JP4552586B2 - ガスワイピングノズルおよびガスワイピングノズル装置 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融めっき金属帯の製造工程に使用するガスワイピングノズルおよびガスワイピングノズル装置に関する。
鋼帯などの金属帯を連続してめっきする方法として、金属帯を亜鉛、アルミニウム等の溶融金属中に浸漬してその金属帯の表面にめっきを施す溶融めっき法が知られている。
すなわち、冷間圧延プロセスにおいて圧延され、続く洗浄プロセスにおいて表面が洗浄された金属帯を、無酸化性あるいは還元性の雰囲気に保たれた焼鈍炉において表面酸化膜を除去するとともに焼鈍処理をした後、溶融金属の温度とほぼ同程度まで冷却して、溶融金属浴に設けられたシンクロールに巻き付けて略V字形の経路で溶融金属中を通板することで浸漬して、その表面に溶融金属を付着させる。そして、溶融金属浴から引き出された金属帯に、当該金属帯の表裏両面側から挟むように対向して配置されたガスワイピングノズルから噴出するワイピングガスを吹き付けて過剰の溶融金属を払拭して金属付着量の調整を行うものである。
この溶融めっき方法は、他のめっき方法である電気めっき方法と比較した場合、安価にめっき金属帯を製造できる、容易に厚めっきの金属帯を製造できるなど多くの特長を有している。
ところで、金属帯を溶融金属浴中でV字形の経路で案内するシンクロールにおける曲げと曲げ戻しにより、シンクロールと反対側に幅方向凸状の反り(“C反り”)を発生する。このため、溶融金属浴においてシンクロールの後段に、この“C反り”を矯正するための一対のサポートロールを配置している。この矯正により、金属帯の形状をフラットにできれば、付着量分布はかなり均一化することができる。
しかし、金属帯に付着した溶融金属の厚さは一様ではなく、ガスワイピングノズルからのワイピングガスの三次元流れの幅方向成分により、幅方向中央とエッジとで厚さが異なる。そこで、ガスワイピングノズルにおいて、幅方向のギャップを場所ごとに変更できるギャップ可変式ガスワイピングノズルの研究開発が進められ、例えば、特許文献1や特許文献2で具体例が提案されている。
すなわち、特許文献2のギャップ可変式ガスワイピングノズルでは、モータで駆動された楔部材により、ロッド部材を動かすことで、上リップと下リップの先端のノズルギャップを調整する機構となっている。特許文献1のギャップ可変式ガスワイピングノズルも、特許文献2の場合よりはシンプルな構造となっているが、基本的にはモータと楔部材の組み合わせによる構成であることには変わりがない。
また、特許文献1には、ノズルギャップを調整する制御部として、ノズルギャップ(実際には楔変位)を測定し、その値をフィードバックし、ノズルギャップが設定された目標値になるようにアクチュエータを作動させてノズルギャップを制御するものが開示されている。
上述したような従来のギャップ可変式ガスワイピングノズルにあっては、以下のような技術的課題があった。なお、ここからは溶融金属が亜鉛で、金属帯が鋼板の場合の溶融亜鉛めっき鋼板を想定する。
(1)アクチュエータ(モータ)と作用部材(楔)とが別々になっているため、構造が大きくなり、ノズル外部にそれらが露出する構造となってしまう。これにより、気流の乱れや亜鉛粉の堆積を誘引する。
(2)操業中にノズルギャップに亜鉛などが目詰まりしてしまうことがあり、定期的なノズル清掃が必要である。
(3)モータと作用部材との組み合わせ機構となっているので、比較的ゆっくりとしたギャップ調整には十分だが、応答性は良いとは言えず、例えば、1kHz以上の高周波で作動させることは難しい。
(4)ノズルギャップのギャップ値をある目標値に調整するような制御系となっているため、付着量が均一化される保証はない。
特開平9−241813号公報 特開2003−113457号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、従来に比べてコンパクトで気流を乱すようなことがなく、応答性が良くかつ亜鉛目詰まりをしないギャップ可変式のガスワイピングノズルを提供することを目的とする。
また、このような点に加えて、付着量を均一化することができるガスワイピングノズルおよびガスワイピング装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する新しいギャップ可変式ガスワイピングノズルを開発するために鋭意研究を重ねた結果、アクチュエータとして圧電素子などに代表される歪誘起型アクチュエータを利用し、アクチュエータをガスワイピングノズルに実装する方式を創出するに至った。歪誘起型アクチュエータはそれ自体が伸縮するため、従来のギャップ可変式ガスワイピングノズルのようにアクチュエータと作用部材が別々になることがないため、部品点数が大幅に削減され内蔵が可能なくらいコンパクトな構造となり得るのである。さらに、圧電素子などは超音波振動子に用いられることからも明らかなように高周波数での振動が可能で、応答性がよい。また、ギャップ可変式ワイピシグノズルに要求されるストロークは高々0.1mm程度なので、比較的ストロークが小さい圧電素子でも十分に適用可能な範囲である。以上より、歪誘起型アクチュエータを内蔵する本発明のギャップ可変式ガスワイピングノズルこそが課題解決につながり得るのである。
また、ギャップ調整の制御系については、従来のようにギャップ値を測定してフィードバックするのではなく、付着量を測定する付着量計の出力をフィードバックし、付着量の板幅方向分布が目標通りになるように調節するようにすれば、板幅方向のめっき付着量分布の均一化を確実に達成することができることを見出した。また、主に自動車に用いられる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合には、品質上、付着量よりも重要で、かつ付着量との相関も高い合金化度を合金化度計で測定し、これをフィードバックして制御すれば、付着量も合金化度も制御することができる。
ノズルの亜鉛目詰まり防止には、ノズルリップを、高周波数で振動させることが有効である。仮にノズルギャップへ亜鉛が入り込んでくることがあっても、ノズルリップが振動していれば、そこに留まることなく、ワイピングガスの流れで容易に弾き出されるのである。
ただし、ノズルリップの振動変位があまりに大きいと、めっき付着量ムラにつながってしまう。一方で、振動のエネルギーが小さすぎると亜鉛弾き出し効果が不十分になることがある。振動変位が等しい場合、振動エネルギーは周波数が高いほど大きくなるので、ノズルリップの振動は高周波数で、かつ付着量ムラにつながらない程度の振幅であることが望ましい。したがって、一例として、概ね0.1mm以下の振幅で、10Hz以上の周波数での振動が好適となる。
また、ワイピング能力を向上させるには、ワイピングガスの流動抵抗を低減させればよいことが知られている。例えば、特開2002−348650号公報においては、ワイピングノズル先端に火炎を放射し、ワイピングガスの周りを高温ガスで囲んで、ワイピングガス周りの密度を下げることで、ワイピングガスの流動抵抗を低減させる方法が提案されている。しかし、火炎を発生させるためのバーナーや燃料供給系統が必要となるため、ノズル構造が複雑になるばかりか、火炎が金属帯の品質に及ぼす影響も懸念されるため、現実的な方法とは言えない。
一方で、表層を流体が流れる物体の表面を流れと直交方向に振動させると、表面近傍の渦構造が表面の振動と流れの直進運動によって、あたかも引きちぎられるようになり、渦構造の発生と成長が抑制される作用で、乱流摩擦抵抗が低減することが知られている。したがって、ノズルリップを振動させると、ノズル内外の表面における流動抵抗が低下するため、ワイピング能力を向上させ得ることになる。この方法であれば、特開2002−348650号公報の方法と違って、ノズル構造の複雑化や金属帯品質への悪影響を伴わない、優れたワイピング能力を実現できる。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、以下の(1)〜()を提供するものである。
溶融めっき金属帯を製造する際に、金属帯に付着した過剰の溶融金属をワイピングガスを吹き付けて払拭するガスワイピングノズルであって、
前記ガスワイピングノズルは、一端がワイピングガスを吹き出すノズルギャップをなして対向する上リップおよび下リップからなり、前記上リップおよび/または前記下リップの主面に歪誘起型アクチュエータが貼り付けられ、前記歪誘起型アクチュエータの伸縮変形によって前記上リップおよび/または前記下リップを個別に変形させることで前記ノズルギャップの開度が調整されることを特徴とするガスワイピングノズル。
)上記(1)において、前記歪誘起型アクチュエータは、前記金属帯の幅方向に複数個配置され、個々の前記歪誘起型アクチュエータを独立に変形させることで、前記金属帯の幅方向における前記ノズルギャップの開度分布を制御することを特徴とするガスワイピングノズル。
)上記(1)または(2)において、前記歪誘起型アクチュエータが圧電素子であることを特徴とするガスワイピングノズル。
)上記(1)〜()のいずれかにおいて、前記ノズルギャップの開度は、ガスワイピングが実施される位置の後段に設けられた付着量計および/または合金度化計の出力に応じて調整されることを特徴とするガスワイピングノズル。
)上記(1)〜()のいずれかのガスワイピングノズルと、ガスワイピングが実施される位置の後段に設けられた付着量計および/または合金度化計の出力に応じて前記ガスワイピングノズルのノズルギャップの開度を制御する制御手段とを有することを特徴とするガスワイピングノズル装置。
以上の通り、本発明によれば、歪誘起型アクチュエータによってノズルギャップの開度を調整するので、コンパクトなギャップ可変式のガスワイピングノズルを提供することができる。この結果、気流を乱すことなく、安定で欠陥を生じにくい溶融めっき金属帯の製造が可能となる。
また、付着量計および/または合金化度計の出力をフィードバックしてノズルギャップの調整(制御)を行うことにより、板幅方向のめっき付着量分布を確実に均一化することができる。
また、歪誘起型アクチュエータを高周波振動させることにより、亜鉛目詰まりを生じない、ノズル清掃が不要な、高い稼働率の溶融亜鉛めっき鋼板の製造が可能となる。
さらに、ノズルリップの振動効果により、乱流渦構造の発生および成長が抑制されるため、ワイピングガス噴流の流動抵抗を低減することができ、これにより、ワイピング能力が向上するため、溶融めっき金属帯の生産能力を上げることも可能となる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るガスワイピングノズルの構成の一例を示す断面図であり、図2は、図1における線II−IIで示される部分の断面図、図3は、本発明の第1の実施形態に係るガスワイピングノズルを制御するノズル制御部の一例を示すブロック図である。
また、図4は、溶融めっき金属帯の製造ラインの構成の一例を示す概念図、図5は、この製造ラインの一部を取り出して例示する略断面図である。
まず、図4および図5等を参照して溶融めっき金属帯の製造ラインの構成の一例について説明する。
図4に例示されるように、溶融めっき金属帯の製造ラインは、金属帯70の通板方向に順に配列された焼鈍炉71と、溶融金属浴72と、溶融金属浴72から出てくる金属帯70の表裏両面に対向するように配置された一対のガスワイピングノズル80と、合金化炉74と、急冷帯75と、化成処理部76とを備えている。また、急冷帯75と化成処理部76との間のラインには、付着量を測定する付着量計95、および合金化度を測定する合金化度計96が設けられている。
図5に例示されるように、溶融金属浴72には、非酸化性雰囲気に保たれた筒状部からなり、溶融金属浴72中に引き込まれる金属帯70が通過するスナウト77と、金属帯70の通板方向転換用のシンクロール78と、シンクロール78を通過することによる金属帯70の変形を矯正するために溶融金属浴72中に配されたコレクトロール79b及びスタビライジングロール79aからなるサポートロール79が設けられている。
本実施の形態の場合、図1および図2に例示されるように、個々のガスワイピングノズル80は、図示しないワイピングガス73の供給源に接続された元圧ヘッダ部84と、この元圧ヘッダ部84の金属帯70の幅方向に設けられた開口部84aに、固定ねじ85を介して固定され、端縁部がワイピングガス73を吹き出すノズルギャップGをなす上リップ82および下リップ83を備えている。
上リップ82および下リップ83の間には、たとえば、印加される電圧の変化に応じて歪み量が変化する圧電素子からなる複数の歪誘起型アクチュエータ81が設けられている。この歪誘起型アクチュエータ81は、その両端部を上リップ82および下リップ83にそれぞれ固定されることによって、金属帯70の幅方向に所定のピッチで内蔵されている。そして、上リップ82および下リップ83の対向方向における個々の歪誘起型アクチュエータ81の伸縮変形によって、上リップ82および下リップ83の対応部位を上下方向に変位させることで、ワイピングガス73が吹き出すノズルギャップGの開度が幅方向の各部位で制御される構成となっている。
すなわち、個々の歪誘起型アクチュエータ81は、図3に例示されるように、駆動信号線94を介してノズル制御部90に接続されている。このノズル制御部90は、駆動信号線94を介して個々の歪誘起型アクチュエータ81に印加される駆動電圧を生成するアクチュエータ駆動回路部91と、このアクチュエータ駆動回路部91が出力する駆動電圧を制御するコントローラ92と、このコントローラ92に、制御指令や、個々の歪誘起型アクチュエータ81に印加される駆動電圧、周波数等を外部からの手動操作(たとえば、キーボード、スイッチ、操作ボタン等)や、図示しない外部コンピュータからの自動操作で設定するための入力装置93等を備えている。
これにより、本実施の形態のガスワイピングノズル80では、複数の歪誘起型アクチュエータ81の各々に駆動信号線94を介して印加される電圧を個別に制御して当該歪誘起型アクチュエータ81を個別に伸縮させることで、幅方向のノズルギャップGの開度(ワイピングガス73の吹き出し圧)を場所ごとに自由に調整したり、振動を印加することができる。
すなわち、金属帯70の幅方向におけるノズルギャップGの開度の分布を外部から随意に設定したり、当該開度の分布を維持した状態で、所望の周波数(たとえば10Hz以上)にて振動させる、等の制御が可能である。この歪誘起型アクチュエータ81による振動の印加では、上リップ82および下リップ83の開度の分布制御に影響しないように、振動振幅は、たとえば、0.1mm以下とすることが望ましい。
歪誘起型アクチュエータ81の断面形状は、ワイピングガス73の乱れの防止や、吹き出し方向における流路抵抗を低減させるために、なるべく薄く、かつなめらかな流線型に成型することが望ましい。
次に、本実施形態のガスワイピングノズルを用いた溶融めっき金属帯の製造の際の作用の一例について説明する。
まず、シンクロール78を通過することによる金属帯70の“C反り”や溶融金属の付着量の金属帯70の幅方向におけるばらつきの予想量に応じて、ノズル制御部90を操作して、複数の歪誘起型アクチュエータ81の伸縮量を制御することにより、上リップ82および下リップ83のノズルギャップGの開度の金属帯70の幅方向における分布を設定する。歪誘起型アクチュエータ81の応答速度が早いので、この設定操作は短時間で完了する。また、上リップ82および下リップ83を歪誘起型アクチュエータ81にて振動させる場合には、その周波数や連続/断続周期等の情報を設定する。
その後、前工程である冷間圧延プロセスにおいて圧延され、続く洗浄プロセスにおいて表面が洗浄された金属帯70は、溶融めっき金属帯製造ラインに運搬され、無酸化性あるいは還元性の雰囲気に保たれた焼鈍炉71において表面酸化膜が除去され焼鈍処理をされた後、溶融金属の温度とほぼ同程度まで冷却されて溶融金属浴72内に導かれる。
金属帯70は溶融金属中を浸漬しながら通板され、その表面に溶融金属が付着する。すなわち、図5に例示されるように、溶融金属浴72中において、金属帯70はスナウト77と呼ばれる非酸化性雰囲気に保たれた筒状部を通って溶融金属浴72中に引き込まれ、溶融金属浴72中では方向転換用のロールであるシンクロール78によって通板方向が転換された後、同じく溶融金属浴72中に配されたコレクトロール79b及びスタビライジングロール79aからなるサポートロール79を経て“C反り”が矯正された後、溶融金属浴72外に引き出される。
そして、対向する一対のガスワイピングノズル80の間を通過する間に、当該ガスワイピングノズル80から噴出するワイピングガス73により、表裏両面に付着した過剰の溶融金属が払拭されて金属付着量の調整が行われる。
続くプロセスでは、用途に応じて、例えばその金属帯70が自動車用外板として使用される場合には、合金化炉74を使用して金属体を再加熱し均質な合金層を作り出す合金化処理を施す場合がある。そして、金属帯70は急冷帯75を通過した後、化成処理部76で特殊の防錆、耐食処理が施され、コイルに巻き取られて出荷される。
ここで、図6および図7を参照して、金属帯70の幅方向におけるノズルギャップGの開度分布を制御する必要性について説明する。
図6は、金属帯の幅方向における反り発生機構を説明する説明図である。溶融金属浴72を通過する金属帯70はシンクロール78における曲げと曲げ戻しにより、シンクロール78と反対側に幅方向凸状の反り(“C反り”)を発生する。金属帯70がシンクロール78から離れる直前の位置では、曲げ戻しにより、金属帯70にはシンクロール78と接触している面に引張り応力、その反対の面に圧縮応力が作用している。
従って、金属帯70がシンクロール78から離れて拘束力がなくなると、金属帯70のシンクロール78と接触していた面では引張り応力が開放され元に戻ろうとする力が働き、その反対の面では圧縮応力が開放され元に戻ろうとする力が働く。このため、金属帯70はその応力分布によって両エッジがシンクロール78側に曲がるような幅方向の反りが発生すると考えられている。
図7は、金属帯70の上流方向から見たガスワイピングノズル80と金属帯70の位置関係を示す図である。
ガスワイピングノズル80からはワイピングガス73が金属帯70の表裏に板幅方向に均一に圧力がかかるようにスリット状に噴出されている。したがって、図7に示すように金属帯70が反っている場合には、ガスワイピングノズル80と金属帯70との距離が一定でないためワイピングガス73の圧力が均一にならず金属帯70の表裏や板幅方向に付着量のムラが発生することになる。
これを解決するため、コレクトロール79b及びスタビライジングロール79aの押し込み量(インターメッシュ)を、調整することで、金属帯70の幅方向反りを矯正する操作が通常行われている。この矯正により、金属帯70の形状をフラットにできれば、付着量分布はかなり均一化することができる。
しかし、金属帯70に付着した溶融金属の厚さは一様ではなく、ガスワイピングノズル80からのワイピングガス73の三次元流れの幅方向成分により、幅方向中央とエッジとで厚さが異なる。
そこで、本実施の形態では、上述のように、予め把握(予想)されている上述の“C反り”や、金属帯70に付着した溶融金属の厚さの幅方向中央とエッジとでのばらつき等に応じて、ノズル制御部90により、ガスワイピングノズル80の個々の歪誘起型アクチュエータ81の伸縮量を制御して、ノズルギャップGの幅方向の開度分布を場所ごとに適切に設定/変更している。
以上説明したように、本第1の実施の形態では、ガスワイピングノズル80の内部に、圧電素子等からなる複数の歪誘起型アクチュエータ81を金属帯70の幅方向に所定のピッチで配列して上リップ82および下リップ83にて構成されるノズルギャップGの開度を金属帯70の幅方向の各部位毎に個別に制御可能な構成としたので、歪誘起型アクチュエータ81等のアクチュエータがガスワイピングノズル80の外部に突出することがなく、ガスワイピングノズル80の構成がコンパクトかつ簡素になる、という利点がある。
歪誘起型アクチュエータ81は、駆動信号線94からの印加電圧に対する変形の応答速度が高いため、たとえば、モータとこれによって駆動されるロッド等の組み合わせからなる従来の機械的な開度調整機構に比較して、金属帯70の幅方向の各部におけるノズルギャップGの開度の分布設定や調整作業の所要時間を大幅に短縮することが可能になる。
また、稼働中に、ガスワイピングノズル80において、歪誘起型アクチュエータ81により、表層をワイピングガス73が流れる当該上リップ82および下リップ83の内周表面を流れと直交方向に所定の周波数で振動させることで、表面近傍の渦構造が表面の振動と流れの直進運動によって引きちぎられ、渦構造の発生と成長が抑制される作用で、ワイピングガス73の乱流摩擦抵抗が減少する。この結果、ワイピングガス73の噴射における上リップ82および下リップ83の内周表面での流動抵抗が低下するため、ワイピングガス73の乱流化によるエネルギ損失が低く抑えられ、運動エネルギを遠くまで保存することが可能になり、ワイピングガス73の金属帯70への衝突圧力が高く維持され、ワイピング能力が向上する。
また、本実施形態の方法では、歪誘起型アクチュエータ81にて上リップ82および下リップ83ノズルを振動させるだけなので、特開2002−348650号公報のような構造の複雑化や金属帯70の品質への悪影響を伴わない、優れたワイピング能力を実現できる。
さらに、歪誘起型アクチュエータ81にて上リップ82および下リップ83ノズルを振動させることにより、ノズルギャップGへ入り込んでくる亜鉛等の溶融金属が、そこに留まることなく、ワイピングガス73の流れで容易に弾き出されるので、ガスワイピングノズル80の目詰まり防止に高い効果を発揮する。この結果、目詰まり防止のための保守作業が大幅に簡略化されるとともに、当該保守作業による溶融めっき金属帯の製造工程の稼働中断頻度が減少し、製造工程の稼働率向上を実現することが可能になる。
なお、上記図1、2に示した例においては、ワイピングガスが歪誘起型アクチュエータ81にあたるため、歪誘起型アクチュエータ81がワイピングガスの影響を受ける可能性がある。このようなことを回避した例を図8に示す。この例では、上リップ82′および下リップ83′の基端部に歪誘起型アクチュエータ81′を設け、上リップ82′に、その上面から上リップ82′および下リップ83′の間に至るワイピングガス導入路82aを設けている。これによりワイピングガスの導入部分が歪誘起型アクチュエータ81′から離れた位置となり、歪誘起型アクチュエータ81′がワイピングガスの影響を受けることがない。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図9は本発明の第2の実施形態に係るガスワイピングノズルの構成の一例を示す断面図であり、図10は、図9における線X−Xで示される部分の断面図である。
この第2の実施形態では、ガスワイピングノズル80の上リップ82および下リップ83の各々の内周面に、圧電素子等からなる複数の歪誘起型アクチュエータ81aを、金属帯70の幅方向に配列して貼付し固定したものである。
そして、個々の歪誘起型アクチュエータ81aのワイピングガス73の吹き出し方向における伸縮変形により、上リップ82および下リップ83の各々を反り変形させることで、ノズルギャップGの開度を金属帯70の幅方向の各部位で個別に制御する。
この第2の実施形態では、上述の第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、歪誘起型アクチュエータ81aが、上リップ82および下リップ83の内周面に沿って張り付けられた構造であるため、ワイピングガス73の流路抵抗が減少するとともに、乱れの発生も少なくなり、ワイピングガス73による金属帯70の表面の溶融金属のワイピング動作をより均一に行わせることが可能になる。
次に、ガスワイピングノズルを制御するノズル制御部の他の例について説明する。図11は、本発明のガスワイピングノズルを制御するノズル制御部の他の例を示すブロック図である。
このノズル制御部90′は、基本構成は図3で示したノズル制御部90と同じであるが、コントローラ92に付着量計95および/または合金化度計96の出力信号が送信される点が異なっている。すなわち、この例においては、コントローラ92において、付着量計95および/または合金化度計96からの信号に基づいて、PID制御などにより、目標の付着量、およびそれに加えて目標の合金化度となるようなノズルギャップ開度操作量が計算され、アクチュエータ駆動回路部91に指令値が送られる。これにより、付着量計および/または合金化度計の出力がの調整(制御)され、板幅方向のめっき付着量分布を確実に均一化することができる。
なお、ノズルギャップの開度は、上記のように付着量計95および/または合金化度計96からの信号に基づいて自動制御してもよいが、場合によっては、付着量計95および/または合金化度計97の出力をオペレータが監視し、その値に応じて手動でノズルギャップ開度を調整するようにしてもよい。
なお、図9および図10の例では、歪誘起型アクチュエータ81aを上リップ82および下リップ83の内周面に配置した例を示しているが、外周面に配置してもよいし、あるいはリップ内に埋設してもよい。また、上リップ82および/または下リップ83そのものを、複数の歪誘起型アクチュエータで構成することも可能である。
本発明は、溶融めっき金属帯の製造工程に用いられるギャップ可変式ガスワイピングノズルに限らず、高い応答速度にてノズル開度の調整を必要する分野に広く適用することが可能である。
本発明の第1の実施形態に係るガスワイピングノズルの一例を示す断面図。 図1における線II−IIで示される部分の断面図。 本発明の第1の実施形態に係るガスワイピングノズルを制御するノズル制御部の一例を示すブロック図。 溶融めっき金属帯の製造ラインの構成の一例を示す概念図。 図4の溶融めっき金属帯の製造ラインの一部を取り出して例示する略断面図。 金属帯の幅方向における反り発生機構を説明する説明図。 金属帯の上流方向から見たガスワイピングノズルと金属帯の位置関係を示す断面図。 本発明の第1の実施形態に係るガスワイピングノズルの他の例を示す断面図。 本発明の第2の実施形態に係るガスワイピングノズルの構成を示す断面図。 図9における線X−Xで示される部分の断面図。 本発明のガスワイピングノズルを制御するノズル制御部の他の例を示すブロック図。
符号の説明
70…金属帯
71…焼鈍炉
72…溶融金属浴
73…ワイピングガス
74…合金化炉
75…急冷帯
76…化成処理部
77…スナウト
78…シンクロール
79…サポートロール
79a…スタビライジングロール
79b…コレクトロール
80…ガスワイピングノズル
81…歪誘起型アクチュエータ
81a…歪誘起型アクチュエータ
82…上リップ
83…下リップ
84…元圧ヘッダ部
84a…開口部
85…固定ねじ
90…ノズル制御部
91…アクチュエータ駆動回路部
92…コントローラ
93…入力装置
94…駆動信号線
G…ノズルギャップ

Claims (5)

  1. 溶融めっき金属帯を製造する際に、金属帯に付着した過剰の溶融金属をワイピングガスを吹き付けて払拭するガスワイピングノズルであって、
    前記ガスワイピングノズルは、一端がワイピングガスを吹き出すノズルギャップをなして対向する上リップおよび下リップからなり、前記上リップおよび/または前記下リップの主面に歪誘起型アクチュエータが貼り付けられ、前記歪誘起型アクチュエータの伸縮変形によって前記上リップおよび/または前記下リップを個別に変形させることで前記ノズルギャップの開度が調整されることを特徴とするガスワイピングノズル。
  2. 前記歪誘起型アクチュエータは、前記金属帯の幅方向に複数個配置され、個々の前記歪誘起型アクチュエータを独立に変形させることで、前記金属帯の幅方向における前記ノズルギャップの開度分布を制御することを特徴とする請求項1に記載のガスワイピングノズル。
  3. 前記歪誘起型アクチュエータが圧電素子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスワイピングノズル。
  4. 前記ノズルギャップの開度は、ガスワイピングが実施される位置の後段に設けられた付着量計および/または合金度化計の出力に応じて調整されることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のガスワイピングノズル。
  5. 請求項1から請求項のいずれかのガスワイピングノズルと、ガスワイピングが実施される位置の後段に設けられた付着量計および/または合金度化計の出力に応じて前記ガスワイピングノズルのノズルギャップの開度を制御する制御手段とを有することを特徴とするガスワイピングノズル装置。
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