JP4565762B2 - 白血球除去フィルター及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液に代表される細胞浮遊液から白血球を選択除去するためのフィルターにおいて、オートクレーブ滅菌による性能低下が小さい白血球除去フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、血液学、免疫学の発達により、従来の全血輸血に代わって、患者が必要とする血液の成分だけを与え、不要な成分は極力与えない成分輸血が注目をあびている。成分輸血には、赤血球輸血、血小板輸血、血漿輸血などがあり、赤血球を必要とする患者には赤血球濃縮液が投与され、血小板を必要とする患者には血小板濃縮液が投与される病例が極めて多い。しかしながら、成分輸血においても様々な病例が確認されている。例えば、血小板濃縮液を輸血された患者が、非溶血性発熱反応、同種免疫反応、輸血後急性肺障害、GVHD、アレルギー反応、ウイルスならびに細菌感染、さらに免疫変調などの多岐にわたる副作用を示すことが報告されている。こうした輸血副作用の原因の多くは、血液製剤中に混入している白血球に由来すると考えられ、これらの副作用を防ぐのに十分な程度に低い水準にまで白血球を除去することが必要である。
【0003】
血液および血液製剤から白血球を除去する方法には、大別して、遠心分離機を用いて赤血球と白血球との比重の違いを利用して分離する方法と、繊維素材やスポンジ状構造物をろ材とするフィルターを用いて白血球を除去するフィルター法の2種類があるが、白血球を吸着除去するフィルター法が、白血球除去能に優れていること、操作が簡便であること及びコストが低いなどの利点を有するために広く用いられている。
【0004】
フィルター法による白血球、血小板等の血球の除去は、血球の吸着能を利用した吸着除去が主な機構であると考えられている。
なかでも重縮合により合成されたポリマーを素材とする不織布は、耐熱性にも優れることからオートクレーブによる蒸気滅菌が可能であるので好ましく用いられてきた。
【0005】
例えば、WO87/05812号公報には重縮合により合成されたポリマーからなる不織布に、非イオン性親水基と塩基性含窒素官能基を有し、塩基性含窒素官能基を0.2重量%以上4.0重量%未満含有するポリマーを適量コーティングしたフィルター材が白血球除去能に優れ、且つ血小板の通過性が高まることが実施例で開示されている。しかし、WO87/05812号公報には、ウシ血液の処理に対しては具体的に記載されているが、ヒト血液の処理に対しては具体的に記載されておらず、ヒト血液に対する白血球及び血小板除去率は不明である。
さらに、WO87/05812号公報には、オートクレーブ滅菌をすることについても何ら開示されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、血液に代表される細胞浮遊液から白血球を選択除去するためのフィルターにおいて、オートクレーブ滅菌による性能低下が小さい白血球除去フィルターを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、耐熱性に優れる重縮合系ポリマーからなるフィルター基材にポリマーがコーティングされた血液処理用フィルターにおいて、滅菌のためにオートクレーブ処理を行おうとしたところ、白血球除去能及び血小板通過率の低下が起こることを見出した。その原因を究明していたところ、該フィルター基材を構成するポリマー骨格の表面近くに存在しているオリゴマーが、溶剤との接触やオートクレーブ滅菌時の加熱によってコーティング層中に移行したり、或いはフィルター基材を構成するポリマー骨格表面に凝集・析出してくる結果コーティング層を剥離させ、性能の低下が起こることを見出した。図1は、従来の白血球除去フィルターをオートクレーブ滅菌する前のフィルター表面の電子顕微鏡写真であるり、図2は、同じフィルターをオートクレーブ滅菌処理した後のフィルター表面の電子顕微鏡写真である。図1と図2とを比較してみれば明らかなように、従来のフィルターでは、フィルター基材を構成するポリマー骨格表面上にオリゴマーが凝集・析出していることが分かる。
そこで、本発明者は、重縮合系ポリマーからなるフィルター基材に親水性ポリマーがコーティングされてなる白血球選択除去フィルターにおいて、フィルター基材中のオリゴマー含有量を低下させれば、オートクレーブ処理によっても白血球除去能及び血小板透過率を低下させない白血球選択除去フィルターを得ることができると考え、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)ポリエチレンテレフタレート及びポリ(トリメチレンテレフタレート)より選択される重縮合系ポリマーからなるフィルター基材に、少なくとも非イオン性親水基を有する2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと、アミノ基を有するジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート又はジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートと、を有する親水性ポリマーがコーティングされてなる白血球除去フィルターの製造方法において、フィルター基材は、1重量%を超えるオリゴマーを含む重縮合系ポリマーを用い、該フィルター基材中のオリゴマー含有量を低減する工程を有し、該フィルター基材中のオリゴマー含有量を1重量%以下とし、更にフィルターをオートクレーブ処理する工程を有することを特徴とする白血球除去フィルターの製造方法。
(2)フィルター基材が溶融工程を経て製造されてなる上記(1)記載の白血球除去フィルターの製造方法。
)フィルター基材中のオリゴマー含有量を低減する工程が、フィルター基材を溶剤抽出することを含む上記(1)又は(2)に記載の白血球除去フィルターの製造方法。
)溶剤抽出後にオートクレーブ処理されることを特徴とする上記()に記載の白血球除去フィルターの製造方法。
)上記(1)〜()のいずれかに記載の白血球除去フィルターの製造方法で製造された白血球除去フィルター。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の白血球選択除去フィルターは、親水性ポリマーでコーティングされたフィルター基材を包含し、該フィルター基材が重縮合により合成されたポリマーからなり、該フィルター基材中のオリゴマーの含有量が1重量%以下であることを特徴とする。フィルター基材を構成するポリマー骨格の表面近くに存在しているオリゴマーは、親水性ポリマーをコーティングする際の溶剤との接触や加熱によってコーティング層に移行したり、或いは該オリゴマーがポリマー骨格表面に凝集・析出することによってコーティング層を剥離させることから、フィルター基材から該オリゴマーを除去・低減することが必要である。
【0010】
本発明でいう、オリゴマーとは、重縮合により合成されたポリマー(以下「重縮合系ポリマー」という)の繰り返し構造単位が2〜3ユニット(単位)結合しているものをいう。
【0011】
本発明に用いられる重縮合系ポリマーからなるフィルター基材中のオリゴマーの含有量は、1重量%以下、更には0.5重量%以下であることが好ましい。重縮合系ポリマー中のオリゴマーの含有量が1重量%を超える場合には、オートクレーブ滅菌後のフィルターの白血球除去能が大きく低下する傾向にある。また、重縮合系ポリマー中のオリゴマーの含有量が1重量%を超える場合には、白血球除去能の低下のみならず血小板通過率も大きく低下する傾向にある。
【0012】
オリゴマー含有量は、以下の様にして測定する。オリゴマーと重縮合系ポリマーの共通溶剤でフィルター基材を溶解した後、高速液体クロマトグラフィーにて測定して、GPCクロマトグラムを得る。得られたGPCクロマトグラム中の重縮合系ポリマーのピーク面積に対するオリゴマーのピーク面積を含有量とする。
親水性ポリマーでコーティングされたフィルター中のオリゴマーを測定する場合には、親水性ポリマー、重縮合系ポリマー、及びオリゴマーの共通溶剤を用いて同様の方法で行うか、或いは親水性ポリマーのみを溶解する溶剤でフィルターから親水性ポリマーを除去した後、脱溶剤・乾燥してから同様の方法で行えば良い。
【0013】
本発明に用いられる重縮合系ポリマーとしては、ポリウレタン系ポリマー、ポリエーテルイミド系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、芳香族ポリイミド系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、芳香族ポリアミド系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、等を例示することができる。なかでもポリエステル系ポリマーは、耐熱性及び機械的強度に優れるだけでなく、不織布等の繊維に加工した時の切断伸度が他のスーパー繊維(宮坂啓象ら、「機能性繊維」高分子新素材 One Point No.16 高分子学会編、共立出版、1989年、頁62)に比べて格段に高いことから特に好ましく用いられる。
【0014】
本発明に用いられる親水性ポリマーとしては、水中で膨潤するが、水に溶解しないものであれば良く、特に限定されないが、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、ヒドロキシル基、メトキシ基、リン酸基、オキシエチレン基、イミノ基、イミド基、イミノエーテル基、ピリジン基、ピロリドン基、イミダゾール基、4級アンモニウム基等を単独あるいは複数種有するポリマーを例示することができる。
【0015】
特に、合成ポリマーは、天然ポリマーに比べて、構造や分子量の制御性及び夾雑物が少ない点で非常に優れている。
なかでもビニルモノマーより合成されたビニル系ポリマーであることが好ましい。例えば、天然に存在するセルロース系ポリマー及びキチン・キトサン系ポリマーは、分子量が高いことから夾雑物等が少ない点で優れているが、安定した分子量のものを供給することが不可能である。これに対し、ビニルモノマーにより合成されたポリマーは、天然ポリマーと同程度の高い分子量であっても溶剤に溶解した時の粘性が非常に低いために、取り扱いが容易でフィルター基材へのコーティングが容易な点から好ましい。なお、本発明でいう、ビニル系ポリマー(通称vinylpolymers)は、広義の意味でのビニル系ポリマーであり、主鎖が非環式炭素(acyclic carbon)からなる重合体を意味する。その具体例としては、「J.Brandrup;E.H.Immergut.1989.“Polymer Handbook Third Edition” A Wiley−interscience Publication, ppVII−5〜VII−18」に示される、ポリアクリル酸のα−置換体とその誘導体、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリスチレンとその誘導体、およびこれらを含む共重合体等を挙げることができる。
【0016】
さらに非イオン性親水基と塩基性含窒素官能基とを有する共重合体が白血球除去性能及び血液濾過時の目詰まりが起こりにくい点で好ましい。
本発明において非イオン性親水基としてはヒドロキシル基およびアミド基などが挙げられる。
非イオン性親水基を含有するモノマーとしては上述のヒドロキシル基およびアミド基を含むモノマー、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルアルコール(酢酸ビニルとして重合後、加水分解させる)、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。また、非イオン性親水基としては、前記のヒドロキシル基およびアミド基の他にポリエチレンオキサイド鎖も挙げられる。ポリエチレンオキサイド鎖を含むモノマーとしては、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類などが挙げられる。以上のモノマーの中でも、入手しやすさ、重合時の扱いやすさ、血液を流した時の性能などから、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
【0017】
また、塩基性含窒素官能基としては、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、4級アンモニウム基、及びピリジン基、イミダゾール基などの含窒素芳香族等が挙げられる。
塩基性含窒素官能基を含むモノマーとしては、アリルアミン;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の誘導体;p(パラ)−ジメチルアミノメチルスチレン、p−ジメチルアミノエチルスチレン等のスチレン誘導体;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、4−ビニルイミダゾール等の含窒素芳香族化合物のビニル誘導体;および上記ビニル化合物をハロゲン化アルキル等によって第4級アンモニウム塩とした誘導体を挙げることができる。
以上のモノマーの中でも、入手しやすさ、重合時の取り扱いやすさ、血液を流した時の性能などから、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
【0018】
以下、本発明の白血球除去フィルターの製造方法の例を説明する。
本発明の白血球除去フィルターは、親水性ポリマーを溶剤に溶解した溶液(以下「ポリマー溶液」という)をオリゴマー除去したフィルター基材にコーティング、または、ポリマー溶液中にフィルター基材を浸漬した後、機械的な圧縮、重力、遠心分離、ガスによる吹き飛ばし、または、減圧吸引などによって余剰の溶液をフィルター基材から除去し、乾燥するか、または、非溶剤に浸漬して脱溶剤した後乾燥することにより製造される。
【0019】
重縮合系ポリマーからなるフィルター基材からオリゴマーを除去するには、如何なる方法でも良いが、好ましい方法はオリゴマーを溶解し、しかも重縮合系ポリマーを膨潤させるが実質的に溶解しない溶剤またはこれを含有する液体で抽出する方法である。この溶剤としては、例えば重縮合系ポリマーがポリエチレンテレフタレートであれば、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン等のケトン類などが挙げられる。また、重縮合系ポリマーがポリスルホン又はポリエーテルスルホンであれば、ジメチルスルホキシドおよびアセトン等のケトン類が有効である。
以上のことから汎用性の高い一般的な重縮合系ポリマーからオリゴマーを除去するにはケトン系の溶剤が有効であり、さらにオリゴマーを抽出後にフィルター基材を再乾燥させることを考えても、揮発性のあるアセトンに代表されるケトン類が好ましい。
【0020】
このような溶剤を用いて常温又は加熱下でフィルター基材中のオリゴマーを液相に抽出する方法によってオリゴマーを除去したフィルター基材を得ることができる。抽出条件は、用いる溶剤及びフィルター基材と溶剤との接触方法によっても異なるが、1分〜100時間程度、加熱下で抽出を行う場合、加熱温度は約30℃から用いる溶剤の沸点より5℃低い程度の温度が好ましい。
抽出法は、フィルター基材に溶剤を通液・濾過する方法や単にフィルター基材を溶剤に浸漬する方法、その他如何なる方法でも良い。
【0021】
以上のようなフィルター基材から溶剤抽出によりオリゴマーを除去する方法の他に、フィルター基材に成形する前の重縮合系ポリマーを水と接触させることによって、フィルター基材成形時のオリゴマー総量の増加を抑制することも可能である(例えば、特開平3−174441号公報参照)。
【0022】
フィルター基材にポリマー溶液をコーティングする方法としては、フィルター基材に所望のコーティング量よりも余分にコーティングしておいた後に規定のコーティング量に減少させる後計量法、およびフィルター基材にコーティングする前にあらかじめ所望のコーティング量になるように計量しておいたポリマー溶液をフィルター基材に転移させる前計量法があるが、いずれでも良い。
コーティング後の乾燥方法としては、乾燥気体中または減圧雰囲気中で、常温または加熱しながら乾燥するなどの方法が用いられる。
【0023】
親水性ポリマーの溶解に用いられる溶剤は、例えば、ポリマーが2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートからなる共重合体であればエチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;メタノール、エタノール、n(ノルマル)−プロピルアルコール、イソ−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソ−ブチルアルコール、t(ターシャリー)−ブチルアルコール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミドおよびメチルセルソルブ等を挙げることができ、これらの溶剤は単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。また、それらに水を添加したものを用いることもできる。
【0024】
本発明の白血球除去フィルターの製造の際に用いられるフィルター基材の形態としては、メルトブロー法やフラッシュ紡糸法あるいは抄造法等により作製された不織布の他、紙、織布、メッシュおよび高分子多孔質体などの公知のフィルター材料のいずれかの形態であっても良いが、不織布は特に好適な形態である。なお、ここで不織布とは、編織によらずに繊維あるいは糸の集合体が、化学的、熱的、または機械的に結合された布状のものをいう。
【0025】
本発明の製造方法は、低減すべきオリゴマーの含量が比較的多い溶融成形法によって作られたフィルター基材から、オートクレーブ滅菌後に性能低下の少ない白血球除去フィルターを製造するのに極めて有効である。
【0026】
例えば、ポリエチレンテレフタレートは、一般的にテレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化反応させてエステル化物(低次縮合物)を得る工程と、この低次縮合物を重縮合触媒の存在下で液相重縮合反応あるいは溶融重縮合反応させる工程と、次いでポリエチレンテレフタレートを固相重縮合反応させる工程とを経て製造されている。上記のような各工程は、通常それぞれの反応に適した触媒の存在下で実施されている。
そして上記のような不織布は、通常まずポリエチレンテレフタレートを押し出し成形してペレット状に切断した後、該ペレットをメルトブロー成形することによって得られる。
【0027】
本発明で低減すべきオリゴマー類は、上記のような製造工程、特に液相重縮合工程において生成するが、ポリエチレンテレフタレートを固相重縮合することにより減少して、通常、固相重縮合後のポリエチレンテレフタレート中には、0.5重量%程度含有されている。ところが、メルトブロー成形に用いられるポリエチレンテレフタレートは、一般に溶融重縮合により合成されたものを用いる為、オリゴマー含有量は比較的高く、通常1重量%程度存在している。さらに、ペレット成形時及び不織布成形時には、融点以上に加熱されることによって、新たにオリゴマー類が多量に生成して、ポリエチレンテレフタレート中のオリゴマー量が増加してしまうことが知られている。ゆえに、このような溶融工程を経たあとのポリエチレンテレフタレートからなる不織布中には1.6〜1.7重量%のオリゴマーが含まれ、オリゴマー中の95重量%は環状オリゴマーである。これは製造時に用いられた重縮合触媒が、成形時にポリエチレンテレフタレートの環化開重合触媒として作用し、環状三量体などのオリゴマー類を生成してしまうためであると推定されている。
【0028】
ゆえに、本発明のフィルター製造方法は、除去・低減すべきオリゴマー含量の多い溶融成形法によって作られたフィルター基材に特に効果的であるが、重縮合系ポリマーペレットから湿式成形法によってつくられたフィルター基材にも適用できる。
【0029】
不織布および織布からなるフィルター基材であれば、その平均繊維直径は0.3μm〜10μm、好ましくは0.3μm〜3μm、さらに好ましくは0.5μm〜1.8μmである。平均繊維直径が0.3μm未満の場合には、血液を濾過する際の圧力損失が高すぎて実用的でない恐れがあり、逆に10μmを超えると繊維と白血球との接触確率が低すぎるために、本発明の白血球除去が充分に発揮されない恐れがある。
なお、ここで平均繊維直径とは、フィルター基材を構成する不織布または織布から一部をサンプリングし、電子顕微鏡写真により測定した平均直径である。
【0030】
また、不織布または織布からなるフィルター基材の空隙率は、50%以上95%未満が好ましく、より好ましくは70%以上90%未満である。空隙率が50%未満の場合には血液の流れが悪く、また95%以上ではフィルター基材の機械的強度が弱いため適さない。空隙率の測定は、所定の面積に切断したフィルター基材の乾燥時の重量(W1)を測定し、さらに厚みを測定して体積(V)を算出する。このフィルター基材を純水中に浸漬し、脱気した後含水したフィルター基材の重量(W2)を測定する。これらの値から以下に示す算出式により空隙率が求められる。
なお、下記の算出式中のρは純水の密度である。
空隙率(%)=(W2−W2)×100/ρ/V
【0031】
高分子多孔質体であれば、平均気孔径が1μm〜60μm、好ましくは1μm〜30μm、より好ましくは1μm〜20μmである。1μm未満では血液等の白血球および血小板含有液の流れが悪く、60μmを超えると多孔質体と白血球との接触確率が低すぎるために白血球の除去率が低くなり、好ましくない。ここでいう平均気孔径とは、ASTM F316−86に記載されているエアーフロー法に準じてPOROFIL(COULTER ELECTRONICS LTD.製)液中にて測定した平均孔径を示す。
【0032】
本発明の製造方法を用いて得られた白血球除去フィルターは、通常公知の血液の入口と出口を有する適当な血液濾過用のフィルター基材容器に充填して使用することが可能である。
本発明のフィルターは、その厚みによって異なるが、1枚で用いても良いし、複数枚重ねて用いても良い。重ねる枚数としては血液濾過条件によって異なり臨界的ではないが、通常数枚から数十枚が用いられる。また、フィルター基材が織布または不織布の場合、他の繊維からなるフィルター基材を用いたフィルター、または孔径の異なるフィルター基材を用いたフィルターと重ねて用いることも可能である。
【0033】
また、フィルターを複数枚重ねて用いる場合、フィルター基材のうち少なくとも最も孔径の小さい又は繊維径の小さいフィルター基材を用いているフィルター(メインフィルター)が、親水性ポリマーでコーティングされていることが好ましく、全てのフィルターが該ポリマーでコーティングされていることがより好ましい。また、この時、親水性ポリマーでコーティングされているフィルター基材中のオリゴマーの含有量は1重量%以下であることが必要である。
【0034】
このように重ねて容器に充填されたフィルターは、通常血液バックを取り付けた後、滅菌のためのオートクレーブ処理を行う。オートクレーブ処理を行う場合100〜130℃、より好ましくは、110〜120℃、10分〜100時間程度行うのが好ましく、オートクレーブ処理は数回繰り返し行っても良い。
【0035】
以下にこの発明の実施例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
親水性ポリマーの分子量分布及び平均分子量は、N,N−ジメチルホルムアミドに1ミリモル/L(リットル)となるようにLiBr(臭化リチウム)を添加した溶液(以下「溶液A」という)にポリマーを溶解した溶液(ポリマー濃度1mg/mL)をカラムを接続したゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)(本体:東ソー(株)製 HLC−8020+解析プログラム:GPC:LALLS ver.2.03)を用いて、40℃の温度でRI(示差屈折計)にて測定した。カラムは、ガードカラム(東ソー(株)製 TSK guardcoloum HXL−H)と本カラム(前段カラム:東ソー(株)製 TSKgel GMHXL B0032、後段カラム:東ソー(株)製 TSKgel α−M B0011)から成るものを使用した。また、使用条件(測定条件)は、移動相(展開液):溶液A、FLOW Rate:1mL/分、カラム温度:40℃にて行った。尚、ポリマーの分子量分布及び平均分子量の算出には、ポリマーラボラトリー社製ポリメチルメタクリレート(M−M−10セット)の既知の分子量と該ポリメチルメタクリレートのGPC測定値(Retention Time)との関係を用いた。
【0036】
また、重縮合系ポリマーがポリエチレンテレフタレート又はポリ(トリメチレンテレフタレート)からなるフィルター基材中のオリゴマーの含有量は以下の様にして測定した。ヘキサフルオロ−2−プロパノールに20ミリモル/LとなるようにCF3COONa(トリフルオロ酢酸ナトリウム)を添加した溶液(以下「溶液B」という)にフィルター基材を溶解した溶液(ポリマー濃度0.05重量%)、及びカラムにPLHFIPgel(ポリマーラボラトリー社製)を用いて、移動相に溶液Bを用いた以外は上記と同様な操作・測定を行った。得られたGPCクロマトグラム中の重縮合系ポリマーのピーク面積(この時、オリゴマーのピーク面積も含む)に対するオリゴマーのピーク面積の比率をオリゴマー含有量とした。
重縮合系ポリマーが、ポリスルホンからなるフィルター基材中のオリゴマー含有量の測定は、溶液Bの代わりにテトラヒドロフランを用い、カラムにTSKgel G2000Hx1(東ソー(株)製)を用い、さらにRIの代わりにUV(波長254nm)を用いた以外は同様な操作で行った。得られたGPCクロマトグラム中の重縮合系ポリマーのピーク面積(この時、オリゴマーのピーク面積も含む)に対するオリゴマーのピーク面積の比率をオリゴマー含有量とした。
【0037】
【実施例1】
(ポリマーコート溶液の調整)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート97モル%とジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート3モル%からなる共重合体(重量平均分子量570,000、塩基性窒素原子の含量0.32重量%、非イオン性親水基97モル%、塩基性含窒素官能基の量3モル%、ピークトップ分子量3.75×105、低分子量成分の含有量26.0%)からなる重合溶液(共重合体濃度39重量%、エタノール溶液)に4倍体積量のエタノールを加えて40℃にて均一に溶解した。この溶液を25℃の室温下で12時間放置することにより熱誘起相分離法にて液液相分離した後、ポリマー濃厚相溶液のみを分別回収した。ここで、低分子量成分とは、ピークトップ分子量の1/4以下の分子量をもつ重合度の低い成分をいう。得られたポリマー濃厚相溶液には、塩基性窒素原子の含量0.32重量%、非イオン性親水基97モル%、塩基性含窒素官能基の量3モル%、ピークトップ分子量3.92×105、低分子量成分の含有量14.5%の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合体が溶解していることが確認され、液液相分離精製によりポリマー中の低分子量成分が低減していることが明らかとなった。このポリマー濃厚相溶液にイソ−プロピルアルコールと水からなる混合溶剤(イソ−プロピルアルコール濃度50重量%)を加えた後40℃の温度で溶解して、12重量%の均一なポリマーコート溶液を調整した。
【0038】
(フィルター基材からのオリゴマーの抽出)
平均繊維直径1.2μmのポリエチレンテレフタレート繊維よりなる不織布(40g/m2目付、空隙率79%、厚さ0.25mm、密度0.16g/cm3、巾150mm、比表面積2.01m2/g、オリゴマー含有量1.70重量%)15m巻きをアセトン10Lに20時間室温で浸漬してオリゴマーを抽出した。
この時、10時間経過した時点で新品のアセトンとの入れ替えを行った。抽出後さらに、3Lのアセトンで2回すすいだ後、冷風中で十分乾燥した。この時不織布中のオリゴマーの含有量は、0.84重量%であった。
【0039】
(コーティング)
図2に示す装置を用いて、オリゴマー除去後の不織布15mを連続的に上記40℃のコート溶液に浸漬した後、間隙が0.13mmであるロール間を通過させることによりニップした。さらに、40℃第1乾燥室内(風速15m/秒)を3m通過させて、80℃の第2乾燥室内(風速15m/秒)を3m通過させた後巻き取った。ライン速度は、1m/分に固定した。巻き取り時の残エタノール量は1%以下であり、巻き取り後にフィルター同士が接着することはなく、効率良く生産することができた。また、フィルター中の親水性ポリマーのコート量は、160mg(親水性ポリマー)/m2(フィルター基材全表面単位面積当たり)であった。
【0040】
(フィルターの溶着)
このようにして製造したフィルターから任意に選んだ一部を50mm×50mmの正方形に切断したものを16枚重ねた後、これを血液の導入口を有する軟質ポリ塩化ビニル樹脂製シート(シートの大きさ50mm×50mm、シート部のみの厚さ0.368mm)と血液の導出口を有する軟質ポリ塩化ビニル樹脂製シート(シートの大きさ50mm×50mm、シート部のみの厚さ0.368mm)ではさみ、血液の導入口と導出口のまわりを円形状に高周波溶着した。フィルターの有効濾過断面積は12mm×12mm×3.14=452mm2であり、厚みは4.8mmであった。
【0041】
(オートクレーブ処理)
上記の溶着後のフィルターの血液導入口と導出口にそれぞれ血液バッグを取り付けた後、オートクレーブ滅菌器((株)平山製作所製 高圧蒸気滅菌器 HV−50)にて、115℃で65分間滅菌した。オートクレーブ滅菌した後のフィルター表面の電子顕微鏡写真(倍率10,000)を図3に示した。図3から明らかなように、フィルター基材からオリゴマーを抽出除去した場合、オートクレーブ処理をしてもオリゴマーの凝集・析出は見られなかった。
【0042】
(血液評価)
溶着したオートクレーブ滅菌前のフィルターとオートクレーブ滅菌後のフィルターそれぞれに対し、それぞれ抗凝固剤としてCPD(citrate−phosphate−dextrose)を添加したヒトの新鮮全血(採血後3時間経過血)13mLを、シリンジポンプを用いて0.9mL/分の一定速度で室温下で流した。この時、フィルターの溶着部から血液がもれることはなかった。
フィルター通過前後について、1mLの血液を採取してリューコプレート液9mLを混ぜて遠心した後デカンテーションにて上澄み液を捨てて1mLを調整した液中の白血球濃度を血球計算板を用いて測定することにより、白血球濃度を測定した。また、血液中の血小板の濃度は、多項目自動血球計数装置(SYSMEX社製 K−4500)にてストマライザー(SYSMEX社製)を溶血剤に用いて測定した。
【0043】
白血球除去能及び血小板通過率は次式により算出した。
【数1】
Figure 0004565762
【数2】
Figure 0004565762
【0044】
これらオートクレーブ滅菌前後のフィルターの血液濾過性能評価をそれぞれ3回行い、平均値として表1に示した。オリゴマーを除去しないフィルター基材(【比較例1】)に比べて、オートクレーブ後の性能低下が小さい結果となった。
オリゴマー除去の影響は、白血球除去能よりも血小板通過率の性能低下への影響が大きい結果となった。全血濾過から白血球のみを除去する用途では、平均で80%以上の血小板通過率が求められており、オートクレーブ滅菌後でもこの性能要求を満たしていることが明らかとなった。また、フィルター濾過前後での血液中のヘマトクリット値に差は見られなかった。
【0045】
【実施例2】
アセトンの温度を40℃にした以外は実施例1と同様な操作を行った。オリゴマー抽出後の不織布中のオリゴマーの含有量は、0.45重量%であった。また、フィルター中の親水性ポリマーのコート量は、150mg/m2であった。この時の血液評価結果を表1に示す。オリゴマーを除去しないフィルター基材(【比較例1】)に比べて、オートクレーブ後の性能低下が小さい結果となった。
【0046】
【実施例3】
実施例1で使用した重合溶液の代わりに2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート95モル%とジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート5モル%からなる共重合体(ピークトップ分子量4.08×105、低分子量成分の含有量9.9%、塩基性窒素原子の含量0.53重量%、非イオン性親水基95モル%、塩基性含窒素官能基の量5モル%)からなるポリマー濃厚相溶液(共重合体濃度30重量%)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った。フィルター中の親水性ポリマーのコート量は、155mg/m2であった。この時の血液評価結果を表1に示す。オリゴマーを除去しないフィルター基材([比較例1])に比べて、オートクレーブ後の性能低下が小さい結果となった。ここで、ピークトップ分子量4.08×105、低分子量成分の含有量9.9%の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート95モル%とジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート5モル%からなるポリマー濃厚相溶液は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート95モル%とジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート5モル%からなる共重合体(重量平均分子量650,000、塩基性窒素原子の含量0.53重量%、非イオン性親水基95モル%、塩基性含窒素官能基の量5モル%、ピークトップ分子量3.62×105、低分子量成分の含有量21.2%)からなる重合溶液(共重合体濃度41重量%、エタノール溶液)を用いて実施例1と同様な方法により得られた。
【0047】
【実施例4】
実施例1で用いた不織布の代わりに平均繊維直径1.2μmのポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維よりなる不織布(40g/m2目付、空隙率75%、厚さ0.23mm、密度0.17g/cm3、巾150mm、比表面積1.98m2/g、オリゴマー含有量1.60重量%)を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った。オリゴマー抽出後の不織布中のオリゴマーの含有量は、0.86重量%であった。また、フィルター中の親水性ポリマーのコート量は、165mg/m2であった。この時の血液評価結果を表2に示す。オリゴマーを除去しないフィルター基材(【比較例1】)に比べて、オートクレーブ後の性能低下が小さい結果となった。
【0048】
【比較例1】
実施例1で用いたオリゴマー抽出前のフィルター基材を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った。フィルター中の親水性ポリマーのコート量は、161mg/m2であった。この時の血液評価結果を表2に示す。
なお、この比較例1のフィルターをオートクレーブ処理する前のフィルター基材表面の電子顕微鏡写真(倍率10,000)を図1に、オートクレーブ処理した後のフィルター基材表面の電子顕微鏡写真(倍率10,000)を図2に示した。オリゴマーを抽出しない場合には、オートクレーブ処理によってオリゴマーが凝集・析出していることが分かる。
【0049】
【比較例2】
アセトンへの不織布の浸漬時間を10時間にした以外は、実施例1と同様な操作を行った。不織布中のオリゴマーの含有量は、1.15重量%であった。また、フィルター中の親水性ポリマーのコート量は、165mg/m2であった。この時の血液評価結果を表2に示す。
【0050】
【実施例5】
平均繊維直径1.2μmのポリスルホン繊維よりなる不織布(31g/m2目付、空隙率86%、厚さ0.22mm、巾150mm、比表面積1.55m2/g、環状オリゴマー含有量5.52重量%)を用いて、超音波洗浄機中で超音波処理しながらアセトン抽出した以外は、実施例2と同様な操作を行った。オリゴマー抽出後の不織布中のオリゴマーの含有量は、0.91重量%であった。また、フィルター中の親水性ポリマーのコート量は、193mg/m2であった。この時の血液評価結果を表3に示す。環状オリゴマーを除去しないフィルター基材(【比較例3】)に比べて、オートクレーブ後の性能低下が小さい結果となった。
【0051】
【比較例3】
実施例5で用いたオリゴマー抽出前のフィルター基材を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った。フィルター中の親水性ポリマーのコート量は、190mg/m2であった。この時の血液評価結果を表3に示す。
【0052】
【表1】
Figure 0004565762
【表2】
Figure 0004565762
【表3】
Figure 0004565762
【0053】
【発明の効果】
本発明の白血球除去フィルターは、オートクレーブ滅菌による性能低下が小さいことから、オートクレーブ滅菌を用いる医薬用途、医療用途、及び一般工業用途に好ましく用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例1で作成したフィルターのオートクレーブ処理前の電子顕微鏡写真(倍率10,000)である。
【図2】比較例1で作成したフィルターのオートクレーブ処理後の電子顕微鏡写真(倍率10,000)である。
【図3】実施例1で作成したフィルターのオートクレーブ処理後の電子顕微鏡写真(倍率10,000)である。
【図4】本発明のフィルターを製造するための製造装置の一例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 フィルター基材供給ロール
2 ポリマー溶液コーティング槽
3 ポリマー溶液保温用恒温槽
4 ロール
5 ニップ用ロール
6 フィルター巻き取り用ロール
7 フィルター基材
8 ポリマー溶液
9 含浸ロール
10 恒温槽内の温調水
11 乾燥する手段(低温側)
12 乾燥する手段(高温側)

Claims (5)

  1. ポリエチレンテレフタレート及びポリ(トリメチレンテレフタレート)より選択される重縮合系ポリマーからなるフィルター基材に、少なくとも非イオン性親水基を有する2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと、アミノ基を有するジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート又はジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートと、を有する親水性ポリマーがコーティングされてなる白血球除去フィルターの製造方法において、フィルター基材は、1重量%を超えるオリゴマーを含む重縮合系ポリマーを用い、該フィルター基材中のオリゴマー含有量を低減する工程を有し、該フィルター基材中のオリゴマー含有量を1重量%以下とし、更にフィルターをオートクレーブ処理する工程を有することを特徴とする白血球除去フィルターの製造方法。
  2. フィルター基材が溶融工程を経て製造されてなる請求項1記載の白血球除去フィルターの製造方法。
  3. フィルター基材中のオリゴマー含有量を低減する工程が、フィルター基材を溶剤抽出することを含む請求項1又は2に記載の白血球除去フィルターの製造方法。
  4. 溶剤抽出後にオートクレーブ処理されることを特徴とする請求項に記載の白血球除去フィルターの製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の白血球除去フィルターの製造方法で製造された白血球除去フィルター。
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