JP4564124B2 - 熱可塑性樹脂用可塑剤及び熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂用可塑剤及び熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特定のクエン酸エステル化合物からなる熱可塑性樹脂(塩化ビニル系及び酢酸セルロース系各樹脂を除く。以下、塩化ビニル系樹脂をPVC、酢酸セルロース系樹脂をCAとそれぞれ略称することがある。)用可塑剤、及び該可塑剤を上記熱可塑性樹脂に添加してなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
更に詳しくは、PVC及びCAを除く熱可塑性樹脂に対して混練作業性がよく、同樹脂の機械的、熱的その他の諸物性をバランス良く維持し、かつ可塑剤を要する各種樹脂すべてが抱える問題である可塑剤のブリードアウトを殆ど生じない、特定の化学構造式を有するクエン酸エステル化合物からなる可塑剤であって、該熱可塑性樹脂用、特にスチレン系樹脂用に好適な可塑剤、及び該可塑剤が添加されてなるPVC及びCAを除く熱可塑性樹脂組成物、特に熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂である熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックは一般に軽量、高強度で耐溶剤性に優れ、且つ、金属や木材等と比較してその成形、加工が容易であることから急速に市場に浸透し、包装材、建築資材、自動車用材料、その他様々な分野に使用され、大量消費されている。
一方、プラスチックの加工方法としては、真空成形、ブロー成形、インフレーション成形等、用途に合わせた様々な手段が使用可能である。
プラスチックの材質をその用途的観点から見ると、フィルムの用途の場合は主にポリエチレンやポリプロピレン等が好適であり、シートや容器の用途の場合はポリスチレンやポリプロピレン等が通常好適であり、用途に応じて種々使い分けられている。
これらの選択は、主に樹脂物性、樹脂の価格、成形性その他等の点を考慮してされるものである。
【0003】
通常、プラスチックの種類の選択は上記のようにその用途に応じて行われ、選択の基準はプラスチックの公知の諸特性により左右される。しかし、この公知の諸特性は固定されたものではなく、プラスチックの分子構造、特に立体構造的改変、化学的反応による改質、他の樹脂又は添加剤の添加による改質などにより変えることができる場合があり、プラスチックの用途拡大に大きく貢献している。
【0004】
特に添加剤としての可塑剤の使用の効果は大きく、種々のプラスチックの用途を拡大している。しかし、ある特定のプラスチックに対してはある限られた可塑剤しか使用できないとか、好適な可塑剤が未だ存在しない場合等があり、可塑剤使用によるプラスチックの改質技術は未だ満足されるものではない。
例えば、ポリスチレンについて、その引張弾性率を現状の2×104〜2.5×104Kgf/cm2程度から6×103Kgf/cm2以下の低い値にすることができれば、現状の容器やボトルなどの堅物ばかりではなく、薄手のポリスチレンフィルムの用途の拡大が期待でき、農業用マルチフィルムや生ゴミ用袋等も成形加工することができると考えられる。この場合、既に上記引張弾性率の調節手段として、その分子量とか分岐鎖の調節等の方法があるが、当該調節方法による微調節は困難、且つ作業が多いものであり、又調節可能な範囲も狭いので、上記諸特性の調節方法としては必ずしも好適な手段ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、塩化ビニル系樹脂及び酢酸セルロース系樹脂を除く熱可塑性樹脂に注目し、それらの用途範囲拡大には、好適な可塑剤を提供することが最も効率的であると考え、特に従来好適な可塑剤がなかったスチレン系樹脂に対する可塑剤を提供することが特に有益であると考え、当該可塑剤の提供を、又同時に、該可塑剤の添加された上記各種熱可塑性樹脂組成物を提供することをも課題とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究をした結果、特定のクエン酸エステル化合物をポリスチレン等の熱可塑性樹脂に配合したところ、該熱可塑性樹脂の優れた可塑剤になり得、従来公知の可塑剤をこれら熱可塑性樹脂に添加した場合に起こる混練作業時の諸問題、混練、成形後のブリードアウトの発生、当該熱可塑性樹脂の基本物性の著しい低下現象等を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は以下の通りである。
【0007】
即ち、第1の発明は、下記一般式[I]で示されるクエン酸エステル化合物からなる熱可塑性樹脂(塩化ビニル系及び酢酸セルロース系各樹脂を除く)用可塑剤に関する。
【0008】
【化2】
Figure 0004564124
〔式中、R1は水素原子又は脂肪族アシル基であり、R2はアルキル基である。〕
【0009】
第2の発明は、R1が炭素数1〜5の脂肪族アシル基である上記第1の発明のクエン酸エステル化合物からなる熱可塑性樹脂用可塑剤に関する。
第3の発明は、R2が炭素数1〜4のアルキル基である上記第1又は第2の発明のクエン酸エステル化合物からなる熱可塑性樹脂用可塑剤に関する。
第4の発明は、R1が水素原子であり、R2がメチル基又はエチル基である上記第1の発明のクエン酸エステル化合物からなる熱可塑性樹脂用可塑剤に関する。
第5の発明は、R1がアセチル基であり、R2がメチル基又はエチル基である上記第1の発明のクエン酸エステル化合物からなる熱可塑性樹脂用可塑剤に関する。
第6の発明は、熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂であり、上記第1〜第5のいずれかの発明のクエン酸エステル化合物からなる熱可塑性樹脂用可塑剤に関する。
第7の発明は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、一般式[I]で示されるクエン酸エステル化合物を5〜200重量部添加してなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
第8の発明は、熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂である上記第7の発明の熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
(PVC及びCAを除く熱可塑性樹脂)
PVC及びCAを除く熱可塑性樹脂(以下、特に明記する必要がない場合は、単に「熱可塑性樹脂」と略す)としては特に限定されるものではなく、広く汎用の熱可塑性樹脂が使用できる。例えば一般用ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のエステル系樹脂、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11,ナイロン12などのポリアミド樹脂が使用可能であり、特にスチレン系樹脂が好適である。
【0011】
(クエン酸エステル化合物)
本発明に係る熱可塑性樹脂用可塑剤であり、当該樹脂組成物の1成分である、前記一般式[I]で示されるクエン酸エステル化合物において、R1は水素原子又は脂肪族アシル基であり、該脂肪族アシル基としては特に制限されるものではないが、好ましくは炭素数1〜12のアシル基であり、特に好ましくは炭素数1〜5のアシル基である。
具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、パルミトイル、オレイル等の基を例示することができる。
【0012】
同式におけるR2はアルキル基であるが、該アルキル基としては特に制限されるものではなく、直鎖状のもの、分岐を有するもののいずれでもよい。なお、好ましくは炭素数1〜24のアルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。
【0013】
本発明に係る熱可塑性樹脂に配合され、優れた可塑剤として機能する一般式[I]で表されるクエン酸エステル化合物として特に好ましいものとしては、R1が炭素数1〜5の脂肪族アシル基であるもの、R2が炭素数1〜4のアルキル基であるもの、R1が水素原子であり、R2がメチル基又はエチル基であるもの、及びR1がアセチル基であり、R2がメチル基又はエチル基であるものである。
【0014】
次に、本発明に係る一般式[I]で表されるクエン酸エステル化合物の製法例について概説する。
(R1が水素原子である当該クエン酸エステル化合物の製法)
本発明に係る一般式[I]で表されるクエン酸エステル化合物のうち、R1が水素原子であるものは、公知の方法を応用して製造することができる。ここに公知の方法としては、例えば英国特許931781号公報に記載のフタル酸ハーフエステルとα−ハロゲン化酢酸アルキルエステルからフタリルグリコール酸エステルを製造する方法が挙げられる。
具体的には、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム又はクエン酸、好ましくはクエン酸三ナトリウムの1モルに対し、R2に対応するアルキルエステルであるα−モノハロゲン化酢酸アルキル、例えばモノクロル酢酸メチル、モノクロル酢酸エチル等を化学量論以上の量、好ましくは1〜10モル、より好ましくは2〜5モルを反応させる。反応系に水分が存在すると目的化合物の収率が低下するので、原料としては可及的に無水のもの又は無水和物を用いることが好ましい。
反応的にはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等の鎖状若しくは環状脂肪族第3アミンを触媒として用いることができ、中でもトリエチルアミンが好ましい。触媒の使用量は、クエン酸原料1モルに対して0.01〜1.0モルが好ましいが、0.2〜0.5モルがより好ましい。
反応温度及び時間については、60〜150℃で1〜24時間反応させることが好ましい。
反応溶媒の使用は必ずしも必要ではないが、必要に応じてトルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン等を使用することができる。
反応後は、例えば水を加えて副生物や触媒を除去し、油層を水洗した後、蒸留により未反応の原料化合物と分離し、目的物を単離することができる。
【0015】
(R1が脂肪族アシル基である当該クエン酸エステル化合物の製法)
1が脂肪族アシル基であり、R2がアルキル基である本発明のクエン酸エステル化合物は、前記のR1が水素原子であるクエン酸エステル化合物を用いて製造することができる。即ち、R1が水素原子であるクエン酸エステル化合物1モルに対し、目的とする脂肪族アシル基に相当するハロゲン化アシル、例えば塩化ホルミル、塩化アセチル等を1〜10モル反応させる。触媒としては、塩基性のピリジン等を該クエン酸エステル化合物1モルに対し0.1〜2.0モル用いることが好ましい。反応は無溶媒でよく、反応温度及び時間は80〜100℃にて1〜5時間が好適である。
反応後、反応混合物に水及び水に不溶の有機溶媒、例えばトルエンを加えて目的物を有機溶媒に溶解させ、水層と有機溶媒層を分離し、有機溶媒層を水洗した後、蒸留等の常法により目的物を単離することができる。
【0016】
本発明に係る可塑剤であって、前記熱可塑性樹脂に添加されるクエン酸エステル化合物の量は、当該熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜200重量部の範囲から選択され、熱可塑性樹脂組成物が得られる。しかし、該組成物の成形性その他の加工性、成形品の機械的性質等の観点から、通常は前記クエン酸エステル化合物の量は20〜100重量部がより好ましい。なお、該クエン酸エステル化合物の量が5重量部未満では可塑剤としての機能が殆ど見られず、逆に200重量部を超えると可塑剤としての機能に何ら変化が見られず、不必要な量の添加となる。
【0017】
本発明に係る、熱可塑性樹脂に前記クエン酸エステル化合物が添加されてなる熱可塑性樹脂組成物を得る場合、両者の混練方法については特に限定されるものではなく、通常、熱可塑性樹脂一般の混練に使用される手段がそのまま使用できる。例えば、押出機(一軸又は二軸)、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を使用して溶融温度にて混練するか、又は適当な溶剤を併用して溶解して混練する等種々の方法が適用できる。
【0018】
なお、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物には、従来知られている通常の成形用樹脂組成物の場合と同様に、必要に応じて、他の添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種安定剤や染料、顔料、充填剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤等を単一で又は複数種を添加しても差し支えない。
【0019】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の内容により何ら限定されるものではない。
以下に示す実施例においては、先ず本発明に係るクエン酸エステル化合物であって、実施例において使用される該化合物の具体的製造方法を説明すると共に、得られた化合物が前記一般式[I]に属する化合物であるとの確認結果を示した。
次に、得られたクエン酸エステル化合物を熱可塑性樹脂の代表例であるポリスチレン(以下、PSと記載することもある)に添加、配合する場合の溶融混練特性を調べ、又、得られた組成物を用いて成形した試験片について各種特性(基本物性及びブリードアウト特性)を測定した。
先ずこれらの測定、評価方法について説明する。
【0020】
(溶融混練性)
溶融混練性の評価は、小型溶融混練装置(東洋精機(株)製「ラボプラストミル」)を用い、本発明に係るクエン酸エステル化合物であって、それぞれ実施例において説明する製造方法で得られた、式[II]及び[III]で表される各化合物を、各実施例において示した3種の配合量でポリスチレンに添加、混合したそれぞれ約50gの混合物について溶融混練性の試験を行なった。溶解混練に使用する酢酸セルロースは、予め80℃で10時間以上乾燥したものを使用した。
当該溶融混練性を調べる試験項目としては、スケールアップして製造する場合の作業性に重点を置き、トルクのかかる程度(定性的に小、中、大で表示)、臭気の発生(定性的に極少、少、中、多で表示)、発煙の有無(臭気に同じ)、液漏れの状況(有、無で表示)、着色状態(観察された色で表示)、混練性(定性的に、良い方から順次○、△、×で表示)の6項目を挙げて試験、評価した。
なお、上記評価項目における「液漏れ」とは、組立て式混練装置である東洋精機(株)製「ラボプラストミル」の結合部からの混練物や分解物がしみ出す現象のことを言う。
上記評価試験のための溶融混練条件は以下の通りである。
混練温度:220℃
混練時間:10min
スクリュー回転数:50rpm
サンプル量:50g
【0021】
(基本物性)
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の基本物性評価用試験片としては、前記溶融混練性評価用に供した混合物と同じ組成の混合物を使用し、予め80℃で10時間以上乾燥したものを二軸混練押出機で混練、ペレット化し、射出成形により成形して得たものを使用した。射出成形の前にもペレットを80℃で10時間以上乾燥した。なお、上記試験片は23℃×50%RH恒温恒湿室で24時間調湿した後試験に使用した。
次に基本物性評価項目及び測定基準を以下に示した。
引張り試験:JIS K7113に準じた。1号ダンベル片使用。
曲げ試験:JIS K7203に準じた。
アイゾット衝撃試験:JIS K7110に準じた。ノッチはモールドノッチ。
【0022】
(ブリードアウト特性)
前記小型溶融混練装置での溶融混練性評価試験において可塑化効果のあった溶融混練物について、可塑剤のブリードアウト特性(経時移行性)の試験を行なった。この試験はブリードアウトの有無をみるものであり、重量保持率(単位は%)及び外観観察により行なった。ブリードアウト試験用の試験片としては、前記二軸混練押出機による溶融混練物から射出成形により得られたカラープレート(90mm×50mm×厚さ1mm,2mm,3mmの3段形)を使用した。
ブリードアウト特性の試験は、80℃の熱風乾燥機中で24時間放置する熱風処理及び50℃、90%RH恒温恒湿機中で24時間放置する調温調湿処理をする2種類の試験条件下に、前者の処理試験片については重量保持率と外観観察の両方を、後者の処理試験片については外観観察のみを行なった。
観察結果の表示は下記の3種類に分けて行った。
(a)変化なし:サンプルの寸法、表面状態等全ての点で変化が観察されない。
(b)軟化:サンプルが柔らかくなって形状が幾分変化しているが、寸法の収縮変化は生じていない。
(c)収縮:可塑剤の析出により、サンプルの寸法の収縮変化が見られる。寸法安定性が悪い。
【0023】
(実施例1)
可塑剤として後記の製造方法により得られ、下記構造式[II]で表されるクエン酸トリスエトキシカルボニルメチル(一般式[I]におけるR1が水素原子であり、R2がエチル基であるもの)を、市販のポリスチレン(ダイセル化学工業(株)製、GPPS)100重量部に対してそれぞれ10重量部、20重量部及び40重量部の割合で配合して3種類の混合物を得、該混合物を前記小型溶融混練装置(ラボプラストミル)を用いて混練した。その時の混練作業性の評価結果を表1(1)に、又混練性の良かったものに対しては同処方で2軸押出機を用いてペレット化し、射出成形機を用いて基本物性評価用及びブリードアウト性評価用サンプルを成形した。これらサンプルを用いた基本物性評価結果を表2(1)に、ブリードアウト性評価結果を表3(1)に示した。
【0024】
【化3】
Figure 0004564124
【0025】
次に、上記式[II]で表される化合物の製造方法、及びその得られた化合物の確認結果について説明する。
四つ口フラスコに攪拌機、温度計、コンデンサーを取り付け、無水和のクエン酸三ナトリウム774.4g(3.0モル)、トリエチルアミン26.5g(0.26モル)、モノクロロ酢酸エチル1323g(10.8モル)を仕込み、攪拌しながら120℃まで加熱し、120℃で7時間攪拌を続けた。反応後80℃まで冷却し、水1500gを添加し、副生した塩化ナトリウムを除去した。油層を更に500gの水で3回洗浄し、100℃、45mmHgで真空蒸留によってモノクロロ酢酸エチルを回収した後、100℃、40mmHgで1時間の水蒸気蒸留を行い、製品1284gを得た。
製品の比重は1.280、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC:東ソー(株)製、HLC−8020)による純度測定結果は88.0%であった。
13C−NMRの測定結果より、アサイメントを行なった。チャートより73.306ppmの4級炭素(クエン酸骨格)のピーク、その4級炭素に結合するメチレン基のピーク(42.591ppm)、それに結合するカルボニル基のピーク(167.090ppm)、それに結合するメチレン基のピーク(61.591ppm)、それに結合するメチル基のピーク(14.152ppm)が確認できた。又、4級炭素に結合するカルボニル基のピーク(172.402ppm)、それに結合するメチレン基のピーク(61.894ppm)、それに結合するカルボニル基のピーク(167.485ppm)、それに結合するメチレン基のピーク(14.152ppm)も確認でき、以上の結果よりクエン酸エステル化合物の構造が上記構造式[II]で示されるものであると断定した。なお、上述の各ピークに係る位置を理解し易くするために、下記のごとく、上記構造式[II]に符号を付し、該符号と各ピーク値の関係をも示した。
又、FT−IR測定の結果から得られた1747.4cm-1のC=O伸縮、3496.7cm-1のO−H伸縮、2870〜2990cm-1付近のC−H伸縮も上記化合物の確認結果が正しいことを示唆している。
【0026】
【化4】
Figure 0004564124
【0027】
(実施例2)
可塑剤として後記の製造方法により得られ、下記構造式[III]で表されるアセチルクエン酸トリスエトキシカルボニルメチル(一般式[I]におけるR1がアセチル基であり、R2がエチル基であるもの)を、市販のポリスチレン(実施例1と同じもの)100重量部に対してそれぞれ10重量部、20重量部及び40重量部の割合で配合して3種類の混合物を得、該混合物を前記小型溶融混練装置(ラボプラストミル)を用いて混練した。その時の混練作業性の評価結果を表1(1)に、又混練性の良かったものに対しては同処方で2軸押出機を用いてペレット化し、射出成形機を用いて基本物性評価用及びブリードアウト性評価用サンプルを成形した。これらサンプルを用いた基本物性評価結果を表2(1)に、ブリードアウト性評価結果を表3(1)に示した。
【0028】
【化5】
Figure 0004564124
【0029】
次に、上記式[III]で表される化合物の製造方法、及びその得られた化合物の確認結果について説明する。
四つ口フラスコに攪拌機、温度計、コンデンサーを取り付け、実施例1で合成したクエン酸エステル150g(0.333モル)、ピリジン27.7g(0.345モル)を仕込み、攪拌しながら10℃まで冷却した。アセチルクロライド27.1g(0.345モル)を追加ロートから冷却しながら30分間で追加した。その後、徐々に反応温度を上げ、80℃で2時間反応させた。反応後、トルエン200gと水200gを添加し、副生したピリジン塩酸塩を除去した。油層を更に100gの水で3回洗浄し、製品のトルエン溶液356gを得た。100℃、45mmHgでの真空蒸留によってトルエンを回収した後、110℃、30mmHgで30分間水蒸気蒸留を行い、製品147gを得た。該製品の比重は1.264、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(実施例1と同じ)による測定の結果、純度は87.8%であった。
13C−NMRの測定結果より、アサイメントを行なった。チャートより73.245ppmの4級炭素(クエン酸骨格)のピーク、その4級炭素に結合するメチレン基のピーク(42.530ppm)、それに結合するカルボニル基のピーク(169.002ppm)、それに酸素を介して結合するメチレン基のピーク(61.044ppm)、それに結合するカルボニル基のピーク(167.030ppm)、それに結合するメチル基のピーク(14.092ppm)が確認できた。又、4級炭素に結合するカルボニル基のピーク(172.341ppm)、それに酸素を介して結合するメチレン基のピーク(61.742ppm)、それに結合するカルボニル基のピーク(167.424ppm)、それに酸素を介して結合するメチレン基のピーク(61.530ppm)、それに結合するメチル基のピーク(14.092ppm)も確認できた。又、4級炭素に結合するアセチル基のカルボニルのピーク(169.670ppm)及びメチル基のピーク(20.860ppm)も確認でき、以上の結果より、クエン酸エステル化合物の構造が上記構造式[III]で示されるものであると断定した。
なお、上述の各ピークに係る位置を理解し易くするために、下記のごとく、上記構造式[III]に符号を付し、該符号と各ピーク値の関係をも示した。
又、FT−IR測定の結果から得られた1747.4cm-1のC=O伸縮、2870〜2990cm-1付近のC−H伸縮も上記化合物の確認結果が正しいことを示唆している。
【0030】
【化6】
Figure 0004564124
【0031】
(比較例1)
市販のポリスチレン(実施例1と同じもの)を射出成形機を用いて基本物性の評価用サンプル及びブリードアウト性の評価用サンプルを成形した。
これらサンプルを用いた基本物性評価結果を表2(2)に、ブリードアウト性評価結果を表3(2)に示した。
【0032】
(比較例2)
フタル酸系可塑剤であるジブチルフタレート(DBP)を市販のポリスチレン樹脂(実施例1と同じもの)100重量部に対してそれぞれ10重量部、20重量部及び40重量部の割合で配合して3種類の混合物を得、該混合物を実施例で使用のものと同じ小型溶融混練装置(ラボプラストミル)を用いて混練した。その時の混練作業性の評価結果を表1(2)に、又混練性の良かったものに対して2軸押出機を用いて同処方でペレット化、その後射出成形機を用いて基本物性評価及びブリードアウト性評価用サンプルを成形した。これらサンプルを用いた基本物性評価結果を表2(2)に、ブリードアウト性評価結果を表3(2)にそれぞれ示した。
【0033】
(比較例3)
リン酸系可塑剤であるトリクレジルフォスフェート(TCP)を市販のポリスチレン樹脂(実施例1と同じもの)100重量部に対してそれぞれ10重量部、20重量部及び40重量部の割合で配合して3種類の混合物を得、該混合物を実施例で使用のものと同じ小型溶融混練装置(ラボプラストミル)を用いて混練した。その時の混練作業性の評価結果を表1(2)に、又混練性の良かったものに対して同処方で2軸押出機を用いてペレット化、その後射出成形機を用いて基本物性評価及びブリードアウト性評価用サンプルを成形した。これらサンプルを用いた物性評価結果を表2(2)に、ブリードアウト性評価結果を表3(2)に示した。
【0034】
【表1】
Figure 0004564124
【0035】
【表2】
Figure 0004564124
【0036】
【表3】
Figure 0004564124
【0037】
【表4】
Figure 0004564124
【0038】
【表5】
Figure 0004564124
【0039】
【表6】
Figure 0004564124
【0040】
【発明の効果】
一般式[I]で示されるクエン酸エステル化合物は、熱可塑性樹脂、特にスチレン系樹脂の可塑剤として有用であり、該熱可塑性樹脂に配合してなる樹脂組成物を製造する場合にも、従来の可塑剤添加に伴う種々の問題点をほとんど解消できることが判明した。

Claims (4)

  1. 下記一般式[I]で示されるクエン酸エステル化合物からなる熱可塑性樹脂(塩化ビニル系及び酢酸セルロース系各樹脂を除く)用可塑剤。
    Figure 0004564124
    〔式中、R 1 は水素原子で、R 2 はメチル基またはエチル基であるか、或いはR 1 はアセチ
    ル基で、R 2 はメチル基またはエチル基である。〕
  2. 熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂である請求項記載のクエン酸エステル化合物からなる熱可塑性樹脂用可塑剤。
  3. 熱可塑性樹脂(塩化ビニル系及び酢酸セルロース系各樹脂を除く)100重量部に対して、請求項1記載の一般式[I]で示されるクエン酸エステル化合物からなる熱可塑性樹脂(塩化ビニル系及び酢酸セルロース系各樹脂を除く)用可塑剤を5〜200重量部添加してなる熱可塑性樹脂組成物。
  4. 熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂である請求項記載の熱可塑性樹脂組成物。
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