JP4576761B2 - 水分散性ポリイソシアネート組成物、水性硬化性組成物、水性硬化性組成物を含む水性塗料および水性接着剤 - Google Patents

水分散性ポリイソシアネート組成物、水性硬化性組成物、水性硬化性組成物を含む水性塗料および水性接着剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料、接着剤、結合剤、含浸剤、繊維加工剤などの工業分野において有用なる水分散性ポリイソシアネート組成物に関する。
さらに詳細には、ポリイソシアネートと、当該ポリイソシアネートの水への分散剤として機能するポリイソシアネートと特定の活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン化合物との反応物とからなる水分散性ポリイソシアネート組成物に関する。
さらに、上記水分散性ポリイソシアネート組成物と各種水性樹脂を含んで成る水性硬化性組成物、あるいは、上記水分散性ポリイソシアネート組成物と水を含んで成る水性硬化性組成物、およびこれらの水性硬化性組成物を含む、水性塗料ならびに水性接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題から揮発性有機溶剤の使用量低減が強く求められている。この要求に応えるため、多くの分野でポリイソシアネートを含む有機溶剤系の組成物を水性化する試みが行われてきた。これらの要求に応えるため、ポリイソシアネートに含有されるイソシアネート基の一部を片末端がアルコキシ基で封鎖されたポリオキシエチレングリコールで変性して得られる水分散性ポリイソシアネート組成物が開発されてきた。(特許第2130510号、特許第2961475号等)
【0003】
しかしながら、こうした水分散性ポリイソシアネート組成物は、水への分散性が不十分であり、当該組成物と水あるいは活性水素含有基を含む水性樹脂から得られる硬化物の外観も満足できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した如き従来技術に於ける問題点を解決し、水への分散性に優れる水分散性ポリイソシアネート組成物を提供すること、当該ポリイソシアネート組成物と水から成る硬化性に優れ、耐水性に優れる硬化物を与える水性硬化性組成物を提供すること、当該ポリイソシアネート組成物と活性水素含有基を有する水性樹脂から成る硬化性に優れ、高外観の硬化物を与える水性硬化性組成物を提供すること、さらには、前記した水性硬化組成物を含む水性塗料ならびに水性接着剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリイソシアネートと、1分子中に1個の活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン化合物及び1分子中に2個以上の活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン化合物とを、特定の比率で反応せしめて得られた反応生成物と、ポリイソシアネートとからなる組成物が、水に対する分散性に優れること、当該水分散液が硬化性に優れ、耐水性に優れる硬化物を与えること、さらに当該ポリイソシアネート組成物と活性水素含有基を有する水性樹脂を含んで成る組成物が硬化性に優れ、高外観の硬化物を与えることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、ポリイソシアネート(A)と活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン化合物(B)とを反応させて得られた水分散性ポリイソシアネート組成物において、当該化合物(B)が活性水素含有基を1個有するポリオキシアルキレン化合物(B−1)と活性水素含有基を2個以上有するポリオキシアルキレン化合物(B−2)を併用したものであって、ポリイソシアネート(A)に含まれるイソシアネート基のモル数/ポリオキシアルキレン化合物(B)に含まれる活性水素含有基のモル数なる比率が2〜15であることを特徴とする水分散性ポリイソシアネート組成物を提供するものである。
【0007】
また本発明は、上記水分散性ポリイソシアネート組成物と活性水素含有基を有する水性樹脂(C)とを含んでなる水性硬化性組成物、ならびに上記水分散性ポリイソシアネート組成物と水とを含んでなる水性硬化性組成物を提供するものである。
【0008】
さらには、本発明は上記水性硬化性組成物を含んでなる水性塗料、ならびに上記水性硬化性組成物を含んでなる水性接着剤を提供するものである。
【0009】
【発明の実態の形態】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
本発明の水分散性ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート(A)と活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン化合物(B)とを反応させて得られたものであって、ポリイソシアネート(A)と化合物(B)との反応生成物、及び未反応のポリイソシアネート(A)の混合物である。
【0010】
まず本発明における、ポリイソシアネート(A)としては、公知慣用の各種のものを用いることができる。かかるポリイソシアネートの代表的なものとしては、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、エチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート;1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、2−イソシアナートエチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエートの如き脂肪族トリイソシアネート;
【0011】
1,3−または1,4−ビス(イソシアナートメチルシクロヘキサン)、1,3−または1,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、3,5,5−トリメチル(3−イソシアナートメチル)シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,5−または2,6−ジイソシアナートメチルノルボルナンの如き脂環族ジイソシアネート;2,5−または2,6−ジイソシアナートメチル−2−イソシネートプロピルノルボルナンの如き脂環族トリイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネートの如きアラルキレンジイソシアネート;
【0012】
m−またはp−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−または2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート; トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)チオホスフェートの如き芳香族トリイソシアネート;
【0013】
前記した如き各種のジイソシアネートあるいはトリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化二量化して得られるウレトジオン構造を有するジイソシアネートあるいはポリイソシアネート;前記した如き各種のジイソシアネートあるいはトリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化三量化して得られるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート;前記した如き各種のジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを水と反応させることにより得られるビュレット構造を有するポリイソシアネート;前記した如き各種のジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを二酸化炭素と反応せしめて得られるオキサダイアジントリオン構造を有するポリイソシアネート;前記した如き各種のジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを、ポリヒドロキシ化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリアミン化合物の如き活性水素を含有する化合物と反応させて得られるポリイソシアネート、等が挙げられる。そして、これらの中では、脂肪族系あるいは脂環族系のジイソシアネートまたはトリイソシアネート、アラルキレンジイソシアネートあるいは、それらから誘導されるポリイソシアネートが特に好ましい。
【0014】
本発明で使用される活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン化合物(B)は、本発明のポリイソシアネート組成物に優れた水への分散性を付与する機能を有する。
【0015】
ポリオキシアルキレン化合物(B)に含有される活性水素含有基としては、公知の各種のものが挙げられ、その代表的なものとしては、水酸基、カルボキシル基、燐酸基、亜燐酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、メルカプト基、シラノール基、活性メチレン基、カーバメート基、ウレイド基、カルボン酸アミド基等が挙げられる。そして、これらのなかで好ましいものは、水酸基、アミノ基、カルボキシル基および活性メチレン基であり、特に好ましいものは水酸基である。こうした各種の活性水素含有基は単独で存在してもよいし、2種類以上が存在してもよい。
【0016】
ポリオキシアルキレン化合物(B)としては、1分子中に1個の活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン化合物(B−1)と1分子中に2個以上の活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン化合物(B−2)を併用される。こうれにより水分散性ポリイソシアネート組成物の水に対する分散性が優れたものとなる。また当該水分散性ポリイソシアネート組成物と活性水素含有基を有する水性樹脂からなる水性硬化性組成物、あるいは当該水分散性ポリイソシアネート組成物と水からなる水性硬化性組成物を用いて得られる硬化物の外観が優れたものとなる。
ポリオキシアルキレン化合物(B−2)に含まれる好ましい1分子当たりの活性水素含有基の数は、2〜4であり、より好ましくは、2〜3であり、最も好ましくは2である。
【0017】
ポリオキシアルキレン化合物(B)としては、公知慣用の各種のものを使用できるが、ポリオキシエチレン化合物、ポリオキシプロピレン化合物、ポリオキシブチレン化合物の如き、各種のポリオキシアルキレン単独重合体;ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)化合物の如き、オキシアルキレン単位の2種以上がランダムに結合したランダム重合体;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン化合物の如き、相異なるポリオキシアルキレン単位がブロック状に結合したブロック共重合体;ジオキソラン環の開環重合によって得られるポリオキシアルキレン化合物が好ましい。そして、これらのうち、特に好ましいものはポリオキシエチレン化合物である。
【0018】
ポリオキシアルキレン化合物(B)における平均オキシエチレン単位数は、水に対する分散性と水中でのイソシアネート基の安定性の観点から、3〜15が好ましく、より好ましくは5〜12であり、さらにより好ましくは8〜10である。
【0019】
ポリオキシアルキレン化合物(B)の一成分として使用される、活性水素含有基を1個有するポリオキシアルキレン化合物(B−1)として好ましいものは、上掲した各種のポリオキシアルキレン化合物の一方の末端がアルコキシ基で封鎖され、且つ、他方の末端に活性水素含有基を有するものである。かかる好ましいポリオキシアルキレン化合物(B−1)において、末端封鎖に使用されるアルコキシ基の代表的なものとしては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。かかる末端モノアルコキシ化ポリオキシエチレン化合物の好ましいものとしては、オキシエチレン単位を含む各種のモノアルコキシ化ポリエーテルジオール類が挙げられ、特に好ましくは、モノメトキシポリエチレングリコール類である。
【0020】
ポリオキシアルキレン化合物(B)の一成分として使用される、活性水素含有基を2個以上有するポリオキシアルキレン化合物(B−2)として好ましい代表的なものは、ポリエチレングリコールもしくはオキシエチレン単位と、オキシプロピレン単位とを併有するポリエーテルジオールの如き、オキシエチレン単位を含む各種のポリエーテルジオール類;グリセリンやトリメチロールプロパン等の3価アルコールを重合開始剤に使用して、エチレンオキサイドあるいはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの両方を重合して得られるオキシエチレン単位もしくは、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とを併有するポリエーテルトリオール類;ペンタエリスリトールを重合開始剤に使用して、エチレンオキサイドあるいはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの両方を重合して得られるオキシエチレン単位もしくは、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とを併有するポリエーテルテトラオール類の如き3価以上のポリエーテルポリオール類、等が挙げられる。そして、これらのなかで特に好ましいものは、オキシエチレン単位を含むポリエーテルジオール類である。
【0021】
ポリオキシアルキレン化合物(B)として使用される化合物(B−1)と化合物(B−2)の使用比率は、水に対する分散性と水中でのイソシアネート基の安定性の観点から、[化合物(B−1)のモル数]/[化合物(B−2)のモル数]なる比が、0.01〜20、好ましくは、0.1〜5、最も好ましくは、0.5〜2、となる範囲に設定すればよい。
【0022】
ポリイソシアネート(A)と化合物(B)を反応させる場合の好ましい割合は、水に対する分散性の観点から、[ポリイソシアネート(A)に含有されるイソシアネート基の当量数]/[化合物(B)に含有される活性水素含有基の当量数]なる比率が、2〜15なる範囲内、さらに好ましくは、4〜12なる範囲内、最も好ましくは6〜10なる範囲内、である。
上記モル比にて反応させて得られた水分散性ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート(A)と化合物(B)との反応生成物、及び未反応のポリイソシアネート(A)の混合物である。
【0023】
ポリイソシアネート(A)と化合物(B−1)および化合物(B−2)から本発明の水分散性ポリイソシアネート組成物を得るには、[1]ポリイソシアネート(A)、化合物(B−1)、化合物(B−2)を一括仕込みをして反応させる、[2]ポリイソシアネート(A)と化合物(B−1)を一括仕込みをして反応させ、次いで、化合物(B−2)を添加しながら反応させる、[3]ポリイソシアネート(A)と化合物(B−2)を一括仕込みをして反応させ、次いで、化合物(B−1)を添加しながら反応させる、[4]ポリイソシアネート(A)を一括に仕込み、化合物(B−1)と化合物(B−2)の混合物を添加しながら反応させる、[5]ポリイソシアネート(A)を一括に仕込み、化合物(B−1)を添加しながら反応させ、次いで、化合物(B−2)を添加しながら反応させる、[6]ポリイソシアネート(A)を一括に仕込み、化合物(B−2)を添加しながら反応させ、次いで、化合物(B−1)を添加しながら反応させる、[7]化合物(B−1)と化合物(B−2)を一括に仕込み、ポリイソシアネート(A)を添加しながら反応させる、[8]化合物(B−1)を一括に仕込み、ポリイソシアネート(A)を添加しながら反応させ、次いで、化合物(B−2)を添加しながら反応させる、[9]化合物(B−2)を一括に仕込み、ポリイソシアネート(A)を添加しながら反応させ、次いで、化合物(B−1)を添加しながら反応させる、等の各種の方法を適用できる。
【0024】
これらの方法のうち好ましい方法は、[4]ポリイソシアネート(A)を一括に仕込み、化合物(B−1)と化合物(B−2)の混合物を添加しながら反応させる、[5]ポリイソシアネート(A)を一括に仕込み、化合物(B−1)を添加しながら反応させ、次いで、化合物(B−2)を添加しながら反応させる、[6]ポリイソシアネート(A)を一括に仕込み、化合物(B−2)を添加しながら反応させ、次いで、化合物(B−1)を添加しながら反応させる、方法である。
【0025】
かかる反応を行うに当たり、ポリイソシアネート(A)、化合物(B−1)、化合物(B−2)を、不活性ガス雰囲気下に、約10℃から50℃未満程度の比較的低い温度に長時間放置したり、長時間攪拌してもよいが、50〜130℃程度の温度で0.5〜20時間程度加熱・攪拌せしめるのが好ましい。また、かかる反応を行うに当たって、イソシアネート基と活性水素含有基の反応を促進する公知慣用の各種の触媒を添加してもよい。
【0026】
次に、本発明の水性硬化性組成物を得る際に使用される活性水素含有基を有する水性樹脂(C)について説明する。かかる水性樹脂(C)は、イソシアネート基と反応し得る活性水素含有基を有するものであれば良く、その形態、種類等は制限されない。かかる水性樹脂(C)に含有される活性水素含有基として代表的なものは、水酸基、カルボキシル基、スルフィン酸基、燐酸基、亜燐酸基、アミノ基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、カーバメート基、ウレイド基、アセトアセチル基の如き活性メチレン基を含有する基、等が挙げられる。そして、これらのうち好ましいものは水酸基、カルボキシル基、活性メチレン基であり、特に好ましいものは水酸基である。また、水性樹脂(C)の形態としては水溶性タイプ、コロイダルディスパージョンやエマルジョンの如き水分散性タイプ等の公知慣用の形態のものが挙げられる。
【0027】
そして、かかる水性樹脂(C)の代表的なものとしては、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、アクリル系樹脂、フルオロオレフィン系樹脂、シリコン変性ビニル系重合体、ポリビニルアルコールの如きビニル系重合体;ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコン系樹脂等のビニル系重合体以外の合成樹脂類;動物性たんぱく質、でんぷん、セルロース誘導体、デキストリン、アラビアゴム等の天然高分子が挙げられる。そして、これらのなかで好ましいものは、ビニル系重合体およびビニル系重合体以外の各種の合成樹脂である。
【0028】
上掲の如き水性樹脂(C)に含まれる活性水素含有基の量は、本発明の水性硬化性組成物の硬化性および硬化物の外観の点から、水性樹脂の固形分1000g当たり、0.1〜6モル、好ましくは0.2〜4モル、最も好ましくは、0.4〜3モルである。また、これらの水性樹脂(C)は、単独使用であってもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0029】
ポリイソシアネート組成物と水性樹脂(C)から本発明の水性硬化性組成物を調製する場合の好適な両者の混合比率は、当該硬化性組成物の硬化性、得られる硬化物の外観と機械的強度の点から、(1)[ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基の当量数]と、(2)[水性樹脂(C)に含有される活性水素含有基の当量数]、との比率(1)/(2)が0.1〜5、好ましくは0.3〜3、最も好ましくは、0.5〜2、となる範囲内に設定すれば良い。
【0030】
上述した本発明の水性硬化性組成物は、顔料を含まないクリヤーな組成物として使用することができるし、有機系あるいは無機系の公知慣用の各種の顔料を配合して着色組成物として使用することもできる。また、かかる組成物には、必要に応じて、各種用途に適した添加剤、例えば、充填剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、有機溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤または顔料分散剤のような、公知慣用の各種の添加剤類などをも配合して、使用することが出来る。
【0031】
着色塗料を調製する際に使用される顔料の代表的なものとしては、カーボン・ブラック、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、キナクリドン・レッドの如き、有機系顔料;酸化チタン、酸化鉄、チタンイエロー、銅クロムブラックの如き、金属酸化物系の無機系顔料;炭酸カルシウム、クレー、タルク、硫酸バリウムの如き、体質顔料;さらには、アルミニウムフレーク、パールマイカの如き、無機系のフレーク状の顔料等が挙げられる。
【0032】
そして、上述した水性硬化性組成物の一つの好ましい用途として、かかる組成物を含む水性塗料が挙げられ、かかる本発明の水性塗料は硬化性に優れるとともに、耐水性及び外観に優れる硬化塗膜を得られる。
【0033】
さらに、上述した水性硬化性組成物の一つの好ましい用途として、かかる組成物を含む水性接着剤が挙げられ、かかる本発明の水性接着剤は、硬化性に優れる、接着強度が高いなど、接着剤として優れた性能を有する。
【0034】
また、本発明の水分散性ポリイソシアネート組成物と水を混合せしめることにより本発明の一つである水性硬化組成物を得ることができる。かかる水性硬化性組成物を得るには、当該組成物のイソシアネート基の安定性、硬化性、当該組成物から得られる硬化物の性能の点から、当該ポリイソシアネート組成物の100重量部に対して、10〜1000 重量部の水、好ましくは50〜500重量部の水を添加して、両者を混合せしめればよい。
【0035】
かかる水分散性ポリイソシアネート組成物と水を混合せしめて得られる水性硬化性組成物は、顔料を含まないクリヤーな組成物として使用することができるし、有機系あるいは無機系の公知慣用の各種の顔料を配合して着色組成物として使用することもできる。また、必要に応じて、ポリイソシアネート組成物と水性樹脂(C)から得られる水性硬化性組成物に添加できるものとして例示した如き各種の添加剤等をも配合して使用することができる。
【0036】
こうして調製されるポリイソシアネート組成物と水を混合せしめて得られる水性硬化性組成物を含む本発明の塗料は、通常の水性塗料では浸透が困難である高密度の無機質基材、あるいは、無機質基材の切削面および小口部、実部等の切断面に浸透して付着し、基材を保護すると共に、上塗り塗料との付着性も良好で、高性能の下塗り水性塗料として使用できる。また、かかる水性塗料は、下塗り塗料にかぎらず、各種の基材の上塗り塗料として使用することもできる。
【0037】
また、こうして調製されるポリイソシアネート組成物と水を混合せしめて得られる水性硬化性組成物を含む本発明の接着剤は、硬化性に優れた各種の水性接着剤として使用することができる。
【0038】
上述した如き本発明の水性塗料が塗装される基材、および、上述した如き本発明の水性接着剤が塗布され被着体となる基材としては、公知慣用の種々のものが使用されるが、それらのうちでも特に代表的なものとしては、各種の金属基材、無機質基材、プラスチック基材、紙、合成繊維、天然繊維、ガラス繊維等の無機繊維、布、合成皮革、天然皮革、木質系基材等が挙げられる。
【0039】
かかる各種の基材のうち、金属基材の代表的なものとしては、鉄、ニッケル、アルミニウム、クロム、亜鉛、錫、銅または鉛等の金属;ステンレススチールもしくは真鍮の如き、前掲した各種金属の合金;前掲したような各種の金属あるいは合金であって、メッキや化成処理などが施された各種の表面処理金属が挙げられる。
【0040】
また、無機質基材とは、珪酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウムの如きカルシウム化合物から製造される硬化体;アルミナ、シリカ、ジルコニアの如き金属酸化物を焼結して得られるセラミック;各種の粘土鉱物を焼成して得られるタイル類;各種のガラス等が挙げられる。そして、カルシウム化合物から製造される硬化体の代表的なものとしては、コンクリートやモルタルの如きセメント組成物の硬化物、石綿スレート、軽量気泡コンクリート(ALC)硬化体、ドロマイトプラスター硬化体、石膏プラスター硬化体、けい酸カルシウム板等が挙げられる。
【0041】
プラスチック基材の代表的なものとしては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートもしくはポリエチレンテレフタレートの如き、熱可塑性樹脂の成形品;不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、架橋型ポリウレタン、架橋型のアクリル樹脂もしくは架橋型の飽和ポリエステル樹脂の如き、各種の熱硬化性樹脂の成形品等が挙げられる。
【0042】
また、前掲したような各種の基材であって、予め被覆が施された基材類、あるいは、当該被覆が施された基材類であって、しかも、その被覆部分の劣化が進んだような基材も使用することが出来る。
【0043】
こうした種々の基材は、用途に応じて、それぞれ、板状、球状、フィルム状、シート状、大型の構築物、複雑なる形状の組立物等の各種の形状で使用されるものであって特に制限はない。
【0044】
そして、上述した如き本発明の水性塗料を上述した如き基材に、刷毛塗り、ローラー塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、フロー・コーター塗装、ロール・コーター塗装の如き公知慣用の塗装方法でもって塗装し、次いで、常温に1〜10日間程度放置したり、約40〜約250℃なる温度範囲でもって、約30秒間〜2時間程度、加熱したりすることによって、外観に優れる硬化塗膜を得ることが出来る。
【0045】
また、上述した如き本発明の水性接着剤を上述した如き基材のうち、同一、あるいは異なる基材の少なくとも一方に、ヘラ、刷毛、スプレー、ロールの如き公知慣用の方法で塗布したのち接着し、次いで、常温に1〜10日間程度放置したり、約40〜約150℃なる温度範囲でもって、約5秒間〜2時間程度、加熱したり、必要に応じて加圧することによって、優れた接着強度を得ることが出来る。
【0046】
さらに、本発明の水性硬化性組成物は、塗料、接着剤以外の用途として、インキ、防水材、シーリング剤、天然繊維、合繊繊維、ガラス繊維の如き各種繊維や紙の含浸処理剤、天然繊維、合繊繊維、ガラス繊維の如き各種繊維や紙の表面処理剤等の各種の用途にも有効に利用できるものである。
【0047】
【実施例】
次に参考例、実施例および比較例により本発明を詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお文中の部、および%は、特に断りのない限り全て重量基準である。
【0048】
まず、実施例および比較例により、水分散性ポリイソシアネート組成物について説明するが、はじめに、実施例および比較例にて使用するポリイソシアネートを説明する。
【0049】
ポリイソシアネート(A−1)
ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略称する)系イソシアヌレート型ポリイソシアネートである「バーノックDN−980S」〔大日本インキ化学工業(株)製のイソシアネート基含有率(以下NCO基含有率と略称する)21重量%、不揮発分 100%〕
【0050】
ポリイソシアネート(A−2)
HDIとトリオールとの付加物タイプのポリイソシアネートである「バーノックDN−950」(大日本インキ化学工業(株)製、酢酸エチル溶液)から溶剤を除去したもの。NCO基含有率 17重量%、不揮発分 100%。
【0051】
実施例1〔水分散性ポリイソシアネート組成物(P−1)の調製〕
攪拌機、温度計、冷却管、窒素導入管を装備した4つ口のフラスコに、ポリオキシエチレン基の数平均分子量が400(オキシエチレン基の平均繰り返し単位が9.1)なるメトキシポリエチレングリコール(以下、MPEG−1と略称する) 12.9部、ポリオキシエチレン基の数平均分子量が400(オキシエチレン基の平均繰り返し単位が9.1)なるポリエチレングリコール(以下、PEG−1と略称する) 4.2部、 ポリイソシアネート(A−1) 100部を仕込み、窒素気流下で30分かけて90℃に昇温した後、90℃にて6時間反応させ、不揮発分が100%、NCO基含有率が16%なる水分散性ポリイソシアネートを得た。以下、これをポリイソシアネート組成物(P−1)と略称する。得られたポリイソシアネート組成物につき、水への分散性を評価した。この評価結果を第1表に示した。
【0052】
実施例2〔水分散性ポリイソシアネート組成物(P−2)の調製〕
実施例1のMPEG−1 12.9部、PEG−1 4.2部 に代えて、MPEG−1 4.3部、 PEG−1 8.4部、を使用する以外は実施例1と同様に反応を行って、不揮発分が100%、NCO基含有率が13.5%なる水分散性ポリイソシアネートを得た。以下、これをポリイソシアネート組成物(P−2)と略称する。得られた各ポリイソシアネート組成物につき、実施例1と同様にして、水への分散性を評価した。この評価結果を第1表に示した。
【0053】
比較例1〔比較例用ポリイソシアネート組成物(RP−1)の調製〕
実施例1のMPEG−1 12.9部、PEG−1 4.2部 に代えて、MPEG−1 17.2部を使用する以外は実施例1と同様に反応を行って、不揮発分が100%、NCO基含有率が16.4%なる比較用ポリイソシアネート組成物を得た。以下、これをポリイソシアネート組成物(RP−1)と略称する。得られたポリイソシアネート組成物は、実施例1と同様にして、水への分散性と得られた水分散液に含有されるイソシアネート基の安定性を評価した。これらの評価結果を第1表に示した。
【0054】
【表1】
Figure 0004576761
【0055】
《第1表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
「水分散性」:
200mlビーカーに入れて30℃に保持した脱イオン水の80gに、調製したポリイソシアネート組成物の20gを投入し、混合物を30℃にして、マグネチックスターラーと回転子(全長30mm、直径8mm)を用いて、200rpmなる攪拌速度で攪拌し、その分散挙動を目視で評価したものである。その際の評価基準は次の通りである。
【0056】
◎:攪拌開始から1分後には均一に分散
○:攪拌開始から5分後には均一に分散
△:攪拌開始から10分後でも分散しない成分が残る
×:分散しない
【0057】
参考例1〔水性樹脂(C−1)の調製〕
実施例1と同様の反応器に「ハイテノールN−08」〔第一工業製薬(株)製のアニオン性乳化剤〕 5部、「エマルゲン931」〔花王(株)製のノニオン性乳化剤〕 5部、脱イオン水 270部を仕込み、窒素気流下に80℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム 0.8部を脱イオン水 16部に溶解せしめた水溶液を投入した。
【0058】
さらに、ブチルアクリレート 80部、メチルメタクリレート 99部、 アクリル酸 4部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 17部からなる混合液を、3時間かけて滴下した。滴下後、80℃で2時間反応せしめた後、25℃まで冷却し、28%アンモニア水 1.5部で中和せしめ、ジエチレングリコールジエチルエーテル(以下EDEと略称する) 30部を混合して、不揮発分 40%、固形分水酸基価 35mgKOH/gなる水酸基含有アクリル樹脂エマルジョンを得た。以下この樹脂を水性樹脂(C−1)と略称する。
【0059】
実施例3
ポリイソシアネート組成物(P−1)と水性樹脂(C−1)を、イソシアネート基/水性樹脂(C−1)中の水酸基のモル比が1.2/1となるように、ポリイソシアネート組成物(P−1)の39.5部と水性樹脂(C−1)の500部を混合して水性硬化性組成物を調製した。以下、これを水性硬化性組成物(D−1)と略称する。得られた水性硬化性組成物(D−1)を、調製直後に、乾燥塗膜が60μmとなるようにアプリケーターを用いてガラス板上に塗布し、温度20℃、湿度60%RHの条件で1週間乾燥せしめて、硬化塗膜を作成した。得られた硬化塗膜について、外観を評価した。評価結果を第2表に示した。
【0060】
実施例4
水性樹脂(C)として、「ウォーターゾールACD−2000」〔大日本インキ化学工業(株)製の水酸基を含有するアクリル樹脂ディスパージョン、不揮発分 35%、固形分水酸基価 50mgKOH/g、以下、この樹脂を水性樹脂(C−2)と略称する〕500部を使用し、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基/水性樹脂中の水酸基のモル比が1.2/1となるように、第2表に記載した量のポリイソシアネート組成物を混合して水性硬化性組成物を調製した。このようにして得た組成物を水性硬化性組成物(D−2)と略称する。こうして得た各水性硬化性組成物を実施例3と同様にして、調製直後に、ガラス板上に塗布し、温度20℃、湿度60%RHの条件で1週間乾燥せしめて、硬化塗膜を作成した。これらにつき、実施例3と同様の評価を行った。評価結果を第2表に示した。
【0061】
比較例2
水性樹脂(C)として(C−1)の500部を使用し、イソシアネート基/水性樹脂(C−1)中の水酸基のモル比が1.2/1となるように、第3表に記載した量のポリイソシアネート組成物を混合して比較評価用の硬化性組成物(RD−1)を調製した。実施例3と同様にして、調製直後に、ガラス板上に塗布乾燥して硬化塗膜を作成した。これらにつき、実施例3と同様の評価を行った。評価結果を第2表に示した。
【0062】
【表2】
Figure 0004576761
【0063】
《第2表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0064】
「相溶性」:
ガラス板上に作成した塗膜の透明性を目視で評価したものであり、透明性が高いほど外観が良好である。その際の評価基準は次の通りである。
【0065】
◎:全く濁りがない
○:ごくわずかに濁りがある
△:かなり濁りがある
×:著しく濁りがある
【0066】
実施例5および6
これらの実施例では、ポリイソシアネート組成物および水性樹脂(C)からなる白色塗料についての実施例を示す。ここに於いて使用した水性樹脂(C−3)の内容と、水性樹脂(C−3)とポリイソシアネート組成物から白色塗料を得る際に使用した塗料主剤成分の調製方法を下に示した。
【0067】
水性樹脂(C−3)
「ボンコートCG−5060」(大日本インキ化学工業(株)製の水酸基を含有するアクリル系樹脂エマルジョン、不揮発分 45%、固形分水酸基価 60mgKOH/g)。
【0068】
塗料主剤成分(E−1)の調製
脱イオン水 72.9部、「オロタンSG−1」(米国ローム&ハース社製の顔料分散剤) 6.7部、トリポリリン酸ソーダの10%水溶液 4.9部、「ノイゲンEA−120」〔第一工業製薬(株)製の湿潤剤〕2.2部、エチレングリコール 18.0部、「ベストサイド1087T」〔大日本インキ化学工業(株)製の防腐剤〕 1.0部、アンモニア水(28%) 0.5部、「チタニックスJR−600A」〔テイカ(株)製の酸化チタン〕 249.2部および「SNディフォーマー121」〔サンノプコ社製の消泡剤〕 0.8部から成る混合物をディスパーで約1時間分散した。これに、水性樹脂(C−3) 607.0部、「テキサノール」(米国イーストマンケミカル社製の造膜助剤) 38.2部、「プライマルQR−708」(ロームアンドハース社製の増粘剤)の10%水溶液 1.2部、「BYK−028」(BYKケミー社製の消泡剤) 0.2部を加えて攪拌し、不揮発分が52.5%、顔料重量濃度が48%なる塗料主剤成分(E−1)を得た。
【0069】
水性塗料の調製
第3表に記載した通りの比率で、塗料主剤成分(E−1)、各ポリイソシアネート組成物および水を混合して不揮発分が52%なる各水性塗料を調製した。尚、全ての実施例において、イソシアネート基/水性樹脂(C−3)中の水酸基なるモル比が1.5/1となるように配合を行った。このようにして調製した白色塗料を、以下、水性塗料(F−1)および(F−2)と略称する。
【0070】
かくして得られた水性塗料(F−1)および(F−2)それぞれを、調製直後に、乾燥膜厚が70μmとなるようにエアースプレー法でスレート板上に塗膜を作成した。ついで、温度20℃、湿度60%RHの雰囲気下で1週間乾燥せしめた。得られた各硬化塗膜について、外観を評価した。評価結果を第3表に示した。
【0071】
比較例3
第3表に示した各成分を同表に記載した比率で以て混合して比較用の水性塗料を調製した。なお、この比較例に於いてもイソシアネート基/水性樹脂(C−3)中の水酸基なるモル比が1.5/1となるように配合を行った。こうして得られた比較用の水性塗料(RF−1)を実施例5と同様にして、調製直後に、スレート板上に乾燥膜厚が70μmとなるようにスプレー塗装せしめ、同実施例と同様に乾燥せしめて硬化塗膜を調製した。得られた各硬化塗膜について、外観を評価した。評価結果を第3表に示した。
【0072】
【表3】
Figure 0004576761
【0073】
《第3表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0074】
「光沢」:
塗膜の60度鏡面反射率[%]なる光沢値で、塗膜の外観を評価したものである。この値が大きいほど塗膜外観が良好なことを示す。
【0075】
実施例7
水分散性ポリイソシアネート組成物(P−1)の100部と脱イオン水の100部を混合して、水性硬化性組成物を調製した。以下、これを水性硬化性組成物(G−1)と略称する。得られた水性硬化性組成物(G−1)を、調製直後に、乾燥塗膜が50μmとなるようにアプリケーターを用いてガラス板上に塗布し、温度20℃、湿度60%RHの条件で1週間乾燥せしめて、硬化塗膜を作成した。得られた硬化塗膜について、耐水性を評価した。評価結果を第4表に示した。
【0076】
実施例8および比較例4
ポリイソシアネート組成物(P−1)の100部に代えて、第4表に示した各種のポリイソシアネート組成物の100部を使用する以外は実施例7と同様にして、水性硬化性組成物を調製した。以下、このようにして得た組成物を水性硬化性組成物(G−2)および(RG−1)と略称する。こうして得た各水性硬化性組成物を実施例8と同様にして、調製直後に、ガラス板に塗布乾燥して硬化塗膜作成した。これらにつき、実施例7と同様の評価を行った。評価結果を第4表に示した。
【0077】
【表4】
Figure 0004576761
【0078】
《第4表の脚注》
原料類の使用割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0079】
「耐水性」:
ガラス板上に作成した塗膜を25℃に保った脱イオン水に48時間浸漬し、塗膜の外観を評価した。その際の評価基準は次の通りである。
【0080】
塗膜の白化の評価基準
◎:全く変化なし
○:ごくわずかに白化
△:かなり白化
×:著しく白化
【0081】
塗膜の膨れの判定基準
◎:全く変化なし
○:ごくわずかに膨れが発生
△:かなり膨れが発生
×:著しく膨れが発生
【0082】
実施例9
水分散性ポリイソシアネート組成物(P−1)の350部、脱イオン水 750部、「BYK−028」(BYKケミー社製の消泡剤) 0.2部を混合して水性塗料を調製した。以下、これを水性塗料(H−1)と略称する。得られた水性塗料(H−1)を、調製直後に、乾燥膜厚が30μmとなるようにエアースプレー法でけい酸カルシウム板上に塗膜を作成した。ついで、温度20℃、湿度60%RHの条件で1週間乾燥せしめた。得られた硬化塗膜について、付着性を評価した。
【0083】
また、水性塗料(H−1)を、調製直後に、乾燥膜厚が30μmとなるようにエアースプレー法でスレート板上に塗膜を作成し、温度20℃、湿度60%RHの条件で24時間乾燥した後、上塗り塗料として、実施例5の水性塗料(F−1)を、調製直後に、乾燥膜厚が60μmとなるようにエアースプレー法で塗装せしめた。ついで、温度20℃、湿度60%RHの条件で1週間乾燥せしめた。このようにして得た複層硬化塗膜について、付着性を評価した。これらの評価結果を第5表に示した。
【0084】
実施例10および比較例5
ポリイソシアネート組成物(P−1)の350部に代えて、第5表に示した各種のポリイソシアネート組成物の350部を使用する以外は、実施例9と同様にして、水性塗料を調製した。以下、これらを水性塗料(H−2)および(RH−1)と略称する。こうして得た各水性塗料を実施例9と同様にして、調製直後に、乾燥膜厚が30μmとなるようにエアースプレー法でけい酸カルシウム板上に塗膜を作成した。ついで、温度20℃、湿度60%RHの条件で1週間乾燥せしめた。得られた硬化塗膜について、付着性を評価した。
【0085】
また、水性塗料(H−2)および(RH−1)を、調製直後に、乾燥膜厚が30μmとなるようにエアースプレー法でスレート板上に塗膜を作成し、温度20℃、湿度60%RHの条件で24時間乾燥した後、上塗り塗料として、実施例5の水性塗料(F−1)を、調製直後に、乾燥膜厚が60μmとなるようにエアースプレー法で塗装せしめた。ついで、温度20℃、湿度60%RHの条件で1週間乾燥せしめた。このようにして得た複層硬化塗膜について、付着性を評価した。これらの評価結果を第5表に示した。
【0086】
【表5】
Figure 0004576761
【0087】
《第5表の脚注》
「付着性(1)」:
けい酸カルシウム板上に作成した塗膜に、カッターナイフを用いて2mm角の碁盤目が25個できるように縦横に2mm間隔の切り込みを作成した。ついで、セロハン粘着テープをその碁盤目に密着させてから剥離し、けい酸カルシウム板上に残存する塗膜の割合である残存率でもって評価した。残存率は下式により算出した。
【0088】
塗膜の残存率[%]=(剥離後残存する塗膜の面積/剥離前の碁盤目上の塗膜の面積)×100
【0089】
「付着性(2)」:
スレート板上に作成した複層塗膜について、上述の付着性(1)と同様の操作を行い、スレート板上に残存する塗膜の割合である残存率でもって評価した。この複層塗膜については、上塗り塗膜だけが剥離するケースと下塗り塗膜から剥離するケースの両方があるが、いずれのケースも塗膜が剥離して残存していないものとみなし、残存率を「付着性(1)」の場合と同様に算出した。
【0090】
【発明の効果】
本発明は、塗料、接着剤、繊維加工剤などの工業分野において、上述した如き従来技術に於ける種々の問題点を解決し、水への分散性、活性水素含有基を有する水性樹脂との相溶性等に優れる水分散性ポリイソシアネート組成物を提供すること、当該ポリイソシアネート組成物と水から成る、硬化性に優れ、耐水性に優れる硬化物を与える水性硬化性組成物を提供すること、当該ポリイソシアネート組成物と活性水素含有基を有する水性樹脂から成る、硬化性と外観に優れる硬化物を与える水性硬化性組成物を提供すること、さらには、前記した水性硬化組成物を含む水性塗料ならびに水性接着剤を提供することができる。

Claims (7)

  1. ポリイソシアネート(A)と活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン化合物(B)とを反応させて得られた水分散性ポリイソシアネート組成物において、当該化合物(B)が活性水素含有基を1個有するポリオキシアルキレン化合物(B−1)と活性水素含有基を2個有し、1分子平均3〜15個のオキシエチレン単位を有するポリオキシアルキレン化合物(B−2)を併用したものであって、ポリイソシアネート(A)に含まれるイソシアネート基のモル数/ポリオキシアルキレン化合物(B)に含まれる活性水素含有基のモル数なる比率が6〜10であることを特徴とする水分散性ポリイソシアネート組成物。
  2. ポリオキシアルキレン化合物(B−1)が、1分子平均3〜15個のオキシエチレン単位を有する、請求項1に記載の水分散性ポリイソシアネート組成物。
  3. ポリオキシアルキレン化合物(B−1)の重量/ポリオキシアルキレン化合物(B−2)の重量なる比率が、0.01〜10である請求項1又は2に記載の水分散性ポリイソシアネート組成物。
  4. 活性水素含有基を有し、コロイダルディスパージョン又はエマルジョンの形態をもつ水性樹脂(C)と請求項1〜3のいずれかに記載の水分散性ポリイソシアネート組成物を含んでなる水性硬化性組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の水分散性ポリイソシアネート組成物と水から成る水性硬化性組成物。
  6. 請求項4又は5に記載の水性硬化性組成物を含んでなる水性塗料。
  7. 請求項4又は5に記載の水性硬化性組成物を含んでなる水性接着剤。
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