JP4557112B2 - ベンゾオキサゾール誘導体及び該誘導体を有効成分として含む医薬 - Google Patents

ベンゾオキサゾール誘導体及び該誘導体を有効成分として含む医薬 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、セロトニン5−HT受容体拮抗作用とセロトニン5−HT受容体部分活性作用を有するベンゾオキサゾール誘導体及びその塩に関する。また、本発明は、上記ベンゾオキサゾール誘導体又は製薬学的に許容されるその塩を有効成分として含み、過敏性腸症候群、消化管機能障害、又は下痢の症状の予防及び/又は治療、並びに制吐薬として有用な医薬に関する。
背景技術
セロトニン[5−ヒドロキシトリプタミン(以下「5−HT」と略記することもある。
)]は体内の神経伝達物質であり、その受容体には7種のサブタイプ(5−HT〜5−HT)が存在することが知られている。これらのうち、5−HT受容体がシスプラチン等の制癌剤や放射線治療に伴う副作用としての悪心、嘔吐に関与することが明らかとなり、その5−HT受容体拮抗薬が制吐薬として臨床に用いられている。具体的には、グラニセトロン[Sanger,G.J.ら、Eur.J.Pharmacol.159,113−124(1989)],オンダセトロン(GR38032F)[Butler,A.ら、Br.J.Pharmacol.94,387−412(1988)],トリピセトロン[Richardson,B.P.ら、Nature,316,136−131(1985)]がある。さらに、最近、これらの5−HT受容体拮抗作用を有する化合物が過敏性腸症候群等の予防及び/または治療に有効であることが報告されており[Greenshaw,A.J.ら、Drugs53,20−39(1997)及びGreenshaw,A.J.ら、Trends Pharmacol.Sci.14,265−270(1993)]、現在、アロセトロン(特開平1−151578号公報)の開発が検討されている。
しかしながら、過敏性腸症候群あるいは消化管機能障害の予防及び/または治療薬として消化管に対して5−HT受容体拮抗作用のみを有する化合物を投与した場合、下痢を抑制するものの、副作用として便秘が生じやすいという問題がある。この問題を解決する一手段として、本発明者らは、5−HT受容体拮抗作用に加えて5−HT受容体活性作用をも併せ持つベンゾオキサゾール誘導体を提供した(特開平10−29987号公報)。同様に5−HT受容体拮抗作用と5−HT受容体活性作用を併せ持つ化合物として、MKC−733(特開平5−310747号公報)及びRS−056812−198[J.A.VanHooftら、Eur.J.Pharmacol.322,229−233(1997)]が現在までに開示されている。
もっとも、過敏性腸症候群又は消化管機能障害の予防及び/又は治療薬として用いた場合に、強力な下痢の抑制作用を示し、副作用である便秘を回避でき、かつ生体内で比較的代謝を受け難くい化合物の報告例はなく、そのような特徴を有する化合物の提供が望まれている。
発明の開示
本発明の目的は、過敏性腸症候群、消化管機能障害の症状(特に排便異常、腹痛、腹部不快感、腹鳴、おくび、むねやけ等)、又は下痢の症状の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用な化合物を提供することにある。より具体的には、特に過敏性腸症候群のために、消化管機能調整薬として5−HT受容体拮抗作用のみを有する化合物を投与した場合に生じる副作用である便秘を回避するために、5−HT受容体拮抗作用に加えて5−HT受容体活性作用をも併せ持ち、かつ生体内で比較的代謝を受け難くい医薬の有効成分として有用な化合物を提供することが本発明の目的である。
本発明者らは、5−HT受容体拮抗作用に加えて5−HT受容体活性作用をも併せ持つベンゾオキサゾール誘導体をすでに見いだしているが(特開平10−29987号公報)、さらに鋭意研究を続け、上記の特徴を有する下記の一般式(1)で表される化合物を見出し、本発明を完成した。
すなわち、下記の一般式(1)で表されるベンゾオキサゾールについて5−HT受容体活性作用の指標となるモルモット摘出回腸収縮作用、下痢の治療の指標となるラットストレス負荷による下痢の抑制作用、副作用である便秘を回避する指標となる正常マウス排便(大腸輸送能)に及ぼす影響により判定する評価実験系に加えて、in vitro系でのヒト肝における代謝活性試験及び安全性試験(復帰突然変異試験)の各種試験を行った結果、これらの化合物が特開平6−345744号公報にすでに開示されている化合物よりも5−HT受容体拮抗作用と5−HT受容体活性作用が明らかに強く、特開平10−29987号公報ですでに開示されている化合物よりもin vivo試験〔下痢の抑制作用及び正常マウス排便(大腸輸送能)に及ぼす影響〕で優れており、かつ優れた代謝安定性を有することを見出した。
すなわち本発明は、下記一般式(1):
Figure 0004557112
(式中、Rはハロゲン原子を示し、Rは水素原子又は低級アルキル基を示し、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ヒドロキシ低級アルキル基、ハロゲン原子、又は置換若しくは無置換のアミノ基を示し、アミン基の置換基は、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキルカルボニル基、及びアミノ保護基からなる群から選ばれる基である)で表される化合物又はその塩を提供するものである。
上記発明の好ましい態様によれば、Rが塩素原子である上記一般式(1)で表される化合物又はその塩;Rが水素原子又はメチル基、好ましくは水素原子である上記一般式(1)で表される化合物又はその塩;Rが水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、又は置換アミノ基、さらに好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、塩素原子、又はアセトアミノ基、特に好ましくは低級アルキル基、最も好ましくはメチル基である上記一般式(1)で表される化合物又はその塩が提供される。 また、本発明の別の好ましい態様によれば、Rがハロゲン原子であり、Rが水素原子又は低級アルキル基であり、Rが水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、又は置換アミノ基である上記一般式(1)で表される化合物又はその塩が提供される。さらに好ましくは、Rが塩素原子であり、Rが水素原子又はメチル基であり、Rが水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、塩素原子、又はアセトアミノ基である上記一般式(1)で表される化合物又はその塩が提供される。
さらに好ましい態様によれば、下記の化合物:5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール;
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メトキシベンゾオキサゾール;
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−6−メチルベンゾオキサゾール;
5−クロロ−7−エチル−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−ヒドロキシメチルベンゾオキサゾール;
7−アセトアミノ−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
7−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
7−アミノ−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
5,7−ジクロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
5,7−ジクロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−6−メチルベンゾオキサゾール;
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−6,7−ジメチルベンゾオキサゾール;
7−(ベンジルアミノ)−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
5−クロロ−7−エチルアミノ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
5−クロロ−7−メタンスルホニルアミノ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
7−ベンゾイルアミノ−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;又は5−クロロ−7−イソブチリルアミノ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール、又はその塩が提供され、特に好ましい態様として、過敏性腸症候群のためには特に、5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール又はその塩が提供される。
別の観点からは、本発明により、上記一般式(1)で表される化合物及び製薬学的に許容されるその塩、並びにこれらの水和物及びこれらの溶媒和物からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む医薬が提供される。この医薬は、過敏性腸症候群、消化管機能障害の症状(特に排便異常、腹痛、腹部不快感、腹鳴、おくび、むねやけ等)、又は下痢の症状の予防及び/又は治療のための医薬、並びに制吐薬などの医薬として有用である。この発明の好ましい態様によれば、上記の医薬は、上記の有効成分である物質と1又は2以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態で提供される。
さらに別の観点からは、本発明により、上記医薬の製造のための上記一般式(1)で表される化合物及び製薬学的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及びそれらの溶媒和物からなる群から選ばれる物質の使用が提供される。また、本発明により、過敏性腸症候群、消化管機能障害の症状、又は下痢の症状の予防及び/又は治療方法であって、上記一般式(1)で表される化合物及び製薬学的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及びそれらの溶媒和物からなる群から選ばれる物質の予防及び/又は治療有効量をヒトを除く哺乳類動物に投与する工程を含む方法が提供される。
さらに別の観点からは、上記一般式(1)で表される化合物及び製薬学的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及びそれらの溶媒和物からなる群から選ばれる物質を含むセロトニン5−HT受容体拮抗作用薬、及び上記一般式(1)で表される化合物及び製薬学的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及びそれらの溶媒和物からなる群から選ばれる物質を含むセロトニン5−HT受容体部分活性作用薬が提供される。
発明を実施するための最良の形態
本明細書において、アルキル基又はアルキル部分を含む置換基のアルキル部分は直鎖状、分岐鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのいずれでもよく、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を意味する。本明細書において「低級」という用語は、炭素数1から4個程度(アルケニル基などについては2から4個程度)を意味する。低級アルキル基又は低級アルキル部分を含む置換基のアルキル部分の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、又はシクロプロピルメチル基などを挙げることができる。ハロゲン原子という場合にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよい。
が示すアミノ基の置換基としては、好ましくは、直鎖状若しくは分岐鎖のC〜Cアルキル基、直鎖状若しくは分岐鎖状のC〜Cアルケニル基、直鎖状若しくは分岐鎖のC〜Cアルキルカルボニル基、又はT.W.Green著[(John Wiley and Sons),1991年]の”Protecting Group in Organic Synthsis”にアミン基の保護基として記載されている基よりなる群から選択される基を用いることができる。
としては塩素原子が好ましい。Rとしては水素原子又はメチル基が好ましく、より好ましくは水素原子である。Rとしては低級アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。
本発明の化合物の具体例として、例えば、5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール;
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メトキシベンゾオキサゾール;
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−6−メチルベンゾオキサゾール;
5−クロロ−7−エチル−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−ヒドロキシメチルベンゾオキサゾール;
7−アセトアミノ−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
7−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
7−アミノ−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
5,7−ジクロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
5,7−ジクロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−6−メチルベンゾオキサゾール;
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−6,7−ジメチルベンゾオキサゾール;
7−(ベンジルアミノ)−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
5−クロロ−7−エチルアミノ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
5−クロロ−7−メタンスルホニルアミン−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
7−ベンゾイルアミノ−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;及び5−クロロ−7−イソブチリルアミノ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾールなどを挙げることができるが、本発明の化合物はこれらに限定されることはない。
好ましい化合物は、5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール;
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メトキシベンゾオキサゾール;
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−6−メチルベンゾオキサゾール;
5−クロロ−7−エチル−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール;
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−ヒドロキシメチルベンゾオキサゾール;及び7−アセトアミノ−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾールなどであり、特に好ましくは過敏性腸症候群のためには、5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾールである。
本発明による式(1)で表される化合物は、遊離塩基の形のほか、酸付加塩の形態で存在することができる。塩としては、例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等のハロゲン化水素酸塩、硫酸、硝酸、リン酸、過酸化水素酸、炭酸等の無機酸塩、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、安息香酸、マンデル酸、酪酸、マレイン酸、プロピオン酸、ぎ酸、リンゴ酸等の有機カルボン酸塩、アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸塩、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のアルキルスルホン酸塩、又はアリールスルホン酸塩が挙げられる。
本発明の化合物は、置換基の種類に応じて、1又は2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、1又は2個以上の不斉炭素に基づく光学活性体、ジアステレオ異性体、それらの任意の混合物、ラセミ体などはいずれも本発明の範囲に包含される。また、本発明の化合物又はその塩は水和物又は溶媒和物として存在する場合もある。さらに、任意の結晶形の物質も本発明の範囲に包含される。
本発明の化合物は種々の方法によって製造されるが、以下に示す代表的な2つの方法(a法、b法)により製造される。
Figure 0004557112
(スキーム中、R、R、及びRは上記と同義であり、Yはハロゲン原子、チオール基、p−トルエンスルホニル基、又はトリフルオロメタンスルホニル基等の脱離基を示し、Rはアミノ基の保護基を示す)
a法:式(2)の化合物を溶媒中でホモピペラジン(3)と反応せしめることにより式(1)を得ることができる。溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。反応温度は−50〜200℃、好ましくは0〜150℃の範囲から選ばれ、反応時間は5分から48時間、好ましくは30分〜20時間の範囲で行われる。反応を促進する目的あるいは温和な条件で反応を行う目的で、本反応に添加物(例えばトリエチルアミンなど)を加えて反応を行ってもよい。
b法:式(2)の化合物を、式(4)で示される1つのアミノ基を保護したホモピペラジン(4)と溶媒中反応せしめることにより式(5)を得ることができる。アミノ基の保護基としては、例えば、T.W.Green著((John Wiley and Sons),1991年)の“Protecting Groupin Organic Synthsis”に記載されている保護基を用いることができる。溶媒・反応温度・反応時間・添加物についてはa法と同様である。その後、保護基であるRをしかるべき方法により除去することにより式(1)を得る。
a法あるいはb法によって製造された式(1)あるいは式(5)において、それぞれの置換基(R、R、及びR)に官能基変換を施し、本発明の範囲内である別なる化合物に誘導することも可能である。
上記一般式(1)で表される化合物は、5−HT受容体拮抗作用及び5−HT受容体活性作用を有し、ヒト肝において代謝を受け難い利点を有する。従って、上記式(1)で表される化合物は、5−HT受容体拮抗作用薬及び5−HT受容体活性作用薬として、5−HTが関与する疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として用いることができる。5−HTが関与する疾患としては、過敏性腸症候群、消化管機能障害、頭痛、神経痛、不安症状、うつ病、精神病、シスプラチン等の制ガン剤や放射線照射に起因する嘔吐等が挙げられる。上記一般式(1)で表される化合物は、5−HT受容体拮抗作用に加えて、5−HT受容体活性作用を有する5−HT受容体部分活性作用を示すため、便秘の副作用無しに、過敏性腸症候群や消化管機能障害もしくは下痢の症状を改善する予防または治療薬として、また制吐薬としても有用である。
本発明の医薬の有効成分としては、遊離形態の上記化合物及び製薬学的に許容されるその非毒性塩、並びにそれらの水和物及びそれらの溶媒和物からなる群から選ばれる物質を用いることができる。本発明の医薬は、ヒト及びヒト以外の哺乳類動物に投与することができる。本発明により、遊離形態の上記化合物及び製薬学的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及びそれらの溶媒和物からなる群から選ばれる物質の1種又は2種以上と、1種又は2種以上の製剤用添加物とを含み、経口投与又は非経口投与のいずれかに好適な医薬組成物も提供される。
より具体的には、経口投与に適する医薬組成物として、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散在、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、液剤、又は水剤等が挙げられ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、静注、筋注及び皮下注等の注射剤、植込剤、直腸座剤、軟膏剤、硬膏剤、経皮吸収用粘着テープ剤等が挙げられる。注射剤では、必要により緩衝剤(例えば酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩等)、pH調整剤(例えば炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸等)、安定化剤として抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等)や保存剤(例えばベンジルアルコール、クロロブタノール、p−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、フェノール等)を添加することができる。これらの各種製剤は、通常用いられている賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤等などの製剤用添加物を用いて常法により製造することができる。 使用可能な無毒性の賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、コーンスターチ、ソルビット、結晶セルロース等が、崩壊剤としては例えば、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、炭酸カルシウム、デキストリン等が、結合剤としては例えば、ジメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等が、滑沢剤としては、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、硬化油等が、着色剤としては例えばブリリアントブルー、エリスロシン、タートラジン等が挙げられる。
本発明による式(1)で表される化合物は他の治療薬と組み合わせて投与することもできる。例えば過敏性腸症候群を目的として使用する場合、オピオイド(ロベラミドやトリメプチン等)、抗コリン剤(臭化プリフィニウムや臭化チキジニウム等)、ドーパミン拮抗剤(ドンペリドンやスルピリド等)、整腸剤、抗不安剤(ベンゾジアゼピン系薬剤等)及び抗うつ剤(デシプラミン、アミトリプチンやトリミプラミン等)等と適宜併用しても良い。また消化管機能調整、胃腸運動障害、悪心及び嘔吐の治療の場合には、本発明による式(1)で表される化合物はヒスタミンH受容体拮抗剤(シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、スホチジン、ニザチジン及びロキサチジン等)または抗分泌剤(オメプラゾール等のHATPアーゼ阻害剤)等と適宜併用投与することも可能である。
医薬組成物中の本発明化合物の含有量は、その剤型に応じて異なるが、通常組成物中、0.05〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%程度である。
投与量は患者の年齢、体重、性別、疾患の相違、症状の程度等を考慮して、個々の場合に応じて適宜決定されるが、通常、過敏性腸症候群もしくは消化管機能障害の予防薬または治療薬として用いられる場合は、成人1日あたり、活性成分0.001〜100mg、好ましくは、0.01〜50mg/単位用量を1日1回または数回に分けて投与する。
実施例
本発明は以下の実施例で詳しく説明するが、これらは単なる実施例であって本発明を限定するものではない。さらに本発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の変形及び修正が可能であることは言うまでもない。
なお、実施例中のNMRデータは400MHzNMRを用い、TMSを規準としたときのd値を示した。また、実施例で使用する原料化合物及び評価対照化合物の製法を参考例に示した。
参考例1
5−クロロ−2−メルカプト−7−メトキシベンゾオキサゾール
(a)4−クロロ−2−メトキシフェノール
2−メトキシフェノール(5.0g)、2−アミノピリジン(0.3g)及び塩化チオニル(3.24mL)をトルエン(100mL)中、70℃で19時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、溶媒を減圧下留去して標題の化合物(6.6g)を油状物質として得た。
H−NMR(CDCl)δ:3.86(3H,s),5.20(1H,br),6.83(3H,m).
MS(EI):m/z158(M
(b)4−クロロ−2−ニトロ−6−メトキシフェノール
4−クロロ−2−メトキシフェノール(1.77g)を酢酸(18mL)に溶解し、別途調製した硝酸溶液(70%の硝酸(1.88mL)と酢酸(5mL)の混液)を攪拌下、氷冷にて加えた。室温にて1時間攪拌した後、酢酸エチルで希釈し水で洗浄した。酢酸エチル層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=4:1v/v)にて精製して標題の化合物(1.8g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:3.95(3H,s),7.10(1H,d,J=3.0Hz),7.70(1H,d,J=3.0Hz).
MS(TBS):m/z203(M
(c)5−クロロ−2−メルカプト−7−メトキシベンゾオキサゾール
アルゴン気流下4−クロロ−2−ニトロ−6−メトキシフェノール(1.77g)の酢酸エチル(17mL)溶液にプラチナ オン スルヒド カーボン(0.18g)を懸濁させる。反応系内を水素ガスに置換した後、24時間激しく攪拌した。プラチナ オン スルヒド カーボンをセライトを用いて濾別した後、溶媒を減圧下留去した。得られた粗精製物をエタノール(30mL)に溶解し、二硫化炭素(15mL)と水酸化カリウム(0.58g)を加えて、60℃で3時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、水(30mL)加え濃塩酸でpHを4に調整した。析出した固体を瀘取し、減圧下40℃で5時間乾燥して標題の化合物(1.87g)を得た。
H−NMR(CDOD)δ:3.88(3H,s),6.72(1H,d,J=2.0Hz),6.82(1H,d,J=2.0Hz).
MS(TPS):m/z216(M+1)
参考例2
5−クロロ−7−ヒドロキシメチル−2−メルカプトベンゾオキサゾール
(a)5−クロロ−3−ニトロサリチル酸エチルエステル
5−クロロサリチル酸(5.0g)のエタノール(50mL)に濃硫酸(2.0mL)を加え、24時間加熱還流した。エタノールを減圧下留去した後、得られた油状物質を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。酢酸エチル層は水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、粗精製の5−クロロサリチル酸エチルエステル(5.3g)を得た。これを無水酢酸(40mL)中で、氷冷下、70%硝酸(7.2mL、d=1.42)で処理した。同温度で6時間攪拌した後、反応混合物を氷水に注ぎ、析出した結晶を瀘取した。結晶を水で洗浄後、減圧下に乾燥して標題の化合物(1.48g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.39(3H,t,J=7.1Hz),4.42(2H,q,J=7.1Hz),8.03(1H,d,J=2.7Hz),8.07(1H,d,J=2.7Hz),11.93(1H,s).
(b)5−クロロ−7−エトキシカルボニル−2−メルカプトベンゾオキサゾール
5−クロロ−3−ニトロサリチル酸エチルエステル(1.0g)を酢酸エチル(10mL)エタノール(10mL)の混合液に溶解し、プラチナ オン スルヒド カーボン(100mg)を加えて水素雰囲気下、20時間激しく攪拌した。プラチナ オン スルヒド カーボンをセライトを用いて濾別した後、溶媒を減圧下留去した。得られた反応生成物の二硫化炭素(30mL)溶液に、水酸化カリウム(338mg)のエタノール(30mL)溶液を加え、70℃にて5時間加熱した。溶媒を減圧下留去後、ジエチルエーテルを加え、0.5N水酸化カリウム水溶液でpHを9.0にあわせて抽出した。分離した水層は再度ジエチルエーテルで洗浄後、1.0N塩酸にてpHを5.0として酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して標題化合物(982mg)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.41(3H,t,J=7.0Hz),3.40(1H,br),4.45(2H,q,J=7.0Hz),7.60(1H,d,J=2.2Hz),7.71(1H,d,J=2.2Hz).
MS(EI):m/z257(M).
(c)5−クロロ−7−ヒドロキシメチル−2−メルカプトベンゾオキサゾール
5−クロロ−7−エトキシカルボニル−2−メルカプトベンゾオキサゾール(280m
g)をジエチルエーテル(20mL)に溶解し、リチウムテトラヒドリドボラン(100mg)を加えて35℃で2時間攪拌した。反応液にメタノールと1N塩酸を加えて、揮発成分を減圧下留去した。この操作を3回繰り返した。得られた生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール:塩化メチレン=1:20)で精製し、標題の化合物(163mg)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:4.64(2H,s),5.53(1H,br),7.18(1H,s),7.26(1H,s),14.0(1H,br).
MS(EI):m/z215(M
参考例3
7−アセトアミノ−5−クロロ−2−メルカプトベンゾオキサゾール
(a)2−アセトアミノ−4−クロロフェノール
2−アセトアミノ−4−クロロフェノール(2.0g、14mmol)の塩化メチレン溶液(12mL)に氷冷攪拌下に、トリエチルアミン(3.89mL)及び無水酢酸(1.5mL)を加えた。30分間攪拌した後、減圧留去により溶媒とトリエチルアミンを留去する。得られた反応混合物をジエチルエーテルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で順次洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、標題の化合物(2.6g、100%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.20(3H,s),6.81(1H,d,J=8.5Hz),6.95(1H,dd,J=8.6,2.6Hz),7.72(1H,d,J=2.6Hz).
(b)2−アセトアミノ−4−クロロ−6−ニトロフェノール
2−アセトアミノ−4−クロロフェノール(1.0g、5.4mmol)の無水酢酸(90mL)溶液に氷冷下、70%硝酸(0.38mL、d=1.42)を攪拌下に加えた。2時間攪拌した後に水(100mL)を加え、更に1時間攪拌した。ジエチルエーテルを加えて抽出し、水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=5:1v/v)にて精製して標題の化合物(0.38g、31%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.28(3H,s),7.80(1H,d,J=2.5Hz),8.80(1H,d,J=2.5Hz),10.98(1H,s).
MS(EI)m/z:230(M).
(c)7−アセトアミノ−5−クロロ−2−メルカプトベンゾオキサゾール
アルゴン気流下、2−アセトアミノ−4−クロロ−6−ニトロフェノール(100mg、0.43mmol)のエタノール(5mL)と酢酸エチル(5mL)の混合溶液にプラチナ オン スルヒド カーボン(0.1g)を懸濁させる。反応系内を水素ガスに置換した後、24時間激しく攪拌した。プラチナ オン スルヒド カーボンをセライトを用いて濾別した後、溶媒を減圧下留去した。得られた粗生成物をエタノール(5.4mL)に溶解し、二硫化炭素(5.4mL)と水酸化カリウム(0.29g)を加えて、60℃で2時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、揮発成分を減圧留去し、得られた反応混合物を酢酸エチル(10mL)に溶解し、飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)と飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、標題の化合物(104mg、99%)を得た。
H−NMR(CDOD)δ:2.11(3H,s),6.87(1H,d,J=1.9Hz),7.77(1H,d,J=1.9Hz).
MS(EI)m/z:242(M).
参考例4
5−クロロ−7−メチル−2−(1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール
ピペラジン(4.3g、0.05mol)を5−クロロ−2−メルカプト−7−メチルベンゾオキサゾール(5.0g、0.25mol)のトルエン(100mL)の懸濁液に攪拌下加えた。加熱還流下7時間攪拌し、冷却後、反応液を酢酸エチル(45mL)と水(80mL)の混合物に加えた。5N塩酸を徐々に加えてpHを7.5とした。分離した有機層を水(80mL)で洗浄した後、再び水(80mL)を加えて5N塩酸にてpHを1〜1.5とし、分液操作にて有機層を除いた。残った水層は、酢酸エチルを加えた後に5N水酸化ナトリウム水溶液でpHを8.0として抽出した。有機層は水、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して標題の化合物(4.3g)を得た。尚、本化合物は酢酸エチル中、4N塩酸−酢酸エチルで処理することにより5−クロロ−7−メチル−2−(1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾールの塩酸塩としてもよい。
H−NMR(CDCl)δ:1.83(1H,br),2.37(3H,m),2.99(4H,m),3.68(4H,m),3.00(2H,m),6.81(1H,J=1.2Hz),7.13(1H,d,J=1.2Hz).
MS(EI):m/z252(M+1).
参考例5
7−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−クロロ−2−メルプトベンゾオキサゾール
(a)4−クロロ−2,6−ジニトロフェノール
4−クロロ−2−ニトロフェノール(4g、23mmol)のアセトニトリル溶液(100ml)溶液を−25℃に冷却し、ニトロニウムテトラフルオロボレート粉末(4.9g)を徐々に加えた。−10℃まで昇温しながら2時間撹拌した後、水10mlを加え反応を停止した。減圧濃縮によりアセトニトリルを留去し残さをジエチルエーテルで希釈した。このエーテル層を水をもちいて洗浄した後、飽和食塩水で2度洗浄し無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。減圧濃縮により溶媒を留去すると標題の化合物(5.1g)が黄色の板状晶として得られた。
H−NMR(CDCl)δ:8.06(2H、brs).
MS(EI)m/z:218(M).
(b)2−アミノ−4−クロロ−6−ニトロフェノール
参考例5(a)の化合物(4−クロロ−2,6−ジニトロフェノール、5.1g、23.7mmol)を無水エタノール(106ml)へ溶解し5N塩酸(28.4ml)を加えた後、25℃にて塩化第一スズ水和物(16g)を徐々に加えた。15分撹拌後、減圧濃縮により溶媒を留去し、残さをn−ヘキサンで希釈した。この溶液を水により二度洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮により溶媒を留去し標題の化合物(2g)を赤褐色の粉体として得た。
MS(EI):m/z188(M).
(c)2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−クロロ−6−ニロフェノール
参考例5(b)の化合物(2−アミノ−4−クロロ−6−ニトロフェノール、0.376g)を1、2−ジクロロエタン(12ml)へ溶解後、トリエチルアミン(3ml)、二炭酸ジtertブチル(2ml)、塩酸ヒドロキシルアミン(0.07g)を加えた。加熱還流下3時間撹拌した後、水(10ml)を加えて反応を停止し、n−ヘキサン(30ml)で希釈、有機層を水20mlで洗浄した。この有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ減圧濃縮により溶媒を留去し油状の粗生成物(1.2g)を得た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=5:95)にて精製することにより標題の化合物(0.45g)を黄色結晶として得た。
H−NMR(CDOD)δ:1.44(9H,s),7.63(1H,m),8.18(1H,br).
MS(TSP)m/z:287(M−1).
(d)7−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−クロロ−2−ルカプトベンゾオキサゾール
参考例5(c)の化合物(2−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−4−クロロ−6−ニトロフェノール、1.0g)を無水エタノール(20ml)へ溶解し、不活性ガス気流下にてプラチナ オン スルヒド カーボン(0.1g)を懸濁させた。20℃にて雰囲気を水素ガスへ置換し約2時間撹拌した。反応終了後セライトを用いて速やかに触媒をロ別した。ろ液に二硫化炭素(10ml)、水酸化カリウム(0.97g)を添加し、60℃にて約2時間撹拌した。反応液は室温まで冷却後、減圧濃縮により溶媒を留去し残さを水(20ml)に溶解した。この水溶液に1N塩酸を少量ずつ加え、pHを7.0に調整した際に析出する固体をろ取し、減圧乾燥することにより標題の化合物(1.5g)を得た。
H−NMR(CDOD)δ:1.45(9H,s),6.78(1H,d,J=1.9Hz),7.03(1H,d,J=1.9Hz).
参考例6
5,7−ジクロロ−2−メルカプト−6−メチルベンゾオキサゾール(a)2,4−ジクロロ−3−メチル−6−ニトロフェノール
1,4−ジクロロ−3−メチルフェノール(5g)を酢酸(12.5ml)へ溶解し、この溶液に濃硫酸(d=1.86、50ml)を加える。氷冷下にて混酸(70%硝酸2.5ml+濃硫酸10ml)を30分以上の時間をかけて徐々に加えたのち室温まで昇温し、そのまま約2時間撹拌した。この反応液を氷水(50ml)に注ぎ入れ、析出した固体をろ取、乾燥することにより標題の化合物(5.22g)を赤黄色の固体として得た。
H−NMR(CDCl)δ:8.06(2H、brs).
MS(EI)m/z:218(M).
(b)5,7−ジクロロ−2−メルカプト−6−メチルベンゾオキサゾール
参考例6(a)の化合物(2,4−ジクロロ−3−メチル−6−ニトロフェノール、2.1g)をエタノール(40ml)と酢酸エチル(40ml)の混液に溶解し、不活性ガス気流下、プラチナ オン スルヒド カーボン(0.2g)を懸濁させた。25℃にて雰囲気を水素ガスへ置換し、そのまま約20時間反応させた。反応液よりプラチナ触媒をろ別した後、ろ液へ無水エタノール(40ml)、二硫化炭素(20ml)を加えた後、水酸化カリウム(0.6g)を添加し、60℃にて8時間反応させた。反応液は室温まで冷却した後、減圧濃縮により溶媒を留去し、残さを水(20ml)に溶解した。この水溶液に塩酸を加え、液性を弱酸性(pH=4)とした。析出物をろ取し減圧乾燥することにより標題の化合物(0.73g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.50(3H、s)、7.15(1H、s).
MS(EI)m/z:233(M−1).
参考例7
5−クロロ−2−メルカプト−6、7−ジメチルベンゾオキサゾール
(a)4−クロロ−2,3−ジメチル−6−ニトロフェノール
2,3−キシレノール(5g、40.9mmol)をトルエン(100ml)へ溶解し2−アミノピリジン(0.3g、3.2mmol)を加えた。撹拌しながら室温にて塩化チオニル(3.3ml)を加え、つづいて70℃にて15時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、減圧濃縮にて過剰の試剤と溶媒を留去し油状の物質を得た。このものを酢酸(12.5ml)へ溶解した後、濃硫酸(50ml)を加え、室温にて混酸(70%硝酸2.5ml+濃硫酸10ml)を30分以上要して滴下した。そのまま2時間撹拌を続けた後、氷水(500ml)に注ぎ入れ、析出物をろ取、乾燥して粗生成物(3.8g)を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1v/v)にて精製し標題の化合物(1.5g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.18(3H、s)、2.24(3H、s)、6.72(1H、s).
MS(EI)m/z:201(M)、203(M+2).
(b)5−クロロ−2−メルカプト−6,7−ジメチルベンゾオキサゾール
参考例7(a)の化合物(4−クロロ−2,3−ジメチル−6−ニトロフェノール、1.51g、7.51mmol)をエタノール(15ml)、酢酸エチル(25ml)の混液に溶解し、不活性ガス気流下プラチナ オン スルヒド カーボン(0.15g)を懸濁させた。次いで雰囲気を水素ガスへ置換しそのまま3時間撹拌した。プラチナ触媒をろ別して得られる溶液に無水エタノール(40ml)と二硫化炭素(20ml)を加え、水酸化カリウム(1.24g)を添加した後、60℃にて4時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、減圧濃縮により溶媒を留去し残さを適当量の酢酸エチルと1N水酸化ナトリウム水溶液で希釈した。この溶液の水層部を取り出し、濃塩酸にて液性を弱酸性(pH=4)に調整した。析出物をろ取し減圧乾燥することにより標題の化合物1.01g)を得た。
H−NMR(CDOD)δ:2.39(3H,s),2.43(3H,s),7.09(1H,s).
MS(EI)m/z:213(M)、215(M+2).
参考例8
5,7−ジクロロ−2−メルカプトベンゾオキサゾール
4,6−ジクロロ−2−ニトロフェノール(5g)をエタノール(50ml)と酢酸エ
チル(100ml)の混液に溶解し、不活性ガス気流下、プラチナ オン スルヒド カーボン(0.5g)を懸濁させた。20℃にて雰囲気を水素ガスに置換し、そのまま約4時間撹拌した。プラチナ触媒を反応液よりろ別し、ろ液に無水エタノール(100ml)、二硫化炭素(50ml)、水酸化カリウム(1.6g)を順次加えた後、60℃にて約1時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後減圧濃縮により溶媒を留去し、得られる残さを適当量の酢酸エチルと水で希釈した。この溶液の水層部を濃塩酸を用いてpH=5に液性を調整した。析出物をろ取し減圧乾燥することにより、標題の化合物(4.7g)を白色の固体として得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.09(1H,m),7.26(1H,m).
実施例1
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール及びその塩酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩の調整
(a)5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール
窒素雰囲気下、5−クロロ−2−メルカプト−7−メチルベンゾオキサゾール(70g、35mol)のトルエン(1.4L)の懸濁液に攪拌下、ホモピペラジン(70g、0.35mol)を加え、3時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却後、酢酸エチル(0.7L)と水(0.7L)の混合液に投入し、攪拌下6N塩酸(55mL)を滴下してpHを7.5とした。分離した有機層は水(1.2L)にて洗浄した。残った有機層に水(1.2L)を加えた後、攪拌下6N塩酸を滴下してpHを1〜1.5とした。分離した水層に酢酸エチル(1.4L)を加え、続いて5N水酸化ナトリウム水溶液(180mL)を攪拌下加えてpHを8.0とした。分離した有機層を水(1.4L)にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して標題の化合物を粗生成物(59g)として得た。この粗生成物の酢酸エチル(1.2L)溶液に活性炭(1.5g)を加え、室温で30分間攪拌した後、活性炭を瀘去し溶媒を減圧下留去した。得られた固体にアセトニトリル(177mL)を加え60℃に加温して攪拌、溶解する。均一になった溶液を1時間かけて室温まで放冷し、その後さらに5℃まで冷却する。析出した結晶を濾取し40℃で減圧下4時間乾燥して、標題の化合物(34g)を得た。
mp:93−94℃H−NMR(CDCl)δ:1.81(1H,s),1.90(2H,m),2.30(3H,s),2.90(2H,t,J=5.6Hz),3.00(2H,m),3.71(4H,m),6.70(1H,d,J=1.2Hz),7.00(1H,d,J=1.2Hz).
元素分析値:測定値(%)C,58.5;H,6.1;N,15.7C1316OClとしての計算値(%)C,58.7;H,6.1;N,15.8
(b)5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール塩酸塩
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール(12g)を酢酸エチル(200mL)に溶解し、室温にて攪拌しながら4N塩酸−酢酸エチル(16.9mL)(国産化学社)を滴下する。滴下後、氷冷して30分間攪拌し、生じた無色沈殿を濾取した。減圧下、35℃にて4時間乾燥して標題の化合物(14.5g)を得た。
H−NMR(DO)δ:2.11(2H,m),2.16(3H,s),3.27(2H,m),3.35(2H,m),3.68(2H,m),3.88(2H,m),6.78(1H,s),6.90(1H,s).
(c)5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール硫酸塩
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール(2.5g)の酢酸エチル(75mL)溶液に、別途調製した硫酸−メタノール溶液[95%硫酸(0.53mL)にメタノールを加えて全量を12.5mLに調製した]を室温にて攪拌しながら滴下した。氷冷して1時間攪拌し、生じた無色沈殿を濾取した。減圧下、35℃にて5時間乾燥して標題の化合物(3.3g)を得た。
[実施例1(c)別法1]
実施例1(a)の化合物[5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール、2900g)を1N硫酸(5.8L)へ溶解し、この水溶液へエタノール(145L)、酢酸エチル(99L)を順次加えた。5℃にて一晩撹拌した後、析出物をろ取し40℃にて約6時間真空乾燥すると標題の化合物(3200g)を白色の結晶として得た。
[実施例1(c)別法2]
実施例1(a)の操作において得られる5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール(824g)を含有する反応祖生成物の酢酸エチル溶液(13.4L)にエタノール(20L)を加え次いで2N硫酸水溶液(2.98L)を添加した。この溶液に酢酸エチル(6.6L)を加え、5℃にて一晩撹拌した。析出物をろ取し、40℃にて真空乾燥することにより標題の化合物(1010g)を白色粉末として得た。
H−NMR(DO)δ:2.19(2H,m),2.19(3H,s),3.30(2H,m),3.41(2H,m),3.76(2H,m),3.98(2H,m),6.89(1H,s),6.99(1H,s).
元素分析値:測定値(%)C,40.5;H,5.5;N,10.5C1318Clとしての計算値(%)C,42.92;H,4.99;N,11.55
(d)5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾールメタンスルホン酸
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール(2.5g)の酢酸エチル(75mL)溶液に、別途調製したメタンスルホン酸−メタノール溶液[スタンスルホン酸(0.61mL)にメタノールを加えて全量を12.5mLに調製した]を室温にて攪拌しながら滴下する。滴下後室温にて1時間、更に氷冷して1時間攪拌し、生じた無色沈殿を濾取した。減圧下、40℃にて5時間乾燥して標題の化合物(3.0g)を得た。
H−NMR(DO)δ:2.09(2H,m),2.12(3H,s),2.66(3H,m),3.26(2H,m),3.33(2H,m),3.64(2H,m),3.82(1H,s),6.69(1H,s),6.82(1H,s).
実施例2
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メトキシベンゾオキサゾール
5−クロロ−2−メルカプト−7−メトキシベンゾオキサゾール(250mg、1.16mmol)とホモピペラジン(232mg)より、実施例1の(a)と同様にして標題の化合物(127mg)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.95(2H,m),2.10(1H,br),2.92(2H,t,J=5.8Hz),3.07(2H,m),3.0(2H,m),3.79(4H,m),3.94(3H,s),6.58(1H,d,J=2.0Hz),6.96(1H,d,J=2.0Hz).
MS(TSP):m/z282(M+1).
実施例3
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−6−メチルベンゾオキサゾール
5−クロロ−2−メルカプト−6−メチルベンゾオキサゾール(200mg、1.16mmol)とホモピペラジン(200mg)より、実施例1の(a)と同様にして標題の化合物(115mg)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.95(4H,m),2.39(3H,s),2.92(2H,t,J=5.6Hz),3.07(2H,m),3.0(2H,m),3.78(4H,m),7.10(1H,s),7.30(1H,s).
MS(TSP):m/z266(M+1).
実施例4
5−クロロ−7−エチル−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール
5−クロロ−7−エチル−2−メルカプトベンゾオキサゾール(200mg、1.16mmol)とホモピペラジン(188mg)より、実施例1の(a)と同様にして標題の化合物(177mg)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.29(3H,t,J=7.6Hz),1.97(2H,m),2.10(1H,br),2.75(2H,q,J=8.4Hz),2.93(2H,d,J=5.8Hz),3.08(2H,m),3.80(4H,m),6.81(1H,d,J=2.0Hz),7.14(1H,d,J=1.9Hz).
実施例5
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−ヒドロキシメチルベンゾオキサゾール
5−クロロ−7−ヒドロキシメチル−6−メチルベンゾオキサゾール(20mg、0.23mmol)とホモピペラジン(46mg)より、実施例1の(a)と同様にして標題の化合物(177mg)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:2.11(2H,br),3.22(2H,br),3.33(1H,br),3.44(2H,br),3.77(2H,m),3.94(2H,m),4.65(2H,s),7.05(1H,s),7.23(1H,s),9.18(br).
実施例6
7−アセトアミノ−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール
参考例3の化合物(7−アセトアミノ−5−クロロ−2−メルカプトベンゾオキサゾール、292mg、1.20mmol)とホモピペラジン(482mg)より、実施例1の(a)と同様にして標題の化合物(173mg、46%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.95(2H,m),2.25(3H,s),2.93(2H,t,J=5.6Hz),3.07(2H,m),3.78(4H,m),7.08(1H,br),7.71(1H,br).
MS(EI)m/z:308(M).
実施例7
7−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール
参考例5の化合物(7−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−クロロ−2−メルカプトベンゾオキサゾール、1.15g、3.82mmol)とホモピペラジン(1.91g)より、実施例1の(a)と同様にして標題の化合物(1.34g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.56(9H,s),1.96(2H,m),2.93(2H,m),3.09(2H,m),3.78(2H,m),3.81(2H,m),6.58(1H,br),7.01(1H,d,J=2Hz),7.65(0.8H,br).
MS(TSP)m/z:367(M+1).
実施例8
7−アミノ−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール塩酸塩
実施例7の化合物(7−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール、0.68g、1.87mmol)に5N塩酸10mlを加え、5℃にて1時間反応させた。過剰の塩酸と水分を減圧濃縮により留去したのち残さをエタノールに懸濁させ析出物をろ取・乾燥することにより標題の化合物(0.45g)を塩酸塩として得た。
H−NMR(DO)δ:2.14(2H,m),3.29(2H,m),3.41(2H,m),3.75(2H,m),3.94(2H,m),6.67(1H,d,2Hz),6.81(1H,d,J=1.9Hz).
MS(EI)m/z:266(M).
実施例9
5,7−ジクロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール
参考例8の化合物(5,7−ジクロロ−2−メルカプトベンゾオキサゾール、0.17g、0.59mmol)とホモピペラジン(0.89g)より、実施例1の(a)と同様にして標題の化合物(0.18g)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.98(2H,m),2.95(2H,m),3.10(2H,m),3.82(2H,m),3.83(2H,m),6.98(1H,d,J=1.7Hz),7.18(1H,d,J=1.7Hz).
実施例10
5,7−ジクロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−6−メチルベンゾオキサゾール
参考例6の化合物(5,7−ジクロロ−2−メルカプト−6−メチルベンゾオキサゾール、90mg、0.384mmol)とホモピペラジン(115mg)より、実施例1の(a)と同様にして標題の化合物(77mg)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.97(2H,m),2.46(3H,s),2.94(2H.m),3.09(2H,m),3.79(2H,m),3.82(2H,m),7.24(1H,s).
実施例11
5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−6,7−ジメチルベンゾオキサゾール
参考例7の化合物(5−クロロ−2−メルカプト−6,7−ジメチルベンゾオキサゾール、100mg、0.468mmol)とホモピペラジン(141mg)より、実施例1の(a)と同様にして標題の化合物(103mg)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.95(2H,m),2.33(3H,s),2.36(3H,s),2.92(2H,m),3.08(2H,m),3.77(2H,m),3.80(2H,m),7.19(1H,s).
実施例12
7−(ベンジルアミノ)−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール
(a)[7−アミノ−5−クロロ−2−[1−(4−ベンジルオキシカルボニルホモピペラジニル]ベンゾオキサゾール
実施例7の化合物[7−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール、0.2g、0.545mmol)を塩化メチレン(4ml)に溶解後、トリエチルアミン(0.153ml)を添加し5℃にてクロロぎ酸ベンジル(0.094ml)を加えた。約3時間撹拌した後反応液に飽和重曹水(3ml)を加え反応を停止した。この溶液をジエチルエーテル(10ml)で希釈し分液操作を行った。水層部をジエチルエーテル(10ml)にて抽出し、この抽出液と先の有機層をあわせた溶液に水(10ml)を加え、5N塩酸を加えて液性を強酸性とした。分液操作により水層部をとりだし、これに新たにジエチルエーテル(10ml)を加え次いで5N水酸化ナトリウム水溶液にて液性を塩基性とした。この有機層部を飽和食塩水(20ml)により洗浄した後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し減圧濃縮を行うことにより標題の化合物(282mg)を得た。
(b)7−(ベンジルアミノ)−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール
実施例12(a)の化合物[7−アミノ−5−クロロ−2−[1−(4−ベンジルオキシカルボニル)ホモピペラジニル]ベンゾオキサゾール、47mg、0.117mmol}の1、2−ジクロロエタン溶液(2ml)に酢酸(0.067ml)を加え氷冷下、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(50mg)を加えた。約3時間撹拌後飽和重曹水を加えて反応を停止し酢酸エチルで希釈した。この有機層を水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮により溶媒を留去して粗生成物(55mg)を油状物として得た。この油状物を塩化メチレン(2ml)へ溶解し、0℃にて市販の1M三塩化ホウ素/塩化メチレン溶液(0.26ml)を加えそのまま3時間撹拌した。次いで飽和重曹水を用いて反応を停止し酢酸エチルで希釈、有機層を水で洗浄した。有機層は無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥後、溶媒を減圧留去することにより表題の化合物を粗生成物として得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=5:1v/v)にて精製して標題の化合物(7mg)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.87(2H,m),2.86(2H,m),2.98(2H,m),3.69(2H,m),3.70(2H,m),4.36(2H,s)6.30(1H,d,J=1.9Hz),6.69(1H,d,J=1.7Hz),7.22−7.34(5H,m).
MS(TSP)m/z:357(M+1).
実施例13
5−クロロ−7−エチルアミノ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール
実施例8の化合物(7−アセトアミノ−5−クロロ−2−(1−ホモピベラジニル)ベンゾオキサゾール、23mg)をTHF(2ml)へ溶解し、0℃にてリチウムアルミニウムヒドリド(13mg)を加えてそのまま約3時間撹拌した。水(1ml)にて反応を停止した後、この溶液を酢酸エチルで希釈した。有機層を水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥させ減圧濃縮により溶媒を留去することにより、標題の化合物(4mg)を得た。
H−NMR(DO)δ:1.15(3H,t,J=7.3Hz),2.14(2H,m),3.29(2H,m),3.31(2H,m),3.40(2H,m),3.75(2H,t,J=5.8Hz)3.94(2H,t,J=5.1Hz),6.85(1H,d,J=1.7Hz),7.02(1H,d,J=1.4Hz).
MS(FAB)m/z:295(M+1).
実施例14
5−クロロ−7−メタンスルホニルアミノ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール
(a)7−アミノ−5−クロロ−2−[1−(4−tert−ブチルオキシカルボニル)ホモピペラジニル]ベンゾオキサゾール
実施例8の化合物(7−アミノ−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール、0.12g]を塩化メチレン(12ml)に溶解し、トリエチルアミン(0.25ml)を添加した。この溶液を氷冷し、二炭酸ジtertブチル(0.170ml)を加え、約3時間撹拌した。飽和重曹水(5ml)を加えて反応を停止し、酢酸エチル(20ml)により希釈した。この有機層を飽和食塩水(20ml)で2回洗浄し、得られる有機層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥後減圧濃縮を行い溶媒を留去し、標題の化合物(0.272g)を灰黒色の油状物として得た。
(b)5−クロロ−7−メタンスルホニルアミノ−2−(1−ホモピペラジニルベンゾオキサゾール塩酸
実施例14(a)の化合物{7−アミノ−5−クロロ−2−[1−(4−tert−ブチルオキシカルボニル)ホモピペラジニル]ベンゾオキサゾール、45mg、0.123mmol}を塩化メチレン(2ml)へ溶解し、0℃にてトリエチルアミン(0.052ml)、メタンスルホニルクロリド(0.01ml)を順次添加した。そのまま3時間撹拌したのち飽和重曹水を用いて反応を停止させた。反応液は酢酸エチルを用いて希釈し有機層を水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液に4N塩化水素酢酸エチル(1ml)を加え、析出する固体をろ取することにより標題の化合物(20mg)を得た。
H−NMR(CDOD)δ:2.22(2H,m),3.05(3H,s),3.35(2H,m),3.47(2H,m),3.86(2H,t,J=6.1Hz),4.04(2H,t,J=5.6Hz),7.10(2H,m).MS(FAB)m/z:345(M+1).
実施例15
7−ベンゾイルアミノ−5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール塩酸塩
実施例14(a)の化合物{7−アミノ−5−クロロ−2−[1−(4−tert−ブチルオキシカルボニル)ホモピペラジニル]ベンゾオキサゾール、48mg、0.130mmol}を塩化メチレン(2ml)へ溶解し、0℃にてトリエチルアミン(0.056ml)、ベンゾイルクロリド(0.031ml)を順次添加した。そのまま3時間撹拌したのち飽和重曹水を用いて反応を停止させた。反応液は酢酸エチルを用いて希釈しその有機層を水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液に4N塩酸/酢酸エチル(1ml)を加え、析出する固体をろ取することにより標題の化合物(20mg)を得た。
H−NMR(CDOD)δ:2.28(2H,m),3.42(2H,m),3.53(2H,m),3.92(2H,t,J=6.1Hz),4.09(2H,m),7.25(1H,d,L=2.0Hz),7.37(1H,d,J=2.0Hz),7.55(2H,t,J=7.3Hz),7.64(1H,t,J=7.5Hz),7.98(2H,m).
MS(FAB)m/z:371(M+1).
実施例16
5−クロロ−7−イソブチリルアミノ−2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール塩酸塩
実施例14(a)の化合物{7−アミノ−5−クロロ−2−[1−(4−tert−ブチルオキシカルボニル)ホモピペラジニル]ベンゾオキサゾール、58mg、0.159mmol}を塩化メチレン(2ml)へ溶解し、0℃にてトリエチルアミン(0.067ml)、イソ酪酸クロリド(0.013ml)を順次添加した。そのまま3時間撹拌したのち飽和重曹水を用いて反応を停止させた。反応液は酢酸エチルを用いて希釈しその有機層を水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液に4N塩酸/酢酸エチル(1ml)を加え、析出する固体をろ取することにより標題の化合物(45mg)を得た。
H−NMR(CDOD)δ:1.24(6H,d,J=7.1Hz),2.32(2H,m),2.79(1H,m),3.44(2H,m),3.57(2H,m)3.94(2H,m),4.15(2H,m),7.19(1H,d,J=1.9Hz),7.54(1H,d,J=1.9Hz).
MS(FAB)m/z:337(M+1).
製剤例1
錠剤の調製 実施例1の化合物の塩酸塩(3.0g)、乳糖(83.0g)、カルボキシメチルスターチナトリウム(10.0g)及びヒドロキシプロピルセルロース(3.0g)を混合し、精製水(6.0g)を加えて混和することで造粒、乾燥、整粒篩過し、得られた顆粒にステアリン酸マグネシウム(1.0g)を加えて混和した後これを100mg打錠することで、1錠当たり3.0mgの実施例1の化合物の塩酸塩を含有する錠剤を得た。
製剤例2
顆粒剤の調製 実施例1の化合物の硫酸塩(5.0g)、乳糖(759.5g)、エリスリトール(200.0g)、ヒドロキシプロピルセルロース(30.0g)を混合し、精製水(70.0g)を加えて混和することで造粒、乾燥、整粒篩過し、ステアリン酸マグネシウム(5.0g)及び香料(0.5g)を加えて混和することで、1.0g当たり5.0mgの実施例1の化合物の硫酸塩を含有する顆粒剤を得た。
製剤例3
注射剤の調製 実施例1の化合物の塩酸塩(60.0mg)を目局注射用蒸留水(90m
L)中に溶解させ、さらに日局注射用蒸留水を加えて100.0mLに定容した。得られた溶液を常法により濾過、バイアル充填(5.0mLずつ)、凍結乾燥の各工程を経て密封し、1バイアル当たり3.0mgの実施例1の化合物の塩酸塩を含有する注射用製剤を得た。本製剤は、用時日局生理食塩液(5.0mL)や日局ブドウ糖注射液(5%、5.0mL)などに溶解させ、得られた溶液を直接静脈内または皮下等に投与することが可能であり、または、得られた溶液を別途用いる点滴用の注射液内に混合して投与することも可能である。
製剤例4
坐剤剤の調製 実施例1の化合物のメタンスルホン酸塩(150.0mg)を融解させた油脂性坐剤基剤(ウィテプゾールH15、499.85g)と熱時混和し、鋳型に充填(1.0g)した後冷却することにより、1個当たり3.0mgの実施例1の化合物のメタンスルホン酸塩を含有する坐剤を得た。
試験例1
5−HT受容体活性作用試験 本発明によるベンゾオキサゾール化合物のうち代表的化合物、特開平6−345744号記載の化合物である2−(1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール(A)及び特開平10−29987号記載の化合物である5,7−ジメチル−2−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール(B)、5,7−ジメチル−2−(1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール(C)、5−クロロ−7−メチル−2−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール(D)、5−クロロ−7−メチル−2−(4−メチル−1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール(E)及び本発明記載の参考例3の化合物5−クロロ−7−メチル−2−(1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール(F)のセロトニン5−HT受容体拮抗作用、セロトニン5−HT受容体活性作用を以下の方法により測定し、結果を表1に示した。
Hartley系雄性モルモット(500g〜800g)の回腸より、約20mmの縦走筋標本を作成した。マグヌス管内に約0.5gの静止張力で懸垂し、等尺性に収縮反応を測定した。予め0.3μMの5−HTで1時間処理を2回行い、5−HT受容体を脱感作した標本に0.1〜30μMの濃度で5−HTを与えることにより、5−HT受容体を介した濃度依存的な収縮反応を観察したところ、10μMで最大反応を示した。5−HT受容体活性作用の指標であるi.a.は5−HT10μMで得られる最大収縮反応を1としたときの、各化合物による最大反応の割合で示した。5−HT受容体との結合の強さの指標であるpDは化合物の最大収縮反応の50%を得られる濃度(モル濃度)の負対数値で表した。また、各化合物の5−HT受容体に対する拮抗作用は、各化合物未処理時の標本に5−HT10μMを与えることにより得られる収縮に対する、化合物10μMを予め処理した標本に5−HT10μMを与えることにより得られる収縮の比により、抑制率を求めた。
【表1】
Figure 0004557112
試験例2
ラット拘束ストレス下の下痢抑制作用 本発明記載の実施例1の(b)の化合物、特開平10−29987号記載の化合物である5,7−ジメチル2−(1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール(C)の塩酸塩、5−クロロ−7−メチル−2−(4−メチル−1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール(E)の塩酸塩及びグラニセトロン(G)のラット拘束ストレス下の下痢抑制作用をC.L.Williamsらの方法[GASTROENTEROLOGY,94,611−621(1988)]にしたがって以下の様により測定し、非線形最小2乗法により解析した。その結果を表2に示した。 Wistar系8週齢のオスラットを試験前日の夕刻より絶食させた。各被験化合物を経口投与し、30分後にラットの前肢、後肢をワイヤーで縛り拘束した。ラットは白色シート上、蛍光灯の下、個別ゲージに3時間放置し、肛門付近の毛が便で汚れているか便の性状が形状を保っていない場合を下痢と判定した。試験は1群8匹で実施した。
【表2】
Figure 0004557112
試験例3
正常マウスの大腸輸送能に及ぼす影響 本発明記載の実施例1の(b)の化合物、特開平10−29987号記載の化合物である5,7−ジメチル2−(1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール(C)の塩酸塩、5−クロロ−7−メチル−2−(4−メチル−1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール(E)の塩酸塩及びグラニセトロン(G)の正常マウスの大腸輸送能に及ぼす影響を以下のPendleton,R.G.らの方法[DrugDev.Res.9,241−247,(1986)]にしたがって測定し、その結果を表3に示した。
約4時間絶食下ddY系5〜7週齢の雄性マウスに被験化合物を経口投与し、30分後に肛門より3cmの結腸内に直径約3mmのガラスビーズ1個を挿入した。ガラスビーズ挿入後、肛門より排出されるまでの時間(秒)を測定し、大腸輸送能の指標とした。試験は1群9〜11匹で行い、全て無麻酔下で実施した。
【表3】
Figure 0004557112
試験例4
in vitro系でのヒト肝における代謝活性試験 本発明記載の実施例1の(b)の化合物、特開平10−29987号記載の化合物である5,7−ジメチル−2−(1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール(C)の塩酸塩、5−クロロ−7−メチル−2−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール(D)の塩酸塩、5−クロロ−7−メチル−2−(4−メチル−1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール(E)の塩酸塩のヒト肝における代謝活性を下記のようにヒトS9画分を用いたin vitro系試験により測定した。その結果を表4に示した。
ヒト肝S9画分を用いたin vitro系では、次に示すNADPH産生系存在下で実施した。すなわち、各成分の最終濃度を調整(当該化合物50μmol/L、MgCl・6HO 6mmol/L、β−NADP1mmol/L、glucose−6−phosphate(G−6−P) 10mmol/L、G−6−P dehydrogenase 0.7U/mL、potassium Phosphate(pH7.4) 100mmol/L、EDTANa0.1mmol/L及びヒト肝S91mg/mL)した全量125μLの反応混液を作製し、これを37℃にて15分間インキュベーションした後、内部標準物質を含むN,N−Dimethylformamide125μLを加え反応を停止させた。遠心分離(2,000×g、10分)した後、上清をHPLCに供し未変化体濃度を測定した。なお代謝速度は、未変化体濃度より消失量を求め、単位タンパク量当たりの活性として示した。尚、実施例1の化合物と化合物C及びEを測定する際には化合物Dを内部標準物質として用いた。化合物D測定する際には、特開平10−29987号記載の化合物である5,7−ジクロロ−2−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾールを内部標準物質とした。
【表4】
Figure 0004557112
試験例5
復帰突然変異試験 本発明記載の実施例1の(b)の化合物、特開平10−29987号記載の化合物である5,7−ジメチル−2−(1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール(C)の塩酸塩、5−クロロ−7−メチル−2−(4−メチル−1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール(D)の塩酸塩、5−クロロ−7−メチル−2−(4−メチル−1−ホモピペラジニル)ベンゾオキサゾール(E)の塩酸塩及び本発明記載の参考例4の化合物5−クロロ−7−メチル−2−(1−ピペラジニル)ベンゾオキサゾール(F)の塩酸塩について、ORGANIZATION FOR EONOMIC CO−OPERATION AND DEVELOPMENTのガイドライン471に引用されているT.MATSUSIMAらの方法[Noropoth K.H.ら著(Springer,Berlin−Heidelberg−New York),1980年“Short−Term Test Systems For Detecting Carcinogens”pp.273−285]に記載の方法により復帰突然変異原性試験を実施した。
その結果、本発明記載の実施例1の(b)の化合物及び化合物(C)の塩酸塩、(D)の塩酸塩及び(E)の塩酸塩の復帰突然変異原性は陰性と判定された。化合物(F)の塩酸塩の復帰突然変異原性は陽性と判定された。
試験例6
毒性試験 本発明記載の実施例1の(b)の化合物を蒸留水に懸濁させたものを、7週齢の雄性マウス(5匹)に経口投与した。実施例1の(b)の化合物の投与量300mg/kgでは、死亡例は示さなかった。
産業上の利用可能性
本発明によるベンゾオキサゾール誘導体は、強い5−HT受容体拮抗作用と5−HT受容体活性作用を併せ持つ5−HT受容体部分活性作用薬であり(試験例1参照)、拘束ストレスにより誘発された下痢に対して強い抑制効果を示した(試験例2参照)。加えて、本発明化合物は正常マウスの大腸輸送能に影響を及ぼすことがない(試験例3参照)。また、本発明化合物はヒト肝における代謝を受け難く(試験例4参照)、さらに復帰突然変異性も低い(試験例5参照)。 以上の事実より、本発明化合物を有効成分とする5−HT受容体部分活性作用薬は過敏性腸症候群、消化管機能障害もしくは下痢の予防または治療薬として有用である。特に過敏性腸症候群のためには、 5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール、又はその塩を含む医薬が有用である。

Claims (5)

  1. 5−クロロ−2−(1−ホモピペラジニル)−7−メチルベンゾオキサゾール、又はその塩を有効成分とする下痢抑制作用薬。
  2. 請求項1に記載の化合物及び製薬学的に許容されるその塩、並びにこれらの水和物及びこれらの溶媒和物からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む下痢抑制作用薬
  3. 過敏性腸症候群、下痢型過敏性腸症候群、消化管機能障害の症状、又は下痢の症状の予防及び/又は治療のための請求項2に記載の下痢抑制作用薬
  4. 請求項2又は請求項3のいずれか1項に記載の下痢抑制作用薬の製造のための請求項1に記載の化合物又はその塩の使用。
  5. 過敏性腸症候群、消化管機能障害の症状、又は下痢の症状の予防及び/又は治療方法であって、請求項1に記載の化合物及び製薬学的に許容されるその塩、並びにこれらの水和物及びこれらの溶媒和物からなる群から選ばれる物質の予防及び/又は治療有効量を非ヒト哺乳類動物に投与する工程を含む方法。
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