JP2005260318A - 2板式カラー固体撮像装置及びデジタルカメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】 高感度,高解像度,高画質のカラー撮像が可能で、小型で低コストの2板式カラー固体撮像装置を提供する。
【解決手段】 3原色の入射光を緑色と赤色及び青色とに分離する色分解プリズム35と、プリズム35によって分離された赤色及び青色の入射光を受光して赤色の光量に応じた赤色信号と青色の光量に応じた青色信号とを出力する第1固体撮像素子36と、プリズム35によって分離された緑色の入射光を受光して緑色の光量に応じた緑色信号を出力する第2固体撮像素子37とを備える2板式カラー固体撮像装置において、固体撮像素子36の複数の受光部のうち赤色検出用受光部の上部に赤色の光を透過するイエロフィルタを設け、青色検出用受光部の上部に青色の光を透過するシアンフィルタを設ける。
【選択図】 図2
【解決手段】 3原色の入射光を緑色と赤色及び青色とに分離する色分解プリズム35と、プリズム35によって分離された赤色及び青色の入射光を受光して赤色の光量に応じた赤色信号と青色の光量に応じた青色信号とを出力する第1固体撮像素子36と、プリズム35によって分離された緑色の入射光を受光して緑色の光量に応じた緑色信号を出力する第2固体撮像素子37とを備える2板式カラー固体撮像装置において、固体撮像素子36の複数の受光部のうち赤色検出用受光部の上部に赤色の光を透過するイエロフィルタを設け、青色検出用受光部の上部に青色の光を透過するシアンフィルタを設ける。
【選択図】 図2
Description
本発明は2板式カラー固体撮像装置及びデジタルカメラに関する。
デジタルカメラに用いられるカラー固体撮像装置には、1個の固体撮像素子を用いた単板式のものと、複数個の固体撮像素子を用いた多板式のものが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
前者は、1個の固体撮像素子上に複数色のカラーフィルタを離散的(モザイク状)に配置したもので、安価ではあるが、感度、解像度、色再現性の点で後者よりも劣る。また、単板式固体撮像素子では、高画素(微細)化による製造歩留り低下の問題が深刻になっており、固体撮像素子のコストアップの原因となっている。
後者、例えば3板式のカラー固体撮像装置は、図16に示す様に、3色成分(例えば、赤色(R),緑色(G),青色(B))毎に専用の固体撮像素子1,2,3を使うので、専ら、解像度、色再現性などに優れ、高画質が求められる放送局用TVカメラなどに使用さている。しかし、複数個のイメージセンサ(固体撮像素子)1,2,3と大型の色分解プリズム4を必要とするため、システムコストが高くなると共にデジタルカメラが大型化するという問題がある。
近年、3板式のカラー固体撮像装置を比較的低価格のデジタルスチルカメラやカムコーダに適用する例が増えている。その理由は、単板式固体撮像素子の高画素化に伴う弊害が顕著になってきたからである。すなわち、画素の微細化等により、固体撮像素子自体の製造歩留と性能が急速に低下することが懸念されている。
そのため、高歩留、高性能の固体撮像素子を用いて多板式撮像システムが構築されるようになってきている。固体撮像素子の製造歩留が高ければ、色分解プリズムのコストを考慮しても、多板式撮像装置のコストが、単純に、2倍、3倍と、固体撮像素子の個数倍になるということにはならない。
また、近年、イメージセンサの高解像度(多画素)化が進展している。今後さらに、この多画素化、すなわち単位画素サイズの微細化が進むにつれ、感度の低下や偽信号、偽色、シェーディングといった画質劣化が懸念されている。
一般に、単板式固体撮像素子を用いてカラー画像を撮影する場合、被写体の色、すなわち撮像系に入射する光の色成分を単一の固体撮像素子表面上に二次元アレー状に離散配置した画素毎に、それぞれ異なる色信号(例えば、R,G,B)として検出する必要がある。
そこで、単板式カラー固体撮像素子では各画素の上にカラーフィルタを配置し、固体撮像素子全体では3色あるいは4色のカラーフィルタがモザイク状(特許文献1)あるいはストライプ状に配列するのが一般的となっている。
カラーフィルタには、原色系(R,G,B)およびその補色から構成される補色系(Ye,Cy,Mgなど)フィルタがある。従来、色再現性を重視する観点から、デジタルカメラ等においては、原色系(R,G,B)カラーフィルタが多く使用されている。これに対して、補色系カラーフィルタ(Cy,Ye,Mgなど)は、その色信号成分に2種類の原色成分を含むため(例えば、Mgには青色Bと赤色Rを含む)、原色系カラーフィルタを使用した場合に比べ、感度は高くなる反面、色分離処理の過程でS/Nが低下し忠実な色再現が難しいという問題がある。
カラーフィルタについては、さらに以下の問題が顕在化している。カラーフィルタの材料には、いわゆる顔料系と染料系がある。顔料系は、色材として顔料を使用しているので、耐光性や耐熱性に優れ、デジタルカメラ等で多く使われている。しかし、画素の微細化に伴い、顔料の粒状性が画質に影響を与えはじめていること、更にカラーフィルタの厚さを薄くすることが出来ないため、マイクロレンズと受光部の距離を短縮することが困難である等の問題がある。
これに対して、染料系カラーフィルタは、顔料系とは異なり、耐光性や耐熱性を改善する必要はあるが、粒状性の問題はなく、薄膜化も容易である。従って、画素の微細化に伴って、顔料系カラーフィルタに代わり染料系カラーフィルタが見直されている。
しかしながら、染料系カラーフィルタを採用するためには、耐光性や耐熱性に加え、各色成分の分光透過率を制御し、互いに異なる色成分の分光スペクトルのオーバーラップ量を少なくし、混色による色再現性の劣化を防止すると同時に、レジスト材料としての機能性能(微細パターン形成が可能で現像処理等が従来のフォトレジストと同等であるなど)を兼ね備えるカラーレジスト材料を入手することは容易でない。
上述した様に、デジタルカメラに搭載するカラー固体撮像素子は、これを単板式で実現するには技術的,コスト的に限界にきている。しかし、カラー固体撮像装置を3板式で実現すると、高価で複雑な色分解プリズムが必要なため、装置が大型化し製造コストも嵩んでしまうという問題がある。
そこで、2板式のカラー固体撮像装置により、忠実な色再現が可能でしかも小型,低コストのデジタルカメラを構成するのが一番現実的となる。この場合、固体撮像素子に積層するカラーフィルタの材料や色分解プリズムとの組み合わせを最適なものにし、高感度,高解像度,高画質のカラー画像を撮像でき、しかも、撮像光学系の小型化、低コスト化を図る必要が生じる。
本発明の目的は、低コストで小型且つ高感度,高解像度,高画質のカラー画像が撮像できる2板式カラー固体撮像装置及びデジタルカメラを提供することにある。
本発明の2板式カラー固体撮像装置は、3原色の入射光を緑色と赤色及び青色とに分離する色分解プリズムと、該色分解プリズムによって分離された前記赤色及び青色の入射光を受光して赤色の光量に応じた赤色信号と青色の光量に応じた青色信号とを出力する第1固体撮像素子と、前記色分解プリズムによって分離された前記緑色の入射光を受光して緑色の光量に応じた緑色信号を出力する第2固体撮像素子とを備える2板式カラー固体撮像装置において、前記第1固体撮像素子の複数の受光部のうち赤色検出用受光部の上部に赤色の光を透過する補色系の第1カラーフィルタを設け、前記第1固体撮像素子の複数の受光部のうち青色検出用受光部の上部に青色の光を透過する補色系の第2カラーフィルタを設けたことを特徴とする。
この様に、色分解プリズムと補色系カラーフィルタとを組み合わせることにより、低コストで小型且つ高感度,高解像度,高画質のカラー画像の撮像が可能な2板式カラー固体撮像装置を得ることができる。
本発明の2板式カラー固体撮像装置では、前記第1カラーフィルタがイエロ(Ye)フィルタであり、前記第2カラーフィルタがシアン(Cy)フィルタであることを特徴とする。
赤色の分光特性よりブロードな特性を持つイエロフィルタにより赤色を分離して赤色検出用受光部に入射させ、青色の分光特性よりブロードな分光特性を持つシアンフィルタにより青色を分離して青色検出用受光部に入射させるため、カラーフィルタ自体の光吸収を最小限に抑えることができるので、原色系カラーフィルタに比べ、感度を高く維持することができる。
本発明の2板式カラー固体撮像装置では、前記第1カラーフィルタ及び前記第2カラーフィルタが染料系で構成されることを特徴とする。
染料系カラーフィルタを用いた場合には、隣接する異なる色のカラーフィルタ同士が境界領域において混色する可能性があるが、本発明による第1固体撮像素子(B,R検出)には、そもそも中間波長であるG成分の光が入射しないため、仮にカラーフィルタが混色した場合でも、G成分の入射光が入り込むことによる色再現性の低下は最小限に抑えられる。従って、染料系カラーフィルタの材料選択の幅が広がる。
本発明の2板式カラー固体撮像装置では、前記第1カラーフィルタと前記第2カラーフィルタがモザイク状あるいはストライプ状に形成されることを特徴とする。
この様に、カラーフィルタの形状には依存せず、モザイク状,ストライプ状のいずれのカラーフィルタ配列でも使用可能である。
本発明の2板式カラー固体撮像装置では、前記青色検出用受光部のPN接合深さXj(B)と、前記赤色検出用受光部のPN接合深さXj(R)と、前記第2固体撮像素子に設けられている緑色検出用受光部のPN接合深さXj(G)が
Xj(B)<Xj(G)<Xj(R)
の関係を満たすように製造されていることを特徴とする。
Xj(B)<Xj(G)<Xj(R)
の関係を満たすように製造されていることを特徴とする。
入射光の色毎の光学吸収係数を考慮して、Xj(R),Xj(G),Xj(B)を製造するため、夫々の色の感度を最大にすることが可能となる。
本発明の2板式カラー固体撮像装置では、前記色分解プリズムが、入射光のうち緑色の光を反射し赤色及び青色の光を透過するダイクロイックミラーを備えることを特徴とする。
この構成により、入射光のロスを少なくして色分解を行うことができる。
本発明の2板式カラー固体撮像装置では、前記色分解プリズムは、前記緑色の光の出射口に緑色のトリミングフィルタを備えると共に、前記赤色及び青色の光の出射口にマゼンタ(Mg)のトリミングフィルタを備えることを特徴とする。
この構成により、第1,第2固体撮像素子に入射する光の分光特性は、ほぼ理想的な入射光スペクトルとなる。
本発明の2板式カラー固体撮像装置では、前記第1固体撮像素子及び前記第2固体撮像素子の夫々に設けられる受光部がいずれも正方格子状またはハニカム状に配列されていることを特徴とする。
本発明はいずれの画素配列の固体撮像素子にも適用可能である。
本発明の2板式カラー固体撮像装置は、前記第1固体撮像素子及び前記第2固体撮像素子がいずれもCCD型またはMOS型のイメージセンサであることを特徴とする。
本発明は、CCD型,MOS型を問わず適用可能である。
本発明のデジタルカメラは、上述したいずれかに記載の2板式カラー固体撮像装置を搭載することを特徴とする。
これにより、高感度,高解像度,高画質のカラー画像の撮像が可能となる。
本発明によれば、高感度,高解像度,高画質のカラー撮像が可能となり、且つ、撮像装置の小型化,低コスト化が実現される。特に、補色系のカラーフィルタで染料系のカラーフィルタを利用できるので、カラーフィルタ材料の選択の幅が広がり、かつ画質の向上が図れる。
また、固体撮像素子の一方はカラーフィルタが不要で、他方の固体撮像素子では、カラーフィルタを2色しか必要としないので、固体撮像素子自体の製造工程が簡略化でき、製造歩留が向上し、コスト低下を図ることが可能となる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るデジタルカメラ(この例ではデジタルスチルカメラ)のブロック構成図である。このデジタルカメラは、被写体からの入射光を集光するレンズや絞りを搭載した光学系21と、本実施形態に係る2板式カラー固体撮像装置22と、光学系21と2板式カラー固体撮像装置22との間に配置された赤外線カットフィルタ23とを備える。
本実施形態のデジタルカメラはまた、2板式カラー固体撮像装置22から出力される赤色(R)信号,緑色(G)信号,青色(B)信号を取り込み相関二重サンプリング処理等を行うCDS回路24と、CDS回路24の出力信号を取り込んで利得制御処理等を行うプリプロセス回路25と、プリプロセス回路25から出力されるR,G,Bのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路26と、A/D変換回路26から出力されるR,G,Bの画像信号を取り込んでホワイトバランス補正やガンマ補正処理等の信号処理を行ったり撮像画像の信号圧縮や伸張処理を行う信号処理回路27と、信号処理回路27に接続された画像メモリ28と、信号処理回路27が処理した撮像画像データを図示しない外部メモリに記録したりカメラ背面等に設けられた液晶表示部に表示したりする記録/表示回路29とを備える。
このデジタルカメラは更に、デジタルカメラ全体を統括制御するシステム制御回路30と、システム制御回路30からの指示信号により同期信号を発生する同期信号回路31と、同期信号に基づいてカラー固体撮像装置22内の各固体撮像素子に駆動信号を出力する固体撮像素子駆動回路32とを備える。
本実施形態のデジタルカメラでは、システム制御回路30からの指示信号に基づいて光学系21のレンズ焦点や絞りが制御され、光学系21及び赤外線カットフィルタ23を通してモジュール22内の2つの固体撮像素子に被写体の光学像が結像する。そして、受光した光学像に応じて各固体撮像素子から赤色(R)信号,緑色(G)信号,青色(B)信号が出力され、プリプロセス回路25が同期信号に応じてR,G,B信号の利得制御等を行い、システム制御回路30からの指示に基づいて信号処理回路27が画像処理等を行うことで、カラー固体撮像装置22から出力されたR,G,B信号に基づいて撮像画像が再生され、JPEG形式等のデータに圧縮された画像データが外部メモリに記録される。
図2は、図1に示す2板式カラー固体撮像装置22の構成図である。この2板式カラー固体撮像装置は、色分解プリズム35と、第1の固体撮像素子36及び第2の固体撮像素子37の2枚の固体撮像素子を備える。色分解プリズム35は、第1プリズム部材35aと、第2プリズム部材35bと、両者間に形成された緑色(G)反射用ダイクロイックミラー38と、第2プリズム部材35bの端面に形成された全反射用のダイクロイックミラー39とを備える。尚、膜39はダイクロイックミラーである必要はなく、入射光を全反射するものであればよい。
第1の固体撮像素子36には、赤色と青色が混じった光が入射するため、第1の固体撮像素子36の各画素の上部にカラーフィルタを形成し、赤色と青色を分離している。このカラーフィルタとして、本実施形態では、赤色を分離するために補色系のYe(イエロ)のカラーフィルタを使用し、青色を分離するために補色系のCy(シアン)のカラーフィルタを使用する。
第1プリズム部材35aは、図2に示す様に、断面が三角形状となっており、入射光がほぼ垂直に入射する光入射面35cと、光入射面35cに対して斜めに配置されダイクロイックミラー38が蒸着形成された界面と、固体撮像素子37が対面する第3面とを備える。この第3面すなわち緑色(G)の光の出射口には、固体撮像素子37が緑色のカラーフィルタを搭載しない関係で、緑色の光の波形を調整するトリミングフィルタ40が形成されている。
第2プリズム部材35bも、断面が三角形状となっており、第1プリズム部材35a(ダイクロイックミラー38)と接する界面と、この界面に対して斜めに配置され全反射膜39が蒸着形成された反射面と、固体撮像素子36が対面する第3面とを備える。この第3面すなわち赤色及び青色の光の出射口には、固体撮像素子36への入射光の波形を調整するMg(マゼンタ)のトリミングフィルタ41が形成されている。
被写体からの入射光は、先ず第1プリズム部材35aの光入射面35aに垂直に入射し、そのうちの緑色(G)の入射光がダイクロイックミラー38で反射し、次に光入射面35aで全反射して、第2の固体撮像素子37に結像する。第1プリズム部材35aからダイクロイックミラー38を透過して第2プリズム部材35bに入射した赤色(R)と青色(B)の入射光は、全反射膜39で反射し、更に、第1プリズム部材35a界面で全反射されて第1の固体撮像素子36に結像する。
図2に示す実施形態の色分解プリズム35は、第1プリズム部材35aに入射した緑色(G)の入射光が2回反射して第2固体撮像素子37に結像し、第2プリズム部材35bに赤色(R)と青色(B)の入射光が2回反射して第1固体撮像素子36に結像する構成としているため、第1固体撮像素子36の結像画像に対して第2固体撮像素子37の結像画像が鏡映反転した画像になることはない。
本実施形態の色分解プリズム35は、その光入射方向の寸法を短くできるため、カラー固体撮像装置の小型化,軽量化,薄型化を図ることができる。また、上述の様に2回反射させているため、光学系21の焦点距離を長くできるという利点もある。
入射光を、緑色の光と、赤色及び青色の光とに分解するプリズムの形状は、図2に示すものに限るものではなく、例えば、図3に示す様に、方形のプリズム42の対角面に緑色の光を反射し赤色及び青色の光を透過するダイクロイックミラー43を設けた簡単な構成のものでもよい。この場合でも、第1の固体撮像素子36の各受光部の上部には、Cyのカラーフィルタ45またはYeのカラーフィルタ46が搭載され、第2の固体撮像素子37にはカラーフィルタは何も搭載しない。
図4は、光学系に入射した光が固体撮像素子36,37の表面に到達するまでの間、どのように分光スペクトルが変化するかを示したものである。図2,図3に示す様に、カメラレンズ系には、IRカットフィルタ23を挿入しているので、Rの長波長側は、図4(b)に破線で示す様に、700nm以上で急峻に光強度が落ちている。
ダイクロイックミラーを反射した緑色Gの光(図4(a))あるいは透過した赤色R及び青色Bの光(図4(b))は、従来のR,G,Bの原色系カラーフィルタを透過した特性に比べ、シャープな分光特性を示す。しかし、短波長側あるいは長波長側の成分が漏れ込んだり、境界波長が入射光角度によって変化する等の問題がある。例えば、図4(a)でいえば、波長500nm以下や波長600nm以上で分光特性を持つ。
これを改善するため、通常、プリズムにトリミングフィルタを挿入する。図2に示す実施形態でも、緑色(G)の光に対しては、Gのトリミングフィルタ40を、赤色(R)と青色(B)の光に対してはマゼンタ(Mg)のトリミングフィルタ41を使用している。各トリミングフィルタ40,41の分光特性を図5(a)(b)に示す。
トリミングフィルタ40,41を通過し、最終的に固体撮像素子37,36に入射する光の分光特性は、図6(a)(b)に示す様に、ほぼ理想的な入射光スペクトルとなる。
特に、固体撮像素子36では、入射光にG成分が全く無いので、赤色Rおよび青色Bが、緑色Gと混色する確率は極めて低くなるという特徴がある。
本実施形態の2板式カラー固体撮像装置では、固体撮像素子37が全て緑色(G)信号に割り当てられているので、輝度信号の生成には極めて有利であり、高解像度化が実現する。特に緑色(G)については、固体撮像素子37のほぼ全面に感度を有するので、緑色(G)の入射光の不感度部分が殆どなく、偽信号の発生が抑えられるという効果がある。
色再現性についても、固体撮像素子37の緑色(G)信号と同じサンプリングポイントにある固体撮像素子36から得られる赤色(R)信号,青色(B)信号を使って色再現することができるので、色ズレや偽色の問題が軽減できるという効果がある。固体撮像素子37には、緑色(G)の光のみが入射するので、そもそもカラーフィルタは必要ない。
一方、固体撮像素子36には、赤色(R)の光と青色(B)の光が入射するので、上述したように、補色カラーフィルタであるシアン(Cy)とイエロ(Ye)を固体撮像素子36の表面にモザイク状に配置して分離する。赤色(R)と青色(B)を分離するには、原色系カラーフィルタを用いることでもよいが、後述する理由から、補色フィルタ、特にシアン(Cy)とイエロ(Ye)が好適である。
図7は、固体撮像素子表面に到達した光が、画素受光部に到達するまでにどのように分光スペクトルが変化するかを示したものである。図7(a)は、図6(b)を再掲したものであり、固体撮像素子36に到達した光の分光特性を示し、赤色(R)と青色(B)の光が含まれている。
図7(b)は、シアン(Cy)フィルタの分光特性を示すグラフである。シアンフィルタは、短波長の青色(B)と中波長の緑色(G)を透過するカラーフィルタであり、原色系の青色フィルタに比較して長波長側にブロードな特性になっている。しかし、固体撮像素子36に入射する光には緑色(G)を含まないため、図7(a)に示す分光特性の光がシアンフィルタに入射すると、図7(d)に示すように、青色(B)の光のみがシアンフィルタに邪魔されることなく全て透過し、受光部に達することになる。
同様に、図7(c)は、イエロ(Ye)フィルタの分光特性を示すグラフである。イエロフィルタは、中波長の緑色(G)と長波長の赤色(R)を透過するカラーフィルタであり、原色系の赤色フィルタに比較して低波長側にブロードな特性になっている。このため、緑色(G)を含まない図7(a)に示す分光特性の光がイエロフィルタに入射すると、図7(e)に示す様に、赤色(R)がイエロフィルタに邪魔されることなく全て透過し、受光部に到達する。
図8は、固体撮像素子36の4画素分のカラーフィルタ配列を拡大したものである。この例では、シアンフィルタとイエロフィルタをモザイク状、即ち、上下方向、左右方向共に交互にシアンフィルタとイエロフィルタが配置されている。従って、異なる色のカラーフィルタ同士が互いに端部を接触するような状態で形成される。
これは、最初に一方の色のカラーレジストを塗布してパターニングし、不要な部分を除去した後に他のカラーフィルタを塗布し、最初のカラーフィルタが存在しない部分を埋めるようにして他方のカラーフィルタがパターニングされるからである。染料タイプのカラーフィルタは、粒状性がなく薄膜化しやすいという利点があるが、このように異なる色同士が接触すると、時間の経過と共に互いに染料が混色するという問題が懸念される。
ところが、本実施形態の様に、固体撮像素子36が青色(B)と赤色(R)の光しか検出せず、また、固体撮像素子36には緑色(G)の光が入射しない構成では、カラーフィルタ境界領域8における染料の混色が進み、図7(b)のシアンフィルタの長波長側のカットオフ波長が多少動いても、あるいは、図7(c)に示すイエロフィルタの短波長側のカットオフ波長が多少動いても、実質的に赤色(R)と青色(B)の光は影響を受け難いという利点がある。
このため、染料系カラーフィルタ材料の材料設計あるいは材料選択の余地が広がり、露光,現像処理条件の最適化が容易になる。
上述した実施形態に係る2板式カラー固体撮像装置は、第1の固体撮像素子36と第2の固体撮像素子37とを用いるが、固体撮像素子36,37としては、CMOSイメージセンサやその他のMOS型イメージセンサを用いても、また、電荷結合素子(CCD)によるイメージセンサを用いても良い。
更に、各固体撮像素子36,37における画素配置に限定はなく、正方格子配列のものや、特開平10―136391号公報に記載されているように、各画素を各行毎に1/2画素ピッチづつずらした画素配列、所謂ハニカム配列のものでもよい。また、本実施形態は、インターライン型、フレームトランスファー型のいずれのCCDにも適用可能である。
更にまた、実施形態では、固体撮像素子36に設けるシアンフィルタとイエロフィルタをモザイク状に配置したが、各カラーフィルタをストライプ状に配置することでもよい。
図9(a)は、上述した固体撮像素子36として用いるCCD36aの表面模式図であり、図9(b)は同じく固体撮像素子37として用いるCCD37aの表面模式図である。図中に、R,G,Bとして記載しているのは、赤色(R)信号を検出する画素、緑色(G)信号を検出する画素、青色(B)信号を検出する画素を表しており、G信号を検出する画素にはカラーフィルタを積層しておらず、B信号を検出する画素にはシアン(Cy)カラーフィルタが積層されており、R信号を検出する画素にはイエロ(Ye)カラーフィルタが積層されている。
CCD36aでは、シアンカラーフィルタとイエロカラーフィルタがモザイク状に配列されているが、例えば図10(a)(b)に示す様に、ストライプ状のシアンカラーフィルタとストライプ状のイエロカラーフィルタとを交互に設ける構成でもよい。
図9において、各列の画素50の右脇には垂直転送路(VCCD)51が形成され、下辺部に水平転送路(HCCD)52が形成され、水平転送路52の出口部に増幅器53が設けられて構成は、一般的なCCDと同様である。
図11(a)は、固体撮像素子36として用いるCCD36bの表面模式図であり、図11(b)は、固体撮像素子37として用いるCCD37bの表面模式図である。本実施例では、画素配置をハニカム配列にしたものであり、CCD36bでシアンフィルタとイエロフィルタを交互に設けるのは実施例1と同様である。各画素61の縦方向に並ぶ各画素列の右側には垂直転送路62が蛇行配置され、下辺部には水平転送路63が形成され、水平転送路63の出口には増幅器64が設けられている。
ハニカム配列の場合、図12(a)(b)に示す様に、画素上に当たる部分を広くしたストライプ状のシアン(Cy)フィルタ45とイエロフィルタ46とを交互に形成することができる。しかし、各画素毎に色の異なるカラーフィルタを分離してモザイク状に形成してもよい。
図13(a)はCCD36bの4画素分の拡大図であり、図13(b)はCCD37bの4画素分の拡大図である。CCD36b,37b共に、各画素61は各行毎に1/2ピッチずれており、水平方向に隣接する画素61間に、垂直転送路62が蛇行して配置される。
図14は、図13(a)(b)の各丸印XIV内の転送電極を示す詳細図である。菱形に形成された素子分離帯65により各画素61が画成され、素子分離帯65に設けられたゲート部66から、画素間に設けられた垂直転送路62に色信号電荷が読み出される。
垂直転送路62上には、2層ポリシリコン構造でなる転送電極が重ねて設けられ、1つの画素に対して4本の転送電極67a,67b,67c,67dが対応付けられている。これにより、ハニカム画素配置のCCDは、2層ポリシリコン構造の転送電極で全画素読み出し(プログレッシブ動作)可能なCCDとなっている。
ハニカム画素配置のCCD36bでは、Cyフィルタを透過して発生し青色(B)信号と、イエロフィルタを透過して発生した赤色(R)信号とは、それぞれ別々の垂直転送路62を転送するので、各垂直転送路62内でR信号の信号電荷とB信号の信号電荷とが互いに混ざることがないという利点がある。これにより、画質を低下させる偽色や縦スジ等が発生しないという特徴がある。
本実施例のCCD36b,37bは、カラーフィルタの色及びカラーフィルタ層の有無のみ異なる他は、各画素の構造は同じにしている。これにより、同一半導体プロセスでCCD36b,37bを製造でき、製造コストの低減を図ることができる。これは、実施例1に示す正方格子配列のCCDでも同じである。
本実施例に係るCCDの表面構造は、実施例2の図13(a)(b)に示すCCDと同じであるが、画素の断面構造が実施例2と異なる。図15(a)は赤色(R)及び青色(B)を、図13(a)のa―a線断面に相当する実施例3の断面図であり、図15(b)は、図13(b)のb―b線断面に相当する断面図である。
IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES, VOL.ED-15,NO.1,JANUARY 1968 の"A Planar Silicon Photosensor with an Optimal Spectral Response for Detecting Printed Material"PAUL A.GARY and JOHN G.LINVILLには、半導体の光学的性質、即ち、受光部を構成する光電変換素子(フォトダイオード)の光電変換特性が、入射光の波長及び半導体基板の深さ方向の位置に依存することを報告している。
そこで、本実施例では、半導体の光学的性質を利用する画素構造を採用している。即ち、後述するように、R,G,Bの各色信号検出用の各画素の感度やホワイトバランスを最適化すべく、N+領域の構造、特に、接合深さ(Xj)を変えている。
図15(a)は、図2の固体撮像素子36として用いるCCD36cのうち、赤色(R)を検出する画素と青色(B)を検出する画素の断面図である。n型シリコン基板70には、表面側にPウェル層71が形成され、Pウェル層71内の表面部にN+層72R,72Bが形成される。入射光によって発生した信号電荷は、N+層72R,Bに蓄積される。
赤色を検出する画素においては、このN+層72Rは、シリコン基板70における赤色の光学吸収係数を考慮して、深さXjを約0.8〜2.0μm程度にし、赤色に対する感度を最大にしている。また、青色を検出する画素においては、N+層72Bは、深さXjを約0.1〜0.3μm程度にし、青色に対する感度を最大にしている。
信号電荷蓄積部となるN+層72R,72B(不純物(リンまたは砒素(P又はAs))濃度は約5×1016〜17/cm3)が夫々読出ゲート電極73下まで延在することで、入射光の光量に応じて発生した電荷が、ゲート部を通って垂直転送路74に読み出される。
N+層72R,72Bが設けられた半導体基板70の表面の一部には、浅いP+層75が設けられており、更に最表面にはSiO2膜76が設けられる。P+層75の不純物(ボロン)濃度は約1×1018/cm3、深さ約0.1μm程度であり、受光部の表面における酸化膜―半導体界面の欠陥準位の低減に寄与している。尚、赤色検出用の画素と青色検出用の画素との間は、素子分離帯77によって分離される。
更に、SiO2膜76の上部表面には、受光領域に開口部78aを持つ遮光膜78が設けられ、その上部に平坦化膜(保護膜)79が形成され、更にその上に、カラーフィルタ層80が設けられ、その上部に平坦化膜81を介してトップレンズ(マイクロレンズ)82が形成される。トップレンズ82は、隣接するトップレンズ82との間に隙間が無いギャップレストップレンズとするのが好ましい。
撮像画像の偽色を低減するには、二次元平面上(固体撮像素子表面上)に離散配置された各画素間の水平方向,垂直方向の距離を短くするか、隣接画素間の不感度領域を無くすことが効果的である。各画素間の距離を現状以上に短くするには更に一層の画素の微細化が必要となり、技術的に困難になってきているのは上述の通りである。そこで、本実施例では、トップレンズ82をギャップレスレンズとすることで、隣接画素間の不感度領域を無くし、左右上下に隣接する赤色(R)の受光面と青色(B)の受光面を連続させて、折返し歪みによる偽色を更に低減することにしている。
図15(b)は、図2の固体撮像素子37として用いるCCD37cの画素すなわち緑色(G)を検出する画素の断面図である。図15(a)の断面構造と殆ど同じであるため、同一部材には同一符号を付してその説明を省略し、違いのみ説明する。
緑色(G)の光を検出する画素においては、N+領域72Gの深さを、シリコン基板70における緑色の光学吸収係数を考慮して、深さXjを約0.3〜0.8μm程度とし、緑色に対する感度を最大にしている。
また、光分解プリズムにより緑色(G)の光しかCCD37cに入射しないため、図15(a)に示すカラーフィルタ層80は設けず、平坦化膜79がトップレンズ82の下まで形成されている。
この実施例では、N+層の深さを、即ち、フォトダイオードのPN接合深さXjを、Xj(B)<Xj(G)<Xj(R)としたため、赤色入射光量に応じた信号電荷を高感度にN+層72Rに蓄積でき、緑色入射光量に応じた信号電荷を高感度にN+層72Gに蓄積でき、青色入射光量に応じた信号電荷を高感度にN+層72Bに蓄積できるという効果を有する。
尚、上述した実施例はいずれもCCDの例であるが、MOS型イメージセンサでも、カラーフィルタの構造を実施例1〜3と同様の構造にすることで本発明を適用できるのはいうまでもない。
本発明に係る2板式カラー固体撮像装置は、小型化,低コスト化を図ることが可能となり、しかも、高解像度,高画質,高感度のカラー画像を撮像できるため、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のデジタルカメラに搭載するのに有用である。
22 2板式カラー固体撮像装置
35 色分解プリズム
36 第1の固体撮像素子(R,B検出用)
37 第2の固体撮像素子(G検出用)
36a,36b,36c 第1のCCD(R,B検出用)
37a,37b,37c 第2のCCD(G検出用)
38 緑色反射用ダイクロイックミラー
39 全反射用ダイクロイックミラー
70 n型シリコン基板
72R,72G,72B N+層
78 遮光膜
80 補色系カラーフィルタ層
82 ギッャプレスマイクロレンズ
Cy シアンフィルタ
Ye イエロフィルタ
35 色分解プリズム
36 第1の固体撮像素子(R,B検出用)
37 第2の固体撮像素子(G検出用)
36a,36b,36c 第1のCCD(R,B検出用)
37a,37b,37c 第2のCCD(G検出用)
38 緑色反射用ダイクロイックミラー
39 全反射用ダイクロイックミラー
70 n型シリコン基板
72R,72G,72B N+層
78 遮光膜
80 補色系カラーフィルタ層
82 ギッャプレスマイクロレンズ
Cy シアンフィルタ
Ye イエロフィルタ
Claims (10)
- 3原色の入射光を緑色と赤色及び青色とに分離する色分解プリズムと、該色分解プリズムによって分離された前記赤色及び青色の入射光を受光して赤色の光量に応じた赤色信号と青色の光量に応じた青色信号とを出力する第1固体撮像素子と、前記色分解プリズムによって分離された前記緑色の入射光を受光して緑色の光量に応じた緑色信号を出力する第2固体撮像素子とを備える2板式カラー固体撮像装置において、前記第1固体撮像素子の複数の受光部のうち赤色検出用受光部の上部に赤色の光を透過する補色系の第1カラーフィルタを設け、前記第1固体撮像素子の複数の受光部のうち青色検出用受光部の上部に青色の光を透過する補色系の第2カラーフィルタを設けたことを特徴とする2板式カラー固体撮像装置。
- 前記第1カラーフィルタがイエロ(Ye)フィルタであり、前記第2カラーフィルタがシアン(Cy)フィルタであることを特徴とする請求項1に記載の2板式カラー固体撮像装置。
- 前記第1カラーフィルタ及び前記第2カラーフィルタが染料系で構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の2板式カラー固体撮像装置。
- 前記第1カラーフィルタと前記第2カラーフィルタがモザイク状あるいはストライプ状に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の2板式カラー固体撮像装置。
- 前記青色検出用受光部のPN接合深さXj(B)と、前記赤色検出用受光部のPN接合深さXj(R)と、前記第2固体撮像素子に設けられている緑色検出用受光部のPN接合深さXj(G)が
Xj(B)<Xj(G)<Xj(R)
の関係を満たすように製造されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の2板式カラー固体撮像装置。 - 前記色分解プリズムが、入射光のうち緑色の光を反射し赤色及び青色の光を透過するダイクロイックミラーを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の2板式カラー固体撮像装置。
- 前記色分解プリズムは、前記緑色の光の出射口に緑色のトリミングフィルタを備えると共に、前記赤色及び青色の光の出射口にマゼンタ(Mg)のトリミングフィルタを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の2板式カラー固体撮像装置。
- 前記第1固体撮像素子及び前記第2固体撮像素子の夫々に設けられる受光部がいずれも正方格子状またはハニカム状に配列されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の2板式カラー固体撮像装置。
- 前記第1固体撮像素子及び前記第2固体撮像素子がいずれもCCD型またはMOS型のイメージセンサであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の2板式カラー固体撮像装置。
- 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の2板式カラー固体撮像装置を搭載したことを特徴とするデジタルカメラ。
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- 2004-03-09 JP JP2004065361A patent/JP2005260318A/ja active Pending
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