JP4574296B2 - 回転コネクタ - Google Patents

Description

本発明は、自動車の車体とステアリングホイールとの間を電気的に接続するため等に供される回転コネクタ装置に関する。

従来のこの種の回転コネクタ装置としては、例えば図７、図８に示すようなものがある。図７は、回転コネクタ装置の回転軸に直交する方向の断面図である。図８は、図７を補足する回転軸に沿った方向の断面図である。図７，図８のように、回転コネクタ装置１０１は、ボディ１０３とロータ１０５と遊動スペーサ１０７とフラットケーブル１０９とから概ねなっている。

前記ボディ１０３は、ボトムカバー１１１に、ケース１１３を係合したものである。ボトムカバー１１１は、ステアリングコラム（図示せず）に固定したコンビネーションスイッチベース１１５に一体形成されている。ロータ１０５は、ステアリングホイールの下面に係合し、ステアリングホイールと共に回転する。遊動スペーサ１０７は、ロータ１０５とボディ１０３との間の収納空間１１７に回転自在に配設されている。フラットケーブル１０９は、遊動スペーサ１０７及びロータ１０５間の巻装空間１１９と遊動スペーサ１０７及びケース１１３間の巻装空間１２１とに巻回されている。フラットケーブル１１１の巻装空間１１９から巻装空間１２１への挿通は、遊動スペーサ１０７の反転挿通部１２３，１２５から行われている。フラットケーブル１０９の一端はロータ１０５に固定され、他端はケース１１３に固定されている。

そして、ハンドル操作を行うと、ロータ１０５がステアリングホイールと共に回転する。この回転に伴って、フラットケーブル１０９の一端がロータ１０５と共に旋回動する。

前記ロータ１０５が図７の矢印Ａ方向へ回転するときはフラットケーブル１０９がロータ１０５に巻き付き、同矢印Ｂ方向へ回転するときは同巻き広がる。フラットケーブル１０９がロータ１０５に巻き付くときは、フラットケーブル１０９が巻装空間１２１から反転挿通部１２３，１２５を通り巻装空間１１９へ引き込まれる。フラットケーブル１０９がロータ１０５から巻き広がるときは、フラットケーブル１０９が巻装空間１１９から反転挿通部１２３，１２５を通り巻装空間１２１へ引き出される。

このような回転コネクタ装置１０１では、フラットケーブル１０９がロータ１０５から巻き広がる方向に操作されたときは、フラットケーブル１０９が、ボディ１０３の内周に押し付けられ、フラットケーブル１０９及び遊動スペーサ１０７間に隙間が形成される。ついで、フラットケーブル１０９がロータ１０５に巻き付く方向に操作されたときは、フラットケーブル１０９が巻装空間１１９側へ引き込まれ、フラットケーブル１０９が遊動スペーサ１０７との間の隙間分、半径方向へ移動して遊動スペーサ１０７に当たることになる。このため、フラットケーブル１０９が遊動スペーサ１０７に当たる時に衝突音を招く恐れがあった。

また、前記反転挿通部１２３，１２５においてフラットケーブル１０９に曲げ癖が付くと、前記ロータ１０５が図６の矢印Ｂ方向へ回転し始めるとき、フラットケーブル１０７が曲げ癖のために反転挿通部１２３，１２５においてスムーズに移動しづらくなる。このため、遊動スペーサ１０７の反転挿通部１２３，１２５がフラットケーブル１０９の曲げ癖の部分で回転方向に押圧力を受け、遊動スペーサ１０７がロータ１０５と共に同速で回転しようとする。従って、巻装空間１２１でフラットケーブル１０９が遊動スペーサ１０７の外周面に巻き付けられるように当たり、衝突音を招く恐れがあった。

特開２００１−２９７８４６号公報

解決しようとする問題点は、操作時に衝突音による異音を招く恐れがある点である。

本発明は、異音の発生を抑制するため、遊動スペーサの外周面に、回転軸方向でフラットケーブルの当たりを逃げる凹部を設けたことを最も主要な特徴とする。

本発明の回転コネクタ装置は、遊動スペーサの外周面に、回転軸方向でフラットケーブルの当たりを逃げる凹部を設けたため、フラットケーブルが遊動スペーサの外周面に巻き付けられるように当たるとき、当たりの面積を小さくすることができ、異音の発生を抑制することができる。

前記遊動スペーサの外周面が、前記遊動スペーサの回転軸方向における前記凹部の両側に該遊動スペーサの半径方向での回転中心からの距離が異なる第１，第２のガイド面を備えたため、フラットケーブルが外周面に当たるとき、第１，第２のガイド面に対して当たるタイミングがずれ、異音の発生をより確実に抑制することができる。

前記第１，第２のガイド面が、段差又は傾斜により前記半径方向での距離が異なる場合は、第１，第２のガイド面のフラットケーブルに対する半径方向での距離を確実に異ならせることができる。

前記回転側部材に、前記遊動スペーサを軸方向の一側で受ける回転受部を設け、前記第１，第２のガイド面が、前記回転受部へ向かって前記遊動スペーサの回転中心からの距離が小さくなる傾斜により前記半径方向での距離が異なる場合は、第１，第２のガイド面に対してフラットケーブルが当たるとき、フラットケーブルから第１，第２のガイド面に回転受部側へ向かう分力が働き、遊動スペーサが回転受部から離れることなく、回転受部により遊動スペーサを確実に回転支持させることができるので、遊動スペーサが回転軸方向への移動を抑制され、異音の発生を防止することができる。

前記遊動スペーサの外周面に、前記フラットケーブルを周方向に部分的に摺接させるための曲面状の突部を設け、前記凹部を、前記突部に設けた場合は、フラットケーブルを突部に摺接させることができ、摩擦抵抗を低減することができる。

異音の発生を抑制するという目的を、凹部を設けることで実現した。

図１は、本発明の実施例１に係り、回転コネクタ装置の回転軸に直交する方向の断面図、図２は、同回転軸に沿った方向の断面図、図３は、要部拡大断面図、図４は、同遊動スペーサの半径方向から見た要部側面図、図５は、図４のＳＡ−ＳＡ矢視断面図である。図１，図２で示す回転コネクタ装置１は、自動車のステアリングホイール側の所要装置と、車体側の電源とを電気的に接続するものである。

図１，図２のように、回転コネクタ装置１は、基本的には図７の回転コネクタ装置１０１と同様な構成となっており、ボディ３とロータ５と遊動スペーサ７とフラットケーブル９とから概ねなっている。

前記ロータ５には、フランジ状の回転受部１１が設けられ、遊動スペーサ７には、回転受部１１に当接支持される突起１２が設けられている。回転受部１１に突起１２が当接支持されることで、遊動スペーサ７の回転軸方向の一端側が支持される構成となっている。本実施例では、遊動スペーサ７は、その回転軸に沿ってステアリングホイールから離れた下側が回転受部１１に支持されている。

前記ボディ３は、ボトムカバー１３に、ケース１５を係合したものであり、フラットケーブル９は、遊動スペーサ７及びロータ５間の巻装空間１７と遊動スペーサ７及びケース１５間の巻装空間１９とに巻回されている。フラットケーブル９の巻装空間１７から巻装空間１９への挿通は、遊動スペーサ７の反転挿通部２１から行われている。フラットケーブル９の一端はロータ５に固定され、他端はケース１５に固定されている。

従って、回転コネクタ装置１は、固定的に支持される固定側部材（ボディ３）と、該固定側部材（ボディ３）に回動自在に支持され回転側（ステアリングホイール）と共に回転可能な回転側部材（ロータ５）と、前記固定側部材（ボディ３）と回転側部材（ロータ５）との間に配置されると共に半径方向内外間に連通する反転挿通部２１を有し前記回転側部材（ロータ５）の回転に沿って旋回遊動可能な遊動スペーサ７と、前記遊動スペーサ７の反転挿通部２１に挿通して反転させ該遊動スペーサ７の内外周側（巻装空間１７及び巻装空間１９）で巻き回したフラットケーブル９とより成る構成となっている。

前記遊動スペーサ７には、外周面２３に突部２５が設けられている。突部２５は、遊動スペーサ７の外周面２３に、前記フラットケーブル９を周方向に部分的に摺接させるためのものである。突部２５は、回転軸に直交する方向の断面が曲面状、例えば半円状に形成され、回転方向に所定間隔で複数、回転軸方向に沿って設けられている。

前記遊動スペーサ７の外周面２３に、前記フラットケーブルの当たりを逃げる凹部２７が設けられている。凹部２７は、遊動スペーサ７の回転方向及び回転軸方向において突部２５の中央部に設けられている。凹部２７は、その形状の設定は自由であるが、本実施例では、図２、図３の断面において回転軸に沿った方向で湾曲形状に形成され、図４の半径方向から見て楕円形状に形成されている。

前記遊動スペーサ７の外周面２３は、さらに第１，第２のガイド面２９，３１を備えている。第１，第２のガイド面２９，３１は、前記遊動スペーサ７の回転軸方向における前記凹部２７の両側に設けられている。第１，第２のガイド面２９，３１は、前記フラットケーブル９に対する半径方向での距離Ｌ１，Ｌ２が異なるように設定され、フラットケーブル９に対する当たりのタイミングがずれるようになっている。

前記第１，第２のガイド面２９，３１は、遊動スペーサ７の回転軸に沿って設けられ、両者の段差により前記半径方向での距離Ｌ１，Ｌ２が異なるように設定されている。

前記凹部２７と前記第１，第２のガイド面２９，３１との間は、滑らかなアール３３，３５が取られている。

次に作用を説明する。

全体的な作用は、前記図７，図８での説明と同様であり、ハンドル操作に伴って、図１のロータ５がステアリングホイールと共に回転する。ロータ５の図１矢印Ａ方向の回転によりフラットケーブル９がロータ５に巻き付くときは、フラットケーブル９が巻装空間１９から反転挿通部２１を通り巻装空間１７へ引き込まれる。ロータ５の図１矢印Ｂ方向の回転によりフラットケーブル９がロータ５から巻き広がるときは、フラットケーブル９が巻装空間１７から反転挿通部２１を通り巻装空間１９へ引き出される。

このような回転コネクタ装置１では、フラットケーブル９がロータ５から巻き広がる方向に操作されたとき、フラットケーブル９及び遊動スペーサ７に隙間が形成されることにより、或いは反転挿通部２１においてフラットケーブル９に曲げ癖が付くことにより、上記のように操作時にフラットケーブル９が遊動スペーサ７の外周面２３に当たることになる。

このとき、本実施例では、遊動スペーサ７の外周面２３に、前記フラットケーブル９の当たりを逃げる凹部２７を設けたため、フラットケーブル９が遊動スペーサ７の外周面２３に巻き付けられるように当たるとき、当たりの面積を小さくすることができ、衝突音の発生を小さくし、或いは無くすことができる。

また、本実施例では、遊動スペーサ７の外周面２３に、前記フラットケーブル９を周方向に部分的に摺接させるための曲面状の突部２５を設けたため、フラットケーブル９が遊動スペーサ７の外周面２３に摺接したときの摺動抵抗を低くすることができ、且つ前記凹部２７を、前記突部２５に設けたため、摺動抵抗を相乗的に小さくすることができる。

前記第１，第２のガイド面２９，３１は、フラットケーブル９に対する半径方向での距離Ｌ１，Ｌ２が異なるため、フラットケーブル９が外周面２３に当たるとき、第１のガイド面２９に先に当たり、その後第２のガイド面３１に当たるようにタイミングがずれる。このため、第１，第２のガイド面２９，３１にフラットケーブル９が当たることで衝突音が発生しても、当たりの面積が小さいと共に発生のタイミングがずれることで、衝突音を確実に小さくすることができる。

前記第１，第２のガイド面２９，３１は、段差により前記半径方向での距離Ｌ１，Ｌ２が異なるように設定しているため、第１，第２のガイド面２９，３１のフラットケーブル９に対する半径方向での距離Ｌ１，Ｌ２を確実に異ならせることができる。

図６は、前記第１，第２のガイド面２９，３１の変形例を示し、（ａ）は、第１の変形例、（ｂ）は、第２の変形例を示す要部拡大断面図である。

図６（ａ）の第１，第２のガイド面２９Ａ，３１Ａは、傾斜により半径方向での距離Ｌ１ａ，Ｌ２ａが異なるように設定され、図６（ｂ）の第１，第２のガイド面２９，３１Ｂは、第１，第２のガイド面２９，３１Ｂ間の僅かな段差及び第２のガイド面３１Ｂの傾斜により半径方向での距離Ｌ１ｂ，Ｌ２ｂが異なるように設定されたものである。

なお、図６では、第１，第２のガイド面２９Ａ，３１Ａ或いは第２のガイド面３１Ｂの傾斜位置により距離Ｌ１ａ，Ｌ２ａ、距離Ｌ２ｂは異なるが、傾斜による距離Ｌ１ａ，Ｌ２ａ、距離Ｌ２ｂは、特定の距離を示すものではなく、何れの傾斜位置においても距離が異なっていることを示すものである。

従って、図６の変形例においても、第１，第２のガイド面２９Ａ，３１Ａ、或いは第１，第２のガイド面２９，３１Ｂにフラットケーブル９が当たることで衝突音が発生しても、当たりの面積が小さいと共に発生のタイミングがずれることで、同様に衝突音を確実に小さくすることができる。

また、本実施例では、前記ロータ５の回転受部１１に遊動スペーサ７の突起１２が当接支持されることで、遊動スペーサ７の回転軸方向の一端側が支持される。このため、遊動スペーサ７がボディ３内で回転する時の動作が安定し、摺動をも小さくすることができるようになっている。

この場合、図６（ａ）の第１，第２のガイド面２９Ａ，３１Ａの傾斜及び図（ｂ）の第２のガイド面３１Ｂの傾斜は、前記回転受部１１へ向かって遊動スペーサ７の回転中心からの距離が小さくなる傾斜により前記半径方向での距離Ｌ１ａ，Ｌ２ａ又は距離Ｌ１ｂ，Ｌ２ｂが異なるように設定されている。

このため、図６（ａ）の第１，第２のガイド面２９Ａ，３１Ａ又は図６（ｂ）の第２のガイド面３１Ｂに対してフラットケーブル９が当たるとき、フラットケーブル９から第１，第２のガイド面２９Ａ，３１Ａ又は第２のガイド面３１Ｂに回転受部１１側へ向かう分力が働き、遊動スペーサ７が回転受部１１から離れることなく、回転受部１１により遊動スペーサ７を確実に回転支持させることができる。

前記第１，第２のガイド面２９Ａ，３１Ａは、双方共に傾斜しているため、何れの面２９Ａ，３１Ａにおいても遊動スペーサ７を回転受部１１を押し付けることができる。

上記実施例では、遊動スペーサ７に、突部２５を設けたが、突部を省略し、フラットな外周面に凹部２７を周方向へ連続又は間隔を置いて設けることもできる。

回転コネクタ装置の回転軸に直交する方向の断面図である（実施例１）。 回転コネクタ装置の回転軸に沿った方向の断面図である（実施例１）。 要部拡大断面図である（実施例１）。 遊動スペーサの半径方向から見た要部側面図である（実施例１）。 図４のＳＡ−ＳＡ矢視断面図である（実施例１）。 （ａ）は、第１の変形例にかかる要部断面図、（ｂ）は、第１の変形例にかかる要部断面図である（実施例１）。 回転コネクタ装置の回転軸に直交する方向の断面図である（従来例）。 回転コネクタ装置の回転軸に沿った方向の断面図である（従来例）。

符号の説明

１ 回転コネクタ装置
３ ボディ（固定側部材）
５ ロータ（回転側部材）
７ 遊動スペーサ
９ フラットケーブル
１１ 回転受部
２３ 外周面
２５ 突部
２７ 凹部
２９，２９Ａ 第１のガイド面
３１，３１Ａ，３１Ｂ 第２のガイド面
Ｌ１，Ｌ１ａ，Ｌ１ｂ，Ｌ２，Ｌ２ａ，Ｌ２ｂ 距離

Claims (4)

1. 固定的に支持される固定側部材と、
   該固定側部材に回動自在に支持され回転側と共に回転可能な回転側部材と、
   前記固定側部材と回転側部材との間に配置されると共に半径方向内外間に連通する反転挿通部を有し前記回転側部材の回転に沿って旋回遊動可能な遊動スペーサと、
   前記遊動スペーサの反転挿通部に挿通して反転させ該遊動スペーサの内外周側で巻き回したフラットケーブルとより成る回転コネクタ装置であって、
   前記遊動スペーサの外周面に、前記フラットケーブルの当たりを逃げる凹部を設け、
   前記遊動スペーサの外周面は、前記遊動スペーサの回転軸方向における前記凹部の両側に該遊動スペーサの半径方向での回転中心からの距離が異なる第１，第２のガイド面を備えた
   ことを特徴とする回転コネクタ装置。
2. 請求項１記載の回転コネクタ装置であって、
   前記第１，第２のガイド面は、段差又は傾斜により前記半径方向での距離が異なる
   ことを特徴とする回転コネクタ装置。
3. 請求項１又は２記載の回転コネクタ装置であって、
   前記回転側部材に、前記遊動スペーサを軸方向の一側で受ける回転受部を設け、
   前記第１，第２のガイド面は、前記回転受部へ向かって前記遊動スペーサの回転中心からの距離が小さくなる傾斜により前記半径方向での距離が異なる
   ことを特徴とする回転コネクタ装置。
4. 請求項１〜３の何れかに記載の回転コネクタ装置であって、
   前記遊動スペーサの外周面に、前記フラットケーブルを周方向に部分的に摺接させるための曲面状の突部を設け、
   前記凹部を、前記突部に設けた
   ことを特徴とする回転コネクタ装置。

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