JP4563654B2 - フッ素原子含有ポリマー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素原子を含有する新規重合体に関し、さらに詳しくはフォトレジスト、農薬、医薬、光応答材料、電池等に有用なポリマーに関し、特に、フォトレジスト用途、好ましくは157nmの短波長光源を用いたレジストパターンの形成に有用なポリマーに関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族環上に複数のフッ素原子を有するポリマーとして、例えば、ラジカル重合法で製造される下記式に示すランダムコポリマーが、フォトレジスト用ポリマーとして用いられることが知られている。(特許文献1を参照)
【0003】
【化6】
【0004】
また、同様に、フォトレジストポリマーとして下記式に示すランダムコポリマーが知られている。(特許文献2を参照)
【0005】
【化7】
【0006】
また、液晶ディスプレイの光散乱導光体の材料として、2,4−ジフルオロスチレンのホモポリマーが使用できることが知れているが、そのポリマーに関する製造方法や分子量分布について具体的な記載はされていない。(特許文献3を参照)
【0007】
また、高分解能を有するフォトレジスト用ポリマーとして、例えば、下記式に示す幾つかのポリマーが知られている。(非特許文献1を参照)
【0008】
【化8】
【0009】
また、銅を触媒とする原子移動型ラジカル重合法を用いて、下記式に示すペンタフルオロ置換のスチレン重合体またはアクリル酸エステルとの共重合体を製造できることが知られている。(非特許文献2を参照)
【0010】
【化9】
【0011】
また、乾式トナーの成分として下記式に示す共重合体が知られている。(特許文献4を参照)
【0012】
【化10】
【0013】
【特許文献1】
WO02/21211号公報
【特許文献2】
US2003/0017412号公報
【特許文献3】
特開平8−271739号公報
【特許文献4】
特開2000−310882号公報
【非特許文献1】
J. Photopolym. Sci. Technol., 15(4), 603(2002)
【非特許文献2】
Polymer Preprints, 2002, 43(1), 535
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したラジカル重合法により得られた重合体は、分子量分布が広く、微細な加工には必ずしも適していないという問題があった。また、銅を触媒とする原子移動型ラジカル重合法により得られた重合体は、分子量分布が狭いが、分子鎖末端にハロゲン原子を有するため、用途が限定されるという問題があった。
本発明は、より微細な加工が可能であり、分子鎖末端にハロゲン原子を含まないポリマー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アニオン重合開始剤を用いてリビングアニオン重合を行うことにより、分子量分布の狭い重合体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明は、
(1)式(I)
【化11】
(式中、R1は、水素原子、またはC1〜C10炭化水素基を表し、R2は、C1〜C10炭化水素基、C1〜C10炭化水素オキシ基、C1〜C10炭化水素チオ基、モノあるいはジC1〜C10炭化水素アミノ基、またはシリルオキシ基を表し、mは、0または1〜3のいずれかの整数を表し、mが2以上の場合、R2は、同一または相異なっていてもよく、kは0、1、または2を表す。)で表される繰り返し単位を有し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、1.01〜2.00の範囲であることを特徴とするフッ素原子含有ポリマーに関し、
(2)式(I)で表される繰り返し単位が、フッ素原子がn位及びn+2位に置換しておりn+1位(nは2〜4のいずれかの整数を表す。)が水素原子でないくり返し単位であることを特徴とする(1)に記載のフッ素原子含有ポリマー、(3)式(I)で表される繰り返し単位が、式(II)
【化12】
(式中、R3は、水素原子、またはC1〜C10炭化水素基を表し、R4は、C1〜C10炭化水素基、nは、3または4を表す。)で表される繰り返し単位であることを特徴とする(1)に記載のフッ素原子含有ポリマーに関する。
【0017】
(4)式(III)
【化13】
(式中、R5は、水素原子、またはC1〜C10炭化水素基を表し、pは、3または4を表す。)で表される化合物、または、式(III)で表される化合物と式(III)で表される化合物とアニオン重合可能な化合物を、式(III)で表される化合物に対して1モル当量以上のアニオン重合開始剤となる有機金属化合物を用いてアニオン重合させることを特徴とする式(IV)
【化14】
(式中、R5、及びpは前記と同じ意味を表し、R6は、有機金属化合物の有機部分残基を表す。)で表される繰り返し単位を有するフッ素原子含有ポリマーの製造方法に関する。
(5)式(V)
【化15】
(式中、R7は、水素原子、またはC1〜C10炭化水素基を表し、R8は、C1〜C10炭化水素基、C1〜C10炭化水素オキシ基、C1〜C10炭化水素チオ基、モノあるいはジC1〜C10炭化水素アミノ基、またはシリルオキシ基を表し、rは、0、1、または2を表し、rが2以上の場合、R8は、同一または相異なっていてもよく、qは1または2を表す。但し、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アルコキシ基置換体を除く。)で表される繰り返し単位を有することを特徴とするフッ素原子含有ポリマーに関し、
(6)式(V)におけるR8が、C1〜C10炭化水素基であることを特徴とする(5)に記載のフッ素原子含有ポリマーに関する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の式(I)で表される繰り返し単位中、R1は、水素原子、またはC1〜C10炭化水素基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセチレン基、プロパルギル基等のアルキニル基、ベンジル基、フェニチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等を例示することができる。また、適当な炭素元素上に置換基を有していてもよく、そのような置換基として、フッ素原子、クロル原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ジメチルアミノ基、メチルチオ基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基等を例示することができる。
【0019】
また、R2は、C1〜C10炭化水素基、C1〜C10炭化水素オキシ基、C1〜C10炭化水素チオ基、モノあるいはジC1〜C10炭化水素アミノ基、またはシリルオキシ基を表す。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセチレン基、プロパルギル基等のアルキニル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、s−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、ビニルオキシ基、アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基、プロパルギルオキシ基等のアルキニルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、t−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基等のアルキルチオ基、ビニルチオ基、アリルチオ基等のアルケニルチオ基、プロパルギルチオ基等のアルキニルチオ基、ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のアラルキルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ(t−ブチル)アミノ基、ジ(s−ブチル)アミノ基、ジ(n−ペンチル)アミノ基、ジ(n−ヘキシル)アミノ基等のモノもしくはジアルキルアミノ基、ビニルアミノ基、アリルアミノ基、ジアリルアミノ基等のモノもしくはジアルケニルアミノ基、プロパルギルアミノ基、ジプロパルギルアミノ等のモノもしくはジアルキニルアミノ基、ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のモノもしくはジアラルキルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等のモノもしくはジアリールアミノ基、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、フェニルジメチルシリルオキシ基等のシリルオキシ基を例示することができる。また、適当な炭素元素上に置換基を有していてもよく、そのような置換基として、フッ素原子、クロル原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ジメチルアミノ基、メチルチオ基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等のシリル基等を例示することができる。
mは、0または1〜3のいずれかの整数を表し、mが2以上の場合に、R2は同一または相異なっていてもよい。kは、0、1、または2を表す。
【0020】
フッ素原子、及びR2の置換位置は特に制限されないが、特に、スチレン誘導体を用いてアニオン重合法で製造する場合に、フッ素原子がn位及びn+2位に置換しておりn+1位(nは2〜4のいずれかの整数を表す。)が水素原子でないくり返し単位であるのが好ましい。
式(I)で表される繰り返し単位として、具体的には、下記式に表す繰り返し単位を例示することができる。
【0021】
【化16】
【0022】
【化17】
【0023】
特に、フッ素原子が、3または4の場合には、式(II)で表される繰り返し単位を有するフッ素原子含有ポリマーを例示することができる。式(II)中、R3は、水素原子、またはC1〜C10炭化水素基を表し、具体的には、R1で例示した官能基と同様のものを例示することができる。また、式(II)中、R4は、C1〜C10炭化水素基を表し、具体的には、R1で例示した官能基と同様のものを例示することができる。
【0024】
本発明においては、上記した繰り返し単位に、共重合可能な共役二重結合を有する単量体より誘導される繰り返し単位を含ませることができる。そのような単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、2,4,6−トリイソプロピルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、m−t−ブトキシスチレン等のビニル芳香族単量体、ビニルピリジン等のヘテロ原子含有芳香族ビニル化合物、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン等のビニルケトン化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド又は(メタ)アクリロニトリル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等の共役ジエン単量体等を例示することができる。これらの化合物は1種又は2種以上の混合物として使用することができ、ブロック共重合、ランダム共重合等させることができる。
【0025】
本発明のフッ素原子含有ポリマーの分子量は、特に制限されないが、具体的には、5,000〜100,000の範囲を例示することができ、さらに、重量平均分子量と数平均分子量の比が、1.01〜2.00、好ましくは、1.01〜1.50の範囲であるのが好ましい。
【0026】
本発明のフッ素原子含有ポリマーの製造方法としては、特に制限はされないが、
重合によって得られてくる重量平均分子量と数平均分子量の比が上記範囲に入る製造方法が好ましく、さらに、ハロゲン原子が高分子鎖中に含まれない製造方法が好ましく、具体的には、アニオンリビング重合法を例示することができる。
【0027】
重合は、−100℃以上20℃以下の温度範囲で行われるのが好ましい。重合温度の下限は、用いる単量体の反応性により異なるが、少なくとも重合が完結する温度である必要があり、通常、−100℃以下でも重合進行するが、反応速度が遅くなる。20℃以上では、移動反応や、停止反応等の副反応が起こり、目的とする構造制御された重合体を得ることが困難となる。
【0028】
本発明において、重合温度は、重合反応中一定である必要はなく、重合反応の進行に従い任意の速度で上昇させてもかまわない。例えば、添加する単量体を2分割し、最初低温で重合を行った後、昇温してさらに単量体を添加して重合を行うこともできる。
本発明に用いられる単量体の重合溶媒に対する濃度は、特に制限されないが、通常10〜40重量%の範囲である。
【0029】
本発明に用いられる重合溶媒は、重合反応に関与せず、かつ重合体と相溶性のある極性溶媒であれば、特に制限されず、具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン等のエーテル系化合物、テトラエチレンジアミン(TMEDA)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)等の3級アミン等を例示することができ、特にテトラヒドロフランが好ましい。また、これらの溶媒は、1種単独で、または2種以上の混合溶媒として用いることができる。
【0030】
また、極性の低い脂肪族、芳香族又は脂環式炭化水素化合物であっても、重合体と比較的相溶性があれば、極性溶媒と組み合わせることにより使用することができる。具体的には、トルエンとTMEDA、HMPAとの3級アミンの組み合わせを例示でき、この場合、3級アミンを用いる開始剤に対して1〜10当量程度用いるのが好ましく、またトルエンとテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒の組み合わせも使用することができ、この場合、エーテル系溶媒対してトルエンを50体積%以下用いるのが好ましい。
【0031】
本発明において用いられる重合開始剤は、アルカリ金属又は有機アルカリ金属からなり、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等を例示することができ、有機アルカリ金属としては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等を使用することができ、具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、1,4−ジリチオ−2−ブテン、1,6−ジリチオヘキサン、ポリスチリルリチウム、クミルカリウム、クミルセシウム等を挙げることができ、これらの化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0032】
本発明の重合体の製造方法においては、必要に応じて、鉱酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩等よりなる添加剤を、重合開始時、または重合中に添加することができる。そのような添加剤として、具体的には、ナトリウム、カリウム、リチウム、バリウム、マグネシウムの硫酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩等の鉱酸塩やハロゲン化物を例示することができ、より具体的にはリチウムやバリウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物や、ホウ酸リチウム、硝酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等を挙げることができるが、これらの中でも、リチウムのハロゲン化物、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム又はフッ化リチウム、特に塩化リチウムを使用することが好ましい。
【0033】
また、本発明の重合体を製造する方法は、4以上のフッ素原子が置換しておりさらに4位にフッ素原子が置換している式(III)で表されるスチレン誘導体を用いてリビングアニオン重合を行う場合、式(III)で表される化合物に対して1当量以上のアニオン重合開始剤を用いることを特徴とする。この場合、得られてくるフッ素含有ポリマーは、4位のフッ素原子が、アニオン重合開始剤と置換反応した式(IV)で表されるポリマーとして得られてくる。
【0034】
式(III)中、R5は、水素原子、またはC1〜C10炭化水素基を表し、R1で例示された官能基と同様のものを例示することができる。式(IV)中、R6は、アニオン重合開始剤となる有機金属化合物の有機部分残基をあらわし、具体的には、n−ブチルリチウムにおけるn−ブチル基を表す。得られてくる式(IV)で表されるポリマーの重量平均分子量と数平均分子量の比は、1.01から2.00の範囲であり、構造制御されて得られる。
【0035】
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
参考例1(ポリ−(2,6−ジフルオロスチレン)の合成)
窒素置換した50mLナス型フラスコに、脱水テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)8.60gを加えて撹拌下反応系を−78℃に保持した。
反応系にsec−ブチルリチウム/シクロヘキサン1.0M溶液(以下、SBLと略す)0.37g(0.47mmol)を加え、その10分後に1,1−ジフェニルエチレン(以下、DPEと略す)0.16g(0.88mmol)を加えて更に10分反応させた。1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウムによる着色(赤色溶液)を確認した後、反応系に2,6−ジフルオロスチレン0.95g(6.78mmol)を加えて重合を行った。10分後にサンプリングを行い、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと略す)により重合完結を確認した後、更に50分反応を継続し、最後にメタノールを用いて反応を停止させた。
このTHF溶液を大量のメタノール中に投じてポリマーを析出させ、ろ過・洗浄後、室温で乾燥させて白色粉末状のポリマー0.72g(収率75%)を得た。
このポリマーをゲルろ過クロマトグラフィー(以下、GPCと略す)により分析したところ、分子量Mn=7500、分散度Mw/Mn=1.18の単峰性ポリマーであった。
【0037】
参考例2(ポリ−(3,4,5−トリフルオロスチレン)の合成)
窒素置換した50mLナス型フラスコに、脱水THF 9.10g及び3,4,5−トリフルオロスチレン0.88g(5.07mmol)を加え、撹拌下反応系を−78℃に保持した。
反応系にSBL 0.37g(0.47mmol)を加えて重合を行った。10分後にサンプリングを行い、GCにより重合完結を確認した後、更に10分反応を継続し、最後にメタノールを用いて反応を停止させた。
このTHF溶液を大量のメタノール中に投じてポリマーを析出させ、ろ過・洗浄した。この作業を2回繰り返した後、室温で乾燥させて白色粉末状のポリマー0.28g(収率31%)を得た。
このポリマーをGPCにより分析したところ、分子量Mn=5140、分散度Mw/Mn=1.26の単峰性ポリマーであった。
【0038】
参考例3(ポリ−(4−tert−ブトキシ−2,3,5,6−テトラフルオロスチレン)の合成)
窒素置換した50mLナス型フラスコに、脱水THF 6.77g及び4−tert−ブトキシ−2,3,5,6−テトラフルオロスチレン0.76g(3.06mmol)を加え、撹拌下反応系を−78℃に保持した。
反応系にSBL 0.33g(0.42mmol)を加えて重合を行った。10分後にサンプリングを行い、GCにより重合完結を確認した後、更に50分反応を継続し、最後にメタノールを用いて反応を停止させた。
このTHF溶液を大量のメタノール中に投じてポリマーを析出させ、ろ過・洗浄後、室温で乾燥させて白色粉末状のポリマー0.34g(収率45%)を得た。
このポリマーをGPCにより分析したところ、分子量Mn=6300、分散度Mw/Mn=1.26の単峰性ポリマーであった。
【0039】
参考例4(ポリ−(4−(1,1−ジフェニル−3−メチルペンチル)−2,3,5,6−テトラフルオロスチレン)の合成)
窒素置換した50mLナス型フラスコに、脱水THF 2.71g及び2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン1.05g(5.41mmol)を加え、撹拌下反応系を−78℃に保持した。
別の窒素置換した50mLナス型フラスコに、脱水THF 7.35gを加え、撹拌下反応系を−78℃に保持した。反応系にSBL 5.32g(6.77mmol)を加え、その10分後に、DPE 1.56g(8.65mmol)を加えて更に10分反応させた。1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウムによる着色(赤色溶液)を確認した後、この溶液を7分懸けてモノマー溶液へ滴下して重合を行った。15分後にサンプリングを行い、GCにより重合完結を確認した後、更に10分反応を継続し、最後にメタノールを用いて反応を停止させた。
このTHF溶液を大量のメタノール中に投じてポリマーを析出させ、ろ過・洗浄後、室温で乾燥させて白色粉末状のポリマー2.45gを得た。
このポリマーをGPCにより分析したところ、分子量Mn=8000、分散度Mw/Mn=1.40の単峰性ポリマーであった。また、1H、13C、19F−NMRスペクトルの分析により、ポリマーは2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基の4位のフッ素原子が1,1−ジフェニル−3−メチルペンチル基に置換された構造であることが確認された。
【0040】
実施例1(ポリ−(4−ブチル−2,3,5,6−テトラフルオロスチレン)の合成)
窒素置換した50mLナス型フラスコに、脱水THF 6.49g及び2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン1.04g(5.36mmol)を加え、撹拌下反応系を−78℃に保持した。
反応系にn−ブチルリチウム/ヘキサン1.6M溶液(以下、NBLと略す)2.84g(6.65mmol)を6分懸けて滴下して重合を行った。13分後にサンプリングを行い、GCにより重合完結を確認した後、更に13分反応を継続し、最後にメタノールを用いて反応を停止させた。
このTHF溶液を大量のメタノール中に投じてポリマーを析出させ、ろ過・洗浄後、室温で乾燥させて白色粉末状のポリマー1.23gを得た。
このポリマーをGPCにより分析したところ、分子量Mn=6610、分散度Mw/Mn=1.29の単峰性ポリマーであった。また、1H、13C、19F−NMRスペクトルの分析により、ポリマーは2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基の4位のフッ素原子がn−ブチル基に置換された構造であることが確認された。
【0041】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の方法を用いることにより、フッ素原子を2以上置換したアルケニルフェニル系重合体を、分子構造を制御して得ることができた。
本発明の重合体は、その構造が制御されていることから、微細加工を必要とするフォトレジスト、また、医薬、農薬、光応答材料、電池材料等への応用が可能であり、産業上の有用性は高いといえる。
Claims (1)
- 式(III)
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