JP4588153B2 - レーザー照射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本明細書で開示する発明は、レーザー光を大面積に均質に照射するための技術に関する。またその応用に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガラス等の絶縁基板上に形成された非晶質半導体膜や結晶性半導体膜(単結晶でない、多結晶、微結晶等の結晶性を有する半導体膜)、すなわち、非単結晶半導体膜に対し、レーザーアニールを施して、結晶化させたり、結晶性を向上させる技術が、広く研究されている。上記半導体膜には、珪素膜がよく用いられる。
【0003】
ガラス基板は、従来よく使用されてきた石英基板と比較し、安価で加工性に富んでおり、大面積基板を容易に作製できる利点がある。これが上記研究の行われる理由である。また、結晶化に好んでレーザーが使用されるのは、ガラス基板の融点が低いからである。レーザーは基板の温度をあまり変えずに非単結晶膜にのみ高いエネルギーを与えることができる。
【0004】
レーザーアニールを施して形成された結晶性珪素膜は、高い移動度を有するため、この結晶性珪素膜を用いて薄膜トランジスタ(TFT)が作製されている。
例えば、一枚のガラス基板上に、画素駆動用と駆動回路用のTFTを作製する、モノリシック型の液晶電気光学装置等に盛んに利用されている。該結晶性珪素膜は多くの結晶粒からできているため、多結晶珪素膜、あるいは多結晶半導体膜と呼ばれる。
【0005】
また、出力の大きい、エキシマレーザー等のパルスレーザービームを、被照射面において、数cm角の矩形や、幅数mm×長さ10cm以上の線状となるように光学系にて加工し、レーザービームを走査させて(レーザービームの照射位置を被照射面に対し相対的に移動させて)、レーザーアニールを行う方法が、量産性が良く、工業的に優れているため、好んで使用される。
【0006】
特に、線状レーザービームを用いると、前後左右の走査が必要なスポット状のレーザービームを用いた場合とは異なり、線状レーザーの線方向に直角な方向だけの走査で被照射面全体にレーザー照射を行うことができるため、高い量産性が得られる。線方向に直角な方向に走査するのは、それが最も効率のよい走査方向であるからである。この高い量産性により、現在レーザーアニールにはエキシマレーザービームを適当な光学系で加工した線状レーザービームを使用することが主流になりつつある。
【0007】
最近では、Arレーザー等の連続発振レーザーで、出力のより高いものが開発されてきている。半導体膜のアニールにArレーザーを使用し、よい結果がでたとの報告もある。この場合は、Arレーザーの出力が十分でないため照射面はスポット状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
結晶化に広く用いられるレーザーには、気体レーザーとしてエキシマレーザーが知られ、固体レーザーとして、Nd:YAGレーザーや、Nd:YVO4レーザーやアルゴンレーザーが知られている。
【0009】
連続発振アルゴンレーザーは波長500nm前後に波長をもつため、アルゴンレーザーの珪素膜に対する吸収係数は、105/cm程度である。他方、エキシマレーザーは400nm以下の紫外光であるため、吸収係数が106/cm程度と、アルゴンレーザーに比べて1桁高い。このためアルゴンレーザーでは、珪素膜を100nm透過した時点で強度が1/e(eは自然対数。)に減衰し、エキシマレーザーでは、珪素膜を10nm透過した時点で強度が1/e に減衰した。
【0010】
一般に、TFTの分野では、多結晶珪素膜の厚さは50nm前後が適当とされている。珪素膜が50nmより厚いとオフ特性が悪くなる傾向にあり、薄いと信頼性に影響する。膜厚50nmの珪素膜にアルゴンレーザーを照射した場合、レーザー光の半分以上が珪素膜を透過し、ガラス基板に吸収されてしまい、ガラス基板を必要以上に加熱してしまう。実際、コーニング1737基板上に酸化珪素膜200nmと、珪素膜50nmとを順に成膜しアルゴンレーザーで結晶化を試みたが、珪素膜が十分結晶化しないうちにガラスが変形してしまった。
【0011】
一方、エキシマレーザーを照射した場合、50nmの珪素膜にエネルギーの殆どが吸収され、レーザー光の殆どを珪素膜の結晶化に使うことができる。このように、珪素膜の結晶化にエキシマレーザーを使用する利点は、珪素膜のエキシマレーザーに対する吸収係数の高さにある。
【0012】
図24(A)に示した図は、従来のパルス発振エキシマレーザーを走査させながら照射した珪素膜を、上から見た図である。パルス発振エキシマレーザーの走査方向に平行な断面(線分EFを含む珪素膜に垂直な面)で該珪素膜を切った断面図が、図24(B)であり、前記断面に垂直かつ珪素膜に垂直な面(線分GHを含む珪素膜に垂直な面)で該珪素膜を切った断面図が図24(C)である。
【0013】
図24(B)をみてわかるとおり、パルスレーザーの照射跡は珪素膜厚と同じオーダーの起伏を発生させる。一方、図24(C)が示す起伏は図24(B)の起伏と比較して非常に小さいが、周期的な起伏が現れている。これは、後述するように、ビームホモジナイザーによって、整形された線状ビームの干渉によるものである。
【0014】
線状ビーム内のエネルギー分布(光強度)を均質化する役割を果たす光学系をビームホモジナイザーと呼んでいる。図25にビームホモジナイザーの1例を示す。
【0015】
光路上には、エキシマレーザーの光源であるレーザー装置11の出射側から、シリンドリカルレンズ群(多シリンドリカルレンズやシリンドリカルレンズアレイともいう)12、13、シリンドリカルレンズ14、スリット15、シリンドリカルレンズ16、ミラ−17が順次に配置され、ミラ−17の反射方向の光路上には、シリンドリカルレンズ18が配置されている。
【0016】
シリンドリカルレンズ12は、ビームを複数に所定の一方向(側面図で紙面垂直な方向)に分割し、シリンドリカルレンズ16において、この方向に分割されたビームが合成される。他方、シリンドリカルレンズ群13もビームを所定の一方向(側面図において、紙面に平行な方向)に複数に分割し、シリンドリカルレンズ14において、シリンドリカルレンズ群13の分割方向に分かれたビームを合成する。
【0017】
よって、発振器を出射したレーザービームはシリンドリカルレンズ群12、13により、2次元的に分割され、シリンドリカルレンズ14に入射し、複数のビームに所定の方向(側面図で紙面垂直な方向)に合成され、一方向(紙面に平行な方向)に分割されてた複数のビームとなってスリット15を通過し、シリンドリカルレンズ16によって再び1本のビームになるように集光される。集光されたビームはミラ−17により反射され、シリンドリカルレンズ18により集光されて、線状ビーム19(側面図で紙面に垂直な方向に長手方向を持つ)として、照射される。
【0018】
図25のホモジナイザーでは、シリンドリカルレンズ群12、13ではビームを分割する方向が直交し、シリンドリカルレンズ14と16がビームを集光する方向は互いに直交している。シリンドリカルレンズ群12によるとシリンドリカルレンズ16の組合せにより、線状レーザービーム19の長手方向の強度分布が均一化され、シリンドリカルレンズ群13とシリンドリカルレンズ14との組み合わせにより、線状レーザービーム19の幅方向の強度分布が均一化されるすなわち、ビームを2次元的に分割し再び重ね合わせることで、線状ビームのエネルギーを均一にしている。
【0019】
よって、シリンドリカルレンズ群12や13でビームを分割する数が多くなるほど、エネルギーの分布が均一になるように思える。しかしながら、分割の細かさにかかわらず、珪素膜には線状レーザービームの照射跡であるしま模様ができてしまった。図24(A)に示すように、しま模様は、線状レーザービームの長手方向(または線状ビームの走査方向、GHの方向)に直交するように無数に現れ、図24(C)に示すように、珪素膜に周期的にピークが現れる。しま模様の原因は、ビームホモジナイザーに入射する前のビームか、ビームホモジナイザーの光学系のいずれかと予想される。
【0020】
そこで本発明人は、しま模様の原因を突き止めるべく簡単な実験を行った。ビームホモジナイザーに矩形状のレーザービームが入射する前に、レーザービームを回転させることにより上記縦しまがどう変化するかを調べた。しま模様は全く変化しないという結果であった。しま模様の原因はビームホモジナイザーに入射する前のビームではなく、ビームホモジナイザーにあることが判明した。ビームホモジナイザーは単一波長の位相の揃ったビーム(レーザーは位相を揃えて強度を得るものであるから、当然位相は揃った光である。)を分割し再び重ね合わせることでエネルギーを均一にしているため、しま模様は光を重ね合わせたときの光の干渉じまであると説明できる。
【0021】
本発明は、上述したようなレーザー光のように位相の揃ったビームの干渉の問題を解消し、線状レーザー光の長手方向のエネルギー分布を均一することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
[発明に至る過程] 図25のビームホモジナイザーによって形成される線状レーザービーム19の光干渉じまの様子を図26に模式的に示す。図26において、縦軸はレーザー強度Iを表している。図に示すように線状レーザービーム301には周期的にレーザー強度にピーク302が現れている。このピーク302が干渉じまである。
【0023】
ピーク302が発生するのは、ホモジナイザーのシリンドリカルレンズ群12及び13で分割されたビームがシリンドリカルレンズ14及び16で合成される時に、ビームが干渉し、ビーム内に定常波を形成することに起因する。すなわち、分割したレーザービームを被照射面の同一領域に重なるようにしているために、周期的に大きなピーク302が発生すると考えられる。
【0024】
図26に示すように、図25のホモジナイザーでは線状ビーム19の長手方向で1周期ごとに波が3個が形成される。波の数n(1周期の干渉じまの明線の数といってもよい)とシリンドリカルレンズ群12のレンズ数sとは、以下の関係式を満たす。
【0025】
n=(s−1)÷2 (sは奇数)
【0026】
n=s÷2 (sは偶数)
【0027】
図25のホモジナイザーでは、シリンドリカルレンズ群12のレンズ数は、s=7(奇数)であり、n=3となる。
【0028】
本発明人は、線状レーザービームのある時間における線状ビームの長手方向の波の形状と、レンズ数sとの関係をコンピュータで計算した。図27に計算結果を示す。図27(A)はs=7、n=3の場合であり、図27(B)はs=8、n=4の場合である。
【0029】
図27において、横軸は線状レーザービームの長手方向の位相(位置)を示し、縦軸は波の振幅を示す。振幅(縦軸の値)の2乗が光の強度(同位相の光が強め合う度合い)となる。dは波の1周期の長さであり、干渉じまの最も明るい明線間の間隔である。図27(A)の波を干渉させたものが図26に対応し、dは最も強度の高いピーク302の間隔となる。
【0030】
図27は、コンピューターシュミレーションの結果であり、実際の線状レーザービームではシュミレーションほど光強度の強弱が明確にはならない。これは、光学系の微妙なズレ、光学部材の材質、加工誤差、さらには半導体膜中で熱伝導によるエネルギーの分散等に起因するものと推測される。実際のレーザー光の強度の強弱は図24に示したとおりである。
【0031】
ところで、図25において、シリンドリカルレンズ16を破線20により2つに分割し、側面図において紙面に垂直な方向に光軸(主点)をずらすと、シリンドリカルレンズ16の上半分のシリンドリカルレンズ16aを通ったビームと、下半分のシリンドリカルレンズ16bを通ったビームが、照射面上で適当にずれて重なり合うために、干渉じまのパターンが変化する。即ち線状ビームの長手方向の強度(エネルギー)分布が変化する。この現象をうまく利用すると、波の重ね合わせの原理から、分割されたシリンドリカルレンズ16aと16bのずらす距離を最適化することにより、光強度を平均化することができる。
【0032】
本発明はこの現象を利用して、ビームホモジナイザーを設計した。そのため、ビームホモジナイザーのパラメータを変化させて、線状ビームの波形の変化をコンピュータでシュミレーションした。図28、図29にシュミレーション結果を示す。図28、図29のグラフは、図27と同様に、ある時間の線状レーザービームの長手方向の位相と光強度の関係を示す。図28は、図25のホモジナイザーのシリンドリカルレンズ群12のレンズ数sが7の場合であり、図29はレンズ数sが9の場合である。
【0033】
以下、図28を用いて、s=7の場合を考察する。s=7の場合に、長手方向の強度分布が平均化するには、波の位相が半周期(d/2)ずれた波を重ね合わせるとよいことが判った。
【0034】
図28(B)に示す波は図28(A)と位相が半周期ずれた波である。図28(A)の波と図28(B)の波を重ね合わさせると、図28(C)に示す波形となる。パターンが得られる。
【0035】
図28(C)の波は振幅の変動が平均化され、かつ波の周期d' が図28(A)の波の周期dよりも小さくなっている。図28(A)、図28(C)の波の振幅を二乗した値を比較すれば、図28(C)では長手方向の位置における光の強度変動が小さくなり、平均化されていることが理解できる。
【0036】
次に、図29を用いて、s=9の場合を考察する。s=9の場合には、線状ビームの長手方向の強度が最も平均化されるは、位相が1/3周期(d/3)ずれた3つの波を重ね合わせるとよいことが判った。
【0037】
図29(A)の波の位相を1/3周期ずつずらしたのが図29(B)、図29(C)の波である。これら図29(A)〜図29(C)に示す波を重ね合わせた合成波を図29(D)に示す。
【0038】
図28(C)の合成波と同様に、図29(D)の波は振幅の変動が平均化され、かつ波の周期d' が図29(A)の波の周期dよりも小さくなっている。図29(A)、図29(D)の波の振幅を二乗した値を比較すれば、図29(D)の波は長手方向の位置における光の強度変動が小さくなり、平均化されていることが理解できる。さらに、図29(D)の波は、図28(C)よりも長手方向のエネルギー分布が平均化されている。
【0039】
図28(C)、図29(D)のような波形を形成するには、ちょうど、図28(A)と図28(B)の関係のように、同時間で波の位相(位置)をd/M(dは周期、Mは自然数)でずらしたM本のビームを重ね合わせると良いことが分かる。
【0040】
図25に示した従来のビームホモジナイザーでは、シリンドリカルレンズ群12とシリンドリカルレンズ16の組み合わせを通ってできるレーザービームは、シリンドリカルレンズ群13によって分割される。
【0041】
よって、シリンドリカルレンズ群13によって分割されたそれぞれのレーザービームの位相をずらし、かつ同じ照射位置に重ね合わされるようにすれば、図28(C)や図29(D)に示すよう長手方向のエネルギー分布が均一な線状レーザービームを形成できる。
【0042】
図25において、シリンドリカルレンズ16を2分割したシリンドリカルレンズ16aを透過したビームと、シリンドリカルレンズ16bを透過したビームは、シリンドリカルレンズ16a、16bの位置を互いにずらすことで、ちょうど、図28(A)の波と図28(B)の波の関係と同じく、線状ビーム19の長手方向(側面図において紙面に垂直な方向)に位相をずらすことができる。従って位相のずれを最適化することにより、これらビームを重ね合わせたビームは、図28(C)の波と同様に、長手方向の強度分布が平均化することが可能になる。
【0043】
本明細書で開示する発明は、位相のずれを最適化するために、ビームホモジナイザーの最適な諸パラメータの組み合わせを提供するものである。
【0044】
本発明のビームホモジナイザーは、1本のビームを第1の方向に(2n+ 1)本のビームに分割する第1の分割用光学レンズと、1本のビームを前記第1の方向と垂直な第2の方向にN(n−1)本のビームに分割する第2の分割用光学レンズと、前記第2の方向に集光して、前記第2の方向に分割された複数のビームを合成する第1の合成用レンズと、前記第1の方向に集光して、前記第1の方向に分割された複数のビームを合成する第2の合成用レンズと、を含み、
前記第2の合成用レンズは、(n' −1)個のシリンドリカルレンズでなり、
前記(n' −1)個のシリンドリカルレンズのそれぞれの主点を前記第2の方向に直交する平面に正射影した像は、同一直線上にd/(n' −1)の間隔で並んだ(n' −1)個の点となり、
前記dは、前記前記第2の合成用レンズの1つのシリンドリカルレンズを透過したビームが照射面で形成する干渉じまのピークの間隔であり、
前記Nは自然数であり、前記nは3以上の整数であり、前記n' は3≦n' ≦nを満たす整数であることを特徴とする。
【0045】
図28、図29を用いて説明したように、複数の線状ビームの長手方向の位相を所定の大きさずらして、合成することで、線状ビームの被照射面での干渉じまの強度が均一にすることができる。
【0046】
本発明のビームホモジナイザーにおいてミラーを挿入すると、光路の方向が変わるため、シリンドリカルレンズが光ビームを分割する方向や、集光する方向も変更されるが、本発明ではミラーによる方向の変更は無視し、ミラーがない場合を想定している。
【0047】
本発明において、第2の合成用レンズにおいて、複数のビームの位相をずらし、かつ複数のビームが同じ領域に照射されるよう集光している。このため第2の合成用レンズにおいて、各シリンドリカルレンズの主点をd/(n' −1)づつ光軸に垂直な方向にずらしている。
【0048】
また、本発明の第1の分割用レンズは、互いに光軸が平行な(2n+1)個のシリンドリカルレンズを列状(アレイ状)に連結したシリンドリカルレンズ群で構成される。さらに、ここでは第1の分割用のシリンドリカルレンズ群において奇数(2n+1)本にビームを分割するようにしたが、偶数(2n)本に分割してもよい。この場合には、互いに光軸が平行な2n個のシリンドリカルレンズを列状に連結すればよい。
【0049】
また、本発明の第2の分割用レンズは、互いに光軸が平行なN(n−1)個のシリンドリカルレンズを列状に連結したシリンドリカルレンズ群で構成すればよい。第1の合成用レンズはシリンドリカルレンズを用いることができる。
【0050】
本発明のホモジナイザーはコヒーレントなビームを線状に整形した場合に顕著な効果を示し、線状ビームの長手方向の光強度を平均化することができる。コヒーレント光の光源としては気体レーザーや固体レーザーなどのレーザー装置が用いられる。連続発光型のアルゴンレーザー装置やパルス発振型のエキシマレーザー装置を用いることができる。
【0051】
気体レーザーとしてエキシマレーザーが挙げられる。エキシマレーザーはパルス発振型のレーザーとして広く認識されているが、最近、連続発光エキシマレーザー発振装置が開発された。連続発光させるために、マイクロ波を使用して発振ガスの励起を促進している。
【0052】
ギガヘルツオーダーのマイクロ波を発振ガスに照射することで、発振の律速となっている反応を促進させることで、エキシマレーザーを連続発光させることが可能となった。珪素膜への吸収係数の高いエキシマレーザーは、連続発光のものが実用化されるることで、ますます半導体膜の結晶化に重要なものとなる。連続発光のエキシマレーザーを使えば、パルスレーザーの照射跡をなくすことができるため、レーザー照射処理の効果が非常に均質化できる。
【0053】
エキシマレーザとして、例えばKrFレーザー(波長248nm)、XeClエキシマレーザー(波長308nm)、XeFレーザー(波長351nm、353nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、XeFレーザー(波長483nm)等を用いればよい。
【0054】
固体レーザーとしてパルス発振型のNd:YAGレーザーやNd:YVO4レーザーを使用することができる。特にレーザーダイオード励起方式のパルス発振型レーザー装置を使用すると高出力と高いパルス発振周波数が得られる。Nd:YAGレーザーやNd:YVO4レーザーの基本周波数は1064nmであるが、基本周波数だけでなく、その第2高調波(532nm)、第3高調波(354.7nm)、第4高調波(266nm)のいずれかを使用することができる。
【0055】
【実施形態】
図を用いて、以下に本発明の実施形態を説明する。
【0056】
図1、図2に、本実施形態のビームホモジナイザーの光学系を示す。本実施形態ではホモジナイザーの各レンズにシリンドリカルレンズを用いている。図1(A)は上面図であり、図1(B)は側面図であり、図2は斜視図である。
【0057】
レーザー発生手段201の出射側から、ビームを分割するためのシリンドリカルレンズ群202、203、分割されたビームを重ね合わせるためのシリドリカルレンズ204、シリンドリカルレンズ群206が順次配置されている。さらに、シリンドリカルレンズ204とシリンドリカルレンズ群206の間には、光路上にスリット205が配置され、合成用のシリンドリカルレンズ群206の透過側には、光路上にミラー207、シリンドリカルレンズ208が順次に配置されている。なお、説明の都合上、図2ではミラー207を省略した。
【0058】
シリンドリカルレンズ群202は、互いに光軸が平行な(2n+1)個のシリンドリカルレンズでなり、1本のビームを(2n+1)本のビームに分割する方向は、側面図で紙面に垂直な方向(第1の方向)とした。
【0059】
シリンドリカルレンズ群203はN(n−1)個のシリンドリカルレンズでなり、入射した1本のビームをN(n−1)本のビームに分割する方向は、上面図で紙面に垂直な方向(第2の方向)とした。
【0060】
合成用のシリンドリカルレンズ204は分割用のシリンドリカルレンズ群203と対になっており、上面図で紙面に垂直な方向に分割されたビームを集光するレンズである。シリンドリカルレンズ群203を構成するシリンドリカルレンズと、シリンドリカルレンズ204の母線は平行である。
【0061】
合成用のシリンドリカルレンズ群206は、光軸が互いに平行な(n' −1)個のシリンドリカルレンズでなり、シリンドリカルレンズ群202と対になっており、側面図で紙面に垂直な方向に分割されたビームを集光するためのレンズである。シリンドリカルレンズ群202と206を構成しているシリンドリカルレンズは互いに母線が平行になっている。
【0062】
なお、図1、図2には、N=2、n=3、n' =3とした場合の光学系が図示されている。シリンドリカルレンズ群202のレンズ数(2n+1)は7、シリンドリカルレンズ群203のレンズ数N(n−1)は4となり、シリンドリカルレンズ群206のレンズ数(n' −1)は2となる。
【0063】
シリンドリカルレンズ206群の構成を図3に示す。図3(A)は斜視図であり、図3(B)は上面図である。図3に示すように、シリンドリカルレンズ群206はシリンドリカルレンズ206aと206bでなり、レンズ206a、レンズ206bの主点が所定の長さ△D=d/2だけ互いにずらされている。
【0064】
より詳細には、図3(B)に示すように、各シリンドリカルレンズ206a、206bの主平面100aと100bは同一平面をなし、各レンズの主点101a、101bをこれら主平面がつくる平面(または各レンズの母線)と直交する平面に正射影した像が、同一直線上にあって、間隔△D並ぶ点になる。この正射影した像は紙面上の主点101a、101bにあたる。あるいは、シリンドリカルレンズ群206の構成は、各レンズの後焦点103a、103bを主平面がつくる平面(または各レンズの母線)と直交する平面に正射影した像が、同一直線上にあって、間隔△D並ぶ点になっている。あるいは、各レンズの光軸102a、102bが主平面がつくる平面と直交する平面に正射影した像が間隔△Dの平行線になっている。
【0065】
なお、図3では、シリンドリカルレンズ206a、206bとも主平面(主点)がレンズ内に1つしかないレンズとしたが、厳密には主平面が2つになるが、本明細書では、像側主平面、物体側主平面のいずれか一方を考慮するものと考えている。
【0066】
dは、図27〜図29で説明したように、長手方向の波の周期であり、シリンドリカルレンズ群206を構成するシリンドリカルレンズ(206aまたは206b)を透過したビームが、被照射面で形成する干渉じまの周期である。
【0067】
干渉じまの周期dを計測するには、シリンドリカルレンズ群206において、一つのシリンドリカルレンズ206aだけを残し、他のシリンドリカルレンズを206bに光が通らない状態で、線状レーザービームを直接観察して、周期を実測すればよい。また、その線状レーザービームによるアニール効果により、間接的に計測できる。例えば、図24を用いて説明したように、線状レーザを照射した珪素膜のには縦じまが現れ、この縦じまの間隔を計測してもよい。また、後に示すように簡単な計算式から求めることもできる。
【0068】
以下、シリンドリカルレンズ群206において、シリンドリカルレンズのずれ△Dの最適値を求める方法を説明する。
【0069】
本実施形態では、シリンドリカルレンズ群202のレンズ数が7(2n+1)個で、n=3なので、シリンドリカルレンズ群203のシリンドリカルレンズ数は(n−1)の整数倍(N(n−1))、すなわち偶数個あればよい。このとき△Dはd/ 2とすればよい。
【0070】
図2を用いて、本実施形態の効果を説明する。レーザー発生装置201からのレーザービームはシリンドリカルレンズ群202において、7本のビームに分割される。ここでは、簡単化のため1本のビームを追跡する。シリンドリカルレンズ群202を透過したビームはシリンドリカルレンズ群203で4つに分割される。4本のビームはシリンドリカルレンズ204において、1本のビームに合成されるように集光され、スリット205で線状に整形され、シリンドリカルレンズ群206に入射する。
【0071】
シリンドリカルレンズ群206において、スリット205の長手方向の位相が△D(d/2)ずらされた2本のビームとして出射し、シリンドリカルレンズ208で集光されて線状ビーム210として照射される。
【0072】
ここで、照射面に照射されるビームのうち、シリンドリカルレンズ206aを透過した線状ビームを211aとし、シリンドリカルレンズ206bを透過した線状ビームを211bとする。線状ビーム211a、211bの干渉じまを白黒の濃淡で模式的に示した。黒が明線である。このような強い干渉じまのある線状ビーム211aまたは211bを幅方向に走査しながら照射すると、図24に示したように、線状ビームの光強度の違いによるしま模様が現れる。
【0073】
そこで、本実施形態では、線状ビーム211aと211bを長手方向にd/2だけずらすことで、強度が高い部分(黒い部分)と低い部分(白い部分)とが互いに重なるようにすることにより、線状ビーム210のように干渉じまをなくす、あるいは不明瞭にしている。
【0074】
ここで、シリンドリカルレンズ群202のレンズ数が9である場合は、n=4なので、シリンドリカルレンズ群203が3(n−1に相当)の整数倍、例えば6個あれば、線状ビーム210の長手方向のエネルギー分布を均一にすることができる。この場合には、シリンドリカルレンズ群206のレンズ数は2よりも3のほうが、よりエネルギーを均一にすることできるため、シリンドリカルレンズ群206の代わりに、図4に示すような3つのシリンドリカルレンズでなるシリンドリカルレンズ群220を用いればよい。
【0075】
図4に示すように、シリンドリカルレンズ群220において、シリンドリカルレンズ220a、220b、220cの主点を正射影した点の間隔は△Dはd/ 3とすればよい。
【0076】
しかしながら、シリンドリカルレンズを3つ組み合わせるのは構造が複雑になるため高価になり、さらに光学系のアライメントがより困難になってくるので、2つのシリンドリカルレンズで構成してもよい。
【0077】
以上の考察及び計算から、シリンドリカルレンズ群202のシリンドリカルレンズ数が奇数である場合、シリンドリカルレンズ群206のレンズ数(n’- 1)とし、該(n’- 1)個のシリンドリカルレンズの主点を順次にd/ (n’- 1)ずらせばよいことが判る。ここで、n’は3≦n' ≦nを満たす整数であり、シリンドリカルレンズ群203のレンズ数はN(n’−1)個(Nは自然数)、即ちシリンドリカルレンズ群206のレンズ数の整数倍であるとよかった。
【0078】
このようにすることで、シリンドリカルレンズ群203で分割されるレーザービームのそれぞれの位相をずらして、重ね合わせることで、線状ビーム内での長手方向の光強度が均一化することができる。
【0079】
図1や図2に示したビームホモジナイザーの構成は、基本的なものであり、さらに他の光学系を配置してもよい。また光学部材の一部を同様な作用をする他の光学部材に置換してもよい。また、図示の光学系を全体の一部として利用してもよい。
【0080】
たとえば、図1に示すシリンドリカルレンズ群202、シリンドリカルレンズ群203は凸レンズでなるレンズアレイであるが、凹レンズ群もしくは、凹凸混合のレンズアレイを用いてもよい。例えば図7に示すような凹型凸型を複合したシリンドリカルレンズアレイを用いることができる。
【0081】
またシリンドリカルレンズ群203とシリンドリカルレンズ204を図8に示すマルチフェイズレンズ231に置き換えてもよい。図9に置き換えた場合の光学系を示す。図9において、図1と同じ符号は同じ部材を示す。
【0082】
ただし、凹凸混合レンズ群に代表されるような、互いに合同でないレンズ群を使用する場合は、それらのレンズで加工される平行光線の、加工後の拡がりの角度が同じであるレンズ群で構成されたほうがよい。
【0083】
さもなければ、分割したビームが再結合されるとき、個々のビームが異なる大きさや形で重なり合い、ビームの輪郭が不明瞭となる。
【0084】
本実施形態は、縦横比があまり大きくない、矩形状のレーザービームを縦横比が100以上あるような線状のレーザービームに加工する場合に特に有効なものとなる。
【0085】
また、シリンドリカルレンズ群202のレンズ数を偶数(2n)とすることもできる。他の条件は奇数(2n+1)の場合と同じでよい。だだしシリンドリカルレンズ群202のレンズ数が奇数であるほうが著しい効果が得られる。なお、シリンドリカルレンズ群202のレンズ数が偶数個であっても、シリンドリカルレンズ群203に奇数本のビームが入射していれば、シリンドリカルレンズ群202は奇数個のレンズで構成されていると考えてよいことは言うまでもない。
【0086】
シリンドリカルレンズ群202のレンズ数が奇数であると、照射面での線状ビームの長手方向の波形を図28(A)や図29(D)に示したような正弦波とすることが可能となり、長手方向のエネルギーをより均一化できる。
【0087】
シリンドリカルレンズ群202のレンズ数が2個または3個の場合は、図25に示すような従来のホモジナイザーでも、正弦波とすることができるが、ビームの分割数が小さいため、照射面でのエネルギーが均一なビームが得られにくい。よって、本発明では、シリンドリカルレンズレンズ群のレンズ数を少なくとも6以上とすることが好ましい。
【0088】
シリンドリカルレンズ群202のレンズ数が偶数個では奇数個の場合ほど光強度が分散されたビームは得られない。しかしながら、分割していないシリンドリカルレンズを用いた従来の光学系と比較すれば、エネルギーの平均化には格段の効果がある。
【0089】
ところで、dは図27で示したように、干渉じまの周期で定義されるため、上述したように、干渉じまの周期を実測することで値が得られるが、dを計算でも求めることもできる。
【0090】
レーザ装置201発生されるレーザー光の波長λと、シリンドリカルレンズ群206の1つのシリンドリカルレンズの焦点距離fと、シリンドリカルレンズ群202を構成するシリンドリカルレンズ幅Lを用いて、d=λf/Lの式で算出できる。
【0091】
また、上記の説明から明らかなように、干渉じまの周期dは線状レーザービーム中で一定である方が好ましい。即ち、図27に示すような一定の周期で干渉じまが線状ビームの長手方向に沿って現れるものであることが好ましい。
【0092】
しかしながら、図1のビームホモジナイザーにおいては、ある特別な場合を除いて、線状ビーム210の干渉じまの周期は一様にはならない。なぜならば、線状ビーム210は球面波を線状に合成しているからである。(図10(A)参照。球面波を直線で切ると、同位相同士の間隔は一定でない)もし、干渉のピーク間隔をほぼ一定にしたいならば、平面波を線状に合成すればよい。(平面波を斜めに直線で切ると、同位相同士の間隔は一定となるこのような光波を形成する光学系を図10(B)に示す。
【0093】
図10(B)が図10(A)と異なる点は、ビーム入射側のシリンドリカルレンズ群202が分割したレーザービームが、後続のシリンドリカルレンズ群206によりすべて平行光線に加工されるか否かである。
【0094】
図10(B)のような光学系は、前方の分割用のシリンドリカルレンズ群202と後方の合成用のシリンドリカルレンズ群206間の距離を適当に選ぶことにより簡単に得られる。図10(B)の様にすれば、シリンドリカルレンズ群で分割されたどのビームもシリンドリカルレンズ群206により平面波に加工される。本光学系により加工されたビームを使用すると該縦しまの間隔はほぼ一定となる。このような配置の光学系が本発明に最も適当である。
【0095】
しかしながら、球面波を合成した線状ビームであっても、球面波の曲率半径が十分大きいので、実質的には、平行光線と見なすことができるので、本発明を適用できる。ただし、球面波を合成する場合には、干渉じまの周期dは、線状ビーム全体の平均値で定義する。
【0096】
上述したように、本明細書で開示する発明を利用することで、線状レーザービームの長手方向のエネルギー分布は飛躍的に均質化される。特に、シリンドリカルレンズ群202を構成するレンズ数が奇数個である場合は、線状レーザービームの長手方向の波形を正弦波状(図28(C)、図29(D)参照)に整形することが可能となるため、本発明が最も効果的に作用する。
【0097】
しかしながら、長手方向のエネルギーの分布を完全に一定にすることは非常に困難である。レーザービームの照射条件により、エネルギー分布の変動がより強調される場合もある。
【0098】
このようなときはレーザービームの走査方向を微調整すると改善される。前記微調整は、該線状レーザービームを、該ビームの線方向と直交しかつ該線状レーザービームが形成する面を含む方向より該平面内で角度yだけずれた方向に走査させながらレーザー処理することで行う。この角度yは、|tan y |≦0.1 の範囲で見つけることができる。(但し、|tan y |≠0)
【0099】
本発の記載の光学系を介して半導体膜のレーザーアニールを行い、多結晶半導体膜とし、例えばTFT液晶ディスプレイのようなデバイスを作製すると、個々のTFTの特性のばらつきが抑えられて、高画質なものを得ることができる。また本発明のレーザーアニールは半導体結晶化だけでなく、半導体膜の導電型を制御するためにドーピングしたリン、ボロンなどの不純物を活性化させるために用いることができる。
【0100】
半導体集積回路の作製に際するレーザーアニールに本明細書で開示する発明を利用すると、同一基体上に形成される素子の特性をそろえることができ、高い性能を有する回路を得ることができる。
【0101】
【実施例】
図を用いて、本発明の実施例を説明する。
【0102】
〔実施例1〕
実施例の作製工程で、まず、レーザー照射される膜の作製方法を示す。レーザーが照射される膜は、本明細書中で3種類の非晶質珪素膜である。いずれの膜に対しても、本発明は効果的である。
【0103】
まず、3種類いずれの非晶質珪素膜も、基板として、127mm角のコーニング1737ガラス基板上に下地膜として200nmの厚の酸化珪素膜上にプラズマCVD法にて成膜された膜である。これら非晶質珪素膜の厚さは50nmとする。以降、この非晶質珪素膜を出発膜と呼ぶ。
【0104】
(膜Aの作製手順)
出発膜を、450℃の熱アニールに1時間さらす。本工程は非晶質珪素膜中の水素濃度を減らすための工程である。膜中の水素が多すぎると膜がレーザーエネルギーに対して耐えきれないので本工程が必要とされる。膜内の水素の密度は1020atoms/cm3 オーダーが適当である。この膜を非単結晶珪素膜Aと呼ぶ。
【0105】
(膜Bの作製手順)
10ppm の酢酸ニッケル水溶液が、スピンコート法により、出発膜上に塗布され、酢酸ニッケル層が形成される。酢酸ニッケル水溶液には、界面活性剤を添加するとより好ましい。酢酸ニッケル層は極めて薄いので、膜状となっているとは限らないが、以後の工程において問題はない。
【0106】
次に、600℃で4時間の熱アニールを施す。すると、非晶質珪素膜が結晶化し、非単結晶珪素膜である結晶性珪素膜Bが形成されるこのとき、触媒元素であるニッケルが結晶成長の核の役割を果たし、結晶化が促進される。600℃、4時間という低温、短時間で結晶化を行うことができるのは、ニッケルの作用による。詳細については、特開平6−244104号に記載されている。
【0107】
触媒元素の濃度は1×1015〜1019原子/cm3 であると好ましい。1×1019原子/cm3 以上の高濃度では、結晶性珪素膜に金属的性質が現れ、半導体としての特性が失われる。本実施例において、結晶性珪素膜中の触媒元素の濃度は、膜中のおける最小値で、1×1017〜5×1018原子/cm3 である。これらの値は、2次イオン質量分析法(SIMS)により分析、測定したものである。
【0108】
(膜Cの作製手順)
出発膜の上に酸化珪素膜を70nmの厚さに成膜する。成膜方法はプラズマCVD法を用いる。
【0109】
次に該酸化珪素膜の一部をフォトリソパターニング工程によって完全に開孔する。
【0110】
さらに、該開孔部に薄い酸化膜を形成するために酸素雰囲気中でUV光を5分間照射する。この薄い酸化膜は、後に導入するニッケル水溶液に対する上記開孔部の濡れ性改善のために形成されるものである。
【0111】
次に100ppm の酢酸ニッケル水溶液が、スピンコート法により、該膜上に塗布され、酢酸ニッケルが上記開孔部分に入る。酢酸ニッケル水溶液には、界面活性剤を添加するとより好ましい。
【0112】
次に、600℃で8時間の熱アニールが施され、ニッケル導入部分から横方向に結晶が成長してゆく。このとき、ニッケルが果たす役割は膜Bと同様のものである。今回の条件では結晶成長する距離は40μm 程度である。
【0113】
このようにして非晶質珪素膜が結晶化し、非単結晶珪素膜である結晶性珪素膜Cが形成される。その後、結晶性珪素膜上の酸化珪素膜をバッファーフッ酸を用い剥離除去する。
【0114】
このようにして得られる非単結晶珪素膜A、B、Cを結晶化させる。
【0115】
次に結晶性をさらに高めるために、エキシマレーザーを用いてレーザーアニールを行う。
【0116】
図5に、実施例におけるレーザー照射システムを示す。図5は、レーザー照射システムの概観である。
【0117】
図5において、レーザー照射システムは、レーザー装置201から照射され、2 対の反射ミラー901によりレーザーの進行方向を調整後、本発明が開示するビームホモジナイザー902により、断面形状が線状に加工されたパルスレーザービームを、ミラー207で反射させ、シリンドリカルレンズ208にて集光しつつ、被処理基板904に照射させる機能を有している。2 対の反射ミラー901の間には、レーザービームの広がり角を抑え、かつ、ビームの大きさを調整できるビームエキスパンダーを挿入してもよい。
【0118】
光学系902は図1に示すシリンドリカルレンズ群202からシリンドリカルレンズ群206に至る光路上の光学系であり、ミラー207及びシリンドリカルレンズ208も図1に示した構造に準じている。本発明で使用する線状レーザービームはすべて図1記載の光学系に準じたものを使用している。図1のようなタイプのレンズ群の役割を以下に記述する。
【0119】
本実施例で使用するビームホモジナイザーにおいて、シリンドリカルレンズ群202のレンズ数を本実施例では、7(2n+1にあたる。)個とするので、図1に示す構造においてシリンドリカルレンズ群206のレンズ数は2(n−1にあたる)となる。
【0120】
図3にシリンドリカルレンズ群206の構成図を示す。以下、シリンドリカルレンズ群206を構成するシリンドリカルレンズ206aと206bの主点間の間隔△Dを決定する方法を記載する。
【0121】
本実施例の場合、シリンドリカルレンズ群206中任意に選んだ1つのレンズ206aと、図1中のシリンドリカルレンズ群206以外のレンズとを介して形成される線状レーザービーム内に分布する光干渉じまの周期は0. 1mmであった。この値が発明で利用されるパラメータdにあたる。
【0122】
上述したように、式d/(n−1)から算出される距離をシリンドリカルレンズ206aと206bの主点をずらす距離とすることによって、線状ビームの長手方向のエネルギー分布を最も均一化することができる。
【0123】
ここで該式にd、nの値を代入する。本実施例ではn=3なので、求める距離は0. 05mmとなる。波の重ね合わせの原理により、前記距離は、0. 15mm、0. 25mm、0. 3mm、・・・と0. 1mm間隔で変えても効果は同様であることは、言うまでもないが、この間隔を広くとればとるほど線状ビームの長手方向の有効に使える長さは短くなることになる。
【0124】
すなわち、シリンドリカルレンズ206aと206bの主点を光軸に直交する方向に互いにずらし合うと、線状レーザービーム210の長手方向の両端はずらした距離分ぼけてしまう。(図2参照。両端が白い部分がぼけた部分を示している)線状レーザービームの長手方向の両端が照射される部分を素子領域とすることは容易であるため、多少のぼけは全く処理に影響しない。他方、幅方向の両端は全くぼけることがないため、素子領域にうたれても悪影響はない。
【0125】
本実施例ではn=3なので、これにより、レーザービームを縦方向(線状ビームの幅方向)に分割する数は(3−1)の倍数で決まる。本実施例の場合は、N=4とし、8分割とした。また、レーザービームを横方向(線状ビームの長手方向)に分割する数は(2×3+1)=7である。レーザ装置201から出射したビームを縦方向(線状レーザービームの幅方向)に8分割、横方向(線状レーザービームの長手方向)に7分割している。
【0126】
線状レーザービーム210は、56(7×8)分割されたビームを一つに合成したものとなっている。このようにすることにより、ビームのエネルギー分布を平均化している。
【0127】
ビームの縦横の長さの比はレンズ群の構造上、可変であるが、レンズの大きさ、焦点距離の組合せにより、造りやすいビーム形状は制限される。なお、本光学系においてビームの長辺の長さを変えることはできない。
【0128】
レーザー発振装置201は、ここでは、XeClエキシマレーザー(波長308nm)を発振するものを用いる。他に、KrFエキシマレーザー(波長248nm)等を用いてもよい。
【0129】
被処理基板904は、ステージ905上に配置される。ステージ905は移動機構903によって、一軸方向に移動可能とされている。実際の処理では、ステージ905を線状レーザービームの線幅方向に対して垂直方向(線状レーザービームを含む平面を含む。)に平行に移動する。
【0130】
図6は図5のレーザー照射装置を備えたレーザーアニール装置の構成図である。ロード/アンロード室915に、被処理基板904が多数枚、例えば20枚収納されたカセット913が配置される。ロボットアーム914により、カセット913から一枚の基板がアライメント室912に移動される。
【0131】
アライメント室912には、被処理基板904とロボットアーム914との位置関係を修正するための、アライメント機構が設けられている。アライメント室912は、ロード/アンロード室915と連結されている。
【0132】
基板は、ロボットアーム914によって基板搬送室911に運ばれ、さらにロボットアーム914によって、レーザー照射室916に移送される。
【0133】
図5において、被処理基板904上に照射される線状レーザービームは、幅0.4mm×長さ135mmとする。
【0134】
被照射面におけるレーザービームのエネルギー密度は、100mJ/cm2〜500mJ/cm2の範囲で、例えば300mJ/cm2とする。ステージ905を1. 2mm/sで一方向に移動させながら行うことで、線状レーザービームを走査させる。レーザーの発振周波数は30Hzとし、被照射物の一点に注目すると、10ショットのレーザービームが照射される。前記ショット数は5ショットから50ショットの範囲で適当に選ぶ。
【0135】
レーザー照射終了後、被処理基板904はロボットアーム914によって基板搬送室912に引き戻される。
【0136】
被処理基板904は、ロボットアーム914によって、ロード/アンロード室915に移送され、カセット913に収納される。
【0137】
こうして、レーザーアニール工程が終了する。このようにして、上記工程を繰り返すことにより、多数の基板に対して、連続的に一枚づつ処理できる。
【0138】
本実施例は線状レーザーを用いたが、線状から正方形状にいたるまでいずれのビーム形状を本発明に使用しても本発明が特徴とする効果がある。
【0139】
上記レーザーアニールされた半導体膜を活性層とするTFTを作製すると、Nチャネル型、Pチャネル型、いずれも作製できる。
【0140】
また、Nチャネル型とPチャネル型とを組み合わせた構造も得ることが可能である。また、多数のTFTを集積化して電子回路を構成することもできる。
【0141】
以上のことは、他の実施例で示した光学系を介してレーザーアニールされた半導体膜についてもいえる。本発明の光学系を介してレーザーアニールされた半導体膜を利用して、TFTで構成される液晶ディスプレイを作製した場合、個々のTFT特性のバラツキの少ない高画質なものが得られる。
【0142】
〔実施例2〕 実施例1にて、しま模様が上手く消えない場合は、光学系の配置が適当でない為であるか、線状レーザービームの重ね合わさり様が不適当かである。このときは、走査方向変更装置906により基板の走査方向を微調整し、干渉じまがより目立たない走査方向を選べばよい。
【0143】
即ち、線状レーザー光の幅方向に対して、少し角度をもたせて、レーザー光が走査されて照射されるようにするとよい。
【0144】
〔実施例3〕 実施例1にて、図1に記載の光学系の配置を採用したときの、干渉じまのピッチdは計算で容易に導出できる。本実施例ではその計算方法を図11、図12を用いて説明する。
【0145】
まず、シリンドリカルレンズ群206の分割されたレンズを互いにずらさない状態を想定する。便宜上、この状態にあるシリンドリカルレンズ群206をシリンドリカルレンズ1206と呼ぶことにする。
【0146】
図11に示す光学系は、図1に示すシリンドリカルレンズ群202とシリンドリカルレンズ1206の断面を示したものと考えて良い。
【0147】
図11の光学系の配置を採用した場合、シリンドリカルレンズ1206によって合成されるビームはそれぞれ平面波といってよい。
【0148】
この場合、シリンドリカルレンズ群202を構成するレンズ中、中央のレンズに隣接する2つのレンズ1201を介してシリンドリカルレンズ1206に入射したレーザー光の光束は、照射面1204に角度αで交差する。
【0149】
ここでレーザーの波面1205は直線であるから、該波面の波長λ間隔で引かれた直線は照射面1204を間隔βで切る。(図12参照。)
【0150】
前記角度αと間隔βとの関係式は波長λを使って表現できる。すなわち、β=λ/ sin αと表現できる。
【0151】
2つのレンズ1201は間隔βの定常波を照射面1204に形成する。また、2つのレンズ1202は間隔β/ 2の定常波を照射面1204に形成する。さらに、2つのレンズ1203は間隔β/ 3の定常波を照射面1204に形成する。これら定常波が、照射面1204で合成され、図28(C)や図29(D)に示したような定常波が形成される。よって、βは、図28、図29で示すように、長手方向の波の周期dに一致する。このことは簡単な計算により解る。
【0152】
また、シリンドリカルレンズ1206の位置を、シリンドリカルレンズ群202に対して、矢印1207で示すレンズ1206の主平面に平行な方向(光軸に垂直な方向)に沿って動かしても、周期dが変化しないことも、簡単な計算によりわかる。このことは、シリンドリカルレンズ1206をシリンドリカルレンズ群206の状態に戻すときに、分割したシリンドリカルレンズ1206それぞれを、矢印1207で示す方向に動かしても、本発明の本質に全く影響を及ぼさないことを示唆する。
【0153】
また、この場合、シリンドリカルレンズ1206の焦点距離f、シリンドリカルレンズ群202のレンズ1つ当たりの幅Lとすると、tan α=L/fが成立する。
【0154】
また、αの角度は十分に小さいから、tan α≒sin αが成立する。よって、β≒λf/Lが成立する。上述したように、一般に、β=dであるから、d≒λf/Lとなる。
【0155】
従って、シリンドリカルレンズ1206の焦点距離f、シリンドリカルレンズ群202のレンズ1つ当たりの幅L、レーザー光の波長λが判れば、線状レーザーの干渉じまの周期dを実測しなくても、計算で求めることができる。
【0156】
なお、図10(A)に示す配置の光学系を採用した場合、シリンドリカルレンズ群206を通過したビームは球面波となり、上述した数式は完全には成立しない。この場合は、計算機を用いた数値計算により、dを算出する。
【0157】
この場合でも、シリンドリカルレンズ群206の焦点距離fとシリンドリカルレンズ群202の焦点距離との和がシリンドリカルレンズ群206とシリンドリカルレンズ群202との間隔に近ければ、上述した数式により求めたdを利用することができる。
【0158】
〔実施例4〕 上述した実施例ではパルス発振型のエキシマレーザーを用いたが、本実施例では連続発光エキシマレーザーを用いる。連続発光型の場合はパルス発振型と比べて線状レーザーの走査速度が遅くなるため、基板にレーザ光の熱が伝わりやすくなる。そのため、歪み点温度が高い石英基板を基板に使用することが望まれる。石英基板は珪素膜の融点温度に加熱されても全く変形、変質しない。よって、ビームサイズを広げることができる。
【0159】
本実施例では、1000Wの連続発光エキシマレーザを線状ビーム(サイズ125mm×0.4mm)に加工し使用する例を示す。図13に本実施例のビームホモジナイザーの構成を示す。図13のビームホモジナイザーは図1においてスリット205を省略したものに相当する。シリンドリカルレンズ群407はシリンドリカルレンズ群202に、シリンドリカルレンズ群408はシリンドリカルレンズ群203に、シリンドリカルレンズ409はシリンドリカルレンズ204にシリンドリカルレンズ群410はシリンドリカルレンズ群206に対応する。
【0160】
上記の光学部材はすべて石英製である。石英は、エキシマレーザーの波長域の透過率が十分高いために使用された。また、使用するエキシマレーザーの波長(本明細書では2 48nm)にあわせ適当なコーティングを光学系表面に施した。これにより、レンズ単体で透過率99%以上が得られた。また、レンズの耐久性も増した。
【0161】
なお、上記レンズは全て幅方向に曲率を有し、すべて球面レンズであった。レンズの材質は合成石英で、透過光の波長248nmで透過率99%以上が得られるように、ARコート処理を施した。
【0162】
実施例1と同様に、シリンドリカルレンズ群407とシリンドリカルレンズ群410の組み合わせは、線状レーザービームの長手方向における強度分布を均一にする機能を有し、シリンドリカルレンズ群408とシリンドリカルレンズ409の組み合わせは、線状レーザービームの幅方向における強度分布を均一にする機能を有している。
【0163】
シリンドリカルレンズ群408とシリンドリカルレンズ409の組み合わせにより、いったんビーム幅wのビームが形成される。ミラー411を介して、さらに、ダブレットシリンドリカルレンズ412を配置することにより、より細い(ビーム幅wよりも細い)線状レーザービームを得ることができる。
【0164】
図13に示す装置は、レーザー装置406からの出射したレーザー光をシリンドリカルレンズ407、408、409、410、412で示す光学系を介して、線状ビーム405として照射する機能を有している。ステージ413は1方向に動作する1軸ステージである。これを走査させることで、ステージ413上に置かれた基板にレーザを照射する。
【0165】
なお、レーザー装置406から出射されるレーザービームのサイズは、もともと直径0.3mm円ビームであるが、これを図示しない2組のビームエキスパンダーを使って概略10×35mmの楕円に広げる。411はミラーである。
【0166】
図13の光学系で形成される線状レーザービームのエネルギー分布は、その幅方向の断面をみると、矩形状の分布を示した。すなわち、エネルギー密度について非常に均質性の高い線状レーザービームを得ることができた。
【0167】
このとき、シリンドリカルレンズ群407は、焦点距離41mm、幅5mm、長さ30mm、中心厚5mmのシリンドリカルレンズを7本使用した。シリンドリカルレンズ群408は焦点距離250mm、幅2mm、長さ60mm、中心厚5mmのシリンドリカルレンズを4本使用した。シリンドリカルレンズ409は、焦点距離200mm、、幅30mm、長さ120mm、中心厚10mmのシリンドリカルレンズを使用した。シリンドリカルレンズ群は410は、焦点距離1022mm、幅180mm、長さ20mm、中心厚35mmのシリンドリカルレンズ2つを使用した。
【0168】
ダブレットシリンドリカルレンズ412は幅90mm、長さ160mm、中心厚16mmのシリンドリカルレンズを2枚組にし、合成焦点距離を220mmとしたものを使用した。
【0169】
また、シリンドリカルレンズ群407は、光路に沿って、照射面から、2100mmレーザー装置寄りに配置した。シリンドリカルレンズ群408は、光路に沿って照射面から、1980mmレーザー装置406寄りに配置した。シリンドリカルレンズ409は光路に沿って照射面から、1580mmレーザー装置406寄りに配置した。
【0170】
シリンドリカルレンズ410は、レーザーの光路に沿って照射面から、1020mmレーザー装置406寄りに配置した。ダブレットシリンドリカルレンズ412は光路に沿って照射面から、275mmレーザー寄りに配置した。上記の数字はだいたいの目安であり、レンズの作成精度などによった。
【0171】
上記サイズに加工された線状の連続発光エキシマレーザビームを、図14で示すような方法で走査させることで、珪素膜全面を結晶化させる。該線状レーザビームの長辺の長さは珪素膜短辺の長さ以上であるから、1度の走査で基板全面が結晶化できる。図14中、基板は401、ソースドライバー領域は402、ゲートドライバー領域は403、画素は404である。図14をみればわかるように、線状レーザビーム405を1方向に1度走査するだけで、珪素膜全体が結晶化される。
【0172】
走査のスピードは、実施者が適宜決めればよいが、目安は、0.5〜100mm/sの範囲で選ぶ。このとき走査スピードが所望のスピードに達するまで、照射前に1軸ステージ413を助走させる必要がある。
【0173】
〔実施例5〕 液晶パネルを量産する場合、1枚の基板上に複数のパネルを形成し工程終了後、基板を切断する方法が、一般に行われている。
本実施例では、このような多面取りの基板に対し、連続発光エキシマレーザ発振装置を光源とする、線状レーザビームを照射する例を示す。本実施例中、多面取り基板のサイズは、600mm×720mmとする。
【0174】
多面取りの基板に対し線状レーザを照射する方法は様々考えられるが、本実施例では、代表的なものを挙げて説明する。
【0175】
本実施例で用いる方法を図15に示す。連続発光エキシマレーザ発振装置1301から出射されたレーザ光は光学系1302、ミラ−1303を介することにより、照射面(基板1306)で線状レーザビーム1304となる。光学系1302には、先の実施例で示したもの、例えば、図13に示したものを使う。
【0176】
本実施例で、基板1306上には、5×6枚、つまり30枚の3.5インチ液晶パネルが形成される。多面取り基板のサイズは600mm×720mmであることから、1枚のパネルがしめる領域は120mm×120mmの正方形となる。図15は簡単のため4つの液晶パネルのみ図示する。その内の1つの、ソースドライバーとなる領域1307、ゲートドライバーとなる領域1308、画素となる領域1309を図示する。
【0177】
図13に示した光学系で形成される線状レーザビーム長さは、125mmであるので、1枚のパネルの占める領域(120mm角の正方形)1辺の長さよりも長い。よって、線状レーザビームを1方向に1回走査するだけで、パネル1列分の領域を処理できる。多面取り基板1306上には、パネルが6行5列でならんでいることから、5回の走査で基板全面をレーザ照射できる。基板の走査には、直交する2方向に移動自在なXYステージ1305を動かすことで行う。基板の走査方向は、例えば、図15中の点線の矢印で示す方向とする。
【0178】
〔実施例6〕 本実施例では、多面取りの基板に対し、連続発光エキシマレーザ発振装置を光源とする、線状レーザビームを照射する他の例を示す。本実施例中、多面取り基板のサイズは、600mm×720mmとする。
【0179】
本実施例で用いる方法を図16に示す。連続発光エキシマレーザ発振装置1401から出射されたレーザ光は光学系1402、ミラ−1403を介することにより、照射面(基板1406)で線状レーザビーム1404となる。光学系1402には、先の実施例で示したもの、例えば、図13に示したものを使う。
【0180】
本実施例で、基板1406上には、10×12枚、つまり120枚の2.6インチ液晶パネルが形成される。多面取り基板のサイズは600mm×720mmであることから、1枚のパネルがしめる領域は60mm×60mmの正方形となる。図16は簡単のため4つの液晶パネルのみ図示する。その内の1つの、ソースドライバーとなる領域1407、ゲートドライバーとなる領域1408、画素となる領域1409を図示する。
【0181】
図13に示した光学系で形成される線状レーザビーム長さは、125mmであるので、上記4枚のパネルを2行2列に並べたときの(120mm角の正方形)1辺の長さよりも長い。よって、線状レーザビームを1方向に1回走査するだけで、パネル2列分の領域を処理できる。
【0182】
多面取り基板1406上には、パネルが12行10列でならんでいることから、5回の走査で基板全面をレーザ照射できる。基板の走査には、直交する2方向に移動自在なXYステージ1405を動かすことで行う。基板の走査方向は、例えば、図16中の点線の矢印で示す方向とする。
【0183】
線状レーザビームの長さが長くなればなるほど、パネルが小さくなればなるほど、線状レーザビームの1回の走査でレーザ照射できるパネルの列の本数は増える。線状レーザビームの長さとパネルサイズによっては、パネル3列分、またはそれ以上を線状レーザビーム1回の走査でレーザ照射することができる。
【0184】
上記の実施例では、エキシマレーザーを用いた例を述べたが、パルス発振型のYAGレーザーやYVO4レーザーを使用することが可能であり、特にレーザーダイオード励起方式のレーザー装置を使用すると高出力と高いパルス発振周波数が得られる。
【0185】
〔実施例7〕 本実施例では、実施例1で得られた結晶性珪素膜を利用してTFT(薄膜トランジスタ)を作製する例を示す。本実施例の工程を図17〜図19に示す。
【0186】
まず、基板として石英基板701を用意する。石英基板を使用するのは、結晶化の手段として連続発光型のエキシマレーザーを用いるためである。その上に200nm厚の酸化珪素膜(下地膜とも呼ぶ)702と厚さ55nmの非晶質珪素膜703aとを大気解放しないまま連続的に成膜した。(図17(A))こうすることで非晶質珪素膜703aの下表面に大気中に含まれるボロン等の不純物が吸着することを防ぐことができる。
【0187】
なお、本実施例では非晶質半導体膜として、非晶質珪素(アモルファスシリコン)膜を用いたが、他の半導体膜であっても構わない。非晶質シリコンゲルマニウム膜でも良い。また、下地膜及び半導体膜の形成手段としては、PCVD法、LPCVD法またはスパッタ法等を用いることができる。この後、水素濃度が高い場合は水素濃度低減するための加熱処理を行うとよい。
【0188】
次に、非晶質珪素膜703aの結晶化を行う。実施例4で示したレーザー照射方法を用いてレーザー結晶化を行った。こうしてレーザー照射を行って結晶化させ、結晶質珪素(ポリシリコン)膜からなる領域704aを形成した。(図17(B))
【0189】
また、他の方法としてパルス発振型のYAGレーザーやYVO4レーザーを使用する方法がある。特にレーザーダイオード励起方式のレーザー装置を使用すると高出力と高いパルス発振周波数が得られる。結晶化のためのレーザーアニールにはこれら固体レーザのの第2高調波(532nm)、第3高調波(354.7nm)、第4高調波(266nm)のいずれかを使用し、例えばレーザーパルス発振周波数1〜20000Hz(好ましくは10〜10000Hz)、レーザーエネルギー密度を200〜600mJ/cm2(代表的には300〜500mJ/cm2)とする。そして、線状ビームを基板全面に渡って照射し、この時の線状ビームの重ね合わせ率(オーバーラップ率)を80〜90%として行う。第2高調波を使うと、半導体層の内部にも均一に熱が伝わり、照射エネルギー範囲が多少ばらついても結晶化が可能となる。それにより、加工マージンがとれるため結晶化のばらつきが少なくなる。また、パルス周波数が高いのでスループットが向上する。
【0190】
そして、形成された結晶質珪素(ポリシリコン)膜をパターニングして、TFTの半導体層704bを形成した。(図17(C))
【0191】
なお、半導体層704bを形成する前後に、結晶質珪素膜に対してTFTのしきい値電圧を制御するための不純物元素(リンまたはボロン)を添加しても良い。この工程はNTFTまたはPTFTのみに行っても良いし、双方に行っても良い。
【0192】
次に、スパッタ法またはプラズマCVD法により絶縁膜705を形成し、スパッタ法により第1の導電膜706a、第2の導電膜706bを積層形成する。(図17(D))
【0193】
この絶縁膜705は、TFTのゲート絶縁膜として機能することになる絶縁膜であり、膜厚は50〜200nmとする。本実施例では、シリコン酸化物をターゲットとして用いたスパッタ法により100nm厚の酸化珪素膜を形成した。また、酸化珪素膜のみでなく酸化珪素膜の上に窒化珪素膜を設けた積層構造とすることもできるし、酸化珪素膜に窒素を添加した酸化窒化珪素膜を形成してもよい。
【0194】
なお、本実施例では非晶質珪素膜のレーザ結晶化を行った後、パターニングを行いゲート絶縁膜を形成した例を示したが、特に工程順序は限定されず、非晶質珪素膜とゲート絶縁膜をスパッタ法にて連続成膜した後、レーザ結晶化を行いパターニングを施す工程としてもよい。スパッタ法にて連続成膜した場合、良好な界面特性が得られる。
【0195】
また、第1の導電膜706aは、Ta 、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を主成分とする導電材料を用いる。第1の導電膜706aの厚さは5〜50nm、好ましくは10〜25nmで形成すれば良い。一方、第2の導電膜707aは、Al、Cu、Siを主成分とする導電材料を用いる。第2の導電膜707aは100〜1000nm、好ましくは200〜400nmで形成すれば良い。第2の導電膜707aは、ゲート配線またはゲートバスラインの配線抵抗を下げるために設けられている。
【0196】
次いで、パターニングによって第2の導電膜707aの不要な部分を除去して、配線部にゲートバスラインの一部となる電極707bを形成した後、レジストマスク708a〜dを形成する。レジストマスク708aはPTFTを覆い、レジストマスク708bはドライバー回路のNTFTのチャネル形成領域を覆うようにして形成する。また、レジストマスク708cは電極707bを覆い、レジストマスク708dは画素マトリクス回路のチャネル形成領域を覆うようにして形成する。その後、レジストマスク708a〜dをマスクとしてn型を付与する不純物元素の添加を行い、不純物領域710、711を形成した。(図18(A))
【0197】
本実施例ではn型を付与する不純物元素としてリンを用い、フォスフィン(PH3 )を用いたイオンドープ法で行った。この工程ではゲート絶縁膜705と第1の導電膜706aを通してその下の半導体層704bにリンを添加するために、加速電圧は80keVとして、高めに設定した。半導体層、704bに添加されるリンの濃度は、1×1016〜1×1019atoms/cm3 の範囲にするのが好ましく、ここでは1×1018atoms/cm3 とした。そして、半導体層にリンが添加された領域710、711が形成された。ここで形成されたリンが添加された領域の一部は、LDD領域として機能する。また、マスクで覆われてリンが添加されなかった領域(結晶質珪素膜からなる領域709、712)の一部は、チャネル形成領域として機能する。
【0198】
なお、リンの添加工程は、質量分離を行うイオンインプランテーション法を用いても良いし、質量分離を行わないプラズマドーピング法を用いても良い。また、加速電圧やドーズ量の条件等は実施者が最適値を設定すれば良い。
【0199】
次いで、レジストマスク708a〜dを除去した後、必要があれば活性化処理を行う。そして、第3の導電膜713aをスパッタ法により成膜形成した。(図18(B))第3の導電膜713aは、Ta 、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を主成分とする導電材料を用いる。また、第3の導電膜713aの厚さは100〜1000nm、好ましくは200〜500nmとした。
【0200】
次いで、レジストマスク714a〜dを新たに形成してパターニングを行いPTFTのゲート電極706b、713bの形成、及び配線706c、713cの形成を行った後、マスク714a〜dをそのまま用いてp型を付与する不純物元素を添加してPTFTのソース領域、ドレイン領域を形成する。(図18(C))ここではボロンをその不純物元素として、ジボラン(B2 6 )を用いてイオンドープ法で添加した。ここでも加速電圧を80keVとして、2×1020atoms/cm3 の濃度にボロンを添加した。
【0201】
次いで、レジストマスク714a〜dを除去して、新たにレジストマスク718a〜eを形成した後、レジストマスク718a〜eをマスクとしてエッチングを行いNTFTのゲート配線706d、713d、画素マトリクス回路のTFTのゲート配線706e、713e、保持容量の上部配線706f、713fを形成する。(図18(D))
【0202】
次いで、レジストマスク718a〜eを除去し、新たにレジストマスク719を形成した後、NTFTのソース領域、ドレイン領域にn型を付与する不純物元素を添加して不純物領域720〜725を形成する。(図19(A))ここでは、フォスフィン(PH3 )を用いたイオンドープ法で行った。不純物領域720〜725に添加されたリンの濃度は、先のn型を付与する不純物元素を添加する工程と比較して高濃度であり、1×1019〜1×1021atoms/cm3 とするのが好ましく、ここでは1×1020atoms/cm3 とした。
【0203】
その後、レジストマスク719を除去した後、50nmの厚さの窒化珪素膜からなる保護膜727を形成して図19(B)の状態が得られる。
【0204】
次いで、添加されたn型またはp型を付与する不純物元素を活性化するための活性化処理を行う。この工程は、電気加熱炉を用いた熱アニール法や、前述のエキシマレーザやYAGレーザーやYVO4レーザーを用いたレーザアニール法や、ハロゲンランプを用いたラピットサーマルアニール法(RTA法)で行えば良い。加熱処理する場合は、300〜700℃、好ましくは350〜550℃、本実施例では窒素雰囲気において450℃、2時間の熱処理を行った。
【0205】
YAGレーザーやYVO4レーザーを用いる場合には、その基本波(1064nm)、第2高調波(532nm)、第3高調波(354.7nm)、第4高調波(266nm)のいずれかを使用し、例えばレーザーパルス発振周波数1〜20000Hz(好ましくは10〜10000Hz)、レーザーエネルギー密度を200〜600mJ/cm2(代表的には300〜500mJ/cm2)とする。そして、線状ビームを基板全面に渡って照射し、この時の線状ビームの重ね合わせ率(オーバーラップ率)を80〜90%として行う。また、パルス周波数が高いのでスループットが向上する。
【0206】
次いで、第1の層間絶縁膜730を形成した後、コンタクトホールを形成し、ソース電極及びドレイン電極731〜735等を公知の技術により形成する。
【0207】
その後、パッシベーション膜736を形成する。パッシベーション膜736としては、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、またはこれらの絶縁膜と酸化珪素膜との積層膜を用いることができる。本実施例では300nm厚の窒化珪素膜をパッシベーション膜として用いた。
【0208】
なお、本実施例では窒化珪素膜を形成する前処理として、アンモニアガスを用いたプラズマ処理を行い、そのままパッシベーション膜736を形成する。この前処理によりプラズマで活性化した(励起した)水素がパッシベーション膜736によって閉じこめられるため、TFTの活性層(半導体層)の水素終端を促進させることができる。
【0209】
さらに、水素を含むガスに加えて亜酸化窒素ガスを加えると、発生した水分によって被処理体の表面が洗浄され、特に大気中に含まれるボロン等による汚染を効果的に防ぐことができる。
【0210】
パッシベーション膜736を形成したら、第2層間絶縁膜737として1μm厚のアクリル膜を形成した後、パターニングしてコンタクトホールを形成し、ITO膜でなる画素電極738を形成した。こうして図19(C)に示すような構造のAM−LCDが完成する。
【0211】
以上の工程で、ドライバー回路のNTFTにはチャネル形成領域709、不純物領域720、721、LDD領域728が形成された。不純物領域720はソース領域として、不純物領域721はドレイン領域となった。また、画素マトリクス回路のNTFTには、チャネル形成領域712、不純物領域722〜725、LDD領域729が形成された。ここで、LDD領域728、729は、ゲート電極と重なる領域(GOLD領域)と、ゲート電極と重ならない領域(LDD領域)がそれぞれ形成された。
【0212】
一方、pチャネル型TFTは、チャネル形成領域717、不純物領域715、716が形成された。そして、不純物領域715はソース領域として、不純物領域716はドレイン領域となった。
【0213】
上記方法によって形成された半導体膜を用いて作製されたTFTを使って、例えば、液晶ディスプレイを作製した場合、従来と比較してレーザの加工あとが目立たないものができた。これは、本発明によりTFTの特性のバラツキ、特に移動度のバラツキが抑えられたことによる。
【0214】
図20(A)はアクティブマトリクス型液晶表示装置の回路構成の一例を示す。本実施例のアクティブマトリクス型液晶表示装置は、ソース信号線側ドライバー回路501、ゲート信号線側ドライバー回路(A)507、ゲート信号線側ドライバー回路(B)511、プリチャージ回路512、画素マトリクス回路506を有している。
【0215】
ソース信号線側ドライバー回路501はシフトレジスタ回路502、レベルシフタ回路503、バッファ回路504、サンプリング回路505を備えている。
【0216】
また、ゲート信号線側ドライバー回路(A)507は、シフトレジスタ回路508、レベルシフタ回路509、バッファ回路510を備えている。ゲート信号線側ドライバー回路(B)511も同様な構成である。
【0217】
また、本発明は、NTFTの駆動電圧を考慮して、LDD領域の長さを同一基板上で異ならしめることが容易であり、それぞれの回路を構成するTFTに対して、最適な形状を同一工程で作り込むこともできる。
【0218】
また、図20(B)は画素マトリクス回路の上面図を示し、TFT部分のA−A' 断面構造と配線部のB−B' 断面構造は、図19(C)と対応しているため、一部は同一の符号で示した。図20(B)中、601は半導体層、602はゲート電極、603は容量線を示している。本実施例において、ゲート電極とゲート配線は、第1の導電層と第3の導電層とから形成され、ゲートバスラインは、第1の導電層と第2の導電層と第3の導電層とから形成されたクラッド構造を有している。
【0219】
また、図21(A)は、ドライバー回路を構成する一部となるCMOS回路の上面図を示し、図19(C)と対応している。610はPTFTのソース電極、611はドレイン電極、612はNTFTのソース電極、613、614はゲート配線である。また、本実施例ではNTFTとPTFTの活性層が直接接し、ドレイン電極を共有しているが、特にこの構造に限定されず、図21(B)に示すような構造(活性層が完全に分離した構造)としてもよい。なお、図21中の620はPTFTのソース電極、621はドレイン電極、622はNTFTのソース電極、623、624はゲート配線である。
【0220】
本実施例でトップゲート型のTFTを作製する工程を説明したが、逆スタガー型のTFTを作製するのに、本発明のレーザー照射装置を用いることができるのはいうまでもない。
【0221】
本発明のレーザ照射装置は、珪素膜の結晶化や結晶性を向上するためのレーザーアニール処理、活性層に添加されてドーパントを活性化するためのレーザー活性化処理に用いることができる。
【0222】
〔実施例8〕 本発明は従来のMOSFET上に層間絶縁膜を形成し、その上にTFTを形成する際に用いることも可能である。即ち、半導体回路上に反射型AM−LCDが形成された三次元構造の半導体装置を実現することも可能である。
【0223】
また、前記半導体回路はSIMOX、Smart−Cut(SOITEC社の登録商標)、ELTRAN(キャノン株式会社の登録商標)などのSOI基板上に形成されたものであっても良い。
【0224】
なお、本実施例を実施するにあたって、実施例1〜7のいずれの構成を組み合わせても構わない。
【0225】
〔実施例9〕 本実施例では、実施例7に示した作製工程で基板上にTFTを形成し、実際にAM−LCDを作製した場合について説明する。
【0226】
図19(C)の状態が得られたら、画素電極738上に配向膜を80nmの厚さに形成する。次に、対向基板としてガラス基板上にカラーフィルタ、透明電極(対向電極)、配向膜を形成したものを準備し、それぞれの配向膜に対してラビング処理を行い、シール材(封止材)を用いてTFTが形成された基板と対向基板とを貼り合わせる。そして、その間に液晶材料を保持させる。このセル組み工程は公知の手段を用いれば良いので詳細な説明は省略する。
【0227】
液晶材料としては、例えばTN液晶、PDLC、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、強誘電性液晶と反強誘電性液晶の混合物が挙げられる。例えば、1998, SID,“Characteristics and Driving Scheme of Polymer-Stabilized Monostable FLCD Exhibiting Fast Response Time and High Contrast Ratio with Gray-Scale Capability" by H. Furue et al. や、1997, SID DIGEST, 841,“A Full-Color Thresholdless Antiferroelectric LCD Exhibiting Wide Viewing Angle with Fast Response Time" by T. Yoshida et al.や、1996, J. Mater. Chem. 6(4), 671-673, "Thresholdless antiferroelectricity in liquid crystals and its application to displays" by S. Inui et al.や、米国特許第5594569 号に開示された液晶を用いることが可能である。
【0228】
ある温度域において反強誘電相を示す液晶を反強誘電性液晶という。反強誘電性液晶を有する混合液晶には、電場に対して透過率が連続的に変化する電気光学応答特性を示す、無しきい値反強誘電性混合液晶と呼ばれるものがある。この無しきい値反強誘電性混合液晶は、V字型の電気光学応答特性を示すものがあり、その駆動電圧が約±2.5V程度(セル厚約1μm〜2μm)のものも見出されている。
【0229】
ここで、V字型の電気光学応答を示す無しきい値反強誘電性混合液晶の印加電圧に対する光透過率の特性を示す例を図23に示す。図23に示すグラフの縦軸は透過率(任意単位)、横軸は印加電圧である。なお、液晶表示装置の入射側の偏光板の透過軸は、液晶表示装置のラビング方向にほぼ一致する無しきい値反強誘電性混合液晶のスメクティック層の法線方向とほぼ平行に設定されている。また、出射側の偏光板の透過軸は、入射側の偏光板の透過軸に対してほぼ直角(クロスニコル)に設定されている。
【0230】
図23に示されるように、このような無しきい値反強誘電性混合液晶を用いると、低電圧駆動かつ階調表示が可能となることがわかる。
【0231】
このような低電圧駆動の無しきい値反強誘電性混合液晶をアナログドライバを有する液晶表示装置に用いた場合には、画像信号のサンプリング回路の電源電圧を、例えば、5V〜8V程度に抑えることが可能となる。よって、ドライバの動作電源電圧を下げることができ、液晶表示装置の低消費電力化および高信頼性が実現できる。
【0232】
また、このような低電圧駆動の無しきい値反強誘電性混合液晶をデジタルドライバを有する液晶表示装置に用いた場合にも、D/A変換回路の出力電圧を下げることができるので、D/A変換回路の動作電源電圧を下げることができ、ドライバの動作電源電圧を低くすることができる。よって、液晶表示装置の低消費電力化および高信頼性が実現できる。
【0233】
よって、このような低電圧駆動の無しきい値反強誘電性混合液晶を用いることは、比較的LDD領域(低濃度不純物領域)の幅が小さなTFT(例えば0nm〜500nmまたは0nm〜200nm)を用いる場合においても有効である。
【0234】
また、一般に、無しきい値反強誘電性混合液晶は自発分極が大きく、液晶自体の誘電率が高い。このため、無しきい値反強誘電性混合液晶を液晶表示装置に用いる場合には、画素に比較的大きな保持容量が必要となってくる。よって、自発分極が小さな無しきい値反強誘電性混合液晶を用いるのが好ましい。また、液晶表示装置の駆動方法を線順次駆動とすることにより、画素への階調電圧の書き込み期間(ピクセルフィードピリオド)を長くし、保持容量が小くてもそれを補うようにしてもよい。
【0235】
なお、このような無しきい値反強誘電性混合液晶を用いることによって低電圧駆動が実現されるので、液晶表示装置の低消費電力が実現される。
【0236】
なお、図23に示すような電気光学特性を有する液晶であれば、いかなるものも本明細書に記載の液晶表示装置の表示媒体として用いることができる。
【0237】
次に、以上のようにして作製したAM−LCDの外観を図22に示す。図22に示すようにアクティブマトリクス基板と対向基板とが対向し、これらの基板間に液晶が挟まれている。アクティブマトリクス基板は基板630上に形成された画素マトリクス回路631、走査線駆動回路632、信号線駆動回路633を有する。
【0238】
走査線駆動回路632、信号線駆動回路633はそれぞれ走査線641、信号線642によって画素マトリクス回路631に接続されている。これら駆動回路632、633はCMOS回路で主に構成されている。
【0239】
画素マトリクス回路631の行ごとに走査線641が形成され、列ごとに信号線642が形成されている。走査線641、信号線642の交差部近傍には、画素マトリクス回路のTFT640が形成されている。画素マトリクス回路のTFT640のゲート電極は走査線641に接続され、ソースは信号線642に接続されている。さらに、ドレインには画素電極643、保持容量644が接続されている。
【0240】
対向基板650は基板全面にITO膜等の透明導電膜が形成されている。透明導電膜は画素マトリクス回路631の画素電極643に対する対向電極であり、画素電極、対向電極間に形成された電界によって液晶材料が駆動される。対向基板650には必要に応じて配向膜や、ブラックマスクや、カラーフィルターが形成されている。
【0241】
アクティブマトリクス基板側の基板にはFPC634を取り付ける面を利用してICチップ635、636が取り付けられている。これらのICチップ635、636はビデオ信号の処理回路、タイミングパルス発生回路、γ補正回路、メモリ回路、演算回路などの回路をシリコン基板上に形成して構成される。
【0242】
さらに、本実施例では液晶表示装置を例に挙げて説明しているが、アクティブマトリクス型の表示装置であればEL(エレクトロルミネッセンス)表示装置やEC(エレクトロクロミックス)表示装置に本願発明を適用することも可能である。
【0243】
〔実施例10〕
本実施例では、本願発明を用いてEL(エレクトロルミネッセンス)表示装置を作製した例について説明する。なお、図30(A)は本願発明のEL表示装置の上面図であり、図30(B)はその断面図である。
【0244】
図30(A)において、3001は基板、3002は画素部、3003はソース側駆動回路、3004はゲート側駆動回路であり、それぞれの駆動回路は配線3005を経てFPC(フレキシブルプリントサーキット)3006に至り、外部機器へと接続される。
【0245】
このとき、画素部3002、ソース側駆動回路3003及びゲート側駆動回路3004を囲むようにして第1シール材3101、カバー材3102、充填材3103及び第2シール材3104が設けられている。
【0246】
また、図30(B)は図30(A)をA−A’で切断した断面図に相当し、基板3001の上にソース側駆動回路3003に含まれる駆動TFT(但し、ここではnチャネル型TFTとpチャネル型TFTを図示している。)3201及び画素部3002に含まれる画素TFT(但し、ここではEL素子への電流を制御するTFTを図示している。)3202が形成されている。
【0247】
駆動TFT3201及び画素TFT3202の上には樹脂材料でなる層間絶縁膜(平坦化膜)3301が形成され、その上に画素TFT3202のドレインと電気的に接続する画素電極(陰極)3302が形成される。画素電極3302としては遮光性を有する導電膜(代表的にはアルミニウム、銅もしくは銀を主成分とする導電膜またはそれらと他の導電膜との積層膜)を用いることができる。本実施例ではアルミニウム合金を画素電極として用いる。
【0248】
そして、画素電極3302の上には絶縁膜3303が形成され、絶縁膜3303は画素電極3302の上に開口部が形成されている。この開口部において、画素電極3302の上にはEL(エレクトロルミネッセンス)層3304が形成される。EL層3304は公知の有機EL材料または無機EL材料を用いることができる。また、有機EL材料には低分子系(モノマー系)材料と高分子系(ポリマー系)材料があるがどちらを用いても良い。
【0249】
EL層3304の形成方法は公知の技術を用いれば良い。また、EL層の構造は正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層または電子注入層を自由に組み合わせて積層構造または単層構造とすれば良い。
【0250】
EL層3304の上には透明導電膜からなる陽極3305が形成される。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物または酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物を用いることができる。また、陽極3305とEL層3304の界面に存在する水分や酸素は極力排除しておくことが望ましい。従って、真空中で両者を連続成膜するか、EL層3304を窒素または希ガス雰囲気で形成し、酸素や水分に触れさせないまま陽極3305を形成するといった工夫が必要である。本実施例ではマルチチャンバー方式(クラスターツール方式)の成膜装置を用いることで上述のような成膜を可能とする。
【0251】
そして陽極3305は3306で示される領域において配線3005に電気的に接続される。配線3005は陽極3305に所定の電圧を与えるための配線であり、導電性材料3307を介してFPC3006に電気的に接続される。
【0252】
以上のようにして、画素電極(陰極)3302、EL層3304及び陽極3305からなるEL素子が形成される。このEL素子は、第1シール材3101及び第1シール材3101によって基板3001に貼り合わされたカバー材3102で囲まれ、充填材3103により封入されている。
【0253】
カバー材3102としては、ガラス板、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、マイラーフィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムを用いることができる。本実施例の場合、EL素子からの光の放射方向がカバー材3102の方へ向かうため透光性材料を用いる。
【0254】
但し、EL素子からの光の放射方向がカバー材とは反対側に向かう場合には透光性材料を用いる必要はなく、金属板(代表的にはステンレス板)、セラミックス板、またはアルミニウムホイルをPVFフィルムやマイラーフィルムで挟んだ構造のシートを用いることができる。
【0255】
また、充填材3103としては紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。この充填材3103の内部に吸湿性物質(好ましくは酸化バリウム)を設けておくとEL素子の劣化を抑制できる。なお、本実施例ではEL素子からの光が充填材3103を通過できるように、透明な材料を用いる。
【0256】
また、充填材3103の中にスペーサを含有させてもよい。このとき、スペーサを酸化バリウムで形成すればスペーサ自体に吸湿性をもたせることが可能である。また、スペーサを設けた場合、スペーサからの圧力を緩和するバッファ層として陽極3305上に樹脂膜を設けることも有効である。
【0257】
また、配線3005は導電性材料3307を介してFPC3006に電気的に接続される。配線3005は画素部3002、ソース側駆動回路3003及びゲート側駆動回路3004に送られる信号をFPC3006に伝え、FPC3006により外部機器と電気的に接続される。
【0258】
また、本実施例では第1シール材3101の露呈部及びFPC3006の一部を覆うように第2シール材3104を設け、EL素子を徹底的に外気から遮断する構造となっている。こうして図30(B)の断面構造を有するEL表示装置となる。
【0259】
〔実施例11〕
本実施例では、実施例10に示したEL表示装置の画素部に用いることができる画素構造の例を図31(A)〜(C)に示す。なお、本実施例において、3401はスイッチング用TFT3402のソース配線、3403はスイッチング用TFT3402のゲート配線、3404は電流制御用TFT、3405はコンデンサ、3406、3408は電流供給線、3407はEL素子とする。
【0260】
図31(A)は、二つの画素間で電流供給線3406を共通とした場合の例である。即ち、二つの画素が電流供給線3406を中心に線対称となるように形成されている点に特徴がある。この場合、電源供給線の本数を減らすことができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0261】
また、図31(B)は、電流供給線3408をゲート配線3403と平行に設けた場合の例である。なお、図31(B)では電流供給線3408とゲート配線3403とが重ならないように設けた構造となっているが、両者が異なる層に形成される配線であれば、絶縁膜を介して重なるように設けることもできる。この場合、電源供給線3408とゲート配線3403とで専有面積を共有させることができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0262】
また、図31(C)は、図31(B)の構造と同様に電流供給線3408をゲート配線3403と平行に設け、さらに、二つの画素を電流供給線3408を中心に線対称となるように形成する点に特徴がある。また、電流供給線3408をゲート配線3403a及び3403bのいずれか一方と重なるように設けることも有効である。この場合、電源供給線の本数を減らすことができるため、画素部をさらに高精細化することができる。
【0263】
〔実施例12〕 本願発明を実施して作製されたCMOS回路や画素マトリクス回路は様々な電気光学装置(アクティブマトリクス型液晶ディスプレイ、アクティブマトリクス型ELディスプレイ、アクティブマトリクス型ECディスプレイ)に用いることができる。即ち、それら電気光学装置を表示媒体として組み込んだ電子機器全ての作製工程に本願発明を実施できる。
【0264】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター(リア型またはフロント型)、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図32、図33及び図34に示す。
【0265】
図32(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、表示部2003、キーボード2004等を含む。本発明を画像入力部2002、表示部2003やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0266】
図32(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。本発明を表示部2102やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0267】
図32(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示部2205等を含む。本発明は表示部2205やその他の信号制御回路に適用できる。
【0268】
図32(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2301、表示部2302、アーム部2303等を含む。本発明は表示部2302やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0269】
図32(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digtial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。
本発明は表示部2402やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0270】
図32(F)はデジタルカメラであり、本体2501、表示部2502、接眼部2503、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。本願発明を表示部2502やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0271】
図33(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置2601、スクリーン2602等を含む。本発明は投射装置2601の一部を構成する液晶表示装置2808やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0272】
図33(B)はリア型プロジェクターであり、本体2701、投射装置2702、ミラー2703、スクリーン2704等を含む。本発明は投射装置2702の一部を構成する液晶表示装置2808やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0273】
なお、図33(C)は、図33(A)及び図33(B)中における投射装置2601、2702の構造の一例を示した図である。投射装置2601、2702は、光源光学系2801、ミラー2802、2804〜2806、ダイクロイックミラー2803、プリズム2807、液晶表示装置2808、位相差板2809、投射光学系2810で構成される。投射光学系2810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図33(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0274】
また、図33(D)は、図33(C)中における光源光学系2801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系2801は、リフレクター2811、光源2812、レンズアレイ2813、2814、偏光変換素子2815、集光レンズ2816で構成される。なお、図33(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。
【0275】
ただし、図33に示したプロジェクターにおいては、透過型の電気光学装置を用いた場合を示しており、反射型の電気光学装置及びEL表示装置での適用例は図示していない。
【0276】
図34(A)は携帯電話であり、本体2901、音声出力部2902、音声入力部2903、表示部2904、操作スイッチ2905、アンテナ2906等を含む。本願発明を音声出力部2902、音声入力部2903、表示部2904やその他の信号制御回路に適用することができる。
【0277】
図34(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体3001、表示部3002、3003、記憶媒体3004、操作スイッチ3005、アンテナ3006等を含む。本発明は表示部3002、3003やその他の信号回路に適用することができる。
【0278】
図34(C)はディスプレイであり、本体3101、支持台3102、表示部3103等を含む。本発明は表示部3103に適用することができる。本発明のディスプレイは特に大画面化した場合において有利であり、対角10インチ以上(特に30インチ以上)のディスプレイには有利である。
【0279】
【発明の効果】
本発明により、コヒーレントな光を線状ビームに加工するレーザー照射装置において、線状ビームの照射面での光強度が分散され、レーザービームによるレーザアニールの効果の面内均質性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のビームホモジナイザーの構成図。
【図2】 本発明のビームホモジナイザーの構成図。
【図3】 本発明のシリンドリカルレンズ群の構成図。
【図4】 本発明のシリンドリカルレンズ群の構成図。
【図5】 実施例1のレーザー照射システムを示す図。
【図6】 実施例1のレーザーアニール装置の上面図。
【図7】 本発明のシリンドリカルレンズ群の変形例。
【図8】 本発明のシリンドリカルレンズ群の変形例。
【図9】 本発明のマルチフェイズレンズを用いたビームホモジナイザーの構成図。
【図10】本発明の平面波をつくる光学系配置と球面波をつくる光学系配置の違いを示す図。
【図11】実施例3の干渉じまのピッチdを計算で求めるために必要なパラメータを示す図。
【図12】実施例3の干渉じまのピッチdを計算で求めるために必要なパラメータを示す図。
【図13】実施例4の線状レーザーを形成する光学系。
【図14】実施例4の線状レーザの走査方法を示す図。
【図15】実施例5の多面取り基板に対するレーザ照射の様子を示す図。
【図16】実施例6の多面取り基板に対するレーザ照射の様子を示す図。
【図17】実施例7のAM−LCDの作製工程を示す図。
【図18】実施例7のAM−LCDの作製工程を示す図。
【図19】実施例7のAM−LCDの作製工程を示す図。
【図20】実施例7の画素マトリクス回路の上面図および回路配置を示す図。
【図21】実施例7のCMOS回路の上面図を示す図。
【図22】実施例9のAM−LCDの外観を示す図。
【図23】実施例9のV字型の電気光学応答を示す無しきい値反強誘電性混合液晶の印加電圧に対する光透過率の特性図。
【図24】 従来の線状ビームを照射した珪素膜の模式図。
【図25】 ビームホモジナイザーの構成図。
【図26】 線状ビームの強度分布。
【図27】 線状ビームの長手方向の強度分布のシュミレーション結果。
【図28】 線状ビームの長手方向の強度分布のシュミレーション結果。
【図29】 線状ビームの長手方向の強度分布のシュミレーション結果。
【図30】 実施例10のEL表示装置の上面図(A)及び断面図(B)。
【図31】 実施例11のEL表示装置の画素部の等価回路図。
【図32】 実施例12の電子機器の説明図。
【図33】 実施例12のプロジェクターの説明図。
【図34】 実施例12の電子機器の説明図。
【符号の説明】
201 レーザー装置
202 シリンドリカルレンズ群
203 シリンドリカルレンズ群
204 シリンドリカルレンズ
205 スリット
206 シリンドリカルレンズ群
207 ミラー
208 シリンドリカルレンズ
210 線状レーザービーム

Claims (3)

  1. レーザービームを発生するレーザー発生装置と、
    ビームホモジナイザーと、
    一方向に移動可能なステージと、を有するレーザー照射装置であって、
    前記ビームホモジナイザーは、
    (2n+1)個の第1のシリンドリカルレンズでなる第1のシリンドリカルレンズ群と、
    N(n−1)個の第2のシリンドリカルレンズでなる第2のシリンドリカルレンズ群と、
    第3のシリンドリカルレンズと、
    (n’−1)個の第4のシリンドリカルレンズでなる第3のシリンドリカルレンズ群と、が光路上に前記レーザー装置の出射側から順次に配置され、
    前記第3のシリンドリカルレンズ群において、
    前記(n’−1)個の第4のシリンドリカルレンズそれぞれの主点はd/(n’−1)の間隔でずれており、
    前記(n’−1)個の第4のシリンドリカルレンズの主平面は、同一の平面を形成し、
    前記(n’−1)個の第4のシリンドリカルレンズそれぞれの主点を前記平面に垂直な平面に正射影した像は、同一直線上にd/(n’−1)の間隔で並ぶ(n’−1)個の点であり、
    前記(n’−1)個の第4のシリンドリカルレンズを通過したレーザービームはそれぞれ位相がずれており、
    前記位相がずれたレーザービームを合成することにより、被照射面における干渉じまの強度を均一にし、
    λを前記レーザービームの波長とし、fを前記第3のシリンドリカルレンズ群を構成する1つのシリンドリカルレンズの焦点距離とし、Lを前記第1のシリンドリカルレンズ群を構成する1つのシリンドリカルレンズの幅とした場合、前記dはd=λf/Lで示され、
    前記Nは自然数であり、前記nは3以上の整数であり、前記n’は3≦n’≦nを満たす整数であることを特徴とするレーザー照射装置。
  2. レーザービームを発生するレーザー発生装置と、
    ビームホモジナイザーと、
    一方向に移動可能なステージと、を有するレーザー照射装置であって、
    前記ビームホモジナイザーは、
    (2n)個の第1のシリンドリカルレンズでなる第1のシリンドリカルレンズ群と、
    N(n−1)個の第2のシリンドリカルレンズでなる第2のシリンドリカルレンズ群と、
    第3のシリンドリカルレンズと、
    (n’−1)個の第4のシリンドリカルレンズでなる第3のシリンドリカルレンズ群と、
    が光路上に前記レーザー装置の出射側から順次に配置され、
    前記第3のシリンドリカルレンズ群において、
    前記(n’−1)個の第4のシリンドリカルレンズそれぞれの主点はd/(n’−1)の間隔でずれており、
    前記(n’−1)個の第4のシリンドリカルレンズの主平面は、同一の平面を形成し、
    前記(n’−1)個の第4のシリンドリカルレンズそれぞれの主点を前記平面に垂直な平面に正射影した像は、同一直線上にd/(n’−1)の間隔で並ぶ(n’−1)個の点であり、
    前記(n’−1)個の第4のシリンドリカルレンズを通過したレーザービームはそれぞれ位相がずれており、
    前記位相がずれたレーザービームを合成することにより、被照射面における干渉じまの強度を均一にし、
    λを前記レーザービームの波長とし、fを前記第3のシリンドリカルレンズ群を構成する1つのシリンドリカルレンズの焦点距離とし、Lを前記第1のシリンドリカルレンズ群を構成する1つのシリンドリカルレンズの幅とした場合、前記dはd=λf/Lで示され、
    前記Nは自然数であり、前記nは3以上の整数であり、前記n’は3≦n’≦nを満たす整数であることを特徴とするレーザー照射装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記レーザー発生装置はNd:YAGレーザービームまたはNd:YVO レーザービームを発生することを特徴とするレーザー照射装置。
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