JP4547889B2 - 磁気結合素子 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気結合素子に関する。
近年、FET等の半導体スイッチング素子の進歩や、ソフトスイッチング等の回路技術の進歩により、スイッチング電源の駆動周波数はますます高周波化されている。このように駆動周波数が高周波化すると、トランスやチョークコイル等に必要とされるインダクタンス値を小さくできる。このため、インダクタとして、線状の導電体(金属導体)を上下の磁性体により挟んだ構造のものも使用可能となる(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−323336号公報
本発明は、導電体の結合係数が高く、漏れインダクタンスの小さい磁気結合素子を提供することを目的とする。
本発明者等は、導電体の結合係数を高く、漏れインダクタンスを小さくし得る構成の磁気結合素子として、複数の導電体を重ねて磁性体で囲んだ構成のものに着目した。そして、鋭意研究を重ねた結果、以下のような事実を新たに見出した。
磁気結合素子を複数の導電体を重ねて磁性体で囲む構成、すなわち複数の金属導体が磁気的に結合する構成とする場合、インダクタンス値が小さくなると、漏れインダクタンスの影響が相対的に大きくなる。このため、下記(1)式に示される結合係数Kが小さくなり、伝送効率が低下するという問題点がある。
K=M/(L・L1/2 … (1)
但し、Mは相互インダクタンス値であり、L、Lはそれぞれ対応する導電体(コイル)の自己インダクタンス値である。
また、磁気結合素子を、例えばスイッチング電源用のコンバータ等のように、スイッチング素子と組み合わせて用いる場合、以下の問題点が生じてしまう。磁気結合素子の漏れインダクタンスが大きいと、漏れインダクタンスによるエネルギーが原因となってスイッチング素子に発生するサージ電圧が大きくなる。このため、スイッチング素子として高耐圧のものを用いたり、サージ電圧を吸収するための回路を別途設けたりする必要が生じてしまう。
かかる研究結果に鑑み、本発明に係る磁気結合素子は、板状をなし、電気的に絶縁された状態で重ねられる第1の導電体及び第2の導電体と、第1の導電体及び第2の導電体を包囲するように配置される磁性体と、を備え、第1の導電体は、磁性体の異なる2面からそれぞれ少なくとも1つずつ外側に導出する端子を有し、第2の導電体は、第1の導電体の端子が導出された磁性体の異なる2面からそれぞれ少なくとも1つずつ外側に導出する端子を有しており、端子が導出された磁性体の面における少なくとも一部分が、第1の導電体及び第2の導電体の端子間の間隙領域から離れていることを特徴とする。
本発明に係る磁気結合素子では、第1の導電体と第2の導電体とが電気的に絶縁された状態で重ねられているので、第1の導電体と第2の導電体との磁気的結合が良好となる。
ところで、各導電体のそれぞれの端子に電流が流れると、磁性体の同じ面から導出された第1の導電体及び第2の導電体の端子の間には強い磁界が生じる。強い磁界が生じている端子間の間隙領域近傍に磁性体等の比透磁率が大きな媒質が存在すると、当該媒質が存在する領域での磁束密度が大きくなってしまう。この結果、端子間の間隙領域近傍での漏れ磁束が大きくなり、漏れインダクタンスが大きくなる。
しかしながら、本発明では、端子が導出された磁性体の面における少なくとも一部分が第1の導電体及び第2の導電体の端子間の間隙領域から離されているので、端子の間に強い磁界が生じたとしても、端子間の間隙領域近傍の磁束密度が大きくなるようなことはない。この結果、端子間の間隙領域近傍での漏れ磁束が減少し、漏れインダクタンスが減少することとなる。
以上のことから、第1の導電体と第2の導電体との結合係数を高くして、漏れインダクタンスを小さくすることができる。
また、端子が導出された磁性体の面における端子間の間隙領域に対応する部分が当該端子間の間隙領域から離れるように切り欠かれていることが好ましい。このように構成した場合、極めて簡素な構成にて、端子が導出された磁性体の面における端子間の間隙領域に対応する部分を当該端子間の間隙領域から確実に離すことができる。また、磁性体の実効断面積の減少が低く抑えられ、インダクタンス値が小さくなるのを抑制すると共に、磁束密度が高くなるのを抑制することができる。
また、端子が導出された磁性体の面に段差が形成され、当該段差によって低くされた側が端子間の間隙領域から離れていることが好ましい。このように構成した場合、極めて簡素な構成にて、端子が導出された磁性体の面における端子間の間隙領域に対応する部分を当該端子間の間隙領域から確実に離すことができる。
また、第1の導電体及び第2の導電体の端子は同一方向に曲げられていることが好ましい。このように構成した場合、外部基板への表面実装を容易に行うことができる。
また、端子が導出された磁性体の面における端子が曲げられた側の端子間の間隙領域に対応する部分が当該端子間の間隙領域から離れるように切り欠かれていることが好ましい。このように構成した場合、極めて簡素な構成にて、端子が導出された磁性体の面における端子が曲げられた側の端子間の間隙領域に対応する部分を当該端子間の間隙領域から確実に離すことができる。また、磁性体の実効断面積の減少が低く抑えられ、インダクタンス値が小さくなるのを抑制すると共に、磁束密度が高くなるのを抑制することができる。
また、端子が導出された磁性体の面には当該面の端子が曲げられた側が低くなるように段差が形成され、当該段差によって端子が導出された磁性体の面における端子が曲げられた側が端子間の間隙領域から離れていることが好ましい。このように構成した場合、極めて簡素な構成にて、端子が導出された磁性体の面における端子が曲げられた側の端子間の間隙領域に対応する部分を当該端子間の間隙領域から確実に離すことができる。
また、第1の導電体と第2の導電体とが重ねられた状態で磁性体から突出することにより、端子が導出された磁性体の面が端子間の間隙領域から離れることが好ましい。このように構成した場合、極めて簡素な構成にて、端子が導出された磁性体の面における端子間の間隙領域に対応する部分を当該端子間の間隙領域から確実に離すことができる。
また、磁性体の同じ面から導出される第1の導電体及び第2の導電体の端子の数が、少なくとも一方の導電体については複数とされ、磁性体の同じ面から導出された第1の導電体の端子と第2の導電体の端子とが交互に隣り合わせて配置されていることが好ましい。このように構成した場合、第1の導電体及び第2の導電体の端子間の間隙領域が複数となり、それぞれの間隙領域に集中するエネルギーの和は間隙領域が1つである場合のエネルギーの間隙領域の数の逆数倍程度に減少する。この結果、漏れインダクタンスをより一層小さくすることができる。
本発明によれば、結合係数が高く、漏れインダクタンスの小さい磁気結合素子を提供することができる。
本発明の実施形態に係る磁気結合素子について図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る磁気結合素子を示す全体斜視図であり、図2は図1におけるII−II線に沿った断面図であり、図3は第1実施形態に係る磁気結合素子を示す分解斜視図である。また、説明中、「上」及び「下」なる語を使用することがあるが、これは図1の上下方向に対応したものである。
磁気結合素子MC1は、図1〜図3に示されるように、第1の導電体1、第2の導電体11及び磁性体21を備えている。
第1の導電体1は、板状をなし、四角形状を呈した基部3と、基部3の対向する2辺からそれぞれ伸びる端子5とを有している。端子5の幅(図1における左右方向での長さ)は、基部3の幅(図1における左右方向での長さ)より狭い値(基部3の幅の2分の1未満)に設定されている。第1の導電体1は、導電性の高い金属(例えば、銅、アルミニウム等)からなる。
第2の導電体11は、板状をなし、四角形状を呈した基部13と、基部13の対向する2辺からそれぞれ伸びる端子15とを有している。端子15の幅(図1における左右方向での長さ)は、基部13の幅(図1における左右方向での長さ)より狭い値(基部13の幅の2分の1未満)に設定されている。第2の導電体11は、第1の導電体1と同じく、導電性の高い金属(例えば、銅、アルミニウム等)からなる。
第1の導電体1と第2の導電体11とは、基部3と基部13とが電気絶縁材31を介して互いに重ね合わされることにより、電気的に絶縁された状態で重ねられている。
なお、電気絶縁材31を用いる代わりに、基部3及び基部13の少なくとも一方に電気絶縁材料を層状に塗布するようにしてもよい。この場合、基部3,13の全体に塗布してもよく、また、基部3,13の対向面にのみ塗布するようにしてもよい。
磁性体21は、外形が略直方体形状を呈しており、中空部が形成されることにより筒状をなしている。磁性体21は、U型コア形状とされた上側磁性体23と、I型コア形状とされた下側磁性体25とを含んでいる。上側磁性体23と下側磁性体25とは、接着等により一体化されている。上記中空部は、上側磁性体23と下側磁性体25とにより画成される。上側磁性体23及び下側磁性体25は、金属磁性体粉の圧粉成形体、表面を絶縁処理した金属磁性体、フェライト等を用いることができる。上側磁性体23と下側磁性体25との接着には、エポキシ樹脂等の樹脂材料にフェライト粉を混合して作製したペースト状の複合フェライトを用いることができる。また、上側磁性体23と下側磁性体25との接着面間にプラスチックフィルム等のギャップ材料を挿入するなどの方法でインダクタンス調整を行ってもよい。
磁性体21は第1の導電体1及び第2の導電体11を包囲するように配置されており、第1の導電体1及び第2の導電体11は磁性体21の中空部を通っている。電気的に絶縁された状態で重ねられた第1の導電体1及び第2の導電体11の基部3,13は、磁性体21の中空部内に位置する。第1の導電体1及び第2の導電体11の端子5,15は、磁性体21の外側に位置する。
第1の導電体1の端子5は、それぞれが磁性体21の異なる2面(本実施形態においては、対向する2面)から外側に導出される。第2の導電体11の端子15も、それぞれが第1の導電体1の端子5が導出された磁性体21の上記異なる2面から外側に導出される。第1の導電体1の端子5と第2の導電体11の端子15とは、隣り合った状態で磁性体21の同一面から外側に導出される。
第1の導電体1及び第2の導電体11の端子5,15は、導出された面に沿うように同一方向(本実施形態においては、下方)に曲げられている。また、端子5,15の先端部分は、下側磁性体25の下面に沿うように曲げられている。端子5,15の先端部分は、外部基板(図示せず)のランド部にそれぞれ載置され、当該ランド部に半田付けされる。
磁性体21(下側磁性体25)の端子5,15が導出された面における端子5,15間の間隙領域に対応する部分は、当該端子5,15間の間隙領域から離れるように切り欠かれて、窪み部25aが形成されている。これにより、下側磁性体25における端子5,15が導出された面の一部分は、端子5,15間の間隙領域から離れることとなる。なお、窪み部25aの深さは、端子5,15間の間隙の幅の値と同等以上であることが好ましい。窪み部25aの幅は、端子5,15間の間隙の幅よりも大きいことが好ましい。
以上のように、本第1実施形態においては、第1の導電体1の基部3と第2の導電体11の基部13とが電気的に絶縁された状態で重ねられているので、第1の導電体1と第2の導電体11との磁気的結合が良好となる。
ところで、各導電体1,11のそれぞれの端子5,15に電流が流れると、磁性体21の同じ面から導出された第1の導電体1及び第2の導電体11の端子5,15の間には強い磁界が生じる。強い磁界が生じている端子5,15間の間隙領域近傍に磁性体等の比透磁率が大きな媒質が存在すると、当該媒質が存在する領域での磁束密度が大きくなってしまう。この結果、端子5,15間の間隙領域近傍での漏れ磁束が大きくなり、漏れインダクタンスが大きくなる。
しかしながら、本第1実施形態では、端子5,15が導出された磁性体21(下側磁性体25)における端子5,15が導出された面の一部分が第1の導電体1及び第2の導電体11の端子5,15間の間隙領域から離されているので、端子5,15の間に強い磁界が生じたとしても、端子5,15間の間隙領域近傍の磁束密度が大きくなるようなことはない。この結果、端子5,15間の間隙領域近傍での漏れ磁束が減少し、漏れインダクタンスが減少することとなる。
以上のことから、第1の導電体1と第2の導電体11との結合係数を高くして、漏れインダクタンスを小さくすることができる。
また、本第1実施形態においては、第1の導電体1及び第2の導電体11の端子5,15は同一方向に曲げられている。これにより、外部基板への表面実装を容易に行うことができる。
また、本第1実施形態においては、磁性体21(下側磁性体25)の端子5,15が導出された面における端子5,15が曲げられた側の端子5,15間の間隙領域に対応する部分が、当該端子5,15間の間隙領域から離れるように切り欠かれている。これにより、極めて簡素な構成にて、端子5,15が導出された磁性体21の面における端子5,15間の間隙領域に対応する部分を当該端子5,15間の間隙領域から確実に離すことができる。また、磁性体21の実効断面積の減少が低く抑えられ、インダクタンス値が小さくなるのを抑制すると共に、磁束密度が高くなるのを抑制することができる。
また、本第1実施形態においては、第1の導電体1及び第2の導電体11(基部3,13)が幅広であると共に、平板状に伸びているので、電気抵抗値が極めて低く、大電流を流すことができる。これにより、磁気結合素子MC1は、低電圧大電流化の要求に応えることが可能となる。
(第2実施形態)
図4は第2実施形態に係る磁気結合素子を示す全体斜視図であり、図5は図4におけるV−V線に沿った断面図であり、図6は第2実施形態に係る磁気結合素子を示す分解斜視図である。また、説明中、「上」及び「下」なる語を使用することがあるが、これは図4の上下方向に対応したものである。
磁気結合素子MC2は、図4〜図6に示されるように、第1の導電体1、第2の導電体11及び磁性体41を備えている。
磁性体41は、外形が略直方体形状を呈しており、中空部が形成されることにより筒状をなしている。磁性体41は、U型コア形状とされた上側磁性体43と、I型コア形状とされた下側磁性体45とを含んでいる。上側磁性体43と下側磁性体45とは、接着等により一体化されている。上記中空部は、上側磁性体43と下側磁性体45とにより画成される。上側磁性体43及び下側磁性体45は、金属磁性体粉の圧粉成形体、表面を絶縁処理した金属磁性体、フェライト等を用いることができる。上側磁性体43と下側磁性体45との接着には、エポキシ樹脂等の樹脂材料にフェライト粉を混合して作製したペースト状の複合フェライトを用いることができる。また、上側磁性体43と下側磁性体45との接着面間にプラスチックフィルム等のギャップ材料を挿入するなどの方法でインダクタンス調整を行ってもよい。
磁性体41は第1の導電体1及び第2の導電体11を包囲するように配置されており、第1の導電体1及び第2の導電体11は磁性体41の中空部を通っている。電気的に絶縁された状態で重ねられた第1の導電体1及び第2の導電体11の基部3,13は、両端が磁性体41から突出している。これにより、磁性体41(上側磁性体43及び下側磁性体45)における端子5,15が導出された面は、端子5,15間の間隙領域から離れることとなる。なお、第1の導電体1及び第2の導電体11の基部3,13の突出量は、端子5,15間の間隙の幅の値と同等以上であることが好ましい。
第1の導電体1の端子5は、それぞれが磁性体41の異なる2面から外側に導出される。第2の導電体11の端子15も、それぞれが第1の導電体1の端子5が導出された磁性体41の上記異なる2面から外側に導出する。第1の導電体1の端子5と第2の導電体11の端子15とは、隣り合った状態で磁性体41の同一面から外側に導出する。第1の導電体1及び第2の導電体11の端子5,15は、下側磁性体45における導出された面と略平行で且つ同一方向(本実施形態においては、下方)に曲げられている。また、端子5,15の先端部分は、下側磁性体45の下面に沿うように曲げられている。
以上のように、本第2実施形態では、端子5,15が導出された磁性体41における端子5,15が導出された面が第1の導電体1及び第2の導電体11の端子5,15間の間隙領域から離されているので、端子5,15の間に強い磁界が生じたとしても、端子5,15間の間隙領域近傍の磁束密度が大きくなるようなことはない。この結果、端子5,15間の間隙領域近傍での漏れ磁束が減少し、漏れインダクタンスが減少することとなる。
したがって、本第2実施形態においても、第1の導電体1と第2の導電体11との結合係数を高くして、漏れインダクタンスを小さくすることができる。
また、本第2実施形態においては、第1の導電体1と第2の導電体11とが互いに重ねられた状態で磁性体41から突出することにより、端子5,15が導出された磁性体41の面が端子5,15間の間隙領域から離れている。これにより、極めて簡素な構成にて、端子5,15が導出された磁性体41の面における端子5,15間の間隙領域に対応する部分を当該端子5,15間の間隙領域から確実に離すことができる。
また、本第2実施形態において、磁気結合素子MC2は、第1実施形態の磁気結合素子MC1と同じく、低電圧大電流化の要求に応えることが可能となる。
(第3実施形態)
図7は第3実施形態に係る磁気結合素子を示す全体斜視図であり、図8は図7におけるVIII−VIII線に沿った断面図であり、図9は第3実施形態に係る磁気結合素子を示す分解斜視図である。また、説明中、「上」及び「下」なる語を使用することがあるが、これは図7の上下方向に対応したものである。
磁気結合素子MC3は、図7〜図9に示されるように、第1の導電体1、第2の導電体11及び磁性体51を備えている。
磁性体51は、中空部が形成されることにより筒状をなしている。磁性体51は、U型コア形状とされた上側磁性体53と、I型コア形状とされた下側磁性体55とを含んでいる。上側磁性体53と下側磁性体55とは、接着等により一体化されている。上記中空部は、上側磁性体53と下側磁性体55とにより画成される。上側磁性体53及び下側磁性体55は、金属磁性体粉の圧粉成形体、表面を絶縁処理した金属磁性体、フェライト等を用いることができる。上側磁性体53と下側磁性体55との接着には、エポキシ樹脂等の樹脂材料にフェライト粉を混合して作製したペースト状の複合フェライトを用いることができる。また、上側磁性体53と下側磁性体55との接着面間にプラスチックフィルム等のギャップ材料を挿入するなどの方法でインダクタンス調整を行ってもよい。
磁性体51における中空部が伸びる方向(奥行き方向:図8における左右方向)での下側磁性体55の長さは、磁性体51における中空部が伸びる方向での上側磁性体53の長さよりも短く設定されており、磁性体51における中空部が伸びる方向に直交する2面には段差が形成される。
磁性体51は第1の導電体1及び第2の導電体11を包囲するように配置されており、第1の導電体1及び第2の導電体11は磁性体21の中空部を通っている。電気的に絶縁された状態で重ねられた第1の導電体1及び第2の導電体11の基部3,13は、上記中空部に位置する。第1の導電体1及び第2の導電体11の端子5,15は、磁性体51の外側に位置する。磁性体51に段差が形成されていることから、下側に位置する第2の導電体11の基部13の一部は露出することとなる。
第1の導電体1の端子5は、それぞれが磁性体51における中空部が伸びる方向に直交する2面から外側に導出される。また、第2の導電体11の端子15も、それぞれが第1の導電体1の端子5が導出された磁性体51における中空部が伸びる方向に直交する上記2面から外側に導出される。第1の導電体1の端子5と第2の導電体11の端子15とは、隣り合った状態で磁性体51の同一面から外側に導出される。
第1の導電体1及び第2の導電体11の端子5,15は、下側磁性体55の側面と略平行で且つ同一方向(本実施形態においては、下方)に曲げられている。また、端子5,15の先端部分は、下側磁性体55の下面に沿うように曲げられている。
磁気結合素子MC3では、上述した構成により、端子5,15が導出された磁性体51の面には当該面の端子5,15が曲げられた側が低くなるように段差が形成され、当該段差によって端子5,15が導出された磁性体51の面における端子5,15が曲げられた側が端子5,15間の間隙領域から離れることとなる。なお、上記段差の高さは、端子5,15間の間隙の幅の値と同等以上であることが好ましい。
以上のように、本第3実施形態では、端子5,15が導出された磁性体51における端子5,15が導出された面の一部分が第1の導電体1及び第2の導電体11の端子5,15間の間隙領域から離されているので、端子5,15の間に強い磁界が生じたとしても、端子5,15間の間隙領域近傍の磁束密度が大きくなるようなことはない。この結果、端子5,15間の間隙領域近傍での漏れ磁束が減少し、漏れインダクタンスが減少することとなる。
したがって、本第3実施形態においても、第1の導電体1と第2の導電体11との結合係数を高くして、漏れインダクタンスを小さくすることができる。
また、本第3実施形態においては、端子5,15が導出された磁性体51の面には当該面の端子5,15が曲げられた側が低くなるように段差が形成され、当該段差によって端子5,15が導出された磁性体51の面における端子5,15が曲げられた側(下側磁性体55における中空部が伸びる方向に直交する側面)が端子5,15間の間隙領域から離れている。これにより、極めて簡素な構成にて、端子5,15が導出された磁性体51の面における端子5,15が曲げられた側の端子5,15間の間隙領域に対応する部分を当該端子5,15間の間隙領域から確実に離すことができる。
また、本第3実施形態において、磁気結合素子MC3は、第1実施形態の磁気結合素子MC1と同じく、低電圧大電流化の要求に応えることが可能となる。
(第4実施形態)
図10は第4実施形態に係る磁気結合素子を示す全体斜視図であり、図11は第4実施形態に係る磁気結合素子を示す分解斜視図である。また、説明中、「上」及び「下」なる語を使用することがあるが、これは図10の上下方向に対応したものである。
磁気結合素子MC4は、図10及び図11に示されるように、第1の導電体61、第2の導電体71及び磁性体21を備えている。
第1の導電体61は、板状をなし、四角形状を呈した基部3と、基部3の対向する2辺の中央部分からそれぞれ1つずつ伸びる端子65とを有している。第1の導電体61は、導電性の高い金属(例えば、銅、アルミニウム等)からなる。
第2の導電体71は、板状をなし、四角形状を呈した基部13と、基部13の対向する2辺の端部分からそれぞれ複数(本実施形態においては、2つ)ずつ伸びる端子75とを有している。第2の導電体71は、第1の導電体61と同じく、導電性の高い金属(例えば、銅、アルミニウム等)からなる。
第1の導電体61と第2の導電体71とは、基部3と基部13とが電気絶縁材31を介して互いに重ね合わされることにより、電気的に絶縁された状態で重ねられている。
第1の導電体61の端子65は、それぞれが磁性体21の異なる2面から外側に導出される。第2の導電体71の端子75も、それぞれが第1の導電体61の端子65が導出された磁性体21の上記異なる2面から外側に導出される。第1の導電体61の端子65と第2の導電体71の端子75とは、交互に隣り合わせた状態で磁性体21の同一面から外側に導出される。
第1の導電体61及び第2の導電体71の端子65,75は、導出された面に沿うように同一方向(本実施形態においては、下方)に曲げられている。また、端子65,75の先端部分は、下側磁性体25の下面に沿うように曲げられている。端子65,75の先端部分は、外部基板(図示せず)のランド部にそれぞれ載置され、当該ランド部に半田付けされる。
磁性体21(下側磁性体25)の端子65,75が導出された面における端子65,75間の間隙領域に対応する部分は、当該端子65,75間の間隙領域から離れるように切り欠かれて、窪み部25aが形成されている。これにより、下側磁性体25における端子65,75が導出された面の一部分は、端子65,75間の間隙領域から離れることとなる。なお、窪み部25aの深さは、端子65,75間の間隙の幅の値と同等以上であることが好ましい。
以上のように、本第4実施形態においては、第1の導電体61の基部63と第2の導電体71の基部73とが電気的に絶縁された状態で重ねられているので、第1の導電体61と第2の導電体71との磁気的結合が良好となる。
また、本第4実施形態では、端子65,75が導出された磁性体21(下側磁性体25)における端子65,75が導出された面の一部分が第1の導電体61及び第2の導電体71の端子65,75間の間隙領域から離されているので、端子65,75の間に強い磁界が生じたとしても、端子65,75間の間隙領域近傍の磁束密度が大きくなるようなことはない。この結果、端子65,75間の間隙領域近傍での漏れ磁束が減少し、漏れインダクタンスが減少することとなる。
以上のことから、第1の導電体61と第2の導電体71との結合係数を高くして、漏れインダクタンスを小さくすることができる。
また、本第4実施形態においては、第1の導電体61及び第2の導電体71の端子65,75は同一方向に曲げられている。これにより、外部基板への表面実装を容易に行うことができる。
また、本第4実施形態においては、磁性体21(下側磁性体25)の端子65,75が導出された面における端子65,75が曲げられた側の端子65,75間の間隙領域に対応する部分が、当該端子65,75間の間隙領域から離れるように切り欠かれている。これにより、極めて簡素な構成にて、端子65,75が導出された磁性体21の面における端子65,75間の間隙領域に対応する部分を当該端子65,75間の間隙領域から確実に離すことができる。また、磁性体21の実効断面積の減少が低く抑えられ、インダクタンス値が小さくなるのを抑制すると共に、磁束密度が高くなるのを抑制することができる。
また、本第4実施形態においては、磁性体21の同じ面から導出された第2の導電体71の端子75の数が複数とされ、磁性体21の同じ面から導出された第1の導電体61の端子65と第2の導電体71の端子75とが交互に隣り合わせて配置されている。これにより、第1の導電体61及び第2の導電体71の端子65,75間の間隙領域が複数となり、それぞれの間隙領域に集中するエネルギーの和は間隙領域が1つである場合のエネルギーの間隙領域の数の逆数倍程度に減少する。この結果、漏れインダクタンスをより一層小さくすることができる。
また、本第4実施形態においては、第1の導電体61及び第2の導電体71(基部3,13)が幅広であると共に、平板状に伸びているので、電気抵抗値が極めて低く、大電流を流すことができる。これにより、磁気結合素子MC4は、低電圧大電流化の要求に応えることが可能となる。
(第5実施形態)
図12は第5実施形態に係る磁気結合素子を示す全体斜視図であり、図13は第5実施形態に係る磁気結合素子を示す分解斜視図である。また、説明中、「上」及び「下」なる語を使用することがあるが、これは図12の上下方向に対応したものである。
磁気結合素子MC5は、図12及び図13に示されるように、第1の導電体61、第2の導電体71及び磁性体41を備えている。
磁性体41は第1の導電体61及び第2の導電体71を包囲するように配置されており、第1の導電体61及び第2の導電体71は磁性体41の中空部を通っている。電気的に絶縁された状態で重ねられた第1の導電体61及び第2の導電体71の基部3,13は、両端が磁性体41から突出している。これにより、磁性体41(下側磁性体45)における端子65,75が導出された面は、端子65,75間の間隙領域から離れることとなる。なお、第1の導電体61及び第2の導電体71の基部3,13の突出量は、端子65,75間の間隙と同等以上であることが好ましい。
第1の導電体61の端子65は、それぞれが磁性体41の異なる2面から外側に導出される。第2の導電体71の端子75も、それぞれ2つずつが第1の導電体61の端子65が導出された磁性体41の上記異なる2面から外側に導出される。第1の導電体61の端子65と第2の導電体71の端子75とは、隣り合った状態で磁性体41の同一面から外側に導出される。第1の導電体61及び第2の導電体71の端子65,75は、下側磁性体45における導出された面と略平行で且つ同一方向(本実施形態においては、下方)に曲げられている。また、端子65,75の先端部分は、下側磁性体45の下面に沿うように曲げられている。
以上のように、本第5実施形態では、端子65,75が導出された磁性体41における端子65,75が導出された面が第1の導電体61及び第2の導電体71の端子65,75間の間隙領域から離されているので、端子65,75の間に強い磁界が生じたとしても、端子65,75間の間隙領域近傍の磁束密度が大きくなるようなことはない。この結果、端子65,75間の間隙領域近傍での漏れ磁束が減少し、漏れインダクタンスが減少することとなる。
したがって、本第5実施形態においても、第1の導電体61と第2の導電体71との結合係数を高くして、漏れインダクタンスを小さくすることができる。
また、本第5実施形態においては、第1の導電体61と第2の導電体71とが互いに重ねられた状態で磁性体41から突出することにより、端子65,75が導出された磁性体41の面が端子65,75間の間隙領域から離れている。これにより、極めて簡素な構成にて、端子65,75が導出された磁性体41の面における端子65,75間の間隙領域に対応する部分を当該端子65,75間の間隙領域から確実に離すことができる。
また、本第5実施形態において、磁気結合素子MC5は、第4実施形態の磁気結合素子MC4と同じく、低電圧大電流化の要求に応えることが可能となる。
続いて、図14〜図16に基づいて、本実施形態に係る磁気結合素子の更なる変形例を説明する。図14〜図16は、本実施形態に係る磁気結合素子の変形例を示す全体斜視図である。
図14に示された磁気結合素子MC6は、第1の導電体1及び第2の導電体11の端子5,15の形状の点で第1実施形態に係る磁気結合素子MC1と相違する。磁気結合素子MC6では、端子5,15が曲げられることなく、基部3,13と同一平面上で伸びている。
図15に示された磁気結合素子MC7は、第1の導電体1及び第2の導電体11の端子5,15の形状の点で第2実施形態に係る磁気結合素子MC2と相違する。磁気結合素子MC6では、端子5,15が曲げられることなく、基部3,13と同一平面上で伸びている。
図16に示された磁気結合素子MC8は、第1の導電体1及び第2の導電体11の端子5,15の形状の点で第3実施形態に係る磁気結合素子MC3と相違する。磁気結合素子MC6では、端子5,15が曲げられることなく、基部3,13と同一平面上で伸びている。
上記磁気結合素子MC6〜MC8においても、上述した実施形態と同じく、第1の導電体1と第2の導電体11との結合係数を高くして、漏れインダクタンスを小さくすることができる。なお、磁気結合素子MC6において、上側磁性体23の端子5,15が導出された面における端子5,15間の間隙領域に対応する部分を当該端子5,15間の間隙領域から離れるように切り欠き、窪み部を形成してもよい。
また、磁気結合素子MC6〜MC8は、第1実施形態の磁気結合素子MC1と同じく、低電圧大電流化の要求に応えることが可能となる。
ここで、本実施形態によって、第1の導電体と第2の導電体との結合係数を高くして、漏れインダクタンスを小さくすることができることを、実施例及び比較例を参照して、具体的に示す。以下の実施例及び比較例では、1MHzにおけるシミュレーション演算(有限要素法による磁場解析)によりインダクタンス値、結合係数及び漏れインダクタンスを求めた。
(実施例1)
実施例1に係る磁気結合素子として、第1実施形態の磁気結合素子MC1を採用した。
第1の導電体1及び第2の導電体11を、厚みが0.3mmである銅板とした。各導電体1,11の基部3,13の幅(図1における左右方向の長さ)を7.6mmとした。第1の導電体1の端子5と第2の導電体11の端子15と間の間隙領域の幅(図1における左右方向の長さ)を1mmとした。
磁性体21の幅(図1における左右方向の長さ)を12mmとし、磁性体21の奥行き(図2における左右方向の長さ)を11mmとし、磁性体21の厚み(図1及び図2における上下方向の長さ)を5mmとした。磁性体21の中空部の上下幅を1mmとした。下側磁性体25の厚みと、上側磁性体23における各導電体1,11の基部3,13に平行な部分の厚みとを2mmとした。磁性体21の透磁率を30とした。窪み部25aの深さを1mmとした。
シミュレーション演算の結果、図19に示されるように、インダクタンス値は38.7nHとなり、結合係数は0.936となり、漏れインダクタンスは4.80nHとなった。
参考例1
参考例1に係る磁気結合素子として、第2実施形態の磁気結合素子MC2を採用した。第1の導電体1及び第2の導電体11については、実施例1と同条件とした。
磁性体41の幅(図4における左右方向の長さ)を12mmとし、磁性体41の奥行き(図5における左右方向の長さ)を9mmとし、磁性体41の厚み(図4及び図5における上下方向の長さ)を5mmとした。磁性体41の中空部の上下幅を1mmとした。下側磁性体45の厚みと、上側磁性体43における各導電体1,11の基部3,13に平行な部分の厚みとを2mmとした。磁性体41の透磁率を30とした。第1の導電体1及び第2の導電体11の基部3,13の磁性体41の側面(磁性体41における端子5,15が導出された面)からの突出量は、1mm程度である。
シミュレーション演算の結果、図19に示されるように、インダクタンス値は34.5nHとなり、結合係数は0.931となり、漏れインダクタンスは4.60nHとなった。
(実施例3)
実施例3に係る磁気結合素子として、第4実施形態の磁気結合素子MC4を採用した。磁性体21については、実施例1と同条件とした。
第1の導電体61及び第2の導電体71を、厚みが0.3mmである銅板とした。各導電体61,71の基部3,13の幅(図10における左右方向の長さ)を7.6mmとした。第1の導電体61の端子65と第2の導電体71の端子75と間の間隙領域の幅(図10における左右方向の長さ)を1mmとした。
シミュレーション演算の結果、図19に示されるように、インダクタンス値は38.9nHとなり、結合係数は0.962となり、漏れインダクタンスは2.91nHとなった。
参考例2
参考例2に係る磁気結合素子として、第5実施形態の磁気結合素子MC5を採用した。
第1の導電体61及び第2の導電体71については、実施例3と同条件とした。磁性体4
1については、参考例1と同条件とした。
シミュレーション演算の結果、図19に示されるように、インダクタンス値は34.9nHとなり、結合係数は0.958となり、漏れインダクタンスは2.85nHとなった。
(比較例1)
比較例1として、図17に示された磁気結合素子MC101を採用した。図17は、比較例1の磁気結合素子を示す分解斜視図である。
磁気結合素子MC101は、第1の導電体1、第2の導電体11及び磁性体121を備えている。磁性体121は、U型コア形状とされた上側磁性体123とI型コア形状とされた下側磁性体125とを含み、第1の導電体1及び第2の導電体11を包囲するように配置されている。磁性体121の端子5,15が導出された面における端子5,15間の間隙領域に対応する部分には窪み部が形成されておらず、上側磁性体123の面と下側磁性体125の面とが同一面上に位置している。
第1の導電体1及び第2の導電体11については、実施例1と同条件とした。
磁性体121の幅(図17における左右方向の長さ)を12mmとし、磁性体21の奥行きを11mmとし、磁性体121の厚み(図17における上下方向の長さ)を5mmとした。磁性体121の中空部の上下幅を1mmとした。下側磁性体125の厚みと、上側磁性体123における各導電体1,11の基部3,13に平行な部分の厚みとを2mmとした。磁性体121の透磁率を30とした。
シミュレーション演算の結果、図19に示されるように、インダクタンス値は41.8nHとなり、結合係数は0.920となり、漏れインダクタンスは6.43nHとなった。
(比較例2)
比較例2として、図18に示された磁気結合素子MC102を採用した。図18は、比較例2の磁気結合素子を示す分解斜視図である。
磁気結合素子MC102は、第1の導電体61、第2の導電体71及び磁性体121を備えている。比較例2においても、比較例1と同じく、磁性体121の端子5,15が導出された面における端子5,15間の間隙領域に対応する部分には窪み部が形成されておらず、上側磁性体123の面と下側磁性体125の面とが同一面上に位置している。
第1の導電体61及び第2の導電体71については、実施例3と同条件とした。磁性体121については、比較例1と同条件とした。
シミュレーション演算の結果、図19に示されるように、インダクタンス値は42.2nHとなり、結合係数は0.953となり、漏れインダクタンスは3.86nHとなった。
図19から分かるように、実施例1及び参考例1では、比較例1に比して結合係数が高く、漏れインダクタンスが小さくなっている。また、実施例3及び参考例2では、比較例2に比して結合係数が高く、漏れインダクタンスが小さくなっている。以上のことから、本実施形態の有効性が確認された。また、実施例3及び参考例2では、実施例1及び参考例2に比して結合係数が高く、漏れインダクタンスが小さくなっており、端子を交互に隣り合わせて配置する構成の有効性が確認された。
次に、図20及び図21に基づいて、本実施形態に係る磁気結合素子が適用される回路について説明する。図20は、本実施形態に係る磁気結合素子が適用される回路の一例を示す回路図である。図21は、図20に示された回路の動作波形図である。
図20に示された回路は、スイッチング電源に用いられるタップドインダクタ方式の降圧型DC−DCコンバータ(Tapped-Inductor Buck Converter)81を構成している。このDC−DCコンバータ81は、例えばDC12VからDC1V前後の出力電圧を得るものであり、直流電源E及び負荷Rが接続されている。
DC−DCコンバータ81は、MOSFET等で構成されるスイッチング素子S1,S2と、タップドインダクタTIと、コンデンサCとを備えている。タップドインダクタTIは、互いに電磁結合されるコイルL1,L2を含んでいる。タップドインダクタTIに上記実施形態の磁気結合素子MC1〜MC8が適用され、第1の導電体1,61及び第2の導電体11,71のいずれか一方がコイルL1を構成し、他方がコイルL2を構成することとなる。
図21に示されるように、スイッチング素子S1,S2は、交互にオン状態とされる。スイッチング素子S1がオン状態となると、タップドインダクタTIを通してコンデンサCと負荷Rへの電流i1が流れる。スイッチング素子S1がオフ状態となり、スイッチング素子S2がオン状態となると、タップドインダクタTIに蓄えられたエネルギーにより、コイルL2からコンデンサCと負荷Rへの電流i2が流れる。
このタップドインダクタTIを用いたDC−DCコンバータ81は、スイッチング素子S1がオン状態である時にはコイルL1,L2を通して電流i1が流れるので、コイルL2のみからなる従来のDC−DCコンバータに比較して、この電流i1は小さくなる。また、コイルL1,L2の巻数比を調整することにより、従来の降圧型コンバータに比較し、大きな時比率で低電圧出力を得ることができる。
このように、DC−DCコンバータ81は、タップドインダクタTIが1つの素子で出力フィルタと電圧変換の2つの機能を有することとなる。また、DC−DCコンバータ81は、スイッチング素子S1に流れる電流i1が小さいため、スイッチング素子S1のスイッチング損失および導通損が小さくなり、効率が向上することとなる。
また、上記従来のDC−DCコンバータでは、スイッチング素子S2には入力電圧がそのまま印加されるため、耐圧の比較的高いものを用いる必要がある。しかしながら、DC−DCコンバータ81では、スイッチング素子S2には出力電圧に近い電圧が印加することとなり、低耐圧、低オン抵抗のMOSFETを用いることができる。
DC−DCコンバータ81において伝送効率を高めるためには、コイルL1,L2間の結合係数を大きくする必要があり、タップドインダクタTIとして本実施形態の磁気結合素子MC1〜MC8が好適である。タップドインダクタTIとして本実施形態の磁気結合素子MC1〜MC8を用いた場合、漏れインダクタンスが小さいので、漏れインダクタンスによるエネルギーが原因となってスイッチング素子に発生するサージ電圧が低くなり、より一層耐圧の低いスイッチング素子を用いることが可能となる。もちろん、サージ電圧を吸収するための回路を別途設ける必要もない。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上側磁性体23,43,53をU型コア形状とすると共に下側磁性体25,45,55をI型コア形状とする代わりに、両磁性体23,25,43,45,53,55をU型コア形状としてもよい。また、両磁性体23,25,43,45,53,55をI型コア形状として、コアの両側を接着する等の方法により磁性体21,41,51を形成するようにしてもよい。また、磁性体21,41,51を筒状に一体形成してもよい。更に、金属圧粉材料等を用いて、重ねられた導電体1,11,61,71をインサート成形してもよい。
また、第1の導電体1,61の端子5,65の先端部分及び第2の導電体11,71の端子15,75の先端部分は下側磁性体25,45,55の下面に沿うように曲げられているが、これに限られるものではない。例えば、第1の導電体1,61の端子5,65の先端部分及び第2の導電体11,71の端子15,75の先端部分を下側磁性体25,45,55の下面から遠ざかるように曲げてもよい。また、第1の導電体1,61の端子5,65の先端部分と第2の導電体11,71の端子15,75の先端部分とで互いに異なる方向に曲げられていてもよい。
また、第4及び第5実施形態の磁気結合素子MC4,MC5において、第1の導電体61の端子65の数も複数として、第2の導電体71の端子75と交互に隣り合わせて配置するようにしてもよい。
また、第4の磁気結合素子MC4において、窪み部25aを形成する代わりに、端子65,75が導出された磁性体51の面に当該面の端子65,75が曲げられた側が低くなるように段差を形成ように構成してもよい。
また、本発明は、タップドインダクタ方式のDC−DCコンバータに用いられるタップドインダクタだけではなく、絶縁型DC/DCコンバータなどに用いられるトランスに適用することができる。
第1実施形態に係る磁気結合素子を示す全体斜視図である。 図1におけるII−II線に沿った断面図である。 第1実施形態に係る磁気結合素子を示す分解斜視図である。 第2実施形態に係る磁気結合素子を示す全体斜視図である。 図4におけるV−V線に沿った断面図である。 第2実施形態に係る磁気結合素子を示す分解斜視図である。 第3実施形態に係る磁気結合素子を示す全体斜視図である。 図7におけるVIII−VIII線に沿った断面図である。 第3実施形態に係る磁気結合素子を示す分解斜視図である。 第4実施形態に係る磁気結合素子を示す全体斜視図である。 第4実施形態に係る磁気結合素子を示す分解斜視図である。 第5実施形態に係る磁気結合素子を示す全体斜視図である。 第5実施形態に係る磁気結合素子を示す分解斜視図である。 第1実施形態に係る磁気結合素子の変形例を示す全体斜視図である。 第2実施形態に係る磁気結合素子の変形例を示す全体斜視図である。 第3実施形態に係る磁気結合素子の変形例を示す全体斜視図である。 比較例1の磁気結合素子を示す分解斜視図である。 比較例2の磁気結合素子を示す分解斜視図である。 実施例1〜4と比較例1及び2とにおけるシミュレーション演算の結果を示す図表である。 本実施形態に係る磁気結合素子が適用される回路の一例を示す回路図である。 図20に示された回路の動作波形図である。
符号の説明
1,61…第1の導電体、3,13,63,73…基部、5,15,65,75…端子、11,71…第2の導電体、21,41,51…磁性体、23,43,53…上側磁性体、25,45,55…下側磁性体、25a…窪み部、31…電気絶縁材、MC1〜MC8…磁気結合素子。

Claims (5)

  1. 板状をなし、電気的に絶縁された状態で重ねられる第1の導電体及び第2の導電体と、
    前記第1の導電体及び前記第2の導電体を包囲するように配置される磁性体と、を備え、
    前記第1の導電体は、基部と、前記基部から伸び且つ前記磁性体の異なる2面からそれぞれ少なくとも1つずつ外側に導出する端子と、を有し、
    前記第2の導電体は、前記第1の導電体の前記基部と対向して重ね合わされる基部と、当該基部から伸び且つ前記第1の導電体の前記端子が導出される前記磁性体の前記異なる2面からそれぞれ少なくとも1つずつ外側に導出する端子と、を有しており、
    前記第1の導電体及び前記第2の導電体の前記端子は同一方向に曲げられ、
    前記端子が導出された前記磁性体の面における前記第1及び第2の導電体の前記端子が曲げられた側の前記端子間の間隙領域に対応する部分が、前記第1及び第2の導電体の前記基部のうちいずれか一方の基部が露出するように切り欠かれることにより、前記端子間の前記間隙領域から離れていることを特徴とする磁気結合素子。
  2. 前記磁性体は、二つの磁性体からなり、
    前記二つの磁性体のうち前記端子が曲げられた側に位置する磁性体が切り欠かれていることを特徴とする請求項1に記載の磁気結合素子。
  3. 板状をなし、電気的に絶縁された状態で重ねられる第1の導電体及び第2の導電体と、
    前記第1の導電体及び前記第2の導電体を包囲するように配置される磁性体と、を備え、
    前記第1の導電体は、基部と、前記基部から伸び且つ前記磁性体の異なる2面からそれぞれ少なくとも1つずつ外側に導出する端子と、を有し、
    前記第2の導電体は、前記第1の導電体の前記基部と対向して重ね合わされる基部と、当該基部から伸び且つ前記第1の導電体の前記端子が導出される前記磁性体の前記異なる2面からそれぞれ少なくとも1つずつ外側に導出する端子と、を有しており、
    前記第1の導電体及び前記第2の導電体の前記端子は同一方向に曲げられ、
    前記端子が導出された前記磁性体の前記面に、前記端子が曲げられた側が低くなり且つ前記第1及び第2の導電体の前記基部のうちいずれか一方の基部が露出するように段差が形成され、当該段差によって低くされ且つ前記端子が導出された前記磁性体の前記面における前記端子が曲げられた側が前記端子間の間隙領域から離れていることを特徴とする磁気結合素子
  4. 前記磁性体は、二つの磁性体からなり、
    前記二つの磁性体のうち前記端子が曲げられた側に位置する磁性体の長さが他方の磁性体の長さよりも短く設定されていることにより、前記段差が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の磁気結合素子。
  5. 前記磁性体の同じ面から導出される前記第1の導電体及び前記第2の導電体の前記端子の数が、少なくとも一方の導電体については複数とされ、
    前記磁性体の同じ面から導出された前記第1の導電体の前記端子と前記第2の導電体の前記端子とが交互に隣り合わせて配置されていることを特徴とする請求項1又は3に記載の磁気結合素子。
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