JP4542681B2 - エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムの製造方法に関する。特に、フィルムの両端部(耳部)をカットする工程を有するフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂原料をTダイ等を用いて溶融押し出ししてフィルムを製造する方法においては、フィルムの両端部をカットする工程が不可欠である。端部のカットは、通常、フィルムの製造過程において、走行しているフィルムにカッター(刃物)を当ててフィルムの走行方向に連続的に行なわれる。このとき、特にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を原料とするフィルムの製造においては、切れが悪く所定幅の製品が安定して採れない、カット箇所からフィルム割れが発生し不良品が発生する、割れが契機となり全幅に亘ってフィルム破断が発生し製膜が中断する、カットした端部の搬送および巻取において破断が発生する、などのトラブルが起きる。これらのトラブルはエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を原料とするフィルムに特有の現象と考えられるが、これを解決する有効な手段は未だ知られていない。
【0003】
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を原料とするフィルムを縦横両方向に延伸して製造する方法(二軸延伸製法)は特開昭56−30827号公報などで知られている。二軸延伸は、同時または逐次二軸延伸により行われる。同時二軸延伸及び逐次二軸延伸における横延伸は、通常、テンターと呼ばれる延伸装置を用い、フィルムの幅方向両端を把持装置(クリップ)で把持して引っ張ることで行われる。このとき、フィルムの破断が発生することがある(延伸破れ)。二軸延伸時にフィルム破断が発生すると、破れたフィルムの除去作業、未延伸フィルムをテンター及びその後の巻き取り装置(ワインダー)に導入する作業等に多大の時間を要し、その間、フィルムの製造が中断する。また、延伸を再開した直後はフィルムの厚さが安定せず、フィルムの厚さの均一性が良化するまで製品として出荷可能なフィルムは得られない。加えて、破れたフィルムは屑として廃棄される。このように、一度延伸破れが発生すると、多大な生産ロス、原料ロスが生じるため、延伸破れの低減は二軸延伸フィルムの生産性を向上させる上で非常に重要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決することを目的とする。
【0005】
即ち、本発明の第1の目的は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムの製造方法において、端部のカット時に発生する上記のトラブルを減らすことにある。
【0006】
また、本発明の第2の目的は、二軸延伸法によるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムの製造方法において、延伸破れを低減させ生産性を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するために以下の構成とする。
【0008】
本発明の第1のフィルムの製造方法は、エチレン含有量3〜70モル%、ケン化度80モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を原料とするフィルムを製造する方法であって、フィルムの両端部をカットする工程を有し、前記カットする工程において、カットに先立って、カット部を0.3%以上かつ0.9%以下の水分率になるように加湿することを特徴とする。かかる構成によれば、上記のカット関連トラブルを低減でき、安定した端部切断が可能となり、カット箇所からのフィルム割れ、該割れが契機となる全幅にわたるフィルム破断、及びカットした端部の搬送および巻取における破断をいずれも低減することができる。
【0009】
また、本発明の第2のフィルムの製造方法は、エチレン含有量3〜70モル%、ケン化度80モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂をフィルム状に溶融押し出しした後、二軸延伸してフィルムを製造する方法であって、前記溶融押し出しした後であって前記二軸延伸する前の未延伸フィルムの両端部をカットすることを特徴とする。かかる構成によれば、二軸延伸時の延伸破れの発生を抑えることができ、生産性が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のフィルムの原料であるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、エチレン含有量が3〜70モル%である必要があり、好ましくは20〜55モル%である。また、ケン化度は80モル%以上である必要があり、好ましくは98モル%以上である。
【0011】
上記樹脂原料は、押出機で溶融された後、Tダイなどから冷却キャストロール上に押し出され、未延伸フィルムに製膜される。
【0012】
二軸延伸フィルムを製造する場合には、上記未延伸フィルムを二軸延伸する。
二軸延伸は、縦方向及び横方向(幅方向)の延伸を同時に行なう同時二軸延伸法、又は縦方向延伸と横方向延伸を別個に行なう逐次二軸延伸法にて行なわれる。
【0013】
上記未延伸フィルム又は上記二軸延伸フィルムは、ワインダーに巻き取られる。
【0014】
出荷用の製品フィルムロールを得るためには、フィルムを所定幅にカット(スリット)する必要があるが、これには2つの方法がある。オンラインスリッティング製法においては、所定の製品フィルム幅にカットした後、ワインダーに巻き取る。オフラインスリッティング製法においては、ワインダーにて製品フィルム幅より大きい幅のままで中間ロールに一旦巻き取った後、別ラインで、例えばスリッタと呼ばれる装置を用いて、中間ロールからフィルムを巻出して、所定の製品フィルム幅にカットした後、再度巻き取る。
【0015】
上記のフィルムの製造方法において、未延伸フィルムを製膜後、製品フィルムロールに巻き取るまでの間のいずれかの過程で、フィルムの両端部をカットして除去する必要がある。フィルムの両端部は、溶融押し出し時のいわゆるネックインと呼ばれる現象により、厚みが中央部より厚く形成されるため、製品とすることができない。
【0016】
このとき、両端部をカットするに先立って、少なくともカットしようとするフィルム部分を、▲1▼150〜210℃に加熱するか、又は▲2▼0.3%以上かつ0.9%以下の水分率になるように加湿する。以下、これらを順に図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、カット部分を加熱するための具体的構成を示した概略斜視図である。
フィルム1は、矢印11aの方向に回転する搬送ロール11によって矢印1aの方向に走行している。フィルム1の両端から所定距離だけ内側の位置にカッター(例えば、ナイフ、カミソリ刃など)6a,6bが設置され、これによりフィルム1の両端部が連続的に切り落とされる。切断された両端部(耳部)2a,2bは、ガイドロール7a,7bを介して耳部巻き取りロール8a,8bに巻き取られる。
【0018】
このような両端部のカット工程において、そのカット位置より上流側に、フィルムのカットしようとする部分を加熱するための2組の加熱装置20a,20bを設置する。加熱装置20a,20bは、熱風発生装置21a,21bと、熱風発生装置21a,21bからの熱風を搬送するフレキシブルパイプ22a,22bと、熱風を吐出する金属製のノズル23a,23bとを備える。25a,25bはノズル23a,23bの吐出口から吐出された熱風である。
【0019】
熱風発生装置21a,21bは、所定温度の熱風を発生させることができれば特に制限はないが、電気式熱風発生機(例えば、竹綱製作所製TSK−10、4.5KW)のように、室温〜450℃程度の熱風を発生することができる装置が好ましい。熱風発生装置21a,21bで発生した熱風はフレキシブルパイプ22a,22bを通ってノズル23a,23bに送られる。ノズル23a,23bの吐出口はフィルム1の面に向けて設置される。ノズル23a,23bの吐出口とフィルム1の面との距離は、フィルム1が所定の温度に加熱されるようにフィルム1の加熱部の温度を測定しながら調整することが好ましいが、通常10〜100mm程度である。熱風25a,25bを吹き付けるフィルム幅方向の位置は、カッター6a,6bの設置位置に対応させる。
【0020】
両端部のカット時、加熱せずにカットすると、カット部に割れが発生し、その割れが原因となって上記のような各種のカット関連トラブルが発生する。しかしながら、両端部のカット時にフィルムを加熱すると加熱部が柔軟となり、カット時に割れが発生せず、各種カット関連トラブルの発生を防止できる。
【0021】
切断位置(カッター6a,6bの設置位置)におけるフィルムの温度は、150〜210℃であることが必要であり、さらに160〜200℃であることが好ましい。フィルムの温度が上記の範囲より低いと、本発明のカット関連トラブルの防止効果が得られない。逆にフィルムの温度が上記の範囲より高いと、加熱部が溶融し、非加熱部との性状差が大きくなり、工程トラブル、品質不良の原因となる。
【0022】
フィルムの走行方向において、加熱位置(熱風25a,25bの吹き付け位置)と切断位置とは必ずしも一致している必要はないが、一致していない場合には、加熱後にフィルムが切断位置まで走行するまでの間のフィルム温度の低下を考慮する必要がある。加熱位置と切断位置とが離間している場合には、切断位置におけるフィルム温度が上記の範囲になるように、両者間の距離や加熱位置における加熱条件(熱風温度、ノズルとフィルムとの間隔等)を設定する。
【0023】
図1では、加熱方法として熱風を吹き付ける方法を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、電熱ヒーターや赤外線ヒーターの輻射熱により加熱することも可能である。いずれにしても、フィルムに接触することなく加熱することが、フィルム欠点の発生防止の観点から好ましい。
【0024】
図2は、カット部分を加湿するための具体的構成を示した概略斜視図である。
フィルム1は、搬送ロール12,13,14,15によって順に搬送され矢印1aの方向に走行している。搬送ロール15より下流側において、フィルム1の両端から所定距離だけ内側の位置にカッター(例えば、ナイフ、カミソリ刃など)6a,6bが設置され、これによりフィルム1の両端部が連続的に切り落とされる。切断された両端部(耳部)2a,2bは、ガイドロール7a,7bを介して耳部巻き取りロール8a,8bに巻き取られる。
【0025】
このような両端部のカット工程において、そのカット位置より上流側の搬送ロール12と搬送ロール13との間に、一対の加湿装置30a,30bが、フィルム1を挟んで対向して設置される。
【0026】
図3に加湿装置の概略構成を示す。図3では加湿装置30aを図示しているが、加湿装置30bもフィルムを挟んで実質的に対称に構成される。加湿装置30aは一面が開口した略直方体形状の筐体31を有し、筐体31内には、複数本(図では4本)の吹き出し管32と複数本(図では4本)の吸い込み管35とが、交互に略平行に配置されている。筐体31の開口31a側がフィルム側となるように、かつ、フィルム走行方向1aに対して吹き出し管32及び吸い込み管35の長手方向が直交するように、加湿装置30aは設置される。各吹き出し管32の、筐体31の開口31a側の外周面には、所定間隔で吹き出し口33が穿設されている。同様に、吸い込み管35の、開口31a側の外周面には、所定間隔で吸い込み口36が穿設されている。吹き出し口33及び吸い込み口36の穿設幅はフィルム幅より広い。筐体31とは別に設置される加湿加温器40で調整された加湿加温空気が給気配管41を経て各吹き出し管32に供給され、吹き出し口33から吐出される。この結果、走行するフィルム1に加湿加温空気34が吹き付けられてフィルムを加湿させる。吹き出し後の加湿加熱空気37は、結露しないように吸い込み管35の吸い込み口36から吸い込まれ、排気配管42を経て加湿加温器40に戻る。
【0027】
両端部のカット時、加湿せずにカットすると、カット部に割れが発生し、その割れが原因となって上記のような各種のカット関連トラブルが発生する。しかしながら、両端部のカット時にフィルムを加湿すると加湿部が柔軟となり、カット時に割れが発生せず、各種カット関連トラブルの発生を防止できる。
【0028】
切断位置(カッター6a,6bの設置位置)におけるフィルムの水分率は、0.3%以上かつ0.9%以下であることが必要であり、さらに0.35%以上0.7%以下であることが好ましい。フィルムの水分率が上記の範囲より大きいと、カット後に巻取ったフィルムロールを巻出して使用する時にフィルムにたるみが発生する。また、水分率が上記の範囲より小さいと、本発明のカット関連トラブルの防止効果が得られない。フィルムの水分率の調節は吹出す空気の水分率を変更することで行われる。
【0029】
図2では、フィルムの全幅にわたって加湿加温空気を吹き付ける構成を示したが、カット部のみに加湿加温空気を吹き付ける構成も可能である。しかしながら、図2のようにカット部を含むフィルム全幅に加湿加温空気を吹き付けて幅方向の水分率を略均一にする方が、フィルムの幅方向の物性斑を抑制できるので好ましい。
【0030】
また、図2では、搬送ロール12,13,14,15を用いてフィルム1が略鉛直方向に走行する部分を形成し、その部分にフィルム1を挟むように一対の加湿装置30a,30bを設置している。このように、水平方向に走行しているフィルムを挟んで一対の加湿装置を対峙させるのではなく、鉛直方向に走行しているフィルムを挟んで一対の加湿装置を対峙させることにより、フィルムの表裏から均一に加湿を行なうことができ、フィルムのカールや加湿ムラの発生を防ぐことができる。もちろん、水平方向に走行するフィルムに対して加湿を行なっても実用できる場合もある。
【0031】
また、図2では、フィルムの両面に加湿装置を設置する例を示したが、片面のみに設置する構成も可能である。しかしながら、両面に設置することにより、フィルムのカールや加湿ムラの発生を防ぐことができるので好ましい。
【0032】
上記の図1、図2において、切断された両端部(耳部)2a,2bの幅は、広すぎると廃棄ロスが多くなり、狭すぎると耳部の搬送および巻取において破断が発生する。従って、切断前のフィルム1の幅の1〜10%の範囲で最適化を図ることが好ましい。
【0033】
二軸延伸フィルムを製造する場合、フィルムの両端部の除去は、未延伸フィルムを得た後であって、二軸延伸前に行なう。二軸延伸前に行なうことでその後の二軸延伸時の延伸破れを低減することができる。この理由は、必ずしも明確ではないが、観察より以下のように考えている。未延伸フィルムの両端部は溶融押し出し時のネックインにより厚さ変化が大きい。両端部をカットせずに二軸延伸を行うと、フィルム端部を把持するクリップは、この厚さ変化の大きな部分を把持することになる。即ち、平面状のクリップの把持面は、厚い部分(この部分の面積は通常、極めて小さい)のみをフィルム両面から把持する結果、把持面全面で均一にフィルムを押さえることができず、把持圧力が不均一になる。そのため、延伸時のフィルム張力に耐えられず、フィルムを離してしまうクリップが出現し、そこを端緒として延伸破れが発生する。これに対して、厚さ変化の大きいフィルムの両端部をカットした後、二軸延伸を行うと、クリップの把持面全面で均一にフィルムを把持できるため、充分な把持力が得られ、クリップがフィルムを離してしまうようなことがなく、延伸破れが低減すると推測される。
【0034】
また、両端部をカットする場合には、既に説明したように、カット部を▲1▼150〜210℃に加熱するか(図1)、又は▲2▼0.3%以上かつ0.9%以下の水分率になるように加湿する(図2,図3)ことが好ましい。これによりさらに延伸破れの発生を抑えることができる。加熱又は加湿せずにカットすると、カット部に割れが発生し、その割れが二軸延伸時に破れの端緒となり、延伸破れが発生することがある。しかしながら、両端部のカット時に加熱又は加湿すると加熱部又は加湿部は柔軟となり、カット時に割れが発生せず、延伸破れの発生を防止できる。また、カット部を加熱又は加湿することにより、カット時に発生する上記の各種トラブルの発生も抑えることができる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0036】
本発明の物性値の測定方法を以下に示す。
【0037】
(1)水分率
巻取った直後のフィルムを、適当な大きさに切り、常温、常湿の部屋で直示天秤(島津製作所製L−160DPT)を用いて秤量する。その後、80℃、4時間の乾燥を行ない、再び、秤量し、以下の式より水分率を求める。
【0038】
水分率(%)=(乾燥前重量−乾燥後重量)×100/乾燥後重量
【0039】
(2)フィルム温度
温度測定のため、フィルム切断用のナイフを外し、フィルムを走行させながら、ナイフが当たる部分に熱電対(ヒオキ社製温度テスタ−3412)をフィルムが破れないように当て、当ててから少なくとも20秒経過後に、温度を読み取った。
【0040】
(3)タルミ
25℃−60%RHの部屋で、被験フィルムを巻き取ったフィルムロールを、5m/分の速度で巻き返す。このとき、被験フィルムを、巻芯側の面を上にして、200cmの間隔をあけて平行かつ同一高さに配置した2本のフリーロール上を走行させる。2本のフリーロールの間でのフィルム張力を5kg/cm2に合わせる。2本のフリーロールの中間点で、フィルム幅方向の中央部を基点としたフィルム端部の垂れ深さを測定する。垂れ深さが5mm以上の場合をタルミ有り、5mm未満の場合をタルミ無しと判定する。
【0041】
参考実施例1>
エチレン含有量32モル%、ケン化度99.5モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を押出機で溶融し、常法によりTダイより吐出させ、キャストロール上で冷却させ、厚さ15μm、幅1200mmの未延伸フィルムを製膜した。次いで、走行中の未延伸フィルムの両端部の切断予定箇所を図1に示した加熱装置20a,20bを用いて加熱した。ノズル23a,23bの吐出口(吐出口の内径は15mm)を、フィルム1の両端部からそれぞれ約70mm内側の地点に向けて、フィルム面から50mm離して設置した。フィルムの、ノズルからの熱風を受けた部分の温度は160℃であった。その後、カッター(ナイフ)6a,6bを用いて、未延伸フィルムの両端部からそれぞれ内側に70mmの地点で切断し、幅1060mmの未延伸フィルムをワインダーに巻取った。切り落とされた幅70mmの両耳部は図1に示す耳部巻き取りロール8a,8bに巻き取った。
【0042】
切り落とされた両耳部の搬送及び巻き取り過程での破断の平均発生間隔は160時間と長く、また、耳部の割れは観察されなかった。また、巻き取られた未延伸フィルムのタルミも観察されなかった。
【0043】
<実施例
エチレン含有量32モル%、ケン化度99.5モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を押出機で溶融し、常法によりTダイより吐出させ、キャストロール上で冷却させ、厚さ15μm、幅1200mmの未延伸フィルムを製膜した。次いで、走行中の未延伸フィルムを、図2、図3に示したように、対向配置した一対の加湿装置30a,30bの間を通過させ加湿した。その後、カッター(ナイフ)6a,6bを用いて、未延伸フィルムの両端部からそれぞれ内側に70mmの地点で切断し、幅1060mmの未延伸フィルムをワインダーに巻取った。切り落とされた幅70mmの両耳部は図2に示す耳部巻き取りロール8a,8bに巻き取った。未延伸フィルムの水分率は0.65%であった。本製膜条件では、この水分率は切断位置での水分率とほぼ同一と見なすことができる。
【0044】
切り落とされた両耳部の搬送及び巻き取り過程での破断の平均発生間隔は150時間と長く、また、耳部の割れは観察されなかった。また、巻き取られた未延伸フィルムのタルミも観察されなかった。
【0045】
<比較例1>
参考実施例1において、両端部のカット前に加熱しなかった以外は同様に行って、フィルムを得た。
【0046】
切り落とされた両耳部の搬送及び巻き取り過程での破断の平均発生間隔は45時間と短く、また、耳部の割れが観察された。巻き取られた未延伸フィルムのタルミは観察されなかった。
【0047】
<比較例2>
実施例において、加湿空気の水分率を高くする以外は同様に行って、フィルムを得た。未延伸フィルムの水分率は1.10%であった。この水分率は切断位置での水分率とほぼ同一と見なすことができる。
【0048】
切り落とされた両耳部の搬送及び巻き取り過程での破断の平均発生間隔は152時間と長く、また、耳部の割れも観察されなかった。しかしながら、巻き取られた未延伸フィルムにはタルミが観察された。
【0049】
<実施例
エチレン含有量32モル%、ケン化度99.5モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を押出機で溶融し、常法によりTダイより吐出させ、キャストロール上で冷却させ、厚さ145μm、幅1250mmの未延伸フィルムを製膜した。次いで、走行中の未延伸フィルムの両端部の切断予定箇所を図1に示した加熱装置20a,20bを用いて加熱した。ノズル23a,23bの吐出口(吐出口の内径は15mm)を、フィルム1の両端部からそれぞれ約15mm内側の地点に向けて、フィルム面から50mm離して設置した。フィルムの、ノズルからの熱風を受けた部分の温度は160℃であった。その後、カッター(ナイフ)6a,6bを用いて、未延伸フィルムの両端部からそれぞれ内側に15mmの地点で切断した。ついで、同時二軸延伸装置で延伸して、厚さ12μmの二軸延伸フィルムを得た後、ワインダーに巻き取った。
【0050】
二軸延伸時の延伸破れの平均発生間隔は76時間と長く、また、耳部の割れは観察されなかった。
【0051】
<実施例
実施例において、熱風で加熱せずに両端部をカットした以外は同様に行って、二軸延伸フィルムを得た。
【0052】
二軸延伸時の延伸破れの平均発生間隔は30時間と長かったが、耳部の割れが観察された。
【0053】
<比較例3>
実施例において、両端部の加熱及びカットをしなかった以外は同様に行って、二軸延伸フィルムを得た。
【0054】
二軸延伸時の延伸破れの平均発生間隔は17時間と短かった。
【0055】
上記参考実施例1、実施例1、比較例1,2を表1にまとめる。また、上記実施例2,3、比較例3を表2にまとめる。
【0056】
【表1】
Figure 0004542681
【0057】
【表2】
Figure 0004542681
【0058】
【発明の効果】
本発明の第1のフィルムの製造方法によれば、フィルムの両端部のカットに先立って、カット部を0.3%以上かつ0.9%以下の水分率に加湿するので、安定した端部切断が可能となり、カット箇所からのフィルム割れ、該割れが契機となる全幅にわたるフィルム破断、及びカットした耳部の搬送および巻取における破断をいずれも低減することができる。
【0059】
また、本発明の第2のフィルムの製造方法によれば、溶融押し出しした後であって二軸延伸前の未延伸フィルムの両端部をカットするので、二軸延伸時の延伸破れの発生を抑えることができ、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フィルムのカット部を加熱した後に端部をカットする方法の具体的構成例を示した斜視図である。
【図2】 フィルムを加湿した後に端部をカットする方法の具体的構成例を示した斜視図である。
【図3】 図2に示したフィルム加湿装置の概略構成を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 フィルム
1a フィルム走行方向
2a,2b フィルム端部(耳部)
6a,6b カッター
7a,7b ガイドロール
8a,8b 耳部巻き取りロール
11,12,13,14,15 搬送ロール
11a 回転方向
20a,20b 加熱装置
21a,21b 熱風発生装置
22a,22b フレキシブルパイプ
23a,23b ノズル
25a,25b 熱風
30a,30b 加湿装置
31 筐体
31a 開口
32 吹き出し管
33 吹き出し口
34 加湿加熱空気
35 吸い込み管
36 吸い込み口
37 加湿加熱空気
40 加湿加温器
41 給気配管
42 排気配管

Claims (4)

  1. エチレン含有量3〜70モル%、ケン化度80モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を原料とするフィルムを製造する方法であって、
    フィルムの両端部をカットする工程を有し、
    前記カットする工程において、カットに先立って、カット部を0.3%以上かつ0.9%以下の水分率になるように加湿することを特徴とするフィルムの製造方法。
  2. さらに、前記樹脂をフィルム状に溶融押し出しする工程と、前記押し出されたフィルムを二軸延伸する工程とを有し、
    前記カットする工程を、前記溶融押し出しする工程と前記二軸延伸する工程との間に行なう、請求項に記載のフィルムの製造方法。
  3. エチレン含有量3〜70モル%、ケン化度80モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂をフィルム状に溶融押し出しした後、二軸延伸してフィルムを製造する方法であって、
    前記溶融押し出しした後であって前記二軸延伸する前の未延伸フィルムの両端部をカットすることを特徴とするフィルムの製造方法。
  4. 前記未延伸フィルムの両端部をカットする前に、カット部を150〜210℃に加熱することを特徴とする請求項に記載のフィルムの製造方法。
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