JP4573084B2 - 感光性樹脂組成物並びにそれを用いたレリーフパターンの製造方法及び耐熱性塗膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性光線の照射によって塩基を発生するアミンイミド化合物とポリアミド酸を含有してなる感光性樹脂組成物、レリーフパターンの製造方法及び耐熱性塗膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光硬化技術は、従来の熱硬化技術と比較して低温硬化、プロセスの短縮化、短時間硬化、微細加工等の特徴を活かし、塗料から半導体材料に至る広範囲な分野で応用が図られている。特に、半導体材料の分野では、回路の保護を目的に、250℃以上の耐熱性を持つ感光性ポリイミドが表面保護膜として用いられている。感光性ポリイミドには、いくつかの感光性付与方法が知られている。代表的なものには、特公昭55−41422号公報で提案されているようなポリアミド酸のカルボン酸をヒドロキシエチルアクリレートを用いてエステル化したものや、特開昭54−145794号公報で提案されているようなポリアミド酸にアミノアクリレートを配合し、感光性基を塩結合で導入するものが知られている。これらの材料は、感光性材料(光ラジカル開始剤、多官能アクリレートモノマ)等をN−メチルピロリドン(NMP)やN,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)等の極性溶媒中に溶解し、シリコンウェハ等の基材上に塗布した後、活性光線を用いてパターン状に露光、現像を行って、パターンを形成した後、300℃以上で加熱して、ポリアミド酸のイミド化及び添加した感光性材料等を分解、揮発させて、所望のポリイミドを得ている。しかしながら、加熱しても完全に感光性材料が揮発せず、フィルム中に残存するため、加熱後のフィルムの物性(接着強度、弾性率、耐熱性等)が低下する問題がある。
上記問題を解決する手法として、ポリアミド酸と光塩基発生剤を用いる方法が報告されている。これは、塩基触媒存在下では、ポリアミド酸のイミド化反応が300℃以下の低温で促進することを応用したものである。例えば、Polym.Bull.30巻、369頁、1993年に代表されるように、o-ニトロベンジルカルバメート誘導体が光照射により塩基を発生することを利用して、マスクを介して露光し、露光部のみに塩基を発生させた後、加熱して露光部のみをイミド化させ、未露光部のポリアミド酸が溶解する溶剤やアルカリ水溶液で現像を行って、ネガ型パターンを作製するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまでの光塩基発生剤の場合、光照射によって発生する塩基が1級または2級アミンであるため、塩基性が低く、イミド化の促進能力が低い欠点があった。さらに、これらの光塩基発生剤の活性光線照射における塩基発生効率が非常に低いために、長時間露光が必要となり、プロセスの短縮化に寄与できない問題があった。
【0004】
本発明は、低露光量でも十分に強い塩基を効率よく発生する光塩基発生剤としてアミンイミドを、ポリアミド酸と併用した感光性樹脂組成物、レリーフパターンの製造方法及び耐熱性塗膜の製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記に鑑み鋭意検討した結果、アミンイミド化合物が活性光線の照射によって効率よく強塩基である3級アミンを発生し、ポリアミド酸のイミド化反応を低温で促進できることを見出した。アミンイミド化合物が加熱によって3級アミンを発生することは、特開平10−139748号公報に記載されているが、活性光線の照射により3級アミンを発生することは記載されていない。
本発明は、[1](a)活性光線の照射により塩基を発生するアミンイミド化合物、(b)ポリアミド酸を含有してなる感光性樹脂組成物である。
本発明は、さらに[2](c)一重項または三重項増感剤を含有してなる上記[1]記載の感光性樹脂組成物である。
また、本発明は、[3](c)一重項または三重項増感剤が、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、カルバゾール誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン誘導体の少なくとも一つであることを特徴とする上記[2]記載の感光性樹脂組成物である。
また、本発明は、[4]上記[1]ないし[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる塗膜に、活性光線をパターン状に照射し、50〜180℃で加熱した後、未照射部を現像除去することを特徴とするレリーフパターンの製造方法である。
さらに本発明は、[5]上記記載の感光性樹脂組成物からなる塗膜に、活性光線を全面に照射し、80〜300℃で加熱することを特徴とする耐熱性塗膜の製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において用いるアミンイミド化合物は、活性光線の照射によって、塩基を発生する化合物であれば特に制限は受けない。例えば、代表的なアミンイミド化合物としては、下記一般式(1)または(2)で表され、
【化1】
式中R1、R2、R3は独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、炭素数1〜6のフェノキシアルキル基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、ベンジル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基等が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖上のアルキル基の他に、置換基を有するアルキル基、例えばイソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基等も含む。これらの置換基の中で、合成の簡便性、アミンイミドの溶解性等の点から、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のフェノキシアルキル基が好ましい。また、R4は独立に炭素数1〜5のアルキル基、水酸基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基を表す。
上記一般式(1)中のAr1は一般式(I)〜(XIII)で表される芳香族基であり、
【化2】
式中R5〜R28は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、ベンゾイル基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式中U〜Zは、炭素、窒素、酸素、硫黄原子のいずれかである。
また、前記一般式(2)中のAr2は、次式(XIV)〜(XXII)で示される芳香族基であり、
【化3】
R29〜R36は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式中Wは、炭素、窒素、炭素数1〜6のアルキル基が置換した窒素、酸素、硫黄であり、X〜Zは独立に、炭素、窒素、酸素、硫黄原子である。
Ar1と同様に熱的な安定性、吸収波長の点から、R29〜R36の置換基としては、電子吸引性基である炭素数1〜6のカルボニル基、シアノ基、ニトロ基が好ましい。
【0007】
アミンイミド化合物の合成は、公知の方法を用いることができる。例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、John Wiley & Sons Ltd.、(1985年)、第1巻、p740に記載されているように、対応するカルボン酸エステルとハロゲン化ヒドラジン及びナトリウムアルコキサイドとの反応やカルボン酸エステルとヒドラジン及びエポキシ化合物との反応から得ることができる。
合成の簡便性、安全性を考慮すると、対応するカルボン酸エステルとヒドラジン及びエポキシ化合物からの合成法が特に好ましい。合成温度、合成時間に関しては、使用する出発物質の分解等が無ければ特に制限を受けないが、一般的には0〜100℃の温度で30分〜7日間攪拌することによって目的のアミンイミド化合物を得ることができる。
【0008】
本発明において用いるポリアミド酸としては、特に制限無く公知のものを使用しうるが、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を付加重合させて得られるものが挙げられる。
【0009】
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンカルボン酸二無水物、1,2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、m-ターフェニル-3,3”,4,4”-テトラカルボン酸二無水物、p-ターフェニル-3,3”,4,4”-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ-2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ-2,2’-ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ-2,2’-ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で又は2種以上を組合わせて使用される。
【0010】
ジアミン化合物としては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−)-ジアミノジフェニルメタン、4,4’(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−)-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−)-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−)-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ベンゾフェノンジアミン、3,3’-ベンゾフェノンジアミン、4,4’−ジ(4−アミノフェノキシ)フェニルスルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)フェニルスルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ-2,2-ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジ(3−アミノフェノキシ)フェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン等の芳香族ジアミン、2,7−ジアミノフルオレン、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、2,4−ジアミノ-s-トリアジン、2,7−ジアミノベンゾフラン、2,7−ジアミノカルバゾール、3,7−ジアミノフェノチアジン、2,5−ジアミノ-1,3,4−チアジアゾール、2,4−ジアミノ-6−フェニル-s-トリアジン等の複素環式ジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、ジアミノポリシロキサン等の脂肪族ジアミンなどが挙げられる。これらのジアミン化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0011】
本発明の(a)アミンイミド化合物の添加量としては、(b)ポリアミド酸の固形分100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、1〜30重量部がさらに好ましい。アミンイミド化合物が0.1重量部未満では感度不足となって、イミド化を促進することができない。また、50重量部を超えた場合には、加熱後にフィルム中にアミンイミドの光分解生成物が多量に残存するため、フィルム物性が低下する傾向にある。
【0012】
本発明で用いる増感剤は、感光性樹脂組成物に悪影響を及ぼさない限り、公知の一重項増感剤、三重項増感剤を用いることができる。例えば、ナフタレン、アントラセン、ピレン等の芳香族化合物誘導体、カルバゾール誘導体、芳香族カルボニル化合物、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体等が好適に用いられる。特にこの中でも、一重項増感剤としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、カルバゾール誘導体、三重項増感剤としては、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン誘導体が最も好ましい。例えば、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、1−フルオロナフタレン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレン、1−ヨードナフタレン、2−ヨードナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1,4−ジシアノナフタレン、アントラセン、1,2−ベンズアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9−シアノアントラセン、9,10−ジシアノアントラセン、2,6,9,10−テトラシアノアントラセン、カルバゾール、9−メチルカルバゾール、9−フェニルカルバゾール、9−プロペ−2−イニル−9H−カルバゾール、9−プロピル−9H−カルバゾール、9−ビニルカルバゾール、9H−カルバゾール−9−エタノール、9−メチル−3−ニトロ−9H−カルバゾール、9−メチル−3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、9−オクタノイルカルバゾール、9−カルバゾールメタノール、9−カルバゾールプロピオン酸、9−カルバゾールプロピオニトリル、9−デシル−3,6−ジニトロ-9H−カルバゾール、9−エチル−3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、9−エチル−3−ニトロカルバゾール、9−エチルカルバゾール、9−イソプロピルカルバゾール、9−(エトキシカルボニルメチル)カルバゾール、9−(モルホリノメチル)カルバゾール、9−アセチルカルバゾール、9−アリルカルバゾール、9−ベンジル−9H−カルバゾール、9−カルバゾール酢酸、9−(2−ニトロフェニル)カルバゾール、9−(4−メトキシフェニル)カルバゾール、9−(1−エトキシ−2−メチル−プロピル)−9H-カルバゾール、3−ニトロカルバゾール、4−ヒドロキシカルバゾール、3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、3,6−ジフェニル−9H−カルバゾール、2−ヒドロキシカルバゾール、3,6−ジアセチル−9−エチルカルバゾール、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメトキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチルエステル、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタノン、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンが挙げられる。これらは、単独で用いるほかに、複数を組み合わせて用いても良い。増感剤の使用量は、増感剤の吸収波長及びモル吸光係数を参考にする必要があるが、一般的にアミンイミド化合物1重量部に対して0.01〜10重量部であり、0.1〜5重量部が特に好ましい。増感剤が0.01重量部未満になると光吸収の効率が低くなり、10重量部を超えると感光性樹脂組成物全体に光が届かない恐れがある。
【0013】
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じてカップリング剤等の密着向上剤、レベリング剤、可塑剤、有機または無機充填材などの添加剤を適宜添加してもよい。
【0014】
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて有機溶剤を使用してもよい。使用できる溶剤としては、アミンイミド化合物及びポリアミド酸に十分な溶解性を示すものであれば、特に制限は受けない。例えば、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、クロロホルム、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t-ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、エチレンカーボネート、スルホラン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。そのような有機溶剤の使用量は、特に制限は無いが、塗工性の点から、組成物の固形分が5〜95重量%となるような量が好ましく、10〜50重量%となるような量がより好ましい。
【0015】
本発明の感光性樹脂組成物は、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、回転塗布法等によってシリコンウェーハ、金属基板、ガラス基板、セラミック基板等の基材上に塗布され、有機溶剤を含む場合は、それらの有機溶剤の大部分を加熱乾燥することにより、粘着性のない塗膜とすることができる。この塗膜上に、パターン状あるいは全面に活性光線を照射する。照射する活性光線としては、紫外線、遠紫外線、可視光、電子線、X線などがある。活性光線を照射した後、80〜300℃で5秒〜1時間加熱して、イミド化を促進させる。パターン状に活性光線を照射した場合には、未照射部を適当な現像液で溶解除去することにより、所望のレリーフパターンを得る。
【0016】
現像液としては、特に制限はないが、例えば、炭酸ナトリウムやテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド(TMH)を含有した水溶液等のアルカリ水溶液、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル―2−ピロリドン等の良溶媒と低級アルコール、水、芳香族炭化水素等の貧溶媒との混合液などが用いられる。また、現像後に、イミド化を完全にするために、100〜350℃で5分〜2時間加熱しても良い。このようにして得られたレリーフパターンは、SiO2、SiN等の無機物を用いて形成されたパッシベーション膜をドライエッチング等により加工することができる。
【0017】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
アミンイミドの合成1(アミンイミド1)
p-ニトロ安息香酸メチルエステル(2.00g、11mmol)、N,N−ジメチルヒドラジン(0.66g、11mmol)、フェニルグリシジルエーテル(1.66g、11mmol)をtert−ブタノール(15.0g)に添加し、50℃で10時間攪拌した後、さらに室温(25℃)で48時間攪拌したところ、白色沈殿が生成した。これを濾別した後、酢酸エチルで2度洗浄し、真空乾燥機で乾燥させてアミンイミド化合物を得た。収量3.67g、収率85%、融点146−147℃であった。
【0019】
アミンイミドの合成2(アミンイミド2)
p-シアノ安息香酸メチルエステル(2.00g、12mmol)、N,N−ジメチルヒドラジン(0.75g、12mmol)、フェニルグリシジルエーテル(1.86g、12mmol)をtert−ブタノール(10g)に添加し、50℃で72時間攪拌した後、さらに室温で48時間攪拌した。得られた反応溶液をロータリーエバポレータでtert−ブタノールを除去した後、酢酸エチル10gを加えて再結晶を行って白色のアミンイミド化合物を得た。収量2.74g、収率65%、融点148−149℃であった。
【0020】
(実施例1)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物とを等モルで常法により反応させて得られたポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン溶液10g(固形分20重量%)に、上記合成によって得られたアミンイミド化合物1を0.04g配合して、感光性樹脂溶液とした。この感光性樹脂溶液をシリコーンウェハ上に回転塗布し、ホットプレート上100℃で200秒加熱し、感光性塗膜とした。乾燥後の膜厚は10μmであった。塗膜上にフォトマスクを介し超高圧水銀灯を光源とするミラープロジェクション露光機で366nmの照射量が3J/cm2となるように露光を行った後、ホットプレート上150℃で60秒加熱した。このあと、1.68NのTMH(テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド)水溶液で浸漬現像を行い、次いで純水でリンスしたところ、露光部のパターンが残存したネガ型のレリーフパターンが得られた。
【0021】
(実施例2)
アミンイミド化合物1の代わりにアミンイミド化合物2を0.04g使用し、かつ増感剤としてベンゾフェノンを0.02g使用した以外は、実施例1と同様にパターン形成を試みたところ、露光部のパターンが残存したネガ型のレリーフパターンが得られた。
【0022】
(比較例1)
アミンイミド化合物1を添加しない他は、実施例1と同様にパターン形成を試みたところ、露光部、未露光部に関係なく、全て現像時に溶解し、レリーフパターンは得られなかった。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、光照射を行うことにより低温でポリアミド酸のイミド化を促進し、さらに、貯蔵安定性に優れる硬化性組成物を提供することができる。
Claims (5)
- (a)活性光線の照射により塩基を発生するアミンイミド化合物、(b)ポリアミド酸を含有してなる感光性樹脂組成物。
- さらに(c)一重項または三重項増感剤を含有してなる請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- (c)一重項または三重項増感剤が、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、カルバゾール誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン誘導体の少なくとも一つであることを特徴とする請求項2記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる塗膜に、活性光線をパターン状に照射し、50〜180℃で加熱した後、未照射部を現像除去することを特徴とするレリーフパターンの製造方法。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる塗膜に、活性光線を全面に照射し、80〜300℃で加熱することを特徴とする耐熱性塗膜の製造方法。
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