JP4570844B2 - セメント施工用プライマー、セメント施工方法、及びセメント構造物 - Google Patents

セメント施工用プライマー、セメント施工方法、及びセメント構造物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメント施工用プライマー、セメント施工方法、及びセメント構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に既設の下地に新設のモルタル又はコンクリートを打継ぐ場合、下地への吸水の影響で新設のモルタル又はコンクリートにドライアウトと一般に呼ばれている現象が生じ、これに起因して打継ぎ面に剥離が発生することがある。この対策としては、水中油型(O/W型)エマルション又はエポキシ樹脂を下地表面にプライマーとして塗布することが行われている。
【0003】
▲1▼水中油型(O/W型)エマルションの場合
この剥離の防止策として、既設の下地がモルタル又はコンクリートの場合、EVA系、アクリル系、SBR系等の高分子の水中油型(O/W型)エマルションのプライマーを塗布し、下地の吸水調整を行うことが一般的である。しかしながら、EVA系、アクリル系、SBR系等のプライマーは、自身の凝集力がセメントモルタル、コンクリートと比較して小さく、耐アルカリ性、耐水性も相対的に低いことから耐久性に問題を生ずる場合がある。
【0004】
さらに、EVA系、アクリル系、SBR系等の高分子の水中油型(O/W型)エマルションのプライマーは、乾燥して水分が無くなることにより吸水調整効果を有す皮膜を形成するため、低温下では乾燥(皮膜形成)に長時間を要する。特に、セルフレベリング材を施工する際のプライマーは一般的に2回塗りを行っているため、低温下では工期を遅らせる原因となる。特に、速硬性セルフレベリング材の場合は、その影響は大きい。
【0005】
また、水中油型(O/W型)エマルションのプライマーは、下地がモルタル又はコンクリート以外の、例えばタイル等に用いられている陶磁器質材料、内装用仕上貼床材等の塩化ビニル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、それらの接着に使用する接着剤の酢酸ビニル樹脂やビニル共重合樹脂、ゴムラテックス及びエポキシ樹脂、内装用仕上塗床材に用いられているポリウレタンやエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、鉄骨等の金属、内装に広く用いられている木質材料の場合には十分な接着力は得られない。
【0006】
▲2▼エポキシ樹脂
水中油型(O/W型)エマルション以外のプライマーとしてエポキシ樹脂系接着剤を使用する方法がある。この接着剤はエポキシ樹脂を主成分とする主剤とポリアミン系硬化剤からなる配合物で接着性も高く、かつ硬化後も安定した凝集力と耐久性が得られる。更に水中油型(O/W型)エマルションのプライマーでは十分な接着力が期待できないモルタル又はコンクリート以外の下地についても安定した接着力が得られる。しかしながら、これらの接着性能も塗布した接着剤が硬化した後の打継ぎでは、打継ぎを行う新設モルタル又はコンクリートとの接着力は殆ど期待できない。そのため、コンクリート又はモルタルを打継ぐ工程が何らかの原因で遅れると、下地とコンクリート又はモルタルが剥離してしまうことがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に対して、セメントを用いたコンクリート又はモルタルの打継ぐにあたって、高い耐水性、耐アルカリ性及び強い凝集力を有することにより、高く安定した接着力を有し、セメントを用いたコンクリート又はモルタルを打継ぐ工程が何らかの原因で遅れても、優れた接着力を保つようにしたセメント施工用プライマー、該セメント施工用プライマーを用いたセメント施工方法、及び該セメント施工方法を実施して得られるセメント構造物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るセメント施工用プライマーは、エポキシアクリレートと、有機金属酸及び第三級アミンから選ばれる促進剤並びに過酸化物からなる触媒を含有する硬化剤とを含み、セメントを用いたコンクリート又はモルタルを打継ぐときに用いる。
【0009】
本発明は、別の側面として、セメント施工方法であり、該施工方法では、上記のセメント施工用プライマーを下地の上に適用し、しかる後に未硬化のモルタル又は未硬化のコンクリートを適用することを含む。この場合、未硬化のモルタル又は未硬化のコンクリートとして、セルフレベリング材を用いることが好適である。
本発明は、さらに別の側面としてセメント構造物であり、該セメント構造物は、本発明のセメント施工方法を実施して構築される。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るセメント施工用プライマー、セメント施工方法、及びセメント構造物をその実施の形態について、さらに詳細に説明する。
【0011】
なお、本明細書で「重合」の語を用いるときは、「縮合」、「縮重合」が起こる場合には、その概念も含む。また、「モノマー」同士は、単一のモノマー同士が重合する場合の他、複数の分子種が重合する場合も含む。ポリマーを原料化合物とする場合は、ある程度重合した原料化合物がさらに重合してより高分子化する場合を含む。
【0012】
本発明に係るセメント施工用プライマーは、熱硬化樹脂として、エポキシアクリレートを含む。エポキシアクリレートは、二種以上の混合により硬化する熱硬化性樹脂である。エポキシアクリレートは、常温硬化するので、加熱する必要がなく好適である。エポキシアクリレートにスチレンモノマーを配合した主剤と硬化剤(促進剤及び/又は触媒)とを混合することにより、硬化反応を開始する。それ以外に重合禁止剤、重合抑制剤、収縮低減剤等を混合してもよい。また、硬化剤の一部や重合禁止剤、重合抑制剤、収縮低減剤等は主剤に添加しておいてもよい。
エポキシアクリレートとしては、ビスフェノール系エポキシアクリレートやノボラック系エポキシアクリレート等が挙げられる。
スチレンモノマーは、エポキシアクリレート又は不飽和ポリエステルの各々の100重量部に対して10〜250重量部が好ましく、50〜150重量部がさらに好ましい。スチレンモノマーの配合量が10重量部未満では、高粘度のため作業性が悪化し、250重量部を超えると、皮膜強度が低下する。
スチレンモノマーは、その一部又は全部をクロルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマーや、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の重合性モノマーを本発明の主旨を損なわぬ範囲で代替し、使用することも可能である。硬化剤は、常温においても短時間で硬化することから、促進剤と触媒を併用する
促進剤としては、公知のものが使用でき、ナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルトに代表されるコバルト塩等の有機金属酸や、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチルアミン等の第三級アミン等を用いる。該促進剤はエポキシアクリレート又は不飽和ポリエステルの各々の100重量部に対して0.01〜5.0重量部が好ましい。0.01重量部未満では、硬化時間が著しく遅くなり、5.0重量部を超えると、皮膜強度が低下する。
触媒としては、公知のものが使用でき、メチルエチルケトンパーオキサイドに代表されるケトンパーオキサイド類、クメンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロオキサイド類等、有機過酸化物等を用いる。該触媒はエポキシアクリレート又は不飽和ポリエステルの各々の100重量部に対して0.1〜5.0重量部が好ましく、0.2〜2.0重量部がさらに好ましい。0.1重量部未満では、硬化時間が著しく遅くなり、5.0重量部を超えると、皮膜強度が低下する。
さらに、上記ビスフェノール系エポキシアクリレートとして好適なものとして、以下の一般式を与える化合物を例示することができる。この化合物を主剤に含むノボラック系エポキシアクリレート樹脂は、酸素によって重合阻害を受ける。
【化1】
(式中のnは1〜4。)
【0013】
さらに、上記ノボラック系エポキシアクリレートとして好適なものとして、以下の一般式を与える化合物を例示することができる。この化合物を主剤に含むノボラック系エポキシアクリレート樹脂は、酸素によって重合阻害を受ける。
【化2】
(式中のnは1〜4。)
【0014】
さらに、上記ビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂として好適なものとして、以下の一般式を与える化合物を例示することができる。この化合物を主剤に含むビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂は、酸素によって重合阻害を受ける。
【化3】
(式中のnは1〜7。)
本発明では、このような二種以上の混合により硬化する熱硬化樹脂を用いることにより、高い耐水性、耐アルカリ性及び強い凝集力を有することにより、高く安定した接着力を期待することができる。
【0015】
本発明に係るセメント施工用プライマーは、下地の上に適用され、その下地の上には、未硬化のモルタル又は未硬化のコンクリートが適用される。なお、プライマーとは、既設の下地にコンクリート又はモルタルを打継ぐ場合に用いる下地の吸水調整剤(材)、又は下地との接着増強剤(材)を意味する。本発明の場合には、下地との接着増強剤(材)の特性が大きい。
【0016】
本発明でいうコンクリート又はモルタルは、セメント、石膏、ドロマイトプラスター等の水硬性物質を結合材として、これに骨材及び水を混合したものをいい、さらに一般的に用いられる混和剤(材)を加えて混合したものを含むものである。
粒径5mm以上の骨材を含むものがコンクリートであり、粒径5mm未満の骨材しか含まないものがモルタルである。混和剤(材)としては、無機粉末、水和性膨張物質、繊維、増粘剤、減水剤、保水剤、顔料、収縮低減剤、界面活性剤、消泡剤、防水剤、防錆剤、作業性改善剤、分離防止剤、撥水剤、AE剤、白華防止剤、セメント用ポリマー等が挙げられ、1種又は2種以上を必要に応じて用いることができる。
【0017】
本発明に係るセメント施工方法は、本発明に係るセメント施工用プライマーを下地の上に適用し、しかる後に未硬化のモルタル又は未硬化のコンクリートを適用(打継ぎ)することを含む。本発明では、プライマー表面が空気中の成分による重合阻害を受けることにより、プライマー塗布からコンクリート又はモルタルの打継ぎに数日を要した場合においても、安定した接着力を有す。本発明によるセメント施工方法によれば、セメント施工で、工期の遅れにかかわらず、優れたセメント構造物を得ることができる。
上記未硬化のモルタル又は未硬化のコンクリートとしては、セルフレベリング材が好適である。セルフレベリング材は、高い流動性を有すことにより、床面に流し簡単にならすだけで平たん・平滑な床を形成できる性質がある。一般的に、セメント又は石膏が結合材のモルタルである。
【0018】
なお、本発明で用いるポキシアクリレートは、ポーラスな下地に塗布する場合、粘性が低すぎると下地に吸いこまれるために塗布量が多くなり、よって経済性が悪くなる。このことから、粘度は50mPa・s以上が好ましい。また、作業性の面から考慮する場合、粘度1000mPa・s以下がより好ましい。
【0019】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び比較例を挙げ、本発明の作用及び効果をさらに詳細に示す。
【0020】
実施例1、2及び比較例1〜4
使用したプライマー
実施例、比較例に使用したプライマーは表1の通りである。なお、粘度はB型粘度計にて測定を行なった。
実施例1では、以下の一般式を持つビスフェノール系エポキシアクリレート100重量部に対してスチレンモノマーを150重量部、メチルエチルケトンパーオキサイドを1重量部、ナフテン酸コバルトを0.5重量部配合した、空気中の酸素による重合阻害を受けるビスフェノール系エポキシアクリレート樹脂を用いた。
【化4】
(式中のnは1。)
実施例2では、以下の一般式を持つノボラック系エポキシアクリレート100重量部に対してスチレンモノマーを150重量部、メチルエチルケトンパーオキサイドを1重量部、ナフテン酸コバルトを0.3重量部配合した、空気中の酸素による重合阻害を受けるノボラック系エポキシアクリレート樹脂を用いた。
【化5】
(式中のnは1。)
【0021】
比較例1では、太平洋マテリアル社製、太平洋モルヒットエマルション(固形分45%)を用いた。
比較例2では、太平洋マテリアル社製、太平洋エフェクト(固形分45%)を用いた。
比較例3では、太平洋マテリアル社製、太平洋CX−B(固形分45%)を用いた。
比較例4では、太平洋マテリアル社製、ユニタック5000−3を用いた。
【表1】
*1比較例1、2、3は、塗布時には水による希釈を行うため、それぞれ固形分が15%となるように水で希釈した際の粘度を示す。
【0022】
実施例1、2の空気中の成分による表面の重合阻害確認試験
▲1▼試験方法
1)2枚のアクリル板の上に各プライマーを塗布した。
2)プライマーを塗布したアクリル板のうち1枚はそのまま静置し、塗布したプライマー表層が空気と接触するようにした。もう一方のアクリル板にはプライマー塗布後直ちにアクリル板を塗布したプライマーの上に被せ、塗布したプライマーの表層が空気に接触しないようにして静置した。
3)3日後、プライマーの上に被せたアクリル板を除去し、プライマーを塗布した2枚のアクリル板の上に塗布したプライマー表層の粘着性について指で触れることにより確認を行なった。
【0023】
▲2▼実験結果
実験結果を表2に示す。
【表2】
【0024】
実施例1、2、比較例1〜4を用いた付着試験
▲1▼付着試験体の作成方法
下地に刷毛により所定量のプライマーを塗布して温度20℃、湿度60%条件下にて所定の時間養生を行ない、この上にモルタルを10mm厚にて施工し、所定の養生を行ったものを付着試験体とした。
【0025】
▲2▼付着試験体の下地作成方法
1)コンクリート下地
JIS A 5371 付属書2 普通平板 呼び300の規定に適合する300×300×60mmのコンクリート平板表面の汚れや付着物を、ワイヤブラシで除去した後に水洗し、充分に乾燥させたものをコンクリート下地とした。
2)接着剤下地
コンクリート下地へ、JIS A 5536に適合したビニル系床材用接着剤(東リ社製ゴム系ラテックス形ビニル床タイル・ビニル床シート用接着剤ロイヤルS)を300g/m2塗布し、充分に硬化させたものを接着剤下地とした。
【0026】
3)ビニル床タイル下地
接着剤塗布直後の接着剤下地(接着剤硬化前)にビニル床タイルを貼り付け、接着剤を充分に硬化させたものをビニル床タイル下地とした。
4)陶磁器質タイル下地
コンクリート下地にエポキシ系接着剤を用いて内装用陶磁器質タイルを貼り付け、接着剤を充分に硬化させたものを陶磁器質タイル下地とした。
5)木材下地
コンクリート下地にエポキシ系接着剤を用いてフローリング材を貼り付け、接着剤を充分に硬化させたものを木質系下地とした。
【0027】
▲3▼プライマー塗布
プライマー塗布は表3の通りとした。
【表3】
また、プライマー塗布からモルタルの施工までの期間(プライマー養生期間)は1時間、5時間、及び1日とした。
【0028】
▲4▼モルタルの配合
太平洋セメント社製普通ポルトランドセメント500g、静岡県小笠郡浜岡町産山砂1500g、水道水270gの、セメント:骨材(重量比)が1:3のモルタル(1:3モルタル)とした。
【0029】
▲5▼モルタルの養生
モルタルの養生は以下の通りとした。
標準養生:モルタル成形後、温度20℃、湿度60%条件下にて7日間養生した。
水中養生:モルタル成形後、温度20℃、湿度60%条件下にて24時間、温度20℃の水中で5日間養生した後、温度20℃、湿度60%条件下にて24時間乾燥した。
【0030】
▲6▼付着強さ測定
図1の付着試験体1の表面へ、図1に示した箇所11〜15へ下地に達する深さまで切り込みを入れ、正方形の切り込み箇所の表面を150番の紙やすりで十分に研磨した後、エポキシ系接着剤にて40×40mmの鋼製ジグを貼り付けた。
接着剤硬化後、建研式接着力試験器を用いて付着強さの測定を行なった。
【0031】
▲6▼付着強さ測定の結果
付着強さ測定結果を表4、表5に示す。
【表4】
【表5】
【0032】
*2破断面の位置は、図2に示した通りである。E100等のように示した数値は面積比(%)を示す。なお、試験体1は、下地21、プライマー22、モルタル23の層を備え、これにエポキシ系接着剤24で鋼製ジグ25を接着している。
*3付着試験結果の評価基準は、
A:下地凝集破断
B:下地−プライマー接着界面破断
C:プライマー凝集破断
D:プライマー−モルタル接着界面破断
E:モルタル凝集破断
とし、
○:付着強さ1.0N/mm2以上、且つ破断面B、C、Dの合計が50%未満
×:付着強さ1.0N/mm2未満又は、破断面B、C、Dの合計が50%以上
とした。
【0033】
▲7▼付着試験結果のまとめ
1)実施例1、2について
プライマー塗布後の皮膜形成(硬化)が速く、かつ皮膜形成後もプライマー表面の重合阻害によりプライマー表面のみ未硬化状態にあるため、プライマーの養生期間が1時間、5時間、1日、それぞれの付着試験結果において安定した付着力を発揮している。
水中養生の付着試験結果においても、安定した付着力を発揮している。
下地がコンクリート、接着剤、ビニル床タイル、陶磁器質タイル、木材のいずれも、付着試験結果において安定した付着力を発揮している。
【0034】
2)比較例1、2、3について
プライマーの養生期間が1時間の場合、プライマー塗布後の皮膜形成(乾燥)が遅く、モルタル施工時にプライマーの皮膜が形成していないために付着試験結果において十分な付着力が得られていない。
水中養生の付着試験結果においては、水分によりプライマーの皮膜が膨潤して強度が低下し、これにより付着試験結果において十分な付着力が得られていない。
コンクリート下地以外の下地とは、付着試験結果において十分な付着力が得られていない。
【0035】
3)比較例4について
プライマーの養生期間が1日の場合、プライマーが完全に硬化し、付着試験結果において全く付着力が得られていない。
【0036】
実施例1の2、2の2、1の3、2の3及び比較例1の2〜4の2、1の3〜4の3
実施例1、2及び比較例1〜4は、上記のように1:3モルタルを用いた。この1:3モルタルで形成するモルタル層にセルフレベリング材を用いた実施例1の2、2の2、1の3、2の3及び比較例1の2〜4の2、1の3〜4の3を以下に示す。
【0037】
使用したプライマー
実施例1の2、1の3は、1:3モルタルを用いた実施例1と同じ、実施例2の2、2の3は、1:3モルタルを用いた実施例2と同じ、比較例1の2、1の3は、1:3モルタルを用いた比較例1と同じ、比較例2の2、2の3は、1:3モルタルを用いた比較例2と同じ、比較例3の2、3の3は、1:3モルタルを用いた比較例3と同じ、比較例4の2、4の3は、1:3モルタルを用いた比較例4と同じであった。
【0038】
実施例1の2、2の2、1の3、2の3及び比較例1の2〜4の2、1の3〜4の3を用いた付着試験
▲1▼付着試験体の作成方法
1:3モルタルを用いた実施例1、2及び比較例1〜4と同様に作成した。ただし、施工したモルタルは、セルフレベリング材とした。
【0039】
▲2▼付着試験体の下地作成方法
コンクリート下地を用い、その作成方法は、1:3モルタルを用いた実施例1、2及び比較例1〜4と同様であった。
【0040】
▲3▼プライマー塗布
上記表3の例に従い、プライマー塗布に関し、実施例1の2、1の3は、1:3モルタルを用いた実施例1と同じ、実施例2の2、2の3は、1:3モルタルを用いた実施例2と同じ、比較例1の2、1の3は、1:3モルタルを用いた比較例1と同じ、比較例2の2、2の3は、1:3モルタルを用いた比較例2と同じ、比較例3の2、3の3は、1:3モルタルを用いた比較例3と同じ、比較例4の2、4の3は、1:3モルタルを用いた比較例4と同じであった。
ただし、プライマー塗布からモルタル施工までの期間(プライマー養生期間)は、1時間、5時間、及び3日とした。
【0041】
▲4▼使用したセルフレベリング材
実施例1の2、2の2、比較例1の2、2の2、3の2、4の2については、セメント系セルフレベリング材を用いた。
商品名:太平洋マテリアル株式会社製 太平洋SL
硬化時間:凝結時間(終結)10時間10分
「JASS 15M−103セルフレベリング材の品質基準」に準じて測定した。
実施例1の3、2の3、比較例1の3、2の3、3の3、4の3については、速硬性セメント系セルフレベリング材を用いた。
配合:表6の通り(普通ポルトランドセメントを100重量部として)
【表6】
硬化時間:凝結時間(終結)3時間
「JASS 15M−103セルフレベリング材の品質基準」に準じて測定した。
【0042】
▲5▼モルタルの養生
モルタルの養生は、標準養生とし、モルタル成形後、温度20℃、湿度60%条件下にて7日間養生した。
【0043】
▲6▼付着強さ測定
1:3モルタルを用いた実施例1、2及び比較例1〜4と同様であった。
【0044】
▲7▼付着強さ測定の結果
付着強さ測定結果を表7、表8に示す
【表7】
【表8】
【0045】
*2破断面の位置は、図2に示した通りである。E100等のように示した数値は面積比(%)を示す。なお、試験体1は、下地21、プライマー22、モルタル23の層を備え、これにエポキシ系接着剤24で鋼製ジグ25を接着している。
*3付着試験結果の評価基準は、
A:下地凝集破断
B:下地−プライマー接着界面破断
C:プライマー凝集破断
D:プライマー−モルタル接着界面破断
E:モルタル凝集破断
とし、
○:付着強さ1.0N/mm2以上、且つ破断面B、C、Dの合計が50%未満
×:付着強さ1.0N/mm2未満又は、破断面B、C、Dの合計が50%以上
とした。
【0046】
▲7▼付着試験結果のまとめ
1)実施例1の2、1の3、2の2、2の3について
プライマー塗布後の皮膜形成(硬化)が速く、且つ皮膜形成後もプライマー表面の重合阻害によりプライマー表面のみ未硬化状態にある為、プライマーの養生期間が1時間、5時間、3日、それぞれの付着試験結果において安定した付着力を発揮している。
速硬性セルフレベリング材を用いた場合、プライマー塗布から4時間後に(プライマー塗布から速硬性セルフレベリング材の凝結が終結するまでの所要時間)、下地と一体化したセルフレベリング材の硬化体が得られた。
【0047】
2)比較例1の2、1の3、2の2、2の3、3の2、3の3について
プライマーの養生期間が1時間の場合、プライマー塗布後の皮膜形成(乾燥)が遅く、モルタル施工時にプライマーの皮膜が形成していないために付着試験結果において十分な付着力が得られていない。
速硬性セルフレベリング材を用いた場合でも、プライマー塗布から4時間後では、下地と一体化したセルフレベリング材の硬化体は得られなかった。
【0048】
3)比較例4の2、4の3について
プライマーの養生期間が1時間で速硬性セルフレベリング材を施した場合、プライマーよりも速硬性セルフレベリング材のほうが速く硬化してしまうため、速硬性セルフレベリング材とプライマーとの層間で剥離が発生してしまい、付着試験結果において全く付着力が得られていない。
プライマーの養生期間が3日の場合、プライマーが完全に硬化し、付着試験結果において全く付着力が得られていない
【0049】
他の実施の形態
本発明は、上記の実施の形態について説明したが、本発明は、このような実施の形態に限定されるものではなく、当業者にとって自明な修飾・変更・付加は、全て本発明の技術的範囲に含まれる。
【0050】
【発明の効果】
上記したところから明らかなように、本発明によれば、高い耐水性、耐アルカリ性及び強い凝集力を有することにより、高く安定した接着力を有し、セメントを用いたコンクリート又はモルタルを打継ぐ工程が何らかの原因で遅れても、優れた接着力を保つようにしたセメント施工用プライマー、該セメント施工用プライマーを用いたセメント施工方法、及び該セメント施工方法を実施して得られるセメント構造物が提供される。
【0051】
すなわち、上記したように塗布後の皮膜形成に要する時間が短いことから工期短縮を可能とし、近年需要が増えている速硬性、速乾性モルタルとの組み合わせにより更なる工期短縮をはかれる。上記したようにセルフレベリング材との相性も良い。
しかも、皮膜形成後、新設コンクリート又はモルタルを打継ぐまでの間に数日を要しても、皮膜の硬化自体は早いものの、皮膜形成後、プライマー表面の重合阻害によりプライマー表面のみ未硬化状態にある。このため高い接着力を有す。
さらに、下地がセメントを用いたコンクリート又はモルタル以外の材料、例えば、陶磁器質材料、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂やビニル共重合樹脂、ゴムラテックス、エポキシ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂、金属、木質材料に対しても高い接着力を有す。
【0052】
建築構造物の内装仕上材改修工事において、新規の内装仕上材を施工する際に下地の平滑性等をモルタルにより調整する場合、従来では既設の内装仕上材及びそれを貼り付けていた接着剤を除去した後、モルタルによる下地調整が行われている。しかしながら、本発明を用いた場合、既設の内装仕上材又はそれを貼り付けていた接着剤を剥がすことなくモルタルによる下地調整が行うことが可能となり、短期間での工事が要求されることの多い建築構造物(特に店舗)の内装仕上材改修工事において、大幅な工期の短縮をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】付着強さ測定を行う際、付着試験体への鋼製ジグの取り付けを説明する概念図である。
【図2】付着強さ測定を行う場合の付着試験体の破断位置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 付着試験体
21 下地
22 プライマー
23 モルタル
24 エポキシ系接着剤
25 鋼製ジグ

Claims (7)

  1. エポキシアクリレートと、有機金属酸及び第三級アミンから選ばれる促進剤並びに過酸化物からなる触媒を含有する硬化剤とを含み、セメントを用いたコンクリート又はモルタルを打継ぐときに用いるセメント施工用プライマー。
  2. エポキシアクリレート100重量部に対しスチレンモノマー10〜250重量部配合した主剤と、有機金属酸及び第三級アミンから選ばれる促進剤並びに過酸化物からなる触媒を含有する硬化剤とを含む請求項1のセメント施工用プライマー。
  3. 上記過酸化物が有機過酸化物である請求項1又は2のセメント施工用プライマー。
  4. 上記エポキシアクリレートがビスフェノール系エポキシアクリレート又はノボラック系エポキシアクリレートである請求項1〜3のいずれかのセメント施工用プライマー。
  5. 請求項1〜4のいずれかのセメント施工用プライマーを下地の上に適用し、しかる後に未硬化のモルタル又は未硬化のコンクリートを適用することを含むセメント施工方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかのセメント施工用プライマーを下地の上に適用し、しかる後にセルフレベリング材を適用することを含むセメント施工方法。
  7. 請求項5又は6のセメント施工方法を実施して構築されるセメント構造物。
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