JP5189746B2 - スチレン系重合体の製造方法 - Google Patents

スチレン系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アニオン重合法によりスチレン系重合体を製造する方法及びかかる方法により得られた重合体に関し、室温付近でも、エーテル基含有溶媒を使用して、スチレン系モノマーを高速で容易に重合することができる方法及びかかる方法により得られた重合体に関する。
一般に、アルキルリチウム等の有機アルカリ金属化合物を開始剤としたスチレン系モノマーのアニオン重合においては、テトラヒドロフラン等のエーテル基含有溶媒を用いて室温付近で重合を行うと開始剤が溶媒と反応するため、温度を−80℃程度にして反応を行うか(例えば、特許文献1参照。)、または、トルエン等の炭化水素系溶媒を使用して重合を行っていた。しかしながら、炭化水素系の重合溶媒を用いたスチレン系モノマーのアニオン重合は、重合反応が著しく遅くなるという問題があった。
また、有機アルカリ金属化合物を開始剤としたスチレン系モノマーのアニオン重合において、溶媒としてエーテル基含有溶媒を用いた場合、開始剤とスチレン系モノマーの開始反応に比較して相対的にスチレン系モノマーの重合速度が速くなるため、重合コントロールが難しくなることが知られている。したがって、このようなエーテル基含有溶媒を用いる場合には、開始剤の反応速度(開始反応速度)を上げるため、例えば、開始反応速度の遅いn-ブチルリチウムではなく、反応開始速度の速いs-ブチルリチウムやt-ブチルリ
チウム等を用いられている。しかしながら、s-ブチルリチウムやt-ブチルリチウム等は、n-ブチルリチウムと比較してハンドリング性等に著しく劣るという欠点がある。また、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属もハンドリング性に著しく劣る欠点がある。
さらに、スチレン系モノマーのアニオン重合では、例えば、分子量約3000以下で、分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))が1.2以下であるような、低分子量かつ狭分散性を示す重合体を製造することは極めて困難であった。
特開2004−323588号公報
本発明の課題は、エーテル基含有溶媒を含む重合溶媒を用いたアニオン重合において、室温付近の高温でも、ハンドリング性の優れた重合開始剤を使用して、重合開始段階での副反応を抑制しつつ重合をコントロールして、低分子量であっても狭分散性を示すスチレン系重合体を製造することができる方法及びかかる方法により製造された重合体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の重合開始剤に有機金属化合物を併用することにより、エーテル基含有溶媒を含有する重合溶媒を用いても、かかる溶媒を用いることに起因する種々の悪影響を抑制して、低分子量であっても狭分散性を示すスチレン系重合体を製造することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)エーテル基含有溶媒を含む溶媒中に、式(I)で表される重合開始剤(式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、nが2以上の場合、同一又は相異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表す。Xは、アルカリ金属を表す。)及び有機金属化合物を添加し、−10℃以上、溶媒の沸点以下の温度で、スチレン系モノマーを重合することを特徴とするスチレン系重合体の製造方法や、
Figure 0005189746
(2)Xが、リチウム原子であることを特徴とする上記(1)に記載のスチレン系重合体の製造方法に関する。
また本発明は、(3)エーテル基含有溶媒中で、有機アルカリ金属化合物及び式(II)で表される化合物(式中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、Rは水素原子、アルキル基を表し、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、n’は、0〜5の整数を表す。)を反応させて式(I)で表される重合開始剤を形成した後に、有機金属化合物を添加することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のスチレン系重合体の製造方法や、
Figure 0005189746
(4)有機アルカリ金属化合物が、アルキルリチウムであることを特徴とする上記(3)に記載のスチレン系重合体の製造方法に関する。
さらに本発明は、(5)有機金属化合物が、式(III): (R)M(式中、Rは、C1〜C20アルキル基又はC6〜C20アリール基を表し、mが2以上の場合、Rは同一又は相異なっていてもよく、Mは、長周期型周期律表第2族、第12族又は第13族に属する原子を表し、mはMの原子価を表す。)で表される化合物であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のスチレン系重合体の製造方法や、(6)有機金属化合物が、ジアルキル亜鉛、ジアルキルマグネシウム又はトリアルキルアルミニウムであることを特徴とする上記(5)に記載のスチレン系重合体の製造方法や、(7)エーテル基含有溶媒中に、チオールのアルカリ金属塩を添加することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のスチレン系重合体の製造方法や、(8)エーテル基含有溶媒が、テトラヒドロフランであることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のスチレン系重合体の製造方法や、(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とするスチレン系重合体に関する。
本発明のスチレン系重合体の製造方法によれば、エーテル基含有溶媒を含む重合溶媒を用いても、室温付近の高温で、ハンドリング性の優れた重合開始剤を使用して、重合開始段階での副反応を抑制しつつ重合をコントロールして、例えば、分子量3000以下の低分子量であっても、分子量分布が1.2以下の狭分散性を示すスチレン系重合体を製造することができる。本発明の製造方法により得られた重合体は、分子量や分子量分布がよくコントロールされているので、レジスト材料や各種ポリマーの添加剤等の材料として有用である。
本発明のスチレン系重合体の製造方法としては、エーテル基含有溶媒を含む溶媒中に、式(I)で表される重合開始剤及び有機金属化合物を添加し、−10℃以上、溶媒の沸点以下の温度で、スチレン系モノマーを重合する方法であれば特に制限されるものではなく、式(I)で表される重合開始剤及び有機金属化合物の添加順序は特に問わず、同時に添加してもよく、これら式(I)で表される重合開始剤及び有機金属化合物の添加後に、スチレン系モノマーを添加することが好ましい。
本発明の製造方法においては、特定の重合開始剤を用いることにより、エーテル基含有溶媒との反応を抑制することができると共に、有機金属化合物を用いることにより、スチレン系モノマーの重合速度(成長速度)を抑えることができる(又は開始剤とスチレン系モノマーの開始反応速度を速めることができる)、と考えられ、重合系を低温(例えば、−80℃程度)にすることなく、例えば、5〜40℃程度の室温であっても、副反応を抑制しつつ重合をコントロールして、低分子量であっても狭分散性を示すスチレン系重合体を製造することができる。
式(I)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を
有していてもよいフェニル基を表す。アルキル基としては、C1〜C12のアルキル基を挙げることができ、C1〜C6のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基等を挙げることができる。Rがアルキル基である場合の置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等アルコキシ基、フェニル基等を挙げることができる。また、Rがフェニル基の場合の置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等アルコキシ基等を挙げることができる。
は、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、例えば、C1〜C24のアルキル基を挙げることができ、C1〜C12のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基等を挙げることができる。Rがアルキル基の場合の置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等アルコキシ基、フェニル基等を挙げることができる。
は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、nは0〜5の整数を表し、nが2以上の場合、Rは同一又は相異なっていてもよい。nとしては、1〜3が好ましい。アルキル基としては、例えば、C1〜C12のアルキル基を挙げることができ、C1〜C6のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基等を挙げることができる。アルコキシ基としては、例えば、C1〜C12のアルコキシ基を挙げることができ、C1〜C6のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、イソブトキシ基等を挙げることができる。。Rがアルキル基の場合の置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基等を挙げることができる。
Xは、アルカリ金属を表し、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子が好ましく、リチウム原子が特に好ましい。
上記式(I)で表される重合開始剤は、例えば、有機アルカリ金属化合物及び式(II)
で表される化合物を反応させることにより得ることができる。有機アルカリ金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等が挙げられ、リチウムのアルキル化物が好ましい。具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、1,4−ジリチオ−2−ブテン、1,6−ジリチオヘキサン、ポリスチリルリチウム、クミルカリウム、クミルセシウム等を挙げることができる。これらの中でも、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムが好ましい。本発明においては、ハンドリングの容易なn−ブチルリチウム等のn−アルキルリチウムを用いても、重合をコントロールして重合を行うことができる。これらの有機アルカリ金属化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
式(II)中、R、R及びn’は、それぞれ、上記式(I)におけるR、R及び
nと同義である。
は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基を表し、アルキル基としては、C1〜C12のアルキル基を挙げることができ、C1〜C6のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基等を挙げることができる。Rがアルキル基の場合の置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等アルコキシ基等を挙げることができる。また、Rがフェニル基の場合の置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基を挙げることができる。
は水素原子、アルキル基を表し、アルキル基としては、C1〜C18のアルキル基を挙げることができ、C1〜C12のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基等を挙げることができる。
重合開始剤の使用量は、用いるスチレン系モノマーに対して、通常0.0001〜0.2当量、好ましくは0.0005〜0.1当量である。この範囲の重合開始剤を用いることによって、目的とする重合体を収率よく製造することができる。
また、本発明において用いられる有機金属化合物としては、スチレン系モノマーの重合速度を抑えることができる(又は開始剤とスチレン系モノマーの開始反応速度を速めることができる)化合物であれば特に制限されるものではなく、具体的には、式(III)で表
される化合物を挙げることができる。
式(III) : (R)
前記式(III)において、Rは、C1〜C20アルキル基又はC6〜C20アリール基を表す。C1〜C20アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、ヘキシル基、ベンジル基等が挙げられる。また、C6〜C20アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
mはMの原子価を表し、mが2以上のとき、Rは同一又は相異なっていてもよい。Mは、マグネシウム、カルシウム等の長周期型周期律表第2族に属する原子;亜鉛、カドミウム等の同第12族に属する原子;又はアルミニウム等の同第13族に属する原子;を表す。
式(III)で表される化合物の具体例としては、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−t−ブチルマグネシウム、ジ−s−ブチルマグネシウム、n−ブチル−s−ブチルマグネシウム、n−ブチル−エチルマグネシウム、ジ−n−アミルマグネシウム、ジベンジルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム等の有機マグネシウム化合物;ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物;等が挙げられ、ジアルキル亜鉛、ジアルキルマグネシウム、トリアルキルアルミニウムが好ましい。これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の有機金属化合物の使用量は特に制限されないが、例えば、重合開始剤に対して、0.1〜20倍モルの範囲で使用することが好ましく、1/2〜5倍モルの範囲で使用することがより好ましい。これにより、分子量や分子量分布が制御された重合体をより安定的に再現性よく製造することができる。
また、本発明において用いられるスチレン系モノマーとしては、アニオン重合性不飽和結合を有するものであれば特に制限されるものではなく、具体的には、スチレン、α−アルキルスチレン、核置換スチレン等を例示することができる。核置換基としては、重合開始能力があるアニオン種及び重合開始能力がないアニオン種に対して不活性な基であれば特に制限されず、具体的には、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基等を例示することができる。さらに、スチレン誘導体の具体例としては、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、2,4,6−トリイソプロピルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、m−t−ブトキシスチレン等を例示することができる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のエーテル基含有溶媒を含む溶媒におけるエーテル基含有溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トリオキサン等のエーテル系化合物を例示することができる。また、これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。このエーテル基含有溶媒と併用可能な溶媒としては、重合反応に関与せず、かつ重合体と相溶性のある極性溶媒であれば特に制限されず、例えば、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の第3級アミンを挙げることができる。さらに、極性の低い脂肪族、芳香族又は脂環式炭化水素化合物であっても、重合体と比較的相溶性があれば、エーテル基含有溶媒と組み合わせて使用することができ、具体的には、へキサンとTHFの組み合わせを例示できる。単量体の重合溶媒に対する濃度は、特に制限されないが、通常1〜40重量%の範囲であり、特に2〜15重量%の範囲が好ましい。
本発明におけるエーテル基含有溶媒を含む溶媒としては、例えば、エーテル基含有溶媒を1重量%以上、10重量%以上、30重量%以上、50重量%以上、80〜100重量%含有するものを挙げることができ、本発明においては、エーテル基含有溶媒を用いた場合でも、室温付近の高温で、副反応を抑制しつつ重合をコントロールして、低分子量であっても狭分散性を示すスチレン系重合体を製造することができる。
また、本発明においては、エーテル基含有溶媒中に、チオールのアルカリ金属塩を添加してもよい。チオールのアルカリ金属塩を併用することにより、重合コントロールが容易になり、分子量分布の狭いポリマーを合成することができる。チオールのアルカリ金属塩におけるチオール類としては、脂肪族、芳香族の種類に関係なく使用可能であるが、芳香族チオール類が好ましく、更に好ましくは含窒素芳香族チオール類である。具体的には、エタンチオールやプロパンチオールおよびシクロヘキシルシオール等のC1〜C18のアルキルチオールやシクロアルキルチオール、メルカプトエタノールやp−メルカプロフェノール等の水酸基を含有するチオール、メルカプト酢酸メチルやメルカプトプロピオン酸エチル等のカルボン酸エステルを含有するチオール、ベンゼンチオールやトルエンチオールおよびナフタレンチオール等の芳香族チオール、メルカプトチアゾリン、メルカプトベンズチアゾリンおよびメルカプトピリミジン等の含窒素芳香族チオール等を挙げることができる。また、チオールのアルカリ金属塩におけるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、リチウムが特に好ましい。これらチオールのアルカリ金属塩は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
チオールのアルカリ金属塩の使用量は特に制限されないが、重合開始剤に対して、0.1〜20倍モルの範囲で使用することが好ましく、1/2〜10倍モルの範囲で使用することがより好ましい。これにより、分子量や分子量分布が制御された重合体をより安定的に再現性よく製造することができる。
本発明においては、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を添加してもよく、これにより、リビングアニオンの安定化を図ることができ、より安定して重合を行うことができる。
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、具体的には、ナトリウム、カリウム、バリウム、マグネシウムの硫酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩等の鉱酸塩やハロゲン化物を例示することができ、より具体的には、リチウムやバリウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物や、ホウ酸リチウム、硝酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等を挙げることができ、これらの中でも、リチウムのハロゲン化物、例えば塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム又はフッ化リチウムが好ましく、特に塩化リチウムが好ましい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の使用量は、重合に影響しない範囲で任意に使用でき、例えば、重合開始剤に対して、1/10〜100倍モルで使用することができ、1/2〜20倍モルで使用することが好ましい。1/2〜20倍モルで使用することにより、分子量や分子量分布が制御された重合体をより安定的に再現性よく製造することができる。
本発明の製造方法によって得られる重合体は、単分散で分子量分布の狭い重合体となり、例えば、分子量が5000以下、3000以下といった低分子量であっても、分子量分散度が、1.01〜1.50、好ましくは1.01〜1.20の重合体を製造することができる。
また、本発明においては、得られる重合体の分子量を更に正確に規定するため、一定の単量体を重合した後、その分子量をGPC等で把握し、更に所望する重合体の分子量に必要とされる単量体を加え分子量を調整する多段重合を用いることにより、より精密に分子量を規定することが可能となる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
窒素雰囲気下、THF100g中に、1,1-ジフェニルエチレン1.29g(7.2mmol)を加え、室温(約25℃)でn−BuLi溶液1.32g(3.2mmol)を加え、15分間攪拌した。続いて、ジエチル亜鉛ヘキサン溶液2.15g(3.0mmol)を加え、25分間攪拌した。その後、スチレン5.1g(48.6mmol)を加え、30分間攪拌し、メタノールを加えキリングした。このキリング溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところモノマーは残存していなかった。また、GPC測定を行なうと分子量(Mw)2590、分散度=1.06のポリマーが生成していた。
窒素雰囲気下、THF50g中に、1,1-ジフェニルエチレン0.53g(2.9mmol)を加え、室温(約25℃)でn−BuLi溶液1.55g(3.7mmol)を加え、5分間攪拌した。続いて、ジエチル亜鉛ヘキサン溶液2.18g(3.0mmol)を加え、10分間攪拌した。その後、p−t−ブトキシスチレン5.7g(32.4mmol)を加え、90分間攪拌し、メタノールを加えキリングした。このキリング溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところモノマーは残存していなかった。また、GPC測定を行なうと分子量(Mw)2550、分散度=1.07のポリマーが生成していた。
窒素雰囲気下、THF50g中に、1,1-ジフェニルエチレン0.14g(0.8mmol)を加え、室温(約25℃)でn−BuLi溶液0.77g(1.9mmol)を加え、10分間攪拌した。続いて、ジブチルマグネシウム溶液0.78g(1.1mmol)を加え、10分間攪拌した。その後、p−t−ブトキシスチレン5.0g(28.6mmol)を加え、150分間攪拌し、メタノールを加えキリングした。このキリング溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところモノマーは残存していなかった。また、GPC測定を行なうと分子量(Mw)17200、分散度=1.30のポリマーが生成していた。
窒素雰囲気下、THF120gとトルエン80gの混合溶媒中に、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.38g(2.1mmol)を溶解させ、室温(約25℃)でn−BuLi溶液1.07g(2.6mmol)を加え、20分間攪拌した。次に、ジブチルマグネシウム溶液1.60g(2.3mmol)を加え、4分間攪拌した。その後、0℃に冷却し、p−t−ブトキシスチレン18.00g(102.1mmol)にジブチルマグネシウム溶液0.33g(0.5mmol)を加えたものを6分かけて滴下し、滴下終了後、60分間攪拌し、メタノールを加えキリングした。このキリング溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところモノマーは残存していなかった。また、GPC測定を行なうと分子量(Mw)48200、分散度=1.27のポリマーが生成していた。

Claims (6)

  1. エーテル基含有溶媒を含む溶媒中に、式(I)で表される重合開始剤及びジアルキル亜鉛を添加し、−10℃以上、溶媒の沸点以下の温度で、スチレン系モノマーを重合することを特徴とするスチレン系重合体の製造方法。
    Figure 0005189746
    (式中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、nが2以上の場合、同一又は相異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表す。Xは、アルカリ金属を表す。)
  2. Xが、リチウム原子であることを特徴とする請求項1に記載のスチレン系重合体の製造方法。
  3. エーテル基含有溶媒中で、有機アルカリ金属化合物及び式(II)で表される化合物を反応させて式(I)で表される重合開始剤を形成した後に、有機金属化合物を添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のスチレン系重合体の製造方法。
    Figure 0005189746
    (式中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、Rは水素原子、アルキル基を表し、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアルコキシ基を表し、n’は、0〜5の整数を表す。)
  4. 有機アルカリ金属化合物が、アルキルリチウムであることを特徴とする請求項3に記載のスチレン系重合体の製造方法。
  5. エーテル基含有溶媒中に、チオールのアルカリ金属塩を添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスチレン系重合体の製造方法。
  6. エーテル基含有溶媒が、テトラヒドロフランであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスチレン系重合体の製造方法。
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