以下、本発明の第1の実施の形態の例について、図1〜図27を参照して説明する。
図1は、本実施の形態を適用したテレビジョン放送局用のカメラ伝送システムの全体構成を示す図である。このカメラ伝送システムは、複数台の放送用カメラ1とCCU(カメラコントロールユニット)2とで構成されており、各放送用カメラ1が光ファイバーケーブル3でCCU2に接続されている。
放送用カメラ1は、同一構成のものであり、4k×2k信号(4kサンプル×2kラインの超高解像度信号)として、LSDIに相当する3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号を生成し、送信する信号送信装置5として機能するカメラである。
CCU2は、各放送用カメラ1を制御したり、各放送用カメラ1から映像信号を受信したり、各放送用カメラ1のモニタに他の放送用カメラ1で撮影中の映像を表示させるための映像信号(リターンビデオ)を送信するユニットである。CCU2は、各放送用カメラ1から映像信号を受信する信号受信装置として機能する。
図2は、放送用カメラ1の回路構成のうち、本実施の形態に関連する部分を示すブロック図である。放送用カメラ1内の撮像部及び映像信号処理部(図示略)によって生成された3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号が、音声信号多重部10に送られる。音声信号多重部10(以下、フォーマッタと称する場合もある。)は、所定の周波数(例えば、48kHz、96kHz)でオーディオサンプリングされたビデオラインに続く水平補助データスペース(Horizontal ancillary data space)に、オーディオデータパケットを多重する。そして、音声信号多重部10は、マッピング部11にオーディオデータパケットが多重された入力映像信号を送る。
3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号は、ワード長が12ビットずつのGデータ系列,Bデータ系列,Rデータ系列の同期を取って並列配置した、36ビット幅の信号である。1フレーム期間は1/24秒,1/25秒,1/30秒のうちのいずれかであり、1フレーム期間内に2160の有効ライン期間が含まれている。
入力映像信号の有効ライン(水平ライン)期間には、タイミング基準信号EAV(End of Active Video)と、ライン番号LNと、誤り検出符号CRCと、水平ブランキング期間(補助データスペース/未定義ワードデータの区間)と、タイミング基準信号SAV(Start of Active Video)と、映像データの区間であるアクティブラインとが配置される。アクティブラインのサンプル数は3840であり、Gデータ系列,Bデータ系列,Rデータ系列のアクティブラインには、それぞれG,B,Rの映像データが配置される。
図3は、所定のサンプリング周波数でサンプリングしたオーディオデータをサブフレーム1,2で送る場合のオーディオデータパケットの構成例の一部を示す図である。オーディオデータパケットのデータ構造は、SMPTE299Mによって定められる。
図3(a)は、48kHzのサンプリング周波数でサンプリングしたオーディオ(以下、48kHzオーディオという。)をサブフレーム1,2で送る場合のオーディオデータパケットの例である。このオーディオデータパケットは、2ワードのユーザデータワード(UDW:User Data Word)を含むクロック領域と、4ワードのUDWを含むCH1〜4で構成される。ユーザデータワードは、オーディオクロック位相データ(CLK)、CHn(オーディオデータ)、誤り訂正コード(ECC:Error Correction Codes)の3種類のデータを含む。ユーザデータワードに含まれるデータの内容は、後述する。
図3(b)は、96kHzのサンプリング周波数でサンプリングされたオーディオ(以下、96kHzオーディオという。)をサブフレーム1,2で送る場合のオーディオデータパケットの例を簡略化して示す。このオーディオデータパケットは、2ワードのUDWを含むクロック領域と、4ワードのUDWを含むCH1,1,2,2で構成される。
クロック領域には、次表2に示すように、オーディオクロック位相データが挿入される。また、所定のサンプリングクロックでサンプルされたオーディオサンプル位置は、各フレームの一水平期間中の74.25MHzでのサンプル位置で定義される。オーディオデータパケットは、フォーマッタによって、Hブランキング期間に多重される。
どこでオーディオが発生したかを示すオーディオ位相は、表2(SMPTE299M)のオーディオクロック位相データに従って定められる。そして、オーディオクロック位相データは、ck0〜ck12の13ビットで定められる。ck0〜ck12までのビットは、フォーマッタに入力したオーディオサンプルと同時に入力した画素サンプルと、映像ストリームのEAVの最初のワードとの差の映像クロック数を表示する。そして、ck0〜ck12は、SMPTE292Mによる74.25MHzのサンプリングクロックを使用するシステムでは、所定のサンプリングクロックでサンプルされたオーディオサンプルが挿入された一水平期間におけるオーディオ位相を、8192クロックまで管理することができる。
デジタルオーディオ シリアルインタフェース規格であるAES3―2003のFigure2には、サブフレームフォーマットが定められている。また、フレームフォーマットとして、2チャンネルモードの場合、2チャンネルの48kHzオーディオを、連続したサブフレーム1,2で送る旨が規定されている。また、SMPTE299Mには、48kHzオーディオをチャンネル1,2に入れることについて規定されている。
従来は、図3(a)に示すように、チャンネル1は、サブフレーム1で送られ、チャンネル2は、サブフレーム2で送られる。さらに、チャンネル3は、サブフレーム1で送られ、チャンネル4は、サブフレーム2で送られる。
本実施の形態では、信号送信装置5と、受信側の機器との間で、信号伝送時の互換性を有するために、96kHzオーディオのチャンネル1の連続したオーディオサンプル(第1及び第2のオーディオサンプル)を、チャンネル1,2に入れる。さらに、96kHzオーディオのチャンネル2の連続したオーディオサンプルを、チャンネル3,4に入れる。そして、図3(b)に示すように、1チャンネルの96kHzオーディオの連続したサンプルのうち、チャンネル1を、連続するサブフレーム1,2で送る。そして、チャンネル2を、連続するサブフレーム1,2で送ることを特徴としている。
さらに、本実施の形態では、96kHzオーディオのオーディオデータパケットに定義されるクロック位相を、連続した2つのオーディオサンプル(第1及び第2のオーディオサンプル)のうち、第2のオーディオサンプルの位置で定めることを特徴とする。以下、音声信号多重部10が行う処理の例について、データフォーマットと合わせて説明する。
図4は、本実施の形態に係るAES3で定義される96kHzオーディオとオーディオデータパケットとの関係を示す。
AESオーディオは、AES3で規定される1つのAESデジタルストリームに含まれる全てのVUCPデータ、オーディオデータ及び付加データを指す。
そして、2つのAESサブフレームを、チャンネル1のAESサブフレームと、チャンネル2のAESサブフレームの順に並べたフレームを、AESフレームという。
図4に示すAES3で定義される96kHzオーディオチャンネル2には、AESサブフレーム1,2が連続して含まれる。連続するチャンネル2には、所定の周波数でサンプリングされた第1及び第2のオーディオサンプルが連続して含まれる。同様に、AESチャンネル1も、AESサブフレーム1,2を連続して有し、連続するチャンネル1には、第1及び第2のオーディオサンプルが含まれる。AESサブフレームは、4ビットのプリアンブル、4ビットの付加データ又はオーディオデータ、20ビットのオーディオデータ、1ビットのV,U,C,Pデータの順に、32ビットで構成される。
オーディオデータは、クロック(CLK)と、チェックサムフィールドの間に、AESチャンネル1の第1のオーディオサンプル(CH1)、AESチャンネル1の第2のオーディオサンプル(CH2)、AESチャンネル2の第1のオーディオサンプル(CH3)、AESチャンネル2の第2のオーディオサンプル(CH4)フィールドと、ECCフィールドを含む。
オーディオデータパケットは、補助データフラグ(ADF)、データID(DID)、データブロックナンバー(DBN)、データカウント(DC)、オーディオクロック位相データ(CLK)、ユーザデータワード(UDW)、チェックサム(CS)フィールドを含む。オーディオデータパケットは、Cb/Crデータストリームの水平補助データスペースに多重される。
映像に同期したオーディオの映像フレーム当りオーディオサンプル数は、次表3に示される。表3には、オーディオサンプリングレートが32.0kHz、44.1kHz、48.0kHz、96.0kHzの場合に、フレーム毎のオーディオサンプル数が示される。
表4は、UDWnに対するチャンネル割当ての例を示す。UDWnとは、n番目のユーザデータワードを意味する。オーディオサンプリングレートが32.0kHz、44.1kHz、48.0kHzの場合と、96.0kHzの場合とで割り当てられるチャンネルが異なることが示される。
図5は、本実施の形態に係るオーディオデータパケットの構成例である。
CH1〜CH4に格納されるデータは、32kHzのサンプリング周波数でサンプリングしたオーディオ(以下、32kHzオーディオという。)44.1kHzでサンプリングしたオーディオ(以下、44.1kHzオーディオという。)又は48kHzオーディオの場合と、96kHzオーディオの場合で異なる。
図6は、本実施の形態に係るビデオライン、デジタル音声のサンプリングポイント、オーディオクロック位相データ間の関係を示す。ここでは、96kHzオーディオのサンプリングポイントについて説明する。
入力音声信号のサンプリングポイントは、各オーディオデータに対して、連続する2つのオーディオサンプル(第1及び第2のオーディオサンプル)で規定される。このような2つのサンプルを、サンプルペアともいう。96kHzオーディオでは、サンプルペアのうち、EAVの先頭から見て、2つ目のオーディオサンプルの位置でオーディオクロック位相が定まる。クロック位相は、初めに、EAVの先頭からオーディオの発生した位置までの時間を、HD−SDIの74.25MHzあるいは74.25/1.001MHzクロックの1クロック期間で割って算定される。さらに、クロック位相は、UDW0,1のオーディオクロック位相データck0〜ck12(0〜8191)に書き込まれる。そして、音声信号多重部10によって、オーディオサンプリングが行われたビデオラインに続く水平補助データスペースに、そのオーディオデータパケットが多重される。また、スイッチングポイントに続く場合、データの誤りを防ぐために、オーディオデータパケットは、1水平ライン分遅延して多重される。
また、96kHzオーディオのデータパケットに定義する多重位置フラグ(mpf:Multiplex Position Flag)についても、サンプルペアのうち、2つ目のオーディオサンプル位置を基準として設定される。オーディオデータパケットの多重位置は、オーディオのサンプリングポイントが発生した水平ラインに対して次のライン、あるいは、さらに1ライン遅れた水平補助データスペース(HANC、水平補助期間ともいう。)である。多重位置フラグ(mpf)は、オーディオデータパケットの多重位置とそれに対応する映像データとの関係を規定する。
図7は、本実施の形態に係る96kHzオーディオの多重位置フラグ(mpf)の規定例を示す。オーディオデータA〜Hは、サンプルペアを含む。
そして、オーディオデータA,B,C,E,F,Gの場合、サンプルペアのうち、第2のオーディオサンプルの位置の次の水平ラインの水平補助データスペースにオーディオデータパケットが多重される。このとき、mpf=0である。
つまり、音声信号多重部10は、所定の周波数でオーディオ信号がサンプリングされたサンプリングポイントが含まれる第1の水平ラインを認識する。そして、第1の水平ラインに連続する第2の水平ラインの補助データスペースに、第1及び第2のオーディオサンプルを含むオーディオデータパケットを多重して挿入する。そして、オーディオデータパケットが多重して挿入された入力映像信号をマッピング部11に供給する。一方、音声信号多重部10は、水平補助データスペースがスイッチングポイントに続く場合は、データの誤りを防ぐため、オーディオデータパケットは、次の1ライン分だけ遅延して多重される。つまり、音声信号多重部10は、第1及び第2のオーディオサンプルが含まれる第1のオーディオデータパケット及び第1のオーディデータパケットに連続する第2のオーディオデータパケットを、第2の水平ラインに連続する第3の水平ラインの補助データスペースに多重して挿入する。
ところで、N/A(Not Available)は、スイッチングポイントの次のラインの水平補助データスペースに、オーディオデータパケットが多重できないことを示す。例えば、オーディオデータDのサンプリングポイントには、入力映像信号の中にスイッチングポイントがある。このため、オーディオデータパケットがオーディオサンプルの入力タイミングに対して、2番目のラインの水平補助データスペースに多重されているので、mpf=1にセットされる。
図8は、オーディオデータ(チャンネルn)のビット割当ての例を示す。
図8には、CH1〜4に割り当てられたUDWnのビット毎に設定される値が規定される。AESサブフレームのすべてのビットは、4つの連続するUDW(UDW4n−2、UDW4n―1、UDW4n、UDW4n+1)で伝送される。UDW2〜UDW17は、オーディオデータパケットで常に、CHnに用いられる。
CH1には、UDW2〜5が割り当てられる。CH2には、UDW6〜9が割り当てられる。CH3には、UDW10〜13が割り当てられる。CH4には、UDW14〜17が割り当てられる。
UDW18〜23の構成は、表5に示される。
誤り訂正コード(ECC:Error Correction Code)は、ADFの最初からUDW17までの24ワードの誤りを訂正、検出するために使用される。この誤り訂正コードは、BCHコードである。
BCHコードは、b0〜b7の各ビットシーケンスから生成される。ECCは、6ワードからなり、以下の生成方程式で決定される。
図9は、BCHコード生成回路のブロックダイヤグラムの構成例を示す。
24ワード中のb0〜b7ビットの各ビットシーケンスを入力として、ECC0〜5が決定される。
図10は、オーディオデータパケットの伝送に使用できる、Cr/Cbデータストリームの補助データスペースを示す。
入力映像信号の水平ラインは、入力映像信号の有効ライン期間を示すタイミング基準信号と、水平ラインにおける水平ブランキング期間を示す補助データスペースを含む。そして、色差信号(Cr/Cb)のデータストリームの水平補助データスペースのみがオーディオデータパケットの送出に使用される。この水平補助データスペースは、サンプルナンバー1928〜2195であって、ラインナンバー1〜7,9〜569,571〜1125の領域である。ただし、スイッチングポイントの次のラインの水平補助データスペースには多重してはならない。
そして、1つの水平補助データスペースに割り当てられるオーディオデータパケットの多重数は、以下の条件式で算定されるNa/2以下に制限される。このとき、1つの水平補助データスペースに多重できるチャンネル当りのオーディオサンプル数Noは、以下の条件式に基づいて、Na(Number of Audio samples)の値から導かれる。
多重位置は、オーディオサンプルが発生した次の水平補助データスペース、あるいは、さらにもう一つ後の水平補助データスペースである。
ここで、オーディオコントロールパケットについて説明する。
図11は、オーディオコントロールパケットの構成を示す。
オーディオコントロールパケットは、インタレースシステムでは1フィールドに1回、プログレッシブシステムでは1フレームに1回、スイッチングポイントから後の2番目のラインの、Yデータストリームの水平補助データスペースで送出される。この水平補助データスペースは、サンプルナンバー1928〜2195であって、ラインナンバー9,571の領域である。1つのオーディオコントロールパケットのUDWには、常に11ワードがある。
そして、オーディオコントロールパケットは、SMPTE291Mの規定に従ってフォーマットされる。オーディオコントロールパケットは、補助データフラグ(ADF)、データID(DID)、データブロックナンバー(DBN)、データカウント(DC)、ユーザデータワード(UDW)、チェックサム(CS)フィールドを含む。
DIDは、以下のように定義される。つまり、CH1〜4をオーディオグループ1とする。CH5〜8をオーディオグループ2とする。CH9〜12をオーディオグループ3とする。CH13〜16をオーディオグループ4とする。
以下、ユーザデータワード(UDWn)の構成について説明する。
UDW0の構成は、表6に示される。表6は、オーディオフレームナンバーデータ(AF)のビット割当てを示す。
オーディオフレームナンバーデータ(AF)は、ビデオフレームのシーケンシャル番号である。そして、オーディオサンプルの数が各ビデオフレーム当りで整数関係にないときに、総ビデオフレーム(オーディオフレームシーケンス)の何番目のフレームに当たるかを表示する。シーケンスの最初の番号は1であり、最後の番号はオーディオフレームシーケンスの長さに等しい。AFが全てゼロのときは、フレーム番号が得られないことを示す。
1から始まりシーケンスの最後まで続く全てのオーディオフレームシーケンスでは、フレーム当りのオーディオサンプル数は、2つの整数(m,m+1)を基本にする。
基本的には奇数のオーディオフレーム(1,2,5,…)は2つのうちの大きい整数のオーディオサンプル数をもつ。また、偶数のオーディオフレーム(2,4,6,…)は小さい整数のオーディオサンプル数をもつ。しかし、表7に示される例外フレームがある。
表7に示すように、テレビジョンシステムが、30.00フレーム/秒の場合と、30.00/1.001フレーム/秒の場合について、サンプリングレート、フレームシーケンス、基本サンプル数、例外が示される。
UDW1の構成は、表8に示される。UDW1には、サンプリングレートを決定するためのレートコードが割り当てられる。全てのチャンネルペアに対するサンプリングレートは、RATEワードで規定される。チャンネルペアとは、同じAESオーディオ信号源からの2つのデジタルオーディオチャンネルをいう。
表8に示したUDW1のビットb1,b2,b3に設定されるRATEコードの割当ては、表9に示される。
表9より、UDW1にセットされたX2,X1,X0フィールドが、それぞれ1,0,0の場合、サンプルレートは、96.0kHzであることが示される。
UDW2の構成は、表10に示される。
ACTワードは、アクティブチャンネルを表示する。a1〜a4のビットは、そのオーディオグループのアクティブな各チャンネル(CH1〜4)について、対応するビットを1にセットする。アクティブでないチャンネルのビットはゼロにセットする。
UDW3〜8の構成は、表11に示される。UDW3〜8には、DELm−nのビットが割当てられる。
DELm−nワードは、映像に対する、オーディオプロセスで蓄積された遅延量(accumulated audio processing delay)を表示する。この遅延量は、CHmとCHnのチャンネルペアに対するもので、オーディオサンプリングクロックインターバルを基準単位としたものである。DEL0−25は、26ビットの2の歩数フォーマットで表現される。正の値は映像がオーディオに対して進んでいることを示す。
UDW9〜10の構成は、表12に示される。UDW9,10には、リザーブ(RSRV)のビットが割当てられる。将来の仕様変更に際して用いられるデータ領域である。
図12は、UHDTV規格のサンプル構造の例を示す説明図である。図12(a)〜図12(c)の説明に用いるフレームは、3840×2160サンプルで1フレーム(以下、4k×2k信号の1フレームとも称する。)を構成する。
UHDTV規格のサンプル構造は、以下の3種類がある。なお、SMPTE規格において、R′G′B′のように、ダッシュ「′」をつけた信号は、ガンマ補正などが施された信号を示す。
図12(a)は、R′G′B′,Y′Cb′Cr′ 4:4:4システムの例である。このシステムでは、全ての画素サンプルにRGB又はYCbCrのコンポーネントが含まれる。
図12(b)は、Y′Cb′Cr′ 4:2:2システムの例である。このシステムでは、偶数サンプルにYCbCr、奇数サンプルにYのコンポーネントが含まれる。
図12(c)は、Y′Cb′Cr′ 4:2:0システムの例である。このシステムでは、偶数サンプルにYCbCr、奇数サンプルにY、さらに偶数ラインにY(CbCrが間引かれた状態)のコンポーネントが含まれる。
図13は、マッピング部11によって、4k×2k信号の1フレームを構成する画素サンプルが第1〜第4のサブイメージにマッピングされる例を示す説明図である。本例のマッピング部11は、入力映像信号の各フレームから抽出した画素サンプルを、それぞれ所定サンプルごとに間引く。本例では、同一ライン上で隣り合う2つのサンプルを間引く。そして、マッピング部11は、その間引かれたサンプルをフレーム毎に均等な順序で取り出してHD−SDIフォーマットの第1,第2,第3及び第4のサブイメージのアクティブ期間にマッピングする。このとき、マッピング部11は、オーディオ信号を第1のサブイメージのブランキング期間にマッピングする。
このとき、マッピング部11は、各フレームの偶数ライン上の各2画素サンプルを交互に第1のサブイメージと第2のサブイメージにマッピングし、各フレームの奇数ライン上の各2画素サンプルを交互に第3のサブイメージと第4のサブイメージとにマッピングする。そして、第1のサブイメージのブランキング期間にオーディオ信号をマッピングする際の第1のサブイメージとマッピングされるオーディオ信号位相を、入力映像信号と入力オーディオ信号との位相にほぼ一致させることを特徴とする。
この結果、HD−SDIフォーマットのアクティブ期間に含まれる第1〜第4のサブイメージには、それぞれ2k×1k信号の1フレームを構成する画素サンプルがマッピングされる。
さらに、マッピング部11は、マッピングされた第1,第2,第3及び第4のサブイメージを、それぞれ1つのサブイメージごとに第1のリンクの伝送チャンネル(LinkA)と第2のリンクの伝送チャンネル(LinkB)に分割して8つのチャンネルにマッピングする。
マッピング部11は、この3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビットの映像信号で構成されるフレームを、SMPTE435に従ってCH1〜CH8(LinkAであるCH1,CH3,CH5,CH7及びLinkBであるCH2,CH4,CH6,CH8)の8チャンネルのビットレート1.485Gbpsまたは1.485Gbps/1.001(以下単に1.485Gbpsと記載する)のHD−SDI信号にマッピングする回路である。
本例のマッピング部11は、3840個の画素サンプルと2160本のラインで構成されるフレームから抽出した映像信号を、第1〜第4のサブイメージにマッピングし、第1〜第4のサブイメージにマッピングされた映像信号を、CH1〜CH8の8チャンネルのビットレート1.485GbpsのHD−SDI信号にマッピングすることを特徴とする。
図13に示すように、4k×2k信号で構成されるフレームには、複数の画素サンプルが含まれる。ここで、フレーム内における画素サンプルの位置を(サンプル番号,ライン番号)とする。
第0番目のライン上であって、隣り合う(0,0),(1,0)の2つのサンプルを示す第1のサンプル群51は、第1のサブイメージの(0,42),(1,42)にマッピングされ、第1のサンプル群51′として示される。
第0番目のライン上であって、隣り合う(2,0),(3,0)の2つのサンプルを示す第2のサンプル群52は、第2のサブイメージの(0,42),(1,42)にマッピングされ、第2のサンプル群52′として示される。
第1番目のライン上であって、隣り合う(0,1),(1,1)の2つのサンプルを示す第3のサンプル群53は、第3のサブイメージの(0,42),(1,42)にマッピングされ、第3のサンプル群53′として示される。
第1番目のライン上であって、隣り合う(2,1),(3,1)の2つのサンプルを示す第4のサンプル群54は、第4のサブイメージの(0,42),(1,42)にマッピングされ、第4のサンプル群54′として示される。
ここで、4k×2k信号の1フレームと、第1〜第4のサブイメージに含まれるサンプルの位置を(サンプル番号,ライン番号)とした場合におけるマッピングの具体例について、図14を参照して説明する。図14には、第1〜第4のサブイメージを抜き出して、マッピングする例について説明する。
図14に示すように、4k×2k信号の1フレームに対して、ライン方向にi,2i,2i−1、サンプル方向にj,2j,2j−1の値を加えた。
第1〜第4のサブイメージには、ライン方向にi、サンプル方向にjを加えた。
マッピング部11は、同一ライン上で隣り合う2つのサンプルをサンプル群とする場合に、フレームの2i−1(iは自然数)番目のライン上であって、2j―1(jは自然数)番目のサンプル群の位置に配置される第1のサンプル群を、第1のサブイメージのi番目のライン上であって、j番目のサンプル群の位置にマッピングする。
また、マッピング部11は、フレームの2i―1番目のライン上であって、2j番目のサンプル群の位置に配置される第2のサンプル群を、第2のサブイメージのi番目のライン上であって、j番目のサンプル群の位置にマッピングする。
また、マッピング部11は、フレームの2i番目のライン上であって、2j―1番目のサンプル群の位置に配置される第3のサンプル群を、第3のサブイメージのi番目のライン上であって、j番目のサンプル群の位置にマッピングする。
また、マッピング部11は、フレームの2i番目のライン上であって、2j番目のサンプル群の位置に配置される第4のサンプル群を、第4のサブイメージのi番目のライン上であって、j番目のサンプル群の位置にマッピングする。
このように、サンプルをマッピングするのは次の理由に基づいている。
フレームは、RGB、YCbCr,4:4:4、YCbCr,4:2:2、又は、YCbCr,4:2:0のいずれかの方式で構成される。
フレームは、単に1本のHD−SDIで送ることができれば問題ないが、通常、データ量が多くなるため、1本のHD−SDIで送ることはできない。このため、フレームの画素サンプル(映像信号を含む情報である。)を、適切に抽出し、複数のサブイメージで送る必要がある。
図12(a)に示すようにフレームがRGB、又はYCbCr,4:4:4で構成される場合、いずれの画素サンプルを抽出しても元の映像が再生できる。
図12(b)に示すようにフレームがYCbCr,4:2:2で構成される場合、奇数番目のサンプルには、輝度信号の情報Yしか含まれない。このため、隣り合う偶数番目のサンプル(CbCrを含む。)と合わせて、サブイメージにマッピングすることで、フレームの元映像の解像度を落とした状態で、サブイメージから直接映像を再生できる。
図12(c)に示すようにフレームがYCbCr,4:2:0で構成される場合、奇数番目のサンプルには、輝度信号の情報Yしか含まれない。さらに、奇数番目のラインには、輝度信号の情報Yしか含まれない。このため、隣り合う偶数番目のサンプル(CbCrを含む。)と合わせて、サブイメージにマッピングすることで、フレームの元映像の解像度を落とした状態で、サブイメージから直接映像を再生できる。また、第3及び第4のサブイメージには、輝度信号の情報Yのみとなるが、再生する映像を確認する場合には輝度のみの映像であっても問題ない。
第1〜第4のサブイメージにサンプルがマッピングされることによって、デュアルリンク(2本のHD−SDI)で送ることができる。このため、いったん、第1〜第4のサブイメージにマッピングされたサンプルは、全部で8本のHD−SDIで送ることができる。
図15は、サンプルがマッピングされた第1〜第4のサブイメージをLinkA又はLinkBにマッピングする例を示す図である。
SMPTE435は、複数チャンネルのHD−SDI信号を、2サンプル(40ビット)単位で8B/10Bエンコーディングして50ビットに変換し、チャンネル毎に多重してビットレート10.692Gbpsまたは10.692Gbps/1.001(以下単に10.692Gbpsと記載する)でシリアル伝送する10Gインタフェースの規格である。4k×2k信号をHD−SDI信号にマッピングする技術は、SMPTE435 Part1の5.4 Octa Link 1.5 Gbps ClassのFigure3及びFigure4に示される。
図15に示すように、マッピングされた第1〜第4のサブイメージから、SMPTE 372M(デュアルリンク)によるCH1(LinkA)及びCH2(LinkB),CH3(LinkA)及びCH4(LinkB),CH5(LinkA)及びCH6(LinkB),CH7(LinkA)及びCH8(LinkB)がそれぞれ形成される。
また、第1〜第4のサブイメージをデュアルリンク HD−SDIにマッピングすることで、10.692Gbpsに多重して伝送することが出来る。このとき、CH1のHブランキング信号しか伝送できないので、オーディオはCH1のHブランキング期間に多重して伝送しなくてはならない。SMPTE299Mでは、HD−SDIのHブランキング期間では48kHzオーディオが最大16chまで伝送できる規定になっている。
96kHzオーディオを伝送する場合には、SMPTE299MのFigure 1の48kHzオーディオ用のAESチャンネル1,2の2つのチャンネルを用いて96kHzオーディオ 1chを伝送するように規定する。同様に、48kHzオーディオ用のAESチャンネル1,2の2つのチャンネルを用いて、96kHzオーディオ 2chを伝送する規定にする。このように規定することで最大で8chの伝送が可能である。
オーディオ位相は、SMPTE299Mに従って定められる(図3参照)。つまり、オーディオ位相は、フォーマッタでのEAVから3840/30P一水平期間上の位相情報を、3840/30Pのサンプリングクロック(297MHz相当)を1/4に分周した74.25MHzのクロック位相で定義される。
ここで、1920/30Pと3840/30Pを比べる。すると、1920/30Pの1ラインの期間に対して、3840/30Pの2ラインの期間が相当する。そして、オーディオクロック位相データは、13ビットあり(ck0〜ck12)、8192クロックまで規定できるため、8ライン相当まで、オーディオ位相を規定することができる。
つまり、従来のオーディオクロック位相データを用いて、3840/30Pの2ライン分以上の位相を管理できると言える。このため、CH1のみのオーディオ多重であっても、CH3のラインにオーディオサンプルがあった場合のオーディオ位相まで規定できる。
本実施の形態に係るマッピング部11は、3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号を、ライン方向に2サンプル毎に間引いてHD−SDIのアクティブ期間に多重する。それぞれのサンプルを、4chの1920×1080/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビットにマッピングできるため、現行HD−SDIのデュアルリンクで伝送できる。さらに、10.692Gbpsに多重して伝送できる。
このうち、4:2:0の0にはCchのデフォルト値である200h(10ビットシステム)、800h(12ビットシステム)を割り当てることで4:2:2と同等の信号として扱う。また、4:2:2/10ビットや4:2:0/10ビットではLinkBは使用せず、LinkA 4chのみ使用して伝送する。10.692Gbpsのシリアルインタフェースでは、CH 1はクロック同期用に必要であるが、CH 2からCH 8が接続されない場合には、CH 2からCH 8にはD0.0を埋めて伝送される。
ところで、8chのHD−SDIにマッピングした信号(図15参照)は、1920×1080/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/12ビット相当の(クアッドリンク292)×2chに相当する。
LinkA,LinkBのデータ構造は、SMPTE 372MのTable2及びFigure6に示されており、図16はその概略を示す図である。図16(a)に示すように、LinkAは、1サンプルが20ビットであり、全てのビットがRGBの値を表している。LinkBも、図16(a)に示すように1サンプルが20ビットであるが、図16(b)に示すように、10ビットのR′G′B′n:0−1のうち、ビットナンバー2〜7の6ビットのみがRGBの値を表している。したがって1サンプル中でRGBの値を表しているビット数は16ビットである。
マッピング部11によってこのようにマッピングされたCH1〜CH8のHD−SDI信号は、図2に示すようにS/P・スクランブル・8B/10B部12に送られる。
図17は、S/P・スクランブル・8B/10B部12の構成を示すブロック図である。S/P・スクランブル・8B/10B部12は、各CH1〜CH8に一対一に対応した8個のブロック12−1〜12−8から成っている。
LinkAであるCH1,CH3,CH5,CH7用のブロック12−1,12−3,12−5,12−7は、ブロック12−1だけがブロック12−3,12−5,12−7と構成が相違しており、ブロック12−3,12−5,12−7は同一構成である(図ではブロック12−3について構成を記載し,12−5,12−7の構成の記載は省略している)。LinkBであるCH2,CH4,CH6,CH8用のブロック12−2,12−4,12−6,12−8は、全て同一構成である(図ではブロック12−2について構成を記載し,12−4,12−6,12−8の構成の記載は省略している)。また、各ブロックにおいて同一の処理を行う部分には同一符号を付している。
最初に、LinkA用のブロック12−1,12−3,12−5,12−7について説明する。ブロック12−1,12−3,12−5,12−7では、入力したCH1,CH3,CH5,CH7のHD−SDI信号が、S/P(シリアル/パラレル)変換部21に送られる。S/P変換部21は、このHD−SDI信号をビットレート74.25Mbpsまたは74.25Mbps/1.001(以下単に74.25Mbpsと記載する)の20ビット幅のパラレル・デジタルデータにシリアル/パラレル変換するとともに、74.25MHzのクロックを抽出する。
S/P変換部21によってシリアル/パラレル変換されたパラレル・デジタルデータは、TRS検出部22に送られる。S/P変換部21によって抽出された74.25MHzのクロックは、FIFOメモリ23に書込みクロックとして送られる。また、ブロック12−1内のS/P変換部21によって抽出された74.25MHzのクロックは、図2に示すPLL(Phase Locked Loop:位相同期回路)13にも送られる。
TRS検出部22は、S/P変換部21から送られたパラレル・デジタルビデオ信号からタイミング基準信号SAV及びEAVを検出し、その検出結果に基づいてビット同期及びワード同期を確立する。
TRS検出部22の処理を経たパラレル・デジタルデータは、FIFOメモリ23に送られて、S/P変換部21からの74.25MHzのクロックによってFIFOメモリ23に書き込まれる。
図2のPLL13は、ブロック12−1内のS/P変換部21からの74.25MHzのクロックを1/2に分周した37.125MHzのクロックを、各ブロック12−1〜12−8内のFIFOメモリ23に読出しクロックとして送るとともに、各ブロック12−1〜12−8内のFIFOメモリ26及びブロック12−1内のFIFOメモリ27に書込みクロックとして送る。
またPLL13は、ブロック12−1内のS/P変換部21からの74.25MHzのクロックの周波数を9/8倍した83.5312MHzのクロックを、各ブロック12−1〜12−8内のFIFOメモリ26及びブロック12−1内のFIFOメモリ27に読出しクロックとして送るとともに、図2のFIFOメモリ16に書込みクロックとして送る。
またPLL13は、ブロック12−1内のS/P変換部21からの74.25MHzのクロックの周波数を9/4倍した167.0625MHzのクロックを、図2のFIFOメモリ16に読出しクロックとして送る。
またPLL13は、ブロック12−1内のS/P変換部21からの74.25MHzのクロックの周波数を9倍した668.25MHzのクロックを、図2の多チャンネルデータ形成部17に読出しクロックとして送る。
図17に示すように、FIFOメモリ23からは、S/P変換部21からの74.25MHzのクロックによって書き込まれた20ビット幅のパラレル・デジタルデータが、図2のPLL13からの37.125MHzのクロックにより、2サンプルを単位とした40ビット幅のパラレル・デジタルデータとして読み出されて、スクランブラ24に送られる。また、ブロック12−1では、FIFOメモリ23から読み出されたこの40ビット幅のパラレル・デジタルデータが、8B/10Bエンコーダ25にも送られる。
スクランブラ24は、自己同期型のスクランブラである。自己同期型スクランブル方式は、SMPTE292Mで採用されているスクランブル方式であり、送信側が、入力したシリアル信号を多項式とみなして9次の原始多項式
X9+X4+1
で順次割り算して、その結果である商を伝送することにより、統計的に伝送データのマーク率(1と0の割合)を平均1/2にするものである。このスクランブルは、原始多項式による信号の暗号化という意味も併せ持っている。この商をさらにX+1で割ることによって極性フリー(データとその反転データで同じ情報を持つこと)のデータにして送信する。受信側では、受信したシリアル信号にX+1を掛け、さらに上記原始多項式X9+X4+1を掛ける処理(デスクランブル)により、元のシリアル信号を再生する。
スクランブラ24は、各水平ラインの全てのデータにスクランブルを掛けるのではなく、タイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのデータのみにスクランブルを掛け、水平ブランキング期間のデータにはスクランブルを掛けない。そして、タイミング基準信号SAVの直前でスクランブラ内のレジスタの値を全て0にセットしてエンコードし、誤り検出符号CRCに続く10ビットまでのデータを出力する。
スクランブラ24でこうした処理を行うのは、次のような理由による。従来の自己同期型スクランブル方式では各水平ラインの全てのデータを途切れることなく送信するが、本例では、自己同期型スクランブルを掛けた水平ブランキング期間のデータを送信しない。そのための方法としては、水平ブランキング期間も含めて各水平ラインの全てのデータにスクランブルを掛けるが水平ブランキング期間のデータだけは送信しない、という方法もある。しかし、その方法では、送信のスクランブラと受信のデスクランブラとでデータの連続性が保存されないので、受信側のデスクランブラでデータを再生する時にCRCの最後の数ビットで桁上がりの計算間違いを起こし、正確に誤り検出符号CRCが再生されない。また、データを送信しない水平ブランキング期間でスクランブラのクロックを止めることによって正確にCRCを再生できるようにするという方式もあるが、その方法を採用すると、CRCの計算時に次のタイミング基準信号SAVが必要となり、タイミング制御が困難になる等の問題が発生する。
そこで、タイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのデータのみにスクランブルを掛け、タイミング基準信号SAVの直前でスクランブラ24内のレジスタの値を全て0にセットしてエンコードし、誤り検出符号CRCに続く少なくとも数ビット(一例として10ビットとする)までのデータを出力するようにした。
こうすることにより、受信側の装置では、タイミング基準信号SAVの直前でデスクランブラ内のレジスタの値を全て0にセットしてデコードを開始するとともに、誤り検出符号CRCに続く少なくとも数ビットのデータにもデスクランブルを掛けることにより、掛け算回路であるデスクランブラの桁上がりを考慮した正確な計算を行って元のデータを再生することができる。
さらに、タイミング基準信号SAVの直前でスクランブラ内のレジスタの値を全て0にセットすると、スクランブルデータにパソロジカルパターンが発生しないことが計算によって判明した。パソロジカルパターンとは、自己同期型スクランブルを掛けた際に、シリアル伝送路上に、1水平ラインに亘り、図18(a)に示すように1ビットの‘H’に続いて19ビットの‘L’が続くパターン(あるいはその反転パターン)の信号や、図18(b)に示すように20ビットの‘H’が連続した後20ビットの‘L’が連続するパターン(あるいはその反転パターン)の信号が発生するものである。
図18(a)のパターンやその反転パターンは、直流成分の多いパターンである。そして、10Gbpsというような高速な伝送レートを実現するためにはAC結合の伝送系を用いることが一般的であるが、AC結合の伝送系では、直流成分が多い場合に図19に示すようなベースラインのうねりを起こしてしまうので、受信側の装置で直流成分を再生することが必要になってしまう。
図18(b)のパターンやその反転パターンは、0から1への遷移や1から0への遷移が少ないパターンなので、受信装置の側でシリアル信号からクロックを再生することが困難になってしまう。
これに対し、前述のように、タイミング基準信号SAVの直前でスクランブラ内のレジスタの値を全て0にセットすることにより、こうしたパソロジカルパターンが発生しないことが計算によって判明したので、伝送符号として良好な信号であるといえる。
また、図20に示すように、タイミング基準信号SAV内の最後のワードであるXYZ(同一フレームの第1フィールド/第2フィールドを識別したり、SAVとEAVとを識別するためのワード)の下位2ビットは(0,0)になっていたりするが、例えば、ブロック12−1内のスクランブラ24ではこの下位2ビットを(0,0)にしたままスクランブルを掛け、ブロック12−3内のスクランブラ24ではこの下位2ビットを(0,1)に書き換えた後スクランブルを掛け、ブロック12−5内のスクランブラ24ではこの下位2ビットを(1,0)に書き換えた後スクランブルを掛け、ブロック12−7内のスクランブラ24ではこの下位2ビットを(1,1)に書き換えた後スクランブルを掛けるというように、CH1,CH3,CH5,CH7のチャンネル毎にこの下位2ビットの値を変えてスクランブルを掛ける。
このような処理を行うのは、次のような理由による。3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号がフラットな(画面全体でRGBの値がほぼ同じ)信号である場合に、CH1,CH3,CH5,CH7とCH2,CH4,CH6,CH8とでデータ値が均一になると、EMI(電磁輻射)等が発生して好ましくない。これに対し、SAV内のXYZの下位2ビットの値をCH1,CH3,CH5,CH7のチャンネル毎に変えてスクランブルを掛けると、スクランブル後のデータは、XYZの下位2ビットを(0,0)にしたデータに加えて、(0,1),(1,0),(1,1)を生成多項式で割った結果を伝送することになるので、データの均一性を回避することが可能になる。
さらに、このようにXYZの下位2ビットの値をチャンネル毎に変えても、前述のようにタイミング基準信号SAVの直前でスクランブラ内のレジスタの値を全て0にセットすると、パソロジカルパターンが発生しないことが計算によって判明した。
このようにしてスクランブラ24でスクランブルを掛けられた40ビット幅のパラレル・デジタルデータは、図2のPLL13からの37.125MHzのクロックによってFIFOメモリ26に書き込まれた後、PLL13からの83.5312MHzのクロックによって40ビット幅のままFIFOメモリ26から読み出されて、図2に示す多重部14に送られる。
ブロック12−1内の8B/10Bエンコーダ25は、FIFOメモリ23から読み出された40ビット幅のパラレル・デジタルデータのうち、水平ブランキング期間のデータのみを8ビット/10ビットエンコーディングする。
8B/10Bエンコーダ25によって8ビット/10ビットエンコーディングされた50ビットのビット幅のパラレル・デジタルデータは、図2のPLL13からの37.125MHzのクロックによってFIFOメモリ27に書き込まれた後、PLL13からの83.5312MHzのクロックによって50ビット幅のままFIFOメモリ27から読み出されて、図2に示す多重部14に送られる。
なお、ブロック12−1からのみ(すなわちCH1についてのみ)水平ブランキング期間のデータを多重部14に送り、ブロック12−3,12−5,12−7からは(CH3,CH5,CH7については)水平ブランキング期間のデータを多重部14に送らないのは、データ量の制約上の理由からである。
次に、LinkB用のブロック12−2,12−4,12−6,12−8について説明する。ブロック12−2,12−4,12−6,12−8では、入力したCH2,CH4,CH6,CH8のHD−SDI信号が、S/P変換部21及びTRS検出部22によってブロック12−1,12−3,12−5,12−7におけるのと同一の処理を施された後、抜き出し部28に送られる。
抜き出し部28は、LinkBの各水平ラインのデータのうち、タイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのデータのみからRGBのビット(図16に示したLinkBの1サンプルの20ビットのうちの、RGBの値を表している16ビット)を抜き出す回路である。
抜き出し部28によって抜き出された16ビット幅のパラレル・デジタルデータは、S/P変換部21からの74.25MHzのクロックによってFIFOメモリ23に書き込まれた後、図2のPLL13からの37.125MHzのクロックにより、2サンプルを単位とした32ビット幅のパラレル・デジタルデータとして読み出されて、K28.5挿入部29に送られる。
K28.5挿入部29は、タイミング基準信号SAVまたはEAVの先頭部分に、2個の8ビットワードデータを挿入する。この8ビットワードデータは、8ビット/10ビットエンコーディングした際に、映像信号を表すワードデータとしては用いられない10ビットワードデータ(K28.5というコードネームで呼ばれるもの)に変換されるものである。
K28.5挿入部29の処理を経た32ビット幅のパラレル・デジタルデータは、8B/10Bエンコーダ30に送られる。8B/10Bエンコーダ30は、この32ビット幅のパラレル・デジタルデータを8ビット/10ビットエンコーディングして出力する。
2サンプルを単位とした32ビット幅のパラレル・デジタルデータを8B/10Bエンコーダ30で8ビット/10ビットエンコーディングさせるのは、10Gインタフェース規格であるSMPTE435における50ビットのContent IDの上位40ビットとの互換をとるためである。
8B/10Bエンコーダ30によって8ビット/10ビットエンコーディングされた40ビット幅のパラレル・デジタルデータは、図2のPLL13からの37.125MHzのクロックによってFIFOメモリ26に書き込まれた後、PLL13からの83.5312MHzのクロックによって40ビット幅のままFIFOメモリ26から読み出されて、図2に示す多重部14に送られる。
図2の多重部14は、S/P・スクランブル・8B/10B部12の各ブロック12−1〜12−8内のFIFOメモリ26から読み出されたCH1〜CH8の40ビット幅のパラレル・デジタルデータ(タイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのみのデータ)を、図21(a)に示すように、40ビット単位で、CH2(8ビット/10ビットエンコーディングしたチャンネル),CH1(自己同期型スクランブルを掛けたチャンネル),CH4(8ビット/10ビットエンコーディングしたチャンネル),CH3(自己同期型スクランブルを掛けたチャンネル),CH6(8ビット/10ビットエンコーディングしたチャンネル),CH5(自己同期型スクランブルを掛けたチャンネル),CH8(8ビット/10ビットエンコーディングしたチャンネル),CH7(自己同期型スクランブルを掛けたチャンネル)の順に320ビット幅に多重する。
このように、8ビット/10ビットエンコーディングしたデータを、自己同期型スクランブルを掛けたデータに40ビット毎にはさむことにより、やはり、スクランブル方式によるマーク率(0と1の割合)変動や、0−1、1−0の遷移の不安定さを解消し、前述したようなパソロジカルパターンの発生を防止することができる。
また、多重部14は、S/P・スクランブル・8B/10B部12の各ブロック12−1内のFIFOメモリ27から読み出されたCH1の水平ブランキング期間のみの50ビット幅のパラレル・デジタルデータを、図21(b)に示すように、4サンプル分多重して200ビット幅にする。
多重部14によって多重されたこの320ビット幅のパラレル・デジタルデータと200ビット幅のパラレル・デジタルデータとは、データ長変換部15に送られる。データ長変換部15は、シフトレジスタを用いて構成されており、この320ビット幅のパラレル・デジタルデータを256ビット幅に変換したデータと、この200ビット幅のパラレル・デジタルデータを256ビット幅に変換したデータとを用いて、256ビット幅のパラレル・デジタルデータを形成する。そして、この256ビット幅のパラレル・デジタルデータをさらに128ビット幅に変換する。
図22〜図24は、データ長変換部15によって形成される256ビット幅のパラレル・デジタルデータの構造を示す図であり、図22は30Pの場合の1ライン分のデータ構造、図23は25Pの場合の1ライン分のデータ構造、図24は24Pの場合の4ライン分のデータ構造である(24Pの場合には、4ライン周期で最後のワードのビット数が128ビットになるので、4ライン分を描いている)。SMPTE435では、フレームレート及びライン数が、CH1のHD−SDI信号と同じにされる。そして、S/P・スクランブル・8B/10B部12では、スクランブルと8B/10Bエンコーディングとを併用しているが、CH1にはスクランブル(SMPTE292Mで採用されているもの)を掛けている。したがって、図22〜図24に示したデータ構造は、基本的にはHD−SDI信号と同じになっている。
この図22〜図24に示すように、1ライン分のデータは、次の3つの領域で構成されている。
・斜線を付した領域:CH2,CH1,CH4,CH3,CH6,CH5,CH8,CH7の順に40ビット単位で多重された各CH1〜CH8のタイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのデータの領域
・白地の領域:8B/10BエンコーディングされたCH1の50ビットずつの水平ブランキング期間のデータの領域
・ドット模様を付した領域:データ量調整のための付加データの領域
図2に示すように、データ長変換部15によって128ビット幅に変換されたパラレル・デジタルデータは、FIFOメモリ16に送られて、PLL13からの83.5312MHzのクロックによってFIFOメモリ16に書き込まれる。
FIFOメモリ16に書き込まれたこの128ビット幅のパラレル・デジタルデータは、図2のPLL13からの167.0625MHzのクロックにより、64ビット幅のパラレル・デジタルデータとしてFIFOメモリ16から読み出されて、多チャンネルデータ形成部17に送られる。
多チャンネルデータ形成部17は、例えばXSBI(Ten gigabit Sixteen Bit Interface:10ギガビットイーサネット(イーサネットは登録商標)のシステムで使用される16ビットインタフェース)である。そして、多チャンネルデータ形成部17は、PLL13からの668.25MHzのクロックを用いて、FIFOメモリ16からの64ビット幅のパラレル・デジタルデータから、各々がビットレート668.25Mbpsを有する16チャンネル分のシリアル・デジタルデータを形成する。多チャンネルデータ形成部17によって形成された16チャンネルのシリアル・デジタルデータは、多重・P/S変換部18に送られる。
多重・P/S変換部18は、多チャンネルデータ形成部17からの16チャンネルのシリアル・デジタルデータを多重し、その多重したパラレル・デジタルデータをパラレル/シリアル変換することにより、668.25Mbps×16=10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータを生成する。本例の多重・P/S変換部18は、マッピング部11によってマッピングされた第1,第2,第3及び第4のサブイメージを、それぞれシリアル変換するパラレル/シリアル変換部としての機能を有する。
図25は、この10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータの1ライン分のデータ構造を示す図であり、図25(a)は24Pの場合の構造、図25(b)は25Pの場合の構造、図25(c)は30Pの場合の構造である。この図では、ライン番号LN及び誤り検出符号CRCを含めたものをSAV,アクティブライン及びEAVとして示すとともに、図22〜図24に示した付加データの領域を含めたものを水平ブランキング期間として示している。
24P,25P,30Pの場合の1ラインのビット数は、それぞれ下記式によって求められる。
10.692Gbps÷24フレーム/秒÷1125ライン/フレーム=396000ビット
10.692Gbps÷25フレーム/秒÷1125ライン/フレーム=380160ビット
10.692Gbps÷30フレーム/秒÷1125ライン/フレーム=316800ビット
タイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのビット数は、下記式によって求められる。
(1920T+12T)×36ビット×4ch×40/36=309120ビット
24P,25P,30Pの場合の水平ブランキング期間のビット数は、それぞれ下記式によって求められる。
(1)24Pの場合:396000ビット−309120ビット=86880ビット
(2750T−1920T−12T(SAV+EAV+LN+CRC))×20ビット×10/8=20450ビット
86880ビット>20450ビット
(2)25Pの場合:380160ビット−309120ビット=71040ビット
(2640T−1920T−12T(SAV+EAV+LN+CRC))×20ビット×10/8=17700ビット
71040ビット>17700ビット
(3)30Pの場合:316800ビット−309120ビット=7680ビット
(22T−1920T−12T(SAV+EAV+LN+CRC))×20ビット×10/8=6700ビット
7680ビット>6700ビット
上記式に示したように、24P,25P,30Pのいずれの場合にも、SMPTE435による水平ブランキング期間のビット数である86880ビット,71040ビット,7680ビットのほうが、CH1の{水平ブランキング期間のデータ−(タイミング基準信号SAV,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのデータ}のビット数である20450ビット,17700ビット,6700ビットよりもそれぞれ大きいので、CH1の水平ブランキング期間のデータを多重することが可能である。
図2に示すように、多重・P/S変換部18によって生成されたビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータは、光電変換部19に送られる。光電変換部19は、ビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータをCCU2に出力する出力部として機能する。そして、光電変換部19によって光信号に変換されたビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータが、放送用カメラ1から図1の光ファイバーケーブル3経由でCCU2に伝送される。
本例の信号送信装置5を用いることによって、3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号をシリアル・デジタルデータとして送信する側の信号処理を行うことができる。信号送信装置5,信号送信方法では、3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号をCH1〜CH8(LinkAであるCH1,CH3,CH5,CH7及びLinkBであるCH2,CH4,CH6,CH8)のHD−SDI信号にマッピングすると、これらのHD−SDI信号がそれぞれシリアル/パラレル変換された後、LinkAについては自己同期型スクランブルが掛けられ、LinkBについてはRGBのビットが8ビット/10ビットエンコーディングされる。
LinkAについては、各水平ラインの全てのデータに自己同期型スクランブルを掛けるのではなく、タイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのデータのみに自己同期型スクランブルを掛け、水平ブランキング期間のデータには自己同期型スクランブルを掛けない。そして、タイミング基準信号SAVの直前でスクランブラ内のレジスタの値を全て0にセットしてエンコードし、誤り検出符号CRCに続く少なくとも数ビットまでのデータを出力する。
こうしたスクランブルを行うのは、次のような理由による。従来の自己同期型スクランブル方式では各水平ラインの全てのデータを途切れることなく送信するが、本発明では、自己同期型スクランブルを掛けた水平ブランキング期間のデータを送信しない。そのための方法としては、水平ブランキング期間も含めて各水平ラインの全てのデータにスクランブルを掛けるが水平ブランキング期間のデータだけは送信しない、という方法もある。しかし、その方法では、送信のスクランブラと受信のデスクランブラとでデータの連続性が保存されないので、受信側のデスクランブラでデータを再生する時にCRCの最後の数ビットで桁上がりの計算間違いを起こし、正確に誤り検出符号CRCが再生されない。また、データを送信しない水平ブランキング期間でスクランブラのクロックを止めることによって正確にCRCを再生できるようにするという方式もあるが、その方法を採用すると、CRCの計算時に次のタイミング基準信号SAVが必要となり、タイミング制御が困難になる等の問題が発生する。
そこで、タイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのデータのみにスクランブルを掛け、タイミング基準信号SAVの直前でスクランブラ内のレジスタの値を全て0にセットしてエンコードし、誤り検出符号CRCに続く少なくとも数ビットまでのデータを出力するようにした。
こうすることにより、受信側の装置では、タイミング基準信号SAVの直前でデスクランブラ内のレジスタの値を全て0にセットしてデコードを開始するとともに、誤り検出符号CRCに続く少なくとも数ビットのデータにもデスクランブルを掛けることにより、掛け算回路であるデスクランブラの桁上がりを考慮した正確な計算を行って元のデータを再生することができる。
さらに、タイミング基準信号SAVの直前でスクランブラ内のレジスタの値を全て0にセットすると、スクランブルデータにパソロジカルパターンが発生しないことが計算によって判明したので、伝送符号として良好な信号であるといえる。
LinkBについては、各水平ラインのデータのうち、タイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのデータのみからRGBのビットが抜き出され、このRGBのビットが8ビット/10ビットエンコーディングされる。そして、このようにして自己同期型スクランブルを掛けられたLinkAのデータと、このようにして8ビット/10ビットエンコーディングされたLinkBのデータとが多重され、その多重されたパラレル・デジタルデータから、ビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータが生成される。
図26は、CCU2の回路構成を示すブロック図である。CCU2には、図26に示すような回路が、各放送用カメラ1に一対一に対応して複数組設けられている。
放送用カメラ1から光ファイバーケーブル3経由で伝送されたビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータは、光電変換部31によって電気信号に変換された後、S/P変換・多チャンネルデータ形成部32に送られる。S/P変換・多チャンネルデータ形成部32は、例えば前述したXSBIである。そして、S/P変換・多チャンネルデータ形成部32は、映像信号がマッピングされ、それぞれが第1のリンクチャンネルと第2のリンクチャンネルに分割された第1,第2,第3及び第4のサブイメージを受信する。
S/P変換・多チャンネルデータ形成部32は、ビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータをシリアル/パラレル変換し、シリアル/パラレル変換したパラレル・デジタルデータから、各々がビットレート668.25Mbpsを有する16チャンネル分のシリアル・デジタルデータを形成するとともに、668.25MHzのクロックを抽出する。
S/P変換・多チャンネルデータ形成部32によって形成された16チャンネルのパラレル・デジタルデータは、多重部33に送られる。また、S/P変換・多チャンネルデータ形成部32によって抽出された668.25MHzのクロックは、PLL34に送られる。
多重部33は、S/P変換・多チャンネルデータ形成部32からの16チャンネルのシリアル・デジタルデータを多重して、64ビット幅のパラレル・デジタルデータをFIFOメモリ35に送る。
PLL34は、S/P変換・多チャンネルデータ形成部32からの668.25MHzのクロックを4分の1に分周した167.0625MHzのクロックをFIFOメモリ35に書込みクロックとして送る。
またPLL34は、S/P変換・多チャンネルデータ形成部32からの668.25MHzのクロックを8分の1に分周した83.5312MHzのクロックを、FIFOメモリ35に読出しクロックとして送るとともに、後述するデスクランブル・8B/10B・P/S部38内のFIFOメモリ44に書込みクロックとして送る。
またPLL34は、S/P変換・多チャンネルデータ形成部32からの668.25MHzのクロックを18分の1に分周した37.125MHzのクロックを、デスクランブル・8B/10B・P/S部38内のFIFOメモリ44に読出しクロックとして送るとともに、デスクランブル・8B/10B・P/S部38内のFIFOメモリ45に書込みクロックとして送る。
またPLL34は、S/P変換・多チャンネルデータ形成部32からの668.25MHzのクロックを9分の1に分周した74.25MHzのクロックを、デスクランブル・8B/10B・P/S部38内のFIFOメモリ45に読出しクロックとして送る。
FIFOメモリ35では、多重部33からの64ビット幅のパラレル・デジタルデータが、PLL34からの167.0625MHzのクロックによって書き込まれる。FIFOメモリ35に書き込まれたパラレル・デジタルデータは、PLL34からの83.5312MHzのクロックによって128ビット幅のパラレル・デジタルデータとして読み出されて、データ長変換部36に送られる。
データ長変換部36は、シフトレジスタを用いて構成されており、この128ビット幅のパラレル・デジタルデータを、256ビット幅(図22〜図24に示した構造のデータ)に変換する。そして、タイミング基準信号SAVまたはEAVに挿入されているK28.5を検出することによって各ライン期間を判別して、タイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのデータを320ビット幅に変換するとともに、水平ブランキング期間のデータ(前述のように、8B/10BエンコーディングされたCH1の水平ブランキング期間のデータ)を200ビット幅に変換する。図22〜図24に示した付加データは破棄する。
データ長変換部36によってデータ長を変換された320ビット幅のパラレル・デジタルデータと200ビット幅のパラレル・デジタルデータとは、分離部37に送られる。
分離部37は、データ長変換部36からのこの320ビット幅のパラレル・デジタルデータ(タイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのデータ)を、放送用カメラ1内の多重部14(図2)によって多重される前の40ビットずつのCH1〜CH8のデータ(図21参照)に分離する。そして、各CH1〜CH8の40ビット幅のパラレル・デジタルデータを、デスクランブル・8B/10B・P/S部38に送る。
また分離部37は、データ長変換部36からのこの200ビット幅のパラレル・デジタルデータ(8B/10BエンコーディングされたCH1の水平ブランキング期間のデータ)を、多重部14によって多重される前の50ビットずつのデータ(図21参照)に分離する。そして、この50ビット幅のパラレル・デジタルデータを、デスクランブル・8B/10B・P/S部38に送る。
図27は、デスクランブル・8B/10B・P/S部38の構成を示すブロック図である。デスクランブル・8B/10B・P/S部38は、各CH1〜CH8に一対一に対応した8個のブロック38−1〜38−8から成っている。本例のデスクランブル・8B/10B・P/S部38は、映像信号がマッピングされ、それぞれが第1のリンクチャンネルと第2のリンクチャンネルに分割された第1,第2,第3及び第4のサブイメージを受信する受信部として機能する。
LinkAであるCH1,CH3,CH5,CH7用のブロック38−1,38−3,38−5,38−7は、ブロック38−1だけがブロック38−3,38−5,38−7と構成が相違しており、ブロック38−3,38−5,38−7は同一構成である(図ではブロック38−3について構成を記載し,38−5,38−7の構成の記載は省略している)。LinkBであるCH2,CH4,CH6,CH8用のブロック38−2,38−4,38−6,38−8は、全て同一構成である(図ではブロック38−2について構成を記載し,38−4,38−6,38−8の構成の記載は省略している)。また、各ブロックにおいて同一の処理を行う部分には同一符号を付している。
最初に、LinkA用のブロック38−1,38−3,38−5,38−7について説明する。ブロック38−1,38−3,38−5,38−7では、入力したCH1,CH3,CH5,CH7の40ビット幅のパラレル・デジタルデータ(自己同期型スクランブルを掛けられたタイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのデータ)が、デスクランブラ41に送られる。
デスクランブラ41は、自己同期型のデスクランブラである。デスクランブラ41は、送られたパラレル・デジタルデータにデスクランブルを掛けるが、タイミング基準信号SAVの直前でデスクランブラ41内のレジスタの値を全て0にセットしてデコードを開始するとともに、誤り検出符号CRCに続く10ビットのデータにも自己同期型デスクランブルを掛ける。
これにより、放送用カメラ1内のスクランブラ24(図17)の箇所で説明したように、自己同期型スクランブルを掛けた水平ブランキング期間のデータが送信されないにもかかわらず、掛け算回路であるデスクランブラ41の桁上がりを考慮した正確な計算を行って元のデータを再生することができる。
またデスクランブラ41は、自己同期型スクランブルを掛けた後、タイミング基準信号SAV内のXYZの下位2ビット(スクランブラ24の箇所で説明したように、CH1,CH3,CH5,CH7のチャンネル毎に値を変えてスクランブルを掛けられたビット)の値を、元の値である(0,0)に変更する。
ブロック38−1内のデスクランブラ41でデスクランブルを掛けられた40ビット幅のパラレル・デジタルデータは、セレクタ43に送られる。ブロック38−1では、入力した50ビット幅のパラレル・デジタルデータ(8B/10BエンコーディングされたCH1の水平ブランキング期間のデータ)が、8B/10Bデコーダ42に送られる。8B/10Bデコーダ42は、このパラレル・デジタルデータを8ビット/10ビットデコーディングする。8B/10Bデコーダ42によって8ビット/10ビットデコーディングされた40ビット幅のパラレル・デジタルデータが、セレクタ43に送られる。
セレクタ43は、デスクランブラ41からのパラレル・デジタルデータと8B/10Bデコーダ42からのパラレル・デジタルデータとを交互に選択することにより、各水平ラインの全てのデータを一本化した40ビット幅のパラレル・デジタルデータを形成して、この40ビット幅のパラレル・デジタルデータをFIFOメモリ44に送る。
他方、ブロック38−3,38−5,38−7では、50ビット幅のパラレル・デジタルデータは入力しないので8B/10Bデコーダ42及びセレクタ43は設けられておらず、デスクランブラ41でデスクランブルを掛けられた40ビット幅のパラレル・デジタルデータがそのままFIFOメモリ44に送られる。
FIFOメモリ44に送られた40ビット幅のパラレル・デジタルデータは、PLL34(図26)からの83.5312MHzのクロックによってFIFOメモリ44に書き込まれた後、PLL34からの37.125MHzのクロックによって40ビット幅のままFIFOメモリ44から読み出されて、FIFOメモリ45に送られる。
FIFOメモリ45に送られた40ビット幅のパラレル・デジタルデータは、PLL34(図26)からの37.125MHzのクロックによってFIFOメモリ45に書き込まれた後、PLL34からの74.25MHzのクロックによって20ビット幅(図16に示したLinkAの1サンプル分ずつ)のパラレル・デジタルデータとしてFIFOメモリ45から読み出されて、P/S(パラレル/シリアル)変換部46に送られる。
P/S変換部46は、このパラレル・デジタルデータをHD−SDI信号をビットレート1.485GbpsのHD−SDI信号にパラレル/シリアル変換して、HD−SDI信号を再生する。各ブロック38−1,38−3,38−5,38−7で再生されたCH1,CH3,CH5,CH7のHD−SDI信号は、図27の4k×2k再生部39に送られる。
次に、LinkB用のブロック38−2,38−4,38−6,38−8について説明する。ブロック38−2,38−4,38−6,38−8では、入力したCH2,CH4,CH6,CH8の40ビット幅のパラレル・デジタルデータ(8B/10Bエンコーディングされたタイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのデータ)が、8B/10Bデコーダ47に送られる。
8B/10Bデコーダ47は、このパラレル・デジタルデータを8ビット/10ビットデコーディングする。8B/10Bデコーダ47によって8ビット/10ビットデコーディングされた32ビット幅のパラレル・デジタルデータは、FIFOメモリ44に送られる。
FIFOメモリ44に送られた32ビット幅のパラレル・デジタルデータは、PLL34(図26)からの83.5312MHzのクロックによってFIFOメモリ44に書き込まれた後、PLL34からの37.125MHzのクロックによって32ビット幅のままFIFOメモリ44から読み出されて、FIFOメモリ45に送られる。
FIFOメモリ45に送られた32ビット幅のパラレル・デジタルデータは、PLL34(図26)からの37.125MHzのクロックによってFIFOメモリ45に書き込まれた後、PLL34からの74.25MHzのクロックによって16ビット幅(図16に示したLinkBの1サンプル分ずつのRGBのビット)のパラレル・デジタルデータとしてFIFOメモリ45から読み出されて、サンプルデータ形成部48に送られる。
サンプルデータ形成部48は、このLinkBのRGBのビットから、図16に示したR′G′B′n:0−1のビットナンバー0,1,8及び9の4ビットを付加したLinkBの20ビットずつの各サンプルのデータを形成する。このようにして形成された20ビット幅のパラレル・デジタルデータは、サンプルデータ形成部48からP/S変換部46に送られる。
P/S変換部46は、このパラレル・デジタルデータをHD−SDI信号をビットレート1.485GbpsのHD−SDI信号にパラレル/シリアル変換して、HD−SDI信号を再生する。各ブロック38−2,38−4,38−6,38−8で再生されたCH2,CH4,CH6,CH8のHD−SDI信号は、図27の4k×2k再生部39に送られる。
図27の4k×2k再生部39は、S/P・スクランブル・8B/10B部38から送られたCH1〜CH8(LinkA及びLinkB)のHD−SDI信号に、SMPTE435に従って放送用カメラ1内のマッピング部11(図2)の処理(図15)と逆の処理を施すことにより、3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号を再生する回路である。
本例の4k×2k再生部39は、S/P変換多チャンネルデータ形成部32が受信した第1,第2,第3及び第4のサブイメージのアクティブ期間に配置された画素サンプルを1サンプルずつ取り出す。そして、映像信号の1フレーム内に順に配置し、配置されたサンプルから間引かれた画素を復元する。
このとき、4k×2k再生部39は、第1のサブイメージと第2のサブイメージとにマッピングされたサンプルを、偶数ライン上に交互に配置する。同様に、第3のサブイメージと第4のサブイメージとにマッピングされたサンプルを、奇数ライン上に交互に配置する。そして、各ライン上に配置されたサンプルから、そのサンプルに隣り合う間引き画素を復元する。
4k×2k再生部39によって再生された3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号は、CCU2から出力されて、例えばVTR等(図示略)に送られる。
なお、このようにして各放送用カメラ1からCCU2に3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号に伝送されるだけでなく、CCU2からも前述のリターンビデオ(他の放送用カメラ1で撮影中の映像を表示させるための映像信号)が光ファイバーケーブル3経由で各放送用カメラ1に伝送されるが、このリターンビデオのほうは周知の技術を用いて生成される(例えば、2チャンネル分のHD−SDI信号を、それぞれ8ビット/10ビットエンコーディングした後、多重してシリアル・デジタルデータに変換する)ので、そのための回路構成の説明は省略する。
本例において信号受信装置6は、信号送信装置5によって生成されたシリアル・デジタルデータを受信する側の信号処理を行う。この信号受信装置6,信号受信方法では、このビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータからパラレル・デジタルデータが生成され、このパラレル・デジタルデータが、LinkA,LinkBの各チャンネルのデータに分離される。
分離されたLinkAのデータについては、自己同期型デスクランブルが掛けられるが、タイミング基準信号SAVの直前でデスクランブラ内のレジスタの値を全て0にセットしてデコードが開始されるとともに、誤り検出符号CRCに続く少なくとも数ビットのデータにも自己同期型デスクランブルが掛けられる。これにより、タイミング基準信号SAV,アクティブライン,タイミング基準信号EAV,ライン番号LN及び誤り検出符号CRCのデータのみに自己同期型スクランブルが掛けられ、水平ブランキング期間のデータには自己同期型スクランブルが掛けられていないにもかかわらず、掛け算回路であるデスクランブラの桁上がりを考慮した正確な計算を行って元のデータを再生することができる。
分離されたLinkBのデータについては、8ビット/10ビットデコーディングしたRGBのビットから、LinkBの各サンプルのデータが形成される。そして、自己同期型デスクランブルを掛けられたLinkAのパラレル・デジタルデータと、各サンプルを形成されたLinkBのパラレル・デジタルデータとがそれぞれパラレル/シリアル変換され、マッピングされたCH1〜CH8のHD−SDI信号が再生される。
このように、送信側である放送用カメラ1では、タイミング基準信号SAVの直前でスクランブラ24内のレジスタの値を全て0にセットしてエンコードし、誤り検出符号CRCに続く10ビットまでのデータを出力し、受信側であるCCU2では、タイミング基準信号SAVの直前でデスクランブラ41内のレジスタの値を全て0にセットしてデコードを開始するとともに、誤り検出符号CRCに続く10ビットのデータにもデスクランブルを掛けるので、自己同期型スクランブルを掛けた水平ブランキング期間のデータを送信しないにもかかわらず、受信側であるCCU2で正確に元のデータを再生することができる。
また、LinkA,LinkBともに、それぞれ2サンプルを単位として自己同期型スクランブル,8B/10Bエンコーディングを施すので、SMPTE435における50ビットのContent IDの上位40ビットとの互換をとることができる。
また、タイミング基準信号SAV内のXYZの下位2ビットの値をLinkAのチャンネル毎に変えてスクランブルを掛けることにより、3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号がフラットな(画面全体でRGBの値がほぼ同じ)信号である場合にもCH1,CH3,CH5,CH7とCH2,CH4,CH6,CH8とでデータ値が均一になることを回避できるので、電磁輻射(EMI:Electro-Magnetic Interference)の発生を防止することができる。
また、8B/10Bエンコーディングしたデータを、自己同期型スクランブルを掛けたデータに40ビット毎にはさむことや、タイミング基準信号SAVの直前でデスクランブラ41内のレジスタの値を全て0にセットすることにより、パソロジカルパターンの発生を防止することができる。
以上説明した第1の実施の形態に係るカメラ伝送システムでは、3840×2160/24P,25P,30P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号を、CH1〜CH8(LinkA及びLinkB)のHD−SDI信号にマッピングすることにより、ビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータに変換して伝送することができる。つまり、ITUやSMPTEで審議されている次世代の映像信号である4k信号を、従来用いている10.692Gbpsシリアルインタフェースの多chで伝送することが出来るという効果がある。
また、1フレームを構成する4k×8k信号を2サンプル毎に抽出して、サブイメージにマッピングしている。各サブイメージにマッピングされたサンプルは、元の映像である1フレームのサンプルを全体に持つ。そして、サブイメージを個別に取得することによって、画面全体の映像を、現行のHD用のモニタや波形モニタ、あるいは8k信号を将来の4k用モニタ等で観測することができる。このため、映像機器の開発時や光ファイバーケーブル3等の不具合を解析する場合に有効であるという効果がある。
また、上述した第1の実施の形態では、2サンプル毎に間引くようにしている。例えば、ライン間引きして3840/60P信号を、2chの3840/60I信号としたり、フレーム間引きして3840/60P信号を、2chの3840/30P信号としたりすることも想定される。しかしながら、上述した第1の実施の形態のように、2つのサンプル毎にサブイメージにマッピングする処理を行う場合、保存して割り振るデータの量が少なくなる。このため、放送用カメラ1からCCU2に信号を送信する際の遅延時間が少なくなるという効果がある。このように遅延時間が少なくなる信号処理を行うことは、リアルタイムで信号処理、信号伝送を行うことが必要とされる業務用カメラシステムにとって極めて重要であると言える。
また、上述した第1の実施の形態では、UHDTV規格でサンプリングされた映像データの水平補助データスペースに、所定の周波数でサンプリングされたオーディオサンプルを多重することが可能となる。このとき、UHDTVの要求仕様であるオーディオ24chの多重を、UHDTV1では48kHzオーディオで実現すると共に、UHDTV2では96kHzオーディオで実現する。
また、オーディオ位相をUHDTV1とUHDTV2のサンプリングクロックではなく、74.25MHzで定義する。この結果、10Gインタフェースの1CHから順次オーディオサンプルを多重することが可能となり、ハードウエアの負担を軽減できるという効果が得られる。また、現行の48kHzオーディオ規格であるSMPTE299Mの内容と整合性が取れる形で96kHzオーディオのフォーマットを定義することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係るマッピング部11の動作例について、図28を参照して説明する。
図28は、マッピング部11によって、4k×2k信号の1フレームを構成するサンプルが第1〜第4のサブイメージにマッピングされる例を示す説明図である。
本実施の形態において、マッピング部11は、3840×2160/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号を、第1〜第4のサブイメージにマッピングした後、デュアルリンクに変換することを特徴とする。その他の箇所については、上述した第1の実施の形態の各部と同様であるため、詳細な説明を省略する。また、CCU2が備える信号受信装置6の処理については、上述した第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
また、本例の放送用カメラ1は、4k×2k信号(4kサンプル×2kラインの超高解像度信号)として、UHDTV1に相当する3840×2160/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号を生成し、所定の方式でマッピングされたHD−SDI信号を送信する信号送信装置5を備えるカメラである。また、本例のCCU2が備える信号受信装置6は、放送用カメラ1から受信したHD−SDI信号に基づいて、3840×2160/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号の映像を再生できる。
本例のマッピング部11は、3840×2160/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号を、デュアルリンクの2chに多重する回路である。そして、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様に、マッピング部11は、始めに、フレームに配置された映像信号を含むサンプルを、第1〜第4のサブイメージにマッピングする。このとき、ライン方向に隣り合う2サンプル毎にマッピングする。
ここで、4k×2k信号の1フレームと、第1〜第4のサブイメージに含まれるサンプルの位置を(サンプル番号,ライン番号)としてマッピングの具体例について、図28を参照して説明する。
例えば、4k×2k信号の1フレームに含まれる(0,0),(1,0)の2サンプルは、第1のサブイメージの(0,42),(1,42)にマッピングされる。
また、4k×2k信号の1フレームに含まれる(2,0),(3,0)の2サンプルは、第2のサブイメージの(0,42),(1,42)にマッピングされる。
また、4k×2k信号の1フレームに含まれる(0,1),(1,1)の2サンプルは、第3のサブイメージの(0,42),(1,42)にマッピングされる。
また、4k×2k信号の1フレームに含まれる(2,1),(3,1)の2サンプルは、第4のサブイメージの(0,42),(1,42)にマッピングされる。
以下、同様に、4k×2k信号の1フレームに含まれるサンプルは、第1〜第4のサブイメージにマッピングされる。
ところで、4chのHD−SDIにマッピングした信号は、現行HD−SDIの1920×1080/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/12ビット相当の(クアッドリンク292)×4chに相当する。
本実施の形態におけるマッピング部11は、(クアッドリンク292×2ch)×2ch(図15参照)であるので、10Gbpsのシリアルインタフェースの2chで伝送できることを意味する。本例のマッピング部11は、第1のサブイメージにマッピングされたオーディオ信号を、第1のリンクの伝送チャンネルと第2のリンクの伝送チャンネルの内のいずれか一方の伝送チャンネルに配置するようにマッピングすることを特徴とする。
それぞれのクアッドリンクは、ライン間引きをすることによって、2chのデュアルリンクに変換できる。ここで、クアッドリンク292(1920×1080/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/12ビット)に配置されたサンプルのうち、偶数ラインに含まれるサンプルをサンプルAとし、奇数ラインに含まれるサンプルをサンプルBとする。マッピング部11によって、サンプルAは、デュアルリンク292のLinkAにマッピングされる。一方、サンプルBは、デュアルリンク292のLinkBにマッピングされる。
デュアルリンク292のLinkA,Bは、それぞれ1920×1080/60I/4:4:4/12ビット信号で規定される。そして、変換されたデュアルリンクの第1chのLinkAには、オーディオ信号が多重される。
オーディオ信号は、10Gbpsのシリアルインタフェース(SMPTE435)の第1chで48kHzオーディオが最大16ch(96kHzオーディオ最大8ch)伝送される。また、10Gbpsのシリアルインタフェース(SMPTE435)の第2chで48kHzオーディオが最大16ch(96kHzオーディオ最大8ch)伝送される。したがって、10Gbpsのシリアルインタフェース(SMPTE435)の第1chと第2chで伝送可能な48kHzオーディオは、最大32ch(96kHzオーディオ最大16ch)である。オーディオ信号を多重する順序は、10Gbpsのシリアルインタフェース(SMPTE435)の第1chから順次詰めて送る。
この場合にも、オーディオ位相は299Mに従って定められる。つまり、フォーマッタでのEAVから3840/60Pアクティブ上の位相情報を、3840/60Pのクロック位相(594MHz相当)を1/8に分周した74.25MHzのクロック位相で定義される。
ここで、1920/30Pと3840/60Pを比べる。すると、1920/30Pの1ラインの期間は、3840/60Pの4ラインの期間に相当する。そして、オーディオクロック位相データは、13ビットあり(ck0〜ck12)、8192クロックまで規定できるため、16ライン相当まで規定することができる。
つまり、3840/60Pの4ライン分以上の位相を管理できる。このため、CH1のみのオーディオ多重でも他のラインにサンプルがあった場合のオーディオ位相まで規定できる。
そして、10Gbpsインタフェースにおける2chの信号を、1本の光ファイバーで伝送する場合、1.3μm/1.55μm 2波長多重技術やCWDM/DWDM波長多重技術を使うことが出来る。
以上説明した第2の実施の形態によれば、3840×2160/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号を、デュアルリンク292のLinkA,Bにマッピングすることにより、ビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータに変換して伝送することができる。このため、従来用いている10.692Gbpsシリアルインタフェースの多chで伝送することが出来るという効果がある。
次に、本発明の第3の実施の形態に係るマッピング部11の動作例について、図29を参照して説明する。
図29は、マッピング部11によって、8k×4k信号の1フレームを構成するサンプルが第1〜第4のサブイメージにマッピングされる例を示す説明図である。
本実施の形態において、マッピング部11は、7680×4320/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号を、第1〜第4のサブイメージにマッピングすることを特徴とする。その他の箇所については、上述した第1の実施の形態の各部と同様であるため、詳細な説明を省略する。
また、本例の放送用カメラ1は、8k×4k信号(8kサンプル×4kラインの超高解像度信号)として、UHDTV2に相当する7680×4320/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号で規定される第1のフレームを生成し、所定の方式でマッピングされたHD−SDI信号を送信する信号送信装置5を備えるカメラである。また、本例のCCU2が備える信号受信装置6は、放送用カメラ1から受信したHD−SDI信号に基づいて、7680×4320/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号の映像を再生できる。
本例のマッピング部11は、7680×4320/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号を、SMPTE435に従ってCH1〜CH8(LinkAであるCH1,CH3,CH5,CH7及びLinkBであるCH2,CH4,CH6,CH8)の8チャンネルのビットレート1.485GbpsのHD−SDI信号にマッピングする回路である。
7680×4320/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号を、ライン方向に2サンプル毎に間引いて、それぞれのサンプルを3840×2160/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビットで規定される4chの第2のフレームにマッピングする。
4chの3840×2160/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビットは、さらにライン方向に2サンプル毎に間引いてHD−SDIのアクティブ期間に多重することで、図16の様にそれぞれを、4chの1920×1080/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビットにマッピングできる。つまり、現行HD−SDIの4chのクアッドリンク292で伝送することができる。
従って、7680×4320/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号は、16chのクアッドリンクにマッピング出来る。2chのクアッドリンク292は、10Gbpsで伝送できるので、8chの10Gbpsのシリアルインタフェースで伝送できる。
10Gbpsのシリアルインタフェース規格であるSMPTE435における第1ch〜第8chの各chで、48kHzオーディオで最大16ch(96kHzオーディオで最大8ch)伝送できる。このため、合計48kHzオーディオで最大128ch(96kHzオーディオ最大64ch)伝送できる。オーディオ信号多重は、10G第1chから順次詰めて送る。オーディオ位相は299Mに従い、フォーマッタでのEAVから7680/60Pアクティブ上の位相情報を、7680/60Pのクロック位相(2.376GHz相当)を1/32に分周した74.25MHzのクロック位相で定義される。
ここで、1920/30Pと7680/60Pを比べる。すると、1920/30Pの1ラインの期間に対して、7680/60Pは8ラインの期間に相当する。そして、オーディオクロック位相データは、13ビットあり(ck0〜ck12)、8192クロックまで規定できるため、32ライン相当まで規定することができる。
つまり、7680/60P上の8ライン分以上の位相を管理できる。このため、CH1のみのオーディオ多重でも他のラインにサンプルがあった場合のオーディオ位相まで規定できる。なお、オーディオ位相は映像ラインと数ライン〜数十ラインずれていても支障は無く、厳密なオーディオ位相情報は必要ではない。
また、10Gbpsインタフェースにおける8chの信号を1本の光ファイバーで伝送する際には、CWDM/DWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing/Dense Wavelength Division Multiplexing)波長多重技術を使うことが出来る。
以上説明した第3の実施の形態によれば、7680×4320/50P,60P/4:4:4,4:2:2,4:2:0/10ビット,12ビット信号を、CH1〜CH8(LinkA及びLinkB)のHD−SDI信号にマッピングすることにより、ビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータに変換して伝送することができる。つまり、ITUやSMPTEで審議されている次世代の映像信号である8k信号を、従来用いている10.692Gbpsシリアルインタフェースの多chで伝送することが出来るという効果がある。
次に、本発明の第4の実施の形態に係るマッピング部11の動作例について、図30を参照して説明する。
図30は、マッピング部11によって、4k×2k信号の1フレームを構成するサンプルが第1〜第4のサブイメージにマッピングされる例を示す説明図である。
本実施の形態において、マッピング部11は、4096×2160/24P/4:4:4/12ビット信号を、第1〜第4のサブイメージにマッピングすることを特徴とする。その他の箇所については、上述した第1の実施の形態の各部と同様であるため、詳細な説明を省略する。また、CCU2が備える信号受信装置6の処理については、上述した第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
また、本例の放送用カメラ1は、4k×2k信号(4kサンプル×2kラインの超高解像度信号)として、4096×2160/24P/4:4:4/12ビット信号を生成し、所定の方式でマッピングされたHD−SDI信号を送信する信号送信装置5を備えるカメラである。また、本例のCCU2が備える信号受信装置6は、放送用カメラ1から受信したHD−SDI信号に基づいて、4k×2k信号(4kサンプル×2kラインの超高解像度信号)として、4096×2160/24P/4:4:4/12ビット信号の映像を再生できる。
本例のマッピング部11は、4096×2160/24P/4:4:4/12ビット信号を、SMPTE435に従ってCH1〜CH8(LinkAであるCH1,CH3,CH5,CH7及びLinkBであるCH2,CH4,CH6,CH8)の8チャンネルのビットレート1.485GbpsのHD−SDI信号にマッピングする回路である。そして、本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様に、マッピング部11は、フレームに配置された映像信号を、第1〜第4のサブイメージにマッピングする。
ここで、4k×2k信号の1フレームと、第1〜第4のサブイメージに含まれるサンプルの位置を(サンプル番号,ライン番号)としてマッピングの具体例について、図30を参照して説明する。
例えば、4k×2k信号の1フレームに含まれる(0,0),(1,0)の2サンプルは、第1のサブイメージの(0,42),(1,42)にマッピングされる。
また、4k×2k信号の1フレームに含まれる(2,0),(3,0)の2サンプルは、第2のサブイメージの(0,42),(1,42)にマッピングされる。
また、4k×2k信号の1フレームに含まれる(0,1),(1,1)の2サンプルは、第3のサブイメージの(0,42),(1,42)にマッピングされる。
また、4k×2k信号の1フレームに含まれる(2,1),(3,1)の2サンプルは、第4のサブイメージの(0,42),(1,42)にマッピングされる。
以下、同様に、4k×2k信号の1フレームに含まれるサンプルは、第1〜第4のサブイメージにマッピングされる。
このように、マッピング部11は、4096×2160/24P/4:4:4/12ビット信号を、ライン方向に2サンプル毎に間引いてHD−SDIのアクティブ期間に多重する。マッピング部11は、各サンプルを、4chの2048×1080/24P/4:4:4/12ビットにマッピングした後、2048×1080/24P/4:2:2/10ビットであるLinkA,Bにマッピングする。そして、放送用カメラ1は、8chの現行HD−SDIで伝送することが可能となる。
以上説明した第4の実施の形態によれば、4096×2160/24P/4:4:4/12ビット信号を、CH1〜CH8(LinkA及びLinkB)のHD−SDI信号にマッピングすることにより、ビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータに変換して伝送することができる。つまり、従来用いている10.692Gbpsシリアルインタフェースの多chで伝送することが出来るという効果がある。
次に、本発明の第5の実施の形態に係るマッピング部11の動作例について説明する。
SMPTE 372Mには、1080/60P/4:2:2/10ビット信号を、ライン間引きでデュアルリンクのHD−SDI(LinkA,B)で伝送する方式がFigure 2に示されている。図31は、SMPTE372M(Figure2)で規定されるデュアルリンクインタフェースのライン番号とパッケージを示す図である。
また、SMPTE372Mの6.4章には、オーディオ信号はLinkAから順番に多重する規定が記述されている。例えば、8chのオーディオ信号を伝送する場合にはLinkAのみに多重し、20chのオーディオ信号を多重する場合にはLinkAに16ch、LinkBに4ch多重することが決められている。
この場合にも、オーディオ位相は299Mに従って定められる(図3参照)。つまり、オーディオ位相は、フォーマッタでのEAVから1920/60Pアクティブ上の位相情報を、1920/60Pのサンプリングクロック(148.5MHz相当)を1/2に分周した74.25MHzのクロック位相で定義される。
ここで、1920/30Pと1080/60Pを比べる。すると、1920/30Pの1ラインの期間は、1080/60Pの1ラインの期間に相当する。そして、オーディオクロック位相データは、13ビットあり(ck0〜ck12)、8192クロックまで規定できるため、8ライン相当まで規定することができる。
つまり、1080/60P上の2ライン分以上の位相を管理できる。このため、ライン間引きしたLinkAのみのオーディオ多重でも、LinkBのラインにサンプルがあった場合のオーディオ位相まで規定が可能である。
以上説明した第5の実施の形態によれば、1080/60P/4:2:2/10ビット信号を、CH1〜CH8(LinkA及びLinkB)のHD−SDI信号にマッピングすることにより、ビットレート10.692Gbpsのシリアル・デジタルデータに変換して伝送することができる。つまり、従来用いている10.692Gbpsのシリアルインタフェースの多chで伝送することが出来るという効果がある。
なお、以上の例ではカメラ伝送システムに本発明を適用しているが、他にも様々な方式の信号を伝送するようにしてもよい。このように、様々な信号を送信する場合に、適用することができる。
1…放送用カメラ、2…CCU(カメラコントロールユニット)、3…光ファイバーケーブル、5…信号送信装置、6…信号受信装置、10…音声信号多重部、11…マッピング部、12…S/P・スクランブル・8B/10B部、38−1〜38−8…S/P・スクランブル・8B/10B部のブロック、13…PLL、14…多重部、15…データ長変換部、16…FIFOメモリ、17…多チャンネルデータ形成部、18…多重・P/S変換部、19…光電変換部、21…S/P(シリアル/パラレル)変換部、22…TRS検出部、23…FIFOメモリ、24…スクランブラ、25…8B/10Bエンコーダ、26…FIFOメモリ、27…FIFOメモリ、28…抜き出し部、29…K28.5挿入部、30…8B/10Bエンコーダ、31…光電変換部、32…S/P変換・多チャンネルデータ形成部、33…多重部、34…PLL、35…FIFOメモリ、36…データ長変換部、37…分離部、38…デスクランブル・8B/10B・P/S部、38−1〜38−8…デスクランブル・8B/10B・P/S部のブロック、39…4k×2k再生部、42…デスクランブラ、42…8B/10Bデコーダ、43…セレクタ、44…FIFOメモリ、45…FIFOメモリ、46…P/S(パラレル/シリアル)変換部、47…8B/10Bデコーダ、48…サンプルデータ形成部