JP4556273B2 - 固体撮像素子およびこれを用いたカメラシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像素子およびこれを用いたカメラシステムに関し、特に広ダイナミックレンジの固体撮像素子およびこれを撮像デバイスとして用いたカメラシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像素子、例えばCCD(Charge Coupled Device)を用いた撮像素子(以下、単にCCD撮像素子と称す)では、行列状に配置された複数個の受光部(画素)の各々において光電変換されかつ蓄積された信号電荷がその蓄積部から溢れた後は、この信号電荷に基づく信号出力が一定となることから、受光部の飽和レベル以上の入射光量に対応する信号出力が得られなくなるため、光入力に対するダイナミックレンジがあまり広くない。
【0003】
このダイナミックレンジを拡大するために、感度の異なる2種類の受光部、例えば高感度受光部と低感度受光部とを垂直方向に隣接して交互に配置し、高感度受光部の信号電荷については受光部内でリミッタをかけてから垂直転送部に読み出し、当該垂直転送部内で高感度受光部の信号電荷と低感度受光部の信号電荷とを混合した後垂直転送し、さらに水平転送部で水平転送して出力するようにした構成の固体撮像装置がある(例えば、特開平3−117281号公報参照)。
【0004】
上記構成の固体撮像装置では、受光部の面積を異ならせることによって高感度受光部と低感度受光部とを形成するようにしている。これに対して、各受光部上に画素単位でND(neutral density)フィルタをオンチップにて形成し、NDフィルタが有る画素と無い画素とを設けることによって、画素単位で感度に違いを持たせることで広ダイナミックレンジ化を図った構成の電子内視鏡装置も知られている(特開平11−331710号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画素単位で感度に違いを持たせるために、NDフィルタが有る画素と無い画素とを形成した構造を採った後者の従来技術の場合には、NDフィルタが有る画素と無い画素との間にNDフィルタの厚さ分の段差が生じるため、その上にオンチップにて配するカラーフィルタやマイクロレンズの形成が難しくなるという問題点があった。しかも、NDフィルタとして、ある1種類の透過率を持つ光学フィルタを用いる構成となっているため、その透過率によってダイナミックレンジを拡大できる範囲もある程度制約されてしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、NDフィルタを画素単位で形成した際のカラーフィルタやマイクロレンズのオンチップでの形成を容易にした固体撮像素子およびこれを用いたカメラシステムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による固体撮像素子は、基体の表層部に形成されて光電変換をなす複数個のセンサ部と、これらセンサ部のうちの所定のセンサ部上に形成され、入射光をほぼ100%の透過率で通過させる第1の光学フィルタと、所定のセンサ部以外のセンサ部上に形成され、入射光を第1の光学フィルタよりも低い透過率で通過させる第2の光学フィルタとを備えた構成となっている。特に、前記第2の光学フィルタの少なくとも一部は、前記第1の光学フィルタのフィルタ材料からなるフィルタ層とカラーフィルタのフィルタ材料からなるフィルタ層との積層構造である。そして、この固体撮像素子は、カメラシステムにおいて、その撮像デバイスとして用いられる。
【0008】
上記構成の固体撮像素子およびこれを用いたカメラシステムにおいて、第2の光学フィルタは、センサ部への入射光の光量を落とす作用をなす。したがって、第1の光学フィルタが配されたセンサ部を高感度画素とすると、この高感度画素に対して、第2の光学フィルタが配されたセンサ部は低感度画素となる。その結果、固体撮像素子からは高感度画素の信号電荷に基づく撮像信号と低感度画素の信号電荷に基づく撮像信号とがそれぞれ導出されることになる。また、センサ部の全てに対して第1,第2の光学フィルタのいずかが必ず配されることから、これら光学フィルタ層の上面が平坦となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るCCD撮像素子の構成を示す概略構成図である。
【0010】
図1において、撮像部(撮像エリア)11は、基体(例えば、シリコン基板)上に行列状に配置されて形成された複数個のセンサ部(画素)12と、これらセンサ部12の垂直列ごとに画素の配列方向に沿って設けられた複数本の垂直CCD13と、センサ部12の各々と垂直CCD13との間に設けられ、センサ部12から垂直CCD13へ信号電荷を読み出す読み出しゲート部14とを有する構成となっている。
【0011】
この撮像部11において、センサ部12は例えばPN接合のフォトダイオードからなり、入射光をその光量に応じた電荷量の信号電荷に変換して蓄積する。垂直CCD13は、例えば4相の垂直転送パルスφV1〜φV4によって転送駆動され、読み出しゲート部14を通して各センサ部12から読み出された信号電荷をライン(行)単位で順に垂直方向に転送する。
【0012】
撮像部11の下側、即ち垂直CCD13による信号電荷の転送先側には、垂直CCD13から順に垂直転送される信号電荷を水平方向に転送する水平CCD15が配置されている。水平CCD15は、例えば2相の水平転送パルスφH1,φH2によって転送駆動される。水平CCD15の転送先側の端部には、例えばフローティング・ディフュージョン・アンプからなる電荷電圧変換部16が配されている。
【0013】
以上により、エリアセンサタイプのCCD撮像素子10が構成されている。このCCD撮像素子10を駆動するための駆動信号、即ち先述した垂直CCD13を転送駆動する4相の垂直転送パルスφV1〜φV4や、水平CCD15を転送駆動する2相の水平転送パルスφH1,φH2を含む各種の駆動パルスは、タイミングジェネレータ(TG)17で生成される。
【0014】
上記構成のCCD撮像素子10において、センサ部12の各々には、入射光をほぼ100%の透過率で通過させる第1の光学フィルタとこの第1の光学フィルタよりも低い透過率で入射光を通過させる第2の光学フィルタとが、例えば1ライン(1行)おきに画素単位で配されている。なお、図1において、白抜きの画素(センサ部)が第1の光学フィルタが配された画素を、ハッチングを付した画素が第2の光学フィルタが配された画素をそれぞれ示している。第1,第2の光学フィルタについては、後で詳細に説明する。
【0015】
図2は、センサ部12の構造の一例を示す断面図であり、図1のX−X´矢視断面を示している。
【0016】
図2において、シリコン基板(基体)21の表層部には、PN接合のフォトダイオードからなるセンサ部12が形成されている。また、シリコン基板21の表面には、熱酸化法やCVD法によって形成されたSiO2からなる絶縁膜22が設けられている。この絶縁膜22上には、アルミニウムなどからなる遮光膜23が、センサ部12の直上部の一部を開口した状態で形成されている。
【0017】
絶縁膜22上および遮光膜23上にはさらに平坦化膜24が形成されている。この平坦化膜24は、CVD法などによりNSG(シリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BPSG(ホウ素リンシリケートガラス)が堆積されることによって形成され、層間絶縁膜として機能するとともに、絶縁膜22上の凹凸をなくして平坦化する作用をなす。
【0018】
この平坦化膜24上には、第1,第2の光学フィルタ25,26が形成されている。これら光学フィルタ25,26は、先述したように、例えば1ラインおきに画素単位で形成される。第1のフィルタ25は、入射光をほぼ100%の透過率で通過させるためのフィルタである。この第1のフィルタ25のフィルタ材料としては例えばフォトレジストが用いられる。
【0019】
一方、第2の光学フィルタ26は、入射光を第1の光学フィルタ25よりも低い透過率で通過させるためのフィルタである。この第2の光学フィルタ26のフィルタ材料としては黒色系のカラーレジストが用いられる。このカラーレジストは、例えば、赤色と青色との顔料を配合した色素をレジストに分散(含有)させることによって当該レジストを黒色系に着色したものである。
【0020】
上記レジストと顔料との混合に際しては、第2の光学フィルタ26のフィルタ材料となる黒色系のカラーレジストの分光特性が、400nm〜700nmの波長範囲の光に対する平均透過率が5%〜40%とる特性になるように、その混合比を決定する。その分光特性を図3に示す。
【0021】
なお、黒色系のカラーレジストは、上記のものに限られるものではなく、例えば、カーボンブラックをレジスト中に分散させることによって当該レジストを黒色系に着色したものであっても良い。また、着色する色素として、カーボンブラックを主成分として他の顔料系あるいは染料系を配合したものを用いるようにしても良い。
【0022】
上記のように、フォトレジストをフィルタ材料として用いた第1のフィルタ25と、レジストに例えば赤色と青色との顔料を配合した色素を混ぜ合わせたものをフィルタ材料として用いた第2のフィルタ26とは、リソグラフィー法によってパターニングされることにより、行列状に配置されたセンサ部12,12,…の各々に対して、例えば1ラインおきに画素単位で形成される。
【0023】
1ラインおきに画素単位で形成された第1,第2の光学フィルタ25,26の上には、センサ部12,12,…のそれぞれの直上位置にオンチップにてマイクロレンズ(以下、オンチップレンズ(OCL;on chip lens)と称す)27が形成される。オンチップレンズ27は、略半球状に形成された凸レンズであり、1つのセンサ部12に対して1つずつ形成され、外部からの入射光をセンサ部12の受光面上に集光する作用をなす。
【0024】
上述したように、図1に示すCCD撮像素子10において、入射光の光量を落とす第2の光学フィルタ26を例えば1ラインおきに各センサ部12に配することにより、第2の光学フィルタ26が配されたセンサ部12の感度が低下するため、高感度の画素行と低感度の画素行とが1行(1ライン)おきに交互に配されることになる。
【0025】
これにより、センサ部12の各々の信号電荷を垂直CCD13に読み出し、当該垂直CCD13で垂直転送し、さらに水平CCD15で水平転送した後、電荷電圧変換部16で信号電荷を信号電圧に変換して得られるCCD出力として、通常の入射光量に基づく撮像信号と第2の光学フィルタ26を通過した低い入射光量に基づく撮像信号とがライン単位で交互に導出される。
【0026】
このように、センサ部12の各々に画素単位で感度に違いを持たせ、入射光量の差に対応した撮像信号を例えばライン単位で交互に得る構成のCCD撮像素子10によれば、これらの撮像信号に対して後段の信号処理系で合成処理などの信号処理を施すことにより、光入力に対する広ダイナミックレンジ化を図ることができる。
【0027】
特に、本実施形態に係るCCD撮像素子10では、第2の光学フィルタ26を画素単位で配するだけでなく、当該光学フィルタ26が配されない画素に対しては入射光をほぼ100%の透過率で通過させる第1の光学フィルタ25を配するようにしたことにより、図2の断面図から明らかなように、これら光学フィルタ層の上面を平坦化できるため、その上に配するオンチップレンズ27を容易に形成できることになる。
【0028】
ところで、第2の光学フィルタ26の分光特性は、図4(A)に示すように、透過率が波長依存性を持っている。なお、図4(A)の分光特性は、図3の分光特性を簡略化して示したものである。これに対して、第2の光学フィルタ26のフィルタ材料に、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)等の原色系カラーフィルタや、イエロー(Ye)、グリーン(G)、シアン(Cy)等の補色系カラーフィルタの色素を混ぜ合わせることにより、図4(B)に示すように、透過率が波長依存性のない、フラットな分光特性とすることができる。
【0029】
また、カラーフィルタの色素を混ぜ合わせなくても、図4(A)の分光特性を持つ第2の光学フィルタ26のフィルタ材料からなるフィルタ層に、原色系または補色系のカラーフィルタのフィルタ材料からなるフィルタ層を積層することによっても、図4(B)に示すように、透過率が波長依存性のない、フラットな分光特性を得ることができる。このように、第2の光学フィルタ26の分光特性を透過率が波長依存性のない、フラットなものとすることにより、色再現性を向上できる。
【0030】
なお、上記実施形態では、第1,第2の光学フィルタ25,26を、センサ部12の各々に対して1行おきに形成するとしたが、これに限定されるものではなく、図5(A)に示すように1列おきに形成する構成や、図5(B)に示すように行および列の両方向において1画素おきに形成する構成とすることも可能である。いずれの場合にも、センサ部12の各々に対して、隣接する画素間で感度に差を持たせることができる。
【0031】
また、上記実施形態においては、第2の光学フィルタ26の透過率を1種類に設定した場合を例にとって説明したが、互いに隣接する複数個のセンサ部12を組にし、この組内の複数個のセンサ部12の各々に対して透過率が異なる第2の光学フィルタ26を配するようにすることも可能である。
【0032】
一例として、図6に示すように、行方向に2画素、列方向に2画素の計4(2×2)画素を組にし、この(2×2)画素を単位とする。そして、(2×2)画素において、一方の対角線上に位置する2画素には第1の光学フィルタ25を、他方の対角線上に位置する2画素には透過率が異なる第2の光学フィルタ26をそれぞれ配するようにする。
【0033】
第2の光学フィルタ26の透過率を2種類に設定するには、例えば図7に示すように、2種類の光学フィルタ26,26´の厚みをt1,t2とした場合に、t1>t2の関係になるように2種類の光学フィルタ26,26´の厚みt1,t2を設定するようにする。すなわち、第2の光学フィルタ26の透過率は、当該光学フィルタの材質や厚みなどによって変化することから、2種類の光学フィルタ26,26´の厚みt1,t2を異ならせることにより、2種類の透過率を簡単に設定できることになる。
【0034】
このように、第2の光学フィルタ26,26´の厚みに違いを持たせて異なる透過率を設定する場合には、厚みの薄い方の光学フィルタ26´上に、図7から明らかなように、第1の光学フィルタ25のフィルタ材料からなるフィルタ層25´をt1−t2の厚み分だけ積層するようにする。これにより、光学フィルタ層の上面を平坦化できるため、先の実施形態の場合と同様に、その上に配するオンチップレンズ27の形成が容易になる。なお、図7は、図6のY−Y´矢視断面図である。
【0035】
また、透過率をさらに多段階に設定する場合の例としては、例えば図8に示すように、行方向に2画素、列方向に2画素の計4(2×2)画素を組にし、そのうちの1画素に透過率がほぼ100%の第1の光学フィルタ25を配し、残りの3画素に透過率が異なる第2の光学フィルタ26A,26B,26Cを配する構成が考えられる。このとき、光学フィルタ25,26A,26B,26Cの各透過率T1(≒100%),T2,T3,T4の大小関係は、T1>T2>T3>T4となる。
【0036】
なお、図8に示した4画素の組において、透過率が異なる光学フィルタ25,26A,26B,26Cの配置関係は一例に過ぎず、任意に設定可能である。また、第2の光学フィルタ26A,26B,26Cについては、例えば各フィルタの厚みを異ならせることで透過率を任意に設定できる。この場合にも、先述した場合と同様に、第1の光学フィルタ25に対して厚みが薄い分だけ当該光学フィルタ25のフィルタ材料からなるフィルタ層を積層することで、光学フィルタ層の上面の平坦化を図るようにすれば良い。
【0037】
このように、第2の光学フィルタ26として、互いに透過率が異なる複数種類のフィルタを設けることにより、光入力に対するCCD撮像素子10のダイナミックレンジを単に拡大できるだけでなく、そのダイナミックレンジの拡大率を大きく設定できる利点がある。
【0038】
なお、上記実施形態では、モノクロ対応のCCD撮像素子10に適用した場合を例にとって説明したが、図9に示すように、第1,第2の光学フィルタ25,26からなる光学フィルタ層上にカラーフィルタ28を積層し、その上にオンチップレンズ27を形成することにより、カラー対応のCCD撮像素子とすることもできる。
【0039】
カラー対応のCCD撮像素子の場合にも、センサ部12の各々に対して画素単位で第1,第2の光学フィルタ25,26を形成し、その光学フィルタ層の上面を平坦化することにより、その上に配するカラーフィルタ28およびオンチップレンズ27の形成が容易になる。
【0040】
図10(A),(B)にR,B,G等の原色系カラーフィルタの配列例を、図11(A),(B)に、Ye,G,Cy等の補色系カラーフィルタの配列例をそれぞれ示す。また、図10および図11において、(A)は横ストライプのカラーコーディングの場合を、(B)は縦ストライプのカラーコーディングの場合をそれぞれ示している。
【0041】
図10(A)および図11(A)に示す横ストライプのカラーフィルタ配列の場合には、センサ部の各々に対して第1,第2の光学フィルタ25,26が1列おきに形成される。また、図10(B)および図11(B)に示す縦ストライプのカラーフィルタ配列の場合には、センサ部の各々に対して第1,第2の光学フィルタ25,26が1行おきに形成される。これらの図において、白抜きの画素が第1の光学フィルタ25が形成される画素を、ハッチングを付した画素が第2の光学フィルタ26が形成される画素をそれぞれ示している。
【0042】
図10および図11から明らかなように、同じ色のカラーフィルタに対してその配列方向において第1,第2の光学フィルタ25,26が1画素おきに交互に形成されることになる。この場合のCCD撮像素子は、センサ部の各々から読み出した信号電荷を垂直CCD13中で加算することなく、独立に転送して読み出す全画素読み出し方式のデバイスとなる。
【0043】
図12は、本発明に係るカメラシステムの一例を示す概略構成図である。本カメラシステムは、撮像デバイスであるCCD撮像素子31、光学系の一部を構成するレンズ32、CCD撮像素子31を駆動するCCD駆動回路33およびCCD撮像素子31の撮像信号に対して各種の信号処理をなす信号処理回路34を有し、CCD撮像素子31として先の実施形態に係るCCD撮像素子10を用いた構成となっている。
【0044】
かかる構成のカメラシステムにおいて、被写体(図示せず)からの入射光(像光)は、光学系のレンズ32によってCCD撮像素子31の撮像面上に結像される。CCD撮像素子31は、先述したように、各画素の入射光量を異ならせることによって高感度の画素と低感度の画素を有する構成となっている。そして、このCCD撮像素子31からは、高感度画素の信号電荷に基づく撮像信号と低感度画素の信号電荷に基づく撮像信号とが出力される。
【0045】
CCD駆動回路33は、図1に示すタイミングジェネレータ17などを含み、CCD撮像素子31の駆動、即ち各画素からの信号電荷の読み出し、垂直転送、水平転送などの駆動を行う。信号処理回路34は、CCD撮像素子31から出力される撮像信号に対して相関二重サンプリング(CDS)処理などの信号処理を行う外、高感度画素の信号電荷に基づく撮像信号と低感度画素の信号電荷に基づく撮像信号とを合成する処理を行う。
【0046】
このように、撮像デバイスとして先の実施形態に係るCCD撮像素子10を用いるとともに、このCCD撮像素子から出力される高感度画素の信号電荷に基づく撮像信号と低感度画素の信号電荷に基づく撮像信号とを合成処理することにより、CCD撮像素子の各画素での信号電荷の蓄積量に制約されることなく、広ダイナミックレンジのカメラシステムを実現できる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、入射光の光量を落とす第2の光学フィルタを画素単位で配するだけでなく、当該光学フィルタが配されない画素に対しては入射光をほぼ100%の透過率で通過させる第1の光学フィルタを配するようにしたことにより、これら光学フィルタ層の上面を平坦化できるため、その上に配されるカラーフィルタやオンチップレンズを容易に形成できることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるCCD撮像素子の一例を示す概略構成図である。
【図2】センサ部の構造の一例を示す断面図であり、図1のX−X´矢視断面を示している。
【図3】第2の光学フィルタの分光特性の一例を示す図である。
【図4】透過率の波長依存性が有る場合(A)と無い場合(B)の分光特性を示す図である。
【図5】第1,第2の光学フィルタの他の配置例を示す図である。
【図6】第2の光学フィルタの透過率を異ならせる例を示す図である。
【図7】透過率を異ならせる場合のセンサ部の構造の一例を示す断面図であり、図6のY−Y´矢視断面を示している。
【図8】透過率を異ならせる場合の各フィルタの配置例を示す図である。
【図9】カラー対応のCCD撮像素子におけるセンサ部の構造を示す断面図である。
【図10】原色系カラーフィルタの配置例を示す図である。
【図11】補色系カラーフィルタの配置例を示す図である。
【図12】本発明に係るカメラシステムの一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10,31…CCD撮像素子、12…センサ部、13…垂直CCD、15…水平CCD、25…第1の光学フィルタ、26,26A,26B,26C…第2の光学フィルタ、27…オンチップレンズ(OCL)、28…カラーフィルタ、33…CCD駆動回路、34…信号処理回路
Claims (15)
- 基体の表層部に形成されて光電変換をなす複数個のセンサ部と、
前記複数個のセンサ部のうちの所定のセンサ部上に形成され、入射光をほぼ100%の透過率で通過させる第1の光学フィルタと、
前記所定のセンサ部以外のセンサ部上に形成され、入射光を前記第1の光学フィルタよりも低い透過率で通過させる第2の光学フィルタとを備え、
前記第2の光学フィルタの少なくとも一部は、前記第1の光学フィルタのフィルタ材料からなるフィルタ層とカラーフィルタのフィルタ材料からなるフィルタ層との積層構造である
固体撮像素子。 - 前記第1の光学フィルタと前記第2の光学フィルタとの上面は平坦化されている
請求項1記載の固体撮像素子。 - 前記カラーフィルタのフィルタ材料からなるフィルタ層は、前記第1の光学フィルタのフィルタ材料にカラーフィルタの色素を混ぜ合わせた材料で形成されている
請求項1はたは2記載の固体撮像素子。 - 前記カラーフィルタの色素が顔料系または染料系である
請求項1〜3の何れかに記載の固体撮像素子。 - 前記カラーフィルタの色素としてカーボンブラックを用いる
請求項1〜4の何れかに記載の固体撮像素子。 - 前記カラーフィルタが原色系または補色系である
請求項1〜5の何れかに記載の固体撮像素子。 - 前記第2の光学フィルタの一部は、前記カラーフィルタのフィルタ材料からなるフィルタ層の単層で構成されている
請求項1〜6の何れかに記載の固体撮像素子。 - 前記第2の光学フィルタとして、互いに透過率が異なる複数種類の第2の光学フィルタが設けられている
請求項1〜7の何れかに記載の固体撮像素子。 - 互いに隣接する複数個のセンサ部を組にし、この組内の複数個のセンサ部の各々に対して前記第1の光学フィルタと前記複数種類の第2の光学フィルタがそれぞれ配される
請求項8記載の固体撮像素子。 - 前記複数種類の第2の光学フィルタは、前記カラーフィルタのフィルタ材料からなるフィルタ層の膜厚が異なる
請求項8または9記載の固体撮像素子。 - 基体の表層部に形成されて光電変換をなす複数個のセンサ部、これら複数個のセンサ部のうちの所定のセンサ部上に形成され、入射光をほぼ100%の透過率で通過させる第1の光学フィルタおよび前記所定のセンサ部以外のセンサ部上に形成され、入射光を前記第1の光学フィルタよりも低い透過率で通過させる第2の光学フィルタを有する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の撮像面上に被写体からの像光を結像させる光学系と、
前記固体撮像素子から出力される前記第1の光学フィルタが配されたセンサ部の信号電荷に基づく信号と前記第2の光学フィルタが配されたセンサ部の信号電荷に基づく信号とを合成処理する信号処理回路とを具備し、
前記第2の光学フィルタの少なくとも一部は、前記第1の光学フィルタのフィルタ材料からなるフィルタ層とカラーフィルタのフィルタ材料からなるフィルタ層との積層構造である
カメラシステム。 - 前記第1の光学フィルタと前記第2の光学フィルタとの上面は平坦化されている
請求項11記載のカメラシステム。 - 前記カラーフィルタのフィルタ材料からなるフィルタ層は、前記第1の光学フィルタのフィルタ材料にカラーフィルタの色素を混ぜ合わせた材料で形成されている
請求項11または12に記載のカメラシステム。 - 前記カラーフィルタの色素としてカーボンブラックを用いる
請求項11〜13の何れかに記載の固体撮像素子。 - 前記第2の光学フィルタとして、互いに透過率が異なる複数種類の第2の光学フィルタが設けられている
請求項11〜14の何れかに記載のカメラシステム。
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