JP4585711B2 - アンテナ、アンテナの配列方法、アンテナ装置、アレイアンテナ装置および無線装置 - Google Patents

アンテナ、アンテナの配列方法、アンテナ装置、アレイアンテナ装置および無線装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として移動体通信で使用されるアンテナ、アンテナの配列方法、アンテナ装置、アレイアンテナ装置および無線装置に関し、特に、基地局用アンテナに最適なアンテナ、アンテナの配列方法、アンテナ装置、アレイアンテナ装置および無線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術を図36、図37に示す。
【0003】
まず、図36に示す第1の従来例を説明する。図36はアンテナ垂直面の指向性を変化させる技術の一例で、図37(A)(B)(C)はモノポールアンテナの放射指向性の一例を示したものである。
【0004】
図36において211は接地導体、212は同軸給電部、213はアンテナ素子である。アンテナ素子213は接地導体211上の同軸給電部212と接続されている。一例としてモノポールアンテナが軸対称構造、つまり接地導体211が円盤状で、同軸給電部212が接地導体211の表面の中心に位置し、アンテナ素子213が接地導体211に垂直になるように同軸給電部212に接続されている場合を示す。このとき、アンテナの放射電波はアンテナ水平面に無指向となる。
【0005】
モノポールアンテナにおいて、垂直面の電波の指向性を変化させる方法として接地導体211の大きさを変化させる方法がある。モノポールアンテナにおいて接地導体211が有限の大きさを有する場合、接地導体211の端部から電波の回折が起こる。この回折の大きさは、接地導体211の大きさに依存し、接地導体211が大きくなればなるほど回折は小さくなり、また、小さくなれば小さくなるほど回折は大きくなる。モノポールアンテナの全放射電波はアンテナ素子213からの放射電波と接地導体211端部からの回折波の和である。接地導体211に対してアンテナ素子213のある方をアンテナ上側、アンテナ素子213のない方をアンテナ下側とすると、接地導体211が大きければ大きいほど、アンテナ下側への電波の回り込みは少なくアンテナ上側への放射が大きくなり、かつ、最大放射方向もアンテナ水平面に近づく。また、接地導体211が小さくなれば、アンテナ下側への電波の回り込みが大きくなり、最大放射方向もアンテナ真上方向に近づいていくが、接地導体211の直径が1/2波長以下になると、放射電波はアンテナ上側と下側で等しくなり、アンテナ垂直面で8の字指向性になる。このとき最大放射方向はアンテナ水平面である。図37に一例として接地導体211の直径が約1/2波長の時〔図37(A)〕、約0.8波長の時〔図37(B)〕、約3波長の時〔図37(C)〕の放射指向性を示す。なお、図37(A)(B)(C)のX、Y方向は、図37(D)に示すように、接地導体211の面と平行な方向を示し、Z方向は接地導体211の垂線方向を示している。放射指向性の目盛りは1間隔は10dBであり、単位はダイポールアンテナの利得を基準にしたdBdである。
【0006】
このように、モノポールアンテナは接地導体211の大きさを変化させることにより、垂直面の電波の指向性を変化させることが可能なアンテナとなる。
【0007】
次に図38に示す第2の従来例を説明する。図38はアンテナの指向性を変化させる技術の一例を示し、図38はアンテナ素子を2つ備えたモノポールアンテナアレーを示した図であり、図39は放射指向性の一例を示す。
【0008】
図38において221は接地導体、222、223は同軸給電部、224、225はアンテナ素子、226、227は給電線路、228は電力分配・合成回路である。アンテナ素子224、225はそれぞれ接地導体221上の同軸給電部222、223に接続されている。また、同軸給電部222、223はそれぞれ給電線路226、227を介して電力分配・合成回路228に接続されている。接地導体221はX−Y平面上に設けられている。
【0009】
一例として、アンテナ素子224、225が2つで、X軸方向に放射電波が強くなる場合を示す。
【0010】
アンテナ素子224、225は原点に対称にX軸上に1/2波長離して配置され、給電される電流の位相差は180度である。このとき、アレーファクタは+X、−X方向に共相となり強め合う。特にアンテナの構造がZ−X面、Z−Y面に対して対称の場合、放射電波はZ−X面、Z−Y面に対して対称になる。放射される電波は、2つのアンテナ素子224、225からの放射電波の位相が揃う+X方向と−X方向に強くなる。更に、接地導体221の大きさやアンテナ素子間距離を変化させることにより、アンテナ垂直面の電波の指向性を変化させることが可能になる。
【0011】
図39に一例として、アンテナ素子が1/4波長金属線で構成され、各アンテナ素子に給電される電力比が1対1であり、接地導体が矩形でX軸に平行な辺の長さが2.75波長でY軸に平行な辺の長さが2.25波長の時の放射指向性を示す。なお、図39のX,Y方向は、接地導体221の面と平行な方向を示し、Z方向は接地導体221の垂線方向を示している。放射指向性の目盛りは1間隔は10dBであり、単位はダイポールアンテナの利得を基準にしたdBdである。
【0012】
このように、アンテナ素子をアレー状に配置し、適当な位相差、アンテナ素子間隔、分配する電力比、位相差等を与えることにより放射電波の指向性を変化さることが可能なアンテナとなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1の従来例には、次のような問題があった。すなわち、アンテナ水平方向に沿った放射を強めるためには、平面的に非常に大きな接地導体211が必要となり、モノポールアンテナの小型化には適していない。モノポールアンテナの室内における最適設置場所の一つである天井の領域においてアンテナ設置場所として容認される領域はそう広いものではない。したがって、平面的な小型化が困難で、大型にならざるを得ない第1の従来例の構造は不適当といわざるを得ない。
【0014】
また、第2の従来例においても、アンテナ水平方向に指向性を持たせ放射電波を強めることは可能であるが、それには、給電線路226、227と電力分配・合成回路228とが必要になる。この場合、回路の構成上、本質的に給電線路226、227と電力分配・合成回路228とに損失が生じるのは避けられない。
【0015】
また、一方のアンテナ素子224(225)から放射された電波をもう一方のアンテナ素子225(224)が受信してしまうアンテナ素子間のアイソレーションの悪さによる損失が生じる。これらの損失により放射効率が劣化する。特に後者の損失は、アンテナアレー全体として反射損失となり、反射された信号がアンテナに接続されている各装置に逆流し、その結果、各装置の特性にも悪影響を与える恐れがある。
【0016】
そのため、アンテナの特性を良好にするために、前者は給電線路や電力分配・合成回路228における損失を軽減させる必要があり、後者はアンテナ素子間のアイソレーションを良好にする必要がある。前者の場合は、給電線路226、227及び電力分配・合成回路228各々に損失の少ないものを選べばよいが、後者の場合は、アンテナ素子間の距離を大きくしなければならない。そのため、第2の従来例に示したアンテナアレーはアンテナの小型化には不向きである。
【0017】
今回一例として、アンテナ素子が2個の場合を示したが、3個以上の場合は更に大きくなることが考えられ、特に大規模なアンテナアレーはアンテナの小型化には不向きである。また、モノポールアンテナの室内における最適設置場所の一つである天井の領域においてアンテナ設置場所として容認される領域はそう広いものではない。
【0018】
したがって、平面的な小型化が困難で、大型にならざるを得ない第2の従来例の構造も不適当といわざるを得ない。
【0019】
アンテナを天井に設置する場合、電波放射を効率よく行うためには、アンテナ素子が電波を放射する空間に面するように、アンテナ素子を逆さに吊り下げ床に向けて設置することが望ましい。
【0020】
更に、アンテナと全ての放射空間の間に電波の伝搬を阻害するものがないこと、アンテナ素子から全ての放射対象の空間が見渡せることが望ましい。さらには、モノポールアンテナには、景観上、なるべく目立たなく設置したいという要望があるが、図36〜図39に示す従来例ではアンテナ素子が天井からの突起物となり、景観上好ましくなく、小型が困難な第1および、第2の従来例の構造はこのような要望に応えることもできなかった。
【0021】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、アンテナの大きさが小型で、特にアンテナ上側が小型にしたうえで、電波の指向性を変化させることが可能なアンテナ、それを用いたアンテナ装置、アレイアンテナ装置、アンテナの配列方法および無線装置を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の本発明(請求項1に対応)は、導電性の底面部材と、
導電性の側面部材と、
前記底面部材と前記側面部材とによって囲まれた空間内に配置された導電性部材と
前記空間の全部または一部を覆う、導電性の天井部材とを備え、
前記導電性部材は、送信および/または受信のための信号線と接続されているアンテナである。
【0023】
また、第2の本発明(請求項2に対応)は、前記底面部材は接地導体として接地されている第1の本発明のアンテナである。
【0024】
また、第3の本発明(請求項3に対応)は、前記底面部材は、その表面上に給電点を有する第1の本発明のアンテナである。
【0025】
また、第4の本発明(請求項4に対応)は、導電性の底面部材と、
導電性の側面部材と、
前記底面部材と前記側面部材とによって囲まれた空間内に配置された導電性部材とを備え、
前記導電性部材は、送信および/または受信のための信号線と接続されており、
前記底面部材は、その表面上に給電点を有し、
前記導電性部材と前記底面部材とが、前記信号線または前記給電点以外の場所で接続しているアンテナである。
【0026】
また、第5の本発明(請求項5に対応)は、導電性の底面部材と、
導電性の側面部材と、
前記底面部材と前記側面部材とによって囲まれた空間内に配置された導電性部材とを備え、
前記導電性部材は、送信および/または受信のための信号線と接続されており、前記導電性部材と前記側面部材とが接続しているアンテナである。
【0028】
また、第の本発明(請求項に対応)は、前記導電性部材と前記天井部材とが電気的および/または機械的に接続している第1の本発明のアンテナである。
【0029】
また、第の本発明(請求項に対応)は、前記天井部材と前記側面部材とが電気的に接続している第1の本発明のアンテナである。
【0030】
また、第の本発明(請求項に対応)は、前記天井部材は、その縁部が曲線形状を有することを特徴とする第1の本発明のアンテナである。
【0031】
また、第の本発明(請求項に対応)は、前記底面部材および/または前記側面部材は開口部を有する第1の本発明のアンテナである。
【0032】
また、第10の本発明(請求項10に対応)は、前記天井部材は開口部を有する第1の本発明のアンテナである。
【0033】
また、第11の本発明(請求項11に対応)は、前記開口部はその大きさを調整する手段を有する第9または第10の本発明のアンテナである。
【0034】
また、第12の本発明(請求項12に対応)は、前記導電性部材の前記底面部材への射影を原点とし、前記底面部材がX−Y平面に配置された場合、前記底面部材と前記側面部材とが、Z−Y平面に対して対称な構成を有し、前記開口部が、Z−Y平面に対して対称に配置される第10の本発明のアンテナである。
【0035】
また、第13の本発明(請求項13に対応)は、前記底面部材と側面部材とが、Z−X平面に対して対称な構成を有し、前記開口部が、Z−X平面に対して対称に配置される第12の本発明のアンテナである。
【0036】
また、第14の本発明(請求項14に対応)は、前記空間内に設けられた、空気より誘電率の高い誘電体を備えた第1の本発明のアンテナである。
【0037】
また、第15の本発明(請求項15に対応)は、前記誘電体は、少なくとも前記天井導体によって覆われなかった前記空間の一部を覆うように設けられる第14の本発明のアンテナである。
【0038】
また、第16の本発明(請求項16に対応)は、前記誘電体は前記空間内をすべて充填する第14の本発明のアンテナである。
【0039】
また、第17の本発明(請求項17に対応)は、前記誘電体はバイアホールを有し、
前記側面部材は、前記バイアホールから構成される第16の本発明のアンテナである。
【0040】
また、第18の本発明(請求項18に対応)は、前記導電性部材から所定の距離だけ離して配置された少なくとも一つの整合素子をさらに備え、
前記整合素子と前記底面部材とは電気的に接続される第1の本発明のアンテナである。
【0041】
また、第19の本発明(請求項19に対応)は、前記整合素子のうちの少なくとも一つを、前記導電性部材に電気的に接続する第18の本発明のアンテナである。
【0042】
また、第20の本発明(請求項20に対応)は、前記整合素子のうちの少なくとも一つを、前記天井部材および/または前記側面部材に電気的に接続する第18の本発明のアンテナである。
【0043】
また、第21の本発明(請求項21に対応)は、第1の本発明のアンテナの配列方法であって、
水平面指向性が極小となる方向を一致させて、複数の前記アンテナを整列配置するアンテナの配列方法である。
【0044】
また、第22の本発明(請求項22に対応)は、第1の本発明のアンテナと、
前記空間内に配置されるとともに、前記信号線と接続された、送信および/または受信のための回路の全部または一部とを備えたアンテナ装置である。
【0045】
また、第23の本発明(請求項23に対応)は、前記回路の全部または一部を覆う遮蔽部材をさらに備え、
前記遮蔽部材は、前記導電性部材と電気的に接触しない第22の本発明のアンテナ装置である。
【0046】
また、第24の本発明(請求項24に対応)は、前記遮蔽部材は、前記底面部材および/または前記側面部材の一部の凹みとして形成されており、
前記回路の全部または一部は、前記凹部内に配置される第23の本発明のアンテナ装置である。
【0047】
また、第25の本発明(請求項25に対応)は、前記凹部を覆って前記回路の全部または一部を収納する蓋部材をさらに備え、
前記蓋部材は、前記底面部材および/または前記側面部材と電気的に接続する第24の本発明のアンテナ装置である。
【0048】
また、第26の本発明(請求項26に対応)は、前記回路が受動回路により構成されている第22の本発明のアンテナ装置である。
【0049】
また、第27の本発明(請求項27に対応)は、前記回路に能動素子が含まれている第22の本発明のアンテナ装置である。
【0050】
また、第28の本発明(請求項28に対応)は、前記回路にマイクロ波回路が含まれている第22の本発明のアンテナ装置である。
【0051】
また、第29の本発明(請求項29に対応)は、前記回路に光受動素子が含まれている第22の本発明のアンテナ装置である。
【0052】
また、第30の本発明(請求項30に対応)は、前記回路に光能動素子が含まれている第22の本発明のアンテナ装置である。
【0053】
また、第31の本発明(請求項31に対応)は、前記回路はICを有する第22の本発明のアンテナ装置である。
【0054】
また、第32の本発明(請求項32に対応)は、前記回路は、前記アンテナ装置を天井部材の側から、前記天井部材に垂直に眺めた場合、前記天井部材に隠れて見えなくなる大きさを有する第22の本発明のアンテナ装置である。
【0055】
また、第33の本発明(請求項33に対応)は、第22の本発明のアンテナ装置を複数配列したアレイアンテナ装置であって、
複数の前記アンテナ装置内の前記回路は、それぞれ同一の信号の入出力を行うアレイアンテナ装置である。
【0056】
また、第34の本発明(請求項34に対応)は、前記回路は、前記アンテナから脱着可能なカートリッジ形態を有する第22の本発明のアンテナ装置である。
【0057】
また、第35の本発明(請求項35に対応)は、前記回路は、互いに異なる無線方式を有する複数のサブ回路と、
前記サブ回路のいずれかと、前記アンテナとの接続を切り換える切換手段とを備えた第22の本発明のアンテナ装置である。
【0058】
また、第36の本発明(請求項36に対応)は、前記回路は、前記アンテナ装置を天井部材の側から、前記天井部材に垂直に眺めた場合、前記天井部材に隠れて見えなくなる位置に配置されている第22の本発明のアンテナ装置である。
【0059】
また、第37の本発明(請求項37に対応)は、前記回路は、前記送信および/または受信のための信号を増幅する増幅手段と、前記送信または前記受信信号の周波数を選択する周波数選択手段とを備えた第22の本発明のアンテナ装置である。
【0060】
また、第38の本発明(請求項38に対応)は、第22から第32、第34から第37のいずれかの本発明のアンテナ装置、または第33の本発明のアレイアンテナ装置と、
前記回路に設けられた電源回路とを備えた無線装置である。
【0061】
以上のような本発明は、その一例としてモノポールアンテナであって、接地導体と、前記接地導体の表面に位置する給電部と、前記給電部に接続されたアンテナ素子と、前記アンテナ素子を含む空間の周囲を前記アンテナ素子から離間して囲む側面導体とを有することを特徴とする。
【0062】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細について図面を参照して説明する。
【0063】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1におけるモノポールアンテナは、図1(A)、図1(B)で示される。図1(A)は、モノポールアンテナの概観斜視図、図1(B)は、その断面図である。図1(A)、図1(B)において、11は接地導体、12は本発明の給電点の1例である同軸給電部、13はアンテナ素子、14は側面導体、15は天井導体、16,17は開口である。なお、図1(A)において、同軸給電部12を原点として、X軸、Y軸およびZ軸を設定し、モノポールアンテナの各部の構成は、これら座標に基づき行う。これは以後の実施の形態において参照する図においても同様である。
【0064】
上記要素を有するこのモノポールアンテナは、次のように構成されている。すなわち、接地導体11はX−Y平面(図中X軸、Y軸がなす平面。以後の実施の形態も同様)上に配置されている。接地導体11と側面導体14と天井導体15とは互いに連結して電気的に接続し合うことでZ−Y平面(図中Z軸、Y軸がなす平面。以後の実施の形態も同様)、Z−X平面(図中Z軸、X軸がなす平面。以後の実施の形態も同様)に対してそれぞれ対称な直方体を構成している。
【0065】
天井導体15は、側面導体14により囲まれた接地導体11上の開口全面を覆う形状を有しておらず、X軸方向に沿った天井導体11の側端と側面導体14との間には、互いに同形状となった矩形状の一対の開口16,17が形成されている。開口16、17はZ−Y平面に対して対称に形成されている。同軸給電部12は原点上に配置されている。アンテナ素子13はZ軸の+軸(矢印の順方向)上に沿ってモノポールアンテナ内部に収納配置された導電線から構成されており、アンテナ素子13の一端は同軸給電部12に接続されている。これにより開口16,17はアンテナ素子13に対して対称な位置に配置されている。このとき、アンテナ素子13と接地導体11とは電気的に接続していない。
【0066】
次に動作を、図2を参照して説明する。
【0067】
アンテナ素子13から周波数f0の電波が放射される。放射された電波は、2個の開口16,17を通って外部空間に放射される。本実施の形態の場合、2個の開口16,17は電波放射源であるアンテナ素子13に対して対称な位置に配置されており、アンテナ素子13により開口16,17に励起される電界の向きは、図2(A)に示すように開口16と開口17とで逆向きとなる。開口16,17それぞれに励起される電界を磁流に置き換えて説明すると、図2(B)に示すように、2つの開口16,17の位置それぞれには、Y軸と平行で互いに向きが逆となった振幅の等しい線状磁流源が生じる。
【0068】
このモノポールアンテナにおける電波の放射は、この2つの磁流源からの電波の放射と考えることができる。つまり、このモノポールアンテナの電波の放射は、この2つの磁流源を並列配置してなるアンテナアレーによる混合放射と見ることができる。
【0069】
一般にアンテナアレーにおいて、放射電波の強められる方向はアンテナ素子に給電される電流の位相差とアンテナ素子間隔とにより決まるアレーファクタにより決定される。アンテナアレー全体としての放射電波は、このアレーファクタとアンテナ素子単体の放射パターンとをかけあわせたものになる。このアンテナ素子単体の放射パターンを上記した線状磁流源単体による放射パターンに置き換えてやれば、このアンテナの放射パターンは近似的に求まる。
【0070】
具体的には、上記の2つの磁流源から放射された電波は、磁流源がZ−Y平面に対して対称に配置されているので、Z−Y平面と平行な面上において等振幅で位相が互いに逆相になり相殺される。つまり、Z−Y平面と平行な方向には電波はほとんど放射されない。また、Z−X平面と平行な面では2つの磁流源から放射される電波の位相が揃う方向があり、その方向には電波が強められる。一例として磁流源間距離が自由空間で1/2波長である時は、X軸方向に位相が揃うので+X方向および−X方向に放射電波が強められる。
【0071】
つまり、このモノポールアンテナの構造により、1つのアンテナ素子でアンテナアレーの効果を引き出すことができ、モノポールアンテナの指向性を変化させることが可能になる。
【0072】
更に開口16,17のY方向の長さを長くすると磁流源が長くなり、その結果、X方向への放射が絞られ利得が大きくなる。つまり、開口16,17の長さにより利得を調整できる。
【0073】
また、一般に有限大の接地導体を有するモノポールアンテナは接地導体の端部で電波の回折がおこる。つまり、有限大の接地導体を有するモノポールアンテナによる放射電波は、アンテナ素子による放射電波と接地導体の端部における回折波との和となる。
【0074】
このことは本実施の形態のモノポールアンテナにおいても同様のことがいえる。天井導体15、側面導体14、接地導体11の全ての端部及び屈折箇所において回折が起こる。本実施の形態のように、天井導体15に開口16,17がある場合では、特に天井導体15の端部での回折波の影響が大きくなる。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態のモノポールアンテナでは、開口16、17の位置や個数、大きさに加え、天井導体15、側面導体14、接地導体11各々の大きさや形状により放射電波の指向性を変化させることが可能になる。
【0076】
次に実際に試作したアンテナを図3に示し、放射指向性を図4に、入力インピーダンス特性を図5に示す。
【0077】
ここでは、その一例として次のものを試作した。すなわち、自由空間波長(λ)を基準として、接地導体11を1辺が0.76波長の正方形形状とした。側面導体14の高さを0.19波長とした。天井導体15を、X軸と平行な辺の長さが0.50波長で、Y軸に平行な辺の長さが0.76波長である長方形形状とした。2つの開口16,17は、X軸と平行な辺の長さが0.13波長で、Y軸に平行な辺の長さが0.76波長である長方形形状とした。
【0078】
このように構成された開口16,17を天井導体15のX軸方向に沿った両端に、Z−Y平面に対して対称に配置した。同軸給電部12は原点に配置した。アンテナ素子13はZ軸に沿って配置した導体線から構成し、その素子長は0.18波長とした。以上のように構成されたモノポールアンテナは、Z−X平面、Z−Y平面に対して対称な構造となる。
【0079】
図4は上記構成を備えたモノポールアンテナの放射指向性を示したものである。放射指向性の目盛りは1間隔が10dBであり、単位はダイポールアンテナの利得を基準にしたdBdである。
【0080】
図4中のY−X平面およびZ−Y平面上での放射指向性に示すように、このモノポールアンテナはY方向への電波の放射が抑制され、またY−X平面およびZ−X平面上での放射指向性に示すように、X方向への電波の放射が強められている。図37(B)に示した従来のモノポールアンテナの特性と比較しても最大放射方向に約2.4dBだけ放射が強められているのがわかる。また、このアンテナはアンテナ下側(Z軸の−方向)には電波をほとんど放射せず、アンテナ上側(Z軸の+方向)に非常に強い電波を放射している。そして、特にアンテナ斜め横方向に強い電波を放射しており、この方向に指向性が強いのがわかる。
【0081】
つまり、アンテナ素子13の周囲を囲む側面導体14と接地導体11とにより、アンテナ下側、つまりZ軸の−方向への放射を小さくさせている。従ってこのモノポールアンテナは、廊下等の細長い室内空間に優れた特性を有している。
【0082】
また、このモノポールアンテナは、電波を放射させるための開口16,17がアンテナ天井部に配置され、放射源であるアンテナ素子13が接地導体11と側面導体14とにより囲まれているため、アンテナ側面方向及び下側のアンテナ配置環境による放射電波への影響が小さい。そのため、このモノポールアンテナを室内の天井等に設置する場合、アンテナの天井部を下向きにした状態でモノポールアンテナを室内の天井に埋め込み、天井導体15が放射空間である室内の天井と同一平面となるように設置することが可能となる。これにより天井等から突起物がなくなり、人目に付きにくい景観上好ましいアンテナとなる。
【0083】
図5は入力インピーダンスが50Ωで整合した時におけるこのモノポールアンテナのVSWR(電圧定在波比)特性を示している。図5に示すように、このモノポールアンテナは周波数f0で共振し、さらに、VSWRが2以下となった周波数帯域を比帯域で約10%有している。このように、このモノポールアンテナはインピーダンス特性的にも非常に良好な特性を示している。
【0084】
また、このモノポールアンテナでは、アンテナ素子13の高さ(以下、アンテナ素子高と称す、以後の実施の形態も同様)が0.18波長であり、通常の1/4波長モノポールアンテナ素子よりも低くなっている。これは次のような理由によっている。すなわち、天井導体15が高さ0.19波長のところにあってアンテナ素子13の先端と非常に近接して配置されている。そのため、両者の間に容量性の結合が生じ、アンテナ素子13の先端に容量性負荷を備えているのと等価となる。これによりトップローディング効果が生じ、その結果としてアンテナ素子高を低くすることができる。
【0085】
また、特にこのモノポールアンテナでは、アンテナ素子13と天井導体15との間の距離が非常に近接して配置されている。そのため、入力インピーダンスは、アンテナ素子13と天井導体15との間の距離の微小な増減によっても、その影響で不安定になる。そこで、アンテナ素子13と天井導体15との間に絶縁物、誘電体等からなるスペーサーを配置して両者の間隔を機械的に固定すれば、入力インピーダンス特性を安定化させることができる。
【0086】
このように、このモノポールアンテナの構成によれば、アンテナ素子13を低背化できる効果もあり、モノポールアンテナを室内の天井に埋め込む場合において、人目に付きにくい景観上好ましい形態となる。
【0087】
また、本実施の形態においては、モノポールアンテナがZ−Y平面、Z−X平面に対して対称な構造である場合を示したが、この場合、アンテナからの放射電波の指向性がZ−Y平面やZ−X平面に対して対称になる。
【0088】
以上のように、実施の形態1によれば、簡単な構造で、所望の指向性を持つ小型で優れたモノポールアンテナが実現できる。
【0089】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図6(A)(B)を参照しながら説明する。なお、図6(A)(B)では、図1と同一ないし同様の部分には同一の符号を付している。また、天井導体15は、Z−Y平面によって二分される天井導体15αと、X軸上に配置された二つの側面導体14とそれぞれ接続する二つの天井導体15βとを有している。
【0090】
実施の形態2のモノポールアンテナは、アンテナ素子13に特徴がある。すなわち、アンテナ素子13は、その一端が同軸給電部12に電気的に接続される一方、その他端が天井導体15αに機械的かつ電気的に接続されている。
【0091】
このモノポールアンテナの動作は、実施の形態1のモノポールアンテナの動作と同様である。
【0092】
実施の形態1のモノポールアンテナにおいては、天井導体15とアンテナ素子13の先端とが互いに非常に近接して配置される場合がある。この場合、天井導体15とアンテナ素子13との間の距離の変化により本アンテナの入力インピーダンスが変化してしまい、同軸給電部12との整合状態が悪くなる場合が起こり得る。そして、このように同軸給電部12との整合状態が悪くなると、アンテナ素子13に供給される電力が少なくなり、アンテナの放射効率が低減してしまう。
【0093】
本実施の形態では、天井導体15とアンテナ素子13との間の電気的かつ機械的関係を安定にするために、天井導体15αとアンテナ素子13とを半田等で接続して両者を機械的および電気的に接続している。このような構成にすることにより、アンテナの構造的な安定度が増すうえに、アンテナのインピーダンスが安定になり、その特性が改善される。
【0094】
実施の形態1で記したように絶縁体や誘電体からなるスペーサーを備えることも可能であるが、構造の簡単化による製作上の容易性を考えた場合、実施の形態2の構造の方が優れている場合がある。
【0095】
次に実際に試作したアンテナを図7に示し、その放射指向性を図8に、その入力インピーダンス特性を図9に示す。
【0096】
ここでは、一例として次のものを試作した。すなわち、自由空間波長を基準として接地導体11を、1辺が0.76波長の正方形形状とした。側面導体14の高さを0.08波長とした。天井導体15αを、1本の線状導体15Aで構成し、天井導体15βを、2個の長方形導体15Bで構成した。同軸給電部12を原点に配置した。線状導体15Aを長さが0.76波長として、長方形導体15Bと平行にかつY軸と平行に配置した。線状導体15Aの両端を側面導体14に電気的に接続した。長方形導体15BはいずれもX軸と平行な辺の長さを0.19波長としY軸と平行な辺の長さを0.76波長とした。このような形状の長方形導体15Bをアンテナ天井部のX方向両端に配置した。長方形導体15Bと線状導体15Aとの間に開口16,17を形成した。開口16、17は、X軸と平行な辺の長さが0.19波長で、Y軸に平行な辺の長さが0.76波長の長方形とした。アンテナ素子13の先端を線状導体15Aの長さ方向の中央部に電気的に接続した。アンテナ素子13はZ軸に沿って配置した導体線であり、その素子長は0.08波長とした。以上のように構成されたモノポールアンテナはZ−X平面、Z−Y平面に対して対称な構造となる。
【0097】
図8は上記構成を備えたモノポールアンテナの放射指向性を示したものである。放射指向性の目盛りは1間隔が10dBであり、単位はダイポールアンテナの利得を基準にしたdBdである。
【0098】
図4中のY−X平面およびZ−Y平面上での放射指向性に示すように、このモノポールアンテナはY方向への電波の放射が抑制され、またY−X平面およびZ−X平面上での放射指向性に示すように、X方向への電波の放射が強められている。図37(B)に示した従来のモノポールアンテナの特性と比較しても最大放射方向に約4dBだけ放射が強められている。また、図8より、本アンテナはアンテナ下側(Z軸の−方向)には電波をほとんど放射せず、アンテナ上側(Z軸の+方向)に非常に強い電波を放射している。そして、特にアンテナ斜め横方向に強い電波を放射しており、この方向に指向性が強い。つまり、アンテナ素子13の周囲を囲む側面導体14と接地導体11とにより、アンテナ下側、つまりZ軸の−方向への放射を小さくさせている。従ってこの例は、廊下等の細長い室内空間に優れた特性を示す。
【0099】
また、このモノポールアンテナは、実施の形態1と同様の理由により、アンテナ側面方向及び下側のアンテナ配置環境による放射電波への影響が小さいために、アンテナの天井部が放射空間に面するように室内の天井と揃えて設置することが可能となり、そのために天井等から突起物がなくなり、人目に付きにくい景観上好ましいアンテナとなる。
【0100】
図9は入力インピーダンスが50Ωで整合した時におけるこのモノポールアンテナのVSWR特性を示している。図9に示すように、このモノポールアンテナは周波数f0で共振し、さらに、VSWRが2以下となった周波数帯域を比帯域で約10%有している。このように、このモノポールアンテナはインピーダンス特性的にも非常に良好な特性を示している。
【0101】
また、アンテナ素子高が0.08波長であり、通常の1/4波長モノポールアンテナ素子よりも低くなっている。これは、実施の形態1と同様にトップローディング効果によるものである。
【0102】
このように本アンテナの構成によれば、アンテナ素子の低背化の効果もあり、アンテナを室内の天井に埋め込むことが不可能な場合、天井からの突起物より小さく人目に付きにくい景観上好ましいアンテナとなる。
【0103】
また、実施の形態2においても、実施の形態1と同様、このアンテナがZ−Y平面、Z−X平面に対して対称な構造とすることで、アンテナからの放射電波の指向性がZ−Y平面に平行な各面およびZ−X平面に平行な各面に対して対称になるという効果がある。
【0104】
以上のように、実施の形態2によれば、簡単な構造で、所望の指向性を持つ小型で優れたモノポールアンテナが実現できる。
【0105】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3について、図10(A)、図10(B)を参照しながら説明する。なお、図10(A)、図10(B)では、図1と同一ないし同様の部分には同一の符号を付している。
【0106】
実施の形態3におけるモノポールアンテナは、整合導体18,19を備えることに特徴がある。整合導体18,19は直線導体で構成されており、Z−Y平面においてZ軸と平行に配置されている。また、整合導体18、19は、Z軸の+方向上に延伸したアンテナ素子13に対して対称となるように配置されている。整合導体18、19の一端は、接地導体11に電気的に接続されており、他端は接地導体11,側面導体14、天井導体15により囲まれて形成された空間内に配置されている。
【0107】
このモノポールアンテナの動作は、実施の形態1のモノポールアンテナのそれと同様である。
【0108】
実施の形態1、2のモノポールアンテナにおいては、場合によっては同軸給電部12とモノポールアンテナとの間の整合状態が悪くなる場合が起こり得る。その場合、アンテナ素子13に供給される電力が少なくなり、アンテナの放射効率が悪化してしまう。
【0109】
これに対して、本実施の形態のモノポールアンテナは、アンテナ素子13の近傍に、所定の間隔をおいて整合導体18,19を設けることよりアンテナのインピーダンスを変化させて同軸給電部12との整合状態を良好にすることができる。整合状態を良好にすればアンテナの特性を改善することが可能となる。
【0110】
更には、開口16,17の形状に影響を与えないように整合導体18、19を配置することにより、整合導体18、19がある場合の放射指向性を、整合導体が全くない場合と同等にすることができる。これは、実施の形態1で述べたように、このモノポールアンテナの実質的な放射源が主に開口16、17に集中しているためである。つまり、このモノポールアンテナによれば、所望の放射指向性をほとんど変化させることなく、インピーダンスの整合状態を良好にすることが可能となる。
【0111】
また、実施の形態3においても、実施の形態1と同様、このアンテナがZ−Y平面、Z−X平面に対して対称な構造とすることで、アンテナからの放射電波の指向性がZ−Y平面およびZ−X平面に対して対称になる。
【0112】
以上のように、実施の形態3によれば、簡単な構造で、所望の指向性を持つ小型で優れたモノポールアンテナが実現できる。
【0113】
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4について、図11(A)、図11(B)を参照しながら説明する。なお、図11(A)、図11(B)では、図1と同一ないし同様の部分には同一の符号を付している。また16’、17’は開口である。
【0114】
実施の形態4のモノポールアンテナは、接地導体11、側面導体14、天井導体15で囲まれ形成されたアンテナ内部空間を、誘電体31で充填していることに特徴がある。したがって、開口16’17’の内部は中空ではなく、誘電体31が露出している。
【0115】
ここで、真空での誘電率ε0に対するその誘電体の誘電率の比(比誘電率)をεrとすると、誘電体内での波長は、真空中の波長に比べて(εr)-1/2倍となる。εrは1以上であるから、誘電体内では波長は短くなる。このため、誘電体31をアンテナ内に挿入することにより、アンテナをより小形、低背な構造にすることができる。
【0116】
次に実際に試作したアンテナを図12に示し、その放射指向性を図13に示し、その入力インピーダンスの50Ω整合時のVSWR(電圧定在波比)特性を図14に示す。
【0117】
ここでは、一例として、誘電体31の比誘電率εrを3.6とした。接地導体11を自由空間波長を基準として長辺が0.76波長、短辺が0.27波長の長方形形状とした。側面導体14の高さを0.0067波長とした。天井導体15を、X軸と平行な辺の長さが0.38波長でY軸に平行な辺の長さが0.27波長の長方形形状とした。開口16',17'は、誘電体31の表面に天井導体15として形成される導体膜を誘電体31から剥離することで形成した。開口16'、17'はともにX軸と平行な辺の長さが0.19波長でY軸に平行な辺の長さが0.27波長の長方形とした。このように構成した開口16'、17'を、天井導体15のX軸方向に沿った両端に、Z−Y平面に対して対称に配置した。アンテナ素子13は導体線であり、その素子長は0.0067波長とした。また、同軸給電部12を原点に配置し、アンテナ素子13の一端を天井導体15に電気的に接続した。以上のように構成したモノポールアンテナはZ−X平面、Z−Y平面に対して対称な構造となる。
【0118】
図13において、放射指向性の目盛りは1間隔が10dBであり、最大値で規格化してある。上記の各実施の形態と同様、このモノポールアンテナは、アンテナ下側(Z軸の−方向)には電波をほとんど放射せず、アンテナ上側(Z軸の+方向)に非常に強い電波を放射し、特にZ−X平面上での放射指向性に示すように、アンテナ斜め横方向に指向性が強いので廊下等の細長い室内空間に優れた特性を示す。
【0119】
また、図14に示すように、このモノポールアンテナは周波数f0で共振し、さらには、VSWRが2以下となった周波数帯域を比帯域で約2%有している。このように、このモノポールアンテナはインピーダンス特性の点でも、中心周波数において良好な特性を示している。
【0120】
また、このモノポールアンテナではアンテナ素子高を0.0067波長にすることでできる。これは2GHzの信号を送受信する場合においては、1mmに相当し、従来の1/4波長モノポールアンテナ素子よりも高さ寸法が十分に低くなっており、さらには上記した実施の形態1〜3の構造に比べても低くなっている。これはアンテナ内部に誘電体31を充填しているためである。
【0121】
アンテナを室内の天井や壁に設置する場合において、特にアンテナを天井や壁に埋め込むことが不可能な場合には、高さ寸法を小さくできるこのモノポールアンテナは天井や壁からの突起部分が極めて低く人目に付きにくい景観上好ましい形態となる。
【0122】
また、本実施の形態においては、Z−Y平面、Z−X平面に対して対称な構造を有するモノポールアンテナとしたが、この場合、アンテナからの放射電波の指向性がZ−Y平面に平行な各面およびZ−X平面に平行な各面に対して対称になるという効果がある。
【0123】
さらにこのモノポールアンテナは誘電体31をアンテナ内部に充填配置した構造になっているので、両面に銅箔などの導体箔が張られている誘電体基板を用いてこのモノポールアンテナを作製することができる。例えば、次のように作製することができる。すなわち、両面に銅箔などの導体箔が張られた厚さ0.0067波長の誘電体基板を、長辺0.76波長×短辺0.27波長の長方形に切断して誘電体31とする。そして、上記導体箔のうちの一方を例えばエッチングあるいは機械加工で削ることにより天井導体15と開口16'、17'を作成する。このとき削除しない誘電体31の他方の導体箔は接地導体11となる。さらに接地導体11の所定の位置(例えば、接地導体の平面方向の面上に適当な穴をあけ、同軸給電部12を作成する。そして、同軸給電部12から誘電体31の天井面に至る穴をエッチングやドリル加工により形成する。この穴に、同軸給電部12の内導体から延長した導体線の先端を挿入して天井導体15から基板外部に突き出させる。この導体線がアンテナ素子13となる。そして、アンテナ素子13と天井導体15とを半田等で電気的に接続する。さらに誘電体31の側面に接着剤等により銅箔を貼り付けることで側面導体14を形成する。
【0124】
以上の製造方法によれば、開口16'、17'をエッチング加工等のような工作精度の高い加工法により作製することによりアンテナの製作精度が向上し、さらには量産によるコストの削減が可能になる。
【0125】
また、誘電体31を有さない実施の形態1〜3のモノポールアンテナでは、開口16、17によりアンテナ内部空間が外部に連通しているため、アンテナの設置環境により、開口16、17からアンテナ内部に埃や湿気の多い空気が入り込み、アンテナの特性が劣化するおそれがある。このモノポールアンテナでは、誘電体31を設けることにより埃や湿気の多い空気が入り込むことによる特性の劣化を防いで、信頼性を長期にわたって維持することが可能になる。
【0126】
以上のように、実施の形態4によれば、簡単な構造で、所望の指向性を持つ小型で優れたモノポールアンテナが実現できる。
【0127】
なお、実施の形態4においては、図15に示すように、側面導体14の代わりに複数本の導体棒32によりアンテナ内部とアンテナ外部とを電気的に遮断することもできる。導体棒32は例えば次のように形成できる。すなわち、複数の誘電体31のマザー基板となる大型の誘電体基板に接地導体11と天井導体15となる導体パターンを形成する。そして、この誘電体基板に、各誘電体31の分割線に沿った穴を貫通形成する。穴は、互いに所定間隔だけ離して配置し、複数形成する。さらに形成した穴に導体棒32を挿入し接地導体11と導体棒32とを、また、天井導体15と導体棒32とをそれぞれ互いに電気的に接続する。導体棒32を形成したのち、誘電体基板を各誘電体31毎に分割する。導体棒32は、例えば、バイアホールから構成することができる。バイアホールは、上記穴にスルーホールエッチングを施したり、導電体を充填することで形成できる。
【0128】
図15の構成によれば、隣接する導体棒32の間隔が波長に比べて十分狭い場合、導体棒32は側面導体14と同様の効果を発揮する。導体棒32の構成と、前述のエッチング加工等による天井導体15の加工技術とをあわせれば、工作精度が良く量産性に優れたモノポールアンテナを実現できる。
【0129】
なお、実施の形態4においては、導体で囲まれたアンテナ内部が誘電体31によりすべて満たされている構造のモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものでなく、アンテナ内部の一部に誘電体31が存在する場合も実施可能である。例えば、片面に導体箔が張られた誘電体基板を用いてエッチングあるいは機械加工で導体箔を削ることにより、
・天井導体15と開口16'、17'とを有する誘電体基板、
・側面導体14を有する誘電体基板、
・接地導体11を有する誘電体基板、
をそれぞれ作成し、これらを張り合わせてモノポールアンテナを構成することも可能である。この場合、誘電体は開口部16’17’のみを塞ぐように充填されることとなり、天井導体15と開口16'、17'とを有する誘電体基板、側面導体14を有する誘電体基板、接地導体11を有する誘電体基板、によって囲まれた空間は中空となっている。要するに、本実施の形態は、天井導体15と、側面導体14とによって囲まれて形成された空間の一部が天井導体15によって覆われており、空間の残りの部分は開口部16’、17’に充填された誘電体によって覆われている本発明のアンテナの一実施例となっている。なお、側面導体14を有する誘電体基板は、全ての側面に側面導体14が形成された単一の誘電体基板としてもよいし、表面に側面導体14を形成した複数の誘電体基板を枠状に貼り合わせて構成しても良い。
【0130】
また、誘電体は、アンテナ素子13の周囲にのみ充填され、開口16,17には誘電体が充填されないような構成であってもよい。
【0131】
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5について、図16(A)、図16(B)を参照しながら説明する。図16(A)は、モノポールアンテナの概観斜視図であり、図16(B)は、図16(A)のZ−Y平面に沿った断面図である。
【0132】
実施の形態5のモノポールアンテナは、基本的には実施の形態4のものと同様の構成を備えているが、実施の形態3と同様、接地導体11に電気的に接続された整合導体18、19を備えていることに特徴がある。整合導体18、19は、Z−Y平面上において、Z軸の+方向に延伸するように配置されたアンテナ素子13に対して対称となるように配置されている。整合導体18,19の一端は、接地導体11に電気的に接続されており、他端は接地導体11,側面導体14、天井導体15により形成される空間内に配置されている。
【0133】
実施の形態5では、アンテナ素子13の近傍に、所定の間隔をおいて整合導体18,19を設けることにより、アンテナのインピーダンスを変化させて同軸給電部12との整合状態を良好にすることができる。整合状態を良好にすればアンテナの特性を改善することが可能となる。さらには、実施の形態3と同様、所望の放射指向性をほとんど変化させることなく、インピーダンスの整合状態を良好にすることが可能となる。
【0134】
以上のように、実施の形態5によれば、簡単な構造で、所望の指向性を持ちインピーダンスの整合状態が良好な小型で優れたモノポールアンテナが実現できる。
【0135】
(実施の形態6)
以下、本発明の実施の形態6について、図17(A)、図17(B)を参照しながら説明する。図17(A)は、モノポールアンテナの概観斜視図であり、図17(B)は、図17(A)のZ−Y平面に沿った断面図である。
【0136】
この実施の形態のモノポールアンテナは基本的には実施の形態4の構成と同様の構成を備えているが、このモノポールアンテナは、アンテナ内部空間全域を満たすことなく、その一部を満たす平板状の誘電体31'を備えていることに特徴がある。誘電体31'の表面には、導体膜からなる膜天井導体15と、導体膜を除去してなる開口16'、17'とが形成されている。そして、側面導体14により囲まれたアンテナ内部空間の天井側開口端に誘電体31'が配置されており、このモノポールアンテナの内部空間は誘電体31'が蓋となって密封されている。
【0137】
このように、前記した実施の形態4の構造によるおける防塵、防湿効果は、本実施の形態に示すように、アンテナ内部空間の天井側開口端を誘電体31'により蓋をすることでも十分発揮することができる。なお、本実施の形態では、誘電体31'をアンテナ天井側に設けたが、アンテナ底部側に誘電体31'を設けることも可能である。その場合、接地導体11は誘電体31'上に形成される。
【0138】
なお、本実施の形態は、天井導体15と、側面導体14とによって囲まれて形成された空間の一部が天井導体15によって覆われており、空間の残りの部分は開口部16’、17’に充填された誘電体によって覆われている本発明のアンテナの一実施例となっているが、本発明はこの実施の形態に限定するものではなく、天井導体15の直下の誘電体を絶縁体等の別部材に置き換えるか、もしくは天井導体15を金属板によって形成し、誘電体は開口16’と17’のみを塞ぐような構造としても、本発明の防塵、防湿効果を得ることができる。
【0139】
(実施の形態7)
以下、本発明の実施の形態7について、図18(A)、18(B)を参照しながら説明する。図18(A)は、モノポールアンテナの概観斜視図であり、図18(B)は、図18(A)のZ−Y平面に沿った断面図である。実施の形態7のモノポールアンテナにおいては、実施の形態6の構成に、さらに、実施の形態5の整合導体18,19を備えたものであり、これにより実施の形態5と同様、インピーダンスの整合を図ることができる。
【0140】
なお、実施の形態7では整合導体18,19をアンテナ素子13と所定の距離をおいて配置した構造のモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、図19(A)、図19(B)に示すように、一部あるいは全ての整合導体18,19の一端をアンテナ素子13の一端あるいは中途部において電気的に接続する構成とすることも可能である。このような構成にすることによりアンテナのインピーダンスを高くすることが可能になり、特にアンテナのインピーダンスが低い場合に同軸給電部12との整合状態を良好にすることが可能になる。
【0141】
なお、実施の形態7では整合導体18,19をアンテナ素子13と所定の間隔にて配置した構造のモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、図20(A)、図20(B)に示すように、一部あるいは全ての整合導体18,19の一端を天井導体15と電気的に接続する構成することも可能である。このような構成にすることによりアンテナのインピーダンスを変化することが可能になり、同軸給電部12との整合状態を良好にすることが可能になる。
【0142】
(実施の形態8)
以下、本発明の実施の形態8について、図21〜図26を参照しながら説明する。
【0143】
図21は本発明の実施の形態8における無線装置のシステム構成を示したものである。図21において、35は無線装置、33は信号伝送ケーブル、34は制御部である。無線装置35と制御部34とは信号伝送ケーブル33を介して双方向に信号を伝達している。制御部34において信号処理を行い、無線装置35により電波の放射および受信を行う。なお、図21では、制御部34に対して単一の無線装置35を接続していたが、通常、制御部34に対して、複数の無線装置35が接続される。
【0144】
図22、図23は実施の形態8における無線装置の構成を示したものである。これらの図において、33は信号伝送ケーブル、41、42はアンテナ、43、44は周波数選択手段の一例であるフィルタ、45、46は増幅回路、47は筐体、48は凹部である。フィルタ43、44と増幅回路45、46は筐体47の内部に配置されている。凹部48は筐体47の表面に形成されており、図23に示すようにアンテナ41、42が筐体47の凹部48に埋め込むように備えられている。また、アンテナ41、42は実施の形態1から実施の形態7に記載したアンテナである。信号伝送ケーブル33は、例えば同軸ケーブルのような電気信号伝送ケーブルにより構成されている。
【0145】
次に動作を説明する。図21において、制御部34から信号を無線装置に送り無線装置のアンテナ41から電波を送信する回路系を下り系と呼び、無線装置のアンテナ42から電波を受信して制御部34に信号を送る回路系を上り系と呼ぶ。図22は図21における無線装置の構成例を示したものであり、下り系では、アンテナ41の給電部はフィルタ43に接続され、フィルタ43は増幅回路45に接続されている。一方、上り系では、同様にアンテナ42の給電部はフィルタ44に接続され、フィルタ44は増幅回路46に接続されている。
【0146】
信号の流れは、下り系では、制御部34で信号処理された信号が電気信号伝送ケーブル33を介して無線装置内の増幅回路45に送られ、増幅回路45で電力増幅された後、フィルタ43においてフィルタ43の通過帯域制限により使用周波数帯の信号のみをアンテナ41に送り、アンテナ41から電波として空間に放射される。
【0147】
一方、上り系における信号の流れは、アンテナ42から受信された信号はフィルタ44に送られフィルタ44の通過帯域制限により使用周波数帯の信号のみが増幅回路46に送られ、増幅回路46で電力増幅された後、電気信号伝送ケーブル33を介して制御部34に送られる。
【0148】
実施の形態1〜7に示したモノポールアンテナは、電波を放射させるための開口16、17がアンテナ天井部に配置され、放射源であるアンテナ素子13が接地導体11と側面導体14により囲まれているため、アンテナ側面方向及び下側のアンテナ配置環境による放射電波への影響が小さい。つまり、筐体47を埋め込んで設置することが難しい室内に、無線装置32を設置する場合、アンテナ(実施の形態1〜7のモノポールアンテナ)を凹部48に埋め込むことで、筐体47からの突起部分をなくし、アンテナを目立たなくすることが可能になり、景観上より優れた無線装置となる。
【0149】
なお、実施の形態8では上り系、下り系の2つのアンテナ41、42と2つのフィルタ43、44で構成される場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこのような構成の無線装置に限定されるものではない。例えば、図24に示すように、上り系の使用周波数帯域と下り系の使用周波数帯域の2つの周波数帯域で動作するアンテナ41'と共用器49とにより構成することも可能である。これにより、アンテナ41'とフィルタ(共用器49)がそれぞれ1つになり、無線装置がより小形になる。
【0150】
なお、実施の形態8においては、信号伝送ケーブル33が電気信号伝送ケーブルにより構成されている場合を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成の無線装置に限定されるものではない。例えば、図25に示すように、信号伝送ケーブルが光ファイバといった光信号伝送ケーブル33'により構成されている場合も可能である。図25は一例として、共用器48を用いた場合を示したが、図22に示すような一対のフィルタ43、44を用いた構成にしても良い。この場合、電気信号を光信号に変換して信号を伝送する必要がある。従って図25に示すように下り系の光信号伝送ケーブル33'と増幅回路45の間に光信号を電気信号に変換するフォトダイオード51と、上り系の増幅回路47と光信号伝送ケーブル33'との間に電気信号を光信号に変換するレーザ52が必要になる。また、制御部34においては逆に、上り系の光信号伝送ケーブル33'との接続にはフォトダイオード(図示省略)、下り系の光信号伝送ケーブル33'との接続にはレーザ(図示省略)が必要になる。このような構成にすることにより、光信号伝送ケーブル33'の設置コストの軽減や、光信号伝送ケーブル33'の伝送長による信号の減衰が軽減されより長距離の信号伝送が可能になる。更に、上り系と下り系で異なる波長の光信号を用い、波長多重を行うことにより一本の光ファイバで光信号伝送ケーブル50を構成することが可能になる。この場合、光信号伝送ケーブル33'とレーザ52との間と、光信号伝送ケーブル33'とフォトダイオード51との間に、光カプラ60を設ける必要がある。
【0151】
光カプラ60は、図26に示すように、3つの端子61、62、63を備えている。端子61は光信号伝送ケーブル33'に接続されている。端子62はフォトダイオード51に接続されている。端子63はレーザ52に接続されている。光カプラ60を備えることで下がり系、上がり系の各光信号は次のように伝送される。すなわち、アンテナ41、41'で受信された下り系の伝送信号はレーザ52で光信号に変換されたのち、光カプラ60を介して光信号伝送ケーブル33'に送られる。一方、上り系の伝送信号は、光信号伝送ケーブル33'から光カプラ60を介してフォトダイオード51に送られ、ここで電気信号に変換されたのち、アンテナ42、41'に送られる。このような構成にすることにより光信号伝送ケーブルの本数を1本にすることができ、伝送に要する光信号伝送ケーブル自体のコストや敷設コストを低減できる。
【0152】
なお、上記の各実施の形態において、接地導体11は本発明の底面部材の一例であり、同軸給電部12は本発明の給電点の一例であり、アンテナ素子1は本発明の導電性部材の一例であり、側面導体14は本発明の側面部材の一例であり、天井導体15,15α、15β、15A、15Bは本発明の天井部材の一例である。また開口16,17,16’,17’は、本発明の天井部分によって覆われなかった、本発明の空間の残りの部分の一例である。
【0153】
なお、本発明は、上記した各実施の形態に限定されるものではなく、以下のように種々の変形が考えられる。
(1)上記した実施の形態1〜7においては、アンテナがZ−Y平面、Z−X平面に対して対称な構造であるモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために、Z−Y平面にのみ対称な構造、または、Z−Y平面、Z−X平面に対して非対称な構造も可能である。また、開口16、17のみがZ−Y平面に対称、あるいはZ−Y平面とZ−X平面とに対称な構造も可能である。また、接地導体11のみがZ−Y平面に対称、あるいはZ−Y平面とZ−X平面に対称な構造も可能である。また、天井導体15のみがZ−Y平面に対称、あるいはZ−Y平面とZ−X平面に対称な構造も可能である。また、側面導体14のみがZ−Y平面に対称、あるいはZ−Y平面とZ−X平面に対称な構造も可能である。また、これらの組み合わせも可能であり、このような構造にすることにより放射対象空間に最適な放射指向性を持つアンテナを実現することができる。要するに、本発明のアンテナは、底面部材と側面部材とによって囲まれる空間を有する構造を有していればよい。
(2)上記した実施の形態1〜7においては、接地導体11と側面導体14と天井導体15とが互いに電気的に接続された構造のモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために天井導体15と側面導体14とが互いに電気的に開放されている構造、あるいは接地導体11と側面導体14とが電気的に開放されている構造、あるいは接地導体11と側面導体14と天井導体15とが全て互いに電気的に開放されている構造も可能である。
(3)上記した実施の形態1〜7においては、開口16、17が2つのモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために、開口16、17が1つの場合や3つ以上にする構造も可能である。
(4)上記した実施の形態1〜7においては、開口16、17を長方形形状にしたモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、所望の放射指向あるいは入力インピーダンス特性を得るために、開口16、17が円形形状あるいは正方形形状あるいは多角形形状あるいは半円形状、あるいはこれらの組み合わせ、あるいは輪状あるいはその他の形状にすることも可能である。開口16、17が円形形状あるいは楕円形形状あるいは曲面形状で構成される場合、放射指向性においては、アンテナを構成する導体部分に形成される角部が丸くなる結果、角部での回折効果が少なくなって放射電波の交差偏波変換損失が少なくなるという効果がある。
(5)上記した実施の形態1〜7においては、開口16、17がアンテナ天井部に配置された構成のモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために開口16、17が側面導体14に配置された構造、あるいは開口16、17が接地導体11に配置された構造、あるいはこれらを組み合わせた構造も可能である。また、開口は網目状として構成されていてもよく、例えば天井導体15を網状の構成として、側面導体14の縁部全体を覆うように設けてもよい。このとき、網目の大きさは、アンテナ素子12から放射される電波の波長の1/2以上であることが望ましい。
(6)上記した実施の形態1〜7においては、接地導体11が方形形状をしたモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために、接地導体11がその他の多角形形状あるいは半円形状あるいはこれらの組み合わせあるいはその他の形状にすることも可能である。また、接地導体11が円形形状あるいは楕円形形状あるいは曲面形状あるいはその他の形状にすることも可能である。これにより、放射指向性においては、アンテナを構成する導体部分の角部が丸くなる結果、角部での回折効果が少なくなってアンテナからの放射電波の交差偏波変換損失が少なくなるという効果がある。
(7)上記した実施の形態1〜7においては、天井導体15が方形形状をしたモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために天井導体15がその他の多角形形状あるいは半円形状あるいはこれらの組み合わせあるいはその他の形状とすることも可能である。また、天井導体15が円形形状あるいは楕円形形状あるいは曲面形状あるいはその他の形状にする構造も可能である。これにより、放射指向性においては、アンテナを構成する導体部分の角部が丸くなる結果、角部での回折効果が少なくなりアンテナからの放射電波の交差偏波変換損失が少なくなるという効果がある。さらには、モノポールアンテナの全体構造を平面視円形形状とした場合には、次のような利点がある。すなわち、モノポールアンテナの設置環境は千差万別であるために、実際に設置すると設計通りの放射指向性を発揮できない場合がある。その場合、モノポールアンテナの設置方向を水平方向に沿って調整することが行われる。これに対して、所望の放射指向性は、モノポールアンテナの4側面の方向を、設置環境で規定される基本方向(室内であれば、側壁の面方向等)に揃えた状態で発揮できるように、通常は設計されている。そのため、設置方向を微妙に調整すると、モノポールアンテナの4側面方向が設置環境での基本方向からずれてしまい、景観上、好ましくない設置形態になってしまう場合がある。これに対して、モノポールアンテナの外観形状を円形にすれば、モノポールアンテナの側面に一定の方向が生じることがなくなり、設置方向を微妙に調整しても、モノポールアンテナの側面方向が設置環境での基本方向からずれてしまうことが生じなくなる。
(8)上記した実施の形態1〜7においては、側面導体14が接地導体11と垂直な構造のモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために、側面導体14が接地導体11に対して斜めになっている構造も可能である。
(9)上記した実施の形態1〜7においては、側面導体14が接地導体11の輪郭に沿って形成される枠上に設けられた構造のモノポールアンテナを例に挙げて説明した。換言すれば、各実施の形態においては、側面導体14が形成する枠と接地導体11の大きさとが略一致していた。しかしながら、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために、側面導体14で形成される枠が接地導体11より大きい構造や小さい構造、あるいは上記枠が天井導体15より大きい構造や小さい構造も可能である。
【0154】
また、側面導体14は接地導体11の輪郭全てを覆うように形成される必要はない。例えば、上記実施の形態においては、いずれも側面導体14は4面設けられているが、3面でもよいし、2面でも良い。この場合、対向する3面の側面導体14および接地導体11に囲まれる空間、または対向するもしくは隣り合った2面の側面導体14および接地導体11に囲まれる空間が形成されていれば、本発明の空間として、アンテナ素子1(導電性部材)を配置することにより、本発明のアンテナが得られる。さらに、側面導体が曲面である場合は1面であってもよく、その曲面と接地導体に囲まれる空間が形成されていればよい。
(10)上記した実施の形態1〜7においては、開口16、17の大きさが固定された構造のモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば図27に示すように、開口16、17に、その大きさを変化させることが可能な開口調整装置20を備えた構造にすることも可能である。開口調整装置20は、例えば、開口16、17に沿ってその大きさを調整する導体板20aをスライド可能に設けることにより実現できる。開口調整装置20により開口16、17の大きさを任意に変化させることにより放射指向性を変化させて、所望の放射指向性を得ることが可能になる。また、開口の大きさは、開口が側面導体や接地導体に設けられている場合でも調整できるようにして良い。
(11)上記した実施の形態1〜7ではアンテナ素子13を直線導体で構成したが、これを他のアンテナ素子で構成することも可能である。例えば、アンテナ素子が螺旋状の導体線で構成されたヘリカル型モノポールアンテナ素子にしてもよいし、導体線をL字型に折り曲げた逆L型あるいは逆F型モノポールアンテナ素子にしてもよい。また、導体線の先端に導体平板等の容量性負荷等を備えたトップローディング型モノポールアンテナ素子、あるいは、これらの組み合わせによるアンテナ素子にしてもよい。また、モノポールアンテナ素子に限らず、板状逆Fアンテナ等のアンテナ素子であってもよい。以上のようなアンテナ素子にすることで、アンテナ素子が小形、低背になり、全体しても小形、低背化が可能になる。
(12)上記した実施の形態1〜7では、モノポールアンテナを、接地導体11と天井導体15と側面導体14とアンテナ素子13と同軸給電部12と開口16、17とを備えて構成したが、必ずしもこのような構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために、天井導体15がなくアンテナ天井部が全て開口である構成としてもよい。これにより、Z−Y平面、Z−X平面に対して対称な構造である場合、アンテナ垂直面の指向性を変化させかつアンテナ水平面にほぼ無指向な特性が得られる。さらに、開口16、17が接地導体11と側面導体14にある構成も可能である。この場合、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために、モノポールアンテナをZ−Y平面、Z−X平面に対して対称な構造にすることも可能であり、Z−Y平面にのみ対称な構造、または、Z−Y平面、Z−X平面に対して非対称な構造にすることも可能である。また、開口16、17のみがZ−Y平面に対称、あるいはZ−Y平面とZ−X平面に対称な構造も可能である。また、接地導体11のみがZ−Y平面に対称、あるいはZ−Y平面とZ−X平面に対称な構造も可能である。また、側面導体14のみがZ−Y平面に対称、あるいはZ−Y平面とZ−X平面に対称な構造も可能である。また、これらの組み合わせも可能であり、このような構造にすることにより放射対称空間に最適な放射指向性を持つアンテナが実現できる。
(13)上記した実施の形態1〜7で説明したモノポールアンテナを、アレー状に配置し、フェーズドアレーアンテナおよびアダプティブアンテナアレーを構成することも可能である。これにより、更なる放射電波の指向性の制御が可能になる。
(14)上記した実施の形態3ではアンテナ素子13を天井導体15から電気的に開放している構成を例にして説明したが、実施の形態3に示される本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、図28(A)、図28(B)に示すように、アンテナ素子13の一端を天井導体15と電気的に接続する構成としてもよい。この場合、アンテナ素子13は直線導体に限られるものではなく、例えば螺旋状の導体線で構成してヘリカル型モノポールアンテナ素子でもよい。このようなアンテナ素子にすることにより、アンテナ素子13を小形、低背にすることができ、その分、全体の小形、低背化が可能になる。
(15)上記した実施の形態3では整合導体18、19を2つ有するモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。整合導体18、19は、例えば、1個あるいは3個以上で構成することも可能である。このような構成にすることにより、構造の自由度が増え同軸給電部12との整合状態を更に良好にすることが可能になる。
(16)上記した実施の形態3では2つの整合導体18、19をアンテナ素子13から所定の距離だけ離してZ−Y平面上に配置した構造のモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、整合導体18、19をZ軸と平行な任意の位置に配置することも可能である。このような構成にすることにより、構造の自由度が増え、同軸給電部12との整合状態を更に良好にすることが可能になる。
(17)上記した実施の形態3では整合導体18、19を直線導体で構成したが、これを他の形状の導体で構成することも可能である。例えば、螺旋状の導体線で構成されたヘリカル型整合導体で構成されている場合も可能であり、L字型に折れ曲がった導体線で構成されている場合も可能である。これにより、小形、低背な整合導体が可能となり、アンテナの小形、低背化が可能になる。
(18)上記した実施の形態3では整合導体18、19をアンテナ素子13と離間して配置した構造のモノポールアンテナを例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、図29(A)、図29(B)に示すように、一部あるいは全ての整合導体18、19の一端をアンテナ素子13の一端あるいは中途部に電気的に接続する構成することも可能である。このような構成にすることにより、モノポールアンテナのインピーダンスを高くすることが可能になり、特にインピーダンスが低い場合に、モノポールアンテナと同軸給電部12との整合状態を良好にすることが可能になる。
(19)上記した実施の形態3では整合導体18、19を天井導体15から所定の距離だけ離して配置したモノポールアンテナを例に挙げて本発明を説明したが、本発明は必ずしもこの構成のモノポールアンテナに限定されるものではない。例えば、図29(A)、図29(B)に示すように、一部あるいは全ての整合導体18、19の一端を天井導体15に電気的に接続する構成することも可能である。このような構成にすることによりモノポールアンテナのインピーダンスを変化させることが可能になり、モノポールアンテナと同軸給電部12との整合状態を良好にすることが可能になる。
(20)上記した実施の形態1〜7では、天井導体15の両端を側面導体14に電気的に接続していた。そのため、水平面の放射指向性において、天井導体15の両端を結ぶ方向に沿って極小点が形成されてしまう。これは、天井導体15と側面導体14との接続点から電流が漏れるために、その方向には電波をほとんど送受波できないためである。アンテナ設計上、このような極小点をなくす必要がある場合には、図30に示すように、天井導体15に円形部15aを形成すればよい。円形部15aは、天井導体15の両端を結ぶ方向の中央部に設ける。円形部15aは、その周縁全周から電波が放射されるので、水平面に沿ってほぼ無指向な状態で電波を放射できる。そのため、天井導体15全体としては、極小点を有する電波の放射と水平面に無指向な電波の放射とを混合した放射となる。そのため、上記極小点においても電波の放射を行うことが可能となり、図31に示すように、水平面に沿って楕円形形状をした放射指向性となる。なお、極小点における電波の放射量を調整するには、円形部15aの大きさを変えればよい。
【0155】
また、天井導体15の形状は、水平面に無指向な放射ができればよく、完全な円形に限定する必要はない。楕円形状でもよいし、縁部が波線状であってもよい。要するに、本発明の天井部材は、少なくとも、その縁部が曲線形状を有するものであればよい。
(21)上記した実施の形態1〜7のモノポールアンテナで電波の送受信を行う場合には、複数(例えば、2つ)のモノポールアンテナが並列配置される。この場合、隣り合うモノポールアンテナどうしのアイソレーションを確実に確保する必要がある。通常、アンテナのアイソレーションを確保するためには、フィルタ等のアイソレーション用素子を設けることが実施されるが、次のようにすれば、アイソレーションを確保しやすくなる。すなわち、モノポールアンテナ、特に本発明のものでは、水平面指向性に極小点が形成される。極小点は天井導体15と側面導体14との接続点に沿った向きに形成される。そこで、隣り合うモノポールアンテナを、電波の極小点の形成方向が互いに同列になるように整列配置する。これにより、モノポールアンテナどうしの送受波の相互影響が最小限となり、アイソレーションを確保しやすくなる。例えば、図7に示す構造のモノポールアンテナでは、天井導体15の長手方向両端が側面導体14に電気的に接続されているために、天井導体15の長手方向が電波の極小点の形成方向となる。そこで、図32に示すように、隣り合うモノポールアンテナを、その天井導体15の長手方向が同列になるように整列配置する。これにより、モノポールアンテナどうしの電波の相互影響が最小限となり、アイソレーションを確保しやすくなる。
【0156】
上記のようにモノポールアンテナを整列配置した場合(以下、影響排除配列という)のアイソレーションを測定した。同様に、隣り合うモノポールアンテナを、その天井導体15の長手方向と直交する向きに沿って整列配置した場合(以下、影響非排除配列という)のアイソレーションを測定した。これらの測定結果を図33に示す。図33中、黒四角が、影響排除配列の測定結果であり、黒丸が影響非排除配列の測定結果である。図中、横軸が隣接するモノポールアンテナの離間間隔(mm)であり、縦軸がアイソレーションの測定結果(dB)である。
【0157】
図33より明らかなように、影響排除配列の方がアイソレーションにおいて優れているのがわかる。そのため、影響排除配列にした場合におけるアイソレーションが確保しやすくなり、その分、アイソレーション用素子(フィルタ等)として性能の低いものを用いても、十分、アイソレーションを確保することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0158】
なお、複数のモノポールアンテナを配置する場合には、構造を強固にする等の目的のために、これらモノポールアンテナを金属ベース板上に配置することが行われる。しかしながら、その場合には接地導体11どうしが金属ベース板により短絡されるために、上記影響排除配列を採用してもそのアイソレーションが悪化する。そのため、金属ベース板は用いない方がよい。
(2)上記した実施の形態1〜7では、モノポールアンテナをZ−X平面およびZ−Y平面にそれぞれに対して対称な形状を有するモノポールアンテナを備え、さらにこのような構成のモノポールアンテナにおいて、同軸給電点12を原点に配置することで、水平面に沿った放射指向性を無指向状態にした。しかしながら、本発明は、このような構成に限るものではなく、同軸給電点12を、水平面方向に原点から位置ずれした位置に配置することもできる。これにより、水平面に沿った電波の指向性を調整することができる。例えば、図34に示すように、同軸給電点12をX軸に沿ってその+方向に若干位置ずれされると、その水平面に沿った指向性は、図35に示すようになる。すなわち、Z−X平面に沿った指向性は、Z−Y平面に対して対称とはならず、その第2象限と第4象限とを結ぶやや斜めとなった方向に対して対称な形態となる。
【0159】
(2)上記した実施の形態1〜7では、同軸給電点12はいずれも接地導体11上にあって、接地導体11と、同軸給電点12に接続されたアンテナ素子13とは電気的に接続しないような構成であるとした。しかしながら、本発明は、このような構成に限るものではなく、本発明の導電性部材は、接地導体11および側面導体1により形成される空間内であれば、任意の位置に配置してもよい。また、本発明の給電点は、接地導体11上に設けられてなくても良い。すなわち、アンテナ素子13は、接地導体11から浮き上がったアンテナ空間内に、絶縁体等の部材によって支持されるように固定されていてもよい。例えば、後述する本実施の形態のアンテナ装置は、給電点を有する回路がアンテナ内にけられているため、アンテナ素子は接地導体11と側面導体14にて囲まれた空間内にて固定されることになる。
【0160】
なお、以上の説明では、本発明の作用効果を電波の送信において説明したが、本発明は電波の受信においても同様の作用効果があるのはいうまでもない。
【0161】
(実施の形態9)
本発明の実施の形態9のアンテナ装置は、本発明のアンテナ内に回路を設けたアンテナ装置である。先に実施の形態8でも説明したように、本発明のアンテナを、無線回路と接続して用いる場合、アンテナと無線回路とは別構成として実現されている。
【0162】
ここで、図55に、アンテナが送信、受信の2つのアンテナで構成されている場合を示す。図55において、131aは送信アンテナ、131bは受信アンテナ、132a、132bは信号伝送ケーブル、133は無線回路である。送信アンテナ131aと無線回路133は信号伝送ケーブル132aにより接続される。また、受信アンテナ131bと無線回路133は信号伝送ケーブル132bにより接続される。
【0163】
この構成で、無線回路133から信号伝送ケーブル132aを介して送信アンテナ131aに送信信号が送られ電波として放射される。また、受信アンテナ131bで受信された受信信号は信号伝送ケーブル132bを介して無線回路33に送られる。
【0164】
しかしながら、図55に示す構成例では、アンテナと無線回路を設置する場合、人目に付かない小形な構造、低背な構造が要望されるにもかかわらず、アンテナは、例えば実施の形態8にて説明したように、無線回路133を収納した筐体(図示しない)外に配置される。これは、アンテナの電波の放射が効率よく行えるように、アンテナ素子が電波を放射する空間に面するように設置することが望ましいからである。更に、アンテナと全ての放射空間の間に電波の伝搬を阻害するものがないこと、アンテナ素子から全ての放射対象の空間が見渡せることが望ましいからである。
【0165】
また、筐体が金属により構成される場合は、アンテナは筐体外に配置される。このため、アンテナを無線回路筐体の外部に設置するための信号伝送ケーブルが必要になる。
【0166】
しかるに、すでに述べたように、アンテナと無線回路には、景観上、なるべく目立たなく設置したいという要望があるが、図55に示す構成例では、アンテナと無線回路が別々に存在し、更には接続用の信号伝送ケーブルがあるため、このような要望に応えることもできなかった。また、実施の形態8のような構成では、アンテナは筐体に含まれるために筐体が大型化してしまっていた。
【0167】
そこで、本実施の形態は、アンテナ内部に回路を組み込むことにより、本発明のアンテナの効果を保ちながら、人目に付きにくいアンテナ装置を実現する。
【0168】
図40は本発明の実施の形態9におけるアンテナ装置の構成を示したものである。図40において、111は接地導体、112はアンテナ素子、113は側面導体、114は回路である。このような本実施の形態において、アンテナは、接地導体111とアンテナ素子112と側面導体113により構成されている。回路114はアンテナの内部にあり、アンテナ素子112は回路114に接続されている。
【0169】
ここで、側面導体113と接地導体111で囲まれた空間をアンテナ内部と呼び、側面導体113あるいは接地導体111に対してアンテナ内部と反対側の空間をアンテナ外部と呼ぶ。
【0170】
一例として、アンテナ素子112がモノポールアンテナ素子で構成され、接地導体111が長方形の板状で、接地導体111と側面導体113が電気的に接続されていてキャビティを構成している場合を示す。
【0171】
次に、本実施の形態によるアンテナ装置の動作を、図40を用いて説明する。本実施の形態において、アンテナ単体の動作は、上記実施の形態1〜8のアンテナ装置と同様の動作により行われ、電波の励振は、アンテナ素子112で行い、周波数f0の電波が放射され、接地導体111から側面導体113にアンテナ素子に流れる電流と逆相の電流が流れ、側面導体113の上端からも電波が放射される。
【0172】
従って、本実施の形態のアンテナは、アンテナ素子112と側面導体113の上端部から主に電波を放射するので、接地導体111と側面導体113に囲まれた空間に低背な障害物が存在してもアンテナの放射にほとんど影響を与えない。
【0173】
なお、アンテナ内部に回路114を配置した場合、回路114のグランドと接地導体111を電気的に接続しておけば、接地導体111から側面導体113に流れる電流は遮断されないので、アンテナの放射特性への影響はない。ただし、回路14のグランドと接地導体111とは必ずしも電気的に接続する必要はない。
【0174】
このように、本実施の形態のアンテナ装置は、本発明のアンテナの放射特性を保持したまま、回路をアンテナ内部に配置することにより、人目に付きにくい小形なアンテナ装置を実現している。
【0175】
(実施の形態10)
以下、本発明の第10の実施の形態について、図41を参照しながら説明する。
【0176】
図41は本発明の第10の実施の形態におけるアンテナ装置の構成を示したものである。図41において、111は接地導体、112はアンテナ素子、113は側面導体、114は基板114aを含む回路、115は、その一面が開口された箱状の遮断導体、116は給電部である。
【0177】
このような本実施の形態において、本発明のアンテナは接地導体111とアンテナ素子112と側面導体113とにより構成されている。
【0178】
遮断導体115はアンテナの内部にあり、更に、回路114は基板114aごと遮断導体115の開口部から内部に収納される格好で配置されている。遮断導体115の開口部の縁部は接地導体111と接続されており、回路114は、遮蔽導体115と接地導体111とから形成される閉空間内に格納される。
【0179】
また、アンテナ素子112は遮断導体115上に設置された給電部116を介して回路114に接続されている。ただし、アンテナ素子112と、遮断導体115とは給電部116を介して互いに絶縁している。また、遮断導体115と回路114との間も絶縁している。
【0180】
ここで、側面導体113と接地導体111で囲まれた空間をアンテナ内部と呼び、側面導体113あるいは接地導体111に対してアンテナ内部と反対側の空間をアンテナ外部と呼ぶ。
【0181】
一例として、アンテナ素子112がモノポールアンテナ素子で構成され、接地導体111が長方形の板形状で、接地導体111と側面導体113が電気的に接続されていてキャビティを構成している場合を示す。
【0182】
次に、本実施の形態によるアンテナ装置の動作を、図41を用いて説明する。電波の励振は、アンテナ素子112で行い、周波数f0の電波が放射される。更に、接地導体111から側面導体113にアンテナ素子に流れる電流と逆相の電流が流れ、側面導体113の上端からも電波が放射される。
【0183】
従って、本実施の形態のアンテナは、アンテナ素子112と側面導体113の上端部から主に電波を放射するので、接地導体111と側面導体113に囲まれた空間に低背な障害物が存在してもアンテナの放射にはほとんど影響を与えない。
【0184】
ところで、アンテナから放射された電波により、回路114上に配置されている素子が影響を受け回路の動作が不安定になることがある。本実施の形態においては、遮断導体115と接地導体111により回路114を囲み、遮断導体115と接地導体111を完全に電気的に接続することにより、回路114にアンテナから放射された電波が届かないようにする。
【0185】
このとき、接地導体111に流れる電流は、接地導体111から側面導体113へ、あるいは、接地導体111から遮断導体115の外側表面を流れて側面導体113に流れる。このとき、接地導体111から側面導体113に流れる電流は遮断されないので、アンテナの放射特性への影響はない。
【0186】
また、アンテナ内部に回路114を配置した場合、回路114のグランドと接地導体111を電気的に接続しておけば、接地導体111から側面導体113に流れる電流は遮断されないので、アンテナの放射特性への影響はない。このとき、遮断導体115と回路114とは、回路114のグランドのみが電気的に接続される。ただし、回路114のグランドと接地導体111とは必ずしも常に電気的に接続する必要はない。
【0187】
このように、本実施の形態のアンテナ装置は、本発明のアンテナの電波の放射特性を維持したまま、更に回路の動作に影響を与えることなく、回路をアンテナ内部に配置することにより、人目に付きにくい小形なアンテナ装置を実現している。
【0188】
(実施の形態11)
以下、本発明の第11の実施の形態について、図42を参照しながら説明する。
【0189】
図42は本発明の第11の実施の形態におけるアンテナ装置の構成を示したものである。図42において、111は接地導体、112はアンテナ素子、113は側面導体、114は回路、117は天井導体、118は開口である。このような本実施の形態において、本発明のアンテナは、接地導体111とアンテナ素子112と側面導体113と天井導体117により構成されており、その構成は実施の形態1のアンテナと実質同一である。
【0190】
また、回路114はアンテナの内部にあり、アンテナ素子112は回路114と接続されている。また、開口118は天井導体117上にある。
【0191】
ここで、側面導体113と接地導体111と天井導体117で囲まれた空間をアンテナ内部と呼び、側面導体113あるいは接地導体111あるいは天井導体117に対してアンテナ内部と反対側の空間をアンテナ外部と呼ぶ。
【0192】
一例として、アンテナ素子112がモノポールアンテナ素子で構成され、接地導体111が長方形の板形状で、接地導体111と側面導体113が電気的に接続され、側面導体113と天井導体117が電気的に接続されていてキャビティを構成している場合を示す。
【0193】
次に、本実施の形態によるアンテナ装置の動作を、図42を用いて説明する。電波の励振は、アンテナ素子12で行い、周波数f0の電波が放射される。この放射された電波が開口118を通って外部空間に放射される。この場合も、接地導体111にアンテナ素子112に流れる電流と逆相の電流が流れる。
【0194】
従って、本実施の形態のアンテナは、実施の形態1のアンテナと同様、開口118から主に電波を放射するので、接地導体111と側面導体113と天井導体117に囲まれた空間に低背な障害物が存在してもアンテナの放射には影響を与えない。
【0195】
このとき、アンテナ内部に回路114を配置した場合、回路114のグランドと接地導体111を電気的に接続しておけば、接地導体111から側面導体113に流れる電流は遮断されないので、アンテナの特性への影響はない。ただし、回路114のグランドと、接地導体111とは必ずしも電気的に接続しなくともよい。
【0196】
更に本実施の形態のアンテナ装置のアンテナは、天井導体の形状や個数といった構成に応じて、開口の数や大きさや位置を適当に定めることにより、所望の指向性が得られる。
【0197】
このように、本実施の形態のアンテナ装置は、本発明のアンテナの特性を保持した、所望の指向性が得られ、且つ、電波の放射指向性を変化させることなく回路をアンテナ内部に配置することにより、人目に付きにくい小形なアンテナ装置を実現している。
なお、本実施の形態においては、図43に示すように、アンテナ素子112の突端が天井導体117と接続点119において電気的に接続されている構成にすることも可能である。これにより、アンテナの入力インピーダンスを調整することが可能になるとともに、さらに機械的強度が向上し、優れたアンテナが実現できる。つまり、実施の形態2のアンテナと同様の効果が得られる。
【0198】
また、本実施の形態においては、アンテナ素子112と天井導体117とが電気的に接続されている構造のアンテナ装置を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のアンテナ装置に限定されるものではない。例えば、所望の入力インピーダンス特性を得るために天井導体とアンテナ素子が電気的に開放されている構造も可能である。この場合、例えば、アンテナ素子は螺旋状の導体線で構成されたヘリカル型モノポールアンテナ素子である場合も可能であり、導体線をL字型に折り曲げた逆L型あるいは逆F型モノポールアンテナ素子である場合も可能であり、また、導体線の先端に導体平板等の容量性負荷等を備えたトップローディング型モノポールアンテナ素子、あるいは、これらの組み合わせによるアンテナ素子である場合も可能である。
【0199】
これにより、アンテナ素子が小形・低背になり、アンテナ装置の小形・低背化が可能になる。
【0200】
(実施の形態12)
以下、本発明の第12の実施の形態について、図44を参照しながら説明する。
【0201】
図44は本発明の第12の実施の形態におけるアンテナ装置の構成を示したものである。図44において、111は接地導体、112はアンテナ素子、113は側面導体、114は回路、115は遮断導体、116は給電部、117は天井導体、118は開口、119は天井導体117上に設けられた接続点である。このような本実施の形態において、本発明のアンテナは、接地導体111とアンテナ素子112と側面導体113と天井導体117により構成されている。
【0202】
また、回路114は接地導体111上にあり、アンテナ素子112は回路114と接続されている。また、開口118は天井導体117と側面導体113によって囲まれた部分である。
【0203】
ここで、側面導体113と接地導体111と天井導体117で囲まれた空間をアンテナ内部と呼び、側面導体113あるいは接地導体111あるいは天井導体117に対してアンテナ内部と反対側の空間をアンテナ外部と呼ぶ。したがって、回路114はアンテナ内部に配置されていることになる。
【0204】
一例として、アンテナ素子112がモノポールアンテナ素子で構成され、天井導体117と接続点119において電気的に接続され、接地導体111が長方形の板形状で、接地導体111と側面導体113が電気的に接続され、側面導体113と天井導体117が電気的に接続されていてキャビティを構成している場合を示す。すなわち本実施の形態のアンテナの構成は、実施の形態2のアンテナと実質同一である。
【0205】
次に、本実施の形態によるアンテナ装置の動作を、図44を用いて説明する。電波の励振は、実施の形態2のアンテナの動作と同様に行われ、アンテナ素子112で行い、周波数f0の電波が放射される。この放射された電波が開口118を通って外部空間に放射される。この場合も、接地導体111にアンテナ素子112に流れる電流と逆相の電流が流れる。
【0206】
従って、本実施の形態のアンテナは、開口118から主に電波を放射するので、接地導体11と側面導体113と天井導体117に囲まれた空間に低背な障害物が存在してもアンテナの放射には影響を与えない。
【0207】
ところが、アンテナから放射された電波により、回路114上に配置されている素子が影響を受け回路の動作が不安定になることがある。本実施の形態においては、遮断導体115と接地導体111により回路114を囲み、遮断導体115と接地導体111を完全に電気的に接続することにより、回路114にアンテナから放射された電波が届かないようにする。
【0208】
このとき、接地導体111に流れる電流は、接地導体111から側面導体113へ、あるいは、接地導体111から遮断導体115の外側表面を流れて側面導体113に流れる。このとき、接地導体111から側面導体113に流れる電流は遮断されないので、アンテナの放射特性への影響はない。
【0209】
また、アンテナ内部に回路114を配置した場合、回路14のグランドと接地導体111を電気的に接続しておけば、接地導体111から側面導体113に流れる電流は遮断されないので、アンテナの放射特性への影響はない。このとき、遮断導体115と回路114とは、回路114のグランドのみが電気的に接続される。ただし、回路114のグランドと接地導体111とは必ずしも常に電気的に接続する必要はない。
【0210】
また、本実施の形態のアンテナ装置のアンテナは、天井導体の形状や個数といった構成に応じて、開口の数や大きさや位置を適当に定めることにより、所望の指向性が得られる。
【0211】
次に実際に試作した、本実施の形態のアンテナ装置を図45に示し、回路の構成を図46、図47に示す。また、試作したアンテナ装置の放射特性を図48に示し、回路114および遮断導体がない場合のアンテナ単体時の放射特性を図49に示す。また、試作したアンテナ装置の給電部における入力インピーダンス特性を図50に示す。
【0212】
一例として、接地導体111が自由空間波長を基準として1辺が0.52波長の正方形で、側面導体113の高さが0.077波長、天井導体117が長方形でX軸と平行な辺の長さが0.38波長でY軸に平行な辺の長さが0.52波長であり、2つの開口118が長方形でX軸と平行な辺の長さは0.07波長でY軸に平行な辺の長さが0.52波長であり、アンテナ天井部のX方向両端に配置されているものとする。
【0213】
また、回路114はアンテナ装置のY軸の正方向端部に面してY軸に対称に配置され、遮断導体115は、底面の1辺が0.26波長の正方形であり、側面の導体の高さが0.065波長の直方体で回路114を覆うように配置されているものとする。
【0214】
以上のような構成を有する本実施の形態によるアンテナ装置のアンテナが、Z−X面、Z−Y面に対して対称構造であるときの特性を示す。
【0215】
図48は試作した、本実施の形態のアンテナ装置の放射指向性を示したものである。また、図49は、回路および遮断導体がないアンテナ単体のみの構成とした時の放射特性を示したものである。放射指向性の目盛りは1間隔が10dBであり、単位は点波源の放射電波の電力値を基準にしたdBiである。
【0216】
図48および図49に示すように、本実施の形態によるアンテナ装置の放射特性は回路および遮断導体がないアンテナ単体時の放射特性と全く等しいことが分かる。つまり、回路114および遮断導体115により放射特性が変化しない。
【0217】
次に、図50は、本実施の形態の試作したアンテナ装置の給電部116における入力インピーダンス特性を示したものである。図は50Ω給電線路に対する電圧定在波比(VSWR)である。このように中心周波数f0を中心に良好な整合がとれていることが分かる。
【0218】
なお、回路114には、アンテナからの電波の影響を受けやすい高周波フィルタや増幅回路を含んでいたが、遮断導体115と接地導体111により完全にシールドしたため、動作の劣化はなく安定した動作を確認した。
【0219】
このように、本実施の形態のアンテナ装置は所望の指向性が得られ、且つ、電波の放射を変化させることなく回路をアンテナ内部に配置することにより、人目に付きにくい小形なアンテナ装置を実現している。
【0220】
(実施の形態13)
以下、本発明の第13の実施の形態について、図51を参照しながら説明する。
【0221】
図51は本発明の第13の実施の形態におけるアンテナ装置の構成を示したものである。図51において、111は接地導体、112はアンテナ素子、113は側面導体、114は回路、116は給電部、125は凹部である。
【0222】
また、凹部125は、接地導体111および接地導体111と接合する側面導体113の一部を、外側から内側へ凹ませることにより形成された側壁125a、125b、125cに囲まれた領域であって、給電部116は、側壁125b上に設けられている。
【0223】
このような本実施の形態において、本発明のアンテナは、接地導体111とアンテナ素子112と側面導体113により構成されている。回路114はアンテナの凹部125内に配置されており、その周囲は側壁125a〜cによって覆われているとともに、給電部116を介してアンテナ素子112と接続されている。このとき、アンテナ子112と側壁125とは、給電部116を介して互いに絶縁されている。
【0224】
ここで、側面導体113と接地導体111で囲まれた空間をアンテナ内部と呼び、側面導体113あるいは接地導体111に対してアンテナ内部と反対側の空間をアンテナ外部と呼ぶ。
【0225】
一例として、アンテナ素子112がモノポールアンテナ素子で構成され、接地導体111が長方形の板形状で、接地導体111と側面導体113が電気的に接続されていてキャビティを構成している場合を示す。
【0226】
次に、本実施の形態によるアンテナ装置の動作を、図51を用いて説明する。電波の励振は、アンテナ素子112で行い、周波数f0の電波が放射される。更に、接地導体111から側面導体113にアンテナ素子に流れる電流と逆相の電流が流れ、側面導体113の上端からも電波が放射される。
【0227】
従って、本実施の形態のアンテナは、アンテナ素子112と側面導体113の上端部から主に電波を放射するので、接地導体111と側面導体113に囲まれた空間に低背な障害物が存在してもアンテナの放射にはほとんど影響を与えない。つまり、アンテナ内部に凹部125が存在してもアンテナの放射にほとんど影響を与えない。さらに、凹部125の内部に回路114を配置しても放射特性に影響を与えない。この場合、回路114と接地導体111とは電気的に接続する必要はないが、回路114のグランドと接地導体111とを電気的に接続して、アンテナと回路114のグランドが共通化するようにしてもよい。
【0228】
ここで、実施の形態10の場合は、高周波帯での使用において、遮断導体115と、接地導体111あるいは側面導体113との間に隙間があると、その隙間がコンデンサとして動作し、インピーダンス特性がずれるおそれがある。
【0229】
しかしながら、本実施の形態に示すように、接地導体111と側面導体113を凹ませて形成した側壁125a〜cによって凹部125を形成することで、実施の形態10に示す遮断導体と接地導体と側面導体を一体成型することが可能となる。このため、遮断導体と接地導体や側面導体を完全に電気的に接続することができるので、インピーダンス特性がずれず、アンテナ性能が劣化しない。
【0230】
なお、アンテナから放射された電波により、回路114上に配置されている素子が影響を受け回路の動作が不安定になることがある。この場合、図52に示すように、凹部125を蓋導体126により覆い、蓋導体126と接地導体111を完全に電気的に接続する。これにより、アンテナから放射された電波は回路114に届かなくなり回路114の動作を安定にすることが可能となる。このとき、アンテナ外側には電流は流れないので、アンテナの放射特性への影響はない。ここで蓋導体126は、本発明の蓋部材に相当するものである。
【0231】
このように、本実施の形態のアンテナ装置は、本発明のアンテナの電波の放射特性を保持したまま、回路をアンテナ内部に配置することにより、人目に付きにくい小形なアンテナ装置を実現している。
【0232】
(実施の形態14)
以下、本発明の第14の実施の形態について、図53を参照しながら説明する。
【0233】
図53は本発明の第14の実施の形態におけるアンテナ装置の構成を示したものである。図53において、111は接地導体、112はアンテナ素子、113は側面導体、114は回路、116は給電部、117は天井導体、118は開口、119は接続点、125は凹部である。
【0234】
また、凹部125は、接地導体111および接地導体111と接合する側面導体113の一部を、外側から内側へ凹ませることにより形成された側壁125a、125b、125cに囲まれた領域であって、給電部116は、側壁125b上に設けられている。
【0235】
このような本実施の形態において、本発明のアンテナは接地導体111とアンテナ素子112と側面導体113と天井導体117により構成されている。回路114はアンテナの凹部125にあり、回路114はアンテナの凹部125内に配置されており、その周囲は側壁125a〜cによって覆われているとともに、給電部116を介してアンテナ素子112と接続されている。このとき、アンテナ子112と側壁125とは、給電部116を介して互いに絶縁されている。また、開口118は天井導体117と側面導体113に囲まれた領域上にある。
【0236】
ここで、側面導体113と接地導体111と天井導体117で囲まれた空間をアンテナ内部と呼び、側面導体113あるいは接地導体111あるいは天井導体117に対してアンテナ内部と反対側の空間をアンテナ外部と呼ぶ。
【0237】
一例として、アンテナ素子112がモノポールアンテナ素子で構成され、接地導体111が長方形の板形状で、接地導体111と側面導体113が電気的に接続されていてキャビティを構成している場合を示す。
【0238】
次に、本実施の形態によるアンテナ装置の動作を、図53を用いて説明する。電波の励振は、アンテナ素子112で行い、周波数f0の電波が放射される。更に、接地導体111から側面導体113にアンテナ素子に流れる電流と逆相の電流が流れ、側面導体113の上端からも電波が放射される。
【0239】
従って、本実施の形態のアンテナは、アンテナ素子112と側面導体113の上端部から主に電波を放射するので、接地導体111と側面導体113に囲まれた空間に低背な障害物が存在してもアンテナの放射にはほとんど影響を与えない。つまり、アンテナ内部に凹部125が存在してもアンテナの放射にほとんど影響を与えない。さらに、凹部125の内部に回路114を配置しても放射特性に影響を与えない。この場合、回路114と接地導体111とは電気的に接続する必要はないが、回路114のグランドと接地導体111とを電気的に接続して、アンテナと回路114のグランドが共通化するようにしてもよい。また、アンテナ子112と天井導体117とを接続119を介して電気的に接続しているので、実施の形態2のアンテナと同様の効果が得られる。
【0240】
ここで、実施の形態12の場合は、高周波帯での使用において、遮断導体115と、接地導体111あるいは側面導体113との間に隙間があると、その隙間がコンデンサとして動作し、インピーダンス特性がずれるおそれがある。
【0241】
しかしながら、本実施の形態に示すように、接地導体111と側面導体113を凹ませて形成した側壁125a〜cによって凹部125を形成することで、実施の形態10に示す遮断導体と接地導体と側面導体を一体成型することが可能となる。このため、遮断導体と接地導体や側面導体を完全に電気的に接続することができるので、インピーダンス特性がずれず、アンテナ性能が劣化しない。
【0242】
なお、アンテナから放射された電波により、回路114上に配置されている素子が影響を受け回路の動作が不安定になることがある。この場合、図54に示すように、凹部125を蓋導体126により覆い、蓋導体126と接地導体111を完全に電気的に接続する。これにより、アンテナから放射された電波は回路114に届かなくなり回路114の動作を安定にすることが可能となる。このとき、アンテナ外側には電流は流れないので、アンテナの放射特性への影響はない。ここで蓋導体126は、本発明の蓋部材に相当するものである。
【0243】
なお、上記の実施の形態9〜14において、回路114の構成としては、受動素子のみの構成、あるいは能動素子のみの構成、もしくは能動素子と受動素子とが両方が含まれている構成が考えられる。例えば、受動素子のみの構成では、抵抗やコイルやコンデンサにより構成されたインピーダンス整合回路や、高周波フィルタ、光受動素子などが挙げられる。また、能動素子としては、増幅回路やミキサー等の高周波能動素子やレーザーダイオードやフォトダイオード等の光能動素子等が挙げられる。また、回路114はICを含んでいても良い。
【0244】
また、図56に示すように、アンテナ装置が天井導体117を含む場合、回路114の横幅Wrは、天井導体117の横幅Wcよりも小さくなるほうが望ましい。要するに、回路の大きさは、前記アンテナ装置を天井部材の側から、前記天井部材に垂直に眺めた場合、前記天井部材に隠れて見えなくなる大きさであるのが望ましい。
【0245】
また、図57()()に示すように、アンテナ内部における回路114の配置は、天井導体と側面導体とのなす角に配置してもよいし、図57()に示すように、天井導体の直下であって、側面導体と接地導体とのなす角に配置してもよい。要するに、回路の配置は、前記アンテナ装置を天井部材の側から、前記天井部材に垂直に眺めた場合、前記天井部材に隠れて見えなくなる位置に配置されるのが望ましい。
【0246】
また、例えば、マイクロ波回路のような高周波能動素子や受動素子により回路114が構成されている場合は、本実施の形態のアンテナ装置は無線機として動作することが可能である。更に光能動素子あるいは光受動素子を含む場合は、アンテナで受けた電気信号をレーザダイオードのような光能動素子で光信号に変換し、光ファイバ等の光通信により信号を伝送することが可能になり、逆に光通信により送られてきた光信号をフォトダイオードのような光能動素子により電気信号に変換しアンテナから放射することが可能になる。また、回路114は電源回路を含む構成として実現してもよく、この場合、本実施の形態のアンテナ装置は無線装置として用いることができる。
【0247】
また、上記の実施の形態9〜14において、回路114の一例として図46に示すように、受信回路はアンテナ素子から送られた信号を高周波フィルタを介して増幅回路により増幅し、レーザーダイオードにより光信号に変換され光ファイバにより信号を伝送する場合を示す。ここで、120は高周波フィルタ、121は増幅回路、122はレーザダイオード、123は光ファイバである。なお、送信回路の一例として図47に示すようにレーザーダイオード122をフォトダイオード124に置き換えることにより、光ファイバにより伝送された光信号を電気信号に変換し、増幅回路により増幅し、高周波フィルタを介してアンテナから電波を放射することも可能である。
【0248】
また、上記の実施の形態9〜14では、アンテナ素子112として、モノポールアンテナ素子を直線導体で構成したが、これを他のアンテナ素子で構成することも可能である。例えば、アンテナ素子は螺旋状の導体線で構成されたヘリカル型モノポールアンテナ素子である場合も可能であり、導体線をL字型に折り曲げた逆L型あるいは逆F型モノポールアンテナ素子である場合も可能であり、また、導体線の先端に導体平板等の容量性負荷等を備えたトップローディング型モノポールアンテナ素子、あるいは、これらの組み合わせによるアンテナ素子である場合も可能である。これにより、アンテナ素子が小形・低背になり、アンテナ装置の小形・低背化が可能になる。
【0249】
また、上記の実施の形態9〜14では、接地導体111と側面導体113とが電気的に接続されている構造のアンテナ装置を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のアンテナ装置に限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために接地導体111と側面導体113が電気的に開放されている構造も可能である。
【0250】
また、上記の実施の形態9〜14では、接地導体111が長方形で構成された構造のアンテナ装置を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のアンテナ装置に限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために、接地導体111がその他の多角形あるいは半円あるいはこれらの組み合わせ、あるいはその他の形状も可能である。また、接地導体が円形あるいは楕円形あるいは曲面あるいはその他の形状にする構造も可能である。これにより、放射特性においては、アンテナ導体部の角部が少なくなることにより、角部での回折効果が少なくなり、アンテナからの放射電波の交差偏波変換損失が少なくなるという効果がある。
【0251】
また、上記の実施の形態9〜14では、側面導体113が接地導体111の輪郭に沿った枠で構成された構造のアンテナ装置を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のアンテナ装置に限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために、側面導体の枠が接地導体より大きい構造や小さい構造、あるいは天井導体より大きい構造や小さい構造も可能である。
【0252】
また、上記の実施の形態9〜14では、アンテナ内部に誘電体を挿入することも可能である。これにより、アンテナの小形化が図れる。これは真空より誘電率が高い誘電体(比誘電率:εr>1)内においては、真空中に比べ、波長が元の(εr)-1/2倍になるからである。また、アンテナの設置環境によりアンテナ内部に埃や湿気の多い空気が入り込みアンテナの特性が劣化するおそれがあるが、側面導体の上端を輪郭とした誘電体層の蓋をすることにより埃や湿気の多い空気が入り込むことによる特性劣化を防ぐことが可能になる。これは絶縁体層の蓋でも同様な効果が得られる。このとき、誘電体の挿入の形態は、実施の形態4、6等と同様であってもよい。
【0253】
また、上記の実施の形態9〜14では、天井導体117によって形成された開口が2つのアンテナ装置を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のアンテナ装置に限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために、開口が1つの場合や3つ以上にする構造も可能である。
【0254】
また、上記の実施の形態9〜14では、天井導体117によって形成された開口がアンテナ天井部に配置された構造のアンテナ装置を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のアンテナ装置に限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために開口が側面導体に配置された構造、あるいは開口が接地導体に配置された構造、あるいはこれらを組み合わせた構造も可能である。
【0255】
また、上記の実施の形態9〜14では、アンテナ素子112と天井導体117とが電気的に接続されている構造のアンテナ装置を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のアンテナ装置に限定されるものではない。例えば、所望の入力インピーダンス特性を得るために天井導体117とアンテナ素子112が電気的に開放されている構造も可能である。この場合、例えば、アンテナ素子は螺旋状の導体線で構成されたヘリカル型モノポールアンテナ素子である場合も可能であり、導体線をL字型に折り曲げた逆L型、あるいは逆F型モノポールアンテナ素子である場合も可能であり、また、導体線の先端に導体平板等の容量性負荷等を備えたトップローディング型モノポールアンテナ素子、あるいは、これらの組み合わせによるアンテナ素子である場合も可能である。これにより、アンテナ素子が小形・低背になり、アンテナ装置の小形・低背化が可能になる。
【0256】
また、上記の実施の形態9〜14では、接地導体111と側面導体113と天井導体117とが電気的に接続されている構造のアンテナ装置を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のアンテナ装置に限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために天井導体と側面導体が電気的に開放されている構造、あるいは接地導体と側面導体が電気的に開放されている構造、あるいは接地導体と側面導体と天井導体全てが電気的に開放されている構造も可能である。
【0257】
また、上記の実施の形態9〜14では、天井導体17が長方形で構成された構造のアンテナ装置を例に挙げて説明したが、本発明は必ずしもこの構成のアンテナ装置に限定されるものではない。例えば、所望の放射指向性あるいは入力インピーダンス特性を得るために天井導体がその他の多角形あるいは半円あるいはこれらの組み合わせあるいはその他の形状も可能である。また、天井導体が円形あるいは楕円形あるいは曲面あるいはその他の形状にする構造も可能である。これにより、放射特性においては、アンテナ導体部の角部が少なくなることにより、角部での回折効果が少なくなりアンテナからの放射電波の交差偏波変換損失が少なくなるという効果がある。
【0258】
また、上記の実施の形態9〜14では、凹部125は、接地導体111および接地導体111と接合する側面導体113の一部を、外側から内側へ凹ませることにより形成された側壁125a、125b、125cに囲まれた領域であるとしたが、側壁は、接地導体111のみを凹ませて形成するようにしてもよい。また、側面導体113のみを凹ませて形成するようにしてもよい。
【0259】
また、本発明のアンテナ装置は、図58に示すように、複数の本発明のアンテナ301a〜301cを有するアンテナアレイ301と、このアンテナアレイ301と無線回路114とを有するアンテナアレイ装置としても実現して良い。このとき、無線回路114は、複数の回路114a、114b、114cによって構成され、それぞれの回路114a〜114cは、それぞれに対応したアンテナ301a〜301cを有し、それぞれの回路114a〜114cが、同一の信号の入出力を行うことにより本発明のアンテナ装置を形成している。なお、本発明のアンテナアレイ装置は、本発明のアンテナ装置を複数配列していればよく、配列するアンテナ装置の個数によって限定されるものではない。
【0260】
また、本発明のアンテナ装置の回路は、少なくとも導電性部材を含む部分がアンテナ内に配置されていれば、残りの部分はアンテナの外に設けられた構成であってもよく、回路の全ての構成をアンテナ内に含む必要はない。
【0261】
また、本発明のアンテナ装置は、回路部分がカートリッジとしてアンテナから脱着可能な構成であっても良い。例えば、図31に示す実施の形態5において、給電部116をコネクタ状の構成とすれば、同一のアンテナに対し、異なる種類の回路114を交換して接続して用いることができる。これは、例えばアンテナ装置を携帯電話用、PHS用等の交換基地局として用いる場合、カートリッジとして回路を交換するだけで、交換基地局を一台で異なる複数の通信装置に対応させることができる効果がある。
【0262】
さらに、本発明のアンテナ装置において、底面部材と側面部材とによって囲まれる空間内に配置される回路は、図59に示すように、互いに異なる無線方式を有するサブ回路114x、114y、114z、およびサブ回路114x、114y、114zのいずれかと本発明のアンテナ401とを切り替えて接続する切換手段402とを備えた構成であっても良い。これにより、同一のアンテナ装置で、複数種類の無線方式を扱うことができる。
【0263】
なお、上記の各実施の形態において、接地導体111は本発明の底面部材の一例であり、給電部116は本発明の給電点の一例であり、アンテナ素子112は本発明の導電性部材の一例であり、側面導体113は本発明の側面部材の一例であり、天井導体117は本発明の天井部材の一例である。また開口118は、本発明の天井部分によって覆われなかった、本発明の空間の残りの部分の一例である。また凹部125は、本発明の凹みの一例である。
【0264】
したがって、実施の形態9〜14のアンテナ装置は、回路114を省いた構成である、本発明のアンテナとして実現してもよく、この場合、各実施の形態は、底面部材と側面部材とによって囲まれた空間内に固定されている導電性部材を有する本発明のアンテナの実施の形態ということになる。
【0265】
また、本発明のアンテナ装置は、実施の形態1〜7のアンテナ内に、回路114の全部または一部を設けることによって実現してもよい。
【0266】
以上のような本発明は、例えば接地導体と、前記接地導体の表面に位置する給電部と、前記給電部に接続されたアンテナ素子と、前記アンテナ素子を含む空間の周囲を前記アンテナ素子から離間して囲む側面導体とを有しており、これにより、平面的な大きさをあまり大きくすることなく、アンテナ水平面に沿った電波放射を強めることができる。これは次のような理由によっている。側面導体が接地導体の周縁部として機能するために、電波の回折を有効に防止してアンテナ水平方向に沿った電波放射を強めることができる。しかも、側面導体は接地導体に対して立ち上がる向きに配置されるので、モノポールアンテナの平面的な大きさはほとんど大きくならない。
【0267】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記アンテナ素子を挟んで前記接地導体に対向する天井導体を有しており、これにより、アンテナ垂直方向に沿った大きさを小さくすることができる。これは次のような理由によっている。天井導体がアンテナ素子の先端部として機能するために、その分、アンテナ素子の長さ寸法を小さくすることができ、それに伴って、アンテナ垂直方向の大きさが小さくなる。
【0268】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記天井導体の端部を前記側面導体に電気的に接続しており、これにより、水平面に沿った電波の指向性を任意に調整することができる。これは次のような理由によっている。天井導体の端部を側面導体に接続すると、そこから電流が接地導体に向けて漏れる。そのため、天井導体からその接続点に沿って外側に延びる方向には電波がほとんど放射されなくなる。そこで、天井導体と側面導体との接続点をどの方向に沿って設けるかを設定することで水平面に沿った電波の指向性を任意に設定することができる。
【0269】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記天井導体の中央部分を円形形状にしており、これにより、水平面に沿った電波の指向性をさらに任意に調整することができる。これは次のような理由によっている。天井導体の端部を側面導体に接続すると、その接続点に沿って外側に延びる方向に電波の極小点が形成されることでその指向性を調整できる。しかしながら、場合によっては、電波の極小点における放射レベルが所望レベルより小さくなりすぎることがある。これに対して、天井導体の中央部分を円形形状にすると、その円形部分の全周から電波が放射されるために、その部分での電波放射は、水平面にほぼ無指向となる。そのため、電波の放射は、円形部分からの放射と、それ以外の部分からの放射とを混合したものとなり、電波の極小点を補填することができる。なお、この円形部分からの電波の放射量は、円形部分の大きさを変えることで調整できる。
【0270】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記側面導体を前記接地導体に電気的に接続しており、これにより、入力インピーダンスの整合を図ることができる。これは次のような理由によっている。天井導体を設けることで、アンテナ垂直方向の大きさを小さくすると、天井導体と接地導体とが互いに近接して配置されることになり、両者の間に容量成分が生じて入力インピーダンスの不整合が発生する恐れがある。これに対して、本発明では、天井導体が側面導体を介して接地導体に電気的に接続されるために、これら導体の間に導通ループが生じる結果、インダクタンスが発生する。そのため、生したインダクタンスにより前記容量成分が相殺されて、インピーダンスの不整合が解消される。
【0271】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記接地導体と前記側面導体と前記天井導体とのうちの少なくとも1つは開口を有しており、開口形成時において開口の位置や大きさ等を任意に調整することにより電波指向性を任意に設定することができる。
【0272】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記開口の大きさを調整する手段を有しており、この調整手段により開口の大きさを調整することで、開口形成後であっても指向性及びインピーダンスを任意に微調整することができる。
【0273】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記給電部を原点に配置し、前記接地導体をX−Y平面に配置し、接地導体と前記側面導体とを、Z−Y平面に対して対称な構造にし、前記開口を、Z−Y平面に対して対称に配置しており、これにより電波の指向性をZ−Y平面に対して対称にすることができる。
【0274】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記接地導体と前記側面導体とを、Z−X平面に対して対称な構造にし、前記開口を、Z−X平面に対して対称に配置しており、これにより、電波の指向性をZ−X平面に対して対称にすることができる。
【0275】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記アンテナ素子を前記天井導体に電気的に接続しており、これにより、モノポールアンテナの構造が安定するうえに、アンテナのインピーダンスも安定になり、アンテナの特性が改善される。
【0276】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記接地導体と前記側面導体とに囲まれた空間に、空気より誘電率の高い誘電体を設けており、これにより、アンテナをより小形、低背な構造にすることができる。
【0277】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記空間を前記誘電体により全て充填しており、これにより、アンテナをより小形、低背な構造にすることができるうえに、アンテナ内部空間に隙間となる空間が存在しなくなるので、アンテナ内部空間に埃が入らなくなるうえに結露も生じにくくなり、信頼性が向上する。
【0278】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記誘電体を、前記側面導体で囲まれた空間の蓋体として構成し、前記接地導体または前記天井導体をこの誘電体上に設けており、これにより、アンテナ内部空間に埃が入らなくなるうえに結露も生じにくくなり、信頼性が向上する。また、誘電体を蓋体とすることでアンテナ内部空間の密封を簡単に行えるようになる。
【0279】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記側面導体を前記誘導体に形成したバイアホールから構成しており、これにより、側面導体の形成が容易になる。これは、バイアホールが汎用の基板製造方法により比較的簡単に形成することができるためである。
【0280】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記アンテナ素子から離間して配置された少なくとも一つの整合素子を有しこの整合素子を前記接地導体に電気的に接続しており、これにより、アンテナのインピーダンスを変化させて整合状態を良好にすることができる。
【0281】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記整合素子のうちの少なくとも一つを、前記アンテナ素子に電気的に接続しており、これにより、モノポールアンテナの入力インピーダンスを高くすることが可能になる。
【0282】
また、本発明は、例えば上記本発明のモノポールアンテナにおいて、前記整合素子のうちの少なくとも一つを、前記天井導体に電気的に接続しており、これにより、モノポールアンテナのインピーダンスを変化させることが可能となる。
【0283】
また、本発明は、例えばモノポールアンテナと、前記モノポールアンテナに供給する送信信号と前記モノポールアンテナから供給される受信信号とを増幅する増幅手段と、送受信信号の周波数を選択する周波数選択手段と、前記モノポールアンテナと前記増幅手段と前記周波数選択手段とを収納する筺体と、を有し、前記モノポールアンテナは、接地導体と、前記接地導体の表面に位置する給電部と、前記給電部に接続されたアンテナ素子と、前記アンテナ素子を含む空間の周囲を前記アンテナ素子から離間して囲む側面導体と、前記アンテナ素子を挟んで前記接地導体と対向する天井導体と、前記接地導体と前記側面導体とに囲まれた空間に設けられ、空気より誘電率の高い誘電体と、前記接地導体と前記側面導体と前記天井導体とのうちの少なくともひとつに設けられた開口とを有し、前記筺体表面に凹部を設け、この凹部に前記モノポールアンテナを収納配置して無線装置を構成しており、これにより、小型低背化を維持向上させたうえで、景観上、優れた無線装置を構成できるようになる。これは、次のような理由によっている。モノポールアンテナを筺体表面の凹部に収納するので、モノポールアンテナが外側から見えにくくなるためである。さらには、この無線装置が有するモノポールアンテナは、上述した本発明に記載したものと同様、小型低背化が促進されたものとなっているので、モノポールアンテナを一体に組み込んだにもかかわらず、無線装置の小型低背化を妨げることはほとんどない。
【0284】
また、本発明は、例えば複数のモノポールアンテナを有し、これらモノポールアンテナは、接地導体と、前記接地導体の表面に位置する給電部と、前記給電部に接続されたアンテナ素子と、前記アンテナ素子を含む空間の周囲を前記アンテナ素子から離間して囲む側面導体と、前記アンテナ素子を挟んで前記接地導体に対向する天井導体とを有し、各モノポールアンテナの水平面指向性が極小となる方向を一致させてこれらモノポールアンテナを整列配置することで、モノポールアンテナの配置構造を構成しており、これにより、隣接するモノポールアンテナそれぞれが行う電波送受信による相互影響が最小となり、両者のアイソレーションが良好になる。
【0285】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、簡単な構造で放射指向性を変化させることが可能で工作精度に優れたアンテナを実現するとともに、アンテナ内部に回路を配置することにより、小形なアンテナ装置、アレイアンテナ装置および無線装置を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)本発明の実施の形態1におけるモノポールアンテナの概観斜視図である。
(B)本発明の実施の形態1におけるモノポールアンテナの断面図である。
【図2】実施の形態1の動作原理を示す図である。
【図3】実施の形態1の試作例を示す概観斜視図である。
【図4】実施の形態1の試作例の放射指向性を示す図である。
【図5】実施の形態1の試作例のインピーダンス特性を示す図である。
【図6】(A)本発明の実施の形態2におけるモノポールアンテナの概観斜視図である。
(B)本発明の実施の形態2におけるモノポールアンテナの断面図である。
【図7】実施の形態2の試作例を示す概観斜視図である。
【図8】実施の形態2の試作例の放射指向性を示す図である。
【図9】実施の形態2の試作例のインピーダンス特性を示す図である。
【図10】(A)本発明の実施の形態3におけるモノポールアンテナの概観斜視図である。
(B)本発明の実施の形態3におけるモノポールアンテナの断面図である。
【図11】(A)本発明の実施の形態4におけるモノポールアンテナの概観斜視図である。
(B)本発明の実施の形態4におけるモノポールアンテナの断面図である。
【図12】実施の形態4の試作例を示す概観斜視図である。
【図13】実施の形態4の試作例の放射指向性を示す図である。
【図14】実施の形態4の試作例のインピーダンス特性を示す図である。
【図15】実施の形態4の変形例を示す概観斜視図である。
【図16】(A)本発明の実施の形態5におけるモノポールアンテナの概観斜視図である。
(B)本発明の実施の形態5におけるモノポールアンテナの断面図である。
【図17】(A)本発明の実施の形態6におけるモノポールアンテナの概観斜視図である。
(B)本発明の実施の形態6におけるモノポールアンテナの断面図である。
【図18】(A)本発明の実施の形態7におけるモノポールアンテナの概観斜視図である。
(B)本発明の実施の形態7におけるモノポールアンテナの断面図である。
【図19】(A)本発明の実施の形態7におけるモノポールアンテナの第1の変形例の概観斜視図である。
(B)本発明の実施の形態7におけるモノポールアンテナの第1の変形例の断面図である。
【図20】(A)本発明の実施の形態7におけるモノポールアンテナの第2の変形例の概観斜視図である。
(B)本発明の実施の形態7におけるモノポールアンテナの第2の変形例の断面図である。
【図21】本発明の実施の形態8における無線装置のシステム構成の一例を示す図である。
【図22】実施の形態8における無線装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図23】実施の形態8における無線装置の構成を示す分解斜視図である。
【図24】実施の形態8における無線装置の構成の他の例を示すブロック図である。
【図25】実施の形態8における無線装置の構成のさらに他の例を示すブロック図である。
【図26】実施の形態8の無線装置に組み込まれる光カプラの構成の一例を示すブロック図である。
【図27】本発明の各実施の形態のモノポールアンテナに組み込まれる開口制御装置の構成の一例を示す図である。
【図28】(A)本発明の変形例の概観斜視図である。
(B)本発明の変形例の断面図である。
【図29】(A)本発明の他の変形例の概観斜視図である。
(B)本発明の他の変形例の断面図である。
【図30】本発明のさらに他の変形例を示す概観斜視図である。
【図31】図31の変形例の放射指向性を示す図である。
【図32】本発明のモノポールアンテナの配置例を示す斜視図である。
【図33】図32の配置例におけるアイソレーションの測定結果を示す図である。
【図34】本発明のさらに他の変形例を示す概観斜視図である。
【図35】図34の変形例の放射指向性を示す図である。
【図36】第1の従来例のモノポールアンテナの構成を示す概観斜視図である。
【図37】(A)第1の従来例のモノポールアンテナの放射指向性を示す図である。
(B)第1の従来例のモノポールアンテナの放射指向性を示す図である。
(C)第1の従来例のモノポールアンテナの放射指向性を示す図である。
(D)第1の従来例のモノポールアンテナの放射指向性を示す図である。
【図38】第2の従来例のモノポールアンテナの構成を示す概観斜視図である。
【図39】第2の従来例のモノポールアンテナの放射指向性を示す図である。
【図40】本発明の実施の形態9におけるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。
【図41】本発明の実施の形態10におけるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。
【図42】本発明の実施の形態11におけるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。
【図43】本発明の実施の形態11におけるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。
【図44】本発明の実施の形態12におけるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。
【図45】本発明の実施の形態12におけるアンテナ装置の試作器の一例を示す図である。
【図46】本発明の実施の形態9〜14におけるアンテナ装置の試作器の回路の構成の一例を示す図である。
【図47】本発明の実施の形態9〜14におけるアンテナ装置の試作器の回路の構成の一例を示す図である。
【図48】本発明の実施の形態12におけるアンテナ装置の試作器の放射特性を示す図である。
【図49】本発明の実施の形態12におけるアンテナ装置のアンテナ単体時の放射特性を示す図である。
【図50】本発明の実施の形態12におけるアンテナ装置の試作器のインピーダンス特性を示す図である。
【図51】本発明の実施の形態13におけるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。
【図52】本発明の実施の形態13におけるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。
【図53】本発明の実施の形態14におけるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。
【図54】本発明の実施の形態14におけるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。
【図55】一般のアンテナ装置の構成を示す図である。
【図56】本発明のアンテナ装置における回路の大きさを説明するための図である。
【図57】(a)本発明のアンテナ装置における回路の配置を説明するための図である。
(b)本発明のアンテナ装置における回路の配置を説明するための図である。
(c)本発明のアンテナ装置における回路の配置を説明するための図である。
【図58】本発明のアンテナアレイ装置の構成を模式的に示す図である。
【図59】本発明のアンテナアレイ装置における回路の別の構成例を示す図である。
【符号の説明】
11 接地導体
12 同軸給電部
13 アンテナ素子
14 側面導体
15 天井導体
16,17 開口空間
18,19 整合導体
20 開口制御装置
111 接地導体
112 アンテナ素子
113 側面導体
114 回路
115 遮断導体
116 給電部
117 天井導体
118 開口
119 接続点
120 高周波フィルタ
121 増幅回路
122 レーザダイオード
123 光ファイバ
124 フォトダイオード
125 凹部
126 蓋導体
131a 送信アンテナ
131b 受信アンテナ
132a、32b 信号伝送ケーブル
133 無線回路

Claims (38)

  1. 導電性の底面部材と、
    導電性の側面部材と、
    前記底面部材と前記側面部材とによって囲まれた空間内に配置された導電性部材と
    前記空間の全部または一部を覆う、導電性の天井部材とを備え、
    前記導電性部材は、送信および/または受信のための信号線と接続されているアンテナ。
  2. 前記底面部材は接地導体として接地されている請求項1に記載のアンテナ。
  3. 前記底面部材は、その表面上に給電点を有する請求項1に記載のアンテナ。
  4. 導電性の底面部材と、
    導電性の側面部材と、
    前記底面部材と前記側面部材とによって囲まれた空間内に配置された導電性部材とを備え、
    前記導電性部材は、送信および/または受信のための信号線と接続されており、
    前記底面部材は、その表面上に給電点を有し、
    前記導電性部材と前記底面部材とが、前記信号線または前記給電点以外の場所で接続しているアンテナ。
  5. 導電性の底面部材と、
    導電性の側面部材と、
    前記底面部材と前記側面部材とによって囲まれた空間内に配置された導電性部材とを備え、
    前記導電性部材は、送信および/または受信のための信号線と接続されており、前記導電性部材と前記側面部材とが接続しているアンテナ。
  6. 前記導電性部材と前記天井部材とが電気的および/または機械的に接続している請求項に記載のアンテナ。
  7. 前記天井部材と前記側面部材とが電気的に接続している請求項に記載のアンテナ。
  8. 前記天井部材は、その縁部が曲線形状を有することを特徴とする請求項に記載のアンテナ。
  9. 前記底面部材および/または前記側面部材は開口部を有する請求項1に記載のアンテナ。
  10. 前記天井部材は開口部を有する請求項に記載のアンテナ。
  11. 前記開口部はその大きさを調整する手段を有する請求項または10に記載のアンテナ。
  12. 前記導電性部材の前記底面部材への射影を原点とし、前記底面部材がX−Y平面に配置された場合、前記底面部材と前記側面部材とが、Z−Y平面に対して対称な構成を有し、前記開口部が、Z−Y平面に対して対称に配置される請求項10に記載のアンテナ。
  13. 前記底面部材と側面部材とが、Z−X平面に対して対称な構成を有し、前記開口部が、Z−X平面に対して対称に配置される請求項12に記載のアンテナ。
  14. 前記空間内に設けられた、空気より誘電率の高い誘電体を備えた請求項1に記載のアンテナ。
  15. 前記誘電体は、少なくとも前記天井導体によって覆われなかった前記空間の一部を覆うように設けられる請求項14に記載のアンテナ。
  16. 前記誘電体は前記空間内をすべて充填する請求項14に記載のアンテナ。
  17. 前記誘電体はバイアホールを有し、
    前記側面部材は、前記バイアホールから構成される請求項16に記載のアンテナ。
  18. 前記導電性部材から所定の距離だけ離して配置された少なくとも一つの整合素子をさらに備え、
    前記整合素子と前記底面部材とは電気的に接続される請求項1に記載のアンテナ。
  19. 前記整合素子のうちの少なくとも一つを、前記導電性部材に電気的に接続する請求項18に記載のアンテナ。
  20. 前記整合素子のうちの少なくとも一つを、前記天井部材および/または前記側面部材に電気的に接続する請求項18に記載のアンテナ。
  21. 請求項1に記載のアンテナの配列方法であって、
    水平面指向性が極小となる方向を一致させて、複数の前記アンテナを整列配置するアンテナの配列方法。
  22. 請求項1に記載のアンテナと、
    前記空間内に配置されるとともに、前記信号線と接続された、送信および/または受信のための回路の全部または一部とを備えたアンテナ装置。
  23. 前記回路の全部または一部を覆う遮蔽部材をさらに備え、
    前記遮蔽部材は、前記導電性部材と電気的に接触しない請求項22に記載のアンテナ装置。
  24. 前記遮蔽部材は、前記底面部材および/または前記側面部材の一部の凹みとして形成されており、
    前記回路の全部または一部は、前記凹部内に配置される請求項23に記載のアンテナ装置。
  25. 前記凹部を覆って前記回路の全部または一部を収納する蓋部材をさらに備え、
    前記蓋部材は、前記底面部材および/または前記側面部材と電気的に接続する請求項24に記載のアンテナ装置。
  26. 前記回路が受動回路により構成されている請求項22に記載のアンテナ装置。
  27. 前記回路に能動素子が含まれている請求項22に記載のアンテナ装置。
  28. 前記回路にマイクロ波回路が含まれている請求項22に記載のアンテナ装置。
  29. 前記回路に光受動素子が含まれている請求項22に記載のアンテナ装置。
  30. 前記回路に光能動素子が含まれている請求項22に記載のアンテナ装置。
  31. 前記回路はICを有する請求項22に記載のアンテナ装置。
  32. 前記回路は、前記アンテナ装置を天井部材の側から、前記天井部材に垂直に眺めた場合、前記天井部材に隠れて見えなくなる大きさを有する請求項22に記載のアンテナ装置。
  33. 請求項22に記載のアンテナ装置を複数配列したアレイアンテナ装置であって、
    複数の前記アンテナ装置内の前記回路は、それぞれ同一の信号の入出力を行うアレイアンテナ装置。
  34. 前記回路は、前記アンテナから脱着可能なカートリッジ形態を有する請求項22に記載のアンテナ装置。
  35. 前記回路は、互いに異なる無線方式を有する複数のサブ回路と、
    前記サブ回路のいずれかと、前記アンテナとの接続を切り換える切換手段とを備えた請求項22に記載のアンテナ装置。
  36. 前記回路は、前記アンテナ装置を天井部材の側から、前記天井部材に垂直に眺めた場合、前記天井部材に隠れて見えなくなる位置に配置されている請求項22に記載のアンテナ装置。
  37. 前記回路は、前記送信および/または受信のための信号を増幅する増幅手段と、前記送信または前記受信信号の周波数を選択する周波数選択手段とを備えた請求項22に記載のアンテナ装置。
  38. 請求項22から32、34から37のいずれかに記載のアンテナ装置、または請求項33に記載のアレイアンテナ装置と、
    前記回路に設けられた電源回路とを備えた無線装置。
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