JP4574809B2 - 多層樹脂延伸フィルム - Google Patents

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JP4574809B2 JP2000228460A JP2000228460A JP4574809B2 JP 4574809 B2 JP4574809 B2 JP 4574809B2 JP 2000228460 A JP2000228460 A JP 2000228460A JP 2000228460 A JP2000228460 A JP 2000228460A JP 4574809 B2 JP4574809 B2 JP 4574809B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット印刷したときに、オフセットインキ中のビヒクルによりフィルムが凹凸になったり、カールしたりするのを防止し、インキ乾燥性の遅延を改良した印刷性に優れた多層樹脂延伸フィルムに関する。この多層樹脂延伸フィルムは、トレーシングペーパー、地図、ブックカバー、包装紙、書籍用紙、ステッカー用紙、ポスター用紙、メニュー用紙、垂れ幕、ラベル、ショッピングバック、下敷き、カタログ、電飾看板等の素材として有用である。
【0002】
【従来の技術】
天然パルプ抄造紙に代わって、無機微細粉末を5〜40重量%含有するポリプロピレンの二軸延伸フィルムを基材層とし、この表裏面に無機微細粉末を8〜65重量%含有するポリプロピレンの一軸延伸フィルムを紙状層として形成した合成紙が提案され、実用化されている(米国特許第4,18,950号明細書、特公昭46−40794号公報、特公昭60−36173号公報、特公昭62−35412号公報等参照)。
通常、オフセット印刷、いわゆるリソグラフは、多色印刷が容易にできるので、紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、塗工紙等の印刷に使用されている。特に汎用の乾燥型オフセットインキは図1および表1の組成により構成されている。
【0003】
【表1】
Figure 0004574809
【0004】
図1に記載されるビヒクルは、印刷インキを構成する成分のうち液体の成分で、顔料を分散させてインキに流動性を与え、印刷機上で、インキ壺から各ローラー、版、ブランケットを経て被印刷面へと円滑に移動させることと、印刷後に固体に変化して、顔料を印刷面に固着させる役割を果たすものである。特に、近年では、印刷速度を向上させるために、オフセットインキの乾燥時間を短縮することが要求されているので、該インキのビヒクルとして乾性油に樹脂と鉱油(高沸点石油系溶剤)を配合した速乾性インキが使用されている。
【0005】
しかしながら、これら速乾型のオフセットインキを用いて、ポリオレフィンフィルムやポリオレフィンに無機微細粉末を含有させたフィルムの延伸物よりなる合成紙に印刷を施すと、速乾型オフセットインキに用いられているオフセットインキ中のビヒクルによりポリオレフィン自体が膨潤されて、印刷したフィルムの表面に部分的に凹凸を生じたり、カールしたりするため、実際に使用するのは困難であった。従って、ポリオレフィンフィルム用のオフセット用インキとして、速乾性を犠牲にした鉱油の配合されていない特殊なオフセットインキが使用されている。
【0006】
しかし、かかるポリオレフィンフィルム用の特殊なオフセットインキは、乾燥時間が長いことと、印刷所やインキ製造メーカーが限られるため、汎用の酸化重合型(乾燥油型)のオフセットインキを使用することができるポリオレフィンフィルムの出現が望まれていた。
すなわち、一般の印刷会社では、上質紙、コート紙等のパルプ系紙に一般に市販されている速乾性インキを用いてオフセット印刷しているため、上記ポリオレフィンフィルム或いは合成紙を印刷しようとすれば、その時だけ特殊な非吸収性素材用オフセットインキに切り替えて印刷をしなければならなかった。このインキの切り替えには多大な時間と人手がかかることから、一般の印刷会社では合成紙などのポリオレフィン系フィルムの印刷を積極的に行うことはせず、このことがポリオレフィンフィルム或いはポリオレフィン系合成紙のオフセット印刷用への普及を妨げる一つの要因になっていた。
【0007】
一方、ポリオレフィン系樹脂に非晶性樹脂を添加して多層フィルムの一部に使用する試みが、これまでにもなされている(特開平8−333466号公報)。
しかしながら、オフセットインキ中のビヒクル(特に鉱油等の高沸点石油系溶剤)が基材層に到達しフィルム全体が膨潤してしまう問題(以下「溶剤アタック」と略す)を解決するには至っていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の従来技術の問題を解決することを課題とした。すなわち本発明は、汎用の速乾性のオフセットインキを使用してオフセット印刷を施しても表面に凹凸が生じたり、フィルム全体にカールが発生しにくく、またインキの速乾性のある印刷性に優れた多層樹脂延伸フィルムを提供することを解決すべき課題とした。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂フィルムの表面層の下層として非晶性樹脂を適度な割合で配合し、この層を空孔率が低くなるように延伸することにより溶剤アタックを改良し、かつ表層に無機微細粉末または有機フィラーを適度に配合することによりインキの速乾性を改良し、印刷性の優れた多層樹脂延伸フィルムが得られるとの知見を得て本発明を完成するに至った。本発明は、ポリオレフィン系樹脂を90重量%より多く100重量%以下及び無機微細粉末または有機フィラーを0重量%以上10重量%未満含有する基材層(A)の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂20〜80重量%及び非晶性樹脂20〜80重量%を含有する非晶性樹脂含有層(B)を有する積層体の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂30〜85重量%及び無機微細粉末または有機フィラー15〜70重量%を含有する表面層(C)を有し、かつ非晶性樹脂含有層(B)の空孔率が5%以下であり、かつ、前記非晶性樹脂のガラス転移温度が170℃以下であることを特徴とする多層樹脂延伸フィルムを提供するものである。
【0010】
本発明の多層樹脂延伸フィルムに使用する非晶性樹脂は環状オレフィン系樹脂であるのが好ましい。また、非晶性樹脂含有層(B)のポリオレフィン系樹脂は、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、またはこれらの混合物であるのが好ましい。また、表面層(C)の厚みは1〜100μmであるのが好ましく、無機微細粉末の粒径または有機フィラーの平均分散粒径は0.01〜6μmであるのが好ましく、炭酸カルシウム、特に表面処理炭酸カルシウムであるのが好ましい。また、表面層(C)の平滑度(JIS P8119)は20000秒以下であるのが好ましい。本発明では、基材層(A)、非晶性樹脂含有層(B)、および表面層(C)を含む層構成が、(C)/(B)/(A)/(B)/(C)、(C)/(B)/(A)/(B)、(C)/(B)/(A)/(C)または(C)/(B)/(A)であることが好ましい。基材層(A)と非晶性樹脂含有層(B)または表面層(C)との間には、無機微細粉末を2〜55重量%含有するプロピレン系樹脂からなる中間層(D)を有してもよい。本発明の多層樹脂延伸フィルムは不透明度(JIS P8138)が70%未満であるのが好ましい。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を意味する。
【0011】
【発明の実施の態様】
以下において、本発明の多層樹脂延伸フィルムについて詳細に説明する。本発明の多層樹脂延伸フィルムは、基材層(A)の少なくとも片面に非晶性樹脂含有層(B)を有する積層体の少なくとも片面に、さらに表面層(C)を有する構造を必須構成要素とする。また、所望により、基材層(A)と非晶性樹脂含有層(B)との間、または基材層(A)と表面層(C)との間に、さらに中間層(D)を有するものである。そこで、基材層(A)、非晶性樹脂含有層(B)、表面層(C)、中間層(D)について記載したうえで、多層樹脂延伸フィルムの製造方法について説明する。
【0012】
基材層(A)
本発明の多層樹脂延伸フィルムの基材層(A)は、ポリオレフィン系樹脂を90重量%より多く100重量%以下及び無機微細粉末または有機フィラーを0重量%以上10重量%未満含有する。
基材層(A)に用いるポリオレフィン系樹脂の種類は特に制限されない。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜8のα−オレフィンの単独重合体、およびこれらのα−オレフィン2〜5種の共重合体を用いることができる。共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。具体的には密度が0.89〜0.97g/cm3、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が1〜10g/10分の分枝ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン;メルトフローレート(230℃,2.16kg荷重)が0.2〜20g/10分のプロピレン単独重合体、(4−メチル−1−ペンテン)単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン・3−メチル−1−ペンテン共重合体、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、プロピレン・エチレン・3−メチル−1−ペンテン共重合体などが挙げられる。これらの中でもプロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、高密度ポリエチレンが、安価で成形加工性が良好であるため好ましい。
【0013】
基材層(A)に使用するポリオレフィン系樹脂としては、融点(DSC曲線のピーク温度)が130〜210℃であるものがより好ましい。中でも、融点(DSC曲線のピーク温度)が155〜174℃であり、メルトフローレート(JIS K7210)が0.5〜10g/10分であり、結晶化度が45〜70%であるプロピレン単独重合体を好ましく使用することができる。なお、基材層(A)には、上記ポリオレフィン系樹脂の中から1種類を選択して単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。
【0014】
基材層(A)に使用する無機微細粉末は、平均粒径が0.01〜10μmであるものが好ましく、中でも0.05〜8μmであるものがより好ましい。また、基材層(A)に使用する有機フィラーは平均分散粒径が、0.01〜10μmであるものが好ましく、中でも0.05〜8μmであるものがより好ましい。
無機微細粉末としては、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土等を例示することができる。また、上記無機微細粉末の表面処理品も例示できる。中でも重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム及びそれらの表面処理品、クレー、珪藻土を使用すれば安価で延伸時の空孔形成性がよいために好ましい。
【0015】
有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、メラミン樹脂、環状ポリオレフィン、ポリエチレンサルファイト、ポリイミド、ポリエチルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイト等を例示することができる。中でも、使用するポリオレフィン系樹脂よりも融点またはガラス転移温度が高くて非相溶性の有機フィラーを使用するのが空孔形成の点で好ましい。
【0016】
基材層(A)には、上記の無機微細粉末または有機フィラーの中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、有機フィラーと無機微細粉末を混合して使用してもよい。
【0017】
基材層(A)におけるポリオレフィン系樹脂と無機微細粉末または有機フィラーの配合割合は、ポリオレフィン系樹脂が90重量%よりも多く100重量%以下であり、無機微細粉末または有機フィラーが0重量%以上10重量%未満である。好ましい配合割合は、ポリオレフィン系樹脂が92〜99.5重量%であり、無機微細粉末または有機フィラーが0.5〜8重量%である。さらに好ましい配合割合は、ポリオレフィン系樹脂が94〜99重量%であり、無機微細粉末または有機フィラーが1〜6重量%である。
【0018】
基材層(A)はボイドを形成していてもよく、空孔率は0〜9%であるのが好ましい。基材層(A)の空孔率とは、多層樹脂延伸フィルムの断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより求めた、基材層(A)の空孔の面積割合をいう。ボイドは延伸によって形成されるが、延伸方法は一軸延伸であっても二軸延伸であってもよい。
基材層の肉厚は20〜250μmであるのが好ましく、30〜200μmであるのがより好ましい。
【0019】
非晶性樹脂含有層(B)
本発明の多層樹脂延伸フィルムの非晶性樹脂含有層(B)は、ポリオレフィン系樹脂20〜80重量%及び非晶性樹脂20〜80重量%を含有する。非晶性樹脂含有層(B)に用いるポリオレフィン系樹脂の種類は特に制限されず、例えば上記の基材層(A)に用いられるポリオレフィン系樹脂を例示することができる。特に、プロピレンの単独重合体、高密度ポリエチレン、またはこれらの混合物を用いるのが好ましい。その中でも、融点(DSC曲線のピーク温度)が155〜174℃であり、メルトフローレート(JIS K7210)が0.5〜20g/10分であり、結晶化度が45〜70%であるプロピレンの単独重合体を好適に使用することができる。また、融点(DSC曲線のピーク温度)が120〜135℃であり、メルトフローレート(JIS K6760)が0.2〜20g/10分であり、結晶化度が65〜95%であり、密度が0.945g/cm3以上である高密度ポリエチレンも好適に使用することができる。非晶性樹脂含有層(B)に用いるポリオレフィン系樹脂は、1種類を選択して単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。
【0020】
非晶性樹脂含有層(B)に用いる非晶性樹脂としては、ガラス転移温度が170℃以下である樹脂を使用、70〜170℃である樹脂を使用するのがより好ましい。非晶性樹脂のガラス転移温度が70℃より低いとロールへの張り付き等の成形性が悪化する傾向にあり、ガラス転移温度が170℃より高いと延伸時に多数のボイドが形成され、空孔率が上昇するために溶剤アタックを有効に防止することができなくなる傾向にある。なお、本発明の多層性樹脂延伸フィルムを製造する際には、延伸時の温度を非晶性樹脂のガラス転移温度より10℃以上高い温度にするのが好ましい。
【0021】
非晶性樹脂の種類としては、環状オレフィン系樹脂、アタクチックポリスチレン、石油樹脂、ポリカーボネート、アクリル系樹脂等を例示することができる。
これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
この中では、環状オレフィン系樹脂を使用するのが好ましい。環状オレフィン系樹脂は、次の一般式(1)で表される環状オレフィン系モノマーから誘導される開環重合体、該重合体あるいは共重合体の水素化物、及び次の一般式(1)で表される環状オレフィン系モノマーとエチレンの付加重合体からなる群から選択されるものであるのが好ましい。
【化1】
Figure 0004574809
【0022】
一般式(1)において、nは0または正の整数であり、R1〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基からなる群から選択される原子もしくは基を表し、R9〜R12は互いに結合して単環または多環の基を形成していてもよく、かつ、該単環または多環の基は二重結合を有していてもよく、また、R9とR10、またはR11とR12は一緒になってアルキリデン基を形成してもよい。
【0023】
このような環状オレフィン系モノマーとしては、例えば、特開平2−227424号公報、特開平2−276842号公報、特開平5−97719号公報、特開平7−41550号公報、特開平8−72210号公報などに開示されている公知のモノマーを使用することができる。具体的には、以下のような環状オレフィン系モノマーを挙げることができる。例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン誘導体、トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセン誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン誘導体、ヘプタシクロ「8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17」−5−ヘンエイコセン誘導体、ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]−5−ヘキサコセン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体、及びシクロペンタジエン−アセナフチレン付加物などが挙げられる。
【0024】
より具体的には、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、などのビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体;テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−プロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ブチテルトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ステアリルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、2,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、2,7,9−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−エチル−2,7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−イソブチル−2,7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9,11,12−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−エチル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−イソブチル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5,8,9,10−テトラメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ブロモテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジクロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、などのテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体;ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、12−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、1,6,10−トリメチル−12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、などのヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン誘導体;オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、15−メチルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、15−エチルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、などのオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン誘導体;ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、1,3−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、1,6−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、15,16−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、などのペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン誘導体;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、などのヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体あるいはヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体;トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、2−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、5−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、などのトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン誘導体;トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、10−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、などのトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン誘導体;ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、1,3−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、1,6−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、14,15−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、などのペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン誘導体;ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,10−ペンタデカジエン、などのジエン化合物;ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、メチル置換ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、などのペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン誘導体;ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン、ジメチル置換ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン、などのヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン誘導体;ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセン、トリメチル置換ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセン、などのノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセン誘導体;ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、11−メチルペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、11−エチル−ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、10,11−ジメチル−ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−5−ヘキサデセン、などのペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン誘導体;ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、15−メチル−ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、トリメチル−ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、などのヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン誘導体;ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]−6−ヘキサコセン、などのノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]−6−ヘキサコセン誘導体;ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,11−ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,11−ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,11−ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,11−ペンタデカジエン、トリメチル置換ペンタシクロ[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3−ペンタデセン、ペンタシクロ[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3,10−ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3,10−ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3,10−ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3,10−ペンタデカジエン、メチル置換ヘプタシクロ[7.8.0.13,6.02,7.110,17.011,16.112,15]−4−エイコセン、トリメチル置換ヘプタシクロ[7.8.0.13,6.02,7.110,17.011,16.112,15]−4−エイコセン、テトラメチル置換ヘプタシクロ[7.8.0.13,6.02,7.110,17.011,16.112,15]−4−エイコセン、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3,7−デカジエン(すなわち、ジシクロペンタジエン)、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(すなわち、5−フェニル−2−ノルボルネン)、5−メチル−5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ベンジル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(エチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(イソプロピルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ベンジル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−トリル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(エチルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(イソプロピルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(ビフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(β−ナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(α−ナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(アントラセニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、11−フェニル−ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4ヘプタデセン、6−(α−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−(アントラセニル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−(ビフェニル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−(β−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5,6−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、9−(2−ノルボルネン−5−イル)−カルバゾール、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン類;1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−クロロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−ブロモ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン等の1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン類;1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロジベンゾフラン類;1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール、1,4−メタノ−9−フェニル−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール等の1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール類;1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンなどの1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン類;7,10−メタノ−6b,7,10,10a−テトラヒドロフルオランセン類;シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物にシクロペンタジエンをさらに付加した化合物、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、14,15−ベンゾ−ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物などが挙げられる。これらの環状オレフィン系モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
環状オレフィンの開還重合体の水素化物は、例えば、特開昭60−26024号公報、特開昭63−218727号公報、特開昭63−23201号公報に記載されているように、金属化合物からなる重合触媒などを用い、環状オレフィンを重合させ、オレフィン化合物の水素化に際して一般的に用いられる重合触媒等を使用して公知の手法で水素化する方法等により得ることができる。
エチレンとのランダム共重合体の製造方法としては、例えば、特開昭60−168708公報に記載されているように、バナジウム化合物及びハロゲン含有有機アルミニウム化合物からなる触媒を使用し重合する方法等がある。この場合エチレンの分率は40〜90%が望ましい。
【0026】
非晶性樹脂含有層(B)におけるポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂の配合割合は、ポリオレフィン系樹脂が20〜80重量%であり、非晶性樹脂が20〜80重量%である。非晶性樹脂の割合が15重量%未満であると溶剤アタックを防止する効果が不十分になる。
【0027】
非晶性樹脂含有層(B)の空孔率は5%以下でなければならない。好ましくは空孔率は3%以下である。非晶性樹脂含有層(B)の空孔率とは、多層樹脂延伸フィルムの断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより求めた、非晶性樹脂含有層(B)の空孔の面積割合をいう。空孔率が5%を越えると、オフセットインキ中のビヒクル(特に鉱油等の高沸点石油系溶剤)がボイドを通過して基材層(A)に到達し、フィルム全体が膨潤する溶剤アタックの問題が生じる。また、空孔率が5%以下の範囲であれば非晶性樹脂含有層(B)に無機微細粉末または有機フィラーを添加してもよい。
【0028】
いかなる理論にも拘泥するものではないが、非晶性樹脂含有層(B)には非晶性樹脂が配合されているため、オフセットインキ中のビヒクル(特に鉱油等の高沸点石油系溶剤)によって非晶性樹脂含有層(B)自体の膨潤が抑えられており、また、非晶性樹脂含有層(B)にはボイドがほとんど形成されていないので、ビヒクルが非晶性樹脂含有層(B)を通過して基材層(A)に到達しにくくて、多層樹脂フィルム自体が膨潤しにくくなっているために、凹凸やカールが起きないものと考えられる。このため、本発明の多層樹脂延伸フィルムには、汎用の速乾式(乾燥油型)のオフセットインキであっても使用することができる。
非晶性樹脂含有層(B)の肉厚は1〜100μmが最適である。
【0029】
表面層(C)
表面層(C)に用いるポリオレフィン系樹脂の種類は特に制限されず、例えば前記の基材層(A)に用いられるポリオレフィン系樹脂を例示することができる。表面層(C)に使用するポリオレフィン系樹脂としては、融点(DSC曲線のピーク温度)が130〜210℃であるものがより好ましい。中でも、融点(DSC曲線のピーク温度)が155〜174℃であり、メルトフローレート(JIS K7210)が0.5〜20g/10分であり、結晶化度が45〜70%であるプロピレン単独重合体を好ましく使用することができる。なお、表面層(C)には、前記の基材層(A)に用いられるポリオレフィン系樹脂の中から1種類を選択して単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。
【0030】
表面層(C)に使用する無機微細粉末は、平均粒径が0.01〜6μmであるものが好ましく、中でも0.05〜4μmであるものがより好ましく、0.07〜2μmであるものが特に好ましい。また、表面層(C)に使用する有機フィラーは、平均分散粒径が0.01〜6μmであるものが好ましく、中でも0.05〜4μmであるものがより好ましく、0.07〜2μmであるものが特に好ましい。
【0031】
無機微細粉末としては、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土等を例示することができる。また、上記無機微細粉末の種々の表面処理剤による表面処理品も例示できる。中でも重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム及びそれらの表面処理品、クレー、珪藻土を使用すれば安価で延伸時の空孔形成性がよいために好ましい。さらに好ましいのは、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウムの種々の表面処理剤による表面処理品である。表面処理剤としては、例えば樹脂酸、脂肪酸、有機酸、硫酸エステル型陰イオン界面活性剤、スルホン酸型陰イオン界面活性剤、石油樹脂酸、これらのナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩、または、これらの脂肪酸エステル、樹脂酸エステル、ワックス、パラフィン等が好ましく、非イオン系界面活性剤、ジエン系ポリマー、チタネート系カップリング剤、シラン系カップリング剤、燐酸系カップリング剤等も好ましい。硫酸エステル型陰イオン界面活性剤としては、例えば長鎖アルコール硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、硫酸化油等あるいはそれらのナトリウム、カリウム等の塩が挙げられ、スルホン酸型陰イオン界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、パラフィンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルスルホコハク酸等あるいはそれらのナトリウム、カリウム等の塩が挙げられる。また、脂肪酸としては、例えばカプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヘベン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸等が挙げられ、有機酸としては、例えばマレイン酸、ソルビン酸等が挙げられ、ジエン系ポリマーとしては、例えばポリブタジエン、イソプレンなどが挙げられ、非イオン系界面活性剤としてはポリエチレングリコールエステル型界面活性剤等が挙げられる。これらの表面処理剤は1種類または2種類以上組み合わせて使用できる。
【0032】
有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、メラミン樹脂、環状ポリオレフィン、ポリエチレンサルファイト、ポリイミド、ポリエチルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイト等を例示することができる。中でも、使用するポリオレフィン系樹脂よりも融点またはガラス転移温度が高くて非相溶性の有機フィラーを使用するのが空孔形成の点で好ましい。
【0033】
表面層(C)には、上記の無機微細粉末または有機フィラーの中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、有機フィラーと無機微細粉末を混合して使用してもよい
表面層(C)の厚みは1〜100μmであるのが好ましく、1.5〜50μmであるのがより好ましい。
【0034】
中間層(D)
本発明の多層樹脂延伸フィルムの基材層(A)と非晶性樹脂含有層(B)との間、または基材層(A)と表面層(C)との間には、紙的風合を付与するためにさらに中間層(D)が形成されていてもよい。形成される中間層(D)は、ポリオレフィン系樹脂と無機微細粉末または有機フィラーを含むものであることが好ましい。中間層(D)に使用することができるポリオレフィン系樹脂、無機微細粉末、有機フィラーとしては、上記基材層(A)の説明において例示した化合物を挙げることができる。特にポリオレフィン系樹脂としてプロピレン系樹脂を選択することが好ましい。また、無機微細粉末と有機フィラーの中では、無機微細粉末を使用することが好ましい。さらに延伸性を良くするために、中間層(D)には少量のプロピレン系共重合体、高密度ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体の低融点樹脂を含有させてもよい。
中間層(D)は、ポリオレフィン系樹脂45〜98%、および、無機微細粉末または有機フィラー2〜55%からなることが好ましい。特にプロピレン系樹脂45〜98%、および、無機微細粉末2〜55%からなることが好ましい。
中間層(D)の厚みは1〜200μmであるのが好ましく、2〜100μmであるのがより好ましい。
【0035】
多層樹脂延伸フィルムの製造
本発明の多層樹脂延伸フィルムの製造方法は特に制限されない。いかなる方法により製造されたものであっても、特許請求の範囲に記載される要件を満たすものである限り本発明の範囲に包含される。以下において、本発明の多層樹脂延伸フィルムの好ましい製造方法について説明する。
本発明の多層樹脂延伸フィルムは、予め基材層(A)用の樹脂組成物を溶融混練し、これをシート状に押し出し、ロール群の周速差を利用して縦方向に4〜7倍延伸し、ついで、この縦延伸フィルム上に、予め非晶性樹脂含有層(B)の樹脂組成物及び表面層(C)用の樹脂組成物を別々に溶融混練し、所望の層構成になるように、シート状にラミネートし、これを横方向にテンターを用い、非晶性樹脂のガラス転移温度より10℃以上高い温度で4〜12倍延伸し、ついで熱処理し、冷却することにより製造することができる。
【0036】
または、基材層(A)用の樹脂組成物、非晶性樹脂含有層(B)用の樹脂組成物、表面層(C)用の樹脂組成物を別々に溶融混練し、所望の層構成になるようにシート状に共押し出し、ロール群の周速差を利用して非晶性樹脂のガラス転移温度より10℃以上高い温度で縦方向に4〜7倍延伸し、ついで、これを横方向にテンターを用い、非晶性樹脂のガラス転移温度より10℃以上高い温度で4〜12倍延伸し、ついで熱処理し、冷却することにより製造することもできる。または、基材層(A)用の樹脂組成物、非晶性樹脂含有層(B)用の樹脂組成物、表面層(C)用の樹脂組成物を別々に溶融混練し、所望の層構成になるようにシート状に共押し出し、ロール群の周速差を利用して非晶性樹脂のガラス転移温度より10℃以上高い温度で縦方向に4〜7倍延伸し、ついで熱処理し、冷却することにより製造することもできる。
こうして得られた熱可塑性フィルムは、不透明度(JIS P8138により測定)が70%未満であることが好ましく、より好ましくは20%以上70%未満であるのが好ましい。
多層樹脂延伸フィルムの肉厚は30〜450μmが一般的である。
【0037】
本発明の多層樹脂延伸フィルムの特に好ましい層構成は、(C)/(B)/(A)を含む層構成である。具体的には、(C)/(B)/(A)/(B)/(C)、(C)/(B)/(A)/(B)、(C)/(B)/(A)/(C)または(C)/(B)/(A)の層構成を好ましい例として挙げることができる。本明細書において、「(B)/(A)」と表記されている場合は、基材層(A)の上に非晶性樹脂含有層(B)が形成されている構造を意味する。本発明の多層樹脂延伸フィルムを構成する任意の2つの層の間には基材層(A)、非晶性樹脂含有層(B)、表面層(C)以外の層として、上記中間層(D)などが形成されていても構わない。そのような層は、多層樹脂延伸フィルムの用途や機能に応じて適宜選択することができる。
【0038】
多層樹脂延伸フィルムの表面には、オフセット印刷性を向上させるためにコロナ放電処理またはフレーム処理等の表面処理を施したり、ポリエチレンイミン、ブチル化ポリエチレンイミン、ヒドロキシプロピル化ポリエチレンイミン、ヒドロキシエチル化ポリエチレンイミン、2,3−ジヒドロキシプロピル化ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)、ポリアミンポリアミド等のエチレンイミン付加物、ポリアミンポリアミド等のエピクロルヒドリン付加物、三級ないし四級窒素含有アクリル系樹脂からなる群より選ばれた水溶性のプライマーを塗布してもよい。
【0039】
本発明の多層樹脂延伸フィルムのオフセット印刷適正をより向上させるために、少なくとも印刷される面にピグメントコート層を設けることができる。該ピグメントコート層は、一般的なコート紙の塗工法に準じてピグメント塗工を行うことにより形成することができる。
ピグメント塗工に用いられるピグメントコート剤としては、通常のコート紙に使用されるクレイ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルムニウム、シリカ、珪酸カルシウム、プラスチックピグメント等のピグメント30〜80重量%と、接着剤20〜70重量%を含有するラテックス等を挙げることができる。
【0040】
また、この際に使用される接着剤としては、SBR(スチレン・ブタジエン共重合体ラバー)、MBR(メタクリレート・ブタジエン共重合体ラバー)等のラテックス、アクリル系エマルジョン、澱粉、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、メチルセルロース等を挙げることができる。
更に、これら配合剤には、アクリル酸・アクリル酸ソーダ共重合体等の特殊ポリカルボン酸ナトリウム等の分散剤や、ポリアミド尿素系樹脂等の架橋剤を配合することができる。これらピグメントコート剤は一般に15〜70重量%、好ましくは35〜65重量%の固形分濃度の水溶性塗工剤として使用される。
【0041】
このような塗工剤を多層樹脂延伸フィルムに塗工する手段としては、具体的には、グラビア塗工、メイヤーバー塗工、ロール塗工、ブレード塗工、サイズプレス塗工等の塗工手段を採用することができる。また、塗工量は一般的には0.01〜20g/m2、好ましくは0.1〜15g/m2にすることができる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例、比較例及び試験例を記載して本発明をさらに具体的に説明する。以下の例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0043】
(実施例1、4〜20)
メルトフローレート(MFR)0.8g/10分のプロピレン単独重合体(融解ピーク温度160℃、融解終了温度167℃)87重量%と、高密度ポリエチレン8重量%との混合物に、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム5重量%を配合して組成物(A)を得た。この組成物(A)を、270℃に設定した押出機にて溶融混練後、ダイよりシート状に押出し、冷却装置により冷却して無延伸シートを得た。このシートを155℃に加熱後、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸した。
【0044】
これとは別に、表3に記載される非晶性樹脂とポリオレフィン系樹脂を表3に記載される量で混合して組成物(B)を調製し、表3に記載される無機微細粉末を表3に記載される添加量でMFRが4.0g/10分のプロピレン単独重合体(融解ピーク温度160℃、融解終了温度167℃)と混合して組成物(C)を調製した。これらの組成物(B)、(C)を、270℃に設定した別個の押出機でそれぞれ溶融混練し、ダイ内部で積層した後、一台のダイより共押出し、得られたシートを上で得られた5倍延伸シート(A)の片面に(C)/(B)/(A)となるように積層した。また、反対面にも同様に積層して、(C)/(B)/(A)/(B)/(C)の5層の積層物を得た。
【0045】
ついで、この5層の積層物を175℃に加熱したのち、横方向にテンターを用いて7.5倍に延伸し5層積層フィルムを得た。この5層積層フィルムの表面をコロナ放電処理し、(C)/(B)/(A)/(B)/(C)[各フィルムの肉厚はそれぞれ、4μm/15μm/72μm/15μm/4μm]の5層構造の多層樹脂延伸フィルムを得た。
この製造方法を、非晶性樹脂含有層(B)の非晶性樹脂とポリオレフィン系樹脂の種類と量及び表面層(C)の無機微細粉末を表3に記載されるとおりに変えて繰り返し、実施例1、4〜20の18種類の多層樹脂延伸フィルムを得た。なお、使用した非晶性樹脂、ポリオレフィン系樹脂、無機微細粉末の詳細は表2に記載されるとおりである。
【0046】
(実施例2)
実施例1の組成物(A)をメルトフローレート(MFR)0.8g/10分のプロピレン単独重合体(融解ピーク温度160℃、融解終了温度167℃)90重量%と、高密度ポリエチレン8重量%との混合物に、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム2重量%を配合して調製したことと、表3に記載される材料を表3に記載される量で混合して組成物(B)(C)を調製した以外は実施例1と同様にして5層の多層樹脂延伸フィルムを得た。
【0047】
(実施例3)
実施例1の組成物(A)をメルトフローレート(MFR)0.8g/10分のプロピレン単独重合体(融解ピーク温度160℃、融解終了温度167℃)84重量%と、高密度ポリエチレン8重量%との混合物に、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム8重量%を配合して調製したことと、表3に記載される材料を表3に記載される量で混合して組成物(B)(C)を調製した以外は実施例1と同様にして5層の多層樹脂延伸フィルムを得た。
【0048】
(実施例21)
メルトフローレート(MFR)0.8g/10分のプロピレン単独重合体(融解ピーク温度160℃、融解終了温度167℃)90重量%と、高密度ポリエチレン8重量%との混合物に、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム2重量%を配合して組成物(A)を得た。この組成物(A)を、270℃に設定した押出機にて溶融混練後、ダイよりシート状に押出し、冷却装置により冷却して無延伸シートを得た。このシートを155℃に加熱後、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸した。
【0049】
これとは別に、表3に記載される非晶性樹脂とポリオレフィン系樹脂を表3に記載される量で混合して組成物(B)を調製し、表3に記載される無機微細粉末を表3に記載される添加量でMFRが4.0g/10分のプロピレン単独重合体(融解ピーク温度160℃、融解終了温度167℃)と混合して組成物(C)を調製した。また、MFRが4.0g/10分のプロピレン単独重合体(融解ピーク温度160℃、融解終了温度167℃)70重量%と、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム30重量%とを混合して組成物(D)を調製した。この組成物(B)、(C)及び(D)を、270℃に設定した押出機で別々に溶融混練し、ダイより共押出し、得られたシートを上で得られた5倍延伸シート(A)の片面に(C)/(B)/(D)/(A)となるように積層した。また、5倍延伸シート(A)の反対面にも同様にして積層し、(C)/(B)/(D)/(A)/(D)/(B)/(C)の7層の積層物を得た。
【0050】
ついで、この7層の積層物を175℃に加熱したのち、横方向にテンターを用いて7.5倍に延伸し7層積層フィルムを得た。この7層積層フィルムの表面をコロナ放電処理し、(C)/(B)/(D)/(A)/(D)/(B)/(C)[各フィルムの肉厚はそれぞれ、4μm/15μm/15μm/62μm/15μm/15μm/4μm]の7層構造の多層樹脂延伸フィルムを得た。
【0051】
(比較例1)
MFRが5.0g/10分のプロピレン単独重合体(融点ピーク点160℃、融解終了温度167℃)55重量%と平均粒子径1.25μmの炭酸カルシウム45重量%を混合して組成物(B)を調製し、表3に記載される無機微細粉末を表3に記載される添加量でMFRが4.0g/10分のプロピレン単独重合体(融解ピーク温度160℃、融解終了温度167℃)と混合して組成物(C)を調製した。これらの組成物(B)および(C)を用いたこと以外は実施例21と同様にして、7層構造の多層樹脂延伸フィルムを得た。
【0052】
(実施例22)
メルトフローレート(MFR)0.8g/10分のプロピレン単独重合体(融解ピーク温度160℃、融解終了温度167℃)88重量%と、高密度ポリエチレン10重量%との混合物に、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム2重量%を配合して組成物(A)を調製した。これとは別に、表3に記載される非晶性樹脂とポリオレフィン系樹脂を表3に記載される量で混合して組成物(B)を調製し、表3に記載される無機微細粉末を表3に記載される添加量でMFRが4.0g/10分のプロピレン単独重合体(融解ピーク温度160℃、融解終了温度167℃)と混合して組成物(C)を調製した。これらの組成物(A)、(B)及び(C)を、270℃に設定した別個の押出機にてそれぞれ溶融混練後、ダイ内部にて(C)/(B)/(A)/(B)/(C)となるように積層して1台のダイよりシート状に共押出し、冷却装置により冷却して無延伸シートを得た。このシートを155℃に加熱後、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸した。
ついで、この5層の積層物を175℃に加熱したのち、横方向にテンターを用いて7.5倍の延伸を行い、5層のフィルムを得た。この5層積層フィルムの表面をコロナ放電処理し、(C)/(B)/(A)/(B)/(C)[各フィルムの肉厚はそれぞれ、5μm/5μm/40μm/5μm/5μm]の5層構造の多層樹脂延伸フィルムを得た。
【0053】
(実施例23)
メルトフローレート(MFR)0.8g/10分のプロピレン単独重合体(融解ピーク温度160℃、融解終了温度167℃)87重量%と、高密度ポリエチレン8重量%との混合物に、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム5重量%を配合して組成物(A)を調製した。これとは別に、表3に記載される非晶性樹脂とポリオレフィン系樹脂を表3に記載される量で混合して組成物(B)を調製し、表3に記載される無機微細粉末を表3に記載される添加量でMFRが4.0g/10分のプロピレン単独重合体(融解ピーク温度160℃、融解終了温度167℃)と混合して組成物(C)を調製した。これらの組成物(A)、(B)、(C)を、270℃に設定した別個の押出機でそれぞれ溶融混練したものを、一台のダイより(C)/(B)/(A)/(B)/(C)となるようにシート状に共押出し、冷却装置により冷却して無延伸シートを得た。このシートを155℃に加熱後、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸し、5層のフィルムを得た。この5層積層フィルムの表面をコロナ放電処理し、(C)/(B)/(A)/(B)/(C)[各フィルムの肉厚はそれぞれ、15μm/15μm/70μm/15μm/15μm]の5層構造の多層樹脂延伸フィルムを得た。
【0054】
(試験例)
実施例1〜23及び比較例1で得られた多層樹脂延伸フィルムについて、以下に記載する手順で空孔率、不透明度、平滑度を測定し、オフセット印刷適正(カール高さ、実機印刷による凹凸、インキ乾燥性)を評価した。結果を表3に示す。
(1)空孔率
多層樹脂延伸フィルムの断面を走査型電子顕微鏡で観察し、非晶性樹脂含有層(B)の空孔の面積割合を求めた。これを非晶性樹脂含有層(B)の空孔率(%)とした。
(2)平滑度
表面層(C)の平滑度をJIS P8119により測定した。
(3)不透明度
JIS P8138により測定した。
【0055】
(4)カール高さ
評価する多層樹脂延伸フィルムに印刷適正試験器(石川島産業機械(株)製RI−2型)で乾燥型オフセットインキ((株)T&K TOKA製スーパーテック紅)を用いて転移量1.5g/m2となるように全面に印刷を施した。得られた印刷物を縦10cm、横10cmの大きさに切断して平坦な机(2)の上に1日放置した後、その印刷物(1)の図2に示すカールの高さ(h)を4隅について測定し、その平均値を求めた。
【0056】
(5)凹凸の発生
評価する多層樹脂延伸フィルムを4色オフセット印刷機(三菱重工業(株)社製0F−4)で4色の乾燥型オフセットインキ((株)T&K TOKA社製スーパーテック墨、藍、紅、黄)を各色の転移量が1.5g/m2となるように1000枚連続印刷し、この印刷物を棒積み状態で放置した。そして、インキ乾燥後に、印刷されている部分と印刷されていない部分とによってできるフィルムの凹凸を官能評価で判定した。下記の評価基準で判定した。
Figure 0004574809
【0057】
(6)インキ乾燥性
評価する多層樹脂延伸フィルムを4色オフセット印刷機(三菱重工業(株)社製0F−4)で4色の乾燥型オフセットインキ((株)T&K TOKA社製スーパーテック墨、藍、紅、黄)を用いて各色の転移量が1.5g/m2となるように1000枚連続印刷し、この印刷物を棒積み状態で放置し、所定時間毎にサンプリングを行い乾燥状態を確認した。インキ乾燥性は下記の判定基準で判定した。
Figure 0004574809
【0058】
【表2】
Figure 0004574809
【0059】
【表3】
Figure 0004574809
【0060】
【発明の効果】
本発明の多層樹脂延伸フィルムは、オフセット印刷を施したときにオフセットインキ中のビヒクルによりフィルムが凹凸になったり、カールしたりすることを有効に防ぐことができる。このため、本発明の多層樹脂延伸フィルムは印刷性が極めて優れている。したがって、本発明の多層樹脂延伸フィルムは、トレーシングペーパー、地図、ブックカバー、包装紙、書籍用紙、ステッカー用紙、ポスター用紙、メニュー用紙、垂れ幕、ラベル、ショッピングバック、下敷き、カタログ、電飾看板等の素材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】オフセット印刷インキの基本組成を示すものである。
【図2】カール高さを示す図である。
【符合の説明】
1: 印刷物
2: 平坦な机
h: カール高さ

Claims (11)

  1. ポリオレフィン系樹脂を90重量%より多く100重量%以下及び無機微細粉末または有機フィラーを0重量%以上10重量%未満含有する基材層(A)の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂20〜80重量%及び環状オレフィン系樹脂20〜80重量%を含有する環状オレフィン系樹脂含有層(B)を有する積層体の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂30〜85重量%及び無機微細粉末または有機フィラー15〜70重量%を含有する表面層(C)を有し、かつ環状オレフィン系樹脂含有層(B)の空孔率が5%以下であり、かつ、前記環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度が170℃以下であり、前記環状オレフィン系樹脂が、下記一般式(1)で表される環状オレフィン系モノマーから誘導される開環重合体、該重合体あるいは共重合体の水素化物、及び下記一般式(1)で表される環状オレフィン系モノマーとエチレンの付加重合体からなる群から選択され、かつ、不透明度(JISP8138)が20〜61%であることを特徴とする多層樹脂延伸フィルム。
    Figure 0004574809
    [上式において、nは0または正の整数であり、R 1 〜R 12 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基からなる群から選択される原子もしくは基を表し、R 9 〜R 12 は互いに結合して単環または多環の基を形成していてもよく、かつ、該単環または多環の基は二重結合を有していてもよく、また、R 9 とR 10 、またはR 11 とR 12 は一緒になってアルキリデン基を形成してもよい。]
  2. 前記環状オレフィン系樹脂含有層(B)の空孔率が3%以下である請求項に記載の多層樹脂延伸フィルム。
  3. 前記環状オレフィン系樹脂含有層(B)のポリオレフィン系樹脂が、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、またはこれらの混合物である請求項1または2に記載の多層樹脂延伸フィルム。
  4. 前記表面層(C)の厚みが1〜100μmである請求項1〜のいずれかに記載の多層樹脂延伸フィルム。
  5. 前記表面層(C)の無機微細粉末の粒径または有機フィラーの平均分散粒径が0.01〜6μmである請求項1〜のいずれかに記載の多層樹脂延伸フィルム。
  6. 前記表面層(C)の無機微細粉末または有機フィラーが炭酸カルシウムである請求項1〜のいずれかに記載の多層樹脂延伸フィルム。
  7. 前記表面層(C)の無機微細粉末または有機フィラーが表面処理炭酸カルシウムである請求項に記載の多層樹脂延伸フィルム。
  8. 前記表面層(C)の平滑度(JIS P8119)が20000秒以下である請求項1〜のいずれかに記載の多層樹脂延伸フィルム。
  9. 前記基材層(A)、前記環状オレフィン系樹脂含有層(B)、および前記表面層(C)を含む層構成が、(C)/(B)/(A)/(B)/(C)、(C)/(B)/(A)/(B)、(C)/(B)/(A)/(C)または(C)/(B)/(A)である請求項1〜のいずれかに記載の多層樹脂延伸フィルム。
  10. 前記基材層(A)と前記環状オレフィン系樹脂含有層(B)または前記表面層(C)との間に、無機微細粉末を2〜55重量%含有するプロピレン系樹脂からなる中間層(D)を有する請求項1〜のいずれかに記載の多層樹脂延伸フィルム。
  11. ポリオレフィン系樹脂を90重量%より多く100重量%以下及び無機微細粉末または有機フィラーを0重量%以上10重量%未満含有する基材層(A)の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂20〜80重量%及び環状オレフィン系樹脂20〜80重量%を含有する環状オレフィン系樹脂含有層(B)を有する積層体の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂30〜85重量%及び無機微細粉末または有機フィラー15〜70重量%を含有する表面層(C)を有し、かつ環状オレフィン系樹脂含有層(B)の空孔率が5%以下であり、かつ、前記環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度が170℃以下である多層樹脂延伸フィルムの製造方法であって、前記環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度より10℃以上高い温度で延伸する工程を含むことを特徴とする多層樹脂延伸フィルムの製造方法。
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