JP4543018B2 - 酵母エキスの製造方法 - Google Patents
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Description
魚醤油には、5’−イノシン酸が含まれているものが多く、旨味を持つ5’−イノシン酸とその旨味を増強するペプチドを併せ持つことにより、旨味と濃厚感の相乗効果でコク味が非常に強く感じられることから、人気が高い。
また、味の持続性を持たせるペプチドに着目して、特に持続性向上に有効な分子量1000〜5000のペプチドを利用したコク味調味料も上市されている(例えば、非特許文献2)。
しかしながら、従来の酵母エキスでは、ペプチド含量が低く、食品に十分な複雑味、厚み、コク味等を付与することはできなかった。
〔3〕 酵母菌体から菌体構成成分を抽出する工程の後、菌体構成成分にエンド型プロテアーゼを作用させる工程、及び、核酸系呈味性成分を生成させる工程を経て得られることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の酵母エキス。
〔4〕 酵母菌体から菌体構成成分を抽出する工程を、アルカリ性領域で行うことを特徴とする上記〔3〕に記載の酵母エキス。
〔5〕 エンド型プロテアーゼを作用させる工程を、アルカリ性領域で行うことを特徴とする上記〔3〕又は〔4〕に記載の酵母エキス。
〔6〕 酵母菌体から菌体構成成分を抽出すると同時にエンド型プロテアーゼを作用させる工程の後、核酸系呈味性成分を生成させる工程を経て得られることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の酵母エキス。
〔7〕 上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の酵母エキスを含有することを特徴とする飲食品。
〔8〕 酵母菌体から菌体構成成分を抽出する工程の後、菌体構成成分にエンド型プロテアーゼを作用させる工程、及び、核酸系呈味性成分を生成させる工程を経ることを特徴とする酵母エキスの製造方法。
そして、上記のようにペプチド含量、ペプチド比率、及び核酸系呈味性成分の合計含量が一定以上に保たれる結果、本発明の酵母エキスは、持続感のある旨味と濃厚感を同時に付与することにより、飲食品本来の旨味を増強させると共に、全体として食品にコク味を付与しまたは増強することができるものである。
すなわち、本発明は、飲食品に持続感のある旨味と濃厚感を同時に付与することができ、その結果、味の深みを与えることができる酵母エキスを得るための、該酵母エキスにおけるペプチド、及び核酸系呈味性成分の成分割合の指標を提供するものである。言い換えれば、本発明は、酵母エキスの濃厚感及び旨味付与能と成分との関連性を明らかにするものである。
また、「濃厚感」は、コク味を形成する要素の一つであり、コク味の強さを左右する。コク味とは、一般に食品の本格的な風味、複雑なおいしさを表す用語であり、甘味、塩味、酸味、苦味、辛味などの基本的な味質で、おいしさを表現できない場合に用いられ、具体的には、「持続感のある厚みのある強い旨味」といわれている。コク味は、「味の強さ」、「広がり」、「持続性」、「ハーモニー」などの要素から構成されており、味の「濃厚感」と「旨味」が同時に強いと、コク味も強く感じられ、味の深みも与えられるものとなる。味の「深み」とは、深い味わいを意味し、言い換えれば、成分が溶け合い、素材が集まった結果醸し出される、単純でない味わいを意味する。
上記式(1)において、全アミノ酸重量とは、酵母エキス中に含まれる全アミノ酸重量を意味し、その値は、酵母エキス中のタンパク質を加水分解し、完全にアミノ酸に分解した後に、アミノ酸重量を測定し求められる。遊離アミノ酸重量とは、酵母エキス中にもともとアミノ酸の形で含まれている遊離アミノ酸を意味し、その重量の値は、酵母エキス中のタンパク質を加水分解せずにアミノ酸重量を測定し求められる。
本発明においては、ペプチド比率よりもペプチド含量の方が、効果に及ぼす影響が大きい。ペプチド含量については、上述の通り20重量%以上とすることが必要であり、特に30重量%以上とすることが好ましく、高ければ高いほど好ましい。なお、ペプチド含量は、原料である酵母に元来含まれるタンパク質の量に依存している。
一方、ペプチド比率は、遊離アミノ酸とペプチド比率の指標であり、酵母エキスの味質に影響するが、上述の通り80%以上であると、良好なバランスを保つことができる。
なお、各アミノ酸の含量は、アミノ酸測定用HPLCにより測定される。
本明細書において、核酸系呈味性成分の合計含量とは、酵母エキス中の5’−グアニル酸及び5’−イノシン酸の合計含量、すなわち、5’−グアニル酸の含量及び5’−イノシン酸の含量の合計を意味する。すなわち、5’−グアニル酸及び5’−イノシン酸を両方含有する場合は、それぞれの含量の合計を意味し、5’−グアニル酸のみを含有する場合は5’−グアニル酸の含量を意味し、5’−イノシン酸の含量を意味する。
核酸系呈味性成分の含量は、核酸測定用HPLCにより測定される。
本発明の酵母エキスは、種々の酵素を用いた酵素分解法により製造することができる。特に、酵母菌体から菌体構成成分を抽出する工程に引き続き、菌体構成成分にエンド型プロテアーゼを作用させる工程、及び核酸系呈味性成分を生成させる工程を経て得ることができる。このように、エンド型プロテアーゼを使用することで、グルタミン酸及びその塩類など呈味性物質の遊離アミノ酸の生成を抑えると共に、ペプチド含量を高めることができる。また、5’−ホスホジエステラーゼと5’−アデニル酸デアミナーゼを作用させることにより、酵母菌体内のリボ核酸を加水分解し、呈味性5’−ヌクレオチド類を生成させることができる。
本発明において、上記各工程の順序は、(i)の工程を最初に行うことを条件として、適宜入れ替えることが可能であり、その一方で、製造工程の煩雑さを回避する観点から、前記記載の順序で進めることもできる。また、複数の工程、特に(i)及び(ii)の工程については同時に進行させることができる。さらに、後述のように(ii)の工程を一定条件で行うことを条件として、(i)の工程を省略することもできる。
酵素添加量、酵素反応温度、酵素反応時間等は特に限定するものではなく、各々の酵素の最適条件下で行えばよい。また、pHについても特に限定するものではないが、アルカリ性領域、好ましくは、pH9〜10で行えば、それ以外の領域で作用させた場合より、ペプチド含量及びペプチド比率が高くなり、好適である。
上記工程(i)と工程(ii)とを同時に行う場合には、酵母又はその菌体を含む培養物等に、細胞壁溶解酵素及びエンド型プロテアーゼを、アルカリ性領域、特にpH9−10にて作用させることが好ましい。上記アルカリ性領域で作用させることにより、溶出されるリボ核酸含量、ペプチド含量、及びペプチド比率が高くなるので好適である。また、アルカリ性領域では酵母菌体内の核酸分解酵素が作用しないため、菌体内酵素を加熱失活させる必要がなく、後述の工程(iv)を省略することができる。
さらに、上記アルカリ性領域でエンド型プロテアーゼを作用させると、細胞壁溶解酵素を事前又は同時に作用させなくとも酵母菌体から菌体構成成分を抽出することができる。よって、工程(ii)をアルカリ性領域で行う場合には、工程(i)を省略することができる。
5’−グアニル酸及び5’−イノシン酸は、いずれも呈味性の核酸分解物であり旨味を有するが、前者は椎茸の旨味であり、後者はかつお節等の魚介類の旨味であり、旨味の質が異なる。よって、工程(iii)において5’−ホスホジエステラーゼを作用させるのみにとどめるか、或いは5’−ホスホジエステラーゼを作用させた後5’−アデニル酸デアミナーゼを作用させるかについては、得られる酵母エキスの用途に応じて適宜選択すれば良い。
酵母菌体などの除去を行う時期については、特に制限はないが、核酸系呈味性成分を生成させる工程の前、すなわち、工程(iii)の前に行うと、それ以外の時期に行う場合に比べて核酸系呈味性成分の含量の高い酵母エキスが得られることから、好適である。
本発明における酵母エキスは、各種飲食品全般に用いることができる。各種飲食品としては、調理済み食品、水産加工品、畜肉加工品、漬け物、佃煮、健康食品、乳製品、スナック食品、菓子、冷菓子、スープ、調理用シーズニング、タレ、麺つゆ、ドレッシング、ソース、ケチャップ等の調味料、カレー、キムチなどの辛みを有する食品、豆乳、その他の飲料等が挙げられる。
これらの飲食品に本発明の酵母エキスを添加することにより、旨味と濃厚感を同時に付与することができると共に、飲食品が本来持つ旨味を引き出して増強させ、その結果コク味を付与又は増強することができる。
本発明の酵母エキスは、添加する飲食品に求められる性質に応じて、他の呈味成分や各種調味料などと併用することも可能である。
本発明の酵母エキスが、持続性のある旨味と濃厚感を同時に付与することができるのは、旨味成分である5’−イノシン酸と5’−グアニル酸と、濃厚感付与作用を持つペプチドの両方の含有量が高いことに起因していると考えられる。さらに、ペプチドが高含有であることにより、持続感のある旨味と濃厚感を同時に付与することにより、飲食品本来の旨味を増強させると共に、全体として食品にコク味を付与または増強し、味に深みを出すことができるものと考えられる。即ち、ペプチドと、5’−イノシン酸と5’−グアニル酸の相乗効果で、単に5’−イノシン酸と5’−グアニル酸を高含有させるだけでは得られない複雑で深い旨味を付与できるものと考えられる。
本実施例中の%は、ペプチド比率を除き重量%を意味する。
酵母エキスを、6N塩酸を用いて121℃12時間の条件で加水分解処理することにより、酵母エキス中のタンパク質を全てアミノ酸に分解し、全アミノ酸を求めた。また、遊離アミノ酸は、上記処理を行わない酵母エキスを用いて求めた。
酵母抽出物あるいはその加水分解物中の遊離アミノ酸及び全アミノ酸含量は、高速液体クロマトグラフィーシステム(東ソー(株)製)を用い、以下の条件で定量した。
カラム:TSK−GEL Amino Pak(東ソー社製)
検出:蛍光検出
溶離液:クエン酸バッファーによるグラジエント溶出(pH3→pH9)
酵母エキス中のイノシン酸・グアニル酸含量は、高速液体クロマトグラフィーシステム(島津製作所製)を用い、以下の条件で定量した。
カラム:Shodex Asahipak GS−320,7E(昭和電工社製)
検出:UV260nm
溶離液:10mMリン酸ナトリウム
サッカロマイセス・セレビシエ(IFO 1954)を、糖蜜1m3に対し、リン酸一アンモニウム3.3kg、塩化アンモニウム6.8kg、塩化カリウム1.7kg、硫酸マグネシウム1.7kg、硫酸亜鉛17g、微量金属類(ホウ酸0.15g、硫酸マンガン0.075g、硫酸銅0.10g、塩化第二鉄0.62g、モリブデン酸ナトリウム0.063g)を加えた培地(以下、糖蜜培地という)を用いて約1日間(20時間から24時間)培養し、集菌洗浄後、それを水に懸濁し、酵母スラリー(菌体濃度15%)1000mlを調製した。
上澄み液を、pH5.0、70℃に調整後、5’−ホスホジエステラーゼ(商品名:ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製))を0.5g添加し、9時間反応させた。その後、上澄み液を50℃に調整後、5’−アデニル酸デアミナーゼ(商品名:デアミザイム(天野エンザイム(株)製))を0.3g添加し、9時間反応させた。
この酵母エキス中の遊離アミノ酸及び全アミノ酸含量は、各々4.5重量%、37.0重量%であり、ペプチド含量は32.5%、ペプチド比率は87.8%であった。また、5’−グアニル酸と5’−イノシン酸含量は、各々3.3重量%、2.8重量%であった。
キャンディダ・ユーティリス(IFO 0619)を、実施例1で用いた糖蜜培地にて約1日間(20時間から24時間)培養し、集菌洗浄後、それを水に懸濁し、酵母スラリー(菌体濃度15%)1000mlを調製した。
上澄み液を、pH5.0、70℃に調整後、5’−ホスホジエステラーゼ(商品名:ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製))を0.5g添加し、9時間反応させた。その後、上澄み液を50℃に調整後、5’−アデニル酸デアミナーゼ(商品名:デアミザイム(天野エンザイム(株)製))を0.3g添加し、9時間反応させた。
反応後、粉末乾燥し、70gの酵母エキス2を得た。
実施例1の酵母スラリーを、95℃〜100℃で10分加熱し菌体内酵素を失活させた後、pHを6.0に調整し、エンド型主体のプロテアーゼ(商品名:プロテアーゼN「アマノ」G(天野エンザイム(株)製)を0.5g添加し、細胞壁溶解酵素(商品名:YL−15(天野エンザイム(株)製)を0.5g添加して55℃にて2時間反応させた。
続いて、遠心分離により上澄み液と固形分(菌体残査)を分離し、上澄み液を粉末乾燥した。
実施例2の酵母スラリーのpHを9.0に調整した後、エンド型主体のプロテアーゼ(商品名:プロレザーFG−F(天野エンザイム(株)製)を0.5g添加し、細胞壁溶解酵素(商品名:YL−15(天野エンザイム(株)製))を0.5g添加して、55℃にて2時間反応させた。
次に、酵母スラリーを、95℃〜100℃で10分加熱し菌体内酵素及び添加酵素を失活させた。
続いて、遠心分離により上澄み液と固形分(菌体残査)を分離し、上澄み液を粉末乾燥した。
細胞壁溶解酵素とプロテアーゼの作用順序を、細胞壁溶解酵素(YL−15)を0.5g添加し、65℃にて2.5時間反応させた後、エンド型主体のプロテアーゼ(商品名「プロチンA」(天野エンザイム(株)製))を0.75g添加し、65℃にて2.5時間反応させた以外は、実施例1と同様にして酵母エキス5を52g得た。
この酵母エキス中の遊離アミノ酸及び全アミノ酸含量は、各々4.6重量%、37.1重量%であり、ペプチド含量は32.5重量%、ペプチド比率は87.6%であった。また、5’−グアニル酸と5’−イノシン酸含量は、各々2.8重量%、3.2重量%であった。
遠心分離による酵母菌体の分離を、5’−アデニル酸デアミナーゼを反応させる工程の後に行う以外は、実施例1と同様にして酵母エキス6を52g得た。
この酵母エキス中の遊離アミノ酸及び全アミノ酸含量は、各々4.4重量%、38.0重量%であり、ペプチド含量は33.6重量%、ペプチド比率は88.4%であった。また、5’−グアニル酸と5’−イノシン酸含量は、各々1.9重量%、2.0重量%であった。
細胞壁溶解酵素とプロテアーゼを反応させる前に酵母スラリーのpHを11に調整したこと(すなわち、酵素反応をpH11の条件下で行ったこと)以外は、実施例1と同様にして酵母エキス7を56g得た。
この酵母エキス中の遊離アミノ酸及び全アミノ酸含量は、各々4.0重量%、40.0重量%であり、ペプチド含量は36.0重量%、ペプチド比率は90.0%であった。また、5’−グアニル酸と5’−イノシン酸含量は、各々1.4重量%、1.5重量%であった。
エンド型主体のプロテアーゼをプロチンP(天野エンザイム(株)製)に代えたこと、及び、該プロテアーゼを反応させる前に酵母スラリーのpHを6.5に調整したこと(すなわち、酵素反応をpH6.5の条件下で行ったこと)以外は、実施例1と同様にして酵母エキス8を56g得た。
この酵母エキス中の遊離アミノ酸及び全アミノ酸含量は、各々3.9重量%、39.9重量%であり、ペプチド含量は36.0重量%、ペプチド比率は90.2%であった。また、5’−グアニル酸と5’−イノシン酸含量は、各々1.9重量%、1.9重量%であった。
ペプチド比率が約60〜70%の酵母エキスを、以下の方法で調製した。
実施例1で用いた酵母を、実施例1と同様の条件で培養した後集菌洗浄し、それを水に懸濁して、酵母スラリー(菌体濃度15%)1000mlを調製した。
反応液を、95℃〜100℃で10分加熱し菌体内酵素及び添加酵素を失活させた後、pH5.0、70℃に調整し、続いて、5’−ホスホジエステラーゼ(商品名:ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製))を0.5g添加し、9時間反応させた。その後、反応液を50℃に調整後、5’−アデニル酸デアミナーゼ(商品名:デアミザイム(天野エンザイム(株)製))を0.3g添加し9時間反応させた。
次に、反応液を遠心分離により上澄み液と固形分(菌体残査)を分離し、上澄み液を粉末乾燥し、酵母エキス9を得た。
ペプチド比率が約60〜70%の酵母エキスを、以下の方法で調製した。
実施例2で用いた酵母を、実施例2と同様の条件で培養した後集菌洗浄し、それを水に懸濁して、酵母スラリー(菌体濃度15%)1000mlを調製した。
反応液をpH5.0、70℃に調整し、続いて5’−ホスホジエステラーゼ(商品名:ヌクレアーゼ「アマノ」G(天野エンザイム(株)製))を0.5g添加し、9時間反応させた。その後、反応液を50℃に調整後、5’−アデニル酸デアミナーゼ(商品名:デアミザイム(天野エンザイム(株)製))を0.3g添加し9時間反応させた。
次に、反応液を遠心分離により上澄み液と固形分(菌体残査)を分離し、上澄み液を粉末乾燥し、酵母エキス10を得た。
表1に、各酵母エキスの成分組成を示す。
上記各実施例及び比較例にて得られた酵母エキスのうち、酵母エキス1(実施例1)、酵母エキス3(実施例3)、酵母エキス5(実施例5)、酵母エキス6(実施例6)及び酵母エキス9(比較例1)と、市販の酵母エキス(商品名「アロマイルド」(興人(株)製))とについて、うどんつゆへの旨味、コク味・濃厚感の付与作用について、以下のように官能試験を行い評価した。
旨味(先味、後味及び全体)、コク味・濃厚感について酵母エキスを入れないブランクに対する5段階評価(極めて強い:+2、強い:+1、弱い:0、極めて弱い:−1、変わらない:−2)を行い、パネラー全員の評価の数値の合計を算出した。さらに、その合計点を4段階評価(極めて強い:15点以上、強い:10〜14点、若干強い:5〜9点、弱い:4点以下)とした。
さらに、食品に添加した際の味質の特徴についても評価を行った。
各酵母エキスの性能の比較を行った。官能試験の結果を表2に示す。
この結果から、本発明品は、うどんつゆに対し、持続感のある旨味と濃厚感を同時に付与することにより、飲食品本来の旨味を増強させると共に、全体として食品にコク味を付与または増強し、味に深みを出すことができることが明らかとなった。
上記各実施例及び比較例にて得られた酵母エキスのうち、酵母エキス2(実施例2)、酵母エキス4(実施例4)、酵母エキス7(実施例7)、酵母エキス8(実施例8)及び酵母エキス10(比較例2)と、市販の酵母エキス(商品名「アロマイルド」(興人(株)製))とについて、コンソメスープへの旨味、コク味・濃厚感の付与作用について、以下のように官能試験を行い評価した。
市販無添加コンソメスープ(品名「コンソメスープ」(ネスレマギー))に酵母エキスを0.1%添加(対液)し、60℃に保持し、10名のパネラーにより官能試験1と同様にして官能試験を行った。官能試験の結果を表3に示す。
この結果から、本発明品は、コンソメスープに対し、持続感のある旨味と濃厚感を同時に付与することにより、飲食品本来の旨味を増強させると共に、全体として食品にコク味を付与または増強し、味に深みを出すことができることが明らかとなった。
なお、他のビール酵母、パン酵母と比較しても、本発明品の酵母エキスが非常に強い濃厚感付与効果を有するという良好な結果が得られている。
市販品バニラアイスクリーム(品名「クーリッシュ」(ロッテ))に対し、各酵母エキスを0.05%添加(対重量)して混和し、10名のパネラーにより官能試験を行った。
得られる各バニラアイスクリームのコク味・濃厚感及び甘味について、酵母エキスを入れないブランクに対する5段評価(極めて強い:+2、強い:+1、弱い:0、極めて弱い:−1、変わらない:−2)を行い、パネラー全員の評価の合計を算出した。さらに、その合計点を4段階評価(極めて強い:15点以上、強い:10〜14点、若干強い:5〜9点、弱い:4点以下)とした。
また、食品に添加した際の味質の特徴についても評価した。官能試験の結果を表4に示す。
自家製プリン(材料:卵黄2個・砂糖75g・牛乳:450ml・生クリーム100ml・バニラエッセンス少々)に対し、各酵母エキスを0.04%添加(対重量)して、調理し、10名のパネラーにより官能試験を行った。
得られる各プリンのコク味・濃厚感について、酵母エキスを入れないブランクに対する5段評価(極めて強い:+2、強い:+1、弱い:0、極めて弱い:−1、変わらない:−2)を行い、パネラー全員の評価の合計を算出した。さらに、その合計点を4段階評価(極めて強い:15点以上、強い:10〜14点、若干強い:5〜9点、弱い:4点以下)とした。
また、食品に添加した際の味質の特徴についても評価した。官能試験の結果を表5に示す。
市販の有糖ヨーグルト(品名「低糖ヨーグルト」(チチヤス))に対し、各酵母エキスを0.04%添加(対重量)して混和し、10名のパネラーにより官能試験を行った。
得られる各ヨーグルトのコク味・濃厚感について酵母エキスを入れないブランクに対する5段評価(極めて強い:+2、強い:+1、弱い:0、極めて弱い:−1、変わらない:−2)を行い、パネラー全員の評価の合計を算出した。さらに、4段階評価(極めて強い:15点以上、強い:10〜14点、若干強い:5〜9点、弱い:4点以下)とした。
また、食品に添加した際の味質の特徴についても評価した。官能試験の結果を表6に示す。
Claims (6)
- 酵母菌体から菌体構成成分を抽出する工程をpH9〜10で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 酵母菌体から菌体構成成分を抽出すると同時に菌体構成成分にエンド型プロテアーゼを作用させる工程をpH9〜10で行うことを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
- 酵母が、キャンディダ属又はサッカロマイセス属に属する酵母である請求項1〜4のいずれか一項に記載の酵母エキスの製造方法。
- 核酸系呈味成分を生成させる工程の前に、水に不溶の酵母菌体抽出残渣を除く工程を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の酵母エキスの製造方法。
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