JP4558035B2 - ボルト仮固定ナット、及び、該ボルト仮固定ナットを用いたボルトの仮固定方法 - Google Patents

ボルト仮固定ナット、及び、該ボルト仮固定ナットを用いたボルトの仮固定方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼板同士の重ね合せ部を締結するために用いるボルトを所要の鋼板のボルト孔に予め仮固定するために用いるボルト仮固定ナット、及び、該ボルト仮固定ナットを用いたボルトの仮固定方法に関するものである。
近年、橋梁を構成するための床版としては、床版のコンクリート層の下面を形成する型枠をパネル状の底鋼板として、該底鋼板の内側にコンクリートを直接打設することで、上記底鋼板とコンクリート層とを一体に結合させるようにした形式の合成床版が用いられるようになってきている。
この種の合成床版を架設するには、先ず、主桁上に底鋼板を径間方向に並べて配設した後、隣接する底鋼板同士の連結作業が必要となる。
上記隣接する底鋼板同士を連結する場合、通常は、図7に示す如く、隣接する底鋼板1の突合せ端部同士の上側に添接板2を重ねて配置した状態にて、上記各底鋼板1と添接板2の重ね合わせ部に穿設してあるボルト孔3,4に対し、底鋼板1の下面側からボルト(高力ボルト)5を挿通させる。その後、上記添接板2の上側に突出する上記ボルト5の先端部に、ワッシャ7を嵌めてから、ナット6を螺着させて締め込むことで、鋼板同士の重ね合わせ部としての上記各底鋼板1と添接板2の重ね合わせ部を、ボルト5によりそれぞれ接合し、これにより、隣接する底鋼板1の突合せ端部同士を、上記添接板2を介して摩擦接合により連結させるようにしてある。
上記のようにしてボルト5を用いて底鋼板1と添接板2の重ね合わせ部を接合する際には、底鋼板1の下面側から上記ボルト孔3,4に挿通させたボルト5が脱落(落下)しないように保持した状態で、添接板2の上側からナット6を螺着させて締め込む必要が生じていた。
そこで、上記合成床版の底鋼板1の架設現場における底鋼板の下面側からの作業を解消できるようにするための手法として、予め、上記底鋼板1のボルト孔3に下方より挿通させたボルト5を、所要の治具を介して上記ボルト孔3の部分に脱落しないように保持させることが考えられてきている。
図8(イ)(ロ)(ハ)は上記底鋼板1のボルト孔3にボルト5を脱落しないよう保持させるための治具の一例として、従来提案されている引っ掛けリング8を示すものである。
上記引っ掛けリング8は、底鋼板1に穿設してあるボルト孔3よりもやや大きい外径寸法を有し、且つ軸心方向の長さ寸法(高さ寸法)を、上記添接板2の板厚よりも小さい寸法としたリング形状の部材の内周面に、上記ボルト5のねじ部(軸部)5aに螺着させるための雌ねじ部(図示せず)を設けた構成としてある。これにより、図8(イ)に示す如く、隣接する底鋼板1の突合せ端部に設けてあるボルト孔3に、ボルト5を下方からそれぞれ挿通させた後、該各ボルト5のねじ部5aに、上記引っ掛けリング8を上方からねじ結合により嵌めて、該引っ掛けリング8を上記各底鋼板1のボルト孔3の周りに当てることで、予め、上記各底鋼板1のボルト孔3に、ボルト5を、落下を防止した状態で保持させることができるようにしてある。
したがって、その後は、図8(ロ)に示すように、上記各底鋼板1の突合せ端部の上側に、上記引っ掛けリング8が通過できる大きさのボルト孔4を穿設してなる添接板2を、該ボルト孔4に上記各底鋼板1のボルト孔3に保持させてあるボルト5を挿通させるようにして上方から載置した後、図8(ハ)に示すように、上記ボルト5に、ワッシャ7を介してナット6を上方から嵌めて添接板2の上側から締め込むことで、各底鋼板1に対する添接板2の接合作業、すなわち、該添接板2を介した上記底鋼板1同士の連結作業を、底鋼板1の上側からの作業のみで実施できるようにしてある(たとえば、特許文献1参照)。
ところで、図7に示した如き合成床版の裏面となる底鋼板1の下面側の防錆処理としては、当初は亜鉛溶射が考えられていたが、近年では、上記底鋼板1の下面側に、全面に亘り塗装することが多くなってきている。
そのために、本出願人は、上記底鋼板1の架設現場における底鋼板1の下面側からの塗装作業を不要にできるようにするために、工場等において、上記底鋼板1のボルト孔3にボルト5を挿通させて保持させた状態で、ボルト5の頭部を含む該底鋼板1の下面の全面に亘り先行塗装を行うようにすること考えている。
なお、合成床版を構成する桁ブロックの底鋼板、又は、合成床版を構成する鋼板パネルの底鋼板同士を接合するための方法の1つとしては、図9(イ)(ロ)(ハ)に示す如く、高力ボルト(ボルト)5を底鋼板1のボルト孔3に下面側から挿入して一次ナット9によって該高力ボルト5を固定する工程と、高力ボルト5が固定された底鋼板1の下面側に塗装を行う工程と、底鋼板1上に上記一次ナット9が収まる開口11を有するフィラープレート10を設置する工程と、上記各フィラープレート10の上から隣接する底鋼板1間に亘って添接板2を配置する工程と、添接板2の上面側から二次ナット12によって締め付ける工程とを備えた底鋼板の接合方法が従来提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
特開2004−176909号公報 特開2006−207116号公報
ところが、上記特許文献1に示された引っ掛けリング8は、底鋼板1のボルト孔3に下方より挿通させたボルト5のねじ部5aにねじ結合により嵌め込んで上記底鋼板1におけるボルト孔3の周りに当てるようにするためのものであることから、上記ボルト5のねじ部5aにおける上記底鋼板1上に突出している部分の全長に亘って上記引っ掛けリング8をねじ込む作業を行う間は、上記底鋼板1の下面側で該ボルト5の頭部5bを共回りしないように保持し続けなければならないため、上記底鋼板1を挟んで上下作業を同時に行う作業時間が長く、人手及び時間を要するという問題がある。
又、上記ボルト5のねじ部5aにねじ結合によって嵌合させるようにしてある上記引っ掛けリング8は、その下端面の外周縁部のみで、上記底鋼板1の上面におけるボルト孔3の上端部の周縁に接触するようになるので、該引っ掛けリング8の下面と、底鋼板1の上面との接触面積が小さく制限されている。したがって、上記底鋼板1と引っ掛けリング8との間の摩擦力を大きくすることが難しいために、上記底鋼板1のボルト孔3に保持させてあるボルト5にナット6を螺着させて締め付けるときに、上記ボルト5に共回りが発生する虞が懸念されるというのが実状である。
そのため、工場等にて、上記底鋼板1のボルト孔3に、ボルト5を上記引っ掛けリング8を用いて脱落を防止した状態で保持させた状態であっても、上記ボルト5に対するナット6の締付けの際にボルト5の共回りが発生してしまうと、塗膜が割れたり、剥離が生じたりする虞があることから、上記ボルト5の頭部を含めた底鋼板1の下面の全面に先行塗装を行うことは困難であった。
更に、底鋼板1のボルト孔3に下方より挿通させたボルト5のねじ部5aに上記引っ掛けリング8をねじ結合により嵌め込んでいる状態で、上記底鋼板1のボルト孔3の中心とボルト5の中心がずれる虞があり、又、底鋼板1の輸送時の振動等で上記引っ掛けリング8が緩み易いという問題も懸念される。しかも、上記引っ掛けリング8と、該引っ掛けリング8が接する底鋼板1のボルト孔3の周縁部との密着度が低くて気密性に劣るため、底鋼板1のボルト孔3に上記引っ掛けリング8を用いてボルト5を保持させた状態で、該底鋼板1の架設までの期間があくと、水分の浸入等により上記ボルト5のねじ部5aにおける上記底鋼板1のボルト孔3の内部に位置する部分に錆が生じる虞も懸念される。
一方、上記特許文献2には、高力ボルト5を底鋼板1のボルト孔3に下面側から挿入して一次ナット9によって該高力ボルト5を固定した後、高力ボルト5が固定された底鋼板1の下面側に塗装を行う考えは示されている。
しかし、該特許文献2に示された手法において、高力ボルト5を底鋼板1のボルト孔3に固定するために用いる上記一次ナット9は、普通のナットと同じ平面形状とすると共に厚みを4mmとすることで、汎用のインパクトレンチ等の機械式駆動工具を用いて上記高力ボルト5に対する締め付け作業を効率的に行うことができるとされているが、底鋼板1のボルト孔3に下面側より挿通させた高力ボルト5のねじ部における上記底鋼板1の上面側に突出している部分の全長に亘り上記一次ナット9を締め込む間は、上記底鋼板1の下面側にて該高力ボルト5の頭部を共回りしないように保持し続けなければならないため、上記底鋼板1を挟んで上下作業を同時に行う作業時間が長く、人手及び時間を要するという問題がある。
又、上記一次ナット9は、普通ナットと同じ平面形状としてあるため、特許文献2に示された手法では、底鋼板1の上に添接板2を載置する際には、該底鋼板1と添接板2との間に一次ナット9よりも厚み寸法の大きなフィラープレート10を介在させなければならない。しかも、上記フィラープレート10には、上記高力ボルト5を挿通させる部分に、普通ナットと同じ平面形状としてある上記一次ナット9を収めるための大きな開口11を設ける必要があるため、上記底鋼板1の上にフィラープレート10と添接板2を順に載置した後、底鋼板1に予め固定してあるボルト5に対して添接板2の上側から二次ナット12を締め付けるときに、その締付け軸力が上記底鋼板1と添接板2との間で伝えられる部分が、上記フィラープレート10の大きな開口11の周りに制限される。このため、上記底鋼板1と添接板2との摩擦接合上の問題が生じる虞が懸念される。
更に、特許文献2に示された手法においても、上記一次ナット9を用いて底鋼板1のボルト孔3に挿通させた高力ボルト5を固定する際に、上記底鋼板1のボルト孔3の中心と高力ボルト5の中心がずれる虞がある。しかも、上記一次ナット9は、普通ナットと同じ材質としてあるため、該一次ナット9を高力ボルト5に対し締め込むことで、一次ナット9の下面側が底鋼板1のボルト孔3の周縁部に押し付けられているとしても、気密性は必ずしも高くない。したがって、底鋼板1のボルト孔3に上記一次ナット9を用いて高力ボルト5を保持させた状態で、該底鋼板1の架設までの期間があくと、水分の浸入等により上記高力ボルト5のねじ部における上記底鋼板1のボルト孔3の内部に位置する部分に発錆する虞も懸念される。
そこで、本発明は、鋼板同士の重ね合わせ部の接合に用いるボルトを、該ボルトを最初に挿通させる所要の鋼板のボルト孔に仮固定できると共に、該ボルトの仮固定を行う際に上記所要の鋼板の両面側での同時作業に要する作業時間を短くできて、作業効率を高いものとすることができ、更に、上記鋼板同士の重ね合わせ部をフィラープレートを要することなく強固に接合でき、しかも、上記鋼板同士の重ね合わせ部の接合のために上記ボルトにナットを本締めする際にも該ボルトに共回りが生じる虞を未然に防止できて、上記鋼板同士の重ね合わせ部を接合するために用いるボルトの頭部を、該ボルトの頭部の周りの鋼板表面と一緒に先行塗装することが可能なボルト仮固定ナット、及び、該ボルト仮固定ナットを用いたボルト仮固定方法を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、複数の鋼板の重ね合わせ部に挿通させて該複数の鋼板を接合するためのボルトを、所定の鋼板のボルト孔に仮固定するためのボルト仮固定ナットにおいて、上記所定の鋼板のボルト孔よりも大径で且つ該所定の鋼板との重ね合わせ部をボルトとナットにより接合するための別の鋼板のボルト孔よりも小径とした円筒部の軸心方向一端側に、上記所定の鋼板のボルト孔よりも小さい径となる軸心方向一端部へ向けて外径が徐々に小さくなるテーパ部を設け、且つ内周面に雌ねじ部を設けると共に、軸心方向一端部の上記テーパ部の内周面に、上記ボルトの首下部におけるねじが刻設されていない領域又は不完全ねじ部の外周にかぶせるためのねじ無し部を設けてなる構成を有するボルト仮固定ナットとする。
又、請求項2に対応して、複数の鋼板の重ね合わせ部に挿通させて該複数の鋼板を接合するためのボルトを、所定の鋼板のボルト孔に仮固定するためのボルト仮固定ナットにおいて、上記所定の鋼板のボルト孔よりも大径となる円筒部の軸心方向一端側に、上記所定の鋼板のボルト孔よりも小さい径となる軸心方向一端部へ向けて外径が徐々に小さくなるテーパ部を、軸心方向に対する傾斜角度が異なる2つのテーパ面からなり且つ円筒部側のテーパ面の軸心方向に対する傾斜角度が軸心方向一端側のテーパ面の軸心方向に対する傾斜角度よりも大となるようにして設け、更に、内周面に雌ねじ部を設けてなる構成を有するボルト仮固定ナットとする。
更に、上記構成において、テーパ部における2つのテーパ面の境界部の外径が、所定の鋼板のボルト孔よりも所要寸法太径となるようにした構成とする。
更に又、上記各構成において、軸心方向一端部のテーパ部の内周面にねじ無し部を設けるようにした構成とする。
上述の各構成のボルト仮固定ナットを、弾性変形を許容可能な樹脂製のものとした構成とする。
又、上記構成において、雌ねじ部を、先端部をカットした形状のねじ山を有してなるものとした構成とする。
更に、上記各構成において、円筒部の軸心方向他端部に、外径寸法が上記円筒部の外径よりも所要寸法細くなるキャップ取付部を設けるようにした構成とする。
更に又、上記構成において、キャップ取付部の軸心方向中間部に段差部を全周に亘り設けるようにした構成とする。
又、請求項9に対応して、複数の鋼板の重ね合わせ部に挿通させて該複数の鋼板を接合するためのトルシア形高力ボルトを、所定の鋼板のボルト孔に一側面側より挿通させた後、上記ボルトのねじ部の先端部に、上記所定の鋼板のボルト孔よりも大径で且つ該所定の鋼板との重ね合わせ部をボルトとナットにより接合するための別の鋼板のボルト孔よりも小径とした円筒部の軸心方向一端側に上記所定の鋼板のボルト孔よりも小さい径となる軸心方向一端部へ向けて外径が徐々に小さくなるテーパ部を設け且つ内周面に雌ねじ部を設けると共に軸心方向一端部の上記テーパ部の内周面に上記ボルトの首下部におけるねじが刻設されていない領域又は不完全ねじ部の外周にかぶせるためのねじ無し部を設けてなる構成を有するボルト仮固定ナットを、該ボルト仮固定ナットの軸心方向一端側のテーパ部側より螺着させ、次いで、ボルト仮固定ナットのテーパ部を上記所定の鋼板のボルト孔に他側面側より押し付けた状態で、上記ボルトのピンテールをボルト締め込み方向へ回転させて、該ボルトを上記ボルト仮固定ナットに締め付けて仮固定するようにするボルトの仮固定方法とする。
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)複数の鋼板の重ね合わせ部に挿通させて該複数の鋼板を接合するためのボルトを、所定の鋼板のボルト孔に仮固定するためのボルト仮固定ナットにおいて、上記所定の鋼板のボルト孔よりも大径で且つ該所定の鋼板との重ね合わせ部をボルトとナットにより接合するための別の鋼板のボルト孔よりも小径とした円筒部の軸心方向一端側に、上記所定の鋼板のボルト孔よりも小さい径となる軸心方向一端部へ向けて外径が徐々に小さくなるテーパ部を設け、且つ内周面に雌ねじ部を設けると共に、軸心方向一端部の上記テーパ部の内周面に、上記ボルトの首下部におけるねじが刻設されていない領域又は不完全ねじ部の外周にかぶせるためのねじ無し部を設けてなる構成を有するボルト仮固定ナット、及び、複数の鋼板の重ね合わせ部に挿通させて該複数の鋼板を接合するためのトルシア形高力ボルトを、所定の鋼板のボルト孔に一側面側より挿通させた後、上記ボルトのねじ部の先端部に、上記所定の鋼板のボルト孔よりも大径で且つ該所定の鋼板との重ね合わせ部をボルトとナットにより接合するための別の鋼板のボルト孔よりも小径とした円筒部の軸心方向一端側に上記所定の鋼板のボルト孔よりも小さい径となる軸心方向一端部へ向けて外径が徐々に小さくなるテーパ部を設け且つ内周面に雌ねじ部を設けると共に軸心方向一端部の上記テーパ部の内周面に上記ボルトの首下部におけるねじが刻設されていない領域又は不完全ねじ部の外周にかぶせるためのねじ無し部を設けてなる構成を有するボルト仮固定ナットを、該ボルト仮固定ナットの軸心方向一端側のテーパ部側より螺着させ、次いで、ボルト仮固定ナットのテーパ部を上記所定の鋼板のボルト孔に他側面側より押し付けた状態で、上記ボルトのピンテールをボルト締め込み方向へ回転させて、該ボルトを上記ボルト仮固定ナットに締め付けて仮固定するようにするボルトの仮固定方法としてあるので、上記所定の鋼板のボルト孔に上記ボルトを仮固定する際、該所定の鋼板の両面側での同時作業の作業量を削減できて、作業効率を高いものとすることができることから、上下両面側での同時作業に要する手間及び作業時間を低減できる。
(2)又、上記ボルト仮固定ナットは、テーパ部の軸心方向他端側に円筒部を設けた構成としてあるため、該ボルト仮固定ナットの外径寸法を比較的小さなものとすることができて、上記所定の鋼板と重ね合わせて接合する別の鋼板のボルト挿通部に設けるボルト孔の径を小さなものとすることができる。しかも、フィラープレートを要することなく上記各鋼板の重ね合わせ部を接合することが可能になる。よって、上記所定の鋼板と別の鋼板との健全な摩擦接合を確保することが可能になる。
(3)更に、上記ボルト仮固定ナットは、円筒部を設けることで、薄肉部を少なくし且つ軸心方向における肉厚の変化を抑えることができて、上記高力ボルトとの間で大きな締付け軸力を作用させることが可能なナットとしての強度を確保することができる。よって、上記ボルト仮固定ナットに対する大きな締付け軸力により、上記所定の鋼板のボルト孔に上記ボルトを、回転を防止した状態で仮固定することができる。
(4)複数の鋼板の重ね合わせ部に挿通させて該複数の鋼板を接合するためのボルトを、所定の鋼板のボルト孔に仮固定するためのボルト仮固定ナットにおいて、上記所定の鋼板のボルト孔よりも大径となる円筒部の軸心方向一端側に、上記所定の鋼板のボルト孔よりも小さい径となる軸心方向一端部へ向けて外径が徐々に小さくなるテーパ部を、軸心方向に対する傾斜角度が異なる2つのテーパ面からなり且つ円筒部側のテーパ面の軸心方向に対する傾斜角度が軸心方向一端側のテーパ面の軸心方向に対する傾斜角度よりも大となるようにして設け、更に、内周面に雌ねじ部を設けてなる構成とし、更に具体的には、上記2つのテーパ面の境界部の外径が、所定の鋼板のボルト孔よりも所要寸法太径となるようにした構成とすることにより、円筒部側のテーパ面が、上記所定の鋼板のボルト孔の他側面側端部に達すると、該ボルト孔とボルトとの隙間に食い込む力が大きくなるため、上記所定の鋼板のボルト孔の他側面側端部の内周面に対するボルト仮固定ナットの密着性を高めることができて、該ボルト仮固定ナットに対する締付け軸力によって仮固定するボルトの回転防止作用をより強化することが可能となる。
(5)更に、上記所定の鋼板のボルト孔に対するボルト仮固定ナットの縦方向位置が定まるようになることから、該ボルト仮固定ナットに対するボルトの締め込み量を一定にすることができ、更には、上記所定の鋼板のボルト孔が設計寸法より多少大きくなっている場合であっても、上記ボルト仮固定ナットの円筒部側のテーパ面の部分を、上記所定の鋼板のボルト孔とボルトとの隙間に楔状に食い込ませることができるため、該ボルト仮固定ナットに対する締付け軸力によって、ボルトを回転を防止した状態で確実に固定することができるようになる。
(6)軸心方向一端部のテーパ部の内周面にねじ無し部を設けるようにした構成とすることにより、ボルトの頭部近傍の首下部にねじが刻設されていない領域又は不完全ねじ部が存在している場合であっても、ボルト仮固定ナットを、上記ボルトの首下部までねじ込むことができるため、所定の鋼板のボルト孔に挿通させたボルトの頭部と、該ボルトのねじ部に螺着させた上記ボルト仮固定ナットのテーパ部との間で、上記所定の鋼板に対する締め付け軸力を確実に作用させることができる。
(7)ボルト仮固定ナットを弾性変形を許容可能な樹脂製のものとした構成とすることにより、テーパ部の外周面を、所定の鋼板のボルト孔における他側面側端部の内周面に、より確実に密着させることができるため、該ボルト仮固定ナットの緩み止め効果を増強できる。しかも、複雑な形状のボルト仮固定ナットの成型を一度に容易に行うことが可能になるため、ボルト仮固定ナットを大量生産に有利なものとすることができると共に、単価を安価なものとすることが可能となる。更に、上記ボルト仮固定ナットの腐食を防止できるため、ボルトの健全性に影響を及ぼす虞を防止できる。
(8)雌ねじ部を、先端部をカットした形状のねじ山を有してなるものとした構成とすることにより、ボルト仮固定ナットの周壁における厚み寸法が急変する部分を減らすことで、該ボルト仮固定ナットの製造時における樹脂成型の際に、引けが発生する虞を低減させることができて、該ボルト仮固定ナットの製造精度を高めることができる。
(9)円筒部の軸心方向他端部に、外径寸法が上記円筒部の外径よりも所要寸法細くなるキャップ取付部を設けるようにした構成とすることにより、該キャップ取付部に、所定の鋼板に仮固定したボルトのねじ部の先端側と周りを被覆する防錆キャップの開口部を被せて取り付けることで、上記所定の鋼板に仮固定した状態のボルトの防錆を図ることが可能になる。更に、該キャップ取付部の外周に被せて取り付けるための上記防錆キャップの開口部の外径寸法を小さくすることが可能になるため、上記所定の鋼板と重ね合わせて接合する別の鋼板のボルト挿通部に設けるボルト孔の径と、上記ボルト仮固定ナットの円筒部の外径との寸法差が小さい場合であっても、所定の鋼板のボルト孔に仮固定したボルトを、防錆キャップをしたままの状態で、上記別の鋼板のボルト孔に挿通させる場合に有利な構成とすることができる。
(10)キャップ取付部の軸心方向中間部に段差部を全周に亘り設けるようにした構成とすることにより、上記(9)のように上記キャップ取付部に取り付ける防錆キャップの開口部と、ボルト仮固定ナットのキャップ取付部との密閉性を高めることが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1(イ)(ロ)乃至図3(イ)(ロ)は本発明のボルト仮固定ナット、及び、該ボルト仮固定ナットを用いたボルトの仮固定方法の実施の一形態として、鋼板同士の重ね合わせ部の一例として図7に示したと同様の合成床版の底鋼板1と添接板2との重ね合わせ部の接合に用いる高力ボルト5を、上記底鋼板1のボルト孔3に対して仮固定する場合について示すもので、以下のようにしてある。
すなわち、本発明のボルト仮固定ナット13は、図1(イ)(ロ)にその基本構成を示す如く、底鋼板1に設けてあるボルト孔3よりも所要寸法大きな外径寸法で軸心方向に所要寸法延びる円筒部15の軸心方向一端側に、上記底鋼板1のボルト孔3よりも所要寸法細径となる軸心方向の一端部へ向けて徐々に縮径するように外周面が軸心方向に対し所要角度θで傾斜したテーパ部14を一体に備えてなる構成としてある。
又、上記ボルト仮固定ナット13の内周面には、上記ボルト5のねじ部5aに螺着させるための雌ねじ部16が設けてある。
更に、上記ボルト仮固定ナット13の軸心方向寸法は、後述するように、底鋼板1のボルト孔3に下面側より挿通させたボルト5と、該ボルト5のねじ部5aに螺着させるボルト仮固定ナット13との間で締付け軸力を作用させることにより、該ボルト仮固定ナット13のテーパ部14の一端部が底鋼板1のボルト孔3とボルト5との隙間に食い込まされた状態となるときに、上記ボルト仮固定ナット13の軸心方向他端部となる上記円筒部15の軸心方向他端部が底鋼板1の上面より突出する寸法が、上記添接板2の板厚以下の寸法となるように設定してあるものとする。なお、上記ボルト仮固定ナット13を用いて高力ボルト5が仮固定してある底鋼板1と、その上に載置する添接板2との接合の際に上記高力ボルト5に嵌めるワッシャ7として、ボルト仮固定ナット13の円筒部の外径よりも大きな寸法の内径を有するワッシャ7を使用する場合は、上記底鋼板1のボルト孔3に挿通させたボルト5との間で締め付け軸力を作用させた状態のときに、上記ボルト仮固定ナット13の軸心方向他端部が底鋼板1の上面より突出する寸法が、上記添接板2の板厚とワッシャ7の厚み寸法の和以下の寸法となるように設定すればよい。
上記ボルト仮固定ナット13は、所要の弾性変形を許容できるように、銅、黄銅、アルミニウム等、上記底鋼板1及びボルト5に比して柔らかい金属製、より好ましくは、合成樹脂製としてある。これにより、上記底鋼板1のボルト孔3に下方より挿通させたボルト5とボルト仮固定ナット13との締め付け軸力により、該ボルト仮固定ナット13のテーパ部14の尖端側となる軸心方向一端部を、上記底鋼板1のボルト孔3とボルト5との隙間に食い込ませることで、該ボルト仮固定ナット13のテーパ部14における上記底鋼板1のボルト孔3とボルト5との間に食い込んだ部分に生じる肉厚方向(径方向)に圧縮されるような弾性変形の復元力により、該ボルト仮固定ナット13のテーパ部14の外周面を、上記底鋼板1のボルト孔3における上端部の内周面に密着させることができて、該ボルト仮固定ナット13の緩み止め効果が得られると共に、底鋼板1のボルト孔3と上記ボルト仮固定ナット13との間の気密性を得ることができるようにしてある。
更に、上記ボルト仮固定ナット13を合成樹脂製とすれば、上記テーパ部14の外周面を、底鋼板1のボルト孔3における上端部の内周面に、より確実に密着させることができるため、該ボルト仮固定ナット13の緩み止め効果を増強できると共に、底鋼板1のボルト孔3と該ボルト仮固定ナット13との間の気密性をより高めることが可能になる。しかも、上記テーパ部14と円筒部15とからなる外周面形状、及び、内周面の雌ねじ部16を具備してなる複雑な形状のボルト仮固定ナット13の成型を容易に行うことが可能になる。よって、ボルト仮固定ナット13を大量生産に有利なものとすることができると共に、単価を安価なものとすることが可能となる。更には、上記ボルト仮固定ナット13は、底鋼板1のボルト孔3にボルト5を仮固定した状態で外気に曝されるものであるという点、及び、図3(ロ)で後述するように、底鋼板1の上に添接板2を載置して、上記ボルト5に添接板2の上からナット6を本締めして上記底鋼板1と添接板2とを接合する後も、該ボルト仮固定ナット13はボルト5のねじ部5aに装着されたまま残るものであるという点からも、ボルト5の健全性に影響を及ぼすことがないように、上記ボルト仮固定ナット13を腐食しない合成樹脂製とすることが好ましい。
上記のようにボルト仮固定ナット13を合成樹脂製とする場合は、図1(ロ)に断面形状を示すように、内周面の雌ねじ部16のねじ山16aを、図1(ロ)に一点鎖線で示す如き通常のねじ山形状の頂部をカットした形状とする。これにより、図1(ロ)に示すように、上記雌ねじ部16の谷(ねじ溝)の部分に、上記ボルト5のねじ部5aのねじ山の頂部が接触することで、該ボルト5とボルト仮固定ナット13による締付け軸力は、十分確保できるようにしてあると共に、ボルト仮固定ナット13の周壁における厚み寸法が急変する部分を減らすことで、該ボルト仮固定ナット13の製造時における樹脂成型の際に、引けが発生する虞を低減させて、該ボルト仮固定ナット13を精度よく製造できるようにしてある。
更に、上記ボルト仮固定ナット13の上記テーパ部14の先端側となる軸心方向一端部側の所要の長さ範囲の内周面には、上記雌ねじ部16のねじ山のないねじ無し部17を設けるようにしてある。これにより、図2(ハ)に示すように、ボルト5の頭部5b近傍の首下部にねじが刻設されていない領域又は不完全ねじ部が存在している場合(図2(ハ)ではボルト5の首下部にねじが刻設されていない領域が存在する場合が示してある)であっても、該ボルト5のねじ部5aに螺着させる上記ボルト仮固定ナット13を、該ボルト仮固定ナット13の軸心方向一端部の内周面に設けた上記ねじ無し部17が上記ボルト5の首下部におけるねじが刻設されていない領域又は不完全ねじ部の外周にかぶさる位置までねじ込むことができるようにして、上記底鋼板1のボルト孔3に挿通させたボルト5の頭部5bと、該ボルト5のねじ部5aに螺着させた上記ボルト仮固定ナット13のテーパ部14との間で、底鋼板1に対する締め付け軸力を確実に作用させることができるようにしてある。
更に又、上記ボルト仮固定ナット13における軸心方向のいずれか一方の端部には、切り欠き等によるマーク18を設けるようにしてある。図1(イ)では、一例として、テーパ部14の尖端部となる軸心方向一端部の周壁に、半円形状の切り欠きによるマーク18を設けた状態が示してある。これにより、全体が肉厚の小さい略円筒形状となる上記ボルト仮固定ナット13のテーパ部14を一目で判別できることから、後述するように該ボルト仮固定ナット13をボルト5のねじ部5aにテーパ部14の先端側となる軸心方向一端側からに螺着させる作業の作業効率を高いものとすることができるようにしてある。
以上の構成としてあるボルト仮固定ナット13を用いて底鋼板1と添接板2との接合に使用するボルト5を上記底鋼板1のボルト孔3に仮固定する場合は、先ず、工場等にて、図2(イ)に示す如く、底鋼板1のボルト孔3にボルト5としてのトルシア形高力ボルト5を下面側より挿通させて保持した状態にて、上記底鋼板1の上側に突出する該高力ボルト5のねじ部5aに、上記ボルト仮固定ナット13を、上記マーク18が設けてあるテーパ部14の尖端側となる軸心方向一端側より螺着させる。この際、上記ボルト仮固定ナット13を上記高力ボルト5のねじ部5aに螺着させる量は、上記高力ボルト5の重量よりやや大きな荷重が作用しても、該高力ボルト5のねじ部5aから上記ボルト仮固定ナット13が外れない程度にねじ込めばよく、たとえば、雌ねじ部16のねじ山16a(図1(ロ)参照)を、高力ボルト5のねじ部5aの先端部分に数条螺合させる程度でよい。
上記のようにしてトルシア形高力ボルト5のねじ部5aの先端部に上記ボルト仮固定ナット13を螺着した後、上記高力ボルト5の保持を解消すると、該高力ボルト5は、自重により、図2(ロ)に示すように、ねじ部5aの先端部に螺着してある上記ボルト仮固定ナット13が上記底鋼板1のボルト孔3の上端部に係止された状態で該ボルト孔3より吊り下げられた状態となる。これにより、上記ボルト仮固定ナット13は、テーパ部14の尖端部となる軸心方向一端部が上記底鋼板1のボルト孔3と高力ボルト5との隙間に所要寸法入り込んだ状態で、上記テーパ部14における外径寸法が上記底鋼板1のボルト孔3の寸法に対応する軸心方向の所要個所が、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部に係止される。
次に、図2(ロ)に二点鎖線で示す如く、上記底鋼板1のトルシア形高力ボルト5のピンテール5cに、インパクトレンチ等の汎用の機械式駆動工具のソケット19を嵌合させた後、該高力ボルト5のピンテール5cを軸心方向に多少押すようにして、ねじ部5aに装着してある上記ボルト仮固定ナット13を、上記底鋼板1のボルト孔3に押し付けるようにしながら、上記機械式駆動工具により上記高力ボルト5をボルト締め込み方向に回転させる。この際、上記ボルト仮固定ナット13は、底鋼板1のボルト孔3に押し付けられることにより、該ボルト仮固定ナット13のテーパ部14が上記底鋼板1のボルト孔3とボルト5との隙間にやや食い込まされるようになるため、該テーパ部14における上記底鋼板1のボルト孔3とボルト5との隙間に食い込んだ部分の外周面が、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部の内周面に密着させられ、この密着した部分に生じる摩擦力により、該ボルト仮固定ナット13の高力ボルト5との共回りが阻止されるようになる。
したがって、その後、上記機械式駆動工具による上記高力ボルト5のボルト締め込み方向への回転を継続して行うと、図2(ハ)に示す如く、上記高力ボルト5が、上記ボルト孔3の上端部の内周面に密着することで共回りが阻止されているボルト仮固定ナット13に対して締め付けられるようになる。このボルト仮固定ナット13に対する上記高力ボルト5の締め付けによって発生する強い締付け軸力により、該ボルト仮固定ナット13とボルト5との間に大きな摩擦力が発生すると共に、上記ボルト仮固定ナット13のテーパ部14における本来上記底鋼板1のボルト孔3と同径となる位置よりも太径となる部分まで、上記底鋼板1のボルト孔3と高力ボルト5との隙間に楔状に強制的に食い込まされるようになり、この底鋼板1のボルト孔3と高力ボルト5との隙間に楔状に強制的に食い込まされた部分に生じる肉厚方向(径方向)の圧縮弾性変形の復元力によって、該ボルト仮固定ナット13のテーパ部の外周面が、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部内周面に周方向の全周に亘り強く密着するため、該ボルト仮固定ナット13と上記底鋼板1のボルト孔3との間にも大きな摩擦力が生じるようになる。よって、上記高力ボルト5は、上記底鋼板1のボルト孔3に、該ボルト孔3とボルト仮固定ナット13の間の大きな摩擦力、及び、該ボルト仮固定ナット13と高力ボルト5の間の大きな摩擦力によって回転が防止された状態で仮固定される。
更に、この際、上記したようにボルト仮固定ナット13のテーパ部14の外周面が、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部の内周面に、周方向の全周に亘り強く密着することに伴い、該ボルト仮固定ナット13と、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部内周面との間(図中のA個所)が密閉される。
上記のようにして底鋼板1のボルト孔3に、高力ボルト5を回転を防止した状態で仮固定した後は、必要に応じて工場等にて、図3(イ)に二点鎖線で示す如く、上記ボルト孔3に上記ボルト仮固定ナット13を介して高力ボルト5を仮固定してなる底鋼板1の下面側に、上記高力ボルト5の頭部5bを含めて全面に亘り先行塗装を施すようにする。20は塗膜である。これにより、上記高力ボルト5の頭部5bと、底鋼板1の下面との間(図中のB個所)が密閉される。
その後、上記のようにしてボルト孔3に上記高力ボルト5が取り付けてある底鋼板1は、施工現場へ搬入して、該底鋼板1を主桁上に径間方向に並べて配設した後、隣接する底鋼板1の突合せ端部同士の上側に、図3(ロ)に示す如く(図3(ロ)では片方の底鋼板1のみを示してある)、該各底鋼板1のボルト孔3と対応する位置に上記ボルト仮固定ナット13の円筒部15よりも所要寸法大きなボルト孔4を穿設してなる添接板2を上方から載置して、該添接板2のボルト孔4に、上記底鋼板1のボルト孔3に仮固定してある高力ボルト5を、それぞれ挿通させるようにする。
しかる後、上記添接板2の上方へ突出している上記各高力ボルト5のねじ部5aに、ワッシャ7を介してナット6を嵌めて、該ナット6を高力ボルト5に対して締め込むことで、上記底鋼板1と添接板2の重ね合わせ部を、高力ボルト5によりそれぞれ接合する。これにより、隣接する底鋼板1の突合せ端部同士が、上記添接板2を介して連結されるようになる。
このように、本発明のボルト仮固定ナット、及び、該ボルト仮固定ナットを用いたボルト仮固定方法によれば、底鋼板1のボルト孔3に高力ボルト5を仮固定する際、底鋼板1の上下同時作業が必要なのは、底鋼板1のボルト孔3に下方より挿通させた高力ボルト5のねじ部5aの先端部にボルト仮固定ナット13を螺着させる作業まででよく、その後、該ボルト仮固定ナット13に対して上記高力ボルト5を締め込む作業は、底鋼板1の上側から、ボルト孔3にボルト仮固定ナット13を介して吊られた状態のトルシア形高力ボルト5のピンテール5cを、機械式駆動工具によって軸心方向へ多少押し付けながらボルト締め込み方向へ回転させることで実施できる。
したがって、上記高力ボルト5の仮固定を行う際に必要とされる上記底鋼板1を挟んだ上下同時作業の作業量を従来に比して大幅に削減できるため、作業効率を高いものとすることができて、上下両面側での同時作業に要する手間及び作業時間を低減できる。
更に、上記ボルト仮固定ナット13は、テーパ部14の軸心方向他端側に円筒部15を設けた構成としてあるため、該ボルト仮固定ナット13の外径寸法を比較的小さなものとすることができて、添接板2のボルト挿通部に設けるボルト孔4の径を小さなものとすることができる。しかも、底鋼板1の上側にフィラープレートを要することなく添接板2を載置して接合することが可能になる。よって、上記底鋼板1と添接板2との健全な摩擦接合を確保することが可能になる。
又、上記ボルト仮固定ナット13は、円筒部15を設けることで、薄肉部を少なくし且つ軸心方向における肉厚の変化を抑えることができて、上記高力ボルト5との間で大きな締付け軸力を作用させることが可能なナットとしての強度を確保することができる。
更に、上記底鋼板1のボルト孔3の内側に固定されたボルト仮固定ナット13に対する大きな締付け軸力により、該底鋼板1のボルト孔3に、上記高力ボルト5を、回転を防止した状態で仮固定することができる。
このため、上記底鋼板1の架設現場にて、底鋼板1のボルト孔3に仮固定してある上記高力ボルト5に、添接板2の上側からナット6を本締めするときにも、上記高力ボルト5に共回りが発生する虞を未然に防止することができる。よって、上記したように、工場等で上記底鋼板1の下面側に、上記ボルト孔3に取り付けてある高力ボルト5の頭部5bを含めて先行塗装を施すことが可能になることから、上記底鋼板1の設置後における該底鋼板1の下面側からの塗装作業を不要にすることができて、底鋼板1の下側に足場を必要とする作業や、高所作業車を用いて行う作業をなくすことが可能となる。
又、上記高力ボルト5の仮固定の際、上記ボルト仮固定ナット13は、テーパ部14の尖端側となる軸心方向一端側より上記底鋼板1のボルト孔3とボルト5との隙間に食い込まされるようにしてあるため、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部の内周面と、上記高力ボルト5のねじ部5aとの間に該ボルト仮固定ナット13のテーパ部14の周壁が介挿されることで、ボルト孔3の中心と高力ボルト5の中心を一致させることができる。
しかも、上記高力ボルト5を底鋼板1のボルト孔3に仮固定するときには、ボルト仮固定ナット13のテーパ部14の外周面が、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部の内周面に、周方向の全周に亘り強く密着して、該ボルト仮固定ナット13と、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部内周面との間(図2(ハ)におけるA個所)が密閉されるため、底鋼板1のボルト孔3に上記ボルト仮固定ナット13を用いて高力ボルト5を仮固定した状態で、該底鋼板1の架設までの期間があく場合であっても、上記底鋼板1のボルト孔3の内部への水分の浸入を抑制できて、上記高力ボルト5のねじ部5aにおける上記底鋼板1のボルト孔3の内部に位置する部分に錆が生じる虞を抑制することが可能になる。更に、図3(イ)に二点鎖線で示すように、高力ボルト5の頭部5bを含む底鋼板1の下面側に先行塗装を行って、塗膜20により上記高力ボルト5の頭部と底鋼板1の下面との間(図3(イ)におけるB個所)を密閉することで、上記高力ボルト5のねじ部5aにおける上記底鋼板1のボルト孔3の内部に位置する部分の発錆抑制効果を増強することが可能になる。
次に、図4乃至図6(イ)(ロ)は本発明の実施の他の形態として、図1(イ)(ロ)乃至図3(イ)(ロ)の実施の形態の応用例を示すもので、以下のようにしてある。
すなわち、図4は本実施の形態のボルト仮固定ナット13Aを示すもので、該ボルト仮固定ナット13Aは、図1(イ)(ロ)に示したボルト仮固定ナット13と同様の構成において、テーパ部14の外周面を、底鋼板1のボルト孔3よりも細径となる軸心方向一端部から上記ボルト孔3よりも太径となる軸心方向他端部まで徐々に拡径する連続したテーパ形状とする構成に代えて、該テーパ形状と同様のテーパ形状の外周面における外径が上記底鋼板1のボルト孔3の径よりもやや太径となる部分の軸心方向他端側に、軸心方向他端側へ向けて軸心方向に対する傾斜角度θ1がより大きくなるように変化させた係止用テーパ面21を設けた構成とする。
更に、上記ボルト仮固定ナット13Aの円筒部15における軸心方向他端部には、キャップ取付部22が設けてある。これにより、図6(イ)で後述するように、該ボルト仮固定ナット13Aを用いて底鋼板1のボルト孔3に仮固定した高力ボルト5のねじ部5aの先端側と周囲を被覆するための防錆キャップ23の開口部23aを、上記キャップ取付部22の外周に被せて取り付けることで、該防錆キャップ23の開口部23aと上記ボルト仮固定ナット13Aのキャップ取付部22との間を密閉することができるようにしてある。
上記キャップ取付部22は、その外径寸法が、上記円筒部15の外径よりも所要寸法細くなるようにしてある。これにより、該キャップ取付部22の外周に被せて取り付けるための上記防錆キャップ23の開口部23aの外径寸法を小さくすることが可能になる。よって、底鋼板1の上側に載置して接合する添接板2のボルト孔4の内径と、上記ボルト仮固定ナット13Aの円筒部15の外径との寸法差が小さい場合であっても、底鋼板1のボルト孔3に仮固定した高力ボルト5を、防錆キャップ23をしたままの状態で、上記添接板2のボルト孔4に挿通させる場合に有利な構成とすることができる。
更に、上記キャップ取付部22の先端部となる軸心方向他端部の外周部には、角部を面取りした形状のテーパ部24が設けてある。これにより、該キャップ取付部22の外周に上記防錆キャップ23の開口部23aを被せて取り付ける作業をスムーズに行うことができるようにしてある。
更に又、上記キャップ取付部22の軸心方向中間部に、所要の段差部25を周方向の全長に亘り設けた構成としてある。これにより、上記キャップ取付部22の外周に上記防錆キャップ23の開口部23aを被せて取り付けるときに、上記キャップ取付部22における段差部25に対応する位置を挟んだ軸心方向の2個所に、防錆キャップ23の開口部23aの内周面と該キャップ取付部22の外周面との間の密着性が高い部分を形成させるようにすることで、ラビリンス効果によって該防錆キャップ23の開口部23aとボルト仮固定ナット13Aのキャップ取付部22との密閉性をより高めることができるようにしてある。
上記ボルト仮固定ナット13Aの軸心方向寸法は、上記係止用テーパ面21の軸心方向一端部より上記キャップ取付部22の先端部となる軸心方向他端部までの長さ寸法xが、添接板2の板厚の寸法以下となるように設定してあるものとする。なお、上記底鋼板1と添接板2を接合する際にボルト5に嵌めるワッシャ7として、上記ボルト仮固定ナット13Aの円筒部15の外径よりも大きな寸法の内径を有するワッシャ7を使用する場合には、上記長さ寸法xが、添接板2の板厚とワッシャ7の厚み寸法の和以下の寸法となるように設定すればよい。
その他の構成は図1(イ)(ロ)に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
以上の構成としてある本実施の形態のボルト仮固定ナット13Aを用いて底鋼板1と添接板2との接合に使用する高力ボルト5を上記底鋼板1のボルト孔3に仮固定する場合は、図5(イ)に示す如く、先ず、工場等にて、図2(イ)に示したと同様に、底鋼板1のボルト孔3に下面側より挿通させて保持したトルシア形高力ボルト5ねじ部5aの先端部に、上記ボルト仮固定ナット13Aを、テーパ部14の尖端側となる軸心方向一端側より螺着させる。
次に、図5(ロ)に示す如く、ねじ部5aの先端部に螺着してある上記ボルト仮固定ナット13Aが上記底鋼板1のボルト孔3の上端部に係止された状態で、自重により該ボルト孔3より吊られた状態とされているトルシア形高力ボルト5のピンテール5cに、図5(ロ)に二点鎖線で示す如く、図2(ロ)に示したと同様に、インパクトレンチ等の汎用の機械式駆動工具のソケット19を嵌合させた後、上記ボルト仮固定ナット13Aを上記底鋼板1のボルト孔3に押し付けるようにしながら、上記機械式駆動工具により上記高力ボルト5をボルト締め込み方向に回転させる。これにより、底鋼板1のボルト孔3とボルト5との隙間にテーパ部14がやや食い込まされることで、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部の内周面に密着して共回りが阻止されるボルト仮固定ナット13Aに対して上記高力ボルト5の締め込みが行われる。
よって、上記機械式駆動工具による上記高力ボルト5のボルト締め込み方向への回転を継続して行うと、図5(ハ)に示す如く、図2(ハ)に示したと同様に、上記高力ボルト5が、上記ボルト孔3の上端部の内周面に密着するボルト仮固定ナット13Aに対して締め付けられ、このボルト仮固定ナット13Aに対する上記高力ボルト5の締め付けによって発生する強い締付け軸力により、上記ボルト仮固定ナット13Aのテーパ部14が、尖端側となる軸心方向一端側より上記底鋼板1のボルト孔3と高力ボルト5との隙間に楔状に強制的に食い込まされる。
この際、本実施の形態におけるボルト仮固定ナット13Aのテーパ部14には、外周面における外径が上記底鋼板1のボルト孔3の径よりもやや太径となる部分の軸心方向他端側に、軸心方向に対する傾斜角度θ1が大となる係止用テーパ面21が設けてあるため、該係止用テーパ面21が、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部に達すると、該ボルト孔3と高力ボルト5との隙間に食い込む力が大きくなる。このため、上記底鋼板1のボルト孔3の上端部内周面に対するボルト仮固定ナット13Aの密着性が高まるため、底鋼板1のボルト孔3の上端部内周面とボルト仮固定ナット13Aの間(図5(ハ)におけるA個所)の密閉性がより高められる。又、ボルト仮固定ナット13Aに対する締付け軸力によって仮固定するボルト5の回転防止作用をより強化することが可能となる。
更に、上記底鋼板1のボルト孔3に対するボルト仮固定ナット13Aの縦方向位置が定まるようになることから、該ボルト仮固定ナット13Aに対する高力ボルト5の締め込み量を一定にすることができるようになる。更には、上記底鋼板1のボルト孔3が設計寸法より多少大きくなっている場合であっても、上記ボルト仮固定ナット13Aの係止用テーパ面21の部分を、上記底鋼板1のボルト孔3とボルト5との隙間に楔状に食い込ませることができるため、該ボルト仮固定ナット13Aに対する締付け軸力によって、ボルト5を回転を防止した状態で確実に固定することができるようになる。
上記のようにして底鋼板1のボルト孔3に、高力ボルト5を回転を防止した状態で仮固定した後は、必要に応じて工場等にて、図6(イ)に示す如く、上記ボルト孔3に上記ボルト仮固定ナット13Aを介して高力ボルト5を仮固定してなる底鋼板1の下面側に、上記高力ボルト5の頭部5bを含めて全面に亘り先行塗装を施すようにする。20は塗膜である。これにより、上記高力ボルト5の頭部5bと、底鋼板1の下面との間(図中のB個所)が密閉される。
更に、上記底鋼板1のボルト孔3に上記ボルト仮固定ナット13Aを介して仮固定してある高力ボルト5のねじ部5aに対し先端側より被せた防錆キャップ23の開口部23aを、上記ボルト仮固定ナット13Aのキャップ取付部22に被せて取り付けて、上記防錆キャップ23の開口部23aと、ボルト仮固定ナット13Aとの間(図6(イ)におけるC個所)を密閉する。
以上により、上記図中のA,B,Cの3個所が密閉されることで、上記高力ボルト5のねじ部5aは外気との接触が遮断されるため、該ボルト5のねじ部5aの防錆が図られるようになる。
その後、上記のようにして防錆が図られたボルト5がボルト孔3に取り付けてある底鋼板1は、施工現場へ搬入して、該底鋼板1を主桁上に径間方向に並べて配設した後、隣接する底鋼板1の突合せ端部同士の上側に、図6(ロ)に示す如く(図6(ロ)では片方の底鋼板1のみを示してある)、図3(ロ)に示したと同様に、該各底鋼板1のボルト孔3と対応する位置に上記ボルト仮固定ナット13Aの円筒部15の外径よりも所要寸法大きなボルト孔4を穿設してなる添接板2を上方から載置して、該添接板2のボルト孔4に、上記底鋼板1のボルト孔3に仮固定してある高力ボルト5を、それぞれ挿通させる。しかる後、上記添接板2の上方へ突出する上記各高力ボルト5のねじ部5aに装着されている防錆キャップ23を上方へ引き抜くことで撤去してから、該各高力ボルト5のねじ部5aにワッシャ7を介してナット6を嵌めて、該ナット6を高力ボルト5に対して締め込むことで、上記底鋼板1と添接板2の重ね合わせ部を、高力ボルト5によりそれぞれ接合する。これにより、隣接する底鋼板1の突合せ端部同士が、上記添接板2を介して連結されるようになる。
このように、本実施の形態によっても、図1(イ)(ロ)乃至図3(イ)(ロ)の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
更に、図6(イ)におけるA,B,Cの3個所を密閉することで、高力ボルト5のねじ部5aを外気から遮断して防錆を図ることが可能になる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、ボルト仮固定ナット13,13Aの円筒部15は、外周面が、軸心方向一端側より他端側が多少拡径した形状となっていてもよい。
底鋼板1と添接板2の接合に用いるボルト5として全ねじのボルトを使用する場合には、ボルト仮固定ナット13,13Aの軸心方向一端部の内周面におけるねじ無し部17が不要なため、該ボルト仮固定ナット13,13aの内周面に、軸心方向の全長にわたる雌ねじ部16を設けるようにしてもよい。
ボルト仮固定ナット13,13Aは、六角ボルト等、トルシア形高力ボルト5以外の形式のボルトの仮固定に用いるようにしてもよい。
図1(イ)(ロ)乃至図3(イ)(ロ)の実施の形態におけるボルト仮固定ナット13のテーパ部14を、図4に示したボルト仮固定ナット13Aにおける係止用テーパ面21を備えたテーパ部14と同様の形状としてもよい。
図4乃至図6(イ)(ロ)の実施の形態におけるボルト仮固定ナット13Aのテーパ部14を、係止用テーパ面21のない図1(イ)(ロ)のボルト仮固定ナット13のテーパ部14と同様の形状としてもよい。
本発明のボルト仮固定ナットを用いたボルトの仮固定方法は、底鋼板1の下面側に塗装を必要としない場合における該底鋼板1と添接板2との接合個所に適用してもよい。更には、複数枚の鋼板をボルトを用いて接合する際、ボルト挿通側に位置する所定の鋼板に設けたボルト孔に予めボルトを脱落しないよう取り付けておくことが望まれる個所であれば、上記底鋼板1と添接板2以外のいかなる鋼板同士の接合個所にも適用してよい。又、ボルト5が頭部5bを下にした姿勢以外の角度姿勢に配置される個所にも適用でき、この場合、ボルト5のねじ部5aに螺着したボルト仮固定ナット13,13Aが、ボルト5の重量により仮固定すべき鋼板のボルト孔3に接触しない場合であっても、トルシア形高力ボルト5のピンテール5cをインパクトレンチ等の汎用の機械式駆動工具によりボルト締め込み方向に回転させる際に、該ピンテール5cを軸心方向に多少押すことで、上記ボルト仮固定ナット13,13Aのテーパ部14をボルト孔3に押し付けるようにすればよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明のボルト仮固定ナットの実施の一形態を示すもので、(イ)は一部切断概略側面図、(ロ)はボルトのねじ部に螺着した状態の雌ねじ部のねじ山の部分を拡大して示す断面図である。 図1のボルト仮固定ナットを用いて行うボルトの仮固定方法を示すもので、(イ)は底鋼板のボルト孔に挿通させたボルトにボルト仮固定ナットを螺着させた状態を、(ロ)はボルトを締め込み方向へ回転させる状態を、(ハ)は底鋼板のボルト孔にボルト仮固定ナットを介してボルトを仮固定した状態をそれぞれ示す一部切断概略側面図である。 図2の仮固定方法でボルト孔にボルトを仮固定した後の手順を示すもので、(イ)は底鋼板の下面側に塗装を行う状態を、(ロ)は底鋼板に添接板を接合した状態をそれぞれ示す一部切断概略側面図である。 本発明の実施の他の形態として、ボルト仮固定ナットの別の形態を示す一部切断概略側面図である。 図4のボルト仮固定ナットを用いて行うボルトの仮固定方法を示すもので、(イ)は底鋼板のボルト孔に挿通させたボルトにボルト仮固定ナットを螺着させた状態を、(ロ)はボルトを締め込み方向へ回転させる状態を、(ハ)は底鋼板のボルト孔にボルト仮固定ナットを介してボルトを仮固定した状態をそれぞれ示す一部切断概略側面図である。 図5の仮固定方法でボルト孔にボルトを仮固定した後の手順を示すもので、(イ)は底鋼板の下面側に塗装を行うと共に、ボルトに防錆キャップを装着した状態を、(ロ)は底鋼板に添接板を接合した状態をそれぞれ示す一部切断概略側面図である。 隣接する合成床版の底鋼板の突合せ端部同士の添接板を介した一般的な連結構造を示す切断側面図である。 底鋼板のボルト孔にボルトを脱落しないよう保持させるために従来提案されている手法の一例の概要を示すもので、(イ)は底鋼板のボルト孔にボルトを保持させた状態を、(ロ)は隣接する底鋼板の上側に添接板を載置する状態を、(ハ)は隣接する底鋼板を添接板を介して連結した状態をそれぞれ示す切断側面図である。 底鋼板のボルト孔にボルトを脱落しないよう保持させるために従来提案されている手法の別の例の概要を示すもので、(イ)は底鋼板のボルト孔に挿通したボルトを一次ナットで保持させる状態を、(ロ)は底鋼板の上側にフィラープレートを載置する状態を、(ハ)は隣接する底鋼板を添接板を介して連結した状態をそれぞれ示す概要図である。
符号の説明
1 底鋼板(所定の鋼板)
2 添接板(鋼板)
3 ボルト孔
5 高力ボルト(ボルト)
5a ねじ部
5b 頭部
5c ピンテール
13,13A ボルト仮固定ナット
14 テーパ部
15 円筒部
16 雌ねじ部
16a ねじ山
17 ねじ無し部
21 係止用テーパ面(円筒部側のテーパ面)
22 キャップ取付部
25 段差部

Claims (9)

  1. 複数の鋼板の重ね合わせ部に挿通させて該複数の鋼板を接合するためのボルトを、所定の鋼板のボルト孔に仮固定するためのボルト仮固定ナットにおいて、上記所定の鋼板のボルト孔よりも大径で且つ該所定の鋼板との重ね合わせ部をボルトとナットにより接合するための別の鋼板のボルト孔よりも小径とした円筒部の軸心方向一端側に、上記所定の鋼板のボルト孔よりも小さい径となる軸心方向一端部へ向けて外径が徐々に小さくなるテーパ部を設け、且つ内周面に雌ねじ部を設けると共に、軸心方向一端部の上記テーパ部の内周面に、上記ボルトの首下部におけるねじが刻設されていない領域又は不完全ねじ部の外周にかぶせるためのねじ無し部を設けてなる構成を有することを特徴とするボルト仮固定ナット。
  2. 複数の鋼板の重ね合わせ部に挿通させて該複数の鋼板を接合するためのボルトを、所定の鋼板のボルト孔に仮固定するためのボルト仮固定ナットにおいて、上記所定の鋼板のボルト孔よりも大径となる円筒部の軸心方向一端側に、上記所定の鋼板のボルト孔よりも小さい径となる軸心方向一端部へ向けて外径が徐々に小さくなるテーパ部を、軸心方向に対する傾斜角度が異なる2つのテーパ面からなり且つ円筒部側のテーパ面の軸心方向に対する傾斜角度が軸心方向一端側のテーパ面の軸心方向に対する傾斜角度よりも大となるようにして設け、更に、内周面に雌ねじ部を設けてなる構成を有することを特徴とするボルト仮固定ナット。
  3. テーパ部における2つのテーパ面の境界部の外径が、所定の鋼板のボルト孔よりも所要寸法太径となるようにした請求項2記載のボルト仮固定ナット。
  4. 軸心方向一端部のテーパ部の内周面にねじ無し部を設けるようにした請求項2又は3記載のボルト仮固定ナット。
  5. 弾性変形を許容可能な樹脂製のものとした請求項1、2、3又は4記載のボルト仮固定ナット。
  6. 雌ねじ部を、先端部をカットした形状のねじ山を有してなるものとした請求項5記載のボルト仮固定ナット。
  7. 円筒部の軸心方向他端部に、外径寸法が上記円筒部の外径よりも所要寸法細くなるキャップ取付部を設けるようにした請求項1、2、3、4、5又は6記載のボルト仮固定ナット。
  8. キャップ取付部の軸心方向中間部に段差部を全周に亘り設けるようにした請求項7記載のボルト仮固定ナット。
  9. 複数の鋼板の重ね合わせ部に挿通させて該複数の鋼板を接合するためのトルシア形高力ボルトを、所定の鋼板のボルト孔に一側面側より挿通させた後、上記ボルトのねじ部の先端部に、上記所定の鋼板のボルト孔よりも大径で且つ該所定の鋼板との重ね合わせ部をボルトとナットにより接合するための別の鋼板のボルト孔よりも小径とした円筒部の軸心方向一端側に上記所定の鋼板のボルト孔よりも小さい径となる軸心方向一端部へ向けて外径が徐々に小さくなるテーパ部を設け且つ内周面に雌ねじ部を設けると共に軸心方向一端部の上記テーパ部の内周面に上記ボルトの首下部におけるねじが刻設されていない領域又は不完全ねじ部の外周にかぶせるためのねじ無し部を設けてなる構成を有するボルト仮固定ナットを、該ボルト仮固定ナットの軸心方向一端側のテーパ部側より螺着させ、次いで、ボルト仮固定ナットのテーパ部を上記所定の鋼板のボルト孔に他側面側より押し付けた状態で、上記ボルトのピンテールをボルト締め込み方向へ回転させて、該ボルトを上記ボルト仮固定ナットに締め付けて仮固定するようにすることを特徴とするボルトの仮固定方法。
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