d1とd2はRよりも大きい関係で配置することを特徴とする。
この請求項1の発明によれば、透明な基板の平坦な面に、入射する光の波長よりも微小な金属構造が形成され、この形成されたそれぞれの金属構造が入射する光の波長よりも小さい距離で2次元で配置することで、光の透過率が高く、十分な位相差を与えることが可能になり、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性が向上する。
また、請求項にかかる発明は、前記基板上に、それぞれ微小な金属構造からなる最小単位が、2次元のL字形状に配置されていることを特徴とする。
この請求項の発明によれば、請求項1において、それぞれの微小な金属構造からなる最小単位がL字形状に構成され、L字形状が2次元配列状に基板上に形成することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性が向上する。
また、請求項にかかる発明は、前記基板上に、それぞれ微小な金属構造からなる最小単位が、2次元のT字形状に配置されていることを特徴とする。
この請求項の発明によれば、請求項1において、それぞれの微小な金属構造からなる最小単位がT字形状に構成され、T字形状が2次元配列状に基板上に形成することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性が向上する。
また、請求項にかかる発明は、前記基板上に、それぞれ微小な金属構造からなる最小単位が、2次元の卍字形状に配置されていることを特徴とする。
この請求項の発明によれば、請求項1において、それぞれの微小な金属構造からなる最小単位が卍字形状に構成され、卍字形状が2次元配列状に基板上に形成することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性が向上する。
また、請求項にかかる発明は、前記微小な金属構造に入射する光は、前記微小な金属構造からなる最小構成単位に対して非対称になる方向の偏光成分を持つ角度で入射することを特徴とする。
この請求項の発明によれば、請求項において、微小な金属構造に入射する光は、微小な金属構造からなる最小構成単位に対して非対称になる方向の偏光成分を持つ角度で入射することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性が向上する。
また、請求項にかかる発明は、前記微小な金属構造からなるL字構造に入射する光は、前記微小な金属構造に対して非対称になる方向の偏光成分を持つ角度で入射することを特徴とする。
この請求項の発明によれば、請求項において、入射する光の偏光方向が、微小金属構造からなるL字構造に対して45度の角度で入射することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性が向上する。
また、請求項にかかる発明は、前記微小な金属構造からなるT字構造に入射する光は、前記微小な金属構造に対して非対称になる方向の偏光成分を持つ角度で入射することを特徴とする。
この請求項の発明によれば、請求項において、入射する光の偏光方向が、微小金属構造からなるT字構造に対して±45度の角度で入射することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性が向上する。
また、請求項にかかる発明は、前記微小な金属構造からなる卍字構造に入射する光は、前記微小な金属構造に対して非対称になる方向の偏光成分を持つ角度で入射することを特徴とする。
この請求項の発明によれば、請求項において、入射する光の偏光方向が、微小金属構造からなる卍字構造に対して±45度の角度で入射することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性が向上する。
また、請求項にかかる発明は、前記基板に形成されている前記微小な金属構造が、金、銀、またはアルミニウムからなることを特徴とする。
この請求項の発明によれば、請求項1〜のいずれかにおいて、形成されている微小金属構造が、金、銀、もしくはアルミニウムとすることで、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性が向上する。
また、請求項10にかかる発明は、前記基板は、レンズ形状をなし、このレンズ面に前記微小な金属構造を形成したことを特徴とする。
この請求項10の発明によれば、請求項1〜のいずれかにおいて、金属パターンが形成されている透明基板表面もしくはその裏面がレンズ形状であるため、従来は偏光板およびレンズの別々の光学素子で構成されていた光学機能を、レンズを形成した偏光制御素子のみで実現され、省スペース化が図れるとともに、光学調整などの簡便化も可能になり、かつ設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性が向上する。
また、請求項11にかかる発明は、前記基板は、マイクロレンズアレイ形状をなし、このレンズ面に前記微小な金属構造を形成したことを特徴とする。
この請求項11の発明によれば、請求項1〜のいずれかにおいて、金属パターンが形成されている透明基板表面もしくはその裏面がマイクロレンズアレイ形状であるため、従来は偏光板およびレンズの別々の光学素子で構成されていた光学機能を、マイクロレンズアレイを形成した偏光制御素子のみで実現され、省スペース化が図れるとともに、光学調整などの簡便化も可能になり、かつ設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性が向上する。
本発明(請求項1)にかかる偏光制御素子は、透明な基板の平坦な面に、入射する光の波長よりも微小な金属構造が形成され、この形成されたそれぞれの金属構造が入射する光の波長よりも十分小さい距離で2次元で配置することで、光の透過率が高く、十分な位相差を与えることが可能になり、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項)にかかる偏光制御素子は、請求項1において、それぞれの微小な金属構造からなる最小単位がL字形状に構成され、L字形状が2次元配列状に基板上に形成することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項)にかかる偏光制御素子は、請求項1において、それぞれの微小な金属構造からなる最小単位がT字形状に構成され、T字形状が2次元配列状に基板上に形成することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項)にかかる偏光制御素子は、請求項1において、それぞれの微小な金属構造からなる最小単位が卍字形状に構成され、卍字形状が2次元配列状に基板上に形成することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項)にかかる偏光制御素子は、請求項において、微小な金属構造に入射する光は、微小な金属構造からなる最小構成単位に対して非対称になる方向の偏光成分を持つ角度で入射することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性が向上する。
また、本発明(請求項)にかかる偏光制御素子は、請求項において、入射する光の偏光方向が、微小金属構造からなるL字構造に対して45度の角度で入射することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項)にかかる偏光制御素子は、請求項において、入射する光の偏光方向が、微小金属構造からなるT字構造に対して±45度の角度で入射することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項)にかかる偏光制御素子は、請求項において、入射する光の偏光方向が、微小金属構造からなる卍字構造に対して±45度の角度で入射することにより、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項)にかかる偏光制御素子は、請求項1〜のいずれかにおいて、形成されている微小金属構造が、金、銀、もしくはアルミニウムとすることで、設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項10)にかかる偏光制御素子は、請求項1〜のいずれかにおいて、金属パターンが形成されている透明基板表面もしくはその裏面がレンズ形状であるため、従来は偏光板およびレンズの別々の光学素子で構成されていた光学機能を、レンズを形成した偏光制御素子のみで実現され、省スペース化が図れるとともに、光学調整などの簡便化も可能になり、かつ設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明(請求項11)にかかる偏光制御素子は、請求項1〜のいずれかにおいて、金属パターンが形成されている透明基板表面もしくはその裏面がマイクロレンズアレイ形状であるため、従来は偏光板およびレンズの別々の光学素子で構成されていた光学機能を、マイクロレンズアレイを形成した偏光制御素子のみで実現され、省スペース化が図れるとともに、光学調整などの簡便化も可能になり、かつ設計自由度が高く、かつ金属構造とすることで耐熱性や耐光性に優れた偏光制御素子を提供することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる偏光制御素子の最良な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
以下に本発明の偏光光学素子について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる偏光制御素子の機能を示す説明図である。この図1に示すように、偏光制御素子10は、光学的に平坦なガラス基板1上に金属の微細構造が形成されている。このような金属微細構造パターンが形成されたガラス基板1に対して光を照射すると、入射偏光に対して金属微細構造が非対称に存在する場合、各金属微細構造に生じる局在表面プラズモンの共鳴周波数に依存して、微細構造間に生じる近接場相互作用により、各金属微細構造間で位相差が生じる。そのため、各金属微細構造からの光が重畳された反射光あるいは透過光の偏光成分にも位相差が生まれ、出射光における偏光状態が変換される。
すなわち、図1に示すようにガラス基板1上に金属粒子2による金属微細構造を形成したものに対して、たとえばY軸方向に対して45度傾いた直線偏光4を入射すると、このガラス基板1を透過した光は楕円偏光5となる。なお、ここでは金属粒子2を円形状としているが、他の形状,たとえば楕円構造や多角形状構造であってもよい。また、円形状の構造を連続して配置し、擬似的に楕円形状構造を形成するような構成でもよい。また入射する光の偏光方向は形成された金属粒子2に対して非対称な偏光成分を有するように入射することで、各金属微細構造間で位相差が生じる。
また、これら金属粒子2の材料は、使用する光源波長でプラズモンが発生し、出射光に所望の位相差を与えるように選択すればよく、たとえばAu、Ag、Al、Pt、Ni、Cr、Cuなどが使用可能であり、これら金属の合金でもよく、特に、Au、Ag、Al、が好ましい。ここで、プラズモンとは金属中における電子の集団運動のことである。
ここで図2に示すように金属粒子2の大きさ(直径)をR、x方向にもっとも隣接した微細構造との中心間隔をd、この2つの隣接した微細構造の組み合わせをAとし、Aとx方向にもっとも隣接する微細構造の組み合わせをBとしたとき、A−B間の距離をd1、y方向に隣接している微細構造をCとしたときの、A−C間の距離をd2とする。このときR、d1、d2ともに入射光の波長よりも小さいことが望ましい。また、隣接した微細構造間に生じる近接場相互作用を利用するため、少なくともd<Rである必要があり、d1とd2は隣接構造の組み合わせ間の相互作用の影響を少なくするため、Rよりも大きい必要がある。
また、図3に示すように3個もしくは複数個の金属粒子2による金属微細構造の組み合わせでL字もしくはV字形状に配列された構造を形成してもよい。ここでは、図2に示す構成同様に、隣接した金属微細構造との間隔は微細構造の大きさよりも十分に小さく、また、図4に示すようなL字形状、あるいはV字形状の構造間の間隔は構成する微細構造の大きさよりも十分大きいほうが好ましい。このときも入射する光の偏光方向は形成された金属微小構造に対して非対称な偏光成分を有するような角度で入射することで、透過もしくは反射した光の位相差が生じる。
また、図4に示すように3個、あるいは図5に示すように複数個の金属粒子2による金属微細構造の組み合わせでT字形状に配列された構造を形成してもよい。また、図2に示す構成と同様に、隣接した微細構造との間隔は微細構造の大きさよりも十分小さく、またT字形状の構造間の間隔は構成する微細構造の大きさよりも十分大きいほうが好ましい。このときも入射する光の偏光方向は形成された金属微小構造に対して非対称な偏光成分を有するような角度で入射することで、透過もしくは反射した光の位相差が生じる。
図5に示すように3個、または図6に示すように複数個の金属微細構造の組み合わせで卍字形状に配列された構造を形成してもよい。この場合は、図5と対称な構造(ハーケンクロイツ状)でも同様である。図2に示す構成同様に、隣接した微細構造との間隔は微細構造の大きさよりも十分小さく、またT字形状の構造間の間隔は構成する微細構造の大きさよりも十分大きいほうが好ましい。このときも入射する光の偏光方向は形成された金属微小構造に対して非対称な偏光成分を有するような角度で入射することで、透過もしくは反射した光の位相差が生じる。
上記の無機偏光光学素子は以下のようにして製造することができる。まず、無機材料として光学ガラスを基板とし、その平坦な面に金、銀、アルミニウムなどの金属材料をCVD(Chemical Vapor Deposition)などの化学蒸着法や物理蒸着をもちいた成膜法、あるいは鍍金などの堆積法で薄膜状に形成する。この金属膜上にフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層に電子線描画やX線描画などの手法により、所望の微細構造に相当するパターンを残すようにレジストパターンを形成する。その後、不要部分の金属膜をたとえばRIE(反応性ドライエッチング)などによりエッチングを行うことで、所望の微細構造の金属パターンを形成することができる。
また、無機材料として光学ガラスを基板とし、その平坦な面にフォトレジスト層を形成し、このフォトレジスト層に電子線描画やX線描画などの手法により、所望の微細構造に相当するパターン以外を残すようにレジストパターンを形成する。その後、金、銀、アルミニウムなどの金属材料をCVD(Chemical Vapor Deposition)などの化学蒸着法や物理蒸着をもちいた成膜法、あるいは鍍金などの堆積法でレジストパターン上に薄膜状に形成する。その後、レジスト膜を除去することで、レジスト膜上に形成された不要部分の金属膜を除去することで、所望の微細構造の金属パターンを形成することができる。
無機材料としてのガラス基板1には、石英ガラスや、BK7、パイレックスなどの硼珪酸ガラス、CaF2、Si、ZnSe、Al23などの光学結晶材料などが利用できる。また、反射光を利用する場合には、反射率の高い材料が好ましく、上記の光学ガラス、光学結晶材料に、AlやAuなどの金属膜を蒸着したものや、シリコン基板などを用いることが好ましい。また、部分反射膜としてCrコーティングなどを利用することで、透過光と反射光の両方を利用するハーフミラーとして使用することもできる。
たとえば図7に示すように、上記の偏光制御素子10の機能、すなわち金属微細構造をレンズ6上に形成することにより、従来、波長板およびレンズで別々に構成されていた光学機能が、一体で形成されるためレンズ6のみで実現されることなり、省スペース化が図れると共に、光学調整などの簡便化も可能となる。
また、図8に示すように,マイクロレンズアレイ光学素子7上に,上記の偏光制御素子10の機能、すなわち金属粒子パターンを形成した構成とすると、従来、波長板およびマイクロレンズアレイの別々の部品で構成されていた光学機能がマイクロレンズアレイ7のみで実現されることなり、省スペース化が図れると共に、光学調整などの簡便化も可能となる。
また、このような構成からなる光学素子の表面で発生している局在表面プラズモンは近接場光とも呼ばれ、波長サイズ以下の領域に局在している。そのため、近接場光素子として用いることで回折限界以下の分解能で計測・分析を行ったり、光リソグラフィーに応用することで従来よりも微細なパターニングを行うことも可能である。特に後者に関しては、近接場光の非断熱過程による作用のため、レジストと反応しないような可視光源でも感光させることができ、波長光源やそれに対応した光学素子が不要になるので装置の低コスト化が可能になるなどの効果もある。
以上のように、本発明にかかる偏光制御素子は、光計測、光通信、光記録などに有用であり、特に、液晶やELなどのディスプレイや視野角の広角化や外乱反射光を低減させる各種の光学機器などに適している。
本発明の実施の形態にかかる偏光制御素子の機能を示す説明図である。 本発明の実施の形態にかかる偏光制御素子を構成する金属微細構造の大きさ、距離関係などを示す説明図である。 本発明の実施の形態にかかる偏光制御素子を構成する金属微細構造の配列パターン例(1)を示す説明図である。 本発明の実施の形態にかかる偏光制御素子を構成する金属微細構造の配列パターン例(2)を示す説明図である。 本発明の実施の形態にかかる偏光制御素子を構成する金属微細構造の配列パターン例(3)を示す説明図である。 本発明の実施の形態にかかる偏光制御素子を構成する金属微細構造の配列パターン例(4)を示す説明図である。 本発明の実施の形態にかかる偏光制御素子をレンズに形成した例を示す説明図である。 本発明の実施の形態にかかる偏光制御素子をマイクロレンズアレイ光学素子に形成した例を示す説明図である。 従来におけるワイヤグリッド構造例を示す説明図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 金属粒子
6 レンズ
7 マイクロレンズアレイ素子
10 偏光制御素子

Claims (11)

  1. 透明な基板の平坦な面に、入射する光の波長よりも微小な金属構造を2次元配列状に形成する際に、前記金属構造の粒子直径R、前記基板上のx,yの領域で、x方向に最隣接した前記金属構造との中心間隔d、この2つの隣接した金属構造の組み合わせをA、Aとx方向に最隣接する前記金属構造の組み合わせをB、A−B間の距離d1、y方向に隣接している前記金属構造をC、A−C間の距離d2としたとき、R、d1、d2がともに入射光の波長以下で、かつd<R、d1とd2はRよりも大きい関係で配置することを特徴とする偏光制御素子。
  2. 前記基板上に、それぞれ微小な金属構造からなる最小単位が、2次元のL字形状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の偏光制御素子。
  3. 前記基板上に、それぞれ微小な金属構造からなる最小単位が、2次元のT字形状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の偏光制御素子。
  4. 前記基板上に、それぞれ微小な金属構造からなる最小単位が、2次元の卍字形状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の偏光制御素子。
  5. 前記微小な金属構造に入射する光は、前記微小な金属構造からなる最小構成単位に対して非対称になる方向の偏光成分を持つ角度で入射することを特徴とする請求項に記載の偏光制御素子。
  6. 前記微小な金属構造からなるL字構造に入射する光は、前記微小な金属構造に対して非対称になる方向の偏光成分を持つ角度で入射することを特徴とする請求項に記載の偏光制御素子。
  7. 前記微小な金属構造からなるT字構造に入射する光は、前記微小な金属構造に対して非対称になる方向の偏光成分を持つ角度で入射することを特徴とする請求項に記載の偏光制御素子。
  8. 前記微小な金属構造からなる卍字構造に入射する光は、前記微小な金属構造に対して非対称になる方向の偏光成分を持つ角度で入射することを特徴とする請求項に記載の偏光制御素子。
  9. 前記基板に形成されている前記微小な金属構造が、金、銀、またはアルミニウムからなることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の偏光制御素子。
  10. 前記基板は、レンズ形状をなし、このレンズ面に前記微小な金属構造を形成したことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の偏光制御素子。
  11. 前記基板は、マイクロレンズアレイ形状をなし、このレンズ面に前記微小な金属構造を形成したことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の偏光制御素子。
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