JP4566129B2 - 新規ウイルスベクター - Google Patents

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Description

本発明は、ウイルス粒子表面に水溶性ポリマーが結合し、かつ、当該水溶性ポリマーにインテグリンに親和性のある外来性ペプチドが結合した構造を有するウイルスベクターに関する。
現在、遺伝子導入に用いられているベクターとしてアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクターおよびリポソーム等が知られている。その中でもアデノウイルスベクターは、1)遺伝子導入効率および遺伝子発現効率が高い、2)増殖停止期の細胞やその他多くの細胞種に対して遺伝子導入が可能、3)in vivoにおける組織への直接遺伝子導入にも有効、4)比較的大きな外来遺伝子を導入することが可能、5)高力価ベクターの作製が容易、および6)細胞毒性を引き起こす可能性が低い、などの利点を有していることから汎用されている。
また、アデノウイルスの感染様式として、まずウイルス粒子表面から突出するファイバーが感染細胞表面に存在するアデノウイルス受容体CAR(coxackie−adenovirus receptor)に結合し、その後ウイルス粒子表面に存在するペントンベース(アルギニン(R)−グリシン(G)−アスパラギン酸(D)の配列を5個有する)が細胞表面に存在するインテグリン(αVβ3、αVβ5)に結合することでウイルス粒子が細胞内に取込まれ、感染が成立することが知られている(ティー・ジェイ・ウィックハム(T.J.Wickham)ら著,「セル(Cell)」,第73巻,309−319頁,1993年参照)。
しかしながら、遺伝子導入用のベクターとして使用する場合、アデノウイルスは、1)免疫原性が高いため投与量によっては個体に対して炎症反応を引き起こす、2)血中半減期が短い、3)肝集積性が高く、肝障害発症の危険性がある、4)CAR低発現細胞(例えば、気道上皮細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞、T細胞、造血幹細胞、樹状細胞など)に対しては遺伝子導入効率が低い、5)抗原性が高いため、中和抗体や貧食細胞の攻撃を受けやすく遺伝子導入効率が低下する、などの問題点がある。
これら問題点を解決するために、アデノウイルスベクターを局所投与する方法、アデノウイルスの抗原性を示す部位を遺伝子工学的に削除する方法、アデノウイルスゲノムを遺伝子工学的に改変する方法などが試みられているが、全ての問題点が解決されたわけではない。
一方、最近では、ウイルスに対する中和抗体や貧食細胞の作用による遺伝子導入効率の低下の回避および血中安定性の向上を目的として、ウイルス粒子表面にポリエチレングリコール(PEG)を結合させたアデノウイルスベクター(以下、PEG−アデノウイルスベクターという)(特表2001−521381号公報参照)や、CAR非発現および低発現細胞における遺伝子導入効率の向上を目的として、標的細胞表面に存在するインテグリンに結合することが知られているアルギニン(R)−グリシン(G)−アスパラギン酸(D)を基本配列として有するペプチドモチーフ(以下、RGDモチーフという)を遺伝子工学的手法によりウイルスのファイバー先端のノブに組込んだアデノウイルスベクター(以下、ファイバー変異アデノウイルスベクターという)(エイチ,・ミズグチ(H.Mizuguchi)ら著,「ジーン・セラピー(Gene Ther.)」,第8巻,730−735頁,2001年参照)や、前記のPEG−アデノウイルスベクターのPEGの最外部に気道上皮細胞に特異性を有するペプチド(sss.17ペプチド、SDQLASPYSHPR)を付加したアデノウイルスベクター(以下、気道上皮細胞特異的ペプチド−PEG−アデノウイルスベクターという)(エイチ・ロマンクザック(H.Romanczuk)ら著,「ヒューマン・ジーン・セラピー(Human Gene Therapy」,第10巻,2615−2626頁,1999年参照)が報告されている。
しかしながら、前記のPEG−アデノウイルスベクターでは、PEGによりウイルス粒子とCARとの結合が阻害され、CAR発現細胞における遺伝子導入効率が低下するという問題が生じている(シイ・アール・オリオールダン(C.R.O’riordan)ら著,「ヒューマン・ジーン・セラピー(Human Gene Therapy)」,第10巻,1349−1358頁,1999年参照)。また、かかる遺伝子導入効率の低下に起因して、PEG−アデノウイルスベクターを組織に投与しても標的細胞内に取り込まれず、血流にのって肝臓に集積し肝障害を引き起こす可能性もある。
また、前記のファイバー変異アデノウイルスベクターでは、ウイルスのファイバーにRGDモチーフが挿入されているだけなので、通常のアデノウイルスベクターと同様の抗原性を有するため、中和抗体や貪食細胞の作用により遺伝子導入効率が低下するという問題点がある。
さらに、前記の気道上皮細胞特異的ペプチド−PEG−アデノウイルスベクターでは、気道上皮細胞のみにしか遺伝子導入することができず、また、sss.17ペプチドが標的とする気道上皮細胞表面の物質も明らかとなっていない。さらに、前記エイチ・ロマンクザック(H.Romanczuk)ら著の表1および図2から見ると、気道上皮細胞に対する結合にはsss.17の全12個のアミノ酸残基が必要であることが示唆されるが、一般的に12個ものアミノ酸残基からなるペプチドは投与した生体に対して免疫原性を示す可能性が高く、sss.17ペプチドを含むウイルスベクターをin vivoで投与するには問題がある。
また、前記の気道上皮細胞特異的ペプチド−PEG−アデノウイルスベクターでは、その作製方法にも種々の問題点が存在する。すなわち、当該ベクターは、sss.17ペプチドの末端に活性SH基を有するシステインを付加してsss.17ペプチド誘導体を合成し、一方でアデノウイルス表面のリジン残基と反応する基と前記のsss.17ペプチド誘導体の活性SH基と反応する基とをそれぞれPEGの両末端側に有する異二価反応性PEGをアデノウイルスに結合させ(PEG−アデノウイルス)、その後に、前記のsss.17ペプチド誘導体をこのPEG−アデノウイルスに結合させることによって作製している。しかし、このベクター作製方法では、活性SH基を有するsss.17ペプチド誘導体同士が反応の間に分子間架橋してPEGと結合できなくなったり、アデノウイルスが2段階の反応系に暴露されることから元来のウイルス自体が有する有用な能力が低下するなどという問題点も存在していた。
したがって、これらの従来使用されているウイルスベクターが有する問題点ないし欠点が解決されたウイルスベクターの開発が望まれていた。
本発明は、上述の従来使用されているウイルスベクターが有する有用点を保持しつつ、それぞれの欠点が克服されたウイルスベクターを提供することを目的とする。
特に、上述のPEG−アデノウイルスベクター、ファイバー変異アデノウイルスベクターおよび気道上皮細胞特異的ペプチド−PEG−アデノウイルスベクターの有用点を保持しつつ、それぞれの欠点が克服されたウイルスベクターを提供することを目的とする。すなわち、1)アデノウイルスベクターが有する免疫原性を低下させ、個体に対する炎症反応を回避し、2)アデノウイルスベクターが有する抗原性を低下させ、中和抗体や貪食細胞からの攻撃を回避し、3)PEG−アデノウイルスベクターにおける遺伝子導入効率低下の問題を改善し、4)ファイバー変異アデノウイルスベクターの血中安定性をより向上させ、免疫原性の改善、中和抗体や貧食細胞からの攻撃を回避し、5)気道上皮細胞特異的ペプチド−PEG−アデノウイルスベクターにおける遺伝子導入し得る標的細胞の範囲を広げ、6)ウイルスベクターの作製を簡便かつ効率的とし、7)元来のアデノウイルス自体が有する有用な能力を保持しつつウイルスベクターを作製する、などを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ウイルス粒子の表面に水溶性ポリマーが結合し、かつ、細胞表面に存在するインテグリンに親和性のある外来性ペプチドが当該水溶性ポリマーに結合した構造を有するウイルスベクターが、従来の遺伝子導入用のウイルスベクターが有していた課題を解決し、かつ有用性を保持するのに有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、その第1の態様において、
1)ウイルス粒子表面に水溶性ポリマーが直接または間接的に結合し、かつ標的細胞表面に存在するインテグリンに親和性を有する外来性ペプチドが当該水溶性ポリマーに結合していることを特徴とするウイルスベクター;
2)前記水溶性ポリマーがリンカーアミノ酸および架橋剤を介してウイルス粒子表面に結合している1)記載のウイルスベクター;
3)前記ウイルスがアデノウイルスである1)または2)記載のウイルスベクター;
4)前記水溶性ポリマーがポリエチレングルコールまたはその誘導体である1)ないし3)いずれか1記載のウイルスベクター;
5)前記ポリエチレングリコールの分子量が3000〜4000である4)記載のウイルスベクター;
6)前記リンカーアミノ酸がシステインであって、前記架橋剤がチオール基およびアミノ基に対して結合能を有する架橋剤である2)ないし5)いずれか1記載のウイルスベクター;
7)前記架橋剤がN−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(N−(6−Maleimidocaproyloxy)succinimide)(EMCS)である6)記載のウイルスベクター;
8)前記インテグリンがαVβ3またはαVβ5である1)ないし7)いずれか1記載のウイルスベクター;
9)前記外来性ペプチドがアルギニン(R)−グリシン(G)−アスパラギン酸(D)を含む配列である1)ないし8)いずれか1記載のウイルスベクター;
10)前記外来性ペプチドが一つ以上のβアラニンを含む配列である9)記載のウイルスベクター;
11)前記外来性ペプチドがリジン(K)を含み、当該リジンを介して分岐していることを特徴とする9)または10)記載のウイルスベクター;
12)前記外来性ペプチドがチロシン(Y)−グリシン(G)−グリシン(G)−アルギニン(R)−グリシン(G)−アスパラギン酸(D)−トレオニン(T)−プロリン(P)−βアラニン(X)−リジン(K)−βアラニン(X)−プロリン(P)−トレオニン(T)−アスパラギン酸(D)−グリシン(G)−アルギニン(R)−グリシン(G)−グリシン(G)−チロシン(Y)に示されるアミノ酸配列であることを特徴とする11)記載のウイルスベクターを提供する。
また、本発明は、その第2の態様において、
13)1)ないし12)いずれか1記載のウイルスベクターを用いることを特徴とする遺伝子導入方法を提供する。
さらに、本発明は、その第3の態様において、
14)a)水溶性ポリマーの1の末端にリンカーアミノ酸を結合させて水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸を得;
b)この水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸の水溶性ポリマーに、インテグリンに親和性を有する外来性ペプチドを結合させて外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸を得;
c)得られた外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸のリンカーアミノ酸に架橋剤を結合させ;ついで
d)その架橋剤を介して外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸とウイルスとを結合させる
工程を含むウイルスベクターの作製方法;
15)a)およびb)の工程をリンカーアミノ酸を樹脂(Resin)に結合して行い、その後、生成した外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸を樹脂から切断してc)およびd)の工程を行う14)記載のウイルスベクターの作製方法;
16)前記水溶性ポリマーがポリエチレングルコールまたはその誘導体である14)または15)記載のウイルスベクターの作製方法;
17)前記リンカーアミノ酸がシステインであって、前記架橋剤がチオール基およびアミノ基に対して結合能を有する架橋剤である14)ないし16)いずれか1記載のウイルスベクターの作製方法を提供する。
本発明によれば、投与する生体に対して免疫原性が低く、抗原性が低いため中和抗体や貧食細胞による攻撃を受け難くて血中半減期が比較的長く、細胞に対して高効率の遺伝子導入が可能であり、またそれにより肝集積性が低く、さらに、ウイルス元来の有用な能力を低下させることなく簡便かつ効率的に作製でき、長期低温保存後に融解・再凍結を繰り返しても安定な遺伝子導入用ベクターならびに遺伝子導入方法が提供される。
なお、本明細書中にて用いる「ウイルス粒子表面」とは、ウイルスの外殻(カプシド)を構成するヘキソン、ペントンベース、ペントンベース上に突出するファイバーおよびノブのすべての部位をいう。
また、本明細書中にて用いる「外来性ペプチド」とは、人工的にウイルスベクターに付与するペプチドをいう。
また、本明細書中で用いる「インテグリン」とは、細胞外マトリックスとの結合能力を有し、αサブユニットとβサブユニットからなる非共有的に結合した膜貫通型糖タンパク質をいい、当該インテグリンには、細胞外マトリックス成分であるフィブロネクチンに親和性を有するものとしてα4β1、α5β1、α8β1、αVβ1、αVβ3、αVβ6、αIIbβ3など、ラミニンに親和性を有するものとしてα1β1、α2β1、α3β1、α6β1、α7β1、α6β4、αVβ8など、ビトロネクチンに親和性を有するものとしてα8β1、αVβ1、αVβ3、αVβ5、αVβ8、αIIbβ3など、コラーゲンに親和性を有するものとしてα1β1、α2β1、αVβ8など、VCAM−1に親和性を有するものとしてα4β1、α4β7など、テイネシン−Cに親和性を有するものとしてα8β1、α9β1、αVβ6など、トロンボスポンジンに親和性を有するものとしてα4β1、αVβ3など、ICAM−1に親和性を有するものとしてαLβ2、αMβ2、αDβ2など、オステオポンチンに親和性を有するものとしてαVβ3など、フィブリノーゲンに親和性を有するものとしてαVβ3、αIIbβ3、αMβ2、αXβ2など、E−カドヘリンに親和性を有するものとしてαEβ7など、フォンビルブラント因子に親和性を有するものとしてαVβ3、αIIbβ3などが知られており、これらすべてのものが含まれる。
なお、本明細書中でアミノ酸配列を示す場合は、慣用されている一文字表記または三文字表記で表す。
図1は、ヒト肺上皮癌A549細胞(ATCC:CCL−185、図1A)およびマウスメラノーマB16BL6細胞(東北大学加齢医学研究所:TKG0598、図1B)を用いて行った、対照アデノウイルスベクター、PEG−アデノウイルスベクター、ファイバー変異アデノウイルスベクターおよびRGD−PEG−アデノウイルスベクターの遺伝子発現効率の比較実験の結果を示すグラフである。
図2は、ヒト肺上皮癌A549細胞(図2A)およびマウスメラノーマB16BL6細胞(図2B)を用いて行った、対照アデノウイルスベクター、PEG−アデノウイルスベクター、ファイバー変異アデノウイルスベクターおよびRGD−PEG−アデノウイルスベクターの中和抗体存在下での遺伝子発現効率の比較実験の結果を示すグラフである。
図3は、ヒト肺上皮癌A549細胞(図3A)およびマウスメラノーマB16BL6細胞(図3B)を用いて行った、対照アデノウイルスベクター、PEG−アデノウイルスベクター、ファイバー変異アデノウイルスベクター、およびRGD−PEG−アデノウイルスベクターの作製直後と、長期低温保存の後、凍結融解を繰り返した場合との遺伝子発現効率を示すグラフある。
本発明のウイルスベクターに使用できるウイルスとしては、遺伝子導入用のウイルスベクターに用いることが知られているウイルスであれば特に限定されるものではないが、好ましくはアデノウイルス、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルスなどのウイルス、特に好ましくはアデノウイルスが挙げられる。また、遺伝子導入用のウイルスベクターに使用するアデノウイルスとしては、遺伝子工学的に適宜改変されたウイルスも使用できる。例えば、アデノウイルスゲノムのE1遺伝子領域やE3遺伝子領域を欠損させたアデノウイルス、当該領域に外来遺伝子を挿入したアデノウイルスなどをベクターを作製するためのウイルスとして使用できる。
本発明のウイルスベクターに使用できる水溶性ポリマーとしては、医薬上許容し得る水溶性ポリマーであれば特に限定されるものではないが、分子量3000〜4000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、その他、スチレンマレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどのポリビニル共重合体などが好ましく、特にポリエチレングルコールが好ましい。また、この水溶性ポリマーには、水溶性ポリマーの末端が保護および/または活性化された誘導体も包含される。水溶性ポリマーの末端が保護されたものはペプチド合成に好適であり、特にFmoc(9−fluorenylmethoxycarbonyl)またはt−Boc(tert−butoxycarbonyl)等で保護されたものを使用するのが好ましい(例えば、Shearwater社:カタログ番号1P2Z0F02、2Z530F02)。また、水溶性ポリマーの末端が活性化されたものとしては、アミノ酸の一部(アミノ基、カルボキシル基、チオール基など)と結合する活性基を有しているものが挙げられる。
本発明のウイルスベクターに使用できるインテグリンに親和性を有する外来性ペプチドとしては、インテグリンに対して実質的な親和性を有するペプチドであれば特に限定されるものではないが、フィブロネクチンに存在するRGD、LDV、REDVモチーフ、ラミニンに存在するRYVVLPR、LGTIPG、PDSGR、YIGSR、LRE、IKVAV、RNIAEIIKDI、RGDモチーフ、ビトロネクチンに存在するRGDモチーフ、コラーゲンに存在するRGDモチーフ、トロンビンに存在するRGDモチーフ、フィブリノーゲンに存在するGPRP、RGDモチーフ、その他インテグリンに親和性があると報告されているEILDV、KQAGDV、DEGAモチーフを含むペプチドが好ましい。
上記に示したインテグリン親和性モチーフのうち、特に、フィブロネクチンモチーフ(RGD、LDV、REDV)、ラミニンモチーフ(RYVVLPR、LGTIPG、PDSGR、YIGSR、LRE、IKVAV、RNIAEIIKDI、RGD)、ビトロネクチンモチーフ(RGD)を含むペプチドが好ましい。
また、上述のα4β1、α5β1、α8β1、αVβ1、αVβ3、αVβ6、αIIbβ3(フィブロネクチンに親和性を有するインテグリン)、α1β1、α2β1、α3β1、α6β1、α7β1、α6β4、αVβ8(ラミニンに親和性を有するインテグリン)、α8β1、αVβ1、αVβ3、αVβ5、αVβ8、αIIbβ3(ビトロネクチンに親和性を有するインテグリン)に親和性を有するペプチドも本発明のインテグリンに親和性を有する外来性ペプチドとして好適に使用することができる。これらペプチドは、公知のペプチドモチーフ(例えば、α5β1:RGD、α2β1:DEGA、α4β1またはα4β7:EILDV、α6β1:RGD、YIGSRまたはIKVAV)を含むものを使用してもよく、ファージディスプレイ法によって上記インテグリンに親和性を有するペプチドを探索して得ることもできる。
また、アデノウイルスはCARに結合した後、αVβ3またはαVβ5に結合することが報告されているので、αVβ3またはαVβ5に親和性を有するペプチド(例えば、RGD、LDV、REDV、GPRPなど)を含むペプチドも本発明のインテグリンに親和性を有する外来性ペプチドとして好適に使用できる。
また、上記示したインテグリンに親和性のあるペプチドのアミノ酸配列の片末端または両末端に、適宜アミノ酸などが付与されたペプチド誘導体も、重大な抗原性を示さない限り本発明に利用することができる。
本発明のウイルスベクターは、前記のウイルス、水溶性ポリマーおよび外来性ペプチドを必須の要素として作製し得るが、ウイルス粒子と水溶性ポリマーと外来性ペプチドとの間における各々の要素の結合数、結合部位、結合形式は、本発明の効果を損じない限り特に限定されるものではなく、適宜、下記の方法または自体公知の方法に準じて増減または変更することができる。
簡単には、本発明のウイルスベクターは、(i)水溶性ポリマーの1の末端にリンカーアミノ酸を結合させて水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸を得、(ii)この水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸の水溶性ポリマーのもう1の末端において、インテグリンに親和性を有する外来性ペプチドをそのカルボキシル末端から順次合成して外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸を得;(iii)得られた外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸のリンカーアミノ酸に架橋剤を結合させ;ついで、(iv)その架橋剤を介して外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸とウイルスとを結合させる工程によって作製することができる。より簡単には、水溶性ポリマーはポリエチレングリコール(PEG)とし、また、リンカーアミノ酸をシステインとし、架橋剤をチオール基およびアミノ基に対して結合能を有する架橋剤とすることができる。
詳細に説明すると、標的細胞表面に存在するインテグリンに親和性の有する外来性ペプチドを合成するには、公知のペプチド合成方法(例えば、固相法など)によって行うことができる。本発明の外来性ペプチドには、標的細胞に存在するインテグリンに親和性のあるアミノ酸配列だけでなく、その他のアミノ酸もスペーサーとして用いることができる。特にインテグリンに親和性のあるアミノ酸配列とPEGとの距離間を広げるためには、これらの間にβアラニンなどのアミノ酸を1ないし数個スペーサーとして挿入するのが好ましい。具体的には、
RGD−βAla−PEG
RGD−βAla−βAla−PEG
RGDTP−βAla−PEG
YGGRGDTP−βAla−PEG
などの配列が好ましい。
外来性ペプチドを2個以上水溶性ポリマーに付加させたい場合には、アミノ基2個を有するアミノ酸を1個以上含ませて、外来性ペプチドを分岐構造とすることができる。これにより、本発明のウイルスベクターの標的細胞表面に存在するインテグリンへの結合能が増強される。特に本願明細書の実施例に記載のようなインテグリンに親和性のあるアミノ酸配列とPEGとの間にリジンを含ませて外来性ペプチドを分岐構造とすることが好ましい。また、インテグリンに親和性のあるアミノ酸配列とリジンとの距離間を広げるために、これらの間にβアラニンなどのアミノ酸を1ないし数個スペーサーとして挿入するのがさらに好ましい。具体例として
Figure 0004566129
などの分岐構造をもつ外来性ペプチドとするのが好ましい。
標的細胞表面に存在するインテグリンに親和性を有する外来性ペプチドが結合した水溶性ポリマーをウイルス粒子表面に結合させるためには、当該水溶性ポリマーとウイルス粒子表面を直接結合させることもできるが、当該水溶性ポリマーの片末端に二価性架橋剤(好ましくは、異反応性二価性架橋剤)と結合することのできるアミノ酸(以下、リンカーアミノ酸という)を少なくとも1個付加し、当該リンカーアミノ酸と二価性架橋剤とを結合させた後、二価性架橋剤の一方の端とウイルス粒子表面とを結合させること、すなわち、水溶性ポリマーとウイルス粒子表面との間にリンカーアミノ酸と二価性架橋剤を存在させるのが好ましい。この方法は、標的細胞表面に存在するインテグリンに親和性のある外来性ペプチドに酸性アミノ酸が含まれる場合に有効である。なぜなら、標的細胞表面に存在するインテグリンに親和性のある外来性ペプチドが結合した水溶性ポリマーを直接ウイルス粒子表面に結合させる場合には、当該水溶性ポリマーの末端を活性化させる必要があるが、標的細胞表面に存在するインテグリンに親和性のある外来性ペプチドに酸性アミノ酸が含まれる場合には当該酸性アミノ酸も活性化されてしまい本来の性質が変化してしまうからである。従って、特に標的細胞表面に存在するインテグリンに親和性のある外来性ペプチドに酸性アミノ酸が含まれる場合には、標的細胞表面に存在するインテグリンに親和性のある外来性ペプチドが結合した水溶性ポリマーを活性化させることなく、リンカーアミノ酸と二価性架橋剤を用いてウイルス粒子表面に結合させることが好ましい。
このリンカーアミノ酸としては、チオール基を有するシステイン、塩基性アミノ酸であるリジン、中性アミノ酸であるアラニン、酸性アミノ酸であるアスパラギン酸その他のアミノ酸が使用できるが、好ましくは少なくともシステインを1個含むものが好ましい。
水溶性ポリマーのみをリンカーアミノ酸に結合させる際には、水溶性ポリマーの末端に活性基を付与する必要がある。アミノ酸のアミノ基と結合する活性基としては、N−ヒドロキシスクシンイミド基、スクシンイミジル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ベンゾトリアゾール基などが挙げられる。アミノ酸のカルボキシル基と結合する活性基としては、アミノ基などが挙げられる。アミノ酸のチオール基と結合する活性基としては、マレイミド基、ビニルスルホン基などが挙げられる。その中でも、アミノ酸のアミノ基と結合する活性基を有する誘導体を使用するのが好ましく、特に末端にN−ヒドロキシスクシンイミド基またはスクシンイミジル基を有する誘導体が好ましい。
架橋剤と水溶性ポリマーの間には、必要に応じてアミノ酸を1ないし数個スペーサーとして挿入することができる。特に本願明細書の実施例に記載のようにβアラニンを挿入することが好ましい。
次に、標的細胞表面に存在するインテグリンに親和性のある外来性ペプチドが結合した水溶性ポリマーをウイルス粒子表面に結合させるためには、上記リンカーアミノ酸とアミノ基、カルボキシル基、チオール基等に結合できる二価性架橋剤とを使用するのが好ましい。特に、ウイルス粒子表面との結合にはウイルス粒子表面に存在するアミノ基を標的にすることが好ましいため、少なくともアミノ基に対して結合能を有する架橋剤を使用する必要がある。また、リンカーアミノ酸としてシステインを使用した場合には、少なくともチオール基に対して結合能を有する架橋剤を使用する必要がある。
二価性架橋剤には、チオール基およびアミノ基に対して結合能を有する架橋剤(主としてマレイミド基、N−ヒドロキシスクシンイミド基またはスクシンイミジル基を分子内に持つ)、例えばテクノケミカル(株)より市販されているEMCS(N−(6−Maleimidocaproyloxy)succinimide)、GMBS(N−(4−Maleimidobutyryloxy)succinimide)、MBS(m−Maleimidobenzyl−N−hydroxysuccinimide ester)、SATA(N−Succinimidyl S−acethylthioacetate)、SMCC(Succinimidyl 4−(N−maleimidomethyl)−cyclohexane−1−carboxylate)、SMPB(Succinimidyl 4−p−maleimidophenylbutyrate)、SPDP(N−Succinimidyl 3−(2−pyridylthio)propionate)、Sulfo−GMBS(N−(γ−Maleimidobutyloxy)sulcosuccinimide ester)、Sulfo−LC−SPDP(Sulfosuccinimidyl 6−(3’(2−pyridyldithio)−propionamide)hexanoate)、Sulfo−MBS(m−Maleimidobenzoyl−N−hydroxysulfo−succinimide ester)、Sulfo−SMCC(Sulfosuccinimidyl 4(N−maleimidomethyl)−cyclohexane−1−carboxylate)、Sulfo−SMPB(Sulfosuccinimidyl 4−(p−maleimidophenyl)−butyrate)、Sulfo−SBED(Sulfosuccinimidyl(2−6−(biotinamido)−2−(p−azidobenzamido)−hexanoamido)ethyl−1,3’−dithiopropionate)などが挙げられる。その他、N−スクシンイミジル−N−マレイミドアセテート(N−Succinimidyl−N−maleimidoacetate)、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミド)ブチレート(N−Succinimidyl−4−(N−maleimido)butyrate)、N−スクシミジル−6−(マレイミド)ヘキサノエート(N−Succimidyl−6−(N−maleimido)hexanoate、N−スクシンイミジル−m−(N−マレイミド)ベンゾエート(N−succinimidyl−m−(N−maleimido)benzoate)、N−スクシンイミジル−m−(N−マレイミド)ベンゾエート(N−Succinimidyl−m−(N−maleimido)benzoate)なども利用できる。また、二価性架橋剤として、2つのアミノ基に対し結合能を有する架橋剤(主としてN−ヒドロキシスクシンイミド基、スクシンイミジル基を分子内に持つ)、例えばテクノケミカル(株)より市販されているBS3(Bis(Sulfosuccinimidyl)suberate)、DMP(Dimethyl suberunudate)、DMS(Dimethyl suberimidate)、DSG(Disuccinimidyl glutarate)、DSP(Loman’s Reagent)、DSS(Disuccinimidyl suberate)、DTSSP(3,3’−Dithiobis(sulfosuccinimidyl propionate))、EGS(Ethyleneglycol bis(succinimidylsuccinate))、Sulfo−EGS(Ethylen glycol bis(succinimidylsuccinate)などが挙げられる。また、二価性架橋剤として、アミノ基とカルボキシル基に対し結合能を有する架橋剤、例えばテクノケミカル(株)より市販されているEDC(1−Ethyl−3−(3−Dimethylaminopropyl)carbodiimide)などが挙げられる。また、二価性架橋剤として、2つのチオール基に対し結合能を有する架橋剤(主としてマレイミド基を分子内に持つ)、例えばテクノケミカル(株)より市販されているBMH(BisMaleimidohexane)が挙げられる。その中でも、標的細胞表面に存在するインテグリンに親和性のある外来性ペプチドが結合した水溶性ポリマーをウイルス粒子表面に結合させるために使用する二価性架橋剤としては、チオール基およびアミノ基に対して結合能を有する架橋剤(主としてマレイミド基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、スクシンイミジル基を分子内に持つ)が好ましい。
好ましい実施形態としては、まず、樹脂にリンカーアミノ酸を結合させ(リンカーアミノ酸−樹脂の形成)、次にリンカーアミノ酸に水溶性ポリマーを結合させ(水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸−樹脂の形成)、その後標的細胞表面に存在するインテグリンに親和性を有する外来性ペプチドを水溶性ポリマーに結合させる(インテグリン親和性外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸−樹脂の形成)。次に、インテグリン親和性外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸を樹脂から切断し、インテグリン親和性外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸を得る。その後、リンカーアミノ酸に二価性架橋剤を結合させ(インテグリン親和性外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸−二価性架橋剤の形成)、最後にこれをウイルス粒子表面と結合させる(インテグリン親和性外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸−二価性架橋剤−ウイルス粒子の形成)工程が含まれる。この本発明のウイルスベクターの作製方法は、公知のペプチド合成法によって行うことができる。
さらに好ましい実施形態としては、リンカーアミノ酸はシステインを含むものであり、二価性架橋剤がチオール基およびアミノ基に結合能を有する(主としてマレイミド基、N−ヒドロキシスクシンイミド基、スクシンイミジル基を分子内に持つ)ものである。この方法は、標的細胞表面に存在するインテグリンに親和性のある外来性ペプチドに酸性アミノ酸が含まれる場合に特に有効であるが、酸性アミノ酸が含まれない場合にも使用できる。
なお、水溶性ポリマーに結合する外来性ペプチド配列は、前記のようにウイルスベクターとしての生体の免疫原性を低下させる観点からはできるだけ短い鎖長を有することが好ましい。また、ウイルスベクターとしての標的細胞に対する親和性を高める観点から、外来性ペプチドを1つ以上含めてもよい。外来性ペプチドの鎖長および個数については、ウイルスベクターとしての効果を勘案しつつ適宜調整することができる。さらに、外来性ペプチド中には1種類以上のインテグリン親和性モチーフを含むこともできる。
上述のように作製した本発明のウイルスベクターにおける水溶性ポリマーの修飾率の測定は、水溶性ポリマー−アデノウイルスベクターの残存アミノ基をフルオレスカミン法(エー・クロイル・マリア(A.Croyle Maria)ら著,「ヒューマン・ジーン・セラピー(Human Gene Therapy)」,第11巻,1713−1722頁,2000年)に準じて行うことができる。これにより、当業者であれば遺伝子導入効率において適宜最適の水溶性ポリマー修飾率を決定することができ、これを本発明に応用することができる。具体的には、0.42mg/mLのフルオレスカミン/ジオキサン溶液(商品名Fluram、Fluka社製)に対して3倍量の5×1011粒子/mLの水溶性ポリマー−アデノウイルスベクターを添加し、激しく撹拌する。室温で10分間インキュベート後、蛍光強度(励起波長Ex:392nm、蛍光波長Em:480nm)を測定する。未修飾アデノウイルスベクターで検量線を作製し、水溶性ポリマー−アデノウイルスベクターの水溶性ポリマー修飾率を算出する。
水溶性ポリマー−アデノウイルスベクターの粒子経の測定には、ZETASIZER 3000HS(Malvern社製)を用いて測定することができる。上記修飾率と同様に、当業者であれば遺伝子導入効率において適宜最適の粒子経を決定し、最適な分子量をもつ水溶性ポリマーを選択することができ、これを本発明に応用することができる。また、本発明者らは水溶性ポリマー−アデノウイルスベクターの水溶性ポリマー修飾率とZETASIZERで測定した平均粒子径は、水溶性ポリマーの添加量、添加回数に相関して増加していることを確認している。従って、アデノウイルスベクターの水溶性ポリマー修飾は、水溶性ポリマーの添加量および添加回数により制御可能である。
ウイルス粒子数の測定はMaizelらの方法(ジェイ・ブイ・ジュニア・マイゼル(J.V.Jr.Maizel)ら著,「バイロロジー(Virology)」,第36巻,115−125頁,1968年)に従って行うことができ、当業者であれば、適宜遺伝子導入の際に使用するウイルス数を決定できる。すなわち、精製したウイルス液を適量とり1%SDS/PBS(−)で溶解した後、吸光度計によりOD260nmで測定する。ウイルス粒子数は1.1×1012粒子/OD260として換算する。
本発明のウイルスベクターを治療目的に用いる際に対象となる個体としては、例えばヒト、マウス、ラット、ハムスター、モルモットなどが挙げられる。また、本発明のウイルスベクターの対象となる投与部位としては、脳、肝臓、腎臓、脾臓、前立腺、小腸、大腸、肺、気管支、皮膚、食道、胃、十二指腸、骨格筋などが挙げられる。また、本発明のウイルスベクターの対象となる細胞としては、生体由来細胞(上皮細胞、筋肉細胞、脳神経細胞など)、ガン細胞、培養細胞などが挙げられる。また、本発明のウイルスベクターをin vitroにて用いる際に対象となる細胞としては、A549細胞、B16BL6細胞、HepG2細胞、COS1細胞、CHO細胞などが挙げられる。また、本発明のウイルスベクターをex vivoにて用いる際に対象となる細胞としては、T細胞、B細胞、造血幹細胞、ES細胞などが挙げられる。
インテグリンは種々の部位で発現または生理機能を発揮しているが、少なくとも、α1β1は神経突起、リンパ球、α2β1は血小板、癌細胞、α3β1は腎臓、肺、癌細胞、α4β1はリンパ球、単球、好酸球、α5β1は各種細胞、α6β1は上皮細胞、神経突起、癌細胞、α7β1は骨格筋、α8β1は腎臓、神経細胞、α9β1は気管上皮、αVβ1は各種細胞、癌細胞、αVβ3血管、骨、αVβ5血管、上皮、αVβ6は上皮、αVβ8は神経突起、α4β7はリンパ球、α6β4は上皮細胞、αLβ2は白血球、αMβ2は好中球、単球、αXβ2は単球、顆粒球、αDβ2は泡沫細胞、αIIbβ3は血小板、αEβ7はリンパ球、にそれぞれ発現しているかまたは生理機能を発揮しているものと考えられるが、これに限定されるものではない。一般的に、α9β1は気管上皮で発現し、β2鎖は白血球の表面に発現しており、αLβ2はLFA−1(リンパ球機能付随タンパク)、αMβ2はMac−1(マクロファージの表面タンパク)で発現している。また、β3鎖は血小板を含む様々な細胞で発現している。
上記細胞または部位特異的に発現しているインテグリンに対し、親和性のある外来性ペプチドを得(例えばファージディスプレイ法などによってスクリーニングして得る)、当該得られた外来性ペプチドを本発明のウイルスベクターに応用することにより、標的とするインテグリンが発現している細胞または部位に特異的に遺伝子導入する。
本発明のウイルスベクターの投与経路は、in vivoで使用する場合、組織や臓器へ局所投与、静脈内投与、経粘膜投与、筋肉内投与、経口投与など適宜選択することができる。
さらに、本発明のウイルスベクターには、p53遺伝子(癌細胞のアポトーシス誘導)、チミジンキナーゼ遺伝子(癌細胞のアポトーシス誘導)、アデノシンアミナーゼ(ADA)遺伝子(アデノシンアミナーゼ欠損症)、などの治療用遺伝子を組み込むことが可能である。
アデノウイルス、RGD−PEG、RGD−PEG−アデノウイルスベクターの混合物から本発明のRGD−PEG−アデノウイルスベクターを単離するには、例えばCsCl密度勾配を用いた遠心分離法を用いることができる。また、透析を行うことにより単離することもでき、CsCl密度勾配を用いた超遠心法と透析を組み合わせて単離することもできる。具体的には、Spectrum/Pro CE(Cellulose Ester)Sterile Dispo Dialyzer(SPECTRUM社製、分画分子量(MWCO);300,000)を用いることができる。なお、透析の確認には、PEGおよびRGD−PEGより大きい分子量であるFITC−デキストランが透析膜を通過することを確認することで達成できる。
実施例1 各種アデノウイルスベクターにおける遺伝子発現効率の比較
本願発明のアデノウイルスベクターの遺伝子発現効率を検討するために、各種アデノウイルスベクターを作製し、比較検討を行った。すなわち、次の1)〜4)に示したように、1)対照としてのアデノウイルスベクター、2)PEG−アデノウイルスベクター、3)ファイバー変異アデノウイルスベクター、および4)本願発明のアデノウイルスベクターを作製した。
1)対照アデノウイルスベクターの作製
対照アデノウイルスベクターは、Mizuguchiらが作製したベクターを使用した。当該ベクターは、アデノウイルスベクターのE1およびE3領域が欠損しており、このE1欠損領域にルシフェラーゼ遺伝子が組み込まれているものである。
対照アデノウイルスベクターを増殖させて単離精製するために、まず、このウイルスを5%ウシ胎児血清添加Dulbeco’s modified eagle’s medium(DMEM、Sigma社製)とともに添加し293細胞に感染させた。約2〜3日後、CPE(cytopathic effect)の確認できた293細胞を培養上清とともに回収し、3000rpm、5分間遠心した。次に、得られた細胞を少量の培養液で懸濁し、凍結融解を4回繰り返すことで細胞を破壊し、ウイルスを溶液中に遊離させた。その後、3000rpm、5分間遠心し、上清を粗ウイルス溶解液(CVL:crude virus lysate)として得た。SW41チューブにCsCl(比重1.25/TD溶液[750mM NaCl、50mM KCl、250mM Tris、10mM NaHPO、pH=7.4])を注ぎ、そしてCsCl(比重1.40/TD溶液)を下層し密度勾配を作製した。次に、回収した粗ウイルス溶解液を重層しSW41ローター(Beckman社製)を用いて18℃、35000rpm、1時間遠心した(一次遠心)。その後、チューブ内にできた下方の白いバンドを回収し(一次精製)、次に、SW41チューブにCsCl(比重1.34/TD溶液)を注ぎ、一次精製で得られたウイルス液を重層し、同様にSW41ローターを用いて18℃、35000rpm、18時間遠心した(二次遠心)。その後、二次遠心でチューブ内にできた下方の白いバンドを回収した(二次精製)。ここで得られたウイルス液を透析チューブに回収し、PBS(−)に入れ、スターラーで回転させながら4℃で透析を行った。透析液は1時間おきに3回取り替え、最後に10%のグリセリンを含んだPBS(−)で2時間以上透析を行った。透析を終了したウイルス液は実験開始時まで−80℃で保存し、これを対照アデノウイルスベクターとして使用した。以上の操作は無菌的に行った。
2)PEG−アデノウイルスベクターの作製
PEG−アデノウイルスベクターの作製には、上記1)で作製した対照アデノウイルスベクターを使用し、これにメトキシポリエチレングリコール−スクシンイミジルプロピオネート(methoxy polyethylene glycol−succinimidyl propionate:mPEG−SPA、分子量5000、Shearwater社製、カタログ番号:2M4M0D01)を用いた。
すなわち、1粒子のアデノウイルスベクターの外殻タンパク質(ヘキソン、ペントンベース、ファイバー)に存在する一級アミンに対して、100倍モル量のmPEG−SPAを1×1012粒子/mLの対照アデノウイルスベクターに添加し、300rpmで撹拌しながら37℃、15分間反応させることによりアデノウイルスを結合させ、さらに30分間同条件下で反応させることにより反応を完了させた。これによりPEGが結合したアデノウイルスベクター(PEG−アデノウイルスベクター)を得た。
3)ファイバー変異アデノウイルスベクターの作製
アデノウイルスファイバーのノブに存在するアミノ酸配列の一部をアルギニン(R)−グリシン(G)−アスパラギン酸(D)なるペプチドに遺伝子工学的に変異させたファイバー変異アデノウイルスベクターは、Mizuguchiらが作製したベクターを使用した(エイチ,ミズグチ(H.Mizuguchi)ら著,「ジーン・セラピー(Gene Ther.)」,第8巻,730−735頁,2001年参照)。当該ベクターはアデノウイルスベクターのE1領域およびE3領域が欠損しており、このE1欠損領域にルシフェラーゼ遺伝子が組み込まれており、CAR非発現細胞に対してもインテグリンを介して結合し、効率よく遺伝子導入できる特徴を有するものである。なお、ファイバー変異アデノウイルスベクターの増殖および単離精製は上記1)と同様に行った(エイチ,ミズグチ(H.Mizuguchi)ら著,「ジーン・セラピー(Gene Ther.)」,第8巻,730−735頁,2001年参照)。
ファイバー部のHIループをコードしている遺伝子配列部分をCsp451とClaI部位をもったベクタープラスミドpAdHM15を両制限酵素で切断し、アルギニン(R)−グリシン(G)−アスパラギン酸(D)配列に相当する合成オリゴDNAをin vitroライゲーションで導入した。その後、ルシフェラーゼ遺伝子をE1欠損部位に挿入した。生じたプラスミドをPacIで切断し、293細胞にトランスフェクションし、アルギニン(R)−グリシン(G)−アスパラギン酸(D)配列をファイバーに有するルシフェラーゼ発現アデノウイルスベクターを得た。
4)アデノウイルスベクター(RGD−PEG−アデノウイルスベクター)の 作製
本発明の1の実施態様において、アデノウイルスベクターの作製方法を下記の反応チャートに参照して説明する。
4−1)Fmoc−K(Fmoc)−PEG−βAC(Trt)−Amide Resin(化合物d)の合成
インテグリンに親和性を有するアルギニン(R)−グリシン(G)−アスパラギン酸(D)の3アミノ酸を含む(Ac−YGGRGDTPβA)K−PEG−βAC−amide(化合物f)の合成を行うために、まず、Fmoc−K(Fmoc)−PEG−βAC(Trt)−Amide Resin(下記反応チャート、化合物d)を合成した。ここで、リンカーアミノ酸として使用するシステイン(Cys)はSH基と特異的に結合する異反応性二価性試薬であるマレイミド体との結合に重要である。また、リンカーアミノ酸とPEGとの間に存在するβアラニン(βAla)は、反応を進行させやすくするためのスペーサとして用いている。アミノ基を2個有するリジン(Lys)は、インテグリンへの親和性を高める目的でPEG1分子当りに2個のRGD配列を結合させるために導入した。
合成は保護基としてFmocを用いた固相法に準じて行った。すなわち、Fmoc−Amide Resin(官能基含量0.66mmol/g)(Applied Biosystems社製)を1.5g(1.0mmol相当)秤取してプロピレン製反応容器(国産化学株式会社製)に入れてシェーカー(IKA社製、VIBRAX VXR)にセットし、これにジクロルメタン(DCM)を加えて膨潤させた。20%−ピペリジン/DMF(N,N−dimethylformamide)でFmoc基を除去し、DMFで洗浄した後、Fmoc−Cys(Trt)−OHを1mol/L−DIPC/DMF(DIPC=diisopropylcarbodiimide)と1mol/L−HOBt/DMF(HOBt=N−hydroxybenzotriazole)でカルボン酸を活性化させてから樹脂に加えて縮合させた(化合物a)。以後、固相上でのFmoc保護基の除去(脱保護)、すなわちアミノ基の遊離 → DMF洗浄 → Fmoc−アミノ酸誘導体と各ステップに適切な縮合反応試薬によるHOBtの活性エステルによる遊離アミノ基との反応〈カップリング〉 → DMF洗浄、の操作を繰り返して縮合反応を進めた。同様にピペリジンによるFmoc基の除去〈脱保護〉およびFmoc−βAla−OHとの縮合(化合物b)を行い、その後脱保護を行ってH−βAla−Cys(Trt)−Amide Resinを得た。次に、Fmoc−PEG−NHS(Fmoc−PEG−NHS、Shearwater社製、カタログ番号1P2Z0F02、分子量3400)との反応は、反応活性体であるこのFmoc−PEG−NHSのみでは反応の進行が非常に遅いため、DIEA(diisopropylethylamine)存在下、0.45mol/L−HBTU/HOBt/DMF(HBTU=2−(1H−Benzotriazole−1−yl)−1,1,3,3,−tetramethyluronium hexafluorophosphate)を縮合試薬として反応させた(化合物c)。ピペリジンによる脱保護後、Fmoc−Lys(Fmoc)−OHとの反応は、前述の1mol/L−DIPC/DMFと1mol/L−HOBt/DMFを用いて行い、Fmoc−Lys(Fmoc)−PEG−βAla−Cys(Trt)−Amide Resin(化合物d(PEG−Resin))を得た。
4−2)〔Ac−Y(Bu)GGR(Pmc)GD(OBu)T(Bu)PβA〕K−PEG−βAC(Trt)−Amide Resin(化合物e)の合成
次に、実施例1の4−1)にて作製したFmoc−Lys(Fmoc)−PEG−βAla−Cys(Trt)−Amide Resin(化合物d)について、ペプチド合成機(機種名:ABI433A、合成プログラム:FastMoc0.25ΩMonPrevPk)を用いて、Fmoc−βAla−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Thr(Bu)−OH、Fmoc−Asp(OBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Arg(Pmc)−OH、Fmoc−Tyr(Bu)−OHを順次使用し、脱保護と縮合を繰り返してペプチド伸長を行った。ここで、RGDとPEGとの間に存在するβアラニンは、反応を進行させやすくするためのスペーサとして用いている。
その結果、(Fmoc−Y(Bu)GGR(Pmc)GD(OBu)T(Bu)PβA)K−PEG−βAC(Trt)−Amide Resinを合成した。次いで、実施例1の4−4)に示したEMCSがアデノウイルス粒子表面に存在する一級アミンのみに反応するように、RGD配列を含む外来性ペプチドのN末端遊離アミノ基をアセチル化して塞いだ。すなわち、脱保護後のDIEA存在下、無水酢酸との反応により、遊離のアミノ基をアセチル化し、〔Ac−Y(Bu)GGR(Pmc)GD(OBu)T(Bu)PβA〕K−PEG−βAC(Trt)−Amide Resin(化合物e(RGD−PEG−Resin))を得た。
4−3)〔Ac−Y(Bu)GGR(Pmc)GD(OBu)T(Bu)PβA〕K−PEG−βAC(Trt)−Amide(化合物f(RGD−PEG))の単離と精製
実施例1の4−2)によって得られた〔Ac−Y(Bu)GGR(Pmc)GD(OBu)T(Bu)PβA〕K−PEG−βAC(Trt)−Amide Resin(化合物e(RGD−PEG−Resin))中の〔Ac−Y(Bu)GGR(Pmc)GD(OBu)T(Bu)PβA〕K−PEG−βAC(Trt)−Amide(化合物f(RGD−PEG))をResinから単離した。すなわち、トリフルオロ酢酸:TIPS(triisopropyl silan):水=90:5:5の組成より成るカクテルを用いた処理によりRGD−PEGを樹脂から切り離し、溶媒留去後に凍結乾燥することにより粗化合物f(化合物f(RGD−PEG))を得た。次に、粗化合物fの精製を行うために、当該試料20mgを1mLの10%アセトニトリル/超純水に溶解し、遠心分離し、その上清をHPLCに供した(分取カラム:DAISOPAK SP−120−5−ODS−B、20×250mm、流速:10mL/分、移動相A:0.01%−トリフルオロ酢酸/アセトニトリル、移動相B:0.01%−トリフルオロ酢酸/超純水、濃度勾配:60分間でA/B=1/9〜A/B=7/3のリニアグラディエント)。リテンションタイム45〜60分の分画を収集し、エバポレーターにて溶媒留去、凍結乾燥を行い純化合物f(化合物f(RGD−PEG))を得た。
4−4)化合物fとEMCS(N−(6−Maleimideocaproyloxy)succinimide)との架橋
実施例1の4−3)で得られた純化合物f(RGD−PEG)とウイルス粒子表面とを結合させるために、アミノ基とSH基との架橋反応が可能な異反応性二価性試薬であるEMCSを用いて純化合物f(RGD−PEG)を修飾した。なお、EMCSはマレイミド基とN−ヒドロキシスクシンイミド活性エステルを分子の両端に持ち、アミノ基に対しては活性エステルが反応し、SH基に対してはマレイミド基が選択的に反応することが知られている。
まず、純化合物f(RGD−PEG)を10mmol/L−リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に溶解し、EMCSをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した溶液を滴下した。室温下30分間反応の後、10mmol/L−リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)を加えて次の使用まで凍結保存し、EMCSで修飾された化合物g(RDG−PEG)を得た。
4−5)RDG−PEGとアデノウイルスベクターとの結合
実施例1の4−4)で得た化合物g(RDG−PEG)を、実施例1−1)で作製したアデノウイルスベクターに結合させた。すなわち、1粒子のアデノウイルスベクターの外殻タンパク質(ヘキソン、ペントンベース、ファイバー)に存在する一級アミンに対して、250倍モル量の化合物g(RDG−PEG)を1×1012粒子/mLのアデノウイルスベクターに添加し、300rpmで撹拌しながら37℃、15分間反応させることによりアデノウイルスを結合させ、さらに30分間同条件下で反応させることにより反応を完了させた。これにより化合物gが結合したアデノウイルスベクター(RGD−PEG−アデノウイルスベクター)を得た。
Figure 0004566129
5)遺伝子発現効率の比較実験
上記実施例1の1)〜4)にて作製した、対照アデノウイルスベクター、PEG−アデノウイルスベクター、ファイバー変異アデノウイルスベクターおよびRGD−PEG−アデノウイルスベクターの遺伝子発現効率の比較実験を行った。
実験は、CAR高発現細胞であるヒト肺上皮癌A549細胞(ATCC:CCL−185、図1A)およびCAR低発現細胞であるマウスメラノーマB16BL6細胞(東北大学加齢医学研究所:TKG0598、図1B)を用いて行った。A549細胞は、10%ウシ胎児血清を含むDMEMで継代培養し、サブコンフレント状態のものを実験に供した。また、B16BL6細胞は、7.5%ウシ胎児血清を含むEagle’s minimum essential medium(MEM、Sigma社製)で継代培養し、サブコンフレント状態のものを実験に供した。
48穴プレートにA549細胞およびB16BL6細胞を2×10細胞/0.5mL/ウェルで播種し、24時間培養した。それぞれの細胞の培地で調製した各ベクターをそれぞれ300、1000、3000、10000粒子/細胞/0.5mLでウェルに加え、37℃、飽和蒸気圧、5%CO条件下24時間培養した。
また、ウイルスベクターの遺伝子発現効率の指標としてのルシフェラーゼ活性の測定は、Luciferase Cell Culture Lysis Reagent(Promega社製)100μLで細胞を溶解させた後、Luciferase Assay System(Promega社製)、Microlumat Plus LB96(Perkin Elmer社製)を用いて測定した。活性は、Luciferase activity(RLU(relative light unit)/well)として表した。
その結果を、各細胞当りのウイルス粒子を変化させた場合のルシフェラーゼ活性の変化として図1に示す。RGD−PEG−アデノウイルスベクターは、CAR高発現細胞であるA549細胞に対してPEG−アデノウイルスベクターより数百倍高い遺伝子発現を示し、対照アデノウイルスベクターと同等の遺伝子発現を示した。また、対照アデノウイルスベクターにおいて遺伝子導入効率の低いCAR低発現細胞であるB16BL6細胞に対して、RGD−PEG−アデノウイルスベクターは対照アデノウイルスベクターより百倍以上高い遺伝子発現を示した。しかもその発現は、アデノウイルス粒子表面から突出しているファイバーにRGD配列を挿入することでCAR低発現細胞に対しても高い遺伝子発現が可能となったファイバー変異アデノウイルスベクターと同等であった。
このことから、PEG−アデノウイルスベクターのPEGに、RGDをはじめとするインテグリン親和性外来性ペプチドを付与することで、標的細胞に接着し効率よく遺伝子導入を行うことができ、さらに導入された遺伝子も効率よく発現することが判明した。
ファイバー変異アデノウイルスベクターは、RGDを自身のファイバーに組み込んであるために、対照アデノウイルスベクターのウイルス粒子径およびウイルス質量とほぼ同等であると考えられる。一方、PEG−アデノウイルスベクターはファイバー変異アデノウイルスベクターおよび対照アデノウイルスベクターと比較して、ウイルス粒子径およびウイルス質量共に格段に大きいと言える。本発明のRGD−PEG−アデノウイルスベクターは、分子量3400のPEGを用い、かつインテグリン親和性外来性ペプチドであるRGDを付与している分、PEGの分子量が2000であるPEG−アデノウイルスベクターと比較して、ウイルス粒子経およびウイルス質量は共にさらに大きいと言える。一般的に、本発明のRGD−PEG−アデノウイルスベクターの様な巨大構造を有するものは、たとえ当該構造の中にインテグリンに親和性のあるペプチドを有していたとしても、ウイルスベクターとしてインテグリンに結合する能力が弱くなり、その結果、ファイバー変異アデノウイルスベクターよりも遺伝子導入効率が低下することが予想される。しかしながら、本実施例の結果、当該巨大構造を有するRGD−PEG−アデノウイルスベクターは、ファイバー変異アデノウイルスベクターと同等に効率よく遺伝子導入できたことから、高いインテグリン親和性を保持していると考えられる。わずかアルギニン(R)−グリシン(G)−アスパラギン酸(D)の3アミノ酸のみでファイバー変異アデノウイルスベクターと同等の遺伝子導入効率が示されたことは、全く予想し得なかった結果である。
この結果により、インテグリンに親和性を有するペプチドを水溶性ポリマーに結合させることにより、水溶性ポリマーが多数結合し巨大構造化したウイルスベクターにおいても、効率よく遺伝子導入できることが証明された。
また、アデノウイルスは細胞表面に存在するCARに結合した後、ペントンベースに存在するRGDがαVβ3、αVβ5に結合することが知られているので、本発明のRGD−PEG−アデノウイルスベクターの結合にもインテグリン、特にαVβ3、αVβ5が関与しているものと考えられる。
実施例2 中和抗体存在下での各種アデノウイルスベクターにおける遺伝子発現効率の比較実験
上記実施例1の1)〜4)にて作製した、対照アデノウイルスベクター、PEG−アデノウイルスベクター、ファイバー変異アデノウイルスベクターおよびRGD−PEG−アデノウイルスベクターの中和抗体存在下での遺伝子発現効率の比較実験を行った。
実験は、CAR高発現細胞であるヒト肺上皮癌A549細胞(図2A)およびCAR低発現細胞であるマウスメラノーマB16BL6細胞(図2B)を用いて行った。A549細胞は、10%ウシ胎児血清を含むDMEMで継代培養し、サブコンフレント状態のものを実験に供した。また、B16BL6細胞は、7.5%ウシ胎児血清を含むEagle’s minimum essential medium(MEM、Sigma社製)で継代培養し、サブコンフレント状態のものを実験に供した。
48穴プレートにA549細胞、B16BL6細胞を1×10細胞/0.5mL/ウェルで播種し、24時間培養した。抗アデノウイルスベクター抗体を含むICRマウス血清存在下および非存在下において、それぞれの細胞の培地で調整した各ベクターをそれぞれ1000粒子/細胞/0.5mLでウェルに加え、37℃、飽和蒸気圧、5%CO条件下24時間培養した。なお、ルシフェラーゼ活性の測定は実施例1の5)に準じて行った。また、ICRマウス血清は、対照アデノウイルスベクターをICRマウスに約1010粒子/マウスで3回投与して作製した。
その結果を、抗アデノウイルス血清の希釈率を変化させた場合のルシフェラーゼ活性の変化として図2に示す。RGD−PEG−アデノウイルスベクターは、CAR高発現細胞および低発現細胞の両方に対して抗アデノウイルスベクター抗体存在下で、対照アデノウイルスベクターおよびファイバー変異アデノウイルスベクターを遙かに越える高い遺伝子発現を保持していた。例えば、A549細胞では、各ベクターの抗体非存在下における遺伝子発現を100%とした場合、抗血清1/10000希釈存在下では、対照アデノウイルスベクターおよびファイバー変異アデノウイルスベクターの遺伝子発現はそれぞれ24%および42%にまで減少しているが、RGD−PEG−アデノウイルスベクターでは、100%の遺伝子発現を保持していた。
B16BL6細胞では、抗血清1/10000および1/3000希釈存在下において対照アデノウイルスベクター、PEG−アデノウイルスベクターおよびファイバー変異アデノウイルスベクターのいずれの遺伝子発現も著しく低下しているが、RGD−PEG−アデノウイルスベクターはその他のベクターを遙かに越える高い遺伝子発現を示した。従って、RGD−PEG−アデノウイルスベクターは他のベクターと比較して、中和抗体の影響を受けにくく、標的細胞に遺伝子導入しやすいことが明らかとなった。
このことから、本発明のRGD−PEG−アデノウイルスベクターは、ファイバー変異アデノウイルスベクターより優れた遺伝子導入ベクターになり得ることが判明し、かつ、PEGを介してインテグリン親和性外来性ペプチドであるRGDを付与することで、PEGの利点を保持しつつ標的細胞に接着し、それに続く遺伝子導入および遺伝子発現を効率よく達成できることが判明した。
従って、RGDをはじめとするインテグリン親和性外来性ペプチドを付与したPEG−アデノウイルスベクターはファイバー変異アデノウイルスベクターのような高い遺伝子導入および発現能を備え、さらにPEG−アデノウイルスベクターが有する抗体回避能を有していることが判明した。
実施例3 −80℃で1ヶ月間保存後、凍結融解を繰り返した各種アデノウイルスベクターにおける遺伝子発現効率の比較実験
上記実施例1の1)−4)にて作製した対照アデノウイルスベクター、PEG−アデノウイルスベクター、ファイバー変異アデノウイルスベクター、およびRGD−PEG−アデノウイルスベクターをそれぞれリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に−80℃で1ヶ月間保存した。その後、各種アデノウイルスベクターを室温で融解、−80℃で凍結のステップを5回繰り返した後に、各々の遺伝子発現効率の比較実験を行った。
実験は、CAR高発現細胞であるヒト肺上皮癌A549細胞(図3A)、およびCAR低発現細胞であるマウスメラノーマB16BL6細胞(図3B)を用いて行った。A549細胞は、10%ウシ胎児血清を含むDMEMで継代培養し、サブコンフレント状態のものを実験に供した。また、B16BL6細胞は、7.5%ウシ胎児血清を含むEagle’s minimum essential medium(MEM、Sigma社製)で継代培養し、サブコンフレント状態のものを実験に供した。
48穴プレートにA549細胞、およびB16BL6細胞を2×10細胞/0.5mL/ウェルで播種し、24時間培養した。それぞれの細胞の培地で調整した各ベクターをそれぞれ3000粒子/細胞/0.5mLでウェルに加え、37℃、飽和蒸気圧、5%CO条件下24時間培養した。
なお、各種アデノウイルスベクターによる遺伝子発現効率の指標としてのルシフェラーゼ活性測定は、実施例1の5)に準じて行った。
その結果を、各種アデノウイルスベクターの作製直後、および長期低温保存し、凍結融解後の遺伝子発現として図3に示す。
まず、A549細胞における、作製直後のPEG−アデノウイルスベクターは実施例1の5)と同様にその他のベクターと比較して低い遺伝子発現効率となっていることが確認できた。また、1ヶ月保存後、凍結融解を5回繰り返した対照アデノウイルスベクター、PEG−アデノウイルスベクター、ファイバー変異アデノウイルスベクター、およびRGD−PEG−アデノウイルスベクターは作製時とほぼ同等の遺伝子発現を保持していた。
次に、B16BL6細胞における、作製直後のRGD−PEG−アデノウイルスベクターの遺伝子発現は、実施例1の5)と同様に対照アデノウイルスベクターより約100倍高く、ファイバー変異アデノウイルスベクターと同等であることが確認できた。また、1ヶ月保存後、凍結融解を5回繰り返した場合もRGD−PEG−アデノウイルスベクターは、作製時とほぼ同等の遺伝子発現を保持していた。
このことから、本発明のRGD−PEG−アデノウイルスベクターの遺伝子発現は、長期低温保存後、凍結融解を繰り返した場合であっても、十分保持されており、安定性が高いと言える。
一般的に、本発明のRGD−PEGのような巨大な構造をアデノウイルスベクター表面に付与した場合、RGDとアデノウイルスベクターとが架橋剤、システイン、PEG、リジン、およびβアラニンを介して結合することとなり、安定性が低いと予想される。しかしながら、本実施例の結果、長期低温保存後、凍結融解を繰り返した場合においても本発明のRGD−PEG−アデノウイルスベクターは、優れた遺伝子発現効率を保持していた。RGD−PEGのような巨大構造をもつアデノウイルスベクターの安定性が長期低温保存後、凍結融解を繰り返した場合においても十分保持されていたのは、予想外の結果であった。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、投与する生体に対して免疫原性が低く、抗原性が低いため中和抗体や貧食細胞による攻撃を受け難くて血中半減期が比較的長く、広範な細胞に対して高効率の遺伝子導入が可能であり、またそれにより肝集積性が低く、さらに、ウイルス元来の有用な能力を低下させることなく簡便かつ効率的に作製でき、長期低温保存後に融解・再凍結を繰り返しても安定な遺伝子導入用ベクターならびに遺伝子導入方法が提供される。
Figure 0004566129
Figure 0004566129

Claims (13)

  1. ウイルス粒子表面に水溶性ポリマーがリンカーアミノ酸および架橋剤を介して結合し、かつ標的細胞表面に存在するインテグリンに親和性を有する外来性ペプチドが当該水溶性ポリマーに結合しており、ここに該外来性ペプチドが、リジンと、該リジン中の2個のアミノ基を介して各々結合した2個のアルギニン(R)−グリシン(G)−アスパラギン酸(D)を含むペプチドとを含むことを特徴とするウイルスベクター。
  2. 前記ウイルスがアデノウイルスである請求項1記載のウイルスベクター。
  3. 前記水溶性ポリマーがポリエチレングリコールである請求項1または2記載のウイルスベクター。
  4. 前記ポリエチレングリコールの分子量が3000〜4000である請求項3記載のウイルスベクター。
  5. 前記リンカーアミノ酸がシステインであって、前記架橋剤がチオール基およびアミノ基に対して結合能を有する架橋剤である請求項1ないし4いずれか1項記載のウイルスベクター。
  6. 前記架橋剤がN−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(N-(6-Maleimidocaproyloxy)succinimide)(EMCS)である請求項5記載のウイルスベクター。
  7. 前記インテグリンがαVβ3またはαVβ5である請求項1ないし6いずれか1項記載のウイルスベクター。
  8. 前記外来性ペプチドが1ないし数個のβアラニンを含むペプチドである請求項1ないし7いずれか1項記載のウイルスベクター。
  9. 前記外来性ペプチドがチロシン(Y)−グリシン(G)−グリシン(G)−アルギニン(R)−グリシン(G)−アスパラギン酸(D)−トレオニン(T)−プロリン(P)−βアラニン(X)−リジン(K)−βアラニン(X)−プロリン(P)−トレオニン(T)−アスパラギン酸(D)−グリシン(G)−アルギニン(R)−グリシン(G)−グリシン(G)−チロシン(Y)で示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項記載のウイルスベクター。
  10. 1)水溶性ポリマーの1の末端にリンカーアミノ酸を結合させて水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸を得;
    2)この水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸の水溶性ポリマーに、チロシン(Y)−グリシン(G)−グリシン(G)−アルギニン(R)−グリシン(G)−アスパラギン酸(D)−トレオニン(T)−プロリン(P)−βアラニン(X)−リジン(K)−βアラニン(X)−プロリン(P)−トレオニン(T)−アスパラギン酸(D)−グリシン(G)−アルギニン(R)−グリシン(G)−グリシン(G)−チロシン(Y)で示されるアミノ酸配列を有する外来性ペプチドを結合させて外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸を得;
    3)得られた外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸のリンカーアミノ酸に架橋剤を結合させ;ついで
    4)その架橋剤を介して外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸とウイルスとを結合させる
    工程を含むウイルスベクターの作製方法。
  11. 1)および2)の工程をリンカーアミノ酸を樹脂(Resin)に結合して行い、その後、生成した外来性ペプチド−水溶性ポリマー−リンカーアミノ酸を樹脂から切断して3)および4)の工程を行う請求項10記載のウイルスベクターの作製方法。
  12. 前記水溶性ポリマーがポリエチレングリコールである請求項10または11記載のウイルスベクターの作製方法。
  13. 前記リンカーアミノ酸がシステインであって、前記架橋剤がチオール基およびアミノ基に対して結合能を有する架橋剤である請求項10ないし12いずれか1項記載のウイルスベクターの作製方法。
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