JP4544852B2 - 酢酸ビニル樹脂系エマルジョン及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接着剤、塗料ベース、コーティング剤などとして有用な酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを含有する水性接着剤、及び前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法に関する。
従来、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、木工用、紙加工用、繊維加工用等の接着剤や塗料ベースやコーティング剤などに幅広く使用されている。しかし、そのままでは最低造膜温度が高いため、多くの場合、揮発性を有する可塑剤、有機溶剤などの成膜助剤を添加する必要がある。前記可塑剤としてフタル酸エステル類などが使用されるが、昨今の環境問題の高まりから、フタル酸エステル類が環境に対して好ましくないとの指摘もあり、安全性の高い可塑剤などへの代替が検討されている。しかし、可塑剤は本質的にVOC成分(Volatile Organic Compounds;揮発性有機化合物)であり、特に、住宅関連に使用される接着剤では、VOC成分が新築病(シックハウス症候群)の原因物質ではないかとの見方もある。このように、環境負荷の少ない水性接着剤であっても、可塑剤に起因するVOC問題が指摘されるようになっている。そこで、可塑剤を含まない酢酸ビニル樹脂系エマルジョン系接着剤が検討されている。
例えば、エチレン含有量が15〜35質量%であるエチレン酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンに酢酸ビニルをシード重合してなる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを含む木工用接着剤が提案されている(特許文献1参照)。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系エマルジョン中で酢酸ビニルをシード重合して酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを製造する方法において、酢酸ビニルを系内に添加しつつ行うシード重合を行う工程と、前記工程の前工程又は後工程として、酢酸ビニル以外の重合性不飽和単量体を系内に添加するか、又は前記工程中に酢酸ビニル以外の重合性不飽和単量体を前記酢酸ビニルとは独立して系内に添加する工程とを含む酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法が提案されている(特許文献2及び3参照)。
これらの製造方法で得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、低温養生時における低温接着強さが改善されており、また、常温(23℃程度)で成膜させると、透明な皮膜が得られる。特に、JIS K6804に準じて測定された低温成膜性は、良好であり、この測定方法では、透明な皮膜が形成されている。
さらにまた、酢酸ビニルをシード重合して得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを製造する方法として、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン中の前記共重合体をシードとして、ポリビニルアルコールの保護コロイドの存在下で、酢酸ビニルモノマーを滴下してシード重合する酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法において、重合すべき酢酸ビニルモノマーの内の3〜15質量%、及び重合開始剤の規定量の内の15〜30質量%を、前記滴下前に一時添加する酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法(特許文献4参照)や、ポリビニルアルコール系樹脂を保護コロイドとして用い、酢酸ビニルモノマーおよびアクリル酸系モノマーを用いたコアシェル型エマルジョン重合を行うに際して、酢酸ビニルモノマーを用いてコア部のエマルジョン重合を行い、続いて酢酸ビニルモノマーおよびアクリル酸系モノマーの混合物を用いてシェル部のエマルジョン重合を行う酢酸ビニル系樹脂エマルジョンの製造方法(特許文献5参照)なども提案されている。
さらに、固形分に対して2〜12質量%のポリビニルアルコールを含み、可塑剤を含まないか、固形分に対して5質量%以下の可塑剤を含むポリ酢酸ビニル系エマルジョンに、ポリ酢酸ビニル系エマルジョン以外の水性ラテックス類を含有させてなる接着剤組成物が提案されている(特許文献6参照)。このように、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンに、水性ラテックス類を配合した接着剤は、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン中でシード重合されたものではないので、低温養生時における低温接着強さが低く、また成膜性も低く、特にJIS K6804に準じて測定された低温成膜性が低い。
なお、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンにガラス転移点が−10℃以下のエチレン・酢酸ビニル共重合系樹脂エマルジョンを配合した接着剤組成物や、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンと、造膜温度が0℃以下のアクリル系共重合樹脂エマルジョンとが混合されている接着剤組成物も提案されている(特許文献7〜特許文献8参照)が、これらの接着剤又はエマルジョンは、接着強さ、耐水性、耐熱性が必ずしも十分でない。
特開平11−92734号公報 特開2000−239307号公報 特開2000−302809号公報 特開2001−131206号公報 特開2001−302709号公報 特開平11−279507号公報 特開2001−294833号公報 特開2003−176468号公報
しかしながら、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系エマルジョン中で酢酸ビニルをシード重合して得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを含有する水性接着剤を、金属材やガラス材等の非多孔質材(非多孔質板)上に、低温(例えば、5℃以下)で塗布し乾燥して成膜した際の低温成膜性(例えば、JIS K6804に準じて測定された低温成膜性)は、前述のように、良好であり、透明な皮膜が形成されるが、木材等の多孔質材(多孔質板)上に、低温(例えば、5℃以下)で塗布し乾燥して成膜した際には、白濁して透明な皮膜が形成されず、形成された皮膜は半透明乃至不透明な皮膜となっている。そのため、低温成膜性について、JISによる基準は満足していても、実際の作業環境では、不具合が生じている。従って、このような酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを接着剤として利用する際には、低温で成膜された接着層は半透明乃至不透明となる場合があり、その場合、接着層が目立ってしまい、商品価値が低下する。もちろん、塗料ベースやコーティング剤においては、皮膜が半透明乃至不透明であることは不適当である。
なお、低温において非多孔質材上で成膜する場合、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの水分は、非多孔質材には吸収又は浸透されないので、揮発のみにより減少していくことにより、ゆっくり乾燥して皮膜が形成され、そのため、十分にエマルジョン粒子間の融着が生じて、透明な皮膜が形成されると思われる。一方、低温において多孔質材上で成膜する場合、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの水分は、揮発とともに、多孔質材にも吸収又は浸透されることにより減少するので、非多孔質材上に塗布した場合よりも、乾燥スピードが速くなっており、そのため、エマルジョン粒子が大きすぎたり、硬すぎたりすると、エマルジョン粒子間の融着が不十分になり、その結果、半透明乃至不透明な皮膜が形成されると思われる。なお、常温では、エマルジョン粒子が柔らかいため、透明な皮膜を形成することが可能と思われる。
従って、本発明の目的は、可塑剤を全く含まなくても優れた低温成膜性と接着強度とを備え、低温養生時においても高い接着強さ(低温接着強さ)を有するとともに、特に低温で多孔質材上に成膜した際であっても透明な皮膜を形成することができ、しかもVOC成分をほとんど含まない酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを含有する水性接着剤、及び前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系エマルジョン中で酢酸ビニルをシード重合して得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンに、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系エマルジョンを添加すると、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系エマルジョン中で酢酸ビニルをシード重合して得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンによる優れた特性を保持したまま、多孔質材上における低温成膜性を大きく改善することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン中で、酢酸ビニルをシード重合して得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンであって、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン中で、酢酸ビニルをシード重合した後、さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンが添加されており、且つ、酢酸ビニルのシード重合の際に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンの割合(固形分)が、酢酸ビニルのシード重合の際に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン、および酢酸ビニルのシード重合後に添加されるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンの総量(固形分)に対して、20〜80質量%であることを特徴とする酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを提供する。
前記エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンにおけるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂としては、エチレン含有量が5〜60質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂であることが好ましい。
前記シード重合のモノマー成分として、さらに、酢酸ビニル以外の重合性不飽和単量体が用いられていてもよい。
本発明では、酢酸ビニルのシード重合の際に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン、および酢酸ビニルのシード重合後に添加されるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンの総量(固形分)としては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン中で、酢酸ビニルをシード重合して、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た後、さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンが添加された酢酸ビニル樹脂系エマルジョン中の全樹脂分(全固形分)に対して10〜60質量%となる量であることが望ましい。
本発明は、また、前記酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを製造する方法であって、下記の工程(A)〜(B)を具備することを特徴とする酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法を提供する。
工程(A):エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン中で、酢酸ビニルをシード重合する工程
工程(B):酢酸ビニルをシード重合した後、さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンを添加する工程
なお、本明細書では、「アクリル」と「メタクリル」とを「(メタ)アクリル」、「アクリロイル」と「メタクリロイル」とを「(メタ)アクリロイル」等と総称する場合がある。
本発明の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、可塑剤を全く含まなくても優れた低温成膜性と接着強度とを備え、低温養生時においても高い接着強さ(低温接着強さ)を有するとともに、特に低温で多孔質材上に成膜した際であっても透明な皮膜を形成することができ、しかもVOC成分をほとんど含んでいない。
本発明の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン中で、酢酸ビニルをシード重合して、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(「シード重合PVacエマルジョン」と称する場合がある)を得た後、該シード重合PVacエマルジョンに、さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンを添加して得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(「E−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョン」と称する場合がある)であり、且つ、前記酢酸ビニルのシード重合の際に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン(「シードE−PVacエマルジョン」と称する場合がある)の割合(固形分)が、シードE−PVacエマルジョン、および酢酸ビニルのシード重合後に添加されるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン(「後添加E−PVacエマルジョン」と称する場合がある)の総量(固形分)に対して、20〜80質量%であるので、多孔質材(木材など)の上に、低温(例えば、5℃以下)で塗布し乾燥して成膜した際の低温成膜性(「多孔質基材に対する低温成膜性」と称する場合がある)が改善されており、低温において多孔質材上で成膜しても、透明な皮膜を形成することができる。これは、シードE−PVacエマルジョン中で、酢酸ビニルをシード重合した後、さらに、後添加E−PVacエマルジョンが添加されているので、シードE−PVacエマルジョン中のエマルジョン粒子をシード粒子として、酢酸ビニルがシード重合して得られた粒子(「シード重合粒子」と称する場合がある)は大きな粒子であるが、この大きなシード重合粒子の間に、酢酸ビニルをシード重合した後に添加されている後添加E−PVacエマルジョン中のエマルジョン粒子が適度な割合で入り込んで、シード重合粒子の隙間を埋めている効果と、後添加E−PVacエマルジョン自体の柔らかさによる効果とが効果的に発揮されることにより、低温において多孔質材上で成膜しても、融着が十分に生じ、透明性が確保されるためであると思われる。
もちろん、前記E−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョンは、低温養生時における低温接着強さが良好であり、また、常温(23℃程度)での各種基材上における成膜性も優れており、透明な皮膜が得られる。さらにまた、JIS K6804に準じて測定された低温成膜性、すなわち、非多孔質材(金属材やガラス材など)の上に、低温(例えば、5℃以下)で塗布し乾燥して成膜した際の低温成膜性(「非多孔質基材に対する低温成膜性」と称する場合がある)も良好であり、透明な皮膜が形成される。
なお、シードE−PVacエマルジョン中で、酢酸ビニルをシード重合した後、後添加E−PVacエマルジョンが添加されている割合が20質量%未満である酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを、多孔質材上に常温で成膜した際には、透明な皮膜が形成されるのに対して、多孔質材上に低温で成膜した際には半透明な皮膜が形成されるが、この低温で皮膜が半透明になってしまうのは、シードE−PVacエマルジョン中で酢酸ビニルをシード重合すると、シードE−PVacエマルジョン中のエマルジョン粒子をシード粒子として、酢酸ビニルがシード重合して得られた粒子は大きく、且つ低温では硬くなってしまうため、また、後添加E−PVacエマルジョンが添加されている割合が低く、シード重合粒子の隙間を埋めている効果が低いため、低温で成膜させると、粒子間の融着が不十分になり、半透明になると思われる。なお、酢酸ビニルの重合の際に、シード重合が生じず、シード粒子の外で重合しているとすると、通常の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンになり、この場合、最低造膜温度が高くなるため、さらに融着が不十分になり、半透明になると考えられる。また、同様に、シードE−PVacエマルジョン中で、酢酸ビニルをシード重合した後、後添加E−PVacエマルジョンが添加されている割合が80質量%を超えている酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、シードE−PVacエマルジョン割合が少ないため、シード重合がほとんど生じず、そのため、通常の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンのように、最低造膜温度が高くなり、低温で成膜させると、融着が不十分になり、半透明になると考えられる。
このようなE−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョンは、シードE−PVacエマルジョン中で、酢酸ビニルをシード重合した後、後添加E−PVacエマルジョンが添加された構成を有しおり、且つシードE−PVacエマルジョンの割合(固形分)が、シードE−PVacエマルジョンおよび後添加E−PVacエマルジョンの総量(固形分)に対して、20〜80質量%であれば、特に制限されず、例えば、下記の工程(A)〜(B)を具備する酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法により製造することができる。
工程(A):エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン(シードE−PVacエマルジョン)中で、酢酸ビニルをシード重合して、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(シード重合PVacエマルジョン)を得る工程
工程(B):酢酸ビニルをシード重合してシード重合PVacエマルジョンを得た後、該シード重合PVacエマルジョンに、さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン(後添加E−PVacエマルジョン)を添加して、後添加E−PVacエマルジョンが添加された酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(E−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョン)を調製する工程
本発明では、シードE−PVacエマルジョンと、後添加E−PVacエマルジョンとの割合が重要である。シードE−PVacエマルジョン、および後添加E−PVacエマルジョンの総量(固形分)に対するシードE−PVacエマルジョンの割合(固形分)としては、20〜80質量%の範囲から選択することができ、好ましくは40〜70質量%(さらに好ましくは50〜70質量%)である。シードE−PVacエマルジョンの割合(固形分)が、シードE−PVacエマルジョン、および後添加E−PVacエマルジョンの総量(固形分)に対して20質量%より少なくても、80質量%よりも多くても、低温で多孔質材上に成膜した際の透明性が低下する。
このように、シードE−PVacエマルジョン、および後添加E−PVacエマルジョンの総量(固形分)に対するシードE−PVacエマルジョンの割合(固形分)が、20〜80質量%の範囲であるのは、本発明の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが、接着剤やコーティング剤等の各種処理剤(特に、接着剤、塗料ベース、コーティング剤)として利用される場合、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンによる各種処理剤は、固形分(主として、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン中の固形分)の濃度が、一般的に、35〜50質量%(なかでも40〜45質量%)となる割合で調製されることが特に好ましく、また多いためである。なお、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを含有する処理剤中の固形分の割合が増加すると、低温時に成膜し難くなる傾向がある。従って、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンによる処理剤における固形分の濃度が増加するにつれて、低温で多孔質材上に成膜した際に、透明な被膜を形成するための条件として、シードE−PVacエマルジョン、および後添加E−PVacエマルジョンの総量(固形分)に対するシードE−PVacエマルジョンの割合(固形分)の範囲が狭まる傾向があり、例えば、範囲の下限値の上昇や上限値の低下が生じる傾向がある。もちろん、逆に、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンによる処理剤における固形分の割合が減少するにつれて、低温で多孔質材上に成膜した際に、透明な被膜を形成するための条件として、シードE−PVacエマルジョン、および後添加E−PVacエマルジョンの総量(固形分)に対するシードE−PVacエマルジョンの割合(固形分)の範囲が広がる傾向(範囲の下限値の低下及び/又は上限値の上昇が生じる傾向)がある。
なお、シードE−PVacエマルジョンと、後添加E−PVacエマルジョンとの総量(固形分)としては、工程(B)により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(E−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョン)中の全樹脂分(全固形分)に対して10〜60質量%(好ましくは15〜40質量%、さらに好ましくは15〜30質量%)程度となる量であることが望ましい。シードE−PVacエマルジョンと、後添加E−PVacエマルジョンとの総量(固形分)が、E−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョン中の全樹脂分(全固形分)に対して10質量%未満となる量であると、十分な成膜性が発揮されない場合があり、一方、60質量%を超える量であると、最終的な接着強さが低下する。
[工程(A)]
工程(A)では、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン(シードE−PVacエマルジョン)中で、酢酸ビニルをシード重合して、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(シード重合PVacエマルジョン)を得ている。従って、この酢酸ビニルのシード重合では、シードエマルジョンとしてシードE−PVacエマルジョンが利用されている(すなわち、シード粒子としてシードE−PVacエマルジョン中のエマルジョン粒子が利用されており、シードポリマーとしてシードE−PVacエマルジョンにおけるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が利用されている)。
このようなシードE−PVacエマルジョン(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン)において、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂としては、特に制限されないが、通常、エチレン含有量が5〜60質量%程度の共重合体が用いられる。なかでも、シードE−PVacエマルジョン中のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂としては、エチレン含有量が15〜35質量%の範囲にあるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が、特に低い成膜温度を与えると共に、優れた接着強さも付与するため好ましい。
なお、シードE−PVacエマルジョン中のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂における酢酸ビニル含有量は、通常、40〜95質量%程度(好ましくは65〜85質量%)である。また、シードE−PVacエマルジョン中のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂は、架橋性モノマーを0〜10質量%程度の含有量でモノマー成分として含有している。
シードE−PVacエマルジョンにおいて、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられていてもよい。
シードE−PVacエマルジョンとして利用されるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンは広く市販されており、市中で容易に入手することができる。市販品等のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンは、必要に応じて水による希釈等により濃度調整を行って、シードE−PVacエマルジョンとして用いることができる。
シードE−PVacエマルジョンは、予め重合により得られた重合体(シードポリマーとして用いる重合体)を水に分散して調製したエマルジョンであってもよく、乳化重合により製造されたエマルジョン(シードポリマーとして用いる重合体を含むエマルジョン)であってもよい。なお、シードE−PVacエマルジョンは、乳化重合によりシードエマルジョンを調製する工程を前段とし、該シードエマルジョン中でシード重合を行う工程を後段とする多段重合における前段で調製されたエマルジョンであってもよい。このような多段重合等の一連に行う重合によっても、本発明の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを製造することができる。
シード重合において、シードE−PVacエマルジョンの使用量は、特に制限されない。シードE−PVacエマルジョンとしては、例えば、シードE−PVacエマルジョンにおけるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(シードポリマー)の量(固形分)が、シード重合により得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの全樹脂分(全固形分)中の含有量として、3〜40質量%(好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは10〜25質量%)程度となる割合で用いることが望ましい。
本発明では、シード重合は、前記シードE−PVacエマルジョンと、好ましくは保護コロイドとを含む水系エマルジョン中、重合開始剤の存在下で行うことができる。なお、シード重合では、モノマー成分として、酢酸ビニル以外の重合性不飽和単量体(「他のモノマー」と称する場合がある)を用いることもできる。このような他のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類(アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類)、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸アミド類、オレフィン類、ジエン類、不飽和ニトリル類などが挙げられる。他のモノマーは単独で又は2以上を組み合わせて使用できる。
他のモノマーにおいて、(メタ)アクリル酸エステル類としては、従来公知の(メタ)アクリル酸エステルの何れをも使用することができる。この代表例として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル[好ましくは、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、より好ましくは(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル];(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの反応性官能基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが例示できる。
また、ビニルエステル類としては、酢酸ビニル以外の従来公知のビニルエステルの何れも使用することができる。この代表例として、例えば、ギ酸ビニル;プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、ベオバ10(商品名:シェルジャパン社製)などのC3-18脂肪族カルボン酸のビニルエステル;安息香酸ビニルなどの芳香族カルボン酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、従来公知のビニルエーテル類を何れも使用することができる。この代表例として、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、iso−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテルなどが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジンなどが挙げられる。不飽和カルボン酸アミド類には、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシブチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類などが含まれる。オレフィン類としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテンなどが挙げられる。ジエン類としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどが例示できる。また、不飽和ニトリル類としては、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。
前記他のモノマーの使用量は、所望するエマルジョンの特性に応じて広い範囲で選択できる。該使用量は、例えば、酢酸ビニル100質量部に対して0.05〜100質量部(好ましくは0.05〜60質量部、さらに好ましくは0.05〜40質量部)程度である。他のモノマーを系内に添加する方法としては、特に制限はなく、酢酸ビニルと混合した混合物(「混合モノマー」と称する場合がある)として系内に添加する方法、酢酸ビニルとは別個に系内に添加する方法、及びこれらの組み合わせ方法の何れの添加方法であってもよい。
酢酸ビニルや混合モノマー等のモノマー成分の系内への添加方法としては、一括添加方法、連続添加方法、間欠添加方法の何れの添加方法であってもよいが、反応の制御の容易性などの点から、連続添加方法又は間欠添加方法が好ましい。酢酸ビニル等のモノマー成分は、ポリビニルアルコールなどの保護コロイド水溶液と混合して、乳化した状態で系内に添加してもよい。
シード重合に用いる酢酸ビニルの使用量は、例えば、シード重合により得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの全樹脂(全固形分)に対して、10〜90質量%(好ましくは15〜80質量%、さらに好ましくは40〜80質量%)程度である。
シード重合における重合温度は、例えば、60〜90℃(好ましくは70〜85℃)程度であるがこれに限定されない。
本発明では、他のモノマー(酢酸ビニル以外の重合性不飽和単量体)は、酢酸ビニルのシード重合の際に系内に添加されてもよく、酢酸ビニルのシード重合の前後で系内に添加されていてもよい。また、他のモノマーは、酢酸ビニルをシード重合する際に、酢酸ビニルを系内に添加する前や後で、系内に添加されていてもよい。このように、本発明では、酢酸ビニル(又は混合モノマー)を系内に添加し且つシード重合を行う工程(「PVacシード重合工程」と称する場合がある)と、前記他のモノマーを酢酸ビニルとは別個独立して系内に添加する工程(「他のモノマー添加工程」と称する場合がある)とを設けると、エマルジョンの低温接着強さを大きく向上させることができる。なお、前記PVacシード重合工程は、酢酸ビニル(又は混合モノマー)を系内に添加し且つシード重合を行う工程であれば特に制限されず、例えば、酢酸ビニル(又は混合モノマー)を系内に添加しつつシード重合を行う工程であってもよく、また、酢酸ビニル(又は混合モノマー)を系内に添加した後、シード重合を行う工程であってもよく、さらにまた、酢酸ビニル(又は混合モノマー)の一部を系内に添加した後、シード重合を行い、さらにその後、酢酸ビニル(又は混合モノマー)の残部を系内に添加した後、シード重合を行う工程などのいずれの形態の工程であってもよい。従って、他のモノマー添加工程は、PVacシード重合工程において、酢酸ビニル(又は混合モノマー)を系内に添加する前に行う工程(PVacシード重合工程の前工程)、PVacシード重合工程において、酢酸ビニル(又は混合モノマー)を系内に添加した後に行う工程(PVacシード重合工程の後工程)、またはPVacシード重合工程中に行う工程(PVacシード重合工程中に行う工程)などのいずれの工程であってもよい。このように、PVacシード重合工程の前工程又はPVacシード重合工程の後工程として、他のモノマー添加工程を設けるか、或いはPVacシード重合工程中に、他のモノマー添加工程を設けると上記の有利な効果が得られる。
他のモノマー添加工程をPVacシード重合工程の前工程として行うとは、前述のように、酢酸ビニル(又は混合モノマー)を添加してシード重合する前に、他のモノマーを系内に添加することを意味する。この場合、他のモノマーの添加は、重合開始剤の存在下又は非存在下の何れの状態であっても行うことができる。すなわち、他のモノマーの重合は、酢酸ビニルの重合開始前に開始されてもよく、酢酸ビニルの重合開始と同時に開始されてもよい。また、他のモノマーの重合が終了した後に[該他のモノマーによる重合体(他のモノマーが1種のみの場合には、ホモポリマー、他のモノマーが2種以上使用されている場合には、それらの共重合体)が形成された後に]、PVacシード重合工程に移行する二段階重合を行ってもよい。
また、他のモノマー添加工程をPVacシード重合工程の後工程として行うとは、前述のように、酢酸ビニル(又は混合モノマー)の添加終了後に、他のモノマーを系内に添加して該他のモノマーを重合に付すことを意味する。この場合、他のモノマーの添加は酢酸ビニルの重合が終了した後に行ってもよい。
さらにまた、他のモノマー添加工程をPVacシード重合工程中に行うとは、前述のように、酢酸ビニル(又は混合モノマー)を添加してシード重合を行っている途中において、他のモノマーを酢酸ビニルとは別個に系内に添加して重合に付すことを意味する。この場合、他のモノマーの添加時期としては、PVacシード重合工程の途中のどの段階(酢酸ビニルの添加段階、酢酸ビニルの添加及びシード重合段階、酢酸ビニルのシード重合段階など)であってもよいが、好ましくはPVacシード重合工程の前半の段階(すなわち、酢酸ビニルの添加段階)である。
このように他のモノマーを酢酸ビニルとは別個に系内に添加する場合、該他のモノマーの添加方法としては、一括添加方法、連続添加方法、間欠添加方法の何れの添加方法であってもよいが、反応の制御が可能な範囲で、一括添加方法のようにできるだけ短時間で添加するのが好ましい。また、前記他のモノマーは、ポリビニルアルコールなどの保護コロイド水溶液と混合して、乳化した状態で系内に添加してもよい。他のモノマーを酢酸ビニルとは別個に系内に添加する際の温度は、PVacシード重合工程における温度(重合温度)と同様であるが、他のモノマー添加工程を、PVacシード重合工程の前工程として設け、且つ他のモノマーの重合をPVacシード重合工程の時点で開始する場合には、他のモノマーの添加時の温度は特に限定されない。
なお、他のモノマーを酢酸ビニルとは別個に系内に添加する場合、該他のモノマーとしては、前記例示の重合性不飽和単量体を使用できるが、これらの中でも、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類及びビニルエーテル類から選択された少なくとも1種を使用するのが好ましい。他のモノマーとしては、特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル、特に(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル]、C3-14脂肪族カルボン酸のビニルエステルが、低温養生時の低温接着強さの低下が最も少ないので好ましい。また、その低温接着強さに加えて、優れた低温成膜性能(低温造膜性能)の保持の見地から、他のモノマーとしては、アクリル酸C3-12アルキルエステルや、メタクリル酸C2-8アルキルエステルがさらに好ましい。
他のモノマーを酢酸ビニルとは別個に系内に添加する場合における該別個に添加する他のモノマーの使用量は、エマルジョンの接着性等の性能を損なわない範囲で適宜選択できるが、一般には、酢酸ビニル100質量部に対して0.05〜10質量部程度の範囲である。前記使用量が0.05質量部未満では低温養生時の接着強さ(低温接着強さ)が低下しやすく、10質量部を超える場合には常態接着強さが低下しやすい。前記の範囲の中でも、接着強さに優れ且つ低温養生時の低温接着強さの低下が最も少ない範囲は、酢酸ビニル100質量部に対して0.1〜7質量部(特に好ましくは0.5〜4質量部)の範囲である。
本発明では、シード重合に付すモノマー成分としては、シードポリマーを構成する単量体とは組成(種類)が異なる単量体、或いは組成は同じでも組成比が異なる単量体であることが多い。
なお、シード重合では、保護コロイドが用いられていてもよい。保護コロイドは、酢酸ビニルや混合モノマー等のモノマー成分をシード重合する際のシードE−PVacエマルジョン中に予め混合されて用いられていてもよく、酢酸ビニルや混合モノマー等のモノマー成分をシード重合する際に、シードE−PVacエマルジョンに添加するモノマー成分(酢酸ビニルや混合モノマーなど)中に混合されて用いられていてもよい。シード重合において用いられる保護コロイドとしては、特に限定されず、一般に酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを製造する際に用いられる保護コロイド、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)や、他の水溶性高分子などが好適に使用される。前記ポリビニルアルコールとしては、一般的なポリビニルアルコールの他、例えば、アセトアセチル化ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなどであってもよい。ポリビニルアルコールは、部分鹸化品、完全鹸化品の何れであってもよく、また、分子量や鹸化度等の異なる2種以上のポリビニルアルコールを併用することもできる。このように、シード重合系内に、保護コロイドとしてのポリビニルアルコールを存在させると、該ポリビニルアルコールがシード重合における乳化剤として有効な機能を持つとともに、接着剤として用いたときの塗布作業性が向上する。
保護コロイドの量は、シード重合の際の重合性や接着剤としたときの接着性などを損なわない範囲で適宜選択できるが、一般には、得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの全樹脂(全固形分)中の含有量として、例えば2〜40質量%(好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは8〜25質量%)程度である。
また、シード重合において用いられる重合開始剤(重合触媒)としては、特に限定されず、公知乃至慣用の重合開始剤、例えば、過酸化水素、ベンゾイルパーオキシド等の有機過酸化物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、アゾビスイソブチロニトリルなどを使用することができる。これらの重合開始剤は、酒石酸、重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸などの還元剤と組み合わせて、レドックス系重合開始剤として用いられていてもよい。重合開始剤の使用量は、例えば、シード重合に付す単量体の総量(酢酸ビニルと、必要に応じて用いられる他のモノマーとの総量)100質量部に対して0.05〜2質量部程度である。また、レドックス系重合開始剤を用いる際の還元剤の使用量は、前記重合開始剤の種類等に応じて適宜設定できる。なお、連鎖移動剤として、イソプロパノール、ドデシルメルカプタンなどが少量系内に添加されていてもよい。
シード重合の際、重合性や接着剤としての性能を損なわない範囲で、他の添加物(例えば、界面活性剤、pH調整剤等)を添加してもよい。重合の方法としては、公知の重合法を使用でき、例えば、モノマー逐次添加法、一括仕込法、二段重合法などが挙げられるが、これらに限定されない。重合装置としては、特に限定されず、業界で使用されている常圧乳化重合装置などを用いることができる。
[工程(B)]
工程(B)では、酢酸ビニルをシード重合して酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(シード重合PVacエマルジョン)を得た後、該シード重合PVacエマルジョンに、さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン(後添加E−PVacエマルジョン)を添加して、後添加E−PVacエマルジョンが添加された酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(E−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョン)を調製している。
後添加E−PVacエマルジョン(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン)において、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂としては、特に制限されず、前記シードE−PVacエマルジョン(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン)と同様に、通常、エチレン含有量が5〜60質量%程度の共重合体が用いられ、なかでも、エチレン含有量が15〜35質量%の範囲にあるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を好適に用いることができる。なお、後添加E−PVacエマルジョン中のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂における酢酸ビニル含有量は、通常、40〜95質量%程度(好ましくは65〜85質量%)である。また、後添加E−PVacエマルジョン中のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂は、架橋性モノマーを0〜10質量%程度の含有量でモノマー成分として含有している。
後添加E−PVacエマルジョンにおいて、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられていてもよい。
後添加E−PVacエマルジョンとして利用されるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンは、前記シードE−PVacエマルジョンと同様に、広く市販されており、市中で容易に入手することができる。市販品等のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンは、必要に応じて水による希釈等により濃度調整を行って、後添加E−PVacエマルジョンとして用いることができる。
後添加E−PVacエマルジョンは、予め重合により得られた重合体を水に分散して調製したエマルジョンであってもよく、乳化重合により製造されたエマルジョンであってもよい。
なお、後添加E−PVacエマルジョンは、前記シードE−PVacエマルジョンと同一のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンであってもよく、異なるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンであってもよい。
後添加E−PVacエマルジョンの使用量(固形分)としては、特に制限されず、例えば、シード重合により得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの全樹脂(全固形分)に対して3〜30質量%(好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%)程度の範囲から選択することができる。
後添加E−PVacエマルジョンをシード重合PVacエマルジョンに添加する方法としては、特に制限されず、一括添加方法、連続添加方法、間欠添加方法の何れの添加方法であってもよいが、一括添加方法(特に、撹拌下で一括添加する方法)が好適である。なお、後添加E−PVacエマルジョンをシード重合PVacエマルジョンに添加する際の温度などは特に制限されない。
本発明では、工程(A)を行って酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(シード重合PVacエマルジョン)を得た後、続いて工程(B)を行って本発明の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(E−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョン)を調製してもよく、予め工程(A)を行って得られたシード重合PVacエマルジョンを用いて工程(B)を行って、E−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョンを調製してもよい。すなわち、本発明のE−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョンの製造方法では、工程(A)〜工程(B)を一連の工程として行ってもよく、工程(A)と工程(B)とを別個の工程(非連続の工程)として行ってもよい。
本発明の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(E−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョン)は、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンを含有する酢酸ビニル樹脂系エマルジョンであるが、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンは、酢酸ビニルをシード重合する際のシードエマルジョンとして用いられているとともに、酢酸ビニルのシード重合により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンと混合するエマルジョン(混合エマルジョン)として用いられている。すなわち、前記E−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョンでは、前記エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン中のエマルジョン粒子は、酢酸ビニル樹脂を含有するエマルジョン粒子の内部に含有されているとともに、酢酸ビニル樹脂を含有するエマルジョン粒子の外部に含有されている。なお、シードエマルジョンとしてのエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン(シードE−PVacエマルジョン)と、混合エマルジョンとしてのエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン(後添加E−PVacエマルジョン)とが、同一のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンである場合、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンの一部をシードE−PVacエマルジョンとして用い、残部を後添加E−PVacエマルジョンとして用いたことに相当する。
前記E−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョンにおいて用いられるシードE−PVacエマルジョンや後添加E−PVacエマルジョンなどのエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンとしては、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下(例えば、0〜−15℃)のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂によるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンであってもよく、Tgが0℃を超えるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂によるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンであってもよい。なお、シードE−PVacエマルジョンや後添加E−PVacエマルジョンとしては、ガラス転移温度(Tg)が5℃以下(例えば、5〜−15℃、好ましくは0〜−15℃)のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂によるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンを好適に用いることができる。本発明では、前述のように、シードE−PVacエマルジョン中で酢酸ビニルをシード重合して得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを用いているので、シードE−PVacエマルジョン及び/又は後添加E−PVacエマルジョンとして、Tgが0℃を超えるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂によるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンを用いていても、低温成膜性は、非多孔質基材に対する低温成膜性および多孔質基材に対する低温成膜性のいずれも、良好となっている。
また、本発明の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン(E−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョン)は、可塑剤を全く含まない状態であっても、優れた低温成膜性と高い接着強度を発揮することができ、特に、低温養生時でも優れた低温接着強さを発揮することができ、低温養生時における接着強さの大幅な低下を阻止することができる。例えば、下記式で表される保持率の値は、通常60%以上とすることができ、製造条件によっては70%以上、或いは80%以上にも達することができる。
保持率(%)=[低温(5℃)接着強さ(N/mm2)/常態接着強さ(N/mm2)]×100
なお、前記常態接着強さとは、エマルジョンを木工用接着剤として用いたときの接着強さを示し、JIS K 6852に準拠して測定した圧縮せん断接着強さの値である。また、低温(5℃)接着強さとは、同じくエマルジョンを木工用接着剤として用いたときの接着強さであって、エマルジョン及び試験片を5℃雰囲気下で1日間保存し、その後同温度下で接着、養生し、且つ同温度下で測定する点以外は、JIS K 6852に準拠して測定した圧縮せん断接着強さの値である。
本発明のE−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョンの常態接着強さは、例えば、10N/mm2以上(例えば、10〜30N/mm2)、好ましくは15N/mm2以上(例えば、15〜30N/mm2)である。
また、本発明のE−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョンは、被着体に塗布した場合、前述のように、低温で多孔質材上に成膜した場合あっても、透明な皮膜を形成することができる。
なお、本発明のE−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョンは、そのままで水性接着剤として利用できるが、必要に応じて、セルロース誘導体等の水溶性高分子などを増粘剤として配合したり、充填剤、溶剤、顔料、染料、防腐剤、消泡剤、沈殿防止剤、流動性改良剤、防錆剤、湿潤剤などを添加してもよい。本発明の水性接着剤の好ましい態様では、可塑剤(揮発性可塑剤)を実質的に含まない。可塑剤を実質的に含まないとは、例えば添加する顔料ペーストなどに可塑剤が含まれており、そのために前記接着剤中に可塑剤が混入すること等を妨げるものではないことを意味する。なお、水性接着剤中に含まれる樹脂の総量は、固形分(非揮発分)として、例えば、水性接着剤全量に対して20〜80質量%(好ましくは30〜65質量%)程度であり、特に35〜50質量%(なかでも40〜45質量%)であることが好ましい。このような固形分の割合は、水性接着剤の種類や、水性接着剤を適用する際の条件(例えば、温度条件など)等に応じて適宜選択することができる。
本発明のE−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョンは、いわゆる「非VOC型の水性接着剤」として、産業界のみならず、学童用、医療用として極めて安心できる接着剤となる。本発明のE−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョンは、接着剤のほか、塗料ベース、コーティング剤などの多目的に利用することができる。なお、本発明のE−PVacエマルジョン添加PVacエマルジョンを、塗料ベースやコーティング剤等の各種処理剤として利用する場合、固形分の割合としては、処理剤の種類や、処理剤を適用する際の条件(例えば、温度条件など)等に応じて適宜選択することができ、例えば、水性接着剤の場合と同様の範囲から選択することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計付きの反応容器に、水:500質量部を入れ、撹拌下、これに、商品名「クラレポバール224」[株式会社クラレ製、ポリビニルアルコール(PVA)]:45質量部、商品名「クラレポバール117」[株式会社クラレ製、ポリビニルアルコール(PVA)]:10質量部、及び酒石酸:1質量部を加えて溶解させ、80℃に保った。PVA(商品名「クラレポバール224」および商品名「クラレポバール117」)が完全に溶解した後、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン(「種EVAエマルジョン」と称する場合がある)(商品名「デンカスーパーテックスNS300」電気化学工業株式会社製;固形分:55質量%、エチレン含有量:20質量%)を130質量部添加した。液温が80℃まで上がったところで、n−ブチルアクリレート(BA)を6重量部添加し、5分間攪拌した。この混合液に、触媒[35質量%過酸化水素水:1質量部を水:20質量部に溶解させた水溶液]と、酢酸ビニルモノマー:300質量部とを、別々の滴下槽から2時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、さらに1.5時間撹拌し、重合を完結させた。その後、液温を50℃に冷却した後、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン(「後添加EVAエマルジョン」と称する場合がある)(商品名「デンカスーパーテックスNS300」電気化学工業株式会社製;固形分:55質量%、エチレン含有量:20質量%)を60質量部加え、0.5時間攪拌した。さらにその後、室温まで冷却して、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。なお、この酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの固形分は、41質量%であった。
従って、実施例1により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが130質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが60質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、68質量%である。
(実施例2)
種EVAエマルジョンの使用量を110質量部とし、後添加EVAエマルジョンの使用量を80質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。従って、実施例2により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが110質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが80質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、58質量%である。
(実施例3)
種EVAエマルジョンの使用量を90質量部とし、後添加EVAエマルジョンの使用量を100質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。従って、実施例3により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが90質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが100質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、47質量%である。
(実施例4)
種EVAエマルジョンの使用量を70質量部とし、後添加EVAエマルジョンの使用量を120質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。従って、実施例4により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが70質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが120質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、37質量%である。
(実施例5)
種EVAエマルジョンの使用量を50質量部とし、後添加EVAエマルジョンの使用量を140質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。従って、実施例5により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが50質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが140質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、26質量%である。
(実施例6)
種EVAエマルジョンの使用量を130質量部とするとともに、後添加EVAエマルジョンとして、商品名「スミカフレックスS−305HQ」(住友化学工業株式会社製;固形分:55質量%、エチレン含有量:12質量%)を60質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。従って、実施例6により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが130質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが60質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、68質量%である。
(実施例7)
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計付きの反応容器に、水:450質量部を入れ、撹拌下、これに、商品名「クラレポバール224」[株式会社クラレ製、ポリビニルアルコール(PVA)]:45質量部、商品名「クラレポバール117」[株式会社クラレ製、ポリビニルアルコール(PVA)]:10質量部、及び酒石酸:1質量部を加えて溶解させ、80℃に保った。PVA(商品名「クラレポバール224」および商品名「クラレポバール117」)が完全に溶解した後、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン(「種EVAエマルジョン」と称する場合がある)(商品名「デンカスーパーテックスNS300」電気化学工業株式会社製;固形分:55質量%、エチレン含有量:20質量%)を120質量部添加した。液温が80℃まで上がったところで、n−ブチルアクリレート(BA)を6重量部添加し、5分間攪拌した。この混合液に、触媒[35質量%過酸化水素水:1質量部を水:20質量部に溶解させた水溶液]と、酢酸ビニルモノマー:300質量部とを、別々の滴下槽から2時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、さらに1.5時間撹拌し、重合を完結させた。その後、液温を50℃に冷却した後、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン(「後添加EVAエマルジョン」と称する場合がある)(商品名「デンカスーパーテックスNS300」電気化学工業株式会社製;固形分:55質量%、エチレン含有量:20質量%)を80質量部加え、0.5時間攪拌した。さらにその後、室温まで冷却して、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。なお、この酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの固形分は、45質量%であった。従って、実施例7により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが120質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが80質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、60質量%である。
(比較例1)
種EVAエマルジョンの使用量を190質量部とし、後添加EVAエマルジョンの使用量を0質量部としたこと(すなわち、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンとしては、後添加EVAエマルジョンを用いずに、種EVAエマルジョンのみを用いていること)以外は、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。従って、比較例1により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが190質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが用いられていないので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、100質量%である。
(比較例2)
種EVAエマルジョンの使用量を160質量部とし、後添加EVAエマルジョンの使用量を30質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。従って、比較例2により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが160質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが30質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、84質量%である。
(比較例3)
種EVAエマルジョンの使用量を30質量部とし、後添加EVAエマルジョンの使用量を160質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。従って、比較例3により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが130質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが60質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、16質量%である。
(比較例4)
種EVAエマルジョンの使用量を0質量部とし、後添加EVAエマルジョンの使用量を190質量部としたこと(すなわち、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンとしては、種EVAエマルジョンを用いずに、後添加EVAエマルジョンのみを用いていること)以外は、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。従って、比較例4により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが用いられておらず、後添加EVAエマルジョンが190質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、0質量%である。
(比較例5)
種EVAエマルジョンの使用量を160質量部とするとともに、後添加EVAエマルジョンとして、商品名「スミカフレックスS−305HQ」(住友化学工業株式会社製;固形分:55質量%、エチレン含有量:12質量%)を30質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。従って、比較例5により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが160質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが30質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、84質量%である。
(比較例6)
種EVAエマルジョンの使用量を30質量部とするとともに、後添加EVAエマルジョンとして、商品名「スミカフレックスS−305HQ」(住友化学工業株式会社製;固形分:55質量%、エチレン含有量:12質量%)を160質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。従って、比較例6により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが30質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが160質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、16質量%である。
(比較例7)
種EVAエマルジョンの使用量を170質量部とし、後添加EVAエマルジョンの使用量を30質量部としたこと以外は、実施例7と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。従って、比較例7により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが170質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが30質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、85質量%である。
(比較例8)
種EVAエマルジョンの使用量を30質量部とし、後添加EVAエマルジョンの使用量を170質量部としたこと以外は、実施例7と同様にして、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た。従って、比較例8により得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンでは、種EVAエマルジョンが30質量部用いられ、後添加EVAエマルジョンが170質量部用いられているので、用いられたエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン全量に対する種EVAエマルジョンの割合(種EVAエマルジョン/EVAエマルジョン全量)は、15質量%である。
(評価)
各実施例及び各比較例で得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンについて、下記の方法により、JIS基準による最低造膜温度、多孔質材に対する低温成膜性、接着性能について評価した。評価結果は、表1〜3に示した。
(JIS基準による最低造膜温度の測定方法)
成膜試験器(理研精機製作所製の装置品名「M.F.T.試験装置」;型番「LT」)を使用して、JIS K 6804(7.6 最低造膜温度の項)に準拠して測定した。従って、この測定では、成膜する際に塗布する基材(基板)としては、金属材(非多孔質材)が用いられている。
(多孔質材に対する低温成膜性の評価方法)
恒温恒湿器(タバイ エスペック株式会社製の型式「LHU−112T」)を、0℃に設定し、試料(各実施例及び各比較例で得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョン)、合板(厚さ3mm;タイプ1)、ガラス棒を、7日間保存した。アルコール温度計を用いて、各試料の温度を測定したところ、2℃であった。また、表面温度計(佐藤計量器株式会社製の型式「SK−1250MC」)を用いて、合板の表面温度を測定したところ、2℃であった。2℃、60%RHの雰囲気下で、この表面温度が2℃の合板の表面に、各試料を、ガラス棒(2℃)を用いて、乾燥後の厚みが300μmとなる塗布量で塗布して、同一の雰囲気下で1日間養生して皮膜を形成した。この皮膜について、目視で透明性を確認し、下記の基準により、各試料について、多孔質材に対する低温成膜性を評価した。
◎:乾燥皮膜が、全面的に、綺麗に透明である。
○:乾燥皮膜が、一部で半透明となっている。
△:乾燥皮膜が、全面的に、半透明である。
×:乾燥皮膜が、全面的に、白くなっており、不透明である。
(接着性能の評価方法)
各実施例及び各比較例で得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの接着性能として、下記の測定方法による各種接着強さ(常態接着強さ、耐水接着強さ、耐熱接着強さ、低温接着強さ)を測定し、接着性能を評価した。
(1)常態接着強さの測定方法
各実施例及び各比較例で得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを、それぞれ、木工用接着剤として用いたときの圧縮せん断接着強さを、JIS K 6852に準拠して測定した。なお、試験片として、カバ材・カバ材の組み合わせを用いた。また、被着材における破壊の状態を調べ、破壊した面積のせん断面積に対する割合を材破率(%)として求めた。具体的には、23℃、50%RHの雰囲気下で、試験片のそれぞれの表面に塗布した後(塗布量:片面100g/m2、両面200g/m2)、前記塗布面同士を重ね合わせて、1MPaの圧締圧力で試験片どうしを貼り合わせ、50%RHの雰囲気下の雰囲気下で、24時間養生させた後、除圧し、23℃、50%RHの雰囲気下で48時間養生し、接着した。その後、23℃、50%RHの雰囲気下で、接着された試験片の圧縮せん断接着強さを、JIS K 6852に準拠して測定した。
(2)耐水接着強さの測定方法
各実施例及び各比較例で得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを、それぞれ、木工用接着剤として用いたときの圧縮せん断接着強さを、JIS K 6852に準拠して、試験片が濡れた状態で測定した。なお、試験片として、カバ材・カバ材の組み合わせを用いた。具体的には、23℃、50%RHの雰囲気下で、試験片のそれぞれの表面に塗布した後(塗布量:片面100g/m2、両面200g/m2)、前記塗布面同士を重ね合わせて、1MPaの圧締圧力で試験片どうしを貼り合わせ、50%RHの雰囲気下の雰囲気下で、24時間養生させた後、除圧し、23℃、50%RHの雰囲気下で48時間養生し、接着した。その後、接着された試験片を、30±1℃に調整した恒温水漕中に3時間浸漬させた後、さらに、23±2℃に調整した水中に10分間浸した後、水中より取り出し、試験片が濡れた状態で、接着された試験片の圧縮せん断接着強さを、JIS K 6852に準拠して測定した。尚、試験片を水中に浸漬する際、試験片が完全に水中に浸るようにおもりを使用した。
(3)耐熱接着強さの測定方法
各実施例及び各比較例で得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを、それぞれ、木工用接着剤として用いたときの圧縮せん断接着強さを、JIS K 6852に準拠して、60℃の雰囲気下で30分間放置した後、試験片の温度が60℃である状態で測定した。なお、試験片として、カバ材・カバ材の組み合わせを用いた。具体的には、23℃、50%RHの雰囲気下で、試験片のそれぞれの表面に塗布した後(塗布量:片面100g/m2、両面200g/m2)、前記塗布面同士を重ね合わせて、1MPaの圧締圧力で試験片同士を貼り合わせ、50%RHの雰囲気下の雰囲気下で、24時間養生させた後、除圧し、23℃、50%RHの雰囲気下で48時間養生し、接着した。その後、接着された試験片を、60℃の恒温器内に30分間入れた後、恒温器より取り出し、試験片の温度が60℃である状態で、接着された試験片の圧縮せん断接着強さを、JIS K 6852に準拠して測定した。
(4)低温接着強さの測定方法
各実施例及び各比較例で得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、および試験片を、5℃の雰囲気下で放置して冷却し、その後、5℃の雰囲気下で接着および養生し、且つ5℃の雰囲気下で圧縮せん断接着強さを測定したこと以外は、上記常態接着強さと同様にして測定した。また、被着材における破壊の状態を調べ、破壊した面積のせん断面積に対する割合を材破率(%)とした。具体的には、各実施例及び各比較例で得られた酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、および試験片を、5℃の恒温器内に1日間入れた後、5℃雰囲気下で、試験片のそれぞれの表面に塗布した後(塗布量:片面100g/m2、両面200g/m2)、前記塗布面同士を重ね合わせて、1MPaの圧締圧力で試験片同士を貼り合わせ、50%RHの雰囲気下の雰囲気下で、24時間養生させた後、除圧し、23℃、50%RHの雰囲気下で48時間養生し、接着した。その後、接着された試験片の圧縮せん断接着強さを、5℃の雰囲気下で、JIS K 6852に準拠して測定した。
Figure 0004544852
Figure 0004544852
Figure 0004544852
表1〜3より明らかなように、実施例に係る酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、JIS基準(JIS K 6804)による最低造膜温度は、0℃以下であり、しかも、その際には、透明な皮膜が形成されており、非多孔質材に対する低温成膜性は優れている。また、合板に対して低温で成膜させた場合でも、透明な皮膜を形成することができる。さらに、常態接着強さのみならず、水に濡れた状態で測定される耐水接着強さ、60℃の高温状態で測定される耐熱接着強さ、5℃の低温状態で測定される低温接着強さも良好であり、接着性能が優れている。従って、実施例に係る酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、優れた低温成膜性と接着強度とを備え、低温養生時においても高い接着強さ(低温接着強さ)を有するとともに、特に低温で多孔質材上に成膜した際であっても透明な皮膜を形成することができる。
もちろん、実施例に係る酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、可塑剤を実質的に含んでおらず、VOC成分がほとんど含まれていない。

Claims (5)

  1. エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン中で、酢酸ビニルをシード重合して得られる酢酸ビニル樹脂系エマルジョンであって、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン中で、酢酸ビニルをシード重合した後、さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンが添加されており、且つ、酢酸ビニルのシード重合の際に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンの割合(固形分)が、酢酸ビニルのシード重合の際に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン、および酢酸ビニルのシード重合後に添加されるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンの総量(固形分)に対して、20〜80質量%であることを特徴とする酢酸ビニル樹脂系エマルジョン。
  2. エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンにおけるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂が、エチレン含有量が5〜60質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂である請求項1記載の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン。
  3. シード重合のモノマー成分として、さらに、酢酸ビニル以外の重合性不飽和単量体が用いられている請求項1又は2記載の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン。
  4. 酢酸ビニルのシード重合の際に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン、および酢酸ビニルのシード重合後に添加されるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンの総量(固形分)が、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン中で、酢酸ビニルをシード重合して、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを得た後、さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンが添加された酢酸ビニル樹脂系エマルジョン中の全樹脂分(全固形分)に対して10〜60質量%となる量である請求項1〜3の何れかの項に記載の酢酸ビニル樹脂系エマルジョン。
  5. 請求項1〜4の何れかの項に記載の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを製造する方法であって、下記の工程(A)〜(B)を具備することを特徴とする酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法。
    工程(A):エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン中で、酢酸ビニルをシード重合する工程
    工程(B):酢酸ビニルをシード重合した後、さらに、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョンを添加する工程
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