JP4550214B2 - 中空糸膜モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

中空糸膜モジュールおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空糸膜モジュールに関し、特に液体からの溶存気体の脱気、液体への気体の溶解、混合気体からの気体の分離等に好適に用いられる中空糸膜モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、中空糸膜モジュールは、その用途に応じた中空糸膜を用いることにより、固液分離、気液分離、気体分離等幅広い分野で用いられている。
これらの内、例えば液体からの溶存気体の脱気、液体への気体の溶解、気体の分離等に用いられる中空糸膜モジュールは、ハウジングと、複数本の中空糸膜が収束されてなり、その少なくとも一方の端部が中空糸膜端部の開口状態を保持しながらポッティング剤によりハウジングの内部に固定された中空糸膜束とから構成されている。
【0003】
このような中空糸膜モジュールを用いた、液体からの溶存気体の脱気、液体への気体の溶解、気体の分離等は、中空糸膜で隔てられた液体および気体、もしくは気体および気体の片側を加圧あるいは減圧することにより、中空糸膜で隔てられた一方から他方へ気体を移動させることによって行われる。中空糸膜モジュールは、そのコンパクトさ、清浄性、易メンテナンス性等の特徴をいかし、例えば、超純水・ビル給水・食品用水等の脱気や、炭酸ガスの溶解や、酸素富化・窒素富化等のガス分離に用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
中空糸膜モジュールの製造は、複数本の中空糸膜からなる中空糸膜束をハウジング内に挿入した後に、中空糸膜束の一端または両端にポッティング剤を注入し、これを硬化させてポッティング部を形成し、次いで、硬化したポッティング部の一部を少なくとも片方の端部において固定した中空糸膜とともに切断して、切断端面に中空糸膜の開口部を形成する方法によって行われる。
【0005】
しかしながら、このような中空糸膜モジュールの製造方法では、中空糸膜束をハウジング内に挿入した際、中空糸膜束の外周部に位置する中空糸膜が外側に膨らんでハウジング内壁と接触した状態となる。
そのため、注入されたポッティング剤の一部が、この中空糸膜とハウジング内壁の間を毛管現象で這い上がり、中空糸膜がポッティング部以外の箇所でハウジング内壁に接着された状態となる。
【0006】
このような状態の中空糸膜モジュールを、例えば前述した脱気用途や気体富化用途等に使用すると、中空糸膜の内外に液体や気体が流入して中空糸膜が揺動した場合や、工程の途中で圧力の増減が行われた場合等に、ポッティング部以外の箇所でハウジング内壁に接着した中空糸膜がハウジング内壁から剥離し、その際中空糸膜が損傷してリークを引き起こす場合があった。
また、ポッティング剤が中空糸膜を這い上がった状態で固化されていると、ポッティング剤の付着部と非付着部の界面において中空糸膜が疲労し、中空糸膜に損傷が生じてリークが発生する場合もあった。
【0007】
よって、本発明の目的は、製造時に、中空糸膜束の外周部に位置する中空糸膜がポッティング部以外の箇所でハウジング内壁と接着することがなく、使用時に、リークが発生することがない中空糸膜モジュールおよびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の中空糸膜モジュールは、複数本の中空糸膜からなる中空糸膜束がハウジング内に配設されるとともに、前記中空糸膜束の少なくとも片方の端部がポッティング剤からなるポッティング部によって中空糸膜端部の開口状態を保ったままハウジングに固定された中空糸膜モジュールであって、ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の面積A1 と、ハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の面積A2 とが、下記式(1)の関係を満足することを特徴とする。
1 ≦0.85×A2 (1)
【0009】
このように、ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の面積A1 と、ハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の面積A2 との比(A1 /A2 )を0.85以下にすることによって、製造時に中空糸膜がポッティング部以外の箇所でハウジング内壁に接着された状態でポッティング剤が硬化することがなく、使用時に中空糸膜のハウジング内壁からの剥離によるリークが起こることはない。
【0010】
また、前記面積A1 と面積A2 とは、下記式(2)の関係を満足することが望ましい。
1 ≦0.75×A2 (2)
また、ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分、およびハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の形状は、それぞれ略円形である。
【0011】
また、ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の内径D1 、ハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の内径D2 、およびハウジングの外部に面したポッティング部端面とハウジングの内部に面したポッティング部端面との間の距離Lは、下記式(3)の関係を満足する。
1 <D2 −0.2×L (3)
上記式が成立する中空糸膜モジュールとすることにより、製造時に、中空糸膜がポッティング部以外の箇所でハウジング内壁に接着された状態で硬化することがなく、使用時に中空糸膜のハウジング内壁からの剥離によるリークが起こることがない。
【0012】
また、本発明の中空糸膜モジュールの製造方法は、複数本の中空糸膜からなる中空糸膜束が円筒状のハウジング内に配設されるとともに、前記中空糸膜束の少なくとも片方の端部がポッティング剤からなるポッティング部によって中空糸膜端部の開口状態を保ったままハウジングに固定された中空糸膜モジュールの製造方法であって、中空糸膜束をハウジング内に挿入し、ハウジングの外径よりも大径の大径部と、ハウジングの内径よりも小径の小径部とからなる中空部が形成された筒状のポッティング治具を、ハウジングの片端もしくは両端に装着するとともに、ポッティング治具の小径部に中空糸膜束の端部を挿入し、ポッティング剤をポッティング治具からハウジング内に注入し、ポッティング剤を硬化させてポッティング部を形成し、ポッティング治具をハウジングの端部から取り外し、ハウジングの外側に突出したポッティング部の突出部分を、少なくとも片方の端部において中空糸膜束とともに切断することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の中空糸膜モジュールの実施形態を図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の中空糸膜モジュールの一例を示す概略断面図である。
この中空糸膜モジュール1は、円筒状のハウジング2と、ハウジング内に配設された複数本の中空糸膜3,3…からなる中空糸膜束4と、該中空糸膜束4の両端を、その開口状態を保ったままハウジング2に固定しているポッティング部5,5とを有して概略構成されている。
【0014】
また、この中空糸膜モジュール1における中空糸膜束4は、図2に示すようにその端面が略円形となるようにハウジング2内に配設されている。よって、ハウジング2の外部に面したポッティング部5の端面5aにおいて、中空糸膜束4の最外周に配設された中空糸膜3,3…により囲まれた部分6は、図中、点線で示されるように円形となり、この点線内部の面積がA1 となる。
そして、ハウジング2の内部に面したポッティング部5の端面5bにおいて、中空糸膜束4の最外周に配設された中空糸膜3,3…により囲まれた部分(図示略)も同様に円形となり、この面積がA2 となる。
【0015】
この中空糸膜モジュール1において、前記面積A1 と面積A2 とは、下記式(1)の関係を満足している。
1 ≦0.85×A2 (1)
このように、面積A1 を面積A2 の0.85倍以下とすることにより、ハウジングの内部に面したポッティング端面における中空糸膜束4の外側への膨らみが制御でき、中空糸膜3がポッティング部5以外の箇所でハウジング2の内壁に密着されにくくなる。よって、中空糸膜モジュール1の製造時において、ポッティング剤を注入した際に、ポッティング剤が中空糸膜3とハウジング2の内壁との間を毛管現象で這い上がり、中空糸膜3がポッティング部5以外の箇所でハウジング2の内壁に接着されることが低減される。また、これにより、中空糸膜モジュール1の使用時における、中空糸膜3のハウジング2の内壁からの剥離によるリークを防止することができる。
【0016】
面積A1 と面積A2 との比(A1 /A2 )は、小さいほど中空糸膜3とハウジング2の内壁との間を這い上がるポッティング剤が少なくなるので、前記面積A1 と面積A2 とは、下記式(2)の関係を満足することがより好ましい。
1 ≦0.75×A2 (2)
【0017】
また、ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分、およびハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の形状は、円筒形のハウジングを用いる場合、中空糸膜が充填されない部分を減少させることができる点で、それぞれ略円形であることが好ましいが、特にこの形状に限定されるものではなく、ハウジングの形状に合わせて適宜変更してもかまわない。
【0018】
また、中空糸膜モジュール1は、図3に示すように、ハウジング2の外部に面したポッティング部5の端面5aにおいて、中空糸膜束4の最外周に配設された中空糸膜3,3…により囲まれた部分の内径D1 、ハウジング2の内部に面したポッティング部5の端面5bにおいて、中空糸膜束4の最外周に配設された中空糸膜3,3…により囲まれた部分の内径D2 、およびハウジング2の外部に面したポッティング部5の端面5aとハウジング2の内部に面したポッティング部5の端面5bとの間の距離L(以下、ポッティング長Lと記す)が、下記式(3)の関係を満足するものであることが好ましい。
1 <D2 −0.2×L (3)
このような関係が成立すると、中空糸膜3がポッティング部5以外の箇所でハウジング2の内壁に接着された状態で、ポッティング剤が硬化することがさらに少なくなり、好ましい。
【0019】
ハウジング2の材質としては、機械的強度および耐久性を有するものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、硬質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート、ポリスルフォン、アクリル樹脂、ABS樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド(PPO)樹脂等の樹脂材料、ステンレススチール等の金属材料などが挙げられる。これら材料は、中空糸膜モジュールの用途の要求性能にあわせて適宜選定し使用することができる。
また、ハウジング2とポッティング剤との接着性が低い場合には、予めプライマー処理を施したハウジングを用いることが好ましい。
【0020】
なお、図示例では、ハウジング2は円筒状のものであり、中空糸膜モジュールの機械的強度等を考慮した場合、この形状が最も好適であるが、ハウジング2の形状は、特にこの形状に限定されるものではなく、他の形状のものでも構わない。例えば矩形のような他の形状であっても、ハウジング内壁と中空糸膜とがポッティング部以外の部分において、ポッティング剤の這い上がり等によって接着される可能性のある形態に本発明を適用すれば、同様の効果が得られる。
【0021】
中空糸膜3としては、中空糸膜モジュール1の用途に応じて、多孔質中空糸膜、非多孔質中空糸膜、三層複合中空糸膜等を用いることができる。
例えば、液体中への気体の溶解、液体中からの気体の脱気を行うための中空糸膜モジュールの場合、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等の疎水性高分子からなる多孔質中空糸膜を用いることができる。
【0022】
ただし、このような疎水性の多孔質中空糸膜を用いて長時間の処理を行うと、徐々に水蒸気が多孔部内に凝縮することに起因するリークが発生しやすくなる。したがって、中空糸膜3としては、薄い非多孔質層を、気体透過の抵抗がなく、十分な機械的強度を有する多孔質層で両側から挟み込んだ複合構造を有する三層複合中空糸膜が特に好ましく用いられる。
【0023】
三層複合中空糸膜は、例えば、三重円筒状の紡糸ノズルを用い、中間のノズルから非多孔質膜を形成するポリマーを吐出させるとともに、その両側のノズルから多孔質膜を形成するポリマーを吐出させて複合溶融紡糸した後、多孔質膜を形成するポリマーのみが多孔質化する条件で延伸することにより得ることができる。
【0024】
非多孔質層を形成させる高分子材料としては、ポリジメチルシロキサン、シリコンとポリカーボネートのコポリマー等のシリコン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン等のポリオレフィン系ポリマー;フッ素系ポリマー;セルロース系ポリマー;ポリフェニレンオキサイド;ポリ4−ビニルピリジン;ウレタン系ポリマー;または、これらのコポリマーあるいはブレンドポリマー等を用いることができる。
また、多孔質層を形成させる高分子材料としては、前述したポリオレフィン系ポリマーやフッ素系ポリマー等を用いることができる。
非多孔質層に用いるポリマーと、多孔質層に用いるポリマーとの組合せについては、同種または異種のポリマーを任意に組み合わせて用いることができる。
【0025】
また、中空糸膜3としては、その外径が10μm〜3mmであるものを用いることが好ましい。外径が10μm未満では、中空糸膜3の中空部に通液する場合圧力損失が高くなるとともに機械的強度が不足する。一方、外径が3mmを超えると、ハウジング2内に配設可能な中空糸膜3の本数が減少し、モジュール膜面積が減少する。
さらに、膜厚と外径の比(膜厚/外径)が0.02〜0.40の中空糸膜を用いると、外部からの圧力による潰れが発生しにくい中空糸膜となる。
【0026】
ポッティング剤としては、十分な接着強度を有し、目的とする用途で求められる要求性能を満たすものであれば特に制限はないが、例えば、ウレタン系、エポキシ系、シリコン系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン等の樹脂を用いることができる。
【0027】
なお、本発明の中空糸膜モジュールは、図1に示す形態のものに限定されるものではなく、例えば、図4の中空糸膜モジュール13のように、U字状に折り曲げられた中空糸膜束4が両方の端部においてポッティング部5によりハウジング2に固定され、下部のポッティング部5においてのみ開口状態を保っているものでもよい。この中空糸膜モジュール13において、中空糸膜3は上部のポッティング部5においてハウジング2に固定されているが、その固定部分はU字状となっており開口していない。また、中空糸膜3は、図4に示すようなU字状で固定されているものに限らず、例えば、I型のまま上部のポッティング部5のみで埋没し、下部のポッティング部5で開口しているものでもよい。このように、本発明の中空糸膜モジュールは中空糸膜束の少なくとも片方の端部が開口していればよい。
【0028】
次に、本発明の中空糸膜モジュールの製造方法について説明する。
まず、複数の中空糸膜3,3…を集束した中空糸膜束4をハウジング2内に挿入する。この中空糸膜3は、ハウジング2の長さよりもやや長いものを用いる。
ついで、図5に示すような、ハウジング2の外径よりも大径の大径部11と、ハウジング2の内径よりも小径の小径部12とからなる中空部が形成された筒状のポッティング治具10,10を、図6に示すようにハウジング2の両端に装着するとともに、ポッティング治具10,10の小径部12に中空糸膜束4の端部を挿入する。
【0029】
ついで、ポッティング剤をポッティング治具10,10側からハウジング2内に注入した後、ポッティング剤の固化を行う。
ポッティング剤が硬化した後にポッティング治具10,10をハウジング2の端部から取り外す。
ついで、ハウジング2から突出したポッティング部の突出部(ポッティング治具10内の小径部11内で固化された部分)を中空糸膜束4とともに切断することにより、中空糸膜3の両端部の開口状態が保たれた、図1に示すような断面構造を有する中空糸膜モジュール1を製造することができる。
【0030】
ハウジング2の両端部に装着されるポッティング治具10の小径部12の内径はハウジング2の内径よりも小さくなっているので、中空糸膜束4の両端部は、絞られた状態でポッティング剤により固定される。このようにして中空糸膜モジュール1を製造することにより、前記面積A1 と面積A2 との比(A1 /A2 )を0.85以下にすることが可能となり、中空糸膜3とハウジング2の内壁との間を毛管現象で這い上がるポッティング剤の量を低減させることができる。
【0031】
なお、本発明の中空糸膜モジュールは、上述のポッティング治具を使用した製造方法によって得られるものに限定されるものではない。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
<実施例1>
中空糸膜として、非多孔質層の両側を多孔質層で挟み込んだ複合構造を有する三層複合中空糸膜(MHF200TL、三菱レイヨン(株)製、内径:200μm、外径:280μm、非多孔質層材質:セグメント化ポリウレタン、多孔質層材質:ポリエチレン)を用い、中空糸膜束を作製した(中空糸膜本数:22144本、中空糸膜長245mm)。この中空糸膜束を、内径64mm、外径72mm、長さ215mmのハウジング(材質:変性ポリフェニレンオキサイド)に挿入し、その両端部に、図5に示すような構造を有するシリコン樹脂からなるポッティング治具(大径部の内径:72.5mm、小径部の内径:58mm)を装着し、図6に示すような組立体を作製した。
【0033】
ついで、エピコート828(油化シェルエポキシ(株)製)、TSR−243(大日本インキ化学工業(株)製)、チオコールLP−2(東レチオコール(株)製)、AmicurePACM(Air Products and Chemicals, Inc.製)を重量比27.2:45.3:9.1:18.4で混合し、これを脱泡してポッティング剤を調製した。このポッティング剤を遠心ポッティング装置を用いてハウジング内に注入した。
【0034】
ポッティング剤の硬化後、ハウジング両端から突出したポッティング部の突出部を、中空糸膜束とともに切断し、中空糸膜の両端が開口した図1に示すような構造の中空糸膜モジュールを得た。ポッティング長Lは20mmであった。
また、ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分は略円形となっており、その内径D1 は58mm、面積A1 は26.4cm2 であった。また、ハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分は略円形となっており、その内径D2 は63.5mm、面積A2 は31.7cm2 であった。また、面積A1 と面積A2 との比(A1 /A2 )は0.83であった。
【0035】
この中空糸膜モジュールを用いて耐圧試験を行った。
耐圧試験は、中空糸膜モジュールを繰り返し耐圧試験装置にセットし、圧力0.35MPa、温度40℃、サイクル:10秒オン/10秒オフ、加圧方向:インアウトの条件で、加圧、非加圧を繰り返し、中空糸膜モジュールからからリークが生じるまでのサイクル回数を測定した。結果を表1に示す。
【0036】
<実施例2>
中空糸膜17920本からなる中空糸膜束を用い、ポッティング治具(大径部の内径:72.5mm、小径部の内径:54mm)を変更した以外は、実施例1と同様にして中空糸膜モジュールを作成した。
得られた中空糸膜モジュールの、ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の面積A1 と、ハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の面積A2 との比(A1 /A2 )は0.73であった。
この中空糸膜モジュールについて、実施例1と同様にして耐圧試験を行った。
結果を表1に示す。
【0037】
<比較例1>
ポッティング治具(大径部の内径:72.5mm、小径部の内径64mm)を変更した以外は実施例1と同様にして中空糸膜モジュールを作成した。
得られた中空糸膜モジュールの、ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の面積A1 と、ハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の面積A2 との比(A1 /A2 )は1.00であった。この中空糸膜モジュールについて、実施例1と同様にして耐圧試験を行った。
結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004550214
【0039】
表1の結果から明らかなように、実施例1、実施例2の中空糸膜モジュールは、繰り返し耐圧試験を行っても、リークが発生しにくいモジュールであった。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の中空糸膜モジュールは、ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の面積A1 と、ハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の面積A2 とが、上記式(1)の関係を満足しているので、製造時に中空糸膜がポッティング部以外の箇所でハウジング内壁に接着された状態でポッティング剤が硬化することがなく、使用時に中空糸膜のハウジング内壁からの剥離によるリークが起こることはない。
【0041】
また、前記面積A1 と面積A2 とが、上記式(2)の関係を満足していれば、中空糸膜3とハウジング2の内壁との間を毛管現象で這い上がるポッティング剤の量をさらに減らすことができる。
また、ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分、およびハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の形状が、それぞれ略円形であれば、円筒形のハウジングを用いる場合、中空糸膜が充填されない部分を減少させることができ好ましい。
【0042】
また、ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の内径D1 、ハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の内径D2 、およびハウジングの外部に面したポッティング部端面とハウジングの内部に面したポッティング部端面との間の距離Lが、上記式(3)の関係を満足すれば、中空糸膜がポッティング部以外の箇所でハウジング内壁に接着された状態で、ポッティング剤が硬化することがさらに少なくなる。
【0043】
また、本発明の中空糸膜モジュールの製造方法は、ハウジングの外径よりも大径の大径部と、ハウジングの内径よりも小径の小径部とからなる中空部が形成された筒状のポッティング治具を、ハウジングの片端もしくは両端に装着するとともに、ポッティング治具の小径部に中空糸膜束の端部を挿入し、中空糸膜束の端部を絞った状態に保ちながらポッティング剤を注入しているので、前記面積A1 と面積A2 との比(A1 /A2 )を0.85以下にすることが可能となり、中空糸膜とハウジングの内壁との間を毛管現象で這い上がるポッティング剤の量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の中空糸膜モジュールの一例を示す概略断面図である。
【図2】 本発明の中空糸膜モジュールの一例を示す端面図である。
【図3】 本発明の中空糸膜モジュールのポッティング部の一例を示す概略断面図である。
【図4】 本発明の中空糸膜モジュールの他の例を示す概略断面図である。
【図5】 本発明の中空糸膜モジュールの製造方法で使用するポッティング治具の一例を示す断面図である。
【図6】 ポッティング治具の装着例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 中空糸膜モジュール
2 ハウジング
3 中空糸膜
4 中空糸膜束
5 ポッティング部
5a ハウジングの外部に面したポッティング部端面
5b ハウジングの内部に面したポッティング部端面
6 中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分
10 ポッティング治具
11 大径部
12 小径部
13 中空糸膜モジュール

Claims (2)

  1. 複数本の中空糸膜からなる中空糸膜束がハウジング内に配設されるとともに、前記中空糸膜束の少なくとも片方の端部がポッティング剤からなるポッティング部によって中空糸膜端部の開口状態を保ったままハウジングに固定された中空糸膜モジュールであって、
    ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分、およびハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の形状が、それぞれ略円形であり、
    ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の面積A1 と、ハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の面積A2 とが、下記式(1)の関係を満足し、
    ハウジングの外部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の内径D 1 、ハウジングの内部に面したポッティング部端面において、中空糸膜束の最外周に配設された中空糸膜により囲まれた部分の内径D 2 、およびハウジングの外部に面したポッティング部端面とハウジングの内部に面したポッティング部端面との間の距離Lが、下記式(3)の関係を満足することを特徴とする中空糸膜モジュール。
    1 ≦0.85×A2 (1)
    1 <D 2 −0.2×L (3)
  2. 請求項1に記載の中空糸膜モジュール製造する方法であって、
    中空糸膜束をハウジング内に挿入し、
    ハウジングの外径よりも大径の大径部と、ハウジングの内径よりも小径の小径部とからなる中空部が形成された筒状のポッティング治具を、ハウジングの片端もしくは両端に装着するとともに、ポッティング治具の小径部に中空糸膜束の端部を挿入し、
    ポッティング剤をポッティング治具からハウジング内に注入し、
    ポッティング剤を硬化させてポッティング部を形成し、
    ポッティング治具をハウジングの端部から取り外し、
    ハウジングの外側に突出したポッティング部の突出部分を、少なくとも片方の端部において中空糸膜束とともに切断することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
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